JP2007186072A - 車両用スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】アクチュエータによってスタビライサバーの発揮するロール抑制力をアクティブに制御可能な車両用スタビライザシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】車体が実際のロール量を指標する実ロール指標量に対応する実モータ回転角θrをモータ回転角センサの検出値に基づいて取得するとともに、車両の旋回状態に基づいて車体がロールすべき理論ロール量を指標する理論ロール指標量に対応する理論モータ回転角θcを推定する。そして、それらの偏差Δθを求め、その偏差Δθに基づいて、車両に偏荷重が生じているか否かを判断する。偏荷重が生じている場合には、偏荷重が生じていない場合と同様のロール量となるように、その偏荷重の程度に応じて、アクチュエータ力の目標値である目標アクチュエータ力F*の補正量F0を決定し、その補正量F0によって目標アクチュエータ力F*の補正を行う。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両に設けられて車体のロールを抑制するためのスタビライザシステムに関し、詳しくは、スタビライザバーが発揮するロール抑制力を車両の旋回状態に応じて変更することが可能なスタビライザシステムに関する。
スタビライザシステムは、スタビライザバーの弾性力に依拠したロール抑制力を車体に作用させて車体のロールを抑制するシステムであり、現在では、下記特許文献に記載されているような所謂アクティブスタビライザシステム、つまり、ロール抑制力を車両の旋回状態に応じて変更するスタビライザシステムの開発が盛んに行われている。
特表2002−518245号公報
上記のようなアクティブスタビライザシステムは、左右の車輪が分担する車体の荷重が均等である場合において車体のロール量が車両の旋回状態に応じた適正なロール量となるように設計されており、偏荷重状態、つまり、左右の分担荷重のバランスが崩れた状態では、車体のロール量を適切にコントロールできないことになる。つまり、偏荷重状態に対処することができれば、アクティブスタビライザシステムの実用性を向上させることが可能であると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用的な車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、いわゆるアクティブスタビライザシステムにおいて、ある旋回状態においてあるロール抑制力をスタビライザバーが発揮している場合において、実際の車体のロール状態と、その場合における理論的な車体のロール状態とに基づいて、車両の偏荷重状態を推定する手段を設けたことを特徴とする。
例えば、左右の車輪のうちの片方のタイヤの空気圧が低い場合等において、車両は偏荷重状態となる。この偏荷重状態では、スタビライザバーがたとえ理論的に適正なロール抑制力を発生している場合であっても、車体のロール量は目標とするロール量とはならない。本発明のスタビライザシステムは、そのような現象に基づいて車両の偏荷重状態を推定するように構成されており、偏荷重状態の推定を容易に行うことが可能となる。このような利点により、本発明によれば、実用性の高いスタビライザシステムが実現する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(6)項が請求項5に、(7)項が請求項6に、それぞれ相当する。
(1)両端部の各々が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結されるスタビライザバーと、
そのスタビライザバーが発揮するロール抑制力を、自身が発揮する力であるアクチュエータ力に応じて変更するアクチュエータと、
(a)車両の旋回状態に基づいて前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、(b)ある旋回状態で前記スタビライザバーがあるロール抑制力を発揮している場合において、実際の車体のロール量を指標する実ロール指標量と、その場合において車体がロールすべきロール量を指標する理論ロール指標量との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定する偏荷重状態推定部とを有する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、簡単にいえば、いわゆるアクティブスタビライザシステムにおいて、実際のロール状態と理論的なロール状態との差に基づいて車両の偏荷重状態を推定する手段を設けた態様である。ここでいう「車両の偏荷重状態」は、左右の車輪が分担する荷重、言い換えれば、左右のサスペンションスプリングが分担する荷重がいずれかに偏っている状態を意味する。例えば、それによってある程度持続性のある車体の傾斜が発生し得る状態となる。この偏荷重状態の原因は特に限定されるものではなく、路面からの外部入力,旋回等に起因する一時的な状態は除かれるものの、例えば、車両に積載している荷物,車両に搭乗している乗員等の偏り、車両に作用する横風、タイヤのパンク,空気圧異常、異径タイヤの装着等の種々の原因による比較的長時間にわたる偏荷重状態を広く対象とし得る。どのような原因による偏荷重状態を対象とするかは、目的に応じて任意に選択することが可能である。本項の態様によれば、このような偏荷重状態を、ロール状態に基づいて、容易に推定することが可能となる。また、推定結果を適切に利用すれば、例えば、当該スタビライザシステムによるロール抑制制御の適正化等が図れることになる。なお、偏荷重状態の推定は、偏荷重状態の有無を判断するものであってもよく、偏荷重の程度、つまり、どの程度の偏荷重が発生しているかを推認するものであってもよい。
本項の態様における「スタビライザバー」は、車体が受けるロールモーメントに対抗する力であるロール抑制力、より詳しく言えば、自身の捩れによって発生する弾性力等に依拠するロール抑制力を発揮する主体となる構成要素である。また、「アクチュエータ」は、スタビライザバーに作用することによって、ロール抑制力を変更するための構成要素である。なお、以下、スタビライザバーとアクチュエータとによって構成される装置を、「スタビライザ装置」と呼ぶこととする。
スタビライザ装置の構成は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、スタビライザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタビライザバー部材によって構成し、それら1対のスタビライザバー部材の間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがそれら1対のスタビライザバー部材を相対回転させるようなアクチュエータ力を発生させるような構成であってもよい。この場合には、アクチュエータ力は、いわゆる回転トルクとなる。また、スタビライザバーの一方の端部と車輪保持部材との間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがその一方の端部と車輪保持部材との間隔を変化させるようなアクチュエータ力を発生させるような構成であってもよい。ちなみに、アクチュエータは、どのような力に基づいて動作するものであってもよい。例えば、油圧等によって作動する流体式のアクチュエータであってもよく、また、電動モータ等を駆動源として備えた電磁式のアクチュエータであってもよい。
本項の態様において、「制御装置」は、例えば、コンピュータを主体として構成することが可能である。制御装置が有する1つの機能部である「アクチュエータ制御部」は、いわゆるアクティブな制御を司る機能部である。アクチュエータ制御部がアクチュエータの制御において依拠する「車両の旋回状態」は、例えば、いわゆる車両の旋回の激しさの程度を意味するものであり、具体的には、例えば、車両の旋回時の走行速度,操舵角,車体の受けるロールモーメント,車体に発生している横加速度,車両のヨーレイト,スリップ角,コーナリングフォース等のパラメータによって表すことができるものである。実際の制御において、アクチュエータ制御部は、それらのパラメータの1以上のものに基づいて、適切なロール抑制力が得られるように、アクチュエータを制御するように構成することができる。なお、車両の旋回状態とは、例えば、車両が直進している状態(旋回半径が無限大となる旋回状態と考えることができる)等、車両が旋回していない状態をも含む概念である。
アクチュエータ制御部による制御は、アクチュエータ力を直接の制御目標とする制御(以下、「アクチュエータ力制御」という場合がある)であってもよく、また、アクチュエータの動作量を直接の制御目標とする制御(以下、「動作量制御」という場合がある)であってもよい。アクチュエータ力制御は、例えば、車両の旋回状態に基づいて、その旋回状態において車体が受けるロールモーメントに対抗する力のスタビライザバーの分担分として目標ロール抑制力を決定し、その目標ロール抑制力を発生させるための目標アクチュエータ力を決定し、その目標アクチュエータ力を発揮するようにアクチュエータを制御すればよい。また、動作量制御の場合には、例えば、上記目標ロール抑制力を発揮した場合において車体のロール量が適切なロール量となるような剛性(見かけ上の剛性である)をスタビライザバーが有するように、アクチュエータの目標となる動作量を決定し、動作量がその目標動作量となるようにアクチュエータを制御すればよい。車両のある旋回状態つまりあるロールモーメントが車体に加わった場合において、スタビライザバーが発揮するロール抑制力,アクチュエータの動作量,車体のロール量は相互に関連するものとなる。本項の態様では、あるロール抑制力を発揮している場合(発揮しているロール抑制力が0である場合をも含む)における車体のロール指標量に基づいて偏荷重状態を推定するものとされているため、アクチュエータ制御部による制御では、ロール抑制力と一定の関係にあるアクチュエータ力を直接の制御目標とするアクチュエータ力制御が実行されることが望ましい。
制御装置が有する別の1つの機能部である「偏荷重状態推定部」は、上記実ロール指標量と理論ロール指標量との差に基づいて車両の偏荷重状態を推定する機能部である。ここでいう「ロール指標量」とは、車体のロール量を直接的あるいは間接的に示すパラメータである。具体的には、車体のロール角を始めとして、車輪と車体との上下方向における離間距離(以下、「車輪車体間距離」という場合がある)の左右の車輪についての差(以下、「離間距離差」という場合がある)、あるロール抑制力が発生しているときのアクチュエータ動作量が車体のロール量を間接的に示す場合におけるその動作量等、種々のパラメータに基づいて、偏荷重状態を推定することが可能である。また、偏荷重状態推定部による推定に関する具体的な手法は、特別な手法に限定されるものではない。例えば、車両が旋回していない状態においては、通常、ロール抑制力を発揮させないような制御が行われ、その状態では、理論ロール指標量は、車体のロール量が0であることを示す値となるはずである。したがって、非旋回状態において実ロール指標量が車体がロールしていることを示す値となって、理論ロール指標量との差が存在する場合に、車両が偏荷重状態であると推定することが可能である。また、車両が定常的な旋回、具体的には、一定走行速度かつ一定の操舵角の下で車両が旋回しているような場合においても、その場合の旋回状態から目標ロール抑制力が定まり、スタビライザバーがその目標ロール抑制力を発揮している場合における理論ロール指標量が定まる。その場合に、車両が偏荷重状態となっているときには、実ロール指標量が理論ロール指標量より大きな値あるいは小さな値となるため、そのことをもってして車両が偏荷重状態であることを推定することが可能である。なお、本項の態様において、偏荷重状態推定部は、単に偏荷重であることを推定するものであってよく、偏荷重の程度まで推定するものであってもよい。
(2)前記アクチュエータ制御部が、車両の旋回状態に基づいて定まる目標アクチュエータ力を発揮するように前記アクチュエータを制御するものである(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータ制御部が、先に説明したアクチュエータ力制御を実行する態様である。アクチュエータ力制御を行う場合には、例えば、旋回中であっても、また、後に説明するロール抑制力が補正されている場合であっても、偏荷重状態推定部によって、容易に、実ロール指標量と理論ロール指標量とに基づく偏荷重状態の推定を行うことが可能である。
(3)前記偏荷重状態推定部が、左車輪の車輪径と右車輪の車輪径とが異なる車輪異径状態に起因する偏荷重状態を推定するものである(1)項または(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、偏荷重状態推定部による推定の対象となる偏荷重状態を、具体的に限定した態様である。上記「車輪異径状態」は、例えば、タイヤのパンク,タイヤの空気圧減少,テンパータイヤ等の異径タイヤの装着等によって生じる現象である。この現象は、例えば、4つの車輪のいずれかのタイヤ径が他のものより大きいあるいは小さい場合に、4輪の各々の車体の荷重の分担割合が変化することによって生じる。したがって、例えば、発生しているロール抑制力の大きさを変更させながら、4つの車輪の各々について、その各々の車輪径が所定量だけ大きくあるいは小さくなった場合における実ロール指標量を実測し、その実測したデータをマップデータとして格納しておき、その格納されたデータを参照することによって、偏荷重状態を推定することが可能である。なお、車輪異径状態を推定する場合、現状では、例えば、タイヤ空気圧センサの検出値に基づく推定処理、車両走行速度と車輪の回転速度との関係に基づく推定処理等が行われている。このような推定処理では、空気圧センサ,車輪回転速センサ等のセンサが必要となるのに加え、別途、推定処理を実行するためのコンピュータ等が必要となったり、他のシステムが有するコンピュータからの信号を受信する必要があったりする。本項に記載の態様は、新たな発想に基づくものであり、上記のような手段を必要とせず、例えば、後に説明するように、実ロール指標量をアクチュエータの動作量とすれば、当該スタビライザシステムにおいて既に設けられているセンサの検出値に基づき、当該システム内において推定処理を完結させることができる。
(4)前記偏荷重状態推定部が、偏荷重の程度を推定するものであり、前記制御装置が、前記偏荷重状態推定部によって推定された偏荷重の程度に基づいて前記スタビライザバーが発揮するロール抑制力を補正するロール抑制力補正部を有する(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、推定された車両の偏荷重状態を考慮してスタビライザ装置を制御する一態様である。例えば、偏荷重によって生じる車体の傾斜を抑制するようにスタビライザバーが発揮するロール抑制力を補正する態様が含まれる。具体的には、アクチュエータ制御部が上述のアクチュエータ力制御を実行している場合において、ロール抑制力の源となるアクチュエータ力を補正すべく、目標アクチュエータ力を補正する態様が含まれる。本項の態様によれば、偏荷重に起因する車体の傾斜を抑制することができ、偏荷重状態における車両の乗り心地,車両の操縦安定性等が向上することとなる。
(5)前記ロール抑制力補正部が、実ロール指標量が理論ロール指標量となるように、前記スタビライザバーが発揮するロール抑制力を補正するものである(4)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様によれば、偏荷重が生じている場合であっても、スタビライザ装置によって、偏荷重が生じていない状態における車体の傾斜状態(傾斜していない状態をも含む概念である)を実現することが可能であり、偏荷重が生じている場合における車両の乗り心地,操縦安定性等を良好な状態に維持することが可能である。なお、具体的には、例えば、車両が旋回していない状態において車体の傾斜がなくなるように補正する態様等が、本項の態様に含まれる。
(6)前記アクチュエータ制御部が、車両が旋回していない状態においてアクチュエータ力を発揮しないように前記アクチュエータを制御するものとされ、
前記偏荷重状態推定部が、車両が旋回していない状態における実ロール指標量と理論ロール指標量との差に基づいて車両の偏荷重状態を推定する非旋回時推定部を有する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
車両の非旋回時、つまり、車両が直進しているあるいは車両が走行していない場合、原則的には、スタビライザバーが発揮すべきロール抑制力は0とされる。つまり、アクチュエータ力は0とされる。ロール抑制力を0に維持する場合、偏荷重が生じていない状態においては、理論ロール指標量は0と考えることができる。本項の態様は、その場合において、実ロール指標量が0ではないことを根拠として、車両の偏荷重状態を推定する態様である。非旋回時においては、車両旋回時に比較して、より簡便に、正確な実ロール抑制力を検出することが可能となる。また、アクチュエータ制御部が、先に説明したところの動作量制御を行う場合であっても、非旋回時であれば原則的にアクチュエータの動作量が基準となる動作量とされるため、容易に偏荷重状態を推定することが可能である。
(7)当該スタビライザシステムが、前記アクチュエータの動作量が前記スタビライザバーの発揮するロール抑制力とロール指標量とに基づいて定まるように構成されており、
前記偏荷重状態推定部が、実際の前記アクチュエータの動作量である実動作量と、前記アクチュエータが動作すべき動作量である理論動作量とを、それぞれ実ロール指標量,理論ロール指標量として、それらの差に基づいて車両の偏荷重状態を推定するものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
例えば、アクチュエータ制御部がアクチュエータ力制御を実行して所定のロール抑制力を発生させている場合には、アクチュエータの動作量は、スタビライザバーの捩れ角(例えば、車輪保持部材に連結される両端部の相対回動角)と相関関係にあることから、ロール指標量となる。したがって、アクチュエータの実動作量,理論動作量に基づけば、容易に、車両の偏荷重状態を推定することが可能である。つまり、本項に記載の態様によれば、何ら特別なセンサを必要とせずに偏荷重状態を推定することが可能である。具体的に言えば、後に説明するようにアクチュエータが駆動源として電動モータを採用する構成である場合には、その電動モータの動作量(回転角)に基づいて、アクチュエータの実動作量を認定し、その認定された実動作量に基づいて偏荷重状態を推定することが可能である。
(8)前記スタビライザバーが、
それぞれが、車幅方向に延びる1つの軸線上に配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそのトーションバー部と交差して延びるとともに先端部において前記車輪保持部材に連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーションバー部を前記軸線のまわりに相対回転させる力を前記アクチュエータ力として発揮するものである(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザ装置の具体的構造に関する限定を加えた態様であり、先に述べた態様である。本項の態様によれば、スタビライザバーが発揮するロール抑制力を効率的に変更可能なアクティブスタビライザシステムが実現可能である。
(9)前記アクチュエータが、ハウジングと、それぞれがそのハウジングに支持されて配設された電動モータおよびその電動モータの回転を減速させる減速機とを含んで構成され、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーションバー部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーションバー部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続された(8)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、上記構造のスタビライザ装置において、アクチュエータを電動のものとした態様、つまり、電動のアクティブスタビライザシステムにおいて具体的な構造を限定した態様である。本項の態様によれば、電動モータの良好な制御性を利用することで、スタビライザ装置のアクティブな制御をより効率的に実現することが可能である。なお、本項の態様におけるアクチュエータでは、電動モータに供給される電力を制御することによってアクチュエータ力を制御することが可能である。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪スタビライザシステムの構成≫
図1に、請求可能発明の一実施例である車両用スタビライザシステム10を概念的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された2つのスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持する車輪保持部材の各々に連結部材を介して連結されたスタビライザバー20を備えている(図2参照)。そのスタビライザバー20は、中央部で分割されており、一対のスタビライザバー部材、すなわち右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを含む構成のものとされている。それら一対のスタビライザバー部材22,24がアクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されており、大まかにいえば、スタビライザ装置14は、アクチュエータ30が、左右のスタビライザバー部材22,24を相対回転させることによって(図の矢印,点線矢印を参照のこと)、スタビライザバー20全体の見かけ上の剛性を変化させて車体のロール抑制を行う。
図2には、一方のスタビライザ装置14の車幅方向の中央から一方側の車輪16にかけての部分が概略的に示されている。本スタビライザシステム10が装備される車両は、それぞれが4つの車輪16の各々に対して設けられた4つの独立懸架式のサスペンション装置38を含んで構成されている。このサスペンション装置38は、一般によく知られたダブルウィシュボーン式のものであり、一端部が車体に回動可能に連結されるとともに他端部が車輪16に連結された車輪保持部材としてのアッパアーム42およびロアアーム44を備えている。それらアッパアーム42およびロアアーム44は、車輪16と車体との接近離間(相対的な上下動の意味)に伴い、上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体に対して上下させられる。また、サスペンション装置38は、ショックアブソーバ46と、サスペンションスプリング48(本装置では「エアばね」である)とを備えている。それらショックアブソーバ46およびスプリング48は、それぞれ、それらの一端部が車体側のマウント部に、他端部がロアアーム44に連結されている。このような構造から、サスペンション装置38は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させる機能を果たすものとなっている。
スタビライザ装置14は、先に説明した一対のスタビライザバーである右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを備える(図2には、右スタビライザバー部材22および左スタビライザバー部材24の一方が示されている)。各スタビライザバー部材22,24は、それぞれ、略車幅方向に延びるトーションバー部60と、トーションバー部60と一体化されてそれと交差して概ね車両前方あるいは後方に延びるアーム部62とに区分することができる。各スタビライザバー部材22,24のトーションバー部60は、アーム部62に近い箇所において、車体の一部であるスタビライザ装置配設部64に固定的に設けられた支持部材66によって回転可能に支持され、互いに同軸に配設されている。それらトーションバー部60の端部(車幅方向における中央側の端部)の間には、上述のアクチュエータ30が配設されており、後に詳しく説明するが、各トーションバー部60の端部は、それぞれ、そのアクチュエータ30に接続されている。一方、アーム部62の端部(トーションバー部60側とは反対側の端部)は、上述のロアアーム44に設けられたスタビライザバー連結部68に連結されている。
アクチュエータ30は、図3に模式的に示すように、電動モータ70と、電動モータ70の回転を減速する減速機72とを含んで構成されている。これら電動モータ70および減速機72は、アクチュエータ30の外殻部材であるハウジング74内に設けられている。ハウジング74は、ハウジング保持部材76によって、回転可能かつ軸方向(略車幅方向)に移動不能に、車体に設けられたスタビライザ装置配設部64に保持されている。図2から解るように、ハウジング74の両端部の各々には、2つの出力軸80,82の各々が延び出すように配設されている。それら出力軸80,82のハウジング74から延び出した側の端部が、それぞれ、各スタビライザバー部材22,24の端部と、セレーション嵌合によって相対回転不能に接続されている。また、図3から解るように、一方の出力軸80は、ハウジング74の端部に固定して接続されており、また、他方の出力軸82は、ハウジング74内に延び入る状態で配設されるとともに、ハウジング74に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。その出力軸82のハウジング74内に存在する一方の端部が、後に詳しく説明するように、減速機72に接続され、その出力軸82は、減速機72の出力軸を兼ねるものとなっている。
電動モータ70は、ハウジング74の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のステータコイル84と、ハウジング74に回転可能に保持された中空状のモータ軸86と、モータ軸86の外周においてステータコイル84と向き合うようにして一円周上に固定して配設された永久磁石88とを含んで構成されている。電動モータ70は、ステータコイル84がステータとして機能し、永久磁石88がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。
減速機72は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)90,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)92およびリングギヤ(サーキュラスプライン)94を備え、ハーモニックギヤ機構(ハーモニックドライブ機構(登録商標),ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構等とも呼ばれる)として構成されている。波動発生器90は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボールベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸86の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ92は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯が形成されている。このフレキシブルギヤ92は、先に説明した出力軸82に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、出力軸82は、モータ軸86を貫通しており、それから延び出す端部にフレキシブルギヤ92の底部が固着されることで、フレキシブルギヤ92と出力軸82とが接続されているのである。リングギヤ94は、概してリング状をなして内周に複数(フレキシブルギヤの歯数よりやや多い数、例えば2つ多い数)の歯が形成されたものであり、ハウジング74に固定されている。フレキシブルギヤ92は、その周壁部が波動発生器90に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ94と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。波動発生器90が1回転(360度)すると、つまり、電動モータ70のモータ軸86が1回転すると、フレキシブルギヤ92とリングギヤ94とが、それらの歯数の差分だけ相対回転させられる。ハーモニックギヤ機構はその構成が公知のものであることから、本減速機72の詳細な図示は省略し、説明はこの程度の簡単なものに留める。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを相対回転させる力、つまり、アクチュエータ30に対する外部入力が作用する。その場合、電動モータ70が発生する力であるモータ力(電動モータ70が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、以下、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ30がその外部入力に釣り合う力をアクチュエータ力として発揮しているときには、それら2つのスタビライザバー部材22,24によって構成された1つのスタビライザバー20が捩られることになる。この捩りにより生じる弾性力は、ロールモーメントに対抗する力、すなわち、ロール抑制力となる。そして、モータ力によってアクチュエータ30の出力軸80,82を相対回転させる力、つまりアクチュエータ力を変化させることで、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを相対回転させる力を変化させれば、車体が同じロールモーメントを受けている場合であっても、結果として、そのロールモーメントとアクチュエータ力とが釣り合う位置であるアクチュエータ30の動作量が変化することとなる。つまり、左右のスタビライザバー部材22,24の相対回転位置が変化することとなり、車体のロール量を変化させることが可能となる。本スタビライザ装置14は、そのようにして、スタビライザバー20の見かけ上の剛性、すなわち、スタビライザ剛性を変化させることが可能な装置とされているのである。
なお、アクチュエータ30には、ハウジング74内に、モータ軸86の回転角度、すなわち、電動モータ70の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ100が設けられている。モータ回転角センサ100は、本アクチュエータ30ではエンコーダを主体とするものであり、アクチュエータ30の動作量、言い換えれば、車体のロール量を指標するものとして、車体に発生する偏荷重の検出に利用される。
アクチュエータ30が備える電動モータ70には、図1に示すように、電源としてのバッテリ102から電力が供給される。本スタビライザシステム10では、そのバッテリ102と、2つのスタビライザ装置14の各々との間に、それぞれ、インバータ104が設けられている。それらインバータ104は駆動回路として機能するものであり、2つのスタビライザ装置14の各々が有する電動モータ70には、2つのインバータ104の各々を介して電力が供給される。なお、電動モータ70は定電圧駆動されることから、供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更され、電動モータ70は、その供給電流量に応じた力を発揮することとなる。ちなみに、供給電流量は、インバータ104がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
本スタビライザシステム10は、図1に示すように、スタビライザ装置14、詳しくは、アクチュエータ30の作動を制御する制御装置であるスタビライザ電子制御ユニット(ECU)110(以下、単に「ECU110」という場合がある)を備えている。そのECU110は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されており、ECU110には、上記モータ回転角センサ100とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ120,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ122,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ124が接続されている。(図1では、それぞれ「θ」,「δ」,「v」,「Gy」と表されている)。さらに、ECU110は、インバータ104にも接続され、ECU110は、インバータ104を制御することで、アクチュエータ30の発生するアクチュエータ力を制御するものとされている。ECU110のコンピュータが備えるROMには、後に説明するスタビライザ制御プログラム、スタビライザ装置14の制御に関する各種のデータ等が記憶されている。
なお、本スタビライザシステム10は、前輪側,後輪側の2つのスタビライザ装置14を備えており、それら2つのスタビライザ装置14は、設定されたロール剛性配分に従ってそれぞれが個別に制御され、その個々の制御下において、それぞれが所定のロール抑制力を発生させることになるが、ここからの説明では、特に断わりのない限り、説明の単純化に配慮して、2つのスタビライザ装置14を同一構成のものとして扱い、また、それらを一元化して扱うこととする。
≪スタビライザシステムにおいて実行される制御等≫
本スタビライザシステム10では、車両の旋回状態に基づいてロール抑制力の目標値を決定し、スタビライザバー20がその目標ロール抑制力を発揮するように、アクチュエータ30の発揮するアクチュエータ力の目標値である目標アクチュエータ力を決定する。その目標アクチュエータ力を発揮するようにアクチュエータ30を制御することにより、スタビライザ剛性を変化させる。つまり、車体が受けるロールモーメント等に応じて車体のロール抑制効果すなわち車体のロール抑制力をアクティブに制御することが可能とされている。(以下、この制御を「アクチュエータ制御」と呼ぶ場合がある)さらに、本スタビライザシステム10では、車両の旋回状態に応じてアクチュエータ30が動作すべき理論動作量と、アクチュエータ30が実際に動作している実動作量とを、それぞれ理論ロール指標量,実ロール指標量として、それらの差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定する。(以下、この処理を「偏荷重状態推定処理」と呼ぶ場合がある)。さらに、その偏荷重の程度に応じて、上記アクチュエータ制御において決定された目標アクチュエータ力を補正してスタビライザバー20の発揮するロール抑制力を補正する処理を行うようにされている(以下、この処理を「ロール抑制力補正処理」と呼ぶ場合がある)。以下、それらの制御,処理について、詳細に説明する。
(A)アクチュエータ制御
アクチュエータ制御では、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量に基づいて、スタビライザバー20の捩れ剛性を適正なものとすべく、アクチュエータ力の目標値である目標アクチュエータ力が決定され、スタビライザバー20がその目標アクチュエータ力を発揮するように制御される。つまり、ロールモーメント指標量に基づき、適切な大きさのロール抑制力を発生させるために、一対のスタビライザバー部材22,24を適正な力で相対回転させるようにアクチュエータ30が制御される。
アクチュエータ制御をより具体的に説明すれば、本実施例においては、上記ロールモーメント指標量としての横加速度に基づいて、目標アクチュエータ力F*が決定される。詳しく言えば、ステアリングホイールの操舵角と車両走行速度に基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr
ここで、K1,K2はゲインであり、そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、目標アクチュエータ力F*が決定される。そして、その目標アクチュエータ力F*に基づいて電動モータ70への目標供給電流i*が決定され、適切な電力がアクチュエータ30の電動モータ70に供給されるのである。なお、制御横加速度Gy*に対応する目標アクチュエータ力F*、目標アクチュエータ力F*に対応する目標供給電流i*は、それぞれ、ECU110にマップデータとして格納されており、目標アクチュエータ力F*、目標供給電流i*は、それらマップデータを参照して決定される。
(B)偏荷重状態推定処理
偏荷重状態推定処理では、車体が実現しているべきロール量を指標する理論ロール指標量と、実際に車体が実現しているロール量を指標する実ロール指標量との差に基づいて車両の偏荷重状態が推定される。詳しく言えば、アクチュエータ30が動作すべき動作量である理論動作量と、実際にアクチュエータ30が動作している動作量である実動作量とを、それぞれ理論ロール指標量,実ロール指標量として、それらの差に基づいて車両の偏荷重状態が推定される。本実施例においては、アクチュエータ30の動作量が電動モータ70の回転角θと等価であるため、電動モータ70の回転角θをロール指標量として利用し、理論ロール指標量に対応する理論モータ回転角θcと実ロール指標量に対応する実モータ回転角θrとの差に基づいて車両の偏荷重状態が推定される。ここで、モータ回転角θは、ある標準状態における電動モータ70の回転位置を基準とした回転角(累積的な角度であり、モータ70が1回転を超える場合には360゜を超える角度となる)として取得される。具体的には、例えば、車両が旋回していない状態かつ車両に偏荷重が発生していない状態、つまり、偏荷重が生じていない状態であってアクチュエータ力Fが0である状態を標準状態として、その状態における電動モータ70の回転位置を基準とした値が取得される。
先に説明したように、アクチュエータ制御では、ロールモーメントに応じて、スタビライザバー20の発揮するロール抑制力が決定される。そのため、ロールモーメントに対して、スタビライザバー20と左右のサスペンションスプリング48とがそれぞれ発揮するロール抑制力が釣り合う位置、すなわち車体のロール量は、スタビライザバー20の発揮するロール抑制力に応じたものとなる。アクチュエータ制御では、車両に偏荷重が生じていない状態において、スタビライザバー20が適切なロール抑制力を発揮させるべく、アクチュエータ力を決定する制御が行われることから、その場合の車体のロール量、つまり、理論ロール指標量である理論モータ回転角θcは、アクチュエータ力に応じて定まることとなる。したがって、本スタビライザシステム10においては、目標アクチュエータ力F*をパラメータとする理論モータ回転角θcのマップデータがECU110内に格納されており、そのマップデータを参照することによって理論モータ回転角θcが取得される。
ところが、車両に偏荷重が生じている場合には、その偏荷重の影響により、たとえアクチュエータ力Fが上記目標アクチュエータ力F*となるように制御された場合であっても、実ロール指標量である実モータ回転角θrは、その偏荷重と、ロールモーメントと、スタビライザバー20とサスペンションスプリング48とのそれぞれのロール抑制力が釣り合う位置を示す値となり、理論モータ回転角θcと一致しない状態となる。そこで、本スタビライザシステム10では、前述のモータ回転角センサ100を利用して電動モータ70の実モータ回転角θrを取得し、その取得した実モータ回転角θrと、上述のように取得されるその時点における理論モータ回転角θcとの差に基づき、車両に偏荷重が発生している状態であるかが推定される。
なお、車両の偏荷重状態の推定処理は、車両が旋回している状態と、車両が旋回していない状態との両方において行われる。理論モータ回転角θcは、車両の旋回状態が安定しない間は推定することが困難であるため、いずれの状態の処理も、そのことを考慮して行われる。具体的には、車両が旋回していない状態での処理(非旋回時推定処理)は、ある程度の時間直進しているか、または、停止していることを条件として実行され、車両が旋回している状態での処理(旋回時推定処理)は、上述の制御横加速度Gy*が一定期間、一定の範囲内に収まっていることを条件とし、その条件を満たす場合に一定の走行速度かつ一定の操作角の下で旋回しているとみなしてそのときに実行される。また、路面の起伏等の影響により実モータ回転角θrが変動するため、そのことを考慮し、いずれの処理においても、実モータ回転角θrの変動がないあるいは変動が僅かである状態において偏荷重状態の推定がなされる。
(C)ロール抑制力補正処理
先に説明した偏荷重状態推定処理において、車両に偏荷重が生じていると推定された場合には、目標アクチュエータ力F*を補正してロール抑制力を補正するロール抑制力補正処理が実行される。実モータ回転角θrと理論モータ回転角θcとの差は、スタビライザバー20の剛性の過不足に起因するものとみなして、その剛性の過不足を調整すべく目標アクチュエータ力F*が、実モータ回転角θrの理論モータ回転角θcからの偏差(以下、「モータ回転角偏差Δθ」という場合がある)に応じた補正量F0だけ補正される。この補正量F0は、モータ回転角偏差ΔθをパラメータとするマップデータとしてECU110に記憶されており、そのマップデータを参照することによって取得される。上記アクチュエータ制御は、この補正処理によって補正された目標アクチュエータ力F*に基づいて実行されるようになっており、その補正処理の結果、車両に偏荷重が生じている状態でも、車体のロール量は、偏荷重が生じていない場合と同様のロール量となるようにスタビライザ装置14が制御されるのである。
なお、本スタビライザシステム10では、補正処理が実行された後にも、その補正処理がなされた状態において、上記偏荷重状態推定処理が実行されるようになっている。補正処理が実行された後に、偏荷重の程度が変化した場合には、上記偏荷重状態推定処理によって、さらなる目標アクチュエータ力F*の補正処理が実行される。
≪スタビライザ制御プログラム≫
スタビライザシステム10の制御は、図4にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数mから数十msec)をおいてECU110により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、スタビライザ制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
スタビライザ制御プログラムでは、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、目標アクチュエータ力F*を補正するための補正量F0が特定される。補正量F0は、初期値が0とされており、後に補正量F0が決定された場合には、その決定された値とされる。次に、S2において、補正量F0に基づいて、理論モータ回転角θcを決定するための理論モータ回転角決定マップMapθcが選択される。理論モータ回転角θcは補正量F0によって異なるため、理論モータ回転角決定マップは、補正量F0の値に応じて複数格納されており、それら複数のマップの中から、現時点での補正量F0に合致したものが選択されるのである。
次に、S3,S4において、車両の旋回状態が判断される。S3では、車速vが設定閾値v1より大きいか否かが判定され、S4では、ステアリングホイールの操作角δが設定閾値δ1より大きいか否かが判定される。車速vおよび操作角δのいずれもが、設定閾値v1,δ1より大きい場合には、車両が旋回している状態であると判断されてS5に進む。
S5においては、図5にフローチャートで示す旋回時目標アクチュエータ力決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S21において、車速vおよび操作角δが取得され、次に、S22において、それら車速vおよび操作角δに基づいて推定横加速度Gycが推定される。ECU110には、車速vと操作角δとをパラメータとする推定横加速度Gycに関するマップデータが格納されており、推定横加速度Gycは、そのマップデータを参照することによって推定される。続いて、S23において、車体に実際に発生する横加速度である実横加速度Gyrが、横加速度センサ124の検出値に基づいて取得される。続くS24において、制御横加速度Gy*が、上述のように推定横加速度Gycと実横加速度Gyrとから決定され、S25において、その制御横加速度Gy*に基づき、目標アクチュエータ力F*が決定される。ECU110内には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標アクチュエータ力F*のマップデータが格納されており、S25では、そのマップデータを参照して、目標アクチュエータ力F*が決定される。目標アクチュエータ力F*が決定されて、本サブルーチンの実行が終了する。
旋回時目標アクチュエータ力決定サブルーチンの終了後、次に、S6に進んで、図6にフローチャートで示す旋回時補正量決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンでは、まず、S31において、S24において決定された制御横加速度Gy*の値が、所定の記憶領域に記憶される。次いで、S32において、モータ回転角センサ100の検出値に基づいて、実モータ回転角θrが取得され、その値が、所定の記憶領域に記憶される。続くS33において、S2で選択されている理論モータ回転角決定マップMapθcを参照し、目標アクチュエータ力F*に基づいて、理論モータ回転角θcが決定され、その値が、所定の記憶領域に記憶される。制御横加速度Gy*,実モータ回転角θr,理論モータ回転角θcのそれぞれの記憶領域は、先入れ先出しメモリ的な領域とされており、現時点から設定時間(例えば3秒程度)遡った時点までのそれらの値が記憶されるようになっている。
次いで、S34において、記憶領域に記憶されている制御横加速度Gy*の値のうちの最大値Gy*MAXと最小値Gy*MINとの差である制御横加速度差ΔGy*が求められ、S35において、記憶領域に記憶されている実モータ回転角θrの値のうちの最大値θrMAXと最小値θrMINとの差である実モータ回転角差Δθrが求められる。次に、S36において、制御横加速度差ΔGy*の絶対値が設定閾値ΔGy*0以下であるか否かが、S37において、実モータ回転角差Δθrの絶対値が設定閾値Δθr0以下であるか否かが、それぞれ判定される。それらの判定の両者がYESとなる場合は、上記設定時間内において、車両の旋回状態が安定しており、また、路面の凹凸などによる実ロール量θrの揺らぎが小さいものとみなして、S38以下の偏荷重状態の推定等の処理が実行される。それらの判定のいずれかがNOである場合には、S38以下の処理は実行されずに、本サブルーチンによる処理が終了する。
S38以下の処理が実行される場合、まず、S38において、記憶領域に記憶されている実モータ回転角θrの値の平均値である平均実モータ回転角θrAVEが求められ、S39において、記憶領域に記憶されている理論モータ回転角θcの値の平均値である平均理論モータ回転角θcAVEが求められる。次いで、S40において、平均実モータ回転角θrAVEの平均理論モータ回転角θcAVEに対する偏差であるモータ回転角偏差Δθが求められ、S41において、モータ回転角偏差Δθの絶対値が設定閾値Δθ0以上である場合には、偏荷重が生じているあるいは偏荷重状態が変化したものと認定されて、続くS42において、目標アクチュエータ力F*についての補正量F0が前述したマップデータを参照することによって決定され、本サブルーチンによる処理が終了する。S41の判定において、設定閾値Δθ0を超えていない場合には、偏荷重が生じていないあるいは偏荷重状態が変化していないと認定され、補正値F0は現状の値が維持された状態で本サブルーチンによる処理が終了する。
先に説明したS3およびS4において、車速vまたは操作角δのいずれかが設定閾値v1,δ1以下である場合、すなわち、車両が停止しているか、または、車両が走行していてもほぼ直進状態であるとみなせる場合には、S7の非旋回時目標アクチュエータ力決定ステップにおいて、目標アクチュエータ力F*が0に決定される。このS7の処理の後、S8に進んで、図7にフローチャートで示す非旋回時補正量決定サブルーチンが実行される。このサブルーチンは、旋回時補正量決定サブルーチンと略同じ処理を実行するサブルーチンとされている。車両が旋回していない状態においては、横加速度Gyが生じていないとみなされるため、旋回時補正量決定サブルーチンにおいて実行されていた一部の処理が、本サブルーチンにおいては実行されていない。具体的に言えば、S31の制御横加速度Gy*を記憶領域に記憶する処理、S34の制御横加速度差ΔGy*を求める処理、およびS36の制御横加速度差ΔGy*に基づく判定処理である。それらの処理を除く他の処理は、旋回時補正量決定サブルーチンにおける処理と同様であるために、本サブルーチンの詳しい説明は省略するが、本サブルーチンによる処理では、非旋回時において設定時間以上実モータ回転角θrが安定した状態が継続する場合に、平均実モータ回転角θrAVEの平均理論モータ回転角θcAVEに対する偏差であるモータ回転角偏差Δθが求められ、そのモータ回転角偏差Δθに基づいて車両の偏荷重状態が推定され、場合によっては目標アクチュエータ力F*についての補正量F0が決定される。
なお、フローチャートには示していないが、旋回時補正量決定サブルーチンによる処理から非旋回時補正量決定サブルーチンによる処理へ切り換わる場合、あるいは、その逆の場合に、それらの切り換わり時から設定時間が経過する前にロール量差Δθに基づく偏荷重状態の推定が行われないように、切り換わり時において、記憶領域の各種の値に実際にはあり得ない値であるダミー値を記憶させる処理が実行されるようになっている。
旋回時補正量決定サブルーチンによる処理あるいは非旋回時補正量決定サブルーチンによる処理が実行された後、S9において、S5あるいはS7において決定された目標アクチュエータ力F*に対して、現時点で決定されている補正量F0を加算することによる補正処理が実行される。そして、S10に進んで、その目標アクチュエータ力F*にもとづいて目標供給電流i*が決定され、S11に進んで、その目標供給電流i*についての制御信号がインバータ104に出力される。以上で、本プログラムの1回の実行が終了する。
≪制御装置の機能構成≫
以上のようなスタビライザ制御プログラムが実行されて機能する本スタビライザシステム10の制御装置であるECU110は、図8に示すように、S1〜S5,S10およびS11の処理を実行する機能部としてアクチュエータ制御部150を、S6の旋回時補正量決定サブルーチンによる処理を実行する機能部として旋回時推定部152を、S8の非旋回時補正量決定サブルーチンによる処理を実行する機能部として非旋回時推定部154を、それぞれ有している。それら旋回時推定部152と非旋回時推定部154とを含んで偏荷重状態推定部156が構成されるとともに、ECU110は、上記2つのサブルーチンにおいて目標アクチュエータ力F*についての補正量F0を決定する処理、および、S9による補正処理を実行する機能部として、ロール抑制力補正部158を備えているのである。
実施例のスタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図1のスタビライザシステムが備えるスタビライザ装置を示す概略図である。 図1のスタビライザシステムが備えるスタビライザ装置を構成するアクチュエータを示す概略断面図である。 図1のスタビライザシステムにおいて実行されるスタビライザ制御プログラムを示すフローチャートである。 図4のスタビライザ制御プログラムにおいて実行される旋回時目標アクチュエータ力決定サブルーチンを示すフローチャートである。 図4スタビライザ制御プログラムにおいて実行される旋回時補正量決定サブルーチンを示すフローチャートである。 図4のスタビライザ制御プログラムにおいて実行される非旋回時補正量決定サブルーチンを示すフローチャートである。 制御装置としてのスタビライザ電子制御ユニットの機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:スタビライザシステム 14:スタビライザ装置 20:スタビライサバー 22:右スタビライサバー部材 24:左スタビライサバー部材 30:アクチュエータ 60:トーションバー部 62:アーム部 70:電動モータ 72:減速機 74:ハウジング 100:モータ回転角センサ 104:インバータ(駆動回路) 110:スタビライザ電子制御ユニット(ECU)(制御装置) 120:操作角センサ 122:車速センサ 124:横加速度センサ 150:アクチュエータ制御部 152:旋回時推定部 154:非旋回時推定部 156:偏荷重状態推定部 158:ロール抑制力補正部

Claims (6)

  1. 両端部の各々が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結されるスタビライザバーと、
    そのスタビライザバーが発揮するロール抑制力を、自身が発揮する力であるアクチュエータ力に応じて変更するアクチュエータと、
    (a)車両の旋回状態に基づいて前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部と、(b)ある旋回状態で前記スタビライザバーがあるロール抑制力を発揮している場合において、実際の車体のロール量を指標する実ロール指標量と、その場合において車体がロールすべきロール量を指標する理論ロール指標量との差に基づいて、車両の偏荷重状態を推定する偏荷重状態推定部とを有する制御装置と
    を備えた車両用スタビライザシステム。
  2. 前記アクチュエータ制御部が、車両の旋回状態に基づいて定まる目標アクチュエータ力を発揮するように前記アクチュエータを制御するものである請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  3. 前記偏荷重状態推定部が、左車輪の車輪径と右車輪の車輪径とが異なる車輪異径状態に起因する偏荷重状態を推定するものである請求項1または請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
  4. 前記偏荷重状態推定部が、偏荷重の程度を推定するものであり、前記制御装置が、前記偏荷重状態推定部によって推定された偏荷重の程度に基づいて前記スタビライザバーが発揮するロール抑制力を補正するロール抑制力補正部を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  5. 前記アクチュエータ制御部が、車両が旋回していない状態においてアクチュエータ力を発揮しないように前記アクチュエータを制御するものとされ、
    前記偏荷重状態推定部が、車両が旋回していない状態における実ロール指標量と理論ロール指標量との差に基づいて車両の偏荷重状態を推定する非旋回時推定部を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  6. 当該スタビライザシステムが、前記アクチュエータの動作量が前記スタビライザバーの発揮するロール抑制力とロール指標量とに基づいて定まるように構成されており、
    前記偏荷重状態推定部が、実際の前記アクチュエータの動作量である実動作量と、前記アクチュエータが動作すべき動作量である理論動作量とを、それぞれ実ロール指標量,理論ロール指標量として、それらの差に基づいて車両の偏荷重状態を推定するものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
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KR101509428B1 (ko) 2013-11-27 2015-04-08 주식회사 인팩 능동형 롤 제어 장치 회전각 검출 시스템 및 방법

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