JP2006256539A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 車体のロールを抑制するロール抑制装置を備える車両用サスペンションシステムの実用性を向上させる。
【解決手段】 実横加速度Gyr(図4(a))および推定横加速度Gyc(図4(b))について設定横加速度G0を設定し、推定横加速度が設定横加速度を超えた場合(時刻t1)に、ロール抑制制御として、実横加速度に基づいて車両のロールモーメントをアクティブに抑制するアクティブロール制御を実行することとし、実横加速度が設定期間Δtの間連続して設定横加速度以下となった場合(時刻t3)にロール抑制モーメントを発生させないモーメント非発生制御に切り換えて実行する。また、車両が悪路を走行している状態では、設定横加速度の大きさを、通常の路面を走行している場合に比較して大きく設定する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車両用サスペンションシステムに関し、詳しくは、車体のロールを抑制するためのロール抑制装置を備えたサスペンションシステムにおけるそのロール抑制装置の制御に関する。
ロール抑制装置を備えた車両用サスペンションシステムの制御に関しては、例えば、下記特許文献に記載されたような制御技術が存在する。その制御技術は、車体が受ける横加速度に応じて、アクティブにロール抑制を行う制御であり、車体が受ける横加速度の変化、つまり、車体に作用するロールモーメントの変化に追従して、効果的にロール抑制を行うことが可能とされている。
特開平3−125616号公報
車体が受ける横加速度等、ロールモーメントを指標するパラメータ(以下、「ロールモーメント指標量」という場合がある)に応じたアクティブロール制御を行う場合、小さなロールモーメント指標量の変化に対しても追従した制御が行われる。ロールモーメント指標量が小さい場合は発生するロール量は小さく、車両の乗り心地を大きく左右するものではなく、敢えてロールを抑制する必要性は低いと考えることが可能である。また、例えば、ロール抑制装置が、車体の旋回時におけるロールを抑制することを目的とする場合等に、ロールモーメント指標量の比較的小さな変化、比較的高周波的な変化(比較的短い時間における比較的小さな揺らぎ)に対しても追従するように構成されれば、車両直進時においても過度なアクティブロール制御がなされ、本来の目的から逸脱した制御となる可能性がある。このような問題は、アクティブロール制御を実行するロール抑制装置を備えた従来のサスペンションシステムの抱える問題の一部に過ぎないが、そのような従来のサスペンションシステムは、種々の問題に対処することによって実用性を向上させる余地が多分に残されたものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、ロール抑制装置を備えた車両用サスペンションシステムの実用性を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の車両用サスペンションシステムは、アクティブロール制御を実行可能なロール抑制装置を備えたサスペンションシステムであって、車体が受けるロールモーメントが比較的小さい場合をアクティブロール制御が必要でない状態と認定し、また、ロールモーメントが比較的大きい場合をアクティブロール制御が必要な状態と認定し、その認定結果に応じてアクティブロール制御を実行するように構成されたことを特徴とする。
本発明のサスペンションシステムは、平たく言えば、車体が受けるロールモーメントが比較的小さい状態においてはアクティブロール制御を実行しないように構成することが可能であり、したがって、本発明のサスペンションシステムによれば、敢えてロールを抑制する必要のない状態において、アクティブロール制御が行われず、制御の無駄が排除できる。また、車両直進時等において生じる比較的小さなロールモーメントの変動等に対してアクティブロール制御が行われず、ロール抑制装置の本来の目的である車両旋回時における車体のロールの抑制を、アクティブロール制御によって効果的に実現することが可能となる。そのような利点を有することから、本発明の車両用サスペンションシステムは、実用的なサスペンションシステムとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(5)項が請求項2に、(6)項が請求項3に、(7)項が請求項4に、それぞれ相当する。
(1)車両の旋回によって車体が受けるロールモーメントに対抗するロール抑制モーメントを発生させ、車体のロールを抑制するロール抑制装置と、
そのロール抑制装置の作動を制御することによって、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量の変化に応じてそのロール抑制装置が発生するロール抑制モーメントを変化させるアクティブロール制御を実行する制御装置と
を含んで構成される車両用サスペンションシステムであって、
前記制御装置が、
車両の状態が、車体が受けるロールモーメントが比較的小さい状態であってアクティブロール制御を要しない状態であるアクティブ制御不要状態と、車体が受けるロールモーメントが比較的大きい状態であってアクティブロール制御を要する状態であるアクティブ制御必要状態とのいずれであるかを、ロールモーメント指標量が設定閾量を超えたか否かに基づいて判断するアクティブ制御要・不要判定部を備え、
そのアクティブ制御要・不要判定部の判定結果に基づいて、車両の状態がアクティブ制御必要状態である場合に、アクティブロール制御を実行するように構成された車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様のサスペンションシステムでは、上記ロールモーメント指標量の大きさによって、車両の状態が、上記「アクティブ制御必要状態」であるか上記「アクティブ制御不要状態」であるかを判定し、アクティブ制御必要状態である場合にアクティブロール制御が行われる。逆に言えば、アクティブ制御不要状態である場合は、アクティブロール制御が行われないように構成することができる。したがって、本項の態様のサスペンションシステムでは、ロール制御における無駄を排除することが可能となる。また、車両直進時に発生するロールモーメント、詳しく言えば、路面の凹凸等によって生じる高周波的に発生するロールモーメントの変動は比較的小さい。そのため、本項の態様のサスペンションシステムでは、そのような車両直進時のロールモーメントの変動に対してはアクティブロール制御を行わず、ロール抑制装置本来の目的である車両旋回時のロール抑制を、アクティブロール制御によって効果的に実行可能となるのである。本項の態様のサスペンションシステムは、そのようなロール抑制に関する制御が実行可能であることから、実用的なサスペンションシステムとなるのである。
本項の態様において、サスペンションシステムが備える「ロール抑制装置」は、その構成が特に限定されるものではなく、すでに公知の構成のロール抑制装置を広く採用することが可能である。詳しく言えば、例えば、アクチュエータの作動によって、車体のロール量(ロール角),ロール速度等を抑制するための「ロール抑制モーメント」を発生させることが可能な装置であり、そのアクチュエータの作動が制御されることによって、ロール抑制モーメントの大きさを変更されるような装置であればよい。具体的には例えば、車輪保持部材と車体に設けられたマウント部とに連結されて車輪と車体との相対移動に伴って伸縮する懸架シリンダ(例えば、ショックアブソーバのようなもの)を有し、その懸架シリンダの発生させる減衰力をアクチュエータによって変更することでロール速度を制御するような構成のロール抑制装置であってもよく、また、アクチュエータによって積極的に懸架シリンダを伸縮させることにより、車輪と車体間の距離を能動的に変化させてロール量を制御するような構成のロール抑制装置であってもよい。さらに、車輪車体間距離を能動的に変化させる構成の装置として、後に説明するように、スタビライザバーを有し、アクチュエータによってそのスタビライザバーの剛性を変化させるような構成のロール抑制装置を採用することも可能である。また、それら場合のアクチュエータは、空気圧,油圧等の液圧によって作動するものであってもよく、電磁式モータ、ソレノイド等の電磁力によって作動するものであってもよい。なお、アクチュエータを有するロール抑制装置である場合は、アクティブロール制御が不要な場合においてアクティブロール制御を実施しないことにより、システムの省エネルギ化が図れることになる。
本項の態様における「制御装置」は、その構成が特に限定されるものではないが、例えば、コンピュータを主体とする装置を採用することができる。コンピュータを主体とする装置によれば、フィードバック制御,フィードフォワード制御を始めとした任意の形態の制御によってロール抑制装置を制御することで、詳しくは、例えば、それのアクチュエータを制御することで、車体が受けるロールモーメントに応じたアクティブなロール抑制制御である「アクティブロール制御」を、容易に実行することが可能である。また、コンピュータを主体とする装置によれば、上述したところの、車両の状態がアクティブ制御必要状態とアクティブ制御不要状態とのいずれにあるかの判定を、容易に行うことができる。
本項でいう「ロールモーメント指標量」とは、車体が受けるロールモーメントの大きさを直接的あるいは間接的に表すパラメータであり、平たく言えば、どのようなロールモーメントを車体が受けるかを表し得る各種の物理量である。具体的には、ロールモーメント自体を始めとして、例えば、車体が受けている横加速度,車両に発生しているヨーレート,車両に作用するコーナリングフォース,横力,車両のスリップ角といった種々のものが、ロールモーメント指標量に該当する。それらのうちでも、横加速度,ヨーレートは、検出,推定が比較的容易である等の理由から、上述したアクティブロール制御およびアクティブロール制御の要・不要の判定が依拠するパラメータとして好適である。
(2)前記制御装置が、前記アクティブ制御要・不要判定部の判定結果に基づいて、車両の状態がアクティブ制御不要状態である場合に、前記ロール抑制装置にロール抑制モーメントを発生させないモーメント非発生制御を実行するように構成された(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、平たく言えば、アクティブ制御不要状態において、ロール抑制装置がロール抑制モーメントを発生させないように制御する態様である。「モーメント非発生制御」がなされている状態、つまり、ロール抑制装置によるロール抑制モーメントが発生しない状態とは、例えば、サスペンションシステムがロール抑制装置を備えていないに等しい状態であり、その状態では、例えば、左右の片方の車輪が上下動させられる場合において、例えばサスペンションスプリングによって、その上下動が効果的に吸収されることになる。アクティブ制御不要状態は、ロールモーメントが比較的小さいと判断される場合であり、例えば、主に直進状態において、アクティブ制御不要状態となることから、本項の態様によれば、車両の直進安定性,直進時の車両の乗り心地を向上させることが可能となる。また、車両が悪路を走行している場合おいて、片輪の上下動が顕著であることから、悪路走行時にモーメント非発生制御が実行されれば、悪路走行においての車両の乗り心地が向上させられることになる。本項に記載の態様は、例えば、後に詳しく説明するが、ロール抑制装置としてアクティブスタビライザ装置を備えるサスペンションシステムにおいて、特に有効である。そのシステムでは、スタビライザバーによるロール抑制モーメントが発生させらない場合は、スタビライザバーを備えていない状態と等しい状態となり、例えば、車両の片輪乗り上げ等の逆相入力に対して左右の側の独立性が担保されることで、効果的に、車両の直進安定性,乗り心地等が向上されることになる。
(3)前記制御装置が、実際に車体が受けているロールモーメントを指標するロールモーメント指標量である実ロールモーメント指標量に基づいてアクティブロール制御を実行するものである(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
「実ロールモーメント指標量」は、実際に車体が受けているロールモーメントを指標するもの、平たく言えば、実際に検出された指標量であることから、実ロールモーメント指標量に基づいてアクティブロール制御を実行すれば、効果的に車体のロールを抑制することが可能である。なお、本項の態様は、実ロールモーメント指標量のみに基づいてアクティブロール制御を実行する場合のみならず、後に説明する推定ロールモーメント指標量と実ロールモーメント指標量との両者に基づいてアクティブロール制御を実行する態様も含まれる。具体的に言えば、例えば、実ロールモーメント指標量と推定ロールモーメント指標量との各々に重み付けをし、その重み付けをしたものを和したものに基づいてアクティブロール制御を実行する態様である。
(4)前記制御装置が、ロールモーメント指標量として横加速度を採用して制御を実行するものである(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
先に説明したように、横加速度は、比較的検出が容易であり、また、後に説明するように比較的容易に推定可能であることから、アクティブロール制御,アクティブロール制御の要・不要の判定が依拠するパラメータとして好適である。したがって、本項の態様によれば、簡便なロール抑制装置の制御が可能となる。
(5)前記アクティブ制御要・不要判定部が、
車両の状態がアクティブ制御不要状態からアクティブ制御必要状態へ移行したことを、操舵量に基づいて推定されるロールモーメント指標量である推定ロールモーメント指標量が前記設定閾量を超えたことにより認知して、車両の状態がアクティブ制御必要状態であると判定する必要状態移行判定部を有する(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項にいう「推定ロールモーメント指標量」は、操舵量に基づいて推定されるロールモーメント指標量である。ここでいう「操舵量」は、中立操舵位置(直進状態に対応する位置)からの偏差を意味する。操舵量は、ステアリングホイール等のステアリング操作部材の操作量であってもよく、転舵ロッドの位置等で指標される車輪の転舵量であってもよい。推定ロールモーメント指標量は、具体的には、車速センサ等によって検出された車両走行速度と、操舵量とに基づくことにより、容易に推定することが可能である。
推定ロールモーメント指標量は、車両の旋回状態を指標するものであることから、車両の旋回に起因するロールモーメントを比較的正確に表すものとなる。一方、実ロールモーメント指標量は、路面の凹凸等による影響によっても変化するため、必ずしも、車両の旋回状態を正確に反映するものとはならない。具体的に言えば、路面の凹凸等により高周波的なロールモーメントの変動をも含むものとなる。したがって、例えば、アクティブ制御不要状態を車両の直進状態あるいはそれに近い状態に設定するような場合には、実ロールモーメント指標量に基づいて、アクティブ制御不要状態からアクティブ制御必要状態への移行を認知する場合、正確な認知を行い得ない場合があり得る。本項に記載の態様は、そのような実情を考慮し、推定ロールモーメント指標量に基づいて上記移行を認知するようにされている。したがって、本項の態様によれば、その移行を比較的正確に認知することが可能となる。なお、本項に記載の態様は、推定ロールモーメント指標量にのみ基づいて、アクティブ制御不要状態からアクティブ制御必要状態への移行を認知するように構成されることが望ましい。
(6)前記アクティブ制御要・不要判定部が、
車両の状態がアクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態へ移行したことを、実際に車体が受けているロールモーメントを指標するロールモーメント指標量である実ロールモーメント指標量が設定時間連続して前記設定閾量以下となることにより認知して、車両の状態がアクティブ制御不要状態であると判定する不要状態移行判定部を有する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
先に説明したように、アクティブロール制御は、実ロールモーメント指標量に基づいて実行されるのが望ましい。しかし、実ロールモーメント指標量は、上述のように、必ずしも車両の旋回状態を正確に反映するものとはならない。したがって、例えば、アクティブ制御不要状態を車両の直進状態あるいはそれに近い状態に設定するような場合には、実ロールモーメント指標量に基づいて、アクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態への移行を認知する場合、正確な認知を行い得ないことがある。本項に記載の態様は、そのような実情に鑑み、所定時間アクティブ制御不要状態が継続した場合をもって、アクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態への移行を認知するようにされている。したがって、本項の態様によれば、路面の凹凸等の影響を排除して、確実に上記移行が認知できることになる。
(7)前記制御装置が、設定悪路走行条件を充足する場合に、前記設定閾量をそれの値が大きくなるように変更する設定閾量変更部を備えた(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
先に説明したように、路面の凹凸等によってもロールモーメントが変動するため、路面の凹凸が激しい悪路を車両が走行している状態では、効果的なアクティブロール制御が実行できない可能性がある。本項の態様では、悪路を走行していると判断される場合に、アクティブ制御不要状態の範囲を拡大するようにされており、そのことによって、効果的なアクティブロール制御を担保するものとされている。なお、先に説明したように、アクティブ制御不要状態においてモーメント非発生制御を実行するようにして、悪路走行時におけるアクティブ制御不要状態の範囲を拡大するようにすれば、悪路走行時の車両の乗り心地を向上させることが可能となる。
また、悪路を走行する場合には、大きな路面の凹凸等によって、ステアリング操作部材が勝手に操作されることも予想される。いわゆるハンドルがとられる状態である。例えば、先に説明したように、アクティブ制御必要状態への移行を推定ロールモーメント指標量によって判定するような場合においては、ハンドルがとられた状態では推定ロールモーメント指標量が変化することになる。そのため、アクティブ制御不要状態の範囲が狭い場合には、アクティブ制御必要状態の移行を正確に判定することが困難となる。したがって、本項の態様によれば、悪路走行においてアクティブ制御不要状態の範囲が拡大されることで、アクティブ制御必要状態への移行を正確に判定することが可能となる。
(8)前記ロール抑制装置が、両端部の各々が左右の車輪の各々に接続されるスタビライザバーと、そのスタビライザバーの剛性を自身の動作によって変化させるアクチュエータとを備え、前記制御装置が、そのアクチュエータの作動を制御するものである(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項の態様におけるロール抑制装置は、いわゆるアクティブスタビライザ装置と呼ぶことのできる装置であり、バウンシング,ピッチング等の制御とは別に車体のロール制御を行い得るため、本項の態様のサスペンションシステムは効果的なロール抑制制御が可能となる。本項の態様において採用可能なロール抑制装置は、その構成が特に限定されるものではない。例えば、「スタビライザバー」も、形状,構造等が特に限定されるものではなく、例えば、捩じられることによってロール抑制モーメントを発生させるような構造のものとすることが可能である。具体的には、アクチュエータを備えていない一般的なスタビライザ装置(以下、「コンベンショナルなスタビライザ装置」、あるいは、「コンベンショナル装置」という場合がある)が備えるスタビライザバーに類似する構造のものを採用することが可能であり、また、後に説明するように、そのコンベンショナル装置が備えるスタビライザバーが1対のスタビライザバー部材に分割され、その分割された1対の部材によって1つのスタビライザバーが構成されているような構造のスタビライザバーを採用することも可能である。また、「アクチュエータ」は、動作することによって、スタビライザバーを変位,変形させ、あるいは、何らかの力を作用させることで、スタビライザバーの剛性を変化させる構造のものとすることが可能である。ここでいう、「剛性」とは、例えば、捩り剛性を意味する(スタビライザバーが有する弾性力と考えることもできる)。また、「剛性を変化させる」とは、スタビライザバー自体の物性値としての剛性を変化させることを意味するのではなく、いわゆる見かけ上の剛性を変化させることを意味する。具体的に言えば、例えば、左右の車輪の各々に連結される(厳密には、サスペンションアーム等の車輪保持部材に連結される)両端部の各々の相対変位量と、発生させるロール抑制モーメントとの関係を変更することを意味する。詳しくは、車体のロール角がある角度となる場合においてスタビライザバーによって発生させられるロール抑制モーメントの大きさを変化させること、換言すれば、ある大きさのロール抑制モーメントが発生する場合における車体のロール角の大きさを変化させることを意味する。そのアクチュエータの配設箇所も特に限定されない。例えば、スタビライザバーが、先に説明したコンベンショナルシステムが備えるスタビライザバーに類似するものであれば、それの一方の端部と一方の車輪との間に配設し、その端部とその車輪との間隔を変化させるようにすることが可能である。また、スタビライザバーが、先に説明した1対のスタビライザバー部材を有するものである場合には、後に説明するように、それら1対のスタビライザバー部材の間に配設し、それらの相対回転角度を変化させるようにすることが可能である。
(9)前記スタビライザバーが、それぞれが、(A)車幅方向に延びて配設されたトーションバー部と、(B)そのトーションバー部の端部からトーションバー部と交差して延びて先端部が左右の車輪の一方に接続されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、前記アクチュエータが、動作することによってそれら1対のスタビライザバー部材のトーションバー部の相対回転角度を変更することで、前記スタビライザバーの剛性を変更するものである(8)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザバーの構造を具体的に限定し、また、そのスタビライザバーとアクチュエータとの関係を具体的に限定した態様であり、先に説明したコンベンショナル装置のスタビライザバーを分割したような態様の一態様である。本項に記載の態様によれば、アクディブロール制御を効果的に実行可能なスタビライザシステムが実現する。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<サスペンションシステムの全体構成>
図1に、本発明の一実施例である車両用サスペンションシステム10を概念的に示す。本サスペンションシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された2つのロール抑制装置14を含んで構成されている。ロール抑制装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16を保持する車輪保持部材(図2参照)に連結されたスタビライザバー20を備えている。そのスタビライザバー20は、中央部で分割されており、一対のスタビライザバー部材、すなわち右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを含む構成のものとされている。それら一対のスタビライザバー部材22,24がアクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されており、大まかに言えば、ロール抑制装置14は、アクチュエータ30が、左右のスタビライザバー部材22,24を相対回転させることによって(図の矢印,点線矢印を参照のこと)、スタビライザバー20全体の弾性力を変化させて車体のロール抑制を行う。つまり、本実施例においては、ロール抑制装置14は、いわゆるアクティブスタビライザ装置と呼ぶことのできる装置として構成されている。
図2には、一方のロール抑制装置14の車幅方向の中央から一方側の車輪16にかけての部分が概略的に示されている。本サスペンションシステム10が装備される車両は、それぞれが4つの車輪16の各々に対して設けられた4つの独立懸架式のサスペンション装置38を含んで構成されている。このサスペンション装置38は、一般によく知られたダブルウィシュボーン式のものであり、一端部が車体に回動可能に連結されるとともに他端部が車輪16に連結された車輪保持部材としてのアッパアーム42およびロアアーム44を備えている。それらアッパアーム42およびロアアーム44は、車輪16と車体との接近離間(相対的な上下動の意味)に伴い、上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体に対して上下させられる。また、サスペンション装置38は、ショックアブソーバ46と、サスペンションスプリング48(本装置では「エアばね」である)とを備えている。それらショックアブソーバ46およびスプリング48は、それぞれ、それらの一端部が車体側のマウント部に、他端部がロアアーム44に連結されている。このような構造から、サスペンション装置38は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させる機能を果たすものとなっている。
ロール抑制装置14は、先に説明した一対のスタビライザバー部材である右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを備える(図2には、右スタビライザバー部材22および左スタビライザバー部材24の一方が示されている)。各スタビライザバー部材22,24は、それぞれ、略車幅方向に延びるトーションバー部60と、トーションバー部60と一体化されてそれと交差して概ね車両前方あるいは後方に延びるアーム部62とに区分することができる。各スタビライザバー部材22,24のトーションバー部60は、アーム部62に近い箇所において、車体の一部であるロール抑制装置配設部64に固定的に設けられた支持部材66によって回転可能に支持され、互いに同軸に配置されている。それらトーションバー部60の端部(車幅方向における中央側の端部)の間には、上述のアクチュエータ30が配設されており、後に詳しく説明するが、各トーションバー部60の端部は、それぞれ、そのアクチュエータ30に接続されている。一方、アーム部62の端部(トーションバー部60側とは反対側の端部)は、上述のロアアーム44に設けられたスタビライザバー連結部68に、それと相対回転可能に連結されている。
アクチュエータ30は、図3に模式的に示すように、電動モータ70と、電動モータ70の回転を減速する減速機72とを含んで構成されている。これら電動モータ70および減速機72は、アクチュエータ30の外殻部材であるハウジング74内に設けられている。ハウジング74は、ハウジング保持部材76によって、回転可能かつ軸方向(略車幅方向)に移動不能に、車体に設けられたロール抑制装置配設部64に保持されている。図2から解るように、ハウジング74の両端部の各々には、2つの出力軸80,82の各々が延び出すように配設されている。それら出力軸80,82のハウジング74から延び出した側の端部が、それぞれ、各スタビライザバー部材22,24の端部と、セレーション嵌合によって相対回転不能に接続されている。また、図3から解るように、一方の出力軸80は、ハウジング74の端部に固定して接続されおり、また、他方の出力軸82は、ハウジング74内に延び入る状態で配設されるとともに、ハウジング74に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。その出力軸82のハウジング74内に存在する一方の端部が、後に詳しく説明するように、減速機72に接続されている。
電動モータ70は、ハウジング74の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のステータコイル84と、ハウジング74に回転可能に保持された中空状のモータ軸86と、モータ軸86の外周においてステータコイル84と向きあうようにして一円周上に固定して配設された永久磁石88とを含んで構成されている。電動モータ70は、ステータコイル84がステータとして機能し、永久磁石88がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。
減速機72は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)90,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)92およびリングギヤ(サーキュラスプライン)94を備え、ハーモニックギヤ機構(ハーモニックドライブ機構(登録商標),ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構等とも呼ばれる)として構成されている。波動発生器90は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボール・ベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸86の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ92は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯が形成されている。このフレキシブルギヤ92は、先に説明した出力軸82に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、出力軸82は、モータ軸86を貫通しており、それから延び出す端部にフレキシブルギヤ92の底部が固着されることで、フレキシブルギヤ92と出力軸82とが接続されているのである。リングギヤ94は、概してリング状をなして内周に複数(フレキシブルギヤの歯数よりやや多い数、例えば2つ多い数)の歯が形成されたものであり、ハウジング74に固定されている。フレキシブルギヤ92は、その周壁部が波動発生器90に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ94と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。波動発生器90が1回転(360度)すると、つまり、電動モータ70のモータ軸86が1回転すると、フレキシブルギヤ92とリングギヤ94とが、それらの歯数の差分だけ相対回転させられる。ハーモニックギヤ機構はその構成が公知のものであることから、本減速機72の詳細な図示は省略し、説明はこの程度の簡単なものに留める。
以上の構成から、電動モータ70が回転させられる場合、つまり、アクチュエータ30が作動する場合に、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とが相対回転させられ(詳しくは、それらの各トーションバー部60が相対回転させられ)、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とによって構成された1つのスタビライザバー20が、捩じられることになるのである。この捩りにより生じる力は、左右の各々の車輪16と車体とを接近あるいは離間させる力として作用することになる。つまり、本ロール抑制装置14では、アクチュエータ30の作動によって、スタビライザバー20の弾性力,すなわち,剛性を変化させるような構成の装置とされているのである。
なお、アクチュエータ30には、ハウジング74内に、モータ軸86の回転角度、すなわち、電動モータ70の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ100が設けられている。モータ回転角センサ100は、本アクチュエータ30ではエンコーダを主体とするものであり、それによる検出値は、電動モータ70の通電相の切換に利用されるとともに、左右のスタビライザバー部材22,24の相対回転角度(相対回転位置)を指標するものとして、言い換えれば、アクチュエータ30の動作量を指標するものとして、アクチュエータ30の制御、つまり、ロール抑制装置14によるアクティブロール制御に利用される。
アクチュエータ30が備える電動モータ70には、制御電源から電力が供給される。本サスペンションシステム10には、図1に示すように、バッテリ102と、そのバッテリ102に接続された2つのインバータ104とが設けられている。インバータ104は駆動回路として機能するものであり、2つのロール抑制装置14の各々が有する電動モータ70には、2つのインバータ104の各々から電力が供給される。つまり、バッテリ102と、1つのインバータ104とによって、各電動モータ70の制御電源が構成されているのである。なお、電動モータ70は定電圧駆動され、電動モータ70の出力は、それに供給される電流を変更することによって行われる。ちなみに、供給電流は、インバータ104が、PWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(Duty比)を変更することによって行われる。
本サスペンションシステム10は、図1に示すように、ロール抑制装置14、詳しくは、アクチュエータ30の作動を制御する制御装置である電子制御ユニット110(以下、単に「ECU110」という場合がある)を備えている。そのECU110は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されており、ECU110には、上記モータ回転角センサ100とともに、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ120,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ122,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ124,および,車体に実際に発生する縦加速度である実縦加速度を検出する縦加速度センサ126が接続されている。(図1では、それぞれ「θ」,「δ」,「v」,「Gyr」,「Gt」と表されている)。また、ECU110は、インバータ104にも接続され、ECU110は、インバータ104を制御することで、アクチュエータ30の作動を制御するものとされている。ECU110のコンピュータが備えるROMには、後に説明するロール抑制制御プログラム等のプログラム、ロール抑制装置14の制御に関する各種のデータ等が記憶されている。
なお、本サスペンションシステム10は、前輪側,後輪側の2つのロール抑制装置14を備えており、それらの2つのロール抑制装置14は、設定されたロール剛性配分に従ってそれぞれが個別に制御され、その個々の制御下において、それぞれが所定のロール抑制モーメントを発生させることになるが、ここからの説明では、特に断りのない限り、説明の単純化に配慮して、2つのロール抑制装置14を同一構成のものとして扱い、また、それらを一元化して扱うこととする。
<ロール抑制制御>
上述したような構成から、本ロール抑制装置14は、旋回時等において車体に発生するロールを抑制することが可能とされている。具体的には、車体に発生するロールモーメントを指標する値であるロールモーメント指標量としての横加速度に基づいて、ロール抑制のための制御であるロール抑制制御を実行することにより、車体のロールを抑制するようにされている。本ロール抑制制御では、横加速度の変化に応じてアクティブにロール抑制を行うアクティブロール制御を行う場合に、応答性の良好な制御なされるようにされている。つまり、比較的小さな横加速度の変化に対しても追従した制御が行われる。そのようなアクティブロール制御が常に実行されれば、車両の直進時において、過度な制御がなされることとなる。そこで、本ロール抑制装置14は、車両直進時に発生する比較的小さな横加速度に対しては、アクティブロール制御を行わないようにされている。大まかに言えば、横加速度が比較的大きい場合に、車両の状態がアクティブロール制御を必要とするアクティブ制御必要状態であると認定してアクティブロール制御を実行し、横加速度が比較的小さい場合に、アクティブロール制御が必要でないアクティブ制御不要状態であると認定してロール抑制モーメントを発生させないモーメント非発生制御を実行する。本実施例においては、ロール抑制制御は、それらアクティブロール制御とモーメント非発生制御とのいずれかを選択的に実行することにより行われる。
i)アクティブロール制御
アクティブロール制御は、本実施例においては、車両に実際に発生する実ロールモーメント指標量の一種である実横加速度Gyrに基づいて実行される。アクティブロール制御は、その具体的な制御方法は特に限定されるものではないが、本アクティブロール制御では、アクチュエータ30の回転角(1対のスタビライザバー部材22,24の相対回転角)、すなわち、電動モータ70の回転角θを制御する回転角制御を採用している。簡単に説明すると、回転角制御が実行されれば、横加速度センサ124の検出値に基づいて、実横加速度Gyrが取得され、その実横加速度Gyrに基づいて、電動モータ70の目標回転角θ*が決定される。モータ回転角センサ100の検出値に基づいて現在のモータ回転角θが取得され、上述の目標回転角θ*と、目標回転角θ*とモータ回転角θとの偏差である回転角偏差Δθとに基づいて、電動モータ70に供給する目標供給電流i*が決定される。その目標供給電流i*が電動モータ70に供給されることにより、電動モータ70が回転させられ、その回転に応じてアクチュエータ30が左右のスタビライザバー部材22,24を相対回転させるように作動させられる。そのことにより、車体に生じるロールモーメントを抑制するロール抑制モーメントが発生させられる。なお、本アクティブロール制御では、目標回転角θ*は、実横加速度Gyrと目標回転角θ*とが関係づけられたマップデータを参照して決定するようにされている。ちなみに、目標回転角θ*は、アクチュエータ30の相対回転角に一義的に対応する値であって、アクチュエータ30の中立状態(ロールモーメントとロール抑制モーメントとがともに発生していない状態)に対応する位相を初期位相として、その初期位相から累積された回転角を示すものとされている。
実横加速度Gyrは、実際に車両が受けている実ロールモーメントを指標するものであることから、実横加速度Gyrにのみ基づいてアクティブロール制御を実行すれば、効果的に車体のロールを抑制することが可能である。なお、アクティブロール制御は、実横加速度Gyrと、車速vおよび操作角δに基づいて推定される推定横加速度Gyc(推定ロールモーメント指標量の一種である)との両方に基づいて実行することとしてもよい。例えば、次式のように表すことができる制御横加速度G*に基づいてアクティブロール制御を実行することも可能である。
G*=KrGyr+KcGyc
ただし、Kr,Kcは適当なゲインであり、効果的に車体のロールを抑制するために、推定横加速度GycのゲインKcはあまり大きくしないことが望ましい。
ii)モーメント非発生制御
モーメント非発生制御が実行されれば、インバータ104の有するスイッチング素子の切り換えによって、電動モータ70の入力線とインバータ104との電気的接続が遮断され、電動モータ70の各相がオープンな状態とされて、スタビライザバー20によるロール抑制モーメントがほとんど発生させられない状態となる。この状態においては、例えば、車両の片輪乗り上げ等の逆入力に対して左右の側の独立性が担保され、車両の乗り心地、特に悪路走行等における車両の乗り心地を向上させることができる。
<アクティブ制御要・不要判定>
アクティブ制御必要状態であるかアクティブ制御不要状態であるかの判定は、車両に生じる横加速度に基づいて行われる。以下、車両の典型的な旋回運動におけるアクティブ制御要・不要判定を例として説明する。旋回運動において横加速度は、理想的には、車両が旋回を開始する以前の直進状態の間はほとんど0であり、旋回を開始するとともに増加を開始して、その後適切な時期に切り戻し操作されることにより減少を開始して、再び直進状態に戻ればほとんど0の状態に戻る。このような知見に基づいて、車両が直進またはほぼ直進している間、即ち、横加速度が予め設定された設定横加速度(ロールモーメント指標量の設定閾量の一種である)以下である間は、アクティブ制御不要状態であると認知される。そして、車両が旋回を開始して、横加速度が設定横加速度を超えれば、アクティブ制御不要状態からアクティブ制御必要状態に移行したと判定する必要状態移行判定が行われる。その後、切戻し操作を経て車両が直進状態に戻される過程において、横加速度が減少して設定横加速度以下となれば、アクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態に移行したと判定する不要状態移行判定が行われる。なお、この判定は横加速度が一定期間連続して設定横加速度以下である場合にのみアクティブ制御不要状態に移行したと判定する。以下、図に基づいてさらに詳細に説明する。
図4に、旋回時における車両の(a)実横加速度Gyr,(b)推定横加速度Gyc,(c)目標回転角θ*,および,(d)ロール抑制モーメントIsの時間変化をそれぞれ示す。図に示すように、実横加速度Gyrは、車両の旋回状態に応じて大きく変動するとともに、路面の凹凸等に起因する高周波的な変化をも含んで小さく変動する。上述のように、車両直進時においてそのような実横加速度Gyrの変化に応じたアクティブロール制御を実行する必要はないので、小さな横加速度の範囲において、横加速度を感知しない制御とするための不感帯が設定されている。この不感帯は、通常の路面を直進するかまたは直進に近い状態で走行する場合に、路面の凹凸によって生じると想定される実横加速度Gyrの変動の振幅よりわずかに大きい幅に設定され、横加速度Gyが0の状態を中心として、車両の左右のいずれの向きについても均等な大きさに設定されている。この不感帯の閾値が、アクティブ制御必要状態であるかアクティブ制御不要状態であるかを判定する設定閾値としての設定横加速度G0とされている。なお、以下の説明において用いられる横加速度G(実横加速度Gyrおよび推定横加速度Gycを含む)、ステアリングホイールの操作角δは、厳密には、発生する方向,操作の方向によって符号(±)が異なるが、説明を簡素化するために、特に断りのない限り、いずれの方向においても+の値とする。
i)必要状態移行判定
必要状態移行判定は、推定横加速度Gycに基づいて行われる。推定横加速度Gycについても上記設定横加速度G0が適用され、図4(b)に示すように、推定横加速度Gycが設定横加速度G0を超えた場合に、即ち時刻t1において、アクティブ制御不要状態からアクティブ制御必要状態に移行したと判定される。推定横加速度Gycは、車両の旋回状態を指標するものであることから車両の旋回に起因するロールモーメントを比較的正確に表すものとなる。それに対して実横加速度Gyrは、図4(a)に示すように、路面の凹凸等による影響によって高周波的な変動を伴うので、実横加速度Gyrの値に基づいて、必要状態移行判定を行う場合には、アクティブ制御必要状態に移行したことを正確に認知し得ない可能性がある。それに対して、本実施例においては、推定横加速度Gycに基づいてアクティブ制御必要状態への移行を認知するので、比較的正確に認知することが可能となる。
時刻t1において、必要状態移行判定が行われれば、アクティブロール制御が開始される。図4(c)に示すように、電動モータ70の目標回転角θ*が実横加速度Gyrに基づいて決定され、アクチュエータ30が作動されることにより、図4(d)に示すように、ロール抑制モーメントIsが発生させられる。ここで、図に示すロール抑制モーメントIsは、供給電流i*が供給された場合に発生すると考えられる理想的な制御目標値ではなく、スタビライザバー20によって実際に発生させられる値を示す。ロール抑制モーメントIsは、実際には、電動モータ70の作動による遅れのために、電動モータ70が目標回転角θ*まで回転させられないことから、制御目標値に比較して緩やかに変化する値となる。特に、モーメント非発生制御からアクティブロール制御に移行した直後においては、現在の電動モータ70の回転角θと、目標回転角θ*との偏差が大きい場合があり、制御目標値と実際に発生するロール抑制モーメントIsとの差が大きくなることが考えられるが、そのような差は、旋回初期であってロールモーメントが比較的小さい期間に解消されるので、乗り心地に大きな影響はないと考えられる。また、アクティブロール制御が開始された場合は、既に比較的大きなロールモーメントを受けているため、実横加速度Gyrの高周波的な変化に基づく比較的小さなロール抑制モーメントの変化は、乗員に体感され難く、乗り心地を損なう程のことはない。
ii)不要状態移行判定
不要状態移行判定は、実横加速度Gyrに基づいて行われる。具体的には、実横加速度Gyrが一定期間連続して設定横加速度G0以下である場合(不感帯の範囲内にある場合に)に、アクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態に移行したと判定される。図4に示すように、実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下となった時刻、例えば時刻t2において、実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下である期間の測定が開始される。そして、予め設定された設定時間Δtの間、連続して実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下である場合にのみ、アクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態に移行したと判定される。即ち、時刻t2から設定時間Δtだけ経過した時刻t3において、不要状態移行判定が行われる。言い換えれば、時刻t3を経過する前に実横加速度Gyrが再び設定横加速度G0を超えた場合には、アクティブ制御不要状態に移行したとは認知されず、アクティブ制御必要状態であると認知され、アクティブロール制御が継続して実行される。上述のように実横加速度Gyrは、必ずしも車両の旋回状態を正確に反映するものとはならず、アクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態への移行を認知する場合、正確な認知を行い得ないことがある。そのような実状に鑑み、設定時間Δtの間連続して実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下である場合をもって、不要状態移行判定を行うこととされているのである。そのことにより、路面の凹凸等の影響を排除して、確実にアクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態への移行を認知することができる。ここで、時刻t2は、アクティブ制御不要状態に移行する直前の状態であって、実横加速度Gyrが連続して設定横加速度G0以下である状態を開始した時刻といえるが、この開始時刻は、実際には不要状態移行判定が行われる時刻t3を経過することにより、事後的に認定される時刻となる。
時刻t3において、不要状態移行判定が行われれば、アクチュエータ30のロール抑制制御がアクティブロール制御からモーメント非発生制御に切り換えられる。そのため、図に示すように、ロール抑制モーメントIsが発生させられなくなるが、車両が直進状態であるので、乗り心地に大きな影響はない。
ここで、実横加速度Gyrの代わりに推定横加速度Gycに基づいて、推定横加速度Gycが設定横加速度G0以下となった時点で不要状態移行判定を行うと仮定する。上述の典型的な旋回運動においてはそのような判定を行っても不都合は生じなさそうである。しかし、例えば、車両がスラローム走行(左右の一方に操舵した状態と他方に操舵した状態とが連続するような操舵操作の下での走行)を行っている場合等、実横加速度Gyrおよび推定横加速度Gycが、一時的に設定横加速度G0以下となっても、すぐに、操舵方向における反対側に設定された設定横加速度G0を越える場合があり、そのような場合には、それら横加速度Gyr,Gycが設定横加速度G0以下である期間においても、継続してアクティブロール制御を実行することが望ましいと考えれる。本ロール抑制制御では、そのような場合を考慮して、実横加速度Gyrが一定期間連続して設定横加速度以下となった場合にのみ不要状態移行判定を行うようにされている。
図5に、スラローム走行をしている場合の車両の(a)実横加速度Gyr,(b)推定横加速度Gyc,(c)目標回転角θ*,および,(d)ロール抑制モーメントIsの時間変化をそれぞれ示す。スラローム走行においては、左旋回(右旋回)と右旋回(左旋回)とが連続して行われ、それらの旋回の変わり目において、一時的に実横加速度Gyrと推定横加速度Gycとがそれぞれ設定横加速度G0以下となる期間がある(図5(a)および(b)参照)。しかし、実横加速度Gyrおよび推定横加速度Gycが、設定横加速度G0以下となる期間(具体的には、実横加速度Gyrが時刻t4において設定横加速度G0以下となってから、時刻t5において推定横加速度Gycが設定横加速度G0を超えるまでの期間)に、モーメント非発生制御を行うと仮定すれば、図5(c)に破線150で示すように、アクティブロール制御とモーメント非発生制御との切り換え時(時刻t4およびt5)において、目標回転角θ*が急激に変化することとなる。そのことにより、時刻t4から時刻t5の期間は、図5(d)に破線152示すように、その期間を通してロール抑制モーメントIsが概して0となるとともに、時刻t4と時刻t5との間に比較的大きなロール抑制モーメントIsのギャップが存在することになって、乗員が違和感を感じる可能性が高くなる。それに対して、本ロール抑制制御においては、実横加速度Gyrが一時的に設定横加速度G0以下となっても、設定期間Δtを経過するまではアクティブ制御必要状態であると認定してアクティブロール制御を続行することとし、設定期間Δtの間連続して実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下となった場合にのみ、制御不要状態に移行したと判定することによって、ロール抑制モーメントIsが比較的滑らかに変化させられるのである。
<設定横加速度の変更>
以上、路面の状態が一定の水準を維持している場合について説明を行ったが、実際には路面の凹凸が激しい悪路を走行する場合もあり得る。図6に、車両が通常の路面から悪路に進入した場合の(a)推定横加速度Gycと、(b)悪路判定の時間変化をそれぞれ示す。上述のように路面の凹凸等によって実横加速度Gyrが変化させられ、悪路を走行する場合には、その変化の振幅が大きくなる傾向がある。さらに、悪路を走行している場合には、図6(a)に示すように推定横加速度Gycも路面の凹凸等によって変動する場合がある。具体的には、例えば、車輪が路面の隆起に乗り上げたり、窪みに落ち込んだりする際に車輪が回動させられることによって(いわゆるハンドルが取られる状態)、また、その回動に対する乗員の操舵操作によって、操作角δが変化し、その操作角δの変化に対応して推定横加速度Gycが変化するのである。そのように実横加速度Gyrと推定横加速度Gycとが比較的大きく変化している状態では、効果的なアクティブロール制御が実行できない可能性がある。そのため、本ロール抑制制御においては、図6(b)に示すように、予め設定された設定悪路走行条件を充足し、悪路を走行していると判定された場合(時刻t6)には、不感帯の幅を大きくすることにより、即ち、設定横加速度G0の値を大きくすることにより、必要以上にアクティブロール制御が実行されることを回避するようにされている。具体的に言えば、図6(a)に示すように、通常の路面を走行している場合(悪路を走行していないと判定された場合)には、設定横加速度G0が第1設定横加速度G1に設定され、悪路を走行していると判定された場合には、第1設定横加速度G1より大きい第2設定横加速度G2に設定されるのである。設定悪路走行条件は、特に限定されるものではないが、本ロール抑制制御では、車体における各車輪のマウント部に実際に生じている縦加速度Gtの変動に基づいて、悪路を走行しているか否か判定されるようにされている。この縦加速度Gtに基づく悪路判定については、既に良く知られているため、ここでの説明を省略する。
<ロール抑制制御の制御フロー>
先に説明したように、本ロール抑制装置14では、横加速度Gに基づいて、アクティブロール制御とモーメント非発生制御とのいずれかを選択、つまり、それら制御の切り換えを伴うロール抑制制御が行われる。このロール抑制制御は、以下、図7にフローチャートを示すロール抑制制御プログラムが、ECU110によって、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数m〜数十msec)をおいて繰り返し実行されることによって行われる。以下に、ロール抑制制御の制御フローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
まず、ステップS1(以下、単にS1と称する。他のステップについても同じ)ないしS4において、操作角δと車速vと実横加速度Gyrと縦加速度Gtとがそれぞれ、各センサ120,122,124,126の検出値に基づいて取得される。次にS5において、操作角δと車速vとに基づいて推定横加速度Gycが推定される。
続くS6ないしS8において、上記縦加速度Gtに基づいて悪路判定が実行され、その判定結果に基づいて設定横加速度G0の大きさが設定される。具体的には、悪路を走行中でないと判定されれば、S7に進んで、設定横加速度G0が第1設定横加速度G1に設定される。それに対して、悪路を走行中であると判定されれば、S8に進んで設定横加速度G0が第1設定横加速度G1より大きい第2設定横加速度G2に設定される。説明を繰り返すが、悪路を走行していると判定された場合には、不感帯を大きくして路面の凹凸等に起因する横加速度Gの変化に追従してアクティブロール制御を実行しないようにするのである。
次にS9において、アクティブロール制御中であるか否かが、アクティブロール制御フラグFに基づいて判定される。アクティブロール制御フラグFは、1でアクティブロール制御中(即ち、アクティブ制御必要状態)であることを示し、0(初期値)でモーメント非発生制御中(即ち、アクティブ制御不要状態)であることを示す。今回のプログラムの実行においてアクティブロール制御中である場合には、S10に進んで、実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下であるか否かが判定される。実横加速度Gyrが設定横加速度G0以下である場合には、S11に進んで、カウンタCの値に1が加算される。カウンタCは初期値が0に設定されており、アクティブロール制御中に実横加速度Gyrが連続して設定横加速度G0以下となった期間の長さを示す値であって、実横加速度Gyrが連続して設定横加速度G0以下である間は本プログラムが実行される毎に1ずつ増加させられる値とされている。次にS12において、カウンタCが設定値C0以上であるか否かが判定される。設定値C0は本プログラムが設定期間Δt(本ロール抑制制御においては1secとされているが、他の適当な値であってもよい)の間に繰り返し実行される実行回数に対応して設定されている。カウンタCが設定値C0以上となった場合、即ち、アクティブロール制御中であって実横加速度Gyrが設定期間Δt以上連続して設定横加速度G0以下である場合には、アクティブロール制御からモーメント非発生制御に切り換えられる。S13に進んでアクティブロール制御フラグFが0にリセットされて、S14においてモーメント非発生制御が実行される。モーメント非発生制御は、先に説明したように、アクチュエータ30の逆入力による回転を許容すべく、電動モータ70の各相の入力線とインバータ104との電気的接続を遮断する制御であり、具体的には、インバータ104のスイッチング素子をオフ状態とする旨の指令が送信される。S14の処理が実行された後、本プログラムの1回の実行が終了する。
それに対して、今回のプログラムの実行時に、アクティブロール制御中であって、S10において、実横加速度Gyrが設定横加速度G0より大きいと判定されれば、アクティブロール制御が引き続き実行される。即ち、S15に進んでカウンタCが0にリセットされ、次にS16に進んでアクティブロール制御が実行される。本プログラムにおいては、アクティブロール制御を実行する毎に、カウンタCの値が0に戻されるようにされている。アクティブロール制御は、具体的には、今回のプログラムの実行において取得された実横加速度Gyrに基づいて目標供給電流i*が決定され、その目標供給電流i*の値がインバータ104に指令値として送信される。このような処理の後、本プログラムの1回の実行が終了する。
一方、S9の判定において、アクティブロール制御中でない場合、即ちモーメント非発生制御中である場合には、S17に進んで推定横加速度Gycが設定横加速度G0を超えたか否かが判定される。推定横加速度Gycが設定横加速度G0以下である場合には、S14に進んで引き続きモーメント非発生制御が実行される。
それに対して、S17において、推定横加速度Gycが設定横加速度G0を超えていると判定されれば、S18に進んでアクティブロール制御フラグFが1とされる。次にS15においてカウンタCの値が0に戻され、S16に進んでアクティブロール制御が実行される。以上で本プログラムの1回の実行が終了する。
<スタビライザ電子制御装置と機能構成>
以上のようなロール抑制制御プログラムが実行されて機能する本車両用サスペンションシステム10の制御装置であるECU110は、その実行処理に依拠すれば、図8に示すような機能構成を有するものと考えることが可能である。その機能構成によれば、ECUは、上記S6ないしS8の処理を実行する機能部として、設定閾量変更部200を、S17の処理を実行する機能部として、必要状態移行判定部202を、S10ないしS12の処理を実行する機能部として、不要状態移行判定部204を、S14の処理を実行する機能部として、モーメント非発生制御部206を、S16の処理を実行する機能部として、アクティブロール制御部208を、それぞれ備えるものとされている。また、必要状態移行判定部202と不要状態移行判定部204とを含んで、アクティブ制御要・不要判定部210が構成されている。
実施例のサスペンションシステムの全体構成を示す模式図である。 図1のサスペンションシステムが備えるロール抑制装置を示す概略図である。 図1のロール抑制装置を構成するアクチュエータを示す概略断面図である。 車両が一方向に旋回した場合の(a)実横加速度Gyr,(b)推定横加速度Gyc,(c)目標回転角θ*,および,(d)ロール抑制モーメントIsのそれぞれの時間変化を示すグラフである。 車両がスラローム走行を行った場合の(a)実横加速度Gyr,(b)推定横加速度Gyc,(c)目標回転角θ*,および,(d)ロール抑制モーメントIsのそれぞれの時間変化を示すグラフである。 車両が悪路に侵入した場合の(a)推定横加速度および(b)悪路判定のそれぞれの時間変化を示すグラフである。 ロール抑制制御を実行するためのロール抑制制御プログラムを示すフローチャートである。 上記ロール抑制制御プログラムが実行される場合における電子制御装置の機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:車両用サスペンションシステム 14:スタビライザ装置(ロール抑制装置) 20:スタビライザバー 22:右スタビライザバー部材 24:左スタビライザバー部材 30:アクチュエータ 70:電動モータ 72:減速機 100:モータ回転角センサ 110:電子制御ユニット(制御装置) 120:操作角センサ 122:車速センサ 124:横加速度センサ 126:縦加速度センサ 200:設定閾量変更部 202:必要状態移行判定部 204:不要状態移行判定部 206:モーメント非発生制御部 208:アクティブロール制御部 210:アクティブ制御要・不要判定部

Claims (4)

  1. 車両の旋回によって車体が受けるロールモーメントに対抗するロール抑制モーメントを発生させ、車体のロールを抑制するロール抑制装置と、
    そのロール抑制装置の作動を制御することによって、車体が受けるロールモーメントを指標するロールモーメント指標量の変化に応じてそのロール抑制装置が発生するロール抑制モーメントを変化させるアクティブロール制御を実行する制御装置と
    を含んで構成される車両用サスペンションシステムであって、
    前記制御装置が、
    車両の状態が、車体が受けるロールモーメントが比較的小さい状態であってアクティブロール制御を要しない状態であるアクティブ制御不要状態と、車体が受けるロールモーメントが比較的大きい状態であってアクティブロール制御を要する状態であるアクティブ制御必要状態とのいずれであるかを、ロールモーメント指標量が設定閾量を超えたか否かに基づいて判断するアクティブ制御要・不要判定部を備え、
    そのアクティブ制御要・不要判定部の判定結果に基づいて、車両の状態がアクティブ制御必要状態である場合に、アクティブロール制御を実行するように構成された車両用サスペンションシステム。
  2. 前記アクティブ制御要・不要判定部が、
    車両の状態がアクティブ制御不要状態からアクティブ制御必要状態へ移行したことを、操舵量に基づいて推定されるロールモーメント指標量である推定ロールモーメント指標量が前記設定閾量を超えたことにより認知して、車両の状態がアクティブ制御必要状態であると判定する必要状態移行判定部を有する請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. 前記アクティブ制御要・不要判定部が、
    車両の状態がアクティブ制御必要状態からアクティブ制御不要状態へ移行したことを、実際に車体が受けているロールモーメントを指標するロールモーメント指標量である実ロールモーメント指標量が設定時間連続して前記設定閾量以下となることにより認知して、車両の状態がアクティブ制御不要状態であると判定する不要状態移行判定部を有する請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  4. 前記制御装置が、設定悪路走行条件を充足する場合に、前記設定閾量をそれの値が大きくなるように変更する設定閾量変更部を備えた請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
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