JP2007186010A - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子制御ブレーキシステムにおいて低コストの圧力保持弁を使用した場合の圧力漏れを回避する技術を提供する。
【解決手段】本発明のブレーキ制御装置において、作動制御手段102は、アキュムレータの圧力が上限値と下限値とで定められる設定圧力範囲内となるようにポンプのモータ36aを制御する。状態取得手段100は、電圧計81および温度計91から圧力保持弁の状態値を取得する。ポンプ作動条件設定手段104は、圧力保持弁が所定の状態にある場合に、アキュムレータの設定圧力範囲の上限値を、圧力保持弁がおかれた状態における保持可能圧力値を超えないように設定する。
【選択図】図3
【解決手段】本発明のブレーキ制御装置において、作動制御手段102は、アキュムレータの圧力が上限値と下限値とで定められる設定圧力範囲内となるようにポンプのモータ36aを制御する。状態取得手段100は、電圧計81および温度計91から圧力保持弁の状態値を取得する。ポンプ作動条件設定手段104は、圧力保持弁が所定の状態にある場合に、アキュムレータの設定圧力範囲の上限値を、圧力保持弁がおかれた状態における保持可能圧力値を超えないように設定する。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両用のブレーキ制御装置に関し、特にホイールシリンダの圧力を制御する圧力保持弁を備えたブレーキ制御装置に関する。
近年、車両における制動装置として、車両の走行状況に応じて最適な制動力を車両に与えるよう各車輪の制動力を制御する電子制御ブレーキシステムが多く採用されている。このような電子制御ブレーキシステムは、各車輪に設けられたホイールシリンダに供給する作動液の圧力エネルギを蓄えるアキュムレータと、ホイールシリンダとアキュムレータの間に設けられてホイールシリンダの圧力を制御する圧力保持弁(バルブ)とを備えて構成される。圧力保持弁が所期の圧力保持性能を発揮することでホイールシリンダ圧を適切に制御できるが、圧力保持弁に圧力漏れが生じる場合には、制動力を適切に制御することが困難となる。たとえば特許文献1では、液圧源に連通する第1の系統と液圧源に連通する第2の系統との間に設けられた分離弁の漏れを検出するブレーキ液圧制御装置が提案されている。
特開平11−115740号公報
電子制御ブレーキシステムは、車輪ごとのブレーキ圧制御を実現するために、作動液の流路中に複数の弁を設けている。このとき、低コスト化の観点から安価な弁を使用できればよいが、その場合に弁の圧力保持性能が低下することがある。圧力保持弁の保持性能が低下すると、たとえばホイールシリンダ圧の減圧中に、液圧源からの圧力が、閉弁している圧力保持弁から漏れて、ホイールシリンダ圧に影響を与えることがある。そのため圧力保持弁の圧力漏れは、できるだけ低減することが好ましい。特許文献1は、弁の圧力漏れを検出する技術を開示しているが、圧力漏れそのものを低減させることを意識したものではない。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧力保持弁の圧力漏れを低減する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、複数の車輪のそれぞれに設けられるホイールシリンダと、ホイールシリンダへ供給する作動液の圧力エネルギを蓄える蓄圧手段と、蓄圧手段の作動液圧を増圧するポンプと、蓄圧手段の圧力が上限値と下限値とで定められる設定圧力範囲内となるようにポンプの作動を制御する作動制御手段と、ホイールシリンダの圧力を制御する圧力保持弁と、圧力保持弁の状態値を取得する状態取得手段と、圧力保持弁が所定の状態にある場合に、蓄圧手段の設定圧力範囲を、圧力保持弁の保持可能圧力値に基づいて設定するポンプ作動条件設定手段とを備える。
この態様によると、圧力保持弁の状態に応じて、蓄圧手段の設定圧力範囲を保持可能圧力値に基づいて設定するため、圧力保持弁の動作特性を加味して蓄圧手段の圧力を制御することが可能となる。
ポンプ作動条件設定手段は、蓄圧手段の設定圧力範囲の上限値を、圧力保持弁がおかれている状態における保持可能圧力値を超えないように設定することが好ましい。蓄圧手段の圧力の上限値が圧力保持弁の保持可能圧力値を超えないように制御することで、圧力保持弁の閉弁時に蓄圧手段からの圧力が漏れるのを抑止できる。また、圧力保持弁のおかれている状態を監視することで、圧力保持弁の環境変化などにも対応可能な蓄圧手段の圧力制御を実現できる。
状態取得手段は、圧力保持弁の温度を取得し、ポンプ作動条件設定手段は、取得した温度に基づいて、蓄圧手段の設定圧力範囲を設定してもよい。圧力保持弁の電磁吸引力は温度によって変化するため、圧力保持弁の状態値として温度を監視することで、蓄圧手段の設定圧力範囲を適切に設定することができる。なお、ポンプ作動条件設定手段は、設定圧力範囲の上限値を、取得した温度が所定温度より高い場合に、所定温度より低い場合と比較して小さくしてもよい。高温下では圧力保持弁の電磁吸引力が低下するため、蓄圧手段の圧力の上限値を小さくすることで、設定圧力範囲を適切に設定することができる。
状態取得手段は、電源より圧力保持弁に印加される電圧値を取得し、ポンプ作動条件設定手段は、取得した電圧値に基づいて、蓄圧手段の設定圧力範囲を設定してもよい。圧力保持弁の電磁吸引力は印加電圧によって変化することがあるため、圧力保持弁の状態値として印加電圧値を監視することで、蓄圧手段の設定圧力範囲を適切に設定することができる。ポンプ作動条件設定手段は、設定圧力範囲の上限値を、取得した電圧値が所定の電圧値よりも低い場合に、所定の電圧値より高い場合と比較して小さくしてもよい。低電圧が印加された状態では圧力保持弁の電磁吸引力が低下するため、蓄圧手段の圧力の上限値を小さくすることで、設定圧力範囲を適切に設定することができる。
ポンプ作動条件設定手段は、複数の上限値の中から、取得した電圧値に応じて上限値を選択してもよい。これにより、きめ細かな圧力制御を実現できる。作動制御手段は、蓄圧手段の圧力が設定圧力範囲の下限値より低くなるとポンプの作動を開始し、上限値より高くなるとポンプの作動を停止してもよい。圧力保持弁は、常開型電磁弁であってもよい。
本発明のブレーキ制御装置によれば、圧力保持弁からの圧力漏れを効果的に低減することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。実施例に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。実施例における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
図1は、本発明の実施例に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。実施例に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。実施例における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
ブレーキ制御装置20は、図1に示されるように、車輪(図示せず)ごとに設けられた制動力付与機構としてのディスクブレーキユニット21FR、21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット10と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40と、制動制御を実行するブレーキECU70とを含む。
ディスクブレーキユニット21FR、21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。マニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット10は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動液としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット10から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット10、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、実施例においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、4つの車輪すべて、または2つの後輪に、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。この場合、ホイールシリンダ圧が増圧されると、車輪と共に回転する回転体としてのドラムに、摩擦部材としてのライニングがブレーキシューとともに、ホイールシリンダ圧に応じて押圧される。これによって、車輪に制動力が与えられ、または車輪に与えられた制動力が増加させられる。
マスタシリンダユニット10は、本実施例では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット10に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42、43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL、21RR、21RLのホイールシリンダ23FR、23FL、23RR、23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
また、個別流路41、42、43および44の中途には、ABS保持弁51、52、53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。このように、ABS保持弁51、52、53および54は圧力保持弁として機能する。
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46、47、48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46、47、48および49の中途には、ABS減圧弁56、57、58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット10のリザーバ34に接続されている。
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
実施例においては上述のように、マスタシリンダユニット10のマスタシリンダ32は、次の各要素を含んで構成される第1の系統により前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに連通される。第1の系統は、マスタ配管37、マスタ流路61、マスタカット弁64、主流路45の第1流路45a、個別流路41および42、ABS保持弁51および52を含んで構成される。また、マスタシリンダユニット10の液圧ブースタ31およびレギュレータ33は、次の各要素を含んで構成される第2の系統により後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLに連通される。第2の系統は、レギュレータ配管38、レギュレータ流路62、レギュレータカット弁65、主流路45の第2流路45b、個別流路43および44、ABS保持弁53および54を含んで構成される。
よって、運転者によるブレーキ操作量に応じて加圧されたマスタシリンダユニット10における液圧は、第1の系統を介して前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに伝達される。また、後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLへは、第2の系統を介してマスタシリンダユニット10における液圧が伝達される。これにより、運転者のブレーキ操作量に応じた制動力を各ホイールシリンダ23に発生させることができる。
液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧用制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧用制御弁として設けられている。つまり、実施例においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動液を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66等を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、実施例における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54、56〜59、60、64〜68を制御して、ブレーキ回生協調制御を実行可能である。
ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、実施例においては、各圧力センサ71〜73は自己診断機能を有しており、センサ内部での異常の有無をセンサごとに検出し、ブレーキECU70に異常の有無を示す信号を送信することができる。
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動液圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
また、ブレーキECU70には、電圧計81が接続される。電圧計81は、バッテリ(図示せず)からABS保持弁51に印加される電圧値を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ブレーキECU70は、ABS保持弁51に印加される電圧値を監視する。なお他のABS保持弁52〜54に電圧計が設けられてもよく、また全てのABS保持弁51〜54に設けられてもよい。
ハイブリッド車両において、DC/DCコンバータは電力変換装置として使用されるが、DC/DCコンバータに故障が発生すると、ABS保持弁51〜54に電力を供給する電源が補機バッテリに切り替えられる。内燃機関自動車において、発電機であるオルタネータが故障した場合も、同様に電源が補機バッテリに切り替えられる。一般に補機バッテリは12V程度の電圧源であり、通常時にABS保持弁51〜54に対して電力を供給するバッテリよりも電位が低い。そのため、電源が切り替えられた場合には、電圧計81にて検出される電圧値は、通常時よりも低くなる。ブレーキECU70は、電圧計81の検出値を監視することで、バッテリが切り替わっていることを確認することもできる。
また、ブレーキECU70には、温度計91が接続される。温度計91は、ABS保持弁51付近の雰囲気(空気)温度を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ブレーキECU70は、ABS保持弁51近傍の雰囲気温度から、ABS保持弁51の温度を推定して取得する。ABS保持弁51の温度を正確に測定するためには、温度計91をABS保持弁51に接触または極近傍に配置することが好ましい。なお、他のABS保持弁52〜54に温度計が設けられてもよく、また全てのABS保持弁51〜54に設けられてもよい。
なお、ABS保持弁51の温度は、たとえばブレーキフルードの温度から推定することも可能である。この場合、ABS保持弁51付近の流路に温度計91が設けられて、ブレーキフルードの温度を検出する。ブレーキECU70は、検出されたブレーキフルードの温度からABS保持弁51の温度を推定して取得してもよい。また、冷却水温度やエンジンルームの温度などから、ABS保持弁51の温度を推定して取得することも可能である。
ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求は例えば、運転者がブレーキペダル24を操作した場合や、走行中に他の車両との距離を自動制御している際に当該他の車両との距離が所定の距離よりも狭まった場合などに生起される。
制動要求を受けて、ブレーキECU70は、要求総制動力から回生による制動力を減じることにより、ブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に対する供給電流の値を決定する。
その結果、ブレーキ制御装置20においては、動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介してブレーキフルードが各ホイールシリンダ23に供給されて車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。なお、このとき、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードが主流路45へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。
また、ブレーキ制御装置20は、各車輪の路面に対する滑りを抑制するための、いわゆるABS(Anti−lock Brake System)制御、VSC(Vehicle Stability Control)制御、及びTRC(Traction Control)制御を実行することができる。ABS制御は、急ブレーキ時や滑りやすい路面でブレーキをかけたときに起こるタイヤのロックを抑制するための制御である。VSC制御は、車両の旋回時における車輪の横滑りを抑制するための制御である。TRC制御は、車両の発進時や加速時に駆動輪の空転を抑制するための制御である。これらのABS制御等が行われる場合にはブレーキ回生協調制御は実行されずに、要求制動力はブレーキ制御装置20が発生させる液圧制動力でまかなわれる。なお、これらの車輪の滑りを抑制するための制御を総称して、以下では適宜「ABS制御等」と称する。
ブレーキECU70が、ABS制御等を実行するために必要な演算等を行う。ブレーキECU70は、車両減速度やスリップ率等に基づいて公知の手法により算出された所定のデューティ比でABS保持弁51〜54、ABS減圧弁56〜59を開閉する。ABS保持弁51〜54を開状態とすることにより、ABS保持弁51〜54の上流に設けられた共通の制御弁である増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67により調圧されたブレーキフルードが各ホイールシリンダ23に供給される。また、ABS減圧弁56〜59を開状態とすることにより、各ホイールシリンダ23のブレーキフルードがリザーバ34へと排出される。これにより、各ホイールシリンダ23にブレーキフルードが給排され、車輪の滑りが抑制されるように各車輪に付与される制動力が制御される。
また、ブレーキECU70は、アキュムレータ圧センサ72の検出結果を利用して、アキュムレータ圧を算出する。実施例1のブレーキ制御装置20において、ブレーキECU70は、アキュムレータ圧を、上限値と下限値とで定められる設定圧力範囲内となるように制御する。上限値は、ポンプ36の作動を停止してアキュムレータ35の増圧を停止する圧力値(ポンプ駆動停止圧)であり、下限値は、ポンプ36の作動を開始してアキュムレータ35を増圧する圧力値(ポンプ駆動開始圧)である。
実施例1のブレーキ制御装置20は、ABS保持弁51〜54の状態に応じて、アキュムレータ35の設定圧力範囲を変更する。特に、低コスト化、小型化などの要請により、圧力保持性能の高くないABS保持弁51〜54を採用する場合、ABS保持弁51〜54の状態を監視して、その状態に応じてアキュムレータ35の設定圧力範囲の上限値を変更可能とする。これにより、ABS保持弁51〜54からの圧力漏れを回避する制御を実行する。
図2は、ABS保持弁の印加電圧と保持圧力との関係を示す。図2(a)は、圧力保持性能の高いABS保持弁の印加電圧と保持圧力の関係を示し、図2(b)は、圧力保持性能の低いABS保持弁の印加電圧と保持圧力の関係を示す。本実施例では、図2(b)に示す圧力保持性能をもつABS保持弁を採用する。図2(a)、図2(b)の両者とも高温時(たとえば100℃)における印加電圧−保持電力の特性を示しており、図示される特性曲線は、ABS保持弁が保持可能とする圧力値を表現している。既述したようにABS保持弁51〜54は常開型電磁弁であって、ホイールシリンダ23の圧力を減圧するときに、電源より電圧を印加されて閉弁され、アキュムレータ35からの圧力がホイールシリンダ23に伝わらないようにする。なお、本実施例では、説明の便宜上、アキュムレータ35の圧力の最大値を20MPaよりも小さい値とする。
図2(a)に示されるように、圧力保持性能の高いABS保持弁は、高温時においても、印加電圧にかかわらず、アキュムレータ圧よりも高い圧力(20MPa)を保持することができる。ドライバが強くブレーキペダル24を操作しても、ABS保持弁の上流側の圧力は20MPaを超えることはない。そのため、図2(a)の動作特性をもつABS保持弁から圧力漏れは発生せず、好適なブレーキ制御を実現できる。
一方、図2(b)に示されるように、圧力保持性能の低いABS保持弁においては、高温時に印加電圧が低電圧になると、ABS保持弁の保持圧力が低下する。図2(b)の例では、印加電圧が13V以上であれば20MPaの保持圧力を維持できているが、印加電圧が13Vよりも低くなると、保持圧力は20MPaよりも小さくなる。そのため、アキュムレータ圧が20MPa付近を示し、ABS保持弁の印加電圧が13Vよりも低い場合には、ホイールシリンダ圧の減圧中、ABS保持弁の上流側から圧力が漏れて、ホイールシリンダ圧の減圧を妨げる虞がある。なお、低電圧時には補機バッテリから電力が供給されていることが想定されるが、ABS保持弁への印加電圧が10Vよりも下がることは原則としてないため、10V以下の印加電圧と保持圧力との特性は図示していない。
この保持圧力の低下の一因は、ABS保持弁内部の励磁コイルの小型化により、電磁吸引力に低下が生じたことにあると考えられる。すなわち、励磁コイルが小型化されたことで、印加電圧が低い場合には、高い保持圧力を生成することが困難になる。また、高温時には励磁コイルの抵抗が増加することでアンペアターンが減少し、これによっても電磁吸引力が減少する。このように、高温のABS保持弁を駆動する電圧が低ければ、ソレノイドの姿勢を維持するための電磁力が低減するために、ドライバのブレーキペダル24の操作力によっては、閉弁時のABS保持弁の保持圧力がアキュムレータ圧を下回る事態が発生しうる。
そこで、実施例1のブレーキ制御装置20は、ドライバの操作力にかかわらず、ABS保持弁の上流圧がABS保持弁51〜54の保持可能圧力値以下となるように、アキュムレータ圧を制御する。実施例1のブレーキ制御装置20において、アキュムレータ圧は、下限値であるポンプ駆動開始圧と上限値であるポンプ駆動停止圧の間に制御されるが、ポンプ駆動停止圧を低い値に変更することで、ABS保持弁の保持可能圧力値以下にアキュムレータ圧を制御する。
図3は、実施例1にかかるブレーキ制御装置20におけるブレーキECU70の機能ブロック図である。ブレーキECU70は、各種センサから検出値を取得する状態取得手段100、ポンプ36の作動を制御する作動制御手段102、アキュムレータ35の設定圧力範囲を設定するポンプ作動条件設定手段104、ROM106、RAM108などを有している。図3に示す機能ブロックは、主としてアキュムレータ35の圧力範囲を設定するための構成を示しており、その他の構成については省略している。
ROM106には、アキュムレータ35の圧力設定の制御プログラムや、アキュムレータ35の設定圧力範囲を定めるポンプ駆動開始圧とポンプ駆動停止圧とが示されたポンプ作動圧テーブルなどが記録される。ポンプ作動圧テーブルでは、ABS保持弁51がおかれている状態ごとに、ポンプ駆動開始圧とポンプ駆動停止圧とが定められている。ポンプ作動圧テーブルにおいて、設定圧力範囲は、ABS保持弁51の保持可能圧力値に基づいて定められている。具体的には、ポンプ駆動停止圧が、ABS保持弁51の保持可能圧力値を超えないように設定される。実施例1において、ポンプ駆動開始圧は、ABS保持弁51の状態によらず共通にしてもよく、その場合には、ポンプ作動圧テーブルには、アキュムレータ35のポンプ駆動停止圧のみが設定されていればよい。実施例1では、ABS保持弁51の動作特性に基づいて作成されたポンプ作動圧テーブルがROM106に予め記録されている例を示すが、たとえば様々な状態におけるABS保持弁51の保持可能圧力値を定期的に検出して、ポンプ作動圧テーブルを更新できるようにしてもよい。
ここでABS保持弁51の状態を示す状態値は、ABS保持弁51の温度と、ABS保持弁51に印加される電圧値を含む。ABS保持弁51の温度とは、ABS保持弁51自体の温度だけでなく、ABS保持弁51の温度と実質的に等しくみなすことのできる近傍の雰囲気温度も含み、さらには弁温度を推測可能とする冷却水などの温度も含む。
図2(b)に示したように、ABS保持弁51の温度が高く、印加電圧が低い状態では、ABS保持弁51の保持圧力性能が劣化する。そのため、ポンプ作動圧テーブルでは、ABS保持弁51の温度が高く、印加電圧が低い場合(以後、「高温・低電圧状態」と呼ぶ)には、それ以外の状態と比較して、ポンプ駆動停止圧を小さく設定することが好ましい。
図4は、高温・低電圧状態にて設定されるポンプ駆動停止圧Zを示す。ABS保持弁51が図2(b)に示す印加電圧−保持圧力の特性をもつ場合、印加電圧が10Vを下回る可能性は実質的にないため、このABS保持弁51の最低保持圧力は、印加電圧が10Vのときの14MPaとなる。すなわち、ABS保持弁51は、高温・低電圧状態であっても、14MPaの保持圧力を確保することができる。そのため、ABS保持弁51の上流側の圧力を14MPa以下に制御すれば、閉弁しているABS保持弁51からの圧力漏れを抑止できる。以上の理由から、ポンプ作動圧テーブルでは、高温・低電圧状態におけるポンプ駆動停止圧Zが14MPa以下の値に設定される。
なお、図4(または図2(b))にて参照する印加電圧−保持圧力特性は、通常走行中に想定される最高温度(たとえば100℃)のものである。そのため、高温領域においても、最高温度より低い温度の動作特性は、図4に示す印加電圧−保持圧力特性よりも良好となる。たとえば70℃から100℃を高温領域とすると、70℃では、印加電圧が10VのときのABS保持弁51の保持圧力は、14MPa以上の値を示す。そのため、高温・低電圧状態におけるABS保持弁51の最低保持圧力は、最高温度時に最低電圧を印加したときの14MPaということになる。
図5は、ROM106に記録されているポンプ作動圧テーブルの一例を示す。ここでは、ポンプ駆動開始圧は共通とするため、ポンプ駆動停止圧のみを示している。ポンプ作動圧テーブルは、ABS保持弁51の状態値である温度と電圧から、ポンプ駆動停止圧を導出できるように構成されている。このテーブル例に示されるように、高温・低電圧状態、すなわち温度がX[℃]より大きく(高温時)、印加電圧がY[V]よりも小さい場合(低電圧印加時)に、ポンプ駆動停止圧は、Z[MPa]に設定される。たとえば、温度X[℃]は70℃であり、印加電圧Y[V]は13Vである。なおポンプ駆動停止圧Z[MPa]はポンプ駆動開始圧よりも高い必要があるため、ポンプ駆動開始圧が12MPaのときには、12MPa<Z<14MPaの値をとる。
図3に戻って、RAM108は、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用される。ポンプ作動圧テーブルを更新する場合には、更新したポンプ作動圧テーブルを格納する。
状態取得手段100は、ABS保持弁51の状態値を取得する。具体的に、状態取得手段100は、電圧計81および温度計91の検出値を監視し、ABS保持弁51の温度とABS保持弁51に印加される電圧値を取得する。なお、状態取得手段100は、補機バッテリの供給電圧と、補機バッテリの稼働状況を取得して、ABS保持弁51の印加電圧を取得してもよい。補機バッテリの稼働状況は、ABS保持弁51に電圧を供給しているか否かの情報を含む。この場合は、電圧計81が不要となる。ポンプ作動条件設定手段104は、状態取得手段100において取得した温度および電圧値から、ABS保持弁51がおかれている状態を判断する。
ポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51が所定の状態にある場合に、アキュムレータ35の設定圧力範囲を、ABS保持弁51の保持可能圧力値に基づいて設定する。これにより、ポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51の保持可能圧力値を加味してアキュムレータ圧を調整することが可能となる。実施例1のブレーキ制御装置20においては、ポンプ作動条件設定手段104が、アキュムレータ35の設定圧力範囲の上限値であるポンプ駆動停止圧を、ポンプ作動圧テーブルを参照して、ABS保持弁51がおかれている状態での保持可能圧力値を超えないように設定する。これにより、アキュムレータ圧の減圧時に、ABS保持弁51〜54からのアキュムレータ圧力漏れを回避し、ホイールシリンダ23への悪影響を抑制できる。
具体的には、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ作動圧テーブルを参照して、温度計91から取得した温度および電圧計81から取得した電圧値に対応するポンプ駆動停止圧を導出し、アキュムレータ35の設定圧力範囲を設定する。なお、図5に示すポンプ作動圧テーブルでは、ABS保持弁51の状態値として温度と電圧の双方を要求しているが、別の実施例では、いずれか片方のみが状態値として使用されてもよい。
たとえば、印加電圧によることなく、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ駆動停止圧を、取得した温度がX[℃]より高い場合に、それより低い場合と比較して小さくしてもよい。高温時には常温時と比べてABS保持弁51の電磁吸引力が低下するため、ポンプ駆動停止圧Zを常温時のポンプ駆動停止圧よりも低く設定することで、ABS保持弁51の圧力漏れを抑制することができる。
また逆に、温度によることなく、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ駆動停止圧を、取得した電圧値がY[V]よりも低い場合に、それより高い場合と比較して小さくしてもよい。低電圧印加時には通常電圧印加時と比べてABS保持弁51の電磁吸引力が低下するため、ポンプ駆動停止圧Zを通常電圧印加時のポンプ駆動停止圧よりも低く設定することで、ABS保持弁51の圧力漏れを抑制することができる。
ポンプ駆動停止圧Zの変更条件として、温度または印加電圧のいずれに重きをおくかはABS保持弁51の動作特性によるところが大きく、上記したように温度または印加電圧のいずれかのみによる制御も可能であるが、実施例1のアキュムレータ圧の制御手法によると、結果的にアキュムレータ圧を通常時よりも下げることになる。アキュムレータ圧を安定的に確保するという設計思想のもとでは、ポンプ駆動停止圧Zの変更条件として温度および印加電圧の双方を使用し、高温・低電圧状態という特定の条件下のみ、アキュムレータ圧の制御を実行してもよい。
作動制御手段102は、アキュムレータ35の圧力が設定圧力範囲内となるようにポンプ36の作動を制御する。作動制御手段102は、アキュムレータ圧センサ72からアキュムレータ圧の検出値を受け取ると、ポンプ駆動開始圧(たとえば12MPa)よりも低いか否かを判断する。アキュムレータ圧がポンプ駆動開始圧よりも低い場合、作動制御手段102は、モータ36aを作動させ、アキュムレータ35の増圧を開始する。作動制御手段102はアキュムレータ圧を監視し、アキュムレータ圧がポンプ駆動停止圧よりも高いか否かを判断する。既述したように、このポンプ駆動停止圧は、ABS保持弁51が高温・低電圧状態にある場合に、Z[MPa](たとえば12<Z<14)に設定され、それ以外の状態では20MPaに設定されている。アキュムレータ圧がポンプ駆動停止圧よりも高い場合、モータ36aの作動を停止し、アキュムレータ35の増圧を停止する。こうして作動制御手段102は、アキュムレータ圧を所定の設定圧力の範囲内となるように制御する。
図6は、実施例1にかかるアキュムレータ圧の設定圧力範囲の制御処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ブレーキECU70の電源がオンにされたときに開始し、ブレーキECU70の電源がオフにされるまで所定時間毎に繰り返される。
ブレーキECU70は、通常制御中であるか否かを判断する(S10)。通常制御中とは、電子制御式ブレーキシステムの通常の電子制御が行われていることを示す。通常制御中でなければ(S10のN)、本フローは終了する。
通常制御中である場合(S10のY)、ポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51の温度がX[℃]よりも大きいかどうかを判断する(S12)。ここでは、ABS保持弁51が高温状態にあるか否かが判定される。ABS保持弁51の温度がX[℃]よりも大きい場合(S12のY)、ポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51の印加電圧がY[V]よりも小さいかどうかを判断する(S14)。ここでは、ABS保持弁51が低電圧印加状態にあるか否かが判定される。なお、S12およびS14のステップの順番は、入れ替わってもよい。ABS保持弁51の印加電圧がY[V]よりも小さい場合(S14のY)、ポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51が高温・低電圧状態にあることを判定し、ポンプ駆動停止圧を、ポンプ作動圧テーブルに定められるZ[MPa]に設定する(S16)。
一方、ABS保持弁51の温度がX[℃]以下の場合(S12のN)、またABS保持弁51の印加電圧がY[V]以上の場合(S14のN)には、ABS保持弁51の圧力保持性能が劣化している可能性がない又は極めて小さいため、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ駆動停止圧を、ポンプ作動圧テーブルに定められる20MPaに設定する(S18)。
(実施例2)
図7は、実施例2において高温・低電圧状態にて設定されるポンプ駆動停止圧Z1、Z2を示す。図4に示した実施例1のポンプ駆動停止圧Zと比較すると、図7においては、ポンプ駆動停止圧が、電圧に応じて多段に設定されている。実施例1においては、13V以下の電圧領域を、すべて低電圧として一律に扱っていたが、実施例2においては13V以下の電圧領域を区分けして、アキュムレータ35のポンプ駆動停止圧を緻密に制御する。図7の例では、10V〜13Vの電圧領域を11.5Vのところで半分に分割し、それぞれの電圧領域に対してポンプ駆動停止圧Z1、Z2をそれぞれ設定する。ここで、ポンプ駆動停止圧Z1は、実施例1におけるポンプ駆動停止圧Zに相当し、14V以下に設定される。
図7は、実施例2において高温・低電圧状態にて設定されるポンプ駆動停止圧Z1、Z2を示す。図4に示した実施例1のポンプ駆動停止圧Zと比較すると、図7においては、ポンプ駆動停止圧が、電圧に応じて多段に設定されている。実施例1においては、13V以下の電圧領域を、すべて低電圧として一律に扱っていたが、実施例2においては13V以下の電圧領域を区分けして、アキュムレータ35のポンプ駆動停止圧を緻密に制御する。図7の例では、10V〜13Vの電圧領域を11.5Vのところで半分に分割し、それぞれの電圧領域に対してポンプ駆動停止圧Z1、Z2をそれぞれ設定する。ここで、ポンプ駆動停止圧Z1は、実施例1におけるポンプ駆動停止圧Zに相当し、14V以下に設定される。
図示されるように、印加電圧が13Vから僅かに小さい場合、保持可能圧力は20MPaから僅かに小さくなるものの、大幅に圧力保持性能が劣化するわけではない。そのような場合にもアキュムレータ35のポンプ駆動停止圧をZ1まで下げるのは、ABS保持弁51の圧力保持性能を無駄にし、好ましくない。そこで、低電圧とされる電圧領域を複数に分割して、それぞれの電圧領域における最低保持圧力以下にポンプ駆動停止圧を設定することで、ABS保持弁51の圧力保持性能を好適に活用したアキュムレータ圧制御を実現できる。この場合、印加電圧11.5Vの保持圧力が17MPaであるため、ポンプ駆動停止圧Z2は、17V以下に設定される。
図8は、ROM106に記録されているポンプ作動圧テーブルの一例を示す。ここでは、ポンプ駆動開始圧は共通であるため、ポンプ駆動停止圧だけを示している。ポンプ作動圧テーブルは、ABS保持弁51の状態値である温度と電圧から、ポンプ駆動停止圧を導出できるように構成されている。このテーブル例に示されるように、高温時(>X[℃])に、印加電圧がY2[V]よりも小さい場合に、ポンプ駆動停止圧は、Z1[MPa]に設定される。たとえば、温度X[℃]は70℃であり、印加電圧Y2[V]は11.5Vである。また高温時に、印加電圧がY2[V]以上で且つY1[V]よりも小さい場合に、ポンプ駆動停止圧は、Z2[MPa]に設定される。たとえば、印加電圧Y1[MPa]は13Vである。なお、低電圧領域は2つだけでなく、3つ以上に分割することも可能である。
ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ作動圧テーブルに記録された複数のポンプ駆動停止圧の中から、取得した電圧値に応じてポンプ駆動停止圧を選択して設定する。これにより、ABS保持弁51の圧力保持性能を有効に利用してアキュムレータ圧を高めるとともに、ABS保持弁51からの圧力漏れを抑制することができる。
図9は、実施例2にかかるアキュムレータ圧の設定圧力範囲の制御処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ブレーキECU70の電源がオンにされたときに開始し、ブレーキECU70の電源がオフにされるまで所定時間毎に繰り返される。なお、S10およびS12のステップは、図6のフローチャートにおける同一符号のステップと同様であり、説明を省略する。
S20で、ポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51の印加電圧がY1[V]よりも小さいかどうかを判断する(S20)。ここでは、ABS保持弁51が低電圧印加状態にあるか否かが判定される。ABS保持弁51の印加電圧がY1[V]よりも小さい場合(S20のY)、さらにポンプ作動条件設定手段104は、ABS保持弁51の印加電圧がY2[V]よりも小さいかどうかを判断する(S22)。S22のステップにより、低電圧領域を複数に分割したきめ細かな圧力制御を実現できる。ABS保持弁51の印加電圧がY2[V]よりも小さい場合(S22のY)、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ駆動停止圧を、Z1[MPa]に設定する(S24)。また、ABS保持弁51の印加電圧がY2[V]以上の場合(S22のN)、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ駆動停止圧を、Z2[MPa]に設定する(S26)。
一方、ABS保持弁51の温度がX[℃]以下の場合(S12のN)、またABS保持弁51の印加電圧がY1[V]以上の場合(S20のN)には、ABS保持弁51の圧力保持性能が劣化している可能性がない又は極めて小さいため、ポンプ作動条件設定手段104は、ポンプ駆動停止圧を、20MPaに設定する(S28)。
(実施例3)
以上の実施例1、2では、ポンプ駆動開始圧がたとえば12MPaであって、ポンプ駆動停止圧をポンプ駆動開始圧より大きく設定可能な状況を前提としていたが、ポンプ駆動開始圧はABS制御等の効果的な実行を保証する圧力であり、システムによっては12MPaよりも大きく設定されることがある。ポンプ駆動停止圧は必ずポンプ駆動開始圧よりも高い必要があるため、実施例3ではポンプ駆動開始圧も考慮してアキュムレータ圧の制御を実行する。
以上の実施例1、2では、ポンプ駆動開始圧がたとえば12MPaであって、ポンプ駆動停止圧をポンプ駆動開始圧より大きく設定可能な状況を前提としていたが、ポンプ駆動開始圧はABS制御等の効果的な実行を保証する圧力であり、システムによっては12MPaよりも大きく設定されることがある。ポンプ駆動停止圧は必ずポンプ駆動開始圧よりも高い必要があるため、実施例3ではポンプ駆動開始圧も考慮してアキュムレータ圧の制御を実行する。
図10は、実施例3において高温・低電圧状態にて設定されるポンプ駆動停止圧Z1、Z3を示す。図10に示すように、高温時のABS保持弁51の保持圧力が14MPa〜20MPaであるのに対して、ポンプ駆動開始圧が15MPaに設定されている。実施例3では、ポンプ駆動開始圧により保証されるABS制御等を可能な限り良好に実行させるとともに、ABS保持弁51の圧力保持性能も担保するようにアキュムレータ圧を制御する。
ABS制御等を良好に実行するためには、ポンプ駆動開始圧に対してポンプ駆動停止圧が所定の圧力以上、大きいことが好ましい。この圧力値は、たとえば1MPa程度である。そこで、図10の例では、ポンプ駆動開始圧が15MPaに設定されているため、ABS制御を良好に実現させる最低限のポンプ駆動停止圧が16MPaと求められる。16MPaの保持圧力を生成する印加電圧をY3とすると、印加電圧Y3からY1までの範囲では、ポンプ駆動停止圧Z3を16MPaと設定する。これにより、印加電圧Y3からY1までの範囲では、ABS制御等を良好に実現するだけでなく、ABS保持弁51の圧力保持性能も担保することが可能となる。
一方、実施例3において、Y3以下の電圧領域では、ABS保持弁51の圧力保持性能を維持するため、ポンプ駆動停止圧をZ1に設定する。なお、このときは、15MPaに設定されているポンプ駆動開始圧を、ポンプ駆動停止圧Z1より1MPa以上低い値に変更する。アキュムレータ35の蓄圧エネルギを若干犠牲にはするものの、ABS保持弁51からの圧力漏れを好適に防止することができるため、圧力漏れによりホイールシリンダ23に与えられる圧力変動を抑制することができる。
なお、具体的な制御については、実施例2において説明したものと同様である。ポンプ作動圧テーブルに関していえば、図8に示すポンプ作動圧テーブルのうち、Y2をY3に、Z2をZ3に置き換えればよい。また、処理フローについても、図9に示すフローチャート中、Y2をY3に、Z2をZ3に置き換えればよい。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上記した実施例1〜3では、ABS保持弁51の高温状態をX(たとえば70)℃以上としたが、変形例として、高温の温度領域をX℃以上で複数に分割することも可能である。この場合も、実施例2の電圧領域と同様に、複数の温度領域のそれぞれに対してポンプ駆動停止電圧を設定することができる。これにより、緻密なアクチュエータ圧の調整が可能となり、温度によっては高いアクチュエータ圧を維持しながら、ABS保持弁51からの圧力漏れを回避できる。このように、高温の温度領域を分割してポンプ駆動停止電圧をそれぞれ設定してアクチュエータ圧を制御するのは、特にABS保持弁51の温度を正確に取得できる場合に効果が高い。
20・・・ブレーキ制御装置、23・・・ホイールシリンダ、35・・・アキュムレータ、36・・・ポンプ、36a・・・モータ、51・・・ABS保持弁、81・・・電圧計、91・・・温度計、100・・・状態取得手段、102・・・作動制御手段、104・・・ポンプ作動条件設定手段。
Claims (9)
- 複数の車輪のそれぞれに設けられるホイールシリンダと、
前記ホイールシリンダへ供給する作動液の圧力エネルギを蓄える蓄圧手段と、
前記蓄圧手段の作動液圧を増圧するポンプと、
前記蓄圧手段の圧力が上限値と下限値とで定められる設定圧力範囲内となるように前記ポンプの作動を制御する作動制御手段と、
前記ホイールシリンダの圧力を制御する圧力保持弁と、
前記圧力保持弁の状態値を取得する状態取得手段と、
前記圧力保持弁が所定の状態にある場合に、前記蓄圧手段の設定圧力範囲を、前記圧力保持弁の保持可能圧力値に基づいて設定するポンプ作動条件設定手段と、
を備えることを特徴とするブレーキ制御装置。 - 前記ポンプ作動条件設定手段は、前記蓄圧手段の設定圧力範囲の上限値を、前記圧力保持弁がおかれている状態における保持可能圧力値を超えないように設定することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- 前記状態取得手段は、前記圧力保持弁の温度を取得し、
前記ポンプ作動条件設定手段は、取得した温度に基づいて、前記蓄圧手段の設定圧力範囲を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。 - 前記ポンプ作動条件設定手段は、前記設定圧力範囲の上限値を、取得した温度が所定温度より高い場合に、所定温度より低い場合と比較して小さくすることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
- 前記状態取得手段は、電源より前記圧力保持弁に印加される電圧値を取得し、
前記ポンプ作動条件設定手段は、取得した電圧値に基づいて、前記蓄圧手段の設定圧力範囲を設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のブレーキ制御装置。 - 前記ポンプ作動条件設定手段は、前記設定圧力範囲の上限値を、取得した電圧値が所定の電圧値よりも低い場合に、所定の電圧値より高い場合と比較して小さくすることを特徴とする請求項5に記載のブレーキ制御装置。
- 前記ポンプ作動条件設定手段は、複数の上限値の中から、取得した電圧値に応じて上限値を選択することを特徴とする請求項6に記載のブレーキ制御装置。
- 前記作動制御手段は、前記蓄圧手段の圧力が設定圧力範囲の下限値より低くなると前記ポンプの作動を開始し、上限値より高くなると前記ポンプの作動を停止することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
- 前記圧力保持弁は、常開型電磁弁であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のブレーキ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006003929A JP2007186010A (ja) | 2006-01-11 | 2006-01-11 | ブレーキ制御装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108895049A (zh) * | 2018-08-28 | 2018-11-27 | 长沙学院 | 一种液压缸的油压反馈式精确定位防抖控制装置及方法 |
-
2006
- 2006-01-11 JP JP2006003929A patent/JP2007186010A/ja active Pending
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CN108895049A (zh) * | 2018-08-28 | 2018-11-27 | 长沙学院 | 一种液压缸的油压反馈式精确定位防抖控制装置及方法 |
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