JP2007183682A - 定着装置 - Google Patents

定着装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007183682A
JP2007183682A JP2007093377A JP2007093377A JP2007183682A JP 2007183682 A JP2007183682 A JP 2007183682A JP 2007093377 A JP2007093377 A JP 2007093377A JP 2007093377 A JP2007093377 A JP 2007093377A JP 2007183682 A JP2007183682 A JP 2007183682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing
roll
recording medium
speed
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007093377A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Uchiumi
慎一 内海
Yutaka Nogami
豊 野上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2007093377A priority Critical patent/JP2007183682A/ja
Publication of JP2007183682A publication Critical patent/JP2007183682A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】記録用紙の後端部に定着処理に起因した光沢低下部分が発生することを防止できる定着装置等を提供する。
【解決手段】定着装置における定着用の加熱ロール40に、記録用紙の後端部Peが定着ニップ部Nを少なくとも抜け出る前の時期に回転の増速現象を抑制するための制動力を付与する制動手段としてのスベリ軸7を設けた。また、加熱ロール40の回転駆動速度に関する設定値を、記録用紙の後端部が定着ニップ部を抜け出る前の時期に定着速度値からそれよりも遅い低速値に変更する手段を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は、熱源を備えた定着用回転体と加圧用回転体との圧接部に定着対象のトナー像を担持する記録媒体を通過させることにより当該トナー像の定着処理を行う定着装置と、その定着装置を装備するプリンタ、複写機、複合機等に代表される画像形成装置に係り、特に、記録媒体の後端部に定着処理に起因した光沢低下部分が発生することを防止し得る定着装置等に関するものである。
近年、電子写真法等を利用したデジタル式のカラー画像形成装置が普及している。この種の画像形成装置においては、一般に、熱可塑性の結着用樹脂(バインダー)に顔料等を混合してなるイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナーを、画像情報に基づいて各色成分ごとに分解して変調したレーザ光等を照射して感光体上に形成する各色成分用の静電潜像に付着させることによりトナー像とし、この各色のトナー像を記録用紙等の記録媒体に直接又は中間転写体を介して重ね合わせるような状態で転写した後、その記録媒体上のトナー像を定着装置により記録媒体に定着させることでカラー画像が形成されるようになっている。
このような画像形成装置で使用される定着装置としては、図17に例示するようなロール単独式の定着装置が広く採用されている。
すなわち、ロール単独式の定着装置100は、内部に熱源102を備え矢印方向に回転する定着ロール(加熱ロール)101と、この定着ロール101に圧接して回転可能に配置される加圧ロール103とを有し、その定着ロール101と加圧ロール103との間に形成される圧接部(定着ニップ部)Nに、未定着のトナー像T1が担持された記録媒体Pを導入して通過させることにより、トナー像T1を加熱加圧して記録媒体Pに溶融固着させるという定着処理を行うものである。図中の矢印Eは記録媒体Pの送り方向である。このような定着装置100では、定着ロール101及び加圧ロール103の少なくとも一方については、円筒状のロール基材の表面に弾性層105を形成したロール構造を採用することが多い。また、必要に応じて、加圧ロール103にも加熱ロール101と同様に熱源を配置することもある。
また、このロール単独式の定着装置100にあっては、定着後の画像T2の光沢度を高めてカラー画像の見栄えを良くする場合、例えばトナー中の熱可塑性バインダーの分子量を低くして定着処理時の加熱に対するトナー粘度が低くなるように調整することにより、定着された画像T2の平滑性を向上させる対策が採られている。
一方、カラーレーザプリンタ等のようなカラー画像形成装置を、近年市場導入が盛んなデジタルスチルカメラの撮影画像の出力用機器として使用する例が増えつつある。また、このような出力を行う場合には、銀鉛写真方式に使用される印画紙と同様の質感を持たせるために、厚さが比較的厚く表面光沢の高いコート紙やアート紙を使用したり或いは表面に熱可塑性樹脂からなる透明又は白色の樹脂層を設けた紙を使用し、これにより画像部だけではなく非画像部となる紙自体の光沢を高くして光沢感に優れた出力画像を得ようとする試みがなされている。
この点、前記ロール単独式の定着装置100を備えたカラー画像形成装置によりデジタルカメラの出力を行った場合には、前述したような画像の平滑性向上の対策を採用したとしても、銀鉛写真方式の印画紙画像(写真画像)と比較すると、トナーの厚みに起因する凹凸感が残り、違和感のある画像になるという傾向がある。
また、従来においては、ロール単独式の定着装置よりもさらに画像表面の平滑性が高められ、より印画紙写真に近い光沢性に優れたカラー画像が得られる技術的手段として、表面に熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を形成した記録媒体を使用し、かかる記録媒体上に所定のトナー像を形成した後、ベルト併用式の定着装置を用いて定着処理を行うカラー画像形成方法が提案されている(特開平5−216322号公報)。
図18は、前記カラー画像形成方法に使用されるベルト併用式の定着装置200を示すものである。図中において符号201は熱源202を有する加熱ロール、206は剥離ロール、207は加熱ロール201と剥離ロール206に張架された定着ベルト,203、204はいずれも加圧ロール、205は弾性層、208は定着ベルト207から記録媒体Pを剥離するための剥離爪、210は記録媒体の片面に形成された透明樹脂層である。
このベルト併用式の定着装置200は、未定着のトナー像T1が担持された記録媒体Pを、加熱ロール201に支持された定着ベルト207と加圧ロール203との間に形成される圧接部(定着ニップ部)Nに導入して通過させることで加熱加圧するとともに、その圧接部Nを通過した後においても定着ベルト207に密着させた状態で搬送して自然冷却又は強制冷却し、最後に剥離ロール206を通過した後に定着ベルト207から剥離することによりトナー像T1の定着処理を行うようになっている。このような定着装置200によれば、特に、トナー像T1が定着ベルト207の搬送下に圧着して加熱溶融され、記録媒体Pの透明樹脂210中に埋め込まれた状態で搬送されながら冷却されて固化して変形しにくい状態とされた後に定着ベルト207から分離されるため、表面がきわめて平滑なカラー画像T2が得られる。
しかしながら、上述したような透明樹脂層を形成した記録媒体を用いてベルト併用式の定着装置200で定着を行った場合にあっては、図19に示すように、その定着後における記録媒体Pの後端部Peに数mmの幅で光沢度(グロス)が低下した帯状部分250が発生してしまうという問題がある。
本発明者らの研究によれば、この記録媒体の後端部Peにおける光沢低下部分250は、定着ニップ部Nのニップ圧力を高め(例えば0.5MPa以上)に設定するほど発生しやすくなり、特に写真出力等に好適な厚みが150μm以上のものを使用した場合により顕著に発生することが確認されている。また、このような光沢低下部分250は、透明樹脂層を形成した記録媒体を使用した場合、その後端部以外の部分では光沢度が均一で高くなるため、より目立ちやすくなる傾向にある。さらに、縁部を含めた記録媒体の全面に画像を形成するいわゆる「縁なし画像」の出力を行う場合には、光沢低下部分250の存在はより一層目立ちやすく許容できないものとなる。
そして、本発明者らの更なる研究によれば、かかる光沢低下部分250の発生原因は、主に、記録媒体の後端部Peが定着ニップ部Nを通過するときに急激に増速(加速)した状態で抜け出ることにあることが判明した。
図20は、定着ニップ部の通過時における記録媒体の後端部の速度を測定した実験の結果を示すものである。
この実験では、前述したようなベルト併用式の定着装置200を用い、その定着ニップ部Nに対して送り幅(記録媒体の送り方向Eと直交する方向の幅)が異なる記録媒体(厚みはすべて170μm)をそれぞれ導入して通過させ、そのときの各記録媒体後端部Peの速度を測定した。その測定は、加熱ロール201の表面に貼付したラダー図(黒線などを一定のピッチで多数記した図)を光電センサで読み取り、そのときのラダーピッチの通過時間を測定して速度に換算したものを、記録媒体後端部Peの速度とみなした。定着装置は、加熱ロール201として弾性層を形成しない鉄製のロールコア(外径:50mm)のみからなるハードタイプのロールを使用し、加圧ロール203として上記ロールコアにシリコーンゴム層(ゴム硬度:60°)を2mmの厚みで形成したソフトタイプのロールを使用した。定着ベルト207としては、厚さが80μmのポリイミド基材上に50μm厚のシリコーンゴム層を塗布形成したベルトを使用した。そして、定着ニップ圧力が1.2MPaとなるように加熱ロールと加圧ロール間の加圧機構を設定するとともに、定着速度が50mm/secとなるように加熱ロールの回転駆動機構における駆動速度を設定した。
図20の結果から、記録媒体の後端部の速度は定着ニップ部を抜け出る際に定着速度(50mm/sec)よりも増速していることがわかる。また、その増速の度合いは、記録媒体の送り幅が広くなるほど大きくなる傾向にあることがわかる。例えば、送り幅が広い記録媒体の場合(A4LEF:A4版サイズの記録媒体をその長辺部側から送り出して搬送するいわゆる横送りの場合)には、その後端部の速度が300mm/sec付近まで増速しており、これは定着速度の約6倍の速度に増加していることになる。さらに、記録媒体の後端部が定着ニップ部から抜け出るまでの所要時間は、定着速度のままで抜け出る記録媒体の部位のそれに比べて短くなっていることもわかる。図中の横軸における符号tは、A6版サイズの記録媒体をその短辺部側から送り出して搬送するいわゆる縦送りした場合(A6SEF)における当該後端部が定着ニップ部から抜け出るときの所要時間を示し、2tは定着速度のままで(増速することなく)定着ニップ部を搬送されて排出される記録媒体の場合における上記同様の所要時間を示す。
また、本発明者らの研究により、記録媒体後端部の増速の発生原因は、主に、定着ニップ部におけるロール等の弾性変形に伴う歪みが復元する現象や、加熱ロールの駆動伝達機構におけるギア噛み合わせ部(ギア間)の遊びの存在などにより、定着ニップ部におけるロール等の回転が一時的に増速することにあるものと推測される。
すなわち、定着ニップ部は、一般に図21に示すように、弾性層205を有する加熱ロール201及び加圧ロール203の表層部の一方又は双方が圧接部Nにおいて一時的に弾性変形して歪むことで所定の幅(記録媒体Pの通過方向Eに沿う幅D:ニップ幅)をもった領域として形成される。そして、この定着ニップ部Nの圧力分布は、記録媒体が存在していないときや記録媒体の先端部及び後端部以外の部位が通過しているとき(図21a)には、ほとんど変化がなく、一般にそのニップ幅の中央部をピークとした放物線状の分布をもつ。
しかし、かかる圧力分布は、記録媒体の後端部Peが定着ニップ部Nに導入されて通過する際に、その後端部Peの通過移動にともなって変動(移動)するようになる。特に記録媒体の後端部Peが定着ニップ部Nのニップ幅方向の中央部(基本的に加熱ロールと加圧ロールの中心点を結ぶ点線Qが通る部位)に達した段階(図21b)では、その後端部Peが存在して弾性層205が弾性変形している定着ニップ中央部の圧力が最も高くなる一方で、定着ニップ部の出口側(回転方向の下流側)にむけて弾性層205の弾性変形が減少して圧力が急激に低くなるというアンバランスな圧力分布となる。
この結果、かかる圧力分布の不均衡を緩和させるべくロールの弾性層205などがその弾性変形状態(歪み)を一気に解消しようと復元するため、そのときの復元力によって(定着ベルトを含む)ロール対201,203を速く回転させる作用が働くものと推測される。また、この際、ロールの駆動伝達機構におけるギア間の遊びがあるため、その分だけ更にロール対がより速く回転する、即ち増速するようになる。しかも、このような増速により、駆動伝達機構の駆動源であるモータに対する負荷が一瞬なくなるため、そのモータ自体も瞬間的に増速し、結果的にロール対もギア間の遊び以上に回転して増速するものと推測される。
なお、前記したように記録媒体後端部の増速の度合いが記録媒体の送り幅によって異なる点については、もっぱら定着ニップ部のロール軸方向における記録媒体の存在幅に依存しているものと推測される。すなわち、送り幅が比較的狭い記録媒体の場合には、その記録媒体が存在しない定着ニップ部分が前記したような弾性層の復元による増速作用が発生しない領域(増速抑制領域)として機能するために増速度合いが抑えられるが、送り幅が比較的広い記録媒体の場合には、その記録媒体が存在しない定着ニップ部が少ないため上記増速抑制領域による機能が得られなくなり増速しやすくなる。
以上のことから、記録媒体後端部における光沢低下部分の発生は、記録媒体の後端部が定着ニップ部を増速して抜け出ることにより、その後端部の定着ニップ部における滞留時間(定着時間)がその増速する分だけ他の部位よりも短くなり、その結果、トナーをはじめ透明樹脂層などの溶融不足が引き起こされることによるものと推測される。
そして、上述したような記録媒体後端部における光沢低下部分は、ベルト併用式の定着装置を使用した場合だけに限らず、前記したロール単独式の定着装置100を使用した場合においても発生する。これは、ロール単独式の定着装置においても前記したような記録媒体後端部の定着ニップ部における増速現象が発生することによるものである。例えば、厚みが200μm以上で高光沢のアート紙に縁なし画像を形成してロール単独式定着装置により定着を行ったところ、その後端部に数mmの光沢低下部分が発生することが確認された。また、加熱ロール及び加圧ロール、記録媒体の送り幅等の条件によっても異なるが、定着ニップ圧力が0.5Mpa以上であり、しかも厚みが150μm以上の記録媒体を使用した場合に、その光沢低下部分が発生しやすくなる。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、特に、記録媒体の後端部に定着処理に起因した光沢低下部分が発生することを防止できる定着装置や画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得る本発明(第1発明)の定着装置は、熱源を備えた定着用回転体とこの定着用回転体に圧接して配置される加圧用回転体とを有し、この定着用回転体と加圧用回転体の間に形成される圧接部に、定着対象のトナー像を担持する記録媒体をそのトナー像担持面が定着用回転体側に位置する姿勢で導入して通過させる定着装置を前提とし、前記定着用回転体及び加圧用回転体の少なくとも一方に、記録媒体の後端部が前記圧接部を少なくとも抜け出る前の時期に回転の増速現象を抑制するための制動力を付与する制動手段を設けたことを特徴とするものである。
上記制動手段は、上記制動力を定着用回転体及び加圧用回転体の少なくとも一方に付与できる構成のものであれば特に制約されるものではない。制動力は、定着用回転体及び加圧用回転体の回転により得られる本来の定着速度を阻害しない大きさを確保できることを前提として、特に既述したような記録媒体の後端部が圧接部を少なくとも抜け出る際に発生し得る定着用回転体等の回転の増速現象を抑制できる大きさ(強さ)の範囲内の力を付与できるものであればよい。
このような第1発明の定着装置によれば、制動手段により定着用回転体及び加圧用回転体の少なくとも一方に上記した制動力が付与されるため、記録媒体の後端部が圧接部を抜け出る際に増速することが抑制される。これにより、記録媒体後端部の増速した分に相応して圧接部に存在する時間(定着時間)が減少することがなくなり、その後端部以外となる記録用紙の他の部位とほぼ同じ定着時間の条件で定着が行われるようになる。この結果、記録媒体の後端部における光沢低下部分の発生がほとんどなくなる。
また、上記制動手段としては、記録媒体が前記圧接部を少なくとも通過する間は制動力を付与し続ける手段が使用可能である。この制動手段としては、例えば、定着用回転体や加圧用回転体の回転軸に対して制動力を上記通過時期については少なくとも付与し続けることが可能な装置(すべり軸受、トルクリミッターなど)が使用される。このような制動手段を適用した場合は、特に記録媒体が圧接部を通過している間においては制動力の付与時期などを制御するための機構を必要とせず簡易な構成とすることが可能となり有利である。
さらに、上記制動手段としては、前記圧接部の記録媒体通過方向の幅をD、その圧接部の出口側末端に対して記録媒体の後端部が到達するまでの距離をLとした場合、L≧D/2の条件を満たす時期に制動力を付与する手段が使用可能である。このような特定時期に制動力を付与するためには、記録媒体後端部の圧接部通過時期を把握しておく必要があり、例えば、その後端部の通過を検知し得るセンサ等を設け、その検知情報に基づいて制動力を付与する動作を実行するように構成する。この条件を満たす時期は、少なくとも記録媒体後端部が圧接部の中央部を通過する前又は瞬間であるため、かかる時期に制動力を付与することにより、記録媒体後端部が圧接部を抜け出る際に発生し得る増速現象が確実に抑制されるようになる。
また、上記目的を達成し得る本発明(第2発明)の定着装置は、上記第1発明で前提とする定着装置において、前記定着用回転体又は加圧用回転体の回転駆動速度に関する設定値を、記録媒体の後端部が前記圧接部を抜け出る前の時期に定着速度値からそれよりも遅い低速値に変更する速度変更手段を設けたことを特徴とするものである。
上記速度変更手段における低速値は、少なくとも記録用紙の後端部における光沢低下部分の発生を抑制できる値であれば特に制約されるものではないが、例えば定着速度値の2/3以下、好ましくは定着速度値の半分にするとよい。また、速度変更手段における定着速度値から低速値への変更時期は、少なくとも記録媒体後端部が圧接部を抜け出る前の時期であれば任意であるが、例えば記録媒体の後端部が圧接部に突入する直前ごろとすればよい。記録媒体の通過位置については、その通過を検知し得るセンサ等で検出すればよい。
このような第2発明の定着装置によれば、記録媒体の後端部が圧接部を抜け出る前の所定の時期になると、速度変更手段により定着用回転体又は加圧用回転体の回転駆動速度の設定値が定着速度値から低速値に変更される。これにより、定着用回転体等が減速して定着速度が低下するため、記録媒体後端部の圧接部の通過所要時間が多くなり、その圧接部に存在する時間(定着時間)が長くなる。この結果、記録媒体後端部が圧接部を抜け出る際に増速することがあっても、その後端部が圧接部の中央部付近を通過するまでの間は、その後端部以外となる記録用紙の他の部位とほぼ同じ定着時間による定着が行われる可能性があり、これにより、記録用紙の後端部における光沢低下部分の発生がほとんどなくなる。
また、上記速度変更手段としては、前記圧接部の記録媒体通過方向の幅をD、その圧接部の出口側末端に対して記録媒体の後端部が到達するまでの距離をLとした場合、L≧1/2Dの条件を満たす時期に前記設定値を定着速度値から低速値に変更する手段が使用可能である。この条件を満たす時期は、少なくとも記録媒体後端部が圧接部の中央部を通過する前又は瞬間であるため、かかる時期に回転駆動速度の設定値を定着速度から低速値に変更することにより、記録媒体後端部が圧接部を抜け出る前に十分な定着が確実に行われるようになる。
ここで、第1発明及び第2発明の両定着装置における上記定着用回転体は、少なくとも上記加圧用回転体との間で所定の領域幅からなる定着用の圧接部(定着ニップ部)を形成して回転し得る構造物であればよい。具体的には、例えば、ロール形態のもの(熱源を備えた加熱ロール)や、ベルト形態のもの(定着ベルトを、少なくとも加圧用回転体と圧接する関係で配置されかつ熱源を備えた加熱ロール又は加熱固定体と、それ以外の1又は2以上のベルト支持ロールとの間に張架して回転させるもの)等である。一方、上記加圧用回転体は、少なくとも上記定着用回転体との間で前記した定着ニップ部を形成して回転し得る構造物であればよい。具体的には、例えば、ロール形態のもの、ベルト形態のものである。加圧用回転体には、必要に応じて熱源を配置してもよい。
また、定着用回転体及び加圧用回転体の少なくとも一方には、所定の幅の定着ニップ部を形成する観点から、表層部に弾性層を設けるとよい。上記熱源は、定着用回転体(ロール形態のものでは加熱ロール、ベルト形態のものでは加熱ロール又は加熱固定体)を所定の温度(定着加熱温度など)に一様に加熱保持できるものが使用される。
記録媒体は、基本的に、定着対象のトナー像を担持させることができるとともに定着圧接部を通過させて定着処理を行うことできるものであれば特に制約されるものではない。例えば、記録用紙、厚紙、印画紙、OHPシートなどが使用可能である。また、光沢感に富む画像を得る観点からは、少なくともトナー像が担持される面に無色透明の透明樹脂層を形成した記録媒体を使用することが好ましい。このような透明樹脂層を有する記録媒体を使用した場合には、定着時においてトナー像がその透明樹脂層内に埋め込まれたような状態で定着されるとともに、その定着後の記録媒体表面(透明樹脂層の表面)が定着用回転体(特に定着ベルト)の平滑な表面にならって平滑性に優れた状態となる定着が行われる。すなわち、この定着後における記録媒体上の画像は、表面凹凸による光の乱反射が少なく光沢性に富み、写真画像に近似した高画質のものとして得られる。
以上のような第1発明及び第2発明に係る各定着装置は、画像情報に応じたトナー像を形成し、そのトナー像を記録媒体に転写して定着することにより画像の形成を行う画像形成装置において、前記トナー像を記録媒体に定着する定着装置として使用することが有効である。この場合、定着装置は、画像形成装置の本体内部に装備させた状態で使用するように構成したり、あるいは、画像形成装置とは別体でその本体外部に連結接続された状態で使用するように構成することが可能である。
また、画像形成装置は、カラー画像を形成し得るものが好ましいが、白黒画像のみを形成するものであっても構わない。さらに、この画像形成装置は、感光体等の像担持体上に形成するトナー像をベルト状又はドラム状の中間転写体を介して記録媒体に転写する中間転写方式を利用するものであっても、あるいは、その中間転写方式を利用せず、像担持体上のトナー像を記録媒体に直接転写するものであってもよい。像担持体としては1つ使用するものでも、あるいは複数使用するものでもよい。さらに、このような画像形成装置は、光沢感に優れた画像形成を行う観点から、記録媒体として前述したような透明樹脂層を形成したものを使用できる構成のものであることが好ましい。また、前述した縁なし画像を形成することができる機能を備えていることが好ましい。
特に、上記のような定着装置を装備する画像形成装置によれば、記録媒体の後端部に光沢低下部分がほとんど発生しない光沢感に優れた高画質な画像を形成することが可能となる。特に、このような画像形成装置は、デジタルスチルカメラ等の写真画像データの出力用機器として好適な装置である。
本発明の定着装置及び画像形成装置によれば、記録媒体の後端部に定着処理に起因した光沢低下部分の発生を防止することができ、かかる光沢低下部分のない光沢感に富む画像を得ることができる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るカラー画像形成装置1及び定着装置2を示すものである。この画像形成装置1は、カラープリンタとして使用可能なものであるほか、カラー複写機、ファクシミリ等や、各種機能(プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能等)を兼備させた複合機等の作像部(出力部)として使用可能なものである。
まず、このカラー画像形成装置1は、その装置本体10の内部に中間転写方式を採用した作像手段が装備されている。作像手段は、矢印A方向に所定の速度で回転する1つの感光ドラム11と、この感光ドラム11の周囲に配置される帯電装置12、潜像書き込み装置13、現像装置14、一次転写装置15等とでその主要部が構成されている。
感光ドラム11としては、中空構造のドラム基体の周面に有機感光材料等からなる感光層を形成したものを使用している。潜像書き込み装置13としては、例えば入力される画像情報に基づいて変調されたレーザビームLBを各種光学部品を介して感光ドラム11に導いて照射するレーザビームスキャナを使用している。現像装置14としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(B)の各色のトナー(現像剤)が1色ずつ収容される現像器14Y,14M,14C,14Kを回転支持体16の周面にそってほぼ等間隔で配置してなるロータリー式の現像装置を使用している。一次転写装置15としては、トナーの帯電極性と逆極性の1次転写バイアス電圧が図示しない電源装置から印加される一次転写ロールを配置するロール方式のものを使用している。
このような作像手段による作像は、矢印A方向に回転する感光ドラム11の感光表面を帯電装置12により所定の電位に一様に帯電した後、その表面に対して潜像書き込み装置13により画像情報に応じた各色成分ごとの静電潜像を形成し、しかる後、かかる静電潜像を対応する色のトナーが収容された現像器を感光ドラム11と対向する現像位置まで移動させて対向した状態で現像することにより、感光ドラム11上にトナー像が形成されるようになっている。この際、1色のトナー像からなる単色画像を形成する場合には以上の作像工程が1回実行されるだけであるのに対し、複数色のトナー像を重ね合わせてなるカラー画像を形成する場合には以上の作像工程がその色成分の数だけ同様に繰り返される。
この作像手段で形成された感光ドラム11上のトナー像は、中間転写ベルト20を介して記録用紙Pに転写される。中間転写ベルト20は、感光ドラム11の一次転写装置15が配置される一次転写位置となる表面に当接するような状態で複数の支持ロール21〜24(例えば、駆動ロール21、従動ロール22、二次転写バックアップロール23、テンションロール24)に張架され、矢線B方向へ所定の速度で回転するように配設されている。また、この中間転写ベルト20のバックアップロール23に張架されている二次転写位置には、そのベルト20をロール23に押し付けながら回転する二次転写ロール26がベルト20に対して接離可能に配設されている。
中間転写ベルト20としては、カーボンブラック等の導電化剤を含有させたポリイミド等の合成樹脂を用いて無端状のベルト形態に成形してなるものを使用している。バックアップロール23には、トナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアス電圧が図示しない電源装置から印加されるようになっている。二次転写ロール26は、複数色のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、中間転写ベルト20上のトナー像を記録用紙Pに転写する二次転写時期に合わせてベルト20に当接するが、それ以外の時期には離間するようになっている。
また、装置本体10の内部下部側には、上記した作像手段の二次転写位置に記録用紙Pを供給するための給紙手段が装備されている。この給紙手段は、記録用紙Pをそのサイズ別、送り方向別等の条件に応じて収容することができる複数の収容トレイ30a,30b,30c、30dと、この各トレイ30から記録用紙Pをそれぞれ送り出す送出機構31と、この各送出機構3により各収容トレイ30から送り出される記録用紙P(P1〜P3)を二次転写位置まで導いて搬送する、複数の搬送ロール対32,33や搬送ガイド部材34にて構成される給紙路等でその主要部が形成されている。この給紙手段では、形成する画像に対応したサイズ等の記録用紙Pが、所定の収容トレイ30から1枚ずつ送り出されるようになっている。図中の一点鎖線は記録用紙Pが搬送される経路を示す。
さらに、装置本体10の内部には、定着装置2、二次転写後の記録用紙Pを定着装置2まで搬送する用紙搬送装置36、定着後の記録用紙Pを装置本体10の外に排出する排出ロール対37等が装備されている。図中の符号38は、排出される記録用紙Pを積載して収容する排出トレイである。
このような中間転写ベルト20等が装備された画像形成装置1では、感光ドラム11上のトナー像が一次転写位置で中間転写ベルト20に静電的に一次転写される。この際、単色画像を形成する場合には、中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像が二次転写位置で直ちに記録用紙Pへ静電的に二次転写される。これに対し、カラー画像を形成する場合には、作像手段で順次形成される複数色のトナー像が中間転写ベルト20に順次一次転写されて重ねあわされた後に、二次転写位置で記録用紙Pに一括して二次転写される。
次いで、トナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト20から剥離された後に用紙搬送装置36により定着装置2に送り込まれて定着処理され、かかる定着後に排出ロール対37により搬送されて排出トレイ38に排出される。このような一連の画像形成プロセスを経て単色画像又はカラー画像の形成が行われる。
また、このカラー画像形成装置1における定着装置2は以下のような構成になっている。
すなわち、定着装置2は、図1や図2に示すようにベルト併用式の定着装置であり、加熱ロール40と、加圧ロール45と、定着ベルト50と、剥離用ロール60と、ステアリングロール61と、冷却器65とでその主要部が構成されている。
加熱ロール40は、図2や図3に示すように、金属材料からなる円筒状のロール芯材41の中空内部に加熱用のハロゲンランプ42を配置してなるロール構造のものである。ロール芯材の金属材料としては、鉄、アルミニウム、ステンレス等の熱伝導率の高いものが使用される。この加熱ロール40は、必要に応じて、そのロール芯材41の外周面にシリコーンゴム等からなる弾性層を設けることや、最表面にフッ素系樹脂(PFA等)等からなる表面層を設けることが可能である。ハロゲンランプ42は、その加熱動作が加熱ロール40の表面温度の検知情報に基づいて所定の温度の加熱ができるようにフィードバック制御されている。また、加熱ロール40は、そのロール芯材41が回転可能に支持されているとともに、図4に示すように駆動モータ55の回転力がギア列56a〜56cを介して伝達されることにより所定の速度で矢印C方向に回転駆動するようになっている。
加圧ロール45は、ロール芯材46の外周面にシリコーンゴム等からなる弾性層47を設けた以外は加熱ロール40とほぼ同じロール構造のものである。加圧ロール45は、そのロール芯材46が回転自在に支持されているとともに、図示しない加圧機構により加熱ロール40に定着ベルト50を介して所定の圧力で圧接されるようになっている。この加圧ロール45の圧接により定着ベルト50との間に圧接部(定着ニップ部)Nが形成される。上記加圧機構による加圧力については、定着ニップ部の圧力が0.5〜3MPa、好ましくは1〜2MPaとなるように設定されている。
定着ベルト50は、記録用紙P上のトナー像との密着性を高める観点から、ベルト基材の外周面に耐熱性弾性層を設けたベルト構造のものであり、加熱ロール40、剥離用ロール60及びステアリングロール61に張架されて加熱ロール40の回転駆動により矢印D方向に回転走行するようになっている。
ベルト基材としては、耐熱性や強度及び表面平滑性を考慮して、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂やアルミニウム、ステンレス等の金属材料等を用いて無端ベルト形状に形成したものが使用される。その基材の厚さは15〜250μm程度にすることが好ましい。耐熱性樹脂からなるベルト基材を使用する場合には、その樹脂中にカーボンブラック、金属酸化物粉末、グラファイト粉体等の導電率調整剤を含有させて導電性を付与してもよい。これは、定着ベルトの電気抵抗が高すぎると、そのベルト表面が帯電しやすくなり、これによりベルト表面に記録用紙を静電吸着させたり、あるいは、トナーを飛散させたりして定着前のトナー像を乱してしまうため、この不具合を回避するためである。
一方、耐熱性弾性層としては、トナー及び記録用紙(特に透明樹脂層)に対する離型性とトナー像における凹凸に対する追従性を確保することを考慮して、シリコーンゴム、フッ素ゴム等にて塗布形成するものが使用される。その層厚については5〜300μm程度に設定することが好ましい。シリコーンゴム又はフッ素ゴムからある耐熱性弾性層を形成した場合には、そのベルト形成後における表面平滑性が非常に高く、特に透明樹脂層を設けた記録用紙と組み合わせると、定着後の画像の表面光沢度がJIS Z8741(1997)に準じた20度鏡面光沢度で80以上となり、印画紙とほぼ変わらない値が得られるようになるので好適である。
定着ベルト50の全体の厚さは、20〜400μm、好ましくは50〜200μmの範囲であることが好ましい。この厚さが20μm未満になると、ベルトの強度が低くなり、こしも弱くなってしまい、逆に400μmを超えるようになると、熱容量が大きくなるため、ベルトを加熱するエネルギーの増加を招いたり、十分に加熱するために定着速度を低くしなければならず生産性が低下するという弊害が生じる。
剥離ロール60は、定着ベルト50を所定の曲率で曲げた状態で張架することによりそのベルト50に密着した状態で搬送される定着対象のトナー像を有する記録用紙Pが剥がれることを促すための従動回転ロールである。この剥離ロール60は、そのベルト50の磨耗を少なくする観点からアルミニウム、ステンレス、鉄、真鍮等の金属材料にて形成されている。また、定着ベルト50を曲げた状態にすることにより上記剥離促進作用を確実に発揮させるという観点から、そのロールの直径を望ましくは50mm以下にしている。なお、定着ベルト50の回転走行を妨げず上記剥離促進作用を発揮できる場合には、この剥離ロール60に代えて、定着ベルト50の内周面に当接するように固定配置されてそのベルトを曲げた状態で走行させるような固定部材を使用しても構わない。
ステアリングロール61は、定着ベルト50の片寄り走行によるベルト端部の破損を防止するためのロールである。このロール61は、その一方の回転軸を固定するとともにその他方の回転軸を不図示の変位可能な支持機構に固定してなり、その変位可能な支持機構により他方の回転軸を所定量だけ所定の方向に変位させてロール全体を傾けた状態に保持することにより、片寄って走行するベルトの走行位置を矯正するようになっている。
冷却器65は、定着ベルト50に密着した状態で搬送される間における記録用紙Pを冷却するためのものである。この冷却器65としては、ヒートシンク(放熱板)、ヒートパイプ、冷却ファン等が使用可能であるが、好ましくはヒートシンクが使用される。これは、加熱ロール40から剥離用ロール60に至るまでの間におけるベルト内周面に当接させた状態で設置して使用することができ、設置スペースが少なく簡易な構成で均一な冷却を行うことが可能であるためである。このヒートシンクとしては、例えば、その上面側に複数枚の放熱フィンが定着ベルト50の幅方向(その回転方向と直交する方向)に沿ってほぼ平行に並んだ状態で形成され、その底面が定着ベルト50の内周面を当接する当接(吸熱)面として形成されたアルミニウム製のものが使用される。また、このようなヒートシンクを使用する場合には、そのシンクがもつ熱を排除するため、そのシンクに対して風を送るファンを併設するとよい。
このような定着装置2は、画像形成時になると、加熱ロール40が回転駆動することにより定着ベルト50が矢印C方向に回転走行し、その定着ベルト50を挟んで加熱ロール40に圧接される加圧ロール45が従動回転する。この際、加熱ロール40に張架される部分の定着ベルト50と加圧ロール45との間に所定の幅からなる圧接部(定着用ニップ部)Nが形成される。また、加熱ロール40及び加圧ロール45がハロゲンヒータ42により加熱されることにより、上記定着用ニップ部Nの温度が所定の加熱温度(定着温度:例えば100〜200℃)に維持される。
その定着時には、図2に示すように、定着対象となるトナー像Tが転写された記録用紙Pをそのトナー担持面が定着ベルト側に位置する姿勢で定着用ニップNに導き入れて通過させる。この定着ニップ部Nを通過する過程によりトナー像Tが加熱加圧されて溶融される。
また、この定着ニップ部Nを通過して排出される記録用紙Pは、定着ベルト50の外周面に密着した状態のままで搬送され、剥離用ロール60に到達した時点で定着ベルト50から剥離される。この定着ニップ部の通過から剥離されるまでの過程では、記録用紙Pが定着ベルト50から直ぐに剥がれることなく密着した状態のままで搬送されるとともに、冷却器65を通過する時点で溶融されたトナー像(透明樹脂層がある場合にはその樹脂層も含む)が定着ベルト50に密着した状態のままで冷却固化される。これにより、トナー像が定着ベルト50の平な表面にならい平滑性に優れたものとなる。
その後、剥離用ロール60を通過する時点では、記録用紙Pが、ロール60の周面の曲率に沿って曲げられた定着ベルト50による剥離力と記録用紙P自体の剛性とにより、定着ベルト50から自力で剥離される。このように自力で剥離されることにより、記録用紙Pを定着ベルト50から剥離させる剥離爪や、その剥離を補助するために定着ベルト50にシリコーンオイル等の離型剤を塗布する装置を設置しなくとも対応可能となる。特にオイル状の離型剤を塗布しないように構成した場合には、かかるオイル状の離型剤を使用した際に発生するオイル筋、むら等の問題を回避することができる。
ちなみに、このようなベルト併用式の定着装置2を用い、その定着ニップ圧力と定着温度を数段階に変えた各条件下で定着を行った場合における定着画像の平滑性(段差感の状態)を調べると、図16のような結果が得られる。
この試験は、加熱ロール40として外径50mmのロール芯材41のみからなるものを使用し、加圧ロール45としてロール芯材46に2mm厚の弾性層47を形成してロール外径を50mmとしたものを使用した。また、加熱ロール40と加圧ロール45は共にロール表面温度が同じ温度となるように各ハロゲンランプ42を制御して加熱した。定着ニップ圧力については、加圧機構による加圧荷重をはじめ弾性層47の厚さ及び硬度を調整することで変更するようにした。そして、透明性樹脂層を形成した記録用紙Pに赤のべた状パッチ像を形成した後に上記各条件下で定着を行い、その各定着後におけるパッチ像のエッジ部をそれぞれ目視観察し、その段差感が許容できるものであるか否かについて調べた。図中の曲線は、試験結果から概略求められた段差感の許容レベルの境界線に相当するものである。
この結果、図16に示されるように、段差感が許容できる平滑性に優れた画像を得るためには、定着ニップ圧力が小さいときには定着ロール温度を高くする必要があり、定着ニップ圧力を大きくすれば定着ロール温度を低くすることができる関係にあることがわかる。定着ロール温度を低くした場合には、消費電力を少なくすることができ、また各部材(加熱及び加圧ロール、定着ベルトなど)の耐久維持性が向上してコストダウンが図れる等の利点があるが、その一方で、定着ニップ圧力を高めに設定する必要があるため、前述したように記録用紙後端部に光沢低下部分が発生しやすくなるという問題がある。
そして、この定着装置2では、図3等に示すように、その加熱ロール40に対し、記録用紙Pの後端部が定着ニップ部Nを少なくとも抜け出る際の増速現象を抑制するための制動力を付与する制動手段としてのすべり軸受7を設けている。
すなわち、加熱ロール40は、そのロール芯材41の一端部側(ギア56cが取り付けられている側)の軸部41aが装置本体10の支持フレーム11に固定されたすべり軸受7に支持されている。一方、そのロール芯材41の他端部側の軸部41bは支持フレーム11に固定されたボールベアリング等による転がり軸受48により回転自在に支持されている。また、加圧ロール45については、そのロール芯材46の両端部における軸部46a,46bがいずれも支持フレーム11に固定されたボールベアリング等による転がり軸受48により回転自在に支持されている。図3中の符号49は抜け防止用の止め具である。
すべり軸受7は、上記軸部41aの外径とほぼ同じ直径からなる貫通孔を中央部に形成してなるドーナツ形状に成形された摺接部材を備え、その貫通孔に軸部41aを通した状態で直接支持する構造の軸受である。その摺接部材としては、銅合金等の金属材料からなるものや、ポリアセタール、4フッ化エチレン等の樹脂材料からなるものや、金属材料からなる層と樹脂材料からなる層を複層化したものなどが使用される。このすべり軸受7は、軸部41aに対する摺接部材の摩擦抵抗により加熱ロール40の回転に対して制動力を付与するようになっている。このすべり軸受7により付与する制動力については、軸部41aに対する所定の動摩擦係数からなる摺接部材を適宜選定して使用することにより設定することができる。摺接部材としては、好ましくは、予め潤滑油や耐磨耗充填剤が添加されており、使用中においてその潤滑油等の給油を行わない無給油型のものが使用する。
この実施の形態1では、すべり軸受7による制動力について、以下の理由により、画像形成装置で使用可能な最大の送り幅となる記録用紙Pの後端部が定着ニップ部を抜け出る際に加熱ロール40にかかる回転トルクと同等又はそれ以上となる回転トルクが得られるような動摩擦抵抗からなる摺接部材を使用するように設定している。
まず、上記すべり軸受7を適用しない(その軸受7に代えて転がり軸受48を適用した)定着装置2を用い、その定着ニップ部Nを送り幅の異なる各記録用紙Pの後端部がそれぞれ抜け出る際の加熱ロール40にかかる回転トルク(排出トルク)について異なる定着ニップ部圧力の条件下で測定してみると、図5に示すような結果が得られる。
この測定では、加熱ロール40として外径が50mmの鉄製のロール芯材41からなるハードタイプのロールを使用し、その回転速度が50mm/secとなるように回転駆動させた。また、加圧ロール45としては、外径が46mmの鉄製のロール芯材46にシリコーンゴム(ゴム硬度60度)からなる厚さが2mmの弾性層47を設けてロール全体の外径を50mmとしたソフトタイプのロールを使用した。記録用紙Pとしては、厚さが200μmの樹脂コート紙を使用した。回転トルクについては、加熱ロール40に回転を伝達する駆動ギアの軸に取り付けたレバーにかかる回転力をフォースゲージで測定し、そのときの最大値を回転トルクとして算出することにより求めた。
この図5の結果から、上記回転トルクは定着ニップ圧力が大きくなるほど、また記録用紙の送り幅が大きくなるほど、大きくなることがわかる。
そこで、定着装置2に摺接部材の動摩擦係数μが異なる(μ=0.1、0.2)すべり軸受7を使用した場合(図3)における、記録用紙Pの中央部が定着ニップ部を通過する際の加熱ロール40にかかる回転トルク(最大値)について異なる定着ニップ圧力の条件下で測定したところ、図6に示すような結果が得られた。
この測定は、基本的に前記測定と同じ条件で行った。記録用紙については、A4版サイズの用紙を使用して横送り(送り幅:297mm)した。なお、この測定では、駆動モータ55の駆動軸に手動回転用のレバーを取り付け、そのレバーにより加熱ロールにより定着速度にほぼ近似した速度で回転させることにより定着装置を稼動させた。参考までに、図6に、動摩擦係数μがゼロのすべり軸受を使用した場合の測定結果を併せて示す。また、前記試験で得られた図5に示すA4LEFの記録用紙の測定結果(後端部のニップ部を抜け出る際の回転トルク)を併せて示す。
この図6の結果から、送り幅が最大の記録用紙(例えばA4LEF又はA3SEF)の記録用紙後端部の増速を抑えるためには、送り幅がA4LEFの記録用紙の後端部が抜け出る際の回転トルクを超える回転の増速を抑制する方向の制動力を付与するという観点から、その定着ニップ圧力の大小にかかわらず、動摩擦係数μが0.2に設定するとよいことがわかる。
そして、この実施の形態1では、すべり軸受7として動摩擦係数μが0.2のものを適用した。ちなみに、このすべり軸7により回転駆動する加熱ロール40には、常に、その回転運動を抑制する制動力が付与されることになるが、本来の定着速度を実現するうえで駆動モータ55等に大きな負荷がかかること(モータ駆動用の電流などの大幅な増加)はない。また、上記制動力の設定の際に測定する回転トルクは、定着ニップ部Nのニップ圧力、加圧ロール45等の弾性層47の厚みや硬度、記録用紙の通し幅や厚み等によって変動するため、定着装置2の仕様条件が決定した後に測定したものを適用するようにすることが好ましい。
次に、このような実施の形態1における定着装置2を用いて以下の定着試験を行った。
定着試験では、定着装置2の加熱ロール40及び加圧ロール45として前記回転トルク測定時と同じ構成のものを使用した。また、定着装置2における定着ニップ圧力を1.0MPaに設定し、加熱ロールの回転駆動速度を50mm/sec(定着速度)に設定し、加熱ロール40及び加圧ロール45の表面温度をいずれもハロゲンランプ42により150℃に加熱するように設定した。この際、定着ニップ部Nの記録用紙通過方向の幅Dは平均で5.5mmであった。記録用紙Pとしては、ポリエステル樹脂からなる厚さ10μmの透明樹脂層を片面に形成した全厚さ200μmの写真用光沢紙を使用した。そして、この写真用光沢紙に縁あり画像を形成した場合と縁なし画像を形成して上記定着装置2による定着を行った。
この結果、写真用光沢紙として送り幅が100〜300mm程度となるものを使用して定着を行い、その各光沢紙の後端部が定着ニップ部を抜け出るときの速度を測定したところ、いずれの送り幅の光沢紙であっても、増速することなく全て50mm/secのままであった(図20において速度50mm/secを示す点線Mと同じ速度状態が保たれた)。このことから、記録用紙の後端部Peが定着ニップ部Nを抜け出る際に発生し得る増速現象が十分に抑制されることが確認された。
また、定着後の各光沢紙の後端部を観察したところ、縁あり画像及び縁なし画像のいずれの場合でも、その後端部に光沢度の低下部分が発生していないことが確認された。特に、記録用紙Pとして透明樹脂層を形成したものを使用した場合には、その透明樹脂層がトナー像と共に定着ニップ部の通過時に加熱溶融され、しかも、その定着ニップ部の通過後には定着ベルトの外周面に密着した状態のまま搬送されるとともにトナー像と共に冷却固化された後に剥離されるため、あたかも表面を平滑なラミネート処理をしたかのようなきわめて高い光沢感のある定着画像が記録用紙Pの全面に得られる。このため、記録用紙の後端部において光沢度の低下部分が発生しないことは、特に縁なし画像を形成した場合に画質の低下を招くことにならず有益である。
比較のため、すべり軸受7に代えて他の軸部と同じ転がり軸受48(動摩擦係数はゼロとみなせる)を加熱ロール40に適用した(即ち加熱ロールに制動力を付与しないようにした)以外は上記した各条件と同じ定着装置2を用いて同じ定着試験を行ったところ、縁あり画像及び縁なし画像のいずれの場合でも、その後端部に2〜3mm幅の帯状となる光沢度の低下部分が発生していることが確認された。このような光沢度低下部分の発生は、縁なし画像の場合には目立ち、明らかに画質の低下につながってしまう。
なお、すべり軸受7は、加熱ロール40の片側の軸部に設ける態様に限らず、必要に応じて、加熱ロール40の両側の軸部に設けたり、あるいは、加圧ロール45の片側又は両側の軸部に設けたり、或いは、加熱ロール40及び加圧ロール45の片側又は両側の軸部に設けるように構成してもよい。ただし、すべり軸受7を加熱ロール40及び加圧ロール45の両側の軸部にすべて設ける場合には、すべり軸受と各軸部との摩擦力が必要以上に大きくなり、ひいては駆動モータ55の駆動電流を多く要することになるため好ましくない。また、駆動ロールではない加圧ロール45に適用する場合には、その両側の軸部にすべり軸受を設ける必要がある。これは、加圧ロール45が定着ベルト50を介して加熱ロール40と連れまわる構造であるため、加圧ロールの片側の軸部だけすべり軸受を設けて制動力を付与すると、加圧ロールにねじれ作用が働き、定着ニップ部を通過する定着ベルト50や記録用紙Pにしわが発生して定着不良を誘発するおそれがあるからである。
[実施の形態2]
図7は、実施の形態2における定着装置を示すものである。この定着装置2Bは、制動手段としてすべり軸受7に代えて電磁ブレーキ装置8を設けた以外は実施の形態1における定着装置2Aと同じ構成からなるものである。
この電磁ブレーキ装置8は、図8に示すように、加熱ロール40の軸部41aに取り付けられたギア56cにギア81を介して連結される公知の電磁ブレーキ80と、その電磁ブレーキ80に動作用の電圧(励磁電流)を印加する電源装置82とで主に構成されている。電磁ブレーキ80としては、例えば、制動対象となる回転体に対してその回転方向とは反対方向の磁界を電磁コイルにより形成して作用させることにより制動力を与える一般タイプのものが使用できるほか、制動対象となる回転体と電磁コイルを内蔵した固定部材との間隙に磁性粉粒を充填し、その磁性粉粒を電磁コイルに磁化させることにより制動力を与えるパウダータイプのものが使用できる。また、電磁ブレーキ80は加熱ロールの軸部41aに直結するように取り付けて使用するように構成しても構わない。
そして、この電磁ブレーキ装置8は、記録用紙Pの後端部が定着ニップ部Nを抜け出る前の所定の時期にのみ作動して加熱ロール40に制動力を付与するようにマイクロコンピュータ等からなる制御装置(コントローラ)3により制御されるようになっている。すなわち、図7に示すように、定着ニップ部Nの手前側の位置に記録用紙Pの後端部を検知する光学式等の後端通過検知センサS1を設け、その検知情報に基づいてコントローラ3が電源装置82から電磁ブレーキ80への電圧の印加動作(印加タイミング)を制御するようになっている。一方、コントローラ3は、記録用紙P(の後端部Pe)が定着装置2Bから排出されたことを検知する排紙検知センサS2からの検知情報に基づいて、上記電圧の印加を停止するように構成されている。排紙検知センサS2は、画像形成装置本体10の排紙口に設置される通常の排紙センサを兼用すればよいが、定着装置2Bの排紙側に専用のセンサとして設置したものを使用するようにしてもよい。
この実施の形態2では、図9に示すように、定着ニップ部Nの記録用紙Pの通過方向Eに沿う幅をD、そのニップ部Nの出口側末端Gに対して記録用紙の後端部Peが到達するまでの距離をLとした場合、L≧(1/2×D)の条件を満たす時期に電圧の印加を開始して制動力を付与し始めるように設定している。また、電圧印加の開始制御信号の送れ、電磁ブレーキの作動開始遅れ等などを考慮して電磁ブレーキ80による制動力が的確に作用するようにする観点からは、D≦L≦2Dの条件を満たす時期に電圧の印加を開始するように設定するとよい。
ここで、上記ニップ幅Dは、図9bに例示するように、加熱ロール等の軸方向に沿う平面形状(ニップ領域形状)が両端部から中央部にむけて次第に狭くなるようなものであることが多いが、かかる形状からなる定着ニップ部Nにおける上記出口側末端Gは軸方向のニップ中央部における末端位置となる。また、このような平面形状からなる定着ニップ部Nにおける上記幅Dはその最小の幅をさす。
したがって、コントローラ3では、後端通過検知センサS1とニップ部Nの出口側末端Gとの距離や定着速度等の情報に基づいて、そのセンサS1の検知時点から上記条件式を満足する時期に至るまでの所要の時間t1を予め算出しておき、その時間t1が経過した後に電圧の印加を開始するように設定される。なお、LがD/2よりも小さい時期(L<D/2)に電圧を印加して制動力を与えた場合には、記録用紙後端部Peが定着ニップ部Nの中央部を通過した後となるため、かかる制動力の付与による増速現象の抑制効果が低減するか又は得られなくなってしまう。反対に、Lが2Dを超える時期に電圧を印加して制動力を与えた場合には、モータ駆動用の電流を必要以上に増加させなければならない等の不具合がある。
また、この電磁ブレーキ装置8による加熱ロール40に付与する制動力については、実施の形態1におけるスベリ軸受7の制動力の設定方法と同様に、記録用紙の後端部Peが定着ニップ部Nから排出される際の回転トルクを基準に設定される。実際、その制動力の増減は、電源装置82から印加する電圧の値を変更することにより調整される。
このような定着装置2Bによる定着は、基本的に、すべり軸受7の制動力付与による増速現象の抑制作用が得られる点を除けば、実施の形態2における定着装置2Aによる定着と同様に行われる。
そして、この定着装置2Bにおいては、図10に示すように、定着ニップ部Nに導入されて通過途上にある記録用紙の後端部Peが後端部検知センサS1により検知されると(ステップ10:S10)、コントローラ3により、その検知時点から所定の所要時間t1が経過した時点で電磁ブレーキ装置8の電源装置82から電磁ブレーキ80に電圧が印加される(S11)。つまり、少なくともL≧(1/2×D)の条件、好ましくはD≦L≦2Dの条件を満たす時期に電圧が印加されることになる。
これにより、電磁ブレーキ80が動作して制動力(ブレーキ作用)が発生し、かかる制動力がギア81,56cを介して加熱ロール40に付与されることによってその回転の増速が発生しにくい状態におかれる。この結果、記録用紙の後端部Peは、定着ニップ部Nから抜け出る特定の時期だけ制動力が付与された状態となり、ほぼ定着速度のままで定着ニップ部Nから排出されるため、そのニップ部を抜け出る際に発生し得る増速現象が抑制される。実際、この定着後における記録用紙の後端部Peを観察したところ、かかる後端部Peには光沢度の低下部分が発生していないことが確認された。
その後、排紙検知センサS2により定着装置2Bから排出された記録用紙Pの通過が検知されると(S12)、コントローラ3により電源装置82から電磁ブレーキ80への電圧の印加が停止され(S13)、これにより電磁ブレーキ装置8による加熱ロール40への制動力の付与が解除される。
なお、この実施の形態2においては、上記電磁ブレーキ装置8に代えて、トルクリミッターを加熱ロール40の軸部41aに装着し、かかるトルクリミッターから所定の制動力を加熱ロール40に付与するように構成することも可能である。このトルクリミッターを使用した場合には、実施の形態1におけるすべり軸受7と同様に、加熱ロール40に対して常に制動力を付与することになる。この点、前記電磁ブレーキ装置8を使用した場合には、電源装置82から印加する電圧の印加タイミングや大きさをコントラーラ3等にて適宜制御することにより、加熱ロール40に付与する制動力の付与タイミングや大きさを任意に設定及び調整することが可能となる。
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3における定着装置を示すものである。この定着装置2Cは、電磁ブレーキ装置8に代えて、加熱ロール40の駆動モータ55の速度変更装置9を設けた以外は実施の形態2における定着装置2Bと同じ構成からなるものである。
速度変更装置9は、加熱ロール40の回転駆動速度に関する設定値を、記録用紙Pの後端部Peが定着ニップ部Nを抜け出る前の時期に定着速度値(V1)よりも遅い低速値(V2)に変更するものであり、駆動モータ55の動作条件を制御する制御手段(モータ駆動ドライバ)90をコントローラ3により制御する構成になっている。
すなわち、図11に示すように、定着ニップ部Nに導入される際の記録用紙Pの後端部Peを検知する後端通過検知センサS1を設け、その検知情報に基づいてコントローラ3がモータ駆動ドライバ90による駆動モータ55の回転駆動速度の設定値を定着速度値(V1)から低速値(V2)に変更するようになっている。一方、コントローラ3は、記録用紙P(の後端部Pe)が定着装置2Cから排出されたことを検知する排紙検知センサS2からの検知情報に基づいて、モータ駆動ドライバ90における上記回転速度の設定値を低速値(V2)から定着速度値(V1)に変更する(戻す)ように構成されている。後端通過検知センサS1及び排紙検知センサS2はいずれも実施の形態2におけるセンサS1,S2と同じものである。
また、この実施の形態3においても、実施の形態2の場合と同様に、L≧(1/2×D)の条件を満たす時期に上記設定値の定着速度値(V1)から低速値(V2)への変更を行うように設定している。また、この設定値の変更は、駆動モータ55の回転速度が低速値に減速されるまで時間を要することなどを考慮すると、D≦L≦2Dの条件を満たす時期に行うように設定するとよい。特に、Lが2Dを超える条件(L>2D)となる時期に上記設定値の低速値への変更を行った場合には、記録用紙の後端部Peが定着ニップ部Nを通過する所要時間が長くなるため加熱されすぎてしまい、記録用紙の他の部位よりも光沢が高くなったり、あるいは、ブリスター(特に透明樹脂中に小泡が発生する現象)が発生するようになるため好ましくない。
低速値(V2)の設定は、記録用紙の後端部Peに光沢低下部分が発生しない定着が可能な速度であればよく特に制約されるものではないが、この実施の形態3では後述するように定着速度値の約半分の速度に設定している。また、この低速値を含む設定値についての情報は、予めドライバ90又はコントローラ3のメモリ部に格納されている。
このような定着装置2Cによる定着は、基本的に、電磁ブレーキ装置8の制動力付与による増速現象の抑制作用が得られる点を除けば、実施の形態2における定着装置2Bによる定着と同様に行われる。
そして、この定着装置2Cにおいては、図12に示すように、定着ニップ部Nに導入されて通過途上にある記録用紙の後端部Peが後端部検知センサS1により検知されると(S20)、コントローラ3により、その検知時点から所定の所要時間t1が経過した時点でモータ駆動ドライバ90における回転駆動速度の設定値が定着速度値(V1)から低速値(V2)に変更される(S21)。つまり、少なくともL≧(1/2×D)の条件、好ましくはD≦L≦2Dの条件を満たす時期に回転駆動速度の設定値が低速値に変更されることになる。
これにより、駆動モータ55の回転駆動速度が減速し、これに伴い加熱ロール40が定着速度よりも遅い速度で回転するようになる。この結果、記録用紙の後端部Peは、定着ニップ部Nを少し長い時間をかけて通過して排出されるようになる。なお、このニップ部を抜け出る際に増速現象は発生する。しかし、実際、この定着後における記録用紙の後端部Peを観察してみると、かかる後端部Peには光沢度の低下部分が発生していないことが確認された。
その後、排紙検知センサS2により定着装置2Cから排出された記録用紙Pの通過が検知されると(S212)、コントローラ3によりモータ駆動ドライバ90における回転駆動速度の設定値が低速値(V2)から定着速度値(V1)に戻される(S23)。
図13は、加熱ロールの回転駆動速度の各設定速度と記録用紙の後端部に発生する光沢低下部分の長さ(記録用紙の通過方向Eに沿う寸法)との関係について測定した結果を示すものである。
この測定では、L=Dの条件を満たす時期に、回転駆動速度の設定値を定着速度値(50mm/sec)から2種類の低速値(38mm/sec、25mm/sec)に変更した。また、記録用紙Pとして実施の形態1における測定で使用した透明樹脂層(厚さ10μm)を有する写真用光沢紙を同様に使用するとともに、その送り幅を3種類に異ならせた状態で供給して各定着を行った。そして、定着後の各記録用紙を観察し、その後端部に発生している光沢低下部分の長さを測定した。
この図13の結果から、記録用紙Pの送り幅の大小にかかわらず、設定速度値を定着速度の約半分の速度に変更することにより、用紙後端部Peの光沢低下部分の発生を確実に抑えることができることがわかる。
[他の実施の形態]
実施の形態1乃至3では、定着装置2A,2B,2Cを画像形成装置1の装置本体10の内部に装備して使用する場合について例示したが、これらの定着装置はいずれも、例えば図14に示すように画像形成装置1とは別体の定着装置2Dとして構成したうえで、画像形成装置1の装置本体10の外部に連結接続する、いわゆる外付けタイプの定着装置として使用してもよい。
この場合、画像形成装置1側にも別の定着装置(一段目の定着装置。通常はロール単独式の定着装置)2Fが装備されており、これと併用する構成になることが多いが、これ以外にも、画像形成装置1側にはその別の定着装置2Fが装備されておらず、もっぱら外付けタイプの定着装置2Dのみを使用するように構成しても構わない。また、外付けタイプの定着装置2Dには、定着ベルト50の冷却器65と対向する位置となる外周面側に用紙搬送支持ロール63を配置するとよい。図14において符号39は定着装置2D側に増設された第2排紙トレイである。装置本体10の内部に装備された他の定着装置2Fと外付けタイプの定着装置2Dとが併用可能な構成とした場合には、定着対象であるトナー像を有する記録用紙Pについて画像形成装置内の定着装置2Fによる1回目の定着を行った後に、外付けタイプの定着装置2Dによる2回目の定着を行うことができる。ただし、外付けタイプの定着装置2Dによる定着が不要な場合には、定着装置2Fによる定着が終了した後の記録用紙を装置本体10に取り付けられた第1の排紙トレイ38に排出することになる。
また、実施の形態1乃至3では、ベルト併用式の定着装置2A,2B,2Cを使用した場合について例示したが、本発明の定着装置は図15に例示するようなロール単独式の定着装置2Hであってもよい。
図15に示す定着装置2Hは、基本的に、加熱ロール40と加圧ロール45とを備えたものである。この加熱ロール40及び加圧ロール45は、例えばベルト併用式の定着装置2A〜2Cにおける前記加熱ロール40及び加圧ロール45と同じ構成からなるものである。特に所定の幅の定着ニップ部Nを形成する観点からすると、その加熱ロール40と加圧ロール45のいずれか一方には少なくとも弾性層47を設ける必要がある。また、必要に応じて、加熱ロール40側に、そのロール表面を清掃するためにウエブ方式等のクリーニング装置65を設置したり、あるいは、そのロール表面にトナーのオフセットを防止するための離型オイルを塗布する図示しないオイル塗布装置などを設置してもよい。
そして、このようなロール単独式の定着装置2Hにおいては、例えば、実施の形態1のように加熱ロール40の片側の軸部にすべり軸受7を設けたり、あるいは、実施の形態2のように電磁ブレーキ装置8などを設けたり、あるいは、実施の形態3のように速度変更装置9を設けるように構成すればよい。これにより、この定着装置2Hによる定着を行った場合においても、実施の形態1〜3で説明したように、記録用紙Pの後端部Peに光沢低下部分が発生することを防止することができる。
また、このようなロール単独式の定着装置2Hにより写真調の光沢画像を得ようとする場合には、記録用紙Pとして、その用紙自体に光沢感があり、厚めの用紙を使用することが好ましい。具体的には、厚みが150μm以上のコート紙、アート紙、透明樹脂コート紙等が好適である。また、このような厚めの記録用紙Pを使用する場合には、その定着速度は普通紙を用いた定着を行う際の定着速度よりも遅くすることが好ましい。記録用紙の後端部における光沢低下部分の発生を防止するうえでも、その後端部が定着ニップ部を抜け出る手前の時期に加熱ロール40の回転を低速に変更すると有効である。
また、本発明においては、特に写真調の画像形成を行う場合には、記録用紙Pとして、無色透明の熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を設けた用紙を使用することが好ましく、特に高級感を持たせる観点からは、白色度が高く厚みが150〜220μm程度の用紙を使用することが望ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、スチレン‐(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、ポリウレタン等の単独あるいは混合したものが使用できる。中でも、透明性、機械的強度を考慮するとポリエステル樹脂を使用することが好ましい。この熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層を定着時にトナーと同時に加熱溶融させ、トナー(像)をその樹脂層中に埋め込むと同時に画像表面全体を定着ベルト50の平滑な表面にならわせることで、高光沢の画像が得られる。また、透明樹脂層の厚さは2〜20μmであることが好ましい。この厚さが2μm未満では、トナーを透明樹脂層中に十分に埋め込むことができず、表面に凹凸がある画像となってしまう。逆に、厚さが20μmを超えると、記録用紙を湾曲させた状態にしたときに透明樹脂層にクラックが発生しやすくなり定着画像の耐久性が低下してしまう。なお、画像表面全体の平滑化は、記録用紙の透明樹脂層とトナーの結着樹脂の溶融粘度、さらに定着条件を適宜調整するにより実現される。
また、透明樹脂層には、定着ベルトからの離型性を向上させるために離型剤を含有させても良い。この離型剤としては、例えば、低分子量ポリオレフィン類、シリコーン類、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス、およびそれらの変性物などが使用できる。なかでもカルナバワックス、パラフィン系ワックスや低分子量ポリオレフィン系ワックスが好適である。このような離型剤は透明樹脂中に0.5〜10重量%の割合で含有させるとよい。
さらに、本発明における画像形成装置に使用するトナーは特に限定されるものではないが、例えば、その結着樹脂として記録用紙上に形成される透明樹脂層と同様のスチレン‐(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、ポリウレタン等を単独あるいは混合した熱可塑性樹脂を用いて形成されるトナーが使用可能である。また、定着ベルトからの離型性を向上させるためにトナー中に離型剤を含有させても良い。この離型剤としては、例えば、前記透明樹脂層中に含有させる前記離型剤と同じものを使用できる。特にそのなかでもパラフィン系ワックスや低分子量ポリオレフィン系ワックスの離型剤が好適である。これらの離型剤を結着樹脂中に0.5〜10重量%の割合で含有させるとよい。これらのトナーの結着樹脂に混合する着色剤としては、公知の顔料、染料が使用できる。また、帯電制御、転写性向上の目的で、従来知られているトナー用の外添剤をトナー粒子に外添するようにしてもよい。
実施の形態1に係る画像形成装置及び定着装置の要部を示す概略構成図。 図1における定着装置の要部を拡大して示す概略構成図。 図2のIII−III線に沿う概略断面図。 加熱ロールの回転駆動機構の要部を示す上面図及び側面図。 記録用紙後端部の定着ニップ部から排出する際の回転トルクの測定結果を示すグラフ図。 すべり軸受の摩擦係数に対する、記録用紙後端部の定着ニップ部から排出する際の回転トルクの測定結果を示すグラフ図。 実施の形態2に係る定着装置の要部を示す概略構成図。 加熱ロールの回転駆動機構に設けた電磁ブレーキ装置の要部を示す上面図及び側面図。 (a)は定着ニップ部とそのニップ部を通過する記録用紙後端部の関係を示す説明断面図、(b)はその説明平面図。 電磁ブレーキ装置の動作を示すフローチャート。 実施の形態3に係る定着装置の要部を示す概略構成図。 速度変更手段の動作を示すフローチャート。 加熱ロールの回転駆動速度の設定速度と光沢低下部分の発生状態との測定結果を示すグラフ図。 他の実施の形態に係る外付けタイプの定着装置と画像形成装置を示す概略構成図。 他の実施の形態に係るロール単独式の定着装置の要部を示す概略断面図。 定着ニップ圧力及びロール温度に対する定着画像の段差感に関する試験結果を示すグラフ図。 従来のロール単独式定着装置を示す概略構成図。 従来のベルト併用式定着装置を示す概略構成図。 記録媒体後端部に発生する光沢低下部分を示す説明平面図。 記録媒体後端部の定着ニップ部を抜け出す際の速度の測定結果を示すグラフ図。 記録媒体後端部が定着ニップ部を抜け出す際のニップ部及び記録媒体後端部の状態を示す説明図。
符号の説明
1…画像形成装置、2…定着装置、7…すべり軸受(制動手段)、8…電磁ブレーキ装置(制動手段)、9…速度変更装置(速度変更手段)、40…加熱ロール(定着用回転体又はその一部)、42…ハロゲンランプ(熱源)、45…加圧ロール(加圧用回転体)、50…定着ベルト(定着用回転体の一部)、P…記録用紙(記録媒体)、Pe…後端部、T…トナー像、N…定着ニップ部(圧接部)、E…記録用紙の送り方向(通過方向)、G…出口側末端。

Claims (1)

  1. 熱源を備えた定着用回転体とこの定着用回転体に圧接して配置される加圧用回転体とを有し、この定着用回転体と加圧用回転体の間に形成される圧接部に、定着対象のトナー像を担持する記録媒体をそのトナー像担持面が定着用回転体側に位置する姿勢で導入して通過させる定着装置において、
    前記定着用回転体又は加圧用回転体の回転駆動速度に関する設定値を、記録媒体の後端部が前記圧接部を抜け出る前の時期に定着速度値からそれよりも遅い低速値に変更する速度変更手段を設け、
    かつ、前記速度変更手段が、前記圧接部の記録媒体通過方向の幅をD、その圧接部の出口側末端に対して記録媒体の後端部が到達するまでの距離をLとした場合、L≧2/Dの条件を満たす時期に前記設定値を定着速度値から低速値に変更する手段であることを特徴とする定着装置。
JP2007093377A 2007-03-30 2007-03-30 定着装置 Pending JP2007183682A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007093377A JP2007183682A (ja) 2007-03-30 2007-03-30 定着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007093377A JP2007183682A (ja) 2007-03-30 2007-03-30 定着装置

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002061828A Division JP2003263048A (ja) 2002-03-07 2002-03-07 定着装置及びそれを用いた画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007183682A true JP2007183682A (ja) 2007-07-19

Family

ID=38339736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007093377A Pending JP2007183682A (ja) 2007-03-30 2007-03-30 定着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007183682A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009193035A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Sharp Corp 定着装置および画像形成装置
CN104698796A (zh) * 2013-12-05 2015-06-10 柯尼卡美能达株式会社 图像形成装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009193035A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Sharp Corp 定着装置および画像形成装置
JP4723603B2 (ja) * 2008-02-18 2011-07-13 シャープ株式会社 定着装置および画像形成装置
US8050609B2 (en) 2008-02-18 2011-11-01 Sharp Kabushiki Kaisha Fixing device and image forming apparatus
CN104698796A (zh) * 2013-12-05 2015-06-10 柯尼卡美能达株式会社 图像形成装置
US9291968B2 (en) 2013-12-05 2016-03-22 Konica Minolta, Inc. Image forming apparatus
CN104698796B (zh) * 2013-12-05 2017-05-31 柯尼卡美能达株式会社 图像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7139522B2 (en) Image forming apparatus
US7643767B2 (en) Transfer-fixing unit and image forming apparatus for enhanced image quality
JP4793464B2 (ja) 定着装置及びこれを用いた画像形成装置
JP5058750B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP4586392B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2006243471A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2007057682A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2008158054A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP5693200B2 (ja) 画像形成装置
US7809317B2 (en) Intermediate transfer device and image forming apparatus
JP2004151260A (ja) 画像形成方法および画像形成装置
JP4993060B2 (ja) 画像形成装置
US8295750B2 (en) Fixing apparatus and image forming apparatus equipped therewith
JP5045092B2 (ja) 画像形成装置
JP2007183682A (ja) 定着装置
JP2003263048A (ja) 定着装置及びそれを用いた画像形成装置
JP4756619B2 (ja) 定着装置及び該定着装置を有するカラー画像形成装置
JP5538708B2 (ja) 定着装置、及びこの定着装置に用いられる加熱回転部材
JP2006243465A (ja) 定着装置及びこれを用いた画像形成装置
JP2003263046A (ja) 定着装置及びそれを用いた画像形成装置
JP2006330320A (ja) 定着方法、定着装置及び画像形成装置
JP2008281880A (ja) 転写定着装置、及び画像形成装置
JP2003131524A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2003270987A (ja) ベルト定着装置
JP2006091182A (ja) 定着装置、ベルト管状体および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070824

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071002