JP2007178248A - 慣性センサ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 三回対称の圧電材料からエッチングによって素子外形が形成されるH型構造の慣性センサ素子で、軸線方向がX1軸と平行となる基部10と、軸線方向が基部10と直交する方向で基部10から延出する2つ一対の検出脚部20と、軸線方向が基部10と直交する方向であって検出脚部20とは反対側に基部10から延出する2つ一対の励振脚部30と、各励振脚部30の基部10側に向く端側において基部10に近づくにつれて広がるように拡幅するテーパ部40と、を備え、エッチングで得られるテーパ部40において、基部10の+X方向を向く辺41における拡幅開始位置P1と、基部10の+X方向を向く辺41とは反対側の辺42に形成される残渣Nの基部10から離れる先端43の位置とが、基部10の軸線方向と平行となる直線L1上に位置することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この振動型の慣性センサは、四角柱を振動させて回転に伴って働くコリオリの力を検出するものである。
また、従来から、慣性センサ素子には、H型構造、音叉型構造、音片構造、三脚音叉構造などが採用されている。
この電荷を検出電極によって検出することにより、角速度の大きさと向きを知ることができる。
ここで、圧電基本式のe形式を示す。
[T]=[cE][S]−[e]t[E] ・・・(1)
(cE:弾性スチフネス定数、S:歪、e:圧電応力定数、E:電界)
この(1)式に示す圧電基本式のe形式より、励振振動させる際には、外力として歪は加えないので圧電基本式のe形式は、(2)式となる。
[T]=−[e]t[E] ・・・(2)
このとき、電界成分は電気軸(X軸)方向に平行な方向であるので、E2(Y軸方向)=E3(Z軸方向)=0となる。[E]はE1(X軸方向)成分のみである。[e]に水晶の圧電応力定数を代入し、上記の圧電基本式を計算すると、励振振動の成分以外に、すべり応力T4が生じる。応力を歪に変換した場合も同様に、すべり歪S4(X軸方向からZ軸)が生じる。このため、励振振動をさせると、Z軸方向成分を含んで振動し、これが、振動漏れの原因となる。
なお、歪は、工学的表記法で、S1、S2、S3、S4、S5、S6の要素からなる行列式で現される。
また、「高さ方向」という場合は、励振脚部又は検出脚部の軸線方向を指すものとする。また、X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料を水晶とし、別途、説明する以外は、X1軸とこれと直角に交わる2つの軸をY1軸、Z軸とする。また、厚さは、素子全体で均一となっている場合について説明する。さらに、素子外形にはウェットエッチングの異方性による残渣を含まないものとする。
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る慣性センサ素子101は、X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料をウェットエッチングによってH型構造となる素子形状に形成しており、図1に示すように、基部10と、一対の検出脚部20,20と、一対の励振脚部30,30と、各励振脚部30の基部10側の端側に形成されるテーパ部40とから主に構成されている。
なお、基部10の中央部から支持棒11が延出し、この支持棒11の端部に支持部12が設けられており、図示しないパッケージに慣性センサ素子101を接続することができるようになっている。
この励振脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
また、この励振脚部30には後述する励振用電極(図示せず)が設けられている。
具体的には、テーパ部40は、図2に示すように、ウェットエッチングの異方性によって2段階に拡幅しており、基部10側における拡幅率は、励振脚部30の先端側の拡幅率に比べて大きくなっている。例えば、素子外形におけるテーパ部40の辺41、42の向きは、辺41において、拡幅開始位置P1から次の拡幅開始位置P2までの辺の向きがY2軸のマイナス方向と直角となる向きとなり、拡幅開始位置P2から基部10までの辺の向きがX3軸のマイナス方向と直角となる向きとなっている。また、辺42において、拡幅開始位置P3から次の拡幅開始位置P4までの辺の向きがY3軸のマイナス方向と直角となる向きとなり、拡幅開始位置P2から基部10までの辺の向きがX2軸のプラス方向と直角となる向きとなっている。
また、励振脚部をX1軸とY1軸とを含む平面(以下、「X1−Y1平面」という。)で1次屈曲振動モードにて励振振動させる際、Z軸方向成分の振動が伝播しないため、Y軸周りに角速度が加わっていない状態であっても誤検出することなく、精度の良い角速度の検出ができる。
具体的には、辺41における拡幅開始位置P1は、辺42に形成される残渣Nの基部10から離れる側の先端PN(辺42ににおける拡幅開始位置P3)が位置する基部10の軸線方向と平行となる直線L2(図4参照)の近傍に位置するのが良い。
このようにしても、振動バランスは大きく崩れることなく、良好な振動を得ることができる。
ここで、素子形状を、X1軸方向の全長(基部10のX1軸方向の長さ)を1mm、Y1軸方向の全長を3.6mm、励振脚部30の長さを1.2mm、検出脚部20の長さを1.6mm、基部10の長さを0.2mmとする。
その結果、辺41における拡幅開始位置P1と辺42に形成される残渣Nの基部10から離れる側の先端PNの位置との高さ方向の距離の差ΔLが7.6〜8μm程度(図5参照)となったところでZ軸方向成分の振動(振動漏れ)が小さくなり、これよりも距離の差ΔLの値が大きくなると、振動バランスが悪くなり、Z軸方向成分の振動(振動漏れ)が大きくなっていることが確認できた。
次に、図6に示す本発明の第二の実施形態に係る慣性センサ素子102について説明する。
本発明の第二の実施形態に係る慣性センサ素子102は、音叉構造となっている点で第一の実施形態と異なる。
この検出脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
この励振脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
また、この励振脚部30には励振用電極(図示せず)が設けられている。
また、変形例として慣性センサ素子102´のテーパ部40の形状(図6(b)参照)を第一の実施形態に係る慣性センサ素子101´のテーパ部40(図4参照)と同様の構成としても良い。
また、励振脚部30をX1軸とY1軸とを含む平面(以下、「X1−Y1平面」という。)で1次屈曲振動モードにて励振振動させる際、Z軸方向成分の振動が伝播しないため、Y軸周りに角速度が加わっていない状態であっても誤検出することなく、精度の良い角速度の検出ができる。
次に、図7に示す本発明の第三の実施形態に係る慣性センサ素子103について説明する。図7(a)に示すように、本発明の第三の実施形態に係る慣性センサ素子103は、三脚音叉構造となっている点で第一の実施形態と異なる。
また、この検出脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
この励振脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
また、この励振脚部30には励振用電極(図示せず)が設けられている。
また、変形例として慣性センサ素子103´のテーパ部40の形状(図7(b)参照)を第一の実施形態に係る慣性センサ素子101´のテーパ部40(図4参照)と同様の構成としても良い。
また、励振脚部30をX1軸とY1軸とを含む平面(以下、「X1−Y1平面」という。)で1次屈曲振動モードにて励振振動させる際、Z軸方向成分の振動が伝播しないため、Z軸周りに角速度が加わっていない状態であっても誤検出することなく、精度の良い角速度の検出ができる。
次に、図8に示す本発明の第四の実施形態に係る慣性センサ素子104について説明する。本発明の第四の実施形態に係る慣性センサ素子104は、略王の字型構造となっている点で第一の実施形態と異なる。
また、この検出脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
この励振脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
また、この励振脚部30には励振用電極(図示せず)が設けられている。
また、変形例として慣性センサ素子104´のテーパ部40の形状(図9参照)を第一の実施形態に係る慣性センサ素子101´のテーパ部40(図4参照)と同様の構成としても良い。
また、励振脚部30をX1軸とY1軸とを含む平面(以下、「X1−Y1平面」という。)で1次屈曲振動モードにて励振振動させる際、Z軸方向成分の振動が伝播しないため、Z軸周りに角速度が加わっていない状態であっても誤検出することなく、精度の良い角速度の検出ができる。
次に、図10に示す本発明の第五の実施形態に係る慣性センサ素子105について説明する。本発明の第五の実施形態に係る慣性センサ素子105は、音片構造となっている点で第一の実施形態と異なる。
この励振脚部30には、基部10側に向く端側にテーパ部40が設けられており、他方の端側からテーパ部40までは所定の幅で形成されている。
また、この励振脚部30には励振用電極(図示せず)が設けられている。
また、変形例として慣性センサ素子105´のテーパ部40の形状(図10(b)参照)を第一の実施形態に係る慣性センサ素子101´のテーパ部40(図4参照)と同様の構成としても良い。
また、励振脚部30をX1軸とY1軸とを含む平面(以下、「X1−Y1平面」という。)で1次屈曲振動モードにて励振振動させる際、Z軸方向成分の振動が伝播しないため、Y軸周りに角速度が加わっていない状態であっても誤検出することなく、精度の良い角速度の検出ができる。
10 基部
20 検出脚部
30 励振腕部
40 テーパ部
41,42 辺
43 先端
L1,L2 直線
N 残渣
P1 拡幅開始位置
Claims (5)
- X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料からウェットエッチングによって素子外形が形成されるH型構造の慣性センサ素子であって、
軸線方向がX1軸、X2軸、X3軸のうちいずれか1つの軸と平行となる基部と、
軸線方向が前記基部と直交する方向であって前記基部から延出する2つ一対の検出脚部と、
軸線方向が前記基部と直交する方向であって前記検出脚部とは反対側に前記基部から延出する2つ一対の励振脚部と、
前記各励振脚部の前記基部側に向く端側において該基部に近づくにつれて広がるように拡幅するテーパ部と、
を備え、
前記ウェットエッチングで得られる当該テーパ部において、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置と、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置とが、
前記基部の軸線方向と平行となる直線上に位置する、
又は、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置が、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置よりも前記基部から離れる方向に位置する、
ことを特徴とする慣性センサ素子。 - X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料からウェットエッチングによって素子外形が形成される音叉型構造の慣性センサ素子であって、
軸線方向がX1軸、X2軸、X3軸のうちいずれか1つの軸と平行となる基部と、
軸線方向が前記基部と直交する方向であって前記基部の一方の端側から延出する検出脚部と、
前記検出脚部と向かい合って、前記基部の他方の端側から延出する励振脚部と、
前記検出脚部及び前記励振脚部の前記基部側に向く各端側において該基部に近づくにつれて広がるように拡幅するテーパ部と、
を備え、
前記ウェットエッチングで得られる当該テーパ部において、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置と、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置とが、
前記基部の軸線方向と平行となる直線上に位置する、
又は、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置が、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置よりも前記基部から離れる方向に位置する、
ことを特徴とする慣性センサ素子。 - X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料からウェットエッチングによって素子外形が形成される三脚音叉型構造の慣性センサ素子であって、
軸線方向がX1軸、X2軸、X3軸のうちいずれか1つの軸と平行となる基部と、
軸線方向が前記基部と直交する方向であって前記基部の中央から延出する検出脚部と、
前記検出脚部と向かい合って、前記基部の両端から延出する励振脚部と、
前記検出脚部及び前記励振脚部の前記基部側に向く各端側において該基部に近づくにつれて広がるように拡幅するテーパ部と、
を備え、
前記ウェットエッチングで得られる当該テーパ部において、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置と、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置とが、
前記基部の軸線方向と平行となる直線上に位置する、
又は、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置が、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置よりも前記基部から離れる方向に位置する、
ことを特徴とする慣性センサ素子。 - X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料からウェットエッチングによって素子外形が形成される略王の字型構造の慣性センサ素子であって、
軸線方向がX1軸、X2軸、X3軸のうちいずれか1つの軸と平行となる基部と、
軸線方向が前記基部と直交する方向であって前記基部の中央からこの基部を挟んで延出する検出脚部と、
前記検出脚部と向かい合って、前記基部の両端からこの基部を挟んで延出する励振脚部と、
前記検出脚部及び前記励振脚部の前記基部側に向く各端側において該基部に近づくにつれて広がるように拡幅するテーパ部と、
を備え、
前記ウェットエッチングで得られる当該テーパ部において、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置と、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置とが、
前記基部の軸線方向と平行となる直線上に位置する、
又は、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置が、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置よりも前記基部から離れる方向に位置する、
ことを特徴とする慣性センサ素子。 - X1軸、X2軸、X3軸を有する三回対称の圧電材料からウェットエッチングによって素子外形が形成される音片型構造の慣性センサ素子であって、
軸線方向がX1軸、X2軸、X3軸のうちいずれか1つの軸と平行となる基部と、
軸線方向が前記基部と直交する方向であって前記基部から延出する検出脚部と、
前記検出脚部とは反対側に前記基部から延出する励振脚部と、
前記検出脚部及び前記励振脚部の前記基部側に向く各端側において該基部に近づくにつれて広がるように拡幅するテーパ部と、
を備え、
前記ウェットエッチングで得られる当該テーパ部において、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置と、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置とが、
前記基部の軸線方向と平行となる直線上に位置する、
又は、
前記基部の+X方向を向く辺における拡幅開始位置が、
前記基部の+X方向を向く辺とは反対側の辺に形成される残渣の前記基部から離れる先端の位置よりも前記基部から離れる方向に位置する、
ことを特徴とする慣性センサ素子。
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