JP2007177896A - 転がり支持装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リニアガイドの取り付け精度を良好にしながら、金属製軌道面および取り付け基準面以外の防錆性能と摺動性能が長期に渡って持続されるようにする。
【解決手段】案内レール4のボール転動溝(軌道面)41、下面(取り付け基準面)42、および左側面(取り付け基準面)43に、鋼材の熱処理面を露出させ、これ以外の面に、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を形成する。スライダ5のボール転動溝(軌道面)51、上面(取り付け基準面)52、および左側面(取り付け基準面)53に、鋼材の熱処理面を露出させ、これ以外の面に、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する装置、具体的には、転がり軸受(ボールベアリング、ローラベアリング等)、ボールねじ、リニアガイド、ボールスプライン、リニアボールベアリング等に関する。
リニアガイドのスライダは、通常、浸炭鋼(SCR415、SCM420相当)、SAE1055、S45C、S58C等の鉄鋼材料で形成されており、防錆を目的として表面にめっきを施すことが行われている(例えば、特許文献1参照)。この場合に採用されるめっき法としては、一般に、硬質クロムめっき、無電解ニッケルめっき、低温電解クロムめっき等が挙げられる。
このような一般的なめっき法では、めっき層が薄いと、均一なめっき処理がなされなかったり、めっき層にクラックやピットが生じ易くなったりするため、防錆性能向上効果が不十分な場合がある。めっき層が厚いと防錆性能は高くなるが、厚さが不均一になり易い。転動体は面圧が付与された状態で軌道面を転動するため、厚さが不均一なめっき層は軌道面から剥がれ易くなる。したがって、厚いめっき層を設けた場合でも、防錆性能を長期に渡って持続することは困難である。
また、軌道面のめっき層が厚過ぎると、転がり支持装置の作動時の摺動抵抗が大きくなって良好に作動しなくなる恐れがあり、取り付け基準面のめっき層が厚過ぎると、転がり支持装置の取り付け精度が不良となる恐れがある。
下記の特許文献2には、冷延鋼板等の鉄系材料表面に塗布乾燥によって密着性の高い防錆皮膜を形成するための処理液として、ジルコニウム化合物および/またはチタン化合物を金属元素換算で5〜5000ppm含有し、遊離フッ素イオンを0.1〜100ppm含有し、pHが2〜6である水溶液が開示されている。
特開平1−96394号公報 特開2004−190121号公報
本発明の課題は、転がり支持装置の取り付け精度を良好にしながら、防錆性能と摺動性能(転動体の円滑な転動性)が長期に渡って持続されるようにすることである。
上記課題を解決するために、本発明は、互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置において、前記第1部材および第2部材の金属材料からなる面は、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面とを除いた面が、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層で被覆され、軌道面は潤滑剤で潤滑されることを特徴とする転がり支持装置を提供する。
「他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面」とは、通常は「取り付け基準面」を指すが、取り付け基準面であっても精度が要求されない面はフッ素樹脂を含有する合成樹脂層で被覆されることもある。
前記合成樹脂層は、第1部材および第2部材の鉄鋼材料からなる面に、中間層を介して被覆され、前記中間層は、ジルコニウム化合物またはチタン化合物を含有して遊離フッ素イオンが存在する酸性の水溶液で、前記面を処理することにより形成されたものであることが好ましい。
本発明はまた、互いに対向配置される軌道面を備えた金属製の第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置の前記第1部材および第2部材の製造方法において、研削加工の前工程として、第1部材および第2部材の全ての面に、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を被覆する工程を行った後に、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面を研削加工することを特徴とする転がり支持装置の製造方法を提供する。
本発明の転がり支持装置の製造方法において、前記第1部材および第2部材の鉄鋼材料からなる面を、ジルコニウム化合物またはチタン化合物を含有して遊離フッ素イオンが存在する酸性の水溶液で処理することにより、前記面に中間層を形成した上に、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を被覆することが好ましい。
前記中間層の形成方法については、特許文献2に記載されている。この方法によれば、高炭素クロム軸受鋼、浸炭鋼(SCR420相当)、SAE1055、S45C、S58C等からなる表面に特定の処理液を塗布した後に乾燥することで、密着性の高い防錆皮膜が形成される。この皮膜の形成によって前記表面の粗さは変化しない。すなわち、前記軌道面の表面粗さが平均粗さ(Ra)で0.2μm以下であれば、中間層の表面粗さも平均粗さ(Ra)で0.2μm以下となる。また、この皮膜の上に前記合成樹脂層を形成した場合の密着性にも優れている。
図1は、前記第1部材または第2部材の、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層で被覆されている部分を示す断面図である。この図において、符号「1」は、第1部材または第2部材の面(表層部)であり、符号「2」は、前記面を被覆する「フッ素樹脂を含有する合成樹脂層」であり、符号「3」は中間層である。
使用可能なフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。さらに、上記以外の二フッ化物、三フッ化物、および四フッ化物の重合体も使用可能である。
フッ素樹脂を含有する合成樹脂層は、これらのフッ素樹脂のみからなる層であってもよいし、これらのフッ素樹脂と結合剤(ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂等)との混合物からなる層であってもよい。
本発明の転がり支持装置で使用可能な潤滑剤としては、鉱油、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、またはフッ素油を基油としたグリースが挙げられる。
本発明の転がり支持装置によれば、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面とを除いた面は、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層で被覆されているため、前記面には優れた防錆性能が付与される。他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面には前記合成樹脂層が被覆されていないが、軌道面は使用時に潤滑剤で潤滑され、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面には他部材が精度良く接触するため、防錆性能が確保される。
本発明の転がり支持装置の製造方法によれば、研削加工の前工程として、第1部材および第2部材の全ての面に、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を被覆する工程を行った後に、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面に対する研削加工を行うため、これらの面を除いた面に、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を被覆することが容易にできる。
また、本発明の方法で得られた転がり支持装置の研削加工された面は、合成樹脂層を被覆した後に研削加工されているため、合成樹脂層が被覆されている面(引き抜き加工された面)よりも残留応力が低減されていることや面粗さが良好であることから、錆び難くなっている。よって、本発明の方法で得られた転がり支持装置の研削加工された面は、合成樹脂層が被覆されていなくても防錆性能が確保できる。
本発明の転がり支持装置において、合成樹脂層の厚さは、防錆性能が十分に発揮される厚さであれば特に限定されないが、合成樹脂層を被覆した後に研削加工(または研削加工と研磨工程)を行って製造する場合には、研削加工(または研削加工と研磨工程)により軌道面および他部材との接触面が容易に形成可能な厚さであって、シールや他の部材との嵌合に支障を来さない厚さとすることが好ましい。
本発明の転がり支持装置によれば、取り付け精度を良好にしながら、防錆性能と摺動性能(転動体の円滑な転動性)が長期に渡って持続される。本発明の転がり支持装置は、高湿度の環境下で使用される転がり支持装置として好適である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図2は、本発明の転がり支持装置の一実施形態に相当するリニアガイドを示す図である。
このリニアガイドは、案内レール(第1部材)4とスライダ(第2部材)5とボール(転動体)6とで構成されている。案内レール4の両側面にボール転動溝(軌道面)41が形成されている。スライダ5の内側面にも、案内レール4のボール転動溝41と向かい合う位置に、ボール転動溝51が形成されている。両ボール転動溝41,51により、ボール6の転動通路が形成されている。また、このリニアガイドは、スライダ5にボール戻し路が形成されていないタイプである。
案内レール4はS58C相当の鋼材製で表面が熱処理されたものであり、ボール転動溝(軌道面)41、下面(取り付け基準面)42、および左側面(取り付け基準面)43は、鋼材の熱処理面が露出している。また、案内レール4の下側角部45,46、上面から両側面のボール転動溝41の上側までの部分47、および右側面44の面に、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている。
スライダ5はS58C相当の鋼材製で表面が熱処理されたものであり、ボール転動溝(軌道面)51、上面(取り付け基準面)52、および左側面(取り付け基準面)53は、鋼材の熱処理面が露出している。また、スライダ5の上側角部55,56、内側の下面から両内側面のボール転動溝51の上側までの部分57、脚部下面から側面の角部と内側面のボール転動溝51の下側までの部分58,59、および右側面54の面に、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている。
なお、案内レール4の左側面43と右側面44、スライダ5の左側面53と右側面54は、左右のいずれか一方が取り付け基準面となるが、この実施形態では左側面43,53が取り付け基準面となっている。
案内レール4とスライダ5は下記の方法で作製した。
先ず、案内レール4の穴あけ工程前までの工程を、S58C相当の素材を用いて行った後に、高周波加熱によって熱処理を施した。また、スライダ5の穴あけ工程前までの工程を、S58C相当の素材を用いて行った後に、浸炭窒化からなる熱処理を施した。ボール6は、高炭素クロム軸受鋼SUJ2で形成し、焼入れおよび焼戻しからなる熱処理を施した。
次いで、穴あけ工程を行った後に、案内レール4とスライダ5の全表面に、中間層3と合成樹脂層2を以下の方法で形成した。
中間層3形成用の処理液を以下の方法で調製した。先ず、オキシ硝酸ジルコニウム水溶液に硝酸を添加して、そのジルコニウム濃度を0.02質量%とした。この水溶液に水酸化ナトリウムとフッ化水素酸を添加して、この水溶液のpHを3.0に、遊離フッ素イオン濃度を0.01質量%に調整した。この処理液を入れた容器内に、脱脂後に水洗を行った案内レール4とスライダ5を入れて、5分間浸漬した。次に、案内レール4とスライダ5を処理液中から取り出し、水洗後に乾燥させた。
次に、合成樹脂層2を形成するためのコーティング材を、エポキシ樹脂とポリテトラフルオロエチレンとメチルエチルケトンを混合することにより得た。エポキシ樹脂とポリテトラフルオロエチレンの割合は、質量比でエポキシ樹脂:ポリテトラフルオロエチレン=80:20とし、メチルエチルケトンの添加量を調整することで、コーティング材の粘度を、形成する合成樹脂層2の膜厚(7μm)に応じて調節した。
このコーティング材をエアースプレー法により、前記中間層3が形成された後の案内レール4とスライダ5の全表面に塗布した後、150℃で30分間加熱した。その結果、案内レール4とスライダ5の全表面に、中間層3を介してフッ素樹脂を含有するエポキシ樹脂層(合成樹脂層)2が形成された。
次いで、案内レール4の下面(取り付け基準面)42、および左側面(取り付け基準面)43に対する研削工程と、ボール転動溝(軌道面)41に対する研削工程を行った。また、スライダ5の上面(取り付け基準面)52、および左側面(取り付け基準面)53に対する研削工程と、ボール転動溝(軌道面)51に対する研削工程を行った。ボール転動溝41,51の表面粗さ(Ra)は0.15μmとした。図3は、案内レール4のボール転動溝41の研削工程を、回転砥石100で行っている状態を示す。
これにより、得られた案内レール4およびスライダ5は、ボール転動溝および取り付け基準面を除いた全ての面が、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている状態となった。これらの案内レール4とスライダ5を用いて本発明の実施例に相当するリニアガイドを組み立てた。
また、前記と同様にして熱処理を行った後に研削工程を行ってから、案内レール4とスライダ5の全表面に、中間層3と合成樹脂層2を前記と同じ方法で形成した。これにより、得られた案内レール4およびスライダ5は、ボール転動溝および取り付け基準面を含む全ての面が、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている状態となった。これらの案内レール4およびスライダ5とボール6を用いて本発明の比較例に相当するリニアガイドを組み立てた。
また、前記と同様にして熱処理を行った後に研削工程を行い、中間層3と合成樹脂層2の形成を行わないで、案内レール4およびスライダ5を得た。これらの案内レール4およびスライダ5とボール6を用いて対照例に相当するリニアガイドを組み立てた。
実施例、比較例、および対照例の各リニアガイドについて、潤滑剤として昭和シェル石油(株)製の基油が鉱油であるグリース「AS2」を用い、荷重1862N、最高速度40m/minの条件で、ストローク800mmで4800km往復移動させる走行試験を行った。この走行試験後に、スライダ5にロードセルを接触させて、案内レール4に対して速度0.5m/sの条件で動かした時の摺動抵抗を測定した。そして、実施例および比較例のリニアガイドの摺動抵抗測定値を、対照例のリニアガイドの摺動抵抗測定値で除算することで、摺動抵抗比を得た。
また、この走行試験後に、結露雰囲気での耐食性試験を行った。耐食性試験は、環境試験装置内にリニアガイドを入れて装置内を相対湿度90%とし、70℃で120時間経過した後のリニアガイドの表面に赤錆が発生しているかどうかを目視で判断した。
また、実施例、比較例、および対照例の各リニアガイドについて、スライダ5の上面(取り付け基準面)52の「うねり」を表面形状測定器で測定した。そして、実施例および比較例のスライダ上面52の「うねり」測定値から、対照例のスライダ上面52の「うねり」測定値を引くことで、「うねり」の差を得た。この値が小さいほど、表面の状態が未処理の状態に近いことを示す。
これらの試験の結果、実施例のリニアガイドでは、摺動抵抗比が1.02であり、赤錆の発生が中間層3と合成樹脂層2が形成されていない面に認められ、形成されている面には認められず、「うねり」の差は4μmであった。これに対して、比較例のリニアガイドでは、摺動抵抗比は1.60であり、赤錆の発生が認められず、「うねり」の差は10μmであった。
これらの結果のうち、摺動抵抗比の違いから、実施例のリニアガイドは比較例のリニアガイドより、摺動性能に優れていることが分かる。また、耐食性試験結果から、実施例のリニアガイドは比較例のリニアガイドより、防錆性能に優れていることが分かる。さらに、「うねり」の差の数値から、スライダ5の上面の表面状態は、実施例の方が比較例よりも未処理の状態に近いため、取り付け精度を良好にできることが分かる。
よって、実施例のリニアガイドは比較例のリニアガイドと比較して、取り付け精度を良好にしながら防錆性能が確保され、摺動性能(転動体の円滑な転動性)も良好となる。
なお、この実施形態では、スライダにボール戻し路が形成されていないタイプのリニアガイドについて説明しているが、本発明は、ボール戻し路が形成されているタイプのリニアガイドにも適用できる。
図4はその一例であり、この例では、左右に各2列の軌道を有し、スライダ5にボール戻し路50が形成されている。また、この例では、案内レール4の下面42に凹部42aが形成され、下側のボール軌道溝41に、保持ワイヤーを入れる溝41aが形成されている。この凹部42aと溝41aにも、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている。
また、この例では、スライダ5の上面52と左側面の上側部分53aが、取り付け基準面となっている。左側面の下側部分53bは、上側部分53aより凹んだ形状になっており、取り付け基準面ではない。さらに、スライダ5の上面52に凹部52aが形成されている。この凹部52aと左側面の下側部分53bにも、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている。
[第2実施形態]
図5は、本発明の転がり支持装置の一実施形態に相当するボールねじを示す図である。
このボールねじは、ねじ軸(第1部材)7とナット(第2部材)8とボール(転動体)9とで構成されている。ねじ軸7の外周面にボール転動溝(軌道面)71が螺旋状に形成され、ナット8の内周面にボール転動溝(軌道面)81が螺旋状に形成されている。
また、このボールねじは、ねじ軸7とナット8との間にグリース10を充填しているとともに、ナット8の両端にシール部材11を設けて、ねじ軸7とナット8との間を塞いでいる。
ねじ軸7は、SAE4150相当の鋼材製で表面が熱処理されたものである。ねじ軸7のボール転動溝(軌道面)71には鋼材の熱処理面が露出しており、外周面72には、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている。
ナット8は、SAE4150相当の鋼材製で表面が熱処理されたものである。ナット8のボール転動溝(軌道面)81、外周面(取り付け基準面)82、この外周面82に連続するフランジ内端面(取り付け基準面)83には、鋼材の熱処理面が露出している。ナット8の内周面のボール軌道溝81の間となる部分84、フランジ外周面、フランジ端面、およびフランジ内周面を含む部分85、フランジと反対側の端面と内周面端部を含む部分86には、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている。
ねじ軸7とナット8は下記の方法で作製した。
先ず、ねじ軸7のボール転動溝71を形成する前までの工程を、SAE4150相当の素材を用いて行った後に、高周波加熱による熱処理を施した。また、ナット8のボール転動溝81を形成する前までの工程を、SAE4150相当の素材を用いて行った後に、浸炭窒化による熱処理を施した。ボール9は高炭素クロム軸受鋼SUJ2で形成し、焼入れおよび焼戻しからなる熱処理を施した。
次いで、ボール転動溝71,81を含むねじ軸7とナット8の全表面に、以下の方法で中間層3と合成樹脂層2を形成した。
中間層3形成用の処理液を以下の方法で調製した。先ず、オキシ硝酸ジルコニウム水溶液にオキシジルコニウム塩を添加して、そのジルコニウム濃度を0.7質量%とした。この水溶液に水リン酸アンモニウム塩、リン酸、およびフッ化水素酸を添加して、この水溶液のpHを3.0に、遊離フッ素イオン濃度を0.02質量%に調整した。この処理液を入れた容器内に、脱脂後に水洗を行ったねじ軸7とナット8を入れて、5分間浸漬した。次に、ねじ軸7とナット8を処理液中から取り出し、水洗後に乾燥させた。
このようにして形成された中間層3の上に、第1実施形態と同じ方法で、フッ素樹脂を含有するエポキシ樹脂層からなる合成樹脂層2を形成した。
次いで、ねじ軸7のボール転動溝(軌道面)71に対する研削工程を行った。また、ナット8の外周面(取り付け基準面)82、この外周面82連続するフランジ内端面(取り付け基準面)83に対する研削工程と、ボール転動溝(軌道面)81に対する研削工程を行った。ボール転動溝71,81の表面粗さ(Ra)は0.13μmとした。図5は、ねじ軸7のボール転動溝71の研削工程を、回転砥石100で行っている状態を示す。
これにより、得られたねじ軸7およびナット8は、ボール転動溝および取り付け基準面を除いた全ての面が、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている状態となった。これらのねじ軸7およびナット8と、ボール9とグリース10とシール部材11を用いて、本発明の実施例に相当するボールねじを組み立てた。
また、前記と同様にして熱処理を行った後に研削工程を行ってから、ねじ軸7とナット8の全表面に、中間層3と合成樹脂層2を前記と同じ方法で形成した。これにより、得られたねじ軸7およびナット8は、ボール転動溝および取り付け基準面を含む全ての面が、中間層を介して、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層が形成されている状態となった。これらのねじ軸7およびナット8と、ボール9とグリース10とシール部材11を用いて、本発明の比較例に相当するボールねじを組み立てた。
また、前記と同様にして熱処理を行った後に研削工程を行い、中間層3と合成樹脂層2の形成を行わないで、ねじ軸7とナット8を得た。これらのねじ軸7およびナット8と、ボール9とグリース10とシール部材11を用いて、対照例に相当するボールねじを組み立てた。
実施例、比較例、および対照例の各ボールねじについて、潤滑剤として昭和シェル石油(株)製の基油が鉱油であるグリース「AS2」を用い、予圧10N、最高速度40m/minの条件で、ストローク400mmで2200km往復移動させる走行試験を行った。この走行試験後に、ねじ軸7をモータで回転し、ナット8がつれ回る力をロードセルによって検出し、この検出値を軌道面のトルクに換算することで、ボールねじのトルクを調べた。そして、実施例および比較例のボールねじのトルク測定値を、対照例のボールねじのトルク測定値で除算することで、トルク比を得た。
また、この走行試験後に、結露雰囲気での耐食性試験を行った。この耐食性試験は、第1の実施形態と同じ方法で行った。
また、実施例、比較例、および対照例の各ボールねじについて、ナット8の外周面(取り付け基準面)82の「うねり」を表面形状測定器で測定した。そして、実施例および比較例のナット外周面82の「うねり」測定値から、対照例のナット外周面82の「うねり」測定値を引くことで、「うねり」の差を得た。この値が小さいほど、表面の状態が未処理の状態に近いことを示す。
これらの試験の結果、実施例のボールねじでは、トルク比が1.0であり、赤錆の発生が中間層3と合成樹脂層2が形成されていない面に認められ、形成されている面には認められず、「うねり」の差は4μmであった。これに対して、比較例のボールねじでは、トルク比が2.3であり、赤錆の発生が認められず、「うねり」の差は10μmであった。
これらの結果のうち、トルク比の違いから、実施例のボールねじは比較例のボールねじより、摺動性能に優れていることが分かる。また、耐食性試験結果から、実施例のボールねじは比較例のボールねじより、防錆性能に優れていることが分かる。さらに、「うねり」の差の数値から、ナット8の外周面の表面状態は、実施例の方が比較例よりも未処理の状態に近いため、取り付け精度を良好にできることが分かる。
よって、実施例のボールねじは比較例のボールねじと比較して、取り付け精度を良好にしながら、軌道溝および取り付け基準面以外の防錆性能が確保され、摺動性能(転動体の円滑な転動性)も良好となる。
なお、上記各実施形態では、リニアガイドの案内レールおよびスライダの材料としてS58C相当の鋼材を用い、ボールねじのねじ軸およびナットの材料としてSAE4150相当の鋼材を使用したが、これに代えて、SCR415、SCM420、SAE1055、S45Cや、SUS440C相当のステンレス鋼を用いた場合でも、同様の効果が得られる。
中間層を介してフッ素樹脂を含有する合成樹脂層で被覆されている部分を示す断面図である。 本発明の転がり支持装置の一実施形態に相当するリニアガイドを示す図である。 リニアガイドの案内レールのボール転動溝を、回転砥石で研削している状態を示す斜視図である。 本発明の転がり支持装置の一実施形態に相当するリニアガイドを示す図である。 本発明の転がり支持装置の一実施形態に相当するボールねじを示す図である。 ボールねじのねじ軸のボール転動溝を、回転砥石で研削している状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 軌道面および取り付け基準面を除いた面の表層部
2 合成樹脂層
3 中間層
4 案内レール(第1部材)
41 ボール転動溝(軌道面)
42 案内レールの下面(取り付け基準面)
43 案内レールの左側面(取り付け基準面)
44 案内レールの右側面
5 スライダ(第2部材)
50 ボール戻し路
51 ボール転動溝(軌道面)
52 スライダの上面(取り付け基準面)
53 スライダの左側面(取り付け基準面)
53a スライダの左側面の上側部分(取り付け基準面)
53b スライダの左側面の下側部分
54 スライダの右側面
6 ボール(転動体)
7 ねじ軸(第1部材)
71 ボール転動溝(軌道面)
8 ナット(第2部材)
81 ボール転動溝(軌道面)
82 ナットの外周面(取り付け基準面)
83 ナットのフランジ内端面(取り付け基準面)
9 ボール(転動体)
10 グリース
11 シール部材

Claims (4)

  1. 互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置において、
    前記第1部材および第2部材の金属材料からなる面は、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面とを除いた面が、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層で被覆され、軌道面は潤滑剤で潤滑されることを特徴とする転がり支持装置。
  2. 前記合成樹脂層は、第1部材および第2部材の鉄鋼材料からなる面に、中間層を介して被覆され、前記中間層は、ジルコニウム化合物またはチタン化合物を含有して遊離フッ素イオンが存在する酸性の水溶液で、前記面を処理することにより形成されたものである請求項1記載の転がり支持装置。
  3. 互いに対向配置される軌道面を備えた金属製の第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置の前記第1部材および第2部材の製造方法において、
    研削加工の前工程として、第1部材および第2部材の全ての面に、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を被覆する工程を行った後に、他部材との接触面であって取り付け精度が要求される面と軌道面を研削加工することを特徴とする転がり支持装置の製造方法。
  4. 前記第1部材および第2部材の鉄鋼材料からなる面を、ジルコニウム化合物またはチタン化合物を含有して遊離フッ素イオンが存在する酸性の水溶液で処理することにより、前記面に中間層を形成した上に、フッ素樹脂を含有する合成樹脂層を被覆する請求項3記載の転がり支持装置の製造方法。
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