JP2007177878A - ツインクラッチ式変速機およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ツインクラッチ式変速機1では、変速段を予め選択する所謂プリシフトの際に、同期装置81,82をニュートラル状態に所定時間保持することによりプリシフトされる歯車列の回転数と、この歯車列を選択する同期装置81,82の回転数との回転数差を低減することができる。これにより、ツインクラッチ式変速機1の構造や制御を複雑化することなく、被駆動歯車71,72,73,74や同期装置81,82を含む歯車機構に作用する負荷を低減することができるので、歯車機構の耐久性を向上することができる。
【選択図】図1
Description
このツインクラッチ式変速機では、走行パターンから次変速を推定して、推定された変速を実行するために必要な歯車列を予備選択する、所謂プリシフトを行うことで変速動作を迅速に実行するものとしている。
ツインクラッチ式変速機では、変速時のクラッチの架け替えでクラッチ接続と歯車列の選択とが解除された入力軸は慣性により自由回転することになるが、このクラッチ接続と歯車列の選択とが解除された入力軸はクラッチ接続された入力軸との間の軸間摩擦等によりこのクラッチ接続された入力軸に引き摺られ、両入力軸の回転数差が低減する。従って、変速段を予め選択する所謂プリシフトの際に選択手段を所定時間ニュートラルに保持することにより、プリシフトされる歯車列の回転数と、この歯車列を選択する選択手段の回転数との回転数差を低減することができる。この結果、制御および構造を複雑化することなく、歯車列および選択手段を含む歯車機構に作用する負荷を低減することができるので、歯車機構の耐久性を向上することができる。
ツインクラッチ式変速機では、変速時のクラッチの架け替えでクラッチ接続と歯車列の選択とが解除された入力軸は慣性により自由回転することになるが、このクラッチ接続と歯車列の選択とが解除された入力軸はクラッチ接続された入力軸との間の軸間摩擦等によりこのクラッチ接続された入力軸に引き摺られ、両入力軸の回転数差が低減する。従って、変速段を予め選択する所謂プリシフトの際に選択手段を所定時間ニュートラルに保持することにより、プリシフトされる歯車列の回転数と、この歯車列を選択する選択手段の回転数との回転数差を低減することができる。この結果、制御および構造を複雑化することなく、歯車列および選択手段を含む歯車機構に作用する負荷を低減することができるので、歯車機構の耐久性を向上することができる。
図1は、一実施例であるツインクラッチ式変速機の概略構成図であり、図において、ツインクラッチ式変速機1は、第1クラッチ2aを介して図示しない内燃機関のクランク軸に接続する第1入力軸3と、第2クラッチ2bを介して図示しない内燃機関のクランク軸に接続するとともに第1入力軸3に同軸状に外嵌された第2入力軸4と、第1入力軸3および第2入力軸4に配置された駆動歯車51(1速用),52(2速用),53(3速用),54(4速用)と、各駆動歯車51,52,53,54と噛合する被駆動歯車71(1速用),72(2速用),73(3速用),74(4速用)が配置された出力軸6とを備えており、この出力軸6に設けられた前記被駆動歯車71,72,73,74は遊転歯車として構成され、遊転歯車間には同期装置81,82が配置されていて、この各同期装置81,82のカップリングスリーブに係合されたシフトフォーク91,92が出力軸6に沿って軸方向(シフト方向)に移動できるようフォークシャフト10を備えている。
各シフトフォーク91,92は、シフト要求があると各同期装置81,82のカップリングスリーブを移動させ、シフト要求があった被駆動歯車71,72,73,74を選択して変速できるように構成されている。各シフトフォーク91,92は、シフト要求があると各同期装置81,82のカップリングスリーブを移動させ、シフト要求があった被駆動歯車71,72,73,74を選択して変速できるように構成されている。
図2に示すように、上記シフトフォーク91,92の何れかをセレクトするためのセレクト用モータ101が設けられているとともに、セレクトされたシフトフォーク91,92が係合する同期装置81,82のカップリングスリーブをシフト方向に移動してシフト要求のあった変速段の被駆動歯車71,72,73,74を選択して変速させるシフト用モータ102が設けられている。
上記セレクト用モータ101,シフト用モータ102は、制御部100の出力側に接続されており、それぞれのモータ101,102は、制御部100から出力される駆動電力によって駆動される。
なお、図1に示しているシフト方向矢印F,Bは、シフト用モータ102の軸部の回動方向を示していて、例えばシフトフォーク91がセレクトされた状態でシフト用モータ102の軸が矢印Fの方向に回動されると、同期装置81のカップリングスリーブは被駆動歯車74を選択し、シフト用モータ102の軸が矢印Bの方向に回動されると、同期装置81のカップリングスリーブは被駆動歯車72を選択する。同様に、シフトフォーク92がセレクトされた状態でシフト用モータ102の軸が矢印Fの方向に回動されると、同期装置82は被駆動歯車71を選択し、シフト用モータ102の軸が矢印Bの方向に回動されると、同期装置82のカップリングスリーブは被駆動歯車73を選択する。
ステップS1に示すように、制御部100は、アクセル開度センサ103および車速センサ104からのアクセル開度信号と車速信号を入力し、それぞれのデータを読み込み、ステップS2において、車速Vの変化率V’を次式に基づいて算出する。
V’=(V2−V1)/ΔT
次に、ステップS3において、上記算出された車速Vの変化率V’に基づいて、シフト要求の判定を行う。この判定は、実施例では、車速Vの変化率V’が正の値であればアップシフト要求、負の値であればダウンシフト要求、値0であればシフト要求なしと判断するものとした。続いて、ステップS4において、シフト要求に基づいて目標変速段D*の設定を行う。目標変速段D*の設定は、車速Vとアクセル開度Accと変速段との関係を設定して予めマップM1として制御部100の記憶エリアに記憶しておき、車速Vとアクセル開度Accとが与えられると、記憶したマップM1から対応する目標変速段D*が設定されるものとした。シフト時における車速Vとアクセル開度Accと目標変速段D*との関係の一例を示すシフト時目標変速段設定マップを図4に示す。図中の実線は、アップシフト時における車速Vとアクセル開度Accと目標変速段D*との関係を示したものであり、図中の破線は、ダウンシフト時における車速Vとアクセル開度Accと目標変速段D*との関係を示したものである。
1速で変速しながら2速がプリシフトされた状態から2速への変速要求がなされると、シフト要求はアップシフトであるのでステップS6において、増速変速段Dhとして3速が設定されるとともに保持時間tとしてt3が設定される。そして、第1クラッチ2aと第2クラッチ2bの架け替えを行って2速へ変速するとともに、1速の被駆動歯車71を選択している同期装置82のカップリングスリーブをニュートラル状態を経て3速の被駆動歯車73を選択するよう軸方向へ移動して3速へのプリシフトを実行する。このとき、同期装置82のカップリングスリーブをニュートラル状態で保持時間t3だけ保持してから3速の被駆動歯車73を選択するのである。この結果、保持時間t3の間に第1入力軸3が第2入力軸4との間の軸間摩擦等により第2入力軸4につれ回ることで、第1入力軸3と第2入力軸4との回転数差が減少して、3速の被駆動歯車73と同期装置82のカップリングスリーブの回転数差が減少することになる。即ち、3速の被駆動歯車73と同期装置82のカップリングスリーブの回転数差が、ほぼ2速の被駆動歯車72と3速の被駆動歯車73とのギヤ比分だけとなる。
一方、増速変速段Dhあるいは減速変速段Dlへのシフト要求が無ければ、ステップS24に戻って保持時間が経過するまで、あるいは、増速変速段Dhあるいは減速変速段Dlへのシフト要求があるまでステップS24とステップS28の処理を繰り返し行う。
2a,2b クラッチ
3 第1入力軸
4 第2入力軸
6 出力軸
10a,10b フォークシャフト
51,52,53,54 駆動歯車
71,72,73,74 被駆動歯車
81,82 同期装置
100 制御部
101 セレクト用モータ
102 シフト用モータ
M1,M2,M3 マップ
Claims (7)
- 第1クラッチを介してエンジンからの動力が入力される第1入力軸と、該第1入力軸と出力軸との間を連結可能な第1歯車列を選択する第1選択手段と、第2クラッチを介して前記エンジンからの動力が入力される第2入力軸と、該第2入力軸と前記出力軸との間を連結可能な第2歯車列を選択する第2選択手段と、を備え、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチを断続して前記第1入力軸または前記第2入力軸から前記動力を変速して前記出力軸に伝達するツインクラッチ式変速機であって、
要求動力に基づいて目標変速段を設定する目標値設定手段と、
該設定された目標変速段を構成する目標歯車列を選択するよう前記第1選択手段または前記第2選択手段を駆動制御するとともに、該設定された目標変速段とは異なる非目標変速段を構成する非目標歯車列を予め選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第2選択手段または前記第1選択手段を何れの歯車列も選択しないニュートラル状態に所定時間保持した後に前記非目標歯車列を予め選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御する手段であるツインクラッチ式変速機。 - 前記制御手段は、前記目標変速段が増速側であるときには、前記非目標歯車列として該目標変速段よりも1段大きい変速段を構成する歯車列を選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御し、前記目標変速段が減速側であるときには、前記非目標歯車列として該目標変速段よりも1段小さい変速段を構成する歯車列を選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御する手段である請求項1記載のツインクラッチ式変速機。
- 変速段に基づいて前記所定時間を設定する時間設定手段を備え、
前記制御手段は、前記時間設定手段によって設定された前記所定時間だけ前記第2選択手段または前記第1選択手段を前記ニュートラル状態に保持した後に前記非目標歯車列を予め選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御する手段である請求項1または請求項2記載のツインクラッチ式変速機。 - 前記時間設定手段は、変速段間の段間比が大きい変速段ほど前記所定時間を長く設定する手段である請求項3記載のツインクラッチ式変速機。
- 前記制御手段は、前記非目標変速段とは異なる変速段への変速要求があった際には、前記所定時間経過前であっても前記非目標歯車列を選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御する手段である請求項1乃至請求項4何れか記載のツインクラッチ式変速機。
- 前記第1選択手段および前記第2選択手段は、シンクロ機構を有する手段である請求項1乃至請求項5何れか記載のツインクラッチ式変速機。
- 第1クラッチを介してエンジンからの動力が入力される第1入力軸と、該第1入力軸と出力軸との間を連結可能な第1歯車列を選択する第1選択手段と、第2クラッチを介して前記エンジンからの動力が入力される第2入力軸と、該第2入力軸と前記出力軸との間を連結可能な第2歯車列を選択する第2選択手段と、を備え、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチを断続して前記第1入力軸または前記第2入力軸から前記動力を変速して前記出力軸に伝達するツインクラッチ式変速機の制御方法であって、
(a)要求動力に基づいて目標変速段を設定し、
(b)該設定された目標変速段を構成する歯車列を選択するよう前記第1選択手段または前記第2選択手段を駆動制御するとともに、該設定された目標変速段とは異なる変速段を構成する歯車列を予め選択するよう前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御し、
(c)前記目標変速段とは異なる変速段を構成する歯車列を予め選択する際には、前記第2選択手段または前記第1選択手段を何れの歯車列も選択しないニュートラル状態に所定時間保持してから前記第2選択手段または前記第1選択手段を駆動制御する
ツインクラッチ式変速機の制御方法。
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