JP2007176218A - タイヤ空気圧監視システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の各タイヤ13,14,15,16に設けられ、空気圧センサと送信機を有するセンサユニット1,2,3,4と、受信機9と、各タイヤの空気圧が空気圧警報閾値以下となった場合、乗員にタイヤ空気圧低下を知らせる警報を出す制御ECU10と、を備えたタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記受信機として、各タイヤのセンサユニットから送信された電波を受信する受信機9を設け、前記制御ECU10は、車両のエンジンが停止される前の走行中における各タイヤの空気圧と、車両のエンジンが起動された後の走行中における各タイヤの空気圧と、の変化に基づいて、タイヤローテーションの有無を判定する。
【選択図】図1
Description
ここで、「タイヤローテーション」とは、タイヤのトレッド摩耗を均一にし、寿命(トレッドライフ)を延ばすため、タイヤ装着位置を換えることをいう。例えば、乗用車では、一般に、左右のタイヤ位置を変えることなく、あるいは、左右のタイヤ位置をクロスし、前後輪が入れ替えられる。
前記受信機として、各タイヤのセンサユニットから送信された電波を受信する受信機を設け、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、車両の動力源が停止される前の走行中における各タイヤの空気圧と、車両の動力源が起動された後の走行中における各タイヤの空気圧と、の変化に基づいて、タイヤローテーションの有無を判定するタイヤローテーション判定手段を有することを特徴とする。
すなわち、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両(例:前輪空気圧>後輪空気圧)においては、例えば、前後輪を入れ替えるタイヤローテーション作業を行った後、前輪(タイヤローテーション前は後輪)のタイヤ空気圧を上げ、後輪(タイヤローテーション前は前輪)のタイヤ空気圧を下げ、前後輪のタイヤ空気圧設定値に一致させ、タイヤローテーション後の走行に備える。
一方、各タイヤのセンサユニットから送信された電波を一台の受信機により受信しているため、各タイヤの空気圧を監視しているタイヤ空気圧監視制御手段側では、タイヤローテーションにより前後輪を入れ替えたことを直ちに判定することはできない。しかし、タイヤローテーション時にタイヤ空気圧の調整作業が行われているため、センサID(=identification)により特定される個々のタイヤについては、車両の動力源が停止される前と起動された後とでタイヤ空気圧が変化していることを把握できる。
したがって、タイヤローテーション作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両の動力源が停止される前と車両の動力源が起動された後)の走行中における各タイヤの空気圧を監視し、2つのタイヤの空気圧が車両の動力源が停止される前に比べて減少し、且つ、2つのタイヤの空気圧が車両の動力源が停止される前に比べて増加するというタイヤ空気圧変化がみられる場合、タイヤ空気圧調整を伴う前後輪の入れ替えタイヤローテーションであると判定することができる。
この結果、受信機1台による低コストのシステムでありながら、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーションの有無を判定することができる。
図1は実施例1のタイヤ空気圧監視システムが適用された車両を示す全体斜視図、図2は実施例1のタイヤ空気圧監視システムを示す制御ブロック図である。
実施例1のタイヤ空気圧監視システムは、図1および図2に示すように、第1センサユニット1と、第2センサユニット2と、第3センサユニット3と、第4センサユニット4と、右前輪速センサ5と、左前輪速センサ6と、右後輪速センサ7と、左後輪速センサ8と、受信機9と、制御ECU10(タイヤ空気圧監視制御手段)と、表示器11と、警報器12と、を備えている。
この各センサユニット1,2,3,4のそれぞれは、タイヤ空気圧を検出する空気圧センサと、電源としてのバッテリと、データ送信のトリガ信号を出す遠心スイッチと、コイルアンテナを備えた送信機と、タイヤ温度を検出する温度センサ等を有する。
そして、例えば、遠心スイッチによるトリガ信号に基づき、車速に応じた所定時間毎にタイヤ空気圧情報とタイヤ温度情報とをセンサID(識別コード)と共に送信する。
なお、バッテリは、寿命が有限であることで、受信機をレシーバからトランシーバに換えて測定結果の送受信ができるようにし、空気圧・温度センサ側の結果を送信するトランスミッタをトランスポンダとすることにより、トランシーバから送信されてきた信号のエネルギーそのものにより返信することができるバッテリレスによるセンサユニットを用いても良い。
ここで、各タイヤのエンジンOFF前/ON後における圧力平均値を、
P_FR-R_N-1:前輪右圧力平均値(エンジンOFF前)
P_FR-L_N-1:前輪左圧力平均値(エンジンOFF前)
P_RR-R_N-1:後輪右圧力平均値(エンジンOFF前)
P_RR-L_N-1:後輪左圧力平均値(エンジンOFF前)
P_FR-R_N :前輪右圧力平均値(エンジンON後)
P_FR-L_N :前輪左圧力平均値(エンジンON後)
P_RR-R_N :後輪右圧力平均値(エンジンON後)
P_RR-L_N :後輪左圧力平均値(エンジンON後)
とする。
上記圧力平均値は以下の方法で算出する。
(1)圧力平均実値及び温度平均値(Temp_ave)の算出
〈エンジンOFF前値〉
0<車速<V_PRESSのときT_PRESS間の圧力値を積算し、平均化処理を行い、圧力平均値を算出する。圧力平均値は常時更新し、エンジンOFF前値のみをEEPRPM(electrically erasable programmable read only memory)に記憶しておく。
V_PRESS:圧力平均値算出時の車速(例えば、一般走行程度〜60km/h)
T_PRESS:圧力平均値算出時の算出平均時間(例えば、通常走行中にタイヤ空気圧が変化しない程度の時間、例:1秒)
圧力と同時に、車速<V_PRESSのときT_PRESS間の温度(Temp)を積算し、平均化処理を行い、温度平均値(Temp_ave)を算出する。温度平均値は常時更新し、エンジンOFF前値のみをEEPRPMに記憶しておく。
〈エンジンON後値〉
0<車速<V_PRESSのときT_PRESS間の圧力値を積算し、平均化処理を行い、圧力平均値を算出する。圧力平均値は常時更新する。
圧力と同時に、車速<V_PRESSのときT_PRESS間の温度(Temp)を積算し、平均化処理を行い、温度平均値(Temp_ave)を算出する。温度平均値は常時更新する。
(2)圧力平均値の算出
エンジンON/OFF前後の温度平均値(Temp_ave)が、下記の温度条件、
Temp_LO<Temp_ave<Temp_HI
Temp_LO:圧力比較温度下限値(タイヤ発熱特性で設定、例:外気温-10℃)
Temp_HI:圧力比較温度上限値(タイヤ発熱特性で設定、例:外気温+10℃)
が成立したときの圧力平均値を用い、各圧力平均値P_FR-R_N-1、P_FR-L_N-1、P_RR-R_N-1、P_RR-L_N-1、P_FR-R_N、P_FR-L_N、P_RR-R_N、P_RR-L_Nを算出する。
このステップS2では、各タイヤにおいて圧力平均値のエンジンOFF前/ON後における差を、
前輪右圧力差D_P_FR_R:D_P_FR_R=(P_FR-R_N-1)−(P_FR-R_N)
前輪左圧力差D_P_FR_L:D_P_FR_L=(P_FR-L_N-1)−(P_FR-L_N)
後輪右圧力差D_P_RR_R:D_P_RR_R=(P_RR-R_N-1)−(P_RR-R_N)
後輪左圧力差D_P_RR_L:D_P_RR_L=(P_RR-L_N-1)−(P_RR-L_N)
の式により算出し、
D_P_FR_R>OKpa、且つ、D_P_FR_L>OKpa、且つ、D_P_RR_R>OKpa、且つ、D_P_RR_L>Okpa
Okpa:圧力変化判断閾値(この値は、経時抜けによる圧力変化と圧力調整による圧力変化とを切り分ける値に設定)
と判断されたときにのみ、ステップS3へ移行する。
ここで、圧力増加/減少によるローテーション判断は、エンジンOFF前/ON後において、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するとき、ローテーション条件が成立すると判断する。すなわち、
(1) 前輪右圧力差D_P_FR_Rと前輪左圧力差D_P_FR_Lのうち、何れか1輪以上が、圧力増加判断閾値P_INC以上増加し、且つ、後輪右圧力差D_P_RR_Rと後輪左圧力差D_P_RR_Lのうち、何れか1輪以上が、圧力減少判断閾値P_DEG以上減少したとき、
又は、
(2) 前輪右圧力差D_P_FR_Rと前輪左圧力差D_P_FR_Lのうち、何れか1輪以上が、圧力減少判断閾値P_DEG以上減少し、且つ、後輪右圧力差D_P_RR_Rと後輪左圧力差D_P_RR_Lのうち、何れか1輪以上が、圧力増加判断閾値P_INC以上増加したとき、
ローテーション条件が成立と判断する。
なお、圧力増加判断閾値P_INCと圧力減少判断閾値P_DEGは、前後輪のタイヤ空気圧設定値の差および,経時抜けによる圧力変化から設定することができる。
なお、F_rot=0は、タイヤローテーション無しをあらわす。
すなわち、タイヤローテーション判定フラグF_rotが、F_rot=1のとき、各センサユニット1,2,3,4のセンサIDを再登録する。
再登録方法は、
初期値 ID入れ替え後
前輪右:閾値(XkPa)、ID_A ⇒ 前輪右:閾値(YkPa)、ID_C
前輪左:閾値(XkPa)、ID_B ⇒ 前輪左:閾値(YkPa)、ID_D
後輪右:閾値(YkPa)、ID_C ⇒ 後輪右:閾値(XkPa)、ID_A
前輪左:閾値(YkPa)、ID_D ⇒ 後輪左:閾値(XkPa)、ID_B
但し、XkPa>YkPaである。
上記のように制御ECU10の初期設定値を入れ替える。
このタイヤ空気圧調整時(タイヤローテーション無し)と判断(F_rot=0)のとき、各センサユニット1,2,3,4のセンサIDを再登録をせず、空気圧警報閾値も変更しない。
ここで、第1車輪速条件は、前輪平均車輪速V_FRが前後車輪速差演算車速域V_calのとき、前後車輪速差DVを、
DV=V_FR−V_RR
V_FR:前輪平均車輪速、V_RR:後輪平均車輪速
の式を用いて演算する。
そして、前後車輪速差絶対値|DV|が、|DV|>DV_adj_rot(DV_adj_rot:ローテーション判断用車輪速差閾値)で、且つ、前後車輪速差DVの符号が反転したとき、第1車輪速条件(タイヤ空気圧調整を伴わないタイヤローテーション条件)が成立と判断する。
[背景技術]
タイヤ空気圧監視システムには、(1)1受信機タイプ(図1)と、(2)4受信機タイプ(図4)がある。
タイヤローテーションをしたとき、タイヤに装着された各センサユニットの位置が入れ替わってしまうため、前後輪でタイヤ空気圧を異ならせた車両の場合、制御ECUが認識している空気圧警報閾値も変える必要がある。
これは、タイヤ空気圧監視システムでは、各タイヤに装着される各センサユニットのセンサID毎に、警報閾値を設定している。例えば、前輪が後輪より高圧というように、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両については、空気圧警報閾値も、各センサユニットのID毎に変えている。
このことから、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両では(一般に、タイヤ空気圧は、前輪>後輪)、空気圧警報閾値は前輪センサユニット>後輪センサユニットとなっているため、前輪に装着されていたタイヤを後輪へ、後輪に装着されていたタイヤを前輪へ入れ替えて装着するというタイヤローテーション作業を行うと共に、タイヤ空気圧をタイヤローテーション前の関係に保つ空気圧調整が行われると、タイヤ空気圧を設定圧まで下げた後輪側のタイヤ(もともとは前輪に装着されていたタイヤ)のタイヤ空気圧低下警報が早期に作動してしまう。
このため、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両では、タイヤローテーションに伴い、空気圧警報閾値を変える必要がある。
しかし、4受信機タイプにすれば、タイヤローテーションは判断できるものの、受信機が各輪に1個(合計4個)必要であり、コスト高となってしまう。
これに対し、実施例1のタイヤ空気圧監視システムでは、タイヤローテーションと同時に行われるタイヤ空気圧調整に着目し、エンジンOFF前/ON後の走行中における各タイヤ空気圧変化に基づいて、タイヤローテーションの有無を判定することで、受信機1台による低コストのシステムでありながら、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーションの有無を判定することができるようにした。
そして、エンジンOFF前/ON後の時間帯にタイヤ空気圧調整もタイヤローテーションも行わない時には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む流れとなる。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS2)と、エンジンOFF前/ON後における走行中の前後車輪速差に所定値以上の車輪速変化があり、且つ、正負反転したという第1車輪速条件(ステップS7)と、が共に不成立である場合、タイヤ空気圧調整もタイヤローテーションも無しと判定し(ステップS8)、センサIDや空気圧警報閾値を変更しない(ステップS9)。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS2)と、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件(ステップS3)と、が共に成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーション有りと判定し(ステップS4)、センサIDと空気圧警報閾値を変更する(ステップS5)。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS2)は成立するが、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件(ステップS3)が不成立である場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整のみがなされたと判定する(ステップS6)。このとき、センサIDと空気圧警報閾値は変更しない。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS2)は不成立であるが、エンジンOFF前/ON後における走行中の前後車輪速差に所定値以上の車輪速変化があり、且つ、正負反転したという第1車輪速条件(ステップS7)が成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴わないタイヤローテーション有りと判定し(ステップS4)、センサIDと空気圧警報閾値を変更する(ステップS5)。
例えば、前輪空気圧>後輪空気圧というように、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両においては、前後輪を入れ替えるタイヤローテーション作業を行った後、前輪(タイヤローテーション前は後輪)のタイヤ空気圧を上げ、後輪(タイヤローテーション前は前輪)のタイヤ空気圧を下げ、前後輪のタイヤ空気圧設定値に一致させ、タイヤローテーション後の走行に備える。
一方、各タイヤ13,14,15,16のセンサユニット1,2,3,4から送信された電波を一台の受信機により受信しているため、各タイヤ13,14,15,16の空気圧を監視している制御ECU10側では、タイヤローテーションにより前後輪を入れ替えたことを直ちに判定することはできない。しかし、タイヤローテーション時にタイヤ空気圧の調整作業が行われているため、センサIDにより特定される個々のタイヤ13,14,15,16については、車両のエンジンが停止される前と起動された後とでタイヤ空気圧が変化していることを把握できる。
したがって、タイヤローテーション作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における各タイヤ13,14,15,16の空気圧を監視し、2つのタイヤ13,14または15,16の空気圧が車両の動力源が停止される前に比べて減少し、且つ、2つのタイヤ15,16または13,14の空気圧が車両のエンジンが停止される前に比べて増加するというタイヤ空気圧変化がみられる場合、「前後輪の入れ替えタイヤローテーション」&「タイヤ空気圧調整」と判定することができる。
この結果、受信機1台による低コストのシステムでありながら、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーションの有無を判定することができる。
例えば、前輪空気圧>後輪空気圧というように、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両において、輪荷重が高い前輪の方が輪荷重の低い後輪よりもタイヤ空気圧の減少度合いが高い。そこで、前輪のタイヤが設定圧より低くなった場合、前輪のタイヤのみに対しタイヤ空気圧を上げるというタイヤ空気圧調整を行う。
この場合、タイヤ空気圧調整作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における各タイヤ13,14,15,16の空気圧を監視すると、2つのタイヤ13,14または15,16の空気圧が車両のエンジンが停止される前に比べて減少し、且つ、2つのタイヤ15,16または13,14の空気圧が車両のエンジンが停止される前に比べて増加するというタイヤローテーションに特有のタイヤ空気圧変化がみられない。
したがって、エンジンOFF前/ON後でタイヤ空気圧の変化は見られるものの、ローテーション条件が成立せず、2輪のタイヤに対する空気圧の増加のみとなる場合、タイヤローテーション無しのタイヤ空気圧調整であると判定することができる。
例えば、前輪空気圧=後輪空気圧というように、前後輪のタイヤ空気圧設定値が同じである車両においては、前後輪を入れ替えるタイヤローテーション作業を行った後でも、前輪側タイヤと後輪側タイヤの空気圧調整作業を行わないで、タイヤローテーション後の走行に移行することがある。
この場合、タイヤローテーション作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における各タイヤ13,14,15,16の空気圧を監視しても、タイヤ空気圧は変化しないため、タイヤローテーションにより前後輪を入れ替えたことを判定することはできない。
しかし、タイヤローテーションにより前後輪が入れ替わった場合、同じタイヤ空気圧であっても、輪荷重が高い前輪側タイヤ(タイヤローテーション前は後輪側タイヤ)の動半径は小さくなり、輪荷重が低い後輪側タイヤ(タイヤローテーション前は前輪側タイヤ)の動半径は大きくなり、動半径が小さいほど車輪速が高くなるというように、前後輪の車輪速差としてあらわれる。
したがって、タイヤローテーション作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における各タイヤ13,14,15,16の空気圧と、前輪タイヤと後輪タイヤの車輪速とを監視し、タイヤ空気圧の変化はみられないが、前後車輪速差に所定値以上の車輪速変化があり、且つ、正負反転したという前後車輪速変化がみられる場合、タイヤ空気圧調整無しの前後輪の入れ替えタイヤローテーションと判定することができる。
この結果、受信機1台による低コストのシステムでありながら、タイヤ空気圧調整無しのタイヤローテーションの有無を判定することができる。
実施例1のタイヤ空気圧監視システムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
図5は実施例2の制御ECU10にて実行されるタイヤローテーション判定処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(タイヤローテーション判定手段)。なお、ステップS21〜ステップS29の各ステップは、図3のステップS1〜ステップS9の各ステップと同じ処理ステップであるので、説明を省略する。
ここで、第2車輪速条件は、前輪平均車輪速V_FRが前後車輪速差演算車速域V_calのとき、前後車輪速差DVを、
DV=V_FR−V_RR
V_FR:前輪平均車輪速、V_RR:後輪平均車輪速
の式を用いて演算する。
そして、前後車輪速差絶対値|DV|が、|DV|>DV_adjの時、第2車輪速条件が不成立と判断し、空気圧調整フラグF_P_adjを、F_P_adj=1とする。
なお、|DV|≦DV_adjの時、第2車輪速条件が成立と判断し、空気圧調整フラグF_P_adjを、F_P_adj=0とする。
ここで、DV_adjは圧力調整判断用車輪速差閾値である。前後車輪速差が無ければタイヤローテーションの可能性があり、前後車輪速差があれば圧力調整作業と判断するため、前輪平均車輪速V_FRが前後車輪速差演算車速域V_calのとき、前後空気圧がタイヤ空気圧設定値に設定されているとき、温度やその他のバラツキ条件で発生する最大の前後車輪速差を閾値とする。
ここで、第3車輪速条件は、前輪平均車輪速V_FRが前後車輪速差演算車速域V_calのとき、左右前輪車輪速差DV_F_RLと左右後輪車輪速差DV_R_RLを、
DV_F_RL=V_FR−V_FL
DV_R_RL=V_RR−V_RL
V_FR:右前輪速、V_FL:左前輪速、V_RR:右後輪速、V_RL:左後輪速
の式を用いて演算する。
そして、左右前輪車輪速差絶対値|DV_F_RL|または左右後輪車輪速差絶対値|DV_R_RL|が、|DV_F_RL|>DV_RL_adjのとき、または、|DV_R_RL|>DV_RL_adjのとき、第3車輪速条件が不成立(前輪または後輪の圧力調整)であると判断し、空気圧調整フラグF_P_adjを、F_P_adj=1とする。
なお、|DV_F_RL|≦DV_RL_adjで、且つ、|DV_R_RL|≦DV_RL_adjのとき、第3車輪速条件が成立と判断し、空気圧調整フラグF_P_adjを、F_P_adj=0とする。
ここで、DV_RL_adjは圧力調整判断用左右車輪速差閾値である。左右車輪速差が無ければタイヤローテーションの可能性があり、左右車輪速差があれば圧力調整作業と判断するため、前輪平均車輪速V_FRが前後車輪速差演算車速域V_calのとき、左右空気圧がタイヤ空気圧設定値に設定されているとき、温度やその他のバラツキ条件で発生する最大の左右車輪速差を閾値とする。
する。
なお、他の構成は実施例1と同様である。
[タイヤローテーション判定作用]
エンジンOFF前/ON後の時間帯にタイヤ空気圧調整もタイヤローテーションも行わない時には、図5のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS27→ステップS28→ステップS29へと進む流れとなる。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS22)と、エンジンOFF前/ON後における走行中の前後車輪速差に所定値以上の車輪速変化があり、且つ、正負反転したという第1車輪速条件(ステップS27)と、が共に不成立である場合、タイヤ空気圧調整もタイヤローテーションも無しと判定し(ステップS28)、センサIDや空気圧警報閾値を変更しない(ステップS29)。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS22)と、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件(ステップS30)と、左右前輪車輪速差または左右後輪車輪速差が所定値未満であるという第3車輪速条件(ステップS31)と、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件(ステップS23)と、が共に成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーション有りと判定し(ステップS24)、センサIDと空気圧警報閾値を変更する(ステップS25)。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS22)は成立するが、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件(ステップS30)が不成立の場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定する(ステップS26)。このとき、センサIDと空気圧警報閾値は変更しない。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS22)と、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件(ステップS30)と、が成立しているが、左右前輪車輪速差または左右後輪車輪速差が所定値未満であるという第3車輪速条件(ステップS31)が不成立の場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定する(ステップS26)。このとき、センサIDと空気圧警報閾値は変更しない。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS22)と、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件(ステップS30)と、左右前輪車輪速差または左右後輪車輪速差が所定値未満であるという第3車輪速条件(ステップS31)と、は成立しているが、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件(ステップS23)が不成立である場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整のみがなされたと判定する(ステップS26)。このとき、センサIDと空気圧警報閾値は変更しない。
つまり、エンジンOFF前/ON後における走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件(ステップS22)は不成立であるが、エンジンOFF前/ON後における走行中の前後車輪速差に所定値以上の車輪速変化があり、且つ、正負反転したという第1車輪速条件(ステップS27)が成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴わないタイヤローテーション有りと判定し(ステップS24)、センサIDと空気圧警報閾値を変更する(ステップS25)。
例えば、前輪空気圧>後輪空気圧というように、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両において、輪荷重が高い前輪の方が輪荷重の低い後輪よりもタイヤ空気圧の減少度合いが高い。そこで、前輪のタイヤが設定圧より低くなった場合、前輪のタイヤのみに対しタイヤ空気圧を上げるというタイヤ空気圧調整を行う。
この場合、タイヤ空気圧調整作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における前後輪の車輪速差を監視すると、前輪側タイヤの動半径が大きくなることで、前輪の車輪速が車両のエンジンが停止される前に比べて低下する。
したがって、エンジンOFF前/ON後でタイヤ空気圧の変化は見られるものの、前後車輪速差が出た場合、タイヤローテーション無しのタイヤ空気圧調整であると判定することができる。
この場合、タイヤ空気圧調整作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における前輪の左右車輪速差と後輪の左右車輪速差を監視すると、空気圧を高めた左右一方側タイヤの動半径が大きくなることで、車輪速が車両のエンジンが停止される前に比べて低下する。
したがって、エンジンOFF前/ON後でタイヤ空気圧の変化は見られるものの、前輪または後輪において左右車輪速差が出た場合、タイヤローテーション無しのタイヤ空気圧調整であると判定することができる。
例えば、前後輪のタイヤ空気圧設定値が相違する車両や前後輪のタイヤ空気圧設定値が同じ車両において、経時的なタイヤ空気圧の低下が生じた場合、4輪のタイヤに対し、均等にタイヤ空気圧を上げるというタイヤ空気圧調整を行う。
この場合、車輪速変化が無く、前後車輪速差や左右車輪速差をみてもタイヤ空気圧調整を判定できない。しかし、タイヤ空気圧調整作業が行われる時間帯を挟んだ前後(車両のエンジンが停止される前と車両のエンジンが起動された後)の走行中における各タイヤ13,14,15,16の空気圧を監視すると、2つのタイヤ13,14または15,16の空気圧が車両のエンジンが停止される前に比べて減少し、且つ、2つのタイヤ15,16または13,14の空気圧が車両のエンジンが停止される前に比べて増加するというタイヤローテーションに特有のタイヤ空気圧変化がみられない。
したがって、エンジンOFF前/ON後でタイヤ空気圧の変化が見られ、第2車輪速条件と第3車輪速条件とは成立するものの、ローテーション条件が成立せず、4輪のタイヤに対する均等な空気圧の増加のみとなる場合、タイヤローテーション無しのタイヤ空気圧調整であると判定することができる。
実施例2のタイヤ空気圧監視システムにあっては、実施例1の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
2 第2センサユニット
3 第3センサユニット
4 第4センサユニット
5 右前輪速センサ
6 左前輪速センサ
7 右後輪速センサ
8 左後輪速センサ
9 受信機
10 制御ECU(タイヤ空気圧監視制御手段)
11 表示器
12 警報器
13,14,15,16 タイヤ
Claims (12)
- 車両の各タイヤに設けられ、空気圧センサと送信機を有するセンサユニットと、該センサユニットから送信された電波を受信する受信機と、各タイヤの空気圧が空気圧警報閾値以下となった場合、乗員にタイヤ空気圧低下を知らせる警報を出すタイヤ空気圧監視制御手段と、を備えたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記受信機として、各タイヤのセンサユニットから送信された電波を受信する受信機を設け、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、車両の動力源が停止される前の走行中における各タイヤの空気圧と、車両の動力源が起動された後の走行中における各タイヤの空気圧と、の変化に基づいて、タイヤローテーションの有無を判定するタイヤローテーション判定手段を有することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件と、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件と、が共に成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーション有りと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1または2に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件は成立しているが、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件が不成立の場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後との走行中のタイヤ空気圧変化と、動力源が停止される前と動力源が起動された後との走行中の前後車輪速差変化と、に基づいて、タイヤがローテーションされたか否かを判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項4に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件は不成立であるが、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中の前後車輪速差に所定値以上の車輪速変化があり、且つ、正負反転したという第1車輪速条件が成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴わないタイヤローテーション有りと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件と、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件と、左右前輪車輪速差または左右後輪車輪速差が所定値未満であるという第3車輪速条件と、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件と、が共に成立した場合、タイヤ空気圧調整を伴うタイヤローテーション有りと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項6に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件は成立しているが、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件が不成立の場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項6に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件と、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件と、は成立しているが、左右前輪車輪速差または左右後輪車輪速差が所定値未満であるという第3車輪速条件が不成立の場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項6に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤローテーション判定手段は、動力源が停止される前と動力源が起動された後とで走行中のタイヤ空気圧に所定値以上の圧力変化があるという圧力変化条件と、前後車輪速差が所定値未満であるという第2車輪速条件と、左右前輪車輪速差または左右後輪車輪速差が所定値未満であるという第3車輪速条件と、は成立しているが、左右前輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が増加または減少し、且つ、左右後輪のうち少なくとも1輪以上の圧力差が減少または増加するというローテーション条件が不成立の場合、タイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至9の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、前記タイヤローテーション判定手段によりタイヤローテーション有りと判定された場合、空気圧警報閾値を変更することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 請求項1乃至9の何れか1項に記載されたタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記タイヤ空気圧監視制御手段は、前記タイヤローテーション判定手段によりタイヤローテーション無しでタイヤ空気圧調整されたと判定された場合、空気圧警報閾値を変更しないことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。 - 車両の各タイヤに設けられ、空気圧センサと送信機を有するセンサユニットと、該センサユニットから送信された電波を受信する受信機と、を備え、各タイヤの空気圧が空気圧警報閾値以下となった場合、乗員にタイヤ空気圧低下を知らせる警報を出すタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記受信機として、各タイヤのセンサユニットから送信された電波を受信する受信機を設け、
車両の動力源が停止される前の走行中における各タイヤの空気圧と、車両の動力源が起動された後の走行中における各タイヤの空気圧と、の変化に基づいて、タイヤローテーションの有無を判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
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