JP2007174500A - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特別な撮像素子を使用することなく、撮像素子の温度状態を高い精度で把握できる撮像装置を提供する。
【解決手段】 撮像装置は、撮像素子と、メモリと、白点画素検出部と、温度推定部とを備える。撮像素子は被写体からの光束を光電変換する。メモリは、撮像素子における白点画素のアドレスを示す第1データと、該第1データの各々の白点画素の信号レベルと撮像素子の温度との対応関係とを示す第2データとを記録する。白点画素検出部は、撮像素子の出力信号のうちから白点画素の信号を検出し、該検出信号の画素のアドレスおよび検出信号の信号レベルを取得する。温度推定部は、第1データおよび第2データに基づいて、撮像素子の温度を示す温度データを検出信号の信号レベルから生成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、撮像素子を備えた撮像装置に関する。
電子カメラの信号出力の特性は撮像素子の温度に応じて変動することが知られている。そのため、撮像素子の温度に応じて各種の補正処理等を行う場合には、撮像素子用の温度センサを撮像装置に搭載することが一般的である。また、特許文献1には、温度測定用の暗電流転送列を有する撮像素子が開示されている。
特開平11−317516号公報
しかし、温度センサによる場合には撮像素子自体の温度を直接測定することは困難であり、また温度安定時間や温度分布による誤差が大きい点で改善の余地があった。一方、上記特許文献1の場合には、撮像素子の構成が特別なものとなるのでコストが大幅に上昇する点で不都合がある。
本発明は上記従来技術の課題を解決するためのものであって、その目的は、特別な撮像素子を使用することなく、撮像素子の温度状態を高い精度で把握できる撮像装置を提供することである。
第1の発明に係る撮像装置は、撮像素子と、メモリと、白点画素検出部と、温度推定部とを備える。撮像素子は被写体からの光束を光電変換する。メモリは、撮像素子における白点画素のアドレスを示す第1データと、該第1データの各々の白点画素の信号レベルと撮像素子の温度との対応関係とを示す第2データとを記録する。白点画素検出部は、撮像素子の出力信号のうちから白点画素の信号を検出し、該検出信号の画素のアドレスおよび検出信号の信号レベルを取得する。温度推定部は、第1データおよび第2データに基づいて、撮像素子の温度を示す温度データを検出信号の信号レベルから生成する。
第2の発明は、第1の発明において、温度推定部は、撮像素子の電荷蓄積時間および出力信号に対するゲインの少なくとも一方の変化に応じて、温度データの演算処理に関するパラメータを調整する。
第3の発明は、第2の発明において、温度推定部は、電荷蓄積時間またはゲインの変化に応じて、検出信号の信号レベルの値または第2データの値をパラメータとして調整する。
第4の発明は、第1の発明において、第1データおよび第2データには、撮像素子の受光面が遮光された遮光画素領域に位置する白点画素のデータが含まれる。
第5の発明は、第1の発明において、温度推定部は、信号レベルが所定の飽和レベル以上の検出信号を温度データの演算処理の対象から除外する。
第6の発明は、第1の発明において、撮像装置は、温度データに基づいて撮像素子の出力信号に対して補正処理を実行する信号処理部をさらに備える。
第7の発明は、第6の発明において、信号処理部は、暗電流補正および白点画素の補間の少なくとも一方の補正処理を実行する。
第8の発明は、第1の発明において、撮像装置は、A/D変換部と、位相調整部とをさらに備える。A/D変換部は、撮像素子の出力をA/D変換する。位相調整部は、温度データに基づいて、撮像素子に供給されるタイミングパルスおよびA/D変換部に供給されるサンプリングパルスの少なくとも一方の位相誤差を補償する。
第9の発明は、第1の発明において、撮像装置は、温度データに基づいて撮像素子の温度を制御する温度調整部をさらに備える。
本発明によれば、撮像素子の白点画素の信号レベルに基づいて撮像素子の温度状態を高い精度で把握できる。
(第1実施形態の説明)
図1は第1実施形態の撮像装置のブロック図である。撮像装置は、撮像素子11と、アナログフロントエンド(AFE)部12と、タイミングジェネレータ(TG)13と、位相調整部14と、第1メモリ15と、画像処理部16と、記録I/F17と、操作部18と、第2メモリ19と、白点画素検出部20と、温度推定部21およびCPU22とを有している。
撮像素子11は、撮影光学系(不図示)の像空間側に配置される。撮像素子11は、受光面における被写体の結像を光電変換してアナログ信号を生成する。この撮像素子11の出力はAFE部12に接続されている。
ここで、撮像素子11の受光面には受光素子がマトリックス状に配列されている(個々の受光素子の図示は省略する)。また、撮像素子11の受光面は、有効画素領域と、遮光領域(オプティカルブラック領域)とに区画されている(図2参照)。撮像素子11の有効画素領域では、被写体の結像の明るさに応じて各受光素子に信号電荷が蓄積される。そして、有効画素領域の受光素子の出力に基づいて撮影画像を構成する画像信号が生成されることとなる。
一方、撮像素子11の遮光画素領域は、有効画素領域の外周に隣接して形成されている。この遮光画素領域は各受光素子の表面が遮光膜によって覆われている。この遮光画素領域では、温度変化等による蓄積電荷(暗電流成分)が各受光素子に蓄積される。そして、遮光画素領域の受光素子の出力に基づいて被写体像の黒色に相当する黒レベルが決定されることとなる。
AFE部12は、ゲイン回路12aおよびA/D変換回路12bを有している。ゲイン回路12aは、CPU22の指示に応じて、入力信号に対するゲインを調整して出力信号を増幅する。撮像装置は、ゲイン回路12aによってISO感度に相当する撮像感度の調整を実行する。また、A/D変換回路12bは、ゲイン回路12aの出力信号をA/D変換する。このA/D変換回路12bから出力されたデジタル信号は、第1メモリ15および白点画素検出部20にそれぞれ入力される。
TG13は、CPU22の指示に応じて、撮像素子11に対してタイミングパルスを供給するとともに、A/D変換回路12bに対してサンプリングパルスを供給する。なお、CPU22は、TG13のタイミングパルスによって撮像素子11の電荷蓄積時間(露光時間)を調整することが可能である。
位相調整部14は、互いに異なる遅延時間を有する複数のパスをセレクタで切り替えるプログラマブルな遅延回路を有している。この位相調整部14は、CPU22の指示に応じて、タイミングパルスおよびサンプリングパルスの温度変化による位相誤差を補償する。
第1メモリ15は、画像処理部16による画像処理の前工程または後工程でデータを一時的に保存するためのバッファメモリである。
画像処理部16は、デジタル画像信号に対して各種画像処理を施して撮影画像データを生成する。また、画像処理部16は撮影画像データの圧縮処理も実行する。さらに、画像処理部16は、後述の温度データに基づいて、白点画素の欠陥補正、メディアンフィルタ処理、黒レベル補正、エッジ強調などの処理を実行する。
記録I/F17には記録媒体23を接続するためのコネクタが形成されている。そして、記録I/F17は、コネクタに接続された記録媒体23に対して撮影画像データの書き込み/読み込みを実行する。上記の記録媒体23は、半導体メモリを内蔵したカード型記録媒体などで構成される。なお、図1では記録媒体23の一例としてカード型記録媒体を図示する。
操作部18は、例えば、コマンドダイヤルや十字状のカーソルキー等で構成される。この操作部18は、露光時間(撮像素子の電荷蓄積時間)および撮像感度(ゲインの値)の設定に関する入力をユーザーから受け付ける。
第2メモリ19には、白点画素の特性を示す特性データと、撮像素子の温度に応じた補正内容を示す補正データ群とが記録されている。ここで、白点画素とは、撮像素子11に発生する欠陥画素の一種であって、入射光量に対して所定以上の大きさの信号レベルを出力する画素をいう。なお、第2メモリ19の特性データおよび補正データ群には、一般的に撮像装置の初期検査工程で生成されたデータが使用されるが、第2メモリ19の各データを事後的に書き換えることも可能である。
図3は特性データの内容を模式的に示す図である。上記の特性データは、第1データと第2データとから構成されている。第1データには、撮像素子11の受光面における白点画素のアドレスが記録されている。第2データには、第1データの各々の白点画素の温度特性がテーブル化されて記録されている。より具体的には、第2データでは、撮像素子11の温度毎に各々の白点画素の信号レベルが対応付けされている。また、第1データおよび第2データには、有効画素領域に位置する白点画素のみならず、遮光領域に位置する白点画素のデータも記録されている。なお、図3の第2データの例では、ISO100、露光時間1/60secの撮影条件下において、20℃、25℃、30℃での白点画素の8bitの信号レベルの値を便宜的に示す。勿論、第2データの温度範囲および温度の間隔は、必要となる精度に応じて適宜変更できる。
図4は白点画素の信号レベルと撮像素子11の温度との相関図である。白点画素の出力する信号レベルは、撮像素子11の温度上昇に応じて増加することが公知である。例えば、遮光状態の撮像素子11において、ある白点画素の出力が信号レベルLを示す状態からΔT(10℃)の温度上昇があると、その白点画素の信号レベルは約2倍の値(2L)を示すようになる。したがって、個々の白点画素の温度特性を予め取得することで、撮像素子11の温度を白点画素の信号レベルから推定できる。
ここで、露光時間や撮像感度の設定が異なる場合、撮像素子11の各画素の信号レベルは同一の被写体を撮影しても相違することとなる。そのため、第2メモリ19には、露光時間および撮像感度の組み合わせ毎に、各々対応する第2データのテーブルが記録されている(各テーブルの個々の図示は省略する)。なお、上記の特性データは、温度条件および撮影条件をそれぞれ相違させるとともに、遮光状態で撮影した複数の画像データから生成される。
第2メモリ19の補正データ群は、撮像素子11の温度と対応関係を有する複数の補正データで構成されている。例えば、第2メモリ19の補正データには、白点画素の補正データと、黒レベル補正データと、位相調整部による位相誤差の補正データとが含まれている。
図5は白点画素の補正データの内容を模式的に示す図である。この白点画素の補正データは画像処理部16での補正処理に用いられる。図5に示すように、白点画素の補正データは、複数組のインデックスデータおよび補正内容データを有するデータ構造となっている。なお、図5の例では、便宜上、4組分のインデックスデータおよび補正内容データを示す。
上記のインデックスデータは、後述の温度データの温度Tにそれぞれ対応している。例えば、図5の例のインデックスデータ(T1〜T4)は、ISO100、露光時間1/60secの撮影条件下では、それぞれ以下の温度範囲に対応する。例えば、T1は温度Tが20℃未満の場合に対応する。T2は温度Tが20℃以上25℃未満の場合に対応する。T3は温度Tが25℃以上30℃未満の場合に対応する。T4は温度Tが30℃以上35℃未満の場合に対応する。なお、上記のインデックスデータ(T1〜T4)と温度Tの範囲との対応関係は、CPU22が露光時間や撮像感度に応じて調整する。
また、図5に示すように、上記の補正内容データには、(1)補間処理を行う白点画素の指定、(2)メディアンフィルタ処理の指定、(3)エッジ強調処理の指定、のデータが各温度状態ごとにそれぞれ対応付けされる。
ここで、上記(1)の補間処理を行う白点画素の指定では、その温度状態で補間処理を行う白点画素のアドレスが記録されている。また、上記(2)のメディアンフィルタ処理の指定では、その温度状態におけるメディアンフィルタ処理のオン/オフおよびメディアンフィルタの強弱が記録されている。さらに、上記(3)のエッジ強調処理の指定では、その温度状態におけるエッジ強調処理のオン/オフが記録されている。
図6は黒レベル補正データの内容を模式的に示す図である。この黒レベル補正データは画像処理部16での黒レベル補正処理に用いられる。図6に示すように、黒レベル補正データには、後述の温度データの温度Tと、画像処理部16における黒レベルの補正値(黒レベルに加算する信号レベルの値)との対応関係が記録されている。
図7は位相誤差の補正データの内容を模式的に示す図である。この位相誤差の補正データは、位相調整部14におけるタイミングパルスとサンプリングパルスとの位相調整に用いられる。図7に示すように、位相誤差の補正データには、後述の温度データの温度Tと、上記のパルス信号間の位相の調整量を示す係数値との対応関係が記録されている。
白点画素検出部20は、特性データの第1データに基づいて、A/D変換回路12bのデジタル信号から白点画素に対応する出力信号(検出信号)を検出する。そして、白点画素検出部20は、検出信号に対応する白点画素のアドレスと、検出信号の信号レベルとを温度推定部21に対して出力する。
温度推定部21は、特性データの第2データと白点画素検出部20からの出力とに基づいて、撮像素子11の温度Tを示す温度データを生成する。
CPU22は所定のシーケンスプログラムに従って撮像装置の各部動作を制御する。また、CPU22は、測光部(不図示)の出力に基づく公知の自動露出演算あるいは操作部18からのユーザーの入力によって、露光時間および撮像感度などを設定する。
以下、第1実施形態の撮像装置の動作を説明する。
CPU22は、ユーザーによるレリーズ釦(不図示)の全押しに応じて被写体の撮影を実行する。このとき、CPU22は、予め設定された露光時間の設定により、TG13を介して撮像素子11を駆動させる。撮像素子11の出力信号は読み出し順にAFE部12へ入力される。AFE部12は、撮像感度の設定に応じた出力信号の増幅および出力信号のA/D変換を実行する。AFE部12から出力されたデジタル信号は第1メモリ15に一時的に記録されるとともに、白点画素検出部20に入力される。そして、白点画素検出部20および温度推定部21は、以下の要領で温度データを生成する。
第1に、白点画素検出部20は、特性データの第1データに記録されている白点画素のアドレスに基づいて、入力されるデジタル信号群から白点画素に対応する出力信号(検出信号)を検出する。そして、白点画素検出部20は、検出信号の画素のアドレスおよび信号レベルの情報を温度推定部21に対して出力する。ここで、撮像素子11の信号を全画素読み出しした場合には、上記の検出信号のデータの数(検出される白点画素の数)は、第1データに記録された白点画素の数に一致する。勿論、撮像素子11の信号を間引き読み出しした場合には、読み出されない白点画素の分を除外して白点画素検出部20が上記の検出信号のデータを生成することとなる。
第2に、温度推定部21は、白点画素検出部20から入力された各々の検出信号のデータごとに以下の(1)〜(4)の処理を実行し、撮像素子11の温度の推定値をそれぞれ取得する。
(1)温度推定部21は、露光時間および撮像感度の設定をCPU22から取得する。
(2)温度推定部21は、第2メモリ19上の特性データから上記(1)の設定に合致する第2データのテーブルを特定する。
(3)温度推定部21は、上記(2)で特定した第2データのテーブルにおいて、演算対象となる検出信号の画素のアドレスに基づいて、演算対象の検出信号に対応する項目を特定する。
(4)温度推定部21は、上記(3)の項目における各々の信号レベルと演算対象の検出信号の信号レベルとを照合し、この照合結果から両者が一致する温度の推定値を検索する。これにより、温度推定部21は、演算対象の検出信号の信号レベルに対応する温度の推定値を上記の第2データから取得する。
ここで、演算対象の検出信号の信号レベルが飽和レベル以上となる場合には、温度推定部21は検出信号のデータを上記の演算対象から除外する。
例えば、撮像素子11の温度が所定温度を超えているときに、温度推定部21が飽和レベルの値を示す検出信号に対して上記の演算を行う場合を考える。白点画素の出力は所定温度を超えると飽和レベルで一定となる。したがって、上記の場合には温度の推定値の演算結果は所定温度を示すため、演算結果の誤差が大きくなるからである。なお、飽和レベルの設定の一例として、第1実施形態では、検出信号のダイナミックレンジが8bit(0〜255)の場合に飽和レベルの値を255LSBに設定している。
第3に、温度推定部21は、複数の検出信号のデータから取得した温度の推定値を平均化して撮像素子11の温度Tを示す温度データを生成する。かかる温度データはCPU22に入力される。
一方、画像処理部16は、第1メモリ15のデジタル信号に対して各種の画像処理を施して撮影画像データを生成する。このとき、画像処理部16は、上記の温度データに基づいて、撮影画像データに対して白点画素の補正および黒レベル補正を実行する。なお、白点画素の補正処理および黒レベル補正処理後の撮影画像データは、記録媒体23に最終的に記録されることとなる。
ここで、画像処理部16による白点画素の補正処理について説明する。撮影画像データでは、撮像素子11の温度増加に比例して白点画素のノイズが目立ちやすくなる。そのため、第1実施形態では、撮像素子の温度Tに応じて補間処理の対象となる白点画素を変化させるとともに、メディアンフィルタ処理のオン/オフおよびフィルタの強弱を変化させる。
具体的には、まず、CPU22は、露光時間および撮像感度の設定に基づいて、白点画素の補正データにおけるインデックスデータと温度データの温度Tとの対応関係を調整する。次に、CPU22は、温度データに対応するインデックスデータを特定する。その後、CPU22は、特定したインデックスデータに基づいて第2メモリ19から白点画素の補正内容データを読み出すとともに、画像処理部16に対して補正内容データを出力する。
そして、画像処理部16は、CPU22から入力された補正内容データに基づいて、撮影画像データに対して白点画素の補正処理を実行する。例えば、画像処理部16は、補正内容データの白点画素のアドレスを参照し、公知の補間方法を利用して白点画素の信号レベルを補間する。
また、補正内容データのメディアンフィルタ処理がオンの場合、画像処理部16は撮影画像データに対して所定のメディアンフィルタ処理を実行する。このとき、補正内容データで強いフィルタが指定されている場合、画像処理部16はフィルタサイズが5×5のメディアンフィルタを適用する。また、補正内容データで弱いフィルタが指定されている場合、画像処理部16はフィルタサイズが3×3のメディアンフィルタを適用する。
ところで、メディアンフィルタによる補正処理では、フィルタサイズ内の全画素を中間値で置き換える処理が1画面の全体に亘って施される。そのため、正常な画素の信号レベルまでフィルタ処理で置換されてしまう場合がある。すなわち、撮影画像データに対してメディアンフィルタ処理を施すと、被写体の高域周波数成分がカットされていわゆる眠い画像になってしまう可能性がある。そのため、第1実施形態では、強いフィルタを適用した場合には、画像処理部16は撮影画像データに対してエッジ強調処理を実行するようにしている。
次に、画像処理部16による黒レベル補正処理について説明する。撮像素子11の出力は、温度増加に応じて暗電流成分が増加することが知られている。例えば、温度が10℃増加すると、暗電流成分は2倍となる。そのため、第1実施形態では、黒レベル補正処理によって暗電流に起因する黒レベルの浮きを補償する。具体的には、CPU22は、温度データに対応する黒レベルの補正値を第2メモリ19の黒レベル補正データから読み出すとともに、画像処理部16に対して黒レベルの補正値を出力する。そして、画像処理部16は、黒レベルの補正値に基づいて撮影画像データの黒レベルの値を調整する。
さらに、CPU22は、温度データに基づいて、タイミングパルスおよびサンプリングパルスの温度変化による位相誤差を補償する。特に連写撮影時や動画撮影時には、かかる位相誤差の補償が特に有効となる。
具体的には、CPU22は、温度データに対応する係数値を第2メモリ19の位相誤差の補正データから読み出す。そして、CPU22は位相調整部14を上記の係数値に基づいて制御する。これにより、位相調整部14においてサンプリングパルスおよびタイミングパルスの位相の差が調整されることとなる。なお、位相調整部14は、サンプリングパルスまたはタイミングパルスのいずれの位相を調整してもよい。
以下、第1実施形態の作用効果を説明する。第1実施形態の撮像装置では、撮像素子11の白点画素の信号レベルに基づいて、温度推定部21が温度データを生成する。そして、上記の温度データに基づいて、白点画素の補正処理および黒レベル補正処理やパルス信号間の位相誤差の補償が行われる。したがって、第1実施形態では、特別な撮像素子を使用することなく撮像素子11の温度状態を高い精度で把握でき、上記の各種補正を高い精度で実行できる。
また、温度推定部21は、露光時間および撮像感度の設定に基づいて、第2データのテーブルを選択する。さらに、温度推定部21は、複数の検出信号による温度の推定値を平均化して温度データを生成するとともに、検出信号の信号レベルが飽和レベル以上の場合には演算対象から除外する。そのため、第1実施形態では、温度データが示す温度の誤差量は非常に小さくなる。
(第1実施形態の変形例)
(1)白点画素検出部20は、第2メモリ19の第1データに依存することなく、白点画素の出力信号を周囲の画素の信号レベルとの比較で検出してもよい。例えば、白点画素検出部20は、前後する画素の信号レベルを比較し、注目画素の信号レベルと隣接画素の信号レベルとの差が閾値以上であって、かつ当該差分が正(プラス)の場合に白点画素であると判定する。上記の方法では、遮光領域の出力信号は被写体像に関係なく白点画素を安定して検出できるので、検出対象として特に適している。なお、白点画素検出部20は、有効画素領域の出力信号に対しては、カラーフィルタが同色である隣接画素間で信号レベルを比較するようにしてもよい。
(2)温度推定部21は、露光時間および撮像感度に応じて、以下の式(1)により温度の推定値Taを演算するようにしても良い。この場合には、第2メモリ19には1種類の第2データのテーブルを記録すれば足りるので、第2メモリ19のメモリ容量をより小さくすることができる。
Figure 2007174500
ここで、上記の式(1)における各記号を説明する。「ΔT」は白点画素の信号レベルがk倍となる温度変化量を意味する。「k」はΔTの温度変化時における白点画素の信号レベルの倍率を意味する。「Lw」は演算対象となる検出信号の信号レベルの値を意味する。「Ltbl」は第2データの信号レベルの値を意味する。「A」は現在の撮像感度の設定値を意味する。「A0」は第2データの撮像感度の値を意味する。「t」は現在の露光時間の設定値を意味する。「t0」は第2データの露光時間の値を意味する。「T0」は第2データにおいてLtblに対応する温度を意味する。
(第2実施形態の説明)
図8は第2実施形態の撮像装置のブロック図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と共通の構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
第2実施形態の撮像装置は、例えば顕微鏡や天体望遠鏡などに使用される高感度カメラであって、撮像素子11との熱交換を行う温度調整部24をさらに備える。この温度調整部24はペルチェ素子を内蔵する。温度調整部24は、CPU22の電圧印加に応じてペルチェ効果によって撮像素子11を冷却する。そして、CPU22は、温度推定部21の温度データに基づいて温度調整部24を制御する。なお、第2実施形態では、記録媒体23にはハードディスクや磁気テープ等を用いるようにしてもよい。
第2実施形態では、第1実施形態とほぼ同様の効果に加えて、温度データに基づいて温度調整部24を制御して撮像素子11を冷却するので、撮像素子11の温度状態を高い精度で管理できる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上記の実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、温度推定部は、露光時間および撮像感度の設定に応じて、検出信号の信号レベルの値を補正して温度の推定値を演算するようにしてもよい。
第1実施形態の撮像装置のブロック図 撮像素子を受光面側からみた図 特性データの内容を模式的に示す図 白点画素の信号レベルと撮像素子の温度との相関図 白点画素の補正データの内容を模式的に示す図 黒レベル補正データの内容を模式的に示す図 位相誤差の補正データの内容を模式的に示す図 第2実施形態の撮像装置のブロック図
符号の説明
11…撮像素子、12…アナログフロントエンド部、12a…ゲイン回路、12b…A/D変換回路、13…タイミングジェネレータ、14…位相調整部、16…画像処理部、18…操作部、19…第2メモリ、20…白点画素検出部、21…温度推定部、22…CPU、24…温度調整部

Claims (9)

  1. 被写体からの光束を光電変換する撮像素子と、
    前記撮像素子における白点画素のアドレスを示す第1データと、該第1データの各々の前記白点画素の信号レベルと前記撮像素子の温度との対応関係とを示す第2データとを記録したメモリと、
    前記撮像素子の出力信号のうちから前記白点画素の信号を検出し、該検出信号の画素のアドレスおよび前記検出信号の信号レベルを取得する白点画素検出部と、
    前記第1データおよび前記第2データに基づいて、前記撮像素子の温度を示す温度データを前記検出信号の信号レベルから生成する温度推定部と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記温度推定部は、前記撮像素子の電荷蓄積時間および前記出力信号に対するゲインの少なくとも一方の変化に応じて、前記温度データの演算処理に関するパラメータを調整することを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項2に記載の撮像装置において、
    前記温度推定部は、前記電荷蓄積時間または前記ゲインの変化に応じて、前記検出信号の信号レベルの値または前記第2データの値を前記パラメータとして調整することを特徴とする撮像装置。
  4. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記第1データおよび前記第2データには、前記撮像素子の受光面が遮光された遮光画素領域に位置する前記白点画素のデータが含まれることを特徴とする撮像装置。
  5. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記温度推定部は、前記信号レベルが所定の飽和レベル以上となる前記検出信号を、前記温度データの演算処理の対象から除外することを特徴とする撮像装置。
  6. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記温度データに基づいて、前記撮像素子の出力信号に対して補正処理を実行する信号処理部をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
  7. 請求項6に記載の撮像装置において、
    前記信号処理部は、暗電流補正および前記白点画素の補間の少なくとも一方の補正処理を実行することを特徴とする撮像装置。
  8. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記撮像素子の出力をA/D変換するA/D変換部と、
    前記温度データに基づいて、前記撮像素子に供給されるタイミングパルスおよび前記A/D変換部に供給されるサンプリングパルスの少なくとも一方の位相誤差を補償する位相調整部と、
    をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
  9. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記温度データに基づいて、前記撮像素子の温度を制御する温度調整部をさらに備えることを特徴とする撮像装置。

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