JP2007170497A - トロイダル型無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 パワーローラの過剰なオフセットを防止もしくは抑制して精度の良い変速制御を行うトロイダル型無段変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】 一対のディスクの間に挟み付けられたパワーローラが保持部材によって回転自在に保持され、変速要求に基づく目標変位量に応じてそのパワーローラを保持部材と共に変位させることによりパワーローラを傾転させて変速を実行するトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記目標変位量を制限する目標変位量制限手段(ステップS2,S3)を備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み込んだパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達するとともに、そのパワーローラを傾転させて変速比を変化させるトロイダル型無段変速機に関し、特にその変速を制御する装置に関するものである。
トロイダル型無段変速機は、パワーローラを入力ディスクと出力ディスクとの間に挟み付け、これらのパワーローラと各ディスクとの間でトラクションオイルを介したトルクの伝達をおこなうように構成されている。そのパワーローラと各ディスクとの接触点(もしくは接触領域)におけるパワーローラの接線方向の速度と各ディスクの接触点半径での接線方向の速度とが一致していれば、これが中立位置であって、パワーローラに対してこれを傾ける力すなわち傾転力は生じない。その中立位置からパワーローラが変位(オフセット)すると、パワーローラと各ディスクとの接触点におけるそれぞれの接線方向速度が異なるので、いわゆるサイドスリップが生じ、それに起因して、パワーローラを傾けるいわゆる傾転力が生じる。
したがって、トロイダル型無段変速機での変速は、変速要求に基づいてパワーローラを中立位置からオフセットさせ、それに伴ってパワーローラが目標とする角度まで傾転した状態で、パワーローラを中立位置に復帰させることにより実行される。このような変速制御を電気的に行うように構成した装置が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された装置は、パワーローラの傾転角度を検出するセンサーと、パワーローラの変位量を検出するセンサーとを備え、検出された傾転角度から変速比を演算するとともに、その変速比と目標変速比とから目標変位量を演算するように構成されている。さらに、変位量センサーで検出されたいわゆる実変位量と目標変位量とに基づいて、ソレノイドバルブを駆動するデューティ比を演算し、その演算結果に基づいてソレノイドバルブを駆動し、そのソレノイドバルブから出力される信号圧によってスプール弁を制御し、そのスプール弁から出力される油圧によってパワーローラの変位量を制御するように構成されている。
特開平8−233085号公報
上記の特許文献1に記載された装置は、目標傾転角度と傾転角度センサーで得られた傾転角度との偏差に基づいてパワーローラの目標変位量(目標オフセット量)を求め、その目標変位量と実際の変位量とからデューティ比を求めている。そのために、目標傾転角度と実際の傾転角度との偏差、あるいは目標変速比と実変速比との偏差が大きい場合には、目標変位量が大きくなるとともに、デューティ比が大きくなるから、パワーローラを大きく変位させることになる。
しかしながら、パワーローラの変位量(オフセット量)と傾転角係数(法線力とサイドスリップ力との比)との関係は、概念的に示せば図2に示すようになっており、オフセット量がある一定の量を超えた場合には、傾転力の増大が極めて緩慢になる。そのため、特許文献1に記載されているように、目標傾転角度が大きいことに伴ってパワーローラの変位量を大きくした場合、傾転力の増大がいわゆる飽和する程度にまでその変位量が増大していると、パワーローラを中立位置に向けて復帰させても、傾転力が迅速には低下しない。その結果、傾転角度あるいは変速比がオーバーシュートしたり、制御のハンチングが生じたりする可能性がある。
また、目標変位量が、パワーローラを変位させる油圧サーボ機構などのアクチュエータの可動範囲を超えている場合には、ピストンとシリンダとの干渉などの機構上の干渉が生じ、耐久性や制御性の低下を招く可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、遅れがなく、また精度の高い変速比制御が可能なトロイダル型無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、一対のディスクの間に挟み付けられたパワーローラが保持部材によって回転自在に保持され、変速要求に基づく目標変位量に応じてそのパワーローラを保持部材と共に変位させることによりパワーローラを傾転させて変速を実行するトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記目標変位量を制限する目標変位量制限手段を備えていることを特徴とする変速制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記目標変位量制限手段は、前記パワーローラに傾転力が生じない中立位置からの変位量の上限を規定する手段を含むことを特徴とする変速制御装置である。
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記目標変位量制限手段は、前記変速要求に基づいて求まる目標変位量が、予め定めた上限値を超える場合に、その上限値を目標変位量とする手段を含むことを特徴とする変速制御装置である。
そして、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記目標変位量制限手段は、前記目標変位量を前記パワーローラが変位可能な変位量以下に規制する手段を含むことを特徴とする変速制御装置である。
この発明によれば、変速要求に基づく目標変位量が制限される。そのため、パワーローラの変位量が過剰になることが防止もしくは抑制されるので、傾転力が生じない中立位置への復帰の遅れが防止もしくは抑制される。その結果、パワーローラの傾転角度あるいは変速比が目標値を超えるオーバーシュートが回避もしくは抑制され、ハンチングや制御遅れのない精度の良い変速比制御が可能になる。
特に請求項3の発明によれば、変速要求に基づく目標変位量が、予め定めた上限値を超える場合には、その上限値が目標変位量とされるので、パワーローラが過剰に変位することを確実に回避することができる。
また、請求項4の発明によれば、目標変位量が、パワーローラの変位可能範囲以下に規制されるので、パワーローラを変位させる機構の干渉が防止もしくは抑制され、その結果、耐久性や制御精度の低下を確実に防止もしくは抑制することができる。
つぎに、この発明をより具体的に説明する。この発明で対象とするトロイダル型無段変速機は、入力側のディスクと出力側のディスクとを対向させて配置するとともに、これらのディスクの間に、回転中心軸線が、各ディスクの回転中心軸線に対してほぼ直交するようにパワーローラを配置して挟み込み、そのパワーローラを介して各ディスクの間でトルクを伝達するように構成した無段変速機である。特に、各ディスクの対向面がトロイダル面を形成している無段変速機であり、対向するトロイダル面の曲率中心が各ディスクの外周縁より外側にあるいわゆるハーフトロイダル型のものや、その曲率中心が各ディスクの外周縁より内側にあるタイプのもののいずれであってもよい。さらに、一対のディスクを備えたいわゆるシングルキャビティ型の無段変速機に限らず、二対のディスクを備えたダブルキャビティ型の無段変速機であってもよい。そして、入力側のディスクと出力側のディスクとの間に挟み込むパワーローラは、ディスクの円周方向に等間隔に複数設けられていればよく、一対のパワーローラを備えた構成に限られない。
図3および図4には、ダブルキャビティ式のハーフトロイダル型無段変速機の一例を模式的に示してあり、トロイダル面を対向させた入力ディスク1と出力ディスク2とが、二対、同一軸線上に配置されている。これらの図に示す例では、軸線方向での左右両端部に入力ディスク1が配置され、中央部に出力ディスク2が、いわゆる背合わせに配置され、これらの出力ディスク2の間に出力部材としての出力ギヤ3が配置されている。
各ディスク1,2および出力ギヤ3の中心部を入力軸4が貫通しており、各入力ディスク1はこの入力軸4に一体となって回転し、かつ軸線方向に移動できるように取り付けられている。これに対して出力ディスク2および出力ギヤ3は、入力軸4に対して回転自在に嵌合しており、かつ各出力ディスク2と出力ギヤ3とは一体となって回転するように連結されている。入力軸4の一方の端部(図3の左側の端部)には、入力ディスク1を抜け止めするためのロック部材としてのロックナット5が取り付けられている。これとは反対側の端部(図3での右側の端部)には、油圧シリンダ6が取り付けられている。この油圧シリンダ6は、各対の入力ディスク1と出力ディスク2とを互いに接近させる方向に押圧する挟圧力を生じさせるための挟圧力発生機構であって、シリンダ7が入力軸4に固定されるとともに、そのシリンダ7の内部に軸線方向に移動可能に収容したピストン8が、入力ディスク1の背面に当接されられている。したがって、そのシリンダ7とピストン8との間に油圧を供給することにより、ピストン8が一方の入力ディスク1をこれとは反対側に配置されている入力ディスク1側に向けて押圧するように構成されている。なお、この挟圧力発生機構は、油圧シリンダ6に替えて、トルクを軸線方向に推力に変化させるカム機構やネジ機構などの他の機構によって構成してもよい。
各対の入力ディスク1と出力ディスク2との間にそれぞれ複数のパワーローラ9が挟み込まれている。これらのパワーローラ9は、入力ディスク1と出力ディスク2との間でのトルクの伝達を媒介するいわゆる伝動部材であって、ほぼ円盤状をなし、入力ディスク1と出力ディスク2との間に、各ディスク1,2の円周方向に等間隔に配置されている。各パワーローラ9は、各ディスク1,2の回転に伴って自転し、また各ディスク1,2の間で傾く(傾転する)ように、それぞれトラニオン10によって保持されている。
各トラニオン10は、パワーローラ9を自転かつ傾転自在に保持するためのものであって、中心側を向く面を平坦面とした保持部11の上下両側にトラニオン軸12が延びて形成されている。図4での上側のトラニオン軸12が軸受を介してアッパーヨーク13に嵌合させられ、また図4での下側のトラニオン軸12が軸受を介してロアーヨーク14に嵌合させられている。したがって各トラニオン10は、それぞれトラニオン軸12を中心にして回転できるように各ヨーク13,14によって互いに連結されている。したがってトラニオン軸12の中心軸線が傾転軸となっている。
各パワーローラ9は各トラニオン10における前記保持部11に取り付けたピボットシャフト15によって回転自在に保持され、また各パワーローラ9とそれぞれのトラニオン10との間にはスラスト軸受16が介装されている。これらトラニオン10やピボットシャフト15、スラスト軸受16などがこの発明の保持部材に相当している。
各トラニオン10における図4での下側のトラニオン軸12は、直線的な前後動作を行うアクチュエータに連結されている。そのアクチュエータは、流体圧シリンダや、トルクを推力に変化させて出力する電動シリンダなどによって構成されており、図に示す例では、油圧シリンダ17が採用されている。具体的には、前記トラニオン軸12は、各パワーローラ9に対応して設けた油圧シリンダ17のピストン18に連結されている。これらの油圧シリンダ17は、一方のパワーローラ9を図4での上側に移動させると同時に他方のパワーローラ9を図4での下側に移動させるように構成されている。例えば、図4での左側の油圧シリンダ17におけるピストン18より上側の油圧室が変速比の小さい高速側に変速させるためのハイ油室17Hであり、これとは反対の下側の油圧室が変速比の大きい低速側に変速させるためのロー油室17Lとなっている。また、図4での右側の油圧シリンダ17におけるピストン18より上側の油圧室が変速比の大きい低速側に変速させるためのロー油室17Lであり、これとは反対の下側の油圧室が変速比の小さい高速側に変速させるためのハイ油室17Hとなっている。そして、ハイ油室17H同士、およびロー油室17L同士が互いに連通されている。
上記のパワーローラ9を中立位置からアップシフト側あるいはダウンシフト側に変位(オフセット)させて変速を実行するための機構について説明すると、その機構は前記油圧シリンダ17などのアクチュエータを動作させるように構成された機構であり、図に示す例では、デューティ制御される電磁弁19によって構成されている。なお、この種の制御弁は、前述したハイ側油室17Hに対する油圧の給排を制御する弁とロー側油室17Lに対する油圧の給排を制御する弁との二本を設けてもよく、あるいは一本の制御弁で各油室17H,17Lに対する油圧の給排を同時に制御するように構成してもよい。
図に示す電磁弁19は、前記ハイ油室17Hに連通するハイ側ポート20と、前記ロー油室17Lに連通するロー側ポート21と、ライン圧が入力される入力ポート22と、二つのドレーンポート23,24と、ソレノイド25およびその反対側に配置されたスプリング26によって軸線方向に移動させられてこれらのポートの連通状態を切り替えるスプール27とを有している。そして、そのスプール27は、入力ポート22および各ドレーンポート23,24をハイ側ポート20およびロー側ポート21のいずれに対しても閉じた状態、入力ポート22をハイ側ポート20に連通させると同時にロー側ポート21をドレーンポート24に連通させたアップシフト状態、これとは反対にロー側ポート21を入力ポート22に連通させると同時にハイ側ポート20をドレーンポート23に連通させたダウンシフト状態とに切り替えるように構成されている。
上記の電磁弁19を使用した変速制御を電気的に実行するように構成されている。すなわち、各パワーローラ9の位置をトラニオン10の位置もしくは変位量として検出するためにストロークセンサ28が設けられている。このストロークセンサ28は一例として、一方のトラニオン10のトラニオン軸12に取り付けられており、その軸線方向の変位量を電気的に検出して検出信号として出力するように構成されている。ここで変位量とは、パワーローラ9に対してサイドスリップ力もしくは傾転力が作用しない中立位置からの前記傾転軸方向の移動量である。
また、いずれかのトラニオン軸12に、傾転角センサ29が設けられている。図に示す例では、前記ストロークセンサ28が取り付けられているトラニオン軸12と同一軸線上にある他のトラニオン軸12に傾転角センサ29が取り付けられている。この傾転角センサ29は、トラニオン軸12の回転角度を電気的に検出して信号を出力するものであって、例えば入力ディスク1と出力ディスク2との回転数が等しい状態すなわち変速比が“1”の状態におけるトラニオン軸12の角度を“0”とし、この状態からのトラニオン軸12の回転角度を傾転角として検出し、その傾転角に応じた電気的な信号を出力するようになっている。
さらに、いずれかの入力ディスク1の回転数を検出して電気的な信号を出力する入力回転数センサ30と、いずれかの出力ディスク2の回転数を検出して電気的な信号を出力する出力回転数センサ31とが設けられている。したがって、これらの回転数センサ30,31で検出された各回転数に基づいて、実際の変速比を求めることができる。
これら各センサ28,29,30,31は、変速比や前述した挟圧力を制御するための電子制御装置(ECU)32に電気的に接続されている。この電子制御装置32は、マイクロコンピュータを主体として構成されたものであって、入力された信号および予め記憶しているデータならびにプログラムに従って各種の演算を行い、その演算結果に基づいて制御指令信号を出力するように構成されている。上記のトロイダル型無段変速機は、車両に搭載することができ、その場合、この電子制御装置32には、上記の各センサ28,29,30,31からの信号に加えて、アクセル開度や車速、エンジン回転数などの各種の検出信号が入力される。
上記のトロイダル型無段変速機によるトルクの伝達および変速について説明すると、エンジンなどの動力源から入力ディスク1にトルクが入力されると、その入力ディスク1にトラクションオイルを介して接触しているパワーローラ9にトルクが伝達され、さらにそのパワーローラ9から出力ディスク2にトラクションオイルを介してトルクが伝達される。その場合、トラクションオイルは加圧されることによりガラス転移し、それに伴う大きい剪断力によってトルクを伝達するので、各ディスク1,2は入力トルクに応じた圧力がパワーローラ9との間に生じるように押圧される。
また、パワーローラ9の周速と各ディスク1,2のトルク伝達点(パワーローラ9がトラクションオイルを介して接触している点)の周速とが実質的に同じであるから、パワーローラ9が傾転して入力ディスク1との間のトルク伝達点の回転中心軸線からの半径と、出力ディスク2との間のトルク伝達点の回転中心からの半径とに応じて各ディスク1,2の回転数(回転速度)が異なり、その回転数(回転速度)の比率が変速比となる。
このようにして変速比を設定するパワーローラ9の傾転は、パワーローラ9を図4の上下方向に移動させることにより生じる。例えば、前記電磁弁19を制御して油圧シリンダ17のハイ油室17Hにライン圧を供給すると、図4の左側のパワーローラ9が下側に移動し、かつ図4の右側のパワーローラ9が上側に移動する。その結果、各パワーローラ9にはこれを傾転させる力(サイドスリップ力)がディスク1,2との間に生じ、各パワーローラ9が傾転する。パワーローラ9の変位量は、実際の傾転角と目標とする傾転角との偏差に基づいて制御され、したがってパワーローラ9が次第に傾転して目標傾転角に一致すると、パワーローラ9は中立位置に復帰させられ、その傾転が止まる。その結果、目標とする変速比が設定される。
上記の電子制御装置32は、スロットル開度などで代表される要求駆動量や車速などに基づいて目標とする変速比に対応する傾転角度を求め、その傾転角度を達成するように電磁弁19に指令信号を出力する。その目標傾転角度は、パワーローラ9をトラニオン10と共にストロークさせることにより達成できるので、パワーローラ9のストローク量を前記ストロークセンサ28によって検出し、その検出したストローク量とストローク指令量との偏差を制御偏差として電磁弁19に対する指令信号(例えばデューティ比)がフィードバック制御される。
上記の基本的な変速制御を図5にブロック図によって概念的に示してある。図5において、先ず、目標変速比に相当する目標傾転角度φoと実際の傾転角度φとの偏差が求められる。その目標変速比およびこれに対応する傾転角度の算出は、従来、トロイダル型無段変速機での変速制御で実行されているのと同様にしておこなうことができる。例えば、アクセル開度などで表される要求駆動量と車速とに基づいて要求駆動力が算出され、その要求駆動力と車速とから目標出力が求められ、その目標出力を最小の燃費で達成する内燃機関の回転数が求められ、無段変速機の入力回転数がその内燃機関の回転数に相当する回転数となるように目標変速比および目標傾転角度φoが求められる。
その偏差に所定のゲインK1による処理を施してパワーローラ9のストローク量(一例として中立点からのストローク量)X0が求められる。そのストローク量X0と実際のストローク量Xとの偏差に所定のゲインK2による処理が施されて、前記電磁弁19について指令信号(例えばデューティ比)が求められ、その電磁弁19の出力する油圧によってパワーローラ9が変位し、かつそれに伴ってパワーローラ9が傾転することにより、無段変速機(CVT)が変速動作する。
この発明に係る変速制御装置は、上述した変速制御の過程で求められる目標変位量(目標オフセット量)X0に制限を施すように構成されている。その制御の一例を図1にフローチャートで示してあり、先ず、目標オフセット量X0が算出される(ステップS1)。具体的には、目標傾転角φ0と実際の傾転角φとの偏差に予め定めた比例ゲインK1を乗じて目標オフセット量X0が算出される。なお、その目標傾転角φ0は、前述したように、動力源である内燃機関の運転点が燃費が最良となる最適運転ライン上になる目標変速比を求め、その目標変速比を設定する傾転角として設定される。言い換えれば、最適燃費となる変速要求に基づく傾転角である。
ついで、その目標オフセット量X0が上限値X0sより大きいか否かが判断される(ステップS2)。ここで、目標オフセット量X0は、アップシフト方向およびダウンシフト方向のいずれも中立位置からの寸法として求められ、したがって常に正の値である。一方、上限値Xosは、前述した図2に示すように、オフセット量の増大に対して傾転力が飽和することを考慮して予め設定した値であり、好ましくは、オフセット量に対して傾転力もしくは傾転力係数がほぼ比例して変化する領域の上限近傍の値である。あるいはパワーローラ9が傾転軸方向に機構上、移動可能な範囲の限界値である。これは、具体的には、前述した油圧シリンダ17の全ストローク範囲の半分に相当する値である。
目標オフセット量X0が上限値Xosを超えていることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、目標オフセット量X0がその上限値Xosに置き換えられる(ステップS3)。すなわち、目標オフセット量X0が上限値Xosに制限される。その後、上限値Xosに置き換えられた目標オフセット量X0とストロークセンサ28で検出された実オフセット量Xとの偏差に前述した制御ゲインK2を乗じて、前記電磁弁19に対するデューティ指令値が決定される(ステップS4)。
一方、目標オフセット量X0が上限値Xos以下であることによりステップS2で肯定的に判断された場合には、目標オフセット量X0を制限する必要がないので、ステップS1で算出された値がそのまま目標オフセット量X0とされる(ステップS5)。そして、前述したステップS4に進んで、デューティ指令値が決定される。
したがって、目標オフセット量X0が上限値Xosを超えることがないので、変速制御時におけるパワーローラ9の実際のオフセット量Xが上限値Xos以下となる。その上限値Xosは、前述したように、オフセット量に対する傾転力の増大がほぼ飽和し始める程度の値、あるいはオフセット量Xと傾転力もしくは傾転力係数とがほぼ比例関係にある範囲の上限程度の値、もしくはパワーローラ9の機構上の可動範囲以下の値として設定されている。したがって、この発明に係る上記の制御装置によれば、傾転力が増大しないにも拘わらず、パワーローラ9を過剰にオフセットさせることが回避もしくは抑制される。そのため、パワーローラ9の中立位置への復帰移動に遅れがなくなり、もしくはその遅れを抑制でき、その結果、変速比のオーバーシュートやそれに起因するハンチングを防止もしくは抑制することができる。言い換えれば、変速制御の遅れを抑制し、精度の高い変速制御が可能になる。
また、上限値Xosをパワーローラ9の機構上の可動範囲以下の値に設定した場合には、パワーローラ9の変位に伴って動作する部品同士の干渉、例えば前記ピストン18の干渉を回避することができる。その結果、無段変速機の耐久性や変速制御性の低下を防止もしくは抑制できる。
ここで上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS2およびステップS3の機能的手段が、この発明の目標変位量制限手段に相当する。
この発明に係る変速制御装置で実行される目標変位量の制限制御の一例を説明するためのフローチャートである。 パワーローラと傾転力係数との関係を模式的に示す線図である。 この発明で対象とするトロイダル型無段変速機の一例を模式的に示す図である。 そのトロイダル型無段変速機の一方のキャビティを、その中央部を通る平面で切断した状態を示す模式的な断面図である。 この発明に係る変速装置による基本的な変速制御の一例を説明するための制御ブロック図である。
符号の説明
1…入力ディスク、 2…出力ディスク、 3…出力ギヤ、 4…入力軸、 9…パワーローラ、 10…トラニオン、 12…トラニオン軸、 17…油圧シリンダ、 19…電磁弁、 28…ストロークセンサ、 29…傾転角センサ、 32…電子制御装置(ECU)。

Claims (4)

  1. 一対のディスクの間に挟み付けられたパワーローラが保持部材によって回転自在に保持され、変速要求に基づく目標変位量に応じてそのパワーローラを保持部材と共に変位させることによりパワーローラを傾転させて変速を実行するトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、
    前記目標変位量を制限する目標変位量制限手段を備えていることを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  2. 前記目標変位量制限手段は、前記パワーローラに傾転力が生じない中立位置からの変位量の上限を規定する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  3. 前記目標変位量制限手段は、前記変速要求に基づいて求まる目標変位量が、予め定めた上限値を超える場合に、その上限値を目標変位量とする手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  4. 前記目標変位量制限手段は、前記目標変位量を前記パワーローラが変位可能な変位量以下に規制する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
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