JP2007168298A - ポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法 Download PDF

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勝則 岩崎
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Abstract

【課題】生分解性樹脂によりしわ、たるみがなく、透明で耐ブロッキング性、低温シール性及びフィルムインパクトの良好な生分解性を有するポリ乳酸無延伸多層フィルムを得ることができるポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法は、2種のポリ乳酸の中間に弾性率50〜1,000MPaの柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を配置し、ダイスより共押出してから外径120mm以上の巻取用コアに巻き取ることと特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリ乳酸(以下、PLAと略す。)無延伸多層フィルムの製造方法に関し、特にPLA無延伸フィルムの大きな問題点であるフィルムが硬くて延びないことによるフィルム成形時およびフィルム巻取時のしわ、たるみをなくし、透明で耐ブロッキング性、低温シール性及びフィルムインパクトの良好なPLA無延伸多層フィルムの製造方法に関する。
PLAは、炭酸ガスと水とから光合成により作られる澱粉を原料とした生分解性樹脂であり、燃焼により発生する熱量も少なく、しかも土中や水中で自然に加水分解し、次いで微生物により無害な分解物となるため、環境に優しい最も有望な生分解性樹脂であるといわれている、加えて、食品用途に使用し得るものとして唯一米国食品医薬局(FDA)にも認可されている生分解性樹脂である。
しかしながら、PLAの通常市販されているグレードの融点は約165℃〜175℃であるが、融点が高いためにフィルム成形温度を200℃以上に上げる必要があり、インフレーション成形用ダイから押し出された円筒状の樹脂(バブル)が変動するために安定成形が困難であった。また、PLAは、T−ダイ方式でシートを成形後、縦と横に二軸延伸したフィルムが既に市販されているが、PLAの二軸延伸フィルムは低温シール性がないので、溶断シール以外の通常のヒートシールができず、透明性を有し、適度の腰のある生分解性を有するシーラントフィルムの開発が望まれていた。
一方、PLAは、L−乳酸とD−乳酸を共重合させると、融点がD−乳酸の共重合率と共に下がるので成形温度を200℃以下に下げることができる。したがって、低温シール性を改良するためには、L−乳酸にD−乳酸を共重合させた方が有利である。また、低融点化により成形温度もそれに応じて下げられ、特にインフレーション方式でフィルムを成形する場合、溶融張力が大きくなり、バブルがより安定化し好都合である。
しかしながら、PLA単独の場合、L−乳酸とD−乳酸を共重合させてPLAの融点を160℃に下げても、バブルはより安定化するが弾性率は約3,000MPaと非常に高いままであるので、依然としてフィルムが硬く、伸度が約5%とほとんど延びないために、特にインフレーション方式でフィルムを成形するときにしわとたるみが発生し、商品価値のあるフィルムの安定生産はできていない。このしわ、たるみ等の問題は成形条件を変えただけでは解決できず、また、フィルムの伸びがないため、フィルムインパクトが小さく、薄物フィルム成形時に破断しやすかった。
一方、下記特許文献1には、滑り性能に優れ、ヒートシール性能及び溶断シート性能に優れると共に熱安定性が付与されたPLAフィルムとして、L−乳酸とD−乳酸の組成比が100:0〜94:6または6:94〜0:100であるPLA系重合体と、ガラス転移点Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルとを主成分とし、前記生分解性脂肪族ポリエステルの含有量は前記PLA系重合体100質量部に対して3〜70質量部であり、かつ、少なくとも1軸方向に延伸された後に熱処理が施された延伸PLAフィルムが開示されている。
本発明者らは、PLAフィルムが硬すぎることによる問題点を解決するために、弾性率70Mpaと非常に柔らかい生分解性ポリエステルのブレンドによる改質を試みた。そうすると、ブレンド率の上昇と共にPLAフィルムは柔軟になるが、40%ブレンドしてもしわとたるみの改良は不十分であった。また、フィルムの伸びも小さく、フィルムインパクトも20%ブレンドで10J/cmと改良の程度が小さく、しかも40%もブレンドすると透明性と耐ブロッキング性が大幅に悪化し、商品価値の高いフィルムを得ることはできなかった。また、生分解性ポリエステルのブレンドによりFDAの審査にはパスしなくなるので、食品用には使用できなくなるという問題が存在していた。
他方、生分解性ポリエステル単独では、透明性及び耐ブロッキング性が非常に悪く、フィルムの腰もなく、フィルムとしての商品価値は低いが、柔軟でフィルムの伸びとフィルムインパクトは非常に良好であることを確認した。また、透明性が悪い理由は生分解性ポリエステルフィルムの表面肌荒れであり、内部ヘイズは良好であることも確認できた。
以上述べたように、従来のPLA無延伸フィルムは実用化するには多くの改良しなければならない問題点が存在していた。
本発明者等は、上述のようなPLAの問題点を解決すべく実験を重ねた結果、PLAと同じエステル基を有する生分解性ポリエステルをPLAの中間層に持ってきて、2種3層ないしは3種3層フィルムとすることにより、PLA単独の場合の欠点であるしわ、たるみ、フィルムの伸び、及びフィルムインパクトが改良され、逆に生分解性ポリエステル単独の場合の欠点である透明性と耐ブロッキング性はPLAでサンドイッチすることにより改良されたポリ乳酸無延伸多層フィルムが得られることを見出した(下記特許文献2参照)。
特開平9−157408号公報 WO2004/069535
本発明者等が更に、フィルム長が2000m以上の当該多層フィルムを商業的規模で生産する実験を重ねた結果、フィルム巻取部において巻芯部に近いフィルムにたるみ、横じわ(横段ともいう。)が発生し、その巻芯部のフィルムの巻き姿が巻芯部の外側のフィルムの巻き姿にも当然影響してフィルム全体の商品価値が大幅に下がることが分かった。
そこで本発明者等は、多層フィルム成型時の偏肉、たるみ、張力、タッチロールの有無等の成型条件を検討し、フィルムのたるみ、横じわの原因を調べた。その結果、PLAフィルムのPLAが非結晶性であるため、巻取時の張力により時間と共に動いて巻き絞りを生じ、2000m以上に巻いた場合、巻芯部にたるみ、横じわが発生する原因となっている可能性があると考えるに至り、多層フィルムの巻取方法、特に巻取用コアの径を検討した。
プラスチックフィルムを巻き取る巻取用コアには、通常内径が3インチ(76mm)、厚みは4〜15mmのものがあるが通常10mmであり、従って外径が96mmの紙管が用いられる。この径の巻取用コアは一般的に用いられるものである。本発明者等はまず巻取用コアの径を大きくすることを試み、3インチ(内径)紙管の厚み(通常10mm)を厚くし、外径を大きくしてみた。しかし紙管の厚みを大きくするには技術的又は経済的な限界(約20mm)があり、フィルムの巻き姿にある程度の改善が見られたが十分ではなかった。
更に実験を進めたところ、巻取用コアである紙管として内径が4インチ(約100mm)以上、厚みが10mm以上、即ち外径を120mm以上とすることにより、たるみ、横じわがない多層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、PLA無延伸フィルムの大きな問題点であるフィルムが硬くて延びないことによるフィルム成形時およびフィルム巻取時のしわ、たるみをなくし、透明で耐ブロッキング性、低温シール性及びフィルムインパクトの良好なPLA無延伸多層フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願の請求項1に係るPLA無延伸多層フィルムの製造方法の発明は、2種のPLAの中間に弾性率50〜1,000MPaの柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を配置し、ダイスより共押出してフィルム成型するPLA無延伸多層フィルムの製造方法であって、当該多層フィルムを外径120mm以上の巻取用コアに巻き取ることを特徴とする。
本発明において、巻取用コアの太さは外径120mm以上である必要があるが、より好ましくは外径145mm以上である。巻取用コアの太さは、通常、内径(呼び径がインチで表示される。)と厚みで表示され、本発明の外径120mm以上の巻取用コアとしては例えば内径が4インチ(100mm)、厚みが10mm以上のものや内径6インチ(150mm)、厚みが10mm以上のものを使用できるが、これらに限定されるものではない。なお、巻取用コアを取り付けるシャフト(軸)は通常内径3インチ用になっており、内径4インチ以上を使用する場合、シャフトの交換又はアダプターの製作、取り付けが必要となり面倒となる。
この場合、巻取用コアのコストは高くなるが、例えば内径3インチの巻取用コアと内径6インチの巻取用コアの二重管(両巻取用コアの両端をリングで固定したもの)が既存の設備のままで使用可能となり好都合である。巻取用コアの全長は製造する多層フィルムの横幅によって決められるものであるが、通常300〜1500mmである。図1に巻取用コアの形状と各部の関係を示した。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のPLA無延伸多層フィルムの製造方法において、前記巻取用コアが紙管又はプラスチック管であることを特徴とする。この巻取用コアの素材としては、通常紙管が使用されているが、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン三元共重合体)やHDPE(高密度ポリエチレン)等によるプラスチック管も採用が可能である。
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載のPLA無延伸多層フィルムの製造方法において、前記2種のPLA無延伸フィルムは、それぞれポリ乳酸の種類が同じであるか又は相違するものであることを特徴とする。ポリ乳酸の種類は、D−乳酸とL−乳酸の重合比率、分子量及び融点等によって決まるものである。
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載のPLA無延伸多層フィルムの製造方法において、前記2種のPLA無延伸フィルムは、それぞれ融点が160℃以下のL−乳酸及びD−乳酸の共重合体であることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載のPLA無延伸多層フィルムの製造方法において、前記生分解性ポリエステル系樹脂層として、融点が90〜150℃の脂肪族ポリエステル又は脂肪族−芳香族コポリエステルを用いたことを特徴とする。この生分解性脂肪族ポリエステルとしては、例えば昭和高分子株式会社製のビオノーレPBSA#3001(弾性率350MPa、融点95℃)やPBS#1903(弾性率700MPa、融点115℃)が好適であり、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステルとしては例えばBASF社のエコフレックスFBX7011(弾性率70MPa、融点110℃)が好適である。
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載のPLA無延伸多層フィルムの製造方法において、前記生分解性ポリエステル系樹脂層として結晶核剤を0.05質量%〜1.5質量%添加したものを用いたことを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法において、前記生分解性ポリエステル系樹脂層の厚みが全体の20%以上であることを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、請求の範囲第1〜7項の何れか1項に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法において、前記PLA無延伸多層フィルムはインフレーション方式又はT−ダイ方式でフィルム成形することを特徴とする。
本発明は上記のような製造方法を採用することにより以下に述べるような優れた効果を奏する。即ち、請求項1に係る発明によれば、フィルム成形時およびフィルム巻取時のしわ、たるみがなく、透明でシール性良好なPLA無延伸多層フィルムからなるシーラントフィルムの安定な大量生産が可能となり、従来溶断シールしか製袋できなかったが通常の製袋機で生分解性があり、透明性良好な袋の生産が可能となり、食品用、産業用、農業用等の各種分野で使用できる。なお、本発明のPLA無延伸多層フィルムは、当然のことながら、シーラントフィルムだけでなく、単体のフィルムとしても各種分野で使用され得る。
また、請求項2に係る発明によれば、巻取用コアとして紙管及びプラスチック管は広く用いられているものであるため、入手が容易であるとともに、軽く、しかもフィルム巻取時のしわ、たるみがなく巻き取ることができるようになる。
また、請求項3に係る発明によれば、両面が同じ組成の2種3層のPLA無延伸多層フィルムあるいは両面の組成が異なる3種3層のPLA無延伸多層フィルムとなるので、多種多様なPLA無延伸多層フィルムが得られる。
また、請求項4に係る発明によれば、PLAの融点が低いので融点に対応して製造時の加熱温度を低くすることができるようになるとともに、低温ヒートシール性も良好になる。より好ましいL−乳酸及びD−乳酸の共重合体の融点は110〜140℃である。融点が110℃未満のものは得難く、また、融点が160℃を超えるものでは成形時の加熱温度が高くなりバブルが不安定になるので好ましくはない。
また、請求項5に係る発明によれば、弾性率50〜1000MPaの柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂層が得られる。この生分解性ポリエステル系樹脂層の融点が90℃未満であると、使用時に溶融してしまうおそれがあるので好ましくはなく、また、150℃を超えるものではPLAフィルムの欠点が目立ってしまうので、好ましくはない。
また、請求項6に係る発明によれば、生分解性ポリエステル系樹脂層に結晶核剤を添加すると生分解性ポリエステル系樹脂層の結晶化速度が向上するので、得られるPLA無延伸多層フィルムの透明度が増加する。特に、前記生分解性ポリエステル樹脂である融点が90℃〜150℃の脂肪族ポリエステル又は脂肪族−芳香族コポリエステルに結晶核剤を0.5質量%〜1.5質量%添加することにより、成形条件(スクリュー形状、冷却速度、成形速度、成形温度等)によっては結晶化速度の遅さに起因する透明性の悪化を大幅に改良することができると同時に、バブルの安定性も改良できる。この場合、結晶核剤添加量が0.05質量%未満であると結晶核剤添加の効果が生じないので好ましくなく、また、1.5質量%を超えて添加しても添加の効果が飽和する。
また、請求項7に係る発明によれば、PLA多層フィルムのフィルムインパクト、しわ及びたるみを改善することができる。生分解性ポリエステル系樹脂層の厚みが全体の20%未満では改善の度合いが少ないので好ましくはない。より好ましくは40%以上、最も好ましくは60%以上である。
また、請求項8に係る発明によれば、容易にPLA無延伸多層フィルムを製造することができるようになる。T−ダイ方式よりもインフレーション方式の方が装置が小型で初期投資も少なくてすみ、小ロット、他品種の場合、好都合である。なお、成形温度は成形方法によって変わるので特に定めないが、インフレーション方式の場合バブル安定性の点で210℃以下、より好ましくは190℃以下である。T−ダイ方式の場合は200℃以上250℃以下が好適である。
以下、本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
内径6インチ(152mm)、厚さ10mm(従って、外径172mm)、全長440mmのフィルム巻取用紙管を備え、ダイス直径150mmの3種3層インフレーション成形装置を使用し、中間層に脂肪族−芳香族コポリエステルのBASF社製エコフレックス(融点114℃、弾性率70MPa、190℃MFR4)を使用し、両側の外層には米国のNature Works社のPLA(融点150℃、弾性率2,900MPa、190℃MFR3)を用い、樹脂温度190℃で成形した。なお、この時PLAにはブロッキング防止のため平均粒径3μmのシリカを0.20質量%添加した。
得られたPLA無延伸多層フィルムは、全長3000mで、厚みは、10μm/20μm/10μmの合計40μmであり、この時の製品幅440mm(耳スリット前の折径470mm)、引取速度30m/分であり、エアーリングはバブルを安定化させるためベンチュリータイプのデュアルリップ、3段チャンバーで成形した。
上記PLA無延伸多層フィルムは耐ブロッキング、滑り、柔軟性が改良され(弾性率1,200MPa、多層フィルム全長にわたってしわとたるみのない透明性の良好なフィルム(ヘイズ8%)であり、フィルム伸び(伸度300%)、フィルムインパクト(100J/cm)は良好であった。
なお、エコフレックス単独ではフィルムインパクトは330J/cmと良好であるが、フィルムが不透明であり(ヘイズ50%)、タルク1.2質量%、滑剤0.05質量%添加しても滑り不良でブロッキングした。
[比較例1]
実施例1のフィルム巻取用紙管を内径3インチ(76mm)、厚さ10mm(従って、外径96mm)、全長440mmのフィルム巻取用紙管とした以外は、実施例1と同じインフレーション成形装置と原料樹脂を用い、同じ成型条件で全長3000mのPLA無延伸多層フィルムを製造した。
得られたPLA無延伸多層フィルムは実施例1と同様の物性値を示したが、連続生産に問題があり、フィルムの巻芯部の約200mにわたってたるみと横じわが発生し、商品価値のあるフィルムが得られなかった。
実施例1でPLAを融点130℃、190℃MFR3のPLAの低融点グレードに変更し、樹脂温度を170℃に下げ、層厚比8μm/24μm/8μmと特殊ポリエステル樹脂の比率をアップし、合計40μmとし、全長2000mのPLA無延伸多層フィルムを成形した。樹脂温度を下げた効果により、バブル安定性は実施例1より向上し、偏肉も実施例1のR=10μmがR=6μmに改善された。得られたPLA無延伸多層フィルムの物性は実施例1より低温ヒートシール性、フィルム伸び(伸度400%)、フィルムインパクトが更に改善され、ヒートシール温度は110℃から一定となり(15N/15mm)フィルムインパクトは200J/cm)であり、多層フィルム全長にわたってしわとたるみのない透明性の良好なフィルムが得られた。
[比較例2]
実施例2のフィルム巻取用紙管を内径3インチ(76mm)、厚さ10mm(従って、外径96mm)、全長440mmのフィルム巻取用紙管とした以外は、実施例2と同じインフレーション成形装置と原料樹脂を用い、同じ成型条件で全長2000mのPLA無延伸多層フィルムを製造した。
得られたPLA無延伸多層フィルムは実施例1と同様の物性値を示したが、連続生産に問題があり、フィルムの巻芯部約200mにわたってしわと横じわが発生し、商品価値のあるフィルムが得られなかった。
実施例2で内径5インチ(125mm)、厚さ10mm(従って、外径135mm)、全長440mmのフィルム巻取用紙管を備え、ダイス直径150mmの3種3層インフレーション成形装置を使用し、中間層を昭和高分子株式会社のビオノーレPBSA#1903(融点115℃、弾性率700MPa、190℃MFR4.5)に変更した以外は実施例2と同一の条件にて全長2000mのフィルムを成形した。ビオノーレ#1903単独では不透明なフィルムで商品価値が劣っていたが、上記PLA無延伸多層フィルムは透明(ヘイズ9%)でブロッキングもせず、多層フィルム全長にわたってしわとたるみのない良好なPLA無延伸多層フィルムが得られた。
内径6インチ(152mm)、厚さ10mm(従って、外径172mm)、全長800mmのフィルム巻取用紙管を備え、ダイス直径が325mmの3種3層大型インフレーション成形装置に変更し、内外装にNature Works社のPLA(融点125℃、D体のモル分率7%、弾性率2,900MPa、190℃MFR3)を使用し、中間層は実施例1と同じBASF社製エコフレックスを用い、樹脂温度190℃で成形した。このとき、PLAにはブロッキング防止と滑り性改良のため、平均粒径3μmのシリカを0.4質量%添加した。得られたPLA無延伸多層フィルムは、全長3000mで、厚みは、10μm/20μm/10μmの合計40μmであり、このときの製品幅800mm(耳スリット前の折径840mm)、引取速度40m/分であり、エアーリングはチャンバーなしのデュアルリップタイプを使用し、バブル内部の冷却も行った。
上記PLA無延伸多層フィルムは、多層フィルム全長にわたってしわとたるみはなく、フィルムの物性は実施例1とほぼ同等であったが、大型化と成形速度の上昇により、透明性が悪化した(ヘイズ14%)。この透明性の悪化の原因は、中間層のエコフレックスの結晶化速度が遅いことに起因しており、結晶核剤を0.5質量%添加することにより透明性が大幅に改良され(ヘイズ7%)、バブル安定性も若干改良された。このときの核剤としてはPBT(ポリブチレンテレフタレート)を使用し、DSCによるエコフレックスの結晶化温度は61℃から81℃に上昇した(DSCの冷却速度20℃/min)。なお、結晶核剤としては、結晶化温度を高めて結晶化速度を速めるものであればPBTに限定されるものではない。
本発明の巻取用コアの形状と各部の関係を示す正面図(図1A)及びA−A断面図(図1B)である。

Claims (8)

  1. 2種のポリ乳酸の中間に弾性率50〜1,000MPaの柔軟な生分解性ポリエステル系樹脂を配置し、ダイスより共押出してフィルム成型するポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法であって、前記多層フィルムを外径120mm以上の巻取用コアに巻き取ることを特徴とするポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  2. 前記巻取用コアが紙管又はプラスチック管であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  3. 前記2種のポリ乳酸として、それぞれポリ乳酸の種類が同じであるか又は相違するものを用いたことを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  4. 前記2種のポリ乳酸として、それぞれ融点が160℃以下のL−乳酸及びD−乳酸の共重合体を用いたことを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  5. 前記生分解性ポリエステル系樹脂として、融点が90〜150℃の脂肪族ポリエステル又は脂肪族−芳香族コポリエステルを用いたことを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  6. 前記生分解性ポリエステル系樹脂層として、結晶核剤を0.05質量%〜1.5質量%添加したものを用いたことを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  7. 前記生分解性ポリエステル系樹脂層の厚みが全体の20%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
  8. 前記ポリ乳酸無延伸多層フィルムをインフレーション方式又はT−ダイ方式でフィルム成形することを特徴とする請求の範囲第1〜7項の何れか1項に記載のポリ乳酸無延伸多層フィルムの製造方法。
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