JP2007167880A - ろう材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】CuおよびAlを主成分とし、Si、AgおよびSnのいずれか1つを副成分として含むベースろう材を加熱して溶融し、溶融したベースろう材を、硬質相1および軟質相2からなる海島構造が形成されるように、室温雰囲気下で放置する放冷または強制空冷で、冷却速度を0.1〜10℃/秒として、冷却する。得られたろう材素材(ビレット)は、上記主成分および副成分を含み、硬質相1および軟質相2からなる海島構造を有しているため、線引き加工性の向上を図ることができるとともに、機械強度を高めることができる。そのため、確実に線引き加工して目的の形状のろう材を得ることができる。また、高い機械強度を有する高張力鋼板を、本発明のろう材によりろう接すれば、高い機械強度を有する鋼板構造物を得ることができる。
【選択図】図2
Description
例えば、Alを主成分とするろう材であって、CuおよびSiを含み、ろう材の低融点化を図り、良好な接合体を得ることを目的とするろう材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、高張力鋼板は、合金元素の添加により機械強度特性が高められ、高い引張り強度を有する合金鋼であって、普通鋼板よりも機械強度が高いことで知られている。
従って、ろう材には、高張力鋼板などに用いられる場合には、高張力鋼板の利点である優れた機械強度を十分に発揮させるために、とりわけ、ろう接部の機械強度を高くすることが要求されており、このような高強度ろう材として、Cu−Al系やCu−Mn系が知られており、さらなる高強度ろう材も求められている。
一方、特許文献1のろう材や上記した高強度ろう材では、機械強度が高いが、線引き加工性が十分でないため、線引き加工中に、ワイヤに破断が生じて、所定形状のワイヤを形成することができないという不具合がある。
また、本発明のろう材の製造方法は、CuおよびAlを主成分とし、Si、AgおよびSnの少なくともいずれか1つを含むベースろう材を加熱して溶融する工程、および、溶融した前記ベースろう材を、硬質相および軟質相からなる海島構造が形成されるように冷却する工程を備えていることを特徴としている。
ろう材素材は、必須成分として、Cu(銅)およびAl(アルミニウム)を主成分とし、Si(ケイ素)、Ag(銀)およびSn(スズ)の少なくともいずれか1つを副成分として含むベースろう材から、得られる。
また、ベースろう材は、上記した必須成分(主成分および副成分)の他に、Mn(マンガン)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)などの任意成分を含んでいてもよい。
任意成分の配合割合は、特に制限されないが、ベースろう材の全量に対して、Mnが、例えば、0.5〜3.0重量%、好ましくは、0.5〜2.0重量%、Niが、例えば、0.5〜3.0重量%、好ましくは、0.5〜2.0重量%、Feが、例えば、2.0重量%以下、好ましくは、0.5〜2.0重量%である。
つまり、この海島構造は、硬質相1が、マトリックス相となり、その硬質相1中に、軟質相2が点在するように形成されている。
次に、本発明のろう材の製造方法について説明する。
この方法では、まず、上記したベースろう材を加熱して溶融する。
ベースろう材は、上記した必須成分(主成分および副成分)および必要により任意成分を、上記した配合割合で秤量し、これを溶解炉に配合して、加熱して溶融する。
この方法では、次いで、溶融したベースろう材を、硬質相1および軟質相2からなる海島構造が形成されるように、冷却する。
ベースろう材を、硬質相1および軟質相2からなる海島構造が形成されるように冷却するには、特に制限されないが、例えば、空冷する。空冷は、例えば、室温雰囲気下で放置する放冷や、室温雰囲気下で扇風機や送風機(ブロワ)などの送風手段により送風する強制空冷が用いられる。
冷却速度が、これより遅い場合には、図3(後述する比較例1に相当する金属顕微鏡写真の画像処理図)に示すように、軟質相2の小粒子の粒径が粗大となり過ぎ、海島構造が形成されず、また、粒径がワイヤの目的線径(例えば、1.2mm)以上となる場合があるため、線引き加工中に結晶粒界で破断しやすくなる場合がある。なお、目的の長さより短く破断する場合には、この破断したワイヤを継ぎ合わせてろう接すれば、ろう接不良が発生するおそれがある。
なお、軟質相2の小粒子の粒径は、後述するワイヤの線径を100%(1.2mm)としたときに、例えば、0.2〜10%であり、より具体的には、例えば、10〜100μmである。粒径が、これより大きい場合には、軟質相2の組織が粗大となって、線引き加工中にワイヤが破断する場合がある。粒径が、これより小さい場合には、硬質相1の割合が多くなるため、線引き加工性が低下する(すなわち、硬くて線引き加工することできなくなる)場合がある。
なお、このビレットは、そのビッカーズ硬さHV(JISZ2244)が、例えば、170〜300、好ましくは、180〜230である。上記した範囲内であれば、ろう材素材に、海島構造が形成される。換言すれば、ろう材素材に海島構造が形成されれば、上記した範囲内のビッカーズ硬さHVになる。
その後、このろう材素材(ビレット)を押し出した後引き抜く(線引き加工する)ことにより、ワイヤ状のろう材を作製することができる。
実施例1
Cu 82.08重量%
Al 8.19重量%
Si 0.41重量%
Ag 2.98重量%
Sn 2.09重量%
Mn 1.38重量%
Ni 1.38重量%
Fe 1.49重量%
上記の成分を、上記の配合割合で秤量し、これをガス溶解炉に配合して、1200℃で溶解した。
その後、冷却して固化された円柱形のビレット(直径5cm、長さ25cm)を、750℃で、直径3mmの10個の孔から押し出した。なお、押し出されたビレットの形状は、直径3mm、長さ7〜8mであった。
その後、これを、200℃で、直径1.2mmになるように、温間引き抜きした。この線引き加工により、ワイヤ状のろう材を得た。なお、このワイヤは、少なくとも2〜3m以上の長さを有していた。
実施例2
実施例1における、溶融したベースろう材の冷却において、室温雰囲気下で放置する放冷を、室温雰囲気下で扇風機(風量:小)を用いる強制空冷に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、ビレットを形成し、次いで、実施例1と同様に線引き加工して、ワイヤ状のろう材を得た。なお、冷却速度は、2.3℃/秒であった。なお、このワイヤは、少なくとも2〜3m以上の長さを有していた。
実施例1における、溶融したベースろう材の冷却において、室温雰囲気下で放置する放冷を、室温雰囲気下で扇風機(風量:大)を用いる強制空冷に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、ビレットを形成し、次いで、実施例1と同様に線引き加工して、ワイヤ状のろう材を得た。なお、冷却速度は、10.7℃/秒であった。なお、このワイヤは、少なくとも2〜3m以上の長さを有していた。
実施例1における、溶融したベースろう材の冷却において、室温雰囲気下で放置する放冷を、炉冷に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、ビレットを形成し、次いで、実施例1と同様に線引き加工して、ワイヤ状のろう材を得た。なお、冷却速度は、0.02℃/秒であった。なお、このワイヤは、30cm以下で断線した。
実施例1における、溶融したベースろう材の冷却において、室温雰囲気下で放置する放冷を、炉冷に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、ビレットを形成し、次いで、実施例1と同様に線引き加工して、ワイヤ状のろう材を得た。なお、冷却速度は、0.05℃/秒であった。なお、このワイヤは、30cm以下で断線した。
実施例1における、溶融したベースろう材の冷却において、室温雰囲気下で放置する放冷を、水冷に変更した以外は、実施例1と同様に処理して、ビレットを形成した。なお、冷却速度は、36℃/秒であった。なお、このビレットは、目的線径の1.2mmまで線引き加工することができなかった。
(表面観察)
実施例2および比較例1、3の、冷却して固化されたビレットから、試験片を採取し、これを200倍の金属顕微鏡により表面観察した。その画像処理図を、それぞれ図2〜4に示す。
また、実施例1および3のビレットについても、実施例2の図2と同様の金属顕微鏡写真の画像処理図を得ることにより、硬質相および軟質相からなる海島構造の形成を確認した。
また、比較例2のビレットについては、比較例1の図3と同様の金属顕微鏡写真の画像処理図を得ることにより、海島構造の形成を確認できなかった。
(ビッカーズ硬さ測定)
各実施例および各比較例の、冷却して固化されたビレットから、試験片を採取し、これらのビッカーズ硬さHVを、JISZ2244に準拠して、試験荷重300×9.807mN、荷重保持時間10秒にて、測定した。
2 軟質相
Claims (3)
- CuおよびAlを主成分とし、Si、AgおよびSnの少なくともいずれか1つを含み、硬質相および軟質相からなる海島構造を有しているろう材素材からなることを特徴とする、ろう材。
- CuおよびAlを主成分とし、Si、AgおよびSnの少なくともいずれか1つを含むベースろう材を加熱して溶融する工程、および、
溶融した前記ベースろう材を、硬質相および軟質相からなる海島構造が形成されるように冷却する工程を備えていることを特徴とする、ろう材の製造方法。 - 前記冷却工程において、冷却速度が、0.1〜10℃/秒であることを特徴とする、請求項2に記載のろう材の製造方法。
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CN116926373A (zh) * | 2023-07-26 | 2023-10-24 | 沧州德安防爆特种工具制造有限公司 | 银青铜合金材料及铸造方法和应用 |
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JPS62224494A (ja) * | 1986-03-26 | 1987-10-02 | Toyo Radiator Kk | ステンレス鋼の真空ブレ−ジング用銅ろう材 |
JPS6393496A (ja) * | 1986-10-07 | 1988-04-23 | Nippon Mining Co Ltd | 銅基ろう接合金 |
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CN116926373B (zh) * | 2023-07-26 | 2024-01-09 | 沧州德安防爆特种工具制造有限公司 | 银青铜合金材料及铸造方法和应用 |
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