JP2007165022A - 電磁スイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】過酷な条件下においても、スイッチカバー18に対するスイッチケース8のかしめ力を維持できる電磁スイッチを提供する。
【解決手段】スイッチカバー18は、スイッチケース8の薄肉円筒部8bの内周に嵌合する脚部27を有し、この脚部27の先端外周部に形成された段差27aを利用して配置されるシール部材20を介してベースコア部11bの端面に脚部27の先端面が着座して組み付けられる。このスイッチカバー18は、脚部27の外周部に溝部28が形成され、この溝部28にスイッチケース8の薄肉円筒部8bをかしめることで、スイッチケース8に固定される。薄肉円筒部8bのかしめ部29は、溝部28の両側面に密着した状態でかしめられ、脚部27に対し前後方向にかしめ力が働いている。これにより、スイッチカバー18がスイッチケース8に安定して固定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁石の吸引力を利用して電気接点を閉操作する電磁スイッチに関する。
従来技術として、特許文献1に記載されたスタータ用の電磁スイッチがある。
この電磁スイッチは、スタータのモータ回路に設けられるメイン接点を開閉する働きを有し、図5に示す様に、メイン接点を構成する一組の固定接点100と可動接点110、電磁コイル120への通電により固定鉄心130を磁化して電磁石を形成し、その電磁石の吸引力でプランジャ140を吸引して可動接点110を駆動するソレノイド150、および固定接点100を保持するスイッチカバー160を備え、このスイッチカバー160が、ソレノイド150のヨークを形成するスイッチケース170の端部にかしめ固定されている。
また、スイッチカバー160は、固定鉄心130の反コイル側端面(図示右側端面)に着座する脚部161を有すると共に、この脚部161の外周に段差が形成され、その段差を利用して固定鉄心130との間に配置されるシール部材180が、スイッチケース170のかしめ力により圧縮されることで、スイッチケース170と固定鉄心130及びスイッチカバー160の三者間のシール性が確保されている。
なお、スイッチカバー160の脚部161は、シール部材180を圧縮した状態で固定鉄心130の端面に着座する様に設定されているが、シール部材180の圧縮反力によって脚部161が固定鉄心130の端面から若干浮いた状態であっても、シール部材180の反力でスイッチカバー160のがたつきが抑えられ、スイッチケース170によって確実に固定される。
特開平5−126018号公報
ところが、スタータ用の電磁スイッチは、高温下及び高振動下の過酷な条件で使用されることが多いため、ゴム部品であるシール部材180にへたりが発生すると、シール部材180の反力が低下して、スイッチケース170のかしめ力によってスイッチカバー160を確実に固定することが困難になる。このため、スイッチカバー160の脚部161と固定鉄心130の端面との間に微小な隙間が発生すると、スイッチ作動時にプランジャ140が固定鉄心130に衝突した時の衝撃反力により、スイッチケース170とスイッチカバー160との間に軸方向の変位差が発生する〔図6(b)参照〕。
これにより、スイッチカバー160に固定された固定接点100と、シャフト190に支持された可動接点110との間にも変位差が発生して、可動接点110が固定接点100から瞬間的に離れるチャタリング現象を生じる。その結果、可動接点110のチャタリングによって瞬間的に電流が遮断され〔図6(a)参照〕、火花が発生することにより、接点磨耗が促進されて、接点寿命が低下する問題を生じる。なお、図6(a)は、メイン接点に流れる電流を測定したもので、メイン接点が閉じた後、スイッチケース170とスイッチカバー160との間に軸方向の変位差が発生した時点で、瞬間的な電流遮断が発生している。つまり、可動接点110にチャタリングが発生していることを表している。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、過酷な条件下での使用においても、スイッチカバーに対するスイッチケースのかしめ力を長期に渡り維持できる電磁スイッチを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明の電磁スイッチは、一組の固定接点を保持するスイッチカバーと、電磁石の吸引力によりプランジャを吸引して可動接点を駆動するソレノイドとを備える。
スイッチカバーは、スイッチケースの内周に嵌合する筒状の脚部を有すると共に、この脚部の外周部に段差が形成され、その段差を利用して配置されるシール部材を介して固定鉄心の端面に脚部が着座して組み付けられ、スイッチケースは、スイッチカバーをかしめ固定するかしめ部が設けられ、このかしめ部には、スイッチカバーに対しプランジャが可動する両方向(前後方向と呼ぶ)にかしめ力が働いていることを特徴とする。
シール部材の圧縮反力によってスイッチカバーの脚部が固定鉄心の端面から若干浮いた状態で組み付けられていた場合に、例えば、過酷な条件下での使用によりシール部材にへたりが発生すると、脚部と固定鉄心との間に微小な隙間が発生する。これに対し、本発明では、スイッチケースのかしめ力がスイッチカバーに対し前後方向に働いているため、スイッチカバーをスイッチケースにがたつくこと無く安定して固定できる。
これにより、プランジャが吸引されて固定鉄心に衝突した時の衝撃反力によってスイッチケース及びスイッチカバーが軸方向に変位した時に、両者の変位差を小さく抑えることができる。その結果、可動接点のチャタリングを防止でき、瞬間的な電流遮断による火花の発生を低減できるので、接点磨耗を抑制でき、接点の長寿命化を図ることができる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載した電磁スイッチにおいて、スイッチカバーの外周部に内径側へ凹む溝部が形成され、スイッチケースは、溝部の前後方向の両側面にかしめ部が密着していることを特徴とする。
これにより、スイッチケースのかしめ力がスイッチカバーに対し前後方向に働くため、シール部材にへたりが発生することに関わりなく、スイッチカバーをスイッチケースに安定して固定できる。
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載した電磁スイッチにおいて、スイッチカバーは、スイッチケースにより全周に渡ってかしめ固定されていることを特徴とする。
この場合、スイッチケースとスイッチカバー及び固定鉄心との間でシール部材の締め代を全周に渡って均等に維持できるので、スイッチ内外のシール性を更に向上できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1は電磁スイッチ1の断面図、図2はスイッチケース8とスイッチカバー18とのかしめ構造を示す断面図、図3はスタータ2の側面図である。
実施例1に示す電磁スイッチ1は、例えば、自動車用エンジンを始動するためのスタータ2に用いられる。
スタータ2は、図3に示す様に、回転力を発生するモータ3と、このモータ3の駆動トルクが伝達されて回転するピニオンギヤ4とを有し、このピニオンギヤ4がエンジンのリングギヤ(図示せず)に噛み合わされ、ピニオンギヤ4からリングギヤにモータ3の駆動トルクを伝達してエンジンを始動させる周知の働きを有している。
電磁スイッチ1は、モータ3の通電回路(モータ回路と呼ぶ)に設けられるメイン接点を開閉すると共に、図示しないシフトレバーを介して、ピニオンギヤ4をリングギヤに噛み合わせる働きを有し、図1に示す様に、メイン接点を構成する一組の固定接点5と可動接点6、及び電磁石の吸引力を利用して可動接点6を駆動するソレノイド7を有する。
ソレノイド7は、ヨークを形成するスイッチケース8と、ボビン9に巻線されてスイッチケース8の内部に収容される電磁コイル10と、この電磁コイル10への通電によって磁化される固定鉄心11と、ボビン9の内周にスリーブ12を介して挿入されるプランジャ13と、このプランジャ13の動きを可動接点6に伝えるシャフト14等より構成される。
スイッチケース8は、ソレノイド7の外枠(ケース)を形成すると共に、固定鉄心11と共に電磁コイル10の周囲に固定磁路を形成している。
電磁コイル10は、プランジャ13を吸引するための磁力を発生する吸引コイル10aと、吸引されたプランジャ13を保持するための磁力を発生する保持コイル10bとで構成され、ボビン9に二層状態で巻線されている。
固定鉄心11は、プランジャ13に対する吸着面を形成する内側コア部11aと、この内側コア部11aを支持するリング形状のベースコア部11bとで構成され、このベースコア部11bの外径部がスイッチケース8の内周に設けられる段差8a(図2参照)に当接して位置決めされている。
プランジャ13は、スリーブ12の内周で内側コア部11aと対向して配置されると共に、その内側コア部11aとの間に配設されるリターンスプリング15により反コア部方向(図1の左方向)へ付勢されている。なお、このプランジャ13には、ドライブスプリング16と共にシフト用ロッド17が組み付けられ、このシフト用ロッド17に前記シフトレバーが連結される。
シャフト14は、一方の端部にフランジ部14aが設けられ、このフランジ部14aがプランジャ13の端面に固定されて、プランジャ13と一体に可動する。シャフト14の他方の端部は、内側コア部11aに形成される中心孔を通って、スイッチカバー18の内部に形成される接点室19に入り込んでいる。
スイッチカバー18は、例えば、樹脂成形品であり、ベースコア部11bの反コイル側(図示右側)にシール部材20を介して組み付けられ、スイッチケース8の端部にかしめ固定されている。
一組の固定接点5は、スイッチカバー18に固定される2本の外部端子21、22を介してモータ回路に接続され、スイッチカバー18の内側に取り出された外部端子21、22の頭部と一体に設けられている。2本の外部端子21、22は、バッテリケーブルを介して車載バッテリ(図示せず)に接続されるB端子21と、モータ3から取り出されたリード線23(図3参照)が接続されるM端子22である。
可動接点6は、接点室19に入り込んだシャフト14の端部にインシュレータ24を介して取り付けられ、且つシャフト14のフランジ部14aとインシュレータ24との間に配設される接点圧スプリング25によりシャフト14の先端側(図1の右方向)へ付勢され、シャフト14の先端部に取り付けられたストッパ部材26に位置決めされている。
続いて、スイッチケース8とスイッチカバー18とのかしめ構造について、図2を参照して説明する。
スイッチケース8は、ヨークを形成する部分より開口端側(図示右側)に肉厚を薄く形成した薄肉円筒部8bが設けられている。
スイッチカバー18は、スイッチケース8の薄肉円筒部8bの内周に嵌合する筒状の脚部27を有すると共に、この脚部27の先端外周部に段差27aが形成され、その段差27aを利用して配置されるシール部材20(本実施例では板状のガスケット)を介してベースコア部11bの端面に脚部27の先端面が着座して組み付けられる。
シール部材20は、脚部27に形成された段差27aの軸方向端面とベースコア部11bの反コイル側端面との間および前記段差27aの径方向端面とスイッチケース8との間に圧縮された状態で配置され、スイッチケース8とスイッチカバー18及びベースコア部11bの三者間を液密にシールしている。
また、スイッチカバー18は、脚部27の外周部に内径側へ凹む断面凹状の溝部28が全周に渡って形成され、この溝部28にスイッチケース8の薄肉円筒部8bをかしめることで、スイッチケース8に固定される。なお、薄肉円筒部8bのかしめ部29は、脚部27の前後方向(図示左右方向)における溝部28の両側面に密着した状態でかしめられ、脚部27に対し前後方向にかしめ力が働いている。
次に、電磁スイッチ1の作動を説明する。
図示しない始動スイッチのオン操作により電磁コイル10に通電されると、電磁石が形成されて固定鉄心11が磁化されるため、内側コア部11aとプランジャ13との間に吸引力が作用して、プランジャ13がリターンスプリング15を押し縮めながらコア部側(図1の右方向)へ移動する。このプランジャ13の移動により、プランジャ13に固定されたシャフト14が押し出されて、シャフト14の端部に支持された可動接点6が一組の固定接点5に当接する。その後、プランジャ13は、接点圧スプリング25を押し縮めながら更に移動して、内側コア部11aの端面(吸着面)に当接して停止する。
これにより、接点圧スプリング25の圧縮荷重が可動接点6に付与され、その可動接点6が一組の固定接点5に押し付けられることで、メイン接点が閉状態となり、バッテリからモータ3へ給電される。
エンジン始動後、始動スイッチのオフ操作により、電磁コイル10への通電が停止されて電磁石の吸引力が消滅すると、リターンスプリング15の反力でプランジャ13が反コア部方向へ押し戻されるため、可動接点6が一組の固定接点5から離れてメイン接点が開状態となり、モータ3への給電が停止される。
(実施例1の作用及び効果)
本実施例の電磁スイッチ1は、スイッチケース8の薄肉円筒部8bにスイッチカバー18をかしめ固定するかしめ部29が設けられている。このかしめ部29は、溝部28の両側面に密着した状態でかしめられ、脚部27に対し前後方向にかしめ力が働いている。これにより、過酷な条件下(例えば高温下及び高振動下)での使用により、シール部材20にへたりが発生する場合でも、スイッチカバー18をスイッチケース8に安定して固定できる。その結果、プランジャ13が吸引されて内側コア部11aに衝突した時の衝撃反力によってスイッチケース8及びスイッチカバー18が軸方向に変位した時に、両者の変位差を小さく抑えることが可能である。
実際に、スイッチケース8及びスイッチカバー18の変位を測定した結果では、図4(b)に示す様に、プランジャ13が内側コア部11aに衝突した時の衝撃反力によって、スイッチケース8及びスイッチカバー18がプランジャ13の作動方向(プランジャ13が吸引されて移動する方向:図1の右方向)に変位した際に、両者の変位に大きな差はなく、略同等の変位を示していることが分かる。この様に、スイッチケース8に対しスイッチカバー18ががたつくことは無く、安定して固定されるので、プランジャ13が内側コア部11aに衝突した時に、固定接点5と可動接点6との間に生じる変位差も小さくできる。
上記の結果、可動接点6のチャタリングを防止でき〔図4(a)参照〕、瞬間的な電流遮断による火花の発生を低減できるので、接点磨耗を抑制でき、接点の長寿命化を図ることができる。なお、図4(a)は、メイン接点に流れる電流を測定したもので、メイン接点が閉じた後、瞬間的な電流遮断が発生していない、つまり可動接点6のチャタリングが発生していないことを表している。
(変形例)
実施例1では、脚部27に断面凹状の溝部28を形成する一例を記載したが、例えば、断面V字状、あるいは断面半円形状等の溝部28を形成することもできる。いずれの形状においても、スイッチケース8の薄肉円筒部8bが溝部28の両側面に密着してかしめられることにより、脚部27に対し前後方向にかしめ力が発生する構造であれば良い。
また、実施例1では、スイッチカバー18の全周に溝部28を形成して、スイッチケース8によりスイッチカバー18の全周をかしめ固定する様に記載したが、必ずしも全周をかしめる必要はなく、周方向の複数箇所をかしめる構成でも良い。
更に、シール部材20の一例として、板状のガスケットを記載したが、ガスケット以外のシール部材20、例えば、Oリングを使用することもできる。
電磁スイッチの断面図である。 スイッチケースとスイッチカバーとのかしめ構造を示す断面図である。 スタータの側面図である。 (a)スイッチ作動時の通電状況を示すグラフ、(b)スイッチケースとスイッチカバーの変動状況を示す測定グラフである。 電磁スイッチの断面図である(従来技術)。 (a)スイッチ作動時の通電状況を示すグラフ、(b)スイッチケースとスイッチカバーの変動状況を示す測定グラフである(従来技術)。
符号の説明
1 電磁スイッチ
5 固定接点
6 可動接点
7 ソレノイド
8 スイッチケース
10 電磁コイル
11 固定鉄心
13 プランジャ
18 スイッチカバー
20 シール部材
27 脚部
27a 脚部の外周部に形成された段差
28 スイッチカバーに形成された溝部
29 スイッチケースのかしめ部

Claims (3)

  1. モータ回路に接続される一組の固定接点と、
    この一組の固定接点間を断続する可動接点と、
    前記一組の固定接点を保持するスイッチカバーと、
    ヨークを形成するスイッチケースの内周に電磁コイルを配置して、この電磁コイルへの通電により固定鉄心を磁化して電磁石を形成し、その電磁石の吸引力によりプランジャを吸引して前記可動接点を駆動するソレノイドとを備える電磁スイッチにおいて、
    前記スイッチカバーは、前記スイッチケースの内周に嵌合する筒状の脚部を有すると共に、この脚部の外周部に段差が形成され、その段差を利用して配置されるシール部材を介して前記固定鉄心の端面に前記脚部が着座して組み付けられ、
    前記スイッチケースは、前記スイッチカバーをかしめ固定するかしめ部が設けられ、このかしめ部には、前記スイッチカバーに対し前記プランジャが可動する両方向(前後方向と呼ぶ)にかしめ力が働いていることを特徴とする電磁スイッチ。
  2. 請求項1に記載した電磁スイッチにおいて、
    前記スイッチカバーの外周部に内径側へ凹む溝部が形成され、
    前記スイッチケースは、前記溝部の前後方向の両側面に前記かしめ部が密着していることを特徴とする電磁スイッチ。
  3. 請求項1または2に記載した電磁スイッチにおいて、
    前記スイッチカバーは、前記スイッチケースにより全周に渡ってかしめ固定されていることを特徴とする電磁スイッチ。
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