JP2007164045A - 感光性レリーフパターン形成材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体装置の表面保護膜または層間絶縁膜材料用途として、現像工程でアルカリ現像液が使用でき、低いキュア温度により、残留応力が低く、優れた耐熱性、機械特性等を発現するポジ型感光性レリーフパターン形成材料を提供する。
【解決手段】同一分子内に籠型シルセスキオキサン構造含有基とフェノール性水酸基の両方の基を含有するアルカリ可溶性物質(A)、及び溶解抑止剤(B)を含有することを特徴とするアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体装置における表面保護膜や層間絶縁膜等の各種の耐熱性レリーフパターン形成に有用なアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料、該ポジ型感光性レリーフパターン形成材料を用いたレリーフパターンの製造方法、及び該レリーフパターンを有してなる半導体装置に関するものである。更には、本発明は、特定のアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料を用いて、低キュア温度で残留応力が低くかつ耐熱性に優れたレリーフパターンを形成する技術に関するものである。
半導体集積回路に代表される半導体装置には、機能や構造により様々なものが提案されているが、これらの半導体装置の製造工程の多くは、前半工程と後半工程の2つの工程に分けられる。前半工程は半導体基板上にトランジスタなどの素子を形成し、これらの素子を電気的に接続する工程であり、後半工程は半導体装置が使用される機器に合わせて電気的信号の入出力ができるように半導体装置を実装する工程である。特に後半工程は、半導体装置をその用途に合わせて薄型化する工程、樹脂でモールドする工程など、機械的あるいは熱的に過酷な工程が多いため、これらの工程に対する耐久性を確保する必要がある。このため、前半工程の最後に半導体装置上に表面保護膜を形成させてから後半工程に入るのが一般的である。
表面保護膜材料としては、従来、ポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂等が使用されてきている。これらの樹脂は、耐熱性や機械特性等に優れ、多くの半導体装置の製造工程で用いられてきた。
しかしながら、近年、環境保護の観点からの要請や、あるいは電子材料技術の進展に伴う材料改良の要請から、表面保護膜材料には、耐熱性や機械特性以外の様々な性能も求められている。その中でも特に、以下三つの要求性能の達成が当業界の緊急課題である。
第一の要請としては、現像工程でアルカリ現像液によるレリーフパターン形成技術が求められている。従来技術としては、例えば、ポリイミド樹脂からなる表面保護膜の場合、ポリイミド前駆体を光線で露光後、N−メチル−2−ピロリドンなどの大量の有機溶剤系現像液を用いる方法が採用されていたが、近年の環境問題の高まり等からこのような有機溶剤系現像液から環境負荷の小さなアルカリ現像液への転換が求められている。
第二の要請としては、表面保護膜の残留応力の低減が求められている。その理由の一つとしては、半導体装置の作成に使用される半導体基板の寸法が大きくなるに従い、残留応力が高い表面保護膜を使用すると、半導体基板の反りがより大きくなり、半導体装置の性能や製造工程に悪影響を及ぼすおそれがあることが挙げられる。また、別の理由としては、半導体装置の配線工程で低誘電率材料を使用した場合、その上に形成された表面保護膜の残留応力により、低誘電率材料に種々の欠陥が発生するおそれがあること等が挙げられる。
第三の要請としては、表面保護膜を形成させる温度(キュア温度)の低減が求められている。従来、例えばポリイミド樹脂からなる表面保護膜の場合、イミド化を進行させるため、350〜400℃でキュアを行う必要があった。しかしながら、近年、有機半導体を用いた半導体装置や磁気ランダムアクセスメモリ等、その動作原理上、高温キュアを許容し得ない半導体装置も開発されており、キュア温度の低下が望まれている。
なお、当然のことながら、これらの新たな要求性能に加えて、従来から表面保護膜材料として要求されている耐熱性が損なわれてはならないことは言うまでもない。耐熱性を示す指標としては、示差走査熱分析で測定されるガラス転移温度、あるいは熱重量分析で測定される熱分解温度が挙げられる。表面保護膜がガラス転移温度あるいは熱分解温度より高い温度に曝された場合、表面保護膜として性能を十分に発揮することはできない。
従来、アルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料からレリーフパターンを製造する方法としては、様々な方法が開発されている。その代表的な方法としては、例えば
a)アルカリ現像液に可溶な樹脂中の極性基が、酸性物質との接触により脱離するタイプの保護基により保護されている樹脂と、露光により酸が発生する化合物(光酸発生剤)とを組み合わせて、レリーフパターンを製造する方法[化学増幅型現像システム]
b)アルカリ現像液に可溶な樹脂と、露光部と未露光部の違いにより該樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性に変化を生じさせる感光性化合物(溶解抑止剤)とを組み合わせて、レリーフパターンを製造する方法[溶解抑止型現像システム]
等が挙げられる。
a)の化学増幅型現像システムの例としては、例えば、水酸基をtert-ブトキシカルボニル基等の保護基で保護したポリヒドロキシスチレンと光酸発生剤からなる材料(例えば非特許文献1参照)、あるいは、メタクリレート成分と多面体オリゴシルセスキオキサン成分を含むポリマーと光酸発生剤からなる材料(例えば特許文献1参照)等が挙げられる。しかしながら、光酸発生剤は一般に強酸あるいはハロゲン原子を含有しており、これらの物質が原因となり金属配線材料が腐食されるので、化学増幅型現像システムは半導体装置用のレリーフパターン形成システムとしては好ましくない。
b)の溶解抑止型現像システムの例としては、例えば、アルカリ現像液に可溶な樹脂であるポリベンズオキサゾール前駆体と溶解抑止剤から成るレリーフパターン形成材料を表面保護膜材料として用いる技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、ポリベンズオキサゾール前駆体からポリベンズオキサゾールへの閉環反応(オキサゾール環への閉環反応)のため高温でキュアを行う必要があり、上記のキュア温度低減、さらには残留応力の低減の要求を満足させるのは困難である。また、別の溶解抑止型現像システムとしては、アルカリ現像液に可溶なノボラック樹脂と溶解抑止剤から成るレリーフパターン形成材料を用いる技術が知られている(例えば非特許文献2参照)。しかしながら、ノボラック樹脂は、一般に130℃前後の加熱により軟化して変形が生じたり、加熱により低分子量のモノマーや2量体等が昇華して重量減少や膜厚減少を引き起こすため、耐熱性に問題があり、表面保護膜材料には適さない(例えば非特許文献3参照)。
このように、半導体装置の表面保護膜または層間絶縁膜材料として有用で、現像工程ではアルカリ現像液が使用でき、低いキュア温度により、残留応力が低く優れた耐熱性を発現する感光性レリーフパターン形成材料はこれまでに開発されておらず、その出現が望まれていた。
WO 2002/073308号 特開昭63−96162号公報 高分子先端材料one point 10レジスト材料 第3章 化学増幅レジスト 31−96頁 (著者:伊藤 洋、編集:高分子学会、発行所:共立出版株式会社、発行年:2005年) 半導体集積回路用レジスト材料ハンドブック 第8章 ノボラック・ジアゾナフトキノン系レジスト 139−145頁 (監修:山岡亜夫、発行所:株式会社リアライズ社、発行年:1996年) 半導体集積回路用レジスト材料ハンドブック 第1章 リソグラフィーの原理 3−27頁 (監修:山岡亜夫、発行所:株式会社リアライズ社、発行年:1996年)
本発明は、金属配線材料の腐食が無く、低いキュア温度で、残留応力が低く、優れた耐熱性を発現するアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料、該ポジ型感光性レリーフパターン形成材料を用いたレリーフパターンの製造方法、及び該レリーフパターンを有してなる半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、同一分子内に籠型シルセスキオキサン構造含有基とフェノール性水酸基の両方を含有するアルカリ可溶性物質、及び溶解抑止剤を含有するレリーフパターン形成材料は、感度、解像度に優れたアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料であり、該ポジ型感光性レリーフパターン形成材料は低いキュア温度により、残留応力が低く、優れた耐熱性を有したレリーフパターンを提供する材料となりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1].同一分子内に籠型シルセスキオキサン構造含有基とフェノール性水酸基の両方の基を含有するアルカリ可溶性物質(A)、及び溶解抑止剤(B)を含有することを特徴とするアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
[2].溶解抑止剤(B)がジアゾキノン化合物であることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
[3].アルカリ可溶性物質(A)が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a)、および、
Figure 2007164045
(Xは炭素原子数1〜60の3価の連結基、Yは炭素原子数20以内の2価の連結基あるいは単に結合していることを表す。Zはケイ素原子数6〜20である1価の籠型シルセスキオキサン構造含有基を表す。)
下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)とからなり、
Figure 2007164045
(X’は炭素原子数1〜60の3価の連結基、Y’は炭素原子数70以内の2価の連結基あるいは単に結合していることを表す。Arは少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する芳香族基を示す。)
かつ、該アルカリ可溶性物質(A)中の繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)の質量比((a)/(b))が100/5000〜100/10の範囲内であり、かつ、該アルカリ可溶性物質(A)と溶解抑止剤(B)の質量比((A)/(B))が100/1〜100/300の範囲内であることを特徴とする[1]または[2]に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
[4].該一般式(1)が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位であり、かつ、
Figure 2007164045
(Xは水素原子またはメチル基であり、Y及びZは一般式(1)と同じである。)
該一般式(2)が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位であることを特徴とする[3]に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
Figure 2007164045
(X1’は水素原子またはメチル基であり、Y’及びArは一般式(2)と同じである。)
[5].一般式(3)のYが−CO−であり、かつ、一般式(4)のY’が単結合であり、Arがヒドロキシ置換フェニル基であることを特徴とする[4]に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
[6].[1]のアルカリ可溶性物質(A)中の籠型シルセスキオキサン構造含有基が、
α)下記一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンのRの1つまたは複数から水素原子1個又は複数個が脱離した構造の1価基又は多価基であるか、あるいは、
β)下記一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体のR又はXの1つまたは複数から水素原子1個又は複数個が脱離した構造の1価基又は多価基であることを特徴とする[1]に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
(RSiO3/2) (5)
(RSiO3/2)(RXSiO) (6)
(一般式(5)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の置換又は無置換の炭化水素基、又はケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良い。nは6〜14の整数である。一般式(6)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の置換又は無置換の炭化水素基、又はケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良く、XはOR’(R’は水素原子、アルキル基、アリール基、第4級アンモニウムラジカル)、ハロゲン原子及び上記Rの中から選ばれる少なくとも1つの官能基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良い。また、(RXSiO)中の2個のXが互いに連結して、下記一般式(7)で表される連結構造を形成しても良い。
Figure 2007164045
及びZはXと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていても良い。lは4〜12の整数、kは1〜4の整数である。)
[7].一般式(1)または一般式(3)における籠型シルセスキオキサン構造含有基Zが、
α’)前記一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンのRの1つから水素原子1個が脱離した構造の1価基であるか、あるいは、
β’)前記一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体のR又はXの1つから水素原子1個が脱離した構造の1価基であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかに記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
[8].(i)[1]から[7]までのいずれかに記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料を基板上に層状に形成させ、
(ii)光線、X線、電子線、イオン線により、マスクを介して露光するか又は直接照射し、
(iii)露光部または照射部をアルカリ現像液で溶出除去して成るレリーフパターン。
[9].[8]に記載のレリーフパターンを更に100℃以上、350℃以下の温度範囲で加熱処理することを特徴とするレリーフパターン。
[10].[8]または[9]のいずれかに記載のレリーフパターンを有してなることを特徴とする半導体装置。
本発明によれば、金属配線材料の腐食が無く、低いキュア温度により、残留応力が低く、優れた耐熱性を発現するアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料、該ポジ型感光性レリーフパターン形成材料を用いたレリーフパターンの製造方法、及び該レリーフパターンを有してなる半導体装置が提供される。
以下、本発明について詳細に記述する。
本発明は、同一分子内に籠型シルセスキオキサン構造含有基とフェノール性水酸基の両方の基を含有するアルカリ可溶性物質(A)、及び溶解抑止剤(B)を含有することを特徴とするアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料に関するものである。
先ず最初に、本発明に使用される材料の構造と特性について、以下の[1]〜[3]で詳しく説明する。
[1] 籠型シルセスキオキサン構造含有基
以下に、本発明に使用されるアルカリ可溶性物質(A)中の籠型シルセスキオキサン構造含有基について説明する。
ここで、「籠型シルセスキオキサン構造」とは、ケイ素原子数が6〜20の範囲の籠型構造(完全縮合ケージ状構造)あるいは籠型構造の一部が開裂した構造(部分開裂体構造と表記し、籠型構造からケイ素原子が一原子脱離した構造や籠型構造の一部のケイ素−酸素結合が切断された構造、あるいはそれらの誘導体構造を表す。)のいずれかである多様な多面体型シルセスキオキサン構造を表す。なお、シルセスキオキサン構造とは、[RSiO]単位(R:水素原子又は有機基)から構成される構造の総称であり、上記の籠型シルセスキオキサン構造はその中の特殊な形態のシルセスキキサン構造である。
本発明における「籠型シルセスキオキサン構造含有基」とは、「籠型シルセスキオキサン構造」を基本骨格として含有する1価又は多価(好ましくは8価以内、より好ましくは4価以内、さらに好ましくは1〜3価、特に好ましくは1〜2価)の基を示す。
本発明に使用されるアルカリ可溶性物質(A)中の籠型シルセスキオキサン構造は、同一分子内に含まれていれば特にそれ以上の制約は無く、例えば、当該アルカリ可溶性物質(A)の主鎖骨格の一部を形成していても良いし、当該アルカリ可溶性物質(A)の側鎖構造に含まれていてもよい。
本発明における籠型シルセスキオキサン構造含有基の具体的な構造例としては、例えば、
α)下記の一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンのRの1つ又は複数から水素原子が1個又は複数個が脱離した構造の1価基又は多価基(好ましくは1〜8価基、より好ましくは1〜4価基、特に好ましくは1〜2価基)、あるいは、
β)下記の一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体のRあるいはXの1つ又は複数から水素原子が1個又は複数個が脱離した構造の1価基又は多価基(好ましくは1〜8価基、より好ましくは1〜4価基、特に好ましくは1〜2価基)
が挙げられる。
(RSiO3/2) (5)
(RSiO3/2)(RXSiO) (6)
(一般式(5)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の置換又は無置換の炭化水素基、又はケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良い。nは6〜14の整数である。一般式(6)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の置換又は無置換の炭化水素基、又はケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良く、XはOR’(R’は水素原子、アルキル基、アリール基、第4級アンモニウムラジカル)、ハロゲン原子及び上記Rの中から選ばれる少なくとも1つの官能基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良い。また、(RXSiO)中の2個のXが互いに連結して、下記一般式(7)で表される連結構造を形成しても良い。
Figure 2007164045
及びZはXと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていても良い。lは4〜12の整数、kは1〜4の整数である。)
まず、一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサン構造について説明をする。
一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンの例としては、
・[RSiO3/2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(α−1))、
・[RSiO3/2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(α−2))、
・[RSiO3/210の化学式で表されるタイプ(下記一般式(α−3))、
・[RSiO3/212の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(α−4))、
・[RSiO3/214の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(α−5))
が挙げられる。
Figure 2007164045
Figure 2007164045
Figure 2007164045
Figure 2007164045
Figure 2007164045
一般式(5)におけるnの値としては、6から14の整数であり、好ましくは8、10、12であり、特に好ましくは8である。
次に、一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体について説明する。一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体は、例えば、籠型シルセスキオキサンの籠型構造からケイ素原子が1原子脱離したタイプ、あるいは、籠型構造の一部のケイ素−酸素結合が開裂したタイプ、あるいはそれらの誘導体構造である。
籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体の例としては、
・一般式(α−2)の一部が脱離した構造であるトリシラノール体から合成される(RSiO3/2)4(RXaSiO)3の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−1))、
・一般式(β−1)で示される3個のXのうち2個のXが一般式(7)で示される構造で連結される部分開裂構造体(RSiO3/2)6(RXaSiO)(YaaSiO)の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−2))、
・一般式(α―2)の一部が開裂したジシラノール体から誘導される(RSiO3/2)6(RXaSiO)2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−3)及び(β−4))、
・一般式(β−3)で示される2個のXが一般式(7)で示される連結構造で連結した(RSiO3/2)8(YaaSiO)の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−5))、
・一般式(α−2)の一部が2箇所で開裂したテトラシラノール体から誘導される(RSiO3/2)4(RXaSiO)4の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−6))、
・一般式(β−6)で示される4個のXのうち2個のXが一般式(7)で示される連結構造で連結した(RSiO3/2)6(RXaSiO)2(YaaSiO)の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−7))、
・一般式(β−6)で示される4個のXの2個ずつが一般式(7)で示される連結構造で連結した(RSiO3/2)8(YaaSiO)2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(β−8))
等が挙げられる。なお、一般式(β−6)、(β−7)、および(β−8)で表される化合物は、WO 2003/024870号に記載の方法を利用して製造することができる。一般式(β−1)から(β−8)で表される構造中の同一ケイ素原子に結合しているRとXあるいはYとZはお互いの位置を交換したものでもよい。
Figure 2007164045
Figure 2007164045
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Figure 2007164045
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一般式(5)、(6)中のRは1種類で籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂構造体を構成しても良いし、2種類以上のRで構成しても良い。
一般式(5)および一般式(6)におけるRとしては水素原子、炭素数1から20の置換又は非置換の炭化水素基、またはケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基が挙げられる。
炭素数1から20までの炭化水素基の例としてはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、tert−オクチル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、スチレニル等の非環式及び環式アルケニル基が挙げられる。アラルキル類の例としてはベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,6−ジメチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、5−エチル−2−メチルフェネチルなどが挙げられる。アリール基の例としてはフェニル基やナフチル基、あるいは、トリル基、ニトロフェニル基やアミノフェニル基のような置換フェニル基が挙げられる。これらの置換基の中でも、特にRがシクロペンチル基、シクロヘキシル基やシクロへキセニル基のような環状炭化水素基や、フェニル基や置換フェニル基のような芳香族炭化水素基の場合に、高いガラス転移温度の共重合体を与えるので好ましい。R中の、炭素数は好ましくは20以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは7以下である。
又、本発明に使用されるRとしてはこれらの各種の炭化水素基の水素原子又は主査骨格の一部がエーテル結合、エステル基(結合)、水酸基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、アミド基(結合)、シアノ基等の極性基及び極性結合あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等から選ばれる官能基で部分置換されたものでも良い。
一般式(5)及び(6)におけるR中の置換又は非置換の炭化水素基中の置換基も含めた全炭素原子数としては、通常は20以下のものが使用されるが、好ましくは10以下、特に好ましくは7以下のものが使用される。
Rとして採用されるケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基としては、広範な構造のものが採用されるが、例えば下記一般式(8)、あるいは一般式(9)の構造の基が挙げられる。当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数としては、通常1〜10の範囲であるが、好ましくは1〜6の範囲、より好ましくは1である。ケイ素原子の数が大きくなりすぎると得られる共重合体のハンドリングや精製が困難になるので好ましくない。
Figure 2007164045
一般式(8)中のm’は、通常は1〜10の範囲の整数であるが、好ましくは1〜6の範囲の整数、より好ましくは1である。また、一般式(8)中の置換基R及びRは、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の有機基である。
当該アルコキシ基の例としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
当該炭素数1〜10の有機基の例としては、各種の置換又は非置換の炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、プロペニル基等の不飽和結合含有基、あるいはCFCHCH−等の含フッ素アルキル基、アミノアルキル基等の極性基置換アルキル基等が挙げられる。
一般式(8)中のRは水素原子又は炭素数1から20、好ましくは炭素数1から12、より好ましくは炭素数1から8の有機基である。当該有機基の例としては、
1) メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシル−エチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基、
2) ビニル基、アリル基、2−シクロヘキセニル−エチル基等のアルケニル基、
3) 3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基やCFCFCFOCHCHCH−基のような含フッ素エーテル基、
4) アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、アミノエチルアミノフェネチル基、アクリロキシプロピル基、シアノプロピル等の部分置換炭化水素基
等が挙げられる。なお、一般式(8)において、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が同時に連結することはない。一般式(8)で表されるケイ素原子含有基の具体的例としては、例えばトリメチルシロキシ、ジメチルフェニルシロキシ、ジフェニルメチルシロキシ、ジメチル−n−ヘキシルシロキシ、ジメチルシクロヘキシルシロキシ、ジメチルオクチルシロキシ、(CHSiO[Si(CHO]−(k=1〜9)、2−フェニル−2,4,4,4−テトラメチルシロキシ、4,4−ジフェニル−2,2,4−トリメチルシロキシ、2,4−ジフェニル−2,4,4−トリメチルシロキシ、アミノプロピルジメチルシロキシ、アミノエチルアミノプロピルジメチルシロキシ等が挙げられる。
Figure 2007164045
一般式(9)において、Raは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、炭素数としては、好ましくは2〜6の範囲であり、特に好ましくは2または3である。Raの具体例としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−(CH−(m=4〜10)等のアルキレン基があげられる。
一般式(9)におけるR,R,Rは、一般式(8)中のR,R,Rと同じである。また、一般式(9)におけるR,Rは、一般式(8)中のR,Rと同じである。n’は、0または1〜9の範囲の整数であるが、好ましくは0または1〜3の範囲の整数、特に好ましくは0である。
一般式(6)中のXは一般式(7)で示される分子内連結構造を形成しても良い。一般式(7)で示される連結構造の例としては、下記に示される構造等が挙げられる。
Figure 2007164045
なお、一般式(5)を構成する(RSiO3/2のSi中で、1個がSiの代わりに他の金属元素又は有機金属基に置換されても構わない。また、一般式(6)のXaが他の金属元素を含む基に置き換わっていても構わない。他の金属元素あるいは有機金属基中の金属元素の例としてはAl、Ti、Zr、V、Ta、Cr、Mo、W、Re、Ru、Pt、Sn、Sb、Ga、Tl等が挙げられる。またこれらの金属元素が入ることによって籠状シルセスキオキサン及び/又はその部分開裂構造体が複核構造をとっていても構わない(例えばF.J.FeherらのPolyhedron14巻3239頁1995年あるいはOrganometallics 14巻 3920頁 1995年を参照)。
[2]アルカリ可溶性物質(A)
本発明において使用される該アルカリ可溶性物質(A)は、同一分子内に籠型シルセスキオキサン構造含有基とフェノール性水酸基の両方の基を含有する構造であり、かつ、フェノール性水酸基の作用でアルカリ可溶性を発現する物質であれば、特にそれ以上の制約は無い。したがって、該アルカリ可溶性物質(A)としては、様々な構造が採用可能であり、例えば、籠型シルセスキオキサン構造を含有する繰り返し単位とフェノール性水酸基を含有する繰り返し単位から構成される構造であっても良いし、あるいは、籠型シルセスキオキサン骨格にフェノール性水酸基を含有する基が連結した構造、あるいはその構造を繰り返し単位とする(共)重合体であっても良い。また、該アルカリ可溶性物質(A)中の籠型シルセスキオキサン構造含有基あるいはフェノール性水酸基を含有する芳香族基は、主鎖骨格の一部を形成していても良いし、側鎖に含まれていてもよい。
さらに、本発明において使用される該アルカリ可溶性物質(A)は、後述する溶解抑止剤(B)の効果を発現するため、同一分子内にフェノール性水酸基と共に、籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する必要がある。該アルカリ可溶性物質(A)が籠型シルセスキオキサン構造含有基を有しない場合、後述する溶解抑止剤(B)の効果を充分に発現することができない。例えば、ポリヒドロキシスチレン単独重合体と、後述する溶解抑止剤(B)(例えばジアゾナフトキノン化合物)とを含有する組成物から基板上に作成された層状物は、未露光部もアルカリ性水溶液に溶解してしまうので、レリーフパターンの製造が困難であることが知られており(例えば、中瀬真、機能材料 18巻 60−71頁 1998年を参照)、又、さらに本発明者等の実験においても確認されている(比較例1を参照)。該アルカリ可溶性物質(A)における[籠型シルセスキオキサン構造含有基中のケイ素原子の数]/[フェノール性水酸基の数]の比は、好ましくは1/100〜800/100の範囲であり、より好ましくは2/100〜500/100の範囲であり、さらに好ましくは4/100〜300/100の範囲であり、特に好ましくは6/100〜150/100の範囲である。
本発明において、「アルカリ可溶性」とは、後述する各種の有機アルカリ化合物または無機アルカリ化合物を溶媒に溶解させたアルカリ性溶液と対象物質を接触させた時に、対象物質が該アルカリ性溶液に溶解する性質を示す。当該アルカリ性溶液中のアルカリ性化合物の濃度としては、好ましくは0.1〜25質量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは1〜5質量%である。また、対象物質が該アルカリ性溶液に溶解する程度としては、室温(10℃〜30℃の範囲)において、上記濃度のアルカリ性溶液で対象物質からなるレリーフパターン(膜厚:好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは0.01〜50μm、特に好ましくは0.1〜30μm)が現像出来ることが好ましい。また、対象物質が該アルカリ性溶液に溶解する程度の別の規定方法としては、例えば、室温(10℃〜30℃の範囲)において、該アルカリ性溶液100質量部に対して対象物質が、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.001質量部以上、特に好ましくは0.01質量部以上の溶解する性質を示すことが挙げられる。
各種の電子部品製造工程におけるフォトレジストや表面保護膜等の現像工程では、現像液用のアルカリ溶液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が一般的に用いられているが、本発明においても、TMAH水溶液がアルカリ溶液として好適に使用される。したがって、本発明のアルカリ可溶性物質として好ましい例としては、例えば、上記のアルカリ性化合物濃度と同等の濃度のTMAH水溶液に、上記の「対象物質が該アルカリ性溶液に溶解する程度」と同等の溶解性を示す物質が挙げられる。
本発明において使用される該アルカリ可溶性物質(A)としては上記の要件を満たす様々な構造のものが使用可能であるが、当該材料の合成、ハンドリングの面から、特に籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)とフェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)の両方の繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性物質が好ましく、以下に、繰り返し単位(a)および(b)の特に好ましい構造について説明する。
[2−1]籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)
本発明に使用されるアルカリ可溶性物質(A)中の籠型シルセスキオキサン構造含有基は、当該アルカリ可溶性物質(A)の主鎖骨格の一部を形成していても良いし、当該アルカリ可溶性物質(A)の側鎖に含まれていてもよい。
籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)としては、ビニルモノマー構造単位、シロキサン構造モノマー単位、ポリエーテル形成モノマー単位、あるいは縮合ポリマー用モノマー単位等の様々な繰り返し単位に籠型シルセスキオキサン骨格が連結した構造が使用可能である。
その中でも、好ましい繰り返し単位(a)の構造の例としては、例えば、下記一般式(1):
Figure 2007164045
で表される繰り返し単位構造が挙げられる。ここで、Xは炭素原子数1〜60の3価の連結基、Yは炭素原子数20以内の2価の連結基あるいは単に結合していることを表し、Zはケイ素原子数6〜20(好ましくは6〜14)の1価の籠型シルセスキオキサン構造含有基を表す。
以下、一般式(1)のX、Y、Zについて説明をする。
<連結基X>
一般式(1)の連結基Xは、炭素数1〜60(好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10)の3価の連結基であり、その連結基は炭素を介する連結のみからなる連結基であってもよいが、必ずしもこれに限定されない。例えばシリコーン構造やエーテル結合を介する連結を含む連結基、シルセスキオキサン構造を介する連結を含む連結基、さらにはエステル、アミド、イミドのような極性連結基を介する連結を含む連結基であっても良い。
下記に連結基Xについて、より具体的な例を挙げる。
1)3価の脂肪族炭化水素基、3価の不飽和炭化水素基、3価の脂環式炭化水素基、3価の脂環式不飽和炭化水素基、3価の芳香族炭化水素基等の各種の3価の炭化水素基あるいはその置換体。例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2007164045
2)脂肪族ポリエーテル構造や芳香族ポリエーテル構造等の各種のポリエーテル鎖を形成する3価基あるいはその置換体。例としては、以下の基あるいはその置換体が挙げられる。
Figure 2007164045
3)シリコーン構造やポリシラン構造などを形成するケイ素原子含有の3価の連結基あるいはその置換体。例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2007164045
4)エステル基、アミノ基、アミド基、イミド基、カルボニル基、スルホン基のような極性構造を含有する3価の連結基あるいはその置換体。例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2007164045
上記の各種の3価の連結基のうち、3価の炭化水素基あるいはその誘導体からなる連結基、およびポリエーテル鎖やシリコーン構造を形成する3価の連結基は合成が容易で、しかも化学的安定性や熱的安定性に優れるので好適である。その中でも、3価の炭化水素基からなる基が操作性と諸特性のバランスに優れていて特に好ましい。なお、これらの連結基は、単一の構造であっても良いし、複数の構造を適宜組み合わせて用いても良い。
<連結基Y>
一般式(1)の連結基Yは、炭素原子数20以内の2価の連結基または単結合を表す。Yが2価の連結基の場合、炭素原子数が20以内であり、かつ上記の主鎖骨格を形成する3価基Xと、Zで表されるケイ素原子数6〜20の籠型シルセスキオキサン構造あるいはその部分開裂体構造を連結する2価基であれば良く、広範な種類の2価基が使用可能である。例としては、以下の基あるいはその部分置換体が挙げられる。
Figure 2007164045
上記の連結基Yにおいて、エステル結合(−CO−)を有するものが特に好ましい。なお、これらの連結基は、単独で用いても良いし、複数を適宜組み合わせても良い。
籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)の構造としては、
様々な構造のものが使用可能であるが、ハンドリングの容易性から、下記一般式(3)
Figure 2007164045
(Xは水素原子またはメチル基であり、Y及びZは一般式(1)と同じである。)
で表される構造のものが好ましく、その具体的構造例としては、例えば、以下のような、アクリレート構造、メタクリレート構造、アクリルアミド構造、メタクリルアミド構造、スチリル構造、アルキルビニルエーテル構造、アルキルビニルエステル構造を有するものが例示される。
Figure 2007164045
上記の中では、モノマー合成の容易性から、アクリレート構造、メタクリレート構造が特に好ましい。
<籠型シルセスキオキサン構造含有基Z>
一般式(1)または一般式(3)における籠型シルセスキオキサン構造含有基Zは、ケイ素原子数6〜20(好ましくは6〜14、特に好ましくは7〜8)の1価の籠型シルセスキオキサン構造含有基を表す。
その中でも、合成の容易さやハンドリングのしやすさから、Zの構造としては、
α’)前記一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンのRの1つから水素原子1個が脱離した構造の1価基であるか、あるいは、
β’)前記一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体のR又はXの1つから水素原子1個が脱離した構造の1価基が好ましい。
以下に、上記一般式(5)に対応する籠型シルセスキオキサン含有基ZにおけるR基と、その際のY基との連結部分の好ましい構造の具体例を下記に記載するが、これらに限定されるものではない。
Rとしては、共重合体の耐熱性向上のために好ましい基の例としては、フェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、Y基との連結部分であるRの好ましい構造の例としては、―CHCHCH―、―OSiMeCHCHCH―、―CHCH―、―CHCH―、―C―等が挙げられる。
また、以下に、一般式(6)の構造に対応する具体的な籠型シルセスキオキサン含有基ZにおけるR基およびX基(あるいはY、Z基)と、その際のY基との連結部分の好ましい構造の具体例を下記に記載するが、これに限定されるものではない。
Rとしては、共重合体の耐熱性向上のために好ましい基の例としては、フェニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、Y基との連結部分であるRおよびX(あるいはY 、Z)の好ましい構造の例としては、―CHCHCH―、―OSiMeCHCHCH―、―CHCH―、―CHCH―、―C―、―OSiMeCHCH―、―OSiMeCHCH―等が挙げられる。
なお、Y基との連結基でないX の例としては、例えば―OH、−OSiMe等が挙げられる。
[2−2]フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)
本発明に使用されるアルカリ可溶性物質(A)において、フェノール性水酸基を含有する基は、主鎖骨格の一部を形成していても良いし、側鎖に含まれていてもよい。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)としては、ビニルモノマー構造単位、シロキサン構造モノマー単位、ポリエーテル形成モノマー単位、あるいは縮合ポリマー用モノマー単位等の様々な繰り返し単位にフェノール性水酸基を含有する基が連結した構造、あるいはフェノール性水酸基を含有する基自身(例えば、各種のフェノール樹脂構成単位)が使用可能である。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)の好ましい構造の例としては、例えば、下記一般式(2):
Figure 2007164045
で表される繰り返し単位が挙げられる。ここでX’は炭素原子数1〜60の3価の連結基、Y’は炭素原子数70以内の2価の連結基あるいは単に結合していることを表す。Arは少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する芳香族基(例えば、アリール基またはアラルキル基)を示す。
以下に一般式(2)のX’、Y’、Arについて説明をする。
<連結基X’>
一般式(2)の連結基X’は、炭素数1〜60(好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10)までの3価の連結基であり、炭素を介する連結のみからなる連結基であってもよいが、必ずしもこれに限定されない。例えばシリコーン構造やエーテル結合を介する連結を含む連結基、シルセスキオキサン構造を介する連結を含む連結基、さらにはエステル、アミド、イミドのような極性連結基を介する連結を含む連結基であっても良い。
連結基X’について、以下により具体的な例を挙げる。
1)3価の脂肪族炭化水素基、3価の不飽和炭化水素基、3価の脂環式炭化水素基、3価の脂環式不飽和炭化水素基、3価の芳香族炭化水素基等の3価の炭化水素基、あるいはその置換体。例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2007164045
2)脂肪族ポリエーテル構造や芳香族ポリエーテル構造等の各種のポリエーテル鎖を形成する3価基あるいはその置換体。例としては、以下の基あるいはその置換体が挙げられる。
Figure 2007164045
3)シリコーン構造やポリシラン構造などを形成するケイ素原子含有の3価の連結基あるいはその置換体。例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2007164045
4)エステル基、アミノ基、アミド基、イミド基、カルボニル基、スルホン基のような極性構造を含有する3価の連結基あるいはその置換体。例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 2007164045
Figure 2007164045
上記の各種の3価の連結基のうち、3価の炭化水素基あるいはその誘導体からなる連結基、およびポリエーテル鎖やシリコーン構造を形成する3価の連結基は合成が容易で、しかも化学的安定性や熱的安定性に優れるので好適である。その中でも、3価の炭化水素基は、操作性と諸特性のバランスに優れていて特に好ましい。なお、これらの連結基は、単独で用いても良いし、複数を適宜組み合わせて用いてもよいことは言うまでもない。
<連結基Y’>
連結基Y’は炭素原子数70以内(好ましくは、40以内、より好ましくは20以内、特に好ましくは10以内)の2価の連結基または単結合を表す。
該2価の連結基Y’は、炭素原子数が70以内であり、かつ上記の主鎖骨格を形成する3価基X’と、Arで表される少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する芳香族基を連結する2価基であれば良く、広範な種類の2価基が使用可能である。例としては、以下の基あるいはその部分置換体が挙げられる。
例としては、以下の基あるいはその部分置換体が挙げられる。
Figure 2007164045
<Ar>
一般式(2)において、Arは少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する芳香族基を表す。
本発明の物質(A)がアルカリ性水溶液に溶解するためには、1つ以上のフェノール性水酸基を有する芳香族基の存在が必要となる。当該芳香族基とは、ベンゼン骨格やナフタレン骨格等の芳香族性骨核に1つ以上のフェノール性水酸基が結合した構造であれば良く、複数のフェノール性水酸基を含んでも良いし、フェノール性水酸基以外の置換基を含んでいても良い。
当該芳香族基の具体例としては、例えばアリール基やアラルキル基に1つ以上のフェノール性水酸基が結合した構造が挙げられる。この場合の、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示され、アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、メチルベンジル基、ナフチルメチル基等が例示される。
また、フェノール性水酸基以外の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基等が例示されるが、これらに限定されるものではなく様々な置換基を目的に応じて導入しても良い。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)としては、様々な構造のものが使用可能であるが、ハンドリングの面から、特に、下記一般式(4)
Figure 2007164045
(X1’は水素原子またはメチル基であり、Y’及びArは一般式(2)と同じである。)
で表される構造であるのが好ましい。特に、一般式(4)において、Y’が単結合あるいは−CO−を有する構造はモノマー合成の面から好ましい。以下に具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007164045
Figure 2007164045
上記の籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)とフェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)の両方の繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性物質(A)と、後述する溶解抑止剤(B)とを含有するレリーフパターン形成材料から基板上に作成された層状物は、低キュア温度で、残留応力が低く、かつ耐熱性に優れたレリーフパターンを形成できるので特に好ましい。
一方、ポリヒドロキシスチレン単独重合体と、後述する溶解抑止剤(例えばジアゾナフトキノン化合物)とを含有する組成物から基板上に作成された層状物は、未露光部もアルカリ性水溶液に溶解してしまうので、レリーフパターンの製造が困難であることが知られており(例えば、中瀬真、機能材料 18巻 60−71頁 1998年を参照)、又、さらに本発明者等の実験においても確認されている(比較例1を参照)。
[2−3]アルカリ可溶性物質(A)の合成
上記の籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)とフェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)の両方の繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性物質(A)の具体的な構造例としては、籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)とフェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)がランダムに連結したランダム共重合体、籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)から成るセグメントとフェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)から成るセグメントが連結したブロック共重合体、籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)から成るセグメントとフェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)から成るセグメントの一方あるいは両方がくし型に結合したグラフト共重合体等が例示される。
本発明において、籠型シルセスキオキサン構造含有基を有するモノマーを使用する場合、そのモノマーは様々な方法で合成可能であるが、例えば、T.S.Haddad,B. B. Viers, and S. H. Phillips, Journal of Inorganic andOrganometallicPolymers,11巻 155−164頁 2002年に記載の方法で籠型シルセスキオキサン構造含有基を有するモノマーを容易に合成することができる。
また、本発明において、フェノール性水酸基を有するモノマーを使用する場合、重合方法等にもよるが、例えば、副反応を引き起こしたり、重合反応の阻害を防ぐ目的で、あらかじめ、フェノール性水酸基に保護基を導入したモノマーを使用して重合反応を行っても差し支えない。保護されたフェノール性水酸基は、重合反応後、脱保護反応により、保護基が除去され、フェノール性水酸基を有するポリマーを得ることができる。本発明の共重合体を合成する際に使用できる保護されたフェノール性水酸基部位の代表的な構造例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007164045
Figure 2007164045
ここで、Arとはフェノール性水酸基が連結する1価又は多価の芳香族基を表す。
重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、メタセシス重合等の種々の付加重合反応が挙げられるが、通常、水分の影響を受けにくく、極性化合物でも用いることができるラジカル重合が好ましい。
例えば、ラジカル重合反応で行う場合、ラジカル反応の開始点としては過酸化物、アゾ化合物、カルボニル基等のほか、リビングラジカル重合を開始しうるハロアルキル基、アミノキシル基、チオカルボニルチオ基、ジチオカルバモイル基、トリチル基、ボラニロキシ基、セレノ基、テルロ基などの構造を有する官能基が挙げられる。
本発明の共重合体を合成する際、反応溶媒として種々の溶媒を使用しても良いし、無溶媒下でも行うことができる。例えば、溶媒を使用する場合、アニソール、ジメトキシベンゼン、ジフェニルエーテル、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、アセトニトリル、炭酸エチレン、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、水、超臨界二酸化炭素、パーフルオロメチルシクロヘキサンやベンゾトリフルオライドなどの含フッ素化溶媒、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロホスフェートなどのイオン性液体、および、これらの溶媒の複数からなる混合溶媒が挙げられる。
例えば、本発明の共重合体を、ラジカル重合で合成する場合の反応温度、反応時間は、モノマー、開始剤、反応溶媒、添加物等の組み合わせによって異なるが、例えば、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、溶媒としてトルエンを使用して重合反応を行う場合には、通常、反応温度は20℃〜200℃、反応時間は0.5〜150時間である。
重合反応後、得られた重合反応混合物から溶媒、モノマー等を除去した後、カラム又は再沈操作等による精製により、共重合体を得ることができる。なお、フェノール性水酸基に保護基がついたモノマーを重合反応に使用した場合には、反応終了直後、引き続いて脱保護反応を行うか、あるいは、得られた重合反応混合物から溶媒、モノマー等を除去し、カラム又は再沈操作等による精製を経た後で脱保護反応を行う場合がある。
脱保護反応の条件は保護基の種類等によって異なり、例えば、酸性条件下での脱保護反応、アルカリ性条件下での脱保護反応、加熱による脱保護反応、還元条件下での脱保護反応、光照射による脱保護反応、フッ化物イオンによるケイ素系保護基の脱保護反応等が挙げられるが、本発明において脱保護反応の選択性から、酸性条件下による脱保護反応が好ましい。例えば、tert−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基の場合、脱保護剤としてトリフルオロ酢酸等の酸性化合物が使用されるし、また、2−エトキシエトキシ基で保護されたフェノール性水酸基の場合の場合には酢酸でも脱保護基が可能である。脱保護反応終了後は、溶媒、脱保護剤等を除去し、カラム又は再沈操作等による精製を経て、所望のアルカリ可溶性材料(A)を得ることができる。
上記の方法により得られた籠型シルセスキオキサン構造含有基を有する繰り返し単位(a)と、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(b)の両方の繰り返し単位を含有するアルカリ可溶性物質(A)において、繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)の質量比((a)/(b))は、好ましくは100/5000〜100/10の範囲内であるが、アルカリ現像液に対する溶解性の観点から、100/4000〜100/20がより好ましく、100/3000〜100/40が最も好ましい。
[3]溶解抑止剤(B)
本発明のポジ型感光性レリーフパターン形成材料は、上記で得られたアルカリ可溶性物質(A)に、溶解抑止剤(B)を組み合わせたものである。
本発明において「溶解抑止剤」とは、アルカリ可溶性物質と組み合わせた際に、未露光状態ではアルカリ現像液に対するアルカリ可溶性物質の溶解を抑止する働きをするが、露光されるとアルカリ現像液に対するアルカリ可溶性物質の溶解抑止効果を失う化合物を示す。
本発明で用いられる溶解抑止剤(B)としては、好ましくはジアゾキノン化合物、ニフェジピン化合物等が例示されるが、化合物の入手性の面から、ジアゾキノン化合物が特に好ましい。
本発明で用いるジアゾキノン化合物としては、1,2−ベンゾキノンアジド構造あるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許2772972号、米国特許2797213号、米国特許3669658号等により公知の物質である。好ましいものの例としては例えば下記のものが挙げられる。
Figure 2007164045
(式中、Qは水素原子または以下に示すナフトキノンジアジドスルホン酸エステル基で あり、すべてのQが同時に水素原子であることはない。)
Figure 2007164045
上記の溶解抑止剤(B)の使用量は、アルカリ可溶性物質(A)と溶解抑止剤(B)の質量比((A)/(B))が、100/1〜100/300の範囲内であることが好ましく、100/3〜100/200の範囲内であることがより好ましく、100/5〜100/100の範囲内であることが最も好ましい。
なお、本発明のポジ型感光性レリーフパターン形成材料には必要に応じて、各種の添加剤を添加してその性能が調整される。例えば、該レリーフパターン形成材料のアルカリ現像液に対する溶解性を促進させるための添加剤として、各種の分子量のフェノール化合物やシラノール化合物等の各種のアルカリ可溶性物質が添加される場合がある。あるいは、該レリーフパターン形成材料には、染料、界面活性剤、安定剤、及び/又はシリコンウェハとの密着性を高めるための接着助剤等の添加剤を添加する場合もある。
上記のポジ型感光性レリーフパターン形成材料は、一旦、溶媒に溶解させてワニスが作
成される。
ワニスを作成するために使用される溶媒としては、該ポジ型感光性レリーフパターン形成材料を溶解する溶媒であればよく、様々な極性や沸点を示す溶媒が使用可能である。その中でも、好ましい溶媒を例示すれば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、メシチレン、デカリン、メタノール、エタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ―ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらは、単独または混合して使用できる。なお、本発明の共重合体を合成した反応溶液を、そのままあるいは希釈して、塗布液として使用してもよい。
溶媒の添加量は塗布装置及び塗布厚みに適した粘度の設定に応じて使用され、通常、アルカリ可溶性物質(A)100質量部に対して、50〜1000質量部が好ましい。
[4]硬化レリーフパターン、及び半導体装置の製造方法
上記のポジ型感光性レリーフパターン形成材料をシリコンウェハ、セラミック基板、アルミ基板等の基板上に層状に形成させる方法としては、例えば、該ワニスを直接基板上に塗布して乾燥させて得る方法、あるいは、該ワニスから一旦作成したフィルムを基板上にラミネートして得る方法等が挙げられる。
上記で作成したワニスをシリコンウェハ、セラミック基板、アルミ基板等の基板上に直接塗布する方法としては、公知の塗布技術を採用することができ、具体的には、スピンコート、バーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、刷毛塗り等が使用される。塗布された基板は、オーブンやホットプレートを用いて50〜140℃に加熱するか、又は減圧により溶媒を留去し乾燥させて、ポジ型感光性レリーフパターン形成材料の層を形成させても良い。あるいは、別の方法として、該ワニスから一旦作成したポジ型感光性レリーフパターン形成材料のフィルムを接着剤等を使用して基板上にラミネートさせて、ポジ型感光性レリーフパターン形成材料の層を形成させても良い。
ポジ型感光性レリーフパターン形成材料が層状に形成された該基板は、光線、X線、電子線、イオン線により、マスクを介して露光するか、もしくは直接照射する。
露光もしくは照射された該基板は、アルカリ現像液の中に入れると、露光部又は照射部はアルカリ現像液で溶解除去され、未露光部もしくは未照射部はアルカリ現像液に未溶解のまま残存するため、レリーフパターンが形成される。現像方法としては、スプレー、パドル、ディップ、又は超音波等の方式が可能である。
本発明で用いられるアルカリ現像液としては、有機系および無機系の各種の溶液が使用可能であるが、環境負荷が少ないアルカリ性水溶液が特に好ましい。
使用されるアルカリ化合物としては、無機アルカリ化合物又は有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。また、有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液は、フォトレジストや表面保護膜等の現像工程において一般的に用いられているため、アルカリ現像液として好ましい。テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは1〜5質量%である。
なお、上記のアルカリ性水溶液に必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
使用されるアルカリ現像液の温度は、様々な温度で使用可能であるが、通常は室温(10〜30℃の範囲)で使用される。
層状に形成したポジ型感光性レリーフパターン形成材料の表面がアルカリ現像液と接触した際、露光部表面の溶解速度(膜減り速度(v))としては、室温で好ましくは1分あたり0.2μm以上、さらに好ましくは1分あたり0.5μm以上、特に好ましくは1分あたり1μm以上である。また、アルカリ現像液に対する露光部表面の溶解速度(v)と未露光部表面の溶解速度(v)の溶解速度比(v/v)は、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上、特に好ましくは20倍以上である。溶解速度比(v/v)の値が大きいほど、レリーフパターンのコントラストが明瞭なものが得られる。
アルカリ現像後、さらに引き続き、蒸留水又は脱イオン水等のリンス液によるリンスを行うと、所望のレリーフパターンが得られる。
上記で得られたレリーフパターンは、更にキュア処理されることが好ましい。上記の現像方法で得られたレリーフパターンをキュア処理することにより、残留応力が低く、優れた耐熱性、機械特性等を示すレリーフパターンが得られる。レリーフパターンのキュア温度は、通常は80℃以上400℃以下の範囲で実施され、100℃以上350℃以下が好ましく、120℃以上300℃以下がより好ましく、140℃以上270℃以下が特に好ましい。また、キュア時間は、特に限定は無いが10秒〜240分が好ましく、30秒〜180分がより好ましく、1分〜120分が特に好ましい。
上記の処理方法により形成されたレリーフパターンは、極めて低い残留応力を示し、例えば、40MPa以下、あるいは30MPa以下、更には23MPa以下の低い残留応力が実現される。
また、上記の処理方法で形成されたレリーフパターンは高い耐熱性を示し、例えば、耐熱性を示す指標であるガラス転移温度は200℃以上、更には240℃以上にもなることが確認された。このような耐熱性発現の詳細なメカニズムは明らかではないが、例えば溶解抑止剤としてジアゾナフトキノン化合物を使用した場合には、上記のキュア操作により、ジアゾナフトキノン化合物の熱分解による架橋反応が関与していると推定される。
上述の製造方法により得られた硬化レリーフパターンは、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、あるいはバンプ構造を有する装置の保護膜として、公知の半導体装置の製造方法と組み合わせることで半導体装置を製造することができる。また、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
以下に分析装置とその測定条件について例示する。
(1)GPCによる分子量測定
本発明の共重合体の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定した。GPCの測定条件は次のとおりである。
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:0.6mL/min
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:Shodex GPC KF−G(昭和電工株式会社製)
・カラム:Shodex GPC KF−804L(8.0mmID×30cm)
(昭和電工株式会社製)
・較正曲線:ポリスチレン換算
・検出器:示差屈折計(RI)
(2)H−NMR、29Si−NMRによる分子構造分析
H−NMR及び29Si−NMRの測定はNMR測定装置JNM−GSX400(日本電子株式会社製)を用いた。H−NMR及び29Si−NMRの内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用い、29Si−NMRを測定する際、試料に対して4〜5重量%のアセチルアセトナートクロム(III)を緩和促進剤として添加した。
(3)ワニスの塗布および成膜に用いた装置
スピンコーターはMIKASA COATER(MIKASA製)を用いた。また、
縦型焼成炉はVF−1000(光洋リンドバーグ社製)を用いた。
(4)残留応力測定に用いた装置および方法
薄膜ストレス測定装置FLX−2320(ケーエルエーテンコール社製)を用い、あらかじめ反り量を測定したシリコンウェハー上に薄膜を形成し、再び反り量を測定して、薄膜形成前後の反り量の増減から残留応力を算出した。なお、残留応力の符号は、引張応力の場合を正にするのが通例であるので、ここでもそれに従った。
(5)膜厚測定に用いた装置
触針式表面形状測定装置DEKTAK II(SLOAN社製)を用い、塗布膜の一部をスパチュラで削ってウェハー表面を顕わにしてできた段差を測定することにより、塗布膜の膜厚を求めた。
(6)ガラス転移点の測定
熱機械分析装置TMA−50((株)島津製作所製)を用い、試料長10mm、試料断面積0.007mm、初期荷重1.3g、窒素雰囲気50mL/min、加熱速度10℃/minで測定した。
(7)ヤング率、破断点伸度
テンシロン UTM−11−20(株式会社オリエンテック製)を用い、試料長さ50mm、幅3mmの膜厚を測り、加重19.6N、引っ張り速度40mm/minで測定した。
(8)5%重量減少温度の測定
自動TG/DTA同時測定装置DTG−60A((株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気50mL/min、昇温速度20℃/minで測定を行った。
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1)アクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン(M2)の合成
Figure 2007164045
滴下ロートが付いた300mLの3つ口フラスコに、トリシラノールフェニル型前駆体(M1)(20g,21.47mmol)を量り取り、容器内を窒素置換した後、脱水テトラヒドロフラン(安定剤不含)(150mL)、アクリロキシプロピルトリクロロシラン(5.46g,22.01mmol)を加え,氷浴で冷却した。トリエチルアミン(6.85g,67.6mmol)と脱水テトラヒドロフラン(安定剤不含)(50mL)の混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに室温で3時間攪拌させた。反応混合物中の沈殿物を濾過した後、濾液をエバポレーターで約50mLになるまで減圧濃縮させた。この濃縮液をメタノール(500mL)に加えると、固体が析出した。析出した固体は濾過後、メタノールで洗浄、乾燥させると20.6gの白色固体が得られた。この固体は、H−NMRおよび29Si−NMRから目的物であるアクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン(M2)であることがわかった(収率90%)。
H−NMR(CDCl):d 0.89−0.93(m,2H),1.83−1.92(m,2H),4.13(t,J=6.3Hz,2H),5.73(dd,J=10.5,1.5Hz,1H),6.07(dd,J=17.6,10.5Hz,1H),6.34(dd,J=17.6,1.5Hz,1H),7.32−7.47(m,21H),7.72−7.75(m,14H)
29Si−NMR(CDCl):d −65.1(1Si),−78.0(4Si),−78.4(3Si)
2)アクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン―tert−ブトキシスチレン共重合体(P1)の合成
Figure 2007164045
50mLシュレンク管に、上記1)で得られたアクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン(M2)(2g,1.87mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(150mg,0.91mmol)、蒸留精製したtert−ブトキシスチレン(8g,45.4mmol)を加えた後、シュレンク管をドライアイス−エタノールバスで冷却しながら、真空ポンプで減圧して窒素で置換する操作を4回繰り返した。その後、脱気したトルエン(15mL)を加え、窒素雰囲気下、80℃のオイルバスで加熱しながら10時間攪拌した。反応混合物をメタノール(500mL)に加えると白色ペースト状析出物が得られた。この析出物は、メタノールで2回洗浄し、80℃で真空乾燥させると、8.5gの白色固体が得られた。この固体は、H−NMRから、アクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン―tert−ブトキシスチレン共重合体(P1)であることが確認された。
3)脱保護工程
Figure 2007164045
300mLの2つ口フラスコに、上記2)で得られたアクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン―tert−ブトキシスチレン共重合体(P1)(7g)を脱水トルエン(21mL)に溶解させた。この溶液にトリフルオロ酢酸(7mL)を加え、室温で24時間攪拌した。反応終了後、トルエン、トリフルオロ酢酸を減圧留去し、残渣をテトラヒドロフランに溶解後、トルエン(500mL)に加えて固体を析出させた。吸引濾過してヘキサンで洗浄し、得られた固体は150℃で8hr真空下で乾燥させると、5.2gの淡黄色固体を得た。この固体はH−NMRから、アクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン―p−ヒドロキシスチレン共重合体(P2)であり、[アクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサンの質量]/[p−ヒドロキシスチレンの質量]の比は100/280、[アクリロキシプロピル置換籠型シルセスキオキサン中のケイ素原子の数]/[p−ヒドロキシスチレンの水酸基の数]の比は34.6/100であることがわかった。また、得られた共重合体(P2)はGPCにより、数平均分子量15000、重量平均分子量22000であった。
4)アルカリ現像液に対する溶解速度評価
上記3)で得られた100質量部のアクリロキシプロピルPOSS―p−ヒドロキシスチレン共重合体を300質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、さらに30質量部のジアゾキノン化合物NT−200(東洋合成工業株式会社製)を加えて溶解後、1μmのフィルタで濾過し、塗布液を調製した。
Figure 2007164045
該塗布液を、あらかじめ表面処理したシリコンウェハー(ヘキサメチルジシラザン(HMDS)をシリコンウェハーにスポイトで滴下して、スピンコーター(1000rpm、30秒)で塗布後、100℃のホットプレートで10分間加熱処理したもの)にスポイトで滴下して、スピンコーター(1000rpm、30秒)で塗布した後、120℃のホットプレートで1分間加熱して、シリコンウェハー上に塗布膜(A)を形成した。
該塗布膜(A)に紫外線ランプBLACK−RAY(登録商標) MODEL B−100AP(UVP社製)で1分間露光した(i線(365nm)、800mJ/cm)。露光した塗布膜の膜厚、及び塗布膜を23℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(THAH)水溶液(以後、アルカリ現像液と示す)に浸け、塗布膜が溶解してシリコンウェハー表面が表れるまでの時間を計測した。その結果、アルカリ現像液に対する露光した塗布膜の溶解速度は1.5μm/minであった。
一方、該塗布膜を未露光状態で測定した膜厚と、該塗布膜を15分間アルカリ現像液に浸けて純水で洗浄した後の膜厚を測定して膜減りを求めた。その結果、アルカリ現像液に対する未露光の塗布膜の溶解速度は0.03μm/minであった。
上記実験結果から、露光部と未露光部とでは、アルカリ現像液に対する溶解速度に大きな違いが出ることがわかった。
[実施例2]
実施例1の4)においてジアゾキノン化合物NT−200を、ジアゾキノン化合物TS(4)−280Mに替えた以外は、実施例1の4)と同様にして、シリコンウェハー上に塗布膜(B)を形成させた。さらに、該塗布膜(B)は、実施例1の4)と同様にして、アルカリ現像液に対する露光した塗布膜の溶解速度と未露光の塗布膜の溶解速度をそれぞれ求めた。結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1の4)においてジアゾキノン化合物NT−200を、ジアゾキノン化合物NMQ(4)−95Mに替えた以外は、実施例1の4)と同様にして、シリコンウェハー上に塗布膜(C)を形成させた。さらに、該塗布膜(C)は、実施例1の4)と同様にして、アルカリ現像液に対する露光した塗布膜の溶解速度と未露光の塗布膜の溶解速度をそれぞれ求めた。結果を表1に示した。
Figure 2007164045
Figure 2007164045
[比較例1]
100質量部の市販ポリビニルフェノール(Mw=20000、Aldrich社製)と30質量部のジアゾキノン化合物NMQ(4)−95Mを300質量部のPGMEAに溶解させ、0.2μmのフィルタで濾過し、塗布液を調製した。該塗布液を、あらかじめ表面処理したシリコンウェハー(実施例1の4)と同じ方法で加熱処理したもの)にスポイトで滴下して、スピンコーター(1000rpm、30秒)で塗布した後、120℃のホットプレートで1分間加熱して、シリコンウェハー上に塗布膜を形成した。未露光状態の該塗布膜をアルカリ現像液に15分間浸け、水で洗浄したところ、ウェハー表面が露出した。このことから、ポリビニルフェノールに対し、ジアゾキノン化合物NMQ(4)−95Mは溶解抑止効果が見られないことがわかった。
[実施例4]
実施例1で得られた塗布膜(A)を、ホットプレート上で160℃で1時間加熱し、さらに焼成炉で窒素下250℃、1時間キュアして得た膜の残留応力を測定したところ、15MPaであった。
[実施例5]
実施例3で得られた塗布膜(C)を、実施例4と同様にして残留応力を測定したところ、23MPaであった。
[実施例6]
実施例1の4)において30質量部のジアゾキノン化合物NT−200を、20質量部のジアゾキノン化合物NMQ(4)−95Mに替えた以外は、実施例1の4)と同様にして、シリコンウェハー上に塗布膜(D)を形成させた。該塗布膜(D)を、実施例4と同様にして残留応力を測定したところ、16MPaであった。
[実施例7]
実施例1の4)において30質量部のジアゾキノン化合物NT−200を、20質量部のジアゾキノン化合物TS(4)−280Mに替えた以外は、実施例1の4)と同様にして、シリコンウェハー上に塗布膜(E)を形成させた。該塗布膜(E)を、実施例4と同様にして残留応力を測定したところ、14MPaであった。
[実施例8]
実施例1の3)で得られた共重合体100質量部を233質量部のPGMEAに溶かし、30質量部のジアゾキノン化合物NT−200を加えて溶解させ、5μmのフィルタで濾過し、塗布液を調製した。表面にアルミ膜を形成させたシリコンウェハー上に、該塗布液をスポイトで滴下して、スピンコーター(1000rpm、30秒)で塗布した後、120℃のホットプレート上で1分間ベークして、ウェハー上に塗布膜を形成した。さらに160℃のホットプレート上で1時間加熱した後、250℃の焼成炉で窒素雰囲気下1時間キュア処理を行った。このキュア処理膜の膜厚を段差計で測定したところ10μmであった。該キュア処理膜をダイシングソーで3mm幅にカットし、4.8N塩酸にウェハーごと5時間浸けてアルミを溶かし、褐色のフィルムを剥離させた。得られたフィルムは精製水で洗浄後、50℃で12時間乾燥させた。
得られたフィルムの物性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2007164045
表2の結果から、本発明のレリーフパターン形成材料より、良好な耐熱性(すなわち高いガラス転移温度と高い熱安定性)と良好な機械特性を示すレリーフパターンが形成されることが確認された。
[実施例9]
実施例1の3)で得られた共重合体100質量部を190質量部のPGMEAに溶かし、20質量部のジアゾキノン化合物TS(4)−280Mと30質量部のHMDSを加えて溶解させ、塗布液を調製した。該塗布液をシリコンウェハー上にスピンコートし、120℃で1分間ベークして、テストパターン付レチクルを通してi線(365nm)の露光波長を有するニコン社製ステッパ(NSR2005i8A)を用いて露光量を段階的に変化させて露光した。これを23℃のアルカリ現像液を用いて現像し、精製水でリンスした後、ポジ型のレリーフパターンを形成させた。現像時間440秒、感度は550mJ/cm、解像度は1.5μmであった。なお、本実施例において、「感度」とは現像時間において塗布膜の露光部を完全に溶解除去し得る最小露光量であり、「解像度」とは上記露光量での最小解像パターン寸法である。
本発明のポジ型感光性レリーフパターン形成材料は、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。

Claims (10)

  1. 同一分子内に籠型シルセスキオキサン構造含有基とフェノール性水酸基の両方の基を含有するアルカリ可溶性物質(A)、及び溶解抑止剤(B)を含有することを特徴とするアルカリ現像性のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
  2. 溶解抑止剤(B)がジアゾキノン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
  3. アルカリ可溶性物質(A)が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(a)、および、
    Figure 2007164045
    (Xは炭素原子数1〜60の3価の連結基、Yは炭素原子数20以内の2価の連結基あるいは単に結合していることを表す。Zはケイ素原子数6〜20である1価の籠型シルセスキオキサン構造含有基を表す。)
    下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)とからなり、
    Figure 2007164045
    (X’は炭素原子数1〜60の3価の連結基、Y’は炭素原子数70以内の2価の連結基あるいは単に結合していることを表す。Arは少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する芳香族基を示す。)
    かつ、該アルカリ可溶性物質(A)中の繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)の質量比((a)/(b))が100/5000〜100/10の範囲内であり、かつ、該アルカリ可溶性物質(A)と溶解抑止剤(B)の質量比((A)/(B))が100/1〜100/300の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
  4. 該一般式(1)が、下記一般式(3)で表される繰り返し単位であり、かつ、
    Figure 2007164045
    (Xは水素原子またはメチル基であり、Y及びZは一般式(1)と同じである。)
    該一般式(2)が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位であることを特徴とする請求項3に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
    Figure 2007164045
    (X1’は水素原子またはメチル基であり、Y’及びArは一般式(2)と同じである。)
  5. 一般式(3)のYが−CO−であり、かつ、一般式(4)のY’が単結合であり、Arがヒドロキシ置換フェニル基であることを特徴とする請求項4に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
  6. 請求項1のアルカリ可溶性物質(A)中の籠型シルセスキオキサン構造含有基が、
    α)下記一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンのRの1つまたは複数から水素原子1個又は複数個が脱離した構造の1価基又は多価基であるか、あるいは、
    β)下記一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体のR又はXの1つまたは複数から水素原子1個又は複数個が脱離した構造の1価基又は多価基であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
    (RSiO3/2) (5)
    (RSiO3/2)(RXSiO) (6)
    (一般式(5)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の置換又は無置換の炭化水素基、又はケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良い。nは6〜14の整数である。一般式(6)において、Rは水素原子、炭素原子数1〜20の置換又は無置換の炭化水素基、又はケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良く、XはOR’(R’は水素原子、アルキル基、アリール基、第4級アンモニウムラジカル)、ハロゲン原子及び上記Rの中から選ばれる少なくとも1つの官能基であり、すべて同一でも複数の基で構成されていても良い。また、(RXSiO)中の2個のXが互いに連結して、下記一般式(7)で表される連結構造を形成しても良い。
    Figure 2007164045
    及びZはXと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていても良い。lは4〜12の整数、kは1〜4の整数である。)
  7. 一般式(1)または一般式(3)における籠型シルセスキオキサン構造含有基Zが、
    α’)前記一般式(5)で表される籠型シルセスキオキサンのRの1つから水素原子1個が脱離した構造の1価基であるか、あるいは、
    β’)前記一般式(6)で表される籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体のR又はXの1つから水素原子1個が脱離した構造の1価基であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかに記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料。
  8. (i)請求項1から請求項7までのいずれかに記載のポジ型感光性レリーフパターン形成材料を基板上に層状に形成させ、(ii)光線、X線、電子線、イオン線により、マスクを介して露光するか又は直接照射し、(iii)露光部または照射部をアルカリ現像液で溶出除去して成るレリーフパターン。
  9. 請求項8に記載のレリーフパターンを更に100℃以上、350℃以下の温度範囲で加熱処理することを特徴とするレリーフパターン。
  10. 請求項8または請求項9のいずれかに記載のレリーフパターンを有してなることを特徴とする半導体装置。
JP2005363090A 2005-12-16 2005-12-16 感光性レリーフパターン形成材料 Withdrawn JP2007164045A (ja)

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