JP2007162028A - 樹脂成形品のリサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂が主成分である樹脂成形品をリサイクルする樹脂成形品のリサイクル方法において、従来のリサイクル技術における問題点である衝撃強度、および難燃性の低下の問題点を解消し、衝撃強度、および難燃性を回復向上させること、または添加するリサイクル助剤によっても塗膜の付着性を低下させないことを課題とする。
【解決手段】 熱可塑性樹脂が主成分である樹脂成形品をリサイクルする樹脂成形品のリサイクル方法において、リサイクル助材として、前記樹脂成形品の主成分である前記熱可塑性樹脂に対して相容(溶)性をもち混ぜ合わせて成形可能であるとともに、衝撃強度を向上させる性質を備えたゴム状材料(材料)を添加することにより、衝撃強度および難燃性を回復向上させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂が主成分である樹脂成形品をリサイクルする樹脂成形品のリサイクル方法において、リサイクル助剤として、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂に対して相容(溶)性を持ち、混ぜ合わせて成形可能であるとともに、衝撃強度を向上させる性質を備えたゴム状材料を添加することにより、物性回復(例えば、衝撃強度の回復、難燃性の付与など)および向上を可能にする樹脂成形品のリサイクル方法に関する。
熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂成形品のリサイクルは、樹脂成形品を回収し、洗浄し、粉砕し、ペレット化して再び再成形する、いわゆる「マテリアル・リサイクル」を実施する際に、有機物であるプラスチックが熱によって分解する。
特に「マテリアル・リサイクル」の場合には、ペレット化、再成形加工の様に、プラスチックは繰り返し加熱され、冷却固化される過程の中において、樹脂の分子結合が切れて低分子化したり、衝撃値や伸びなどの物性を向上させるためにゴム状の成分〔ゴム成分,ゴム状材料,ゴム状弾性体,ゴム状重合体,ゴム状共重合体,ゴム含有(の) グラフト共重合{ゴム状重合体(共重合体) }〕が添加されている様な樹脂、例えば、ABS樹脂,HIPS樹脂,変性PPE樹脂などは、ゴム成分が酸化劣化(ゲル化)して衝撃強度の低下が起こる。
難燃剤の様にリサイクル時の加熱溶融の段階で、分解したり、液化から気化、あるいは昇華することにより、樹脂の難燃性が低下するものもある。
また、プラスチックには後述する様に、様々な添加剤(材)が配合されているが、中にはプラスチックとは相容(溶)性を示さないものも多くある。
例えば、プラスチックの着色、彩色(カラーリング)するために添加される酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄などの顔料や染料、剛性をあげるために添加される硝子繊維、硝子ビーズ(以下、「GB」と略す。)、炭素繊維、タルプや炭酸カルシウムなどの無機物(無機フィラー)は、樹脂との相容(溶)性が乏しい。
リサイクルを繰り返すことにより、この様な物質が多くなると、樹脂の物性値は低下する。
例えば、市場から回収した成形品を、材質ごとに仕分けして、さらに色ごとに仕分けして、十分に洗浄して、粉砕して、補色,再調色して、ペレット化して、得られたリサイクル材に、さらに、異物やコンタミ、あるいは色ぶれを補正することを目的として、リサイクル材と同種類、同質のバージン材を一定量加え、プラスチックをリサイクルする場合には、補色,再調色の段階でリサイクル材、あるいはバージン材に余分に顔料,染料が添加される。
その結果、リサイクル材とバージン材とのブレンド材料の中に含まれる顔料の配合割合が多くなり、衝撃強度の低下を招くことがあった。
あるいは上述したマテリアル・リサイクルのシステム(WO9738838)においては、面倒な色ごとの仕分けはしないで、混色のまま粉砕し、ペレット化して、成形加工した成形品(混色、あるいは雑色の成形品)に、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもつ熱可塑性樹脂を主成分とする塗料で塗装し、色合わせをして、リサイクルする手法の記載がある。
この場合、何回も繰り返してリサイクルを実施するクローズドループでのリサイクルを行うには、ペレット化の段階、再成形加工の段階で成形品の表面に塗布された塗膜は、熱可塑性樹脂が主成分であるために、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と共に溶融して、成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に分散して、相容(溶)する。
この段階において、塗膜中に含まれていた、顔料、染料などの添加剤は、成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に移行(移動)し、結果として成形品の主成分である熱可塑性樹脂中の顔料,染料の割合(コンテント)が増える。
塗膜中の顔料、および染料は、上述した様に成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示さない場合が多いので、リサイクル材の物性値(特に衝撃値,流動性など)の低下の原因となる。
着色された成形材料{バージン材(V材、バージンペレット)}に含まれている顔料、および染料は、0ないし1.5wt%程度であるのに対して、乾燥塗膜中(クリヤー塗膜ではなく、カラーリングされた塗膜)に含まれている顔料、および染料は、30ないし70wt%(それ以外の場合もあるが・・・・)であり、前記バージン成形材料と比べて多い。
ケーススタディとして、板厚が3mm、縦,横の大きさが500mmの成形品の片面に乾燥膜厚における顔料、および染料のコンテントが、60wt%であることを想定した時、成形用材料(バージン材に含まれる顔料、および染料の量は0.3wt%と仮定する)の重量×顔料、および染料のコンテントの積は、500mm×500mm×3mm×1(比重)×0.3wt%=2.25×105となる。
同様にして、乾燥塗膜の場合には、500mm×500mm×0.015mm(片面だけ塗装した場合)×1(比重)×60wt%=2.25×105である。
その結果、塗装成形品をリサイクルした場合、1回のリサイクルで成形材中の顔料、および染料の量は、約2倍になってしまい、リサイクル樹脂中には成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に顔料、および染料の割合が増える。
塗膜中の顔料、および染料と、樹脂とは相容(溶)性が乏しいため、成形材料の物性は低下してしまうのである(表1と表2との比較)。
表1に、ABS樹脂{旭化成工業(株)製のABS樹脂、商品名、およびグレード;スタイラック191F}を用いて射出成形加工した成形品に、成形品の主成分であるABS樹脂と相容(溶)性をもつスチレン変性アクリル樹脂を主成分とした塗料0001(塗料の配合は表3に記載)で塗装を施し、塗装成形品の塗膜は分離,剥離させずに塗膜付きのままで粉砕し、ペレット化して再成形加工をすること(1ターン,1サイクル)を、3回繰り返した場合のそれぞれの物性値を示した。
また、比較例として、塗装を施さずにリサイクルを繰り返した場合について表2に示した。
表1、および表2から明らかな様に、塗装を施した場合は、塗装を施さなかった場合に比べてIZOD(Izod)衝撃強度が低下しているのがわかる。
これは塗膜中の顔料、および染料の影響によるものであると判断される。
塗装を施す場合、あるいは塗装を施さない場合のいずれの場合においても、材料の物性値(特に衝撃強度)は低下する。
これはABS樹脂中に添加されているゴム成分{ABS樹脂の場合は主にAnSt−g−PBD}が、リサイクルを繰り返すことによって劣化してゴムとしての性質が失われたと判断される。
ABS樹脂と同様の種類のゴム状成分が配合された樹脂、例えば、HIPS、変性PPE(O)樹脂などもリサイクルを繰り返した場合に、樹脂が繰り返し加熱溶融された結果、樹脂中に添加されているゴム状材料が劣化する。
その結果、樹脂の衝撃強度は低下する(参考例3他参照)。
上述した「マテリアル・リサイクル」において、リサイクルを繰り返したとき、樹脂の衝撃強度の低下は、以下の理由による。
(1)塗装された成形品を用いてリサイクルを行う場合は、塗膜中の顔料、および染料が、成形品の主成分である熱可塑性樹脂中にリサイクル時の加熱溶融の段階で移行して、その結果、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示さない顔料、および染料の成分が増えることにより、衝撃強度は低下してしまう。
(2)塗装を施さない場合でも、成形品の主成分である熱可塑性樹脂は有機物であるので、リサイクルにより加熱溶融を繰り返すことと、分子が低分子化すること、特に衝撃強度を維持するために添加されているゴム状成分が熱劣化、および酸化劣化してしまうことで衝撃強度は低下してしまう。
リサイクルによって低下した物性を回復させる方法として、以下に示すものが提案されている。
特開平05−004228号公報(特許文献1)には、1種類以上の廃プラスチックに互いに性質の異なるが相溶性をもつ少なくとも2種類以上の重合体成分よりなる改質剤を加え、一方の重合体成分中に他方が0.0001〜10μmにて分散し、それぞれの重合体は化学的な結合をし、多相構造体をもたせ、廃プラスチックの耐衝撃性、曲げ弾性、外観などを回復させる記載がある。
特開平05−092430号公報(特許文献2)には、塗装されたオレフィン系樹脂製自動車部品の廃材を粉砕し、該粉砕物にオレフィン系樹脂、オレフィン系エラストマー、および末端に水酸基があるジエンポリマー、またはその水素添加剤をブレンドして耐衝撃性の改善をはかる方法の記載がある。
しかし、この場合、添加する樹脂(リサイクル助剤)の種類によっては、リサイクル材を用いて成形加工した成形品に再塗装する場合に、塗膜の密着性が低下してしまうことがある。
特開平06−298991号公報(特許文献3)には、廃プラスチックの利用に関して、ゴム状重合体を共重合、あるいはグラフト重合させた材料の添加の記載がある。
しかし、この場合でも、添加する樹脂(リサイクル助剤)の種類によっては、リサイクル材を用いて成形加工した成形品に再塗装する場合に、塗膜の密着性が低下してしまうことがある。
特開平05−310987号公報(特許文献4)には、発泡性スチレン系樹脂発泡体のリサイクルにおいて、リサイクル材に難燃付与剤を添加することが記されている。
そして、添加する難燃付与剤には、発泡ポリスチレン系樹脂と相溶する臭素化合物であることが記載されている。
しかし、臭素化合物だけでは難燃性を高めることができず、三酸化アンチモンなどの難燃助剤の併用を必要とする。また、燐酸エステルを用いての難燃化は可能である。
特開平07−290454号公報(特許文献5)には、難燃性ポリスチレン樹脂のリサイクルにおいて、含ハロゲン系燐酸エステル、臭素化合物、燐酸エステルの難燃剤と三酸化アンチモンの添加によって難燃性の回復をはかる記載がある。
しかし、ABS樹脂、変性PPE樹脂、PC/ABS樹脂などに関しての記載はない。
特開平08−245756号公報(特許文献5)には、リサイクル材にエポキシ化(部分水添)ジエン系重合体を添加して衝撃強度の回復をはかる記載がある。
しかし、成形品の主成分である熱可塑性樹脂との相容(溶)性に関する記載はない。また、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたせるための手法としての成形品の主成分である熱可塑性樹脂モノマーとのグラフト共重合、あるいは共重合に関しての記載もない。
また、リサイクルによって衝撃強度が低下することのデータも示されておらず、繰り返しリサイクルに関しての記載もない。
さらに、成形材料がリサイクルによって物性が低下する原因の記載もない。
また、衝撃強度を回復させるのに用いるゴム状成分に関しての例示はされてはいるが、発明の詳細な説明や実施例から、ゴム状成分を添加し、衝撃強度の回復をはかることのみが言及されているにすぎない。
特開平07−228722号公報(特許文献6)には、変性PPE樹脂とポリアミド樹脂のアロイに成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶) 性を示さない塗料を用いて塗装した塗装成形品を塗膜付きのまま粉砕し、水素添加スチレン−ブタジエン−ブロック共重合体を添加し、リサイクルと相容(溶) 性のない塗膜の混入によって低下した衝撃強度の回復をはかることが記載されている。
しかし、水素添加スチレン−ブタジエン−ブロック共重合体の添加量が多くなると、塗膜の付着性の低下が想定される。また、ゴム状成分についての詳細な記載はなく、難燃剤,難燃助剤を添加し、難燃性を持たせたり、回復させることに関しての記載もない。
特開平10−204207号公報(特許文献7)、特開平10−168357号公報(特許文献8)、特開平10−168343号公報(特許文献9)などには、リサイクル材にバージン材を加えることに関しての記載があるが、バージン材によって物性の回復をおこなうには、相当量を添加しなければならず決して経済的ではない。また、高いリサイクル材の使用率は望めない。
特開平05−004228号公報 特開平05−092430号公報 特開平06−298991号公報 特開平05−310987号公報 特開平08−245756号公報 特開平07−228722号公報 特開平10−204207号公報 特開平10−168357号公報 特開平10−168343号公報
本発明は、熱可塑性樹脂が主成分である樹脂成形品をリサイクルする樹脂成形品のリサイクル方法において、上記従来のリサイクル技術における問題点である衝撃強度、および難燃性の低下の問題点を解消し、衝撃強度、および難燃性を回復向上させること、または添加するリサイクル助剤によっても塗膜の付着性を低下させないことを課題とする。
本発明かかる樹脂成形品のリサイクル方法は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂成形品の廃品の粉砕材またはペレットをリサイクルする場合、ゴム成分に該熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格をグラフト共重合することによって熱可塑性樹脂との相容(溶)性を付与された熱可塑性ゴム状材料であって、前記ゴム成分の含有量が20重量%以上であり、かつ、グラフト率が30重量%である前記熱可塑性ゴム状材料を、粉砕材またはペレットに添加して加熱溶融混合することにより、ASTM−D256に準拠したIZOD衝撃強度を樹脂成形品以上にすることを特徴とする。
本発明は、樹脂成形品のリサイクルによって低下した物性を、ゴム状材料の添加量が少なくても、もとの樹脂成形品以上に回復するという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。
本実施形態は、樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
最初に本発明の実施形態として採用される樹脂は、熱可塑性を示す合成樹脂と、熱可塑性を示す天然型の樹脂が対象となる(文中では特に記述、あるいは言及しない限り、「熱可塑性樹脂」、あるいは単に「樹脂(レジン、ポリマー、プラスチック)」とは、熱可塑性を示す合成樹脂と、天然型樹脂の両方を示す)。
熱可塑性樹脂には、多くの種類がある。
本実施形態で使用する樹脂は、WO97/38838に記載されたものや、市販の「熱可塑性樹脂」ならば利用可能である。
市販樹脂以外にEPM−AS、EPDM−AS、EPM−EPDM−AS、EPM−PS、EPDM−PS、EPM−EPDM−PS、EPM−PPE、EPDM−PPEと、EPM−EPDM−PPE、EPM−PS−PPE、EPDM−PS−PPE、EPM−EPDM−PS−PPE、ANM−AS、ANM−PS、ANM−PPE、ANM−PS−PPEなどが利用可能である。
さらに、上記樹脂のポリマーアロイ、ポリマーブレンド(以下、ポリマーアロイ、ポリマーブレンドを総称して、「ブレンドポリマー」と言う。)として、市販のものが利用可能であるが、さらにその他のゴム状重合体(主にはオレフィン系ゴム状重合体、またはアクリル系ゴム状重合体)が配合された樹脂と、PC樹脂とのブレンドポリマーであるPC/EPM−AS、PC/EPDM−AS、PC/EPM−EPDM−AS、PC/EPM−PS、PC/EPDM−PS、PC/EPM−EPDM−PS、PC/EPM−PPE、PC/EPDM−PPE、PC/EPM−EPDM−PPE、PC/EPM−PS−PPE、PC/EPDM−PS−PPE、PC/EPM−EPDM−PS−PPE、PC/ANM−AS、PC/ANM−PS、PC/ANM−PPE、PC/ANM−PS−PPEや、PCの代わりにPA、PET、PBT、PPS、ポリエーテルイミドなどとのブレンドポリマー、また、前記樹脂に制電効果をもたせる目的で、親水性ポリマー{例えばポリエーテルエステルアミド(PEEA)など}とのポリマーアロイも製造可能である。
これらPC樹脂とのアロイ化には、相容(溶)化剤を必要とする場合もあるが、特にPCとEPM−ASもしくはEPDM−ASとのポリマーブレンドを製造する場合においては、相容(溶) 化剤の添加はあえて必要とはしない。
それ以外のブレンドポリマーも多数現在生産され、市販されており、利用可能な樹脂の組み合わせは数限りなく考えられることにより、今後の研究開発によってさらに増えていくと予想される。
ゴムにAnおよび/又はStがグラフト共重合、あるいは共重合された熱可塑性ゴム状材料の場合には、上述した樹脂と相容(溶) 性を示す樹脂はAS、PS、PPE、PCを主成分とする樹脂がある。
成形に用いる樹脂は、上記樹脂の混合(ブレンド)ばかりではなく、無機物、有機質のものとの複合化によってさらに化学的、物理的な性能の向上を狙った「複合材」と称しているものもある。
例えば、コストを下げる目的で添加される「充填材(剤)」、あるいは強度を向上させる目的で添加される「補強材(剤)、または強化材(剤)」と称せられる無機質、有機質の物質、樹脂の熱的な性質、例えば、熱変形温度、脆化温度ビカット軟化点温度、融点などや、機械的な性質、例えば、引っ張り破断点強度(伸度)、引っ張り降伏点強度(伸度)、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度などを改善するために添加するものとして「補強材(剤)、または強化材」がある。
それらの代表的なもののみを例示すると、例えば、硝子繊維、炭素繊維や上述した熱可塑性ゴム状材料などがある。
樹脂に難燃性を付与する目的で添加される物質が「難燃剤」、「難燃助剤」であり、難燃剤の代表的なものは、WO97/38838やその他刊行物に記載されているものが利用可能である。
また、樹脂に配合して、柔軟性、弾性、加工性などを付与し、使用目的に適合させるために用いられる添加剤に「可塑剤」があり、装飾的な色付け、彩色、カラーリングを目的で配合する材料を「着色剤」と言う。
これは、リサイクル材を元の色に戻したり、あるいは別の色にする目的で添加されるので、着色剤は、リサイクル助剤の一種として利用可能である。
「リサイクル助剤(剤)」とは、リサイクルにおいて、樹脂、もしくは樹脂の中の成分は、光による劣化や、成形加工時、再成形加工時、粉砕時、ペレット化工程時の段階の熱的な作用や、あるいはその他物理的、化学的な作用、また成形品の表面に成形品の主成分である樹脂と、塗膜を構成する樹脂とが、相容(溶) 性を示す同質、または異質な樹脂によって構成されている塗料を用いて塗装を施した塗装成形品を塗膜の分離,剥離をせずに塗膜付きのままで粉砕し、ペレット化し、あるいは粉砕のままでリサイクルする場合において、塗料中の溶剤などの作用によって、樹脂が劣化した場合、塗膜中の顔料,染料が成形用樹脂中に移行し、非相容(溶) 性な顔料,染料が増えた場合、また、塗膜を構成する樹脂とが、相容(溶)性を示さない異質な樹脂によって構成されている塗料を用いて塗装を施し、上述した様に塗膜の分離,剥離をせずに塗膜付きのままでリサイクルし、塗料用の樹脂が異質な物質として再生樹脂中の混入した場合などにおいて、樹脂の機械的(引っ張り強さ、伸び、衝撃強度など)、熱的(加熱変形温度、軟化点温度、流動性など)、電気的(誘電率など)、燃焼性、色などの物性(「特性」とも言う)は低下し、それら物性を回復させたり、あるいは他の物性に変えたり、再成形加工時の成形加工性を向上させたりなどするために添加する材料を総称である。
上述した樹脂添加剤も、樹脂の改質に用いられるので広義のリサイクル助剤として取り扱うことができる。
リサイクルによって低下した衝撃強度や、引っ張り強度などを回復、あるいは向上させるリサイクル助剤として、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもつ熱可塑性、もしくは熱硬化性を示すゴム{エラスチ(ティ)ック、ラバー}や熱可塑性エラストマー(略号;TPE)などがある。
この様な物質を総称して本発明では衝撃強度、伸びなどの物性を回復、あるいは向上させるのに添加する材料、あるいは初めから(バージン材から)樹脂に弾性や衝撃強度を付与させる目的で配合されているゴム状の成分はゴム成分,ゴム状材料,ゴム状弾性体,ゴム状重合体,ゴム状共重合体,ゴム含有(の) グラフト共重合、{ゴム状重合体(共重合体)}などとも言い、それらを総称して「ゴム状材料」と称する。
本実施形態におけるリサイクルによって低下した樹脂の衝撃強度を回復させるのに添加する熱可塑性ゴム状材料に要求される特性(性質)を以下に示す。
(1)熱可塑性を示すゴム状弾性体であること、即ち、加熱溶融の段階で成形品の主成分である熱可塑性樹脂と共に融ける(熱可塑性を示す)こと。
ここで、加熱溶融の段階とは、バージンペレットを作成するために押し出し機で加熱溶融混練する場合,リサイクルの再ペレット化の段階,再成形加工の段階などをいう。
(2)成形品の主成分である熱可塑性樹脂と、あるいは塗膜つきのままでリサイクルする場合は、それらの何れ共に相容(溶) 性を示すことが望ましい。
(3)上述した様に熱可塑性を示すことから、ペレット化,成形加工時の加熱溶融の段階で溶融して、成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に微分散すること。
(4)ゴム含有量が多く、少量での添加で物性回復ができること(添加量が少量で済むので経済的であるなど)。
(5)加熱溶融の段階で、酸化劣化されにくい熱安定性に優れたゴム状材料であれば、繰り返しリサイクルを実施した場合に添加量を少なくすることができる。
それらは熱可塑性や相容(溶) 性をもたせるために、熱可塑性樹脂を構成するモノマー(単量体)成分をゴムにグラフト共重合させたもの、あるいはゴム(ゴムを構成する単量体)とそれぞれのモノマーを交たい(交互体),ブロック,ランダムなどの構造で共重合させたものとがある。
また、交互体,ブロック,ランダムなどの構造で共重合させたものにさらに成形品の主成分である熱可塑性樹脂のモノマーをグラフト重合させたゴム状弾性体もある。
また、ゴムも1種類ではなく、2種類以上を用いる場合もある。
ゴムが弾性をもつのは、その構造において2重結合をもっていること、分子構造が折りたたみ構造になっていたりすることである。
2重結合をもつ場合は、ポリブタジエン(ブタジエン系ゴム)の様に分子構造の直鎖にもっているものと、エチレン−プロピレン−ターポリマーの様に側鎖にもっているものと、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系ゴムなどの様に2重結合を持たないものとがある。
直鎖に2重結合をもっている場合は、酸化劣化しやすい性質をもち、リサイクル助剤として用いる場合には、各ターンごとに添加をしなければならない。
一方側鎖に2重結合をもっていたり、2重結合をもっていなかったり、あるいはクロロプレンゴムの様に酸素のアタックをプロテクトするような分子設計がなされているようなゴムは、リサイクル時加熱溶融の段階で酸素劣化されにくいので、ポリブタジエンのようなゴムに比べてリサイクルの各ターンごとでの添加量を少なくすることができる。
この様な熱可塑性ゴム状材料には、EPDM、EPM、ANMを主成分とした熱可塑性ゴム状材料、例えば、AnSt−g−EPDM,AnSt−g−EPM,AnSt−g−ANM{これらは分子構造にAn,Stを有しているのでAS樹脂を主成分とするABS樹脂,AES樹脂,ASA樹脂,ACS樹脂などとは相容(溶) 性を示す}や、St−g−EPDM,St−g−EPM,St−g−ANM{これらは分子構造にStを有しているのでPS樹脂を主成分とするHIPS樹脂,変性PPE樹脂などとは相容(溶) 性を示す}などがある。
上記のEPDM,ANMなど熱安定性の良いゴムを主成分とした熱可塑性ゴム状材料を配した樹脂(例えば、EPDM−AS、EPDM−PS、EPDM−PPE、ANM−AS、ANM−PS、ANM−PPEなど)は、リサイクルを繰り返しても樹脂中のゴム状材料がゴム状材料弾性を喪失することが少ないので、リサイクルに適した材料(リサイクルを繰り返しても物性低下が少ない性質を持つ樹脂)である。
熱可塑性エラストマーも同様に、酸化劣化されやすい分子構造をもったものと酸化劣化されにくい分子構造をもったものとに大別される。
上述したことと同様に、直鎖に2重結合をもっているものより、側鎖に2重結合をもっている熱可塑性エラストマーの方が酸化劣化されにくいと考えられる。
この場合も熱可塑性ゴム状材料と同様に、酸化劣化されにくい分子構造をもった熱可塑性エラストマーをリサイクル助剤として用いる場合には、それぞれのターンでの添加量を少なくすることができる。
衝撃強度を回復させるために添加するゴムが熱可塑性を示さずに熱硬化性のゴム状弾性体を用いる場合には、リサイクル時の加熱溶融の段階(ペレット化の段階)で、高(強)混練の2軸押し出し機やニーダーなどを用いて細かく剪断し、分散させる。
この様に分散させたゴム状弾性体が成形品の主成分である熱可塑性樹脂とで相容(溶)性を示さない場合には、後述する相容(溶)化剤を添加してから加熱溶融混練する。
この様に、リサイクル助剤が成形用樹脂と非相容(溶)な場合には、相容(溶)化剤を添加して相容(溶)性をもたせるのが望ましい。
次に、本実施形態で使用するゴム状材料を構成するゴム類について説明する。
本実施形態でいう熱可塑性ゴム状材料(ゴム類)は、以下に例示するゴムを分子構造中に有する材料である。
代表的なゴムを例示すると、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン系ゴム{ブタジエンゴム,ポリブタジエン(PB,PBD,PBR)}、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム、シスポリブタジエンゴム(高シス−ブタジエンゴム、低シス−ブタジエンゴム)、ニトリルゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、イソプレンゴム(IR)、シスポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム(CR)、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレン−α−オレヒン系ゴム;具体的には、エチレン−プロピレンゴム{エチレン・プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−メチレンゴム,(EPM)}、エチレン−プロピレン−ターポリマー{エチレン・プロピレン・ジエン三元(次)共重合体,エチレン−プロピレン−ジエンメチレンゴム(EPDM)}、エチレン・ブテン共重合体(EBM)、エチレン・ブテン・ジエン三元(次)共重合体,エチレン−ブテン−ジエンメチレンゴム,エチレン・ブテンターポリマー(EBDM)など〕、プロピレンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレン−アクリルゴム、アクリル系ゴム(ACM,ANM、例えば、アクリル酸ブチルやアクリル酸ブチルとブタジエン、および/またはα−オレフィン系ゴムとの共重合体なども含む)、塩素化ポリエチレン、クロロヒドリンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ブチルゴム(IIR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、フッ素系ゴム{例えば、フッ化ビニリデンの二元系、あるいは三元系のフッ素系ゴム(FKM)、テトラフロロエチレン・プロピレン系のフッ素系ゴム、テトラフロロエチレン・パーフロロメチルビニルエーテル系のフッ素系ゴム(FFKM)、フロロシリコーン系のフッ素系ゴム}、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロプロピレン、フッ化ホスファゼンゴム、エピクドヒドリン系ゴム(ポリエーテルゴム、チオコール(多硫化ゴム)、シリコンゴム及びシリコン系ゴム、ウレタンゴム(例えば、分子構造にアルキル基やフェニルナフチル基をもったウレタンゴム)、塩素化ポリエチレン、クロロヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン酢ビポリマー、ポリノルボリネン、STR、CBR、IBR、IBBR、ポリエーテルゴム、クロロブチルゴム水素化ニトリルゴム、フッ素系ゴムのゴム製品やエチレン・酢酸ビニル共重合体、ソフトアクリル樹脂などがある。
ここで、エチレン−プロピレン−ターポリマーとは、エチレン−プロピレンに第3成分であるエチリデン・ノンボーネン(略号;ENB)、ジシクロペンタジエン(略号;DCP)、1,4−ヘキサジエン(略号;1,4−HD)などのモノマーユニットを共重合させたものである。
文献によっては、エチレン−プロピレン−ターポリマーもEPM(EPR)と記載している場合があるが、正確を期すため、本発明では、前記EPMと、EPDMとは、あえて区別し、取り扱う。
BRのような主鎖に炭素−炭素二重結合を含むゴムは、耐オゾン性に劣るので、水素添加など、あるいは他のゴムの単量体(たとえばオレフィン系ゴム、アクリルゴムを構成する単量体など)との共重合によって二重結合濃度(不飽和度) を低くするような処理が施されることが望ましい。
また、エピクロルヒドリンゴムは、苛酷条件下では、オゾン亀裂が発生するので、耐オゾン性を改良するためにエピクロルヒドリン(ECH)とエチレンオキサイド(EO)にさらにグリシジルアクリレートあるいはメタクリレートを共重合させることが望ましい。
上記したゴム類は、配合予定の樹脂とは非相容(溶)な場合が多いので、一般的には配合予定の樹脂のモノマーユニットをグラフト共重合させ、相容(溶)
性をもたせる。
例えば、配合予定の樹脂がスチレン系樹脂の場合には、スチレン系単量体の一種または二種以上あるいは他の単量体の一種または二種以上の混合物がグラフト共重合されたゴム状重合体、例えば、ゴム類がPB、アクリル系ゴム、EPM、EBM、EPDM、EBDMなどにAn及び/またはStをグラフト共重合させたゴム状重合体などを例示することができる。
特にEPM、EBM、EPDM、EBDM、AnSt−g−EPM、AnSt−g−EPDM、St−g−EPM、、St−g−EPDMなどに代表されるα−オレフィン系ゴム及びα−オレフィン系ゴム状重合体、アクリル系ゴム及びアクリル系ゴムにAn及び/またはStをグラフト重合させたゴム状重合体は、熱安定性が高く、長時間高温(例えば250℃、1時間程度)に曝されても、リサイクルを繰り返してもゴム弾性を失わない(低下が少ない)優れたゴム、あるいはゴム状重合体である。
これらのゴムとして、耐オゾン性が低いもの、耐オゾン性に優れたものが利用可能である。
この様に、ゴムには耐オゾン性の優れたものがあり、これらは、主鎖の2重結合がない飽和炭化水素である場合(例えば、エチレン−プロピレンゴムやアクリル系ゴムなど)と、オゾンのアタックをプロテクトする様に分子設計(一例としては、立体的な分子設計)がなされているもの(例えば、エピクロヒドリン系ゴムやクロロプインゴムなど)とがあ
る。
リサイクル助剤として好ましいゴムは、後者の耐オゾン性が高いゴムである。
この様なゴムをリサイクルによって低下したリサイクル材の衝撃強度を回復させるに用いた場合、リサイクルを繰り返しても加熱溶融の段階でゴムは酸化劣化されることが少なく、結果衝撃の低下は少ない。
発明者は、PB,EPDM,EPM、EBM,EBDM、アクリル系ゴム,シリコンゴムを主成分とするゴム状材料を配した成形用樹脂を加熱溶融し、加熱溶融後の衝撃を測定することでEPDM、EPM、アクリル系ゴムを主成分とするゴム状材料は、ゴム状材料弾性が低下することが少ないことを見いだした。
またEPDMにおいては、上述した第3成分の違い(相異)によって加熱溶融(リサイクル)する時にゴム弾性の喪失率に差が生じることが推測される。
耐オゾン性が劣るゴムも衝撃強度を高めるリサイクル助剤として利用可能である。
しかし、リサイクルを繰り返し行うと、加熱溶融の段階で前記ゴムの一部は酸化劣化されてゴム弾性を失い、その結果、リサイクル材の衝撃強度が低下する。
このため、リサイクルを繰り返す度に衝撃強度を回復させるためのリサイクル助剤としてのゴム成分を補給しなくてはならず、経済的とは言えない。
衝撃強度を回復させるのにはブタジエンゴムなどは有効な材料である。
以下に熱安定性に優れたゴム類であるアクリル系ゴム類、α−オレフィン系ゴム類について説明する。
アクリル系ゴム類、及びα−オレフィン系ゴム類は、その分子構造に2重結合をもたないもの、あるいは持っていても分子の直鎖にもたず側鎖に持っているので、熱安定性に優れたゴム類である。
アクリルゴム(ポリアクリレートゴム、アクリル系ゴム)とは、アクリル酸アルキルエステル(CH2=CHCOOR)を主成分とするゴムで、アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー、あるいは架橋点となる活性基をもった第二成分との共重合である。
例えば、アクリル酸エチル(EA)と2−クロロエチルビニルエーテルとの共重合、アクリル酸ブチル(BA)とアクリロニトリル(An)との共重合、アクリル酸ブチルとブタジエンとの共重合、EAとEBとの共重合、EAとBAとメトキシエチルアクリレート(MEA)との共重合、MEAとBAとの共重合、EAとエトキシエチルアクリレート(EEA)との共重合、EAとBAとMEAとの共重合、BAとMEAとAnとの共重合、エチレンとMAとの共重合、アクリル基アルキルエステルのアルキル基に極性基を導入したもの、アルコキシアクリレートを含有するアクリルゴム、アルコキシチオアルキルアクリレートを含有するアクリルゴム、BAとMEAとビニルクロルアセテートのターポリマー、BAとEAとMEAとビニルクロルアセテートとの四元重合体等が例示される。
ポリオレフィン系ゴム類とは、α−オレフィンの一種または二種以上をラジカル開始剤、金属酸化物系触媒、チグラー・ナッタ触媒、カミンスキー触媒などを使用して重合することによって得られる樹脂(ゴム)であり、上記樹脂(ゴム)は二種以上混合されてもよい。
上記α−オレフィンは、α位に重合性の二重結合を有する直鎖状・分岐状あるいは環状オレフィンであって、通常端素数2〜8のものが選ばれる。
上記α−オレフィンの具体例としては、エチレン、3−メチル−1−ブテン、3―メチル−1−ペンテン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、アリルシクロペンタン、アリルシクロヘキサン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロヘキサンなどがある。
またα−オレフィンと共重合可能な他の単量体が共重合されてもよい。
他の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマレイン酸イミドなどのα−β不飽和有機酸またはその誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル;スチレン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ビニルトリメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシランがあり、さらに1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−4−メチル−1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン(4−エチリデン−2−ノンボルネン)などの非共役ジエンを少量共重合させてもよい。
本実施形態において、リサイクル助剤として使用される熱可塑性ゴム状重合体は、前記アクリル系ゴム、またはα−オレフィン系ゴムの内で、ANM、EPM,EBM、EPDM、EBDMを主成分とするグラフト重合体であり、前記ゴム類にAnおよび/またはStとをグラフト重合させた三元グラフト共重合体(AnSt−g−ANM、AnSt−g
−EPM、AnSt−g−EBM、AnSt−g−EPDM、AnSt−g−EBDMなど)であり、また、オレフィン系ゴム状重合体の内でエチレン−α−オレフィン系共重合体において、共重合単量体として使用されるα−オレフィンとは、炭素数が3〜12のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などがある。
前記α−オレフィンの一種または二種以上の重合体、あるいは該α−オレフィンの一種または二種以上と共重合可能な他の単量体の一種または二種以上との共重合体であり、特にエチレンと他のα−オレフィンの一種または二種以上との共重合体あるいはさらにそれらと共重合可能な他の単量体、特に非共役ジエン化合物との共重合体である。
非共役ジエン化合物としては、例えばジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、トリシクロペンタキエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、4,7,8,9−テトラヒドロ−インデン、及びイソプロピリデンテトラヒドロ−インデン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキセン、1,5,9−シクロドデカトルエン、6−メチル−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2−ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,4,7−オクタトリエン、5−メチル−1,8−ノナジエンなどがある。
これら非共役ジエン化合物の中で、特に5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、または/及びジシクロペンタジエン(DCP)が好ましい。さらに好ましくは、ジシクロペンタジエンである。
5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いたオレフィン系ゴム状重合体とAS、またはPSとの混合樹脂では外観が良好になる。
本実施形態に使用されるオレフィン系ゴム状重合体におけるエチレン−α−オレフィン、及び必要に応じて使用される非共役ジエン化合物の使用割合は、モル分率で好ましくは、エチレン/α−オレフィン/非共役ジエン化合物=0.2〜0.8/0.2〜0.8/0〜0.1/である。
さらに好ましくは、0.2〜0.7/0.25〜0.75/0〜0.05である。
また、本実施形態において使用されるエチレン−α−オレフィン系共重合体(ゴム)のムーニー粘度(ML1+4 、100℃)は、好ましくは5〜150、さらに好ましくは10〜70である。
オレフィン系ゴムの代表的なものは、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン化合物三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・ブテン・非共役ジエン化合物三元共重合ゴム(EBDM)である。
エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体とは、エチレン・プロピレンの第3成分(D)にエチリデン・ノンボーネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP、あるいはDCPD)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)などのモノマーユニット(第3成分)を共重合させたもので、Dの含有量は、5wt%程度/あるいは以下である。
EPM,EPDMにおいて、エチレン(E)の含有率は50〜95%、プロピレン(P)の含有率は5〜50%が好ましい。
さらに好ましくは、エチレンの含有率は60〜90%、プロピレンの含有率は10〜35%である。
また、エチレンとα−オレフィンのプロピレンとを共重合させる以外にはブテン−1などをもちいたエチレン−ブテン共重合体(EBM)、エチレン−ブテン−ジエン三元共重合体(EBDM)もある。
EBDMの第3成分は、EPDMと同様にEBN、DCP、1,4−HDである。
また、EBM,EBDMにおいて、エチレン(E)の含有率は50〜95%、ブテン(B)の含有率は5〜50%が好ましい。
さらに好ましくは、エチレンの含有率は60〜90%、ブテンの含有率は10〜35%である。
ここで、前記エチレン−α−オレフィン系共重合体、ANM、PBなどのゴム類をスチレン系樹脂と相容(溶) 性をもたせるために、グラフト共重合させるスチレン系単量体ないしニトリル系単量体などとして、スチレン、α−アルキルモノビニリデン芳香族単量体(例えばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、α−メチルジアルキルスチレンなど)、環置換アルキルスチレン(例えばo−m、及びp−ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−第3級ブチルスチレンなど)、環置換ハロスチレン(例えばo−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−プロモスチレン、2,4−ジクロスチレンなど)、環−アルキル,環ハロ−置換スチレン(たとえば2−クロロ−4−メチルスチレン、2,6−ジクロロスチレンなど)ビニルナフタレン、ビニルアントラセンの一種、または混合物が用いられる。
また、一般に、アルキル置換基は、1〜4個の炭素原子を有し、そしてイソプロピル及びイソブチル基を含む。
この内、モノビニリデン芳香族単量体の一種、もしくは混合物が好ましい。
また、アクリロニトリル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル及びこれらの混合物があげられる。
他の単量体(他の成分)とは、スチレン、アクリロニトリルと共重合可能な単量体であれば特に限定しないが、一般にはメチルメタクルレート、エチルメタクルレートなどのアクリレート類や、N−フェニルマレイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、(p−ブロモフェニル)マレイミドメタクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド類、無水マレイン酸、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類などがあげられる。
AS樹脂、もしくはPS樹脂、PPE樹脂(変性PPE樹脂、変性PPE系樹脂を含む)とに相容(溶) 性をもたせるために、上記ゴム状材料のEPM、EPDM、EBM、EBDM、ANM、PBなどのゴム類の存在下にグラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分である、グラフト共重合させた、上記グラフト共重合体、または共重合体中の芳香族
ビニル(スチレン系単量体)とは、スチレン、α−アルキルモノビニリデン芳香族単量体{例えばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン、ビニルトルエン(例えばα−メチルビニルトルエンなど)}、α−メチルジアルキルスチレンなど}、環置換アルキルスチレン(例えばパラメチルスチレン、o−m、及びp−ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−第3級ブチルスチレンなど)、環置換ハロゲン化(ハロ)スチレン(例えばo−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、o−プロモスチレン、2,4−ジクロスチレン、2,4,5−トリブロモスチレンなど)、環−アルキル,環ハロ−置換スチレン(例えば2−クロロ−4−メチルスチレン、2,6−ジクロロスチレンなど)、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンの一種、または混合物がもちいられる。
特にスチレンが好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を含有してもよい。
また、一般に、アルキル置換基は、1〜4個の炭素原子を有し、そしてイソプロピル及びイソブチル基を含む。
この内、モノビニリデン芳香族単量体の一種、もしくは混合物が好ましい。
また、アクリロニトリル系単量体(シアン化ビニル系単量体)としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−ハロゲン化アクリロニトリル、フマロニトリル及びこれらの混合物があげられる。特にアクリロニトリルがよい。
メタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜4のアルキルエステル、特にメタクリレートがよい。
芳香族モノビニル化合物としては、スチレン、ハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが例示され、特にスチレンがよい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、α−ハロゲン化アクリロニトリルが例示され、特にアクリロニトリルがよい。
尚、芳香族ビニルや、シアン化ビニルの一部を他のビニル化合物、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、塩化ビニルなど、特に(メタ)アクリル酸エステル類で置換したものが好ましい。
また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分として必要に応じ、芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体成分を一種類以上導入することができる。
上記オレフィン系ゴム、ANM、PBなどは、上記スチレン系樹脂、PPE系樹脂、PCとのブレンドポリマー(PC/ABS、PC/AES、PC/ASA、PC/HIPS、PC/EPM−AS、PC/EPDM−AS、PC/EPM−PS、PC/EPDM−PSなど)、ポリオレフィン系樹脂などの成形用熱可塑性樹脂にリサイクル助剤として添加される。
オレフィン系ゴム状重合体、ANM、PBなどがリサイクル助剤として使用され得るためには、上記熱可塑性樹脂と相容(溶)性を有することが必要である。
該オレフィン系ゴムは、ポリオレフィン系樹脂とは単量体もしくは構成単位と同一または類似の単量体をもっているので、そのままで該熱可塑性樹脂とは良好な相容(溶) 性を示す。
しかし、その他の熱可塑性樹脂に対しては、相容(溶) 性を改良するために、該熱可塑性樹脂の単量体もしくは構成単位と同一または類似の単量体をグラフト重合させる。
ここで、グラフト共重合とは、上記オレフィン系ゴム、ANM、PBなどのゴム存在下に上記単量体を前記した油溶性あるいは水溶性開始剤または/及び紫外線、電子線などの高エネルギー線によって重合させる重合方式を指す。
重合方式としては、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、スラリー重合などの一般的方法が適用される。
グラフト共重合によって得られるグラフト共重合体は、オレフィン系ゴム、ANM、PBなどのゴムを幹とし、上記単量体の重合鎖を枝とする狭義のグラフト共重合体を主成分とし、場合によって該狭義のグラフト共重合体にオレフィン系ゴム、ANM、PBなどのゴムまたは/及び上記単量体からなる重合体がミクロブレンドされているものである。
以下に、各熱可塑性樹脂に適したオレフィン系ゴム、ANM、PBのグラフト共重合体について説明する。
PS(あるいはHIPS、EPM−PS、EPDM−PSなど)に対しては、スチレンまたは/及びスチレンと類似な他のスチレン系単量体の一種または二種以上をグラフト共重合したオレフィン系ゴム状重合体(オレフィン系ゴム含有のスチレンまたは/及びスチレンと類似な単量体とのグラフト共重合体で、以下スチレングラフトオレフィン系ゴム状
重合体という)、アクリル系ゴム状重合体(アクリル系ゴム含有のスチレンまたは/及びスチレンと類似な単量体とのグラフト共重合体で、以下スチレングラフトアクリル系ゴム状重合体という)、ブタジエン系ゴム状重合体(ブタジエン系ゴム含有のスチレンまたは/及びスチレンと類似な単量体とのグラフト共重合体で、以下スチレングラフトブタジエン系ゴム状重合体という)が使用される。
スチレングラフトオレフィン系ゴム状重合体、スチレングラフトアクリル系ゴム状重合体、スチレングラフトブタジエン系ゴム状重合体はPSと略同一なソルビリティパラメーターを有するスチレン系単量体の重合鎖を枝としているので、PSに対して良好な相容(溶)性を示す。
AS(あるいはABS、EPM−AS、EPDM−AS、ANM−ASなど)に対しては、スチレンまたは/及び他のスチレン系単量体の一種または二種以上と、アクリロニトリルまたは/及び他のニトリル系単量体の一種または二種以上をグラフト共重合したオレフィン系ゴム状重合体(オレフィン系ゴム含有のスチレンまたは/及び他のスチレン系単
量体と、アクリロニトリルまたは/及び他のニトリル系単量体とのグラフト共重合体で、以下スチレンニトリルグラフトオレフィン系ゴム状重合体という)、アクリル系ゴム状重合体(アクリル系ゴム含有のスチレンまたは/及びスチレンと類似な単量体、アクリロニトリルまたは/及び他のニトリル系単量体とのグラフト共重合体で、以下スチレンニトリルグラフトアクリル系ゴム状重合体という)、ブタジエン系ゴム状重合体(ブタジエン系ゴム含有のスチレンまたは/及びスチレンと類似な単量体、アクリロニトリルまたは/及び他のニトリル系単量体とのグラフト共重合体で、以下スチレンニトリルグラフトブタジエン系ゴム状重合体という)が使用される。
上記単量体以外にオレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴムには上記単量体と共重合可能な他の単量体がグラフト共重合されてもよい。
上記スチレンニトリルグラフトオレフィン系ゴム状重合体、スチレンニトリルグラフトアクリル系ゴム状重合体、スチレンニトリルグラフトブタジエン系ゴム状重合体はAS(あるいはABS)と略同一なソルビリティパラメーターを有するスチレンニトリル共重合鎖を枝としているので、AS(あるいはABS)に対して良好な相容(溶)性を示す。
上記グラフトオレフィン系ゴム状重合体、グラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体においては、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴムは、単独または二種以上の混合ゴムが用いられてよい。
該オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴムの含有量が5〜80重量%、望ましくは10〜50重量%、グラフトされている単量体の含有量(グラフト率)が合計95〜20重量%、望ましくは90〜25重量%である。
スチレンニトリルグラフトオレフィン系ゴム状重合体、スチレンニトリルグラフトアクリル系ゴム状重合体、スチレンニトリルグラフトブタジエン系ゴム状重合体の場合には、スチレン系単量体が5〜95重量%、ニトリル系単量体が95〜5重量%の範囲が望ましい。
この範囲で上記グラフトオレフィン系ゴム状重合体などは、熱可塑性樹脂に対する相容(溶) 性と、該熱可塑性樹脂に対する物性向上の効果、リサイクル性の向上効果、即ちリサイクルの際の耐衝撃性の低下防止効果とがバランスする。
グラフトオレフィン系ゴム状重合体、グラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体は、ゴム状成分がコア、グラフト部分がシェルであるにコア・シェル構造をもっているので、グラフト率が高いグラフトオレフィン系ゴム状重合体などを該成形用熱可塑性樹脂に混合して使用する限りにおいて、塗膜の付着性低下などの問題は起こらない。
もともとオレフィン系ゴムは、塗料の付着性は低く、グラフト率が低い該グラフトオレフィン系ゴム状重合体を混合した場合は、熱可塑性樹脂成形品への塗膜、及びインク膜の付着性が低下し好ましくはない。
TPEの場合には、相容(溶)性があっても塗膜、及びインク膜の付着性が乏しい物があった。
また、グラフトオレフィン系ゴム状重合体、グラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体の粒子径は、完全分子レベルで混ざり合うこと、すなわち、相溶する0.0から相容して海島構造をもつ場合(0・1〜5μm)、もしくはその他の構造をもつ18μmの範囲が望ましく、さらに0.001〜100μmの範囲が可能である。
この粒子径範囲において、グラフトオレフィン系ゴム状重合体などのリサイクル性改良効果は、特に大きくなる。
ゴム粒径が異なるグラフトオレフィン系ゴム状重合体を数種類使用すること、あるいはグラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体とを併用すると、さらに物性を向上させるので、グラフトオレフィン系ゴム状重合体ないしグラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体の添加量を少なくすることができる。
さらに、グラフトオレフィン系ゴム状重合体は、分子量の尺度であるトルエン可溶分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、トルエン溶液、30℃測定)が0.30〜1.00g/dlの範囲にあることが望ましく、0.50〜0.80g/dlの範囲にあることがさらに望ましい。
上記リサイクル助剤として使用されるグラフトオレフィン系ゴム状重合体、グラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体は、種々の方法で製造される。
特に望ましい方法は、ゴム含有量が高くなる、乳化重合法、溶液重合法、スラリー重合法で、オレフィン系ゴム、またはアクリル系ゴム、またはブタジエン系ゴムと、単量体との混合物及び重合開始剤、さらに所望なれば連鎖移動剤よりなる均一な重合原液を攪拌機付き連続多段式塊状重合反応機に供給し、連続的に重合、脱気する重合法である。
塊状重合法によるグラフトオレフィン系ゴム状重合体などを製造する場合、還元粘度ηsp/cの制御は、重合温度、重合開始剤の種類と量、溶剤及び連鎖移動剤量によって行うことができる。
また、共重合組成の制御は、仕込み単量体組成によっておこなうことができる。
そして、オレフィン系ゴム状重合体、アクリル系ゴム状重合体、ブタジエン系ゴム状重合体の粒子径の制御は、攪拌回転数でおこない、小粒子化は、回転数を上げ、大粒子化は、回転数を下げることによる。
グラフトオレフィン系ゴム状重合体の具体例を示せば、St−g−EPM、St−g−EPDM、St−g−EPM・EPDM、AnSt‐g‐EPM、AnSt‐g‐EPDM、AnSt‐g‐EPM・EPDM、St−g−EBM、St−g−EBDM、St−g−EBM・EBDM、AnSt‐g‐EBM、AnSt‐g‐EBDM、AnSt‐g‐EBM・EBDMなどがある。
グラフトアクリル系ゴム状重合体の具体例を示せば、St−g−ANM、AnSt‐g‐ANMがある。
ブタジエン系グラフト重合体の具体例を示せば、St−g−PB、AnSt‐g‐PBがある。
これらグラフトオレフィン系ゴム状重合体、グラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体は、スチレン系樹脂と良好な相容(溶) 性を示す。
グラフトオレフィン系ゴム状重合体、グラフトアクリル系ゴム状重合体、グラフトブタジエン系ゴム状重合体を該スチレン系樹脂に混合すれば、グラフトオレフィン系ゴム、グラフトアクリル系ゴム、グラフトブタジエン系ゴムは、スチレン系樹脂に微分散し、海島構造または/及びその他の微分散構造を形成し、分離を起こすことなく安定に混合され、スチレン系樹脂の物性を回復し、リサイクル性を改良する。
本発明の実施形態においては、
ASとAnSt−g−EPMの混合樹脂をEPM−AS、
AnSt−g−EPDMとの混合樹脂をEPDM−ASと、
AnSt−g−EPM及びAnSt−g−EPDMとの混合樹脂をEPM−EPDM−ASと、
ASとAnSt−g−ANMの混合樹脂をANM−ASと、
PSとSt−g−EPMの混合樹脂をEPM−PS、
St−g−EPDMとの混合樹脂をEPDM−PSと、
St−g−EPM及びSt−g−EPDMとの混合樹脂をEPM−EPDM−PSと、
PSとSt−g−ANMの混合樹脂をANM−PSと
称する。
PPE系樹脂用グラフト重合体としては、PPE系樹脂と相容(溶) 性をもたせるために、上記Stがグラフト共重合させたSt−g−EPM,St−g−EPDM,St−g−EPM・EPDM,St−g−EBM,St−g−EBDM,St−g−EBM・EBDMのようなスチレングラフトオレフィン系ゴム状重合体、St−g−ANMのようなスチレングラフトアクリル系ゴム状重合体、St−g−PBのようなスチレングラフトブタジエン系ゴム状重合体が選択されることが望ましい。
グラフトオレフィン系ゴム状重合体、アクリル系ゴム状重合体、ブタジエン系ゴム状重合体は、PPEと近似したソルビリティパラメーターを有するスチレン重合鎖を枝として有し、PPE系樹脂と良好な相容(溶)性を有するので、グラフトオレフィン系ゴム状重合体は、PPE系樹脂に分離を起こすことなく安定に混合され、PPE系樹脂のリサイクル助剤として使用可能である。
本実施形態においては、
PPEとグラフトオレフィン系ゴム状重合体St−g−EPMの混合樹脂をEPM−PPE、
St−g−EPDMとの混合樹脂をEPDM−PPEと、
St−g−EPM及びSt−g−EPDMとの混合樹脂をEPM−EPDM−PPE、
PSとEPM−PPEとの混合樹脂EPM−PS−PPEと、
EPDM−PPEとの混合樹脂をEPDM−PS−PPEと、
St−g−EPM及びSt−g−EPDMとの混合樹脂をEPM−EPDM−PS−PPEと、
PPEとSt−g−ANMの混合樹脂をANM−PPEと、
PSとANM−PPEとの混合樹脂ANM−PS−PPEと称する。
上述したゴムは、成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶) 性が乏しく、熱可塑性を示さないものが多いので、これらのゴムに、前記成形品の主成分である熱可塑性樹脂と同一の、共通の、類似の分子骨格をグラフト共重合して熱可塑性をもたせることと、成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶)性とをもたせる。これらは一種の「変性」である。
これらゴム状材料は、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたせ、しかも、熱可塑性をもたせることで、リサイクル粉砕材と混ぜ合わせてペレット化する時、あるいはリサイクル成形品の粉砕材と混ぜ合わせペレット化はせずにそのままで再成形加工する場合、加熱溶融の段階で前記成形用樹脂を共に融けて微分散する。
しかも、上述した様に変性されたゴム状材料は、熱可塑性を示す様になるので、熱可塑性樹脂と同様な装置を用いてペレット化することもできる。
熱硬化性のゴムをリサイクル助剤として用いる場合には、成形品、及び塗膜の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたない場合(例えば、グラフト化しないゴムを用いる場合など)には、相容(溶)化剤を添加し相容(溶)性をもたせる。
熱硬化性のゴムの場合には、成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に溶融混練の段階で微分散しにくいので、溶融粘度が高い樹脂を添加し、その樹脂の剪断力を利用して微分散させる。
その一部を例示すると、ABS樹脂中の衝撃強度を向上させるために添加(配合、ブレンド)されるAnSt−g−PBは、ブタジエン系ゴムにAn、およびStをグラフト共重合(記号;−g−で表現した)させて、熱可塑性をもたせ、しかもABS樹脂の主成分であるAS樹脂と相容(溶)性をもたせたものである(同一の樹脂骨格をもたせてある)。
HIPS樹脂や変性PPE樹脂、あるいはPPE樹脂などの場合には、St−g−PBであり、熱可塑性を示し、HIPS樹脂の主成分であるPS樹脂と相容(溶)性をもつ(同一の樹脂骨格をもたせてある)。
ブタジエン系ゴムの代わりに、α−オレフィン系のEPM、ないしEPDM、あるいはANMにAn、およびStをグラフト共重合させたAnSt−g−EPM、AnSt−g−EPDM、AnSt−g−ANMなどは、グラフト化して、変性することで熱可塑性をもち、しかもこれらは、ABS樹脂や、AS樹脂、またはそれに類する樹脂{例えば、ASA(AAS)樹脂、AES樹脂、ACS樹脂や、ABSなどを主成分とするポリマーアロイ(例えば、PC/ABS樹脂など)などとは相容(溶) 性を示す。
同様にして、前記EPMやEPDM、およびANMにStをグラフト共重合させたSt−g−EPDM、St−g−ANMなどは、HIPS樹脂や、PS樹脂、またはそれに類する樹脂、ポリマーアロイ(例えば、PC/HIPS樹脂、PC/PS樹脂など)、変性PPE樹脂やそれに類する樹脂やそれらの樹脂をもちいたポリマーブレンド、ポリマーアロイ(例えば、変性PPE樹脂/PAなど)とは同一の樹脂骨格をもたせてあるので相容(溶)性を示す。
特にEPM,EPDM、ANMを主成分としてグラフト化させたゴム状材料は、熱可塑性を示し、しかも熱安定性が良いことから前記樹脂の最適なリサイクル助剤として有効に活用できる。
この様な熱可塑性ゴム状材料は、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性があり、しかも、熱可塑性を示すのでリサイクル粉砕材と混ぜ合わせてペレット化する時、あるいはリサイクル成形品の粉砕材と混ぜ合わせペレット化はせずにそのままで再成形加工する場合、またペレット化したリサイクル材に混ぜ合わせ使用する場合に加熱溶融の段階で前記成形用樹脂を共に融けて前記成形樹脂中に微分散する。
上述したゴム状共重合体の内で、ゴム成分に、オレフィン系ゴム(例えばEPM、EPDM)、ANMなどを主成分として用いたゴム状材料は、加熱溶融の段階で酸化劣化を受けにくい。
その結果、この様な熱安定性の良いゴム状材料を主成分として配した成形材料、例えば、AS樹脂と、AnSt−g−EPM、AnSt−g−EPDM、AnSt−g−ANMとからなる成形用樹脂、PS樹脂とPS樹脂と相容(溶) 性のある、St−g−EPM、St−g−EPDM、St−g−ANMとからなる成形用樹脂などは、リサイクルを繰り返しても配合されているゴム状重合体は酸化劣化されにくいことから、リサイクルを繰り返してもゴム状材料の酸化劣化による衝撃強度の低下は少ない。
PPE樹脂の変性に上記熱安定性の良いゴム状重合体または、前記熱安定性の良いゴム状重合体を配合した樹脂を用いることで、リサイクル性が高い変性PPE系樹脂を製造することができる。
この様な熱安定性の良い熱可塑性ゴム状材料を配した材料(例えばEPM−PS、EPDM−PS、ANM−PS、EPM−AS、EPDM−AS、ANM−ASなど)は、リサイクル性に向く材料としてではなく、耐候(光)性の高い材料でもある。
発明者は、ゴム状重合体でSt−g−EPDM(EPDMにおいて、エチレンは約75%、プロピレンは約20%、第三成分としてDCPが約5%)において、ゴム含有量が約38%、ゴムの平均の粒径が1.0μm、スチレンのグラフト率が約35%と約55%のそれぞれのゴム状重合体(St−g−EPDM){ゴム状重合体0002(スチレンのグラフト率が35%)、およびゴム状重合体0003(スチレンのグラフト率が55%)}をPS樹脂{三菱モンサント化成(株)製 PS樹脂(GPPS)75重量部に対して前記ゴム状重合体0002、およびゴム状重合体0003を25重量部それぞれ混ぜ合わせてペレット化した高衝撃ポリスチレン樹脂のIZOD衝撃強度を測定したところ、グラフト率が約35%の物では3.5kg−cm/cmであるのに対して、グラフト率が約55%の物では、5.8kg−cm/cmを示した。
これは、グラフト率が高い方が、PS樹脂とは相容(溶)性が良いことの結果であると推測される。
AS樹脂と塩素化ポリエチレンからなるACS樹脂中の前記塩素化ポリエチレンも酸化劣化されにくい弾性を示す材料であるが、塩素化ポリエチレンは成形加工時、ペレット化の加熱溶融の段階で塩素ガス、塩化水素を遊離して成形機、金型を腐食する事が懸念される。
また、塩素化合物であることから焼却(サーマルリサイクル)する場合にダイオキシンの発生について考慮する必要がある。
なお、熱可塑性樹脂にグラフト重合させたゴム状材料を添加した樹脂組成物は知られている(特開昭57−139140号公報第2頁(PPE樹脂)、特開平01−190741号公報第2頁(スチレン系樹脂)、特開平07−118518号公報第3頁(PPE樹脂))。
しかし、かかるゴム状材料を添加してリサイクルする方法については、記載がない。
ゴムの多くは単独では熱硬化性を示し、樹脂とは非相容(溶)であるが、上述した様に熱可塑性樹脂のモノマーを公知の方法によってグラフト共重合などをさせることによって相容(溶) 性をもち、熱可塑性を示す様になる。
ゴムを構成するモノマーと、樹脂モノマーとを共重合(ランダム、ブロックなど)などをさせる方法などによって製造された樹脂に熱可塑性エラストマーがある。
この熱可塑性エラストマーもリサイクル材の衝撃強度を回復させたり、向上させたりする性質をもつ。
熱可塑性エラストマーは、弾性をもつソフトセグメントの部分と、可塑性を示すハードセグメントの部分とが分子構造中に存在し、それらのいずれかの部分(ソフトセグメント、あるいはハードセグメントの一部、あるいは総ての部分)が成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示す様な分子設計が成されている。
熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系、スチレン系、ビニル系、アミド系、エステル系などがあり、これらの具体例はWO9738838や文献などに示されている。
熱可塑性エラストマーは、グラフトゴム状重合体とは異なり、塗膜や、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と同一の、共通の、類似の分子骨格をもたせて相容(溶)性を示す場合でも、塗膜の付着性を低下させる事があるので、リサイクル助剤として使用するに当たり、塗膜性能を評価しておく必要がある。
EPDM(あるいはEPM)とAn、Stを共重合させたAnSt−b−EPDM、AnSt−b−EPM、St−b−EPDM、St−b−EPMもAnSt(あるいはSt)−g−EPDMなどのゴム状材料と同様に熱安定性に優れ、熱可塑性をもち、AS、あるいはPS樹脂を主成分とする樹脂とは相容(溶)性を示し、リサイクル助剤として使用
できると推測される。
その他の樹脂改質を目的に添加するリサイクル助剤としては、低温特性、耐寒脆性、成形加工性、2次加工性、耐折り曲げ性、折り曲げ白化性の改良、耐衝撃性向上、溶融樹脂の流動性の向上などを改良する目的として添加するサージングの防止、フィッシュアイの減少、ロングラン性の向上、成形品への光沢付与や反対の艶消し効果、成形品のスリップ
性の付与、ブロッキング性の減少、さらに、シート真空成形、シート圧空成形時の深絞り性の付与、滑性をもち成形加工性の改良、押し出し成形、カレンダリング、中空成形、射出成形などの成形品の外観を向上させるゲル化促進のための加工助剤、シート真空成形、シート圧空成形時の伸びの改良を与えるための助剤、金属からの剥離性の向上、プレートアウトの防止、寸法安定性の向上、外観を向上させゲル化促進と成形性のバランス向上、耐候性向上、樹脂の流動性、引裂き強度、タイストレスクラック性の改良、制振性、樹脂のガラス転移点温度、軟化点温度を上昇させるなどの作用をもつものがある。
また、HIPS樹脂や変性PPE樹脂の改質に用いるポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂やPC樹脂、PA樹脂、PET樹脂、PBT樹脂なども衝撃強度や、耐油性を改善するのに添加するリサイクル助剤としてあげられる。
上述した様なゴム状材料をリサイクル材などその他の材料に添加すると衝撃強度が向上する。
一方で剛性の低下が認められる場合には、剛性の高い材料、例えば、ABS樹脂に対して、相容(溶)性のあるAS樹脂(例えば、分子量の大きなもの)、HIPS樹脂に対して、PS樹脂(例えば、分子量の大きなもの)などをさらに添加して、物性のバランスを取る。
難燃性の樹脂で、リサイクルを繰り返すと難燃剤の分解や、蒸発、昇華などによって難燃効果が喪失した時に添加するリサイクル助剤は、明細書に記載された難燃剤や難燃助剤などが難燃性を付与するためのリサイクル助剤である。
熱可塑性樹脂成形品は、様々な色に彩色(着色,カラーリング)されているので、熱可塑性樹脂製品を彩色する顔料,染料などもリサイクル助剤に含まれることは上述した。
これらの物質(添加するリサイクル助剤)が成形品の主成分である熱可塑性樹脂、あるいは塗膜を構成する熱可塑性樹脂とで相容(溶)性を示さない場合には、第3の成分として相容(溶)化剤や樹脂改質剤{以下「相容(溶)化剤」と総称する}を添加し相容(溶)性をもたせる様にする。
例えば、ポリブタジエンゴム(ブタジエン系ゴム 略号;PBR,PBD,PB)は、ABS樹脂、HIPS樹脂に衝撃性を付与するのに有効な材料であるが、前記樹脂とは相容(溶)性が乏しいので、PBRと相容(溶)化剤を添加して、2軸の高(強)混練押し出し機で、PBRを細かく剪断して、成形用樹脂中に微分散させ相容(溶)させるなどの
手法を用いることもある。
相容(溶)化剤の代表的なものは、WO9738838やその他文献に例示されている。
この様に、リサイクル材の衝撃強度の回復には、ゴム状材料を添加することが有効的ではあるが、ゴム状材料を多く添加してしまうと、衝撃強度は回復するが、剛性や曲げ、引っ張りの弾性率の低下を招いてしまう。
この様な場合には、例えば、ABS樹脂にはAS樹脂や、ゴム状材料の少ないABS樹脂を、また、HIPS樹脂や変性PPE樹脂の場合には、PS樹脂や、ゴム状材料の少ないHIPS樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂{略号;PPE(O)}などを添加して物性のバランスをはかる必要があることは上述した。
材料中に添加された顔料,染料は、前記成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶)性を示さないものが多いので、顔料,染料などを添加して彩色(「カラーリング」、「着色」などとも言う)を施した場合は、彩色しなかった場合に比べて衝撃強度などの物性は低下することが多い。
実際にABS樹脂{旭化成工業(株)製ABS樹脂 商品名、およびグレード;スタイラック191}で材料に白色(主に酸化チタン)で着色したものと着色がしていないナチュラルカラー(自然色)とのIZOD衝撃強度(測定温度;23℃,測定方法;ASTM−D256に準拠して測定)は、前者の着色されたものは14.9kg−cm/cm、後
者は17.6kg−cm/cmの結果を得た。
この様に、着色された成形材料の衝撃強度が低下するのは、添加されている顔料,染料と成形品の主成分である熱可塑性樹脂とが相容(溶)していない結果である。
ABS樹脂やHIPS樹脂、変性PPE樹脂、ゴム成分を添加したPP樹脂(主に自動車部品のバンパー材などに使用しているゴムで変性されたPP樹脂)などの樹脂材料を、成形加工して、塗装を施して、あるいは塗装は施さずに、粉砕して、ペレット化して再成形加工を繰り返すリサイクルを繰り返していくと、成形樹脂中に配合されているゴム状材
料は、加熱溶融の段階で熱分解し、あるいは酸化劣化し、ゴムとしての弾性を失っていくことは上述した通りであり、参考例1などによっても確かめられた。
特に、樹脂中に添加された熱可塑性ゴム状材料でその分子中の直鎖に2重結合をもっている様ゴム(例えばAnSt−g−PBなど)の場合は顕著である。
一方、AnSt−g−EPDM、AnSt−g−ANMなどは2重結合をもたないか、あるいは側鎖に2重結合をもった熱可塑性ゴム状材料の場合には、前記直鎖の2重結合をもった熱可塑性ゴム状材料よりは、酸化劣化が少ないことが参考例3によって確認された。
分子中に2重結合をもたない飽和のアクリル系ゴムを主成分としたSt−g−ANMなどは2重結合をもっていない飽和の熱可塑性ゴム状材料であるので、さらに酸化劣化されにくいと推測して、AnSt−g−ANMの熱安定性試験を実施したところ、熱安定性の高いことが確認された(実施例11)。
リサイクルによって衝撃強度が低下したリサイクル材の衝撃強度の回復には、リサイクル材と相容(溶)性をもつゴム状材料の添加が有効であることは、後述する第1実施例などの結果から明らかである。
スチレン系樹脂に限定をすれば、この時に添加する熱可塑性ゴム状材料の粒径は、0.001μm以上ないし100μm以下のものである。
0.001μm以下の場合には、熱可塑性ゴム状材料の添加による成形品の外観光沢の低下は少ないが、添加量を多くしないと衝撃強度の回復は望めない。
熱可塑性ゴム状材料の粒径が100μm以上の場合では、成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に熱可塑性ゴム状材料が偏在してしまい成形品の全体を見た時に衝撃強度や引っ張り強度が高い部分と低い部分とが発生する。また、成形加工時の溶融樹脂の流動性の低下原因にもなる。
リサイクル材に衝撃強度や引っ張り強度を向上させたり回復させたりするために添加する熱可塑性ゴム状材料の粒径は、上述した様に0.001μm以上ないし100μm以下のものであることが望ましく、成形品の成形加工性や、成形品の外観(光沢や艶斑、ウエルドの発生など)を考慮すると、熱可塑性ゴム状材料の粒径は0.1μmないし60μm、望ましくは0.1μmないし18μm、最も望ましいゴムの粒径は0.1μm以上ないし5μm以下である。
この粒径の熱可塑性ゴム状材料を用いる場合、最小の添加量で最大の衝撃強度や引っ張り強度の回復が望める。
この熱可塑性ゴム状材料の粒径は、初めから成形用樹脂に添加されているものと同等である。
また、数種類の粒径の異なる熱可塑性ゴム状材料を添加したり、あるいは、数種類のゴムを添加して物性の回復をはかることもある。
また、後述する成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもつ熱可塑性エラストマーとを併用することもあり、熱可塑性エラストマーを単独で使用する場合もある。
また、熱可塑性エラストマーの単用の場合と、複数の種類を併用して使用する場合とがある。
さらに、熱可塑性ゴム状材料と熱可塑性エラストマーとを併用する場合もある。
リサイクル助剤が添加予定のリサイクル樹脂と相容(溶)性をもつことが望ましく、相容(溶) 性の評価にはWO9738838などに記載された公知の方法が用いられる。
本発明者は、成形用樹脂とリサイクル助剤との相容(溶)性の評価を、上述した方法の内で、
(1)折り曲げ試験(金型によって加工された平板や円筒形状などや押し出し機より得られたストランドなどの破壊テストなど)、
(2)ゴバン目試験(それぞれの樹脂を混ぜ合わせ、加熱溶融して、射出成形加工した成形品に、JIS K 5400 8.5.2に準拠して実施する。)、および
(3)切片フィルムの透過型電子顕微鏡(TEM)による分散状態とそれぞれの樹脂界面,境界領域の観察
を実施し、相容(溶)、非相容(溶)を評価した。
成形品の主成分である熱可塑性樹脂のバージン樹脂ペレットと、リサイクル助剤とを一定の重量割合(例えば、成形品の主成分である熱可塑性樹脂/リサイクル助剤=90/10〜10/90)で混合し、単軸押し出し機を用いて加熱溶融して、冷却固化させたペレタイザーを用いてペレット化して成形品の主成分である熱可塑性樹脂とリサイクル助剤との混合樹脂ペレットを得る。
得られた混合樹脂ペレットを用いて成形品を成形加工し、得られた成形品にJIS K5400 8.5.2に準拠して碁盤目試験をおこない、剥がれ落ちた碁盤目の数が10以下の場合は、相容(溶)性をもつと評価する。
また、前記混合樹脂ペレットをミクロトームを用いて薄い切片を作成し、酸化ルテニウム(RhO4 )、あるいは酸化オスミウム(OsO4 )によって染色した検体を、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」と称する。)によって樹脂の構造や形態(モルフォロジー)や界面,境界領域での剥がれや欠落を観察し、海島構造、またはWO97/38838に記載されたその他の構造や、あるいは複数の構造が入り交じったものがある。
それら分散したものの形態は、球形の場合が最も望ましく、縦横比(アスペクト比)が1から0.1の場合でも使用は可能である。
0.1以下の形状の場合においても再成形加工し、使用する部品によっては使用が可能であるが、アスペクト比が0.1以下でしかも、一定の方向に整列してしまった場合には、成形品の強度に方向性が見られるので好ましくはない。
その様な場合には、互いに積層し配向を相殺する様な工夫が必要となる。
また、それらの分散の大きさは、上述した範囲が望ましく、粉砕してペレット化するとき、例えば、単軸の押し出し機加熱筒の熱によって溶融され、物理的な力によって、細かく分散され、上述した様に結合する。
さらに細かく分散させる場合は、ニーダーや、2軸の押し出し機などの様に高混練性をもつ押し出し機の使用が望ましい。
後者の相溶性とは、前記成形品の主成分である熱可塑性樹脂と、リサイクル助剤とが加熱溶融の段階において分子レベルで混ざり合い、溶(解,融)け合う場合を定義する。
本実施形態においては、WO97/38838に記載された成型加工法および塗装方法、塗料が採用可能である。
リサイクル助剤の添加は、
(1)成形品を粉砕した粉砕材にブレンド(混合)して使用する場合、(2)粉砕材とリサイクル助剤をブレンドした混合物を押し出し機を用いて加熱溶融して、ペレット化して使用する場合、
(3)成形品を粉砕した粉砕材を押し出し機を用いて加熱溶融して、ペレット化して得られたリサイクルペレットにリサイクル助剤をブレンドして使用する場合、
(4)さらにリサイクルペレットと、リサイクル助剤をブレンドした混合樹脂ペレットを押し出し機を用いて加熱溶融して、再ペレット化して
使用する場合、
(5)この様にして得られたリサイクル助剤と加熱溶融してペレット化したペレットに、前記成形品の粉砕材やリサイクル助剤をブレンドしたりする
などの方法がある。
上記の(1)の「成形品を粉砕した粉砕材にブレンドする」場合は、タンブラーなどの混合機を用いて容易に混合できるので経済的であるが、粉砕材とリサイクル助剤との大きさが異なる場合には、均一に混ざり合わないことが懸念されるので粉砕材の大きさを十分に小さくする必要がある。一般的には、粉砕材の大きさは15mm角程度以下が望ましい。
(2)の「粉砕材とリサイクル助剤をブレンドした混合物が押し出し機を用いて加熱溶融され、ペレット化して使用する」場合は、加熱溶融混練されるので、成形樹脂中にリサイクル助剤が均一の混ざり合った品質の良いペレットを得ることができる。
(3)の「成形品を粉砕した粉砕材を押し出し機を用いて加熱溶融して、ペレット化して得られたリサイクルペレットにリサイクル助剤をブレンドして使用する」方法では、リサイクルペレットと、リサイクル助剤の混合比を任意に変えることができることと、さらに双方がペレットである場合には、均一に混合することができる。
この方法は、数種類のリサイクル助剤を用いる場合など、再生樹脂の生産量が少量を取り扱う場合などには効果的である。
(4)の「リサイクルペレットと、リサイクル助剤をブレンドした混合樹脂ペレットを押し出し機を用いて加熱溶融して、再ペレット化して使用する」場合は、均一なペレットが得られる。
上述した様に、ブレンドしたペレットを用いて成形加工した場合、成形機加熱筒内で十分加熱溶融されずに均一に分散されない材料や溶融温度の異なる材料、例えば、再生のABS樹脂ペレットに衝撃強度を回復させるためにPC樹脂ペレットを用いてモールドブレンドする時には、双方の溶融温度が異なるのでサージングをおこして、食い込みが悪かったり、得られた成形品に溶融されなかった樹脂ペレットが現れたりする。この様な場合には、事前にペレット化しておく必要がある。
(5)の「混合再生樹脂ペレットにさらにリサイクル助剤を添加する」のは、再生樹脂ペレットをさらに改質する場合などに用いる。
例えば、再生樹脂ペレットに、難燃剤を加えて難燃化する場合などがそれに当たる。
リサイクル助剤が粉体、バルクなどの形態をもつ場合には、押し出し機などを用いて事前にペレット化しておく場合がある。
リサイクル助剤が数種類の場合には、ペレット化して用いる。
例えば、ABS,HIPS樹脂の衝撃強度を回復させるのに用いるゴム状材料(AnSt−g−PB、St−g−PB、AnSt−g−EPDM、St−g−EPDMなど)の製造工程での形態は、パウダーであるので、押し出し機を用いて樹脂と同様なペレットの形態とした方が取り扱いが容易である。
難燃剤として有機ハロゲン化物を用いる場合、難燃助剤として三酸化アンチモンの併用が必要となる。
三酸化アンチモンは、元々の性状は、白色の粉末で、しかも劇物であることから取り扱いには十分な注意が必要となる。
そのために、有機ハロゲン化物、あるいは樹脂(再生樹脂、バージン樹脂、その他樹脂やゴム状重合体など)とのペレット化をはかりマスターバッチを製造して使用する方が取り扱いは容易である。
リサイクル助剤のマスターバッチや、前記粉砕材のペレットを製造するには、単軸押し出し機、多軸押し出し機、あるいはブスニダー(ブスコニダー)、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフなどによって加熱溶融し、押し出し、ペレタイザーなどを用いてペレット化する。
粉砕材のペレット化も同様な装置を用いて実施可能である。
(第1実施形態)
本第1実施形態にかかる発明は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂成形品の廃品の粉砕材またはペレットをリサイクルする場合、ゴム成分に該熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格をグラフト共重合することによって該熱可塑性樹脂との相容(溶)性を付与された熱可塑性ゴム状材料であるリサイクル助剤を該粉砕材またはペレットに添加して加熱溶融混合し、該加熱溶融物中に熱可塑性ゴム状材料が分散した状態で、その粒径が0.05μm〜50μmであり、かつアスペクト比が0.1以上であり、かつJIS K 5400 8.5.2に準拠した碁盤目試験において、剥がれ落ちた碁盤目の数が10以下である樹脂成形品のリサイクル方法である。
前記発明において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料は、ポリブタジエン(略号;PB,PBR,PBD)、ブタジエン系ゴム(略号;PBR)、エチレン−プロピレンゴム(略号;EPM,EPR)、エチレン−プロピレン−ターポリマー(エチレン−プロピレン−ジエンゴム,エチレン−プロピレン−ジエンモノマー、略号;EPDM)に代表されるオレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、その他のいずれかを主成分とする単品、あるいは、2種類以上のもの(すなわち少なくとも1種類のもの)を混合して使用されるので、リサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を向上、あるいは回復させるという効果を奏する。
(第2実施形態)
本第2実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第1実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料が、ブタジエン系ゴムやエチレン−プロピレン−ターポリマーなどの様にその分子構造に2重結合を備えているので、分子構造に2重結合をもつ熱可塑性ゴム状材料はゴム弾性をもっているので、前記熱可塑性ゴム状材料の添加によってリサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を向上、あるいは回復させるという効果を奏する。
(第3実施形態)
本第3実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第1実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料が、アクリル系ゴムやエチレン−プロピレンゴムなどの様にその分子構造に2重結合を備えていないものによって構成され、分子構造に2重結合をもたない熱可塑性ゴム状材料も2重結合をもった熱可塑性ゴム状材料と同様にゴム弾性をもっているので、熱可塑性ゴム状材料の添加によってリサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第4実施形態)
本第4実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第2実施形態において、ゴムの分子構造中に存在する2重結合が、ブタジエン系ゴムなどの様に分子構造中の直鎖に配されているものであるので、直鎖に2重結合をもったゴム状材料では、ゴム弾性が大きいのでリサイクル助剤としての添加量を少なくすることができ、リサイクル助剤としての熱可塑性ゴム状材料の添加量を少なくできるという効果を奏する。
(第5実施形態)
本第5実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第2実施形態において、熱可塑性ゴム状材料の分子構造中に存在する2重結合が、エチレン−プロピレン−ターポリマーなどの様に分子構造中の側鎖に配されているので、リサイクルを繰り返し実施した場合、熱可塑性ゴム状材料の劣化が少なく、混ぜ合わせて繰り返しリサイクルする時に添加するリサイクル助剤としての熱可塑性ゴム状材料の添加量を少なくできるという効果を奏する。
(第6実施形態)
本第6実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第3実施形態において、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂が、AS樹脂、ABS樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂であり、リサイクル助剤が、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示す熱可塑性ゴム状材料によって構成されている。
また、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたせるために、ゴム状材料は、公知の重合方法によって樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と同一の分子骨格がもたせてある熱可塑性ゴム状材料によって構成されているものである。
上記構成より成る第6実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる作用を奏するとともに、
添加するリサイクル助剤には、成形品、および、または塗膜の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたせてあるので、リサイクル助剤の添加によって物性の低下や、塗装を実施する場合には、塗膜の付着性の低下などの不具合を解消するとともに、リサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第7実施形態)
本第7実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第4実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料がAS樹脂、ABS樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶) 性をもたせたAnSt−g−PBであるので、リサイクル時の加熱溶融の段階で、熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に相容(溶)し、海島構造、またはその他の構造をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる効果を奏する。
(第8実施形態)
本第8実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第6実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料がAS樹脂、ABS樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶) 性をもたせたAnSt−g−EPM、またはAnSt−g−EPDMであるので、熱可塑性ゴム状材料は熱可塑性を示し、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもち、成形品の粉砕し、ゴム状材料をブレンドして、再ペレット化する際、あるいはペレット化しないで、リサイクル成形品にブレンドして再成形加工する時の加熱溶融の段階で、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に微分散し、海島構造、またはその他の構造を呈し、互いに相容(溶)し、しかも、熱可塑性ゴム状材料は2重結合をもっていないか、あるいは2重結合をもっていてもその分子構造の側鎖にもっていて、リサイクル時の加熱溶融の段階でも酸化劣化されにくい性質をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させるという効果を奏する。
また、熱可塑性ゴム状材料は酸化劣化されにくい性質をもつので、繰り返しリサイクルを実施できるという効果を奏する。
さらには、再び加熱溶融しても酸化劣化されにくい性質をもつ熱可塑性ゴム状材料であるので、混ぜ合わせて繰り返しリサイクルを実施する場合でも添加量が少なくて済み、経済的な効果を奏する。
(第9実施形態)
本第9実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第2実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料が、アクリル系ゴムのアクリロニトリル(と)スチレン(との)3元グラフト共重合体(略号;AnSt−g−ANM)でその分子構造に2重結合を備えていないものによって構成され、分子構造に2重結合をもたない熱可塑性ゴム状材料も2重結合をもった熱可塑性ゴム状材料と同様にゴム弾性をもっているので、熱可塑性ゴム状材料の添加によってリサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第10実施形態)
本第10実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第5実施形態において、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂が、PS樹脂、HIPS樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂であり、リサイクル助剤が、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示す熱可塑性ゴム状材料によって構成されている。
また、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶) 性をもたせるために、熱可塑性ゴム状材料は、通常の重合方法によって樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と同一の分子骨格がもたせてある熱可塑性ゴム状材料によって構成されているものである。
上記構成より成る第10実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、前記第5実施形態において、AS樹脂、ABS樹脂、あるいはそれに類する樹脂に相容(溶)性を示すゴムを添加することでリサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる作用を奏するとともに、添加するリサイクル助剤には、成形品、および塗膜の主成分である熱可塑性樹脂との
相容(溶)性をもたせてあるので、リサイクル助剤の添加によって物性の低下や、塗装を実施する場合には、塗膜の付着性の低下などの不具合を解消するとともに、リサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第11実施形態)
第11実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第4実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料がPS樹脂、HIPS樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶)性をもたせたSt−g−PBである。
上記構成より成る第11実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第4実施形態において、リサイクル助剤を構成するゴム状材料が、St−g−PBであるので、熱可塑性を示し、しかも樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶)性を備えているので、リサイクル時の加熱溶融の段階で、熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に相容(溶)し、海島構造、またはその他の構造をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる効果を奏する。
(第12実施形態)
第12実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第3、または第5実施形態において、リサイクル助剤を構成する前記熱可塑性ゴム状材料が、PS樹脂、HIPS樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶) 性をもたせたSt−g−EPM、またはSt−g−EPDMである。
上記構成より成る第12実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、熱可塑性ゴム状材料は熱可塑性を示し、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもち、成形品の粉砕し、熱可塑性ゴム状材料をブレンドして、再ペレット化する際、あるいはペレット化しないで、リサイクル成形品にブレンドして再成形加工する時の加熱溶融の段階で、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に微分散し、海島構造、またはその他の構造を呈し、互いに相容(溶)し、しかも、熱可塑性ゴム状材料は2重結合をもっていないか、あるいは2重結合をもっていてもその分子構造の側鎖にもっていて、リサイクル時の加熱溶融の段階でも酸化劣化されにくい性質をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させるという効果を奏する。
また、熱可塑性ゴム状材料は酸化劣化されにくい性質をもつので、繰り返しリサイクルを実施でき、混ぜ合わせて繰り返しリサイクルを実施する場合でも添加量が少なくて済み、経済的な効果を奏する。
(第13実施形態)
第13実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第3実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料が、アクリル系ゴム(と)スチレン(との)2元グラフト共重合体(略号;St−g−ANM)でその分子構造に2重結合を備えていないものによって構成され、分子構造に2重結合をもたない熱可塑性ゴム状材料も2重結合をもった熱可塑性ゴム状材料と同様にゴム弾性をもっているので、熱可塑性ゴム状材料の添加によってリサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第14実施形態)
本第14実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第5実施形態において、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂が、PPE樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂であり、リサイクル助剤が、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示す熱可塑性ゴム状材料によって構成されている。
また、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたせるために、熱可塑性ゴム状材料は、公知の重合方法(溶液重合,スラリー重合,乳化重合など)によって樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と同一の分子骨格がもたせてある熱可塑性ゴム状材料によって構成されている。
グラフト率を高める場合には、一度グラフト反応させたゴム含有(の)グラフト共重合{ゴム状重合体(共重合体)}をさらにグラフト反応をさせることで高グラフト率の熱可塑性ゴム状材料を得ることが可能であった。
グラフト率を高めることで、成形品の主成分である熱可塑性樹脂などとの相容(溶)性が良く、その結果、分散が容易になる。ゴムの含有量とゴム粒径は同じで、グラフト率の高い物と低い物とを用いて衝撃強度を回復させた結果では、同量の添加量でグラフト率の高い熱可塑性ゴム状材料を用いた方が回復は良い結果を得た。
リサイクルによって低下した衝撃強度を回復させる目的で添加する熱可塑性ゴム状材料は、ゴムの含有量の多い物を用いた方が添加量が少なくて経済的である。
ゴム含有量が多いゴム状重合体の合成は、乳化重合,スラリー重合といった手法が用いられる。
上記構成より成る第14実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第5実施形態において、PPE樹脂、あるいはそれに類する樹脂に相容(溶)性を示すゴムを添加することでリサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる作用を奏するとともに、添加するリサイクル助剤には、成形品、および塗膜の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもたせてあるので、リサイクル助剤の添加によって物性の低下や、塗装を実施する場合には、塗膜の付着性の低下などの不具合を解消するとともに、リサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第15実施形態)
第15実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第4実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料が、樹脂成形品の主成分であるPPE樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶)性をもたせるために、スチレン(略号;St)をグラフト重合(グラフト共重合)させた2元共重合体〔ブタジエン系ゴム含有(の)スチレン(との)2元グラフト共重合体{略号;St−g−PB,St−g−PBR,あるいはSt−g−PB(D,R)}〕であるので、熱可塑性を示し、しかも樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶)性を備えているので、リサイクル時の加熱溶融の段階で、熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に相容(溶)し、海島構造、またはその他の構造をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる効果を奏する。
(第16実施形態)
本第16実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第4実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料がPPE樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶) 性をもたせたSt−g−PBであるので、熱可塑性を示し、しかも樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂とは相容(溶)性を備えているので、リサイクル時の加熱溶融の段階で、熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に相容(溶)し、海島構造、またはその他の構造をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる効果を奏する。
(第17実施形態)
第17実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第5実施形態において、リサイクル助剤を構成する熱可塑性ゴム状材料がPPE樹脂、あるいはそれらの樹脂を主成分とするポリマーアロイ、あるいはポリマーブレンド、あるいはそれらに類する樹脂と相容(溶) 性をもたせたSt−g−EPM、またはSt−g−EPDMであるので、熱可塑性ゴム状材料は熱可塑性を示し、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性をもち、成形品の粉砕し、熱可塑性ゴム状材料をブレンドして、再ペレット化する際、あるいはペレット化しないで、リサイクル成形品にブレンドして再成形加工する時の加熱溶融の段階で、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と共に融けて、熱可塑性樹脂中に微分散し、海島構造、またはその他の構造を呈し、互いに相容(溶)し、しかも、熱可塑性ゴム状材料は2重結合をもっていないか、あるいは2重結合をもっていてもその分子構造の側鎖にもっていて、リサイクル時の加熱溶融の段階でも酸化劣化されにくい性質をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させるという効果を奏する。
また、熱可塑性ゴム状材料は酸化劣化されにくい性質をもつので、繰り返しリサイクルを実施でき、混ぜ合わせて繰り返しリサイクルを実施する場合でも添加量が少なくて済み、経済的な効果を奏する。
(第18実施形態)
第18実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、第3実施形態において、リサイクル助剤を構成する前記熱可塑性ゴム状材料が、アクリル系ゴム(と)スチレン(との)2元グラフト共重合体(略号;St−g−ANM)でその分子構造に2重結合を備えていないものによって構成され、分子構造に2重結合をもたない熱可塑性ゴム状材料も2重結合をもった熱可塑性ゴム状材料と同様にゴム弾性をもっているので、ゴム状材料の添加によってリサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
(第19実施形態)
第19実施形態の樹脂成形品のリサイクル方法は、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂に対して相容(溶)性を持ち、混ぜ合わせて成形可能なスチレン変性アクリル樹脂、あるいは熱可塑性アクリル樹脂の塗料が塗装された樹脂成形品を粉砕して得られる塗膜付き樹脂片を粉砕のままで、あるいは溶融混練してペレット化してリサイクルする樹脂成形品のリサイクル方法において、リサイクル助剤として、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂に対して相容(溶)性をもち混ぜ合わせて成形可能であるとともに、衝撃強度や伸びなどの物性を向上、あるいは回復させる性質を備えた熱可塑性ゴム状材料を、難燃性を付与させるのに難燃材、および難燃助剤を添加するので、塗料が塗装された樹脂成形品を粉砕した塗膜付き樹脂片を溶融混練するリサイクルによって低下する
衝撃強度を回復させる衝撃強度を向上、あるいは回復させるとともに、難燃剤、および難燃助剤を添加することで難燃性を向上、あるいは回復させるという効果を奏する。
以下本発明の実施例および参考例につき、図面を用いて説明する。
(参考例1)
参考例1は、塗膜付き成形品のIZOD衝撃強度の低下原因を調査したものである。
ABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂 商品名、およびグレード;スタイラック191H(色;ナチュラルカラー)}(配合されているゴム状重合体はAnSt−g−PBD)を用いて射出成形加工した成形品(大きさ;縦;450mm,横;400mm,高さ30mm肉厚3mmの箱形形状)の表面(片面;箱形状の外側のみ)に、表3,4,5記載の配合によって製造した塗料0001(白色の塗料),塗料0002(塗料0001から顔料,染料を取り除いたクリヤー塗料),塗料0003{塗料0002からワニス(樹脂成分)を取り除いた塗料;実際には溶剤と添加剤だけの塗料}を用いて、それぞれ塗装した塗装成形品を、塗膜の分離,剥離をせずに塗膜付きのまま粉砕し、単軸押し出し機{オーエヌ機械(株)製 型式;HEM75}で押し出して、ストランドを引いて、冷却固化後、ペレタイザー{オーエヌ機械(株)製 型式;GTS2}を用いてペレット化した。
得られた再生樹脂ペレットを用いて、ASTM−D468に準拠して、IZOD衝撃強度の試験片を成形加工した。
得られた試験片を同じくASTM−D468に準拠してIZOD衝撃強度の測定を実施した。
得られた結果を表6に示す。
尚、比較例としてABS樹脂のバージン材と、成形品に塗装を施さずに前記の場合と同様な装置、方法を用いて粉砕し、ペレット化した場合のIZOD衝撃強度の結果も並記した。
表6からは、塗装した成形品を塗膜の分離,剥離をせずにリサイクルした場合、衝撃強度の低下の要因として、顔料,染料が影響していることがわかる。
また、顔料,染料などの物質を入れないクリヤー塗料を用いた場合、成形用樹脂(再生樹脂)中に塗膜を構成する熱可塑性樹脂が混入してもIZOD衝撃強度の低下には大きく寄与しないことがわかる。
また、溶剤の影響による衝撃強度の低下は少ない様子であった。
(参考例2)
参考例2は、顔料,染料が相容(溶)性を示すかどうか観察したものである。
参考例2は、変性PPE樹脂(XYRON 220Z)に塗料0001を用いて塗装した塗装成形品を、塗膜の分離,剥離をせずに、塗膜付きのままで粉砕して、ペレット化した。
塗膜を構成する熱可塑性樹脂が、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示すか、塗料中に添加された顔料,染料(本実施例の場合は、酸化チタンなど)が成形品の主成分である熱可塑性樹脂、あるいは塗膜を構成する熱可塑性樹脂と相容(溶)性を示すか否かをTEMを用いて評価したものである。
図1に示されるTEM写真から、成形品の主成分である熱可塑性樹脂〔本参考例2で用いた成形品の主成分である熱可塑性樹脂は、旭化成工業(株)製のスチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂{(略号;変性PPE)商品名、およびグレード;XYRON N220Z}(配合されているゴム状重合体はAnSt−g−PBD)と、塗膜を構成する熱可塑性樹脂(スチレン変性アクリル樹脂)との界面,境界領域では剥がれや欠落は観察されていないので、互いに相容(溶)性をもっていることがわかる。
一方、成形品の主成分である熱可塑性樹脂(変性PPE)と、成形用樹脂中、および塗料中に配合されている顔料,染料との界面,境界領域では剥がれや欠落が観察されるので、相容(溶)性がないと判断できる。
上記参考例1および参考例2により、
(1)塗膜付き成形品をリサイクルすると、塗膜中の顔料,染料が成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に移行して、相容(溶)性を示さない、
(2)樹脂中の顔料,染料の量が増えると、衝撃強度の低下を招く原因になる、
と判断できる。
(参考例3)
参考例3は、リサイクルを繰り返した時の物性変化の原因を調査したものである。
本参考例3は、リサイクルを繰り返した時に変化する物性の内で、衝撃強度低下の原因が何であるのかを調査した結果である。
評価方法は、成形品の主成分である熱可塑性樹脂を射出成形機の加熱筒内で一定時間加熱溶融(溶融樹脂温度は250℃)させ、一定時間滞留させた加熱溶融樹脂を、パージしてパージ塊とし、パージ塊はパージ後の空気中の酸素による酸化劣化を防止するために水中没し、水中で十分に冷却固化後取り出し、乾燥させ、粉砕機を用いて粉砕し、再度粉砕した粉砕材を脱湿乾燥し検体を得た。
この様にして得られた検体を参考例1と同様の装置、方法を用いてIZOD衝撃強度を測定した結果を表7,8,9,10に示した。
表7は、住化エービーエス・ラテックス(株)製ABS樹脂[商品名、およびグレード;クララスチック MVF−1K1;住化エービーエス・ラテックス(株)が市販しているABS樹脂の中で熱可塑性ゴム状材料〔ゴム状重合体0001{AnSt−g−PB;重合方法は乳化重合、グラフト率は約40%(ただしAn/Stの比は約25/75)ゴム含有量は約50%、平均ゴム粒径は0.4μm}〕の多いABS樹脂(ハイラバーABS樹脂)]のナチュラルカラーを用いた場合の結果を示した。
表8は、ABS樹脂を構成する1成分であるAS樹脂の場合の結果を示した。
評価に用いたAS樹脂(熱可塑性ゴム状材料が配されていない材料)は、住化エービーエス・ラテックス(株)製AS樹脂[商品名、およびグレード;クララスチック K−1158{住化エービーエス・ラテックス(株)の社内管理番号}]である。
表9は、樹脂として、ゴム状重合体0001[AnSt−g−PBD(ABS樹脂中のゴム状材料)〔住化エービーエス・ラテックス(株)AnSt−g−PBD{商品名、およびグレード;クララスチック S−3710{住化エービーエス・ラテックス(株)の社内管理番号〕]を用いた場合の結果である。
表10は、樹脂としてABS樹脂[住化エービーエス・ラテックス(株)製ABS樹脂〔ABS樹脂のマザーポリマー[ゴム状重合体0001(AnSt−g−PB)とAS樹脂(K−1158)とのブレンドをしたABS樹脂で、これに難燃剤や難燃助剤、滑剤などの樹脂添加剤を添加してABS樹脂を製造する時に用いる出発樹脂である(本発明の明細書ではこの様な樹脂の出発樹脂のことを「マザーポリマー」と総称する。)(商品名、およびグレード;クララスチックK−2540{住化エービーエス・ラテックス(株)の社内管理番号}]〕を用いた場合の結果である。
表11は、ゴム状重合体0004〔分子中のエチレン(E)の含有量が約75%、プロピレン(P)が約20%、第3成分としてDCPが約5%程度のEPDMに、公知の方法(スラリー重合)によってSt(スチレン)とAn(アクリロニトル)とグラフト重合させたゴム状重合体で、グラフト率は約45%{An/St比は約25/75程度,ゴム(EPDM)含有率は約50%,平均ゴム粒径1μm程度}を押し出し機を用いて形態は、ペレット状にしたもの〕と、前記AS樹脂(クララスチック K−1158)ベレットとを重量比でAS/AnSt−g−EPDM=75/25でタンプラーで混ぜ合わせ、参考例1と同様な押し出し機、及びペレタイザーを用いて、AS樹脂にゴム状重合体のAnSt−g−EPDMが配合された樹脂〔EPDM−AS(樹脂0004)〕を得た。
このようにして得たEPDM−AS樹脂(樹脂0004)を前記と同一の条件、および方法を用いて、樹脂の熱安定性を評価した、その結果を表11に示す。
表7,8,9,10,11から、加熱溶融させた場合、ABS樹脂やABS樹脂中の成分であるAnSt−g−PBDは、加熱によって衝撃強度の低下が認められるが、ABS樹脂中の一方の成分であるAS樹脂は、加熱溶融されても衝撃強度に低下は認められない。
上記表11から明らかなように、側鎖に2重結合をもったAnSt−g−EPDM(第3成分はDCP)、あるいは2重結合をもたない、AnSt−g−EPM、AnSt−g−ANMを配したEPDM−AS樹脂(樹脂0004)などの場合には、熱による劣化は殆ど認められない。
このため、本発明者は以下の知見に到達したものである。
(1)熱可塑性樹脂が主成分である樹脂成形品をリサイクルする樹脂成形品のリサイクルにおいて、リサイクル助剤(剤)としてかかる材料を添加することにより、リサイクルにおいて低下する衝撃強度を回復向上させることができる。
(2)AnSt−g−EPDM(ゴム状重合体0004)、AnSt−g−EPM、AnSt−g−ANMは、熱安定性に優れているゴム状重合体なので、リサイクル助剤として添加した前記AnSt−g−EPDM、AnSt−g−EPM、AnSt−g−ANMは、リサイクルを繰り返してもゴム弾性は失わないので、リサイクルを繰り返す度添加するリサイクル助剤の添加量を低減可能である。
(参考例4)
参考例4は、熱可塑性エラストマーが、成形材料の衝撃強度を向上させる回復剤として使用できるかどうか検証したものである。
成形品の主成分である熱可塑性樹脂にABS樹脂{宇部サイコン(株)製ABS樹脂 商品名、およびグレード;サイコラックZFJ5(94UL;HB)}バージン材の衝撃強度を向上させるのに、ABS樹脂と相容(溶)性をもつ、各種熱可塑性エラストマーを添加量を変えて用いた。
評価方法は、ABS樹脂の物性の初期値(バージン材での初期値)を測定し、バージン材に後述する熱可塑性エラストマーをそれぞれ添加して物性の変化を測定し、熱可塑性エラストマーの添加によって衝撃強度を向上させることが可能であるか否かの確認をした。
評価に用いたエラストマーは、東洋紡績(株)製の5種類の熱可塑性エラストマーで、商品名、およびグレードは、ペルプレンS2002,ペルプレンP40H,ペルプレンP70B,ペルプレンP150B,ペルプレンP75Mである。
これらをそれぞれ、前記ABS樹脂に5wt%ないし30wt%添加した。
表15ないし表19には、ABS樹脂に、上述の熱可塑性エラストマーを添加した場合の物性の変化の結果を示した。
表15ないし表19から明らかな様に、いずれの熱可塑性エラストマーを添加しても衝撃強度を向上させることが可能であるので、本発明者は、熱可塑性樹脂が主成分である樹脂成形品をリサイクルする樹脂成形品のリサイクルにおいて、リサイクル助剤(剤)としてかかる材料を添加することにより、リサイクルにおいて低下する衝撃強度を回復向上させることができるとの知見に到達したものである。
第1実施例は、ABS樹脂{旭化成工業(株)製ABS樹脂、商品名、およびグレード;スタイラック191F(ゴム状重合体は、AnSt−g−PBD)}に前記した塗料0001を塗装して、そのまま粉砕,ペレット化した、リサイクル1ターンの再生(リサイクル)樹脂に、衝撃強度を回復させる目的で、リサイクル助剤として、
(1)ゴム状重合体0001〔AnSt−g−PBD;An、及びStのグラフト重合方法は乳化重合で、グラフト率は約40%{An/St比は約25/75程度,ゴム(PBD)含有率は約50%,平均ゴム粒径0.4μm程度}(材料メーカーのプラントから供給されたAnSt−g−PBは粉体であるので取り扱いを容易にするために、参考例1と同様の押し出し機を用いて溶融混練し、ペレット化したもの)〕、
(2)ABS樹脂のマザーポリマー[住化エービーエス・ラテックス(株)製ABS樹脂(ABS樹脂のマザーポリマー(商品名、およびグレード;クララスチック K−2540{住化エービーエス・ラテックス(株)の社内管理番号}、ゴム状重合体0001を含む],
(3)前記樹脂0004〔ゴム状重合体とAnSt−g−EPDM(第3成分はDCP)〕
をそれぞれ添加し、IZOD衝撃強度を回復させたものである。
その結果を、表12、表13、表14に示した。
それぞれのゴム状材料やゴム状材料の多い樹脂ペレットを添加した結果、リサイクルによって低下したABS樹脂の衝撃強度の回復ができることが確認できた。
第2実施例は、参考例4の結果から、衝撃強度は向上し、他の物性(伸び、曲げ強度など)にあまり影響を与えない熱可塑性エラストマー{東洋紡績(株)製 熱可塑性エラストマー(商品名、およびグレード;ペルプレンP70B)}を選定し、ABS樹脂〔{旭化成工業(株)製 ABS樹脂(商品名、およびグレード;スタイラック190(ナチュラルカラー)}〕を用いて射出成形加工した成形品に、ABS樹脂と相容(溶)性をもつ塗料0001(配合は表3に記載)を用いて塗装を施し、塗装成形品の塗膜の分離,剥離をせずに塗膜付きのままで、粉砕し、ペレット化してリサイクルして、リサイクル材のペレットを得たものである。
リサイクルしたABS樹脂(塗膜を構成する樹脂である熱可塑性樹脂が混入したもの)のリサイクル材(1ターンのもの)に、リサイクル助剤としての熱可塑性エラストマー(ペルプレンP70B)をそれぞれ8%、10%添加し、リサイクルによって低下した衝撃強度の回復と、他の物性値の変化を測定した(表20)。
表20には、比較のために、バージン材、およびリサイクル材(1ターンのもの)を用いて物性を測定した結果も示した。
表20から、熱可塑性エラストマーの添加によって、ABS樹脂の熱的特性に関しては殆ど変化がなく、エラストマーの添加によって加熱変形温度が著しく低下することは無いことが分かった。
エラストマーの添加によって、強度が若干低下することが確認されるが、使用上問題が無ければ、そのままで成形材料としての使用が可能である。
熱可塑性エラストマーの添加によって得られた結果をさらに解析してみると、以下の様な結果が得られる。
リサイクルによって低下した衝撃強度を回復させるため、熱可塑性エラストマーをリサイクル助剤として用いた場合、衝撃強度と伸びは向上した。
その結果、エネルギー(強度×伸び;S−Sカーブの面積で表わされる)は、良好な結果を得た。
特に、23℃でのIZOD衝撃強度は、バージン材以上の結果が得られ、良好である。
衝撃強度の向上(回復)は、熱可塑性エラストマーを添加することで解決されたが、引っ張り,曲げなどの強度低下が見られた。
これらの強度を回復させるには、第3の成分(他の成分、例えば、AS樹脂、無機物等)の添加が必要となる。その検討結果を表21に示した。
表20および表21から、ABS樹脂に熱可塑性エラストマーを添加し、衝撃強度の回復をさせる場合に、変化する強度の回復には、総合的に判断してABS樹脂と相容(溶)性をもつAS樹脂の添加が有効であると思われる。
HIPS樹脂や変性PPE樹脂などの場合、リサイクルによって衝撃強度が低下したHIPS樹脂や変性PPE樹脂に相容(溶) 性をもつ熱可塑性エラストマーやゴム状材料を添加すると衝撃強度は回復するが、曲げ強度などの物性が低下した時には、前記ABS樹脂にAS樹脂などを添加するのと同様に、PS樹脂やPPE樹脂{HIPSはPPEと相容(溶) 性をもっているのでHIPS樹脂にPPEを用いることも、また、変性PPE樹脂にPS樹脂を用いることも可能である}を添加しバランスをとる必要がある。
この様に熱可塑性エラストマーだけでなく、ABS樹脂と相容(溶)性のあるゴム状材料(AnSt−g−PB)を添加して衝撃強度の回復をはかった場合にも、熱可塑性エラストマーの場合と同様に強度低下が認められるので、AS樹脂の併用によって衝撃強度の回復と、その他引っ張り,曲げなどの強度回復がはかれる。
この様に併用する場合には、熱可塑性エラストマーや、ゴム状重合体の添加と、AS樹脂などの添加とは相反するので、使用の目的に合わせてそれぞれの添加量のバランスを取る必要がある。
成形品の主成分である熱可塑性樹脂(ここではABS樹脂)と、衝撃強度の回復に用いた熱可塑性エラストマー{東洋紡績(株)製 熱可塑性エラストマー(商品名、およびグレード;ペルプレンP70B)}とが、ABS樹脂と相容(溶)性を示すか否かの評価を、TEMを用いて実施した。
評価方法は、成形品の主成分である熱可塑性樹脂〔前記ABS樹脂{旭化成工業(株)製 ABS樹脂(商品名、およびグレード;スタイラック190(ナチュラルカラー)}〕を重量部で90部と、熱可塑性エラストマー{東洋紡績(株)製 熱可塑性エラストマー(商品名、およびグレード;ペルプレンP70B)}を重量部で10部混ぜ合わせた混合樹脂を、1軸の押し出し機を用いて加熱溶融し、ABS樹脂/熱可塑性エラストマーの混合樹脂ペレットを得た。
得られた混合樹脂ペレットをミクロトームを用いて薄い切片を作成し、それぞれの界面,境界領域での剥がれや欠落を観察した。
TEMの観察結果を示す図2、および図3の観察の結果、それぞれの樹脂の界面,境界領域では剥がれや欠落は観察されず、十分に相容(溶)性をもっていると判断される。
本第3実施例は、リサイクル材の製造方法、塗膜性能評価を示したものである。
前記した第1実施例では、粉砕材に衝撃強度を回復させる目的で、AnSt−g−PBDをブレンドして、物性の回復をはかった。
第3実施例は、前記粉砕材と、リサイクル助剤(ゴム状重合体0001)15wt%をブレンドして、押し出し機と、ペレタイザーを用いてリサイクル材にリサイクル助剤が微分散した、言い換えると、リサイクル助剤で物性を回復させたリサイクル材(リサイクルは1ターン)を得た。
この様にして得られたリサイクルペレットを用いて試験片を成形加工して、塗料0001を用いて塗装した。
表22から明らかな様に塗装適性は問題なく、塗膜性能については、樹脂のバージンペレットを用いて塗装を施した場合と差異が認められなかった。
前記リサイクルペレットの衝撃値を測定した結果を表23に示した。前記粉砕材にリサイクル助剤(ゴム状重合体0001)をブレンドした場合に比べて、衝撃強度(IZOD衝撃強度)の低下(表12のIZOD衝撃強度 18.8kg−cm/cmが16.7g−cm/cm)が認められるのは、ペレット化することで余分に熱履歴が加えられ、添加
したリサイクル助剤と、当初ABS樹脂に配合されていたAnSt−g−PBとが酸化劣化したことと推測される。
酸化劣化を避けるためには、押し出し機での加熱溶融の段階、成形加工の段階それぞれにおいて、窒素ガスなどの不活性ガスを押し出し機、成形機加熱筒内に導入して酸素濃度を下げれば、ゴム状材料の酸化劣化を少なくすることができると思われる。
また、CO、CO2 などや、メタン,エタンなどの炭化水素ガスを成形加工の加熱溶融の段階で、成形機加熱筒内の圧力を高めて(例えばシャットオフノズル付き成形機で成形機加熱筒内の背圧を高めて)、前記ガスを超臨界状態で加圧溶解させることによって、溶融樹脂の流動性を高め、成形加工性を向上させることができる。
この様な場合には、ガスが加圧溶解された前記溶融樹脂を金型内に射出成形すると成形品表面にスワールマーク(表面発泡)が発生するのでガスカウンタープレシャー(圧気)等の方法が必要である。
第4実施例は、難燃性を示すABS樹脂{旭化成工業(株)製 難燃ABS樹脂商品名、およびグレード;スタイラックVA58}を用いて射出成形加工した。
射出成形加工により成形された成形品に、成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶) 性をもつスチレン変性アクリル樹脂を主成分とした塗料0001を用いて塗装した塗装成形品を得た。
その塗装成形品を塗膜の分離,剥離をせずに塗膜付きのままで粉砕、ペレット化して塗膜が混入した難燃ABS樹脂の再生ペレットを得た(リサイクル1ターン 表24中の検体2)。
同様にして、塗装を施さないで成形して、粉砕、ペレット化したもの(リサイクル1ターン 表24中の検体3)も得た。
この様にして得られたそれぞれのリサイクル材の物性(燃焼性、および機械的な性質)を評価して、バージン材(表24中の検体1)との比較をおこなった。
表24から、リサイクルを行うと、塗装を施したもの(表24中の検体2)、施さなかったもの(表24中の検体3)共にバージン材(表24中の検体1)と比較して燃焼性と、衝撃強度強度の低下が認められた。
リサイクル材1ターンのもの(表24中の検体2)は、衝撃強度の低下が認められるので、衝撃強度強度の回復剤として熱可塑性エラストマー{東洋紡績(株)製 熱可塑性エラストマー(商品名、およびグレード;ペルプレンP70B)}を前記リサイクル材100重量部に対して、10重量部を加え衝撃強度の回復をはかった。
熱可塑性エラストマーを添加することで、衝撃強度の回復は見られたが、反面、熱可塑性エラストマーを添加することで燃焼性が低下した。
前記の衝撃強度を回復した材料(表24中の検体4)に、燃焼性を付与するために、エポキシ当量が20000程度の臭素化エポキシ{テトラブロモビスフェノールA−テトラブロモビスフェノールA・ジグリシジルエーテルコポリマー{阪本薬品工業(株)製 臭素化エポキシ樹脂 商品名、及びグレード;SR−T20000(数平均分子量は約30000、重量平均分子量は約70000、臭素含有量は52wt%)};臭素化エポキシのパウダーを前記参考例1の押し出し機と、ペレタイザーを用いてペレット化した材料}を添加した。
それぞれの評価結果を表24に示した。
表中の検体1は、難燃ABS樹脂のバージン材、
検体2は、バージン材を成形加工し、塗装して、粉砕、ペレット化した塗膜が混入したリサイクル1ターンの材料、
検体3は、塗装をせずに、粉砕し、ペレット化したリサイクル1ターンの材料、
検体4は、検体2のペレットに、衝撃強度を回復させる目的で熱可塑性エラストマー(ペルプレン P70B)のペレットをブレンドした混合樹脂、
検体5は、検体4にさらに難燃剤の臭素化エポキシ(SR−T20000)のペレットをブレンドした混合樹脂ペレット
である。
表24から、リサイクルをすると衝撃強度と難燃性が低下することがわかる。
また、熱可塑性エラストマーを加え衝撃強度の向上をはかると、さらに難燃性が低下することがわかる。
難燃性と衝撃強度を共に向上させるには、弾性をもつゴム状材料(ゴム状重合体、熱可塑性エラストマーなど)など衝撃強度の高い材料と難燃剤との併用が有効である。
表24中では、難燃性を回復させるのに臭素化エポキシだけをもちいたが、さらに三酸化アンチモンを併用すれば、なお難燃性は向上する。
難燃性を付与するために添加する臭素化エポキシ(ハロゲン化エポキシ)は、活性水素化合物、例えば、酸性、アルカリ性の物質、アミン化合物、前記塗膜の成分樹脂であるスチレン変性アクリル樹脂が分解して遊離して来るアクリル酸などがあると、臭素化エポキシの末端部は反応性が高いので、発熱重合反応をおこし、図4に示されるように発煙し、炭化することになる。
この問題を解決するためには、前記臭素化エポキシの末端を、不活性なラジカル(基)によって封止する方法が講じられている。
臭素化エポキシを難燃剤として用いる理由は、臭素化エポキシは樹脂に難燃性を付与するためのハロゲンを含むことと、他の有機臭素化合物の難燃剤より耐候(光)性が比較的高いため現在市販されているスチレン系の樹脂の多くに使用されているからである。
例えば、塗料0001のような塗料を用いて成形品に塗装を施す場合には、耐候(光)性は塗膜によって維持されるので、あえて反応性に富む臭素化エポキシの使用は必要なく、難燃剤として安価で、難燃効果の高い(臭素含有量が)テトラブロムビスフェノールA(略号;TBBA)、デカブロモベンゼンなどを添加して難燃性を付与すれば十分である。
(参考例5)
ゴム状重合体0004(AnSt−g−EPDM)の主成分であるEPDMに公知の方法によってスチレンをグラフト重合させたゴム状重合体〔ゴム状重合体0002{St−g−EPDM(第3成分はAnSt−g−EPDMと同様にDCP),製造方法はスラリー重合をもちいた,平均ゴム粒径は1.0μm,ゴム含有率は約38%,スチレンのグラフト率が約35%}〕と、PS樹脂{エー・アンドエムポリスチレン(株)製PS樹脂 商品名、及びグレード;A&Mpolystyrene HF77}を重量比でPS/ゴム状重合体0002=75/25混ぜあわせ、前記参考例1と同様の装置を用いてペレット化して、EPDM−PS樹脂(樹脂0002)を得た。
(参考例6)
参考例5のゴム状重合体0002をさらに、参考例5と同様な方法(スラリー重合)を用いてスチレンをグラフトしてゴム状重合体{St−g−EPDM(第3成分はDCP)ゴム状重合体0003 平均ゴム粒径は1.0μm,ゴム含有率は約38%,スチレンのグラフト率が約55%}を得た。
ゴム状重合体0003とPS樹脂(A&Mpolystyrene HF77)とを重量比PS/ゴム状重合体0003=75/25を混ぜ合わせ、参考例5と同様にEPDM−PS樹脂(樹脂0003)を製造した。
(参考例7)
樹脂0002及び樹脂0003を参考例3と同様に、成形機加熱筒内で加熱溶融させ、滞留させてゴム状重合体0002、及びゴム状重合体0003の熱安定性の評価を実施した。
評価結果を表25,表26に示した。
EPDMを主成分としたゴム状重合体0002及び0003は、ゴム状重合体0004と同様に、熱安定性に優れていた。
(参考例8)
熱安定性に優れたゴム状重合体0003であるSt−g−EPDM(スチレンのグラフト率は55wt%、EPDM含有率は38wt%、第3成分はDCP)ペレットを25wt%と、PS樹脂(A&Mpolystyrene HF77)ペレット75wt%の混合樹脂ペレット50wt%に、米国特許4,788,227号明細書(特願昭62−77570号)に記載されている方法にしたがって、ジブチルアミンの存在下に2,6キシレノールを酸化カップリング重合して製造して得られたPPE樹脂を50wt%とをタンブラーを用いて混ぜ合わせ、参考例3と同様な装置でペレット化し、St−g−EPDM、及びPS樹脂によって変性された変性PPE{EPDM−PS−PPE(樹脂0005)}ペレットを得た。
(参考例9)
樹脂0004、樹脂0003、樹脂0005を用いて参考例1と同様の方法、及び装置(金型、成形機、押し出し機、ペレタイザーなど)によって、3ターンのリサイクルを繰り返した結果を表27,28,29に示した。
参考例9から熱安定性のよいEPDMを主成分としたゴム状重合体が配合された成形用樹脂では、リサイクルを繰り返しても衝撃強度の低下が認められない。
樹脂0003ではリサイクルを繰り返すと衝撃強度に向上が認められたが、これは製造時ゴム状重合体0003の相転換〔合成(スラリー重合)したゴム状重合体St−g−EPDMは、内部はStで外側がEPDMとなっている。
この様な材料は、相転換{温度と圧力を掛けること内(St)と外(EPDM)を逆にして、相容(溶) 性をもたせることを相転換と言う}して使用する〕が十分ではなく、押し出し機を用いて温度と圧力を掛けリサイクルを繰り返すことで、さらに相転換が進行し、内と外とが入れ替わり、さらに相容(溶) 性が向上したゴム状重合体(St−g−EPDM)となった結果である(AnSt−g−EPDM、AnSt−g−PBD、St−g−PBDの場合も同様である)。
(参考例10)
参考例10は、参考例9それぞれの成形品に、塗料0001を用いて各ターンごと15μm塗装し、塗膜付きのまま粉砕ペレット化を3ターン繰り返した場合のIZOD衝撃強度の測定結果を示したものである。その結果を、表30,表31,表32に示す。
表27,表28,表29のIZOD衝撃強度の値(塗装無しのケース)と比較すると衝撃強度において低下が認められた。
これは上述したように塗膜中の顔料,染料がリサイクル時加熱溶融の段階で樹脂中に移行し、樹脂中に非相容(溶)な顔料,染料が増えた結果である。
実施例5は、参考例10の各ターンごとに、それぞれの樹脂ペレットの衝撃強度の回復を目的として、ゴム状重合体0004、ゴム状重合体0003を加え、ASTM−D468に準拠して、IZOD衝撃強度の試験片を成形加工し、IZOD衝撃強度を測定したものである。その結果を、表33,表34,表35に示す。
表33,表34,表35から、塗膜の混入によって衝撃強度が低下したそれぞれの樹脂は、相容(溶)性のあるゴム状重合体〔ゴム状重合体0004{AS樹脂と相容(溶)性)},ゴム状重合体0003{PS樹脂、およびPPE系樹脂と相容(溶)性)}を添加することで回復可能であることがわかった。
実施例6は、参考例10うちで樹脂0005のものを、衝撃強度をゴム状重合体0006(リサイクル助剤用に、乳化重合によってゴム含有率を高めたゴム状重合体で、PBDにStをグラフト共重合させたゴム状重合体で、Stのグラフト率は約60%、ゴム含有率は約50%、平均ゴム粒径は0.4μmのゴム状重合体)を用いて回復させたものである。
ゴム状重合体0001と同様PBDを主成分とするSt−g−PBDを用いても衝撃強度を回復できた(表36)。
また、ゴム状重合体0003と、ゴム状重合体(St−g−PBD;塊状重合によって製造されたStのグラフト率は約40%、ゴム含有率は8〜10%、平均ゴム粒径1μm程度、このゴム状重合体は、HIPS樹脂、変性PPE樹脂バージン材などに衝撃強度を付与させるのに初めから用いられている一般のゴム状重合体性状である。)とが混ざり合った変性PPE樹脂の成形加工性は、同様な樹脂、例えばXYRON 220Zや樹脂0004と同じで、2種類のゴム状重合体が混ざり合った事での不具合は認められない。
実施例7は、実施例5の樹脂0001のリサイクル1ターンのリサイクル樹脂ペレットに、難燃剤、及び難燃助剤として、臭素化エポキシ樹脂〔テトラブロモビスフェノールA−テトラブロモビスフェノールA・ジグリシジルエーテルコポリマー{阪本薬品工業(株)製 臭素化エポキシ樹脂 商品名、及びグレード;SR−T20000(数平均分子量は約30000、重量平均分子量は約70000、臭素含有量は52wt%)}〕と、三酸化アンチモンをと添加し難燃化したものである。
前記リサイクル樹脂ペレットに、表37に示す1〜6の配合割合でタンブラーを用いて混ぜ合わせ、押し出し機を用いて溶融混練し、ペレット化し、このペレットを用いて難燃性を評価する試験片を成形加工し、難燃性を評価した。
併せて、IZOD衝撃強度を評価する試験片も成形加工し、難燃剤を添加する事による衝撃強度の低下を招くかどうかを確認した。
表37から、EPDM−ASは、臭素化エポキシと、三酸化アンチモンにより難燃化が可能で有り、しかも、実施例7記載の難燃剤,難燃助剤(三酸化アンチモン)の添加によってもそれ程は衝撃強度が低下しない事が確認された。
実施例7は、難燃剤(難燃助剤含む)を難燃化予定の樹脂と混ぜ合わせ、溶融混練してペレット化したが、他の実施例として、臭素化エポキシ(SR−T20000)は熱可塑性を示す事が確認されているので、SR−T20000をペレット化し、また別にSR−T20000と三酸化アンチモンとを混ぜ合わせた物(例えば混合比は重量比で70/30など)とをペレット化し、難燃剤マスターバッチを作り、難燃剤マスターバッチペレット(SR−T20000のペレット、及びSR−T20000と三酸化アンチモンとを混ぜ合わせたペレット)と難燃化予定の樹脂ペレットとをタンブラーなどの混合装置を用いて混ぜ合わせて得られた混合樹脂ペレットを用いる事も可能である。
(参考例11)
AS樹脂を熱可塑性エラストマー{東レ・デュポン(株)製ポリエステル系エラストマー 商品名、及びグレード;ハイトレル(Hytrel)4057,5557,7247、及び東洋紡績(株)製ポリエステル系エラストマー商品名、及びグレード;ペルプレン(Pelprene)P70B,P75M,P150B,P40H,S2002を用い
て変性した熱可塑性エラストマー変性AS樹脂(略号TPE−AS)成形品に表4に示す塗料0001を用いて塗装した結果を表38,表39に示した。
使用した熱可塑性エラストマーは、リサイクルによって低下した衝撃強度を回復することが可能である。しかし、いずれも塗膜の付着性を低下させるという問題があった。
リサイクルによる衝撃強度の回復にはゴム状重合体の添加が有効であり、また難燃性の回復や、難燃性の付与(樹脂の改質)には難燃剤{例えばハロゲン化合物(臭素化エポキシ)、及び三酸化アンチモン}の添加によって可能となった。
実施例8は、それぞれのリサイクル助剤が添加された、リサイクル材使用の成形品への塗料0001の付着性が十分であることを確認したものである(表40,表41)。
塗装適性、及び塗膜性能は問題無く十分に使用に耐えるだけの性能を有していた。
実施例9は、発泡スチロールを減容化し、ペレット化した発泡スチロールの再生樹脂ペレット75重量部に、ゴム状重合体0003を25重量部を混ぜ合わせ混合樹脂ペレットを得た。
この混合樹脂ペレットをASTM−D468に準拠して、IZOD衝撃強度の試験片を成形加工し、IZOD衝撃強度を測定したところ、5.3kg−cm/cmの結果であった。
前記発泡スチロールの再生樹脂とゴム状重合体0003(混合比は発泡スチロールの再生樹脂/ゴム状重合体0003=75/25)の混合樹脂ペレットを参考例1と同様な装置、方法を用いて、ペレット化し、発泡スチロールを主原料に用いたゴム状重合体0003含有のHIPS(樹脂0007)樹脂を得た。
この様にして得られたHIPS樹脂のIZOD衝撃強度は、混合ペレットの場合とほぼ同じ値である5.5kg−cm/cmであった。
変性PPE樹脂に断熱、防音などを目的に発泡スチロール、若しくはHIPS樹脂のブロー成形品がASSYされた成形品を材質ごとの分離,剥離をせずにそのまま粉砕し、ペレット化したリサイクル材は、衝撃強度が低下する。
このように低下したリサイクル材は、例えば、ゴム状重合体0003,4,6などを添加することで、リサイクル材の改質が可能である。
実施例10は、ABSからなる樹脂成形品に、断熱材(材質はAS樹脂の発泡スチロールのような発泡成形品)が張り合わされた製品のリサイクルについてのものである。
ABS(スタイラック191F)樹脂成形品50重量部と、AS樹脂(K−1158)を窒素ガスを用いて2倍に発泡させた発泡成形品50重量部とを混ぜ合わせ、参考例1と同様の装置を用いてペレット化した。
この再生ペレットのIZOD衝撃強度は、9.2kg−cm/cmであった。この再生ペレットに、ゴム状重合体0005(形態はペレット)を5重量部加え、物性改質した結果、IZOD衝撃強度は、17.5kg−cm/cmであった。
実施例11は、アクリロニトリル・スチレン共重合体に、
アクリル系ゴム(アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体)にAnとStをグラフト重合したアクリル系ゴム含有のアクリロニトリルとスチレンとの共重合体(AnSt−g−ANM−BP)とのブレンドポリマー(ANM−B−AS/AS){三菱レイヨン(株)製 ASA樹脂、商品名、及びグレード;ダイヤラック S710A(色;ナチュラルカラー)}を参考例3と同様な方法を用いてゴム状重合体の熱安定性を評価したものである。その結果を表42に示した。
ゴム状重合体のゴム成分が、アクリル酸ブチルと、ブタジエンとの共重合体であるので、加熱溶融試験の結果、PB部分が熱劣化し、ゴム弾性を喪失し、物性低下が認められたが、AnSt−g−PBDのものと比べ熱安定性に優れていた。
実施例11の結果から、ブタジエンを含有しない飽和のアクリルゴムは、熱安定性に優れたゴムであると推測される。
実施例12は、エチレン−プロピレンゴムにAn、及びStをグラフト共重合させたゴム状重合体(AnSt−g−EPM)と、AS樹脂とのブレンドポリマー{(株)テクノポリマーの樹脂;テクノ AES160(EPM−AS;樹脂0008)}を実施例11と同様の方法で熱安定性を評価したものである。その評価結果を表43に示した。
AnSt−g−EPMは、AnSt−g−ANMと熱安定性がよいゴム状重合体であると判断された。
上述の実施形態および実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、および付加が可能である。
本発明のその他の態様を以下に列挙する。
(1) 熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂成形品の廃品の粉砕材またはペレットをリサイクルする場合、ゴム成分に該熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格をグラフト共重合することによって該熱可塑性樹脂との相容(溶)性を付与された熱可塑性ゴム状材料であるリサイクル助剤を該粉砕材またはペレットに添加して加熱溶融混合し、該加熱溶融物中に熱可塑性ゴム状材料が分散した状態で、その粒径が0.05μm〜50μmであり、かつアスペクト比が0.1以上であり、かつJIS K 5400 8.5.2に準拠した碁盤目試験において、剥がれ落ちた碁盤目の数が10以下である樹脂成形品のリサイクル方法である。
(2) 前記(1)において、該樹脂成形品は塗装されており、該樹脂成形品は塗膜を剥離することなく加熱溶融される樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(3) 前記(1)または(2)において、該ゴム成分はブタジエン系ゴムである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(4) 前記(1)または(2)において、該ゴム成分はオレフィン系ゴムである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(5) (4)において、該オレフィン系ゴムはエチレン−α−オレフィン系ゴムであって、該エチレン−α−オレフィン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は5〜150である樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(6) 前記(4)または(5)において、該オレフィン系ゴムはエチレン−プロピレン系ゴムであるである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(7) 前記(6)において、該エチレン−プロピレン系ゴムはエチレン−プロピレン−非共役ジエン化合物共重合ゴムである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(8) 前記(7)において、該エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合ゴムの共重合比率は0.2〜0.8/0.2〜0.8/0.2〜0.05である樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(9) 前記(1)または(2)において、該熱可塑性ゴム状材料のゴム成分はアクリル系ゴムである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(10) 前記(1)〜(9)において、該熱可塑性ゴム状材料は2種以上の混合物である樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(11) 前記(1)〜(10)において、該熱可塑性ゴム状材料は、粒径の異なる同種または異種の熱可塑性ゴム状材料の2種以上の混合物である樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(12) 前記(1)〜(11)において、該熱可塑性樹脂はポリエチレン系樹脂、HIPS樹脂、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変形PPE樹脂及び前記樹脂の一種または二種以上を主成分とするポリマーブレンド、もしくはポリマーアロイであり、該熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格とは該ゴム成分にグラフト重合されているスチレン系単量体重合鎖またはスチレン系単量体とニトリル系単量体との共重合鎖である樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(13) 前記(1)〜(12)において、該熱可塑性ゴム状材料は、走査型示差熱分析器を用いて測定したガラス転移温度Tgが200℃以下である樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(14) 前記(1)〜(13)において、該熱可塑性樹脂は、熱可塑性ゴム状材料が配合されているポリマーアロイである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(15) (14)において、該熱可塑性ゴム状材料は、熱安定性の良いエチレン−プロピレン−ターポリマーまたはアクリル系ゴムである樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(16) 前記(1)〜(15)において、該熱可塑性ゴム状材料はペレット化して該樹脂成形品の廃品のペレットに添加する樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
(17) 前記(1)〜(15)において、樹脂成形品の廃品の粉砕材に、ペレット化した該熱可塑性ゴム状材料を添加する樹脂成形品のリサイクル方法に関するものである。
上記構成より成る(1)の樹脂成形品のリサイクル方法は、リサイクル材の物性を回復するために添加するリサイクル助剤として、ゴムに前記樹脂成形品の主成分である前記熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格をグラフト共重合することによって前記熱可塑性樹脂および/または塗装の主成分である熱可塑性樹脂に対して相容(溶)性を付与された熱可塑性ゴム状材料を添加するので、リサイクル助剤の添加によって物性の低下や、塗装を実施する場合には、塗膜の付着性などの不具合を解消するとともに、リサイクルによって低下する衝撃強度や伸びなどの物性を回復させるという効果を奏する。
該樹脂成形品は塗装されており、該樹脂成形品は塗膜を剥離することなく加熱溶融されることが望ましい。
該ゴムはブタジエン系ゴムであると、ゴム弾性が大きいので、リサイクル助剤としての熱可塑性ゴム状材料の添加量を少なくできるという効果を奏する。
該ゴムがオレフィン系ゴムまたはアクリル系ゴムを主成分とすると、リサイクルを繰り返し実施した場合、ゴム材料の劣化が少なく、混ぜ合わせて繰り返しリサイクルする時に添加するリサイクル助剤としての熱可塑性ゴム状材料の添加量を少なくできるという効果を奏する。
該オレフィン系ゴムは、エチレン−プロピレン系ゴム、あるいはエチレン−プロピレン−非共役ジエン化合物共重合ゴムであり、該エチレン−プロピレン−非共役ジエン化合物共重合ゴムの共重合比率は0.2〜0.8/0.2〜0.8/0〜0.05であることが好ましい。
該熱可塑性ゴム状材料は2種以上の混合物であると、その組み合わせ効果により、高い衝撃強度が得られ、リサイクルされた前記樹脂成形品の良好な光沢が得られるという効果を奏する。
該熱可塑性ゴム状材料は、粒径の異なる同種または異種の熱可塑性ゴム状材料の2種以上の混合物であると、粒径の異なる材料の組み合わせ効果により、高い衝撃強度が得られ、リサイクルされた前記樹脂成形品の良好な光沢が得られるという効果を奏する。
該熱可塑性樹脂はポリスチレン系樹脂、HIPS樹脂、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性PPE樹脂及び前記樹脂の一種または二種以上を主成分とするポリマーブレンド、もしくはポリマーアロイであり、該熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格とは該ゴム成分にグラフト重合されているスチレン系単量体重合鎖またはスチレン系単量体とニトリル系単量体との共重合鎖であると、熱可塑性を示し、しかも前記熱可塑性樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂と相容(溶)性を備えているので、前記リサイクル時の加熱溶融の段階で、前記熱可塑性樹脂と共に融けて、前記熱可塑性樹脂中に相容(溶)し、海島構造、またはその他の構造をもち、リサイクルによって低下する衝撃強度を回復させる効果を奏する。
該熱可塑性ゴム状材料は、走査型示差熱分析器を用いて測定したガラス転移温度Tgが200℃以下であれば、前記ゴム状材料の一様な微分散が得られるという効果を奏する。
該熱可塑性ゴム状材料を該熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂成形品の廃品加熱溶融物中に添加後分散した状態で、その粒径が0.05μm〜50μmでありかつアスペクト比が0.1以上であれば、高い衝撃吸収性が得られ、リサイクルされた前記樹脂成形品の外観を良くするとともに方向性が無いという効果を奏する。
該熱可塑性樹脂は、熱可塑性ゴム状材料が配合されているポリマーアロイであることが好ましく、この場合、該熱可塑性樹脂に配合される熱可塑性ゴム状材料は、熱安定性の良いエチレン−プロピレン−ターポリマーまたはアクリル系ゴムであることが好ましい。
本発明のリサイクル方法にあっては、主として粉砕してペレット化した該熱可塑性樹脂に、ペレット化した該ゴム状材料を添加する方法、あるいは粉砕した該熱可塑性樹脂に、ペレット化した該熱可塑性ゴム状材料を添加する方法が適用される。
樹脂成形品のリサイクル方法において、リサイクル助剤として、樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂に対して相容(溶)性をもち混ぜ合わせて成形可能であるとともに、衝撃強度を向上させる性質を備えたゴム状材料、あるいは難燃剤を添加することにより、物性回復(例えば衝撃強度の回復、難燃性の付与など)および向上を可能にする。
図1は、参考例2における樹脂成形品の主成分である熱可塑性樹脂中に添加させている、顔料,染料の状態を示すTEM写真である。 図2は、第2実施例における成形品の主成分である熱可塑性樹脂と、衝撃強度を回復させるのに添加した熱可塑性エラストマーとが相容(溶)状態であることを示すTEM写真である。 図3は、第2実施例における成形品の主成分である熱可塑性樹脂と、衝撃強度を回復させるのに添加した熱可塑性エラストマーとが相容(溶)状態であることを示すTEM写真である。 図4は、臭素化エポキシを含む難燃ABS樹脂のパージ塊が発熱反応を起こし、発煙を発している状態を示す写真である。

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂成形品の廃品の粉砕材またはペレットをリサイクルする場合、
    ゴム成分に該熱可塑性樹脂と同一または類似の分子骨格をグラフト共重合することによって該熱可塑性樹脂との相容(溶)性を付与された熱可塑性ゴム状材料であって、前記ゴム成分の含有量が20重量%以上であり、かつ、グラフト率が30重量%である前記熱可塑性ゴム状材料を、前記粉砕材または前記ペレットに添加して加熱溶融混合することにより、
    ASTM−D256に準拠したIZOD衝撃強度を前記樹脂成形品以上にすることを特徴とする樹脂成形品のリサイクル方法。
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