JP2007161705A - ラクトン環を含有する液晶性化合物、液晶組成物、および液晶表示素子 - Google Patents

ラクトン環を含有する液晶性化合物、液晶組成物、および液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】熱、光などに対する安定性を有し、透明点が高く、適切な光学異方性を有し、さらに、大きな負の誘電率異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有するネマチック液晶性化合物、粘度が低く、適切な光学異方性、および適切な負の誘電率異方性を有し、しきい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の上限温度(ネマチック相−等方相の相転移温度)が高く、ネマチック相の下限温度が低い、上記化合物を含有する液晶組成物を提供する。
【解決手段】ラクトン環とシクロヘキサン環とが単結合または−CHCH−を介し結合した構造を有し、さらに特定の構造を有するネマチック液晶性化合物を合成し、この液晶性化合物を含有するネマチック液晶組成物を作製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラクトン環を含有するネマチック液晶性化合物、液晶組成物、および液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、表示方式によってDS(Dynamic scattering)、TN(Twisted nematic)、GH(Guest host)、STN(Super twisted nematic)、IPS(In-plane switching)、VA(Vertical alignment)、OCB(Optically compensated bend)などのモードに分類される。これら液晶表示素子に含有される液晶組成物として好ましい特性は、表示方式によって異なる点もあるが、どの表示方式で用いられるかを問わず、共通して以下の特性を有することが好ましい。
(1)水分、空気、熱、光等の外的環境因子に対して安定であること。
(2)室温を中心とした広い温度範囲で液晶相を示すこと。
(3)粘度が小さいこと。
(4)表示素子を駆動させた場合にその駆動電圧を低くすることができること。
(5)最適な誘電率異方性(Δε)を有すること。
(6)最適な光学異方性(Δn)を有すること。
しかし現在のところ、上記特性(1)〜(6)を全て満たす単一の液晶性化合物は知られておらず、数種〜二十数種の液晶性化合物を混合した液晶組成物として使用するのが一般的である。そのため、組成物成分として用いられる液晶性化合物は相互に良好な相溶性を示すことが必要である。特に最近では、様々な環境下、例えば極低温でも使用できる液晶表示素子が要求されており、極低温においても良好な相溶性を示す液晶性化合物が望まれている。
近年、液晶表示素子の最大の問題点である視野角の狭さを克服する表示方式として、上記表示方式の中でも、IPS、VA、OCBなどのモードが注目されている。これらモードの液晶表示素子の中でも、特にVAモードやIPSモードの液晶表示素子は、視野角の広さに加え応答性にも優れ、さらに高コントラストな表示が得られるため開発が盛んに行われている。これら表示方式の液晶表示素子に使用される液晶組成物の特徴は、誘電率異方性が負である点にある。そして、負の誘電率異方性が大きい液晶組成物は、その液晶組成物を含有する液晶表示素子の駆動電圧を低くできることが知られている(M.F.Leslie, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1970, 12,57)。そのため、その液晶組成物の構成成分である液晶性化合物についても、より大きな負の誘電率異方性を有することが求められている。
従来から、負の誘電率異方性を有する液晶組成物の成分として、ベンゼン環のラテラル位の水素がフッ素で置き換えられた液晶性化合物が数多く検討されてきている(日本特許第2811342号、特開平02−4725号公報参照)。例えば下記の化合物(c)が報告されている(式中、RおよびR′はアルキルである。)。しかし、化合物(c)に例示される化合物は、負の誘電率異方性を有するものの、必ずしもその値が大きくない場合もあり、前記のVAモード、IPSモードなどの液晶表示素子の駆動電圧を低下させるためには十分ではない場合もあった。
Figure 2007161705
(上記式中、RおよびR′はアルキルである。)
また、大きな負の誘電率異方性を有する液晶性化合物として化合物(d)(特開昭59−10557号公報参照)が報告されている(式中、RおよびR′はアルキルである)。化合物(d)は非常に大きな負の誘電率異方性を有するが、化学的および物理的安定性が必ずしも十分ではなかった。
Figure 2007161705
(上記式中、RおよびR′はアルキルである。)
一方、ラクトン環を有する液晶性化合物も数多く検討されてきている(例えば、特許文献1〜11)。
例えば特許文献1および2では、ラクトン環に隣接する環が芳香族環であるネマチック液晶性化合物が報告されている。
また特許文献4〜6および11では、ラクトン環を有する液晶性化合物が報告されている。しかしながらこれらの化合物の用途は強誘電液晶であり、実施例等を通じその発明の効果が検証されている化合物は、ラクトン環に隣接する環が、芳香族環、または複素環である液晶性化合物である。これらの化合物は光学異方性が大きくなる傾向にあり、ネマチック液晶として使用するには問題があった。
さらに、特許文献7ではラクトン環を有する強誘電液晶に用いる液晶性化合物が報告されているが、ラクトン環に隣接する環は、−COO−、−O−、または、−CHO−を介して結合しているため化学的および物理的安定性が十分ではなく、ネマチック液晶として使用するには問題があった。
加えて特許文献3では、本願発明の化合物と類似する化合物が開示されているが、合成中間体として記載されているに過ぎない。
従って、大きな負の誘電率異方性を有すると同時に、適切な光学異方性を有し、高い安定性を有する液晶性化合物が待望されている。
なお本明細書中では、「液晶性化合物」とは、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物、および、液晶相を有さないが液晶組成物として有用な化合物の総称を意味する。また、「ネマチック液晶性化合物」とは、ネマチック相を有する化合物、および、ネマチック相を有さないがネマチック液晶組成物として有用な化合物の総称を意味する。
特開2004−292774公報 特開昭59−164788号公報 特開2000−8040号公報 特開平9−110856号公報 特開平7−72442号公報 特開平7−133244号公報 特開平3−20269号公報 特許第2974805号公報 特許第2974824号公報 特許第2974827号公報 特開平3−128371号公報
本発明の第一の目的は、熱、光などに対する安定性を有し、透明点が高く、適切な光学異方性を有し、さらに、大きな負の誘電率異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する液晶性化合物を提供することである。
本発明の第二の目的は、粘度が低く、適切な光学異方性、および適切な負の誘電率異方性を有し、しきい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の上限温度(ネマチック相−等方相の相転移温度)が高く、ネマチック相の下限温度が低い、上記化合物を含有する液晶組成物を提供することである。
本発明の第三の目的は、応答時間が短く、消費電力および駆動電圧が小さく、大きなコントラストを有し、広い温度範囲で使用可能である、上記組成物を含有する液晶表示素子を提供することである。
上記課題に対して研究を行った結果、ラクトン環とシクロヘキサン環とが単結合または−CHCH−を介して結合した特定の液晶性化合物が、熱、光などに対する安定性、適切な光学異方性、大きな負の誘電率異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有すること、また、上記化合物を含有する液晶組成物が、粘度が小さく、適切な光学異方性、および適切な負の誘電率異方性を有し、しきい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の上限温度が高く、ネマチック相の下限温度が低いこと、さらに、上記組成物を含有する液晶表示素子が、応答時間が短く、消費電力および駆動電圧が小さく、コントラスト比が大きく、広い温度範囲で使用可能であること、加えて、熱、光などに対する安定性を有し、幅広い反応に用いることが可能な、本発明の液晶性化合物を容易に製造できる中間体化合物、を見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に記載された事項を有している。
〔1〕:下記一般式(a−1)から(a−6)のいずれか1つで表されるネマチック液晶性化合物。
Figure 2007161705
式(a−1)〜(a−6)中、RaおよびRbは独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであるが、このアルキルにおいて、−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、水素はハロゲンで置き換えられていてもよく;
環Aおよび環Aは独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において水素はハロゲンで置き換えられてもよく、環がトランス−1,4−シクロへキシレンである場合には−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−CHCH−は−CH=C−で置き換えられてもよく
およびZは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、または−CHCH−である。
ただし、式(a−3)において、
環Aがトランス−1,4−シクロへキシレンであるときは、Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCH―、または−CHO−であり、
Raが−Cであり、Rbが−OCであり、Zが単結合であるときは、環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンであり、
式(a−4)において、
環Aがトランス−1,4−シクロへキシレンであるときは、Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、または−CHO−である。
〔2〕:上記式(a−1)または式(a−2)で表され、RaおよびRbが、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔3〕:上記式(a−1)または式(a−2)で表され、RaおよびRbが、独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔4〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、ZまたはZが単結合である項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔5〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔6〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔7〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、RaおよびRbが独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔8〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔9〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔10〕:上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、RaおよびRbが、独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである項〔1〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔11〕:下記一般式(b−1)から(b−6)のいずれか1つで表されるネマチック液晶性化合物。
Figure 2007161705
式(b−1)〜(b−6)中、RcおよびRdは独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜10のアルキルであるが、このアルキルにおいて、−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、水素はハロゲンで置き換えられていてもよく;
環Aおよび環Aは独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において水素はハロゲンで置き換えられてもよく、環がトランス−1,4−シクロへキシレンである場合には−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−CHCH−は−CH=C−で置き換えられてもよく、
およびZは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、または−CHCH−である。
ただし、式(b−2)において、RcがCであるときは、Rdは炭素数1〜4、または炭素数6〜9のアルコキシであり;
式(b−2)および(b−6)において、Rcが炭素数1〜10のアルキルであり、かつRdが炭素数1〜10のアルキルである化合物は除く。)
〔12〕:上記式(b−1)または式(b−2)で表され、RcおよびRdは独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔13〕:上記式(b−1)または式(b−2)で表され、RcおよびRdは独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔14〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、ZまたはZが単結合である項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔15〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、
環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔16〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔17〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、RcおよびRdは独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔18〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔19〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔20〕:上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、RcおよびRdが独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、ハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである項〔11〕に記載のネマチック液晶性化合物。
〔21〕:項〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載した化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有するネマチック液晶組成物。
〔22〕:下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、および(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項〔21〕に記載のネマチック液晶組成物。
Figure 2007161705
式(1)〜(9)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて、−CH−は−O−に置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、水素はフッ素で置き換えられてもよく、あるいはRはフッ素であってもよく;
環Bおよび環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはデカヒドロ−2,6−ナフチレンであり;
およびZは独立して、−(CH−、−COO−または単結合であり;
、L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり、L、L、LおよびLの少なくとも一つはフッ素である。
〔23〕:下記一般式(10)、(11)および(12)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項〔21〕に記載のネマチック液晶組成物。
Figure 2007161705
式(10)〜(12)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて、−CH−は−O−に置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環D、環Eおよび環Fは独立して、1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
およびZは独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
〔24〕:項〔23〕に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項〔22〕に記載のネマチック液晶組成物。
〔25〕:少なくとも一つの光学活性化合物をさらに含有する項〔21〕〜〔24〕のいずれか1項に記載のネマチック液晶組成物。
〔26〕:項〔21〕〜〔25〕のいずれか1項に記載のネマチック液晶組成物を含有する液晶表示素子。
本発明によれば、熱、光などに対する安定性を有し、透明点が高く、適切な光学異方性を有し、さらに、大きな負の誘電率異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する液晶性化合物が得られる。また本発明によれば、粘度が低く、適切な光学異方性、および適切な負の誘電率異方性を有し、しきい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の上限温度が高く、ネマチック相の下限温度が低い液晶組成物が得られる。さらに本発明によれば、応答時間が短く、消費電力および駆動電圧が小さく、大きなコントラストを有し、広い温度範囲で使用可能である液晶表示素子が得られる。
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明の液晶性化合物は以下詳細に示すラクトン環とシクロヘキサン環とを分子内に有するネマチック液晶性化合物である。
〔液晶性化合物(a−1)〜(a−6)〕
本発明の第一の液晶性化合物は、下記一般式(a−1)〜(a−6)で表される化合物(以下、液晶性化合物(a−1)〜(a−6)ともいう。)である。この液晶性化合物(
a−1)〜(a−6)はラクトン環とシクロヘキシル環とを有する2環もしくは3環化合物であり、ラクトン環とシクロヘキシル環とが単結合を介して結合しており、さらにその化合物の末端には水素または炭素数が10以下の基を有している。
上記液晶性化合物はこのような構造を有するため、ネマチック液晶性化合物として有用である。また熱、光に対する安定性に優れ、透明点が高く、好ましくは0.120以下、より好ましくは−0.020〜0.110の範囲の適切な光学異方性を有し、好ましくは−3以下、より好ましくは−12〜−4の範囲の適切な負の誘電率異方性を有し、他の液晶性化合物との相溶性に優れる。
Figure 2007161705
液晶性化合物(a−1)〜(a−6)中のRaおよびRbは、水素、または炭素数1〜10のアルキルであるが、このアルキルでは、−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。
上記RaおよびRbとしては、水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数2〜9のアルコキシアルキル、炭素数2〜8のアルコキシアルコキシ、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜9のアルケニルオキシ、炭素数3〜9のアルケニルオキシアルキル、炭素数3〜9のアルコキシアルケニルが挙げられる。これら基のアルキル鎖は、直鎖であることが好ましい。アルキル鎖が直鎖であると、液晶相の温度範囲を広くすることができ、粘度を小さくすることができる。
また、これら基中の1つ以上の水素が、ハロゲンで置き換えられていてもよく、水素を置き換えるハロゲンとしては、フッ素、塩素が好ましい。
これらRaおよびRbとしては、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、フルオロアルキル、フルオロアルコキシが好ましく、アルキル、アルコキシ、アル
コキシアルキル、アルケニルがより好ましく、アルキル、アルコキシ、アルケニルがさらに好ましい。またアルケニルとしては、その立体配置がトランス配置であることが好ましい。
上記アルキルとしては、−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C19、−C1021が挙げられ;
上記アルコキシとしては、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−OC15、−OC17、−OC19が挙げられ;
上記アルケニルとしては、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CHCH=CHCH、−(CHCH=CHが挙げられ;
上記アルケニルオキシとしては、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、−OCHCH=CHCが挙げられる。
また、水素をハロゲンで置き換えたアルキルとしては、−CHF、−CHF、−CF、−(CHF、−CFCHF、−CFCHF、−CHCF、−CFCF、−(CHF、−(CFCF、−CFCHFCF、−CHFCFCFが挙げられ;
水素をハロゲンで置き換えたアルコキシとしては、−OCF、−OCHF、−OCHF、−OCFCF、−OCFCHF、−OCFCHF、−OCFCFCF、−OCFCHFCF、−OCHFCFCFが挙げられ;
水素をハロゲンで置き換えたアルケニルとしては、−CH=CHF、−CH=CF、−CF=CHF、−CH=CHCHF、−CH=CHCF、−(CHCH=CFが挙げられる。
これらRaおよびRbの中でも、
−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C19、−C1021、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC10、−OC13、−OC15、−OC17、−OC19が好ましい。
液晶性化合物(a−1)〜(a−6)の環Aおよび環Aは独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において水素はハロゲンで置き換えられてもよく、環がトランス−1,4−シクロへキシレンである場合には−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−CHCH−は−CH=C−で置き換えられてもよい。
これらの環がトランス−1,4−シクロヘキシレンであるときには、光学異方性を小さくし、粘度を小さくすることができ、さらに、この液晶性化合物を液晶組成物に添加すると、ネマチック相の上限温度を高くすることができる。
またこれらの環が、水素がハロゲンで置き換えられてもよい1,4−フェニレンであるときには、光学異方性を比較的大きくすることができるとともに、配向秩序パラメーターを大きくすることができる。
環Aおよび環Aとしては、これらの中でも、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニ
レン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−クロロ−1,4−フェニレンが好ましく、
トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンがより好ましい。
液晶性化合物(a−1)〜(a−6)のZおよびZは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、または−CHCH−である。これら基の中でも、液晶相の温度範囲を広くし、粘度を下げる観点からは、単結合が好ましい。
ただし、式(a−3)において環Aがトランス−1,4−シクロへキシレンであるときは、Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCH―、または−CHO−である。また式(a−3)において、RaがCであり、RbがOCであり、Zが単結合であるときは、環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンである。
また式(a−4)において、環Aがトランス−1,4−シクロへキシレンであるときは、Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、または−CHO−である。
これらの液晶性化合物(a−1)〜(a−6)では、末端基RaおよびRb、環AおよびA、結合基ZおよびZを上記範囲で適宜選択することにより、光学異方性、誘電率異方性などの物性を所望の物性に調整することも可能である。
液晶性化合物(a−1)および(a−2)において、RaおよびRbが、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである場合には相溶性が良好となる傾向にある。特に、RaおよびRbが、独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである場合にはその効果が顕著となる。
液晶性化合物(a−3)、(a−4)、(a−5)および(a−6)において、ZまたはZが単結合である場合には、透明点が高くなる傾向にある。
なお透明点とは、液晶性化合物がある相から等方相へ相転移する時の温度をいい、具体的には、ネマチック相−等方相、スメクチック相−等方相、または結晶相−等方相の相転移温度である。
液晶性化合物(a−3)、(a−4)、(a−5)および(a−6)において、RaおよびRbが独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである場合には、透明点が高くなる傾向にある。
液晶性化合物(a−3)、(a−4)、(a−5)および(a−6)において、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである場合には、光学異方性が小さくなる傾向にあり、透明点が高くなる傾向にある。
液晶性化合物(a−3)、(a−4)、(a−5)および(a−6)において、環Aまたは環Aが任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである場合には、光学異方性が大きくなる傾向にあり、透明点が高くなる傾向にある。
液晶性化合物(a−1)〜(a−6)の中でも、下記一般式(a−1)、(a−2)、(a−3−1)〜(a−3−5)、(a−4−1)〜(a−4−4)、(a−5−1)〜(a−5−13)、および(a−6−1)〜(a−6−13)で表される化合物(以下、各々液晶性化合物a−1)、(a−2)、(a−3−1)〜(a−3−5)、(a−4−1)〜(a−4−4)、(a−5−1)〜(a−5−13)、および(a−6−1)〜(a−6−13)ともいう。)が好ましい。
Figure 2007161705
Figure 2007161705
RaおよびRbの定義は、液晶性化合物(a−1)〜(a−6)の場合と同様である。LaおよびLbは独立して、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素、フッ素または塩素である。
〔液晶性化合物(b−1)〜(b−6)〕
本発明の第二の液晶性化合物は、下記一般式(b−1)〜(b−6)で表される化合物(以下、液晶性化合物(b−1)〜(b−6)ともいう。)である。この液晶性化合物(b−1)〜(b−6)はラクトン環とシクロヘキシル環とを有する2環もしくは3環化合物であり、ラクトン環とシクロヘキシル環とが−CHCH−を介して結合しており、さらにその化合物の末端には、水素、ハロゲンまたは炭素数が10以下のアルキル基を有している。
上記液晶性化合物はこのような構造を有するため、ネマチック液晶性化合物として有用である。また熱、光に対する安定性に優れ、透明点が高く、好ましくは0.120以下、より好ましくは−0.020〜0.110の範囲の適切な光学異方性を有し、好ましくは−3以下、より好ましくは−12〜−4の範囲の適切な負の誘電率異方性を有し、他の液晶性化合物との相溶性に優れる。
Figure 2007161705
液晶性化合物(b−1)〜(b−6)中のRcおよびRdは、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルであるが、このアルキルでは、−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。
ただし、式(b−2)において、RcがCであるときは、Rdは炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜4、または炭素数6〜9のアルコキシである。
好ましくは、式(b−2)および(b−6)において、Rcが炭素数1〜10のアルキルであり、かつRdが炭素数1〜10のアルキルである化合物は除く。
上記RcおよびRdとしては、水素、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜9のアルコキシ、炭素数2〜9のアルコキシアルキル、炭素数2〜8のアルコキシアルコキシ、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜9のアルケニルオキシ、炭素数3〜9のアルケニルオキシアルキル、炭素数3〜9のアルコキシアルケニル、炭素数1〜10のハロアルキル、炭素数1〜9のハロアルコキシが挙げられる。
また、これら基中の1つ以上の水素が、ハロゲンで置き換えられていてもよく、水素を置き換えるハロゲンとしては、フッ素、塩素が好ましい。
これらRcおよびRdとしては、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニル、フルオロアルキル、フルオロアルコキシが好ましく、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルがより好ましく、アルキル、アルコキシ、アルケニルがさらに好ましい。これら基のアルキル鎖は、直鎖であることが好ましい。アルキル鎖が、直鎖であると、液晶相の温度範囲を広くすることができ、粘度を小さくすることができる。またアルケニルとしては、その立体配置がトランス配置であることが好ましい。
上記アルキルとしては、−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C19、−C1021が挙げ
られ;
上記アルコキシとしては、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−OC15、−OC17、−OC19が挙げられ;
上記アルケニルとしては、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CHCH=CHCH、−(CHCH=CHが挙げられ;
上記アルケニルオキシとしては、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、−OCHCH=CHCが挙げられる。
また、水素をハロゲンで置き換えたアルキルとしては、−CHF、−CHF、−CF、−(CHF、−CFCHF、−CFCHF、−CHCF、−CFCF、−(CHF、−(CFCF、−CFCHFCF、−CHFCFCFが挙げられ;
水素をハロゲンで置き換えたアルコキシとしては、−OCF、−OCHF、−OCHF、−OCFCF、−OCFCHF、−OCFCHF、−OCFCFCF、−OCFCHFCF、−OCHFCFCFが挙げられ;
水素をハロゲンで置き換えたアルケニルとしては、−CH=CHF、−CH=CF、−CF=CHF、−CH=CHCHF、−CH=CHCF、−(CHCH=CFが挙げられる。
これらRcおよびRdの中でも、
−CH、−C、−C、−C、−C11、−C13、−C15、−C17、−C19、−C1021、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC11、−OC13、−OC15、−OC17、−OC19、−CH=CH2、−CH=CHCH、−CH=CHC、−(CHCH=CH、−CH=CHC、−(CHCH=CHCH、−(CHCH=CH2、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、−CHF、−CHF、−CF、−(CHF、−CH=CHF、−CH=CF、−CF=CHF、−CH=CHCHF、−CH=CHCF、が好ましい。
液晶性化合物(b−1)〜(b−6)の環Aおよび環Aは独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において水素はハロゲンで置き換えられてもよく、環がトランス−1,4−シクロへキシレンである場合には−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよい。
これらの環が、トランス−1,4−シクロヘキシレンであるときには、光学異方性を小さくし、粘度を小さくすることができ、さらに、この液晶性化合物を液晶組成物に添加すると、ネマチック相の上限温度を高くすることができる。
またこれらの環が、水素がハロゲンで置き換えられてもよい1,4−フェニレンのときは、光学異方性を比較的大きくすることができるとともに、配向秩序パラメーターを大きくすることができる。
環Aおよび環Aとしては、これらの中でも、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、
2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−クロロ−1,4−フェニレンが好ましく、
トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンがより好ましい。
液晶性化合物(b−1)〜(b−6)のZおよびZは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、または−CHCH−である。これら基の中でも、液晶相の温度範囲を広くし、粘度を下げる観点からは、単結合が好ましい。
これらの液晶性化合物(b−1)〜(b−6)では、末端基RcおよびRd、環AおよびA、結合基ZおよびZを上記範囲で適宜選択することにより、光学異方性、誘電率異方性などの物性を所望の物性に調整することも可能である。
液晶性化合物(b−1)および(b−2)において、RcおよびRdが、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである場合には、相溶性が良好となる傾向にある。特に、RcおよびRdが、独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである場合にはその効果が顕著となる。
液晶性化合物(b−3)、(b−4)、(b−5)および(b−6)において、ZまたはZが単結合である場合には透明点が高くなる傾向にある。
液晶性化合物(b−3)、(b−4)、(b−5)および(b−6)において、RcおよびRdが独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである場合には、透明点が高くなる傾向にある。
液晶性化合物(b−3)、(b−4)、(b−5)および(b−6)において、AまたはAが1,4−シクロヘキシレンである場合には、光学異方性が小さくなる傾向にあり、透明点が高くなる傾向にある。
液晶性化合物(b−3)、(b−4)、(b−5)および(b−6)において、AまたはAが任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである場合には、光学異方性が大きくなる傾向にある。
液晶性化合物(b−1)〜(b−6)のRc、Rdがアルケニルである場合には透明点が高くなり、また低温相溶性が良好隣、光学異方性値が高くなる。Rc、Rdがアルケニルオキシである場合には透明点が特に高くなり、光学異方性値が高くなる。Rc、Rdがハロゲン化されたアルキル場合、相溶性が良好となり、光学異方性値が低くなる。Rc、Rdがハロゲン化されたアルコキシの場合、透明点がやや高くなり低温相溶性が良好となる。
液晶性化合物(b−1)〜(b−6)の中でも、下記一般式(b−1)、(b−2)、(b−3−1)〜(b−3−4)、(b−4−1)〜(b−4−3)、(b−5−1)〜(b−5−12)、および(b−6−1)〜(b−6−12)で表される化合物(以下、各々液晶性化合物b−1)、(b−2)、(b−3−1)〜(b−3−4)、(b−4−1)〜(b−4−3)、(b−5−1)〜(b−5−12)、および(b−6−1)〜(b−6−12)ともいう。)が好ましい。
Figure 2007161705
Figure 2007161705
RcおよびRdの定義は、液晶性化合物(b−1)〜(b−6)の場合と同様である。LcおよびLdは独立して、水素またはハロゲンであり、好ましくは水素、フッ素または塩素である。
〔液晶性化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)の合成〕
液晶性化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)は、有機合成化学の合成手法を適切に組み合わせることにより合成することができる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、例えば、オーガニックシンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。
<結合基Z、Z、ZまたはZの形成>
結合基Z、Z、ZまたはZを形成する方法の一例を示す。結合基を形成するスキームを以下示す。このスキームにおいて、MSGまたはMSGは1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(a−A)から(a−E)は液晶性化合物(a−1)〜(a−6)に相当する。
Figure 2007161705
(I)単結合の生成 その1
有機ハロゲン化合物(13)とマグネシウムとを反応させ、グリニャール試薬を調製する。この調製したグリニャール試薬と、シクロヘキサノン誘導体(14)とを反応させることにより、対応するアルコール誘導体を合成する。ついで、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いて、得られたアルコール誘導体の脱水反応を行うことにより、対応する2重結合を有する化合物(15)を合成する。得られた化合物(15)をRaney−Ni
のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(a−A)を合成することができる。なお、シクロヘキサノン誘導体(14)は、例えば、特開昭59−7122号に記載の方法に従い合成することができる。
(II)単結合の生成 その2
ジヒドロキシボラン誘導体(16)と有機ハロゲン化合物(13)とを、例えば、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)とからなる触媒の存在下で反応させることにより、化合物(a−B)を合成することができる。
また、有機ハロゲン化合物(17)にブチルリチウムを反応させ、さらに塩化亜鉛を反応させた後、得られた化合物を、例えば、ビストリフェニルホスフィンジクロロパラジウム(Pd(PPhCl)触媒の存在下で化合物(13)と反応させることにより、化合物(a−B)を合成することもできる。
(III)−(CH−の生成
一価の有機基MSGを有する有機ハロゲン化合物(13)とマグネシウムとを反応させ、グリニャール試薬を調製する。この調製したグリニャール試薬と、アルデヒド誘導体(18)とを反応させることにより、対応するアルコール誘導体を合成する。ついで、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いて、得られたアルコール誘導体の脱水反応を行うことにより、対応する2重結合を有する化合物(19)を合成することができる。一方、有機ハロゲン化合物(13)を、ブチルリチウム、もしくはマグネシウムで処理して得られた化合物を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのホルムアミドと反応させて、アルデヒド(20)を得る。ついで、得られたアルデヒド(20)と、ホスホニウム塩(21)をカリウムtert−ブトキシド等の塩基で処理して得られるリンイリドとを反応させ、対応する2重結合を有する化合物(19)を合成することができる。
化合物(19)を炭素担持パラジウム(Pd/C)のような触媒の存在下で水素化することにより、−(CH−を有する化合物(a−C)を合成することができる。
(IV)−CHO−または−OCH−の生成
ジヒドロキシボラン誘導体(16)を過酸化水素等の酸化剤により酸化し、アルコール誘導体(22)を得る。別途、アルデヒド誘導体(20)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(23)を得る。得られた化合物(23)を臭化水素酸等でハロゲン化して有機ハロゲン化合物(24)を得る。このようにして得られた化合物(22)と化合物(24)とを炭酸カリウムなどの存在下反応させることにより化合物(a−D)を合成することができる。
(V)−COO−と−OCO−の生成
化合物(17)にブチルリチウムを作用させてリチオ化物に誘導した後、二酸化炭素を作用させてカルボン酸(25)を得る。これとアルコール(22)または、公知の方法で合成されるフェノールとを脱水縮合させて−COO−を有する化合物(a−E)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成することができる。
〔液晶性化合物(a−1)〜(a−6)の合成方法〕
本発明の液晶性化合物(a−1)、(a−3)、(a−4)および(a−5)は以下のような方法で合成することができる。すなわち、特許文献3に記載された方法によりオキセタン(26)を合成したのち、M.Yamaguchi等(Tetrahedron lett., 25(11), 11
59(1984))に記載された方法により(26)とtert-ブチルエステル(27)とをカップリングさせ、次いで脱保護・環化反応を行なうことで目的とする化合物(a−1)、(a−3)、(a−4)および(a−5)を合成することができる。
Figure 2007161705
液晶性化合物(a−2)および(a−6)は以下のような方法で合成することができる。すなわちニトリル(19)と、J. Org. Chem., 48, 5381(1983).に記載された方法で得られたヨウ化物(20)とをJ. Org. Chem., 50, 670(1985).に記載された方法を用いて反応させ、(21)を得る。(21)を触媒量のピリジニウムp−トルエンスルホネート存在下で加熱還流することで脱保護を行なったのち、水素化ホウ素ナトリウム等で還元することでアルコール(23)を得て、これを濃塩酸中加熱還流することで加水分解および環化反応が起こり、目的とする化合物(a−2)および(a−6)を得ることができる。
Figure 2007161705
〔液晶性化合物(b−1)〜(b−6)の合成方法〕
液晶性化合物(b−1)、(b−3)および(b−5)はニトリル(24)およびヨウ化物(25)を出発原料とし、上述した液晶性化合物(a−2)および(a−6)と同様にして合成することができる。
Figure 2007161705
液晶性化合物(b−2)、(b−4)および(b−6)はニトリル(29)およびヨウ化物(30)を出発原料とし、上述した液晶性化合物(a−2)および(a−6)と同様にして合成することができる。
Figure 2007161705
〔液晶組成物〕
以下、本発明の液晶組成物について説明をする。本発明の液晶組成物は、上記一般式(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有している。上記液晶組成物は、化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)を2つ以上含んでいてもよい。また上記液晶組成物は、化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)のみを含んでいてもよい。さらに上記液晶組成物は、化合物(a−1)〜(a−6)のみを含んでいてもよく、あるいは、化合物(b−1)〜(b−6)のみを含んでいてもよい。本発明の液晶組成物中の化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)の含有量は特に制限されないが、液晶組成物中に含まれる液晶性化合物の全重量に対して、化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)を1〜99重量%の割合で含有することが好ましい。また本発明の液晶組成物を調製するときには、例えば、化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)の誘電率異方性を考慮して成分を選択することもできる。
上記液晶組成物は、粘度が低く、適切な光学異方性、および適切な負の誘電率異方性を有し、しきい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の上限温度(ネマチック相−等方相の相転移温度)が高く、ネマチック相の下限温度が低い。
本発明の液晶組成物は上記化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)に加え、下記一般式(1)〜(9)で表される化合物(以下、化合物(1)〜(9)ともいう。)の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含んでいてもよい。
Figure 2007161705
式(1)〜(9)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて、−CH−は−O−に置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、水素はフッ素で置き換えられてもよく、あるいはRはフッ素であってもよく;
環Bおよび環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはデカヒドロ−2,6−ナフチレンであり;
およびZは独立して、−(CH−、−COO−または単結合であり;
、L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり、L、L、LおよびLの少なくとも一つはフッ素である。
追加する化合物が上記式(1)で表される化合物である場合には、液晶組成物の粘度を低くすることができ、光学異方性を小さくすることができ、また、しきい電圧値をより低くすることができる。
追加する化合物が上記式(2)で表される化合物である場合には、液晶組成物のネマチック相の上限温度を高くすることができ、光学異方性を大きくすることができ、また、しきい電圧値をより低くすることができる。
追加する化合物が上記式(3)で表される化合物である場合には、光学異方性を大きくすることができ、また、しきい電圧値をより低くすることができる。
追加する化合物が上記式(4)〜(7)で表される化合物である場合には、液晶組成物のネマチック相の上限温度を高くすることができ、光学異方性を大きくすることができ、また、しきい電圧値をより低くすることができる。
追加する化合物が上記式(8)、(9)で表される化合物である場合には、液晶組成物のネマチック相の上限温度を高くすることができ、また、しきい電圧値をより低くすることができる。
本発明の液晶組成物中の化合物(1)〜(9)の含有量は特に制限はないが、負の誘電率異方性の絶対値を小さくしない観点からは、液晶組成物中に含まれる液晶性化合物の全重量に対して、10重量%以上が好ましく、40〜90重量%の範囲がより好ましい。
本発明の液晶組成物は上記液晶性化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)に加え、下記一般式(10)、(11)および(12)で表される化合物(以下、化合物(10)、(11)および(12)ともいう。)の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含んでいてもよい。
Figure 2007161705
式(10)〜(12)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて、−CH−は−O−に置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環D、環Eおよび環Fは独立して、1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
およびZは独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。
追加する化合物が上記式(10)で表される化合物である場合には、液晶組成物の粘度を低くすることができ、光学異方性を適切な範囲、好ましくは0.010〜0.300と
することができる。
追加する化合物が上記式(11)、(12)で表される化合物である場合には、液晶組成物のネマチック相の上限温度を高くすることができ、光学異方性を適切な範囲、好ましくは0.010〜0.300とすることができる。
本発明の液晶組成物中の化合物(10)〜(12)の含有量は特に制限はないが、粘度を低くする観点からは含有量を多くすることが好ましい。ただし化合物(10)〜(12)の含有量を多くすると液晶組成物のしきい値電圧が高くなる傾向にあるので、例えば、本発明の液晶組成物をVAモードの液晶素子に使用する場合には、化合物(10)〜(12)の含有量は、液晶組成物中に含まれる液晶性化合物の全重量に対して、70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。
本発明の液晶組成物は上記液晶性化合物(a−1)〜(a−6)および(b−1)〜(b−6)に加え、上記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、および(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および上記一般式(10)、(11)および(12)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有していてもよい。
本発明の液晶組成物が上記組成物である場合には、粘度が低く、負の誘電率異方性が大きく、しきい値電圧値が低く、液晶相の温度範囲が広い。
上記化合物(1)〜(12)の中でも、下記一般式(1−1)〜(1−6)、(2−1)〜(2−6)、(3−1)〜(3−5)、(4−1)、(5−1)〜(5−2)、(6−1)、(7−1)〜(7−2)、(8−1)、(9−1)〜(9−2)、(10−1)〜(10−11)、(11−1)〜(11−23)、および(12−1)〜(12−6)で表される化合物が好ましい。これらの化合物において、R、R、R、およびRは、本発明の構成に記載したそれらと同一の意味を表す。
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
また本発明に係る液晶組成物には、さらに、光学活性化合物、色素、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加物を添加してもよい。
例えば光学活性化合物を本発明に係る液晶組成物に添加した場合には、液晶にらせん構造を誘起して、ねじれ角を与えることなどができる。
なお本願発明では「光学活性化合物」とは、液晶組成物にらせん構造を誘起してねじれ角を与えられる化合物(キラルドーパント)をいい、例えば下記式(Op−1)〜(Op−12)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007161705
〔液晶組成物の製造方法〕
本発明に係る液晶組成物は、例えば、各成分となる化合物が液体の場合には、それぞれの化合物を混合し振とうさせることにより、また固体を含む場合には、それぞれの化合物を混合し、加熱溶解によってお互い液体にしてから振とうさせることにより調製できる。また、本発明に係る液晶組成物はその他の公知の方法により調製できる。
〔液晶表示素子〕
本発明の液晶組成物は、PCモード、TNモード、STNモード、BTNモード,EC
Bモード、OCBモード、IPSモード、VAモードなどの表示モードの素子に使用できるが、特に垂直配向方式によるIPSおよびVAの素子に使用できる。これら液晶表示素子の駆動方式は、パッシブマトリクス(PM)駆動方式であってもよいし、アクティブマトリクス(AM)駆動方式であってもよい。
また、本発明の液晶表示素子は、液晶組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、液晶組成物中に三次元の網目状高分
子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子としても使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。なお特に断りのない限り、「%」は「重量%」を意味する。
得られた化合物は、H−NMR分析で得られる核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィー(GC)分析で得られるガスクロマトグラムなどにより同定したので、まず分析方法について説明をする。
H−NMR分析
測定装置は、DRX−500(ブルカーバイオスピン(株)社製)を用いた。測定は、実施例等で製造したサンプルを、CDCl等のサンプルが可溶な重水素化溶媒に溶解し、室温で、500MHz、積算回数24回の条件で行った。なお、得られた核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットであることを意味する。また、化学シフトδ値のゼロ点の基準物質としてはテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
GC分析
測定装置は、島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M25−025(長さ25m、内径0.22mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウムを用い、流量は1ml/分に調整した。試料気化室の温度を280℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。
試料はトルエンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。
記録計としては島津製作所製のC−R6A型Chromatopac、またはその同等品を用いた
。得られたガスクロマトグラムには、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積値が示されている。
なお、試料の希釈溶媒としては、例えば、クロロホルム、ヘキサンを用いてもよい。また、カラムとしては、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ
30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Agilent Technologies Inc.製のHP
−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)などを用いてもよい。
ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。一般には、分析サンプルの成分化合物の重量%は、分析サンプルの各ピークの面積%と完全に同一ではないが、本発明において上述したカラムを用いる場合には、実質的に補正係数は1であるので、分析サンプル中の成分化合物の重量%は、分析サンプル中の各ピークの面積%
に対応をしている。
〔液晶性化合物等の物性値の測定試料〕
液晶性化合物の物性値を測定する試料としては、化合物そのものを試料とする場合、化合物を母液晶と混合して試料とする場合の2種類がある。
化合物を母液晶と混合した試料を用いる後者の場合には、以下の方法で測定を行う。まず、得られた液晶性化合物15重量%と母液晶85重量%とを混合して試料を作製する。そして、得られた試料の測定値から、下記式に示す式に示す外挿法にしたがって、外挿値を計算する。この外挿値をこの化合物の物性値とする。
〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉−〈母液晶の重量%〉×〈母液晶の測定値〉)/〈液晶性化合物の重量%〉
液晶性化合物と母液晶との割合がこの割合であっても、25℃でスメクチック相である場合、または結晶が25℃で析出する場合には、液晶性化合物と母液晶との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更をしていき、25℃でスメクチック相でなくなった組成、または結晶が25℃で析出しなくなった組成で試料の物性値を測定し上記式にしたがって外挿値を求めて、これを液晶性化合物の物性値とする。
上記測定に用いる母液晶としては様々な種類が存在するが、例えば、母液晶Aの組成は以下のとおりである。
Figure 2007161705
なお、液晶組成物の物性値を測定する試料としては、液晶組成物そのものを用いた。
〔液晶性化合物等の物性値の測定方法〕
物性値の測定は後述する方法で行った。これら測定方法の多くは、日本電子機械工業会規格(Standard sof Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。また、測定に用いたTN素子またはVA素子には、TFTを取り付けなかった。
測定値のうち、液晶性化合物単体そのものを試料として得られた値と、液晶組成物そのものを試料として得られた値は、そのままの値を実験データとして記載した。化合物を母液晶に混合し試料として得られた場合には、外挿法で得られた値を外挿値とした。
相構造および転移温度(℃)
以下(1)、および(2)の方法で測定を行った。
(1)偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に化合物を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
(2)パーキンエルマー社製走査熱量計DSC−7システム、またはDiamond D
SCシステムを用いて、3℃/分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿により求め(on set)、転移温度を決定した。
以下、結晶はCと表した。結晶の区別がつく場合は、それぞれCまたはCと表した。また、スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。液体(アイソトロピック)はIsoと表した。スメクチック相の中で、スメクチックB相、またはスメクチックA相の区別がつく場合は、それぞれS、またはSと表した。転移温度の表記として、例えば、「C 50.0 N 100.0 Iso」とは、結晶からネマチック相への転移温度(CN)が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度(NI)が100.0℃であることを示す。他の表記も同様である。
ネマチック相の上限温度(TNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に、試料(液晶性組成物、または液晶化性合物と母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で加熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度をネマチック相の上限温度とした。以下、ネマチック相の上限温度を、単に「上限温度」と略すことがある。
低温相溶性
母液晶と液晶性化合物とを、液晶性化合物が、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量%および1重量%の量となるように混合した試料を作製し、試料をガラス瓶に入れる。このガラス瓶を、−10℃または−20℃のフリーザー中に一定期間保管したあと、結晶もしくはスメクチック相が析出しているかどうか観察をした。
粘度(η;20℃で測定;mPa・s)
E型回転粘度計を用いて測定した。
回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s)
測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 3
7 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料(液晶性組成物、または液晶性化合物と母液晶との混合物)を入れた。この素子に30ボルトから50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)
のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値
とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。なお、この計算
に必要な誘電率異方性は、下記誘電率異方性で測定した値を用いた。
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定)
測定は、25℃の温度下で、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けた
アッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料(液晶性組成物、または液晶性化合物と母液晶との混合物)を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性(Δn)の値は、(Δn)=(n‖)−(n⊥)
の式から算出した。
誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16ml)のエタノール(20ml)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板から、間隔(セルギャップ)が20μmであるVA素子を組み立てた。
同様の方法で、ガラス基板にポリイミドの配向膜を調製した。得られたガラス基板の配向膜にラビング処理をした後、2枚のガラス基板の間隔が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子を組み立てた。
得られたVA素子に試料(液晶性組成物、または液晶性化合物と母液晶との混合物)を入れ、0.5ボルト(1kHz、サイン波)を印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
また、得られたTN素子に試料(液晶性組成物、または液晶性化合物と母液晶との混合物)を入れ、0.5ボルト(1kHz、サイン波)を印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
誘電率異方性の値は、(Δε)=(ε‖)−(ε⊥)の式から算出した。
<液晶性化合物の合成例>
〔実施例1〕
3−メチル−6−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.6)の合成
Figure 2007161705
第1工程
プロピオン酸−tert−ブチル(35)(19.8g、152.0mmol)のTHF100mlの溶液にリチウムジイソプロピルアミド76ml(2Mトルエン溶液:152.0mmol相当)を窒素雰囲気下−70℃以下を保つように滴下し、同温度で30分間反応させた。この反応液に2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)オキセタン(34)(8.6g、40.9mmol)のTHF溶液40mlおよび三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体17.9ml(142.5mmol)を窒素雰囲気下、−70℃を保つように滴下し、同温度で1時間反応させた。この反応混合物を氷冷した飽和NHCl
水溶液300mlへ注いだのち、酢酸エチル200mlにて抽出した。得られた有機層を水洗(150ml×2)したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下にて溶媒を溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=4/1、充填剤:シリカゲル)で精製して、2−メチル−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(36)(12.6g、37.0mmol)を得た。化合物(34)からの収率は90%であった。
第2工程
第1工程で得られた2−メチル−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(36)12.6g(37.0mmol)のジクロロメタン60ml溶液に、氷冷下、トリフルオロ酢酸14.2ml(185mmol)のジクロロメタン60ml溶液を滴下し、室温で5時間反応させた。この反応混合物を水200ml中に注ぎ、ジクロロメタン100mlで抽出した。得られた有機層を水洗(150ml×2)した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下にて溶媒を溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=9/1、充填剤:シリカゲル)で精製した後、ヘプタンから再結晶して、3−メチル−6−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.6)3.7g(13.7mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(36)からの収率は37%であった。
得られた化合物No.6の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃):C 52.4 Iso
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−メチル−6−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.6)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm):4.10−4.00(m,1H),2.63−2.37(m,1H),2.10−1.85(m,3H),1.79(d,2H),1.70−1.44(m,4H),1.32−0.98(m,16H),0.86(t,3H).
〔実施例2〕
3−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.50)の合成
Figure 2007161705
第1工程
2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)オキセタン(37)(3.5g、19.5mmol)および3−(4−エチルフェニル)−酪酸−tert−ブチル(38)(15.5g、62.4mmol)を出発原料とし、実施例1の第1工程に準じて反応操作を行ない、2−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル)−5−ヒドロキシ−5−(
トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(39)(7.5g、17.5mmol)を得た。化合物(37)からの収率は90%であった。
第2工程
2−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(39)(7.5g、17.5mmol)を出発原料とし、実施例1の第2工程に準じて反応操作を行ない、3−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.50)2.7g(7.5mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(39)からの収率は43%であった。
得られた化合物No.50の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃):C 116.2 S 159.7 I
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.50)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm):7.13(s,4H),4.08−3.94(m,1H),2.70(t,2H),2.62(q,2H),2.45−1.81(m,6H),1.78(d,2H),1.70−1.43(m,4H),1.34−0.97(m,12H),0.86(t,3H).
〔実施例3〕
3−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.34)の合成
Figure 2007161705
第1工程
1−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)オキセタン(37)(3.1g、17.0mmol)および2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−酢酸−tert−ブチル(40)(12.3g、54.4mmol)を出発原料として、実施例1の第1工程に準じて反応操作を行ない、2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(41)(6.8g、14.5mmol)を得た。化合物(37)からの収率は85%であった。
第2工程
2−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(41)(6.8g、14.5mmol))を出発原料とし、実施例1の第2工程に準じて反応操作を行ない、3−(
トランス−4−エチルシクロヘキシル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.34)1.9g(5.8mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(41)からの収率は40%であった。
得られた化合物No.34の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃):C 211.6 I
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.34)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm):4.03−3.99(m,1H),2.36−2.31(m,1H),2.03−1.46(m,13H),1.36−0.87(m,23H).
〔実施例4〕
3−プロピル−6−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.75)の合成
Figure 2007161705
第1工程
2−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)オキセタン(42)(7.5g、30.9mmol)およびペンタン酸−tert−ブチル(43)(15.6g、98.9mmol)を出発原料とし、実施例1の第1工程に準じて反応操作を行ない、2−プロピル−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(44)(11.6g、28.8mmol)を得た。化合物(42)からの収率は93%であった。
第2工程
2−プロピル−5−ヒドロキシ−5−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)ペンタン酸−tert−ブチル(44)(11.6g、28.8mmol)を出発原料とし、実施例1の第2工程に準じて反応操作を行ない、3−プロピル−6−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.75)3.6g(10.9mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(44)からの収率は38%であった。
得られた化合物No.75の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃):C 119.2 I
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−プロピル−6−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.75)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm):7.11(s,4H),4.13−4.05(m,1H),2.62(t,2H),2.49−2.35(m,2H),2.15−2.02(m,2H),1.97−1.82(m,5H),1.72−1.25(m,10H),1.21(t,3H),0.94(t,3H).
〔実施例5〕
3−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.25)の合成
Figure 2007161705
第1工程
1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)アセトニトリル(45)(3.9g、25.5mmol)のTHF150mlの溶液にリチウムジイソプロピルアミド15ml(2Mトルエン溶液:30.0mmol相当)窒素雰囲気下−70℃以下を保つように滴下し、その後昇温し0℃で30分間反応させた。この反応液に1−ヨード−3,3−(エチレンジオキシ)ノナン(46)(9.6g、30.0mmol)のTHF90mlの溶液を窒素雰囲気下、0℃を保つように滴下し、同温度で2時間反応させた。この反応混合物を氷冷した飽和NHCl水溶液200mlへ注いだのち、酢酸エチル200mlにて抽出した。得られた有機層を水洗(150ml×2)したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下にて溶媒を溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=30/1、充填剤:シリカゲル)で精製して、1−シアノ−1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4,4−(エチレンジオキシ)デカン(47)(6.2g、18.3mmol)を得た。得られた化合物は無色液体であり、化
合物(45)からの収率は72%であった。
第2工程
第1工程で得られた1−シアノ−1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4,4−(エチレンジオキシ)デカン(47)(6.2g、18.3mmol)のエタノール120ml溶液に、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.9g、3.6mmol)を加え、加熱環流を10時間行なった。この反応混合物を室温まで冷却した後、飽和重曹水100ml中に注ぎ、酢酸エチル100mlにて抽出した。得られた有機層を水洗(100ml×2)した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下にて溶媒を溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=9/1、充填剤:シリカゲル)で精製して、1−シアノ−1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−デカノン(48)(5.1g、17.4mmol)を得た。得られた化合物は無色液体であり、化合物(47)からの収率は95%であった。
第3工程
第2工程で得られた1−シアノ−1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−デカノン(48)(5.1g、17.4mmol)のTHF100ml/メタノール50ml溶液を氷冷し、水素化ホウ素ナトリウム(0.79g、20.9mmol)を少しずつ加えたのち、氷冷下で1時間攪拌した。この反応混合物を氷水100ml中に注ぎ、酢酸エチル100mlにて抽出した。得られた有機層を水洗(100ml×2)した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下にて溶媒を溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=4/1、充填剤:シリカゲル)で精製して、1−シアノ−1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−デカノール(49)(5.1g、17.4mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(48)からの収率は100%であった。
第4工程
第3工程で得られた1−シアノ−1−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−4−デカノール(49)(5.1g、17.4mmol)の1,3−ジオキサン200mlの溶液に、濃塩酸20mlを加え、加熱環流を20時間行なった。この反応混合物を室温まで冷却した後、水100ml中に注ぎ、酢酸エチル100mlにて抽出した。得られた有機層を水洗(100ml×2)した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下にて溶媒を溜去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=20/1、充填剤:シリカゲル)で精製した後、ヘプタンから再結晶して、3−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(No.25)(2.1g、6.9mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(49)からの収率は40%であった。
得られた化合物No.25の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃):C 48.3 I
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.25)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm): 化学シフトδ(ppm):4.28−4.17(m,1H),3.34(s,3H),3.11−3.04(m,1H),2.44−2.31(m,1H),2.10−1.08(m,26H),0.88(t,3H).
〔実施例6〕
3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.86)の合成
Figure 2007161705
第1工程
1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)アセトニトリル(50)(4.6g、17.0mmol)および1−ヨード−3,3−(エチレンジオキシ)ノナン(46)(6.4g、20.4mmol)を出発原料とし、実施例5の第1工程に準じて反応操作を行ない、1−シアノ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−4,4−(エチレンジオキシ)デカン(51)(5.8g、12.6mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(50)からの収率は74%であった。
第2工程
第1工程で得られた1−シアノ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−4,4−(エチレンジオキシ)デカン(51)(5.8g、12.6mmol)を出発原料として用い、実施例5の第2工程に準じて反応操作を行ない、1−シアノ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−4−デカノン(52)(5.2g、12.5mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(51)からの収率は99%であった。
第3工程
第2工程で得られた1−シアノ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−4−デカノン(52)(5.2g、12.5mmol)を出発原料として用い、実施例5の第3工程に準じて反応操作を行ない、1−シアノ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−4−デカノール(53)(4.2g、10.0mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(52)からの収率は80%であった。
第4工程
第3工程で得られた1−シアノ−1−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−4−デカノール(53)(4.2g、10.0mmol)を出発原料として用い、実施例5の第4工程に準じて反応操作を行ない、3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(No.86)(2.9g、6.9mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(53)からの収率は69%であった。
得られた化合物No.86の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃):C 76.7 SB 196.6 I
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.86)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm):4.27−4.17(m,1H),2.41−2.28(m,1H),2.06−0.79(m,48H).
<各化合物の物性>
前述した母液晶Aとして記載された5つの化合物を混合し、ネマチック相を有する母液晶Aを調製した。この母液晶Aの物性は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=74.0℃;光学異方性(Δn)=0.087;誘電率異方性(Δε)=−1.3。
〔実施例7〕
3−メチル−6−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−1−エチル)テトラヒドロ−2−ピロン(No.198)の合成
Figure 2007161705
第1工程
プロピオニトリル(54)(0.55g、10.1mmol)および1−ヨード−3,3−(エチレンジオキシ)−5−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ペンタン(55)(2.75g、6.73mmol)を出発原料とし、実施例5の第1工程に準じて反応操作を行ない、2−シアノ−7−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−5,5−(エチレンジオキシ)ヘプタン(56)(1.80g、5.36mmol)を得た。得られた化合物は無色液体であり、化合物(55)からの収率は80%であった。
第2工程
第1工程で得られた2−シアノ−7−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−5,5−(エチレンジオキシ)ヘプタン(56)(1.80g、5.36mmol)を出発原料として用い、実施例5の第2工程に準じて反応操作を行ない、2−シアノ−7−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−5−ヘプタノン(57)(1.25g、4.29mmol)を得た。得られた化合物は無色液体であり、化合物(56)からの収率は80%であった。
第3工程
第2工程で得られた2−シアノ−7−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−5−ヘプタノン(57)(1.25g、4.29mmol)を出発原料として用い、実施例
5の第3工程に準じて反応操作を行ない、2−シアノ−7−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−5−ヘプタノール(58)(0.98g、3.34mmol)を得た。得られた化合物は無色液体であり、化合物(57)からの収率は78%であった。
第4工程
第3工程で得られた2−シアノ−7−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−5−ヘプタノール(58)(0.98g、3.34mmol)を出発原料として用い、実施例5の第4工程に準じて反応操作を行ない、3−メチル−6−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−1−エチル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.198)(0.47g、1.66mmol)を得た。得られた化合物は無色結晶であり、化合物(58)からの収率は50%であった。
得られた化合物の転移温度は以下の通りである。
相転移温度(℃): C 53.24 I
H−NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであり、得られた化合物が、3−メチル−6−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−1−エチル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.198)であることが同定できた。なお、測定溶媒はCDClである。
化学シフトδ(ppm):4.25−4.16(m,1H),2.40−2.26(m,1H),2.06−0.78(m,32H).
〔実施例8〕
3−メチル−6−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.6)の物性
母液晶A85重量%と、3−メチル−6−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.6)の15重量%とからなる液晶組成物Bを調製した。液晶組成物Bの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=62.3℃;光学異方性(Δn)=0.075;誘電率異方性(Δε)=−2.40。
母液晶Aおよび液晶組成物Bの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.6)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=−7.4℃;光学異方性(Δn)=0.008;誘電率異方性(Δε)=−8.35。
母液晶Aに液晶性化合物(No.6)を加えることによって、誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、液晶性化合物(No.6)を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。また、液晶組成物Bを−10℃以下で保存しても30日もの間結晶へと変わらないことから、液晶性化合物(No.6)は低温での相溶性に優れていることがわかった。
〔実施例9〕
3−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.50)の物性
母液晶A90重量%と、3−(2−(4−エチルフェニル)−1−エチル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.50)の10重量%とからなる液晶組成物Cを調製した。液晶組成物Cの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=74.0℃;光学異方性(Δn)=0.087;誘電率異方性(Δ
ε)=−2.10。
母液晶Aおよび液晶組成物Cの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.50)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=68.6℃;光学異方性(Δn)=0.087;誘電率異方性(Δε)=−7.68。
母液晶Aに液晶性化合物(No.50)を加えることによって誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、液晶性化合物(No.50)を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。
〔実施例10〕
3−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.34)の物性
母液晶A90重量%と、3−(トランス−4−エチルシクロヘキシル)−6−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.34)の10重量%とからなる液晶組成物Dを調製した。液晶組成物Dの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=77.5℃;光学異方性(Δn)=0.084;誘電率異方性(Δε)=−2.17。
母液晶Aおよび液晶組成物Dの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.34)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=103.6℃;光学異方性(Δn)=0.057;誘電率異方性(Δε)=−8.83。
母液晶Aに液晶性化合物(No.34)を加えることによって、上限温度(TNI)が大きく上昇した。また、母液晶Aに液晶性化合物(No.34)を加えることによって誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、液晶性化合物(No.34)を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。
〔実施例11〕
3−プロピル−6−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.75)の物性
母液晶A95重量%と、3−プロピル−6−(トランス−4−(4−エチルフェニル)シクロヘキシル)テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.75)の5重量%とからなる液晶組成物Eを調製した。液晶組成物Eの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=74.5℃;光学異方性(Δn)=0.087;誘電率異方性(Δε)=−1.85。
母液晶Aおよび液晶組成物Eの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.75)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=72.6℃;光学異方性(Δn)=0.093;誘電率異方性(Δε)=−9.45。
母液晶Aに液晶性化合物(No.75)を加えることによって、誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、この化合物を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。
〔実施例12〕
3−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−
ピロン(化合物No.25)の物性
母液晶A85重量%と、3−(トランス−4−メトキシシクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.25)の15重量%とからなる液晶組成物Fを調製した。液晶組成物Fの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=56.1℃;光学異方性(Δn)=0.074;誘電率異方性(Δε)=−2.61.
母液晶Aおよび液晶組成物Fの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.25)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=−48.7℃;光学異方性(Δn)=−0.003;誘電率異方性(Δε)=−9.35.
母液晶Aに液晶性化合物(No.25)を加えることによって、誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、この化合物を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。
〔実施例13〕
3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.86)の物性
母液晶A90重量%と、3−(トランス−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(化合物No.86)の10重量%とからなる液晶組成物Gを調製した。液晶組成物Gの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=77.3℃;光学異方性(Δn)=0.085;誘電率異方性(Δε)=−1.68.
母液晶Aおよび液晶組成物Gの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.86)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=128.6℃;光学異方性(Δn)=0.051;誘電率異方性(Δε)=−6.62.
母液晶Aに液晶性化合物(No.86)を加えることによって、上限温度(TNI)が大きく上昇し、誘電率異方性(Δε)が負に大きくなった。母液晶Aに液晶性化合物(No.86)を加えることによって、誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、この化合物を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。
〔実施例14〕
3−メチル−6−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−1−エチル)テトラヒドロ−2−ピロン(No.198)の物性
母液晶A85重量%と、3−メチル−6−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)−1−エチル)テトラヒドロ−2−ピロン(No.198)の15重量%とからなる液晶組成物Hを調製した。液晶組成物Hの物性は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=63.2℃;光学異方性(Δn)=0.077;誘電率異方性(Δε)=−2.30.
母液晶Aおよび液晶組成物Hの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した液晶性化合物(No.198)の物性値は以下のとおりであった。
上限温度(TNI)=−1.4℃;光学異方性(Δn)=0.020;誘電率異方性(Δε)=−7.12。
母液晶Aに液晶性化合物(No.198)を加えることによって、誘電率異方性(Δε)が負に大きくなったことから、この化合物を含む液晶組成物を構成要素とする液晶表示素子は、低電圧で駆動可能であることが分かった。
〔実施例15〕
これまで述べた合成方法と同様の方法により、以下に示す化合物No.1〜No.198を合成する。転移温度、上限温度、光学異方性および誘電率異方性の物性値を合わせて示す。
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
Figure 2007161705
〔比較例〕
特許文献1(特開2004−292774公報)に報告されている、以下に示す3−(4−メトキシフェニル)−6−ヘキシル−テトラヒドロ−2−ピロン(比較化合物(e))を合成した。
Figure 2007161705
実施例11と比較するため、母液晶A 85重量%と比較化合物(e)15重量%から
なる液晶組成物の調製を試みたが、結晶が析出し調製が困難であった。そこで比較化合物(e)の割合を除々に減少し、母液晶A 95重量%と、比較化合物(e)5重量%から
なる液晶組成物Hを調製した。液晶組成物Hの物性値は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=68.2℃;光学異方性(Δn)=0.085;誘電率異方性(Δε)=−1.73。
母液晶Aおよび液晶組成物Hの物性値と化合物の混合比から、外挿法により算出した比較化合物(e)の物性値は以下の通りであった。
上限温度(TNI)=−53.4℃;光学異方性(Δn)=0.045;誘電率異方性(Δε)=−7.24。
また、液晶組成物H(母液晶A 95重量%と、比較化合物(e)5重量%)は−10
℃において1日で結晶化したのに対し、実施例11で調製した液晶組成物F(母液晶A
85重量%と化合物No.25 15重量%)は−10℃において30日もの間ネマチック相を維持した。従って、本発明化合物No.25は比較化合物(e)よりも優れた低温相溶性を示すことがわかった。

Claims (26)

  1. 下記一般式(a−1)から(a−6)のいずれか1つで表されるネマチック液晶性化合物。
    Figure 2007161705
    (式(a−1)〜(a−6)中、RaおよびRbは独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであるが、このアルキルにおいて、−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、水素はハロゲンで置き換えられていてもよく;
    環Aおよび環Aは独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において水素はハロゲンで置き換えられてもよく、環がトランス−1,4−シクロへキシレンである場合には−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−CHCH−は−CH=C−で置き換えられてもよく
    およびZは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、または−CHCH−である。
    ただし、式(a−3)において、
    環Aがトランス−1,4−シクロへキシレンであるときは、Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCH―、または−CHO−であり、
    Raが−Cであり、Rbが−OCであり、Zが単結合であるときは、環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンであり、
    式(a−4)において、
    環Aがトランス−1,4−シクロへキシレンであるときは、Zは単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、または−CHO−である。)
  2. 上記式(a−1)または式(a−2)で表され、RaおよびRbが、独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  3. 上記式(a−1)または式(a−2)で表され、RaおよびRbが、独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  4. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、ZまたはZが単結合である請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  5. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  6. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  7. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、RaおよびRbが独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  8. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  9. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  10. 上記式(a−3)、(a−4)、(a−5)、または(a−6)で表され、RaおよびRbが、独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである請求項1に記載のネマチック液晶性化合物。
  11. 下記一般式(b−1)から(b−6)のいずれか1つで表されるネマチック液晶性化合物。
    Figure 2007161705
    (式(b−1)〜(b−6)中、RcおよびRdは独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1〜10のアルキルであるが、このアルキルにおいて、−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、水素はハロゲンで置き換えられていてもよく;
    環Aおよび環Aは独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において水素はハロゲンで置き換えられてもよく、環がトランス−1,4−シクロへキシレンである場合には−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、−CHCH−は−CH=C−で置き換えられていてもよく、
    およびZは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、または−CHCH−である。
    ただし、式(b−2)において、RcがCであるときは、Rdは炭素数1〜4、または炭素数6〜9のアルコキシであり;
    式(b−2)および(b−6)において、Rcが炭素数1〜10のアルキルであり、かつRdが炭素数1〜10のアルキルである化合物は除く。)
  12. 上記式(b−1)または式(b−2)で表され、RcおよびRdは独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  13. 上記式(b−1)または式(b−2)で表され、RcおよびRdは独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  14. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、ZまたはZが単結合である請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  15. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、環Aまた
    は環Aが1,4−シクロヘキシレンである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  16. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  17. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、RcおよびRdは独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが1,4−シクロヘキシレンである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  18. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  19. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、任意の水素がハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  20. 上記式(b−3)、(b−4)、(b−5)、または(b−6)で表され、RcおよびRdが独立して、水素、または炭素数1〜10のアルキルであり、ZまたはZが単結合であり、環Aまたは環Aが、ハロゲンで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンである請求項11に記載のネマチック液晶性化合物。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載した化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有するネマチック液晶組成物。
  22. 下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、および(9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項21に記載のネマチック液晶組成物。
    Figure 2007161705
    (式(1)〜(9)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて、−CH−は−O−に置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、水素はフッ素で置き換えられてもよく、あるいはRはフッ素であってもよく;
    環Bおよび環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはデカヒドロ−2,6−ナフチレンであり;
    およびZは独立して、−(CH−、−COO−または単結合であり;
    、L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり、L、L、LおよびLの少なくとも一つはフッ素である。)
  23. 下記一般式(10)、(11)および(12)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項21に記載のネマチック液晶組成物。
    Figure 2007161705
    (式(10)〜(12)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて、−CH−は−O−に置き換えられていてもよく、−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、水素はフッ素で置き換えられてもよく;
    環D、環Eおよび環Fは独立して、1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
    およびZは独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。)
  24. 請求項23に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項22に記載のネマチック液晶組成物。
  25. 少なくとも一つの光学活性化合物をさらに含有する請求項21〜24のいずれか1項に記載のネマチック液晶組成物。
  26. 請求項21〜25のいずれか1項に記載のネマチック液晶組成物を含有する液晶表示素子。
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