JP2007157490A - 光電変換素子と光電変換素子モジュール - Google Patents

光電変換素子と光電変換素子モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】透明電極を不要とし、これにより入射光を有効利用できる光電変換素子であって、電荷輸送層の速やかな形成と高い光電変換効率を持つ素子構造との両立が可能な構造を持つ光電変換素子を提供すること、および、このような光電変換素子を複数接続してなる光電変換素子モジュールを提供することを課題とする。
【解決手段】第一支持体と、第一支持体に対向配置した第二支持体と、第一支持体上に形成されて色素が吸着された多孔質半導体層からなる光電変換層と、光電変換層と接触しつつ第二支持体側に形成された第一電極と、第一電極に対して第一支持体の面方向に配置された第二電極と、第一支持体と前記第二支持体との間に設けられた電荷輸送層とを特徴とする光電変換素子および、その第一電極を隣接する光電変換素子の第二電極と直列接続してなる光電変換素子モジュールである。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池や光センサなどに用いる光電変換素子、およびそれらを接続した光電変換素子モジュールに関する。
化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として、太陽電池が注目されている。現在実用化されている太陽電池としては、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池がある。しかし、前者はシリコン基板の作製コストが高いこと、後者は多種の半導体ガスや複雑な装置を用いるために製造コストが高いことが問題となっている。
これに対し、新しいタイプの太陽電池として特許第2664194号公報(特許文献1)において、金属錯体の光誘起電子移動を応用した湿式太陽電池が示された。この湿式太陽電池は、2枚のガラス基板にそれぞれ形成された電極間に、多孔質半導体層と電荷輸送層とを配置して光電変換素子を構成したものである。この多孔質半導体層は、光増感色素(以下、単に「色素」という)を吸着することで、可視光領域に吸収スペクトルをもつようになる。よって、この方式の湿式太陽電池を色素増感太陽電池と呼ぶ。
上記構成を持つ従来の色素増感太陽電池の動作原理を、以下に簡単に述べる。
色素増感太陽電池に入射した光は、ガラス基板と透明電極を透過し、多孔質半導体層に吸着した色素に吸収される。光を吸収した色素からは励起電子が発生し、この電子は多孔質半導体層を経由して透明電極(集電電極)へと移動する。透明電極に移動した電子はさらに外部電気回路を経由して対極へと達し、さらに電荷輸送層中の酸化還元種によって運ばれて酸化状態にある色素へと戻る。このような電子移動の繰り返しにより電気エネルギーが取り出される。
このような従来の色素増感太陽電池における光電変換効率の低下原因として、透明電極による入射光の吸収を挙げることができる。一例を挙げると、色素増感太陽電池における透明電極として広く用いられている酸化スズと酸化亜鉛の透過率(両方とも厚さ7μm)はそれぞれ82%、67%であり、これだけで入射光の約2割〜3割が失われていることが分かる。
もちろん、透明電極を薄く形成すれば入射光の損失を低減できるが、その場合は透明電極の電気抵抗が大きくなり、電極面内方向の電圧降下が増大し、ひいては太陽電池としての内部直列電気抵抗が増大するため、光電変換時の電流電圧特性における曲線因子(フィルファクタ。FFと表記される)が低下し、光電変換効率が低下(具体的には、例えば短絡電流Jscが低下することをいう。以下同じ)するという問題が生じる。
この問題に対し、透明電極を用いない色素増感太陽電池が特開平11−266028号公報(特許文献2)に開示されている。すなわち、一方の支持体上に第一電極(集電電極)と第二電極(対極)とを櫛型に設け、第一電極上に色素を吸着した多孔質半導体層(光電変換層)を形成し、第二電極と光電変換層との間に電荷輸送層を形成した色素増感太陽電池である。
特許第2664194号公報 特開平11−266028号公報
しかしながら、上記特許文献2の色素増感太陽電池(図10(a)参照)においては、電荷輸送層6の速やかな形成と高い光電変換効率を持つ素子構造との両立が難しいという問題がある。
すなわち、特許文献2の実施例に示される電荷輸送層6は、シリカなどからなる無機多孔質体を第二電極4上に形成しておき、さらにその上に光電変換層5を形成した後に、上記無機多孔質体内部に電解液等(以下「電解液等」とは電解液、ゲル電解質、溶融塩電解質のいずれかを指す)を含浸させることにより作製されるが、この素子構造においては電解液等を含浸させる注入経路が極めて限られていることが分かる。すなわち図10中のいずれかの支持体に貫通口(電解液注入口)8を開けておき、ここから電解液等を注入する際、光電変換層5と支持体間に空隙が無いために、電解液等は光電変換層5の空孔内のみを伝って広がり、第二電極4上に形成された無機多孔質体にたどり着いて電荷輸送層6を形成することになる。
このような、光電変換層5の空孔内のみを経路とする注入は注入不良(電解液等が注入されない領域が残ること)を起こしやすい。さらには注入時間が長くかかることで、光電変換素子の製造時における製造タクトの増加を招き、ひいては製造コスト増加の要因となる。
もちろん、図10(b)、図10(c)に示すように光電変換層5と封止層7との間および/または光電変換層5と第二支持体2との間に空隙を設け、これを電解液等の注入経路1001とすることは可能であるが、光電変換層5と封止層7との間に空隙を開けた場合(図10(b))においては、光電変換層5への電解液等の侵入が光電変換層5の側面からのみであるため、大きな注入時間短縮は期待できない。光電変換層5の表面の細かな凹凸により、第2支持体2との間に不定期な隙間がある場合であっても、このような隙間への電解液等の侵入速度は光電変換層5の空孔内への含浸速度とあまり変わることは無く、大きな注入時間短縮は期待できない。
また、光電変換層5と第二支持体2との間に空隙を設けた場合(図10(c))においては、この空隙に充填された電解液等により、第二支持体2側から光電変換素子へ入射する光の一部が吸収されるため、光電変換効率が低下する。
本発明は透明電極を不要とし、これにより入射光を有効利用できる光電変換素子であって、電荷輸送層の速やかな形成と高い光電変換効率を持つ素子構造との両立が可能な構造を持つ光電変換素子を提供すること、および、このような光電変換素子を複数接続してなる光電変換素子モジュールを提供することを目的としている。
本発明は、透光性を持つ第一支持体と、
前記第一支持体に対向配置した第二支持体と、
前記第一支持体上に形成され、色素が吸着された多孔質半導体層からなる光電変換層と、
前記光電変換層と接触し、前記第二支持体側に形成された第一電極と、
前記第一電極に対し、前記第一支持体の面方向に配置された第二電極と、
前記第一支持体と前記第二支持体との間に設けられた電荷輸送層とを有する光電変換素子を提供する。
また本発明は、上記構造を持つ光電変換素子が、前記支持体のいずれかを共通支持体として複数接続されてなる光電変換素子モジュールであって、任意の前記第一電極が、隣接する前記光電変換素子の前記第二電極と直列接続されている光電変換素子モジュールを提供する。
本発明の光電変換素子によれば、光入射側の支持体である第一支持体と光電変換層との間に透明電極を形成する必要が無い。そのため透明電極の光吸収に伴う光電変換効率の低下を防止できる。
また本発明の光電変換素子によれば、第一電極が透明である必要が無いことから、電極材料としてITO(インジウム−スズ複合酸化物)や酸化スズ、酸化亜鉛などの透明導電材料よりも電気抵抗値が低い金属(例えば金、白金、タングステン、チタン、アルミニウム、ニッケル)やそれらの合金を用いることができ、第一電極を構成する材料選択の自由度が増すと共に、第一電極の電気抵抗による光電変換効率の低下を抑制できる。
また本発明の光電変換素子によれば、第二支持体2と光電変換層5との間に空隙があり、これが電解液等の注入経路となるので、電解液等の注入が容易となり、電荷輸送層6の形成が速やかに行なえる。すなわち本発明の光電変換素子によれば、電荷輸送層の速やかな形成(電解液等の速やかな注入による)と高い光電変換効率を持つ素子構造(光入射側である第一支持体と光電変換層の間に透明電極や電解液等が満たされた領域が無いことによる)との両立が可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
< 実施形態1>
本発明における実施形態1を、図1を用いて説明する。
本実施形態の光電変換素子100は、透光性を持つ第一支持体1と、第一支持体1に対向配置した第二支持体2と、第二電極4は第一電極3に対し第一支持体1の面方向に配置され、かつ第二支持体2上に各々ストライプ状に形成されて交互に配置された第一電極3ならびに第二電極4と、第一支持体1上に形成されて第一電極3と接触した光電変換層5と、第一支持体1と第二支持体2との間に設けられた電荷輸送層6とを有し、さらに封止層7を有する光電変換素子である。この封止層7は電荷輸送層6に含まれる溶媒の蒸発や外部からの水分侵入を防ぎ、両支持体を貼り合わせる働きをする。
光電変換素子100における電解液等の注入経路について、第二支持体2側から見た平面図(図1(b))ならびに電解液等の注入経路図(図1(c))を用いて詳しく説明する。
図1(b)に示すように、光電変換素子100における封止層7は、光電変換層5を囲むように形成されている。
ここで、上記封止層7で囲まれた領域内部に電解液等を注入することで電荷輸送層6を形成するので、この領域内に1個以上の電解液注入口8を開けておく必要がある。電解液注入口8は第一支持体1に開けても第二支持体2に開けても構わない。
ここで、電解液注入口8と光電変換層5との間に空隙が無いと、電解液等の注入時間が長くなり、注入不良を起こす可能性も高くなる。よって、光電変換層5と電解液注入口8は非接触である必要がある。好ましい位置関係としては、光電変換層5の非形成領域に電解液注入口8を開けることを挙げることができる。
すなわち電解液注入口8の好ましい形成位置は、封止層7によって囲まれた領域内部であり、かつ、光電変換層5の非形成領域であることが分かる。
このような位置に電解液注入口8を開けることにより、注入された電解液等は図1(c)に示す経路を通ることができ、これにより速やかな電荷輸送層6形成が可能となる。
ここで「図1(c)に示す経路」とは、「封止層7と光電変換層5の形成領域に挟まれた空隙601→封止層7と光電変換層5の形成領域に挟まれた空隙であり、かつ、第一電極3または第二電極4と第一支持体1に挟まれた空隙602→第一電極3および/または第二電極4の厚みによって規定された、第二支持体2と光電変換層5との間の空隙603」を示すが、これら全てが必要なわけではなく、601,602,603に示す空隙のうち、いずれか1つがあれば、従来構造(図10(a)参照)よりも高速な注入が可能となる。
また、封止層7の一部に開口部を作っておき、この封止層開口部から電解液等の注入を行なっても良い。
さらに本発明の別効果として、第一電極3と第二電極4とは、それらを第一支持体1上に投影した際に(すなわち、平面視において)重ならない位置に配置されているので、例えば第二支持体2を可撓性フィルムなどで形成した場合に、外圧で支持体間隔が狭まっても電極間の短絡を防ぐことができることが挙げられる。
<実施形態2>
本発明における実施形態2について、図2を用いて説明する。第二電極4の構成以外は実施形態1とほぼ同じ構造である。
本発明の光電変換素子において、光電変換層5中の色素が光を吸収した際に発生する励起電子は、多孔質半導体を経由して第一電極3へと集められ、外部回路へと移動する。
よって、第一電極3と光電変換層5との接触抵抗は低いほうが好ましい。そのため、第一電極3は光電変換層5上に例えば蒸着法などで直接形成することが好ましい。
次に、外部回路から第二電極4へ送られた電子は、光電変換層6中の酸化還元種を介して酸化状態の色素へと戻ってゆく。
このため、第二電極4と光電変換層5は必ずしも接触している必要はない。
よって、第二電極4は光電変換層6上に直接形成するよりも、第二支持体2上に形成するほうが好ましい。
さらに、両支持体の貼り合わせ後、第二電極4と光電変換層5は非接触であっても構わない(図2(a)参照)。
第二電極4を光電変換層5上に例えば蒸着法などで直接形成する場合には、ショットキー接触となる材料を用いるか、もしくは、両者の間に絶縁材料からなる多孔質層(セパレータ層9)を形成しておくことが好ましい(図2(b)参照)。
しかしながら、例えば第一電極3を光電変換層5上に形成した場合、図3(b)に示すように、そのままでは外部回路と接続できないという問題を生じる。
すなわち、図3(a)、図3(b)に示すように、第二支持体2上に形成した第二電極4は、支持体貼り合わせの後、そのままで端子部401が形成可能であるのに対し、光電変換層5上に形成した第一電極3は、このような端子部が形成できない。第二電極4を光電変換層5上に形成した場合、あるいは両電極共に光電変換層5上に形成した場合についても同様であるので、ここでは説明を省略する。
この問題を解決するために、第一電極3を光電変換層5上に直接形成した際には、第二支持体2上に第一電極端子部31を形成し、これを第一電極3と接触して接続用端子とすることを好ましい構造(図4参照)として挙げることができる。
ここで、第一電極端子部31は図4(b)のように光電変換層5上に形成した第一電極の略全面に接触するように形成されていてもよく、図4(c)のように光電変換層5上に形成した第一電極の一部のみに接触するように形成されていても良い。前者においては接触領域が広いので電気抵抗による光電変換効率の低下をより抑制できるという利点があり、後者には第二支持体2と第一電極3の間の空隙をより広く確保でき、電解液等の注入速度がより速くできるという利点があるので、状況に応じて選択すればよい。
<実施形態3>
図5に示すように、本実施形態の光電変換素子モジュール500は、図4に示した光電変換素子をユニットセルとし、これらを直列接続した光電変換素子モジュールであって、(モジュール端にあるもの以外の)ユニットセルの第一電極3が、第一電極端子部31を介して隣接するユニットセルの第二電極4と電気的に接続している光電変換素子モジュールである(「ユニットセル」とは、複数の光電変換素子が、いずれかの支持体を共通支持体として接続された光電変換素子モジュールにおいて、各々の光電変換素子を指す)。本実施形態の場合には、第一支持体1と第二支持体2の両方を共通支持体として複数の光電変換素子が形成されている。
第一電極端子部31と第二電極4との好ましい接続構造として、隣接する2つのユニットセルを繋ぐように第一電極端子部31を形成しておき、そのうち一方のユニットセルに対応する領域に白金などの触媒機能を持つ材料からなる第二電極4を積層する構造(図5(b)参照)を挙げることができる。
図5においては、第二電極4と光電変換層5とが接触した状態を示すが、この位置関係に限らず、第二電極4と光電変換層5との間に狭い空間を開けても良く、ここにセパレータ層9を配置しても良い(図2参照)。
また、本実施形態の光電変換素子モジュール500においては、第一電極3に対して第二電極4が第二支持体2の面方向(本実施形態においては、同時に第一支持体1の面方向でもある)に配置されているので、光電変換素子モジュール製造時に、隣接するユニットセル間の電極接続を(第一電極端子部31を介して)平面的に行なうことができる。すなわち電極接続を容易かつ確実に行なうことができる。よってモジュール作製時の電極接続不良による故障等を抑制できる。
また、上記実施形態1〜3において、第二支持体2を透光性とした場合、第二支持体2の外側に光反射層を設けることで光電変換効率を向上できる。光反射層としては銀、アルミニウム等の金属膜や、酸化チタンと酸化ケイ素の積層膜などの無機材料、または有機高分子からなる多層構造の反射フィルムなどを用いることができる。
また、上記実施形態1〜3において、第一支持体1と第二支持体2の両支持体を透光性材料で製造すれば、入射光の一部が受光面(第一支持体1)側から裏面(第二支持体2)側に透過できるようになり、採光可能な光電変換素子(または光電変換素子モジュール)とすることができる。この場合、光電変換層5の膜厚、使用する色素材料、色素の吸着量、第一電極3と第二電極4の面積や材質などを適正化することによって透過光の色や透過率を制御できる。さらに、光電変換素子(または光電変換素子モジュール)を裏面側からも光入射が可能な環境に設置することで、発電量を高めることもできる。
なお、上記実施形態3ならびに後述する実施例2における光電変換素子モジュールでは、全てのユニットセルを直列接続した構造のみを例示するが、本発明における光電変換素子モジュールはこれに限らず、ユニットセルの少なくとも一部を並列接続したものであっても構わない。
以下に、本発明の光電変換素子及び光電変換素子モジュールに使用する部材について、それぞれ詳しく説明する。
<支持体について>
第一支持体1の材料としては、多孔質半導体層を形成するときに必要なプロセス温度に対する耐熱性と、透光性を有していれば特に限定されない。
耐熱性としては、エチルセルロースなどの有機バインダーを含有した多孔質半導体形成用ペーストを用いる場合には、この有機バインダーの分解温度(例えば450〜600℃程度)に対する耐熱性があることが必要だが、有機バインダーを含有していないペーストを用いるならば120℃程度の耐熱性があればよい。
透光性とは、可視光領域(波長400nm〜800nm)において、少なくとも平均10%以上の透過率を持つことを示し、通常は平均50%以上、好ましくは平均80%以上の透過率を持つことを示す。
具体的にはソーダガラス、溶融石英ガラス、結晶石英ガラス等のガラス基板、耐熱性樹脂板、セラミック基板等の材料が挙げられる。耐熱性樹脂板は、例えば、ポリエステル、ポリアクリル、ポリイミド、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETなどからなる。
第二支持体2の材料としては、プロセス温度に対する耐熱性を有していれば特に限定されない(透光性は必ずしも必要ではない)。一般に第二支持体2は第一支持体1ほどの高温で加熱する必要がなく、それほど耐熱性は必要としないため、強化ガラスやより安価で軽量な可撓性フィルム等、より多種類の材料を用いることが可能である。
ただし、電荷輸送層6に揮発性溶媒を使用する場合は、両支持体共に溶媒に対して安定で、かつ透湿性の低い材料を用いることが好ましい。
なお、これら支持体は、完成した光電変換素子を他の構造体に取り付けるときに利用することも可能である。つまり、ガラスやセラミック等の支持体を用いた際には、それを金属加工部品やネジを用いて他の構造体(例えば建物の外壁や街灯の支柱など)に容易に取り付けることができる。
<第一電極3について>
第一電極3は、光電変換層5で発生した電子を外部回路に取り出す機能を有する。スムーズに電子を取り出すため、第一電極3は、光電変換層5とオーミック接触となる材料で形成されることが好ましい。具体的には、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、ニッケル、タンタル、鉄等が挙げられ、これらの合金でも良い。また、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、フッ素ドープされた酸化スズ、ボロン、ガリウムまたはアルミニウムがドープされた酸化亜鉛、ニオブがドープされた酸化チタン等の透明導電性金属酸化物も十分な厚みで形成することで使用可能となる。
電荷輸送層6にヨウ素等の腐食力の強い材料を有する場合には耐食性が必要となる。この場合、酸化物導電材料、耐食性の強い金属または表面に緻密な酸化物材料を構成する金属等が好ましく用いられ、具体的にはITO、フッ素ドープされた酸化錫、チタン、タンタル等が挙げられる。耐食性が必要となる部分は電荷輸送層6と第一電極3との界面のみであるため、第一電極3の表面を耐食性の強い材料で被覆する方法でもよい。
第一電極3は、例えばストライプ状に形成することができ、その幅は、同一素子内の第二電極4と接触しなければ一様でなくてもよい。ただし、光電変換素子モジュールを作製する場合、ユニットセル同士を直列に接続する部分に関しては、第一電極3と第二電極4が接触していてもよい。
第一電極3を同一素子内に複数形成する場合、これらの間隔は光電変換層中5の電子が第一電極3に到達できる程度であれば特に限定されないが、例えば100μm以内であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以内である。なぜなら、この場合、光電変換層5中の最も離れた位置と第一電極3との距離が大きくなりすぎず、光電変換層5で発生した電子が第一電極3に到達可能だからである。同様の理由により、光電変換層5の端とこの端に最も近い位置にある第一電極3との距離も、例えば50μm以内であることが好ましい。また、第一電極3間の最小距離は、接触せず形成できる程度であれば特に限定されないが、例えば間隔が1μm以上であればよい。
なお、第一電極端子部31の材料については第一電極3と同様であり、形状については第一電極3と接触し、外部回路またはユニットセル間を接続するものであればいかなる形状であってもよい。
<第二電極4について>
第二電極4は、外部回路から電子を取り入れる機能と、酸化還元反応を促進させることにより、電子を電荷輸送層6中の酸化還元種にスムーズに渡す機能(触媒機能という)の、2つの機能を有する。第二電極4の表面に用いる材料としては、後述する電荷輸送層5での酸化還元反応を促進させるもの(触媒機能を有するもの)であればよい。例えば、白金やパラジウムまたはそれらを含む合金や、カーボン(カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、フラーレン)などで形成することができる。
第二電極4は、例えばストライプ状に形成することができ、その幅は、同一素子内の第一電極3と接触しなければ一様でなくてもよい。
第二電極4同士の間隔は酸化還元種が第二電極4に到達できる程度であれば特に限定されないが、例えば150μm以内であることが好ましく、さらに好ましくは100μm以内である。なぜなら、この程度の間隔であれば、光電変換層5中の最も離れた位置と第二電極4との間での酸化還元種の移動距離が大きくなりすぎないためである。同様の理由により、光電変換層5の端とこの端に最も近い位置にある第二電極4との距離も、例えば75μm以内であることが好ましい。ただし、この距離は電荷輸送層6中の酸化還元種の移動度が大きくなれば大きくても良く、移動度が小さくなれば小さいほうが良い。
第二電極4は、光電変換層5と接触していても非接触であってもよいが、両者が接触する構造を用いる場合、光電変換層5から第二電極4への電子注入を防ぐために、第二電極4は光電変換層5とショットキー接触となる材料で形成されることが好ましい。
第二電極4と光電変換層5との間に狭い空間を開けて両者を非接触とすることができる。ただし、この空間は薄い方が好ましい(例えば数μm〜サブミクロンレベル)。そうすることで、電荷輸送層6中の酸化還元種の移動距離を短くでき、従来構造よりも光電変換効率を向上することが可能となるからである。
また、第二電極4と光電変換層5との間にセパレータ層9を形成することで両者を非接触にすることもできる。このセパレータ層9も上記の理由により薄い方が好ましい。
<光電変換層5について>
光電変換層5は、色素が吸着された多孔質半導体層からなる。
多孔質半導体層を構成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム等の公知の半導体を1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。中でも、変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタンが好ましい。
半導体層を支持体上に形成する方法としては、種々の公知の方法を使用することができる。主な方法としては、
1・スクリーン印刷法、インクジェット法などにより、支持体上に半導体粒子を含有するペーストを塗布し、その後焼成する方法。
2・支持体上に所望の原料ガスを用いたCVD法またはMOCVD法等により成膜する方法。
3・原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法。
4・ゾル−ゲル法。
5・電気化学的な酸化還元反応を利用した方法。
等が挙げられる。このうち、厚膜化や製造コストの観点より、ペーストを用いたスクリーン印刷法が好ましい。
多孔質半導体層の膜厚は、特に限定されるものではないが、光電変換効率の観点より、5〜50μm程度が好ましい。
光電変換効率を向上させるためには、後述する色素を多孔質半導体層により多く吸着させることが必要である。このため、多孔質半導体層は、比表面積の大きなものが好ましく、10〜200m/g程度が好ましい。なお、上記の比表面積はBET吸着法により測定した値である。
上述の半導体粒子としては、市販されているもののうち適当な平均粒径、例えば1nm〜500nm程度の平均粒径を有する単一又は化合物半導体の粒子を好ましく用いることができる。
上述の半導体層の乾燥及び焼成は、使用する支持体や半導体粒子の種類により、温度、時間、雰囲気等の条件を適宜調整して行われる。そのような条件として、例えば、大気下又は不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒〜12時間程度が挙げられる。この乾燥及び焼成は、単一の温度で1回又は温度を変化させて2回以上行なうことができる。
多孔質半導体層に吸着して光増感剤として機能する色素としては、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収をもつ種々の色素(金属錯体や有機色素)が挙げられる。更に、半導体層に色素を強固に吸着させるためには、色素分子中にカルボン酸基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するものが好ましい。これらの中でも、カルボン酸基及びカルボン酸無水基がより好ましい。なお、インターロック基は、励起状態の色素と半導体層の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
これらインターロック基を含有する色素として、例えば、ルテニウムビピリジン系色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素等が挙げられる。
色素を溶解させる溶媒としては、色素を溶解可能なものであればよく、具体的には、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物類、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、水等が挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。
色素を半導体層に吸着させる方法としては、例えば支持体上に形成された半導体層を、色素溶液に浸漬する方法が挙げられる。
溶液中の色素濃度は、使用する色素及び溶媒の種類により適宜調整することができるが、吸着機能を向上させるためにはできるだけ高濃度である方が好ましく、例えば1×10−5モル/リットル以上であることが好ましい。
<電荷輸送層6について>
電荷輸送層6は、第一支持体1と第二支持体2との間に設けられる。電荷輸送層6の好ましい形成法としては、例えば、第一支持体1と第二支持体2との間に電解液等を注入し、充填することによって形成する方法を挙げることができる。
電荷輸送層6は、酸化還元種(イオン)とこれを保持可能な媒体からなる。媒体として液体(溶媒)を用いれば電解液となり、高分子ゲルを用いればゲル電解質となる。
酸化還元種は、具体的には、鉄系、コバルト系など金属類や、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンであり、一般にヨウ素が用いられる。なお、電荷輸送層6は、種々の方法で、ゲル化又は擬固体化させたものであってもよい。
ヨウ素を酸化還元種として用いる場合、一般に電池等に使用できるものであれば特に限定されないが、その中でも、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム等の金属ヨウ化物との組み合わせが最も好ましい。さらに、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド等のイミダゾール塩等を混入させてもよい。
また、上記酸化還元種を溶解するための溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等が挙げられるが、その中でも、カーボネート化合物やニトリル化合物が好ましい。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いることもできる。一方、溶媒の揮発が問題となる場合は、溶媒の代わりに溶融塩を用いてもよい。
電荷輸送層6中の電解質濃度は、電解質の種類により適宜選択され得るが、一般的には0.01〜1.5モル/リットルの範囲が好ましい。
<封止層7について>
電荷輸送層6で使用される溶媒の揮発と水等の浸入を防ぐために、第一支持体1と第二支持体2との間を封止する封止層7を形成することが好ましい。
また、封止層7を光電変換素子モジュールにおける、ユニットセル間の絶縁層として兼用することが、さらに好ましい。
封止層7は、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、またはガラスフリットなどの材料を用いて形成することが好ましい。特に、電荷輸送層6中の溶媒としてニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒を使用する場合、シリコーン樹脂やアイオノマー樹脂 、ポリイソブチレン系樹脂、ガラスフリットなどが好ましく用いられる。また、2種類以上の材料を二層以上にして用いることもできる。
上記樹脂は熱可塑性、熱硬化性、光硬化性の何れかの性質を持っていることが好ましい。
封止層7のパターンは、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ガラスフリットなどを使用する場合、ディスペンサやスクリーン印刷などの公知の方法によって形成することができる。また、熱可塑性(ホットメルト)樹脂を使用する場合は、シート状のホットメルト樹脂にパターニングした穴を開けて、任意形状の封止層7を形成することができる。
<電解液注入口8について>
電解液注入口8は、第一支持体1と第二支持体2によって規定された空隙内に電解液等を注入することにより電荷輸送層6を形成するために、いずれかの支持体に形成される貫通口である(注入するのは電解液に限らず、ゲル電解質や溶融塩電解質であっても良い)。
電解液注入口8の大きさや個数は、光電変換素子自体の形状や注入する電解液等の溶媒や粘度に応じて適宜選択されるが、一般的にはφ0.5mm〜5mm程度の貫通口であり、YAGレーザー、CO2レーザー、ダイヤモンドドリル、穿孔用超音波加工機などを用いて、光電変換素子(もしくはユニットセル)1個につき1個以上形成される。
光電変換素子(もしくはユニットセル)1個につき2個以上の電解液注入口8を形成した場合には、それらの一部を減圧口として利用しても良い。減圧口とは光電変換素子(もしくはユニットセル)をポンプやアスピレータなどとつないで、排気・減圧するための貫通口である。このような減圧工程を含む注入法により、電解液等の注入速度をさらに速めたり、注入不良を抑制することが可能になる。
<セパレータ層9について>
セパレータ層9は必須の部材ではないが、第二電極4と光電変換層5との間に形成され、両者の接触によって生じる漏れ電流を抑制する働きをする。多孔質なので空孔中に電荷輸送層6に含まれる電解液等を含有でき、第二電極4から光電変換層5への電荷移動を維持しうる。
セパレータ層9の材料は多孔質になりうる絶縁材料であれば特に限定されないが、有機高分子、ガラス、セラミックス等を挙げることができる。有機高分子としてはポリフッ化ビニリデンなどを挙げることができ、セラミックスとしてはルチル型酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化ジルコニウム等の酸化物系セラミックス及び炭化チタン、炭化ケイ素、炭化アルミ等の炭化物系セラミックを挙げることができる。
本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
図6に示すような光電変換素子の作製を行った。その製造工程を以下に示す。
1・第一支持体1上への多孔質半導体層の作製
市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名Ti−NanoxideD/SP、平均粒径13nm)をスクリーン印刷法により、第一支持体1としてのガラス基板1(4cm角)上に2cm角で塗布し、500℃で20分間焼成することで、膜厚15μmの多孔質半導体層を得た。
2・多孔質半導体層上への第一電極3の作製
多孔質半導体層上に電子ビーム蒸着法により、チタンからなる第一電極3を幅40μm、間隔40μm、膜厚5μmのストライプ状に作製した。
3・多孔質半導体層上への色素吸着
N719(Solaronix社製 Ru535bisTBA:下図参照)を、3×10−4モル/リットルの濃度となるようエタノール(AldrichChemical Company製)に溶解し、色素溶液を調製した。
次に、多孔質半導体層を形成したガラス基板1を、色素溶液中に120時間25℃で保持し、色素を酸化チタン膜に吸着させた。その後、エタノール(AldrichChemical Company製)で洗浄・乾燥を行い、光電変換層5を得た。
Figure 2007157490
4・第二支持体2上への第二電極4と第一電極端子部31の作製
第二支持体2としてのガラス基板2(4cm×5cm)上に真空蒸着法により、白金からなる第二電極4およびチタンからなる第一電極端子部31を幅30μm、隣り合う第二電極4と第一電極端子部31との間隔10μm、膜厚5μmの交互ストライプ状に作製した。ただし、図6(b)に示すように長辺側(5cm側)の両端0.5cmには第一電極端子部31と第二電極4それぞれが単独で形成されている領域があり、この領域にリード線を取り付ける(後述)。
5・電解液注入口8の作製
第二支持体2に対し、ダイヤモンドドリルにより電解液注入口8を開けた(φ1mm)。電解液注入口8の形成位置は図6(b)に示すように、光電変換層5の未形成部かつ、封止層7によって囲まれた領域の内部である。本実施例においては電解液注入口8を2個形成したが、これに限定されるものではない。
6・電解液の作製
電荷輸送層6として用いる電解液を、アセトニトリル(AldrichChemical Company製)に、濃度0.1モル/リットルのヨウ化リチウム(AldrichChemical Company製)、濃度0.01モル/リットルのヨウ素(AldrichChemical Company製)、濃度0.5モル/リットルのTBP(AldrichChemical Company製)、濃度0.6モル/リットルのジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII、四国化成製)を溶解させて作製した。
7・封止層7形成による両支持体の貼り合わせ
ガラス基板1に封止層7形成用のUV硬化樹脂(スリーボンド社製:製品名31x−088)をディスペンサ塗布し、ガラス基板2上の第一電極端子部31と光電変換層5上の第一電極3が接触するように両支持体を重ね合わせた状態で、UV光によりUV硬化樹脂を硬化して両支持体を貼りあわせた。
8・電解液の注入
その後、電解液注入口8から電解液を注入して電荷輸送層6とした。
注入方法は図7に示すように、2個ある電解液注入口8の1個を減圧口(801)として減圧ポンプに繋ぎ、緩やかに(例えば到達真空圧が0.5気圧以下にならないように)減圧しつつ、残りの電解液注入口8(802)から電解液を注入することとした。
ここで、封止層7と光電変換層5の形成部とに挟まれた空隙(図1(c)における601と602)への電解液充填と、光電変換層5の内部(多孔質半導体層の空孔内部)への電解液の含浸時間(電解液はヨウ素により薄い茶色に着色しており、多孔質半導体層の空孔内部への含浸は目視確認できる)を測定した。
封止層7と光電変換層5の形成部とに挟まれた空隙内部への電解液の注入は2秒前後で完了し、光電変換層5の内部への電解液の含浸も、ほとんどタイムラグ無く終了した。
最後にカバーガラスと上記のUV硬化樹脂により電解液注入口8をふさぎ、第一電極端子部31と第二電極4にリード線を取り付けて、光電変換素子を作製した。
<比較例>
比較例として、図10(b)に示す従来構造を持つ光電変換素子の作製を行った。その製造工程を以下に示す。
1・第一支持体1上への第一電極3と第二電極4との作製
第一支持体1としてのガラス基板1(4cm×5cm)上に真空蒸着法により、チタンからなる第一電極3および白金からなる第二電極4を幅30μm、隣り合う第一電極3と第二電極4との間隔を10μm、膜厚5μmの交互ストライプ状に作製した(実施例1における第二電極4と第一電極端子部31と材料、形状共に同じである)。
2・電解液注入口8の作製
電解液注入口(φ1mm)を図10(b)に示す位置(光電変換層5の未形成部かつ、封止層7によって囲まれた領域の内部)に作製した。
3・第二電極4上への電荷輸送層6の作製と第一支持体1上への光電変換層5の作製
第一支持体1上に形成された第二電極4上に、シリカ微粒子(積水化成製ミクロパール。直径1μm)を有機バインダーと共に混練したペーストを厚さ2μmでスクリーン印刷によりパターン印刷した。これを乾燥した後、実施例1に準じて光電変換層5を作製した。
ここで、上記シリカ微粒子含有ペースト中の有機バインダーは多孔質半導体層の焼成時に分解されるので、第二電極4上にシリカ微粒子からなる無機多孔質体(電解液を含浸することで電荷輸送層6となる)が形成される。
なお、光電変換層5の形状は実施例1に準じるが、本比較例の光電変換素子においては第二支持体2と光電変換層5との間に電極が配置されないので、電極の厚みによる間隙が形成されない。
4・封止層7形成による両支持体の貼り合わせ
第二支持体2としてのガラス基板2(4cm角)を用い、実施例1に準じて両支持体を貼りあわせた。
5・電解液の注入
実施例1に準じて電解液を注入した。
封止層7と光電変換層5の形成部とに挟まれた空隙内部への電解液の注入は実施例1と同様に短時間で完了したが、そこから光電変換層5の内部への電解液の含浸および、無機多孔質体への含浸による電荷輸送層6の形成には実施例1に比べて3秒前後の追加時間が必要であり、実施例1の光電変換素子よりも電解液の注入が遅いことが分かった。
最後にカバーガラスと上記のUV硬化樹脂により電解液注入口8をふさぎ、第一電極3と第二電極4にリード線を取り付けて、光電変換素子を作製した。
実施例1と比較例で得られた光電変換素子に、それぞれ1kW/m2 の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、光電変換効率を測定したところ、両素子共に短絡電流(Jsc)が50mA、開放電圧が0.68V、FFが0.67、変換効率が5.7%前後と、ほぼ同等の性能を示した。このことから本発明による光電変換素子は、透明電極を不要とすることで入射光の有効利用を図り、光電変換効率の低下を抑制した構造を持つ光電変換素子(比較例)と同等の性能を備え、かつ、電解液等の注入速度の向上を実現した光電変換素子であることが分かる。
なお、上記実施例1と比較例における光電変換素子は、その光電変換層5が2cm角という小サイズであったため、電解液の注入時間の差(この場合、光電変換層5への含浸時間の差に相当する)が3秒程度に収まったが、これら光電変換素子を大型化(すなわち光電変換層5を大型化)した場合、この差は非常に顕著になると考えられる。
すなわち、実施例1の光電変換素子における電解液注入経路は、図1(c)に示す601〜603であり、光電変換層5への電解液の含浸は主に経路603から光電変換層5の厚み方向(厚さ15μm)に行われる。よって、光電変換層5がいくら大型化されても、注入経路601〜603への充填時間が延びるだけで、光電変換層5への含浸時間自体は変わらないと考えられる。
これに対して、比較例の光電変換素子における電解液注入経路は、図10(b)に示す1001(図1(c)でいえば601と602にあたる)であり、光電変換層5への電解液の含浸は光電変換層5の側面から行われる。よって、光電変換層5が大型化すると電解液の含浸距離がそれに応じて伸びるために、含浸時間はLucas−Washburnの式に従い、含浸距離の二乗に比例して延びると考えられるからである。
Lucas−Washburnの式とは、毛細管への液体の浸透を示した式で、以下のように表される。
L=(rtγcos(θ/2)η)1/2
ここで、Lは液体の浸透距離、rは毛細管の半径、tは浸透時間、γは液体の表面張力、θは毛細管壁と液体との接触角、ηは液体の粘度を示す。
<実施例2>
実施例1に示した構造のユニットセルを6個直列に接続した色素増感型太陽電池モジュールの作製を行った。その製造工程を図8(a)〜(d)を用いて説明する。
1・第一支持体1上への多孔質半導体層の作製
第一支持体1として、62mm×60mm×2mmのガラス基板1を用意した。ここに実施例1と同じ酸化チタンペーストをスクリーン印刷法により、横5mm×縦50mmの大きさで、それぞれの間隔を3mm開けて6個塗布した。よって、ガラス基板1の短辺側にそれぞれ9.4mm(図8(a)中のA)、長辺側にはそれぞれ5mm(図8(a)中のB)の半導体層未形成領域ができる。
これを乾燥した後、500℃で20分間焼成することで多孔質半導体層を得た。焼成後の層厚は20μmである。
なお、電解液注入口8を各多孔質半導体層の短辺側未形成領域、かつ後述する封止層7で囲まれる領域内に2個づつ、計12個開けておく。
2・多孔質半導体層上への第一電極3の作製、および光電変換層5の作製
多孔質半導体層上に電子ビーム蒸着法によりチタンからなる第一電極3を幅30μm、長さ5mm、膜厚5μmのストライプ状に作製した。第一電極3の長軸同士の間隔は30μmで作製したので、各多孔質半導体層上には800本以上の第一電極3が形成されることになる。ただし、図8(a)においては便宜上、第一電極3を各多孔質半導体層上に2本のみ示す。
その後、実施例1に準じて多孔質半導体に色素を吸着させることにより、光電変換層5とした。
3・第二支持体2上への第一電極端子部31と第二電極4の作製
次に、第二支持体2として64mm×60mm×2mmのガラス基板2を用意し、ここにチタンからなる第一電極端子部31を幅30μm、長さ14mm、膜厚5μmのストライプ状に作製した。ここで、第一電極端子部31は長軸同士(図8(b)においてはY方向=列方向)の間隔を30μm、短軸から基板までの間隔および短軸間(図8(b)においてはX方向=行方向)の距離を2mmとして多数配列した構造を採る。ただし、奇数列と偶数列の第一電極端子部31は、お互いに半ピッチ(8mm)ずれて配列している。ここでも便宜上、4列のみ図示する。
その後、第一電極端子部31の長さ方向(14mm)の半分を覆うように、白金を幅35μm、長さ7.2mm、厚み2μmで作製し、この白金被覆部分を第二電極4とした(図8(b)参照)。
第一電極端子部31と第二電極4の作製方法は、ともに電子ビーム蒸着法である。
4・封止層7による両支持体の貼り合わせ
封止層7、兼ユニットセル間の絶縁層として、第二支持体2上にUV硬化樹脂(スリーボンド社製:製品名31x−088)をディスペンサ塗布により幅1mmで形成した(図8(c)参照)。この第二支持体2と第一支持体1とを重ねあわせ、UV照射することにより貼り合わせた。その後、第一支持体1の周囲を上記UV硬化樹脂にて封止し、封止層7を完成した。
5・電解液の注入
実施例1に準じて作製した電解液を電解液注入口8より注入して電荷輸送層6とした。注入方法も実施例1に準じ、各ユニットセルに2個ある電解液注入口8のうち、1個を減圧口として減圧ポンプに繋ぎ、緩やかに減圧しつつ、残りの電解液注入口8から電解液を注入した。
封止層7と光電変換層5の形成部とに挟まれた空隙内部への電解液の注入は3秒前後で完了し、光電変換層5の内部への電解液の含浸も、ほとんどタイムラグ無く終了した。
最後にカバーガラスと上記のUV硬化樹脂により電解液注入口8をふさぎ、第一電極端子部31と第二電極4にリード線を取り付けて、光電変換素子モジュールを作製した。
モジュール平面図を図8(d)に示し、断面図を図9に示す。
得られた光電変換素子モジュールに、1kW/m2 の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、光電変換効率を測定したところ、短絡電流32.4mA、開放電圧4.1V、FF=0.6、変換効率5.3%であった。この開放電圧はユニットセルと同一の構造を持つ色素増感太陽電池6個の和と同程度であり、光電変換素子が良好に直列接続されていることが分かる。さらに、同様のモジュールを20個作製したところ、いずれもVocが4.0Vから4.2Vの間であった。この結果により、本発明の光電変換素子モジュールは、接点不良による故障が起こりにくい構造であると考えられる。
本発明の実施形態1における光電変換素子の概略図である。 本発明の実施形態2における光電変換素子の各種断面概略図である。 本発明の実施形態2において、第一電極を光電変換層上に形成した例を示す断面概略図である。 本発明の実施形態2において、第一電極端子部の形成例を示す断面概略図である。 本発明の実施形態3における光電変換素子モジュールの概略図である。 本発明の実施例1における光電変換素子の概略図である。 本発明の実施例1における電解液注入例を示す概略断面図である。 本発明の実施例2における光電変換素子モジュールの製造工程要部を示す概略図である。 本発明の実施例2における光電変換素子モジュールの製造工程要部を示す断面図である。 従来の光電変換素子の各種断面概略図である。
符号の説明
1・第一支持体
2・第二支持体
3・第一電極
4・第二電極
5・光電変換層
6・電荷輸送層
7・封止層
8・電解液注入口
31・第一電極端子部

Claims (8)

  1. 透光性を持つ第一支持体と、
    前記第一支持体に対向配置した第二支持体と、
    前記第一支持体上に形成され、色素が吸着された多孔質半導体層からなる光電変換層と、
    前記光電変換層と接触し、前記第二支持体側に形成された第一電極と、
    前記第一電極に対し、前記第一支持体の面方向に配置された第二電極と、
    前記第一支持体と前記第二支持体との間に設けられた電荷輸送層とを有することを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記第一電極が前記第二支持体上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記第一電極が前記光電変換層上に形成されており、前記第二支持体上に別途形成した電極を前記第一電極と接続することにより、前記第一電極の端子部とすることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記第二電極が前記第二支持体上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記第二電極と前記光電変換層とが、多孔質絶縁層を介して積層されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記第一電極と第二電極が、それぞれ複数のストライプ状電極からなり、それらが交互に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光電変換素子が、前記支持体のいずれかを共通支持体として複数接続された光電変換素子モジュールであって、任意の前記第一電極が、隣接する前記光電変換素子の前記第二電極と直列接続されていることを特徴とする光電変換素子モジュール。
  8. 少なくとも前記第一電極が前記光電変換層上に形成されており、任意の前記第一電極が、前記第二支持体上に形成された前記端子部を介して、隣接する前記光電変換素子の前記第二電極と直列接続されていることを特徴とする請求項7に記載の光電変換素子モジュール。
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