JP2007155757A - 積層光学補償フィルム及び複合偏光板 - Google Patents

積層光学補償フィルム及び複合偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置の画質の改善に用いられる積層光学補償フィルム及び複合偏光板を提供することを目的とする。
【解決手段】シクロオレフィン系樹脂フィルム、ウレタンエマルジョンからなる層及び垂直配向性液晶層がこの順で積層されている積層光学補償フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置の画質の改善に用いられる積層光学補償フィルム及び複合偏光板に関する。
液晶表示装置は、ノートパソコンやパソコン用モニタ等に使用されているが、近年では、大型テレビ用途にも採用され、急激に需要が増加している。
このような用途に用いられる液晶表示装置は、より広範囲から良好に視認されることが求められており、従来のTN方式の視野角依存性を改善したVA方式、IPS方式と呼ばれる方式が多く採用されている。しかしながら、これらの方式では、画像表示面の上下左右方向の視野角特性は向上しているものの、例えば、斜め方向から観察した場合にはコントラストや色再現性が不充分であり、更なる改善が求められている。
このような斜め方向からの視野角の低下は、液晶表示装置に用いられている偏光板の視野角特性が原因の1つであると考えられている。これを改善する方法として、例えば、特許文献1には、Nz係数が0.5となるような光学補償フィルムを用いることが開示されている。
従来、このような光学補償フィルムとしては、特許文献2に開示されているように、延伸処理しようとする樹脂フィルムに収縮性フィルムをその収縮方向が延伸方向と直交するように貼合した後、加熱延伸するという方法で製造されるため、特にフィルム幅方向の歩留りが低く、近年需要が多い大型の液晶表示装置に用いられる大型の光学補償フィルムを製造することが困難となってきた。
このような問題に対して、近年、例えば、特許文献3に記載されているように、一軸又は二軸延伸処理されたフィルム層に垂直配向処理された液晶層を積層した、液晶積層型の光学補償フィルムが提案されている。
液晶積層型の光学補償フィルムのフィルム層の材料としては、ポリカーボネートやトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。
しかし、このようなフィルム層を有する光学補償フィルムを用いて製造した液晶表示装置は、使用の際のバックライトの発熱により、光学補償フィルムのフィルム層が加熱され、発生した内部応力により光抜けと呼ばれる、表示不良が生じるという問題があった。
このような問題に対して、近年、フィルム層の材料として耐熱性、低光弾性に優れたシクロオレフィン系樹脂が用いられるようになりつつあり、このようなシクロオレフィン系樹脂フィルムに、垂直配向処理された液晶層を積層した光学補償フィルムについて盛んに研究されている。
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂フィルム上に液晶溶液を塗工し、液晶層を形成しようとしても、はじきを生じるため塗工が困難となり、また、シクロオレフィン系樹脂フィルムと液晶層とは密着性が悪いという問題があった。
一方、フィルム層と液晶層との密着性を改善するため、特許文献4には、配向された液晶層をフィルム層に転写する方法が開示されている。しかしながら、このような方法で得られた液晶積層型フィルムは、層間の密着性が依然として不充分であった。
また、特許文献5や特許文献6では、フィルム層と垂直配向性液晶層との間に、双方との塗布性、密着性に優れる樹脂からなる配向膜層を設ける方法が開示されている。しかしながら、特許文献6のように、配向膜層として、ポリイミド樹脂を用いた場合は、液晶溶液を塗布する工程において、液晶溶液に含まれる溶剤により配向膜層が侵され、得られる液晶積層型フィルムに外観不良等の不具合が生じていた。また、配向膜層として、ポリビニルアルコール樹脂を用いた場合は、ラビング処理工程やパネル作製工程における偏光板のリワーク時等において垂直配向性液晶層が剥離することがあった。
更に、特許文献7には、シクロオレフィン系樹脂フィルムと液晶層との間に、塩素化オレフィン系樹脂からなる中間層を形成する方法が開示されている。この方法では、層間の密着性といった問題は解決できるものの、液晶の垂直配向が阻害されるという問題が新たに生じていた。
これに対して、特許文献8には、シクロオレフィン系樹脂フィルムに、液晶が垂直配向された液晶層を形成する方法として、ネマチック液晶相を示す重合性液晶を含む溶液をシクロオレフィン系樹脂フィルムに直接塗工する方法が記載されているが、形成された液晶層の液晶は実際には垂直配向されておらず、液晶溶液の塗工性や層間の密着性といった諸性能を有しつつ、液晶が垂直配向された光学補償フィルムは、依然として実現されていなかった。
特開平4−305602号公報 特開平5−157911号公報 特開2003−149441号公報 特開2002−363266号公報 特開2003−96066号公報 特開2004−317651号公報 特開平8−12787号公報 特開2004−279437号公報
本発明は、上記現状に鑑み、液晶表示装置の画質の改善に用いられる積層光学補償フィルム及び複合偏光板を提供することを目的とする。
本発明は、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ウレタンエマルジョンからなる層及び垂直配向性液晶層がこの順で積層されている積層光学補償フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、シクロオレフィン系樹脂フィルムと垂直配向性液晶層との間にウレタンエマルジョンからなる層を形成することにより、液晶溶液の塗工性、層間の密着性、及び、液晶溶液に含まれる溶剤に起因する外観不良等を防止することができ、かつ、液晶の垂直配向性が損なわれないことから、極めて高性能の積層光学補償フィルム及び複合偏光板が得られるということを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の積層光学補償フィルムは、シクロオレフィン系樹脂フィルムと、ウレタンエマルジョンからなる層と、垂直配向性液晶層とからなる。
上記シクロオレフィン系樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を成膜したものである。
上記シクロオレフィン系樹脂としては特に限定されず、例えば、ノルボルネン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等が挙げられる。なかでも、不飽和結合を有さないか、又は、不飽和結合が水素添加されたものが好適に用いられ、例えば、1種又は2種以上のノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物、1種又は2種以上のノルボルネン系モノマーの付加(共)重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマー(エチレン、α−オレフィン等)との付加共重合体、ノルボルネン系モノマーとシクロオレフィン系モノマー(シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等)との付加共重合体、及び、これらの変性物等が挙げられ、具体的には、ZEONEX、ZEONOR(日本ゼオン社製)、ARTON(JSR社製)、TOPAS(チコナ社製)、APEL(三井化学社製)等が挙げられる。
上記成膜の方法としては特に限定されず、従来公知の成膜方法を用いればよく、具体的には、例えば、シクロオレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融、混練し、押出機の先端に取り付けた金型からフィルム状に押し出して長尺状のシクロオレフィン系樹脂フィルムを成膜する方法(溶融押出法)、シクロオレフィン系樹脂を有機溶媒中に溶解してなる溶液をドラム又はバンド上に流延した後に有機溶媒を蒸発させて長尺状のシクロオレフィン系樹脂フィルムを成膜する方法(溶液流延法)等が挙げられる。
なお、シクロオレフィン系樹脂フィルムの厚みが80μm以上となる場合には、溶液流延法では有機溶剤を充分に蒸発、除去させることが困難となることがあるので、溶融押出法を用いることが好ましい。
上記シクロオレフィン系樹脂フィルムは、延伸処理されることにより位相差を有する位相差フィルムであってもよい。位相差フィルムを用いることにより、様々な光学特性を付与することが可能となる。
上記位相差フィルムは、上記シクロオレフィン系樹脂フィルムを延伸処理することによりシクロオレフィン系樹脂分子を所定方向に配向させたものである。上記延伸処理の方法としては、例えば、長尺状のシクロオレフィン系樹脂フィルムを、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度Tg付近の温度領域において、横方向(幅方向)又は縦方向(長さ方向)に延伸する方法、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度Tg付近の温度領域において、横方向(幅方向)に延伸した後に縦方向(長さ方向)に延伸する方法、長尺状のシクロオレフィン系樹脂フィルムを、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度Tg付近の温度領域において、縦方向(長さ方向)及び横方向(幅方向)に同時に延伸する方法、シクロオレフィン系樹脂フィルムを、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度Tg付近の温度領域において、厚み方向に押圧力を加えて薄膜化して縦方向(長さ方向)及び横方向(幅方向)に同時に延伸する方法等が挙げられる。
本発明の積層光学補償フィルムにおいては、上記シクロオレフィン系樹脂フィルムは、上記垂直配向性液晶層と接する側の表面に、酸素濃度が15体積%以下である不活性ガスによる常圧プラズマ処理が施されている。
上記常圧プラズマ処理が施されていることにより、シクロオレフィン系樹脂フィルム上に液晶溶液を塗工しやすくなり、液晶溶液からなる垂直配向性液晶層とシクロオレフィン系樹脂フィルムとは密着性に優れたものとなる。
上記常圧プラズマ処理とは、電極間に導いた気体に電圧を印加することにより励起させてプラズマ化ガスとし、このプラズマ化ガスにより被処理物の表面を親水化処理するものである。
上記常圧プラズマ処理は、一対の対向電極を有し、該電極の対向面の少なくとも一方に固体誘電体が設置されている装置において行われることが好ましい。プラズマが発生する部位は、上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘電体と電極との間、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合は、固体誘電体同士の間の空間である。この固体誘電体と電極との間又は固体誘電体同士の間に親水化処理の対象物体である疎水性樹脂フィルムを配置して常圧プラズマ処理を行う。
上記電極としては特に限定されず、例えば、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属化合物等からなるものが挙げられる。
上記対向電極は、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の距離が略一定となる構造であることが好ましい。この条件を満たす電極構造としては、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面、対向平板型、同軸円筒型構造等が挙げられる。
上記固体誘電体は、上記電極の対向面の一方又は双方に設置されていることが好ましい。この際、固体誘電体と設置される側の電極が密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにする。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこからアーク放電が生じるためである。
上記固体誘電体の形状は、シート状でもフィルム状でもよいが、好ましい厚さの下限が0.01mm、好ましい厚さの上限が4mmである。0.01mm未満であると放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、4mmを超えると電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が発生する。
上記固体誘電体の材質としては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。
また、上記固体誘電体は、比誘電率が25℃環境下で2以上であることが好ましい。比誘電率が2以上の誘電体の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス、金属酸化膜等が挙げられる。さらに、高密度の放電プラズマを安定して発生させるためには、比誘電率が10以上の固体誘電体を用いることが好ましい。
比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18500程度のものが知られている。比誘電率が10以上の固体誘電体としては、酸化チタン5〜50重量%、酸化アルミニウム50〜95重量%で混合された金属酸化物被膜、又は、酸化ジルコニウムを含有する金属酸化物被膜からなり、その被膜の厚みが10〜1000μmであるものを用いることが好ましい。
上記電極間の距離としては特に限定されず、雰囲気ガスの圧力、酸素濃度、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマ放電処理されたフィルムを利用する目的等を考慮して決定され、好ましい下限は0.5mm、好ましい上限は50mmである。0.5mm未満であると、電極間における雰囲気ガス濃度の変動が大きく、処理が不均一になり易く、また、電極間に設置する被処理物の厚さが限定されてしまう。50mmを超えると、均一な放電プラズマを発生させることが困難である。
また、印加する電圧はパルス電圧が好ましい。パルス波形はインパルス型、方形波型、変調型の波形のいずれでもよく、さらに印加電圧が正負の繰り返しであっても、正又は負のいずれかの極性側に電圧が印加される片波状の波形であってもよい。
パルス電圧の大きさの好ましい下限はプラズマを発生させるのに必要な最小電圧であり、好ましい上限は100kV程度である。100kVを超えると、アーク放電や基材の絶縁破壊が起こることがある。なお、後述するウレタンエマルジョンに水系架橋剤を添加する場合は、パルス電圧の大きさを上述の数値の半分とすることができる。
パルス電圧の電圧立ち上がり時間としては特に限定されないが、好ましい下限は40ns、好ましい上限は100μsである。ここで、パルス電圧の電圧立ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正である時間を意味する。40ns未満の電圧立ち上がり時間のパルス電圧を実現することは困難であり、100μsを超えると放電状態がアークに移行しやすく不安定なものとなり、パルス電圧による高密度プラズマ状態を期待できなくなる。より好ましい下限は50ns、より好ましい上限は5μsである。
また、パルス電圧の電圧立ち下がり時間も急峻であることが好ましく、パルス電圧の電圧立ち上がり時間と同様の100μs以下のタイムスケールであることが好ましい。パルス電界発生技術によっても異なるが、例えば、本発明の実施例で使用した電源装置では、パルス電圧の電圧立ち上がり時間と電圧立ち下がり時間とを同じ時間に設定することができる。
パルス電圧の周波数としては特に限定されないが、好ましい下限は0.5kHz、好ましい上限は100kHzである。0.5kHz未満であるとプラズマ密度が低いため処理に時間がかかりすぎ、100kHzを超えるとアーク放電が発生しやすくなる。より好ましい下限は1kHzである。
上記パルス電圧におけるパルス継続時間としては特に限定されないが、好ましい下限は1μs、好ましい上限は1000μsである。1μs未満であると放電が不安定なものとなり、1000μsを超えるとアーク放電に移行しやすくなる。より好ましい下限は3μs、より好ましい上限は200μsである。ここで、パルス継続時間とは、ON、OFFの繰り返しからなるパルス電圧における、パルスが連続する時間を意味する。
さらに、放電を安定させるためには、放電時間1ms内に、少なくとも1μs継続するOFF時間を有することが好ましい。また、パルス電圧の印加において、直流を重畳してもよい。
プラズマ放電を発生する雰囲気ガスは、少なくとも酸素ガスを含むガスである。酸素ガス以外の混合ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられ、酸素ガスと酸素以外のガスの体積比率は15:85〜1:99の範囲でほぼ任意の比率で混合することができる。混合ガス中の酸素ガス濃度が15体積%を超えると重合性液晶層の密着性が急激に低下する。また、混合ガス中の酸素ガス濃度の下限は特に限定されないが、本発明においては常圧付近で処理を実施するため、完全に無酸素状態になることはなく、実質的にその程度の酸素が存在すればよい。酸素ガス濃度のより好ましい上限は10体積%である。
上記常圧プラズマ処理の圧力としては特に限定されないが、好ましい下限は100Torr(約1.33×10Pa)、好ましい上限は800Torr(約10.6×10Pa)であり、より好ましい下限は700Torr(約9.31×10Pa)、より好ましい上限は780Torr(約10.4×10Pa)である。
本発明の液晶配向用基板は、上記常温プラズマ処理の代わりに、コロナ処理が施されていてもよい。
上記コロナ処理は、表面エネルギーをコントロールする物理処理として用いられる方法である。具体的には、従来公知の方法を用いことができ、例えば、枚葉式コロナ放電処理装置(春日電機社製)等の市販のコロナ放電処理装置を用いることにより行うことができる。
上記コロナ放電処理装置の電極間のクリアランスが1mmである場合、上記コロナ処理を施す際の処理エネルギーの好ましい下限は0.5W・sec/cm、好ましい上限は9W・sec/cmである。0.5W・sec/cm未満であると、コロナ処理が不充分となり、ウレタンエマルジョンのはじきが発生して、ウレタンエマルジョンからなる層を均一に形成することができないことがある。9W・sec/cmを超えると、コロナ処理によってシクロオレフィン系樹脂フィルムがダメージを受け、波うってしまったり、プロテクトフィルムの接着性が著しく昂進し、プロテクトフィルムが剥離できなくなったりすることがある。より好ましい下限は2W・sec/cm、より好ましい上限は6W・sec/cmである。
本発明の積層光学補償フィルムは、上記シクロオレフィン系樹脂フィルムと垂直配向性液晶層との間にウレタンエマルジョンからなる層を有する。
本明細書において、上記ウレタンエマルジョンとは、ウレタンポリマーからなる粒子が溶媒に分散された分散液のことをいう。また、上記ウレタンエマルジョンからなる層とは、ウレタンエマルジョンを例えば、塗工、乾燥することによって造膜された層のことであり、上記ウレタンエマルジョンからなる層は、ウレタンポリマーからなる粒子が合着した状態で存在する構造となっている。
本発明の積層光学補償フィルムは、上記ウレタンエマルジョンからなる層を有することで、液晶溶液の塗工性、層間の密着性を著しく改善することができ、液晶溶液に含まれる溶剤に起因する外観不良等を防止することができる。また、液晶の垂直配向性が損なわれないことから、極めて高性能の積層光学補償フィルムを得ることができる。
また、上記ウレタンエマルジョンからなる層は、充分に硬いことから、ウレタン樹脂溶液を塗工することにより形成されたウレタン樹脂層と異なり、耐溶剤性にも優れることから、垂直配向性液晶層を有する積層光学補償フィルムを好適に製造することができる。
上記ウレタンエマルジョンは、水系のウレタンエマルジョンと溶剤系のウレタンエマルジョンとに大別されるが、本発明におけるウレタンエマルジョンとは、水系のウレタンエマルジョンのことをいう。水系のウレタンエマルジョンを使用することで、上記ウレタンエマルジョンをシクロオレフィン系樹脂フィルムに塗工する際に、溶媒によるフィルムの劣化を防止できるという利点がある。
上記ウレタンエマルジョンとしては、ウレタンポリマーの主鎖にポリエステル骨格を有するポリエステル系ウレタンエマルジョン、ポリエステル骨格とポリエーテル骨格とを併せもつエステル・エーテル系ウレタンエマルジョン、ポリエーテル骨格を有するポリエーテル系ウレタンエマルジョンが好ましい。特に、シクロオレフィン系樹脂フィルムへの塗工性、密着性を考慮すると、エステル・エーテル系ウレタンエマルジョン(第一工業製薬社製 SF F8582D等)、ポリエステル系ウレタンエマルジョン(第一工業製薬社製 SF170等)がより好ましい。
また、ウレタンポリマーのイオン性については、特に限定されず、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の何れであってもよい。
上記ウレタンエマルジョンにおけるウレタンポリマーからなる粒子の平均粒子径の好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は2μmである。
上記ウレタンエマルジョンは、水系架橋剤を含有することが好ましい。
近年、中・小型液晶ディスプレイには、軽量化、薄型化が求められていることから、シクロオレフィン系樹脂フィルムとして、延伸処理を行うことによりシクロオレフィン系樹脂分子を所定方向に配向させたシクロオレフィン系位相差フィルムを用いることがある。このようなシクロオレフィン系位相差フィルムを用いた場合、液晶溶液に含まれる溶剤によって、シクロオレフィン系位相差フィルムやウレタンエマルジョンからなる層が膨潤し、シクロオレフィン系位相差フィルムの位相差が低下するおそれがある。しかしながら、上記ウレタンエマルジョンに水系架橋剤を添加することで、ウレタンエマルジョンの架橋が促進され、得られるウレタンエマルジョンからなる層の耐溶剤性を飛躍的に向上させることができる。
上記水系架橋剤としては、下記式(1)に示す官能基を有するエポキシ系架橋剤、下記式(2)に示す官能基を有するオキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等が好ましい。
Figure 2007155757
Figure 2007155757
上記水系架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記ウレタンエマルジョンの固形分全体に対して、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は40重量%である。1重量%未満であると、上記水系架橋剤の添加による造膜性の向上があまり見られず、40重量%を超えると、ウレタンエマルジョンの粘度が高くなりすぎ、塗工性が低下するとともに、保存した溶液が24時間以内に硬化してしまうといった不具合が生じる。より好ましい下限は3重量%であり、より好ましい上限は20重量%である。
上記ウレタンエマルジョンは、造膜助剤を含有していてもよい。上記造膜助剤としては特に限定されず、例えば、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、n―メチルピロリドン等が挙げられる。
上記ウレタンエマルジョンの固形分濃度の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。10重量%未満であると、塗工する際に必要な最適粘度が得られないことや、乾燥、造膜の時間と熱量がかかるといったことがあり、経済的観点から好ましくない。40重量%を超えると、塗工する際に溶液粘度が高すぎるといった不具合が生じる。より好ましい下限は15重量%であり、より好ましい上限は25重量%である。
なお、上記ウレタンエマルジョンの固形分濃度については、塗工方法により異なるが、スピンコート法によって、回転数2000rpmで、膜厚が0.5〜1μmのウレタンエマルジョンからなる層を塗工する場合、好ましい下限が15重量%、好ましい上限が20重量%である。
上記ウレタンエマルジョンからなる層の厚みの好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は5μmである。0.5μm未満であると、ウレタンエマルジョンからなる層の形成による効果、特に液晶溶液に含まれる溶剤に起因するクラックの発生を防止する効果が不充分となることがあり、5μmを超えると、経済的に不利となることがある。
本発明の積層光学補償フィルムにおいては、上記ウレタンエマルジョンからなる層にラビング処理が施されていることが好ましい。
上記ラビング処理の方法としては特に限定されず、従来公知の手段を用いることができ、例えば、長尺状のフィルムを搬送しつつ、該フィルム上に長さ方向を任意の角度に設定し得るラビングロールを設置し、ラビングロールを回転させつつフィルム表面に接触させ、基材表面をラビング処理する方法等が挙げられる。フィルムの搬送速度、ラビング角度、ラビングロールの回転数及びラビング圧等は、目的とするラビング処理に応じて適宜設定すればよい。
また、使用するラビングロール表面材等のラビング材の材質についても特に限定されないが、上記ラビング処理により得られるフィルムが光学用途に用いられるものであることを考慮すると、ナイロン、綿、ポリエステル等のフェルトのような傷がつきにくいものを選ぶことが好ましい。
本発明の積層光学補償フィルムにおいては、ウレタンエマルジョンからなる層にラビング処理がされていることにより、液晶層をホモジニアス配向させることができる。
本発明の液晶配向用基材において、シクロオレフィン系樹脂フィルムとウレタンエマルジョンからなる層とは、JIS K 5600−5−6のクロスカット法に準ずる方法により測定した付着性評価が0〜2分類であることが好ましい。付着性評価が0〜2分類であることによりシクロオレフィン系樹脂フィルムとウレタンエマルジョンからなる層との密着性が優れていることになり、本発明の液晶配向用基材の耐久性が優れたものとなる。
上記垂直配向性液晶層としては、垂直配向性を有する液晶からなるものであれば特に限定されない。このような垂直配向性液晶層としては、例えば、下記式(3)、(4)及び(5)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する重合性液晶組成物の重合体からなるもの等が挙げられる。
Figure 2007155757
上記式(3)において、Wは水素又はメチルであり、lは4〜6の整数である。
上記式(4)において、W及びWは水素、塩素又はフッ素であり、W及びWは水素、塩素、メチル又はトリフルオロメチルであり、Xは単結合、エチレン結合又はエタン結合であり、mは4〜6の整数である。
上記式(5)において、nは4〜6の整数である。
上記式(3)中、Wがメチルであり、lが4又は6の化合物は特開2003−238491号公報に記載の方法により合成することができる。
上記式(4)中、W及びWが水素であり、W及びWが水素であり、Xが単結合であり、mが6の化合物はMakromol.Chem.190,2255−2268(1989)に記載の方法により合成することができる。
上記式(4)中、W及びWが水素であり、Wが水素であり、Wがメチルであり、Xが単結合であり、mが6の化合物はMakromol.Chem.190,3201−3215(1989)に記載の方法により合成することができる。
上記式(4)中、W及びWが水素であり、Wがトリフルオロメチルであり、Wがトリフルオロメチルであり、Xが単結合であり、mが6の化合物は特開2004−231638号公報に記載の方法により合成することができる。
上記式(4)中、W及びWが塩素又はフッ素であり、Wが水素であり、Wが塩素であり、Xが単結合であり、mが6の化合物はLiquid Crystals Vol30,No8,979−984(2003)に記載の方法により合成することができる。
上記式(5)中、nが4又は6の化合物はMacromolecules,26,6132−6134(1993)に記載の方法で合成することができる。
本発明の積層光学補償フィルムにおいては、上記重合性液晶組成物のホメオトロピック配向を制御することにより、本発明の積層光学補償フィルムを用いてなる液晶表示装置の視野角特性を改善することが可能となる。
ホメオトロピック配向を制御する方法としては特に限定されず、例えば、上記重合性液晶組成物に下記式(6)で示されるような有機ケイ素化合物を添加する方法等が挙げられる。
Figure 2007155757
上記式(6)において、Rは2〜10個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレンであり、このアルキレン中の隣り合わない1〜2個の−CH−は−O−又は−NH−で置き換えられてもよい。Rはメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルである。Rはメチル、エチル又はトリメチルシリルである。また、rは0〜2の整数である。
すなわち、化合物(4)はアミノ基と加水分解性のアルコキシ基又はトリメチルシリルオキシ基とを有するケイ素化合物である。
上記式(6)の具体的構造としては特に限定されず、下記式(6−1)〜(6−15)等が挙げられる。
Figure 2007155757
Figure 2007155757
安定したホメオトロピック配向を得るために、有機ケイ素化合物の配合量の好ましい下限は重合性液晶化合物に対して0.01重量部、好ましい上限は0.30重量部であり、より好ましい下限は0.03重量部、より好ましい上限は0.20重量部であり、更に好ましい上限は0.15重量部である。
本発明の積層光学補償フィルムの製造方法としては特に限定されず、例えば、上述したように常圧プラズマ処理されたシクロオレフィン系樹脂フィルム上に、ウレタンエマルジョンを塗工し、乾燥させることによりウレタンエマルジョンからなる層を形成した後、上記ウレタンエマルジョンからなる層に、垂直配向性液晶層の原料となる上記重合性液晶組成物を溶剤に溶解した液晶溶液を塗工し、乾燥させる方法等が挙げられる。
上記ウレタンエマルジョンの塗工方法としては特に限定されず、例えば、ダイコート法、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法、スピンコート法、バーコート法等が挙げられる。
次いで、ウレタンエマルジョンの塗工膜の溶媒を除去して乾燥させることにより、上記シクロオレフィン系樹脂フィルム上に膜厚の均一なウレタンエマルジョンからなる層を形成する。
上記溶媒除去の方法としては、水系溶媒が除去され、ウレタンエマルジョンからなる層が造膜されるよう加熱される方法であれば特に限定されず、例えば、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹きつけ等が挙げられる。
上記ウレタンエマルジョンを塗工した後、乾燥させる工程における温度についても特に限定されないが。好ましい下限は、樹脂の最低造膜温度であり、好ましい上限は100℃である。樹脂の最低造膜温度未満であると、ウレタンエマルジョンからなる層の造膜が不完全となり、100℃を超えると、水系溶媒の蒸発によって、得られるウレタンエマルジョンからなる層の表面荒れ等が発生し、造膜性の悪化を招くことがある。より好ましい下限は50℃、より好ましい上限は90℃である。
上記液晶溶液に用いる溶剤としては特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられる。上記溶媒は単一化合物であってもよいし、混合物であってもよい。
上記溶剤の割合としては特に限定されないが、組成物全量を基準として、好ましい下限は60重量%、好ましい上限は95重量%である。60重量%未満であると、重合性液晶化合物の溶解性及び重合性液晶組成物を塗工する際に最適な粘度が得られないことがあり、95重量%を超えると、溶剤コスト及び溶剤を蒸発させる際の時間や熱量といった経済的観点から好ましくない。より好ましい下限は50重量%、より好ましい上限は90重量%であり、更に好ましい下限は70重量%、更に好ましい上限は85重量%である。
上記重合性液晶組成物の重合速度を最適化するために、公知の光重合開始剤を用いてもよい。光重合開始剤の好ましい添加量としては特に限定されないが、組成物全量を基準として、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10重量%であり、より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は7重量%である。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1700、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、ダロキュアー4265、イルガキュアー784、イルガキュアー754、イルガキュアーOXE01、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、及び、2,4−ジエチルキサントンとp−ジメチルアミノ安息香酸メチルとの混合物等が挙げられる。なお、ダロキュアー及びイルガキュアーはいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のものである。更に、これらに公知の増感剤(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなど)を添加してもよい。
上記光ラジカル重合開始剤のその他の例としては、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物等が挙げられる。
上記液晶溶液の塗工方法としては特に限定されず、例えば、ダイコート法、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法、スピンコート法、バーコート法等が挙げられる。
上記液晶溶液を塗工する際には、塗工後に溶剤を除去して、上記ウレタンエマルジョンからなる層に膜厚の均一な重合性液晶組成物の層、すなわち、垂直配向性液晶層を形成させる。溶剤除去の条件は特に限定されず、溶剤がおおむね除去され、重合性液晶組成物の塗膜の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶剤を除去することができる。重合性液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比によっては、塗膜を乾燥する過程で、塗膜中の重合性液晶組成物のネマチック配向が完了していることがある。従って、乾燥工程を経た塗膜は、後述する熱処理工程を経由することなく、重合工程に供することができる。しかしながら、塗膜中の液晶分子の配向をより均一化させるためには、乾燥工程を経た塗膜を熱処理し、その後に光重合処理することが好ましい。
塗膜を熱処理する際の温度及び時間、光照射に用いられる光の波長、光源から照射する光の量等は、重合性液晶組成物に用いる化合物の種類と組成比、光重合開始剤の添加の有無やその添加量などによって、好ましい範囲が異なる。従って、以下に説明する塗膜の熱処理の温度及び時間、光照射に用いられる光の波長、光源から照射する光の量についての条件は、あくまでもおよその範囲を示すものである。
塗膜の熱処理は、溶剤が除去され重合性液晶の均一配向性が得られる条件で行うことが好ましく、重合性液晶組成物の液晶相転移点以上で行ってもよい。熱処理方法としては、例えば、上記重合性液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度まで塗膜を加温して、塗膜中の重合性液晶組成物にネマチック配向を形成させる方法等が挙げられる。上記重合性液晶組成物がネマチック液晶相を示す温度範囲内で、塗膜の温度を変化させることによってネマチック配向を形成させてもよい。この方法は、上記温度範囲の高温域まで塗膜を加温することによって塗膜中にネマチック配向を概ね完成させ、次いで温度を下げることによってさらに秩序だった配向にする方法である。上記のどちらの熱処理方法を採用する場合でも、熱処理温度の好ましい下限は室温、好ましい上限は120℃であり、より好ましい上限は90℃であり、更に好ましい上限は70℃である。
また、上記熱処理時間の好ましい下限は5秒、好ましい上限は2時間であり、より好ましい下限は10秒、より好ましい上限は40分であり、更に好ましい下限は20秒、更に好ましい上限は20分である。重合性液晶組成物からなる層の温度を所定の温度まで上昇させるためには、熱処理時間を5秒以上にすることが好ましい。生産性を低下させないためには、熱処理時間を2時間以内にすることが好ましい。このようにして本発明の重合性液晶層が得られる。
上記光照射に用いられる光の波長は特に限定されないが、好ましい下限は150nm、好ましい上限は500nmであり、より好ましい下限は250nm、より好ましい上限は450nmであり、更に好ましい下限は300nm、更に好ましい上限は400nmである。上記光としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)等を利用することができ、通常は、紫外線又は可視光線を用いればよい。光源の具体的例としては、例えば、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が挙げられる。なかでも、メタルハライドランプ、キセノンランプ、及び、高圧水銀ランプが好適に用いられる。光源と重合性液晶層との間にフィルター等を設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射する光量としては特に限定されないが、好ましい下限は2mJ/cm、好ましい上限は5000mJ/cmであり、より好ましい下限は10mJ/cm、より好ましい上限は3000mJ/cmであり、更に好ましい下限は100mJ/cm、更に好ましい上限は2000mJ/cmである。光照射時の温度条件は、上記の熱処理温度と同様に設定されることが好ましい。
このような垂直配向性液晶層を用いることにより得られる本発明の積層光学補償フィルムは、極めて高い性能を発揮することができる。
本発明の積層光学補償フィルムを従来公知の偏光板に積層することにより複合偏光板を製造することができる。
本発明の積層光学補償フィルムが偏光板に積層されてなる複合偏光板もまた、本発明の1つである。
本発明の積層光学補償フィルムによれば、シクロオレフィン系樹脂フィルムと垂直配向性液晶層との間にウレタンエマルジョンからなる層を形成することで、シクロオレフィン系樹脂フィルムを用いる際の問題点であった液晶溶液の塗工性、及び、液晶層との密着性を著しく改善することができ、かつ、液晶溶液に含まれる溶剤に起因する外観不良等を防止することが可能となる。
また、本発明においては、液晶の垂直配向性が損なわれず、容易に液晶層のホメオトロピック配向を制御することができることから、垂直配向性液晶層を有する積層光学補償フィルムを好適に製造することができる。
本発明の積層光学補償フィルムは、透明性、耐熱性に優れ、光弾性係数の小さなシクロオレフィン系樹脂フィルムを用いることから、バックライトの発熱により加熱された場合であっても光抜け等の表示不良が発生することもない。
本発明によれば、液晶表示装置の画質の改善に用いられる積層光学補償フィルム及び複合偏光板を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(シクロオレフィン系樹脂フィルムの作製)
シクロオレフィン系樹脂として熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製 商品名「ゼオノア#1420」)を用い、これを一軸押出機に供給して溶融、混練し、一軸押出機の先端に取り付けたTダイから溶融押出を行って、幅650mmで、かつ、平均厚みが65μmの長尺状のフィルムを得た。
(コロナ処理)
枚葉式コロナ放電処理機(春日電機社製)を用い、処理出力200W、電極クリアランス1mmでコロナ放電している電極間に、得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムを4m/分の速度で移動させることによりコロナ放電処理を行った。
(ウレタンエマルジョンの調製)
ウレタンエマルジョンの原液(SF F8582D、第一工業製薬社製、固形分濃度;35重量%)を固形分濃度が21重量%となるように純水で1.67倍に希釈し、ウレタンエマルジョンを得た。
(積層フィルムの作製)
10cm×10cmガラス基板に保持されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの表面処理面にウレタンエマルジョンをスピンコート法により、2000rpmで20秒回転させることによって塗工した。塗工後、90℃に保ったホットプレート上で5分間加熱し溶媒をほぼ乾燥させ、シクロオレフィン系樹脂フィルム上にウレタンエマルジョンからなる層を造膜し、積層フィルムを作製した。
(重合性液晶化合物(7)の合成)
(第1段階)
エタノール(1500mL)に3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(1150g)を加えた溶液を撹拌しながら、硫酸(230g)を10分かけて滴下して、その後5時間還流させた。反応溶液を濃縮し、得られた濃縮液を水(1000mL)に注ぎ入れ、酢酸エチルを加えて攪拌した。分液した後、酢酸エチル層を飽和炭酸ナトリウム溶液で中和し、少量の水で水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この酢酸エチル層から酢酸エチル及び未反応成分を溶剤留去して、1400gの濃縮物が得られた。濃縮物を減圧蒸留により精製して1144gの3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチルを得た。沸点は160℃/4.0hPaであった。
(第2段階)
アイスバスで10℃に冷却した無水酢酸(1200mL)に6−クロロヘキサノール(800g)を加え、次にピリジン(934g)を10分かけて滴下した。敵下後、2時間還流させた。反応溶液を水に注ぎ、そこにトルエンを加えて撹拌した。トルエン層を分液して、これを飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和し、少量の水で水洗した。その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。このトルエン層からトルエン及び未反応成分を溶剤留去して濃縮物を得た。この濃縮物を減圧蒸留で精製して983gの6−アセトキシクロロへキサンを得た。沸点は82℃/5.3hPaであった。
(第3段階)
3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エチル(400g)をジメチルホルムアミド(2800mL)に溶かした。そこへ水酸化ナトリウム(98g)を加え、40℃で30分撹拌した。塩の生成が目視で観察できた。6−アセトキシクロロヘキサン(515g)を加え80℃で7時間撹拌した。反応溶液を水(2000mL)に注ぎ、そこにトルエンを加えて攪拌した。分液した後、トルエン層を6N塩酸、飽和炭酸ナトリウム溶液、水の順番で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。このトルエン層から溶剤を留去して709gの濃縮物を得た。水酸化ナトリウム(185g)を水(400mL)に溶かし、そこへエタノール(600mL)と濃縮物709gを加えて加熱し、2時間還流させた。エバポレーターを用いて減圧下に反応液を濃縮し、得られた濃縮物を6N塩酸に注いだ。得られたスラリーをろ過して固形物を得、これをエタノールで再結晶して281gの(4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニル)プロピオン酸を得た。融点は109〜112℃であった。
(第4段階)
(4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニル)プロピオン酸(200g)、N,N−ジメチルアニリン(100g)及びBHT(0.3g)をジオキサン(1000mL)に溶かした。そこへアクリル酸クロリド(74.3g)を10分かけて滴下し、60℃で5時間攪拌した。反応溶液を水に注ぎ、酢酸エチルを加えて攪拌した。酢酸エチル層を分液した後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この酢酸エチル層から溶剤を留去して固形物を得た。この固形物をトルエンに溶解し、多量のヘプタンに注いで再沈殿させて、213gの(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)フェニル)プロピオン酸を得た。融点は64〜68℃であった。
(第5段階)
(4−(6−アクリルオキシヘキシルオキシ)フェニル)プロピオン酸(150g)、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ハイドロキノン(52.2g)、BHT(0.75g)、ジメチルアミノピリジン(15g)を塩化メチレン(900ml)に溶解した。この溶液に、DCC(N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド)(100g)を塩化メチレン(300mL)に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。更に2時間撹拌した後、水を加えて分液した。塩化メチレン層を6N塩酸、10%水酸化ナトリウム水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この塩化メチレン層から得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して下記式(7)で表される重合性液晶化合物(7)125gを得た。
(重合性液晶化合物(8)の合成)
(第1段階)
フルオレン(78.3g)及びTHF(700mL)の混合物を−70℃に冷却し、−60℃以下を保ちながらn−BuLi(300mL,0.47mol相当)を滴下した。次いで、ヨウ化メチル(66.8g)を加えて徐々に室温に戻した。再び0℃に冷却し、3M−塩酸(300mL)を加え、反応混合物をトルエンで抽出した。得られた有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和亜硫酸水素ナトリウム及び水を順次用いてよく洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/ヘプタン[40/60])及び再結晶(エタノール)によって精製して、淡黄色結晶の9−メチルフルオレン(57.4g)を得た。融点は47.3〜48.8℃であった。
(第2段階)
0℃以下を保ちながら無水塩化アルミニウム(162.7g)を、9−メチルフルオレン(55g)及び塩化メチレン(800mL)の混合物に加え、深緑色の反応混合物を得た。この混合物に、0℃を保ちながら塩化アセチル(47.9g)の塩化メチレン(200mL)溶液を滴下し、徐々に室温に戻して12時間攪拌した。反応混合物を6M−塩酸と氷の混合物に投入して、有機層を分離させた。この有機層を飽和炭酸水素ナトリウム及び水を順次用いて十分に洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン/酢酸エチル[7/3])及び再結晶(エタノール)によって精製して、黄色結晶の2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(30g)を得た。融点は127.9〜129.0℃であった。
(第3段階)
2,7−ジアセチル−9−メチルフルオレン(30g)、塩化メチレン(300mL)、無水酢酸(35g)及び34%過酸化水素水(34.6g)の混合物に、36M−硫酸(12mL)を3℃以下を保ちながらゆっくりと滴下した。得られた混合物を24℃で7時間攪拌し、水に投入した。分離した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、10%亜硫酸水素ナトリウム及び水を順次用いて十分に洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘプタン/トルエン[6/4])及び再結晶(エタノール)によって精製して、無色結晶の2,7−ジアセチルオキシ−9−メチルフルオレン(12.4g)を得た。融点は138.6〜139.7℃であった。
(第4段階)
2,7−ジアセチルオキシ−9−メチルフルオレン(12g)、水酸化リチウム・1水和物(3.42g)及びエチレングリコール(120mL)の混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を6M−塩酸に投入して、酢酸エチルで抽出した。有機層を十分水洗してから無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去して、淡褐色結晶の2,7−ジヒドロキシ−9−メチルフルオレン(7.24g)を得た。融点は191.5〜196.3℃であった。
(第5段階)
2,7−ジヒドロキシ−9−メチルフルオレン(0.5g)、4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(1.52g)、EDC(0.99g)、DMAP(5.76mg)及び塩化メチレン(30mL)の混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物に水を加え、分離した有機層を水洗してから無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル[95/5])及び再結晶(エタノール/酢酸エチル)によって精製して、下記式(8)で表される重合性液晶化合物(8)0.19gを得た。
(重合性液晶化合物(9)の合成)
ω−ブロモヘキサン酸33.6gと塩化チオニル20.5gをベンゼン中で還流反応させ、1Torrの減圧蒸留により143−145℃の留分を採取し、対応する酸クロライド31.3gを得た。
次いで、20℃の無水エーテル中で、LiAlH 5.6gを加え還元を行い、ω−ブロモアルコール14.0gを得た。
これを4−ヒドロキシ−4’−シアノビフェニルとKOHより得られた4−ヒドロキシ−4’−シアノビフェニルのカリウム塩18.1gとメタノール中で12時間還流反応させた。反応後、水−クロロホルムにて抽出、水洗後、Alカラムを通して濃縮し、残渣をベンゼンにて再結晶して12.6gの4−(ヒドロキソヘキシロキシ)−4’−シアノビフェニルを得た。
これを室温で無水ベンゼン中トリエチルアミンの存在下、アクリル酸クロライド3.8gと反応させた。反応溶液は水洗し、MgSOで乾燥した後、ベンゼンを留去、メタノールで再結晶した。次いでベンゼンを溶媒としてシリカゲルカラムを通し、もう一度メタノールで再結晶して、下記式(9)で表される重合性液晶化合物(9)10.0gを得た。
(重合性液晶組成物の調製)
重合性液晶化合物(7)20重量%、重合性液晶化合物(8)60重量%、重合性液晶化合物(9)20重量%に対して重量比0.03の重合開始剤イルガキュアー907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)及び重量比0.10の化合物(10)(サイラエース S330 チッソ社製)を添加した。この組成物にトルエンを加えて、溶剤が75重量%である重合性液晶組成物溶液(液晶溶液)を作製した。
Figure 2007155757
(積層光学補償フィルムの作製)
重合性液晶組成物溶液(液晶溶液)を10cm×10cmのガラス基板に保持された積層フィルムのウレタンエマルジョンからなる層表面に、1000rpm、20sec、スピンコートにて塗布した。塗工後、70℃に保ったホットプレート上で3分間加熱し、溶媒を乾燥させた。更にこれをハロゲンランプにてUV照射を行い硬化させることにより、積層光学補償フィルムを作製した。なお、積算照射量は400mJ、雰囲気の酸素濃度は5%で行った。
(実施例2)
ウレタンエマルジョンの調製を下記の方法で行った以外は実施例1と同様にして積層光学補償フィルムを作製した。
(ウレタンエマルジョンの調製)
ウレタンエマルジョンの原液(SF 170、第一工業製薬社製、固形分濃度;33重量%)を固形分濃度が21重量%となるように純水で1.6倍に希釈し、ウレタンエマルジョンを得た。
(比較例1)
積層フィルムの作製において、ウレタンエマルジョンの代わりに、塩素化オレフィンとして、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン水分散液(ハードレンEW5003、東洋化成工業社製)を用い、90℃に保ったホットプレート上で5分間加熱し溶媒をほぼ乾燥させた以外は、実施例1と同様にして積層光学補償フィルムを作製した。
(比較例2)
ウレタンエマルジョンの調製及び積層フィルムの作製を行わず、重合性液晶組成物の調製及び積層光学補償フィルムの作製を下記の方法で行った以外は実施例1と同様にして積層光学補償フィルムを作製した。
(重合性液晶組成物の調製)
ネマチック液晶相を示す重合性液晶(Paliocolor LC242、BASF社製)20重量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3重量部をシクロヘキサノン80重量部に添加して、重合性液晶組成物溶液(液晶溶液)を調製した。
(積層光学補償フィルムの作製)
重合性液晶組成物溶液(液晶溶液)を、10cm×10cmのガラス基板に保持されたシクロオレフィン系樹脂フィルムの表面に、1000rpm、20sec、スピンコートにて塗布した。塗工後、70℃に保ったホットプレート上で3分間加熱し、溶媒を乾燥させた。更にこれをハロゲンランプにてUV照射を行い硬化させることにより、積層光学補償フィルムを作製した。なお、積算照射量は400mJ、雰囲気の酸素濃度は5%で行った。
<評価>
実施例1〜2、比較例1〜2で得られた積層光学補償フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(接触角の測定)
ウレタンエマルジョンからなる層に液晶溶液を塗工した際のシクロオレフィン系樹脂フィルムと液晶溶液との接触角をKRUSS社製 G2により測定した。なお、比較例1の場合は塩素化オレフィン層と液晶溶液との接触角、比較例2の場合はシクロオレフィン系樹脂フィルムと液晶溶液との接触角を測定した。
(はじき評価)
ウレタンエマルジョンからなる層上に液晶溶液を塗工した際のウレタンエマルジョンからなる層に対する液晶溶液のはじき具合を目視により観察し、下記基準によりはじき評価を行った。なお、比較例1の場合は塩素化オレフィン層、比較例2の場合はシクロオレフィン系樹脂フィルムのはじき具合を観察した。
○ はじきがなかった。
× はじきがあった。
(密着性評価)
得られた積層光学補償フィルムに対して、シクロオレフィン系樹脂フィルムとウレタンエマルジョンからなる層との密着性をJIS K 5600−5−6のクロスカット法(1mm幅100マス)に準ずる方法により測定し、評価した。なお、比較例1の場合はシクロオレフィン系樹脂フィルムと塩素化オレフィン層との密着性、比較例2の場合はシクロオレフィン系樹脂フィルムと液晶層との密着性を評価した。
(正面位相差測定、垂直配向性)
得られた積層光学補償フィルムに対して、位相差測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、面内9点について正面方向での位相差とフィルム面に対する法線から45度傾斜させた方向からの全方位位相差測定を方位角15度間隔で行い、基材の位相差を補正した値を求め、下記基準により垂直配向性を評価した。
○ 全ての測定点において正面位相差が2nm以下で、斜め45度方向からの位相差のばらつきが5nm以下であった。
△ 1点以上、正面位相差が2nm以上であるか、45度方向からの位相差のばらつきが5nm以上であった。
× 得られた積層光学補償フィルムをクロスニコルに配設した偏光板間に挟み、目視にて評価する外観試験において、正面、斜め方向とも光抜けが見られなかった。
Figure 2007155757
本発明によれば、液晶表示装置の画質の改善に用いられる積層光学補償フィルム及び複合偏光板を提供することができる。

Claims (3)

  1. シクロオレフィン系樹脂フィルム、ウレタンエマルジョンからなる層及び垂直配向性液晶層がこの順で積層されていることを特徴とする積層光学補償フィルム。
  2. 垂直配向性液晶層は、下記式(1)、(2)及び(3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する重合性液晶組成物の重合体からなることを特徴とする請求項1記載の積層光学補償フィルム。
    Figure 2007155757
    上記式(1)において、Wは水素又はメチルであり、lは4〜6の整数である。
    上記式(2)において、W及びWは水素、塩素又はフッ素であり、W及びWは水素、塩素、メチル又はトリフルオロメチルであり、Xは単結合、エチレン結合又はエタン結合であり、mは4〜6の整数である。
    上記式(3)において、nは4〜6の整数である。
  3. 請求項1又は2記載の積層光学補償フィルムが偏光板に積層されてなることを特徴とする複合偏光板。
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