本発明は、所謂逆セル型の製氷機の水皿の位置を正確に検出して、水皿の開閉をより正確に制御することを目的とするものである。水皿の開閉を正確に制御するという目的を水皿の水平閉塞位置と傾斜開放位置を検出する非接触式の水皿位置検出手段を設けることにより実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
図1は本発明の一実施例の製氷機Iの正面図、図2は製氷機Iの側面図、図3は製氷機Iの制御装置20の電気回路図をそれぞれ示している。実施例の製氷機Iは、断熱箱体から成る本体3の前面に開閉可能な断熱扉4を備え、該断熱扉4にて閉塞された本体3内に貯氷庫Sが構成されている。そして、貯氷庫Sの上部の本体3内に製氷部IUを配し、下部には後述する冷却装置Rの圧縮機21、補助凝縮器41及び凝縮器42等が収納された機械室Mが構成されている。
実施例の製氷機Iは、下向きに開口する多数の製氷室1Aが区画形成された冷却器1と、各製氷室1Aを閉塞する水皿5とを有する製氷部IUを備え、水皿5が製氷室1Aを閉塞する所定の水平閉塞位置で、当該水皿5から各製氷室1Aに噴水して製氷行程を行い、水皿が製氷室1Aを開放する所定の傾斜開放位置で冷却器1を加熱して離氷行程を行う所謂逆セル型と称される製氷機である。ここで、上記製氷部IUの構成を図4乃至図10を用いて詳述する。図4は水皿が水平閉塞位置にある状態の製氷機Iの製氷部IUの側面図、図5は図4の製氷部IUのモータとしての減速モータ10と該減速モータ10の出力軸10Aに取り付けられたアームの正面図(図4の反対側の側面から見た図である)、図6は図5のアームを取り外した状態の減速モータ10の正面図、図7は図6の拡大図、図8は図6の減速モータ10の側面図、図9は図6の減速モータ10の平面図をそれぞれ示している。
当該製氷部IUは、各製氷室1Aと、その上壁外面に冷却装置Rの蒸発パイプ2を備えた上記冷却器1と、図4に示す如き所定の水平閉塞位置において各製氷室1Aを下方から余裕を持って閉塞し、表面には各製氷室1Aに対応する図示しない噴水孔及び戻り孔を形成した水皿5と、該水皿5に固定され、前記戻り孔に連通する水タンク6と、水タンク6内の水を送水管7、更に図示しない分配管を経て前記噴水孔から噴出し、各製氷室1Aへ循環せしめる循環ポンプ9と、水皿5を傾動及び復動せしめる正逆転可能な高ギヤ比の減速モータ10を備えた駆動手段としての駆動装置11と、給水電磁弁12の開放時に水皿の表面に散水する散水器13と、水タンク6内に設けられたフロートによって作動し、水タンク6の所定の満水位を検出する水位スイッチWLSWと等にて構成される。
前記減速モータ10は、支持梁15に固定された取付板16に支持されており、当該減速モータ10の出力軸10Aには、相互に出力軸10Aの半径方向の逆方向にそれぞれ延出したアームとしての第1のアーム17A及び第2のアーム17Bを有する駆動カム17が取り付けられている。この駆動カム17の第1のアーム17Aの端部にはコイルバネ18(図12)の一端が取り付けられており、このコイルバネ18の他端は水皿5の他端部の側面に連結されている。これにより、水皿5の他端部はコイルバネ18を介して第1のアーム17Aの端部に連結されたかたちとされている。また、水皿5の一端部は回動軸19を介して支持梁15に回動自在に枢支されている。尚、当該出力軸10Aの根本側は軸方向を向いたときの一側がカットされて断面が略D型とされている。
また、30は水皿5の所定の水平閉塞位置と傾斜開放位置を検出する非接触式の水皿位置検出手段としての水皿位置検出スイッチである。この水皿位置検出スイッチ30は、水皿5の傾復動と共に移動する磁石32と、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置において磁石32の磁力線にそれぞれ反応する磁気反応素子33とから構成される非接触式の水皿位置検出手段である。本実施例では水皿5を傾復動させる減速モータ10の出力軸10Aに取り付けられた取付具35の先端部に磁石32を配すると共に、磁気反応素子33を減速モータ10の出力軸10A側の面の当該出力軸10A周辺に設けている。
ここで、実施例の水皿位置検出スイッチ30について詳述する。実施例の水皿位置検出スイッチ30は、前述の如く磁石32と磁気反応素子33とから構成される。当該磁石32は、減速モータ10の出力軸10A(駆動カム17の減速モータ10側)に取り付けられ、第1のアーム17Aに沿って出力軸10Aの半径方向に延出する取付具35の先端部に配設されている。また、本実施例では当該磁石32の磁力線に反応する磁気反応素子33としてホール素子33A、33Bを用いている。
この場合、ホール素子33A、33Bは、図6、図7に示すように出力軸10Aを囲むように湾曲した切欠部を一側中央に有した基板37の一面(図の下面)のプリント配線上両端部に設けられている。そして、この基板37と略同一形状の取付台36を準備し、図10に示すように基板37のプリント配線側(ホール素子側)を取付台36に密着させて固着し、固着部の周囲全周をシール部材38で水密的にシールしている。そして、取付台36を減速モータ10側とし、出力軸10Aを上記切欠部内に配置して、当該出力軸10Aを囲むようなかたちで減速モータ10の一面に実施例では上下に取り付けている。
この状態で一方のホール素子33Aは出力軸10Aの上方に位置し、他方のホール素子33Bは反対側の出力軸10A下方に位置している。ホール素子33Aは、減速モータ10の逆転により駆動カム17が図5及び図7中に矢印で示す如く反時計回りに回転し、水皿5が前記水平閉塞位置に到達したところで、取付具35に配設された磁石32に対応するように配される。そして、磁石32がホール素子33Aに対応する位置に到達すると、ホール素子33Aが磁石32の磁力線を検知して出力を発生し(以下、ONと云う。尚、磁石32の磁力線を検知してしていないときはOFFしている。)、これによって非接触で水皿5の水平閉塞位置が検出される。
また、ホール素子33Bは、減速モータ10の正転により駆動カム17が後述する図13及び図14に矢印で示す如く時計回りに回転し、水皿5が前記傾斜開放位置に到達したところで磁石32に対応するように配されている。このように磁石32がホール素子33Bに対応する位置に到達すると、ホール素子33Bが磁石32の磁力線を検出して出力を発生し(以下、ONと云う。尚、磁石32の磁力線を検知してしていないときはOFFしている。)、これによって、非接触で水皿5の傾斜開放位置が検出される。
更に、上記取付台36には、ストッパ34A、34Bが一体に形成されている。ストッパ34A、34Bは、前記取付具35の回転を規制するための規制部材であり、当該取付台36の基板37が当接する面の前記切欠部側の縁部を二カ所突出させることにより形成されている。この場合、ストッパ34Aは前記取付具35が復動側(図7に示す矢印側)に回転し、取付具35に取り付けられた磁石32が前記ホール素子33Aに対応する位置に到達して、水皿5が水平閉塞位置に到達した位置を通り過ぎて更に回転した際に当該ストッパ37と取付具35とが当接する位置に配設される。従って、当該ストッパ34Aにより、取付具35の復動側の回転を規制することが可能となるので、取付具35がそれ以上復動側に回転する不都合を未然に回避することができる。また、ストッパ34Bは取付具35が傾動側(図14に示す矢印側)に回転し、当該取付具35の磁石32がホール素子33Bに対応する位置に到達して、水皿5が傾斜開放位置に到達した位置を通り過ぎて更に回転した際にストッパ34Bと取付具35とが当接する位置に配設される。従って、当該ストッパ34Bによって、取付具35の傾動側の回転を規制することが可能となり、取付具35がそれ以上傾動側に回転する不都合を回避することができる。
更に、両ストッパ34A、34Bは、取付具35を出力軸10Aに取り付ける際の位置決めとなる。即ち、取付具35を出力軸10Aに取り付ける際には、両ストッパ34A、34B間であって、基板37側(即ち、図7の向かって右側)に延出するように取り付ければよい。これにより、取付具35を取り付ける際に誤って反対側(即ち、図7の向かって左側)に取り付ける不都合を確実に解消することができる。また、取付台36と基板37との固着部の外周縁は全周に渡ってシール部材38にてシールしているので、基板37の一面(減速モータ側の面)に設けられたホール素子33A、33Bやプリント配線が浸水することが無くなり、浸水による故障の発生も解消される。
次に、本実施例の冷却装置Rを図11の冷媒回路図を用いて説明する。実施例の冷却装置Rは、圧縮機21、補助凝縮器41、凝縮器42、三方管43、受液器44、乾燥器45、膨張弁46、冷却器1、アキュムレータ47等を配管接続することにより構成されている。即ち、圧縮機21の吐出側の配管は三方管43の入口に接続される。当該三方管43の一方の出口は凝縮器42に接続される。この凝縮器42は圧縮機21にて圧縮された高温高圧の冷媒ガスを冷却するための放熱手段であり、当該凝縮器42の近傍には凝縮器冷却手段としての凝縮器冷却用のファン22が設置されている。そして、凝縮器42の出口に接続された配管は受液器44、乾燥器45を介して減圧装置としての膨張弁46の入口に接続され、膨張弁46を出た配管は蒸発パイプ2の入口に至る。そして、蒸発パイプ2の出口に接続された配管はアキュムレータ47を介して圧縮機21の吸込側に帰還する環状のサイクルを構成する。
一方、三方管43の他方の出口にはホットガス管48が接続され、当該ホットガス管48の途中部にはホットガス電磁弁23が介設される。当該ホットガス電磁弁23は圧縮機21にて圧縮された高温高圧の冷媒ガスの蒸発パイプ2への流入を制御するための電磁弁であり、当該ホットガス電磁弁23が開いた状態で圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒ガス(ホットガス)が蒸発パイプ2に直接(凝縮器42、受液器44、乾燥器45及び膨張弁46を経ること無く)供給される構成とされる。
また、図中41は、圧縮機21にて圧縮された高温高圧の冷媒ガスを冷却するための補助凝縮器であり、当該補助凝縮器41にて冷却された冷媒ガスは一旦圧縮機21に帰還した後、吐出側に接続された配管から圧縮機21外部に吐出される構成とされている。
次に、図3の制御装置20において、電源ACには操作スイッチ65を介して以下の各回路が接続されている。即ち、冷却装置Rの前記圧縮機21はリレーR1と直列に接続され、前記冷却装置Rの凝縮器42を冷却するファン22はリレーR2と直列に接続される。
循環ポンプ9のポンプモータ9MはリレーR3と直列に接続され、前記ホットガス電磁弁23はリレーR7と直列に接続されると共に、給水電磁弁12はリレーR4と直列に接続される。また、減速モータ10はリレーR5及び切換リレーR6と直列に接続される。この切換リレーR6は接点a側に閉じて減速モータ10を正転させ、接点b側に切り換わって減速モータ10を逆転させるものである。
これらリレーR1乃至R7は制御手段としての汎用のマイクロコンピュータ25によって制御される。マイクロコンピュータ25の入力には前記水位スイッチWLSWと、前記水皿位置検出スイッチ30を構成するホール端子33A、33Bが接続されると共に、貯氷庫S内の所定の満氷量を検出したときに接点を閉じる貯氷スイッチBSWが接続される。また、マイクロコンピュータ25の入力には、前記冷却器1の温度を検出するETセンサー26、前記凝縮器42の出口温度(凝縮器42の温度)を検出するCTセンサー31、前記水タンク6内の水温を検出するWTセンサー51及び外気温度を検出するATセンサー52が接続され、更に、前記給水電磁弁12により強制的に給水を行う強制給水スイッチ53、強制的に離氷を行わせる強制離氷スイッチ55及び、後述する表示器29の表示を切り換えたり、時刻の早送りを行うための送りスイッチ54がそれぞれ接続される。そして、これら強制給水スイッチ53、強制離氷スイッチ55及び送りスイッチ54は、この順で前記基板37上に並設される。
マイクロコンピュータ25の出力にはモニター27及び表示器29が接続される。この表示器29は、例えば、制御装置20が異常が発生したものと判断した場合、当該異常発生を表示するための表示手段であり、7セグメントの2桁LEDから構成されている。また、マイクロコンピュータ25には例えばEEPROMから成るメモリ28が接続されており、メモリ28は製氷機Iへの通電が断たれた場合にも記憶内容を失わずに保持し続け、後述するクリア操作によって記憶内容を消去する。
以上の構成で次に製氷機Iの動作を説明する。製氷機Iを据え付けた後、又は、長期不使用のため、或いは一瞬停電により電源ACが断たれた後、操作スイッチ65を再度閉じて製氷機Iに電源を投入(ON)したのもとする。このとき水皿5の位置は確定しておらず、前記水平閉塞位置(図4)か、若しくは傾斜開放位置(図12)か、或いはその途中の傾斜状態であり、該傾斜状態も傾動途中と復動途中とが考えられる。
しかしながら、係る状態は水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bの状態によって三種類に判別できる。即ち、水皿位置検出スイッチ30のホール素子33AがONし、ホール素子33BがOFFしているときは、水皿5は水平閉塞位置であり、ホール素子33AがOFFし、ホール素子33BがONしているときは、水皿5は傾斜開放位置であり、両ホール素子33A、33BがOFFしているときは水皿5は傾動途中か、或いは、復動途中である。
そこで、マイクロコンピュータ25は操作スイッチ65が閉じられて電源ACが投入(ON)されると、水皿位置検出スイッチ30の状態を判別し、ホール素子33AがONしており、ホール素子33BがOFFしていて水皿5が水平閉塞位置にある場合、リレーR5を閉じ、切換リレーR6を接点a側に閉じて減速モータ10を正転させ、水皿5を傾動させる。そして、水皿位置検出スイッチ30の状態を再び判別し、傾動途中にある場合、即ち、ホール素子33A及びホール素子33BがOFFしている場合は、傾動動作を続ける。水皿5が所定の傾斜開放位置となり、水皿位置検出スイッチ30のホール素子33BがONすると、マイクロコンピュータ25は今度は切換リレーR6を接点側に閉じ、減速モータ10を逆転させて水皿5の復動を開始する。
マイクロコンピュータ25は次に水皿5が閉完了(水平閉塞位置)する15秒(所定時間前か否か判断し、否である場合には再び水皿位置検出スイッチ30の状態を判断し、復動途中にある場合、即ち、ホール素子33A及びホール素子33BがOFF状態である場合は、復動動作を続ける。そして、15秒前になるとリレーR4を閉じて給水電磁弁12を開く(ON)。給水電磁弁12が開くと散水器13から水皿5の表面に散水され、主に戻り孔を通って水タンク6に給水される。次に、水位スイッチWLSWにより水タンク6の水位が所定の満水位に達しているか否か判断し、否であれば上記給水を継続する。
その後、水皿5が前記水平閉塞位置(図4)となり、水皿位置検出スイッチ30のホール素子33AがONすると、マイクロコンピュータ25は水皿5の復動を停止する。
一方、電源ACが投入(ON)されたときに水皿位置検出スイッチ30のホール素子33AがOFFし、ホール素子33BがONしていて水皿5が傾斜開放位置にある場合、或いは、ホール素子33A及びホール素子33Bが共にOFFしていて、水皿5が傾動途中、或いは、復動途中である場合、マイクロコンピュータ25はリレーR5を閉じ、切換リレーR6を接点b側に閉じて減速モータ10を逆転させ、水皿5を復動させる。その後は水皿検出スイッチ30のホール素子33AがONするまで復動を続け、水皿5が水平閉塞位置となったところで同様に停止させる。
このように、マイクロコンピュータ25は電源投入(ON)時、水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bの出力状態に応じて水皿5の状態を判別し、水皿5が水平閉塞位置と判断される場合には水皿5を一旦傾動させ、次に復動させて所定の水平閉塞位置とすると共に、水皿5が傾斜開放位置か傾動途中、或いは復動途中と判断される場合には、水皿5を復動させて前記水平閉塞位置とする。何れにしろ本発明の製氷機Iによれば電源投入後、水皿5は必ず水平閉塞位置に初期設定される。
その後、水位スイッチWLSWが水タンク6内の満水位を検出すると、リレーR4を開き、給水電磁弁12を停止(OFF)する。次に、マイクロコンピュータ25はリレーR3及びリレーR7を閉じ、循環ポンプ9のポンプモータ9Mを運転(ON)すると共にホットガス電磁弁23を開く(ON)。
この循環ポンプ9のポンプモータ9Mが運転されると、水タンク6内の水は前記噴水孔から製氷室1Aに噴水され、戻り孔から水タンク6に戻る経路で循環される。これによって係る循環水路内に堆積、又は付着した塵埃や水アカが洗浄され、噴水孔に詰まった塵埃も除去される。
次に、マイクロコンピュータ25はその機能として有するタイマーのカウントが30秒となっているか否か判断し、否であれば洗浄を継続する。係る洗浄が30秒実行された後、マイクロコンピュータ25はリレーR1を閉じ、圧縮機21を起動すると共に、以下の離氷行程に移行する。
この離氷行程ではマイクロコンピュータ25はリレーR2及びリレーR3を開き、凝縮器冷却用のファン22及び循環ポンプ9のポンプモータ9Mを停止させて、リレーR5及びリレーR7を閉じ、切換リレーR6を接点a側に閉じて減速モータ10を正転させ、水皿5を傾動させて行く。
一方、圧縮機21が起動すると、圧縮機21にて圧縮された高温高圧の冷媒ガスが当該圧縮機21から吐出され、補助凝縮器41に流入して放熱する。補助凝縮器41にて放熱した冷媒ガスは一旦圧縮機21に戻り、再び吐出されて三方管43に至る。ここで、前述の如く三方管43の他方の出口に接続されたホットガス管48のホットガス電磁弁23が開いているので、圧縮機21からの高温高圧の冷媒ガスは当該ホットガス管48を経て蒸発パイプ2に直接供給され、冷却器1が加熱される。
そして、水皿5が図12に示す如き所定の傾斜開放位置(全開)まで傾動すると、取付具35の磁石32が水皿位置検出スイッチ30のホール素子33Bに対応する位置まで移動して(図13及び図14)、ホール素子33BがONする。これにより、マイクロコンピュータ25はリレーR5を開き、減速モータ10を停止させて水皿5の傾動を停止させる。水皿5が傾斜開放位置となると、水タンク6内の前記循環水は水タンク6直下に位置する図示しない排水部に排水される。そして、ETセンサー26により取り込んだ冷却器1の温度が例えば+9℃の離氷完了温度より高くなった否か判断し、高くなっていればリレーR5を閉じると共に、切換リレーR6を接点bに閉じて減速モータ10を逆転させ、水皿5を上方に復動させて行く。
係る復動により水皿5が図4に示す如き所定の水平閉塞位置(全閉)まで復帰すると、取付具35に設けられた磁石32が基板37上のホール素子33Aに対応する位置まで移動し、ホール素子33AがONするので、マイクロコンピュータ25はリレーR5及びリレーR7を開き、ホットガス電磁弁23を閉じると共に、減速モータ10を停止させて水皿5の復動を停止させる。そして、マイクロコンピュータ25はリレーR1を閉じ、圧縮機21を運転しつつ以下の製氷行程に移行する。尚、マイクロコンピュータ25は水皿5が全閉完了する以前の15秒前からリレーR4を閉じて給水電磁弁12を開き、前述同様に水タンク6への給水を開始している。
この製氷行程では、マイクロコンピュータ25は、リレーR2及びリレーR4を閉じて給水しつつ凝縮器冷却用のファン22を運転し、また、リレーR3を閉じ、循環ポンプ9のポンプモータ9Mを運転して水タンク6内の水を噴水孔から各製氷室1Aに循環させる。
そして、圧縮機21が起動すると、当該圧縮機21にて圧縮された前述の如く補助凝縮器41にて放熱し、圧縮機21に一旦戻り、再び吐出されて三方弁43に流入した高温高圧の冷媒ガスは、上述の如くホットガス電磁弁23が閉じられているので、ホットガス管48から蒸発パイプ2に直接供給されることなく、全て凝縮器42に流入する。
凝縮器42に流入した高温高圧の冷媒ガスは、当該凝縮器42を通過する過程でファン22の通風により空冷されて凝縮した後、凝縮器42を出て受液器44及び乾燥器45を経て減圧装置としての膨張弁46に至る。この膨張弁46にて冷媒は減圧され、前記蒸発パイプ2に流入して冷却器1から吸熱することにより蒸発する。これにより、冷却器1の各製氷室1Aに供給される前記水を冷却する。そして、蒸発パイプ2を出た冷媒はアキュムレータ47を経て圧縮機21に帰還するサイクルを繰り返す。
一方、マイクロコンピュータ25は水位スイッチWLSWが閉じたか否か判断し、水タンク6内に所定量の水が供給され、水位スイッチWLSWが所定の水位を検出して閉じると、リレーR4を開き、給水電磁弁12を閉じて給水を停止する。また、マイクロコンピュータ25はWTセンサー51の出力に基づいて水タンク6内の水温を取り込み、水温が例えば+3℃以下に3秒間達しているか否か判断する。そして、この条件が満たされるまで待ち、次にマイクロコンピュータ25がその機能として有する製氷タイマの積算値が所定の積算値に達していなければ上記製氷タイマの積算を継続する。係る製氷運転によって冷却器1の製氷室1A内には徐々に氷が生成されて行く。
そして、製氷タイマが所定の積算値に達すると、マイクロコンピュータ25はリレーR2及びリレーR3を開き、凝縮器冷却用のファン22及び循環ポンプ9のポンプモータ9Mを停止させる。次に、リレーR5及びリレーR7を閉じ、また、切換リレーR6を接点a側に閉じて減速モータ10を正転させ、水皿5の傾動を開始すると共に、ホットガス電磁弁23を開いて蒸発パイプ2に前記高温高圧の冷媒ガス(ホットガス)を循環し、冷却器1を加熱して製氷室1Aに凍結した氷の離氷行程に移行する。
この離氷工程は前述同様に実行され、製氷室1A内に生成された氷は傾動する水皿5上に落下し、更に下方の貯氷庫S内に落下して貯えられる。尚、水皿5が前述したように所定の傾斜開放位置(全開)まで傾動し、磁石32がホール素子33Bに対応する位置まで移動してホール素子33BがONすると、マイクロコンピュータ25はリレーR5を開き、減速モータ10を停止させて水皿5の傾動を停止させる。そして、この離氷行程の間マイクロコンピュータ25は貯氷スイッチBSWが閉じているか否か判断し、貯氷庫S内に所定量の氷が貯えられている場合にはリレーR1及びリレーR7を開き、圧縮機21と循環ポンプ9の運転を停止する。また、リレーR4を開き、給水電磁弁を閉じて、貯氷行程に移行する。
そして、係る貯氷行程は貯氷庫S内の氷が使用(消費)され、減少して貯氷スイッチBSWが閉じるまで継続される。そして、貯氷スイッチBSWが閉じると、マイクロコンピュータ25は再び前記製氷行程に戻る。
以上のように、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置を検出する非接触式の水皿位置検出スイッチ30を設けることで、従来の接触式の水皿位置検出スイッチを用いる場合に比して、水皿5の開閉をより正確に制御することができるようになる。ここで、従来の接触式の水皿位置検出スイッチについて、図24乃至図27を用いて説明する。図24乃至図27に示す製氷機は、従来の接触式の水皿位置検出手段としての水皿位置検出スイッチASWを備えた製氷機であり、図24は当該製氷機CIの水皿5が水平閉塞位置にある状態の製氷部CIの側面図、図25は図24の一部平面図、図26は当該製氷機CIの水皿が傾斜開放位置にある状態の製氷部の側面図、図27は図26の一部平面図をそれぞれ示している。尚、図24乃至図27において、本発明の図1乃至図23と同じ符号が付されたものは、同一、或いは類似の機能を奏するものとして説明を省略する。
図24乃至図27に示すように、従来の接触式の水皿位置検出スイッチASWは、切換レバー100の接点の開閉状態により水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置を検出するための接触式の水皿位置検出スイッチである。この水皿位置検出スイッチASWは支持梁15に固定された取付板16に設けられ、且つ、当該水皿位置検出スイッチ30の切換レバー100は、駆動カム17の第1及び第2のアーム17A及び17Bが当接する位置に配されている。そして、減速モータ10の正転により駆動カム17が図24及び図26において反時計回りに回転すると、水皿5が前記傾斜開放位置となったところで第2のアーム17Bが切換レバー100に当接し、それによって水皿位置検出スイッチASWの接点が閉じて復動側に切換反転される。即ち、第2のアーム17Bが水皿位置検出スイッチASWの切換レバー100の前方側(図26の右側)から当接し、後方側(図26の左側)に押されると、切換レバー100が切り換わって接点が閉じ、復動側に切換反転される。
また、減速モータ10の逆転により駆動カム17が図24及び図26において時計回りに回転すると、水皿5が水平閉塞位置となったところで第1のアーム17Aが切換レバー100に当接し、それによって水皿位置検出スイッチASWの接点が開いて傾動側に切換反転される。即ち、第1のアーム17Aが水皿位置検出スイッチASWの切換レバー100の後方側(図24の左側)から当接し、前方側(図24の右側)に押されると、切換レバー100が切り換わって接点が開いて、傾動側に切換反転される構成とされていた。
上述した従来の接触式の水皿位置検出スイッチASWでは、水皿位置検出スイッチASWの切換レバー100の組み付け時の誤差により、スイッチが所望の位置で切り換わらない場合があった。また、第1のアーム17A、或いは第2のアーム17Bが当接しても作動しないなどの不具合も発生していた。特に、水皿位置検出スイッチASWの切換レバー100は、減速モータ10の出力軸から離間した取付板16に設置されていたため、当該切換レバー100の位置決めが困難であり、組み付け誤差が生じやすい。また、スイッチASWが浸水して不良となる場合もある。また、レバーとアームの当接によって切り換えられるため、経年劣化も激しくなり、これらの原因によってスイッチの切り換え不良が発生する問題が生じていた。このようなスイッチの切換え不良が生じると、例えば水皿5が復動して製氷室1Aを閉塞したにも拘わらず、更に減速モータ10が復動する方向(閉じる方向)に回転してしまい、減速モータ10や構造部品に過大な負荷が係り、故障が発生する。
一方、本発明の製氷機Iでは水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置を検出する非接触式の水皿位置検出スイッチ30を設けることで、従来の接触式の水皿位置検出スイッチを用いる場合に比して、水皿5の開閉をより正確に制御することが可能となると共に、浸水による動作不良も防止することが可能となる。特に、本実施例の製氷機Iの如き水皿位置検出スイッチ30を、水皿5の傾復動と共に移動する磁石32と、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置において磁石32の磁力線にそれぞれ反応するホール素子33A及びホール素子33B等の磁気反応素子33とから構成することで、制御性の改善とコストの削減を確実に達成することが可能となる。また、取付スペースや部品点数の削減も図り、製造コストを低減させることも可能となる。
更に、磁石32を取付具35に取り付け、該取付具35を水皿5を傾復動させる減速モータ10の出力軸10Aに取り付けると共に、磁気反応素子33を減速モータ10の出力軸10A周辺部の基板37上に取り付けることで配線も容易となり、組立作業性の改善を図ることができる。また、基板37を減速モータ10の所定位置に取り付けておくことで組み付け誤差に伴う誤動作の発生も容易に回避することが可能となる。
尚、上記に詳述した本実施例の製氷機Iにおいて、減速モータ10の出力軸10Aには、相互に逆方向に延出した第1及び第2のアーム17A、17Bを有する駆動カム17を連結し、該駆動カム17の第1のアーム17Aの端部に取り付けたコイルバネ18の他端を水皿5の他端部の側面に連結するものとしたが、本発明の如く製氷機Iの水位置検出スイッチ30を用いる場合には、第2のアーム17Bを排除することも可能であり、材料コストの削減を図り、製造コストをより一層低減させることも可能となる。
また、上述の如く本実施例の製氷機Iでは、減速モータ10の出力軸10Aに水皿位置検出スイッチ30の磁石32を取り付けた取付具35を取り付けるものとしたが、図22及び図23に示すように第1のアーム17Aに磁石を取り付けるものとしても構わない。図22及び図23は磁石32を第1のアーム17Aに取り付けた場合の一実施例であり、図22は水皿5が水水平閉塞位置にある状態の製氷部IUの減速モータ10と第1のアーム17Aの正面図、図23は水皿5が傾斜開放位置にある状態の製氷部IUの減速モータ10と第1のアーム17Aの正面図をそれぞれ示している。
この場合、磁石32の取付具を第1のアーム17Aにて兼用することが可能となるので、部品点数の更なる削減を図ることができるようになる。
ところで、このような製氷機Iでは、減速モータ10の故障などにより、水皿5の傾復動作に支障が生じたり、配線の切断や接触不良等の配線の故障や、配線にノイズが入り込むことにより、マイクロコンピュータ25が水皿5を作動する旨の指令を発していないにも拘わらず、減速モータ10が動作してしまう等の問題が生じる。
このような異常が発生した場合には、マイクロコンピュータ25は早期に異常発生を検出し、判定して的確に対処することが望まれる。そこで、本発明のマイクロコンピュータ25の各異常検出の判定について、図15乃至図21のフローチャートを参照しながら詳述する。
(1)水皿の開放異常の検出
先ず、前記マイクロコンピュータ25が水平閉塞位置から水皿5を傾動させるよう制御しているにも拘わらず、減速モータ10の故障その他の何らかの原因で水皿5が傾動できずに水平閉塞位置のままとなってしまった場合(所謂開放異常)の異常検出について図15を用いて説明する。マイクロコンピュータ25は、水皿5を水平閉塞位置から傾動開始した後、所定時間経過しても水皿位置検出スイッチ30が水皿5の水平閉塞位置を検出している場合、開放異常が発生したものと判断する。
即ち、水皿5を水平閉塞位置から傾動する場合、マイクロコンピュータ25は図15のステップS1で水皿5の正転指令を発し、ステップS2に進んでホール素子33AがOFFしたか否かを判別する。そして、ホール素子33AがOFFした場合には、係る開放異常が発生していないものと判断し、ステップS3に進んで次の制御へと移行する。
一方、ステップS2にてホール素子33AがONしている場合には、マイクロコンピュータ25はステップS4に進み、その機能として有するタイマーのカウントを開始する。そして、ステップS5にてタイマーのカウントを開始して所定時間t1経過(例えば数秒間)したか否かを判別し、否であればステップS2に戻って前記ホール素子33Aの出力判別を再び実行する。ホール素子33AがOFFせずにステップS5にて所定時間t1が経過し、タイマーのカウントが終了した場合には、マイクロコンピュータ25はステップS6に進んで、異常が発生したものと判断し、次に説明する異常時の制御に移行する。
(2)異常時の制御
上述の如く異常発生と判断した場合、マイクロコンピュータ25は次に異常時の制御に移行する。図20はマイクロコンピュータ25が異常と判断した場合の制御を示すフローチャートである。上述の如く異常の発生と判断した場合、マイクロコンピュータ25は図20のステップS51で製氷機Iの運転を停止する。即ち、マイクロコンピュータ25はステップS51でリレーR1乃至R5、R7を開いて製氷機Iの圧縮機21、減速モータ10その他の各機器の動作を停止する。次に、ステップS52に進んで再起動の回数が所定の回数nに達したか否かを判別し、否である場合には、マイクロコンピュータ25はステップS53に進んで自らをリセットする。
次に、マイクロコンピュータ25はステップS54にて製氷機Iを再起動し、ステップS55に進んでその機能として有する当該再起動の回数をカウント(ステップS52ではカウント数はリセットされない)した後、次の制御に移行する。これによって、製氷機Iは上述した電源投入時の動作から運転が再開されることになる。
このように、マイクロコンピュータ25は異常が発生したものと判断した場合、ステップS53にて製氷機Iをリセットした後に再起動するようにしたので、一時的な要因による異常を解消し、自動的に運転を再開することができる。
一方、マイクロコンピュータ25は上記再起動が複数回発生した場合、運転を停止し再起動しないように制御する。即ち、ステップS51にて運転を停止し、ステップS52にて再起動の回数が所定の回数nに達した場合には、マイクロコンピュータ25はステップS56に進んで表示器29及び図示しない警報装置を作動させる。
このように、マイクロコンピュータ25は再起動の回数が所定の回数nに達した場合には、運転を停止した後、再起動をしないものとすると共に、前記表示器29及び警報装置を作動させるので、リセットしても解消しない深刻な故障に至る異常が発生している場合に、それ以上の運転を停止して修理を促すことができる。
以上詳述した如き本発明により異常が発生した場合には、マイクロコンピュータ25が早期に異常発生を検出し判定して、係る異常に的確に対処することが可能となる。
更に、本発明の如く水皿位置検出スイッチ30を、前述した水皿5の傾復動と共に移動する磁石32と、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置において磁石32の磁力線をそれぞれ検出するホール素子33A、33Bとから構成することで、より正確な水皿開閉制御と異常発生の判断を実現することができるようになる。
(3)もう一つの異常時の制御
尚、上述した異常時の制御では、マイクロコンピュータ25は運転を停止してすぐに製氷機Iをリセットして再起動するものとしたが、これに限らず、運転を停止した後、所定時間経過後にリセットして再起動するものとしても構わない。この場合の一例を図21を用いて説明する。上記異常時制御と同様にマイクロコンピュータ25は異常発生と判断した場合、ステップS51で製氷機Iの運転を停止する。次に、マイクロコンピュータ25はステップS52進んで再起動の回数が所定の回数nに達したか否かを判別し、否である場合には、マイクロコンピュータ25はステップS57に進んで、その機能として有するタイマーのカウントを開始する。
次に、マイクロコンピュータ25はステップS58にてタイマーのカウントを開始して所定の時間t4経過したか否かを判別し、否であればカウントを継続する。係るタイマーのカウントが所定時間t4実行されると、マイクロコンピュータ25はステップS59に進んで、自らをリセットする。次に、マイクロコンピュータ25はステップS60にて製氷機Iを再起動し、ステップS61に進んでその機能として有する当該再起動の回数をカウントした後、次の制御に移行する。
他方、マイクロコンピュータ25はステップS51にて運転を停止し、ステップS52にて再起動の回数が所定の回数nに達した場合には、上述した制御と同様にステップS56に進んで表示器29及び図示しない警報装置を作動させる。
以上のようにマイクロコンピュータ25を制御した場合にも、上述同様にステップS59にてリセット後に再起動するようにしたので、一時的な要因による異常を解消し、自動的に運転を再開することができる。また、再起動の回数が所定の回数nに達した場合には、運転を停止した後、再起動をしないものとすると共に、前記表示器29及び警報装置を作動させるので、深刻な故障に至る異常が発生している場合に、それ以上の運転を停止して修理を促すことも可能である。
更に、本制御によれば、マイクロコンピュータ25は異常が発生したものと判断した場合、運転を停止し、所定時間t4経過後にリセットして再起動するようにしたので、時間をおけば回復する異常を解消し、自動的に運転を再開することができるようになる。
このように、本発明の製氷機Iによれば、マイクロコンピュータ25が、水皿5を水平閉塞位置から傾動開始した後、所定時間t1経過しても水皿検出位置スイッチ30のホール素子33AがONしている状態の場合、異常が発生したものと判断するので、減速モータ10の故障などの何らかの原因により、水皿5が傾動できずに水平閉塞位置のままとなっている開放異常を的確に検出して対処することができるようになる。
(4)水皿の閉塞異常の検出
次に、前記マイクロコンピュータ25が傾斜開放位置から水皿5を復動させるよう制御しているにも拘わらず、水皿5が復動できずに傾斜開放位置のままとなってしまう、所謂閉塞異常の検出について図16を用いて説明する。マイクロコンピュータ25は、水皿5を水平閉塞位置から傾動開始した後、所定時間経過しても水皿位置検出スイッチ30が水皿5の傾斜開放位置を検出している場合、閉塞異常が発生したものと判断する。
即ち、水皿5を傾斜開放位置から復動する場合、マイクロコンピュータ25は図16のステップS11で水皿5の反転指令を発し、ステップS12に進んで、ホール素子33BがOFFしたか否かを判別する。そして、ホール素子33BがOFFした場合には、係る閉塞異常が発生していないものと判断し、ステップS13に進んで次の制御へと移行する。
一方、ステップS12にてホール素子33BがONしている場合には、マイクロコンピュータ25はステップS14に進み、その機能として有するタイマーのカウントを開始する。そして、ステップS15にてタイマーのカウントを開始して所定時間t2経過したか否かを判別し、否であればステップS12に戻って前記ホール素子33Bの出力の判別を再び実行する。ホール素子33Bの出力がOFFにならず、所定時間t2が経過してステップS15にて係るタイマーのカウントが終了した場合には、マイクロコンピュータ25はステップS16に進んで、異常が発生したものと判断し、前述した(2)又は(3)の異常時の制御に移行する。
このように、本発明の製氷機Iによれば、マイクロコンピュータ25が水皿5を傾斜開放位置から復動開始した後、所定時間t2経過しても水皿位置検出スイッチ30のホール素子33BがONした状態を検出している場合、異常が発生したものと判断するので、減速モータ10の故障などの何らかの原因により、水皿5が復動できずに傾斜開放位置のままとなってしまっている異常を的確に検出して対処することができるようになる。
(5)水皿の途中停止異常の検出
次に、水皿5が傾動途中、或いは、復動途中で停止したままとなってしまう、所謂途中停止異常の検出について、図17を用いて説明する。マクロコンピュータ25は、水皿位置検出スイッチ30が水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置の何れも所定時間(t3)検出していない場合、途中停止異常が発生したものと判断する。
即ち、マイクロコンピュータ25は製氷機Iの電源が投入(ON)されてから、前述の各制御を実行すると共に、図17に示す水皿5の途中停止異常の判断を実行する。この場合、マイクロコンピュータ25はステップS21で水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A、或いは、ホール素子33Bの何れかがONしているか否かを判別する。そして、両ホール素子33A、33Bの内の何れかがONしている場合には、係る途中停止異常が発生していないものと判断し、ステップS22に進んで次の制御へと移行する。
一方、ステップS21にて両ホール素子33A、33Bの接点が何れもOFFしている場合には、マイクロコンピュータ25はステップS23に進み、その機能として有するタイマーのカウントを開始する。そして、ステップS24にてタイマーのカウントを開始して所定時間t3(水皿5の傾復動に要する時間より充分長い時間)経過したか否かを判別し、否であればステップS21に戻って両ホール素子33A、33Bの出力状態の判別を再び実行する。そして、ステップS24にて係るタイマーのカウントが所定時間t3実行されるまでに、両ホール素子33A、33Bの何れもONしない場合には、マイクロコンピュータ25はステップS25に進んで、異常が発生したものと判断し、前述した(2)又は(3)の異常時の制御に移行する。
このように、本発明の製氷機Iによれば、マイクロコンピュータ25は、水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bにより、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置の何れも所定時間(t3)検出していない場合、即ち、所定時間t3経過しても両ホール素子33A、33BのうちもONしない場合、異常が発生したものと判断するので、減速モータ10の故障などの何らかの原因により、水皿5が水平閉塞位置と傾斜開放位置の途中で停止したままとなってしまっている異常を的確に検出して対処することができるようになる。
(6)電気的異常の検出1
次に、配線の故障や配線にノイズが入り込むなどにより、水皿位置検出スイッチ30の両ホール素子33A、33Bの出力が同時にONし(ノイズにより両ホール素子が同時にONしたような擬似的な入力がマイクロコンピュータ25に発生した場合も含む)、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置の双方をマイクロコンピュータ25が同時に検出してしまう、所謂電気的異常の検出について図18を用いて説明する。マイクロコンピュータ25は、水皿位置検出スイッチ30が水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置の双方を同時に検出した場合、電気的異常が発生したものと判断する。
即ち、マイクロコンピュータ25は製氷機Iの電源が投入(ON)されてから、前述の各制御を実行すると共に、図18に示す水皿5の電気的異常の判断を実行する。この場合、マイクロコンピュータ25はステップS31で水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bの双方が同時にONしているか否かを判別し、否である場合には、係る電気的異常が発生していないものと判断して、ステップS32に進み、次の制御へと移行する。
他方、ステップS31にてホール素子33A及びホール素子33Bの双方が同時にONしている場合には、マイクロコンピュータ25はステップS33に進んで、異常が発生したものと判断し、前述した(2)又は(3)の異常時の制御に移行する。
このように、本発明の製氷機Iによれば、マイクロコンピュータ25は、水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bにより、水皿5の水平閉塞位置と傾斜開放位置の双方を同時に検出した場合、即ち、ホール素子33Aとホール素子33Bの双方が同時にONしている場合、異常が発生したものと判断するので、配線の故障やノイズなどの影響によって誤った検出情報が発生した異常を的確に検出して対処することができるようになる。
(7)電気的異常の検出2
次に、減速モータ10や配線の故障、或いは配線にノイズが入り込むなどの影響により、マイクロコンピュータ25が減速モータ10を運転する指令を発していないにも拘わらず、水皿位置検出スイッチ30の出力が変化する、もう一つの電気的異常の検出について図19を用いて説明する。マイクロコンピュータ25は、減速モータ10の停止中(減速モータ10を動作させる指令を出していない状態)に水皿位置検出スイッチ30の出力が変化した場合、もう一つの電気的異常が発生したものと判断する。
即ち、マイクロコンピュータ25は製氷機Iの電源が投入(ON)されてから、前述の各制御を実行すると共に、図19に示す水皿5のもう一つの電気的異常の判断を実行する。この場合、マイクロコンピュータ25はステップS41で減速モータ10を作動させているか否か、即ち、減速モータ10を動作(正転又は逆転)させる指令を発しているか否かを判断する。そして、減速モータ10を作動させている場合には、ステップS42に進んで次の制御へと移行する。
一方、ステップS41にて減速モータ10を作動させていない場合には、即ち、減速モータ10を動作させる指令を発していない場合には、マイクロコンピュータ25はステップS43に進み、水皿位置スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bの出力を判断する。即ち、ステップS43ではマイクロコンピュータ25はホール素子33A及びホール素子33Bの出力に変化が生じたか否かを判別し、否である場合には、係る電気的異常が発生していないものと判断し、ステップS42に進んで次の制御へと移行する。
他方、ステップS43にて、例えば、両ホール素子33A、33Bの双方、若しくは何れかのホール素子(ホール素子33A、或いはホール素子33Bの何れか)の出力状態ONからOFF、又は、OFFからONに変化するなど、ホール素子33A及びホール素子33Bの出力に変化が生じた場合には、マイクロコンピュータ25はステップS44に進んで、異常が発生したものと判断し、前記(2)又は(3)の異常時の制御に移行する。
このように、本発明の製氷機Iによれば、マイクロコンピュータ25は、減速モータ10の停止中に水皿位置検出スイッチ30のホール素子33A及びホール素子33Bの出力に変化が生じた場合、異常が発生したものと判断するので、減速モータ10や配線の故障、ノイズなどの影響によって減速モータ10が誤動作した異常を的確に検出することができるようになる。
尚、本実施例の水皿位置検出スイッチ30は、磁石31と当該磁石31の磁力線にそれぞれ反応するホール素子32A、32Bにて構成するものとしたが、これに限らず、磁石の磁力線に反応して接点が開閉するリードスイッチにより磁気反応素子を構成しても良く、この場合にも水皿の開閉を正確に制御することが可能となる。