JP2007154270A - 構造体 - Google Patents

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啓太 山名
Kyoichi Kinoshita
恭一 木下
Motoharu Tanizawa
元治 谷澤
Takayuki Kato
崇行 加藤
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Abstract

【課題】異種金属部材の端部、特にその先端付近において生じる電食を有効に防止できる構造体を提供する。
【解決手段】本発明の構造体は、第1金属元素を主成分とし2以上の側面が交差してなる第1端部10を有する第1部材1と、第1端部10の少なくとも一部に対峙して配設され、第1金属元素とは異なる第2金属元素を主成分とする第2部材2と、第1部材1の少なくとも一部を覆う被覆膜31と、を有する構造体において、被覆膜31は、コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する電着塗料組成物を塗装して硬化してなり第1部材1と第2部材2との対峙間を跨ぐように生じ得る電食の進行を妨げることを特徴とする。
電着塗料組成物中に含まれる有機微小粒子により、塗膜の硬化時に昇温しても、電着塗料組成物の粘性の低減が防止される。その結果、第1端部10の先端部であっても被覆膜が十分な厚さで形成され、電食の進行が妨げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、異種金属間で生じる電食を有効に防止できる構造体に関するものである。
多くの装置は、金属からなる部材の組み合わせにより構成されている。そして、構成される金属の種類も、それぞれの部位に要求される性能に応じて多種多様である。したがって、装置内に異種金属部材が近接して配設される構造体は、珍しくはない。
異種金属部材を近接して配設した場合、水などを媒介としてその両者間で電気腐食(電食)を生じることが知られている。この電食は、各種金属が固有の腐食電位(基準電位)をもっており、それらの間で電位差を生じることによって起こる。すなわち、両金属を電極とすると共に両者間に介在する水や塩水などを電解液として局部電池が形成されることで電食が進行する。したがって、異種金属部材間の電食は、両者の接触面間に水などが浸入することにより生じるだけではなく、近接した異種金属部材の間や外周囲に水などが付着すれば、その水などが電解液の役割を果して両者の接触部を跨ぐように局部電池が形成されて、電食が進行する。
つまり、電食を効果的に抑制、防止するためには、異種金属部材の接触面間へ浸入する水(電解液)だけではなく、異種金属部材の接触部を跨いで付着する水によって局部電池が形成されないようにする必要がある。そこで、従来から多くの電食防止策が提案されている。
特許文献1は、異種金属部材間に陽極酸化皮膜を介在させて異種金属部材を直接に接触させないようにして、電食を抑制する方法を開示している。また、特許文献2では、表面に塗装を施した鋼板をアルミニウム系金属基材の表面に接合する際に、塗料がほとんど乗っていない鋼板のエッジ部を基材の表面から僅かに浮き上がらせることにより、電食を防止している。
特開平5−125567号公報 特開平5−044066号公報
特許文献2でも示唆されているように、塗装では、一般に、被塗装体の端部(エッジ部)の塗装性に問題がある。たとえば、直方体などのように隣接する2以上の面が交差する端部をもつ被塗装体では、塗料の表面張力や粘性の影響により、側面に塗装された塗膜の膜厚に比べて端部での膜厚が薄くなる傾向にあることが知られている。特に、塗装後の焼成工程では高温となるため、塗料の粘性が低下し、側面と端部の先端付近とで被覆膜の厚さの差は顕著となり、場合によっては被覆膜から先端が露出することもある。また、異種金属部材を近接して配置するように組み付ける場合に、被覆膜に歪みが生じて、膜厚の薄い端部の被覆膜に亀裂が入ったり、そこから剥離が生じることがある。特に、圧縮機などの気密性を要する装置では、各部材を組み付けるのにボルト等の締結具でしっかりと締め付ける必要がある。そのため、組み付けの際には、被覆膜の亀裂や剥離が一層生じやすい。したがって、異種金属部材からなる構造体の電食の進行を効果的に防止するためには、被覆膜の更なる改善が必要である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、異種金属部材の端部、特にその先端付近において生じる電食を有効に防止できる構造体を提供することを目的とする。
本発明の構造体は、第1金属元素を主成分とし隣接する2以上の側面が交差してなる第1端部を有する第1部材と、
該第1端部の少なくとも一部に対峙して配設され、該第1金属元素とは異なる第2金属元素を主成分とする第2部材と、
該第1部材の少なくとも一部を覆う被覆膜と、
を有する構造体において、前記被覆膜は、コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する電着塗料組成物を塗装して硬化してなり前記第1部材と前記第2部材との対峙間を跨ぐように生じ得る電食の進行を妨げることを特徴とする。
ここで、「第1」および「第2」という呼称は、部材等を区別するための便宜上の呼称に過ぎない。たとえば、第1金属元素と第2金属元素のいずれが電気的に卑な金属(基準電位の低い金属)であろうと貴な金属(基準電位の高い金属)であろうと構わない。たとえば、前記第1金属元素は、前記第2金属元素よりも基準電位が低い金属元素であるのが好ましい。さらに、前記第2部材の少なくとも一部は、前記被覆膜と同様の被覆膜で覆われているのが好ましい。
また、前記第1部材および前記第2部材は、圧縮機の部品、特に、高温環境下で使用される部品であるのが望ましい。
本発明の構造体によれば、第1端部の少なくとも一部に第2部材を対峙して配置することで、第1部材と第2部材との対峙間に水や塩水などが付着したり侵入したりして、両者を跨ぐように電食が生じることがある。そこで、第1部材の少なくとも一部(特に第1端部の一部)に上記被覆膜を形成することで、第1部材(第1端部)と第2部材との間を電気的に接続する水などの浸入や付着を防止できる。すなわち、被覆膜により、第1部材と第2部材との間に水や塩水などが介在して局部電池が形成されて両者を跨ぐように生じる電食を防止する。
形成される被覆膜は、コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する電着塗料組成物を塗装して硬化してなる膜である。電着塗装されることにより、仮に第1部材が複雑な形状をもつ部材である場合でも、均一な塗装が可能となる。そして、電着塗料組成物中に含まれる有機微小粒子により、塗膜の硬化時に昇温しても、電着塗料組成物の粘性の低減が防止される。その結果、第2部材に対峙する第1端部の先端部であっても被覆膜が十分な厚さで形成され、被覆膜からの部材の露出や被覆膜の剥離が抑制され、第1部材と第2部材とを跨ぐように生じ得る電食の進行が妨げられる。
この際、第2金属元素よりも基準電位が低い第1金属元素からなる第1端部に被覆膜が形成されていると、電食の進行が良好に抑制される。
被覆膜は、第1部材のみならず第2部材に有してもよい。両部材が被覆膜を有することで、電食の進行がさらに良好に抑制される。
特に、第1部材および第2部材は、圧縮機の部品であるのが望ましい。圧縮機では、その外周面に雨水や結露等の水滴が付着して電食が進行すると、構成する部材が腐食されて圧漏れ等を生じる虞があり、圧縮機の性能に大きく影響する。また、前述の通り、圧縮機などの気密性を要する装置では、各部材を組み付けるのにボルト等の締結具でしっかりと締め付ける必要がある。そのため、組み付けの際に、被覆膜に加わる応力により、被覆膜の剥離が生じやすい。第1端部の先端部においても被覆膜が十分に形成された本発明の構造体を圧縮機に適用することで、圧縮機の信頼性が向上する。
以下に、本発明の構造体を実施するための最良の形態を、図1および図2を用いて説明する。なお、図1は、本発明の構造体の一例を模式的に示す。また、図2は、異種金属部材における電食の進行を説明する模式図である。
本発明の構造体は、主として、第1部材と第2部材とからなる。第1部材は、第1金属元素を主成分とし、隣接する2以上の側面が交差してなる第1端部を有する。具体的には、第1部材が図1に示すような直方体形状であれば、側面は6つあり、第1端部は8つの各頂点と12の辺およびそれらの周辺部となる。また、第1部材が円筒形状であれば、側面は内周面、外周面、両端面の4つあり、第1端部は両端面の円周(内周および外周)および円周の周辺部となる。すなわち、半球状の第1端部を有する第1部材や、球体などは、第1部材に含まない。一方、第2部材については、その形状を問わない。
また、第2部材は、第1端部の少なくとも一部に対峙して配置され、第1金属元素とは異なる第2金属元素を主成分とする。第1部材(第1端部)および第2部材は、異種金属からなる限り、その形状や材質は問わない。異種金属である限り、両者間で電食が生じ得るからである。特に、第1金属元素がマグネシウム(Mg)である、すなわち、第1端部がマグネシウムやマグネシウム合金からなる場合に電食は一層進行し易いので、この場合において本発明は有効である。このとき、第2金属元素に特に限定はなくアルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、銅(Cu)などのいずれでもよいが、中でも通常の装置において多く用いられ局部電池が形成され易いのはFeである。
すなわち、第1部材は、上記のような第1端部を備えれば十分である。つまり、全体が金属材料からなる必要はなく、たとえば、その第1端部以外の部分が樹脂製等の複合部材であっても良い。なお、第2部材が第2端部を有する場合(後述)も同様である。また、第1部材、第2部材とも、その形態や機能等も問わない。
また、第2部材は、隣接する2以上の側面が交差してなり少なくとも一部が第1部材、特に第1端部と対峙する第2端部を有してもよい。この際、図2に示すように、第1端部と第2端部は、対向しない両者の側面(11、21)が同一面上に無く、いずれかが突出していてもよい。
第2部材は、第1端部に対峙して配設されるが、第1端部と被覆膜を介して接触して配設されるのが望ましい。また、第1部材と第2部材とが直接接触していなくても、ボルト等の締結具で電気的に結合された状態であっても良い。この際、両者は、点接触、線接触または面接触のいずれの接触状態でもよい。
本発明の構造体としては、圧縮機、エンジンブロック、油圧ポンプ等が挙げられる。たとえば、マグネシウムを主成分とするマグネシウム部材と鉄を主成分とする鉄部材とを用いた圧縮機では、外周面に雨水や結露等の水滴が付着して電食が進行すると、マグネシウム部材が腐食されることにより圧漏れが生じる虞があり、圧縮機の性能に大きく影響するため、本発明の構造体を適用するのが有効である。
以下に、異種金属部材における電食の進行について図2を用いて説明する。図2は、第1部材1の第1端部10と第2部材2の第2端部20とを電気的に結合された状態(図示せず)で接触して配置させており、第1端部10と第2端部20とが対峙する部位における拡大断面図である。図2では、説明のため、第1部材1を構成する金属をマグネシウム、第2部材2を構成する金属を鉄とする。また、第1端部10および第2端部20(さらに詳しくは、両端部の側面11,21および対向面12,22)は被覆膜31および32で覆われているが、第1端部10および第2端部20の先端部14および24が被覆膜から露出しているとする。このような構造体を使用する環境によっては、被覆膜から露出した第1端部10の先端部14と第2端部20の先端部24とを跨いだ状態で雨水や結露等の水滴4が付着することがある。こうして、異種金属部材を電極(1、2)、水滴4を電解液、とした局部電池が形成される。そして、被覆膜31から露出した第1端部10の先端部14からは、非常に腐食電位の低いMgがMg2+となって水滴4中に溶出しはじめる。つまり、マグネシウムからなる第1部材1の電食が進行することとなる。
本発明において被覆膜は、第1部材と第2部材との間の電気的導通を阻害して第1部材と第2部材との対峙間を跨ぐように生じ得る電食の進行を妨げるものである。すなわち、被覆膜により、第1部材と第2部材との間を電気的に接続する水などの電解液の連なりを無くす。この際、図2に示すように端部の先端部が被覆膜から露出していたり、被覆膜が十分な厚さで形成されていない場合には、上述のような電食が進行するため、本発明では、被覆膜として、有機微小粒子を含有する電着塗料組成物を塗装して硬化してなる被覆膜を用いた。
電着塗料組成物(以下「塗料」と略記)は、コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する。コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する塗料は、シェルがストッパーの役割を担うことで塗料の粘性が大きくなり塗料の流動を妨げるため、第1端部や第2端部、特に端部の先端部であっても、塗装の際に十分に塗料を付着できる。さらに、塗装した塗膜を硬化させるために高温下で焼成するが、有機微小粒子を含む塗料を用いることで、高温であっても塗料の流動が抑制される。そのため、焼成により塗膜が硬化してなる被覆膜は、端部や端部の先端部であっても、第1金属や第2金属が被覆膜から露出することがなく、電食を防止するのに十分な厚さの被覆膜が形成される(図1の断面図を参照)。
有機微小粒子のコアはゲル状樹脂からなり、シェルは水溶性樹脂からなるのが望ましい。ゲル状樹脂の周りを取り囲む水溶性樹脂により塗料の粘度が大きくなり、塗料の流動が効果的に抑制される。
したがって、有機微小粒子を含む塗料を用いて形成された被覆膜は、30〜40μmの被覆膜が得られるように電着塗装の条件を設定した場合、端部の先端部であっても10〜20μmの膜厚をもつ被覆膜が得られる。この際、側面においては、30〜40μmの膜厚の被覆膜が得られることは言うまでもない。ここで、端部の先端部の膜厚とは、端部に形成された被覆膜の最薄部の膜厚であって、通常、先端部のエッジや頂点において最薄となる。なお、被覆膜の膜厚を30〜40μmとしたのは、30μm未満では端部での膜厚が十分に得られず、40μmを超えると被覆膜にクラックが生じやすくなるためである。
有機微小粒子は、塗料に少しでも含まれれば塗料の流動を抑制する効果が発揮される。ただし、有機微小粒子の添加量が多くなると、塗料の粘性が高くなりすぎるため電着塗装に不向きとなるばかりか、電食を防止する効果も低減する。したがって、有機微小粒子は、被覆膜全体を100wt%としたときに、1.5wt%以下含まれるのが好ましい。また、有機微小粒子が0.5wt%以上であれば、被覆膜の電食防止効果が良好に発揮されるため好ましい。すなわち、好ましい有機微小粒子の添加量は、0.5〜1.5wt%である。
また、有機微小粒子の平均粒径が50〜500nmであるのが好ましい。平均粒径が50nm以上であれば、塗料の流動が良好に抑制される。また、有機微小粒子は、焼成後の被覆膜にコア/シェル構造を保ったままの状態で残存するため、粒径の大きな有機微小粒子を用いると、被覆膜の表面が粗くなる。被覆膜の表面が粗いと、被覆膜にクラックが発生しやすかったり、圧縮機の部品として使用する際には気密性が低下することがあるため好ましくない。有機微小粒子の平均粒径が500nm以下とすれば、表面の平滑な被覆膜を形成することができる。
また、以上説明した塗料により形成される被覆膜は、耐熱性に優れ、150〜180℃の高温環境下であっても劣化することなく使用可能である。したがって、その高温環境下で使用される圧縮機やエンジンの部品に適用してもよい。
コア/シェル構造をもつ有機微小粒子の好ましい例としては、日本ペイント株式会社製「マイクロジェル」等が挙げられる。また、有機微小粒子を添加する塗料は、通常用いられている電着塗料であればよく、好ましい例としては、日本ペイント株式会社製「パワニックス」等が挙げられる。このような電着塗料に、たとえば、水性溶媒に分散させた状態で上記の有機微小粒子を添加することで、電着塗料中に有機微小粒子が均一に分散した良好な塗料が得られる。
なお、塗料を塗装する際には、通常用いられている電着塗装装置を用いればよい。また、塗料が有機微小粒子を含むことで塗料の流動は抑制されるため、塗膜を焼成して硬化させる際には、特別の焼成方法を用いることなく通常の塗料の硬化に要する温度(150℃以上)・時間で焼成すればよい。すなわち、被覆膜の形成には、従来の装置をそのまま用いることが可能である。
被覆膜は、第1端部の少なくとも一部に第2部材を対峙して配置することで、第1部材と第2部材との対峙間に水や塩水などが付着したり侵入したりして両者を跨ぐように生じる電食の進行を妨げるように形成される。そこで、第1部材の少なくとも一部(特に第1端部の一部)に上記被覆膜を形成する。被覆膜は、水などが付着して局部電池を形成し得る表面であって、構造体の少なくとも一方の部材の表面に形成されていればよいが、第1端部の少なくとも一部は第2部材と対峙して配置されるため、対峙する第1端部には、必ず、被覆膜が必要である。また、第1部材は、少なくとも第2部材と対峙する第1端部だけでなく、付着する水などの量によっては電食が進行する可能性のある第2部材と向かい合う側面にも被覆膜を有する必要がある。
したがって、被覆膜を形成する領域は、その具体的な領域が特定されるものではない。部材の形態や使用環境等に応じて電食の発生し得る範囲も異なるからである。あえて言うなら、少なくとも両者が水などを介してあるいは直接接触し得る接触部を含む領域ということになる。
第1部材が腐食性の高い場合や、構造体全体に水滴が付いて局部電池が形成されやすい環境下で使用される構造体であれば、第1部材の表面全体に被覆膜を形成してもよい。具体的には、第1部材がマグネシウムを主成分とする場合には、第1部材の表面全体を被覆膜で被覆するとよい。また、図1に示す構造体であれば、第1端部10をなす複数の側面のうち第2部材2の表面と隣り合う側面や向かい合う側面において、被覆膜31の形成幅(図1のWに相当)を使用環境に応じて適宜調節することができる。もちろん、第1部材と第2部材の両方に被覆膜を形成してもよい。
以上、本発明の構造体の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構造体の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の構造体の実施例を比較例とともに図3〜図5を用いて説明する。
[実施例1]
斜板式圧縮機において隣接して配置される部品であるマグネシウム合金製のマグネシウム部材(「Mg部材」と略記)と鉄合金(機械構造用炭素鋼S25C(JIS))製の鉄部材(「Fe部材」と略記)に電着塗装を施した。電着塗装には、日本ペイント株式会社製「パワニックス215」(マイクロジェル含有量:0.5wt%(塗料固形分に対し)、マイクロジェル平均粒径:200nm)を用いた。塗装電圧を200Vに調節してMg部材とFe部材に塗装を施し、両部材の表面全体に均一な塗膜を形成した。次いで、塗装後の各部品に対し、180℃で30分間の焼成を行い、塗膜を硬化させて被覆膜を得た。
被覆膜は、30μmの厚さで形成され、Mg部材の端部とFe部材の端部において、先端部の膜厚は15μm程度であることが走査電子顕微鏡(SEM)による断面観察でわかった。Mg部材の端部の断面写真を図3<A>に示す。
その後、他の部品とともに、Mg部材とFe部材とをボルト等を用いて組み付け、実施例1の構造体(斜板式圧縮機)を得た。
[実施例2]
電着塗料を、日本ペイント株式会社製「パワニックス230」(マイクロジェル含有量:1.5wt%、マイクロジェル平均粒径:200nm)とした他は、実施例1と同様にして、実施例2の構造体を作製した。
被覆膜は、30μmの厚さで形成され、Mg部材の端部とFe部材の端部において、先端部の膜厚は18μm程度であることがSEMによる断面観察でわかった。
[比較例1]
電着塗料としてマイクロジェルを含有しない塗料(日本ペイント株式会社製「パワニックス110」)を用いた他は、実施例1と同様にして、比較例1の構造体を作製した。
被覆膜は、30μmの厚さで形成され、Mg部材の端部とFe部材の端部においては、先端部の膜厚は5μm程度であることがSEMによる断面観察でわかった。Mg部材の端部の断面写真を図4<A>に示す。
[評価]
得られた各構造体に対して、塩水噴霧試験(JIS2513)を行った。250時間の試験の後、構造体を分解し、Mg部材の腐食重量を測定し、腐食減量比(=「試験前後のMg部材の重量差(すなわち「腐食重量」)」/「試験前のMg部材の重量」)を求めた。結果を表1および図5に示す。なお、図3<B>および図4<B>は、試験後のMg部材の端部(Fe部材の端部に対峙して配置)を外周面側から撮影した図面代用写真(図3<B>(実施例1)、図4<B>(比較例1))である。
Figure 2007154270
マイクロジェルを含有する電着塗料を用いた実施例1および実施例2の構造体では、各部材の端部においても被覆膜が十分な厚さで形成された(図3<A>参照)。その結果、実施例1および実施例2の構造体では、電食の進行を抑制することができた。
一方、マイクロジェルを含まない電着塗料を用いた比較例1の構造体では、各部材の端部において被覆膜が十分に形成されず(図4<A>参照)、Fe部材の端部に対峙して配置されたMg部材の端部では、腐食が目視で確認できた(図4<B>参照)。
本発明の構造体の一例を示す模式図であって、構造体の断面を含む一部分を示す。 異種金属部材における電食の進行を説明する模式図であって、第1端部および第2端部の部分拡大断面図である。 実施例1の構造体において、マグネシウム部材の端部のSEM写真<A>と塩水噴霧試験後のマグネシウム部材の端部を外周面側から撮影した図面代用写真<B>である。 比較例1の構造体において、マグネシウム部材の端部のSEM写真<A>と塩水噴霧試験後のマグネシウム部材の端部を外周面側から撮影した図面代用写真<B>である。 塩水噴霧試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1:第1部材 2:第2部材
10:第1端部 20:第2端部
11:側面 21:側面
12:側面(第2部材との対向面) 22:側面(第1部材との対向面)
14:(第1端部の)先端部 24:(第2端部の)先端部
31:被覆膜 32:被覆膜

Claims (11)

  1. 第1金属元素を主成分とし隣接する2以上の側面が交差してなる第1端部を有する第1部材と、
    該第1端部の少なくとも一部に対峙して配設され、該第1金属元素とは異なる第2金属元素を主成分とする第2部材と、
    該第1部材の少なくとも一部を覆う被覆膜と、
    を有する構造体において、前記被覆膜は、コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する電着塗料組成物を塗装して硬化してなり前記第1部材と前記第2部材との対峙間を跨ぐように生じ得る電食の進行を妨げることを特徴とする構造体。
  2. 前記被覆膜は、前記側面における膜厚が30〜40μmであって、前記第1端部の先端部における膜厚が10〜20μmである請求項1記載の構造体。
  3. 前記有機微小粒子のコアはゲル状樹脂からなり、シェルは水溶性樹脂からなる請求項1記載の構造体。
  4. 前記有機微小粒子は、前記被覆膜全体を100wt%としたときに、0.5〜1.5wt%含まれる請求項1記載の構造体。
  5. 前記有機微小粒子は、その平均粒径が50〜500nmである請求項1記載の構造体。
  6. 前記第1金属元素は、前記第2金属元素よりも基準電位が低い金属元素である請求項1記載の構造体。
  7. 前記第1金属元素はMgである請求項1記載の構造体。
  8. 前記第1金属元素はMg、前記第2金属元素はFeである請求項7記載の構造体。
  9. 前記第2部材の少なくとも一部は、コア/シェル構造をもつ有機微小粒子を含有する電着塗料組成物を塗装して硬化してなり前記第1部材と該第2部材との対峙間を跨ぐように生じ得る電食の進行を妨げる被覆膜で覆われている請求項1〜8のいずれかに記載の構造体。
  10. 圧縮機またはエンジンの部品である請求項1記載の構造体。
  11. 150〜180℃の高温環境下で使用される部品である請求項10記載の構造体。
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