JP2007154214A - 超高純度Fe基、Ni基、Co基合金材料の溶製法 - Google Patents

超高純度Fe基、Ni基、Co基合金材料の溶製法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物レベルが(C+O+N+S+P)<100ppmならびにCa<10ppmの超高純度を有し、しかも大型鋳塊のステンレス鋼や各種超合金などのFe基、Ni基、Co基合金材料の製造を可能にする溶製法を提供すること。
【解決手段】原料を水冷銅るつぼを用いるコールドクルーシブル式真空誘導溶解法により溶解したのち、元素周期表の特定族の金属元素またはこれらの酸化物、ハロゲン化物群の中から選択されたハロゲン化物単体またはハロゲン化物、上記金属元素および酸化物の混合物からなる精錬用フラックスを添加して溶融し、これら金属溶湯と精錬用フラックスとを接触させた状態で5分間以上保持した状態で1次溶解をおこなってから出湯し、鋳型内で凝固させて1次鋳塊を作製した後、2次溶解として、電子ビーム溶解法により、低圧力下において、上記1次鋳塊を水冷銅容器において逐次溶解しながら、その出口側から溶湯を凝固させつつ引き抜いて造塊する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス鋼や各種超合金に代表されるFe基、Ni基、Co基合金の超高純度合金材料の溶製法に関する。
要求品質の多様化あるいは高級化にともない、超高純度のFe基、Ni基あるいはCo基合金材料の溶製にさいして大きな問題となってくるのは、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)さらにはリン(P)等の不純物元素を極限まで総合的に低減することである。
従来から量産されている低炭素ステンレス鋼は、電気炉−AOD(VOD)−取鍋精錬などの工程によるが、これらC+O+N+S+P系不純物元素の通常レベルは400ppm程度で、その低減の限界は250ppm程度とされている。
これに対して、超高純度のステンレス鋼やNi基超合金の製造方法として、1次溶解に真空誘導溶解法を適用し、2次溶解で真空アーク溶解法、エレクトロスラグ溶解法あるいは電子ビーム溶解法などを適用する2段階の溶解法が知られている。たとえば、真空誘導溶解法(1次溶解)−電子ビーム溶解(2次溶解)により、超高純度高CrNiオーステナイト系ステンレス鋼を製造することにより、C+O+N+S+P系不純物レベルを100〜150ppm程度にまで低下できることが知られている。
しかし、昨今の原子力機器向けのように非常に高い耐食性が要求される場合には、さらなる超高純度合金材料を提供することが求められており、SやPなどの不純物レベルをさらに低減させる新たな技術が要求される。一般に、様々な合金成分を含有するこの種の合金材料を製造する場合、添加する合金原料から多くの不純物成分が持ち込まれる。とりわけ、合金原料として多用されるCrやMnなどの供給源となる諸原料は、S、P、C、O、Nなどの不純物元素を多く含んでいる。代表的な電解クロム原料は、C:130ppm、O:440ppm、N:45ppm、P:10ppm、そしてS:26ppmほどの不純物を含み、また電解マンガンは、C:40ppm、O:1600ppm、N:50ppm、P:10ppm、そしてS:260ppmほどを含む。したがって、たとえ高純度の鉄原料(電解鉄)やNi原料(電解ニッケル)を用いても、CrやMnなどを多量に含有するこれらの合金原料を溶解するには、合金組成に調整した溶湯から、これらS、P、C、O、Nなどの不純物元素をより効果的に除去精錬する必要がある。
ところで、上述したように、1次溶解法として採用されることの多い真空誘導溶解法は、コイルからの誘導加熱にともなう電磁気力による溶湯の攪拌効果により、合金元素を溶解して容易に所定の合金組成に成分調整できるすぐれた溶解法である。しかし、ほとんどの場合、マグネシアやアルミナなどの酸化物系耐火物製の溶解容器を使用するため、原理的にもこれらの耐火物から金属溶湯に酸素が供給されるおそれがあり、酸素の除去には限界がある。
一方、金属溶湯に対しSやPなどの不純物の除去すなわち脱硫や脱リンを行うためには、通常フッ化カルシウムや塩化カルシウムなどのハロゲン化物系の精錬用フラックスを多量に使用することが有効である。しかし、これらのハロゲン化物系精錬材は上記酸化物系耐火物るつぼを激しく溶損するため、この種精錬用フラックスを用いることは現実にはほとんど不可能である。したがって、真空誘導溶解法では、多くの場合、溶解原料として高純度原料を使用しなければならないのが現状である。
これに対して、TiやZrなどの高温で非常に活性な合金材料の溶製によく適用されるコールドクルーシブル誘導溶解法は、耐火物製るつぼに替えて水冷銅るつぼを使用することが特徴である。この方法は、ステンレス鋼中のSやPの除去方法として、Ca−CaFを精錬用フラックスとして用い、還元雰囲気下で精錬するのに好都合である。その理由は、これらのCaFなどの精錬用フラックスは、溶融温度において酸化物系耐火物るつぼを著しく損傷するが、水冷銅るつぼには無害であることによる。
下記特許文献1〜5は、この種の方法により、溶湯中のPを5ppm以下にまで低減できることを教示している。特許文献1〜3は、フラックスをコールドクル−シブル型浮遊溶解に組み合わせることで、酸化物系介在物を同フラックス中に移行分離させることを基本原理とする一連の発明である。また、特許文献4は、極低Pステンレス鋼をコールドクル−シブル誘導溶解法にて製造する場合、溶鋼と水冷銅るつぼとの間にCa−CaF系フラックスを介在させることにより、鋼中のPをCa−CaFフラックスに移行させている。
また、ステンレス製鋼の精錬用フラックスに使用するCaF等からCaが混入すると、数十から数百ppmのCaが残留してステンレス鋼の耐食性を著しく劣化させることも知られている。下記特許文献5は、同4のように、まずCa−CaF系フラックスで脱P処理した合金材料を、再度CaFフラックスにより処理して、合金中のCa含有量を30ppm以下にまで低減させる方法を開示するが、この2段階法は反応効率がそれほどよくない。
コールドクル−シブル誘導溶解にて高純度の高級合金材料を溶製する方法として、CaあるいはCaF系フラックスを精錬剤に使用することにより、脱Pおよび脱Caをおこなう既知の基本的な方法を以上に紹介した。これらは、たしかに脱Pないし脱Caの点でよい方法と思われるが、本発明が期待しようとするC、O、N、S、PさらにはCaも含め、総合的に一連の不純物を極限にまで低減除去する目的に対しては十分と考えられない。
なお、上記コールドクル−シブル誘導溶解法とは別に、電子ビーム溶解法や真空アーク溶解法に水冷銅るつぼを用いる真空溶解法が多用されているが、いずれも特定の元素や非金属介在物の除去を指向するものの、C、O、N、S、PやCaなどの不純物を総合的に低減させるまでに成熟するにいたっていない。
特開平11−246919号公報 特開平11−246910号公報 特開2000−248310号公報 特開2002−69589号公報 特開2003−55744号公報
本発明は、不純物レベルが(C+O+N+S+P)<100ppmならびにCa<10ppmの超高純度であって、しかも大型鋳塊のステンレス鋼や各種超合金などのFe基、Ni基、Co基合金材料の製造を可能にする溶製法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)不活性ガス雰囲気下で溶製した高純度の主原料および合金原料を水冷銅るつぼを用いるコールドクルーシブル式真空誘導溶解法により溶解したのち、元素周期表のIa、IIaもしくはIIIa族の金属元素またはこれらの酸化物もしくはハロゲン化物群の中から選択されたハロゲン化物単体またはハロゲン化物、上記金属元素および酸化物の混合物からなる精錬用フラックスを添加して溶融し、これら金属溶湯と精錬用フラックスとを接触させた状態を5分間以上保持して1次溶解をおこなってから出湯し、鋳型内で凝固させて1次鋳塊を作製した後、2次溶解として、電子ビーム溶解法により、0.5Paよりも低い雰囲気圧力下で、上記1次鋳塊を水冷銅容器において逐次溶解しながら、その出口側から溶湯を凝固させつつ引き抜いて造塊する超高純度Fe基、Ni基、Co基合金材料の溶製法、および
(2)8wt%以上のCrおよびMnを含有し、不純物としての炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)およびリン(P)の合計濃度が100ppm以下、そして元素周期表のIa族およびIIa族金属の合計濃度が10ppm以下である超高純度合金材料を溶製する上記(1)に記載の超高純度Fe基、Ni基、Co基合金材料の溶製法である。
本発明は、上述したように、ハロゲン化物系の精錬フラックスを併用するコールドクルーシブル式真空誘導溶解法による1次溶解と、電子ビーム溶解による2次溶解との組合せを基本的特徴とする超高純度合金材料の溶製法である。そして、1次溶解では、水冷銅るつぼ内において金属溶湯と溶融状態のハロゲン化物系精錬フラックスとを5分間以上にわたって接触させることにより、1次の精練反応を十分におこなわせ、また2次溶解では、0.5Pa以下の低圧雰囲気下にて溶解することにより、不純物金属の蒸発による2次の精練を促進させることが重要な特徴である。この方法により、従来の方法では工業的な製造が困難であった高純度の、すなわち不純物レベルがC+O+N+S+P<100ppm、さらには<50ppm、Ca<10ppmまで低減できたFe基、Ni基、Co基合金、とくに8wt%以上のCrおよびMnを含有する大型鋳塊が製造できるようになり、きわめて耐食性のすぐれた金属材料が提供できる。
本発明が対象とするFe基、Ni基、Co基金属合金は、Fe、Ni、Coを主成分とする合金であり、もっとも代表的な材料は高耐食性ステンレス鋼である。また超高純度とは、現在すでに多用されている同種合金の鋳塊に比べて、不純物元素とされるC、O、N、SそしてPなどの各含有量が総合的にきわめて少ないことを意味する。そして、本発明は、つぎの2段階の溶解によって合金材料を溶製する。
(1次溶解)
本工程は水冷銅るつぼを用いるコールドクルーシブル方式による真空誘導溶解法を適用し、あらかじめ不活性ガス雰囲気下において溶製された主原料および合金原料に、脱硫、脱リン精錬用のハロゲン化物系フラックスを添加して1次溶解を実施する。この1次溶解においては、最初に主原料を装入して真空溶解することにより主原料中のC、OをCOガスとして除去し、同時にNも除去することができる。その後所定成分の合金原料を添加して金属溶湯を所定の合金組成に調整する。
ところで、ステンレス鋼を溶製する場合、合金成分として添加するFe−Crや金属Crなどの合金原料は不純物元素のS、P、O、NあるいはCなどを比較的多量に含有している。したがって、Fe原料として高純度な電解鉄を用いても、合金原料に随伴するこれらの不純物により合金全体としては不純物量が増大する。そこで、1次溶解では、合金化した溶湯に上記精錬用フラックスを添加して不純物元素の除去を行う。
この発明では、精錬用フラックスとして、元素周期表のIa、IIaもしくはIIIa族の金属、すなわち、Li、Na、K、Mg、Ca、Yあるいは希土類元素等、これらの酸化物、すなわち、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、Y、あるいはミッシュメタル酸化物や希土類酸化物、またはこれらのハロゲン化物、すなわち、CaF、MgF、CaCl、NaF、LiF、KF、YFあるいは塩化希土類等を選択的に使用する。この選択にあたっては、上記ハロゲン化物単体あるいはハロゲン化物と金属元素および酸化物の混合物群から、目的とする超高純度金属の溶製に最適の精錬用フラックスを調合して使用する。
本発明の1次溶解では、耐火物るつぼを避けて水冷銅るつぼを用いるコールドクルーシブル式誘導溶解法を適用するから、るつぼの水冷銅部材の温度は200℃以下に制御できる。したがって、精錬用フラックスの溶融CaFなどがるつぼに接触すると、それ自体が凝固固化し、水冷銅るつぼの表面に固形のフラックス層を形成し、るつぼを保護することになる。しかも、この固形フラックス層の内側に溶融フラックス層が安定して保持され、金属溶湯の脱硫、脱リンなどの精錬が安定して遂行される。したがって、たとえば、CaF(CaCl)−CaO系の組み合わせフラックスを用いると、脱硫効果も期待でき、あるいは、前記特許文献5に記載されているCaF−Ca系フラックスを使うと、脱硫だけではなく脱リン効果も期待できる。
通常、高純度合金材料の1次溶解には、アルミナやマグネシア製の耐火物るつぼを用いる真空誘導溶解法が多用されるが、脱硫脱リン用にハロゲン化物系精錬材を多量に添加すると、同化合物がるつぼ耐火物と容易に反応してこれを溶損する。しかし、本発明の1次溶解では、水冷銅るつぼ式のコールドクルーシブル式誘導溶解法を採用するから、このような制約なしに十分な量のハロゲン化物系の精錬用フラックスが安全に使用できる。
1次溶解では、水冷銅るつぼ内の合金溶湯と精錬用フラックスとを接触させた状態を5分間以上にわたって保持した後、出湯し鋳型内で凝固させて1次鋳塊を作製する。十分な精錬効果を得るには、金属溶湯と精錬用フラックスとを十分に接触させる必要があるのは当然で、この精錬反応速度の点から、少なくとも5分間は溶湯と接触させて保持する必要があり、望ましくは15分間以上の保持がよい。
このようにして、十分な1次溶解により成分調整およびフラックス精錬された合金溶湯を、るつぼを傾動させるなどの操作により、鋳型に注入して棒状の1次鋳塊に成形する。
(2次溶解)
1次溶解にて、上述したように、ハロゲン化物系精錬用フラックスを用いると、SやPなどの不純物元素の除去はできたとしても、一方でこのフラックスからCaやMgなどが数十から数百ppmの量レベルで金属溶湯中に移行して捕捉されるおそれがある。Caは合金材料を腐食されやすくするから、本発明においては、2次溶解によりこの残留CaやMgを除去する。
2次溶解工程は、電子ビーム溶解法、望ましくは、水冷ハース式電子ビーム溶解法を適用することとし、上記した棒状の1次鋳塊を溶解原料として、水冷ハースの入り口側に供給して溶解させる。そして、溶解した合金溶湯は、ハース上を流して出口側から水冷銅鋳型内に流出させ、その下方より凝固させながら徐々に引き抜いて長尺の鋳塊製品とする。
この電子ビーム溶解の実施にあたっては、0.5Pa以下のより低い真空圧力下で溶解し、溶湯中に残存する微量のCaやMgなどを十分に蒸発除去させるための高精錬効果を確保することが必要である。この工程により、Ca濃度は10ppm以下にまで、またMgも10ppm以下まで低下させることができる。また、電子ビーム溶解は、同時に酸化物系介在物を浮上分離し、O濃度が全体的に減少するのみでなく、Nも有効に除去できる。
なお、電子ビーム溶解は、合金成分中とくにCrやMnなどの比較的蒸気圧の高い金属元素が随伴的に揮発除去される傾向があり、この蒸発が不規則に発生すると、その含有濃度が高さ方向に沿って変動する鋳塊となりやすい。そこで、溶解速度および鋳塊引き抜き速度を一定に制御した状態で溶解鋳造するとともに、Cr、Mnの蒸発除去量を見込んで、1次鋳塊中のそれらの濃度を高めに設定しておくとよい。
このようにして2段階の溶解を実施することにより、合金材料中の不純物元素としてのC、N、O、S、Pの総量が100ppm以下で、しかも精練用フラックス由来のIa族およびIIa族金属の合計濃度が10ppm以下であることを特徴とする超高純度Fe基、Ni基、Co基金属合金材料が容易に製造できる。実際、合金成分としてCr+Mnを8wt%以上含有するタイプの合金材料では、使用するCr、Mn原料から持ち込まれる不純物元素としてのC、N、O、SおよびPの総量が非常に多く、超高純度材の製造が容易でないが、本発明法はこのような問題を容易に克服できる。
(実施例)
この実施例では、真空チャンバーを備えた下記設備仕様のコールドクルーシブル式誘導溶解装置を使用して1次溶解を実施し、ステンレス鋼(SUS316L)50kgを溶製した。比較例についても同種ステンレス鋼を対象に溶融試験を行った。
・ 最大出力 400kW
・ 電源周波数 3kHz
・ 水冷銅るつぼ 内直径φ210mm、セグメント数24本(スリット間隔 0.5mm)
・ 溶解能力 ステンレス鋼40〜50kg/回
(1次溶解)
まず電解鉄をコールドクルーシブル式誘導溶解装置の水冷銅るつぼ内に装入し真空下で誘導溶解した。この過程では、電解鉄中の酸素と装入炭素とが反応して、溶湯のあわ立つ様子が観察されるが、このとき急激に加熱しすぎると、突沸して溶湯を吹き飛ばすことがあるため、徐々に溶解を進めるように制御した。そして、銅るつぼ内に溶湯プールが形成された後に10Pa以下にまで真空排気を行い、15分以上の脱ガス処理を行った後、アルゴンガスを真空チャンバー内に供給して、雰囲気圧力を53kPa(400Torr)とした。
ついで、銅るつぼ内の溶湯中に電解ニッケル原料を添加し、つづいて電解クロム原料を、さらにモリブデンブリケット原料をそれぞれ添加し、溶湯を30分間保持することにより完全に溶解し合金化した。その後、シリコンおよび電解マンガン原料を添加し、15分間保持した。この段階でSiやMnの酸化物が浮遊してくる様子が観察された。
つぎに、フッ化カルシウムの粉体1kg(溶湯量の2%に相当)を溶湯上に装入し、溶湯熱により溶融させることで、溶融フッ化カルシウムは銅るつぼと合金の溶湯プールとの間に流入すると同時に、銅るつぼの表層に固形CaF層の形成が観察された。その後、さらに500g(溶湯量の1%に相当)の金属カルシウム−フッ化カルシウム混合物(1:1)を添加し、表1に示すように、5、10、20ならびに30分間の4通りに分けて溶湯を保持したのち、るつぼ全体を傾動させて、内部の溶湯を鋳型内に注入し、φ100×700Lmmの丸棒状鋳塊に鋳造した。なお、このときの溶湯保持中の溶湯温度は同表1に示すとおりである。
(2次溶解)
つぎに電子ビーム溶解炉を用いて2次溶解を実施した。電子ビーム溶解炉は、最大出力80kWにて、加速電圧30000Vの1基の電子銃を備え、内径150mmの水冷銅製鋳型および鋳塊引き抜き機構ならびに鋳型上に棒状原料を供給する原料供給機構を真空チャンバーに装着した構成である。真空チャンバー内は8000L/sの拡散ポンプ2基で真空排気されており、真空度は10−6Torrレベルまで真空排気可能な設備を使用した。
1次溶解により作製したφ100×700mmの丸棒状の1次鋳塊を電子ビーム溶解炉の原料供給機構に装着し、φ150mmサイズの鋳型上まで送り出して、その先端部および鋳型内の溶湯プール相当部分に出力60kWの電子ビームを照射して、同鋳型内に溶湯プールを形成させた。この操作により丸棒状鋳塊の先端部が溶融し液滴として落下するので、先行して冷却凝固して形成される鋳塊を毎時15kgの溶解速度に応じて引き抜くことにより、φ150×300Lmmの製品鋳塊を作製した。
なお、電子ビーム溶解の真空度は通常10−4Torrレベル(0.01〜0.1Pa)であるが、本実施例の試験は、Cr、Mn等の合金元素の過度な蒸発を抑制するために、真空度を1×10−3〜5×10−3Torr(0.1〜0.5Pa)程度として操業したところ、この程度の真空度においてもCaは十分に蒸発除去できた。具体的には、表1に示すように、4種に分けて真空度および電子ビームの照射出力を変えた。
他方、同じ鋼種を対象とした比較例として、本発明の実施例と異なる実施条件(同表1参照)のもとで2段階溶製をおこなった。
表2に実施例ならびに比較例における1次溶解後の鋳塊および2次溶解後の鋳塊の各不純物元素の濃度を示すが、4種の実施例製品は本発明の2段階溶解プロセスを経ることにより、比較例にくらべてS、P、O、Nの各不純物濃度が総合的に低いばかりか、さらにCa濃度の低い高純度ステンレス鋼の製造が可能であることが理解できる。
表1の比較例3は、電子ビームの出力が不安定のため、鋳塊が製造できず、従って、表2の不純物の成分分析値は掲載していない。
なお、上記ステンレス鋼(SUS316L)鋳塊の主要組成(wt%)を下記する。
C≦0.030 Si≦1.00 Mn≦2.00
Ni:12.0〜15.0 Cr:16.0〜18.0
Mo:2.0〜3.0
Figure 2007154214
Figure 2007154214

Claims (2)

  1. 不活性ガス雰囲気下で溶製した高純度の主原料および合金原料を水冷銅るつぼを用いるコールドクルーシブル式真空誘導溶解法により溶解したのち、元素周期表のIa、IIaもしくはIIIa族の金属元素またはこれらの酸化物もしくはハロゲン化物群の中から選択されたハロゲン化物単体またはハロゲン化物、上記金属元素および酸化物の混合物からなる精錬用フラックスを添加して溶融し、これら金属溶湯と精錬用フラックスとを接触させた状態を5分間以上保持して1次溶解をおこなってから出湯し、鋳型内で凝固させて1次鋳塊を作製した後、2次溶解として、電子ビーム溶解法により、0.5Paよりも低い雰囲気圧力下で、上記1次鋳塊を水冷銅容器において逐次溶解しながら、その出口側から溶湯を凝固させつつ引き抜いて造塊することを特徴とする超高純度Fe基、Ni基、Co基合金材料の溶製法。
  2. 8wt%以上のCrおよびMnを含有し、不純物としての炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)およびリン(P)の合計濃度が100ppm以下、そして元素周期表のIa族およびIIa族金属の合計濃度が10ppm以下である超高純度合金材料を溶製することを特徴とする請求項1に記載の超高純度Fe基、Ni基、Co基合金材料の溶製法。
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