JP2002285226A - 真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法 - Google Patents

真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法

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JP2002285226A
JP2002285226A JP2001089124A JP2001089124A JP2002285226A JP 2002285226 A JP2002285226 A JP 2002285226A JP 2001089124 A JP2001089124 A JP 2001089124A JP 2001089124 A JP2001089124 A JP 2001089124A JP 2002285226 A JP2002285226 A JP 2002285226A
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oxygen
carbon
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Nobuo Noguchi
延夫 野口
Hisahiro Niimi
壽宏 新見
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Eneos Corp
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Nippon Mining and Metals Co Ltd
Nippon Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】質量百分率(%)に基づいて少なくとも、Ni:30
〜50%を含有するFe-Ni系合金の電磁気材料と称される製
品の炭素含有量と酸素含有量がともに厳しく制限される
合金の精錬時に、非金属介在物などの不純物を生成させ
ることなく、激しい沸騰現象を抑えながら低酸素、低炭
素の溶湯の精錬ができる方法を提供する。 【解決手段】質量百分率(%)に基づいて少なくとも、N
i:30〜50%を含有するFe-Ni系合金の溶湯を真空誘導溶
解炉中で、溶湯中の酸素を除去するため雰囲気中に酸素
0.0003%未満の不活性ガス雰囲気で圧力250HPa以下の雰
囲気下で、炭素部材を挿入接触し、ついで雰囲気圧を0.
5HPa未満まで減圧することにより非金属介在物などの不
純物を生成させることなく酸素0.006%以下、炭素0.01%
以下にするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は返材等酸素含有量が
多い原料を大気雰囲気下、または真空雰囲気下、または
低酸素分圧雰囲気下で溶解した後、減圧不活性ガス雰囲
気下で精錬するFe-Ni系合金溶湯の精錬方法及びそれに
好適に使用できる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば返材は酸素含有量が高く、不純物
(本発明で不純物とは不純元素や非金属介在物の原因と
なる物質を総称する)を多く含んでいることから固体か
ら溶解する場合、電気炉で溶解し、該溶湯を黒鉛電極ア
ーク加熱方式の取鍋精錬炉、VOD、ASEA-SKF法等の炉外
精錬法にて精錬する。この方法は、原料の制限が少なく
高レヘ゛ルの清浄鋼等を容易に得ることができることから広
く用いられている。一般的にこれらの炉外精錬法の脱酸
は化学脱酸であり、AlやSiを添加する。添加されたAlや
Siは溶湯中の酸素と反応して硬質の非金属介在物として
溶湯中に生成する。また、炉外精錬法ではCaO、Al2O3
CaF2、SiO2を成分とするスラグを添加し脱酸するスラグ
精錬を行う場合もある。スラグ精錬においてはスラグ成
分であるCaO、Al2O3、CaF2 、SiO2が溶湯中にヒ゜ックアッフ゜
され非金属介在物を生成したり、スラグが溶湯に巻き込
まれ不純物となる。これらの方法では溶湯の加熱方式に
黒鉛質の電極を用いることが有り、その電極を溶湯表面
上のスラグ中に浸漬するため、炭素ヒ゜ックアッフ゜の問題があ
る。
【0003】一方、非金属介在物を生成しない脱酸方法
としては、炭素を用いた真空精錬が知られている。この
方法では非金属介在物の生成はないが、溶湯酸素濃度が
0.03%を超すような場合、激しい沸騰現象がおこり鋳つ
きが発生したり、炉体損傷の原因となる。また、添加す
る炭素が粒状のため一度添加すると全てが消費されるま
で反応し、沸騰現象の制御ができない。さらには、溶湯
酸素源以外の酸素源(例えば滓)により、理論量以上の
脱酸剤が必要になることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Fe-Ni系合金などの電
磁気材料と称される合金製品の中には、要求される特性
を害する理由から、炭素と酸素をともに厳しく制限され
るものもある。この炭素と酸素はおもに溶解時の固体原
料から持ち込まれる。脱炭は酸素などとの反応で燃焼さ
せる手段が知られており、さらに減圧雰囲気や真空雰囲
気と組み合わせると効率が良い。しかし、溶湯中の炭素
濃度や脱炭反応時の雰囲気によっては、激しい沸騰現象
が発生しこれが炉壁や溶湯面に付着して再度溶湯内に混
入する可能性も考えられる。
【0005】脱酸の方法としては、AlやSiと酸素を反応
させる化学脱酸法がよく知られている。この方法ではAl
やSiと酸素が反応しアルミナやシリカといった非金属介在物が
生成、溶湯内に懸濁する可能性が考えられる。これらの
非金属介在物が圧延工程時に材料表面に現れた場合、地
疵となったり、また圧延ロール表面を傷つけ、この傷が
製品に転写され不良となる。
【0006】本発明の目的は質量百分率(%)に基づいて
(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を含有す
るFe-Ni系合金など電磁気材料や封着材料と称される製
品の酸素含有量や非金属介在物の生成が厳しく制限され
る合金の精錬時に、前述の炭素ヒ゜ックアッフ゜の問題なく、化
学脱酸による非金属介在物の生成がなく、激しい沸騰現
象による炉体損傷などの操業上の問題がない返材等酸素
含有量が多いFe−Ni系合金の精錬方法およびそれに好適
に使用できる装置をも提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1)大気遮断室本体の上部に、対象溶解金属を還元す
る炭素部材を降下及び上昇自在とする機構を有する真空
誘導溶解炉。 (2) 予め溶解した、質量百分率(%)に基づいて少なく
とも、Ni:30〜50%を含有するFe-Ni系合金の溶湯を真空
誘導溶解炉中に装入し、溶湯中の酸素を除去するため雰
囲気中に酸素0.0003%未満の不活性ガス雰囲気で圧力250
HPa以下の雰囲気下で、炭素部材を挿入接触し、ついで
雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧することにより非金属介
在物などの不純物を生成させることなく酸素0.006%以
下、炭素0.01%以下にするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。
【0008】(3) 予め溶解する原料が、質量百分率
(%)に基づいて(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30
〜50%を含有するFe-Ni系合金の製造工程内もしくは部品
加工後に発生した酸素量が総量で0.1%以上含有する材料
である上記(2)記載の精錬方法。
【0009】(4)挿入接触させる炭素部材の断面積が
溶湯表面積に対して0.3%〜1.0%で、挿入深さが溶湯深さ
に対して10%未満である上記(2)ないし(3)記載の
精錬方法。
【0010】(5)質量百分率(%)に基づいて 、Ni:30
〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:0.01〜0.5%を含有し、さ
らにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01〜0.8%およびHf:0.01〜
0.8%から選択された1種または2種以上を合計で0.01〜0.
8%含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなるFe-Ni系
合金である(2)〜(4)記載のFe-Ni系合金溶湯の精
錬方法。
【0011】(6)質量百分率(%)に基づいて 、Ni:33
〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、またはCo:0.01〜2%未満
を含有し、さらにNb:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%およ
びHf:0.01〜0.5%から選択された1種または2種以上を合
計で0.01〜0.5%含有し、残部Fe及び不可避的不純物か
らなるFe-Ni系合金である(2)〜(4)記載のFe-Ni系
合金溶湯の精錬方法。に関する。
【0012】以下本発明に関して詳細に説明する。本発
明では、本発明の対象合金は、Ni30〜50%含有す
るFe−Ni系合金である。これらの合金は、テレビ、
パソコン等に使用されるシャドウマスク等の電磁気材料
に利用される為、酸素量、炭素量の品位が厳しく定めら
れている。通常酸素0.006%以下、炭素0.01%
以下である事が要求される。一方本発明の原料は、酸素
量を多く含むFe-Ni合金であって、例えば酸素量を0.
1%以上含むFe-Ni系合金である。具体的には、Fe-Ni系
合金の製造工程内或いは、シャドウマスク等の部品加工
後に発生した物等である。
【0013】更にNi:30〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:
0.01〜0.5%を含有し、さらにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01
〜0.8%およびHf:0.01〜0.8%から選択された1種または2
種以上を合計で0.01〜0.8%含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなるものも対象とする。
【0014】更にNi:33〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、
またはCo:0.01〜2%未満を含有し、さらにNb:0.01〜0.
5%、Ta:0.01〜0.5%およびHf:0.01〜0.5%から選択され
た1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有し、残部F
e及び不可避的不純物からなるものも対象とする。これ
らの合金は、酸素、炭素の制限が厳しい用途に使用され
るからである。
【0015】次に処理法であるが、予め溶解を行ったN
i:30〜50%を含有するFe-Ni系合金等を真空誘導溶解炉
中に挿入するか、または真空誘導溶解炉中で溶解した溶
湯に炭素部材を減圧不活性ガス雰囲気下で挿入接触さ
せ、その後0.5HPaまで減圧することにより低酸素、低炭
素の溶湯を得ることができる。本発明は、Al,Siといっ
た脱酸材を添加する必要がないことから、スラグが発生
することがなく、炭素部材挿入時の雰囲気圧と挿入量を
コントロールすることにより、沸騰現象を制御しなが
ら、酸素濃度が0.1wt%以上の溶湯に対してでも低炭素、
低酸素を達成できるところに大きな特徴がある。
【0016】本発明でいう真空または低酸素分圧雰囲気
とは、それぞれ大気圧未満の雰囲気、または大気中の酸
素分圧すなわち213HPa(1013HPa×0.21)未満の酸素分
圧雰囲気を意味する。この条件を満足させる手段として
は、真空ポンプで排気し減圧すること、不活性ガス(Ar
やN2ガス)で酸素の一部を置換すると、または減圧とガ
ス置換を組み合わせて、数100HPa以下の不活性ガス雰囲
気とする方法がある。
【0017】本発明では、予め溶解する雰囲気を大気雰
囲気とした場合、溶湯の酸素濃度が0.1wt%以上に増加
し、溶湯が酸化することに伴い溶湯表面に滓が発生す
る。この滓を脱酸するため、溶湯酸素量に対する必要な
炭素量以上に炭素量が必要となるため、脱酸時間の延
長、炭素原単位の悪化となることから望ましくは溶湯が
酸化することに伴い発生した滓を除去する。
【0018】本発明の炭素部材の挿入は減圧不活性ガス
雰囲気下で行われる。炭素と酸素の反応による脱酸では
雰囲気圧が低いほうが脱酸が進みより低酸素の溶湯が得
られるが、激しい沸騰現象が発生する。この沸騰現象に
より炉壁に多量の鋳つきが発生し、これが溶湯内に欠落
すると溶湯不純物濃度が増加する。また、多量に発生し
た鋳つきにより炉内径が小さくなり、原料挿入に支障を
きたす。このため鋳つきを除去する作業が必要となり操
業性が悪化する。
【0019】本発明では、溶湯の酸素濃度が0.1wt%以上
の場合、250HPaの不活性ガス雰囲気で炭素部材を挿入
し、反応状況を観察しながら溶湯の酸素濃度が0.05wt%
未満、炭素濃度が0.005wt%未満まで脱酸を行う。脱酸
後、一度雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧し100HPaの減圧
不活性ガス雰囲気に変更するか、またはそのまま100HPa
の減圧不活性ガス雰囲気に変更後、再度炭素部材を挿入
する。炭素部材挿入は溶湯酸素濃度0.01wt%未満、炭素
濃度0.02wt%未満を目標に行う。脱酸後、雰囲気圧を0.5
HPa未満まで減圧することにより溶湯酸素濃度0.006wt%
未満、炭素濃度0.01wt%未満の溶湯を得ることができ
る。
【0020】また本発明では、溶湯の酸素濃度が0.1wt%
以上の場合、250HPaの不活性ガス雰囲気で炭素部材を挿
入し、反応状況を観察しながら溶湯の酸素濃度が0.01wt
%未満、炭素濃度が0.03wt%未満まで脱酸を行う。脱酸
後、雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧することにより溶湯
酸素濃度0.006wt%未満、炭素濃度0.01wt%未満の溶湯を
得ることができる。
【0021】本発明の炭素部材の形状は、丸棒、四角棒
であっても良いが、粉状や粒状は望ましくない。減圧不
活性ガス雰囲気下では溶湯中の酸素と炭素が反応するこ
とによりCOガスが発生し、沸騰現象がおこる。粉状や粒
状の場合、一度添加すると激しい沸騰現象が見られて
も、添加した炭素の回収は困難で沸騰現象を制御するこ
とが出来ない。さらに、添加量が多すぎると回収が困難
なことから炭素過多の原因にもなるからである。
【0022】又その断面形状は、溶湯表面積に対して、
0.3〜1.0%程度が望ましい。0.3%より小さい
場合は、脱酸反応が遅く、また添加量が足りなくなるこ
とが考えられる。この場合、追加挿入の必要が生じ脱酸
時間の延長となり、生産性が阻害されるからである。
1.0%より大きい場合は、激しい沸騰現象が起こり溶
湯の盛り上がりが大きくなるからである。
【0023】更に、溶湯への挿入深さは、10%未満で
ある事が望ましい。これ以上深いと激しい沸騰現象が起
こり、溶湯の盛り上がりが大きくなるからである。
【0024】更に、炭素品位は95%以上であることが望
ましい。炭素品位が低いと脱酸反応が遅く、また添加量
が足りなくなることが考えられる。この場合、追加挿入
の必要が生じ脱酸時間の延長となり、生産性が阻害され
るからである。また不純物、例えばS等が多く含まれる
と鍛造工程や熱間圧延工程で割れが発生したり、例えば
Si等が多く含まれると非金属介在物生成の原因になるな
どの問題が生じるからである。
【0025】本発明の炭素部材を溶湯へ挿入接触させる
ときの雰囲気圧は、250〜100HPaが望ましい。250HPaよ
り高い雰囲気圧では、脱酸による到達酸素濃度と到達炭
素濃度が高いからである。また、100HPa未満では、激し
い沸騰現象に加え溶湯の飛散が見られるからである。
【0026】
【実施例】(実施例1)図1に示す溶解量が最大500kg
である真空誘導溶解炉(炉本体、真空ポンプはLEYBOLD
−HERAEUS製、電源は日本電子製)において、以下に示
す手順で操業を行った。真空誘導溶解炉1内のルツボ
(アルバックテクノ製MgO・Al2O3質ルツボ)6に鉄源、
Ni源からなる固体原料を挿入後、真空排気系7bにより、
大気遮断室a内を真空にして溶解した。目標とする組成
は、Fe-36Ni合金である。固体原料が溶解後、溶湯の酸
素濃度を0.1%以上とするため30分毎に蓋体2を3回開放し
て、溶解雰囲気を大気とした。酸素分析により溶湯酸素
濃度が0.1%以上であることを確認し、一旦、真空排気系
7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気圧を0.1HPa未満ま
で減圧した後、不活性ガス導入系8bからアルゴンガスを
大気遮断室aに導入して、250HPaのArガス雰囲気とし
た。
【0027】炭素棒10を溶湯サンプラー(ナカヤ理化
製)の治具11に固定し、副原料投入系9の中にセットす
る。真空排気系7aにより副原料投入系9内を真空にした
後、不活性ガス導入系8aからアルゴンガスを導入して、
副原料投入系9内を250HPaのArガス雰囲気とした。つい
で、仕切りバルブ4を開放して溶湯サンプラーの治具11
に固定した炭素棒10を10の位置から10’の位置へ移動し
溶湯へと挿入接触させた。使用した炭素棒は、炭素品位
が98.5%の日本電極株式会社製のものを使用した。
【0028】この時、観察窓5より溶湯表面の状態を観
察しながら炭素棒10’(断面積:314mm)を20mm
挿入接触させる。この場合、炭素棒10’は、溶湯表面積
の0.3%、挿入深さは、4%に相当する。沸騰現象が激し
くなる場合は炭素棒10’の挿入を一旦中止し、炭素棒1
0’を10’’の位置に移動する。沸騰現象がなくなった
後、再度溶湯表面を観察窓5より観察しながら挿入す
る。目標とする酸素濃度は0.05wt%未満である。所定の
量を添加し終えたら、炭素棒10’を10’の位置から10の
位置に移動して仕切りバルブ4を閉じる。その後、真空
排気系7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気圧を0.1HPa
未満まで減圧する。この時、溶解雰囲気が減圧になるこ
とによる発泡現象が観察される。酸素分析をおこない溶
湯酸素濃度が0.05wt%未満であることを確認する。分析
により酸素濃度が0.05wt%以上である場合、再度同じ手
順で炭素棒10を溶湯へ挿入接触させる。
【0029】使用した炭素棒10は溶湯サンプラー(ナカ
ヤ理化製)の治具11から取り外し、新しい炭素棒をセッ
トし、副原料投入系9の中にセットする。真空排気系7a
により副原料投入系9内を真空にした後、不活性ガス導
入系8aからアルゴンガスを導入して、副原料投入系9内
を100HPaのArガス雰囲気とする。
【0030】酸素濃度が0.05wt%未満であるのを確認
し、不活性ガス導入系8bよりアルゴンガスを導入して大
気遮断室a内をAr100HPaの雰囲気圧に変更する。前記と
同様の手順で炭素棒10を観察窓5より溶湯表面の状態を
観察しながら20mm挿入接触させる。この場合の炭素棒
装入スピードは、約20mm/秒であった。炭素目標と
する酸素濃度は0.01wt%未満、炭素濃度は0.02wt%未満で
ある。所定量を添加し終えたら、炭素棒10’を10’の位
置から10の位置に移動して仕切りバルブ4を閉じる。そ
の後、真空排気系7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気
圧を0.5HPa未満まで減圧する。酸素分析、炭素分析を行
い、酸素濃度、炭素濃度を確認する。酸素濃度が0.01wt
%以上である場合、再度同じ手順で炭素棒10を溶湯へ挿
入接触させる。酸素濃度が0.01wt%未満、炭素濃度が0.0
2wt%未満であるのを確認し、真空排気系7bにより大気遮
断室a内の溶解雰囲気圧を0.5HPa未満まで減圧する。
【0031】次に本願の方法発明を具体的に説明する。
図2は実施例1の手順で精錬を行った時の経過時間に対
する精錬の進行度合を、溶湯中の酸素値、炭素値、溶解
雰囲気圧で測定した結果を示した図である。図2から炭
素棒挿入により、酸素濃度が0.1wt%以上の溶湯を酸素濃
度が0.0032wt%、炭素濃度が0.0028wt%まで低減させるこ
とができることがわかる。
【0032】図3は、炭素棒挿入深さと溶解雰囲気圧に
対する、溶湯盛り上がり量を示した図である。使用した
炭素棒の断面積は溶湯表面積の0.3%であることが下記の
式より判る。 炭素棒断面積(314mm)÷ 溶湯表面積(101736mm
)×100% =0.3% 溶湯中酸素濃度は0.105wt%〜0.123wt%であった。図3か
ら、炭素棒挿入深さを深くすること、また雰囲気圧を下
げることにより溶湯盛り上がり量は増加する事が分かっ
た。
【0033】従って、溶湯盛り上がり量を50mmまでに
することが望ましい為、炭素棒挿入深さを50mm未満
(溶湯深さの10%未満)とし、初期の溶解雰囲気圧を
250HPaから100HPaにコントロールすることによ
り、沸騰現象を抑えて脱酸ができることが見いだせた。
尚初期の溶解雰囲気圧が、100HPa未満では、激しい
沸騰現象と溶湯表面から激しい溶湯の飛散が見られ、溶
湯盛り上がり量が100mm以上となり好ましい操業は出
来なかった。
【0034】
【発明の効果】(1)酸素濃度の高いFe-Ni系合金溶湯
を、本発明により効率的に処理し、酸素濃度、炭素濃度
の低いFe-Ni系合金を容易に、且つ安価に得ることがで
きる。 (2)例えば本発明の一態様によれば、酸素濃度0.1073
wt%、炭素濃度0.001wt%未満のFe-Ni系合金原料を酸素
濃度0.0032wt%、炭素濃度0.0028wt%ppmとする事が出来
所定の目的濃度(O≦0.006wt%、C≦0.01wt%)の合金を容
易に得られる。 (3)所謂安価な返り材を原料に、好ましい目的材料を
容易に得ることができる。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた装置の一例を示す図で
ある。
【図2】本発明の操業の一態様であって、時間的経過に
よる雰囲気圧、処理Fe-Ni系合金の酸素濃度、炭素濃度
の変化を示す。
【図3】本発明の一態様であって、雰囲気Arガス圧と炭
素棒浸漬深さに対する溶湯盛り上がり量を示す。
【符号の説明】
1 真空誘導溶解炉、2 蓋体、3 大気遮断室本体、
4仕切りバルブ、5観察窓、6 ルツボ、7a 真空排
気系、7b 真空排気系、8a 不活性ガス導入系、8
b 不活性ガス導入系、9 副原料投入系、 10炭素
棒 、11溶湯サンプラーの治具、15 ラウンダー、
16 インゴットケース、a 大気遮断室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 9/10 102 C22B 9/10 102 9/22 9/22 F27B 14/08 F27B 14/08 // C22C 38/00 302 C22C 38/00 302Z 38/12 38/12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大気遮断室本体の上部に、対象溶解金属を
    還元する炭素部材を降下及び上昇自在とする機構を有す
    ることを特徴とする真空誘導溶解炉。
  2. 【請求項2】 予め溶解した、質量百分率(%)に基づいて
    (以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を含有す
    るFe-Ni系合金の溶湯を真空誘導溶解炉中に装入し、溶
    湯中の酸素を除去するため雰囲気中に酸素0.0003%未満
    の不活性ガス雰囲気で圧力250HPa以下の雰囲気下で、炭
    素部材を挿入接触し、ついで雰囲気圧を0.5HPa未満まで
    減圧することにより非金属介在物などの不純物を生成さ
    せることなく酸素0.006%以下、炭素0.01%以下にするこ
    とを特徴とするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。
  3. 【請求項3】 予め溶解する原料が、質量百分率(%)に基
    づいて(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を
    含有するFe-Ni系合金の製造工程内もしくは部品加工後
    に発生した酸素量が総量で0.1%以上含有する材料(以
    下、返材と表記する)であることを特徴とする請求項1
    記載の精錬方法。
  4. 【請求項4】挿入接触させる炭素部材の断面積が溶湯表
    面積に対して0.3%〜1.0%で、挿入深さが溶湯深さに対し
    て10%未満であることを特徴とする請求項1〜2記載の精
    錬方法。
  5. 【請求項5】質量百分率(%)に基づいて(以下、%と表記
    する)、Ni:30〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:0.01〜0.5
    %を含有し、さらにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01〜0.8%お
    よびHf:0.01〜0.8%から選択された1種または2種以上を
    合計で0.01〜0.8%含有し、残部Fe及び不可避的不純物
    からなるFe-Ni系合金であることを特徴とする請求項1
    〜3記載のFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。
  6. 【請求項6】質量百分率(%)に基づいて(以下、%と表記
    する) 、Ni:33〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、またはC
    o:0.01〜2%未満を含有し、さらにNb:0.01〜0.5%、T
    a:0.01〜0.5%およびHf:0.01〜0.5%から選択された1種
    または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有し、残部Fe及び
    不可避的不純物からなるFe-Ni系合金であることを特徴
    とする請求項1〜3記載のFe-Ni系合金溶湯の精錬方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102534124A (zh) * 2012-02-29 2012-07-04 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 真空感应冶炼高氧含量钢的方法
CN113278810A (zh) * 2021-04-15 2021-08-20 山西太钢不锈钢股份有限公司 一种真空感应炉熔化期冶炼控制方法

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