JP2002285226A - 真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法 - Google Patents
真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法Info
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- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】質量百分率(%)に基づいて少なくとも、Ni:30
〜50%を含有するFe-Ni系合金の電磁気材料と称される製
品の炭素含有量と酸素含有量がともに厳しく制限される
合金の精錬時に、非金属介在物などの不純物を生成させ
ることなく、激しい沸騰現象を抑えながら低酸素、低炭
素の溶湯の精錬ができる方法を提供する。 【解決手段】質量百分率(%)に基づいて少なくとも、N
i:30〜50%を含有するFe-Ni系合金の溶湯を真空誘導溶
解炉中で、溶湯中の酸素を除去するため雰囲気中に酸素
0.0003%未満の不活性ガス雰囲気で圧力250HPa以下の雰
囲気下で、炭素部材を挿入接触し、ついで雰囲気圧を0.
5HPa未満まで減圧することにより非金属介在物などの不
純物を生成させることなく酸素0.006%以下、炭素0.01%
以下にするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法である。
〜50%を含有するFe-Ni系合金の電磁気材料と称される製
品の炭素含有量と酸素含有量がともに厳しく制限される
合金の精錬時に、非金属介在物などの不純物を生成させ
ることなく、激しい沸騰現象を抑えながら低酸素、低炭
素の溶湯の精錬ができる方法を提供する。 【解決手段】質量百分率(%)に基づいて少なくとも、N
i:30〜50%を含有するFe-Ni系合金の溶湯を真空誘導溶
解炉中で、溶湯中の酸素を除去するため雰囲気中に酸素
0.0003%未満の不活性ガス雰囲気で圧力250HPa以下の雰
囲気下で、炭素部材を挿入接触し、ついで雰囲気圧を0.
5HPa未満まで減圧することにより非金属介在物などの不
純物を生成させることなく酸素0.006%以下、炭素0.01%
以下にするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は返材等酸素含有量が
多い原料を大気雰囲気下、または真空雰囲気下、または
低酸素分圧雰囲気下で溶解した後、減圧不活性ガス雰囲
気下で精錬するFe-Ni系合金溶湯の精錬方法及びそれに
好適に使用できる装置に関するものである。
多い原料を大気雰囲気下、または真空雰囲気下、または
低酸素分圧雰囲気下で溶解した後、減圧不活性ガス雰囲
気下で精錬するFe-Ni系合金溶湯の精錬方法及びそれに
好適に使用できる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば返材は酸素含有量が高く、不純物
(本発明で不純物とは不純元素や非金属介在物の原因と
なる物質を総称する)を多く含んでいることから固体か
ら溶解する場合、電気炉で溶解し、該溶湯を黒鉛電極ア
ーク加熱方式の取鍋精錬炉、VOD、ASEA-SKF法等の炉外
精錬法にて精錬する。この方法は、原料の制限が少なく
高レヘ゛ルの清浄鋼等を容易に得ることができることから広
く用いられている。一般的にこれらの炉外精錬法の脱酸
は化学脱酸であり、AlやSiを添加する。添加されたAlや
Siは溶湯中の酸素と反応して硬質の非金属介在物として
溶湯中に生成する。また、炉外精錬法ではCaO、Al2O3、
CaF2、SiO2を成分とするスラグを添加し脱酸するスラグ
精錬を行う場合もある。スラグ精錬においてはスラグ成
分であるCaO、Al2O3、CaF2 、SiO2が溶湯中にヒ゜ックアッフ゜
され非金属介在物を生成したり、スラグが溶湯に巻き込
まれ不純物となる。これらの方法では溶湯の加熱方式に
黒鉛質の電極を用いることが有り、その電極を溶湯表面
上のスラグ中に浸漬するため、炭素ヒ゜ックアッフ゜の問題があ
る。
(本発明で不純物とは不純元素や非金属介在物の原因と
なる物質を総称する)を多く含んでいることから固体か
ら溶解する場合、電気炉で溶解し、該溶湯を黒鉛電極ア
ーク加熱方式の取鍋精錬炉、VOD、ASEA-SKF法等の炉外
精錬法にて精錬する。この方法は、原料の制限が少なく
高レヘ゛ルの清浄鋼等を容易に得ることができることから広
く用いられている。一般的にこれらの炉外精錬法の脱酸
は化学脱酸であり、AlやSiを添加する。添加されたAlや
Siは溶湯中の酸素と反応して硬質の非金属介在物として
溶湯中に生成する。また、炉外精錬法ではCaO、Al2O3、
CaF2、SiO2を成分とするスラグを添加し脱酸するスラグ
精錬を行う場合もある。スラグ精錬においてはスラグ成
分であるCaO、Al2O3、CaF2 、SiO2が溶湯中にヒ゜ックアッフ゜
され非金属介在物を生成したり、スラグが溶湯に巻き込
まれ不純物となる。これらの方法では溶湯の加熱方式に
黒鉛質の電極を用いることが有り、その電極を溶湯表面
上のスラグ中に浸漬するため、炭素ヒ゜ックアッフ゜の問題があ
る。
【0003】一方、非金属介在物を生成しない脱酸方法
としては、炭素を用いた真空精錬が知られている。この
方法では非金属介在物の生成はないが、溶湯酸素濃度が
0.03%を超すような場合、激しい沸騰現象がおこり鋳つ
きが発生したり、炉体損傷の原因となる。また、添加す
る炭素が粒状のため一度添加すると全てが消費されるま
で反応し、沸騰現象の制御ができない。さらには、溶湯
酸素源以外の酸素源(例えば滓)により、理論量以上の
脱酸剤が必要になることがある。
としては、炭素を用いた真空精錬が知られている。この
方法では非金属介在物の生成はないが、溶湯酸素濃度が
0.03%を超すような場合、激しい沸騰現象がおこり鋳つ
きが発生したり、炉体損傷の原因となる。また、添加す
る炭素が粒状のため一度添加すると全てが消費されるま
で反応し、沸騰現象の制御ができない。さらには、溶湯
酸素源以外の酸素源(例えば滓)により、理論量以上の
脱酸剤が必要になることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Fe-Ni系合金などの電
磁気材料と称される合金製品の中には、要求される特性
を害する理由から、炭素と酸素をともに厳しく制限され
るものもある。この炭素と酸素はおもに溶解時の固体原
料から持ち込まれる。脱炭は酸素などとの反応で燃焼さ
せる手段が知られており、さらに減圧雰囲気や真空雰囲
気と組み合わせると効率が良い。しかし、溶湯中の炭素
濃度や脱炭反応時の雰囲気によっては、激しい沸騰現象
が発生しこれが炉壁や溶湯面に付着して再度溶湯内に混
入する可能性も考えられる。
磁気材料と称される合金製品の中には、要求される特性
を害する理由から、炭素と酸素をともに厳しく制限され
るものもある。この炭素と酸素はおもに溶解時の固体原
料から持ち込まれる。脱炭は酸素などとの反応で燃焼さ
せる手段が知られており、さらに減圧雰囲気や真空雰囲
気と組み合わせると効率が良い。しかし、溶湯中の炭素
濃度や脱炭反応時の雰囲気によっては、激しい沸騰現象
が発生しこれが炉壁や溶湯面に付着して再度溶湯内に混
入する可能性も考えられる。
【0005】脱酸の方法としては、AlやSiと酸素を反応
させる化学脱酸法がよく知られている。この方法ではAl
やSiと酸素が反応しアルミナやシリカといった非金属介在物が
生成、溶湯内に懸濁する可能性が考えられる。これらの
非金属介在物が圧延工程時に材料表面に現れた場合、地
疵となったり、また圧延ロール表面を傷つけ、この傷が
製品に転写され不良となる。
させる化学脱酸法がよく知られている。この方法ではAl
やSiと酸素が反応しアルミナやシリカといった非金属介在物が
生成、溶湯内に懸濁する可能性が考えられる。これらの
非金属介在物が圧延工程時に材料表面に現れた場合、地
疵となったり、また圧延ロール表面を傷つけ、この傷が
製品に転写され不良となる。
【0006】本発明の目的は質量百分率(%)に基づいて
(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を含有す
るFe-Ni系合金など電磁気材料や封着材料と称される製
品の酸素含有量や非金属介在物の生成が厳しく制限され
る合金の精錬時に、前述の炭素ヒ゜ックアッフ゜の問題なく、化
学脱酸による非金属介在物の生成がなく、激しい沸騰現
象による炉体損傷などの操業上の問題がない返材等酸素
含有量が多いFe−Ni系合金の精錬方法およびそれに好適
に使用できる装置をも提供することである。
(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を含有す
るFe-Ni系合金など電磁気材料や封着材料と称される製
品の酸素含有量や非金属介在物の生成が厳しく制限され
る合金の精錬時に、前述の炭素ヒ゜ックアッフ゜の問題なく、化
学脱酸による非金属介在物の生成がなく、激しい沸騰現
象による炉体損傷などの操業上の問題がない返材等酸素
含有量が多いFe−Ni系合金の精錬方法およびそれに好適
に使用できる装置をも提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (1)大気遮断室本体の上部に、対象溶解金属を還元す
る炭素部材を降下及び上昇自在とする機構を有する真空
誘導溶解炉。 (2) 予め溶解した、質量百分率(%)に基づいて少なく
とも、Ni:30〜50%を含有するFe-Ni系合金の溶湯を真空
誘導溶解炉中に装入し、溶湯中の酸素を除去するため雰
囲気中に酸素0.0003%未満の不活性ガス雰囲気で圧力250
HPa以下の雰囲気下で、炭素部材を挿入接触し、ついで
雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧することにより非金属介
在物などの不純物を生成させることなく酸素0.006%以
下、炭素0.01%以下にするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。
る炭素部材を降下及び上昇自在とする機構を有する真空
誘導溶解炉。 (2) 予め溶解した、質量百分率(%)に基づいて少なく
とも、Ni:30〜50%を含有するFe-Ni系合金の溶湯を真空
誘導溶解炉中に装入し、溶湯中の酸素を除去するため雰
囲気中に酸素0.0003%未満の不活性ガス雰囲気で圧力250
HPa以下の雰囲気下で、炭素部材を挿入接触し、ついで
雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧することにより非金属介
在物などの不純物を生成させることなく酸素0.006%以
下、炭素0.01%以下にするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。
【0008】(3) 予め溶解する原料が、質量百分率
(%)に基づいて(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30
〜50%を含有するFe-Ni系合金の製造工程内もしくは部品
加工後に発生した酸素量が総量で0.1%以上含有する材料
である上記(2)記載の精錬方法。
(%)に基づいて(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30
〜50%を含有するFe-Ni系合金の製造工程内もしくは部品
加工後に発生した酸素量が総量で0.1%以上含有する材料
である上記(2)記載の精錬方法。
【0009】(4)挿入接触させる炭素部材の断面積が
溶湯表面積に対して0.3%〜1.0%で、挿入深さが溶湯深さ
に対して10%未満である上記(2)ないし(3)記載の
精錬方法。
溶湯表面積に対して0.3%〜1.0%で、挿入深さが溶湯深さ
に対して10%未満である上記(2)ないし(3)記載の
精錬方法。
【0010】(5)質量百分率(%)に基づいて 、Ni:30
〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:0.01〜0.5%を含有し、さ
らにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01〜0.8%およびHf:0.01〜
0.8%から選択された1種または2種以上を合計で0.01〜0.
8%含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなるFe-Ni系
合金である(2)〜(4)記載のFe-Ni系合金溶湯の精
錬方法。
〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:0.01〜0.5%を含有し、さ
らにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01〜0.8%およびHf:0.01〜
0.8%から選択された1種または2種以上を合計で0.01〜0.
8%含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなるFe-Ni系
合金である(2)〜(4)記載のFe-Ni系合金溶湯の精
錬方法。
【0011】(6)質量百分率(%)に基づいて 、Ni:33
〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、またはCo:0.01〜2%未満
を含有し、さらにNb:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%およ
びHf:0.01〜0.5%から選択された1種または2種以上を合
計で0.01〜0.5%含有し、残部Fe及び不可避的不純物か
らなるFe-Ni系合金である(2)〜(4)記載のFe-Ni系
合金溶湯の精錬方法。に関する。
〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、またはCo:0.01〜2%未満
を含有し、さらにNb:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%およ
びHf:0.01〜0.5%から選択された1種または2種以上を合
計で0.01〜0.5%含有し、残部Fe及び不可避的不純物か
らなるFe-Ni系合金である(2)〜(4)記載のFe-Ni系
合金溶湯の精錬方法。に関する。
【0012】以下本発明に関して詳細に説明する。本発
明では、本発明の対象合金は、Ni30〜50%含有す
るFe−Ni系合金である。これらの合金は、テレビ、
パソコン等に使用されるシャドウマスク等の電磁気材料
に利用される為、酸素量、炭素量の品位が厳しく定めら
れている。通常酸素0.006%以下、炭素0.01%
以下である事が要求される。一方本発明の原料は、酸素
量を多く含むFe-Ni合金であって、例えば酸素量を0.
1%以上含むFe-Ni系合金である。具体的には、Fe-Ni系
合金の製造工程内或いは、シャドウマスク等の部品加工
後に発生した物等である。
明では、本発明の対象合金は、Ni30〜50%含有す
るFe−Ni系合金である。これらの合金は、テレビ、
パソコン等に使用されるシャドウマスク等の電磁気材料
に利用される為、酸素量、炭素量の品位が厳しく定めら
れている。通常酸素0.006%以下、炭素0.01%
以下である事が要求される。一方本発明の原料は、酸素
量を多く含むFe-Ni合金であって、例えば酸素量を0.
1%以上含むFe-Ni系合金である。具体的には、Fe-Ni系
合金の製造工程内或いは、シャドウマスク等の部品加工
後に発生した物等である。
【0013】更にNi:30〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:
0.01〜0.5%を含有し、さらにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01
〜0.8%およびHf:0.01〜0.8%から選択された1種または2
種以上を合計で0.01〜0.8%含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなるものも対象とする。
0.01〜0.5%を含有し、さらにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01
〜0.8%およびHf:0.01〜0.8%から選択された1種または2
種以上を合計で0.01〜0.8%含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなるものも対象とする。
【0014】更にNi:33〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、
またはCo:0.01〜2%未満を含有し、さらにNb:0.01〜0.
5%、Ta:0.01〜0.5%およびHf:0.01〜0.5%から選択され
た1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有し、残部F
e及び不可避的不純物からなるものも対象とする。これ
らの合金は、酸素、炭素の制限が厳しい用途に使用され
るからである。
またはCo:0.01〜2%未満を含有し、さらにNb:0.01〜0.
5%、Ta:0.01〜0.5%およびHf:0.01〜0.5%から選択され
た1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有し、残部F
e及び不可避的不純物からなるものも対象とする。これ
らの合金は、酸素、炭素の制限が厳しい用途に使用され
るからである。
【0015】次に処理法であるが、予め溶解を行ったN
i:30〜50%を含有するFe-Ni系合金等を真空誘導溶解炉
中に挿入するか、または真空誘導溶解炉中で溶解した溶
湯に炭素部材を減圧不活性ガス雰囲気下で挿入接触さ
せ、その後0.5HPaまで減圧することにより低酸素、低炭
素の溶湯を得ることができる。本発明は、Al,Siといっ
た脱酸材を添加する必要がないことから、スラグが発生
することがなく、炭素部材挿入時の雰囲気圧と挿入量を
コントロールすることにより、沸騰現象を制御しなが
ら、酸素濃度が0.1wt%以上の溶湯に対してでも低炭素、
低酸素を達成できるところに大きな特徴がある。
i:30〜50%を含有するFe-Ni系合金等を真空誘導溶解炉
中に挿入するか、または真空誘導溶解炉中で溶解した溶
湯に炭素部材を減圧不活性ガス雰囲気下で挿入接触さ
せ、その後0.5HPaまで減圧することにより低酸素、低炭
素の溶湯を得ることができる。本発明は、Al,Siといっ
た脱酸材を添加する必要がないことから、スラグが発生
することがなく、炭素部材挿入時の雰囲気圧と挿入量を
コントロールすることにより、沸騰現象を制御しなが
ら、酸素濃度が0.1wt%以上の溶湯に対してでも低炭素、
低酸素を達成できるところに大きな特徴がある。
【0016】本発明でいう真空または低酸素分圧雰囲気
とは、それぞれ大気圧未満の雰囲気、または大気中の酸
素分圧すなわち213HPa(1013HPa×0.21)未満の酸素分
圧雰囲気を意味する。この条件を満足させる手段として
は、真空ポンプで排気し減圧すること、不活性ガス(Ar
やN2ガス)で酸素の一部を置換すると、または減圧とガ
ス置換を組み合わせて、数100HPa以下の不活性ガス雰囲
気とする方法がある。
とは、それぞれ大気圧未満の雰囲気、または大気中の酸
素分圧すなわち213HPa(1013HPa×0.21)未満の酸素分
圧雰囲気を意味する。この条件を満足させる手段として
は、真空ポンプで排気し減圧すること、不活性ガス(Ar
やN2ガス)で酸素の一部を置換すると、または減圧とガ
ス置換を組み合わせて、数100HPa以下の不活性ガス雰囲
気とする方法がある。
【0017】本発明では、予め溶解する雰囲気を大気雰
囲気とした場合、溶湯の酸素濃度が0.1wt%以上に増加
し、溶湯が酸化することに伴い溶湯表面に滓が発生す
る。この滓を脱酸するため、溶湯酸素量に対する必要な
炭素量以上に炭素量が必要となるため、脱酸時間の延
長、炭素原単位の悪化となることから望ましくは溶湯が
酸化することに伴い発生した滓を除去する。
囲気とした場合、溶湯の酸素濃度が0.1wt%以上に増加
し、溶湯が酸化することに伴い溶湯表面に滓が発生す
る。この滓を脱酸するため、溶湯酸素量に対する必要な
炭素量以上に炭素量が必要となるため、脱酸時間の延
長、炭素原単位の悪化となることから望ましくは溶湯が
酸化することに伴い発生した滓を除去する。
【0018】本発明の炭素部材の挿入は減圧不活性ガス
雰囲気下で行われる。炭素と酸素の反応による脱酸では
雰囲気圧が低いほうが脱酸が進みより低酸素の溶湯が得
られるが、激しい沸騰現象が発生する。この沸騰現象に
より炉壁に多量の鋳つきが発生し、これが溶湯内に欠落
すると溶湯不純物濃度が増加する。また、多量に発生し
た鋳つきにより炉内径が小さくなり、原料挿入に支障を
きたす。このため鋳つきを除去する作業が必要となり操
業性が悪化する。
雰囲気下で行われる。炭素と酸素の反応による脱酸では
雰囲気圧が低いほうが脱酸が進みより低酸素の溶湯が得
られるが、激しい沸騰現象が発生する。この沸騰現象に
より炉壁に多量の鋳つきが発生し、これが溶湯内に欠落
すると溶湯不純物濃度が増加する。また、多量に発生し
た鋳つきにより炉内径が小さくなり、原料挿入に支障を
きたす。このため鋳つきを除去する作業が必要となり操
業性が悪化する。
【0019】本発明では、溶湯の酸素濃度が0.1wt%以上
の場合、250HPaの不活性ガス雰囲気で炭素部材を挿入
し、反応状況を観察しながら溶湯の酸素濃度が0.05wt%
未満、炭素濃度が0.005wt%未満まで脱酸を行う。脱酸
後、一度雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧し100HPaの減圧
不活性ガス雰囲気に変更するか、またはそのまま100HPa
の減圧不活性ガス雰囲気に変更後、再度炭素部材を挿入
する。炭素部材挿入は溶湯酸素濃度0.01wt%未満、炭素
濃度0.02wt%未満を目標に行う。脱酸後、雰囲気圧を0.5
HPa未満まで減圧することにより溶湯酸素濃度0.006wt%
未満、炭素濃度0.01wt%未満の溶湯を得ることができ
る。
の場合、250HPaの不活性ガス雰囲気で炭素部材を挿入
し、反応状況を観察しながら溶湯の酸素濃度が0.05wt%
未満、炭素濃度が0.005wt%未満まで脱酸を行う。脱酸
後、一度雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧し100HPaの減圧
不活性ガス雰囲気に変更するか、またはそのまま100HPa
の減圧不活性ガス雰囲気に変更後、再度炭素部材を挿入
する。炭素部材挿入は溶湯酸素濃度0.01wt%未満、炭素
濃度0.02wt%未満を目標に行う。脱酸後、雰囲気圧を0.5
HPa未満まで減圧することにより溶湯酸素濃度0.006wt%
未満、炭素濃度0.01wt%未満の溶湯を得ることができ
る。
【0020】また本発明では、溶湯の酸素濃度が0.1wt%
以上の場合、250HPaの不活性ガス雰囲気で炭素部材を挿
入し、反応状況を観察しながら溶湯の酸素濃度が0.01wt
%未満、炭素濃度が0.03wt%未満まで脱酸を行う。脱酸
後、雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧することにより溶湯
酸素濃度0.006wt%未満、炭素濃度0.01wt%未満の溶湯を
得ることができる。
以上の場合、250HPaの不活性ガス雰囲気で炭素部材を挿
入し、反応状況を観察しながら溶湯の酸素濃度が0.01wt
%未満、炭素濃度が0.03wt%未満まで脱酸を行う。脱酸
後、雰囲気圧を0.1HPa未満まで減圧することにより溶湯
酸素濃度0.006wt%未満、炭素濃度0.01wt%未満の溶湯を
得ることができる。
【0021】本発明の炭素部材の形状は、丸棒、四角棒
であっても良いが、粉状や粒状は望ましくない。減圧不
活性ガス雰囲気下では溶湯中の酸素と炭素が反応するこ
とによりCOガスが発生し、沸騰現象がおこる。粉状や粒
状の場合、一度添加すると激しい沸騰現象が見られて
も、添加した炭素の回収は困難で沸騰現象を制御するこ
とが出来ない。さらに、添加量が多すぎると回収が困難
なことから炭素過多の原因にもなるからである。
であっても良いが、粉状や粒状は望ましくない。減圧不
活性ガス雰囲気下では溶湯中の酸素と炭素が反応するこ
とによりCOガスが発生し、沸騰現象がおこる。粉状や粒
状の場合、一度添加すると激しい沸騰現象が見られて
も、添加した炭素の回収は困難で沸騰現象を制御するこ
とが出来ない。さらに、添加量が多すぎると回収が困難
なことから炭素過多の原因にもなるからである。
【0022】又その断面形状は、溶湯表面積に対して、
0.3〜1.0%程度が望ましい。0.3%より小さい
場合は、脱酸反応が遅く、また添加量が足りなくなるこ
とが考えられる。この場合、追加挿入の必要が生じ脱酸
時間の延長となり、生産性が阻害されるからである。
1.0%より大きい場合は、激しい沸騰現象が起こり溶
湯の盛り上がりが大きくなるからである。
0.3〜1.0%程度が望ましい。0.3%より小さい
場合は、脱酸反応が遅く、また添加量が足りなくなるこ
とが考えられる。この場合、追加挿入の必要が生じ脱酸
時間の延長となり、生産性が阻害されるからである。
1.0%より大きい場合は、激しい沸騰現象が起こり溶
湯の盛り上がりが大きくなるからである。
【0023】更に、溶湯への挿入深さは、10%未満で
ある事が望ましい。これ以上深いと激しい沸騰現象が起
こり、溶湯の盛り上がりが大きくなるからである。
ある事が望ましい。これ以上深いと激しい沸騰現象が起
こり、溶湯の盛り上がりが大きくなるからである。
【0024】更に、炭素品位は95%以上であることが望
ましい。炭素品位が低いと脱酸反応が遅く、また添加量
が足りなくなることが考えられる。この場合、追加挿入
の必要が生じ脱酸時間の延長となり、生産性が阻害され
るからである。また不純物、例えばS等が多く含まれる
と鍛造工程や熱間圧延工程で割れが発生したり、例えば
Si等が多く含まれると非金属介在物生成の原因になるな
どの問題が生じるからである。
ましい。炭素品位が低いと脱酸反応が遅く、また添加量
が足りなくなることが考えられる。この場合、追加挿入
の必要が生じ脱酸時間の延長となり、生産性が阻害され
るからである。また不純物、例えばS等が多く含まれる
と鍛造工程や熱間圧延工程で割れが発生したり、例えば
Si等が多く含まれると非金属介在物生成の原因になるな
どの問題が生じるからである。
【0025】本発明の炭素部材を溶湯へ挿入接触させる
ときの雰囲気圧は、250〜100HPaが望ましい。250HPaよ
り高い雰囲気圧では、脱酸による到達酸素濃度と到達炭
素濃度が高いからである。また、100HPa未満では、激し
い沸騰現象に加え溶湯の飛散が見られるからである。
ときの雰囲気圧は、250〜100HPaが望ましい。250HPaよ
り高い雰囲気圧では、脱酸による到達酸素濃度と到達炭
素濃度が高いからである。また、100HPa未満では、激し
い沸騰現象に加え溶湯の飛散が見られるからである。
【0026】
【実施例】(実施例1)図1に示す溶解量が最大500kg
である真空誘導溶解炉(炉本体、真空ポンプはLEYBOLD
−HERAEUS製、電源は日本電子製)において、以下に示
す手順で操業を行った。真空誘導溶解炉1内のルツボ
(アルバックテクノ製MgO・Al2O3質ルツボ)6に鉄源、
Ni源からなる固体原料を挿入後、真空排気系7bにより、
大気遮断室a内を真空にして溶解した。目標とする組成
は、Fe-36Ni合金である。固体原料が溶解後、溶湯の酸
素濃度を0.1%以上とするため30分毎に蓋体2を3回開放し
て、溶解雰囲気を大気とした。酸素分析により溶湯酸素
濃度が0.1%以上であることを確認し、一旦、真空排気系
7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気圧を0.1HPa未満ま
で減圧した後、不活性ガス導入系8bからアルゴンガスを
大気遮断室aに導入して、250HPaのArガス雰囲気とし
た。
である真空誘導溶解炉(炉本体、真空ポンプはLEYBOLD
−HERAEUS製、電源は日本電子製)において、以下に示
す手順で操業を行った。真空誘導溶解炉1内のルツボ
(アルバックテクノ製MgO・Al2O3質ルツボ)6に鉄源、
Ni源からなる固体原料を挿入後、真空排気系7bにより、
大気遮断室a内を真空にして溶解した。目標とする組成
は、Fe-36Ni合金である。固体原料が溶解後、溶湯の酸
素濃度を0.1%以上とするため30分毎に蓋体2を3回開放し
て、溶解雰囲気を大気とした。酸素分析により溶湯酸素
濃度が0.1%以上であることを確認し、一旦、真空排気系
7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気圧を0.1HPa未満ま
で減圧した後、不活性ガス導入系8bからアルゴンガスを
大気遮断室aに導入して、250HPaのArガス雰囲気とし
た。
【0027】炭素棒10を溶湯サンプラー(ナカヤ理化
製)の治具11に固定し、副原料投入系9の中にセットす
る。真空排気系7aにより副原料投入系9内を真空にした
後、不活性ガス導入系8aからアルゴンガスを導入して、
副原料投入系9内を250HPaのArガス雰囲気とした。つい
で、仕切りバルブ4を開放して溶湯サンプラーの治具11
に固定した炭素棒10を10の位置から10’の位置へ移動し
溶湯へと挿入接触させた。使用した炭素棒は、炭素品位
が98.5%の日本電極株式会社製のものを使用した。
製)の治具11に固定し、副原料投入系9の中にセットす
る。真空排気系7aにより副原料投入系9内を真空にした
後、不活性ガス導入系8aからアルゴンガスを導入して、
副原料投入系9内を250HPaのArガス雰囲気とした。つい
で、仕切りバルブ4を開放して溶湯サンプラーの治具11
に固定した炭素棒10を10の位置から10’の位置へ移動し
溶湯へと挿入接触させた。使用した炭素棒は、炭素品位
が98.5%の日本電極株式会社製のものを使用した。
【0028】この時、観察窓5より溶湯表面の状態を観
察しながら炭素棒10’(断面積:314mm2)を20mm
挿入接触させる。この場合、炭素棒10’は、溶湯表面積
の0.3%、挿入深さは、4%に相当する。沸騰現象が激し
くなる場合は炭素棒10’の挿入を一旦中止し、炭素棒1
0’を10’’の位置に移動する。沸騰現象がなくなった
後、再度溶湯表面を観察窓5より観察しながら挿入す
る。目標とする酸素濃度は0.05wt%未満である。所定の
量を添加し終えたら、炭素棒10’を10’の位置から10の
位置に移動して仕切りバルブ4を閉じる。その後、真空
排気系7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気圧を0.1HPa
未満まで減圧する。この時、溶解雰囲気が減圧になるこ
とによる発泡現象が観察される。酸素分析をおこない溶
湯酸素濃度が0.05wt%未満であることを確認する。分析
により酸素濃度が0.05wt%以上である場合、再度同じ手
順で炭素棒10を溶湯へ挿入接触させる。
察しながら炭素棒10’(断面積:314mm2)を20mm
挿入接触させる。この場合、炭素棒10’は、溶湯表面積
の0.3%、挿入深さは、4%に相当する。沸騰現象が激し
くなる場合は炭素棒10’の挿入を一旦中止し、炭素棒1
0’を10’’の位置に移動する。沸騰現象がなくなった
後、再度溶湯表面を観察窓5より観察しながら挿入す
る。目標とする酸素濃度は0.05wt%未満である。所定の
量を添加し終えたら、炭素棒10’を10’の位置から10の
位置に移動して仕切りバルブ4を閉じる。その後、真空
排気系7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気圧を0.1HPa
未満まで減圧する。この時、溶解雰囲気が減圧になるこ
とによる発泡現象が観察される。酸素分析をおこない溶
湯酸素濃度が0.05wt%未満であることを確認する。分析
により酸素濃度が0.05wt%以上である場合、再度同じ手
順で炭素棒10を溶湯へ挿入接触させる。
【0029】使用した炭素棒10は溶湯サンプラー(ナカ
ヤ理化製)の治具11から取り外し、新しい炭素棒をセッ
トし、副原料投入系9の中にセットする。真空排気系7a
により副原料投入系9内を真空にした後、不活性ガス導
入系8aからアルゴンガスを導入して、副原料投入系9内
を100HPaのArガス雰囲気とする。
ヤ理化製)の治具11から取り外し、新しい炭素棒をセッ
トし、副原料投入系9の中にセットする。真空排気系7a
により副原料投入系9内を真空にした後、不活性ガス導
入系8aからアルゴンガスを導入して、副原料投入系9内
を100HPaのArガス雰囲気とする。
【0030】酸素濃度が0.05wt%未満であるのを確認
し、不活性ガス導入系8bよりアルゴンガスを導入して大
気遮断室a内をAr100HPaの雰囲気圧に変更する。前記と
同様の手順で炭素棒10を観察窓5より溶湯表面の状態を
観察しながら20mm挿入接触させる。この場合の炭素棒
装入スピードは、約20mm/秒であった。炭素目標と
する酸素濃度は0.01wt%未満、炭素濃度は0.02wt%未満で
ある。所定量を添加し終えたら、炭素棒10’を10’の位
置から10の位置に移動して仕切りバルブ4を閉じる。そ
の後、真空排気系7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気
圧を0.5HPa未満まで減圧する。酸素分析、炭素分析を行
い、酸素濃度、炭素濃度を確認する。酸素濃度が0.01wt
%以上である場合、再度同じ手順で炭素棒10を溶湯へ挿
入接触させる。酸素濃度が0.01wt%未満、炭素濃度が0.0
2wt%未満であるのを確認し、真空排気系7bにより大気遮
断室a内の溶解雰囲気圧を0.5HPa未満まで減圧する。
し、不活性ガス導入系8bよりアルゴンガスを導入して大
気遮断室a内をAr100HPaの雰囲気圧に変更する。前記と
同様の手順で炭素棒10を観察窓5より溶湯表面の状態を
観察しながら20mm挿入接触させる。この場合の炭素棒
装入スピードは、約20mm/秒であった。炭素目標と
する酸素濃度は0.01wt%未満、炭素濃度は0.02wt%未満で
ある。所定量を添加し終えたら、炭素棒10’を10’の位
置から10の位置に移動して仕切りバルブ4を閉じる。そ
の後、真空排気系7bにより大気遮断室a内の溶解雰囲気
圧を0.5HPa未満まで減圧する。酸素分析、炭素分析を行
い、酸素濃度、炭素濃度を確認する。酸素濃度が0.01wt
%以上である場合、再度同じ手順で炭素棒10を溶湯へ挿
入接触させる。酸素濃度が0.01wt%未満、炭素濃度が0.0
2wt%未満であるのを確認し、真空排気系7bにより大気遮
断室a内の溶解雰囲気圧を0.5HPa未満まで減圧する。
【0031】次に本願の方法発明を具体的に説明する。
図2は実施例1の手順で精錬を行った時の経過時間に対
する精錬の進行度合を、溶湯中の酸素値、炭素値、溶解
雰囲気圧で測定した結果を示した図である。図2から炭
素棒挿入により、酸素濃度が0.1wt%以上の溶湯を酸素濃
度が0.0032wt%、炭素濃度が0.0028wt%まで低減させるこ
とができることがわかる。
図2は実施例1の手順で精錬を行った時の経過時間に対
する精錬の進行度合を、溶湯中の酸素値、炭素値、溶解
雰囲気圧で測定した結果を示した図である。図2から炭
素棒挿入により、酸素濃度が0.1wt%以上の溶湯を酸素濃
度が0.0032wt%、炭素濃度が0.0028wt%まで低減させるこ
とができることがわかる。
【0032】図3は、炭素棒挿入深さと溶解雰囲気圧に
対する、溶湯盛り上がり量を示した図である。使用した
炭素棒の断面積は溶湯表面積の0.3%であることが下記の
式より判る。 炭素棒断面積(314mm2)÷ 溶湯表面積(101736mm
2)×100% =0.3% 溶湯中酸素濃度は0.105wt%〜0.123wt%であった。図3か
ら、炭素棒挿入深さを深くすること、また雰囲気圧を下
げることにより溶湯盛り上がり量は増加する事が分かっ
た。
対する、溶湯盛り上がり量を示した図である。使用した
炭素棒の断面積は溶湯表面積の0.3%であることが下記の
式より判る。 炭素棒断面積(314mm2)÷ 溶湯表面積(101736mm
2)×100% =0.3% 溶湯中酸素濃度は0.105wt%〜0.123wt%であった。図3か
ら、炭素棒挿入深さを深くすること、また雰囲気圧を下
げることにより溶湯盛り上がり量は増加する事が分かっ
た。
【0033】従って、溶湯盛り上がり量を50mmまでに
することが望ましい為、炭素棒挿入深さを50mm未満
(溶湯深さの10%未満)とし、初期の溶解雰囲気圧を
250HPaから100HPaにコントロールすることによ
り、沸騰現象を抑えて脱酸ができることが見いだせた。
尚初期の溶解雰囲気圧が、100HPa未満では、激しい
沸騰現象と溶湯表面から激しい溶湯の飛散が見られ、溶
湯盛り上がり量が100mm以上となり好ましい操業は出
来なかった。
することが望ましい為、炭素棒挿入深さを50mm未満
(溶湯深さの10%未満)とし、初期の溶解雰囲気圧を
250HPaから100HPaにコントロールすることによ
り、沸騰現象を抑えて脱酸ができることが見いだせた。
尚初期の溶解雰囲気圧が、100HPa未満では、激しい
沸騰現象と溶湯表面から激しい溶湯の飛散が見られ、溶
湯盛り上がり量が100mm以上となり好ましい操業は出
来なかった。
【0034】
【発明の効果】(1)酸素濃度の高いFe-Ni系合金溶湯
を、本発明により効率的に処理し、酸素濃度、炭素濃度
の低いFe-Ni系合金を容易に、且つ安価に得ることがで
きる。 (2)例えば本発明の一態様によれば、酸素濃度0.1073
wt%、炭素濃度0.001wt%未満のFe-Ni系合金原料を酸素
濃度0.0032wt%、炭素濃度0.0028wt%ppmとする事が出来
所定の目的濃度(O≦0.006wt%、C≦0.01wt%)の合金を容
易に得られる。 (3)所謂安価な返り材を原料に、好ましい目的材料を
容易に得ることができる。
を、本発明により効率的に処理し、酸素濃度、炭素濃度
の低いFe-Ni系合金を容易に、且つ安価に得ることがで
きる。 (2)例えば本発明の一態様によれば、酸素濃度0.1073
wt%、炭素濃度0.001wt%未満のFe-Ni系合金原料を酸素
濃度0.0032wt%、炭素濃度0.0028wt%ppmとする事が出来
所定の目的濃度(O≦0.006wt%、C≦0.01wt%)の合金を容
易に得られる。 (3)所謂安価な返り材を原料に、好ましい目的材料を
容易に得ることができる。
【0035】
【図1】本発明の実施例に用いた装置の一例を示す図で
ある。
ある。
【図2】本発明の操業の一態様であって、時間的経過に
よる雰囲気圧、処理Fe-Ni系合金の酸素濃度、炭素濃度
の変化を示す。
よる雰囲気圧、処理Fe-Ni系合金の酸素濃度、炭素濃度
の変化を示す。
【図3】本発明の一態様であって、雰囲気Arガス圧と炭
素棒浸漬深さに対する溶湯盛り上がり量を示す。
素棒浸漬深さに対する溶湯盛り上がり量を示す。
1 真空誘導溶解炉、2 蓋体、3 大気遮断室本体、
4仕切りバルブ、5観察窓、6 ルツボ、7a 真空排
気系、7b 真空排気系、8a 不活性ガス導入系、8
b 不活性ガス導入系、9 副原料投入系、 10炭素
棒 、11溶湯サンプラーの治具、15 ラウンダー、
16 インゴットケース、a 大気遮断室
4仕切りバルブ、5観察窓、6 ルツボ、7a 真空排
気系、7b 真空排気系、8a 不活性ガス導入系、8
b 不活性ガス導入系、9 副原料投入系、 10炭素
棒 、11溶湯サンプラーの治具、15 ラウンダー、
16 インゴットケース、a 大気遮断室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 9/10 102 C22B 9/10 102 9/22 9/22 F27B 14/08 F27B 14/08 // C22C 38/00 302 C22C 38/00 302Z 38/12 38/12
Claims (6)
- 【請求項1】大気遮断室本体の上部に、対象溶解金属を
還元する炭素部材を降下及び上昇自在とする機構を有す
ることを特徴とする真空誘導溶解炉。 - 【請求項2】 予め溶解した、質量百分率(%)に基づいて
(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を含有す
るFe-Ni系合金の溶湯を真空誘導溶解炉中に装入し、溶
湯中の酸素を除去するため雰囲気中に酸素0.0003%未満
の不活性ガス雰囲気で圧力250HPa以下の雰囲気下で、炭
素部材を挿入接触し、ついで雰囲気圧を0.5HPa未満まで
減圧することにより非金属介在物などの不純物を生成さ
せることなく酸素0.006%以下、炭素0.01%以下にするこ
とを特徴とするFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。 - 【請求項3】 予め溶解する原料が、質量百分率(%)に基
づいて(以下、%と表記する)少なくとも、Ni:30〜50%を
含有するFe-Ni系合金の製造工程内もしくは部品加工後
に発生した酸素量が総量で0.1%以上含有する材料(以
下、返材と表記する)であることを特徴とする請求項1
記載の精錬方法。 - 【請求項4】挿入接触させる炭素部材の断面積が溶湯表
面積に対して0.3%〜1.0%で、挿入深さが溶湯深さに対し
て10%未満であることを特徴とする請求項1〜2記載の精
錬方法。 - 【請求項5】質量百分率(%)に基づいて(以下、%と表記
する)、Ni:30〜35%及びCo:2〜8%そしてMn:0.01〜0.5
%を含有し、さらにNb:0.01〜0.8%、Ta:0.01〜0.8%お
よびHf:0.01〜0.8%から選択された1種または2種以上を
合計で0.01〜0.8%含有し、残部Fe及び不可避的不純物
からなるFe-Ni系合金であることを特徴とする請求項1
〜3記載のFe-Ni系合金溶湯の精錬方法。 - 【請求項6】質量百分率(%)に基づいて(以下、%と表記
する) 、Ni:33〜37%及びMn:0.001〜0.1% 、またはC
o:0.01〜2%未満を含有し、さらにNb:0.01〜0.5%、T
a:0.01〜0.5%およびHf:0.01〜0.5%から選択された1種
または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有し、残部Fe及び
不可避的不純物からなるFe-Ni系合金であることを特徴
とする請求項1〜3記載のFe-Ni系合金溶湯の精錬方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001089124A JP2002285226A (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | 真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001089124A JP2002285226A (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | 真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002285226A true JP2002285226A (ja) | 2002-10-03 |
Family
ID=18944104
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001089124A Pending JP2002285226A (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | 真空誘導溶解炉及びそれを用いたFe−Ni系合金溶湯の精錬方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002285226A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102534124A (zh) * | 2012-02-29 | 2012-07-04 | 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 | 真空感应冶炼高氧含量钢的方法 |
CN113278810A (zh) * | 2021-04-15 | 2021-08-20 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 一种真空感应炉熔化期冶炼控制方法 |
-
2001
- 2001-03-27 JP JP2001089124A patent/JP2002285226A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102534124A (zh) * | 2012-02-29 | 2012-07-04 | 江苏省沙钢钢铁研究院有限公司 | 真空感应冶炼高氧含量钢的方法 |
CN113278810A (zh) * | 2021-04-15 | 2021-08-20 | 山西太钢不锈钢股份有限公司 | 一种真空感应炉熔化期冶炼控制方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060427 |