JP2007153151A - 乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造を簡素化することができる上、ドアの開閉によるインフレータへの入力を小さくできる乗員保護装置の提供。
【解決手段】車両側部のドア10に設けられ、車両衝突時に流体を送り出すインフレータ22とインフレータ22が送り出した流体によって膨張しドア10に設けられた窓15の内面を覆う膨張体21とを有するものであって、インフレータ22は、流体送出口39が形成された一端部を膨張体21内に直接挿入してなるとともに、ドア10における車体への取付部51側に設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ドアに設けられて窓の内面に沿って膨張体を膨張させる乗員保護装置に関する。
車両のドアに設けられる乗員保護装置として、ドアのインナパネルとその車室内側を覆うライニングとの間に配設された膨張体を窓の内面に沿って上方に展開させるドアマウント型の乗員保護装置がある。この種の乗員保護装置において、全長を短くするために、インフレータの流体送出口が形成された一端部を膨張体内に直接挿入するとともにインフレータを膨張体の真下に重ねて配置する構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−88884号公報(第0044欄、図12)
乗員保護装置において、膨張体は、車両衝突時に乗員の保護に必要な範囲を覆うことができるように配置されることになるため、上記のように、インフレータを膨張体の真下に重ねて配置する構造を採用した場合、膨張体の真下にあるインフレータが乗員の位置に重なってしまう可能性がある。一般的に、インフレータは剛体のハウジングを有していることから、上記のようにインフレータを膨張体の真下に重ねて配置する構造の場合には、車両衝突時に乗員をインフレータに対し保護するための衝撃吸収構造を設ける必要がある。しかも、インフレータの分は衝撃吸収代(ストローク)が減ってしまうために、高効率な衝撃吸収構造が必要になり、構造が複雑化してしまう。
さらに、上記のようにインフレータを膨張体の真下に重ねて配置する構造にすると、ドアの車体への取付部から離れた位置にインフレータが配置されることになるため、ドアの開閉によってインフレータに比較的大きな入力が発生する可能性があった。
したがって、本発明は、構造を簡素化することができる上、ドアの開閉によるインフレータへの入力を小さくできる乗員保護装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両側部のドア(例えば実施形態におけるドア10)に設けられ、車両衝突時に流体を送り出すインフレータ(例えば実施形態におけるインフレータ22)と該インフレータが送り出した流体によって膨張し前記ドアに設けられた窓(例えば実施形態における窓15)の内面を覆う膨張体(例えば実施形態におけるエアバッグ本体21)とを有する乗員保護装置(例えば実施形態におけるエアバッグ装置3)であって、前記インフレータは、流体送出口(例えば実施形態におけるガス送出口39)が形成された一端部を前記膨張体内に直接挿入してなるとともに、前記ドアにおける車体(例えば実施形態における車体2)への取付部(例えば実施形態におけるヒンジ51)側に設けられていることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記インフレータは、前記ドアの上部から中間部の間に設けられていることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記インフレータは、部分的に前記膨張体と上下に重なることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、インフレータが、ドアにおける車体への取付部側に設けられているため、インフレータの位置を乗員に対してずらすことができ、その結果、高効率な衝撃吸収構造でインフレータを覆う必要がなくなって、構造を簡素化することができる。また、インフレータが、流体送出口が形成された一端部を膨張体内に直接挿入しているため、車両衝突時にインフレータから膨脹部に直接流体を導入することができ、その結果、流体の抜けを防止できる。さらに、インフレータが、ドアにおける車体への取付部側に設けられているため、ドアの開閉によるインフレータへの入力を小さくできる。
請求項2に係る発明によれば、インフレータが、ドアの上部から中間部の間、つまり下部以外に設けられているため、他の車両の側突時にインフレータが受ける影響を小さくできる。
請求項3に係る発明によれば、インフレータが、部分的に膨張体と上下に重なって配置されるため、全体としてコンパクトになって収納性を高めることができる。
本発明の一実施形態の乗員保護装置を図面を参照して以下に説明する。
図1は、四輪の車両1を示すもので、この車両1は、ルーフが開閉可能または着脱可能なオープンルーフタイプとなっており、その車体2の側部に設けられたドア10に本実施形態の乗員保護装置としてのエアバッグ装置3が配設されている。
図2は、車両側部、具体的には車両右側のドア10の分解斜視図であり、図3は同組立図である。なお、以下においてはドア10が閉じられた状態をもって説明する。
ドア10は、車幅方向に対し略直交して配設される金属製のドア本体11と、ドア本体11内からドア本体11に沿って上方に延出する昇降可能なウインドウガラス12と、ドア本体11の車室内側を構成するインナパネル13のさらに車室内側を覆って車室内側の意匠面を構成するドアライニング14とを有しており、ドア本体11の上側が窓15とされ、この窓15をその一部を構成するウインドウガラス12の昇降で開閉させる。金属製のドア本体11はドア10の高剛性部である。
そして、ドアライニング14には、上縁部の所定範囲に、車両前後方向に長い長方形状をなすとともに下縁部を中心に揺動することで開く開閉部16が形成されており、この開閉部とドア本体11との間に本実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置3が配設されている。なお、このエアバッグ装置3の下部の車室内側を覆うように衝撃吸収部材であるリアクションプレート19が開閉部16の車室外側に設けられている。
エアバッグ装置3は、開閉部16の車室外側に配置されるエアバッグ本体(膨張体)21と、エアバッグ本体21の下部から車両前後方向前方に延出する略円筒状のインフレータ22とを有している。このエアバッグ装置3は、インフレータ22に取り付けられた前後二カ所の取付部材24の挿通穴25に挿通されるボルト26がインナパネル13の取付穴27に螺合されることで、インフレータ22がインナパネル13に固定されることになり、エアバッグ本体21のインフレータ22とは反対側の下部に設けられた取付片部28の挿通穴29に挿通されるボルト30がインナパネル13の取付穴31に螺合されることでエアバッグ本体21の下部がインナパネル13に固定されることになる。このようにインナパネル13へ取り付けられることでエアバッグ装置3は車両前後方向に沿う姿勢となる。
エアバッグ本体21は、布製で、車両衝突時にインフレータ22が送り出した高圧ガス(流体)によって膨張しドア10に設けられた窓15の内面を覆う。このエアバッグ本体21は、図4および図5に示すように、車室内側及び外側の基布33,34が、外周縁部において縫製されて袋状に形成されたもので、全体として車両前後方向に長い長方形状をなすとともに、下端部の車両前後方向の前端部には筒状をなして前方に開口する取付口部35が形成されている。つまり、基布33,34には下端縁から所定距離上側の前部所定範囲に切込部36が形成されており、切込部36により形成される縁部を基布33,34同士でU字状に縫い合わせ、さらに取付口部35の開口以外の基布33,34の外周縁部同士を縫い合わせることで、略筒状の取付口部35の開口以外が袋状に閉塞されたエアバッグ本体21が形成されることになる。
インフレータ22は、その外側部分が金属等の剛体からなる略有底円筒状の長尺のハウジング38を有しており、このハウジング38内に燃焼により高圧ガスを発生する推薬が充填されている。インフレータ22には、ハウジング38の開口側の一端部に、この推薬が発生させた高圧ガスを外部に送り出すガス送出口(流体送出口)39が形成されており、このガス送出口39にガスを案内するガイドパイプ40が連結されている。このようにガイドパイプ40が連結されたインフレータ22は、ガイドパイプ40が取付口部35からエアバッグ本体21内に全体として挿入され、しかもハウジング38のガス送出口39側の一部が取付口部35に挿入された状態で、取付口部35の全周を囲むように設けられた加締めバンド(クランプバンド)41が加締められることで、エアバッグ本体21に直接取り付けられる。この状態で、インフレータ22は、そのハウジング38のガス送出口39側の一部をエアバッグ本体21に対して車両前後方向にラップさせている。つまり、インフレータ22は、流体送出口39が形成された一端部をエアバッグ本体21内に直接挿入しており、しかも、部分的にエアバッグ本体21と上下に重なっている。
エアバッグ本体21は、図6に示すように、上側に順次積み重ねられるように折り畳まれ車両前後方向に沿う状態でドア10内に配設されており、インフレータ22が発生するガスで上方に膨張し、図3に示すようにドアライニング14の開閉部16を開きながら窓15のウインドウガラス12の内面を覆うように展開する。なお、エアバッグ本体21は、図4に示すように展開時に上下方向に延在するように筒状に膨張するセル43が車両前後方向に複数並設されるように、基布33,34同士が縫製、接着あるいはジャガード織り等の織り込みで接合されて、膨張しない非膨脹部44が各セル43の間となる位置に形成されることで全体として板状に膨張する。
ここで、上記したエアバッグ装置3をドア10に配設するときに、図7に示すように、インフレータ22がドア10の上半部の範囲であって、車両前後方向においては、通常乗員が着座する可能性のある部分の側部を除くように、ドア10と隣り合う図1に示すシート46がシートスライドによる最前位置にあるときにこのシート46に着席した乗員Hよりも前方となる位置であって、しかもインストルメントパネル47や車体側の左右のピラーを結ぶ図示略の補強部材等に干渉しない位置、具体的にはドア10の車両前後方向の前半部の範囲に配置される。これらの条件を満たすインフレータ22の配置位置を例示すると、例えば図7に示すハッチングで示す範囲Aとなる。これにより、インフレータ22は、ドア10における前半部つまり車体2への取付部であるヒンジ51側に設けられている。
上記したエアバッグ装置3は、車両衝突時に例えば所定以上の加速度が検出される等の展開条件が整うとインフレータ22が点火し、折り畳まれたエアバッグ本体21がインフレータ22が発生するガスで膨張する。すると、エアバッグ本体21は、上側に順次重ねられるように折り畳まれていたことから、ドアライニング14の開閉部16を開いて、図3に二点鎖線で示すように、ウインドウガラス12の後部から中間部を覆うように上方に展開する。
以上に述べた本実施形態によれば、インフレータ22が、ドア10の車体2への取付部であるヒンジ51の近傍に設けられているため、インフレータ22の位置を乗員Hに対してずらすことができ、その結果、リアクションプレートでインフレータ22を覆わなくても良く、インフレータ22よりも小径のガイドパイプ40をリアクションプレート19で覆えば済むことになる。したがって、衝撃吸収代を確保できるため、高効率な衝撃吸収構造ではなく簡素なリアクションプレート19を用いることができ、構造を簡素化することができる。
また、インフレータ22が、ガス送出口39が形成された一端部を布製のエアバッグ本体21内に直接挿入しているため、車両衝突時にインフレータ22からエアバッグ本体21に直接ガスを導入することができ、その結果、ガスの抜けを防止できる。
さらに、インフレータ22が、ドア10における車体2への取付部であるヒンジ51側に設けられているため、ドア10の開閉によるインフレータ22への入力を小さくできる。つまり、図8に、ヒンジ51から近い順に細実線G1、破線G2、一点鎖線G3、二点鎖線G4、太実線G5で示すように、ドア10には、ヒンジ51から離れるほど開閉時に大きな加速度が生じることになるが、インフレータ22が、ドア10の車体2への取付部であるヒンジ51側に設けられているため、ドア10の開閉によるインフレータ22への入力を小さくできる。
加えて、インフレータ22が、ドア10の上部から中間部の間、つまり下部以外に設けられているため、他の車両の側突時にインフレータ22が受ける影響を小さくできる。つまり、ドア10の下部は、車両衝突時の衝突物(相手車両のバンパ等)による入力があるため、ドア10の上部から中間部の間にインフレータ22を設けることで、他の車両の側突時にインフレータ22が受ける影響を小さくできる。
さらに、インフレータ22が、部分的にエアバッグ本体21と上下に重なって配置されるため、エアバッグ装置3の車両前後方向の長さを全体としてコンパクトにできて収納性を高めることができるとともに、エアバッグ本体21内に配置されるガイドパイプ40を短縮できる。
なお、上記したエアバッグ装置3をさらにコンパクトにして収納性を高めるために、図9に示すように、エアバッグ本体21のインフレータ22とは反対側の部分をインフレータ22側に折り畳んでも良く、エアバッグ本体21のインフレータ22側の取付口部35よりも上側部分を、取付口部35よりもさらにインフレータ22側にラップさせるようにしても良い。
本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置が適用された車両の後方から見た斜視図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置が適用されたドアの分解斜視図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置が適用されたドアの斜視図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置の側面図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置の図4におけるX−X線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置のエアバッグ本体を折り畳んだ状態を示す側面図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置の配置を概略的に示す側面図である。 ドアの開閉時に発生する加速度を示す特性線図である。 本発明の一実施形態の乗員保護装置であるエアバッグ装置の変形例を示す側面図である。
符号の説明
1 車両
2 車体
3 エアバッグ装置(乗員保護装置)
10 ドア
15 窓
21 エアバッグ本体(膨張体)
22 インフレータ
39 ガス送出口(流体送出口)
51 ヒンジ(取付部)

Claims (3)

  1. 車両側部のドアに設けられ、車両衝突時に流体を送り出すインフレータと該インフレータが送り出した流体によって膨張し前記ドアに設けられた窓の内面を覆う膨張体とを有する乗員保護装置であって、
    前記インフレータは、流体送出口が形成された一端部を前記膨張体内に直接挿入してなるとともに、前記ドアにおける車体への取付部側に設けられていることを特徴とする乗員保護装置。
  2. 前記インフレータは、前記ドアの上部から中間部の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  3. 前記インフレータは、部分的に前記膨張体と上下に重なることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員保護装置。
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