JP2007152246A - 浮上濃縮設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下方から供給される液中の溶存成分を空気の気泡によって酸化して、溶存成分を気泡の表面に固形物として析出させ、液中にすでに含まれていた固形物と共に気泡により上方へ浮上させて濃縮し、固形物の濃縮液を溢流口4から溢流管5,6を介して流出させて除去した後の非濃縮液を液吸込口7から排出して液中の固形物を濃縮除去する酸化塔1と、酸化塔1から流出される濃縮液が、内部に噴出する構造を有する貯槽2とを備えた浮上濃縮設備で、溢流口4が複数個設けられて液吸込口7より上方で酸化塔1の周辺近くに配置され、複数個の溢流口4のそれぞれに溢流管5が接続されている。
【選択図】図1
Description
この従来技術によれば、酸化塔1内に液吸込口7が配置され、その液吸込口7より上方に位置する状態で、ひとつの溢流口4が酸化塔1の周壁に設けられ、その溢流口4に溢流管5が接続されている。そして、その溢流管5は貯槽2に接続され、貯槽2には貯槽2内の濃縮液を撹拌するための撹拌機13が設けられている。
そして、貯槽2に関しては、貯槽2の底に固形物が沈降堆積するのを防止するため、濃縮液を撹拌するための撹拌機13が必要で、それが浮上濃縮設備のイニシャルコストとランニングコストのコスト高を招く一因となっていた。
そして、その複数個の溢流口のそれぞれに溢流管が接続されているので、溢流口から排出される濃縮液は、溢流口やその近傍に停滞して閉塞を起こすこともなく円滑に流動することになる。つまり、酸化塔の周囲に溢流堰とトラフを設けて濃縮液を排出させる場合であれば、トラフ内に濃縮液が停滞し固形物の沈下堆積によって閉塞を起こすおそれがあるが、そのような閉塞のおそれもなく、濃縮液を円滑に流動させて排出することができ、その結果、固形物の濃縮液を溢流口から効率良く迅速に排出することができ、固形物の回収率を向上させることができる。
したがって、溢流口と噴出口との高低差を十分に確保することができれば、電力などの駆動源を必要とせずに貯槽内の濃縮液を確実に撹拌することができ、たとえ高低差を十分に確保することができなくても、比較的小規模な撹拌機を設けるだけで済み、浮上濃縮設備のイニシャルコストとランニングコストの低廉化を図ることができる。
したがって、固形物の濃縮液が少量で、各溢流口からの排出が迅速に行われないような事態の発生が回避され、常に所望どおりに固形物を分離除去することができる。
この浮上濃縮設備は、硫化水素(H2S)を含む燃料ガスをアルカリ性の脱硫液と接触させて、アルカリ性の脱硫液の中に硫化水素を溶存成分として溶け込ませた後、脱硫液中の硫化水素を空気の気泡によって酸化し、その酸化により生成する固形物としての固形の硫黄(S)を気泡の表面に析出させ、脱硫液中にすでに含まれていた固形の硫黄と共に気泡により上方へ浮上させて分離除去するために使用される。
そのため、この浮上濃縮設備は、図1および図3に示すように、脱硫液中の硫化水素を空気によって酸化し、酸化により生成する固形の硫黄を浮上させて濃縮する円筒状の酸化塔1と、酸化塔1から流出される硫黄の濃縮液を貯留する円筒状の貯槽2を備えている。
さらに、酸化塔1の内部には、酸化塔1の平面視において、その中央部分に上方へ開口する液吸込口7が各溢流口4より下方に位置するように配置され、固形の硫黄の濃縮液を除去した後の非濃縮液が、液吸込口7からその液吸込口7に連通の吸込管8を介して酸化塔1から排出されるように構成されている。
したがって、溢流口4から第一と第二溢流管5,6を介して排出される濃縮液は、高低差によって各噴出口9から勢いよく噴出され、図4において矢印で示すように流動して、貯槽2内の濃縮液を水理撹拌することになる。
そして、貯槽2の下方と酸化塔1の上方とが搬送管10により接続され、ポンプ11の駆動によって貯槽2内の濃縮液が酸化塔1の上方へ搬送され、搬送管10の先端に設けられた散布装置12により、濃縮液が酸化塔1内へ上方から散布されるように構成されている。
その硫黄の濃縮液は、図2に示すように、溢流口4から第一溢流管5を介して排出除去され、濃縮液を除去した後の非濃縮液が、液吸込口7から吸込管8を介して排出されるのであるが、4つの溢流口4が酸化塔1の周壁にほぼ等間隔に設けられているので、硫黄の濃縮液は、液吸込口7の上方を横断することなく各溢流口4から排出される。したがって、硫黄の濃縮液が誤って液吸込口7へ吸込まれる可能性は少なく、硫黄の濃縮液は、各溢流口4から第一溢流管5を介して確実に排出される。
したがって、濃縮液混合用の特別な撹拌機を必要とせず、仮に撹拌機を設けるにしても、比較的小規模な撹拌機で済み、イニシャルコストとランニングコストの低廉化が可能となる。
つぎに、別の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の実施形態で説明した構成部品や同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として先の実施形態と異なる構成について説明する。
要するに、溢流口4の配置に関しては、酸化塔1の周辺近くに配置してあればよく、また、溢流口4の個数に関しても、これまでの実施形態で示した4つに限らずに複数個あればよく、酸化塔1の大きさや性能などに応じて適宜選択して実施することができる。
また、第一溢流管5を2本ずつ纏めて第二溢流管6に接続し、その2本の第二溢流管6の先端に噴出口9を設けた例を示したが、第二溢流管6の本数は任意であり、第一溢流管5の本数などに応じて適宜選択して実施することができ、さらに、第二溢流管6をなくし、第一溢流管5を貯槽2の内部に直接導入して、各第一溢流管5の先端に噴出口9を設けて実施することもできる。その場合、第一溢流管5または第二溢流管6は、先の実施形態のように貯槽2の周部側壁を貫通させず、貯槽2の天井壁を貫通させて貯槽2の内部に導入することもできる。
また、液中に含まれる溶存成分の一例として硫化水素を示したが、溶存成分としては、特に硫化水素に限られるものではなく、例えば、鉄などのような液に対して溶解性を有する金属についても適用可能であり、その場合には、気泡の表面に酸化鉄を析出させて濃縮除去することになる。
2 貯槽
4 溢流口
5,6 溢流管
7 液吸込口
9 噴出口
10 搬送管
12 散布装置
Claims (7)
- 下方から供給される液中の溶存成分を空気の気泡によって酸化して、その溶存成分を気泡の表面に固形物として析出させ、前記液中にすでに含まれていた固形物と共に気泡により上方へ浮上させて濃縮し、その浮上させた固形物の濃縮液を溢流口から溢流管を介して流出させて除去し、その濃縮液を除去した後の非濃縮液を液吸込口から排出して液中の固形物を濃縮除去する酸化塔と、その酸化塔から前記溢流管を介して流出される前記濃縮液が、内部に噴出する構造を有する貯槽とを備えた浮上濃縮設備であって、
前記溢流口が複数個設けられて前記液吸込口より上方で前記酸化塔の周辺近くに配置され、前記複数個の溢流口のそれぞれに前記溢流管が接続されている浮上濃縮設備。 - 前記溢流口が前記酸化塔の周壁に設けられている請求項1に記載の浮上濃縮設備。
- 前記溢流口が、前記酸化塔の内部に導入された前記溢流管の先端に設けられている請求項1に記載の浮上濃縮設備。
- 前記濃縮液を斜め下方に噴出する複数個の噴出口が、前記貯槽の内部に導入された複数本の前記溢流管の先端に設けられ、その複数個の噴出口が前記溢流口より下方に配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の浮上濃縮設備。
- 前記複数個の噴出口が、それら噴出口から噴出される濃縮液によって、前記貯槽の平面視において貯槽の中心周りに旋回する濃縮液の撹拌旋回流を生じさせるように偏心して配置されている請求項4に記載の浮上濃縮設備。
- 前記貯槽内の濃縮液を前記酸化塔の上方へ搬送する搬送管が設けられ、その搬送管の先端に設けられた散布装置により前記貯槽内の濃縮液を前記酸化塔内へ上方から散布するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の浮上濃縮設備。
- 前記液が燃料ガスに含まれる硫化水素を吸収して溶存成分とする脱硫液であり、前記固形物が硫化水素の酸化によって気泡の表面に析出する硫黄であって、前記脱硫液から硫黄を浮上濃縮する請求項1〜6のいずれか1項に記載の浮上濃縮設備。
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