JP2007150286A - 荷電粒子ビーム描画方法、荷電粒子ビーム描画装置、位置ずれ量計測方法及び位置計測装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画方法は、自重の影響を排除した場合の基板裏面の3次元形状を計測する裏面形状計測工程(S102)と、基板裏面を平面に矯正した場合における位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算工程(S108)と、位置ずれ量を補正するための近似式の第1の係数を演算する係数演算工程(S110)と、基板裏面を平面に矯正しない場合の近似式の第2の係数に第1の係数を加算する加算工程(S112)と、加算された結果得られた第3の係数の近似式によって補正した位置に描画する描画工程(S114)と、を備えたことを特徴とする。本発明によれば、静電チャックを用いなくとも静電チャックを用いた場合の位置に描画位置を補正することができる。
【選択図】 図1
Description
そのため、使用される原画マスクも従来のように透過光を通すために周辺を3点または4点で保持するというような方式ではなくて、裏面のほとんどを平面でチャックすることが提案されている。さらに光の減衰を考慮して、システムそのものが真空チャンバー内に設置されるため、EUV用のマスクの固定には静電チャックの使用を前提としている。
そして、露光される基板及び静電チャック自体が、SEMI規格で規定されているように厳しく仕様が定義されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
可変成形型電子線描画装置(EB(Electron beam)描画装置)における第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形例えば長方形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向。そして、第2のアパーチャ420の可変成形開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340に照射される。すなわち、開口411と可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、ステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式という。
自重の影響を排除した場合の基板裏面の3次元形状を計測する裏面形状計測工程と、
かかる基板裏面の3次元形状に基づいて、基板裏面を平面に矯正した場合における基板の表面にパターンを描画した場合のパターンの第1の位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算工程と、
第1の位置ずれ量に基づいて、第1の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第1の近似式の第1の係数を演算する係数演算工程と、
基板裏面を平面に矯正せずに基板の表面にパターンを描画した場合のパターンの第2の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第2の近似式の第2の係数を用いて、第2の係数に第1の係数を加算する加算工程と、
加算された結果得られた第3の係数を用いた位置ずれ補正量を示す第3の近似式によって得られる位置ずれ補正量と第2の近似式によって得られる位置ずれ補正量との一方に基づいて、荷電粒子ビームを用いて基板の表面にパターンを描画する描画工程と、
を備えたことを特徴とする。
荷電粒子ビームを用いて基板の表面にパターンを描画する荷電粒子ビーム描画装置において、
自重の影響を排除して計測された基板裏面の3次元形状の情報を入力し、基板裏面の3次元形状の情報に基づいて、基板裏面を平面に矯正した場合における基板の表面にパターンを描画した場合のパターンの第1の位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算部と、
第1の位置ずれ量に基づいて、第1の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第1の近似式の第1の係数を演算する係数演算部と、
基板裏面を平面に矯正せずに基板の表面にパターンを描画した場合のパターンの第2の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第2の近似式の第2の係数を用いて、第2の係数に第1の係数を加算する加算部と、
加算された結果得られた第3の係数を用いた位置ずれ補正量を示す第3の近似式によって得られる位置ずれ補正量と前記第2の近似式によって得られる位置ずれ補正量との一方に基づいて、荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
を備えたことを特徴とする。
加算部は、記憶装置から第2の係数を読み出して第1の係数に加算すると好適である。
荷電粒子ビームを用いて基板の表面にパターンを描画する荷電粒子ビーム描画装置において、
基板を配置するステージと、
ステージ上に配置され、基板表面の高さ基準となる基準面を有する基準部材と、
基準面と基板表面との高さを測定するセンサと、
基板の表面にパターンを描画した場合に、基板表面の高さを基準面と同位置に矯正した際に生じるパターンの位置ずれ量を基準面と基板表面との高さの差分に基づいて演算する位置ずれ量演算部と、
位置ずれ量に基づいて、位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す近似式の係数を演算する係数演算部と、
近似式によって得られる位置ずれ補正量を補正した位置に前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
を備えたことを特徴とする。
自重の影響を排除した場合の基板裏面の3次元形状を計測する裏面形状計測工程と、
基板裏面の3次元形状に基づいて、基板裏面を平面に矯正した場合における基板の表面にパターンを描画した場合に予測されるパターンの位置ずれ量が補正されて描画された第1のパターンを用いて、基板裏面を静電チャックして第1のパターンの位置ずれ量を計測する第1の位置ずれ量計測工程と、
基板裏面を平面に矯正せずに基板の表面にパターンを描画した場合に予測されるパターンの位置ずれ量が補正されて描画された第2のパターンを用いて、基板裏面を3点支持して第2のパターンの位置ずれ量を計測する第2の位置ずれ量計測工程と、
を備えたことを特徴とする。
基板を3点支持する3点支持部材と、基板を静電チャックする静電チャック部材とを配置する配置部と、
配置部に配置された3点支持部材と静電チャック部材との一方を載置するステージと、
ステージ上に静電チャック部材が載置された状態で、静電チャック部材に電圧を印加するアンプと、
ステージ上に載置された3点支持部材に支持された基板に形成されたパターンの位置と静電チャック部材に静電チャックされた基板上に形成されたパターンの位置とを認識する認識部と、
を備えたことを特徴とする。
描画装置で描画されたパターン位置を計測する場合には、3点支持部材に基板を支持すると好適である。
実施の形態1では、EUVマスクを描画する際に、描画JOB登録前に予めEUVマスク基板裏面の3次元形状をマスク自重の影響を排除して、平面度測定器により基板に固有な裏面の形状のみを測定する。さらに、測定に際しては描画装置に組み込み不可能な干渉計を使った高精度な計測装置を利用することで、精度良くマスク裏面の形状を計測する。
図1において、電子ビーム描画方法は、裏面形状計測工程(S102)と、近時演算工程(S104)と、傾き演算工程(S106)と、位置ずれ量演算工程(S108)と、係数演算工程(S110)と、加算工程(S112)と、描画工程(S114)という一連の工程を実施する。
図2において、荷電粒子ビーム描画装置の一例である可変成形型EB描画装置100は、描画部150を構成する電子鏡筒102、描画室103、XYステージ105、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、偏向器208を備え、制御部として、描画データ処理回路322、偏向制御回路320、計算機450、メモリ462、メモリ324、磁気ディスク装置の一例となるハードディスク(HD)装置326を備えている。描画データ処理回路322には、偏向制御回路320、計算機450、メモリ324、磁HD装置326が接続される。また、計算機450には、メモリ462が接続される。HD装置326には、近似式(第2の近似式)の係数(第2の係数)がデフォルト値328として格納されている。この近似式は、マスク基板である試料101の自重によるたわみによる変形によって生じるパターン描画した際の位置ずれやXYステージ105の走りや図示していない位置測長用のミラー誤差等のシステムがもつ座標系固有の位置ずれを補正する位置ずれ補正量を示す。
図3に示すように、XYステージ105上では、クランプ210により基板となる試料101の3箇所をクランプして挟み保持している。
図4は、実施の形態1における基板保持の状態の一例を示す断面概念図である。
クランプ210は、上面基準片212とクランプピン214を備えている。そして、試料101の表面側から上面基準片212で、試料101の裏面側からクランプピン214で同一軸を上下から点接触でクランプして挟む構造になっている。試料101を3箇所でクランプすることにより基板との接触が限定された最小限の箇所で済み、静電チャックのようなパーティクルの集塵を防ぐことができる。よって、クランプ点のクリーン度を維持することができる。また、基板裏面において3点で保持することで、静電チャックのように面で保持する場合に比べ、基板裏面の誤差の影響を受けにくくすることができる。その結果、誤差が小さく再現性に優れている。
S(ステップ)102において、裏面形状計測工程として、可変成形型EB描画装置100の外部にある平面度測定器500を用いて、基板裏面の3次元形状を計測する。その際、自重の影響を排除した場合の試料101となる基板裏面の3次元形状を計測する。
まず描画JOB登録前に基板裏面の3次元形状を測定するには、例えば、図5に示されるような試料101となる基板を縦にした状態で基台520に載置する。そして、干渉原理を使用して干渉計510を用いて対向する面全体を計測する。干渉原理を使用することで高精度に計測することが可能である。これにより、マスク基板の自重の影響を排除して、基板に固有な裏面の形状のみを再現性良く測定することが可能となる。
図6に示すように、基板裏面は、自重によるたわみだけではなく、表面を磨く加工の不完全さによる固有の形状を有することがわかる。
図7では、図6で示した基板裏面の3次元形状分布を4次の多項式でフィッティングして、さらに直交するXとYについてそれぞれ偏微分することで、X方向とY方向とにおける局所的な傾きの分布が得られることを示している。
図8では、局所的な部分を取り出して説明する。試料101となる基板の厚さをTとして伸び縮みのない中立面を基板の中央の面とする。このとき、傾き演算部454により局所的な傾きθが得られた場合、裏面を静電チャックでチャックする場合のように裏面を平面に矯正すると基板表面ではその分の位置ずれδ(x,y)が生じることになる。ただし、マスクが静電チャックに密着する場合には、マスクと静電チャックとの間の摩擦力が発生する。そのため、中立面が基板の中央ではなく、力の釣り合いから静電チャック面側にずれる可能性がある。その場合に、局所的な傾きΔθに、基板の厚さTと比例係数kを掛け合わせる。これにより、マスク表面でのパターン位置ずれ量δを求めることができる。このようにして、試料101となる基板の表面にパターンを描画した場合のパターンの位置ずれ量の分布を得ることができる。
図9に示すように、上述した演算により基板に固有な裏面の形状のみから生じる基板表面のパターン位置ずれ量の分布を得ることができる。
図11は、実施の形態1における位置ずれ補正を行なって描画されたEUV用マスクのパターン位置分布の一例を示す図である。
図12は、図10に示す分布と図11に示す分布とを差分した分布を示す図である。
図12に示すように、分布が広がり或いは狭まるといった変形を示さず正方形に近い形になっていることから図10に示す予測した位置ずれ補正量が合っており、実施の形態1における位置ずれ補正が有効であることがわかる。
実施の形態1では、EUVマスク描画時に基板裏面の3次元形状情報を元に高精度なパターンの位置ずれ補正を再現性良く実施可能なマスク描画装置を説明した。そして、かかる描画装置で描画されたマスクパターンの位置精度及び描画されたマスクから得られるマスク描画装置の描画性能を評価する際には、基板の保持方式として静電チャックおよび3点支持方式とを選択可能な位置精度評価装置を使用する。実施の形態2では、かかる静電チャックと3点支持方式とを選択可能な位置計測装置について説明する。
図13において、位置計測装置600は、筐体602、パターン位置認識部610、ステージ620、位置制御系622、定盤630、搬送ロボット640、配置部の一例となるホルダ650、ロボット制御回路646、計算機660、メモリ662、静電チャック用アンプ672、ステージ制御回路674を備えている。筐体602内には、CCDカメラ等のパターン位置認識部610、ステージ620、位置制御系622、定盤630、搬送ロボット640、ホルダ650が配置されている。計算機660には、ロボット制御回路646、メモリ662、静電チャック用アンプ672、ステージ制御回路674が接続され、計算機660に制御されている。
図14は、実施の形態2におけるテストマスクの一例を示す図である。
まず、裏面形状計測工程として、実施の形態1で説明したように、平面度測定器500を用いて自重の影響を排除した場合の試料101となる基板裏面の3次元形状を計測する。
図15に示すように、3点支持部材220には、3つの支持ピン222が配置されている。そして、かかる3つの支持ピン222で試料101の裏面を支持する。支持ピン222をルビーやサファイヤといった硬い材料で構成することで試料101を載置した場合の支持ピン222の変形を抑制することができる。その結果、誤差が小さく再現性に優れている。
図16は、静電チャック部材の構成の一例を示す概念図である。
図16に示すように、静電チャック部材230は、試料101の外周部を除く裏面全面を吸着するように吸着面が形成されている。吸着面の仕様は、上述したようにSEMI規格に規定されている。
ここで、テストマスクは、複数用意して静電チャック部材230上に載置したセットと3点支持部材220上に載置したセットとを予めホルダ650に格納しておいてもよい。或いは、1枚のテストマスクを使って、静電チャック部材230上に載置したり3点支持部材220上に載置し直したりして計測しても構わない。
実施の形態2では、基板裏面の3次元形状情報を元に高精度なパターンの位置ずれ補正を再現性良く実施可能なマスク描画装置で描画されたマスクパターンの位置精度及び描画されたマスクから得られるマスク描画装置の描画性能を評価する場合に、少なくとも2種類のテストパターン郡を有したテストマスクを用意した。そして、一方は、描画JOB登録前に基板裏面の3次元形状をマスク自重の影響を排除してかつ描画装置に具備されていない計測装置で計測する。そして、前記基板固有の裏面形状情報を元にパターンの位置ずれ量を算出する。そして、描画登録時に基板固有のパラメータの一つとして読み込む。これらによって位置ずれ量が補正されているテストパターン郡とした。そして、他方は、前記裏面形状に基づく位置ずれを補正しない通常の光マスクとして描画されるテストパターン郡とした。この例におけるパターンでは、周囲の8つのパターン郡それぞれに異なるパラメータを与えることが可能である。さらに、それら8つのパターン郡においても、条件を変えて描画するには、条件の種類別に分けて描画をすれば良い。そして、補正パターン714のテストパターン郡を評価する際は静電チャックで基板を保持した状態で位置精度を評価した。そして、補正なしパターン712のテストパターン郡を評価する際は3点支持方式で基板を保持した状態で位置精度を評価した。実施の形態3では、両方のパターン郡を3点支持方式の基板保持方法を採用した位置精度評価装置にて評価する。装置構成やテストマスクの構成は、実施の形態2と同様で構わないため、説明を省略する。
実施の形態4では、実施の形態1とは一部が異なる描画装置或いは描画方法について説明する。実施の形態4では、EUVマスクを描画する場合に、描画JOB登録前に基板裏面の3次元形状をマスク自重の影響を排除してかつ描画装置に具備されていない計測装置で計測する点は実施の形態1と同様である。ここで、それとは別に予め使用される静電チャックの3次元形状データをパラメータとして有しておく。そして、マスクが使用される静電チャックの3次元形状データから、静電チャックに基板が保持されたときの基板表面のパターン位置ずれ量を、基板裏面の3次元形状情報と静電チャックの3次元形状情報との差分から算出する。そして、描画登録時にかかる位置ずれ量を基板固有のパラメータの一つとして読み込んで位置ずれ量を補正する。そして、基板の保持手法については、既に確立された技術として再現性良く基板を保持することが可能な、機械的な3点保持方式を使用する。以下、図面を用いて具体的に説明する。
図17において、電子ビーム描画方法は、裏面形状計測工程(S102)と、差分演算工程(S103)と、近時演算工程(S104)と、傾き演算工程(S106)と、位置ずれ量演算工程(S108)と、係数演算工程(S110)と、加算工程(S112)と、描画工程(S114)という一連の工程を実施する。差分演算工程(S103)が追加された点以外は図1と同様である。
図18に示す可変成形型EB描画装置100において、計算機450内に差分演算部451が追加された点と計算機450に静電チャック面形状分布データ232が入力される点以外は、図2と同様である。
S102において、裏面形状計測工程として、可変成形型EB描画装置100の外部にある平面度測定器500を用いて、自重の影響を排除した場合の試料101となる基板裏面の3次元形状を計測する。この工程は実施の形態1と同様である。
図19において、試料101は、自重の影響を排除してもそれ以外の基板固有の変形が裏面に生じていることは上述した通りである。また、試料101を識別するための識別マーク234を設けておく。識別マーク234を設ける位置は、側面に限るものではなく、本来のマスク描画パターンとは無関係な領域に設けてあれば構わない。
図20に示すように、理想的な平面に形成されたチャック面をもつ静電チャックに保持された場合、試料101の裏面形状の変形に基づいて基板表面が変形する。実施の形態1では、かかる理想的な平面に形成されたチャック面をもつ静電チャックに保持される場合を想定した位置ずれ補正を行なっていた。実施の形態4では、さらに踏み込んで、静電チャックのチャック面の形状をも考慮する場合を説明する。
図22は、図21に示すチャック面をもつ静電チャックに保持された試料の断面の一部を示す概念図である。
図21に示すように、静電チャック部材230のチャック面は、必ずしも理想的な平面に形成されているとは限らない。かかる静電チャック部材230のチャック面で試料101がチャックされると図22に示すように、静電チャック部材230のチャック面の形状の影響を試料101となる基板の表面が受けることになる。
EUV用マスクは、露光装置で保持する時は静電チャックが使用され、静電チャックもマスクと同等のフラットネスが必要となる。上述した”SEMI P40−1103”の”Table 1”では、50nm以下のフラットネスがマスクブランクス全面で必要となると規定している。上述した実施の形態1及び実施の形態4では、EUV用マスクのブランクスとなる試料101の平面及び裏面の平面精度が不十分である場合について説明した。ここで、描画で使用されるEUV用マスクブランクスの仕様のうち、”SEMI P37−1102”の”Table 4”で示す例えば”Class D”に相当するような30nm以下のフラットネスを有し、かつ基板の厚さムラも30nm以下であるような基板には、表面及び裏面は理想平面とみなすことが可能である。現在、”SEMI P37−1102”の仕様では、”Wedge”として100μmの傾きを基板として許容している。しかし、近年厚さムラを小さくする必要があるとの議論もある。マスクブランクスの厚さムラが非常に小さい場合には、マスクブランクス表面と裏面とは平行平面とみなすことができる。このように、例えば、フラットネスと厚さムラとが30nm以下であるような場合、使用されるEUV用マスクのブランクスの表面形状を計測することで、裏面の変形量と変形によるパターンの変形量を計算することが可能である。そこで、実施の形態5では、このような平行平面とみなされる基板を用いて、3点支持における表面形状を計測してその結果を使って描画する手法について説明する。
図23において、電子ビーム描画方法は、表面高さ計測工程(S202)と、差分演算工程(S203)と、近時演算工程(S204)と、傾き演算工程(S206)と、位置ずれ量演算工程(S208)と、係数演算工程(S210)と、加算工程(S212)と、描画工程(S214)という一連の工程を実施する。
図24において、描画部150は、図2の構成の他に、さらに、基準チップ270、クランプ240、段差部材280、マーク台250、投光器262、受光器264を有している。そして、制御部として、計算機450内では、表面高さ計測部470、差分演算部471、近時演算部472、傾き演算部474、位置ずれ量演算部476、係数演算部478、加算部480といった各機能を有している。その他は、図2の構成と同様である。マーク台250は、XYステージ105上に配置される。そして、マーク台250上には、クランプ240で保持された基準部材の一例となる基準チップ270が配置される。また、マーク台250上では、基準チップ270の近傍に段差部材280が配置される。また、投光器262と受光器264は、描画室103の上面付近に電子鏡筒102を挟むように配置される。受光器264には、例えば、PSD(Position Sensitive Detector)が搭載されると好適である。そして、投光器262から照射されたレーザ光266を基板となる試料101、基準チップ270、或いは段差部材280に当てる。そして、反射されたレーザ光266を受光器264で受光して、Z方向(高さ方向)の位置を計測する。受光器264は、反射した光を拡大してPSDに導く。このように、投光器262と受光器264とにより、電子ビーム200が偏向照射される付近のマスクブランクス等の試料101の表面の高さを非接触に計測可能な光てこ式の計測センサを構成する。
クランプ240は、上面基準片242と支持部材244を備えている。そして、基準チップ270の表面側から上面基準片242で、基準チップ270の裏面側から支持部材244で同一軸を上下から点接触でクランプして挟む構造になっている。支持部材244がばね材により構成されているため、上面基準片242を持ち上げることなく基準チップ270を挟み固定することができる。よって、基準チップ270の表面側の高さ位置を所望する高さ位置に精度良く合わせることができる。また、段差部材280は、上面側に互いに高さ位置が異なる複数の面を有している。例えば、図25に示すように、3つの平面282,284,286が記載されている。これら3つの平面282,284,286によって段差が形成されている。段差部材280は、電子ビームの近傍に配置されるため導電性を有する金属で製作されるか、表面に例えば金メッキなどが施された材料により形成される。
図26に示すように、基準チップ270は、シリコン基板(シリコンウェハ)から切り出されたチップで構成される。例えば、10〜14mm角のチップで構成される。基準チップ270には、パターン領域272とパターン無し領域274とふちの領域276を有している。パターン領域272には、描画装置100がキャリブレーション等を行なう際に使用するマークがパターンとして形成される。元の基板であるシリコンウェハに対して例えばタングステン(W)やタンタル(Ta)などの重金属でパターンを設けると良い。これにより、このマークパターンを電子ビーム200でスキャンすることにより2次元プロファイルとして良好なコントラストを持って反射電子や2次電子の測定データを得ることができる。このマークパターンの2次元プロファイルを元に電子ビーム200の位置座標をXYステージ105の位置の位置座標基準とすることができる。XYステージ105の位置は、図示していないレーザ干渉計等の位置計測手段により測定される。枠状のふちの領域276は、基準チップ270をクランプ240で挟み固定する領域となる。その他の領域には、矩形パターン等のパターンが別途形成されていてもよい。
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
104 アライメントチャンバ
105 XYステージ
150 描画部
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203,410 第1のアパーチャ
204 投影レンズ
205,208 偏向器
206,420 第2のアパーチャ
207 対物レンズ
210 クランプ
212 上面基準片
214 クランプピン
220 3点支持部材
222 支持ピン
230 静電チャック部材
232 静電チャック面形状分布データ
234 識別マーク
320 偏向制御回路
322 描画データ処理回路
324,462 メモリ
326 HD装置
328 デフォルト値
330 電子線
411 開口
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース
450 計算機
451 差分演算部
452 近時演算部
454 傾き演算部
456 位置ずれ量演算部
458 係数演算部
460 加算部
500 平面度測定器
510 干渉計
520 基台
600 位置計測装置
602 筐体
610 パターン位置認識部
620 ステージ
622 位置制御系
630 定盤
640 搬送ロボット
642 ハンド
644 本体
646 ロボット制御回路
650 ホルダ
660 計算機
662 メモリ
672 アンプ
674 ステージ制御回路
710,712,714 パターン
Claims (10)
- 自重の影響を排除した場合の基板裏面の3次元形状を計測する裏面形状計測工程と、
前記基板裏面の3次元形状に基づいて、前記基板裏面を平面に矯正した場合における前記基板の表面にパターンを描画した場合の前記パターンの第1の位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算工程と、
前記第1の位置ずれ量に基づいて、前記第1の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第1の近似式の第1の係数を演算する係数演算工程と、
前記基板裏面を平面に矯正せずに前記基板の表面に前記パターンを描画した場合の前記パターンの第2の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第2の近似式の第2の係数を用いて、前記第2の係数に前記第1の係数を加算する加算工程と、
加算された結果得られた第3の係数を用いた位置ずれ補正量を示す第3の近似式によって得られる位置ずれ補正量と前記第2の近似式によって得られる位置ずれ補正量との一方に基づいて、荷電粒子ビームを用いて前記基板の表面に前記パターンを描画する描画工程と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。 - 前記基板が極端紫外露光に用いるマスク用の基板の場合に前記第3の近似式によって得られる位置ずれ補正量に基づいて描画し、前記基板が前記マスク用の基板でない場合に前記第2の近似式によって得られる位置ずれ補正量に基づいて描画することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 前記荷電粒子ビーム描画方法は、さらに、
位置計測装置と露光装置のいずれかで使用する静電チャック部材のチャック面形状の高さ分布の値を入力し、前記基板裏面の3次元形状における高さ分布の値と前記チャック面の高さ方向の値との差分値を演算し、
前記差分値を前記基板裏面の3次元形状における基準の高さ分布データとして、前記第1の位置ずれ量を演算することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。 - 前記基板を縦に配置した状態で干渉計を用いて前記基板裏面の3次元形状を計測することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 荷電粒子ビームを用いて基板の表面にパターンを描画する荷電粒子ビーム描画装置において、
自重の影響を排除して計測された基板裏面の3次元形状の情報を入力し、前記基板裏面の3次元形状の情報に基づいて、前記基板裏面を平面に矯正した場合における前記基板の表面にパターンを描画した場合の前記パターンの第1の位置ずれ量を演算する位置ずれ量演算部と、
前記第1の位置ずれ量に基づいて、前記第1の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第1の近似式の第1の係数を演算する係数演算部と、
前記基板裏面を平面に矯正せずに前記基板の表面に前記パターンを描画した場合の前記パターンの第2の位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す第2の近似式の第2の係数を用いて、前記第2の係数に前記第1の係数を加算する加算部と、
加算された結果得られた第3の係数を用いた位置ずれ補正量を示す第3の近似式によって得られる位置ずれ補正量と前記第2の近似式によって得られる位置ずれ補正量との一方に基づいて、前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。 - 荷電粒子ビームを用いて基板の表面にパターンを描画する荷電粒子ビーム描画装置において、
前記基板を配置するステージと、
前記ステージ上に配置され、前記基板表面の高さ基準となる基準面を有する基準部材と、
前記基準面と前記基板表面との高さを測定するセンサと、
前記基板の表面にパターンを描画した場合に、前記基板表面の高さを前記基準面と同位置に矯正した際に生じる前記パターンの位置ずれ量を前記基準面と前記基板表面との高さの差分に基づいて演算する位置ずれ量演算部と、
前記位置ずれ量に基づいて、前記位置ずれ量を補正するための位置ずれ補正量を示す近似式の係数を演算する係数演算部と、
前記近似式によって得られる位置ずれ補正量を補正した位置に前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。 - 前記荷電粒子ビーム描画装置は、さらに、前記基準部材の近傍に配置され、互いに高さが異なる複数の面を有する段差部材を備え、
前記センサは、前記複数の面を用いてゲイン調整されることを特徴とする請求項6記載の荷電粒子ビーム描画装置。 - 前記複数の面には、高さを測定するセンサに使用される光に対して50%以上の反射防止効果を有する膜がコーティングされていることを特徴とする請求項7記載の荷電粒子ビーム描画装置。
- 自重の影響を排除した場合の基板裏面の3次元形状を計測する裏面形状計測工程と、
前記基板裏面の3次元形状に基づいて、前記基板裏面を平面に矯正した場合における前記基板の表面にパターンを描画した場合に予測される前記パターンの位置ずれ量が補正されて描画された第1のパターンを用いて、前記基板裏面を静電チャックして前記第1のパターンの位置ずれ量を計測する第1の位置ずれ量計測工程と、
基板裏面を平面に矯正せずに前記基板の表面にパターンを描画した場合に予測される前記パターンの位置ずれ量が補正されて描画された第2のパターンを用いて、前記基板裏面を3点支持して前記第2のパターンの位置ずれ量を計測する第2の位置ずれ量計測工程と、
を備えたことを特徴とする位置ずれ量計測方法。 - 基板を3点支持する3点支持部材と、基板を静電チャックする静電チャック部材とを配置する配置部と、
前記配置部に配置された3点支持部材と静電チャック部材との一方を載置するステージと、
前記ステージ上に前記静電チャック部材が載置された状態で、前記静電チャック部材に電圧を印加するアンプと、
前記ステージ上に載置された3点支持部材に支持された基板に形成されたパターンの位置と静電チャック部材に静電チャックされた基板上に形成されたパターンの位置とを認識する認識部と、
を備えたことを特徴とする位置計測装置。
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