JP3969640B2 - 荷電粒子ビーム描画装置およびそれを用いた描画方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム描画装置およびそれを用いた描画方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ビームやイオンビーム等を用いた荷電粒子ビーム描画装置およびそれを用いた描画方法の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子ビームやイオンビーム等を用いた荷電粒子ビーム描画装置は、半導体素子など様々な素子を作製するために、各種基板の上に所望の微細パターンを形成することを目的として、広く用いられている。特に、数ナノメータから数十ナノメータの大きさの任意のパターンを形成する適当な手段が他にないため、電子ビームをなるべく小さいスポットに収束させて描画を行うポイントビーム型電子ビーム描画装置は、ナノメータサイズの構造を有するデバイスを作製することを目的に、重要視されている技術である。
【0003】
形成する微細パターンの大きさや位置の精度を高く保つためには、照射する荷電粒子ビームを試料(基板)表面で精度良く収束または結像させることが重要である。そのために、荷電粒子ビームが進行・収束する方向についての試料表面の位置(高さ)を高精度に測定することが重要である。
【0004】
市販されている荷電粒子ビーム描画装置の多くについては、試料表面で荷電粒子ビームが収束する角度が、数mradから十mrad程度である。また、ポイントビーム型の荷電粒子ビームでは、収束位置からの高さのずれに応じて荷電粒子ビームの径が大きくなり、その径の増大分Δdは概ね高さのずれΔhおよび前記のビームの収束角αを用いて、
Figure 0003969640
となる。ここで、dは、最も収束した高さでのビーム径である。よって、収束位置で数nmの径となる荷電粒子ビームを、0.5〜1nm以下に径の増大を抑えた状態で、試料に照射するためには、1/10〜1μmの精度で試料表面の高さを測定する必要がある。
【0005】
しかし、実際に荷電粒子ビーム描画装置で用いられている高さセンサは、1μm程度かそれ以上の誤差がある。その理由は、以下に詳しく述べるが、簡単にいうと、光てこ型の高さセンサを用いた際に、高さ測定用の光に対する試料の反射率が低かったり、試料に既に形成されているパターンに反射率のばらつきがあったり、光の収束位置が、想定されている条件からずれていたり、試料が傾いていたりすることが誤差の原因となる。また、荷電粒子ビームを収束させる収束レンズ部との兼ね合いで、高さセンサの配置が制限され、十分な性能の高さセンサが使用できないことも、十分な精度で試料の高さ測定ができない理由である。
【0006】
従来の荷電粒子ビーム描画装置の大まかな構成と動作は、例えば、電子・イオンビームハンドブック第3版(日本学術振興会第132委員会編、日刊工業新聞社刊、1998年)519頁から547頁に説明されている。従来の試料表面の高さ測定を行う部分の構成と作用を分かりやすく説明するために、以下に従来の荷電粒子ビーム描画装置の例の構成と動作を示す。
【0007】
従来の荷電粒子ビーム描画装置の構成と作用の例を、図8を用いて説明する。図8は、従来の荷電粒子ビーム描画装置の構成の例を示した図である。図8の201は荷電粒子ビーム源部、202は荷電粒子ビーム201Aを偏向させる偏向部、203は荷電粒子ビーム201Aを収束させる収束レンズ部、204は試料301の表面の高さ(荷電粒子ビームが進行する方向または試料301の表面に垂直な方向に沿った位置)を測定する光てこ型の高さセンサ部、205は試料301を保持・移動するステージ部である。なお、201Aは荷電粒子ビーム、204Aは試料301の高さを測定するために高さセンサ部204から試料301に照射される光である。
【0008】
また、高さセンサ部204の詳細を図9に示す。図9は高さセンサ部204の構成、および試料301の高さを測定する作用を説明するための図である。図9の204Aはレーザ発信器、204Bおよび204Cはレンズ、204Dおよび204Eは光検出器、204Fは加算器、204Gは減算器、204Hは除算器、204Iはアンプである。206Aおよび206Bはステージ部205に取り付けられている標準高さマークである。
【0009】
次に、荷電粒子ビーム描画装置の動作を説明する。荷電粒子ビーム源部201は荷電粒子ビーム201Aを発生する。荷電粒子ビーム201Aは、ステージ部205に向かって進行していくが、収束レンズ部203の作用により試料301の表面付近で収束する。また、荷電粒子ビーム201Aは、偏向部202の作用により偏向され、試料301の表面上のレジスト(荷電粒子ビーム感光剤)に所望のパターンが形成されるように照射される。この際、荷電粒子ビーム201Aが試料301の表面で正確に収束するように、高さセンサ部204は、照射領域付近に光204Aをあらかじめ照射し、その反射光を検出することにより、試料301の表面の高さを測定する。測定された高さに応じて、収束レンズ部203の作用を調節することにより、荷電粒子ビーム201Aは試料301の表面で正確に収束する。
【0010】
次に、標準高さマーク206Aと標準高さマーク206Bとの各々の高さにおける、高さセンサ部204による高さ測定の結果と、収束レンズ部203の作用による荷電粒子ビーム201Aの収束との様子から、高さセンサ部204による高さ測定と収束レンズ部203の作用との関係を較正する方法を、図9を用いて説明する。高さセンサ部204の構成および高さを測定する作用と方法とは次の節で説明する。
【0011】
高さセンサ部204による高さ測定と収束レンズ部203の作用との関係の較正は、実際に荷電粒子ビーム201Aで試料301に描画する前に行う必要がある。ステージ部205に取りつけられた2つの標準高さマーク206A、206Bは、−定の高さの差がある。ステージ部205を動作させることで、荷電粒子ビーム201Aが照射される位置(高さ測定が行われる位置にほとんど等しい)に、標準高さマーク206A、206Bの各々を簡単に移動できる。その状態で、標準高さマーク206Aおよび206Bの高さを高さセンサ部204で測定し、かつ、反射電子像等を観察することにより、標準高さマーク206Aおよび206Bに荷電粒子ビームが収束するように、収束レンズ部203の作用を各々調整する。
【0012】
このとき、2つの標準高さマーク206Aと206Bにおける、高さセンサ部204の測定結果および収束レンズ部203の作用の量から、高さセンサ部204による高さ測定の結果と、収束レンズ部203の収束の作用との絶対的関係および関係の係数が得られる。この係数は、次に説明するように、実際に高さ測定の結果から、試料301表面に荷電粒子ビーム201Aを収束する作用の量を決める際に、用いられる。
【0013】
次に、高さセンサ部204の構成、および高さセンサ部204が試料301の表面に光204Aを照射して、試料301表面の高さを測定する作用と、さらに、その結果を用いて、収束レンズ部203の作用を調整する方法とを、引き続き図9を用いて説明する。
【0014】
レーザ発信器204Aはレーザ光204Aを発信し、このレーザ光204Aはレンズ204Bの作用により試料301の表面付近で収束する。さらに、この光204Aは、試料301の表面で反射し、レンズ204Cに入射する。その後、光204Aは、レンズ204Cの作用により収束し、光検出器204Dおよび204Eに入射する。
【0015】
試料301の表面の高さが、点線301A、301Bで示したように、上側または下側へ(通常、十μmから百μm程度以下)ずれた場合、光204Aの光路は、点線または鎖線で示したようにずれる。光路のずれ方の詳細は後の節で説明する。よって、光検出器204Dおよび204Eに入射する光204Aの強度が変化するため、これらの光204Aの強度を試料301表面の高さに関連づけ、試料301表面の高さを測定できることになる。
【0016】
具体的には、光検出器204Dおよび204Eは、各々入射した光204Aの強度の信号を、加算器204Fおよび減算器204Gに出力する。加算器204Fおよび減算器204Gは、光検出器204Dと204Eから入力した信号を各々加算および減算し、結果の信号を除算器204Hに出力する。除算器204Hは、減算器204Gおよび加算器204Fから入力した信号の除算を行い、結果の信号をアンプ204Iに出力する。アンプ204Iは、除算器204Hから入力した信号を適切に拡大して、収束レンズ部203に出力する。
【0017】
アンプ204Iから入力した信号に応じて、収束レンズ部203が荷電粒子ビーム201Aを収束する作用を変化させることにより、荷電粒子ビーム201Aは試料301表面の高さでちょうど収束する。つまり、光検出器204Dに入射した光204Aの強度をAとし、光検出器204Eに入射した光204Aの強度をBとする。また、前記の標準高さマーク206Aを用いた調整の際に得られた光検出器204Dに入射した光204Aの強度をAとし、前記の標準高さマーク206Aを用いた調整の際に得られた光検出器204Eに入射した光204Aの強度をBとする。さらに、前記の標準高さマーク206Aを用いた調整の際の、収束レンズ部203の作用の量をIとする。収束レンズ部203の作用の量を、
Figure 0003969640
の値となるよう調整することにより、試料301表面で荷電粒子ビーム201Aを収束させることができる。(2)式の係数kは、
Figure 0003969640
に相当する量である。ここで、Aは標準マーク206Bを用いた調整の際に得られた光検出器204Dに入射した光の強度であり、Bは標準マーク206Bを用いた調整の際に得られた光検出器204Eに入射した光の強度であり、Iは標準マーク206Bを用いた調整の際の、収束レンズ部203の作用の量である。実際には、このような係数kの値となるように、アンプ204Iの拡大率等をあらかじめ調整しておく。
【0018】
次に、試料301の高さに依存して光204Aの光路がどのようにずれるかの詳細を、図10で説明する。図10で示すように、試料301が実線で示した状態で、試料301に入射する光204Aが試料301表面上のFで示した点で焦点を結んでいるとする。試料301表面がより高い場合(図10のHで示した位置)および低い場合(図10のLで示した位置)には、光204Aの焦点位置は、試料301表面がこれらの光路に対して鏡となることを考えると、各々F点およびF点に像としてあることがわかる。つまり、光204Aの焦点位置は、a−a’の直線上にあり、試料301の高さに単調に依存している。
【0019】
レンズ204Cは、a−a’上の光204Aの焦点をb−b’上の直線上に結像する。そこに2つの光検出器204Dと204Eとが配置されている。b−b’上のどこに光204Aの焦点が結像されているかが、2つの光検出器204Dと204Eとに入射する光204Aの強度として測定できる。b−b’上での光204Aのスポットの大きさに比べて、変位が小さければ、2つの光検出器204Dと204Eとの検出量の差は、試料301表面の基準からの高さの差に比例することになる。
【0020】
さて、荷電粒子ビーム描画装置で描画を行う対象となる試料301には、目的に応じて様々なものがある。さらに、レジストなど試料301表面の薄膜の構成は、多種多様である。その結果、高さセンサ部204が照射する光204Aに対する試料301表面の反射率は、試料301表面の薄膜の種類や厚さに応じて大きく変化する。よって、従来例では上記(2)式に示したように、2つの光検出器204Dと204Eとの信号の差を、これらの信号の和で規格化することにより、試料301表面の反射率に関わらず、試料301表面の高さを測定している。
【0021】
しかし、標準高さマーク206A表面と標準高さマーク206B表面とでの光の反射率と、試料301表面の反射率とが大きく異なる場合や、反射率が非常に小さい試料301の場合には、収束レンズ部203の正確な調整ができなくなってくる。なぜなら、光検出器204D、204Eのゼロ点には多少なりともオフセットがあり、(2)式は正確に、
Figure 0003969640
となる。ここで、dAは光検出器204Dのゼロ点のオフセット量であり、dBは光検出器204Eのゼロ点のオフセット量である。よって、反射率が低いために、A+Bに比べてdA+dBが無視できない場合には、誤差が大きくなる。
【0022】
また、他の従来例では、高さセンサ部204が照射する光204Aを単一波長のレーザ光ではなく、白色光としているものもある。この場合、試料301表面のレジスト等の薄膜の厚さに応じた干渉の影響を少なくすることができる。このために、多くの場合、レジスト等の薄膜の厚さに関わらず、ある程度以上の反射率を得ることができる。それにも関わらず、試料301表面の材料や表面の微細な粗さによって、反射率が低い場合がある。その場合には、前記の誤差が大きくなる問題がある。
【0023】
次に、試料301の傾きによって生じる高さ測定の誤差について、図11を用いて説明する。図11は、試料301が傾いている場合の、高さセンサ部204が照射する光204Aの光路を示した図であり、図11の記号は図10と同様である。
【0024】
荷電粒子ビーム201Aを用いた描画の対象である試料301によっては、半導体加工プロセス等によって試料301にたわみが生じていたり、試料301を保持するステージ部205の部品の精度等により、試料301表面が水平(あるいは高さセンサ部204が想定している試料面)から傾く場合がある。実際、半導体加工プロセスの種類によっては、数mrad程度の傾きとなる場合がある。また、高さセンサ部204が照射する光204Aは、理想的には試料301表面に収束する様に設計されている。しかし、図11に示したように、焦点位置がずれる場合がある。実際、1mm程度のずれが発生する場合がある。図11では、試料301に光204Aを入射するレンズ204Bの位置ずれなどにより、焦点位置がずれる様子が示されている。反射した光204Aを集光するレンズ204C等の位置ずれも同様に起こる場合がある。
【0025】
さて、試料301の傾きに依存して光204Aの光路がどのようにずれるかの詳細を説明する。図11に示したように、試料301に入射する光204Aが試料301表面で反射する部分の高さが変わらなくても、試料301が傾いていると(図11のU、Cで示した方向)、光204Aの光路は異なる。光204Aの焦点位置が試料301表面から離れていると、この焦点の鏡像の位置は試料301の傾きに依存して、F、F、Fなど直線c−c’上の異なった位置となる。これらの焦点は、レンズ204Cによって、d−d’の直線上に結像するため、高さセンサ部204の高さの測定としては誤差を含んだものとなってしまう。
【0026】
このように、試料301表面の傾きおよび焦点位置のずれによって、高さセンサ部204が測定する高さに誤差が生じる。試料301表面の傾きをθrad、焦点位置の高さ方向のずれをΔHとすると、高さ測定の誤差はθΔH程度となり、最大数μmの誤差となりうる。
【0027】
次に、試料301表面のパターンによって生じる高さ測定の誤差について、図12を用いて説明する。図12は、試料301表面に光204Aに対する反射率の異なるパターンが既に形成されている場合の、高さセンサ部204が照射する光204Aの光路を示した図であり、図12中の記号は図9と同様である。
【0028】
荷電粒子ビーム201Aを用いた描画の対象である試料301によっては、半導体加工プロセス等によって、既に試料301に各種材料によってパターンが形成されている場合がある。その材料や薄膜の厚さによって、高さセンサ部204が照射する光204Aに対する反射率が大きく異なる場合がある。また、高さセンサ部204が照射する光204Aは、試料301表面付近で焦点を結ぶが、光源の大きさやレンズ204Bの収差などにより、有限の大きさのスポットとなる。図12で示したように、光204Aのスポットが、これらの反射率の大きく異なるパターンの境界部分に照射された場合、光204Aの焦点は、e側にずれたような強度分布となる。e−e’の直線上の点はレンズ204Cによってf−f’の直線上に結像する。このとき、e側にずれた光204A(ハッチングで示した部分)の焦点はf側にずれて結像するため、測定される高さに誤差が生じる。その誤差は、最大、試料301表面での光204Aのスポット径の数分の一程度となり、実際数十μm程度の誤差となりうる。
【0029】
前記のような試料301の高さ測定の問題の原因のひとつとして、試料301に荷電粒子ビーム201Aを照射できる状態で、照射される箇所の高さ測定を行っているという点がある。つまり、この状態では、収束レンズ部203が試料301に非常に接近しているため、試料301の高さ測定をする機構が大きく制限されてしまう。荷電粒子ビーム201Aを試料301表面でなるべく小さく収束させるには、収束レンズ部203をなるべく試料301表面に近づけることが有効である。しかし、試料301直上に大きな体積を持つ収束レンズ部203を配置するため、その状態で試料301の高さを測定する高さセンサ部の種類や性能が限られてしまうからである。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の荷電粒子ビーム描画装置では、荷電粒子ビーム201Aを試料301表面で精度良く収束させるために不可欠な測定である、試料301表面の高さ測定が、十分な精度で行えないという問題があった。高さセンサ部204が行う試料301の高さ測定の精度が落ちる理由としては、
I.高さ測定用の光204Aに対する試料301の反射率が低かったり、標準高さマーク206Aと206Bとの反射率と大きく異なること、
II.試料301の傾きと高さ測定用の光204Aの収束位置が、想定されている条件からずれていること、
III.高さ測定用の光204Aが、既に形成された反射率の異なるパターンの境界部分に照射されること、
IV.収束レンズ部203との兼ね合いで高さセンサ部204の配置が制限され、十分な性能の高さセンサ部が使用できないこと、
がある。
【0031】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、試料の高さを十分な精度で測定することにより、荷電粒子ビームを高い精度で試料の表面に収束させる、荷電粒子ビーム描画装置およびそれを用いた描画方法を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、荷電粒子ビームを発生・照射する荷電粒子ビーム源部と、前記荷電粒子ビームを照射する対象である試料の高さに前記荷電粒子ビームを収束する収束レンズ部と、前記荷電粒子ビームを偏向させる偏向部と、前記試料を保持・移動するステージ部とからなる荷電粒子ビーム描画装置において、高さマークを備えかつ前記試料を保持して前記ステージ部に保持される試料ホルダと、前記試料に対して前記荷電粒子ビームを前記収束レンズ部で収束させて照射する第1の位置で、前記試料ホルダの高さマークの表面の高さを測定する第1の高さセンサ部と、前記試料に対する前記荷電粒子ビームを収束する前記収束レンズ部が試料直上にない、前記第1の位置と異なる第2の位置で、前記試料表面の高さ分布ならびに前記試料ホルダの高さマークの表面の高さを高精度に測定する第2の高さセンサ部とを更に備え 前記第2の高さセンサ部により前記第2の位置で測定した前記試料の表面の高さ分布に基づいて前記収束レンズ部を制御する際に、前記試料ホルダとともに前記第2の位置から前記第1の位置に移動したときに生じる試料の高さと傾きのずれを、2つの位置における前記高さマークの2つの測定値に基づいて補正し、前記収束レンズ部による収束を調整することを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置である。
請求項の発明は、請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画装置において、前記第2の高さセンサ部を大気中に配置したことを特徴とする。
請求項の発明は、荷電粒子ビームを発生・照射する荷電粒子ビーム源部と、前記荷電粒子ビームを照射する対象である試料の高さに前記荷電粒子ビームを収束する収束レンズ部と、前記荷電粒子ビームを偏向させる偏向部と、前記試料を保持・移動するステージ部とからなる荷電粒子ビーム描画装置を用いた描画方法において、高さマークを備えかつ前記試料を保持する試料ホルダを、前記荷電粒子ビームを試料に照射する第1の位置および前記第1の位置とは異なり試料直上に収束レンズ部がなく前記試料の表面の高さ分布を高精度に測定できる第2の位置の間を移動させ、第2の位置において前記試料の高さ分布と前記高さマークの高さを測定し、前記試料ホルダを前記第1の位置に移動して前記高さマークの高さを測定し、測定した前記試料の高さ分布に基づいて前記収束レンズ部による収束を制御するに際して、前記試料ホルダの高さマークの2つの位置における2つの測定に基づいて、前記試料ホルダを前記第2の位置から前記第1の位置に移動したときの試料ホルダの高さと傾きのずれを補正して前記収束レンズ部を調整することを特徴とする、荷電粒子ビーム描画装置を用いた描画方法である。
【0033】
発明によれば、高さセンサ部を少なくとも2台備えてある。そして、1台目の高さセンサ部で試料表面の高さ分布を高精度に測定し、1台目の高さセンサ部の場所から荷電粒子ビーム描画を行う位置までの試料の移動に伴う、試料の傾きやオフセットを2台目の高さセンサで測定する。これによって、荷電粒子ビーム描画を行う位置での、試料の高さ分布を高精度に導くことが可能となる。
また、本発明によれば、試料の直上に荷電粒子ビーム用の収束レンズがないので、既に形成された試料上のパターンを顕微鏡などで観察しながら、そのパターンの境界部分を避けて、高さ測定をすることが可能となる。これにより、試料上にパターンが既に形成されている場合でも、高精度で試料の高さ測定を行うことが可能となる。
さらに、荷電粒子ビームを収束させる収束レンズ部と試料との間に、高さ測定のための光の光路を必ずしも設ける必要がなく、収束レンズ部と試料との間の距離を近づけることができる。このため、荷電粒子ビームの収束位置におけるビームの大きさを、より小さくすることができる。よって、より微細なパターン形成が可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。図1は本発明の実施の参考形態を示す荷電粒子ビーム描画装置の模式図である。図1の荷電粒子ビーム描画装置は、荷電粒子ビーム源部1、偏向部2、収束レンズ部3、高さセンサ部4、およびステージ部5を備えている。
【0035】
荷電粒子ビーム源部1は荷電粒子ビーム1Aを発生・照射する。偏向部2は荷電粒子ビーム源部1からの荷電粒子ビーム1Aを偏向させ、収束レンズ部3は荷電粒子ビーム1Aを収束させる。高さセンサ部4は試料101の表面の高さを測定する。ステージ部5は、荷電粒子ビーム1Aを照射する対象である試料101を保持・移動する。
【0036】
本実施の形態による荷電粒子ビーム描画装置では、図8と図9とで述べたように、荷電粒子ビーム源部1から発生した荷電粒子ビーム1Aが、収束レンズ部3の作用により試料101表面付近で収束する。荷電粒子ビーム1Aは、偏向部2の作用により偏向され、試料101の表面上のレジストに所望のパターンが形成されるように照射される。この際、荷電粒子ビーム1Aが試料101の表面で正確に収束するように、あらかじめ高さセンサ部4の直下に試料101がある状態で、試料101表面の高さ分布を測定する。
【0037】
試料101に荷電粒子ビーム1Aで描画を行う前に、高さセンサ部4直下で試料101表面の高さ測定を行った状態から、収束レンズ部3直下の荷電粒子ビーム1Aを照射する場所までステージ部5を動作させるなどして、試料101を移動させる必要がある。ステージ部5などの水平移動時の高さや傾きの変動が十分小さいか、また、あらかじめ何らかの方法で、試料101移動時の高さと傾きの変化を較正しておくことにより、測定した高さ分布から、荷電粒子ビーム1Aを照射する際の収束レンズ部3の作用を補正することができる。
【0038】
試料101移動時の高さと傾きとの変化を較正する方法として、予備試料に荷電粒子ビーム描画を行う場合を例として、図2を用いて説明する。試料101の代わりに予備試料を用い、高さセンサ部4直下で、予備試料の高さを少なくとも3点以上の多数の位置(図2(a)では、メッシュの頂点である9点の測定点)で測定する。このときの測定結果として、メッシュ101Aが高さのマッピングを表す。
【0039】
この後、荷電粒子ビーム1Aを照射する場所まで予備試料を移動する。そして、収束レンズ部3の作用を少しずつ変えながら、荷電粒子ビーム1Aの収束の様子に敏感なパターンを、前記の多数の位置(図2(a)では9点の測定点)に描画する。本実施の形態で用いる、収束の様子に敏感なパターンは、隣接する測定点間(数十mmのオーダ)に比べて小さい形状(μmのオーダ)をしている。そして、本実施の形態では、収束の様子に敏感なパターンを、収束レンズ部3の作用の量を変えながら、隣接して複数描画する。こうした描画を予備試料の各測定点に対して行う。同時に、描画した位置と、収束レンズ部3の作用の量との関係を保持して、描画位置と作用量との関係を対応できるようにしておく。
【0040】
次に、現像などを行い、形成された前記パターンを顕微鏡などで観察・評価して、予備試料上の各位置において、荷電粒子ビーム1Aが最も収束したパターンを調べる。そして、このパターンに対応する、収束レンズ部3の作用の量から、予備試料の高さを求める。予備試料上の各位置における、高さセンサ部4による高さ測定の結果と、収束レンズ部3の作用による高さ測定の関係を求めることにより、予備試料の移動時の高さのオフセットおよび傾きの変化が測定できる。
【0041】
図2(a)には、予備試料について、高さセンサ部4で高さ測定を行う場所で得られた各位置における高さを基準に、荷電粒子ビーム描画を行う場所で得られた高さの様子の例を示した。図2(a)では、メッシュ101Bが高さのマッピングを表す。この場合、予備試料の移動によって、点線で示された基準(メッシュ101A)に対し、多少上側に変位し、かつ、図の右側に傾いているのが分かる。
【0042】
次に、描画を行う試料101について、試料101上の多数の位置(または荷電粒子ビーム描画を行う位置)で高さセンサ部4を用いて、図2(b)のメッシュ101Cに示すように、高さ測定を行う。最後に、荷電粒子ビーム描画を行う場所へ移動する際に、図2(a)と同様に、上側に変位しかつ右側に傾くので、試料101上の各位置で移動後の高さ(メッシュ101D)を算出し、その値を用いて、収束レンズ部3の作用を調整する。
【0043】
このように、試料101の高さの測定を、収束レンズ部3の直下とは別の場所であらかじめ行うことにより、高さセンサ部の形状・配置に制限がなく、また、真空中で使用する必要もないので、発熱などの制限が緩和され、よって、高精度の高さセンサ部を用いることができる。したがって、試料101の反射率、傾きやあらかじめ形成されているパターンの境界によって、高さ測定の誤差が大きくなることなく、高精度に試料の高さを測定することができる。その結果、荷電粒子ビーム1Aを精度良く試料表面に収束できるので、微細で高精度なパターンを再現性良く形成することができる。
【0044】
また、従来例に類似した光てこ型の高さセンサを用いる場合にも、前記のような制限が緩和されるため、高さセンサ部の種々の調整が容易であり、よって、誤差の少ない高さ測定が可能となる。
【0045】
さらに、荷電粒子ビーム1Aを収束させる収束レンズ部3と試料101との間に、高さ測定のための光路を必ずしも設ける必要がなく、収束レンズ部3と試料101との間の距離を近づけることができるため、荷電粒子ビーム1Aの収束位置におけるビームの大きさを、より小さくすることができる。よって、より微細なパターン形成が可能となる。
【0046】
[参考例]
つぎに、参考例について説明する。
【0047】
[参考例1]
本参考例による電子ビーム描画装置を図3に示す。図3の電子ビーム描画装置は、電子ビーム源部11、偏向部12、収束レンズ部13、レーザ干渉計14、およびステージ部15を備えている。
【0048】
偏向部12は、電子ビーム源部11からの電子ビーム11Aを偏向させ、収束レンズ部13は、電子ビーム11Aを収束させる。レーザ干渉計14は、試料101の表面の高さを測定する。ステージ部15は、電子ビーム11Aを照射する対象である試料101を保持・移動する。
【0049】
本参考例では、高さセンサ部としてレーザ干渉計14を用い、レーザ干渉計14が試料101の表面の高さを測定する。レーザ干渉計14は、収束レンズ部13のすぐ側に配置されている。試料101の高さを測定するための、レーザ干渉計14から照射されるレーザ光は、真空装置(図示を省略)の窓を通して試料101に照射されれば十分である。このために、レーザ干渉計14が真空中にある必要はない。市販されているレーザ干渉計14は、0.1μm以下の精度で試料101表面の高さを測定することができ、しかも、許容の範囲内であれば、試料101の傾きや反射率にも依存しない。
【0050】
試料101は、ステージ部15によりレーザ干渉計14直下と描画位置との間を移動する。レーザ干渉計14が収束レンズ部13のすぐ側に配置されているので、移動の再現性が高く、移動時の試料101の傾きの変化も非常に小さい。
【0051】
実際、電子ビーム11Aの開き角が3mradの条件で、レーザ干渉計14で測定した試料101内の高さ分布を用いて、あらかじめ測定しておいた高さの変位値を加えただけで、描画実験を行った。収束レンズ部13の作用を高さ換算で0.5μmずつ変化させて描画したパターンからは、試料101内の各点で±0.5μm以内の高さの誤差で電子ビーム11Aが収束できていることが分かった。
【0052】
このように、電子ビーム11Aで描画する位置から、高い精度で試料101を移動させた状態で、試料101の高さを測定することにより、あらかじめ予備試料を用いて、移動による予備試料のずれを測定することなしに、また、高い再現性で、高精度の高さ測定をすることができる。
【0053】
[参考例2]
本参考例による電子ビーム描画装置を図4に示す。図4の電子ビーム描画装置は、電子ビーム源部21、偏向部22、収束レンズ部23、センサ部24、ステージ部25、および試料ホルダ26を備えている。電子ビーム源部21、偏向部22、収束レンズ部23、およびステージ部25は、図3の電子ビーム源部11、偏向部12、収束レンズ部13、およびステージ部15と同様である。
【0054】
試料ホルダ26は、試料101を保持する。ステージ部25は、試料101を動かないように保持した試料ホルダ26を保持・移動する。高さセンサ部24は、試料101に対して電子ビーム21Aを照射する位置(ステージ部25の位置)とは異なる所にあり、この位置で試料ホルダ26の試料101の表面の高さを測定する。
【0055】
高さセンサ部24の全体は大気中にある。高さセンサ部24は、光源部24A、検出部24B、顕微鏡24C、およびステージ部24Dを備えている。さらに、図5に示すように、光源部24Aは、光源24Aとレンズ24Aとを備えている。また、検出部24Bは、レンズ24B、光検出器24B、24B、減算器24B、加算器24B、比較器24B、除算器24B、および表示部24Bを備えている。本実施例では、試料101から反射した光の強度を一定にする調整手段を備え、この調整手段は、レンズ24B、光検出器24B、24B、加算器24B、および比較器24Bで構成される。
【0056】
光源部24Aの光源24Aおよびレンズ24Aは、図9のレーザ発信器204Aおよびレンズ204Bと同様である。また、検出部24Bのレンズ24B、光検出器24B、24B、減算器24B、加算器24B、および除算器24Bは、図9のレンズ204C、光検出器204D、204E、減算器204G、加算器204F、および除算器204Hと同様である。
【0057】
顕微鏡24Cは、試料101の表面を観察するために用いられる。試料ホルダ26は、凹部分26Aに試料101を保持し、ステージ部25上および高さセンサ部24内のステージ部24D上で、試料101と一体となって移動する。また図4および図5中には示していないが、試料ホルダ26は、試料101の高さおよび傾きを微調整できる機構を備えている。
【0058】
除算器24Bは、除算の結果を表示部24Bに出力し、表示部24Bはその結果を表示する。加算器24Bは加算の結果を比較器24Bにも出力する。比較器24Bは加算器24Bから入力した加算の結果を、あらかじめ設定された定数と比較し、その差の信号を光源24Aへ出力する。光源24Aは、比較器24Bから入力した信号に応じて、照射する光24A11の量を変化させる。
【0059】
高さセンサ部24をこのような構成とすることで、試料101表面の光24A11の反射率が試料101内の位置に依存して変化しても、光検出器24B、24Bに入射する光24A11の総量は一定となる。よって、光検出器24B、24Bのゼロ点にオフセットがあっても、先の(4)式で示した高さ測定の結果の値から、試料101の反射率に依存せず、高精度に試料101表面の高さを測定することが可能となる。
【0060】
高さセンサ部24が大気中にあり、レンズ24A、および光24A11を照射・検出するその他の部品(光源24A、レンズ24B、光検出器24B、24B)の位置を調整することも容易である。このため、光24A11の焦点位置が試料101表面の高さとなるような、理想的な配置となるように、この焦点位置をあらかじめ調整しておくことが容易である。また、高さ測定時に試料101および試料ホルダ26が大気中にあり、高さ測定の結果に応じて、試料101の傾きをなるべく水平になるように修正することが容易にできる。よって、試料101の傾きが小さく、かつ、光24A11の焦点位置と試料101表面の高さが大きくずれることがないので、高さ測定の誤差を小さく抑えることが可能となる。
【0061】
さらに、高さ測定をする際に、測定する試料101上の場所を顕微鏡24Cで観察することができるため、あらかじめ形成されている反射率の異なるパターンの境界部分を避けることができる。よって、高さ測定をする光24A11が、あらかじめ形成されている試料101表面のパターンの境界に偶然かかることにより、高さ測定の誤差が大きくなることを防ぐことができる。
【0062】
次に実施例1によって本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例による電子ビーム描画装置を図6に示す。図6の電子ビーム描画装置は、電子ビーム源部31、偏向部32、収束レンズ部33、高さセンサ部34、38、ステージ部35、試料ホルダ36、および標準高さマーク37A、37Bを備えている。電子ビーム源部31、偏向部32、収束レンズ部33、およびステージ部35は、図3の電子ビーム源部11、偏向部12、収束レンズ部13、およびステージ部15と同様である。また、標準高さマーク37A、37Bは、図9の標準高さマーク206A、206Bと同様である。
【0063】
ステージ部35は、試料101を動かないように保持した試料ホルダ36を保持する。高さマーク36Bは試料ホルダ36に取りつけられている。ステージ部35は試料ホルダ36を保持・移動する。高さセンサ部34は、光てこ型の高さセンサ部であり、光源部34Aと検出部34Bとを備えている。高さセンサ部34は、試料101が電子ビーム31Aに照射される場所にある状態で、試料101表面の高さを測定する。
【0064】
高さセンサ部34は、従来例の高さセンサ部204(図8)に類似の構成であり、類似の作用をする。しかし、高さセンサ部34は、高さの測定結果を収束レンズ部33へ出力はしない。
【0065】
高さセンサ部38は、試料101が別の場所にある状態で、試料101の表面の高さを測定する。高さセンサ部38は、レーザ顕微鏡38Aとステージ部38Bとを備えている。ステージ部38Bは、図4のステージ部24Dと同様である。
【0066】
レーザ顕微鏡38Aは高精度に試料101の高さを測定する。ステージ部38Bは試料ホルダ36を保持・移動するステージである。図7は、凹部分36Aに試料101を保持した試料ホルダ36を、上面から見た模式図であって、高さマーク36B、36C、36Dは、試料ホルダ36に取り付けられている。
【0067】
レーザ顕微鏡38Aは、試料101と高さマーク36B、36C、36Dの高さを0.1μm以下の高精度で測定する。レーザ顕微鏡38Aは、試料101等の表面の反射率や傾きに無関係に、試料101と高さマーク36B、36C、36Dの高さとを測定することが可能である。
【0068】
高さマーク36B、36C、36Dは、標準高さマーク37A、37Bと同じ材料で作られており、高さセンサ部34が照射する光34Aに対する反射率も同じである。また、高さマーク36B、36C、36Dおよび標準高さマーク37A、37Bは、傾きが十分小さくなるように調整されている。
【0069】
次に、高さセンサ部38で測定した試料101の高さ分布を用いて、電子ビーム描画を行う際に収束レンズ部33の作用の量を調整する方法を説明する。まず、高さセンサ部38で、試料101の高さ分布および高さマーク36B、36C、36Dの所定の位置の高さを測定する。
【0070】
次に、試料101と高さマーク36B、36C、36Dを試料ホルダ36ごとステージ部35へ移動する。高さセンサ部34で、高さマーク36B、36C、36Dの所定の位置の高さを測定する。高さセンサ部38および高さセンサ部34で測定した各高さマーク36B、36C、36Dの高さの測定結果から、試料101および試料ホルダ36を、高さセンサ部38のステージ部38Bからステージ部35へ移動した際の、高さと傾きとの変化が導かれる。
【0071】
本発明の実施の参考形態の中で図2を用いて説明した、試料101移動時の高さと傾きの変化の較正が、これでできたことになる。よって、高さセンサ部38で測定した試料101の高さ分布から、ステージ部35上での試料101の高さ分布が導出できる。この高さ分布に合わせて、収束レンズ部33の作用の量を調整することで、試料101表面で高精度に電子ビーム31Aを収束できる。
【0072】
光てこ型の高さセンサ部34は、従来例で説明したような、高さ測定における誤差を含む結果を示す。しかし、光34Aに対する反射率が等しく、傾きが十分小さく、かつ反射率の異なるパターンの境界上でない場合には、その相対的測定の誤差は0.1μm程度と十分小さい。
【0073】
本実施例の場合、高さセンサ部38のステージ部38Bとステージ部35は、一体のものとして形成されているわけではないので、試料ホルダ36を高さセンサ部38からステージ部35上へ移動した際の、高さの変位や傾きの変化は、必ずしも一定とはならず、毎回ある程度異なっている可能性がある。しかし、上述の様に、試料ホルダ36に高さマーク36B、36C、36Dを取り付け、その高さを測定することにより、高さセンサ部38からステージ部35へ試料ホルダ36を移動した際の、高さの変位や傾きの変化をその都度正確に測定することが可能となった。
【0074】
実際、電子ビーム31Aの開き角が3mradの条件で、既に反射率の異なるパターンが形成されている試料101について、上述の方法でステージ部35上での高さ分布を求め、描画実験を行った。収束レンズ部33の作用を高さ換算で0.5μmずつ変化させて描画したパターンからは、試料101内の各点で±0.5μm以内の高さの誤差で、電子ビーム31Aが収束できていることが分かった。
【0075】
なお、以上に挙げた本発明の実施例は、本発明により考え得る実施例の一部であり、荷電粒子ビーム描画装置に関する既存の方法や、高さ測定に関する既存の方法、さらに高さ測定と描画に関する既存のアルゴリズムの組み合わせにより、本発明は多数の実施様態を取り得るものである。具体的な組み合わせの方法は、求められる精度や処理時間、また描画の目的に応じて、最適なものを選択するべきであるが、適切な組み合わせにより同様の効果が得られるものである。
【0076】
前記の実施例では、試料101表面の高さを測定する高さセンサとして、レーザ干渉計、光てこ型高さセンサ、およびレーザ顕微鏡を用いる例を示したが、電気容量センサや、原子間力顕微鏡、接触センサなど、その他の高さやギャップを測定できる測定器を用いてもよい。
【0077】
レーザ干渉計は精度が高いが、測定位置を同時に顕微鏡観察するのが多少難しくかつ高価である。光てこ型高さセンサは顕微鏡で測定位置を観察しやすいが、十分な精度を出すための調整が難しい。レーザ顕微鏡は測定位置を観察できるが、機構が複雑で高価である。電気容量センサは精度が高いが、試料の電気的性質に制限がある。原子間力顕微鏡は精度が高く測定位置を観察しやすいが、測定に時間がかかる。接触センサは安価で顕微鏡観察しやすいが、試料表面のレジストが変形する。各高さ測定の手法によって、このような利点、欠点があるが、目的に応じて適切な方法を用いることで、同様の効果が得られる。
【0078】
また、前記の実施例では、何れも高精度の高さセンサが大気中にある例を示した。これにより、高さセンサの調整が容易にでき、高い精度を保ち易いという利点があるが、高精度の高さセンサが真空中にあってもよいことは言うまでもない。荷電粒子ビーム描画装置と一体となる高精度の高さセンサを真空中に設置することで、温度変化による試料の高さ変化を容易に抑えられること、真空引きの際に振動などで試料の高さが変動する恐れがないことなどの利点がある。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明においては、荷電粒子ビームを収束させる収束レンズ部の直下とは異なる場所で、試料表面の高さを測定することにより、また、光てこ型の高さセンサ部を用いた場合に、試料から反射した光の強度が一定になるように、試料に照射する光の強度を調整することにより、高い精度で高さ測定を行うことができるようになる。よって、試料表面に荷電粒子ビームを正確に収束させ、その結果、高精度で微細な荷電粒子ビーム描画が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の参考形態を説明するための荷電粒子ビーム描画装置を示す模式図である。
【図2】 実施の参考形態を説明するための、試料移動時の高さと傾きの変化を較正する方法を説明する概念図である。
【図3】 参考例1を示す電子ビーム描画装置の模式図である。
【図4】 参考例2を示す電子ビーム描画装置の模式図である。
【図5】 参考例2の高さセンサ部を詳細に示す模式図である。
【図6】 本発明の実施例1を示す電子ビーム描画装置の模式図である。
【図7】 実施例1の試料ホルダを上面から見た模式図である。
【図8】 従来の荷電粒子ビーム描画装置を示す模式図である。
【図9】 従来の荷電粒子ビーム描画装置における高さを測定する作用を説明するための、高さセンサ部を詳細に示す模式図である。
【図10】 従来の荷電粒子ビーム描画装置において、高さセンサ部が高さを測定する方法を説明するための説明図である。
【図11】 従来の荷電粒子ビーム描画において、試料が傾いている場合の高さセンサ部の作用およびその課題点を説明するための説明図である。
【図12】 従来の荷電粒子ビーム描画において、試料表面にパターンが既に形成されている場合の高さセンサ部の作用およびその課題点を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 荷電粒子ビーム源部
1A 荷電粒子ビーム
2 偏向部
3 収束レンズ部
4 高さセンサ部
5 ステージ部
11 電子ビーム源部
11A 電子ビーム
12 偏向部
13 収束レンズ部
14 レーザ干渉計
15 ステージ部
21 電子ビーム源部
21A 電子ビーム
22 偏向部
23 収束レンズ
24 高さセンサ部
24A 光源部
24A 光源
24A レンズ
24A11
24B 検出部
24B レンズ
24B、24B 光検出器
24B 減算器
24B 加算器
24B 比較器
24B 除算器
24B 表示部
24C 顕微鏡
24D、25 ステージ部
26 試料ホルダ
26A 凹部分
31 電子ビーム源部
31A 電子ビーム
32 偏向部
33 収束レンズ部
34 高さセンサ部
34A 光源部
34A
34B 検出部
35、38B ステージ部
36 試料ホルダ
36A 凹部分
36B、36C、36D 高さマーク
37A、37B 標準高さマーク
38 高さセンサ部
38A レーザ顕微鏡

Claims (3)

  1. 荷電粒子ビームを発生・照射する荷電粒子ビーム源部と、前記荷電粒子ビームを照射する対象である試料の高さに前記荷電粒子ビームを収束する収束レンズ部と、前記荷電粒子ビームを偏向させる偏向部と、前記試料を保持・移動するステージ部とからなる荷電粒子ビーム描画装置において、
    高さマークを備えかつ前記試料を保持して前記ステージ部に保持される試料ホルダと、
    前記試料に対して前記荷電粒子ビームを前記収束レンズ部で収束させて照射する第1の位置で、前記試料ホルダの高さマークの表面の高さを測定する第1の高さセンサ部と、
    前記試料に対する前記荷電粒子ビームを収束する前記収束レンズ部が試料直上にない、前記第1の位置と異なる第2の位置で、前記試料の表面の高さ分布ならびに前記試料ホルダの高さマークの表面の高さを高精度に測定する第2の高さセンサ部とを更に備え
    前記第2の高さセンサ部により前記第2の位置で測定した前記試料の表面の高精度の高さ分布に基づいて前記収束レンズ部を制御する際に、前記試料ホルダとともに前記第2の位置から前記第1の位置へ移動したときに生じる試料の高さと傾きのずれを、2つの位置における前記高さマークの2つの測定値に基づいて補正し、前記収束レンズ部による収束を調整することを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
  2. 前記第2の高さセンサ部を大気中に配置したことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
  3. 荷電粒子ビームを発生・照射する荷電粒子ビーム源部と、前記荷電粒子ビームを照射する対象である試料の高さに前記荷電粒子ビームを収束する収束レンズ部と、前記荷電粒子ビームを偏向させる偏向部と、前記試料を保持・移動するステージ部とからなる荷電粒子ビーム描画装置を用いた描画方法において、
    高さマークを備えかつ前記試料を保持する試料ホルダを、前記荷電粒子ビームを試料に照射する第1の位置および前記第1の位置とは異なり試料直上に収束レンズ部がなく前記試料の表面の高さ分布を高精度に測定できる第2の位置の間を移動させ、第2の位置において前記試料の高さ分布と前記高さマークの高さを測定し、
    前記試料ホルダを前記第1の位置に移動して前記高さマークの高さを測定し、
    測定した前記試料の高さ分布に基づいて前記収束レンズ部による収束を制御するに際して、前記試料ホルダの高さマークの2つの位置における2つの測定に基づいて、前記試料ホルダを前記第2の位置から前記第1の位置に移動したときの試料ホルダの高さと傾きのずれを補正して前記収束レンズ部を調整することを特徴とする、荷電粒子ビーム描画装置を用いた描画方法。
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