JP2004311659A - 荷電粒子線装置の調整方法及び荷電粒子線装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高精度な露光を行える荷電粒子線装置及びその調整方法を提供する。
【解決手段】ウェハステージ24上に、荷電粒子線を照射して検知する荷電粒子線式フィジシャルマーク29及び光学式マーク検出センサー26で検知する光学式フィジシャルマーク28の両者をある寸法BL0だけ隔てて設け、荷電粒子線光学系27に、荷電粒子線式フィジシャルマーク29の位置検出機能、並びに、ウェハステージ24の位置制御誤差や装置振動等に起因する荷電粒子線ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差をビーム軌道偏向により補正する機能を持たせておき、光学式フィジシャルマーク28の荷電粒子線光学系座標における位置ずれ、並びに、荷電粒子線ビームの荷電粒子線光学系座標における位置ずれを各々独自に計測し、該計測値を装置構成に反映させる。
【選択図】 図1
【解決手段】ウェハステージ24上に、荷電粒子線を照射して検知する荷電粒子線式フィジシャルマーク29及び光学式マーク検出センサー26で検知する光学式フィジシャルマーク28の両者をある寸法BL0だけ隔てて設け、荷電粒子線光学系27に、荷電粒子線式フィジシャルマーク29の位置検出機能、並びに、ウェハステージ24の位置制御誤差や装置振動等に起因する荷電粒子線ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差をビーム軌道偏向により補正する機能を持たせておき、光学式フィジシャルマーク28の荷電粒子線光学系座標における位置ずれ、並びに、荷電粒子線ビームの荷電粒子線光学系座標における位置ずれを各々独自に計測し、該計測値を装置構成に反映させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路等のリソグラフィーに用いられる荷電粒子線装置及びその調整方法に関する。特には、より高精度な露光を行える荷電粒子線装置及びその調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体露光装置に対して、装置の高解像化、大露光フィールド化等の要求が一層高まっている。この高解像度化の要求に応えうるものとして、電子線を用いた露光装置が注目されてきている。
【0003】
電子線露光により、半導体デバイスパターンをウェハ(感応基板)上に形成する手法の一つとして、このデバイスパターンを多数の小パターン領域(サブフィールド)に分割し、各サブフィールド毎にウェハにパターンを一括的に転写する方式(分割転写方式)がある。この方式においては、パターン原版として用いるマスクの代表的なものは、電子ビームの通る孔を多数有するステンシルマスクである。マスクの孔の形状は、転写すべきパターンの個別要素図形の形状に対応している。このステンシルマスクを電子光学系中に配置し、マスクを通過した電子ビームをウェハ上に投影する。その際、電子ビームを偏向させる、あるいは、マスクステージやウェハステージを移動させるなどして、マスク上の各サブフィールドに順次電子ビームを照明し、ウェハ上に各サブフィールドのパターンをそれぞれ一括的に転写する。そして、ウェハ上では、各サブフィールドのパターンの像を繋ぎ合わせることにより、デバイスパターン全体を転写する。
【0004】
ここで、分割されたサブフィールドの像をウェハ上において高精度でつなぎ合わせるためには、レチクルとウェハ及び投影レンズ(投影光学系光軸)は、相互に高精度に位置合わせされなければならない。また、ウェハ上に既に形成されている下層パターンに正確にパターンを重ねるためにも、同様に高い位置合わせ技術が必要となる。
【0005】
装置に搭載したウェハの位置を装置の座標系上に正確に位置合せ(アライメント)するため、光学式マーク検出センサーを用いてウェハ上の複数の光学式アライメントマークを計測し、ウェハ上に既に形成されている下層パターンの位置を求める。この時、ウェハ上の数点から数十点の光学式アライメントマークを選択してマーク位置計測し、マーク計測結果からパターン配列の線形誤差成分などを算出し、露光位置補正を行うための位置補正データを決定する。
【0006】
この光学式マーク検出センサーは電子線鏡筒の側面付近に固定されており、該センサーの直下に上記アライメントマークを位置させてマーク計測を行う。その後に、ステージを送ってウェハを電子鏡筒の直下に移動させて露光を行う。したがって、アライメントマーク計測位置と実際の露光位置とにある一定の距離が生じる。ところで、この光学式マーク検出センサーと電子鏡筒との位置関係が、熱などの影響によりドリフトする場合がある。その場合には、レチクルロード時あるいはウェハロード毎に、このセンサーと鏡筒(より正確には投影光学系の光軸)との距離を校正しなくてはならない。また、電子ビーム自身も、機械的・電気的な様々な要因により軌道がドリフトする場合がある。
【0007】
このような光学式マーク検出センサーと電子鏡筒との相対位置関係は、光学式及び荷電粒子線式フィジシャルマークを所定の間隔を置いてウェハステージ上に配置し、これを用いて測定させる(詳細方法は図1を参照しつつ後述する)。
【0008】
現在開発中の分割転写方式の電子線露光装置においては、露光ビームを高速で偏向させるとともに、ウェハステージ・レチクルステージを高速で連続移動させながらパターン露光を行うため、露光時のウェハステージ・レチクルステージの位置誤差を高速で補正する必要がある。そのため、両ステージの位置誤差を干渉計システムで高速で計測し、この位置誤差情報をもとに電子鏡筒でビームの軌道を補正し、正確な位置に露光を行う。さらに、装置振動等の起因するビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差も、装置に加速度センサーを取り付けて振動を測定することにより把握して、上記ビーム偏向器により補正することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなステージ位置補正機能を有する露光装置の場合、前述の光学式マーク検出センサーと露光ビームとの軸間距離計測を行う時、ステージの位置誤差は、上記光学式マーク検出センサーを用いた光学式フィジシャルマークの検出結果には含まれるが、電子ビームを用いた荷電粒子線式フィジシャルマークの計測結果には含まれない。というのは、露光装置が自動的にステージ位置誤差をビーム偏向で補正するため、荷電粒子線式フィジシャルマークの計測結果は既に補正済みのデータとなるからである。従って上式では軸間距離の誤差は正確には計測できない。
【0010】
また、この相対軸間距離が変化する原因の一つである露光ビームのドリフトは露光位置精度だけではなく、結像性能等にも影響を及ぼすため、露光作業前に計測され、必要に応じて電子光学系の校正を行わなくてはならない。
さらに、マークの計測精度を向上させるため、各センサーとマークとの相対距離を最適化させる必要がある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、より高精度な露光を行える荷電粒子線装置及びその調整方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の荷電粒子線装置の調整方法は、 ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、 該ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、 前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、 該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、 を具備し、 前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、 前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク、及び、前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者を、ある寸法だけ隔てて設け、 前記光学式マーク検出センサーで検出した前記光学式フィジシャルマークの位置測定値、前記荷電粒子線式フィジシャルマークの位置測定値、及び、前記ステージの位置誤差を考慮して、前記光学式マーク検出センサーの軸と前記荷電粒子線光学系の軸との間の距離を算出することを特徴とする。
【0013】
光学式マーク検出センサーの位置ずれ、並びに、荷電粒子線光学系光軸の位置ずれを各々独自に計測し、計測値を装置構成に反映させることにより、より正確に位置出しを行うことができ、露光精度を向上できる。
なお、前記の「前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能」は、この機能を使わずにベースラインチェックを行えば、前述の課題で指摘した問題は生じないが、前記機能の使用・不使用の選択を行えるようにするには、制御系の構成が複雑となってしまう。そこで、本発明のような調整方法を採用する意義が生じる。
【0014】
前記荷電粒子線装置の調整方法においては、 前記荷電粒子線光学系光軸の位置ずれのうちのビームドリフトを計測することが好ましい。
ビームドリフトを計測して、荷電粒子線装置の調整の調整を行うことにより、より精度の高い露光を行える。
【0015】
前記荷電粒子線装置の調整方法においては、 前記ビームドリフトが所定のしきい値以上であれば、前記荷電粒子線光学系そのものの調整・較正を行うことが好ましい。
ビームドリフトがあるしきい値以上の時に、荷電粒子線光学系(レンズ、偏向器等)そのものの調整・較正を行うにより、ビームドリフトが大きい場合の露光精度の低下を防ぐことができる。
【0016】
本発明の荷電粒子線装置の調整方法は、 ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、 前記被照射基板のチルト制御を行う制御手段と、 前記ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、 前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、 該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、 を具備し、 前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、 前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク、及び、前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者をある寸法だけ隔てて設け、 前記両マークを同時に位置検出して、前記光学式マーク検出センサーの位置ずれ、又は、前記荷電粒子線光学系の光軸の位置ずれを、計測し、 その際、前記各々のマークの検出光又は荷電粒子線ビームのフォーカス位置が最適となるように、前記制御手段で前記ウェハステージをチルト制御することを特徴とする。
【0017】
各マークの検出前に各マークのフォーカス位置を調整することで、マーク位置の検出精度を向上できる。
【0018】
本発明の荷電粒子線装置は、 ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、 前記被照射基板のチルト制御を行う制御手段と、 前記ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、 前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、 を具備し、 前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、 前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク及び前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者がある寸法だけ隔てて設けられており、 前記両マークを同時に位置検出して、前記光学式マーク検出センサーの位置ずれ、又は、前記荷電粒子線光学系の光軸の位置ずれを、計測し、 その際、前記各々のマークの検出光又は荷電粒子線ビームのフォーカス位置が最適となるように、前記制御手段で前記ウェハステージをチルト制御することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、分割転写方式の電子線投影露光技術の概要を図面を参照しつつ説明する。
以下では、レチクル転写露光方式の場合で説明を進めるが、本発明の大部分の基本的手法はレチクルを用いずに直接露光する方式にも適用される。
【0020】
図5は、分割転写方式の電子線投影露光装置の光学系全体における結像関係及び制御系の概要を示す図である。
光学系の最上流に配置されている電子銃1は、下方に向けて電子線を放射する。電子銃1の下方には2段のコンデンサレンズ2、3が備えられており、電子線は、これらのコンデンサレンズ2、3によって収束されブランキング開口7にクロスオーバーC.O.を結像する。
【0021】
二段目のコンデンサレンズ3の下には、矩形開口4が備えられている。この矩形開口(照明ビーム成形開口)4は、レチクル(マスク)10の一つのサブフィールド(露光の1単位となるパターン小領域)を照明する照明ビームのみを通過させる。この開口4の像は、レンズ9によってレチクル10に結像される。
【0022】
ビーム成形開口4の下方には、ブランキング偏向器5が配置されている。同偏向器5は、必要時に照明ビームを偏向させてブランキング開口7の非開口部に当て、ビームがレチクル10に当たらないようにする。
【0023】
ブランキング開口7の下には、照明ビーム偏向器8が配置されている。この偏向器8は、主に照明ビームを図5の横方向(X方向)に順次走査して、照明光学系の視野内にあるレチクル10の各サブフィールドの照明を行う。偏向器8の下方には、照明レンズ9が配置されている。照明レンズ9は、レチクル10上にビーム成形開口4を結像させる。
【0024】
レチクル10は、実際には(図6を参照しつつ後述)光軸垂直面内(X−Y面)に広がっており、多数のサブフィールドを有する。レチクル10上には、全体として一個の半導体デバイスチップをなすパターン(チップパターン)が形成されている。もちろん、複数のレチクルに1個の半導体デバイスチップをなすパターンを分割して配置しても良い。
【0025】
レチクル10は移動可能なレチクルステージ11上に載置されており、レチクル10を光軸垂直方向(XY方向)に動かすことにより、照明光学系の視野よりも広い範囲に広がるレチクル上の各サブフィールドを照明することができる。
【0026】
レチクルステージ11には、レーザ干渉計を用いた位置検出器12が付設されており、レチクルステージ11の位置をリアルタイムで正確に把握することができる。
【0027】
レチクル10の下方には投影レンズ15及び19並びに偏向器16が設けられている。レチクル10の1つのサブフィールドを通過した電子線は、投影レンズ15、19、偏向器16によってウェハ23上の所定の位置に結像される。投影レンズ15、19及び偏向器16(像位置調整偏向器)の詳しい作用については、図7を参照して後述する。ウェハ23上には、適当なレジストが塗布されており、レジストに電子線のドーズが与えられ、レチクル上のパターンが縮小されてウェハ23上に転写される。
【0028】
レチクル10とウェハ23の間を縮小率比で内分する点にクロスオーバーC.O.が形成され、同クロスオーバー位置にはコントラスト開口18が設けられている。同開口18は、レチクル10の非パターン部で散乱された電子線がウェハ23に到達しないよう遮断する。
【0029】
ウェハ23の直上には反射電子検出器22が配置されている。この反射電子検出器22は、ウェハ23の被露光面やステージ上のマークで反射される電子の量を検出する。例えばレチクル10上のマークパターンを通過したビームでウェハ23上のマークを走査し、その際のマークからの反射電子を検出することにより、レチクル10とウェハ23の相対的位置関係やビームドリフトの量を知ることができる。
【0030】
ウェハ23は、静電チャック(図示されず)を介して、XY方向に移動可能なウェハステージ24上に載置されている。上記レチクルステージ11とウェハステージ24とを、互いに逆の方向に同期走査することにより、投影光学系の視野を越えて広がるチップパターン内の各部を順次露光することができる。また、ウェハステージ24には、ピエゾ素子等のアクチュエータで構成され、ウェハ23のZ方向やウェハ23のチルト姿勢(θX、θY回転量)を制御する駆動機構(図1参照)が装備されている。また、ウェハの真上には、ウェハ23のZ方向位置を検出するオートフォーカス(AF)装置(図1参照)も装備されている。
【0031】
ウェハステージ24上の反射電子検出器22の側方には、ウェハステージ24上に設けられた光学式フィジシャルマーク(図1参照)の位置を検出する光学式マーク検出センサー26(図1参照)が配置されている。
【0032】
上記各レンズ2、3、9、15、19及び各偏向器5、8、16は、各々のコイル電源制御部2a、3a、9a、15a、19a及び5a、8a、16aを介してコントローラ31によりコントロールされる。また、レチクルステージ11及びウェハステージ24も、ステージ制御部11a、24aを介して、コントローラ31により制御される。ステージ位置検出器12、25は、アンプやA/D変換器等を含むインターフェース12a、25aを介してコントローラ31に信号を送る。また、反射電子検出器22も同様のインターフェース22aを介してコントローラ31に信号を送る。
【0033】
コントローラ31は、ステージ位置の制御誤差等を把握し、その誤差を像位置調整偏向器16で補正する。これにより、レチクル10上のサブフィールドの縮小像がウェハ23上の目標位置に正確に転写される。そして、ウェハ23上で各サブフィールド像が繋ぎ合わされて、レチクル上のチップパターン全体がウェハ上に転写される。
【0034】
次に、分割転写方式の電子線投影露光に用いられるレチクルの詳細例について、図6を参照しつつ説明する。
図6は、電子線投影露光用のレチクルの構成例を模式的に示す図である。(A)は全体の平面図であり、(B)は一部の斜視図であり、(C)は一つの小メンブレイン領域の平面図である。このようなレチクルは、例えばシリコンウェハに電子線描画・エッチングを行うことにより製作できる。
【0035】
図6(A)には、レチクル10における全体のパターン分割配置状態が示されている。同図中に多数の正方形41で示されている領域が、一つのサブフィールドに対応したパターン領域を含む小メンブレイン領域(厚さ0.1μm 〜数μm )である。図6(C)に示すように、小メンブレイン領域41は、中央部のパターン領域(サブフィールド)42と、その周囲の額縁状の非パターン領域(スカート43)とからなる。サブフィールド42は転写すべきパターンの形成された部分である。スカート43はパターンの形成されてない部分であり、照明ビームの縁の部分が当たる。パターン形成の形態としては、メンブレインに孔開き部を設けるステンシルタイプと、電子線の高散乱体からなるパターン層をメンブレイン上に形成する散乱メンブレンタイプとがある。
【0036】
一つのサブフィールド42は、現在検討されているところでは、レチクル上で0.4〜4mm角程度の大きさを有する。投影の縮小率を1/4とすると、サブフィールドがウェハ上に縮小投影された投影像の大きさは、0.1〜1mm角である。小メンブレイン領域41の周囲の直交する格子状のマイナーストラットと呼ばれる部分45は、レチクルの機械強度を保つための、例えば厚さ0.5〜1mm程度の梁である。マイナーストラット45の幅は、例えば0.1mm程度である。なお、スカート43の幅は、例えば0.05mm程度である。
【0037】
図6(A)に示すように、図の横方向(X方向)に多数の小メンブレイン領域41が並んで一つのグループ(エレクトリカルストライプ44)をなし、そのようなエレクトリカルストライプ44が図の縦方向(Y方向)に多数並んで1つのメカニカルストライプ49を形成している。エレクトリカルストライプ44の長さ(メカニカルストライプ49の幅)は照明光学系の偏向可能視野の大きさによって制限される。なお、一つのエレクトリカルストライプ44内における隣り合うサブフィールド間に、スカートやマイナーストラットのような非パターン領域を設けない方式も検討されている。
【0038】
メカニカルストライプ49は、X方向に並列に複数存在する。
隣り合うメカニカルストライプ49の間にメジャーストラット47として示されている幅の太い梁は、レチクル全体のたわみを小さく保つためのものである。メジャーストラット47はマイナーストラット45と一体である。
【0039】
現在有力と考えられている方式によれば、1つのメカニカルストライプ(以下単にストライプと呼ぶ)49内のX方向のサブフィールド42の列(エレクトリカルストライプ44)は電子線偏向により順次露光される。一方、ストライプ49内のY方向の列は、連続ステージ走査により順次露光される。
【0040】
図7は、レチクルからウェハへのパターン転写の様子を模式的に示す斜視図である。図の上部にレチクル10上の1つのストライプ49が示されている。ストライプ49には上述のように多数のサブフィールド42(スカートについては図示省略)及びマイナーストラット45が形成されている。図の下部には、レチクル10と対向するウェハ23が示されている。
【0041】
この図では、レチクル上のストライプ49の一番手前のエレクトリカルストライプ44の左隅のサブフィールド42−1が上方からの照明ビームIBにより照明されている。そして、サブフィールド42−1を通過したパターンビームPBが、2段の投影レンズと像位置調整偏向器(図5参照)の作用によりウェハ23上の所定の領域52−1に縮小投影されている。
【0042】
パターンビームPBは、レチクル10とウェハ23の間で、2段の投影レンズの作用により、光軸と平行な方向から光軸と交差する方向へ、そしてその逆に計2回偏向される。
【0043】
ウェハ23上におけるサブフィールド像の転写位置は、レチクル10とウェハ23との間の光路中に設けられた偏向器(図5の符号16)により、各パターン小領域42に対応する被転写小領域52が互いに接するように調整される。すなわち、レチクル上のパターン小領域42を通過したパターンビームPBを第1投影レンズ及び第2投影レンズでウェハ23上に収束させるだけでは、レチクル10のパターン小領域42のみならずマイナーストラット45及びスカートの像までも所定の縮小率で転写することとなり、マイナーストラット45等の非パターン領域に相当する無露光領域が各被転写小領域52の間に生じる。このようにならないよう、非パターン領域の幅に相当する分だけパターン像の転写位置をずらしている。
【0044】
次に、本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置の概略を示す斜視図である。
図1の上部には、偏向器等を含む電子線光学系鏡筒27が示されている。電子線光学系鏡筒27の脇には、FIA(Field Image Alignment)方式(特開昭62−291133号公報参照)のアライメント装置である光学式マーク検出センサー26が配置されている。なお、FIA方式の他にLIA(Laser Interferometric Alignment)やLSA(Laser Step Alignment)を用いることもできる。
【0045】
電子線光学系鏡筒27及び光学式マーク検出センサー26の下方には、ウェハステージ24が配置されている。
ウェハステージ24上には、図のX方向に延びる長方形をしたマークプレート30が設けられている。
【0046】
マークプレート30上には、光学式フィジシャルマーク(以下Lマークともいう)28及び荷電粒子線式フィジシャルマーク(以下EBマークともいう)29が寸法BL0だけ隔てて設けられている。
【0047】
Lマーク28を光学式マーク検出センサー26の直下に位置させ、同センサ−26から紫外光等をLマーク28に照射し、光学センサーのマーク指標とLマーク28の像のズレを測ることにより、Lマーク28とセンサー26との相対的な位置を測定することができる。
【0048】
EBマーク29については、レチクル10(図5参照)上のマークパターンを通過したビームでEBマーク29を走査し、その際のマークからの反射電子を反射電子検出器22(図5参照)で検出することにより、EBマーク29の位置を測定することができる。
【0049】
電子線光学系鏡筒27の基準中心位置(鏡筒中心)の直下にEBマーク29を置き、同基準中心にレチクル上のマークパターンを置き、投影光学系の偏向器の出力を0としてマーク検出すれば、投影光学系に対するEBマーク29の位置がわかる。
【0050】
マークプレート30は、例えば、ゼロデュアー(低膨張ガラス)、低熱膨張アルミナ、セラミックス等の低熱膨張性且つ非導電性の基材からなる。基材上には、軽金属薄膜(アルミニウム等)をコーティングして、厚さ0.1μm以下の金属コート層を形成する。基材は、長手方向の長さが数百mm程度以上あるが、低熱膨張性の材料であるので、例えば0.1℃温度が上昇した場合の長手方向の変形量は数nm以下となる。そのため、温度が変化した時のLマーク28とEBマーク29の位置誤差は非常に小さいものとなり、露光位置精度に対して悪影響を及ぼすことはほとんど無い。
【0051】
Lマーク28は、マークプレート30に貼り付けられたり、機械的に固定されたり、又は基材に直接マーク形成されている。Lマーク28は、マークプレート30上に金属からなるマークパターンを蒸着して形成する。
EBマーク29は、マークプレート30上にTaやWなどの重金属からなるマークパターンを蒸着して形成する。
【0052】
EBマーク29とLマーク28との間隔BL0は、電子光学系鏡筒27の基準中心とマーク検出センサー26の中心(検出光学系光軸)との間隔の設計値と同じとしておく。こうすることにより、投影光学系と光学式マーク検出光学系の距離が容易に校正される。
【0053】
ウェハステージ24の側面には、端面が高精度に磨かれた反射鏡24aが設けられている。反射鏡24aの側方には、レーザ干渉計を用いた位置検出器25が付設されており、ウェハステージ24の位置をリアルタイムで正確に把握することができる。なお、これらの反射鏡24a及び位置検出器25等でX方向ステージ位置測定システムを構成している。図示は省略してあるが、同様のシステムがY方向ステージ位置測定用、及び、θZ(Z軸回り回転)計測用として設けられている。
【0054】
ウェハステージ24上には、ウェハ23が固定されている。ウェハ23上の数箇所には、ウェハ上の既存パターンの位置を検出するためのアライメントマーク23aが設けられている。
光学式マーク検出センサー26の直下にアライメントマーク23aを位置させてマーク計測を行う。その後に、ステージ24を送ってウェハ23を電子光学系鏡筒27の直下に移動させて露光を行う。
【0055】
あるいは、レチクル10(図5参照)上のマークパターンを通過したビームでウェハ23上のアライメントマーク23aを走査し、その際のマークからの反射電子を反射電子検出器22(図5参照)で検出することにより、レチクル10とウェハ23の相対的位置関係を知ることもできる。しかし、レチクル上のマークを直接ウェハ上のマークに投影・スキャンすると近傍を露光してしまうため、現状では、上記目的のアライメントは、光学式センサーとマークの計測により、ラフ(rough)アライメントを行い、ウェハ上のマークはファインアライメントに用いられている。
【0056】
次に、上述の電子線露光装置のビーム位置誤差について説明する。
図2は、ビーム位置誤差を説明するための図である。図2(A)は校正時にEBマークがとるべき目標マーク位置と実際のマーク位置を示す図であり、図2(B)はビーム偏向により干渉計が計測したステージ誤差(WS誤差)をコントローラが補正したビーム位置(F/P補正)とマークの位置関係を示す図であり、図2(C)は補正された位置を中心にビームを走査したときに検出される反射電子量を示す図である。
【0057】
図2(A)において、目標となるマーク位置(ウェハステージの位置制御によりマークを位置させようとしている目標位置)が十字の破線で示されている。この図では、実際のマーク位置は十字の実線で示された様に、目標となるマーク位置からずれている。ここでは、この誤差量をウェハステージ(WS)制御誤差と呼ぶ。
【0058】
図2(B)において、目標マーク位置が十字の破線で、実際のマーク位置が十字の実線で示されている。この図では、元の目標マーク位置にF/P(Filter/Predictor)補正が施され、目標マーク位置が実際のマーク位置の近くに移動している。ここで、この補正量をCFPとし、補正後の目標マーク位置と実際のマーク位置との誤差量をEFPと呼ぶ。
【0059】
図2(C)には、EBマークを検出するための高速偏向器(HSD:High Speed Deflector)座標位置と、その箇所での反射電子検出量が示されている。この図に示すように、実際のマーク位置は、HSD座標中心から(EFP+BD)だけシフトしている。ここで、BDはビームドリフトを示す。
【0060】
本来、F/P(ビーム偏向)でウェハステージ位置誤差は補正されるため、マーク検出結果はHSDの設計値位置になるはずである。しかし、図2に示したように、実際にウェハ上に投影されるビーム位置は、F/Pの位置誤差(EFP)及び、ビームドリフト(BD)によってシフトする。さらに、通常のベースラインチェック(BCHK)では、レチクル上のマークの位置誤差(RE)もビームシフトに加算される。このシフト量は、EBマーク検出時にHSDの偏向中心からマーク位置中心の距離で表される。つまり、本来マーク中心に偏向されるべきビームが(EFP+BD+RE)だけシフトしたことになる(図2(C)参照)。
【0061】
しかし、このシフト量が比較的大きい場合、電子光学計の光学補正系に支障をきたす。そこで、このシフト量が100nm未満の場合は、ベースラインへ加算する。なお、ここでいうベースラインとは、光学式マーク検出センサー26の中心と電子光学系中心との間の距離であり、ウェハ上のアライメントマーク検出の情報を電子光学系座標に換算する。
【0062】
この時、特に電子光学系の特別な補正をせずに、後述するベースラインを算出する。シフト量が100nm以上の場合は、ビーム偏向位置・電子光学補正系を調整し、再びBCHKを行う。なお、この100nmというシフト量は一例で、様々に変更できる。
【0063】
次に、上述の荷電粒子線装置を用いたベースライン長の算出方法について説明する。
図3は、上述の電子線露光装置におけるベースライン長の算出方法を説明するための図である。
図3には、図1に示したEBマーク29及び同マーク29を検出する電子線光学系(EO)鏡筒27が模式的に示されている。また、図1に示したLマーク28及び同マーク28を検出する光学式マーク検出センサー(以下FIAともいう)26が模式的に示されている。ここで、同時BCHKを行う時のEBマーク29とLマーク28との距離(ベースライン長)の設定値をBL0とする。なお、同時ベースラインチャックとは、EBマークを電子光学系鏡筒中心直下に位置させるとともにLマークを光学式マーク検出センサー中心直下に位置させ、この状態でステージを微小走査させながら又はビームを走査してマーク位置を同時検出し、各マークと電子光学系鏡筒中心又は光学式マーク検出センサー中心との相対位置関係を求め、それらを演算してベースライン長を求める操作のことである。
【0064】
電子線光学系鏡筒27の座標中心からドリフト前の光学式マーク検出センサー26の座標中心までの距離は、EBマーク29とLマーク28との距離と同じに設計されているので、BL0となる。一方、電子線光学系鏡筒27の座標中心(EO座標中心)からドリフト後の光学式マーク検出センサー26の座標中心(FIA座標中心)までの距離BL1は、BL0よりドリフト分Ddrifだけ短いBL1となる。また、ドリフト後のFIA座標中心からLマーク28の距離をDFIAとする。
【0065】
電子線光学系鏡筒27の下部からは、F/P(偏向)補正されたビームが実線で示されている。図2に示したように、この補正量はCFPであり、実際のビームは、マークから(EFP+BD)だけシフトしている。
【0066】
図3に示した諸値から以下の2つのベースライン長を求める。
BL1=BL0+DFIA−(EFP+BD)−CFP
BL2=BL0+DFIA−CFP
ここで、BL1は電子光学系中心からのFIAのシフトのみを示すベースライン長であり、光ステッパーのベースライン長とほぼ同じである。BL2はF/P補正残+ビームドリフトを含んだベースライン長となる。
【0067】
なお、非同時BCHKを行う場合は、EBマーク29とLマーク28との距離をBL0′とし、ウェハステージのステップ移動距離をSSをすると、
BL1′=BL0′+SS+DFIA−(EFP+BD)−CFP
BL2′=BL0′+SS+DFIA−CFP
となる。
【0068】
ここで、図4を参照しつつ、上述のEFPとBDの原因の切り分け方法について説明する。
図4は、上述のEFP+BDを示す図である。
EFP+BDが非常に大きい場合、要因の切り分けが必要となる。F/Pでの追従エラーEFPは、主に干渉計計測誤差とメインDAC(DAC:Digital Analogue Converter)のゲイン調整誤差であると考えられる。ここでMDAC誤差は、F/Pからの補正指令値の関数となる。なお、干渉計の計測誤差は、ミラーBowの校正精度などに依存するが、干渉計の測定点間隔が数十μm程度の範囲内であれば、ほぼ一定と思われるので、ここでは無視する。また、ビームドリフトBDはある程度安定しているものとする。
【0069】
上記の条件においては、ステージをステップ移動させ、以下のようなデータを得ることで原因の分離を行える。
まず、ステージをステップ移動させ、この時ステージの動きを追従するような信号をF/Pから電子光学系に送る。このとき得られるウェハステージのステップに対する電子光学系の追従誤差(EFP+BD+RE)の結果から、直線の傾きはMDACゲインエラー(理想は傾き0)、±最大偏向の中点値がBD+RE(+干渉計の計測誤差オフセット分)である。さらに様々なステージ位置で計測を行った場合の直線の変分はウェハステージの位置に依存した干渉計の計測誤差となる。
以上の結果から誤差の原因をある程度切り分けられる。
【0070】
干渉計の誤差は装置定数として考えて補正する。MDACの誤差はゲインの再調整を必要とする。REは、(リチクルアライメント)結果残であるため分離は困難であるが、レチクルの再ロード、再アライメント等によりある程度の予測は可能である。
【0071】
次に、図8、図9を参照しつつ、上述の荷電粒子線装置の調整方法について説明する。ここでは、同時BCHKを行う際の荷電粒子線装置の調整方法について説明する。
図8、図9は、上述の荷電粒子線装置の調整方法を示すフローチャートである。
図8においては、まず、FIAセンサー26(図1等参照)のリセット位置(図1のドリフト前の座標中心)にウェハステージを移動し、FIAセンサー26をリセットする(ステップ1)。これにより、光学マークのFIAによる位置検出が可能になると同時に、EBマークがHSD(高速偏向器)の走査範囲内に入り、ビーム走査によりEBマークの検出が可能となる。
【0072】
次に、レチクルステージをBCHKを行う位置に移動し(ステップ2)、Lマーク28及びEBマーク29をBCHKを行う位置に移動する(ステップ3)。
【0073】
ステージオートフォーカスのノミナル位置(正規位置)にウェハステージを移動させ(ステップ4)、光学式マーク検出センサー26のオートフォーカスでウェハステージのZ方向位置を検出する(ステップ5)。
【0074】
ここで、Z方向位置が光学式マーク検出センサー26の検出範囲内であれば(ステップ6)、ステージオートフォーカスで検出されたZ方向の補正量を電子光学系に送る(ステップ7)。
【0075】
Z方向位置が光学式マーク検出センサー26の検出範囲内でない場合には(ステップ6)、範囲内にウェハステージを移動させ(ステップ8)、ステージオートフォーカスでZ方向の位置を検出する(ステップ9)。
【0076】
ここで、Z方向位置が電子光学系の補正範囲内であれば(ステップ10)、ステージオートフォーカスで検出されたZ方向の補正量を電子光学系に送る(ステップ7)。
【0077】
Z方向位置が電子光学系の補正範囲内でない場合には(ステップ10)、両オートフォーカスがノーマル位置に来るようにウェハステージをチルト制御し(ステップ11)、ステージオートフォーカスで検出されたZ方向の補正量を電子光学系に送る(ステップ7)。
【0078】
続いて図9においては、光学式マーク検出センサー26でLマーク28(図1等参照)を検出し(ステップ12)、Lマーク28位置を算出する(ステップ13)。この時、干渉計の補正値を含む。
【0079】
また、F/Pからの補正信号がある場合には(ステップ14)、F/P補正値のLOGを参照しつつ、EBマーク29(図1等参照)を検出し(ステップ15)、マーク位置及びビームドリフトを算出する(ステップ16)。なお、ビームドリフトがあるしきい値以上であれば電子線光学系鏡筒そのものの調整・較正を行い、ステップ1に戻る必要がある。
【0080】
さらに、F/Pからの補正信号がない場合には(ステップ14)、干渉計での測定値のLOGを参照しつつ、EBマーク29を検出し(ステップ17)、マーク位置を算出する(ステップ18)。
【0081】
次に、上述のデータを参照しつつ、ベースライン長を算出する(ステップ19)。
ここで、Lマーク28及びEBマーク29が複数セット用意されている場合には、次のマークペアの計測を行う(ステップ20)。そして、複数のマークペアから算出されたベースライン長の平均値を求め(ステップ21)、EGA(Enhanced Global alignment、特開昭62−291133号公報等参照)等のアライメントに反映する。なお、複数マークペアの内の2ペアーのベースライン長の差が15nm以上(一例)であれば、警告を出し、次の露光動作に入らない用にする。
【0082】
さらに、2箇所のLマーク28の結果から、Y方向の干渉計測定誤差も算出してEGA結果に反映することもできる。また、非同時BCHKを行う場合には、マークの組み合わせにより、X/Y両方の干渉計測定誤差も算出できる。
【0083】
なお、非同時BCHKの場合には、光学式マーク検出センサー26でLマーク28を検出した後、続いてEBマーク29の検出を行う。その際、ウェハステージのチルト制御をする必要はない。
【0084】
以上図1〜図9を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置等について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な変更を加えることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、Lマークの荷電粒子線光学系座標における位置ずれを較正する計測シーケンス中に同時に、且つ独立してビームドリフトを計測し、その結果を元に光学系の較正を行い、さらにステージ位置誤差補正機能を考慮したベースライン長を求め、露光位置の補正値に加算することで、露光位置精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置の概略を示す斜視図である。
【図2】ビーム位置誤差を説明するための図である。図2(A)は校正時にEBマークがとるべき目標マーク位置と実際のマーク位置を示す図であり、図2(B)はビーム偏向により干渉計が計測したステージ誤差(WS誤差)をコントローラが補正したビーム位置(F/P補正)とマークの位置関係を示す図であり、図2(C)は補正された位置を中心にビームを走査したときに検出される反射電子量を示す図である。
【図3】上述の電子線露光装置におけるベースライン長の算出方法を説明するための図である。
【図4】上述のEFP+BDを示す図である。
【図5】分割転写方式の電子線投影露光装置の光学系全体における結像関係及び制御系の概要を示す図である。
【図6】電子線投影露光用のレチクルの構成例を模式的に示す図である。(A)は全体の平面図であり、(B)は一部の斜視図であり、(C)は一つの小メンブレイン領域の平面図である。
【図7】レチクルからウェハへのパターン転写の様子を模式的に示す斜視図である。
【図8】上述の荷電粒子線装置の調整方法を示すフローチャートである。
【図9】上述の荷電粒子線装置の調整方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
23 ウェハ
24 ウェハステージ
25 位置検出器
26 光学式マーク検出センサー
27 電子線光学系鏡筒
28 Lマーク
29 EBマーク
30 マークプレート
23a アライメントマーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路等のリソグラフィーに用いられる荷電粒子線装置及びその調整方法に関する。特には、より高精度な露光を行える荷電粒子線装置及びその調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体露光装置に対して、装置の高解像化、大露光フィールド化等の要求が一層高まっている。この高解像度化の要求に応えうるものとして、電子線を用いた露光装置が注目されてきている。
【0003】
電子線露光により、半導体デバイスパターンをウェハ(感応基板)上に形成する手法の一つとして、このデバイスパターンを多数の小パターン領域(サブフィールド)に分割し、各サブフィールド毎にウェハにパターンを一括的に転写する方式(分割転写方式)がある。この方式においては、パターン原版として用いるマスクの代表的なものは、電子ビームの通る孔を多数有するステンシルマスクである。マスクの孔の形状は、転写すべきパターンの個別要素図形の形状に対応している。このステンシルマスクを電子光学系中に配置し、マスクを通過した電子ビームをウェハ上に投影する。その際、電子ビームを偏向させる、あるいは、マスクステージやウェハステージを移動させるなどして、マスク上の各サブフィールドに順次電子ビームを照明し、ウェハ上に各サブフィールドのパターンをそれぞれ一括的に転写する。そして、ウェハ上では、各サブフィールドのパターンの像を繋ぎ合わせることにより、デバイスパターン全体を転写する。
【0004】
ここで、分割されたサブフィールドの像をウェハ上において高精度でつなぎ合わせるためには、レチクルとウェハ及び投影レンズ(投影光学系光軸)は、相互に高精度に位置合わせされなければならない。また、ウェハ上に既に形成されている下層パターンに正確にパターンを重ねるためにも、同様に高い位置合わせ技術が必要となる。
【0005】
装置に搭載したウェハの位置を装置の座標系上に正確に位置合せ(アライメント)するため、光学式マーク検出センサーを用いてウェハ上の複数の光学式アライメントマークを計測し、ウェハ上に既に形成されている下層パターンの位置を求める。この時、ウェハ上の数点から数十点の光学式アライメントマークを選択してマーク位置計測し、マーク計測結果からパターン配列の線形誤差成分などを算出し、露光位置補正を行うための位置補正データを決定する。
【0006】
この光学式マーク検出センサーは電子線鏡筒の側面付近に固定されており、該センサーの直下に上記アライメントマークを位置させてマーク計測を行う。その後に、ステージを送ってウェハを電子鏡筒の直下に移動させて露光を行う。したがって、アライメントマーク計測位置と実際の露光位置とにある一定の距離が生じる。ところで、この光学式マーク検出センサーと電子鏡筒との位置関係が、熱などの影響によりドリフトする場合がある。その場合には、レチクルロード時あるいはウェハロード毎に、このセンサーと鏡筒(より正確には投影光学系の光軸)との距離を校正しなくてはならない。また、電子ビーム自身も、機械的・電気的な様々な要因により軌道がドリフトする場合がある。
【0007】
このような光学式マーク検出センサーと電子鏡筒との相対位置関係は、光学式及び荷電粒子線式フィジシャルマークを所定の間隔を置いてウェハステージ上に配置し、これを用いて測定させる(詳細方法は図1を参照しつつ後述する)。
【0008】
現在開発中の分割転写方式の電子線露光装置においては、露光ビームを高速で偏向させるとともに、ウェハステージ・レチクルステージを高速で連続移動させながらパターン露光を行うため、露光時のウェハステージ・レチクルステージの位置誤差を高速で補正する必要がある。そのため、両ステージの位置誤差を干渉計システムで高速で計測し、この位置誤差情報をもとに電子鏡筒でビームの軌道を補正し、正確な位置に露光を行う。さらに、装置振動等の起因するビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差も、装置に加速度センサーを取り付けて振動を測定することにより把握して、上記ビーム偏向器により補正することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなステージ位置補正機能を有する露光装置の場合、前述の光学式マーク検出センサーと露光ビームとの軸間距離計測を行う時、ステージの位置誤差は、上記光学式マーク検出センサーを用いた光学式フィジシャルマークの検出結果には含まれるが、電子ビームを用いた荷電粒子線式フィジシャルマークの計測結果には含まれない。というのは、露光装置が自動的にステージ位置誤差をビーム偏向で補正するため、荷電粒子線式フィジシャルマークの計測結果は既に補正済みのデータとなるからである。従って上式では軸間距離の誤差は正確には計測できない。
【0010】
また、この相対軸間距離が変化する原因の一つである露光ビームのドリフトは露光位置精度だけではなく、結像性能等にも影響を及ぼすため、露光作業前に計測され、必要に応じて電子光学系の校正を行わなくてはならない。
さらに、マークの計測精度を向上させるため、各センサーとマークとの相対距離を最適化させる必要がある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、より高精度な露光を行える荷電粒子線装置及びその調整方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の荷電粒子線装置の調整方法は、 ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、 該ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、 前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、 該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、 を具備し、 前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、 前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク、及び、前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者を、ある寸法だけ隔てて設け、 前記光学式マーク検出センサーで検出した前記光学式フィジシャルマークの位置測定値、前記荷電粒子線式フィジシャルマークの位置測定値、及び、前記ステージの位置誤差を考慮して、前記光学式マーク検出センサーの軸と前記荷電粒子線光学系の軸との間の距離を算出することを特徴とする。
【0013】
光学式マーク検出センサーの位置ずれ、並びに、荷電粒子線光学系光軸の位置ずれを各々独自に計測し、計測値を装置構成に反映させることにより、より正確に位置出しを行うことができ、露光精度を向上できる。
なお、前記の「前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能」は、この機能を使わずにベースラインチェックを行えば、前述の課題で指摘した問題は生じないが、前記機能の使用・不使用の選択を行えるようにするには、制御系の構成が複雑となってしまう。そこで、本発明のような調整方法を採用する意義が生じる。
【0014】
前記荷電粒子線装置の調整方法においては、 前記荷電粒子線光学系光軸の位置ずれのうちのビームドリフトを計測することが好ましい。
ビームドリフトを計測して、荷電粒子線装置の調整の調整を行うことにより、より精度の高い露光を行える。
【0015】
前記荷電粒子線装置の調整方法においては、 前記ビームドリフトが所定のしきい値以上であれば、前記荷電粒子線光学系そのものの調整・較正を行うことが好ましい。
ビームドリフトがあるしきい値以上の時に、荷電粒子線光学系(レンズ、偏向器等)そのものの調整・較正を行うにより、ビームドリフトが大きい場合の露光精度の低下を防ぐことができる。
【0016】
本発明の荷電粒子線装置の調整方法は、 ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、 前記被照射基板のチルト制御を行う制御手段と、 前記ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、 前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、 該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、 を具備し、 前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、 前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク、及び、前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者をある寸法だけ隔てて設け、 前記両マークを同時に位置検出して、前記光学式マーク検出センサーの位置ずれ、又は、前記荷電粒子線光学系の光軸の位置ずれを、計測し、 その際、前記各々のマークの検出光又は荷電粒子線ビームのフォーカス位置が最適となるように、前記制御手段で前記ウェハステージをチルト制御することを特徴とする。
【0017】
各マークの検出前に各マークのフォーカス位置を調整することで、マーク位置の検出精度を向上できる。
【0018】
本発明の荷電粒子線装置は、 ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、 前記被照射基板のチルト制御を行う制御手段と、 前記ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、 前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、 を具備し、 前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、 前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク及び前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者がある寸法だけ隔てて設けられており、 前記両マークを同時に位置検出して、前記光学式マーク検出センサーの位置ずれ、又は、前記荷電粒子線光学系の光軸の位置ずれを、計測し、 その際、前記各々のマークの検出光又は荷電粒子線ビームのフォーカス位置が最適となるように、前記制御手段で前記ウェハステージをチルト制御することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、分割転写方式の電子線投影露光技術の概要を図面を参照しつつ説明する。
以下では、レチクル転写露光方式の場合で説明を進めるが、本発明の大部分の基本的手法はレチクルを用いずに直接露光する方式にも適用される。
【0020】
図5は、分割転写方式の電子線投影露光装置の光学系全体における結像関係及び制御系の概要を示す図である。
光学系の最上流に配置されている電子銃1は、下方に向けて電子線を放射する。電子銃1の下方には2段のコンデンサレンズ2、3が備えられており、電子線は、これらのコンデンサレンズ2、3によって収束されブランキング開口7にクロスオーバーC.O.を結像する。
【0021】
二段目のコンデンサレンズ3の下には、矩形開口4が備えられている。この矩形開口(照明ビーム成形開口)4は、レチクル(マスク)10の一つのサブフィールド(露光の1単位となるパターン小領域)を照明する照明ビームのみを通過させる。この開口4の像は、レンズ9によってレチクル10に結像される。
【0022】
ビーム成形開口4の下方には、ブランキング偏向器5が配置されている。同偏向器5は、必要時に照明ビームを偏向させてブランキング開口7の非開口部に当て、ビームがレチクル10に当たらないようにする。
【0023】
ブランキング開口7の下には、照明ビーム偏向器8が配置されている。この偏向器8は、主に照明ビームを図5の横方向(X方向)に順次走査して、照明光学系の視野内にあるレチクル10の各サブフィールドの照明を行う。偏向器8の下方には、照明レンズ9が配置されている。照明レンズ9は、レチクル10上にビーム成形開口4を結像させる。
【0024】
レチクル10は、実際には(図6を参照しつつ後述)光軸垂直面内(X−Y面)に広がっており、多数のサブフィールドを有する。レチクル10上には、全体として一個の半導体デバイスチップをなすパターン(チップパターン)が形成されている。もちろん、複数のレチクルに1個の半導体デバイスチップをなすパターンを分割して配置しても良い。
【0025】
レチクル10は移動可能なレチクルステージ11上に載置されており、レチクル10を光軸垂直方向(XY方向)に動かすことにより、照明光学系の視野よりも広い範囲に広がるレチクル上の各サブフィールドを照明することができる。
【0026】
レチクルステージ11には、レーザ干渉計を用いた位置検出器12が付設されており、レチクルステージ11の位置をリアルタイムで正確に把握することができる。
【0027】
レチクル10の下方には投影レンズ15及び19並びに偏向器16が設けられている。レチクル10の1つのサブフィールドを通過した電子線は、投影レンズ15、19、偏向器16によってウェハ23上の所定の位置に結像される。投影レンズ15、19及び偏向器16(像位置調整偏向器)の詳しい作用については、図7を参照して後述する。ウェハ23上には、適当なレジストが塗布されており、レジストに電子線のドーズが与えられ、レチクル上のパターンが縮小されてウェハ23上に転写される。
【0028】
レチクル10とウェハ23の間を縮小率比で内分する点にクロスオーバーC.O.が形成され、同クロスオーバー位置にはコントラスト開口18が設けられている。同開口18は、レチクル10の非パターン部で散乱された電子線がウェハ23に到達しないよう遮断する。
【0029】
ウェハ23の直上には反射電子検出器22が配置されている。この反射電子検出器22は、ウェハ23の被露光面やステージ上のマークで反射される電子の量を検出する。例えばレチクル10上のマークパターンを通過したビームでウェハ23上のマークを走査し、その際のマークからの反射電子を検出することにより、レチクル10とウェハ23の相対的位置関係やビームドリフトの量を知ることができる。
【0030】
ウェハ23は、静電チャック(図示されず)を介して、XY方向に移動可能なウェハステージ24上に載置されている。上記レチクルステージ11とウェハステージ24とを、互いに逆の方向に同期走査することにより、投影光学系の視野を越えて広がるチップパターン内の各部を順次露光することができる。また、ウェハステージ24には、ピエゾ素子等のアクチュエータで構成され、ウェハ23のZ方向やウェハ23のチルト姿勢(θX、θY回転量)を制御する駆動機構(図1参照)が装備されている。また、ウェハの真上には、ウェハ23のZ方向位置を検出するオートフォーカス(AF)装置(図1参照)も装備されている。
【0031】
ウェハステージ24上の反射電子検出器22の側方には、ウェハステージ24上に設けられた光学式フィジシャルマーク(図1参照)の位置を検出する光学式マーク検出センサー26(図1参照)が配置されている。
【0032】
上記各レンズ2、3、9、15、19及び各偏向器5、8、16は、各々のコイル電源制御部2a、3a、9a、15a、19a及び5a、8a、16aを介してコントローラ31によりコントロールされる。また、レチクルステージ11及びウェハステージ24も、ステージ制御部11a、24aを介して、コントローラ31により制御される。ステージ位置検出器12、25は、アンプやA/D変換器等を含むインターフェース12a、25aを介してコントローラ31に信号を送る。また、反射電子検出器22も同様のインターフェース22aを介してコントローラ31に信号を送る。
【0033】
コントローラ31は、ステージ位置の制御誤差等を把握し、その誤差を像位置調整偏向器16で補正する。これにより、レチクル10上のサブフィールドの縮小像がウェハ23上の目標位置に正確に転写される。そして、ウェハ23上で各サブフィールド像が繋ぎ合わされて、レチクル上のチップパターン全体がウェハ上に転写される。
【0034】
次に、分割転写方式の電子線投影露光に用いられるレチクルの詳細例について、図6を参照しつつ説明する。
図6は、電子線投影露光用のレチクルの構成例を模式的に示す図である。(A)は全体の平面図であり、(B)は一部の斜視図であり、(C)は一つの小メンブレイン領域の平面図である。このようなレチクルは、例えばシリコンウェハに電子線描画・エッチングを行うことにより製作できる。
【0035】
図6(A)には、レチクル10における全体のパターン分割配置状態が示されている。同図中に多数の正方形41で示されている領域が、一つのサブフィールドに対応したパターン領域を含む小メンブレイン領域(厚さ0.1μm 〜数μm )である。図6(C)に示すように、小メンブレイン領域41は、中央部のパターン領域(サブフィールド)42と、その周囲の額縁状の非パターン領域(スカート43)とからなる。サブフィールド42は転写すべきパターンの形成された部分である。スカート43はパターンの形成されてない部分であり、照明ビームの縁の部分が当たる。パターン形成の形態としては、メンブレインに孔開き部を設けるステンシルタイプと、電子線の高散乱体からなるパターン層をメンブレイン上に形成する散乱メンブレンタイプとがある。
【0036】
一つのサブフィールド42は、現在検討されているところでは、レチクル上で0.4〜4mm角程度の大きさを有する。投影の縮小率を1/4とすると、サブフィールドがウェハ上に縮小投影された投影像の大きさは、0.1〜1mm角である。小メンブレイン領域41の周囲の直交する格子状のマイナーストラットと呼ばれる部分45は、レチクルの機械強度を保つための、例えば厚さ0.5〜1mm程度の梁である。マイナーストラット45の幅は、例えば0.1mm程度である。なお、スカート43の幅は、例えば0.05mm程度である。
【0037】
図6(A)に示すように、図の横方向(X方向)に多数の小メンブレイン領域41が並んで一つのグループ(エレクトリカルストライプ44)をなし、そのようなエレクトリカルストライプ44が図の縦方向(Y方向)に多数並んで1つのメカニカルストライプ49を形成している。エレクトリカルストライプ44の長さ(メカニカルストライプ49の幅)は照明光学系の偏向可能視野の大きさによって制限される。なお、一つのエレクトリカルストライプ44内における隣り合うサブフィールド間に、スカートやマイナーストラットのような非パターン領域を設けない方式も検討されている。
【0038】
メカニカルストライプ49は、X方向に並列に複数存在する。
隣り合うメカニカルストライプ49の間にメジャーストラット47として示されている幅の太い梁は、レチクル全体のたわみを小さく保つためのものである。メジャーストラット47はマイナーストラット45と一体である。
【0039】
現在有力と考えられている方式によれば、1つのメカニカルストライプ(以下単にストライプと呼ぶ)49内のX方向のサブフィールド42の列(エレクトリカルストライプ44)は電子線偏向により順次露光される。一方、ストライプ49内のY方向の列は、連続ステージ走査により順次露光される。
【0040】
図7は、レチクルからウェハへのパターン転写の様子を模式的に示す斜視図である。図の上部にレチクル10上の1つのストライプ49が示されている。ストライプ49には上述のように多数のサブフィールド42(スカートについては図示省略)及びマイナーストラット45が形成されている。図の下部には、レチクル10と対向するウェハ23が示されている。
【0041】
この図では、レチクル上のストライプ49の一番手前のエレクトリカルストライプ44の左隅のサブフィールド42−1が上方からの照明ビームIBにより照明されている。そして、サブフィールド42−1を通過したパターンビームPBが、2段の投影レンズと像位置調整偏向器(図5参照)の作用によりウェハ23上の所定の領域52−1に縮小投影されている。
【0042】
パターンビームPBは、レチクル10とウェハ23の間で、2段の投影レンズの作用により、光軸と平行な方向から光軸と交差する方向へ、そしてその逆に計2回偏向される。
【0043】
ウェハ23上におけるサブフィールド像の転写位置は、レチクル10とウェハ23との間の光路中に設けられた偏向器(図5の符号16)により、各パターン小領域42に対応する被転写小領域52が互いに接するように調整される。すなわち、レチクル上のパターン小領域42を通過したパターンビームPBを第1投影レンズ及び第2投影レンズでウェハ23上に収束させるだけでは、レチクル10のパターン小領域42のみならずマイナーストラット45及びスカートの像までも所定の縮小率で転写することとなり、マイナーストラット45等の非パターン領域に相当する無露光領域が各被転写小領域52の間に生じる。このようにならないよう、非パターン領域の幅に相当する分だけパターン像の転写位置をずらしている。
【0044】
次に、本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置の概略を示す斜視図である。
図1の上部には、偏向器等を含む電子線光学系鏡筒27が示されている。電子線光学系鏡筒27の脇には、FIA(Field Image Alignment)方式(特開昭62−291133号公報参照)のアライメント装置である光学式マーク検出センサー26が配置されている。なお、FIA方式の他にLIA(Laser Interferometric Alignment)やLSA(Laser Step Alignment)を用いることもできる。
【0045】
電子線光学系鏡筒27及び光学式マーク検出センサー26の下方には、ウェハステージ24が配置されている。
ウェハステージ24上には、図のX方向に延びる長方形をしたマークプレート30が設けられている。
【0046】
マークプレート30上には、光学式フィジシャルマーク(以下Lマークともいう)28及び荷電粒子線式フィジシャルマーク(以下EBマークともいう)29が寸法BL0だけ隔てて設けられている。
【0047】
Lマーク28を光学式マーク検出センサー26の直下に位置させ、同センサ−26から紫外光等をLマーク28に照射し、光学センサーのマーク指標とLマーク28の像のズレを測ることにより、Lマーク28とセンサー26との相対的な位置を測定することができる。
【0048】
EBマーク29については、レチクル10(図5参照)上のマークパターンを通過したビームでEBマーク29を走査し、その際のマークからの反射電子を反射電子検出器22(図5参照)で検出することにより、EBマーク29の位置を測定することができる。
【0049】
電子線光学系鏡筒27の基準中心位置(鏡筒中心)の直下にEBマーク29を置き、同基準中心にレチクル上のマークパターンを置き、投影光学系の偏向器の出力を0としてマーク検出すれば、投影光学系に対するEBマーク29の位置がわかる。
【0050】
マークプレート30は、例えば、ゼロデュアー(低膨張ガラス)、低熱膨張アルミナ、セラミックス等の低熱膨張性且つ非導電性の基材からなる。基材上には、軽金属薄膜(アルミニウム等)をコーティングして、厚さ0.1μm以下の金属コート層を形成する。基材は、長手方向の長さが数百mm程度以上あるが、低熱膨張性の材料であるので、例えば0.1℃温度が上昇した場合の長手方向の変形量は数nm以下となる。そのため、温度が変化した時のLマーク28とEBマーク29の位置誤差は非常に小さいものとなり、露光位置精度に対して悪影響を及ぼすことはほとんど無い。
【0051】
Lマーク28は、マークプレート30に貼り付けられたり、機械的に固定されたり、又は基材に直接マーク形成されている。Lマーク28は、マークプレート30上に金属からなるマークパターンを蒸着して形成する。
EBマーク29は、マークプレート30上にTaやWなどの重金属からなるマークパターンを蒸着して形成する。
【0052】
EBマーク29とLマーク28との間隔BL0は、電子光学系鏡筒27の基準中心とマーク検出センサー26の中心(検出光学系光軸)との間隔の設計値と同じとしておく。こうすることにより、投影光学系と光学式マーク検出光学系の距離が容易に校正される。
【0053】
ウェハステージ24の側面には、端面が高精度に磨かれた反射鏡24aが設けられている。反射鏡24aの側方には、レーザ干渉計を用いた位置検出器25が付設されており、ウェハステージ24の位置をリアルタイムで正確に把握することができる。なお、これらの反射鏡24a及び位置検出器25等でX方向ステージ位置測定システムを構成している。図示は省略してあるが、同様のシステムがY方向ステージ位置測定用、及び、θZ(Z軸回り回転)計測用として設けられている。
【0054】
ウェハステージ24上には、ウェハ23が固定されている。ウェハ23上の数箇所には、ウェハ上の既存パターンの位置を検出するためのアライメントマーク23aが設けられている。
光学式マーク検出センサー26の直下にアライメントマーク23aを位置させてマーク計測を行う。その後に、ステージ24を送ってウェハ23を電子光学系鏡筒27の直下に移動させて露光を行う。
【0055】
あるいは、レチクル10(図5参照)上のマークパターンを通過したビームでウェハ23上のアライメントマーク23aを走査し、その際のマークからの反射電子を反射電子検出器22(図5参照)で検出することにより、レチクル10とウェハ23の相対的位置関係を知ることもできる。しかし、レチクル上のマークを直接ウェハ上のマークに投影・スキャンすると近傍を露光してしまうため、現状では、上記目的のアライメントは、光学式センサーとマークの計測により、ラフ(rough)アライメントを行い、ウェハ上のマークはファインアライメントに用いられている。
【0056】
次に、上述の電子線露光装置のビーム位置誤差について説明する。
図2は、ビーム位置誤差を説明するための図である。図2(A)は校正時にEBマークがとるべき目標マーク位置と実際のマーク位置を示す図であり、図2(B)はビーム偏向により干渉計が計測したステージ誤差(WS誤差)をコントローラが補正したビーム位置(F/P補正)とマークの位置関係を示す図であり、図2(C)は補正された位置を中心にビームを走査したときに検出される反射電子量を示す図である。
【0057】
図2(A)において、目標となるマーク位置(ウェハステージの位置制御によりマークを位置させようとしている目標位置)が十字の破線で示されている。この図では、実際のマーク位置は十字の実線で示された様に、目標となるマーク位置からずれている。ここでは、この誤差量をウェハステージ(WS)制御誤差と呼ぶ。
【0058】
図2(B)において、目標マーク位置が十字の破線で、実際のマーク位置が十字の実線で示されている。この図では、元の目標マーク位置にF/P(Filter/Predictor)補正が施され、目標マーク位置が実際のマーク位置の近くに移動している。ここで、この補正量をCFPとし、補正後の目標マーク位置と実際のマーク位置との誤差量をEFPと呼ぶ。
【0059】
図2(C)には、EBマークを検出するための高速偏向器(HSD:High Speed Deflector)座標位置と、その箇所での反射電子検出量が示されている。この図に示すように、実際のマーク位置は、HSD座標中心から(EFP+BD)だけシフトしている。ここで、BDはビームドリフトを示す。
【0060】
本来、F/P(ビーム偏向)でウェハステージ位置誤差は補正されるため、マーク検出結果はHSDの設計値位置になるはずである。しかし、図2に示したように、実際にウェハ上に投影されるビーム位置は、F/Pの位置誤差(EFP)及び、ビームドリフト(BD)によってシフトする。さらに、通常のベースラインチェック(BCHK)では、レチクル上のマークの位置誤差(RE)もビームシフトに加算される。このシフト量は、EBマーク検出時にHSDの偏向中心からマーク位置中心の距離で表される。つまり、本来マーク中心に偏向されるべきビームが(EFP+BD+RE)だけシフトしたことになる(図2(C)参照)。
【0061】
しかし、このシフト量が比較的大きい場合、電子光学計の光学補正系に支障をきたす。そこで、このシフト量が100nm未満の場合は、ベースラインへ加算する。なお、ここでいうベースラインとは、光学式マーク検出センサー26の中心と電子光学系中心との間の距離であり、ウェハ上のアライメントマーク検出の情報を電子光学系座標に換算する。
【0062】
この時、特に電子光学系の特別な補正をせずに、後述するベースラインを算出する。シフト量が100nm以上の場合は、ビーム偏向位置・電子光学補正系を調整し、再びBCHKを行う。なお、この100nmというシフト量は一例で、様々に変更できる。
【0063】
次に、上述の荷電粒子線装置を用いたベースライン長の算出方法について説明する。
図3は、上述の電子線露光装置におけるベースライン長の算出方法を説明するための図である。
図3には、図1に示したEBマーク29及び同マーク29を検出する電子線光学系(EO)鏡筒27が模式的に示されている。また、図1に示したLマーク28及び同マーク28を検出する光学式マーク検出センサー(以下FIAともいう)26が模式的に示されている。ここで、同時BCHKを行う時のEBマーク29とLマーク28との距離(ベースライン長)の設定値をBL0とする。なお、同時ベースラインチャックとは、EBマークを電子光学系鏡筒中心直下に位置させるとともにLマークを光学式マーク検出センサー中心直下に位置させ、この状態でステージを微小走査させながら又はビームを走査してマーク位置を同時検出し、各マークと電子光学系鏡筒中心又は光学式マーク検出センサー中心との相対位置関係を求め、それらを演算してベースライン長を求める操作のことである。
【0064】
電子線光学系鏡筒27の座標中心からドリフト前の光学式マーク検出センサー26の座標中心までの距離は、EBマーク29とLマーク28との距離と同じに設計されているので、BL0となる。一方、電子線光学系鏡筒27の座標中心(EO座標中心)からドリフト後の光学式マーク検出センサー26の座標中心(FIA座標中心)までの距離BL1は、BL0よりドリフト分Ddrifだけ短いBL1となる。また、ドリフト後のFIA座標中心からLマーク28の距離をDFIAとする。
【0065】
電子線光学系鏡筒27の下部からは、F/P(偏向)補正されたビームが実線で示されている。図2に示したように、この補正量はCFPであり、実際のビームは、マークから(EFP+BD)だけシフトしている。
【0066】
図3に示した諸値から以下の2つのベースライン長を求める。
BL1=BL0+DFIA−(EFP+BD)−CFP
BL2=BL0+DFIA−CFP
ここで、BL1は電子光学系中心からのFIAのシフトのみを示すベースライン長であり、光ステッパーのベースライン長とほぼ同じである。BL2はF/P補正残+ビームドリフトを含んだベースライン長となる。
【0067】
なお、非同時BCHKを行う場合は、EBマーク29とLマーク28との距離をBL0′とし、ウェハステージのステップ移動距離をSSをすると、
BL1′=BL0′+SS+DFIA−(EFP+BD)−CFP
BL2′=BL0′+SS+DFIA−CFP
となる。
【0068】
ここで、図4を参照しつつ、上述のEFPとBDの原因の切り分け方法について説明する。
図4は、上述のEFP+BDを示す図である。
EFP+BDが非常に大きい場合、要因の切り分けが必要となる。F/Pでの追従エラーEFPは、主に干渉計計測誤差とメインDAC(DAC:Digital Analogue Converter)のゲイン調整誤差であると考えられる。ここでMDAC誤差は、F/Pからの補正指令値の関数となる。なお、干渉計の計測誤差は、ミラーBowの校正精度などに依存するが、干渉計の測定点間隔が数十μm程度の範囲内であれば、ほぼ一定と思われるので、ここでは無視する。また、ビームドリフトBDはある程度安定しているものとする。
【0069】
上記の条件においては、ステージをステップ移動させ、以下のようなデータを得ることで原因の分離を行える。
まず、ステージをステップ移動させ、この時ステージの動きを追従するような信号をF/Pから電子光学系に送る。このとき得られるウェハステージのステップに対する電子光学系の追従誤差(EFP+BD+RE)の結果から、直線の傾きはMDACゲインエラー(理想は傾き0)、±最大偏向の中点値がBD+RE(+干渉計の計測誤差オフセット分)である。さらに様々なステージ位置で計測を行った場合の直線の変分はウェハステージの位置に依存した干渉計の計測誤差となる。
以上の結果から誤差の原因をある程度切り分けられる。
【0070】
干渉計の誤差は装置定数として考えて補正する。MDACの誤差はゲインの再調整を必要とする。REは、(リチクルアライメント)結果残であるため分離は困難であるが、レチクルの再ロード、再アライメント等によりある程度の予測は可能である。
【0071】
次に、図8、図9を参照しつつ、上述の荷電粒子線装置の調整方法について説明する。ここでは、同時BCHKを行う際の荷電粒子線装置の調整方法について説明する。
図8、図9は、上述の荷電粒子線装置の調整方法を示すフローチャートである。
図8においては、まず、FIAセンサー26(図1等参照)のリセット位置(図1のドリフト前の座標中心)にウェハステージを移動し、FIAセンサー26をリセットする(ステップ1)。これにより、光学マークのFIAによる位置検出が可能になると同時に、EBマークがHSD(高速偏向器)の走査範囲内に入り、ビーム走査によりEBマークの検出が可能となる。
【0072】
次に、レチクルステージをBCHKを行う位置に移動し(ステップ2)、Lマーク28及びEBマーク29をBCHKを行う位置に移動する(ステップ3)。
【0073】
ステージオートフォーカスのノミナル位置(正規位置)にウェハステージを移動させ(ステップ4)、光学式マーク検出センサー26のオートフォーカスでウェハステージのZ方向位置を検出する(ステップ5)。
【0074】
ここで、Z方向位置が光学式マーク検出センサー26の検出範囲内であれば(ステップ6)、ステージオートフォーカスで検出されたZ方向の補正量を電子光学系に送る(ステップ7)。
【0075】
Z方向位置が光学式マーク検出センサー26の検出範囲内でない場合には(ステップ6)、範囲内にウェハステージを移動させ(ステップ8)、ステージオートフォーカスでZ方向の位置を検出する(ステップ9)。
【0076】
ここで、Z方向位置が電子光学系の補正範囲内であれば(ステップ10)、ステージオートフォーカスで検出されたZ方向の補正量を電子光学系に送る(ステップ7)。
【0077】
Z方向位置が電子光学系の補正範囲内でない場合には(ステップ10)、両オートフォーカスがノーマル位置に来るようにウェハステージをチルト制御し(ステップ11)、ステージオートフォーカスで検出されたZ方向の補正量を電子光学系に送る(ステップ7)。
【0078】
続いて図9においては、光学式マーク検出センサー26でLマーク28(図1等参照)を検出し(ステップ12)、Lマーク28位置を算出する(ステップ13)。この時、干渉計の補正値を含む。
【0079】
また、F/Pからの補正信号がある場合には(ステップ14)、F/P補正値のLOGを参照しつつ、EBマーク29(図1等参照)を検出し(ステップ15)、マーク位置及びビームドリフトを算出する(ステップ16)。なお、ビームドリフトがあるしきい値以上であれば電子線光学系鏡筒そのものの調整・較正を行い、ステップ1に戻る必要がある。
【0080】
さらに、F/Pからの補正信号がない場合には(ステップ14)、干渉計での測定値のLOGを参照しつつ、EBマーク29を検出し(ステップ17)、マーク位置を算出する(ステップ18)。
【0081】
次に、上述のデータを参照しつつ、ベースライン長を算出する(ステップ19)。
ここで、Lマーク28及びEBマーク29が複数セット用意されている場合には、次のマークペアの計測を行う(ステップ20)。そして、複数のマークペアから算出されたベースライン長の平均値を求め(ステップ21)、EGA(Enhanced Global alignment、特開昭62−291133号公報等参照)等のアライメントに反映する。なお、複数マークペアの内の2ペアーのベースライン長の差が15nm以上(一例)であれば、警告を出し、次の露光動作に入らない用にする。
【0082】
さらに、2箇所のLマーク28の結果から、Y方向の干渉計測定誤差も算出してEGA結果に反映することもできる。また、非同時BCHKを行う場合には、マークの組み合わせにより、X/Y両方の干渉計測定誤差も算出できる。
【0083】
なお、非同時BCHKの場合には、光学式マーク検出センサー26でLマーク28を検出した後、続いてEBマーク29の検出を行う。その際、ウェハステージのチルト制御をする必要はない。
【0084】
以上図1〜図9を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置等について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な変更を加えることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、Lマークの荷電粒子線光学系座標における位置ずれを較正する計測シーケンス中に同時に、且つ独立してビームドリフトを計測し、その結果を元に光学系の較正を行い、さらにステージ位置誤差補正機能を考慮したベースライン長を求め、露光位置の補正値に加算することで、露光位置精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る荷電粒子線装置の概略を示す斜視図である。
【図2】ビーム位置誤差を説明するための図である。図2(A)は校正時にEBマークがとるべき目標マーク位置と実際のマーク位置を示す図であり、図2(B)はビーム偏向により干渉計が計測したステージ誤差(WS誤差)をコントローラが補正したビーム位置(F/P補正)とマークの位置関係を示す図であり、図2(C)は補正された位置を中心にビームを走査したときに検出される反射電子量を示す図である。
【図3】上述の電子線露光装置におけるベースライン長の算出方法を説明するための図である。
【図4】上述のEFP+BDを示す図である。
【図5】分割転写方式の電子線投影露光装置の光学系全体における結像関係及び制御系の概要を示す図である。
【図6】電子線投影露光用のレチクルの構成例を模式的に示す図である。(A)は全体の平面図であり、(B)は一部の斜視図であり、(C)は一つの小メンブレイン領域の平面図である。
【図7】レチクルからウェハへのパターン転写の様子を模式的に示す斜視図である。
【図8】上述の荷電粒子線装置の調整方法を示すフローチャートである。
【図9】上述の荷電粒子線装置の調整方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
23 ウェハ
24 ウェハステージ
25 位置検出器
26 光学式マーク検出センサー
27 電子線光学系鏡筒
28 Lマーク
29 EBマーク
30 マークプレート
23a アライメントマーク
Claims (5)
- ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、
該ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、
前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、
該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、
を具備し、
前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、
前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク、及び、前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者を、ある寸法だけ隔てて設け、
前記光学式マーク検出センサーで検出した前記光学式フィジシャルマークの位置測定値、前記荷電粒子線式フィジシャルマークの位置測定値、及び、前記ステージの位置誤差を考慮して、前記光学式マーク検出センサーの軸と前記荷電粒子線光学系の軸との間の距離を算出することを特徴とする荷電粒子線装置の調整方法。 - 前記荷電粒子線光学系光軸の位置ずれのうちのビームドリフトを計測することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線装置の調整方法。
- 前記ビームドリフトが所定のしきい値以上であれば、前記荷電粒子線光学系そのものの調整・較正を行うことを特徴とする請求項2記載の荷電粒子線装置の調整方法。
- ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、
前記被照射基板のチルト制御を行う制御手段と、
前記ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、
前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、
該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、
を具備し、
前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、
前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク、及び、前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者をある寸法だけ隔てて設け、
前記両マークを同時に位置検出して、前記光学式マーク検出センサーの位置ずれ、又は、前記荷電粒子線光学系の光軸の位置ずれを、計測し、
その際、前記各々のマークの検出光又は荷電粒子線ビームのフォーカス位置が最適となるように、前記制御手段で前記ウェハステージをチルト制御することを特徴とする荷電粒子線装置の調整方法。 - ウェハ等の被照射基板を載置するための移動ステージ(ウェハステージ)と、
前記被照射基板のチルト制御を行う制御手段と、
前記ウェハステージの位置を計測する位置測定システムと、
前記ウェハステージ上の前記基板に荷電粒子線束(ビーム)を照射する荷電粒子線光学系と、
該光学系の側方に配置された光学式マーク検出センサーと、
を具備し、
前記ステージの位置制御誤差や装置振動等に起因する前記ビーム照射の目標位置と実際の照射位置との誤差を前記ビームの軌道を偏向させることにより補正する機能を有する荷電粒子線装置の調整方法であって、
前記ステージ上に、前記荷電粒子線を照射して検出する荷電粒子線式フィジシャルマーク及び前記センサーで検出する光学式フィジシャルマークの両者がある寸法だけ隔てて設けられており、
前記両マークを同時に位置検出して、前記光学式マーク検出センサーの位置ずれ、又は、前記荷電粒子線光学系の光軸の位置ずれを、計測し、
その際、前記各々のマークの検出光又は荷電粒子線ビームのフォーカス位置が最適となるように、前記制御手段で前記ウェハステージをチルト制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
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