JP2007150230A - 多接合型シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】開放電圧、曲線因子、および光電変換効率などの特性が改善された多接合型シリコン系薄膜光電変換装置構造を提供する。
【解決手段】多接合型シリコン系薄膜光電変換装置は、互いに積層されて隣接する2つの非晶質シリコン系光電変換ユニット(41、42)を含み、それら2つの光電変換ユニットの各々は互いに同じ順序で積層されたp型導電型層(411、421)、水素化非晶質シリコンまたは水素化非晶質シリコン合金からなる実質的にi型の光電変換層(412、422)、およびn型導電型層(413、423)を含み、それら2つのi型光電変換層の間に位置している特定のn型導電型層(413)の厚さが5nm以上で30nm以下の範囲内にありかつその導電率が1×10-4S/cm以上で1×10-3S/cm未満の範囲内にある。
【選択図】図1
【解決手段】多接合型シリコン系薄膜光電変換装置は、互いに積層されて隣接する2つの非晶質シリコン系光電変換ユニット(41、42)を含み、それら2つの光電変換ユニットの各々は互いに同じ順序で積層されたp型導電型層(411、421)、水素化非晶質シリコンまたは水素化非晶質シリコン合金からなる実質的にi型の光電変換層(412、422)、およびn型導電型層(413、423)を含み、それら2つのi型光電変換層の間に位置している特定のn型導電型層(413)の厚さが5nm以上で30nm以下の範囲内にありかつその導電率が1×10-4S/cm以上で1×10-3S/cm未満の範囲内にある。
【選択図】図1
Description
本発明はシリコン系薄膜光電変換装置に関し、特に多接合型シリコン系薄膜光電変換装置における光電変換特性の改善に関する。
今日、薄膜光電変換装置は多様化し、従来の非晶質シリコン系光電変換ユニットを含む非晶質光電変換装置の他に結晶質シリコン系光電変換ユニットを含む結晶質光電変換装置も開発され、これらのユニットを積層した多接合型薄膜光電変換装置も実用化されている。なお、本願において使用する用語「結晶質」は、多結晶および微結晶を包含する。また、用語「結晶質」および「微結晶」は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
薄膜光電変換装置は、一般的に、透明絶縁基板上に順に積層された透明導電膜、1以上の薄膜光電変換ユニット、および裏面側の金属電極膜を含んでいる。そして、1つの薄膜光電変換ユニットはp型導電型層とn型導電型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。
薄膜光電変換ユニットの厚さの大部分を占めるi型層は実質的に真性の半導体層であって、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。したがって、このi型層が光電変換層と呼ばれる。そして、光吸収を大きくし光電流を大きくする観点からは、i型層の厚さは大きい方が好ましい。
他方、p型導電型層やn型導電型層は導電型層と呼ばれ、薄膜光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たしており、この拡散電位の大きさに依存して薄膜光電変換装置の特性の1つである開放電圧(Voc)の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない損失となる。さらに、導電型層の導電率が低ければ直列抵抗が大きくなって薄膜光電変換装置の光電変換特性を低下させる。したがって、p型とn型の導電型層は、十分な拡散電位を生じさせ得る範囲内であれば、できるだけ小さな厚さを有することが好ましく、すなわち、できるだけ透光性であってかつ高い導電性を有することが好ましい。
このようなことから、薄膜光電変換ユニットまたは薄膜光電変換装置は、それに含まれる導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占めるi型層が非晶質シリコン系のものは非晶質シリコン系光電変換ユニットまたは非晶質シリコン系薄膜光電変換装置と称され、i型層が結晶質シリコン系のものは結晶質シリコン系光電変換ユニットまたは結晶質シリコン系光電変換装置と称される。
また、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層することによって多接合型と呼ばれる光電変換装置にすることが知られている。このような多接合型光電変換装置においては、大きな光学的禁制帯幅(バンドギャップ)を有する光電変換層を含む光電変換ユニットを光入射側に配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む光電変換ユニットを配置することによって入射光の広い波長範囲にわたる光電変換を可能にし、それによって装置全体としての変換効率の向上が図られている。
また、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させるために、薄膜光電変換ユニット間に、導電性を有しかつ薄膜光電変換ユニットを形成する材料よりも低い屈折率を有する材料からなる中間透過反射膜を形成する方法も知られている。そのような中間透過反射膜は短波長側の光を反射して長波長側の光を透過させることができ、より効果的な光閉じ込めを可能にして、各薄膜光電変換ユニット内の光吸収効率を改善し得る。
特許文献1の特開2005−045129号公報によれば、pin接合からなる光電変換ユニットの複数を含む積層型光電変換装置において、光入射側から順に第一光電変換ユニット、シリコン複合層、および第二光電変換ユニットを含み、そのシリコン複合層はシリコンと酸素の非晶質合金中にシリコン結晶相を含むことが開示されている。そして、その特許文献1のシリコン複合層は中間透過反射膜としての効果を生じ、その導電率が10-8S/cm以上で10-1S/cm以下の範囲内にあるとされている。
特開2005−045129号公報
本発明者らは、互いに積層されて隣接する2つの非晶質シリコン系光電変換ユニットを含む多接合型シリコン系薄膜光電変換装置に関して、それら2つの光電変換ユニットの光電変換層の間に位置していて一方の光電変換ユニットを構成するn型導電型層について詳細に検討した。その結果、その特定のn型導電型層として上述のようなシリコン複合層を用いた場合、中間透過反射膜としての作用による光閉じ込め効果は得られるが、光電変換装置の特性のうちで高い開放電圧と高い曲線因子を得ることが困難であって、十分な光電変換効率が得られないという問題を生じることが見出された。
このような新たな問題に鑑み、本発明は、互いに隣接する非晶質シリコン系光電変換ユニットを含む多接合型シリコン系薄膜光電変換装置に関して、高い開放電圧と高い曲線因子を得ることが可能であって、十分な光電変換効率が得られる積層構造を提供することを目的としている。
本発明による多接合型シリコン系薄膜光電変換装置は、互いに積層されて隣接する2つの非晶質シリコン系光電変換ユニットを含み、それら2つの光電変換ユニットの各々は互いに同じ順序で積層されたp型導電型層、水素化非晶質シリコンまたは水素化非晶質シリコン合金からなる実質的にi型の光電変換層、およびn型導電型層を含み、それら2つのi型光電変換層の間に位置している特定のn型導電型層の厚さが5nm以上で30nm以下の範囲内にあり、かつその導電率が1×10-4S/cm以上で1×10-3S/cm未満の範囲内にあることを特徴としている。
なお、その特定のn型導電型層の材料は、主にシリコン酸化物またはシリコン酸窒化物からなることが好ましい。また、そのn型導電型層がシリコン酸窒化物である場合には、1×1021atom/cc以上で1×1022atom/cc以下の範囲内の窒素含有量を有していることが好ましい。さらに、その特定のn型導電型層は、600nmの波長の光に関して、1.7以上で2.5以下の範囲内の屈折率を有していることが好ましい。
さらに、光入射側から順にp型導電型層、i型光電変換、およびn型導電型層が積層されている場合に、2つの光電変換ユニットのうちで光入射側に配置されたユニット内において、主に水素化非晶質シリコンからなる実質的にi型のバッファ層がi型光電変換とn型導電型層との間に付加的に挿入され、バッファ層とn型導電型層との合計厚さが25nm以上で50nm以下の範囲内にあることが好ましい。
以上のような本発明による薄膜光電変換装置においては、複数の非晶質シリコン系光電変換ユニットを積層して電気的に直列に接合する際に生じる接合ロスを低減し、各非晶質シリコン系光電変換ユニットに固有の開放電圧から想定される総合開放電圧を得ることが可能となり、また全体として高抵抗になり過ぎずに直列抵抗の影響も少なくて、高い曲線因子を保つことができて高い光電変換効率を得ることができる。さらに、前述の特定のn型導電型層の窒素含有量が1×1021atom/cc以上で1×1022atom/cc以下の範囲内であれば、長期間の光照射後による光電変換効率の劣化(光劣化:Staebler-Wronskey効果)を低減させることが可能になる。
以下において、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のため適宜に変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
図1の模式的な断面図は、本発明の一実施形態による2接合型薄膜光電変換装置を図解している。この薄膜光電変換装置1aにおいて、透明絶縁基板2として例えばガラス板や透明樹脂フィルムなどを用いることができる。ガラス板としては、透明性と絶縁性が高くて大面積の板が安価に入手可能なソーダライム板ガラスを用いることができる。そのようなソーダライム板ガラスは平滑な両主面を有し、SiO2、Na2O、およびCaOを主成分としている。透明絶縁基板2の一主面上には、透明導電膜3、および2つの光電変換ユニット41、42などが積層され、基板2の他方の主面側から入射させられた太陽光などの光が光電変換される。
透明導電膜3はITO(インジュウム錫酸化物)、SnO2、またはZnOなどの導電性金属酸化物からなることが好ましく、CVD、スパッタ、または蒸着などの方法を用いて形成され得る。透明導電膜3は、その表面に微細な凹凸を有することによって、入射光の散乱を増大させる効果を有することが望ましい。
図1の薄膜光電変換装置1aは、順次積層された第1の非晶質シリコン系光電変換ユニット41と第2の非晶質シリコン系光電変換ユニット42を備えている。
第1光電変換ユニット41は、透明導電膜3側から順に積層された第1のp型導電型層411、第1の非晶質シリコン系光電変換層412、バッファ層414、および第1のn型導電型層413を含んでいる。これらの層は、いずれもがプラズマCVD法によって形成され得る。第2光電変換ユニット42は、透明導電膜3側から順に積層された第2のp型導電型層421、第2の非晶質シリコン系光電変換層422、および第2のn型導電型層423を含んでいる。これらの層も、いずれもがプラズマCVD法によって形成され得る。
しかし、第1非晶質シリコン系光電変換層412と第2非晶質シリコン系光電変換層422とにおいて、それらの具体的な材料、膜質、および形成条件などは互いに同一である必要はない。また、p型導電型層411、421およびn型導電型層413、423も、それぞれの材質が同一であってもよいし異なっていてもよい。
第1と第2のp型導電型層411、421は、例えばシリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはシリコンゲルマニウムなどのシリコン合金にボロンやアルミニウムなどのp導電型決定不純物原子をドープすることによって形成することができる。第1と第2の非晶質シリコン系光電変換層421、422は、例えば真性半導体のシリコン(水素化シリコンなど)、シリコンカーバイド、またはシリコンゲルマニウムなどのシリコン合金などで形成することができ、光電変換機能を十分に備えていれば、微量の導電型決定不純物を含む弱p型または弱n型のシリコン系半導体材料で形成することもできる。第2n型導電型層423は、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはシリコンゲルマニウムなどのシリコン合金に燐や窒素などのn導電型決定不純物原子をドープすることによって形成することができる。
本発明の特徴である第1n型導電型層413も、第2n型導電型層423に類似して、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはシリコンゲルマニウムなどのシリコン合金に燐や窒素などのn導電型決定不純物原子をドープすることによって形成することができる。
しかし、第1n型導電型層413の厚さは5nm以上で30nm以下の範囲内に設定され、かつその導電率は1×10-4S/cm以上で1×10-3S/cm未満の範囲内に設定される。また、第1n型導電型層413は、主としてシリコン酸化物またはシリコン酸窒化物で形成されることがより好ましい。さらに、第1n型導電型層413は、600nmの波長の光に関して、1.7以上で2.5以下の範囲内の屈折率を有することが好ましい。さらに、第1n型導電型層413がシリコン酸窒化物である場合には、1×10-4S/cm以上で1×10-3S/cm未満の範囲内の導電率を保ちつつ、可能な限り多くの窒素を含むことが望ましく、その望ましい窒素含有量は1×1021atom/cc以上で1×1022atom/cc以下の範囲内にある。この窒素含有量は、二次イオン質量分光法によって測定され得る。
なお、第1n型導電型層413の厚さ、導電率、および屈折率の測定は、以下の方法によって行われる。まず、ガラス基板のような透明絶縁基板上に、第1n型導電型層413と同じ成膜条件でサンプルn型導電型層が厚さ300nm〜400nm程度に堆積される。堆積されたサンプルn型導電型層の厚さが分光エリプソメトリによって測定され、その堆積時間と測定膜厚から算出した成膜速度が第1n型導電型層413にも適用し得ると仮定して、第1n型導電型層413の厚さがその成膜時間から規定される。また、サンプルn型導電型層の屈折率も分光エリプソメトリによって同時に測定され、この測定された屈折率が第1n型導電型層413の屈折率と同じであると仮定される。さらに、サンプルn型導電型層上に1mm×15mmのアルミ電極の2つを1mmの間隔を空けて真空蒸着法によって形成し、それら2電極間に100Vの電圧を印加した時の電流値から導電率が算出される。この算出された導電率が第1n型導電型層413の導電率と同じであると仮定される。なお、導電率の算出に用いられるサンプルn型導電型層の厚さとしては、分光エリプソメトリから得られた値が用いられ得る。
バッファ層414は、主に水素化非晶質シリコンからなり、実質的にi型である。バッファ層414の厚さは5nm以上で20nm以下の範囲内にあることが好ましく、またバッファ層414と第1n型導電型層413との合計厚さは25nm以上で50nm以下の範囲内にあることが好ましい。
第1非晶質シリコン系光電変換層412の厚さは70nm〜150nmの範囲内にあることが好ましく、その材料としては水素化非晶質シリコンまたは水素化非晶質シリコンカーバイドが好ましい。第2非晶質シリコン系光電変換層422の厚さは100nm〜500nmの範囲内にあることが好ましく、その材料としては水素化非晶質シリコンまたは水素化非晶質シリコンゲルマニウムが好ましい。
裏面電極膜6は電極としての機能を有するだけでなく、透明絶縁基板2から薄膜光電変換ユニット41、42を透過してそこに到着した光を反射してそれらの光電変換ユニット内へ再入射させる反射膜としての機能をも有している。すなわち、裏面電極膜6は透明反射層61と金属電極膜である裏面反射層62とを含んでいる。透明反射層61にはZnO、ITOなどの金属酸化物が用いられ、裏面反射層62にはAg、Alなどの金属単体、またはそれらの合金が好ましく用いられ得る。裏面電極膜6の形成においては、スパッタ、蒸着などの方法が好ましく用いられ得る。
以下において、本発明の実施例1から6よる薄膜光電変換装置が、幾つかの比較例との対比において、図面を参照しつつ説明される。
(実施例1)
図1に対応して、本発明の実施例1による2接合型シリコン系薄膜光電変換装置が作製された。まず、白板ガラスからなる透明絶縁基板2の一主面上に、微細な表面凹凸を有するSnO2の透明導電膜3が熱CVD法によって形成された。
図1に対応して、本発明の実施例1による2接合型シリコン系薄膜光電変換装置が作製された。まず、白板ガラスからなる透明絶縁基板2の一主面上に、微細な表面凹凸を有するSnO2の透明導電膜3が熱CVD法によって形成された。
そして、透明導電膜3を有する透明絶縁基板2が高周波プラズマCVD装置内に導入され、その基板が所定の温度に加熱された後に反応ガスとしてシラン、水素、メタン、およびジボランが導入され、透明導電膜3上に第1p型導電型層411が10nmの設定膜厚に堆積された。その後、シランと水素が1:10の流量比で導入され、第1非晶質シリコン光電変換層412が110nmの設定膜厚に堆積された。
さらに、シランと水素が1:150の流量比で導入され、バッファ層414が10nmの設定膜厚に堆積された。さらに、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素が3:1600:50:20の流量比で導入され、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413が20nmの設定膜厚に堆積された。こうして、第1非晶質シリコン系光電変換ユニット41が形成された。
なお、表1に示されているように、本実施例1の第1n型導電型層413において、屈折率は2.15であり、導電率は1.10×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.21×1020atom/ccであった。ここで、高周波プラズマCVD装置内でシリコン酸化物からなる第1n型導電型層413を堆積する場合、窒素を含むガスを意図的に添加しなくても、約1×1020〜2×1020atom/cc程度の窒素が不可避的に含まれことになる。
なお、第1非晶質シリコン系光電変換ユニット41内の各層の設定膜厚は、以下のようにして決定された。すなわち、図1の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置1aに含まれる各層に対応した同じ成膜条件で各サンプル層が個別の白板ガラス基板上に単層として厚さ300nm〜400nm程度に堆積され、分光エリプソメトリからその膜厚を算出し、その堆積時間と膜厚から各サンプル層の堆積速度を算出した(堆積速度は一定であると仮定)。そして、薄膜光電変換装置1aに含まれる各層はそれに対応する各サンプル層と同じ堆積速度を有すると仮定されて、その堆積速度を利用して設定厚さが決定された。
また、第1n型導電型層413の屈折率は、それに対応するサンプル層について分光エリプソメトリから求められた屈折率と同じであると仮定された。さらに、第1n型導電型層413の導電率に関しては、それに対応するサンプル層上に真空蒸着法によって1mm×15mmのアルミ電極の2つを1mmの間隔を空けて形成し、100Vの電圧をその2電極間に印加した時の電流値から算出された値と同じであると仮定された。この時の計算に用いられる第1n型導電型層413の膜厚としては、前述の分光エリプソメトリにて得られた値が用いられた。
さらに、第1n型導電型層413中の窒素含有量としては、前述の単層のサンプル層を二次イオン質量分光法で分析してその膜厚の中心における値を採用し、この値が表1に示されているように1.21×1020atom/ccであった。
第1非晶質シリコン系光電変換ユニット41の形成後、シラン、水素、メタン、およびジボランを導入して、第2p型導電型層421を厚さ10nmに堆積した。その後に、ゲルマン、シラン、および水素を1.5:10:100の流量比で導入して、第2非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層422を200nmの設定膜厚に堆積した。さらに、シラン、水素、およびホスフィンを導入して、第2n型導電型層423を20nmの設定膜厚に堆積した。こうして、第2非晶質シリコン系光電変換ユニット42が形成された。
その後さらに、透明反射層61としてZnO層をスパッタ法によって厚さ30nmに堆積した後、同じくスパッタ法にて裏面反射層62としてAg層を厚さ200nmに堆積することによって、裏面電極膜6が形成された。
裏面電極膜6の形成後、レーザースクライブ法によってSnO2の透明導電膜3上の積層膜を部分的に除去して1cm2のサイズごとに分離し、複数の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置1(すなわち、各受光面積は1cm2)を作製した。
以上のようにして得られた実施例1の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、光照射初期における開放電圧(Voc)が1.74V、短絡電流密度(Jsc)が9.33mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.754、そして初期変換効率が12.3%であった。本実施例1におけるこれらの光電変換特性が、表2に示されている。
さらに、実施例1における光電変換装置の光劣化後(安定化後)の光電変換特性を調べるために、その光電変換装置を50℃±2.5℃に保った状態でAM1.5の光を100mW/cm2の光量で550時間照射した。その安定化後において、再度出力特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.67V、短絡電流密度(Jsc)が9.24mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.679、そして変換効率が10.5%であった。本実施例1における安定化後のこれらの光電変換特性も、表2に示されている。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例2における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を3:1600:50:15の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、本実施例2で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.20であり、導電率は7.70×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は2.12×1020atom/ccであった。
実施例2は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例2における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を3:1600:50:15の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、本実施例2で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.20であり、導電率は7.70×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は2.12×1020atom/ccであった。
この実施例2の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が1.73V、短絡電流密度(Jsc)が9.32mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.756、そして変換効率が12.2%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が1.66V、短絡電流密度(Jsc)が9.23mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.681、そして変換効率が10.4%であった。本実施例2におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
(実施例3)
実施例3も、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例3における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を4:980:60:20の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、本実施例2で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.05であり、導電率は2.60×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.38×1020atom/ccであった。
実施例3も、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例3における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を4:980:60:20の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、本実施例2で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.05であり、導電率は2.60×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.38×1020atom/ccであった。
この実施例3の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が1.73V、短絡電流密度(Jsc)が9.24mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.754、そして変換効率が12.1%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が1.66V、短絡電流密度(Jsc)が9.15mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.679、そして変換効率が10.3%であった。本実施例3におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
(比較例1)
比較例1は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、比較例1における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を3:1600:50:25の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、比較例1で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.02であり、導電率は1.50×10-5S/cmであり、そして窒素含有量は1.44×1020atom/ccであった。
比較例1は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、比較例1における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を3:1600:50:25の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、比較例1で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.02であり、導電率は1.50×10-5S/cmであり、そして窒素含有量は1.44×1020atom/ccであった。
この比較例1の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が1.73V、短絡電流密度(Jsc)が9.30mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.688、そして変換効率が11.1%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が1.65V、短絡電流密度(Jsc)が9.21mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.654、そして変換効率が9.9%であった。本比較例1におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
本比較例1では、実施例1、実施例2、および実施例3に比べて、第1n型導電型層413の導電率が低くてシリーズ抵抗が大きくなるので曲線因子(F.F.)が低下し、初期と安定化後のいずれにおいても変換効率が顕著に低下している。
(比較例2)
比較例2は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、比較例2における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を1:150:5:2の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、比較例2で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.32であり、導電率は3.60×10-3S/cmであり、そして窒素含有量は1.11×1020atom/ccであった。
比較例2は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、比較例2における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、および二酸化炭素を1:150:5:2の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。表1に示されているように、比較例2で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.32であり、導電率は3.60×10-3S/cmであり、そして窒素含有量は1.11×1020atom/ccであった。
この比較例2の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が1.67V、短絡電流密度(Jsc)が9.05mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.747、そして変換効率が11.3%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が1.61V、短絡電流密度(Jsc)が8.87mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.702、そして変換効率が10.0%であった。本比較例2におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
本比較例2では、実施例1、実施例2、および実施例3に比べて、第1n型導電型層413の導電率が高過ぎて 接合ロスが生じることから開放電圧(Voc)が低下し、初期と安定化後のいずれにおいても変換効率が顕著に低下している。
(実施例4)
図2の模式的断面図に対応して、本発明の実施例4による3接合型シリコン系薄膜光電変換装置1bが作製された。この実施例4は、実施例1に比べて、第2非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層422の設定膜厚が400nmに変更され、第2n型導電型層423上にさらに中間透過反射膜5、第3p型導電型層431、結晶質シリコン光電変換層432、および第3n型導電型層433が順次積層されていることのみにおいて異なっている。
図2の模式的断面図に対応して、本発明の実施例4による3接合型シリコン系薄膜光電変換装置1bが作製された。この実施例4は、実施例1に比べて、第2非晶質シリコンゲルマニウム光電変換層422の設定膜厚が400nmに変更され、第2n型導電型層423上にさらに中間透過反射膜5、第3p型導電型層431、結晶質シリコン光電変換層432、および第3n型導電型層433が順次積層されていることのみにおいて異なっている。
すなわち、表1中で実施例1に関して示されているのと同様に、本実施例4の第1n型導電型層413においも、屈折率は2.15であり、導電率は1.10×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.21×1020atom/ccであった。
中間透過反射膜5としては、厚さ60nmのZnO膜がスパッタ法によって形成された。このZnO膜5の形成後、シラン、水素、およびジボランを導入して第3p型導電型層431を厚さ10nmに形成し、さらにシランと水素を1:100の流量比で導入して結晶質シリコン光電変換層432を設定膜厚3000nmで形成し、その後にシラン、水素、およびホスフィンを導入して第3n型導電型層433を設定膜厚20nmで形成することによって結晶質シリコン系光電変換ユニット43が形成された。
この実施例4の3接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が2.28V、短絡電流密度(Jsc)が8.96mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.736、そして変換効率が15.0%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が2.18V、短絡電流密度(Jsc)が8.78mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.685、そして変換効率が13.1%であった。本実施例4におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
(比較例3)
比較例3は、実施例4に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413が比較例1の場合と同じ成膜条件で堆積されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、表1中で比較例1に関して示されているのと同様に、本比較例4の第1n型導電型層413においも、屈折率は2.02であり、導電率は1.50×10-5S/cmであり、そして窒素含有量は1.44×1020atom/ccであった。
比較例3は、実施例4に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413が比較例1の場合と同じ成膜条件で堆積されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、表1中で比較例1に関して示されているのと同様に、本比較例4の第1n型導電型層413においも、屈折率は2.02であり、導電率は1.50×10-5S/cmであり、そして窒素含有量は1.44×1020atom/ccであった。
この比較例3の3接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が2.27V、短絡電流密度(Jsc)が8.91mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.718、そして変換効率が14.5%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が2.15V、短絡電流密度(Jsc)が8.73mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.667、そして変換効率が12.5%であった。本比較例2におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
本比較例3では、実施例4に比べて、第1n型導電型層413の導電率が低くてシリーズ抵抗が大きくなることから曲線因子(F.F.)が低下し、初期と安定化後のいずれにおいても変換効率が顕著に低下している。
(比較例4)
比較例4では図1に対応する2接合型シリコン系薄膜光電変換装置が作製され、比較例1に比べて、バッファ層414が省略されたことのみにおいて異なっていた。
比較例4では図1に対応する2接合型シリコン系薄膜光電変換装置が作製され、比較例1に比べて、バッファ層414が省略されたことのみにおいて異なっていた。
この比較例4の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が1.65V、短絡電流密度(Jsc)が9.28mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.679、そして変換効率が10.4%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が1.57V、短絡電流密度(Jsc)が9.19mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.645、そして変換効率が9.3%であった。本比較例4におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
本比較例4では、実施例1、実施例2、および実施例3のみならず比較例1と比べても極端にシリーズ抵抗が大きくなり、それによって曲線因子(F.F.)のみならず開放電圧(Voc)も低下し、初期と安定化後のいずれにおいても変換効率が顕著に低下している。
(実施例5)
実施例5は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例5における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、二酸化炭素、およびアンモニアを3:1600:50:25:1の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。この場合、アンモニアから第1n型導電型層413内へ積極的に窒素を添加することによって、第1n型導電型層413がシリコン酸窒化物になる。表1に示されているように、本実施例5で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.15であり、導電率は2.30×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.46×1021atom/ccであった。
実施例5は、実施例1に比べて、シリコン酸化物からなる第1n型導電型層413の堆積条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、本実施例5における第1n型導電型層413は、シラン、水素、ホスフィン、二酸化炭素、およびアンモニアを3:1600:50:25:1の流量比で導入することによって、20nmの設定膜厚に堆積された。この場合、アンモニアから第1n型導電型層413内へ積極的に窒素を添加することによって、第1n型導電型層413がシリコン酸窒化物になる。表1に示されているように、本実施例5で得られた第1n型導電型層413において、屈折率は2.15であり、導電率は2.30×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.46×1021atom/ccであった。
この実施例5の2接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が1.74V、短絡電流密度(Jsc)が9.28mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.759、そして変換効率が12.3%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が1.67V、短絡電流密度(Jsc)が9.19mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.721、そして変換効率が11.1%であった。本実施例5におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
本実施例5では、実施例1に比べて、安定化後の曲線因子(F.F.)の低下が小さく、初期変換効率は同等であるが安定化後の変換効率が顕著に向上している。
(実施例6)
実施例6において作製された3接合型シリコン系薄膜光電変換装置は、実施例4に比べて、第1n型導電型層413が実施例5の場合と同じ成膜条件で堆積されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、表1中で実施例5に関して示されているのと同様に、本実施例6のシリコン酸窒化物からなる第1n型導電型層413においても、屈折率は2.15であり、導電率は2.30×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.46×1021atom/ccであった。
実施例6において作製された3接合型シリコン系薄膜光電変換装置は、実施例4に比べて、第1n型導電型層413が実施例5の場合と同じ成膜条件で堆積されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、表1中で実施例5に関して示されているのと同様に、本実施例6のシリコン酸窒化物からなる第1n型導電型層413においても、屈折率は2.15であり、導電率は2.30×10-4S/cmであり、そして窒素含有量は1.46×1021atom/ccであった。
この実施例6の3接合型シリコン系薄膜光電変換装置にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して光電変換特性を測定したところ、初期においては開放電圧(Voc)が2.27V、短絡電流密度(Jsc)が9.00mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.739、そして変換効率が15.1%であり、安定化後においては開放電圧(Voc)が2.18V、短絡電流密度(Jsc)が8.82mA/cm2、曲線因子(F.F.)が0.702、そして変換効率が13.5%であった。本実施例6におけるこれらの光電変換特性も、表2において示されている。
本実施例6では、実施例4に比べて、安定化後の曲線因子(F.F.)の低下が小さく、初期変換効率は同等であるが安定化後の変換効率が顕著に向上している。
以上のように、本発明によれば、光電変換特性が改善された多接合型シリコン系薄膜光電変換装置構造を提供することができる。
1a、1b 多接合型薄膜光電変換装置、2 透明絶縁基板、3 透明導電膜、41 第1非晶質シリコン系光電変換ユニット、411 第1p型導電型層、412 第1非晶質シリコン系光電変換層、413 第1n型導電型層、414 バッファ層、42 第2非晶質シリコン系光電変換ユニット、421 第2p型導電型層、422 第2非晶質シリコン系光電変換層、423 第2n型導電型層、43 結晶質シリコン系光電変換ユニット、431 第3p型導電型層、432 結晶質シリコン系光電変換層、433 第3n型導電型層、5 中間透過反射膜、6 裏面電極膜、61 透明反射層、62 裏面金属反射層。
Claims (5)
- 互いに積層されて隣接する2つの非晶質シリコン系光電変換ユニットを含み
前記2つの光電変換ユニットの各々は、互いに同じ順序で積層されたp型導電型層、水素化非晶質シリコンまたは水素化非晶質シリコン合金からなる実質的にi型の光電変換層、およびn型導電型層を含み、
2つの前記i型光電変換層の間に位置している特定の前記n型導電型層の厚さが5nm以上で30nm以下の範囲内にあり、かつその導電率が1×10-4S/cm以上で1×10-3S/cm未満の範囲内にあることを特徴とする多接合型シリコン系薄膜光電変換装置。 - 前記特定のn型導電型層の材料が、主にシリコン酸化物またはシリコン酸窒化物からなることを特徴とする請求項1に記載の多接合型シリコン系薄膜光電変換装置。
- 前記特定n型導電型層は、1×1021atom/cc以上で1×1022atom/cc以下の範囲内の窒素含有量を有していることを特徴とする請求項2に記載の多接合型シリコン系薄膜光電変換装置。
- 前記特定n型導電型層は、600nmの波長の光に関して、1.7以上で2.5以下の範囲内の屈折率を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多接合型シリコン系薄膜光電変換装置。
- 光入射側から順に前記p型導電型層、前記i型光電変換、および前記n型導電型層が積層されている場合であって、前記2つの光電変換ユニットのうちで光入射側に配置されたユニット内において、主に水素化非晶質シリコンからなる実質的にi型のバッファ層が前記i型光電変換層と前記特定n型導電型層との間に付加的に挿入されており、前記バッファ層と前記特定n型導電型層との合計厚さが25nm以上で50nm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多接合型シリコン系薄膜光電変換装置。
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JP2006094611A JP2007150230A (ja) | 2005-11-01 | 2006-03-30 | 多接合型シリコン系薄膜光電変換装置 |
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JP2006094611A JP2007150230A (ja) | 2005-11-01 | 2006-03-30 | 多接合型シリコン系薄膜光電変換装置 |
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JP2012160661A (ja) * | 2011-02-02 | 2012-08-23 | Ulvac Japan Ltd | 透明導電膜付き基板、太陽電池及びそれらの製造方法 |
Citations (1)
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JP2005135987A (ja) * | 2003-10-28 | 2005-05-26 | Kaneka Corp | 積層型光電変換装置及びその製造方法 |
-
2006
- 2006-03-30 JP JP2006094611A patent/JP2007150230A/ja active Pending
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