JP2007149711A - 有機薄膜トランジスタ装置及びその製造方法並びに金属薄膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂基板上に、樹脂基板の表面と反応させて、光照射により触媒担持の選択性が生ずる表面を有する薄膜を形成し、薄膜の表面のゲート電極に対応する領域に触媒を担持させた後無電解金属めっきによりゲート電極を形成し、前記ゲート電極上に化学結合させて有機半導体層を形成し、前記有機半導体層上に化学結合させてソース電極及びドレイン電極を形成する。単分子レジストによる触媒担持の選択性を利用して無電解めっきにより電極を作製するものである。又、層間界面に化学結合とドナー/アクセプタ結合を生成させて、強固な層間接着を実現する。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂基板、ゲート電極、有機半導体及びソース電極又はドレイン電極間の接着性が高く、生産コストが低い有機トランジスタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
樹脂基板と、
前記樹脂基板の表面と反応して形成され、触媒担持の選択性を有する表面を有する薄膜と、
前記薄膜の表面のゲート電極に対応する領域に担持させた触媒上に析出した金属からなるゲート電極と、
前記ゲート電極上に化学結合させて形成した有機半導体層と、
前記有機半導体層上に化学結合させて形成したソース電極及びドレイン電極と、
を有することを特徴とする有機トランジスタ装置である。
請求項2に係る発明は、前記樹脂基板は、表面にOH基を有することを特徴とする請求項1記載の有機トランジスタ装置である。
請求項3に係る発明は、前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなることを特徴とする請求項2記載の有機トランジスタ装置である。
請求項4に係る発明は、前記薄膜は、表面にSH基を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置である。
請求項5に係る発明は、触媒担持領域は、SH基を有する領域であり、触媒不担持領域はSS基を有する領域であることを特徴とする請求項4記載の有機トランジスタ装置。
請求項6に係る発明は、前記薄膜は、ジチオールトリアジニル(DTT)基を表面に有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置である。
請求項10に係る発明は、前記ソース電極及びドレイン電極は、アクセプター性トリアジンジチオールからなる層のソース電極、ドレイン電極形成部以外に光を照射してSS面とし、ソース電極、ドレイン電極形成部に触媒を担持させて無電解めっきに金属を析出させて形成したものであることを特徴とする請求項9記載の有機トランジスタ装置である。
請求項11に係る発明は、ゲート電極、有機半導体層およびソース電極・ドレイン電極は隣接する層と界面結合をもって湿式法により形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置である。
前記薄膜の表面のゲート電極に対応する領域に触媒を担持させた後無電解金属めっきによりゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上に化学結合させて有機半導体層を形成し、
前記有機半導体層上に化学結合させてソース電極及びドレイン電極を形成する、
ことを特徴とする有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項13に係る発明は、前記樹脂基板は、表面にOH基を有することを特徴とする請求項12記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項14に係る発明は、前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなることを特徴とする請求項13記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項15に係る発明は、前記薄膜は、表面にSH基を有することを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項16に係る発明は、触媒担持領域は、SH基を有する領域であり、触媒不担持領域はSS基領域であることを特徴とする請求項15記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項17に係る発明は、前記薄膜は、ジチオールトリアジニル(DTT)基を表面に有することを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項21に係る発明は、アクセプター性トリアジンジチオールからなる層上のソース電極、ドレイン電極形成部以外に光を照射してSS面とし、ソース電極、ドレイン電極形成部に触媒を担持させて無電解めっきに金属を析出させて前記ソース電極及びドレイン電極を形成することを特徴とする請求項20記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
請求項22に係る発明は、ゲート電極、有機半導体層およびソース電極・ドレイン電極は隣接する層と界面結合をもって湿式法により形成することを特徴とする請求項12ないし21のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置の製造方法である。
表面にOH基が含有する樹脂とは、セルロース、メチル化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、酢酸セルロース、フェノール−ホルマリン樹脂、ハイドロキノン樹脂、クレゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、レゾルシン樹脂、セロファン、メラミン樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、水酸基含有ポリビニルホルマール樹脂、ポリヒドロキシエチルメタアクリレートとその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレートとその共重合体、ポリビニルアルコールとその共重合体、ポリ酢酸ビニルの表面加水分解物などOH基を固有の官能基として持つ樹脂を意味する。
図1に記載の反応式1に示されるように、樹脂基板面上のOH基とTASTDとを反応させて、樹脂基板上にレジスト機能と金属析出機能を持った機能性薄膜を形成させる。
触媒機能面と触媒不活性面が印加されたエポキシ樹脂基板を無電解めっき液に浸漬して、図4に記載の反応式4のように無電解めっきすると、触媒機能面に金属が成長してゲート電極(図2)が生成する。
前記ゲート電極面上に有機半導体薄膜の積層は
トリアジンチオール誘導体のみで電解質の役割をするものもあるが、一般には0.01M程度の電解質濃度が有効である。2M濃度以上になると、トリアジンチオール誘導体が溶解し難くなるので、有機メッキ液の調製が困難となる。電解質についてはトリアジンチオール誘導体が電解質の役割も兼ねるので、使用しないこともある。
以上のようにして樹脂基板面上にゲート電極と有機半導体薄膜を積み上げ、有機半導体薄膜に、
(1)ソース電極とドレイン電極との間のチャネル長をコントロール可能である。
(2)短チャネルが可能である。
(3)トランジスタにおける移動度を大きくでき、作動周波数が高くなる。
(4)樹脂基板、ゲート電極、有機半導体及びソース電極又はドレイン電極間の接着性が高い。
(5)従来、化学的湿式積上げ方式による有機薄膜トランジスタの製造方法は全く提案されておらず、高価な施設や設備を使用しないので安価で高性能のトランジスタの提供が可能となる。
(6)ハウジングなどにも容易にトランジスタ、IC回路、超IC回路が搭載可能となる。
エポキシ樹脂基板(40×80×1mm、味の素ファインテック(株)ABF−GX)を用意した。
この樹脂基板を、一般的な6−ジブチルアミノ‐1,3,5‐トリアジンジチオールモノソジウムの1g/Lエタノール溶液に、40℃で10分間浸漬後、140℃で10分間熱処理した。
これを触媒処理液(上村工業(株),NP−8150ml/LとHCl(150ml/L)を混合して調整)に25℃で1分間浸漬した。
その後、無電解銅めっき浴(上村工業(株)、スルカップPSY−1A(100ml/L)、スルカップPSY−1B(55ml/L)、18.5ホルマリン水溶液20ml/L)に33℃で20分間浸漬してめっきした。
本例で、メッキの被覆率を測定したところ0%であった。
6−ピレニルアミノ‐1,3,5‐トリアジン−2,4−ジチオールモノソジウム(PATDN)1.82gとNaNO27gを水1000gに溶解し、金板(二コラ、Au−173328、純度:99.95%、ゲート電極の代替)を作用極、ステンレス板(1×40×60mm)を対極とし、0.02mA/cm2の電流密度で40℃、10分間電解重合した。
85.2nmの膜厚のドナー性トリアジンジスルフィドポリマーが金板上に生成した。
この薄膜はPATDNを溶解するアルコールには溶解しない。また、テトラヒドロフランのようなポリマーを溶解する溶剤には溶解するが、溶解処理後の試料にポリマーが存在することがXPS分析で確認された。
このような結果は他の金属でも同様であるが、p−型のシリコンを作用極として使用するとポリマーはアルコール及びテトラヒドロフラン洗浄のどちらでも完全に除去された。これはチオール基と反応しないシリコンのような場合には完全溶解し、接着性は発揮しないことを示している。
この試料をアルコール洗浄後、1000ミクロン幅の線が印刷されたマスクを載せ、高圧水銀ランプ(出力:1.5kW,照射エネルギー:2800mJ/cm2,アイグラフィック(株)製アイミニグランテイジ)から紫外線を照射した。
これを触媒処理液(上村工業(株),NP−8(150ml/L)とHCl(150ml/L)とを混合して調整)に25℃で1分間浸漬後、無電解金めっき浴(上村工業(株)、スルカップPSY−1A(100ml/L)、スルカップPSY−1B(55ml/L)、18.5ホルマリン水溶液20ml/L)に80℃で20分間浸漬してめっきして金ゲート電極を作製した。
その結果、およそ200nmの膜厚のドナー性トリアジンジスルフィドポリマーが金ゲート電極に生成した。
この薄膜はPATDNを溶解するアルコールには溶解しない。この時の接触角は85°であった。また、表面構造をXPS分析PHI製ESCA−5600(Al 出力:350W、取込角:45°、30nm厚さ)で測定した、S2pは全てがSS基(146.0eV)であった。
浸漬前後の水の接触角はそれぞれ85°、55°であった。また、前後の表面構造をXPS分析PHI製ESCA−5600(Al 出力:350W,取込角:30°及び45°、15nm及び30nm厚さ)で測定した。
その結果、前者のS2pは全てがSS基(146.3 eV)であったが、後者のS2pはSH基(160.5eV)が80%以上であった。
この結果はドナー性有機半導体薄膜とNPTDNとがドナー/アクセプター結合を形成していることを示し、かつ最表面にレジスト性のチオール基が存在することを示している。
Claims (23)
- 樹脂基板と、
前記樹脂基板の表面と反応して形成され、触媒担持の選択性を有する表面を有する薄膜と、
前記薄膜の表面のゲート電極に対応する領域に担持させた触媒の上に析出させた金属からなるゲート電極と、
前記ゲート電極上に化学結合させて形成した有機半導体層と、
前記有機半導体層上に化学結合させて形成したソース電極及びドレイン電極と、
を有することを特徴とする有機トランジスタ装置。 - 前記樹脂基板は、表面にOH基を有することを特徴とする請求項1記載の有機トランジスタ装置。
- 前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなることを特徴とする請求項2記載の有機トランジスタ装置。
- 前記薄膜は、表面にSH基を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置。
- 触媒担持領域は、SH基を有する領域であり、触媒不担持領域はSS基を有する領域であることを特徴とする請求項4記載の有機トランジスタ装置。
- 前記薄膜は、ジチオールトリアジニル(DTT)基を表面に有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置。
- 前記薄膜は、
- 前記有機半導体層は、
- 前記ソース電極及びドレイン電極は、アクセプター性トリアジンジチオールからなる層のソース電極、ドレイン電極形成部以外に光を照射してSS面とし、ソース電極、ドレイン電極形成部に触媒を担持させて無電解めっきに金属を析出させて形成したものであることを特徴とする請求項9記載の有機トランジスタ装置。
- ゲート電極、有機半導体層およびソース電極・ドレイン電極は隣接する層と界面結合をもって湿式法により形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置。
- 樹脂基板上に、樹脂基板の表面と反応させて、光照射により触媒担持の選択性が生ずる表面を有する薄膜を形成し、
前記薄膜の表面のゲート電極に対応する領域に触媒を担持させた後無電解金属めっきによりゲート電極を形成し、
前記ゲート電極上に化学結合させて有機半導体層を形成し、
前記有機半導体層上に化学結合させてソース電極及びドレイン電極を形成する、
ことを特徴とする有機トランジスタ装置の製造方法。 - 前記樹脂基板は、表面にOH基を有することを特徴とする請求項12記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- 前記樹脂基板は、エポキシ樹脂からなることを特徴とする請求項13記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- 前記薄膜は、表面にSH基を有することを特徴とする請求項12ないし14のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- 触媒担持領域は、SH基を有する領域であり、触媒不担持領域はSS基領域であることを特徴とする請求項15記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- 前記薄膜は、ジチオールトリアジニル(DTT)基を表面に有することを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- 前記薄膜は、
- 前記有機半導体層は、
- アクセプター性トリアジンジチオールからなる層上のソース電極、ドレイン電極形成部以外に光を照射してSS面とし、ソース電極、ドレイン電極形成部に触媒を担持させて無電解めっきに金属を析出させて前記ソース電極及びドレイン電極を形成することを特徴とする請求項20記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- ゲート電極、有機半導体層およびソース電極・ドレイン電極は隣接する層と界面結合をもって湿式法により形成することを特徴とする請求項12ないし21のいずれか1項記載の有機トランジスタ装置の製造方法。
- 基板表面にSH基を有する面(「SH面」という。)を形成し、該SH面上の所定領域以外の領域のみに光を照射し、次いで、該所定の領域に触媒を担持させた後、該触媒上に金属を析出させることを特徴とする金属薄膜の形成方法。
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