JP2007149521A - X線発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】X線管4や受動素子等が収容され、かつ絶縁油5が充満されたハウジング2と、ハウジング2の開口部を密閉する蓋体3と、蓋体3の外側面に設置された放熱手段17とを備えたX線発生装置のハウジング内に、X線管4を収容するX線管室2fと、受動素子等を収容する受動素子室2gとに区画する遮蔽手段6を設けると共に、X線管室2f内の絶縁油5と接する蓋体3の外側面に放熱手段17を設置したもので、X線管4より発生された熱は、絶縁油5から蓋体3に設置された放熱手段17に直接伝熱された後、放熱手段17によりハウジング2の外部へ放出されるため、X線管4より発生された熱を高効率でハウジング2外へ放出することができる。
【選択図】図1
Description
しかし近年では、大出力で、しかも小型かつ信頼性が高いX線発生装置を安価に提供して欲しいとの要求が多いことから、X線発生装置の小型化及び低コスト化が進んでいるが、X線発生装置を小型化した場合、X線管より発生される熱をいかに効率よくハウジング外へ放出するかがX線管発生装置の信頼性を高める上で重要となる。
しかしハウジング内には、熱に弱い半導体やキャパシタ等の受動素子、変圧器等(以下受動素子等という)が収容されているため、ハウジング内の絶縁油の温度が高温になると、受動素子等の性能が劣化したり、信頼性が著しく損なわれる上、絶縁油の温度がX線管の許容温度を超えた場合、放電が多発してX線発生装置の動作が不安定となるため、X線発生装置を採用している各種装置の信頼性が著しく損なわれる問題がある。
また絶縁油の温度が極端に上昇すると絶縁油のスラッジ化が進行するため、絶縁油自体の耐圧性が損なわれる等の問題もある。
前記特許文献1に記載のX線発生装置は、X線管が収容された筺体内に絶縁油の熱を吸収する吸熱フィンが設けられている。
そして吸熱フィンが吸収した熱は、伝熱板を介して筺体の上部に設けられた放熱フィンへと伝熱され、放熱フィンにより筺体の外部へ放出されるように構成されている。
また吸熱フィンが吸収した熱を、伝熱板を介して放熱フィンへ伝達する際にも熱損失を発生する上、伝熱板自体が絶縁油に浸漬されているため、吸熱フィンが熱を吸収しても、その熱が再び絶縁油側へ逃げてしまうと共に、伝熱板の上面が筺体の上部に設けられた蓋体の下面に接触された構造となっていることから、伝熱板から放熱フィンへ熱が伝わる際、伝熱板と蓋体との接触部に接触抵抗が発生し、これが放熱効率を著しく低下させる等の問題もある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、ハウジング内に遮蔽手段を設けることにより、X線管が発生する熱を効率よくハウジング外へ放出できるようにしたX線発生装置を提供することを目的とするものである。
またX線管室内にX線管全体を収容していることから、ハウジング内にX線管を設置する際、X線管の向きに制限を受けることがないため、設計の自由度が増すと共に、X線管を冷却したため高温となった絶縁油の熱を、直接放熱手段へ伝達して放熱する構造としたことにより、X線発生装置を設計する際単一の熱的パラメータを考慮するだけでよく、これによってX線発生装置の設計が少ない工数で容易に行えるようになる。
図1はX線発生装置の断面図、図2はX線発生装置の制御系を示すブロック図、図3はX線発生装置の一部を破断した分解斜視図、図4はハウジング部分の分解斜視図である。
モノタンク構造により構成されたX線発生装置の本体1は、上面が開口する角箱状のハウジング2を有しており、ハウジング2の上面開口部2aが蓋体3により密閉された油密構造となっている。
X線管4には、長時間使用しても安定して動作する例えば固定陽極型X線管が使用されていて、X線管3内に水平に設けられたアノード4bの一端側は、X線管3の一方の端面に突設されたラジエータ4cに接続されており、アノード4bで発生した熱がハウジング2内に充満された絶縁油5により冷却されるようになっている。
遮蔽手段6は図4に示すように、周囲が仕切り板6aにより形成された角筒状をなしており、全体が電気絶縁性が高く、かつ断熱性の高い例えばフェノール樹脂や、テフロン(登録商標)樹脂等の樹脂、耐油性を有する圧縮紙等により一体成形されており、または各仕切り板6aを接着剤の手段で連結することにより形成されている。
フィラメント用変圧器7は、X線管室2f内のX線管4とリード線9により電気的に接続されていて、X線管4のフィラメント(図示せず)に電圧を印加できるようになっている。
高電圧発生回路8は、高電圧変圧器と高電圧整流回路(ともに図示せず)とから構成されていて、X線管4に高電圧を印加できるようになっており、フィラメント用変圧器7及び高電圧発生回路8は、後述する放熱フィン17上に設置された制御手段10に接続されている。
放熱手段17は、ハウジング2の上面を覆う蓋体3と制御ケース18の間に形成された空気流路19内に設置された放熱フィン20及び放熱フィン20を強制冷却する冷却ファン21とからなる。
フィン群20aを形成する薄板は、空気流路19の幅方向にほぼ等間隔に設けられていて、上部側の開放端は制御ケース18の底板18aに密着されており、フィン群20aの空気流通方向(矢印A)の長さは、遮蔽手段6により区画されたX線管室2f内の絶縁油5の熱が効率よく外部へ放出できるように、X線管室2fの空気流通方向Aの長さとほぼ等しいか、これより長く形成されている。
冷却ファン21は、例えば電動ファンにより形成されていて、空気流路19の吸気口19aより吸入した大気を放熱フィン20のフィン群20a間へ流通させた後、排気口19bより排出するようになっている。
X線発生装置は、例えばX線CT装置等の外科用透視装置や、X線を使用して被検体中混入した異物を検出するX線異物検査装置等に使用するが、何れの場合も長時間連続した状態で使用されることが多い。
X線管装置を連続運転すると、X線管4に印加される高電圧によりX線管4のアノード4bが発熱する。
アノード4bで発生した熱は、X線管4の一端側に設けられたラジエータ4cへ伝達され、ラジエータ4cを冷却するハウジング2内の絶縁油5へ放熱されるため、ハウジング2内に充満された絶縁油5が加熱される。
そしてX線管室2f内の絶縁油5の温度上昇により、絶縁油5がX線管室2f内で自然対流を繰り返すと同時に、X線管4より発生される磁界によりX線管室2f内の絶縁油5の対流が促進されて、X線管室2f内の絶縁油5の上層部が最も高温となる。
これによって、X線管4のアノード4bより発生された熱は、絶縁油5から蓋体3と一体に形成された放熱フィン20に直接伝熱された後、空気流路19を流通する空気と熱交換されて、ハウジング2の外部へと放出されるため、伝熱効率をほとんど損なうことなく高効率でハウジング2外へ放出できるようになる。
さらに従来では、絶縁油の熱を放熱フィンへ吸収させる際の伝達効率と、伝熱板から放熱フィンへ伝熱する際の接触熱抵抗等の複数の熱的パラメータを考慮してX線発生装置を設計する必要があったが、本発明の実施の形態では、絶縁油5の熱を直接放熱フィン20へ伝達して放熱する構造としたことにより、単一の熱的パラメータを考慮するだけでよいため、X線発生装置の設計が容易に行えるようになる。
すなわち断面がL字形に形成された型材23の垂直面が遮蔽手段6を形成する仕切り板6aの内外面と接するように型材23の垂直面を向い合わせにし、かつ型材23の水平面をハウジング2の内底面及び蓋体3の底面に溶接やビス止め等の固着手段により固着することにより、各型材23の垂直面間に遮蔽手段6の上下端を嵌合する嵌合溝2d、3aを形成した構成となっている。
すなわち、この第2の変形例では、ハウジング2の内底面のほぼ中央と、蓋体3の底面のほぼ中央に、空気流通路19の空気流通方向Aと直交するように型材23を嵌合溝2d、3aを形成している。
またこの第2変形例では、X線管室2f内の絶縁油5がハウジング2の側面に接するため、ハウジング2の外側面が高温となり、誤って触れた場合火傷する虞がある。
これを防止するため、X線管室2f側のハウジング2の外側面に、図8に示すように仕切り板6aと同様な断熱性を有する保護板24を取り付けて、誤って触れた場合でも火傷することがないようにしている。
下部フレーム30aには、X線管4より照射されるX線を遮断しないように開口部30bが開口されており、ハウジング2の上面開口部2aを密閉する蓋体3の上面に設けられた放熱手段17は、X線異物検査装置30の上部フレーム30cに下方より当接されている。
放熱手段17は、熱伝導率の高い例えばアルミニウムにより形成され蓋体3と一体に設けられた中実構造の熱伝導部材32により形成されていて、X線管室2f内で加熱された絶縁油5の上層部の熱を上部フレーム30cへ伝導するようになっている。
しかしハウジング2内には、X線管4を囲むように設けられた仕切り板6aにより形成された遮蔽手段6が設けられていて、遮蔽手段6によりハウジング2内がX線管室2fと能動素子室2gとに区画されているため、X線管4を冷却するX線管室2f内の絶縁油5の温度がハウジング2内の絶縁油5の温度より上昇する。
そしてX線管室2f内の絶縁油5の温度上昇により、絶縁油5がX線管室2f内で自然対流を繰り返すと同時に、X線管4の高電圧部が絶縁油の帯電流動を生じさせるため、X線管室2f内の絶縁油5の対流が促進されて、X線管室2f内の絶縁油5の上層部が最も高温となる。
これによって、X線管4のアノード4bより発生された熱は、絶縁油5から蓋体3と一体に形成された熱伝導部材32に直接伝熱された後、熱容量の大きいX線異物検査装置30の上部フレーム30cへと放熱されるため、伝熱効率をほとんど損なうことなく高効率でハウジング2外へ放出できるようになる。
また前記実施の形態及び第1、第2変形例では、受動素子室2g内にフィラメント用変圧器7を設けているが、陰極接地型のX線管4を用いる場合は、フィラメント用変圧器7を設けなくてもよいと共に、運転時高圧変圧器が高温になる場合は、高電圧発生回路8をX線管室2f内に設けるようにしてもよい。
2a 開口部
2d 嵌合溝
3 蓋体
3a 嵌合溝
4 X線管
5 絶縁油
6 遮蔽手段
6a 仕切り板
6b 通油孔
17 放熱フィン
21 冷却ファン
23 型材
Claims (3)
- 内部にX線管や受動素子等が収容され、かつ絶縁油が充満されたハウジングと、前記ハウジングの開口部を密閉する蓋体と、前記蓋体の外側面に設置された放熱手段とを備えたX線発生装置であって、前記ハウジング内を、前記X線管を収容するX線管室と、前記受動素子等を収容する受動素子室とに区画する遮蔽手段を設けると共に、前記X線管室内の前記絶縁油と接する前記蓋体の外側面に前記放熱手段を設置したことを特徴とするX線発生装置。
- 前記放熱手段を、前記蓋体の外側面に設置された放熱フィンと、前記放熱フィンを強制冷却する冷却ファンとから構成してなる請求項1に記載のX線発生装置
- 前記遮蔽手段を断熱性を有する仕切り板により形成してなる請求項1または2に記載のX線発生装置。
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