JP2007148390A - 光拡散シートおよび透過型スクリーン - Google Patents
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Abstract
【目的】水平方向および垂直方向の両方向の視野角を広いものとし,かつ外部光を起因とするコントラストの低下現象を抑制する。
【構成】透過型スクリーン10は,全反射レンズ13およびレンチキュラーレンズ14を含む。全反射レンズ13の出射面に水平方向に長手方向を有する断面台形の複数の単位レンズ部13bが形成され,隣接する単位レンズ部13bの間の溝に光吸収粒子が添加された上記単位レンズ部13bの屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されている。レンチキュラーレンズ14の入射面には垂直方向に長手方向を有する弧状の外縁を備えた複数の単位レンズ部14aが形成され,その出射面には垂直方向に長手方向を有する複数の凸条部14cが形成されている。凸条部14cの端面のそれぞれに光吸収層14dが設けられている。
【選択図】図3
【構成】透過型スクリーン10は,全反射レンズ13およびレンチキュラーレンズ14を含む。全反射レンズ13の出射面に水平方向に長手方向を有する断面台形の複数の単位レンズ部13bが形成され,隣接する単位レンズ部13bの間の溝に光吸収粒子が添加された上記単位レンズ部13bの屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されている。レンチキュラーレンズ14の入射面には垂直方向に長手方向を有する弧状の外縁を備えた複数の単位レンズ部14aが形成され,その出射面には垂直方向に長手方向を有する複数の凸条部14cが形成されている。凸条部14cの端面のそれぞれに光吸収層14dが設けられている。
【選択図】図3
Description
この発明は,光拡散シートおよび透過型スクリーンに関する。
背面投射型プロジェクション表示装置では,スクリーンの背面側に配置されたプロジェクタから出射(投射)された映像光に基づく映像が,スクリーン上に表示される。
スクリーン上の水平方向(左右方向)および垂直方向(上下方向)の視野角を広げるために,スクリーンを構成する部材に光拡散機能を持たせることが行われている。光拡散機能は,スクリーンを構成する部材に光拡散剤を混入することによって達成することができる。しかしながら,光拡散剤を多用すると,スクリーンから出射される出射光の明るさ(輝度等)が低下する。また,光拡散剤の混入では光拡散の方向性制御が容易ではない。
そこで,スクリーンを構成する部材(レンズ要素)自体の構造(形状)に基づいて,光拡散作用を達成させることが行われている。
特許文献1の図1には,フレネルレンズシート14,両面レンチキュラーレンズシート15,遮光シート13および機能層16を備えた透過型スクリーン17が示されている。両面レンチキュラーレンズシート15は,単位レンチキュラーレンズ形状の長手方向が上下方向であるので,左右方向に光を拡散させる。遮光シート13は単位レンズ形状の長手方向が左右方向であるので,上下方向に光を拡散させる。
特開2004−286996号公報
この発明は,上下方向(垂直方向)および左右方向(水平方向)に光(映像光)を効率よく拡散することができる新規な構造を有する光拡散シートを提供することを目的とする。
この発明による第1の光拡散シートは,全反射レンズと上記全反射レンズの映像光出射面側に設けられるレンチキュラーレンズを備え,上記全反射レンズは,その映像光出射面に,水平方向に長手方向を有する複数の第1の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第1の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は映像光が入射する面を底面とする台形状であり,隣接する上記第1の単位レンズ部の間の溝に,光吸収粒子が添加された上記第1の単位レンズ部の屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されており,上記レンチキュラーレンズは,その映像光入射面に,垂直方向に長手方向を有する複数の第2の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第2の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は外側にふくらむ弧状の縁を有しており,その映像光出射面には,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに光吸収層が設けられているものである。全反射レンズとレンチキュラーレンズとの間に他の部材(ベースフイルム等)が配置されていてもよい。
映像光は,全反射レンズの映像光入射面に入射する。全反射レンズの映像光出射面から出射された映像光が,レンチキュラーレンズの映像光入射面に入射する。レンチキュラーレンズの映像光出射面から出射された光(映像光)が外部に出射される(観察者によって視認される)。
全反射レンズの映像光出射面には,水平方向に長手方向を有する複数の第1の単位レンズ部が互いに平行に形成されている。上記第1の単位レンズ部は,その上記長手方向に垂直な断面が映像光が入射する面を底面とする台形状である。そして,隣接する上記第1の単位レンズ部の間の溝に,光吸収粒子が添加された上記第1の単位レンズ部の屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されている。
映像光は,第1の単位レンズ部の底面側から入射し上面側から出射する,または第1の単位レンズ部と溝(低屈折率部)との境界に入射する。第1の単位レンズ部と溝(低屈折率部)との境界に入射した映像光は,臨界角までの角度範囲をもってその境界に入射すると,第1の単位レンズ部と溝(低屈折率部)との境界で全反射する。第1の単位レンズ部(および溝)が水平方向に長手方向を持つので,全反射レンズは,入射した映像光を垂直方向(上下方向)に拡散(反射)させる。
レンチキュラーレンズは,その映像光入射面に,垂直方向に長手方向を有する複数の第2の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第2の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は外側にふくらむ弧状の縁を有している。映像光入射面に形成された第2の単位レンズ部が垂直方向に長手方向を持つので,レンチキュラーレンズは,入射した映像光を水平方向(左右方向)に拡散させる。
光拡散シートには,映像を表すための映像光とは逆向きの方向から,外部光が入射することがある。外部光は,レンチキュラーレンズ,全反射レンズの順番に進む。
レンチキュラーレンズの映像光出射面には,上述のように,レンチキュラーレンズの映像光入射面に形成された複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに光吸収層が設けられているので,レンチキュラーレンズの映像光出射面に入射した外部光のうち,光吸収層に入射した外部光は,ここで吸収される。
レンチキュラーレンズの映像光入射面には,垂直方向に長手方向を有し,この長手方向に垂直な断面が外側にふくらむ弧状の外縁を有する複数の第2の単位レンズ部が形成されているので,レンチキュラーレンズの映像光入射面に達した外部光は,第2の単位レンズ部によって水平方向(左右方向)に拡散されて出射されることになる。
レンチキュラーレンズによって水平方向(左右方向)に拡散された外部光は,全反射レンズの映像光出射面に入射する。全反射レンズの映像光出射面に形成された第1の単位レンズ部の間の溝に充填されている低屈折率樹脂には光吸収粒子が添加されているので,外部光のうち,第1の単位レンズ部の間の溝に入射した外部光は光吸収粒子によって吸収される。
垂直方向に比較的広角度(レンズ(シート)面となす角度が小さい方向)から全反射レンズの映像光出射面に形成された第1の単位レンズ部に入射した外部光は,第1の単位レンズ部と溝(低屈折率部)との境界で全反射されることなく,低屈折率部に入射する。垂直方向に比較的広角度から第1の単位レンズ部に入射した外部光も,低屈折率部に添加されている光吸収粒子によって吸収される。
全反射レンズの第1の単位レンズ部に入射した外部光のうち,第1の単位レンズ部と溝(低屈折率部)との境界に入射しなかったもの,および第1の単位レンズ部と溝(低屈折率部)との境界で全反射されたものが,全反射レンズから出射されることになる。
第1の発明によると,映像光は,全反射レンズによって垂直方向(上下方向)に拡散され,かつレンチキュラーレンズによって水平方向(左右方向)に拡散される。垂直方向(上下方向)および水平方向(左右方向)の両方において,広い視野角を実現することができる。
さらに第1の発明によると,外部光は,全反射レンズの映像光出射面に形成された第1の単位レンズ部間の溝に充填された低屈折率樹脂に添加されている光吸収粒子によって効率よく吸収される。比較的正面から入射する外部光は,レンチキュラーレンズによって水平方向(左右方向)に拡散されている。このため,レンチキュラーレンズ,全反射レンズを通過した外部光が,たとえ,全反射レンズの後方に配置される部材(たとえば,ミラーなど)によって反射されて,再び全反射レンズ,レンチキュラーレンズを通って外部に出射されたとしても,そのような外部光を起因とするコントラストの低下は少ない。特に,垂直方向(上下方向)に比較的広角度から全反射レンズの映像光出射面に形成された第1の単位レンズ部に入射した外部光は,全反射レンズの低屈折率部でほとんど吸収されるので,垂直方向(上下方向)の観察角度について,外部光を起因とするコントラストの変動を少なくすることができる。垂直方向(上下方向)の観察角度について外部光を起因とするコントラスト低下による映像劣化等が防止される。
上記レンチキュラーレンズの映像光出射面は,一実施態様では面一に形成される(もちろん,光吸収層が設けられている部分はわずかにもりあがる)。上記レンチキュラーレンズの映像出射面に,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに垂直方向に長手方向を有する凸条部を形成し,この凸条部の端面に上記光吸収層を設けてもよい。水平方向(左右方向)への映像光の拡散の強化(より広い角度範囲への拡散)のために,上記レンチキュラーレンズの映像光出射面に形成された上記複数の凸条部の間のそれぞれに,垂直方向に長手方向を有し,この長手方向に垂直な断面が外側にふくらむ弧状の縁を有する複数の第3の単位レンズ部を形成してもよい。
この発明による第2の光拡散シートは,全反射レンズと上記全反射レンズの映像光出射面側に設けられるレンチキュラーレンズを備え,上記全反射レンズは,その映像光出射面に,垂直方向に長手方向を有する複数の第1の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第1の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は映像光が入射する面を底面とする台形状であり,隣接する上記第1の単位レンズ部の間の溝に,光吸収粒子が添加された上記第1の単位レンズ部の屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されているものである。上記レンチキュラーレンズは,その映像光入射面に,水平方向に長手方向を有する複数の第2の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第2の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は外側にふくらむ弧状の縁を有しており,その映像光出射面には,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに光吸収層が設けられている。第2の光拡散シートにおいても,全反射レンズとレンチキュラーレンズとの間に他の部材(ベースフイルム等)が配置されていてもよい。
第2の発明によると,映像光は,全反射レンズによって水平方向(左右方向)に拡散され,かつレンチキュラーレンズによって垂直方向(上下方向)に拡散される。水平方向(左右方向)および垂直方向(上下方向)の両方において広い視野角を実現することができる。
さらに第2の発明によると,水平方向(左右方向)に広角度から入射する外部光は,全反射レンズの映像光出射面に形成された第1の単位レンズ部の間の溝に充填された低屈折率樹脂に添加されている光吸収粒子によって効率よく吸収される。また,外部光は,レンチキュラーレンズによって垂直方向(上下方向)に拡散される。特に,水平方向(左右方向)の観察角度について,どの観察角度であっても外部光を起因とするコントラストの変動はほとんど生じない。水平方向(左右方向)の観察角度について,外部光を起因とするコントラスト低下による映像劣化等が防止される。
この発明は,上述した光拡散シートを含む透過型スクリーンを提供している。この発明による透過型スクリーンは,上記光拡散シート,上記光拡散シートの映像光入射面側に設けられたフレネルレンズ,および上記光拡散シートの映像光出射面側に設けられ,上記光拡散シートに接着される支持板を備えている。
好ましくは,上記フレネルレンズは,その映像光入射面に,上記全反射レンズの映像光出射面に形成された上記第1の単位レンズ部の長手方向と同じ方向に長手方向を持つ光分割レンズ要素または光拡散レンズ要素が形成され,映像光出射面に,フレネルレンズ要素が形成されているものである。フレネルレンズの映像光入射面に形成された光分割レンズ要素または光拡散レンズ要素の長手方向と,全反射レンズの映像光出射面に形成された第1の単位レンズ部の長手方向が同じ方向を向いているので,映像光は,フレネルレンズの映像光入射面において,全反射レンズによって行われるべき光拡散の方向と同じ方向に分割または拡散された上で,全反射レンズによって拡散される。このため,水平方向または垂直方向に平坦な輝度分布を持つ(輝度の強弱が小さい,ピークの明暗差が小さい)出射光を得ることができる。また,映像光出射面において出射される映像光が平行光(シートの法線方向を向く光)にされる(平行光に近づく)ので,映像光を効率よく外部に出射させることができる。
図1は背面投射型のプロジェクション表示装置1の内部構造を概略的に示すものである。図2はプロジェクション表示装置1の表示画面を構成する透過型スクリーン(プロジェクション・スクリーン)10の斜視図である。図3は,図2に示す透過型スクリーン10を構成する複数の部材(詳細は後述する)を,互いに分離させて示すものである。図2および図3において,図示の便宜上,透過型スクリーン10の水平方向の長さ(横幅)および垂直方向の長さ(高さ)が短く描かれている。
透過型スクリーン10は,プロジェクタ2(光源)から出射された映像光を結像させ,透過型スクリーン10の表面に映像光に基づく映像(静止画像および動画像)を表示させるものである。プロジェクタ2から出射された映像光は,プロジェクション表示装置1の内部に設けられたミラー3によって反射されて透過型スクリーン10に到達する。プロジェクタ2から出射された映像光が入射する透過型スクリーン10の面(光源側の面)を「入射面」と呼ぶ。入射面から入射した映像光に基づく映像が映し出される透過型スクリーン10の面(映像が視認される観察者側の面)を「出射面」と呼ぶ。透過型スクリーン10の全体がプロジェクション表示装置1の筐体に固定される。
透過型スクリーン10は,フレネルレンズ11,UV樹脂層(ベースフイルム)12,全反射レンズ13,レンチキュラーレンズ14および支持板15が重ね合わされて構成される。全反射レンズ13は,UV樹脂層12の出射面側にUV樹脂層12と一体的に形成される。支持板15はレンチキュラーレンズ14の出射面側に接着剤等によって貼り合わせられる(後述する凸条部14cの端面に接着層が設けられて,支持板15とレンチキュラーレンズ14とが接着される)。フレネルレンズ11は,UV樹脂層(ベースフイルム)12,全反射レンズ13,レンチキュラーレンズ14および支持板15とは別体である。支持板15の出射面が透過型スクリーン10の最外面となる。レンチキュラーレンズ14は,全反射レンズ13の出射面側に接着剤等によって貼り合わせてもよい(好ましくは,後述するV字溝13a中に充填された低屈折率部材の部分)(BS部)に接着剤等が塗布される)。
フレネルレンズ11の入射面には,水平方向(透過型スクリーン10の出射面に対面した観察者を基準とすれば,左右方向)に長手方向を有する三角条の単位レンズ部11aが隣接して複数配列されて形成され,その出射面には同心円状のフレネルレンズ要素11bが形成されている。入射面の単位レンズ部11aは円柱条(外縁が弧状)であってもよい。フレネルレンズ11の入射面に形成された単位レンズ部11aが水平方向に長手方向を持って形成されているので,プロジェクタ2から出射(投射)された映像光は,フレネルレンズ11の入射面において垂直方向(透過型スクリーン10の出射面に対面した観察者を基準とすれば,上下方向)に分割(拡散)され,かつ出射面に形成されたフレネルレンズ要素11bによって,平行光(フレネルレンズ11の面の法線方向を向く光)とされる。
フレネルレンズ11から出射した映像光は,UV樹脂層12を介して全反射レンズ13に入射する。
全反射レンズ13の出射面側に,水平方向(左右方向)に長手方向を持つ多数のV字溝13aが互いに平行に形成されている。全反射レンズ13自体の形状を基準とすれば,全反射レンズ13の出射面側に,水平方向を長手方向とする,断面形状が台形の凸条の単位レンズ部13bが,互いに平行に複数配列されていると言うことができる。映像光は,断面が台形である単位レンズ部13bの底面側から入射し,上面側から出射する。
V字溝13aには光吸収粒子が添加された低屈折率部材(樹脂)が充填されている。低屈折率部材は全反射レンズ13(単位レンズ部13b)の屈折率よりも低い屈折率を持つ。光吸収粒子が添加された低屈折率部材は一般に黒色であり,V字溝13aに低屈折率部材が充填された全反射レンズ13を見ると,黒色の多数の線が入れられているように見える。このため,光吸収粒子が添加された低屈折率部材が充填されたV字溝13aは,ブラックストライプ部(BS部)と呼ばれる。単位レンズ部13bと低屈折率部材が充填されたV字溝13aとの境界に入射した光の殆どは反射する(全反射)。反射されずにV字溝13a中に入射した光は光吸収粒子によって吸収される。
全反射レンズ13の出射面に形成されたV字溝13a(単位レンズ部13b)の長手方向は水平方向(左右方向)を向いているので,全反射レンズ13の入射面から入射した平行光は,垂直方向(上下方向)に拡散されて出射される。全反射レンズ13の入射面に入射する映像光は,上述したように,フレネルレンズ11の入射面に形成された三角条の単位レンズ部11aによって垂直方向に分割(拡散)されたものである。そして,フレネルレンズ11の入射面に形成された三角条の単位レンズ部11aの長手方向と,全反射レンズ13の出射面に形成されたV字溝13a(単位レンズ部13b)の長手方向とは同方向(水平方向)を向いている。フレネルレンズ11の入射面に形成された三角条の単位レンズ部11aによって垂直方向に分割(拡散)された映像光が,全反射レンズ13において垂直方向に拡散されて出射されるので,全反射レンズ13から出射される映像光は,垂直方向に比較的平坦な輝度分布を有する(輝度の強弱が小さい,ピークの明暗差が小さい)ものになる。
全反射レンズ13から出射した映像光は,レンチキュラーレンズ14に入射する。
レンチキュラーレンズ14の入射面には,弧状の外縁を持つ単位レンズ部14aが互いに隣接して複数形成され,出射面には弧状の外縁を持つ単位レンズ部14bと,凸条部14cとが交互に形成されている。入射面側に形成された単位レンズ部14a,ならびに出射面側に形成された単位レンズ部14bおよび凸条部14cは,いずれも垂直方向の長手方向を持つ。
レンチキュラーレンズ14の入射面に形成された単位レンズ部14aの弧状部分の大きさは,出射面に形成された単位レンズ部14bの弧状部分の大きさよりも大きい。また,出射面に形成された単位レンズ部14bは,入射面に形成された単位レンズ部14aに対応する位置に形成されている。さらに,出射面に形成された凸条部14cは入射面に形成された複数の単位レンズ部14aの間(境界)に対応する位置に形成されている。凸条部14cの高さは,出射面に形成された単位レンズ部14bの高さよりも少し高い。
レンチキュラーレンズ14の入射面に形成された単位レンズ部14aによって,全反射レンズ13から出射された映像光は,レンチキュラーレンズ14の光出射側に形成された単位レンズ部14bの範囲に集光(拡散)され,単位レンズ部14bの範囲に集光された映像光は,単位レンズ部14bから出射するときに水平方向(左右方向)に拡散されて出射される。なお,レンチキュラーレンズ14の入射面に形成された単位レンズ部14aのみによっても水平方向(左右方向)の拡散が達成されるので,出射面の単位レンズ部14bは必ずしも必要ではない(この場合,単位レンズ部14bの部分は平坦とされる(図5(A))または出射面の全体がほぼ面一とされる(図5(B))が,拡散作用を強くする(拡散範囲を広くする)ためには,出射面にも単位レンズ部14bを形成しておくほうが好ましい。
レンチキュラーレンズ14の出射面に形成された凸条部14cのそれぞれの端面(出射面側)には,光吸収層14dが設けられている。光吸収層14dが設けられたレンチキュラーレンズ14を見ると,黒色の多数の線が入れられているように見える。このため,光吸収層14dはブラックストライプ部(BS部)と呼ばれる。光吸収層14dは,透過型スクリーン10の出射面側から入射した外部光が,再び外部に出射されてしまうのを防止(低減)する機能を有する。
レンチキュラーレンズ14によって水平方向(左右方向)に拡散された映像光は,支持板15を通って外部に出射される。支持板15上に現れる映像光に基づく映像が観察者によって視認される。支持板15は透明な固い樹脂等によって形成されている。必要に応じて,支持板15に拡散剤を混入してもよく,支持板15の外表面(観察者側の面)に低反射膜等を設けてもよい。
図4(A)はレンチキュラーレンズ14の出射面から入射した外部光の様子(光路)を,図4は(B)は全反射レンズ13の出射面から入射した外部光の様子(光路)を,それぞれ示している。
透過型スクリーン10を備えたプロジェクション表示装置1は,一般的には室内に配置される。たとえば,蛍光灯からの光等(外部光)が,直接または間接にプロジェクション表示装置1の透過型スクリーン10(支持板15)に入射する。
図4(A)を参照して,透過型スクリーン10の支持板15を通った外部光は,レンチキュラーレンズ14の出射面に入射する。外部光は,レンチキュラーレンズ14の単位レンズ部14bまたは凸条部14cのいずれかに入射する。凸条部14cの端面に設けられている光吸収層14dに入射した外部光は,ここで吸収される。単位レンズ部14b(または凸条部14cの壁面)に入射した外部光は,単位レンズ部14bおよび単位レンズ部14aにおいて,水平方向(左右方向)に拡散されて出射される。
水平方向に拡散されてレンチキュラーレンズ14の入射面から出射された外部光は,全反射レンズ13の出射面に入射する。
図4(B)を参照して,全反射レンズ13の出射面に入射した外部光は,光吸収粒子(図4(B)において,黒丸で示す。また,分かりやすくするために光吸収粒子の径が小さく描かれている)が添加された低屈折率部材が充填されているV字溝13aまたは単位レンズ部13bに入射する。
V字溝13aに入射した外部光は,V字溝13aに充填されている低屈折部材中に添加されている光吸収粒子によって吸収される。また,垂直方向(上下方向)に比較的広角度(全反射レンズ13となす角度が小さい方向)から単位レンズ部13bに入射した外部光は,単位レンズ部13bとV字溝13aの境界において全反射されずにV字溝13a中に入射し,V字溝13a中の光吸収粒子によって吸収される。
全反射レンズ13の単位レンズ部13bに入射した外部光のうち,V字溝13a中の光吸収粒子によって吸収されなかった外部光は,単位レンズ部13bをそのまま通過して,または単位レンズ部13bとV字溝13aの境界において全反射されて,全反射レンズ13の入射面から出射される。
全反射レンズ13を通過した外部光は,UV樹脂層12およびフレネルレンズ11を通って外部に出射される。
レンチキュラーレンズ14の凸条部14cの端面の光吸収層14dに入射した外部光のほとんどは吸収されるので,レンチキュラーレンズ14を通過することはない。全反射レンズ13のV字溝13aに直接に入射した外部光のほとんどは吸収されるので,全反射レンズ13を通過することはない。垂直方向(上下方向)の広角度から全反射レンズ13の単位レンズ部13bに入射した外部光も,V字溝13aに入射して吸収されるので,全反射レンズ13を通過することはない。
結局,透過型スクリーン10に入射した外部光のうち,レンチキュラーレンズ14および全反射レンズ13を通過して出射される外部光は,レンチキュラーレンズ14の光吸収層14dおよび全反射レンズ13のV字溝13a中の光吸収粒子によって吸収されなかったものになる。
レンチキュラーレンズ14の光吸収層14dおよび全反射レンズ13のV字溝13a中の光吸収粒子によって吸収されることなく,レンチキュラーレンズ14および全反射レンズ14を通過した外部光は,レンチキュラーレンズ14から出射されるときには水平方向(左右方向)に拡散されている。透過型スクリーン10の出射面に入射した外部光の一部が水平方向(左右方向)に拡散された状態で,透過型スクリーン10の入射面から出射することになる。
全反射レンズ13(透過型スクリーン10)から出射された,水平方向に拡散された外部光のほとんどは,プロジェクション表示装置1の内部壁面に入射する。プロジェクション表示装置1の内部壁面を光吸収性の高い色(黒色等)で塗装しておくことによって,プロジェクション表示装置1の内部壁面に到達した外部光をここで吸収することができる。
全反射レンズ13(透過型スクリーン10)から出射された,水平方向に拡散された外部光のうちの一部は,プロジェクション表示装置1の内部のミラー3で反射されて,透過型スクリーン10の出射面側に向かう。上述したように,透過型スクリーン10に入射した外部光のうち,プロジェクション表示装置1の内部のミラー3によって反射されて,再び透過型スクリーン10の出射面側に向かう外部光はわずかなものになる。特に,垂直方向の広角度から透過型スクリーン10に入射した外部光については,全反射レンズ13のV字溝13a中の光吸収粒子によって効率よく吸収されるので,垂直方向の広角度から透過型スクリーン10に入射した外部光については,透過型スクリーン10の出射面側に向かうものはほとんど無い。また,再び透過型スクリーン10から出射される外部光は,全反射レンズ13によって垂直方向(上下方向)に拡散され,かつレンチキュラーレンズ14によって水平方向(左右方向)に拡散された後に透過型スクリーン10から出射される。このため,透過型スクリーン10上に表示される映像のコントラストが,外部光の影響によって異なってしまう(低下してしまう)ことが防止(低減)される。
このように,透過型スクリーン10は,全反射レンズ13によって映像光を垂直方向(上下方向)に拡散し,レンチキュラーレンズ14によって映像光を水平方向(左右方向)に拡散するので,透過型スクリーン10の視野角を,垂直方向および水平方向の両方向において広いものとすることができる。また,特に,垂直方向(上下方向)の広角度から入射する外部光を起因とするコントラストの低下がほとんど生じない。
図6は,他の実施例の透過型スクリーン20を示す斜視図である。図2に示す透過型スクリーン10とは,フレネルレンズ11Aの入射面に形成された単位レンズ部11aの長手方向が垂直方向(上下方向)であり,全反射レンズ13Aの出射面に形成された単位レンズ部(V字溝)の長手方向が垂直方向(上下方向)であり,レンチキュラーレンズ14Aの両面に形成された単位レンズ部(凸条部)の長手方向が水平方向(左右方向)である点が異なる。
透過型スクリーン20では,全反射レンズ13Aによって映像光が水平方向(左右方向)に拡散され,レンチキュラーレンズ14Aによって映像光が垂直方向(上下方向)に拡散される。また,透過型スクリーン20では,特に,水平方向(左右方向)の広角度から入射する外部光を起因とするコントラストの変動(低下)がほとんど生じない。
10,20 透過型スクリーン
11,11A フレネルレンズ
13,13A 全反射レンズ
13a V字溝
13b,14a,14b 単位レンズ部
14c 凸条部
14d 光吸収層
14,14A レンチキュラーレンズ
15 支持板
11,11A フレネルレンズ
13,13A 全反射レンズ
13a V字溝
13b,14a,14b 単位レンズ部
14c 凸条部
14d 光吸収層
14,14A レンチキュラーレンズ
15 支持板
Claims (10)
- 全反射レンズと上記全反射レンズの映像光出射面側に設けられるレンチキュラーレンズを備え,
上記全反射レンズは,
その映像光出射面に,水平方向に長手方向を有する複数の第1の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第1の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は映像光が入射する面を底面とする台形状であり,
隣接する上記第1の単位レンズ部の間の溝に,光吸収粒子が添加された上記第1の単位レンズ部の屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されており,
上記レンチキュラーレンズは,
その映像光入射面に,垂直方向に長手方向を有する複数の第2の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第2の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は外側にふくらむ弧状の縁を有しており,
その映像光出射面には,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに光吸収層が設けられている,
光拡散シート。 - 上記レンチキュラーレンズの映像光出射面は,面一に形成されている,
請求項1に記載の光拡散シート。 - 上記レンチキュラーレンズの映像光出射面に,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに垂直方向に長手方向を有する凸条部が形成され,この凸条部の端面に上記光吸収層が設けられている,
請求項1に記載の光拡散シート。 - 上記レンチキュラーレンズの映像光出射面に形成された上記複数の凸条部の間のそれぞれに,垂直方向に長手方向を有し,この長手方向に垂直な断面が外側にふくらむ弧状の縁を有する複数の第3の単位レンズ部が形成されている,
請求項3に記載の光拡散シート。 - 全反射レンズと上記全反射レンズの映像光出射面側に設けられるレンチキュラーレンズを備え,
上記全反射レンズは,
その映像光出射面に,垂直方向に長手方向を有する複数の第1の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第1の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は映像光が入射する面を底面とする台形状であり,
隣接する上記第1の単位レンズ部の間の溝に,光吸収粒子が添加された上記第1の単位レンズ部の屈折率よりも低い屈折率を有する樹脂が充填されており,
上記レンチキュラーレンズは,
その映像光入射面に,水平方向に長手方向を有する複数の第2の単位レンズ部が互いに平行に形成され,上記第2の単位レンズ部の上記長手方向に垂直な断面は外側にふくらむ弧状の縁を有しており,
その映像光出射面には,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに光吸収層が設けられている,
光拡散シート。 - 上記レンチキュラーレンズの映像光出射面は,面一に形成されている,
請求項5に記載の光拡散シート。 - 上記レンチキュラーレンズの映像光出射面に,上記複数の第2の単位レンズ部の境界に対応する位置のそれぞれに水平方向に長手方向を有する凸条部が形成され,この凸条部の端面に上記光吸収層が設けられている,
請求項5に記載の光拡散シート。 - 上記レンチキュラーレンズの映像光出射面に形成された上記複数の凸条部の間のそれぞれに,水平方向に長手方向を有し,この長手方向に垂直な断面が外側にふくらむ弧状の縁を有する複数の第3の単位レンズ部が形成されている,
請求項7に記載の光拡散シート。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の光拡散シート,
上記光拡散シートの映像光入射面側に設けられたフレネルレンズ,および
上記光拡散シートの映像光出射面側に設けられ,上記光拡散シートに接着される支持板,
を備えた透過型スクリーン。 - 上記フレネルレンズは,
その映像光入射面に,上記全反射レンズの映像光出射面に形成された上記第1の単位レンズ部の長手方向と同じ方向に長手方向を持つ光分割レンズ要素または光拡散レンズ要素が形成され,
映像光出射面に,フレネルレンズ要素が形成されているものである,
請求項9に記載の透過型スクリーン。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016218148A (ja) * | 2015-05-15 | 2016-12-22 | 大日本印刷株式会社 | 透過型スクリーン及び表示装置 |
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2006
- 2006-10-30 JP JP2006293538A patent/JP2007148390A/ja active Pending
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