JP2007146672A - 水素利用内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体燃料に混入された水素のガス化による再始動性の悪化を抑制可能な水素利用内燃機関を提供する。
【解決手段】水素添加運転中にエンジン停止要求があった場合には、水素生成処理を停止し(ステップ114)、生成された水素のマイクロバブル化を停止する(ステップ116)。その後、マイクロバブル化停止から所定時間が経過した後に(ステップ118)、すなわち、燃料通路における燃料が全て消費した後に、エンジンを停止する(ステップ120)。
【選択図】図2

Description

本発明は、水素が混入された液体燃料を燃料として運転可能な水素利用内燃機関に関する。
液体燃料と水素ガスとを混合し、混合燃料を1つの燃料噴射弁から噴射する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置によれば、噴射弁において液体燃料と水素ガスとの混合が行われる。
特開2003−293809号公報 特開平5−321688号公報
ところで、液体燃料と水素ガスの混合方法の1つとして、水素ガスを微細気泡状態とし、この微細気泡状態の水素を液体燃料に混入させる方法が考えられる。
この混合方法を上記装置に適用した場合において、車両停止時のように内燃機関を長期間停止させると、液体燃料に混入された水素がガス化してしまう可能性がある。そうすると、内燃機関の再始動性が悪化する可能性がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、液体燃料に混入された水素のガス化による再始動性の悪化を抑制可能な水素利用内燃機関を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、水素が混入された液体燃料を燃料として運転可能な水素利用内燃機関であって、
燃料通路に設けられ、水素を微細気泡状態で液体燃料に混入させる水素混入部と、
内燃機関の停止要求を受け付ける機関停止要求受付手段と、
前記水素混入部により水素の混入が行われている間に前記機関停止要求受付手段により内燃機関の停止要求が受け付けられた場合には、前記水素混入部による水素の混入を停止する水素混入停止手段と、
前記水素混入停止手段により水素の混入が停止され、かつ、前記燃料通路における混合燃料が全て消費された後、内燃機関を停止する機関停止手段とを備えたことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、液体化合物から水素を生成する水素生成部を更に備え、
前記水素混入部は、前記水素生成部により生成された水素を混入するものであり、
前記水素混入停止手段は、水素の混入を停止すると共に、前記水素生成部による水素の生成を停止するものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、液体燃料への水素の混入が行われている間に内燃機関の停止要求が受け付けられると、内燃機関の停止に先立って、水素混入が停止され、燃料通路における混合燃料が全て消費される。これにより、内燃機関停止中の混入水素のガス化を抑制することができるため、良好な再始動性を得ることができる。
第2の発明によれば、内燃機関停止時に水素生成が停止されるため、水素混入部により水素の混入を即座に停止させることができる。これにより、燃料通路における全ての混合燃料の消費に要する時間が短縮され、内燃機関の停止に要する時間を短縮することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
[システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態のシステム構成を説明するための図である。本実施の形態のシステムは、内燃機関(以下「エンジン」ともい。)1を備えている。内燃機関1は、マイクロバブル状態(微細気泡状態)の水素が混入された液体燃料を燃料として運転可能な水素利用内燃機関である。さらに、内燃機関1は、液体燃料のみを燃焼させることで運転可能である。内燃機関1は複数の気筒を有しているが、図1には、複数気筒のうちの1気筒のみを示している。
内燃機関1は、内部にピストン2を有するシリンダブロック4を備えている。シリンダブロック4には、内燃機関1の冷却水温Twを検出する冷却水温センサ6が設けられている。ピストン2は、クランク機構を介してクランクシャフト8と接続されている。クランクシャフト8の近傍には、クランク角センサ10が設けられている。クランク角センサ10は、クランクシャフト8の回転角度(以下「クランク角」という。)CAを検出するように構成されている。
シリンダブロック4の上部にはシリンダヘッド12が組み付けられている。ピストン2上面からシリンダヘッド12までの空間は燃焼室14を形成している。シリンダヘッド12には、燃焼室14内の混合気に点火する点火プラグ16が設けられている。
シリンダヘッド12は、燃焼室14と連通する吸気ポート18を備えている。この吸気ポート18と燃焼室14との接続部には吸気バルブ20が設けられている。吸気ポート18には、吸気通路22が接続されている。吸気通路22には、吸気ポート18の近傍に燃料(液体燃料若しくは水素が混入された液体燃料)を噴射するインジェクタ24が設けられている。このインジェクタ24の上流にはスロットルバルブ26が設けられている。スロットルバルブ26は、スロットルモータ28により駆動される電子制御式のバルブである。スロットルバルブ26は、アクセル開度センサ30により検出されるアクセル開度AAに基づいて駆動されるものである。
また、シリンダヘッド12は、燃焼室14と連通する排気ポート32を備えている。排気ポート32と燃焼室14との接続部には排気バルブ34が設けられている。排気ポート32には排気通路36が接続されている。排気通路36には、排気ガスを浄化する浄化触媒38が設けられている。浄化触媒38の上流には、排気空燃比を検出する空燃比センサ40が設けられている。
また、本実施の形態のシステムは、液体化合物としての水を貯留する水タンク42を備えている。水タンク42には、配管43の一端が接続されている。配管43の他端は、ポンプ44を介して水素生成装置46に連通している。
水素生成装置46は、水を電気分解することにより、あるいは、水とマグネシウム等の金属とを反応させることにより、車上で水素を生成できるように構成されている。水素生成装置46には、配管47の一端が接続されている。配管47の他端は、チェックバルブ48を介してマイクロバブル発生装置50に連通している。チェックバルブ48は、配管47内の水素圧力が所定値以上になると開弁するように構成されている。
マイクロバブル発生装置50は、燃料通路としての配管52の途中に設けられている。配管52におけるマイクロバブル発生装置50の上流には、ポンプ54が設けられている。ポンプ54よりも上流の配管52の上流端は、液体燃料タンク56に連通している。液体燃料タンク56は、ガソリンのような液体燃料を貯留するものである。一方、配管52の下流端は、上記インジェクタ24に連通している。マイクロバブル発生装置50は、水素をマイクロバブル状態とし、このマイクロバブル状態の水素を、配管52を流れる液体燃料に混入させることができるように構成されている。
また、本実施の形態のシステムは、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)60を備えている。ECU60の出力側には、点火プラグ16、インジェクタ24、スロットルモータ28、ポンプ44,54、水素生成装置46、マイクロバブル発生装置50等が接続されている。ECU60の入力側には、冷却水温センサ6、クランク角センサ10、アクセル開度センサ30、空燃比センサ40等が接続されている。
ECU60は、各センサの出力に基づいて、燃料噴射制御や点火時期制御のような内燃機関全体の制御を実行する。また、ECU60は、クランク角センサ10の出力に基づいて、機関回転数NEを算出する。また、ECU60は、アクセル開度センサ30により検出されるアクセル開度AA等に基づいて、機関負荷KLを算出する。
[実施の形態の特徴]
次に、本実施の形態における上記システムの動作について説明する。
ポンプ54が駆動されると、液体燃料タンク56から配管52を介してインジェクタ24に液体燃料が供給される。これにより、インジェクタ24から吸気通路22への液体燃料の噴射が可能となる。
また、ポンプ44が駆動されると、水タンク42に貯留されている水が配管43を介して水素生成装置46に供給される。水素生成装置46に水が供給されると、水素生成装置46において水の電気分解が行われるか、もしくは、水と金属との反応が行われる。該電気分解もしくは反応により生じた水素は、配管47及びチェックバルブ48を介してマイクロバブル発生装置50に送られる。マイクロバブル発生装置50に水素が供給されると、マイクロバブル発生装置50において水素がマイクロバブル状態とされ、このマイクロバブル状態の水素が配管52を流れる液体燃料に混入される。マイクロバルブ状態の水素が混入された液体燃料は液体として扱うことができるため、液体燃料のみの場合と同様に、インジェクタ24から吸気通路22への噴射が可能となる。このように液体燃料に水素を添加することで、燃焼性を向上させることができる。また、本実施の形態のシステムは、水素ガスを充填する水素タンクや、インジェクタへの水素供給配管を設ける必要がないため、簡易な装置構成をとることができる。
ところで、車両停止時のようにエンジン1を停止する場合には、マイクロバブル状態の水素が混入された液体燃料が長期間噴射されない可能性がある。すなわち、水素混入後に液体燃料が長期間噴射されず、該液体燃料が配管52内に長期間残存する可能性がある。液体燃料中のマイクロバブル化水素は時間を掛けて崩壊して液体燃料中に溶け込むが、飽和量以上の水素が大きなガス塊となる。そうすると、マイクロバブル発生装置50よりも下流の配管52において長期間液体燃料が残存すると、混入水素がガス化してしまう。ガス化した水素は液体として扱うことはできなくなる。このため、次回のエンジン再始動時に、燃料調量性が低下したり、ベーパロック現象と同様にガス化した水素により燃料の噴射が不可能となってしまう。よって、混入水素のガス化によりエンジンの再始動性が悪化する事態が生じ得る。
そこで、本実施の形態では、水素添加運転時にエンジン1を停止させる前に、水素生成装置46における水素の生成を停止させ、マイクロバブル発生装置50における水素の混入を停止させると共に、配管52内の水素が混入された液体燃料を全て消費させる。これにより、エンジン1を長期間停止させる場合であっても、配管52における混入水素のガス化が防止されるため、再始動性の悪化を抑制することができる。すなわち、良好なエンジン再始動性を確保することができる。さらに、混入水素のガス化により配管52内の圧力の異常上昇を抑制することもできる。
[実施の形態における具体的処理]
図2は、本実施の形態において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。
図2に示すルーチンによれば、先ず、エンジン運転条件を取得する(ステップ100)。このステップ100では、例えば、機関回転数NE、負荷KL及び冷却水温Twが、ECU60内に取り込まれる。
次に、上記ステップ100で取得されたエンジン運転条件が、水素添加運転条件を具備するか否かを判別する(ステップ102)。このステップ102では、エンジン運転条件が、水素添加を必要とする運転条件であるか否かが判別される。水素添加を必要とする運転条件とは、例えば、燃焼性を改善して失火限界を延ばしたい低温条件や、ノック発生を抑制したい高負荷条件等である。このステップ102で水素添加運転条件を具備していないと判別された場合には、本ルーチンを終了する。この場合、ECU60は、液体燃料のみをインジェクタ24から噴射させる運転を行う。
上記ステップ102で水素添加運転条件を具備していると判別された場合には、エンジン停止要求があるか否かを判別する(ステップ104)。このステップ104において、ECU60は、車両運転者によるキー操作や、ブレーキスイッチのON操作に基づき、エンジン停止要求があるか否かを判別することができる。
ステップ104でエンジン停止要求がないと判別された場合には、上記ステップ100で取得されたエンジン運転条件に応じた水素添加割合を算出する(ステップ106)。その後、上記ステップ106で算出された水素添加割合から水素生成量を算出する(ステップ108)。さらに、上記ステップ108で算出された水素生成量に基づいて、水素生成装置46における水素生成処理を実行する(ステップ110)。そして、生成された水素をマイクロバブル発生装置50においてマイクロバブル化させ、マイクロバブル化された水素を液体燃料に混入させる(ステップ112)。
一方、上記ステップ104でエンジン停止要求があると判別された場合には、水素生成装置46における水素生成処理を停止する(ステップ114)。これと同時に、エンジン1はアイドル運転される。次に、マイクロバブル発生装置50における水素のマイクロバブル化を停止する(ステップ116)。次に、マイクロバブル化を停止してから所定時間を経過したか否かを判別する(ステップ118)。ここで、所定時間は、配管52内の水素が混入された液体燃料が全てインジェクタ24から噴射されたか否かを判別するための数値である。このステップ118では、配管52内の混合燃料が全て消費されたか否かが判別される。ステップ118で所定時間を経過したと判別された場合、つまり、配管52内に水素が混入された液体燃料が残存していないと判別された場合には、エンジン1を停止する。
以上説明したように、図2に示すルーチンによれば、水素添加運転中にエンジン停止要求があった場合には、水素生成処理を停止させ、水素のマイクロバブル化及び混入を停止させると共に、マイクロバブル化停止から所定時間経過した後に、エンジン1を停止させる。配管52内の水素混入液体燃料を全て消費させた後にエンジン1を停止させることで、エンジン停止中の混入水素のガス化を抑制することができ、良好なエンジン再始動性を確保することができる。
また、水素生成装置46における水素生成処理を停止させることで、水素生成装置46からマイクロバブル発生装置50への水素の供給が遮断される。これにより、マイクロバブル発生装置50における液体燃料への水素の混入が即座に停止されるため、配管52内の水素混入液体燃料の消費を短時間で終わらせることができ、エンジン1の停止に要する時間を短縮することができる。
なお、水素非添加運転中にエンジン停止要求があった場合には、直ちにエンジン1を停止させればよい。
ところで、本実施の形態では、水素生成装置46により車上で生成された水素をマイクロバブル発生装置50に供給するシステムについて説明したが、図3に示すような水素タンク58内の水素をマイクロバブル発生装置50に供給するシステムに対しても本発明を適用することができる。この場合、エンジン停止要求があった場合に、水素生成処理を停止する代わりに、ポンプ59を停止させて水素タンク58からマイクロバブル発生装置50への水素供給を停止することで、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
尚、本実施の形態1においては、ECU60が、ステップ104の処理を実行することにより第1の発明における「機関停止要求受付手段」が、ステップ116の処理を実行することにより第1の発明における「水素混入停止手段」が、ステップ118及び120の処理を実行することにより第1の発明における「機関停止手段」が、ステップ114の処理を実行することにより第2の発明における「水素混入停止手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態において、ECU60が実行するルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態の変形例によるシステム構成を説明するための図である。
符号の説明
1 内燃機関
2 ピストン
4 シリンダブロック
6 冷却水温センサ
8 クランクシャフト
10 クランク角センサ
12 シリンダヘッド
14 燃焼室
16 点火プラグ
18 吸気ポート
20 吸気バルブ
22 吸気通路
24 インジェクタ
26 スロットルバルブ
28 スロットルモータ
30 アクセル開度センサ
32 排気ポート
34 排気バルブ
36 排気通路
38 触媒
40 空燃比センサ
42 水タンク
43,47,52 配管
44,54 ポンプ
46 水素生成装置
48 チェックバルブ
50 マイクロバブル発生装置
56 液体燃料タンク
58 水素タンク
59 ポンプ
60 ECU

Claims (2)

  1. 水素が混入された液体燃料を燃料として運転可能な水素利用内燃機関であって、
    燃料通路に設けられ、水素を微細気泡状態で液体燃料に混入させる水素混入部と、
    内燃機関の停止要求を受け付ける機関停止要求受付手段と、
    前記水素混入部により水素の混入が行われている間に前記機関停止要求受付手段により内燃機関の停止要求が受け付けられた場合には、前記水素混入部による水素の混入を停止する水素混入停止手段と、
    前記水素混入停止手段により水素の混入が停止され、かつ、前記燃料通路における混合燃料が全て消費された後、内燃機関を停止する機関停止手段とを備えたことを特徴とする水素利用内燃機関。
  2. 請求項1に記載の水素利用内燃機関において、
    液体化合物から水素を生成する水素生成部を更に備え、
    前記水素混入部は、前記水素生成部により生成された水素を混入するものであり、
    前記水素混入停止手段は、水素の混入を停止すると共に、前記水素生成部による水素の生成を停止するものであることを特徴とする水素利用内燃機関。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009257175A (ja) * 2008-04-16 2009-11-05 Nippon Soken Inc 燃料噴射装置
CN117846797A (zh) * 2024-02-27 2024-04-09 潍柴动力股份有限公司 一种氢气发动机爆震抑制系统的控制方法、装置及设备

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