JP2007146472A - 弾性連結部材による落橋防止装置 - Google Patents

弾性連結部材による落橋防止装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小規模橋梁において、設置が容易でコスト低減が図れる弾性連結部材による落橋防止装置の提供。
【解決手段】橋軸に支持される一方の橋桁10と前記他方の橋桁11との間、または橋台20と橋台20に支持される橋桁間に設置される落橋防止装置は、板状の変形可能な屈曲形状に、弾性変形可能な材料で形成されている弾性連結部材30を備えている。一方の橋桁と前記他方の橋桁との間、または、前記橋台と前記橋桁との間に相対変位が発生した場合、前記屈曲形状の変形及び/または前記弾性材料の弾性変形により、前記弾性連結部材が連結状態を維持しながら前記相対変位に対応可能にした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、橋梁に設けられる落橋防止装置に関する。更に詳しくは、小規模橋梁において、設置が容易でコスト低減が図れる弾性連結部材による落橋防止装置に関する。
既に施工されている道路や鉄道あるいは河川等の橋梁において、耐震基準を満たしていないものはその対策、即ち橋桁あるいは橋脚等の補強が求められている。特に、耐震基準の緩かった時期に施工された旧い橋梁においては耐震対策が不十分である。このため、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)のような大きな地震、直下型地震などに遭遇すると、橋梁そのものが破損、破壊のおそれがあり、又、橋桁が橋脚より外れて落下するようなおそれも生じる。このため、橋梁の剛性強化あるいは変形し難い構造、移動ずれに制限をもたせる構造等の耐震構造にすることが求められている。
既存の橋梁においては、構造上の制限もあって、既存の設備を必ずしも理想とする耐震構造に変えることはできない。特に、数の多い小規模の橋梁では、作業量、コスト面での負担が大きく耐震構造に変える補強工事があまり進んでいないのが現状である。
従来の橋梁の落橋防止装置としては、橋桁間を小判型の金属板で直接連結する方法がよく行われていたが、兵庫県南部地震などの際、衝撃による破損、面外方向(橋軸方向に対して直交する方向)の変位のための破損が発生し、落橋が発生した。そのため、現在は新設橋梁に採用されていない。この小判型金属板で連結するものの改良とし、三方向の変位が生じた場合でも、応力の集中を回避させて部材の破断を免れる落橋防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、新設橋梁、主要幹線道路における橋梁等で現在採用される方式としては、橋桁間をケーブル(鋼より線)、または鋼棒等で連結するものが知られている。本出願人も、この方式の技術を開示している(例えば、特許文献2,3参照)。さらに、連接して支承される橋梁の縦桁間を金属製のベローズで連結する方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開平11−131426号公報 特許第2869887号公報 特許第3333480号公報 特開2001−040616号公報
しかしながら、特許文献1の技術のものは、三方向の変位に対して、一定の範囲内で対応可能とされているが、この範囲を超える恐れが多大な大地震発生時の衝撃的な力、面外方向の変位等に対する対策としてはまだ不充分であるという恐れがあった。また、施工時、ブラケット、支持ピン、ガイドプレート、リングプレート、連結板等を組み付けるための作業が必要であり、施工コストが増大する。また、構成が簡素でなく、可動部を有することで信頼性が低下してしまう恐れがあるなどの問題点を有するものであった。
特許文献2,3の技術のものは、新設橋梁、主要幹線道路における橋梁等では好適であるが、小規模の橋梁ではブラケットを設置するスペースがとれない恐れがあることや耐震補強工事の施工コストが高価になってしまうことなど問題点があった。
特許文献4のものは、大地震時には、支承部材を積極的に破損させるヒューズ効果を発揮させて、橋脚への負荷を制御するものである。また、従来の連結ピン構造に比べれば柔結合構造であるかもしれないが、まだ不充分であるおそれがある。特に、地震の縦揺れ、段差が発生した場合などには対応することができないという問題点があった。
そのため、全国に多数設けられている中小規模の橋梁、特に小規模の橋梁では、いつ起きてもおかしくない大地震などに備えて地震耐震補強のための施工を行うことの必要性はわかっているが、耐震補強対策があまり施工されていないのが現状である。さらに、小規模の橋梁の管理は市町村であることが多く、PCケーブル連結方式等に代わる施工が容易で、施工コストも安価な落橋防止装置の開発の必要性がある。
このような現状から、全国に津々浦々に設置されている既設の小規模の橋梁に、簡素な構成、短い施工期間、安価な施工コスト等で施工され、各市町村などの負担が少なくて普及拡大が図れるような耐震補強対策のための落橋防止装置の開発が要望されていた。
本発明は、これら従来技術の問題点を解決するためになされたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、小規模の橋梁において、構成が簡素、施工が容易、施工コストが安価な弾性連結部材による落橋防止装置を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の弾性連結部材による落橋防止装置は、
橋脚に支持された一方の橋桁と他方の橋桁の間、または、橋台とこの橋台に支持された橋桁との間に設置される落橋防止装置であって、前記一方の橋桁と前記他方の橋桁の所定の位置、または、前記橋台に設けられたブラケットと前記橋桁の所定の位置に各々締結され、板状の変形可能な屈曲形状を有し、かつ、弾性変形可能な弾性材料で形成されている弾性連結部材を備え、前記一方の橋桁と前記他方の橋桁との間、または、前記橋台と前記橋桁との間に相対変位が発生した場合、前記屈曲形状の変形及び/または前記弾性材料の弾性変形により、前記弾性連結部材が連結状態を維持しながら前記相対変位に対応形可能にしたことを特徴とする。
本発明2の弾性連結部材による落橋防止装置は、本発明1において、
前記弾性材料は、ゴム材料または補強繊維をゴムに内蔵した材料であることを特徴とする。
本発明3の弾性連結部材による落橋防止装置は、本発明1または2において、
前記弾性連結部は、中間部の前記橋軸方向と直交する上下部分の少なくとも一方がU字状に凹んでいることを特徴する。
上述したように、本発明の弾性連結部材による落橋防止装置は、小規模橋梁の橋桁の間、または、橋台と橋桁の間に、低コストで設置することができ、施工期間も短いものとすることができた。また、構造が弾性連結部材による弾性変形を利用した簡素なもので、可動部がなく、信頼性が向上した。すなわち、地震はいつ起こるかわからず、地震発生時には絶対確実に働いてもらわなくてはいけない落橋防止装置として、最適なものとすることができた。さらに、地震による衝撃的な荷重を弾性連結部材で緩衝することもできた。
また、地震発生時の橋軸方向、橋軸方向と直交する水平方向及び橋軸方向と直交する垂直方向のどの方向からの相対変位に対しても対応可能となった。すなわち、地震の縦揺れ、横揺れ、両方の複合的な揺れ等に対応可能な落下防止装置とすることができた。また、弾性連結部の形状を適正にすることにより、充分な剛性を備えることができるとともに、橋桁に取り付ける取り付け部の小型化が図れるので、小規模橋梁における落橋防止装置として最適なものとすることができた。
また、従来の連結板方式では、常時の変形を吸収するためボルト取り付け穴を長穴にする必要があったが、本発明では、弾性連結部材で吸収可能であり、確実な締結が可能となるため、施工及び強度の信頼性も向上させることができた。
以下、本発明の弾性連結部材による落橋防止装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の弾性連結部材による落橋防止装置が設けられた橋梁を示す正面図、図2は、落橋防止装置周辺部を拡大した正面図、図3は、図2をA−A線で矢視した断面図である。図4は、落橋防止装置を拡大した正面図、図5は、図4をB−B線で矢視した断面図である。
図1から3に示すように、橋梁では、橋桁10,11が、橋台20、橋脚21に対し、例えば金属製の支承装置15により支持、固定されていることが多い。この支承装置15は、橋桁10,11と橋脚21(又は橋台20)の間に挟まれて配置され、下沓、上沓、ベアリングプレート、サイドブロック等から構成されているものであり、従来よりよく使用されている周知なものなので詳細な説明は省略する。
図4,5に示すように、一方の橋桁10のウェブプレート10aと他方の橋桁11のウェブプレート11aは、弾性連結部材30で連結されている。弾性連結部材30は、板状(薄肉状)のものであって、橋桁10(または橋桁11)に締結する取り付け面の反対側の略中央部が突出しているΩ(オーム)状または略Ω状の屈曲形状(以下、Ω状の屈曲形状という。)となっている。すなわち、弾性連結部材30は、地震による相対変位が発生したとき、変形可能な形状となっている。この実施の形態の弾性連結部材30は、屈曲形状の凸側の部位が各々反対方向を向くように、ウェブプレート10a、ウェブプレート11aを挟んで前後に2個設けられている。すなわち、この実施の形態では、一対の弾性連結部材30で弾性連結部材による落橋防止装置1は構成されている。弾性連結部材30は、弾性材料であるゴム材料で、図5に示すようにΩ状または略Ω状の屈曲部が一体に形成された弾性連結本体31、弾性連結本体31に一体に埋め込まれた金属製の補強板32からなっている。必要により、弾性連結本体31とウェブプレート10a(またはウェブプレート11a)との間に金属製の補強プレート33等を設けてもよい。
補強板32は鋼板であることが好ましい。弾性連結本体31の中間部はΩ状または略Ω状の屈曲形状の部位(以下、Ω状の屈曲部という。)を形成しており、このΩ状の屈曲部が弾性連結部30aを形成している。また、弾性連結本体31のΩ状の屈曲部の両端側の部位、補強板32、補強プレート33などで取り付け部30b、30bが形成されている。弾性連結本体31は、弾性材料(ゴム材料)で形成されているため、地震による衝撃的な荷重を緩衝することができる。
ゴム材料で形成された弾性連結本体31は、所定%モジュラスの荷重よりゴム厚寸法t、上下方向寸法ac等を計算して決定することが好ましい(図4,5参照)。このようにすることで、弾性連結本体31が橋桁を落下させない剛性(強度)と、橋桁間の相対変位に対応した弾性変形量とを得ることができる。
また、橋桁10,11の温度変化、すなわち常時伸縮時にゴムの張力が発生しないように、弾性連結本体31は前述したようにΩ状の屈曲部に、すなわち、弾性連結部30aは略中央部が凸状に屈曲した形状になっているとよい。例えば、橋桁10,11の温度変化による熱変位等の変位(例えば、20mm程度の伸張、縮小の変位)は弾性連結部30aの屈曲部の変形で吸収する。さらに、地震時のような大きな変位発生時には、弾性連結部30aの弾性変形による伸びで吸収する。取り付け部30bには鋼板を内蔵し、この鋼板とゴムは加硫接着する。
この弾性連結本体31、補強プレート33は、ボルト34、ワッシャ35,36、ナット37で、ウェブプレート10a(またはウェブプレート11a)に締結されている。
次に、例えば既設の橋梁に、この実施の形態の弾性連結部材30を設置する方法について説明を行う。
既設の橋梁に弾性連結部材30を取り付ける場合、橋梁に対する追加工事はウェブプレート10a,ウェブプレート11aの所定の位置に、ドリル等で孔をあける作業を行うだけでよい。すなわち、ボルト34が挿入されるボルト挿通孔(例えば、図4の形態では6個の孔)をあける孔あけ作業を行う。孔あけ終了後、弾性連結部材30をウェブプレート10a、ウェブプレート11aにボルト34、ナット37等で締結すればよい。このように、既設の橋梁に対して、簡単に取り付けることができ、短時間で終了することができる。また、弾性連結部材30は、一体のものであり、組み付け調整も不要である。なお、新設橋梁の場合には、橋桁製作時に、ウェブプレートの所定の位置に弾性連結部材取り付け用のボルト挿通穴を加工しておけばよい。
この実施の形態の弾性連結部材による落橋防止装置1の作用について説明を行う。
図6は、橋梁の橋軸方向(図1の矢印C方向)に揺れるような地震が発生したときの弾性連結部材30の弾性変形状態を示した説明図であって、図6(a)が平面図、図6(b)が正面図である。図7は、橋梁の橋軸方向と水平面内で直交する方向(面外方向)に変位が生じたときの弾性連結部材30の弾性変形状態を示した説明図であって、平面図である。図8は、橋梁に、垂直方向に段差が生じたときの弾性連結部材30の弾性変形状態を示した説明図であって、正面図である。
図6に示すように、橋軸方向に地震等で橋桁10,11(二点鎖線)が橋桁10b,11b(実線)になるような変位が生じた場合、弾性連結本体31の弾性連結部30aのΩ状の屈曲部が直線状に変形するとともに弾性連結部30aが弾性変形する。すなわち、弾性連結部30aが弾性連結部30cに示した形状のように弾性変形等して、この変位を吸収しながら、橋桁10、橋桁11の連結状態を維持している。
図7は、橋軸方向と水平面内で直交する方向に変位が生じた場合、弾性連結部材30の変形状態を示している。なお、橋桁10,11間の変位は、実際は相対的に変位するものであるが、説明の都合上、橋桁10に対して橋桁11に変位が生じたものとして図示している。橋桁11が、橋桁10に対して、橋桁11cまたは橋桁11dになるような変位が生じた場合、弾性連結本体31の弾性連結部30aのΩ状の屈曲部が直線状に変形するとともに弾性連結部30aが弾性変形する。すなわち、図4に図示した弾性連結部30aが弾性連結部30dまたは弾性連結部30eのように弾性変形等して、この変位を吸収しながら、橋桁10、橋桁11の連結状態を維持している。
図8に示すように、橋桁10、11間に垂直方向の変位が発生した場合、すなわち段差が発生したような場合の変形状態を示している。例えば、橋桁10に対して橋桁11が橋桁11eになるような変位が生じたとき、弾性連結本体31の弾性連結部30aのΩ状の屈曲部が直線状に変形するとともに弾性連結部30aが弾性変形する。すなわち、図4に図示した弾性連結部30aが、弾性連結部30fのように弾性変形等して、この垂直方向の変位を吸収しながら、橋桁10、橋桁11eの連結状態を維持している。
このように、橋桁10,11間に、橋軸方向、橋軸方向と直交する垂直方向、及び、橋軸方向と直交する水平方向の少なくとも一方向に地震等で変位が生じても、弾性連結部材30が弾性変形等して、この変位を吸収しながら、橋桁10、橋桁11の連結状態を維持するような構成になっている。また、橋桁10,11の外気温度等の変化などで生じる熱変位等による常時の伸縮変形は、弾性連結本体31のΩ状の屈曲部の変形で吸収する構成となっているため、弾性連結本体31、特に弾性連結部30aの長寿命化が図られている。
〔橋台と橋脚の間に弾性連結部材を設けた実施の形態〕
図9は、弾性連結部材を橋台とこの橋台に支持されている橋桁との間に設置する実施の形態を示した図で、(a)が平面図、(b)が正面図である。
前述した実施の形態では、橋脚に支持された橋桁・橋桁間に弾性連結部材を設けた実施の形態について説明を行ったが、図9に示すようなブラケット60を介して、橋台20と橋桁10(または橋桁11)間に弾性連結部材230を設けてもよい。
橋台20には、ブラケット60がボルト61、ナット62で固定されている。ボルト60は、橋台20に埋設されて固定されている。ブラケット60の被取り付け部60aと橋桁10とウェブプレート10aとの間に、弾性連結部材230がボルト234,234’、ナット237,237’等で取り付けられている。取り付け部60aとウェブプレート10aとの間には、平面視で段差がある。
弾性連結部材230は、前述した弾性連結部材30とほぼ同じものである。弾性連結部材230は、弾性材料であるゴム材料である。図9(a),(b)に示すように、段差のある被取り付け部60aとウェブプレート10aに、各々、取り付け部230b,230bが取り付けられ、その間が円弧状の屈曲部に形成されている。弾性連結部材230は、一体に形成された弾性連結本体231、弾性連結本体231に一体に埋め込まれた金属製の補強板(図示せず)、弾性連結本体231とウェブプレート10aとの間に設けられる金属製の補強プレート(図示せず)等からなっている。
弾性連結本体231の中間部は円弧状の屈曲部を形成しており、この円弧状の屈曲部の部位が弾性連結部230aを形成している。また、弾性連結本体231の屈曲部の両端側の部位、補強板、補強プレートなどで取り付け部230b、230bが形成されている。弾性連結本体231は、弾性材料(ゴム材料)で形成されているため、地震による衝撃的な荷重を緩衝することができる。
地震による相対変位が発生した時の変形等は、橋桁間に設けられる弾性連結部材30と同一またはほぼ同一なものであり、詳細な説明は省略する。
また、弾性連結部材230を取り付ける際、まず、橋台20に簡素な構成のブラケット60を固定する。ブラケット60を取り付ける方法は、従来より行われている周知な方法であり詳細な説明は省略する。このブラケット60と橋桁10(または11)のウェブプレートとの間に、弾性連結部材230を取り付ける。この取り付け方法は、ウェブプレートにボルト挿通孔をあけるなど、前述と同じものであり、詳細な説明は省略する。
〔弾性連結部材の他の実施の形態〕
図10は、弾性連結部材の他の実施の形態を示す図で、前述した実施の形態の図5に相当する断面図である。なお、この他の実施の形態の説明では、前述した実施の形態と同一の部位には、同じ符号を付与し詳細な説明は省略する。
この他の実施の形態の弾性連結本体131は、弾性材料として補強繊維(例えば、アラミド樹脂、ポリエステル、ポリアミド樹脂、レーヨンなど)をゴムに内蔵したもので形成されている。すなわち、この他の実施の形態の弾性連結本体131は、前述したゴム製の弾性連結部材31より高剛性の弾性連結部材131とすることができる。この他の実施の形態の弾性連結本体131では、補強繊維の強度を考慮してゴム厚を決定することが好ましい。地震時の変位の吸収には、弾性連結本体131を図10に示すようにΩ状の屈曲形状にし、このΩ状の屈曲形状の部位(Ω状の屈曲部)が変形することにより吸収する。従って、この補強繊維を内蔵したゴム製の弾性連結本体131は、前述したゴム製の弾性連結本体31より、屈曲形状の部位の奥行き寸法、幅寸法などが大型なものとなっている。また、弾性連結本体131は、Ω状の屈曲部が弾性変形可能な弾性材料(補強繊維を内蔵したゴム材料)で形成されているため、地震による衝撃的な荷重を緩衝することができる。
図10に示すように、一方の橋桁10と他方の橋桁11は、弾性連結部材130で連結されている。弾性連結部材130は、平面視でΩ状の屈曲部の凸側が各々反対方向を向くように、橋桁のウェブプレート10a,ウェブプレート11aを挟んで前後に2個設けられている。すなわち、一対の弾性連結部材130で落橋防止装置は構成されている。弾性連結部材130は、補強繊維(例えば、アラミド樹脂、ポリエステル、ポリアミド樹脂、レーヨンなど)40をゴムに内蔵したΩ状の屈曲部が形成された弾性連結本体131、弾性連結本体131に一体に埋め込まれた金属製の補強板132a,132b、弾性連結本体131とウェブプレート10a(またはウェブプレート11a)との間に設けられる補強プレート133等からなっている。弾性連結本体131には、すだれ状の補強繊維40が1層または複数層ゴムに内蔵されている。
補強板132a,132bの間に補強繊維40を挟み込むことで強度を向上させている。補強板132a,132bは鋼板であることが好ましい。弾性連結本体131の中間部はΩ状の屈曲部が形成されており、このΩ状の屈曲部が弾性連結部130aを形成している。また、弾性連結本体131の屈曲部の両端側の部位、補強板132a,132b、補強プレート133などで取り付け部130b,130bを形成している。
この弾性連結本体131、補強プレート133は、ボルト34、ワッシャ35,36、ナット37で、橋桁10のウェブプレート10a(またはウェブプレート11a)に締結されている。
この他の実施の形態の弾性連結部材130のウェブプレート10a(またはウェブプレート11a)へ設置するための施工工事は、前述した説明と同じであるので詳細な説明は省略する。また、弾性連結部材130は、簡単に取り付けが容易であるとともに、一体のものであり、組み付け調整も不要となっている。
なお、この他の実施の形態の弾性連結部材130は、橋台と橋台に支持された橋桁との間に設置させることが可能であることはいうまでもない。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を変更しない範囲内で変更が可能であることはいうまでもない。例えば、弾性結合部の上下に形成される凹部は、弾性連結部の中央部が凹んでいればいろいろな形状のものであってもよい。また、凹部の幅形状は、幅の広い凹部であっても、幅の狭い凹部であってもよい。さらに、凹部は上下にあった方がバランス的に好ましいが、どちらか一方に凹部が形成されたものであってもよい。
また、一方の橋桁のウェブプレートと他方の橋桁のウェブプレートの間、または、橋台のブラケットと橋桁のウェブプレートとの間に、弾性連結部材を一つ設けた実施の形態で説明を行ったが、一対の弾性連結部材を複数(例えば、上下に2個)設けたものであってもよい。
図1は、本発明の弾性連結部材による落橋防止装置が設けられた橋梁を示す正面図である。 図2は、落橋防止装置の周辺部を拡大した正面図である。 図3は、図2をA−A線で矢視した断面図である。 図4は、落橋防止装置をさらに拡大した正面図である。 図5は、図4をB−B線で矢視した断面図である。 図6は、橋梁の橋軸方向に揺れるような地震が発生したときの弾性連結部材の弾性変形状態を示した説明図であって、図6(a)が平面図、図6(b)が正面図である。 図7は、橋梁の橋軸方向と直交する方向(面外方向)に変位が生じたときの弾性連結部材の弾性変形状態を示した説明図であって、平面図である。 図8は、橋梁に、垂直方向に段差が生じたときの弾性連結部材の弾性変形状態を示した説明図であって、正面図である。 図9は、弾性連結部材を橋台、橋桁間に設置する実施の形態を示した図であって、(a)が平面図、(b)が正面図である。 図10は、弾性連結部材の他の実施の形態を示す図で、前述した実施の形態の図5に相当する断面図である。
符号の説明
1 … 落橋防止装置
10,11 … 橋桁
10a,11a… ウェブプレート
15 … 支承装置
20 … 橋台
21 … 橋脚
30,130,230 … 弾性連結部材
31,131、231 … 弾性連結本体
32,132a,132b… 補強板
33,133 … 補強プレート
34 … ボルト
37 … ナット
40 … 補強繊維

Claims (3)

  1. 橋脚に支持された一方の橋桁(10)と他方の橋桁(11)の間、または、橋台(20)とこの橋台(20)に支持された橋桁(10,11)との間に設置される落橋防止装置(1)であって、
    前記一方の橋桁(10)と前記他方の橋桁(11)の所定の位置、または、前記橋台に設けられたブラケットと前記橋桁の所定の位置に各々締結され、板状の変形可能な屈曲形状を有し、かつ、弾性変形可能な弾性材料で形成されている弾性連結部材(30,130,230)を備え、
    前記一方の橋桁と前記他方の橋桁との間、または、前記橋台と前記橋桁との間に相対変位が発生した場合、前記屈曲形状の変形及び/または前記弾性材料の弾性変形により、前記弾性連結部材が連結状態を維持しながら前記相対変位に対応可能にした
    ことを特徴とする弾性連結部材による落橋防止装置。
  2. 請求項1に記載の弾性連結部材による落橋防止装置において、
    前記弾性材料は、ゴム材料または補強繊維をゴムに内蔵した材料である
    ことを特徴とする弾性連結部材による落橋防止装置。
  3. 請求項1または2に記載された弾性連結部材による落橋防止装置において、
    前記弾性連結部材(30,130,230)は、中間部の前記橋軸方向と直交する上下部分の少なくとも一方がU字状に凹んでいる
    ことを特徴する弾性連結部材による落橋防止装置。
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