JP4480664B2 - 弾性連結部材による落橋防止装置 - Google Patents
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Description
特許文献4のものは、大地震時には、支承部材を積極的に破損させるヒューズ効果を発揮させて、橋脚への負荷を制御するものである。また、従来の連結ピン構造に比べれば柔結合構造であるかもしれないが、まだ不充分であるおそれがある。特に、地震の縦揺れ、段差が発生した場合などには対応することができないという問題点があった。
このような現状から、全国に津々浦々に設置されている既設の小規模の橋梁に、簡素な構成、短い施工期間、安価な施工コスト等で施工され、各市町村などの負担が少なくて普及拡大が図れるような耐震補強対策のための落橋防止装置の開発が要望されていた。
本発明の目的は、小規模の橋梁において、構成が簡素、施工が容易、施工コストが安価な弾性連結部材による落橋防止装置を提供することにある。
本発明1の弾性連結部材による落橋防止装置は、
橋脚に支持された一方の橋桁と他方の橋桁の間、または、橋台とこの橋台に支持された橋桁との間に設置される落橋防止装置であって、前記一方の橋桁と前記他方の橋桁の所定の位置、または、前記橋台に設けられたブラケットと前記橋桁の所定の位置に各々締結され、板状の変形可能な屈曲形状を有し、かつ、弾性変形可能な弾性材料で形成されている弾性連結部材を備え、前記弾性材料は、ゴム材料または補強繊維が内蔵されたゴム材料であり、前記弾性連結部材は、地震発生時の縦揺れ及び横揺れにより、前記一方の橋桁と前記他方の橋桁との間、または、前記橋台と前記橋桁との間に、橋梁の橋軸方向と直交する水平方向、及び、前記橋軸方向と直交する垂直方向を含む方向に相対変位が発生した場合、前記屈曲形状の変形と、前記ゴム材料または前記補強繊維が内蔵されたゴム材料の弾性変形とにより、前記相対変位を吸収しながら前記一方の橋桁と前記他方の橋桁、または、前記橋台と前記橋桁との連結状態を維持可能なものであり、前記弾性連結部材は、平面視で、前記屈曲形状の凸側の部位が、各々、反対方向を向いている一対の構成で設けられていることを特徴とする。
前記弾性連結部材は、前記屈曲形状の両端側に、前記橋桁または前記橋台に取り付けるための取り付け部が形成されており、前記取り付け部には、金属製の補強部材が設けられていることを特徴とする。
前記弾性連結部は、中間部の前記橋軸方向と直交する上下部分の少なくとも一方がU字状に凹んでいることを特徴する。
図1は、本発明の弾性連結部材による落橋防止装置が設けられた橋梁を示す正面図、図2は、落橋防止装置周辺部を拡大した正面図、図3は、図2をA−A線で矢視した断面図である。図4は、落橋防止装置を拡大した正面図、図5は、図4をB−B線で矢視した断面図である。
また、橋桁10,11の温度変化、すなわち常時伸縮時にゴムの張力が発生しないように、弾性連結本体31は前述したようにΩ状の屈曲部に、すなわち、弾性連結部30aは略中央部が凸状に屈曲した形状になっているとよい。例えば、橋桁10,11の温度変化による熱変位等の変位(例えば、20mm程度の伸張、縮小の変位)は弾性連結部30aの屈曲部の変形で吸収する。さらに、地震時のような大きな変位発生時には、弾性連結部30aの弾性変形による伸びで吸収する。取り付け部30bには鋼板を内蔵し、この鋼板とゴムは加硫接着する。
次に、例えば既設の橋梁に、この実施の形態の弾性連結部材30を設置する方法について説明を行う。
図6は、橋梁の橋軸方向(図1の矢印C方向)に揺れるような地震が発生したときの弾性連結部材30の弾性変形状態を示した説明図であって、図6(a)が平面図、図6(b)が正面図である。図7は、橋梁の橋軸方向と水平面内で直交する方向(面外方向)に変位が生じたときの弾性連結部材30の弾性変形状態を示した説明図であって、平面図である。図8は、橋梁に、垂直方向に段差が生じたときの弾性連結部材30の弾性変形状態を示した説明図であって、正面図である。
図9は、弾性連結部材を橋台とこの橋台に支持されている橋桁との間に設置する実施の形態を示した図で、(a)が平面図、(b)が正面図である。
前述した実施の形態では、橋脚に支持された橋桁・橋桁間に弾性連結部材を設けた実施の形態について説明を行ったが、図9に示すようなブラケット60を介して、橋台20と橋桁10(または橋桁11)間に弾性連結部材230を設けてもよい。
橋台20には、ブラケット60がボルト61、ナット62で固定されている。ボルト60は、橋台20に埋設されて固定されている。ブラケット60の被取り付け部60aと橋桁10とウェブプレート10aとの間に、弾性連結部材230がボルト234,234’、ナット237,237’等で取り付けられている。取り付け部60aとウェブプレート10aとの間には、平面視で段差がある。
地震による相対変位が発生した時の変形等は、橋桁間に設けられる弾性連結部材30と同一またはほぼ同一なものであり、詳細な説明は省略する。
また、弾性連結部材230を取り付ける際、まず、橋台20に簡素な構成のブラケット60を固定する。ブラケット60を取り付ける方法は、従来より行われている周知な方法であり詳細な説明は省略する。このブラケット60と橋桁10(または11)のウェブプレートとの間に、弾性連結部材230を取り付ける。この取り付け方法は、ウェブプレートにボルト挿通孔をあけるなど、前述と同じものであり、詳細な説明は省略する。
図10は、弾性連結部材の他の実施の形態を示す図で、前述した実施の形態の図5に相当する断面図である。なお、この他の実施の形態の説明では、前述した実施の形態と同一の部位には、同じ符号を付与し詳細な説明は省略する。
この他の実施の形態の弾性連結部材130のウェブプレート10a(またはウェブプレート11a)へ設置するための施工工事は、前述した説明と同じであるので詳細な説明は省略する。また、弾性連結部材130は、簡単に取り付けが容易であるとともに、一体のものであり、組み付け調整も不要となっている。
なお、この他の実施の形態の弾性連結部材130は、橋台と橋台に支持された橋桁との間に設置させることが可能であることはいうまでもない。
また、一方の橋桁のウェブプレートと他方の橋桁のウェブプレートの間、または、橋台のブラケットと橋桁のウェブプレートとの間に、弾性連結部材を一つ設けた実施の形態で説明を行ったが、一対の弾性連結部材を複数(例えば、上下に2個)設けたものであってもよい。
10,11 … 橋桁
10a,11a… ウェブプレート
15 … 支承装置
20 … 橋台
21 … 橋脚
30,130,230 … 弾性連結部材
31,131、231 … 弾性連結本体
32,132a,132b… 補強板
33,133 … 補強プレート
34 … ボルト
37 … ナット
40 … 補強繊維
Claims (3)
- 橋脚に支持された一方の橋桁(10)と他方の橋桁(11)の間、または、橋台(20)とこの橋台(20)に支持された橋桁(10,11)との間に設置される落橋防止装置(1)であって、
前記一方の橋桁(10)と前記他方の橋桁(11)の所定の位置、または、前記橋台に設けられたブラケットと前記橋桁の所定の位置に各々締結され、板状の変形可能な屈曲形状を有し、かつ、弾性変形可能な弾性材料で形成されている弾性連結部材(30,130,230)を備え、
前記弾性材料は、ゴム材料または補強繊維が内蔵されたゴム材料であり、
前記弾性連結部材は、地震発生時の縦揺れ及び横揺れにより、前記一方の橋桁と前記他方の橋桁との間、または、前記橋台と前記橋桁との間に、橋梁の橋軸方向と直交する水平方向、及び、前記橋軸方向と直交する垂直方向を含む方向に相対変位が発生した場合、前記屈曲形状の変形と、前記ゴム材料または前記補強繊維が内蔵されたゴム材料の弾性変形とにより、前記相対変位を吸収しながら前記一方の橋桁と前記他方の橋桁、または、前記橋台と前記橋桁との連結状態を維持可能なものであり、
前記弾性連結部材は、平面視で、前記屈曲形状の凸側の部位が、各々、反対方向を向いている一対の構成で設けられている
ことを特徴とする弾性連結部材による落橋防止装置。 - 請求項1に記載された弾性連結部材による落橋防止装置において、
前記弾性連結部材は、前記屈曲形状の両端側に、前記橋桁または前記橋台に取り付けるための取り付け部が形成されており、前記取り付け部には、金属製の補強部材が設けられている
ことを特徴とする弾性連結部材による落橋防止装置 - 請求項1または2に記載された弾性連結部材による落橋防止装置において、
前記弾性連結部材(30,130,230)は、中間部の前記橋軸方向と直交する上下部分の少なくとも一方がU字状に凹んでいる
ことを特徴する弾性連結部材による落橋防止装置。
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