JP2007145995A - 水溶性色素並びにそれを用いた色素組成物、異方性色素膜及び偏光素子 - Google Patents

水溶性色素並びにそれを用いた色素組成物、異方性色素膜及び偏光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い二色性を示す異方性色素膜を得る。
【解決手段】濃度10ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅に比して、濃度1000ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅の方が小さくなる水溶性色素を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶性色素並びにそれを用いた色素組成物、異方性色素膜及び偏光素子に関する。
液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)では、表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)においても、外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。
従来、これらの偏光板には、ヨウ素や二色性を有する有機色素を、ポリビニルアルコール等の高分子材料に溶解又は吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して、二色性色素を配向させることにより得られる異方性色素膜が広く使用されてきた(例えば、特許文献1〜3)。
しかしながら、このようにして製造される従来の異方性色素膜では、用いる色素や高分子材料によっては耐熱性や耐光性が十分でない、液晶装置製造時における異方性色素膜の貼り合わせの歩留りが悪い、等の課題があった。また、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光板として使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。また、その消光色が深い青になり、全可視スペクトル領域に亘って理想的な無彩色偏光板とは言えなかった。
そのため、ガラスや透明フィルムなどの基板上に、二色性色素を含む溶液を塗布する湿式成膜法にて二色性色素を含む膜を形成し、分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させることにより異方性色素膜を製造する方法(例えば、特許文献4〜9及び非特許文献1〜3参照)が検討されている。
偏光素子としての用途においては、より高い偏光性能を得るために、二色性の高い異方性色素膜が求められているが、これら従来の異方性色素膜は二色性に劣り、このため、偏光性能に優れた偏光素子を得ることができなかった。
従来、異方性色素膜には様々な色素が使用されており、色素の選択も重要な要素の1つである。例えば、特許文献1には、下記構造式で表わされる二色性色素を使用する旨、記載されている。
Figure 2007145995
また、特許文献2には、下記構造式で表わされる二色性色素を使用する旨、記載されている。
Figure 2007145995
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に記載される化合物は、何れも二色性が不十分であり、特に特許文献1記載の化合物は各種溶剤への溶解性も低いことから、湿式成膜法にて製造される異方性色素膜の材料として十分であるとは言えない。
更に、特許文献6にも、下記構造式で表わされる二色性色素を使用する旨、記載されている。
Figure 2007145995
しかし、上記化合物は何れもジスアゾ化合物であり、湿式成膜法にて製造される異方性色素膜の材料としては、二色性や溶剤への溶解性が不十分であるという課題があった。
特許文献9には湿式成膜法にて製造される異方性色素膜を作製する旨、記載されており、使用できる二色性色素の一例として、下記構造式で表わされるものが記載されている。
Figure 2007145995
しかし、上記化合物はジスアゾ化合物であり、またトリアジン環上にハロゲン原子が結合しているため分解し易いという課題があった。
これらの技術に対して、特許文献10には、トリアジニル基を有し、1分子中にアゾ結合を3個以上有する、特定構造の二色性アゾ色素を用いることによって、高い異方性を有する異方性色素膜が得られることが記載されている。
しかし、この技術によれば、得られる異方性色素膜の二色比は確かに向上するものの、より一層の二色比の向上を実現できる技術が求められていた。
特開平3−12606号公報 特開平1−161202号公報 特開平1−252904号公報 米国特許第2400877号明細書 特表平8−511109号公報 特表2002−528758号公報 特開2002−180052号公報 特開2002−338838号公報 国際公開第2002/099480号公報 国際公開第2005/035667号公報 J. F. Dreyer, Physics and Colloid Chemistry, 1948年, Vol.52, pp.808, "The Fixing of Molecular Orientation" J. F. Dreyer, Journal de Physique, 1969年, Vol.4, pp.114, "Light Polarization from Films of Lyotropic Nematic Liquid Crystals" 「機能性色素の応用」、入江正浩監修、株式会社シーエムシー出版、1996年4月15日発行、第96〜106頁
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、二色性に優れた異方性色素膜を実現し得る、新規な水溶性色素及びそれを用いた色素組成物を提供すること、並びに、高い二色性を示す異方性色素膜、及び、偏光性能に優れた偏光素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、低濃度(10ppm)の水溶液の吸収スペクトルの半値幅に比して、高濃度(1000ppm)の水溶液の吸収スペクトルの半値幅の方が小さい、新規な水溶性色素を合成することに成功した。また、この新規な水溶性色素を用いることによって、高い二色性を示す異方性色素膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、濃度10ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅に比して、濃度1000ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅の方が小さくなることを特徴とする、水溶性色素に存する(請求項1)。
中でも、分子中に少なくともアゾ基を有するものが好ましい(請求項2)。
特に、遊離酸の構造が下記一般式(I)で表わされるものが好ましい(請求項3)。
Figure 2007145995
(上記式(I)中、A1は、任意の置換基で置換されていてもよい1価の芳香環残基を表わし、B1は、任意の置換基で置換されていてもよい2価の芳香環残基を表わし、nは、0〜3の整数を表わし、B1が複数存在する場合、それらは互いに同一でも、異なっていてもよい。)
また、本発明の別の要旨は、上述の水溶性色素を含有することを特徴とする、色素組成物に存する(請求項4)。
また、本発明の別の要旨は、上述の水溶性色素を含有することを特徴とする、異方性色素膜に存する(請求項5)。
また、本発明の別の要旨は、上述の色素組成物を用いて作製されたことを特徴とする、異方性色素膜に存する(請求項6)。
また、本発明の別の要旨は、上述の異方性色素膜を少なくとも備えてなることを特徴とする、偏光素子に存する(請求項7)。
本発明の新規な水溶性色素、及び、これを用いた色素組成物によれば、二色性の高い異方性色素膜、及び、偏光性能に優れた偏光素子が得られるという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において「異方性色素膜」とは、色素膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有する色素膜をいう。電磁気学的性質としては、吸収、屈折などの光学的性質、抵抗、容量などの電気的性質などが挙げられる。吸収、屈折などの光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光膜、円偏光膜、位相差膜、抵抗率異方性色素膜などがある。すなわち、後述する本発明の異方性色素膜は、偏光膜、位相差膜或いは抵抗率異方性色素膜に使用できる。特に、本発明の異方性色素膜は、可視光領域に吸収を持つため、偏光膜に有用である。
異方性色素膜の二色比は、吸収方向と偏光方向の吸収係数の比で決まる。従って、異方性色素膜の平面内の吸収方向をx軸、偏光方向をy軸とすると、二色比を高める目的には、用いられる二色性色素の持つ吸光係数のx軸成分kxができるだけ大きくなるように、数多く揃えた分子配列となることが好ましい。換言すると、湿式成膜法により成膜した際、同方向に配列した分子の数がより多い方が、より高い二色比が期待されるので好ましい。そのためには、色素の自己組織化を促進すべく、色素分子間の相互作用力が大きいことが望ましいと思われる。
[I.水溶性色素]
本発明の水溶性色素は、濃度10ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅(以下適宜「10ppmの半値幅」と略称する。)に比して、濃度1000ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅(以下適宜「1000ppmの半値幅」と略称する。)の方が小さくなることを特徴とする。その半値幅の減少度合い{(10ppmの半値幅)−(1000ppmの半値幅)}としては、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、更に好ましくは4nm以上である。但し、かかる用途に用いられる色素の10ppmといった希薄条件での吸収スペクトルの半値幅は、通常80〜300nm程度であり、かかる半値幅の減少度合いが50nm、とりわけ100nmを超えることは、色素の積層や秩序立った凝集といった本願の意図とは直接関係しない、何らかの電子状態の大きな変化によると思われるので、本願の趣旨と相容れるものではなく、好ましくない。
本発明でいう、水溶性色素の吸収スペクトル測定とは、ガラスセルを用いた、液体サンプルの分光光度分析法による測定をいう。具体的には、例えば株式会社日立製作所製のU−3500といった、汎用の分光光度計にて、10ppmの半値幅については市販の光路長1cmのガラスセル若しくは石英ガラスセル、1000ppmの半値幅については市販の光路長0.1mmのガラスセル若しくは石英ガラスセルを各々用いて測定する。測定条件としては、20〜30℃程度の室温で行なう。なお、後述する[実施例]における水溶性色素の吸収スペクトル測定は、25℃で行なった。
測定して得られたスペクトルから、可視部の最大吸収波長にあたる主ピークの半値幅を求める。半値幅を求めるに当たっては、該主ピークについて、吸光度が最大吸収の半分の値となる短波長側の波長と長波長側の波長を読み取りその差を求めることにより算出すればよい。
また、10ppmの半値幅を測定する色素水溶液サンプルと、1000ppmの半値幅を測定する色素水溶液サンプルとは、統一された操作によって調製される必要がある。サンプル調製の際、pHを特定の値に設定する場合は、共通な、pH調整剤や緩衝剤等を必要に応じて用いつつ、両サンプル同様な操作により、10ppm並びに1000ppmの濃度の色素水溶液を調製せねばならない。一方、かかるpH調整剤等を用いずに吸収スペクトル測定サンプルを調製してもよい。その場合は、該色素サンプルを、10ppmあるいは1000ppmの濃度になるように、共にイオン交換水や蒸留水等の純水に溶解したのみで吸収スペクトルを測定すればよい。
なお、後述する本願の実施例や比較例においては、pH調整剤等は用いずに、追って例示された合成操作によって得られた色素粉体を、10ppm或いは1000ppmの濃度にて、共に蒸留水に溶解することにより得られた色素水溶液について、吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長と半値幅を得た。
分子間の相互作用が大きい色素について、溶液の濃度を変えて吸収スペクトルを測定すると、測定濃度を高くするに伴い、例えばクラスターのような、微視的な分子凝集体が生成し、分子の存在状態が増えるため、吸収スペクトルの半値幅は広がる方向になると考えられる。一方、溶解した色素分子の分子間の相互作用が無い場合は、吸収スペクトルの測定濃度を上げても分子の存在状態が変わらず、吸収スペクトルの半値幅は変わらないことが予想される。
然るに、本発明の水溶性色素における吸収スペクトルの半値幅の濃度依存性については、上記何れの場合とも異なる、独特の挙動があるように思われる。すなわち、溶液の濃度を10ppmから1000ppmに上げることにより半値幅が小さくなるということは、色素濃度の上昇により色素分子の存在状態が減っている可能性を示唆するものである。色素濃度の上昇によって、色素凝集が減り単分子状態の色素が増えるとは考えにくいので、本発明における吸収スペクトルの挙動からは、溶液中における色素濃度の上昇により秩序がより高まる形で色素の凝集が進行している可能性が示唆される。そして、このような本発明の水溶性色素を溶液として湿式成膜法により膜形成させると、より秩序高く色素が配列した、好ましい異方性色素膜が得られることが期待される。
本発明の水溶性色素としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、縮合多環系色素(ペリレン系、オキサジン系)等が挙げられる。これらの色素の中でも、後述する本発明の異方性色素膜を得るために最適な色素としては、異方性色素膜中で高い分子配列を取り得るアゾ系色素が特に好ましい。なお、本明細書において「アゾ系色素」とは、アゾ基を少なくとも1個以上持つ色素をいう。その一分子中のアゾ基の数は、色調及び製造面の観点から、通常1以上、中でも2以上、また、通常6以下、中でも4以下の範囲が好ましい。
本発明の水溶性色素は、後述する湿式成膜法に供するためには水溶性であることが好ましい。従って、水溶性を与える置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基等の酸性基、アミノ酸基等の塩基性基、水酸基等の可溶性基を有する色素が好ましく、水溶性の高さから、特にスルホ基、カルボキシ基を有することが好ましい。
本発明の水溶性色素の分子量は、色調及び製造面の観点から、塩型を取らない遊離の状態で、通常200以上、中でも350以上、また、通常5000以下、中でも3500以下の範囲であることが好ましい。
本発明の水溶性色素としては、特に、遊離酸の構造が下記一般式(I)で表わされるアゾ色素であることが好ましい。
Figure 2007145995
(上記式(I)中、A1は、任意の置換基で置換されていてもよい1価の芳香環残基を表わし、B1は、任意の置換基で置換されていてもよい2価の芳香環残基を表わし、nは、0〜3の整数を表わし、B1が複数存在する場合、それらは互いに同一でも、異なっていてもよい。)
上記式(I)中、A1は、任意の芳香環残基であり、複素原子を有していてもよいが、好ましくは芳香族炭素環であり、より好ましくはフェニル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。
1の芳香環残基は、任意の置換基で置換されていてもよい。A1の芳香環残基が有していてもよい置換基として、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいスルホニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基等に代表される、芳香環置換基の電子吸引性/供与性を示すハメットの定数σが正である電子吸引性基が挙げられる。ここで、上記スルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基の置換基としては、後述の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基;後述の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10のアルケニル基;後述の親水性基で置換されていてもよいC6〜C10のアリール基;ヒドロキシル基、カルボキシ基、メルカプト基、スルホン基、ホスホノ基に代表される親水性基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルキルアミノ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルコキシ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルキルチオ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10のアルケニルアミノ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10アルケニルオキシ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10アルケニルチオ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10アルキルアシルアミノ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC6〜C10アリールアシルアミノ基等が挙げられる。
中でも、A1が置換基を有していてもよいフェニル基の場合、該フェニル基が有する置換基としては、溶剤に対する溶解性及び色調の観点から、スルホ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアルコキシ基が好ましく、スルホ基、カルボキシ基、アシルアミノ基、及びアルキル基が特に好ましい。A1がフェニル基の場合、フェニル基はこれらの置換基から選ばれる1〜3個の置換基を有していることが好ましい。
また、A1が置換基を有していてもよいナフチル基の場合、該ナフチル基が有する置換基としては、スルホ基、カルボキシ基、水酸基等が挙げられる。A1がナフチル基の場合、ナフチル基はこれらの置換基から選ばれる1〜3個の置換基を有していることが好ましい。特に好ましい置換基としてはスルホ基が挙げられる。
1の芳香環残基が有する置換基の数は、通常0以上、好ましくは1以上、また、通常4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の範囲である。置換基が複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよいが、置換基の少なくとも一つは、上述の親水性基から選ばれることが好ましい。
上記式(I)中、B1は、任意の芳香環残基であり、複素原子を有していてもよいが、好ましくは芳香族炭素環であり、より好ましくはフェニレン基又はナフチレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
1の芳香環残基は、任意の置換基で置換されていてもよい。B1の芳香環残基が有していてもよい置換基として、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいスルホニル基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基等に代表される、芳香環置換基の電子吸引性/供与性を示すハメットの定数σが正である電子吸引性基が挙げられる。ここで、上記スルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基の置換基としては、後述の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルキル基;後述の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10のアルケニル基;後述の親水性基で置換されていてもよいC6〜C10のアリール基;ヒドロキシル基、カルボキシ基、メルカプト基、スルホン基、ホスホノ基に代表される親水性基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルキルアミノ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルコキシ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10のアルキルチオ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10のアルケニルアミノ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10アルケニルオキシ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC2〜C10アルケニルチオ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC1〜C10アルキルアシルアミノ基;上記の親水性基で置換されていてもよいC6〜C10アリールアシルアミノ基等が挙げられる。
1が置換基を有していてもよいフェニレン基の場合、フェニレン基の置換基としては、上記の中でもスルホ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基が好ましく、疎水結合性(分子間の相互作用)及び色調の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が特に好ましい。
1がフェニレン基の場合、上記置換基に代表される、1〜3個の置換基を有していることが好ましく、1〜2個の置換基を有していることがより好ましい。
1がナフチレン基である場合、ナフチレン基の置換基としては、水酸基、スルホ基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基として、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。該アルコキシ基が有しうる置換基としては、水酸基、ヒドロキシアルキル基、又はアルコキシ基が好ましい。
1のナフチレン基は、これらの置換基から選ばれる置換基を、1〜6個有していることが好ましく、1〜3個有していることがより好ましい。B1のナフチレン基が有する置換基としては、特に、スルホ基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基が好ましい。
1の芳香環残基が有する置換基の数は、通常0以上、好ましくは1以上、また、通常3以下、好ましくは2以下の範囲である。置換基が複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよいが、置換基の少なくとも一つは、親水性基で置換されたアルコキシ基であることが好ましい。
上記式(I)中、nは、通常0以上、好ましくは1以上、また、通常3以下、好ましくは2以下の整数を表わす。特に好ましくは2である。
前記式(I)における基A1及びB1の具体例を、各々、以下の表1及び表2に挙げる。但し、前記式(I)における基A1及びB1は、これらの例示により限定されるものではない。
Figure 2007145995
Figure 2007145995
本発明の水溶性色素の好ましい例として、上記式(I)のアゾ色素の具体例を下の表3に挙げる。表3では、左から順に、色素の番号、色素の遊離酸の構造、及び対イオンの元素記号を示している(以下の記載では、表3の個々の色素について、表3の番号を付して「表3のアゾ色素(1)」のように表記する場合がある。)。但し、本発明の水溶性色素はこれらの例示により限定されるものではない。
Figure 2007145995
本発明の水溶性色素の分子量は、遊離酸の状態で、通常400以上、中でも500以上、また、通常5000以下、好ましくは4000以下の範囲であることが好ましい。分子量が小さすぎたり大きすぎたりすると、適切な分子間相互作用が困難となり、配向性の良好な色素膜が得られにくくなる。
本発明の水溶性色素は、従来公知の各種の方法に従って製造することができる。例えば、表3のアゾ色素(4)は、下記(A)〜(C)の工程で製造することができる。
(A)5−アミノ−2−ニトロ安息香酸と、3−(2′−アミノ−4′−メチル)フェニル−1,2−プロパンジオールとから、常法(例えば、細田豊著「新染料化学」(昭和48年12月21日、技報堂発行)第396頁〜第409頁参照)に従って、ジアゾ化、カップリング工程を経てモノアゾ化合物を製造する。
(B)得られたモノアゾ色素を、同様に常法によりジアゾ化した後、常法に従って、例えばpH10程度のアルカリ性条件下で、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸とカップリング反応させることにより、ジスアゾ色素を得る。
(C)得られたジスアゾ色素を水に溶解させた後、全液量の2〜3倍のイソプロパノールを加えて晶析させ、結晶を濾取し、乾燥することにより、Na塩の形の色素が得られる。
本発明の水溶性色素のうち、酸性基を有する色素は、その遊離酸型のまま使用してもよく、酸性基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができる。例としては、以下の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)塩型で得られた色素の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウムや水酸化ナトリウム)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
(2)塩型で得られた色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウムや塩化ナトリウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行なう方法。
(3)塩型で得られた色素の水溶液を、強酸性イオン交換樹脂で処理し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウムや水酸化ナトリウム)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
(4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウムや水酸化ナトリウム)で処理した強酸性イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行なう方法。
酸性基が遊離酸型をとるか、塩型をとるかは、色素のpKaと色素水溶液のpHに依存する。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩;炭素数1〜16のアルキル基もしくは炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩;有機アミンの塩等が挙げられる。有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ基で置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ基で置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。これらの塩型である場合、その種類は1種類に限られず、複数種混在していてもよい。
[II.異方性色素膜]
本発明の異方性色素膜は、上述した本発明の水溶性色素を少なくとも含有することを特徴とする。本発明の異方性色素膜は、本発明の水溶性色素のうち1種のみを単独で含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
また、本発明の水溶性色素1種又は2種以上に加えて、他の色素を1種又は2種以上含有していてもよい。特に、配向を低下させない範囲において、本発明の水溶性色素以外の色素を適切に選択して配合して用いることにより、各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。特に、偏光膜に使用する際には深い色調の膜が好ましく、色相として、380〜780nmの可視波長領域において中性色(ニュートラルブラック。例えば、L***表色系において、√{(a*2+(b*2}≦5を満たすものを表わす。)を示す配合が表示素子、特にカラー表示素子用偏光子として好ましい。
本発明の異方性色素膜が、本発明の水溶性色素以外の色素(これを以下「配合用色素」という。)を含有する場合、配合用色素の例としては、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Yellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
なお、本発明の異方性色素膜が、本発明の水溶性色素以外に上述の配合用色素を含有する場合でも、本発明の水溶性色素による効果を十分に得る観点から、色素の合計量(本発明の水溶性色素及び配合用色素の合計量)に対する本発明の水溶性色素の割合が、通常70重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは95重量%以上の範囲となるようにする。
本発明の異方性色素膜は、少なくとも本発明の水溶性色素を1種又は2種以上含有する組成物(これを「本発明の色素組成物」という。)を用いて、後述の乾式成膜法もしくは湿式成膜法により作製されることが好ましい。また、本発明の色素組成物は、上記の本発明の水溶性色素に加え、配向を低下させない程度に、他の色素(配合用色素)を混合して用いることができる。これにより、各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
本発明の色素組成物は、通常は更に溶剤を含有してなり、上述した本発明の水溶性色素、及び、必要に応じて用いられる配合用色素が、溶剤に溶解若しくは分散された状態で存在する。色素組成物に含有される本発明の水溶性色素としては、溶剤への溶解性等の観点からも、前記一般式(I)で表わされるアゾ色素が好ましい。
溶剤としては、水、水混和性のある有機溶剤、或いはこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類などの単独又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。
本発明の色素組成物がこのような溶剤を含む溶液である場合、本発明の色素組成物中の色素(本発明の水溶性色素、並びに必要に応じて用いられる配合用色素)の濃度は、成膜法や、色素の溶解性、リオトロピック液晶状態などの超分子構造の形成濃度にも依存するが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下の範囲である。色素濃度が低過ぎると得られる異方性色素膜において十分な二色性を得ることができず、高すぎると色素が析出する恐れがある。
また、本発明の色素組成物には、界面活性剤、pH調整剤等の添加剤が配合されていてもよい。これらの添加剤も、通常、溶剤に溶解することにより使用される。
特に、本発明の色素組成物には、基材への濡れ性、塗布性を向上させるため、必要に応じて界面活性剤等の添加物を加えることができる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の何れも使用可能である。その添加濃度は、目的の効果を得るために十分であって、かつ色素分子の配向を阻害しない量として、色素組成物中の濃度として通常0.05重量%以上、5重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましい。
また、本発明の色素組成物には、組成物中での色素の造塩や凝集などの不安定性を抑制する等の目的のために、通常公知の酸、アルカリ等のpH調整剤などを、色素組成物の構成成分の混合の前後或いは混合中の何れかの時点で添加し、pH調整を行なってもよい。色素組成物のpHは、溶液の安定性と製造上の取り扱いやすさの観点から、通常3以上、中でも4以上、また、通常13以下、中でも12以下となるように調整することが好ましい。
更に、上記以外の添加物として、"Additives for Coating", Edited by J. Bieleman, Willey-VCH (2000) に記載の公知の添加物を用いることもできる。
本発明の異方性色素膜は、上述した本発明の色素組成物を用いて、後述の乾式成膜法もしくは湿式成膜法により作製される。中でも、本発明の異方性色素膜は、異方性色素膜中の分子配列性を高め、色素分子間の分子間相互作用を利用して高い二色性を得るものであるため、成膜フィルムの延伸を行なう等の乾式成膜法よりも、湿式成膜法で形成された異方性色素膜であることが好ましい。
湿式成膜法によれば、ガラスなどの高耐熱性基材上に異方性色素膜を形成することが可能であり、高耐熱性の偏光素子を得ることができる点から、液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に使用できる点が好ましい。
異方性色素膜の成膜法のうち、乾式成膜法としては、高分子重合体を成膜してフィルムとした後に本発明の色素組成物で染色する方法、又は、高分子重合体の溶液に本発明の色素組成物を添加し原液染色後成膜する方法等により得られた未延伸フィルムを延伸する方法、或いは真空条件下での加熱により色素組成物を蒸発させてガラス等の各種基材に真空蒸着させる方法などを挙げることができる。なお、本発明の色素組成物で染色するフィルムの構成材料としては、ポリビニルアルコール等、色素との親和性の高い高分子材料が挙げられる。
湿式成膜法としては、本発明の色素組成物を塗布液として調製後、ガラス板などの各種基材に塗布、乾燥し、色素を配向、積層して得る方法など、公知の方法が挙げられる。
例としては、「コーティング工学」、原崎勇次著、株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行、第253〜277頁や、「分子協調材料の創製と応用」、市村國宏監修、株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行、第118〜149頁等に記載の公知の方法や、予め配向処理を施した基材上に、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法などで塗布する方法などが挙げられる。
本発明の色素組成物の基材上への塗布時の温度は、通常0℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは40℃以下の範囲である。また、湿度は、通常10%RH以上、好ましくは30%RH以上、また、通常80RH%以下の範囲である。
湿式成膜法は、基材上への本発明の色素組成物の塗布工程、及び乾燥工程を経て色素膜を形成するが、これらの工程の操作条件は、色素の自己組織化による高いリオトロピック液晶性に基づいて形成される高次の分子配向状態を維持し、前述の分子積層周期及び分子積層長を満たす本発明の異方性色素膜が得られるように制御することが好ましい。
このため、特に乾燥工程でも急速な温度上昇は好ましくなく、一般的には自然乾燥とすることが好ましいが、好ましい条件を挙げるならば、乾燥時の温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、また、通常120℃以下、好ましくは110℃以下である。また、湿度は、通常10%RH以上、好ましくは30%RH以上、また、通常80%RH以下である。
基材としては、ガラスやトリアセテート、アクリル、ポリエステル、トリアセチルセルロース又はウレタン系の樹脂フィルム等が挙げられる。また、この基材表面には、二色性色素の配向方向を制御するために、「液晶便覧」、丸善株式会社、平成12年10月30日発行、第226〜239頁などに記載の公知の方法により、配向処理層やフッ素樹脂層等を施しておいてもよい。更に、光照射、コロナ処理、プラズマ処理等の併用により、表面エネルギー状態等の改質を行ってもよい。
本発明の異方性色素膜は、表面に保護層を設けて使用することが好ましい。この保護層は、例えば、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、トリアセチルセルロース又はウレタン系のフィルム等の透明な高分子膜によりラミネーションして形成され、実用に供される。
本発明の異方性色素膜は高い二色比を示すが、二色比は9以上のものが好ましく、より好ましくは12以上、特に好ましくは15以上のものが使用される。
また、特に湿式成膜法で基材上に形成される本発明の異方性色素膜の膜厚は、乾燥後の膜厚で、通常50nm以上、中でも100nm以上、また、通常50μm以下、中でも10μm以下、更には1μm以下の範囲である。
また、本発明の異方性色素膜をLCDやOLEDなどの各種の表示素子の偏光フィルター等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接、本発明の異方性色素膜を形成したり、本発明の異方性色素膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材として用いればよい。
本発明の異方性色素膜は、光吸収の異方性を利用し、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能する他、膜形成プロセスと基材や色素組成物の選択により、屈折異方性や伝導異方性など各種の異方性色素膜としての機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に使用可能な偏光素子とすることができる。
特に、本発明の異方性色素膜は、上述のように二色性に優れているという利点に加えて、ガラス等の高耐熱性の基板上に直接形成することが可能であり、耐熱性に優れた偏光素子を得ることができるという利点を有する。よって、本発明の異方性色素膜は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイだけでなく液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に好適に使用することができる。
[III.偏光素子]
本発明の偏光素子は、本発明の異方性色素膜を少なくとも備えたことを特徴とする。本発明の異方性色素膜のみからなる偏光素子であってもよいし、適切な基板上に本発明の異方性色素膜が形成された偏光素子であってもよい。基板上に異方性色素膜を有する偏光素子は、基材も含めて偏光素子と呼ぶものとする。
基材上に本発明の異方性色素膜を形成し、これを本発明の偏光素子とする場合、形成された異方性色素膜をそのまま使用してもよいが、その異方性色素膜上に、上述の保護層の他、粘着層或いは反射防止層、配向膜、位相差フィルムとしての機能、輝度向上フィルムとしての機能、反射フィルムとしての機能、半透過反射フィルムとしての機能、拡散フィルムとしての機能などの光学機能をもつ層など、様々な機能をもつ層を湿式成膜法などにより積層形成し、積層体として使用してもよい。
これら光学機能を有する層は、例えば以下の様な方法により形成することが出来る。
位相差フィルムとしての機能を有する層は、例えば特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることにより形成することができる。
また、輝度向上フィルムとしての機能を有する層は、例えば特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成すること、或いは、選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより形成することができる。
反射フィルム又は半透過反射フィルムとしての機能を有する層は、蒸着やスパッタリングなどで得られた金属薄膜を用いて形成することができる。
拡散フィルムとしての機能を有する層は、上記の保護層に微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、形成することができる。
また、位相差フィルムや光学補償フィルムとしての機能を有する層は、ディスコティック液晶性化合物、ネマティック液晶性化合物などの液晶性化合物を塗布して配向させることにより形成することができる。
以下、本発明について、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の記載において「部」とは、特に断らない限り「重量部」を示す。
また、以下において、色素の吸収スペクトルは、分光光度計U−3500(日立製作所製)を用い、常法に従って測定した。具体的には、後述の合成操作によって得られた色素の粉体を、pH調整剤等は用いずに、10ppm或いは1000ppmの濃度にて、共に蒸留水に溶解することにより得られた色素水溶液について、吸収スペクトルを測定し、最大吸収波長と半値幅を得た。一方、二色比(D)は、ヨウ素系偏光素子を入射光学系に配した分光光度計(大塚電子社製「瞬間マルチ測光システムMCPD2000」)で異方性色素膜の透過率を測定した後、次式により計算した。
Figure 2007145995
[実施例1]
表3のアゾ色素(1)11部及びグリセリン9部を水80部に攪拌溶解させ、色素組成物を得た。得られた色素組成物を、ギャップ30μmのアプリケーター(井元製作所社製)でスライドガラス(松浪硝子工業製「スライドグラス白縁磨フロストNo.1」)上に塗布した後、自然乾燥させることにより、異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の二色比は74であった。
また、このアゾ色素(1)の濃度10ppm及び1000ppmの水溶液を調製し、それらの吸収スペクトルを測定した。その最大吸収波長と半値幅は、濃度10ppmの水溶液において各々564nmと116nm、濃度1000ppmの水溶液において各々558nmと112nmであり、濃度10ppmの水溶液で測定された吸収スペクトルの半値幅に比し、濃度1000ppmの水溶液で測定された吸収スペクトルの半値幅は、4nm狭くなっていることが判った。
[比較例1]
以下に示す色素(特許文献10に記載の例示色素(II−3))15部を水76部に撹拌溶解させた後、グリセリン9部を加えて色素組成物を得た。
Figure 2007145995
得られた色素組成物を、バーコーター(テスター産業社製「No.2」)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミド配向膜が形成されたガラス製基板上に塗布して自然乾燥することにより、異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の二色比は45であった。
なお、この色素(II−3)の濃度10ppm及び1000ppmの水溶液を調製し、それらの吸収スペクトルを測定した。その最大吸収波長と半値幅は、濃度10ppmの水溶液において各々592nmと247nm、濃度1000ppmの水溶液において各々592nmと265nmであり、濃度10ppmの水溶液で測定された吸収スペクトルの半値幅に比し、濃度1000ppmの水溶液で測定された吸収スペクトルの半値幅は、18nm広くなっていることが判った。
[実施例2]
上記表3のアゾ色素(1)10部を、水90部に攪拌溶解することにより、色素組成物を得た。得られた色素組成物を、実施例1と同様の手順によりスライドガラスに塗布し、自然乾燥することにより異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の二色比は30であった。
[比較例2]
比較例1で用いた色素(特許文献10に記載の例示色素(II−3))15部を、水85部に撹拌溶解させることにより、色素組成物を得た。得られた色素組成物を、比較例1と同様の手順により、ポリイミド配向膜が形成されたガラス製基板上に塗布し、自然乾燥することにより異方性色素膜を得た。得られた異方性色素膜の二色比は22.7であった。
[評価]
実施例1と比較例1との比較、及び、実施例2と比較例2との比較から、本発明に規定する濃度と半値幅との関係を満たす水溶性色素を用いた実施例1及び実施例2では、上記関係を満たさない色素を用いた比較例1及び比較例2に比べ、より二色性に優れた異方性色素膜が得られることが分かる。
本発明の水溶性色素及びそれを用いた色素組成物は、二色性に優れた異方性色素膜の作製が求められる各種の分野、例えば直線偏光膜、円偏光膜、位相差板、導電異方性膜等の各種用途において好適に用いることができるが、中でも偏光膜の作製用途においてとりわけ好適に用いられる。また、本発明の異方性色素膜及び偏光素子は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶プロジェクタ、車載用表示パネル等の各種用途において好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 濃度10ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅に比して、濃度1000ppmの水溶液の状態で測定した吸収スペクトルの主ピークの半値幅の方が小さくなる
    ことを特徴とする、水溶性色素。
  2. 分子中に少なくともアゾ基を有する
    ことを特徴とする、請求項1記載の水溶性色素。
  3. 遊離酸の構造が下記一般式(I)で表わされる
    ことを特徴とする、請求項2記載の水溶性色素。
    Figure 2007145995
    (上記式(I)中、
    1は、任意の置換基で置換されていてもよい1価の芳香環残基を表わし、
    1は、任意の置換基で置換されていてもよい2価の芳香環残基を表わし、
    nは、0〜3の整数を表わし、
    1が複数存在する場合、それらは互いに同一でも、異なっていてもよい。)
  4. 少なくとも請求項1〜3の何れか一項に記載の水溶性色素を含有する
    ことを特徴とする、色素組成物。
  5. 少なくとも請求項1〜3の何れか一項に記載の水溶性色素を含有する
    ことを特徴とする、異方性色素膜。
  6. 請求項4記載の色素組成物を用いて作製された
    ことを特徴とする、異方性色素膜。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の異方性色素膜を少なくとも備えてなる
    ことを特徴とする、偏光素子。
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