JP2007145308A - 乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮蔽材が、窓周縁の下縁から上縁までの略全域を覆う構成としていても、窓周縁の下縁側だけに遮蔽材を収納可能な乗員保護装置を提供すること。
【解決手段】乗員保護装置S1は、牽引手段10の作動時に、車両の窓Wの周縁から繰り出されて窓Wを覆うシート状の遮蔽材30を備える。牽引手段10は、可撓性を有した紐状の牽引材16と、牽引可能に牽引材16を連結させて、窓Wの下方側に配置される牽引装置11と、を備える。牽引材16は、牽引装置11の作動時に、窓Wの周縁の下縁DE側に配置させた部位20を、上昇させつつ、固定端17から支持部材13に支持されるまでの部位25を、直線状とするように、牽引される。遮蔽材30は、上辺32側に、摺動可能に牽引材16を挿通させる挿通部36を備えて、作動前の牽引材16の部位20を挿通部36に挿通させて、窓Wの周縁の下縁DE側だけに、折り畳まれて収納されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ロールオーバ(横転)時の車両の窓からの乗員の飛び出しを防止可能に、作動時に、シート状の遮蔽材が、車両の窓の周縁から繰り出されて窓を覆う構成の乗員保護装置に関する。
従来、乗員保護装置としては、シート状の遮蔽材が、車両の窓の周縁に折り畳まれて収納され、そして、牽引手段の作動時、遮蔽材が、窓を覆うように、繰り出されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
この乗員保護装置では、牽引手段が、遮蔽材に連結される紐状の牽引材と、牽引材を牽引する牽引装置と、から構成されている。そして、牽引材は、窓の周縁の前縁側の固定点から、下方に延びて窓の周縁の下縁側に収納され、さらに、窓の周縁の後縁側を上昇し、フリーローラに巻き掛けて、反転され、そして、窓の下方側に配設させた牽引装置に、連結されている。
この乗員保護装置では、作動時、牽引装置が牽引材を牽引すれば、牽引材に連結された遮蔽材が、窓の周縁の下縁側から上昇して、窓の略下側半分を覆うように、展開する。そして、この乗員保護装置では、遮蔽材の展開時、窓の周縁の下縁側に、乗員の頭部等が載せられていても、それらの乗員の部位を引き起こすように車内側に戻して、遮蔽材が、窓を覆うこととなる。
特開2002−19572号公報(図19)
しかしながら、従来の乗員保護装置では、遮蔽材の上辺の全域が結合されるように牽引材と連結されていたことから、窓の下縁側から上縁側までの略全域を遮蔽材が覆うように、構成する場合には、牽引材における牽引装置から離れた先端側の固定点を、窓の周縁の前縁の上端側に配置させ、また、フリーローラを窓の周縁の後縁の上端側に配置させて、牽引材は、窓の周縁の前縁側の上端から下降させ、そして、窓周縁の下縁側に収納させ、さらに、窓周縁の後縁側を上昇して、窓周縁の後縁側の上端に配置されたフリーローラに巻き掛けて反転させて、牽引装置に連結させることとなる。そして、遮蔽材は、展開完了時の上辺の前端側を、牽引材の固定点近傍の部位から連結させることとなる。そのため、遮蔽材が、収納時、窓の周縁の前縁側に、収納される事態を招く。
しかし、窓の周縁の前後の縁は、ともに、スペースを確保し難いエリアであり、特に、フロントドアやリヤドア等のドアでは、一層、収納スペースを確保し難く、遮蔽材を、収納スペースを確保し易い窓の周縁における下縁側に、収納することが望まれていた。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、遮蔽材が、窓周縁の下縁から上縁までの略全域を覆う構成としていても、窓周縁の下縁側だけに遮蔽材を収納可能な乗員保護装置を提供することを目的とする。
本発明に係る乗員保護装置は、牽引手段の作動時に、車両の窓の周縁から繰り出されて窓を覆うシート状の遮蔽材を備えて構成される乗員保護装置であって、
遮蔽材が、展開完了時、窓の下縁から上縁までの略全域を実質的に覆い可能な形状として、平らに展開した下辺側の略全域を、窓の周縁の下縁側に固定させ、上辺側を、牽引手段に牽引される側として、上辺側を下辺側に接近させるように折り畳んで、窓の周縁における下縁側だけに、収納され、
牽引手段が、可撓性を有した紐状の牽引材と、牽引可能に牽引材を連結させて、窓の下方側に配置される牽引装置と、を備えて構成され、
牽引材が、
作動前の状態で、牽引装置側から延びる先端を、固定端として、窓の周縁の前縁側若しくは後縁側の上端側に、固定させ、牽引装置側となる元部側にかけて、窓の周縁の下縁側を経て、窓の周縁の後縁側若しくは前縁側の上端側に延び、窓の周縁の後縁側若しくは前縁側の上端側に固定された支持部材に摺動可能に巻き掛けて反転させ、牽引装置に連結させるように、配設されるとともに、
牽引装置の作動時に、窓の周縁の下縁側に配置させた部位を、上昇させつつ、固定端から支持部材に支持されるまでの部位を、直線状とするように、牽引される構成として、
遮蔽材が、上辺側における少なくとも前端付近と後端付近とに、摺動可能に牽引材を挿通させる挿通部を備えて、作動前の牽引材における窓の周縁の下縁側に配置させた部位を、挿通部に挿通させて、収納されていることを特徴とする。
本発明に係る乗員保護装置では、作動時、牽引装置が牽引材を牽引すれば、牽引材は、窓の周縁の下縁側に配置させた部位を、上昇させつつ、牽引される。その際、遮蔽材が、上辺側の少なくとも前後端に、牽引材を挿通させた挿通部を備えており、牽引材は、挿通部内を挿通しつつ、挿通部を引き上げる。そのため、遮蔽材は、上辺側が引き上げられて、牽引材が、固定端から支持部材に支持されるまでの部位を、直線状とする際に、折り畳まれた収納状態から展開を完了させることとなり、窓周縁の下縁側に固定させた下辺側から上辺側までの領域で、窓の下縁から上縁までの略全域を覆うこととなる。
すなわち、遮蔽材は、窓周縁の下縁側だけに収納されていても、挿通部内を挿通する牽引材に牽引されて、窓周縁の下縁側から上縁側までの窓の略全域を覆い可能に、円滑に、引き上げられることとなる。
したがって、本発明に係る乗員保護装置では、遮蔽材が、窓周縁の下縁から上縁までの略全域を覆う構成としていても、窓周縁の下縁側だけに遮蔽材を収納できる。そして、窓の周縁の前後の縁には、牽引材と支持部材とを収納するスペースさえ確保できれば、スペースに余裕のある窓の下方側に、折り畳んだ遮蔽材と牽引装置とを配置させることができて、本発明に係る乗員保護装置は、スペースに制限のあるドアにも、容易に搭載することができる。
そして、遮蔽材は、上辺側における前端から後端までの全域を、筒状として、挿通部として構成することが望ましい。このような構成では、遮蔽材の上辺側に、部分的に断続的に挿通部を設ける場合に比べて、遮蔽材の上辺側が、窓の上縁付近の全域を、隙間無く、覆うことができる。すなわち、遮蔽材の上辺側に、部分的かつ断続的に挿通部を設ける場合には、遮蔽材の展開完了時、遮蔽材の上辺側における挿通部間には、部分的に下辺側に牽引されるような部分が生じ、その部位が、牽引材から離れるように下方に引っ張られて、窓を覆っていない空間部位を発生させる虞れが生ずる。これに対し、遮蔽材の上辺側における全域が、挿通部としていれば、牽引材から離れるような空間部位を、発生させない。
また、遮蔽材の展開完了時に、遮蔽材の上辺側における支持部材側の挿通部の部位が、牽引材の固定端側に戻ることを防止可能に、挿通部の部位と牽引材とには、相互に係合するストッパ機構を、配設させてもよい。
このような構成では、遮蔽材の展開完了時、ストッパ機構により、遮蔽材の上辺側における支持部材側の挿通部の部位が、支持部材側に牽引されて、展開完了時の遮蔽材が、支持部材側の縁を、窓の中央側に移動させないため、遮蔽材の展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材の窓を覆う面積低下を、抑制できる。
この場合、遮蔽材の展開完了時に、牽引材の固定端から支持部材側に延びる部位が、固定端より支持部材側を窓の周縁の下縁側から離れるように、固定端と支持部材との高さを、設定し、遮蔽材も、固定端と支持部材との高さ位置に対応させて、上辺側を下辺側から離れるように、設定することが望ましい。
このような構成では、遮蔽材は、展開完了時の上辺側では、支持部材から離れた端部側が、支持部材側の端部より、高さを低くすることから、上昇し難い。すなわち、遮蔽材の上辺側の支持部材から離れた端部側は、支持部材側に接近し難くなり、遮蔽材の上辺側における支持部材側の端部が、ストッパ機構により、支持部材側から離れないように、位置規制されることとあいまって、遮蔽材の前後の縁自体が、窓の中央側に移動することを規制されて、遮蔽材の展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材の窓を覆う面積低下を、一層、抑制できる。
また、遮蔽材と牽引材との間にストッパ機構を設ける場合、遮蔽材の上辺側における支持部材側の挿通部と牽引材との間に設けた上述の第1番目のストッパ機構とは別に、遮蔽材の展開完了時に、遮蔽材の上辺側における牽引材の固定端側の挿通部の部位が、支持部材側に移動することを防止可能に、固定端側の挿通部の部位と牽引材とに、相互に係合する第2のストッパ機構を、さらに配設させてもよい。
このような構成では、遮蔽材の上辺側の支持部材から離れた端部側が、第2のストッパ機構により、支持部材側に接近し難くなり、遮蔽材の上辺側における支持部材側の端部が、第1のストッパ機構により、支持部材側から離れないように、位置規制されることとあいまって、遮蔽材の前後の縁自体が、ともに、窓の中央側に移動することを規制されて、遮蔽材の展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材の窓を覆う面積低下を、一層、抑制できる。
さらに、本発明に係る乗員保護装置では、窓の周縁における前後の縁の少なくとも一方に、略上下方向に沿う棒状のガイドレールを、配設させ、
遮蔽材には、遮蔽時の前後の縁におけるガイドレール側の縁に、遮蔽時における窓の中央側への移動を規制可能に、ガイドレールに摺動可能に係止される係止部、を形成してもよい。
このような構成では、遮蔽材が、展開完了時、前後の縁の少なくとも一方を、係止部を利用して、ガイドレールに係止させ、窓の中央側への移動を規制することから、遮蔽材の展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材の窓を覆う面積低下を、抑制できる。勿論、遮蔽材は、折り畳み状態から展開する際、係止部が、ガイドレールを摺動して上昇できることから、支障なく、展開を完了させることができる。
そして、このようなガイドレールは、略上下方向に沿うように配設されていれば、窓の周縁の前後の縁に、剛性を有した棒状のロッドを配置させて構成する他、支持部材から反転して牽引装置側に延びる牽引材自体の部位から、構成してもよい。牽引材自体からガイドレールを構成する場合には、別途、ロッドを配設する場合に比べて、ロッドを使用しない分、部品点数を低減できる。ちなみに、牽引材は、可撓性を有しているものの、支持部材から反転して牽引装置側に延びる牽引材の部位は、牽引時に、張力が生ずることから、剛性を有した棒状となり、金属棒等のロッドと略同様に、係止部を案内し、かつ、係止部の窓の中央側への移動を規制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の乗員保護装置S1は、図1〜3に示すように、車両Vの窓(サイドウインド)Wの周縁における下縁DE側に折り畳まれて収納された遮蔽材30と、サイドウインドWを覆うように遮蔽材30を牽引する牽引手段10と、を備えて構成されている。実施形態の場合、サイドウインドWは、車両VのフロントドアFDに設けられており、遮蔽材30と牽引手段10とは、サイドウインドWの周縁に搭載されている。
なお、このフロントドアFDは、サイドウインドWの周縁を構成するドアフレーム1を備え、ドアフレーム1の車内側には、ドアトリム7が取り付けられている。ドアフレーム1は、サイドウインドWの周縁の前縁FE側に位置する前枠部4、サイドウインドWの周縁の下縁DE側に位置する下枠部2、サイドウインドWの周縁の上縁UE側に位置する上枠部3、及び、サイドウインドWの周縁の後縁BE側に位置する後枠部5、を備えて構成されている。
牽引手段10は、可撓性を有した紐状の牽引材16と、牽引可能に牽引材16を連結させて、サイドウインドWの下方に配置される牽引装置11と、を備えて構成されている。
牽引装置11は、制御装置40によって作動を制御され、制御装置40は、車両Vの横転(ロールオーバ)を検知するセンサ41から、車両Vの横転を検知する信号を入力した際、牽引装置11を作動させる。牽引装置11は、実施形態の場合、マイクロガスジェネレータ、電磁ソレノイド、ばねの復元力、電動モータ等を利用して、牽引材16を即座に牽引可能に構成されている。そして、牽引装置11は、サイドウインドWの周縁における下縁DE側の下枠部2に固定されて、ドアトリム7に覆われている。
牽引材16は、可撓性を有して伸びを抑えたワイヤ等の紐材から構成され、牽引装置11から離れた先端を固定端17として、サイドウインドWの周縁の前縁FE側の上端付近に、固定させている。実施形態の場合には、ドアフレーム1の前枠部4の上端4a付近に、ねじ等の締結具15を利用して、固定されている。そして、牽引材16は、先端の固定端17から牽引装置11側の元部18側にかけての収納状態として、先端(固定端17)からサイドウインドW周縁の前縁FE側(前枠部4)を下降し、サイドウインドW周縁の下縁DE側(下枠部2)の前端側から後端側に延びて、さらに、サイドウインドW周縁の後縁BE側(後枠部5)の下端側から上昇するように、配設され、さらに、後枠部5の上端5a付近で反転して、牽引装置11側に連なるように、収納されている。
なお、サイドウインドW周縁の後縁BE側となるドアフレーム1の後枠部5の上端5aには、牽引材16を、反転させるように巻き掛けて、摺動可能に支持する支持部材13が、配設されている。支持部材13は、実施形態の場合、車内外方向に軸方向を配設させた回動自在なフリーローラから構成されている。
また、サイドウインドW周縁の下縁DE側となるドアフレーム1の下枠部2における後枠部5の直下には、牽引材16の元部18側を牽引装置11側に屈曲させて案内する回動自在なフリーローラ12が、配設されている。ちなみに、牽引装置11が、後枠部5の直下において、牽引材16を牽引できるように配設されていれば、フリーローラ12は不要となる。
なお、収納された牽引材16、フリーローラ12、支持部材13は、牽引装置11や折り畳んで収納した遮蔽材30とともに、ドアフレーム1の車内側に位置するドアトリム7に覆われ、そして、乗員保護装置S1の作動時には、ドアフレーム1の前枠部4、下枠部2、及び、後枠部5の車内側を覆うドアトリム7の部位において、サイドウインドW側の縁が、牽引材16や遮蔽材30に押されて開くように、構成されている。
すなわち、牽引材16に関して説明すると、牽引材16の収納状態では、先端の固定端17からサイドウインドW周縁の前縁FE側を下降する前縁収納部19が、前枠部4とドアトリム7との間に収納され、サイドウインドW周縁の下縁DE側の前端側から後端側に延びる下縁収納部20が、下枠部2とドアトリム7との間に収納され、サイドウインドW周縁の後縁BE側の下端側から上昇する後縁収納部21が、後枠部5とドアトリム7との間に収納されている。そして、その収納状態から、牽引装置11が作動されて、牽引材16が牽引されれば、牽引材16は、図3に示すように、サイドウインドWの周縁の下縁DE側に配置させた下縁収納部20を、上昇させつつ、後縁収納部21や下縁収納部20の部位を、支持部材13から反転する反転部23側に引き込む。この時、牽引材16は、前縁収納部19、下縁収納部20、及び、後縁収納部21の部位が、ドアフレーム1の前枠部4、下枠部2、及び、後枠部5の車内側を覆うドアトリム7の部位を押し開きつつ、サイドウインドWの領域を横切ることとなる。その後、図4に示すように、牽引材16は、固定端17から支持部材13に支持されるまでの部位を固定側端末部25として、直線状とするように、牽引され、遮蔽材30の展開が完了されることとなる。
なお、遮蔽材30の展開完了時における牽引材16の直線状の部位(固定側端末部)25は、固定端17が支持部材13の配置位置より下方に配置されて、支持部材13側の後端部25bが、前端部25aより、サイドウインドW周縁の下縁DE側からの高さを高くするように、設定されている。
遮蔽材30は、図4,6,7に示すように、可撓性を有したポリエステル糸やポリアミド糸等からなる布材等から形成されたシート状として、平らに展開した形状を、サイドウインドWの下縁から上縁までの略全域を実質的に覆い可能な形状としている。すなわち、遮蔽材30は、図4に示すように、車両搭載状態で、平らに展開させた際、上辺32側が、サイドウインドW周縁の上縁UE側に略沿うように形成され、前縁33側が、サイドウインドW周縁の前縁FE側に略沿うように形成され、後縁34側が、サイドウインドW周縁の後縁BE側に略沿うように形成されている。そして、遮蔽材30は、平らに展開した下辺31側の略全域を、ボルト6を利用して、サイドウインドWの周縁の下縁DE側であるドアフレーム1の下枠部2に、固定させている。
また、遮蔽材30は、上辺32側を、牽引手段10に牽引される側として、上辺32側を下辺31側に接近させるように折り畳んで、サイドウインドWの周縁における下縁DE側だけに、収納されている。なお、遮蔽材30の折り畳みは、実施形態の場合、前後方向に沿う折目を付けて折り重ねる蛇腹折りとしている。
そして、遮蔽材30の上辺32側には、図6,7に示すように、前端32aから後端32bまでの全域を、筒状として、牽引材16を摺動可能に挿通させる挿通部36が、形成されている。この挿通部36には、車両Vへの搭載時の収納状態において、牽引材16におけるウインド周縁の下縁DE側に配置された部位である下縁収納部20が、挿通されることとなる(図3参照)。
なお、実施形態の遮蔽材30では、挿通部36を含めた上辺32側が、牽引材16の固定端17と支持部材13との高さ位置に対応させて、すなわち、上辺32の前端32a側より、後端32b側を、下辺31側から離れるように、高さを高くして、形成されている。
第1実施形態の乗員保護装置S1の車両Vへの搭載は、挿通部36に牽引材16を挿通させた状態で、遮蔽材30を折り畳み、そして、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピング材で、遮蔽材30を包んで、遮蔽材30の下辺31側を、ボルト6を利用して、ドアフレーム1の下枠部2に固定する。また、牽引材16と連結されている牽引装置11をドアフレーム1の下枠部2に固定するとともに、牽引材16をフリーローラ12や支持部材13に巻き掛けて、牽引材16の先端(固定端)17を、前枠部4の上端4aに固定する。そして、牽引材16の前縁収納部19、下縁収納部20、後縁収納部21、及び、反転部23を、弛みを極力無くして、ドアフレーム1の所定の下枠部2,前枠部4,後枠部5に配置させつつ、ドアトリム7をドアフレーム1に取り付ける。その後、牽引装置11に、制御装置40から延びる作動信号入力用のリード線を結線しつつ、フロントドアFDを、車両Vに取り付ければ、乗員保護装置S1を車両Vに搭載することができる。
第1実施形態の乗員保護装置S1の車両Vへの搭載後、制御装置40が車両Vの横転を検知するセンサ41からの信号を入力させれば、制御装置40は、牽引装置11を作動させる。そして、牽引装置11が作動して牽引材16を牽引すれば、牽引材16は、サイドウインドW周縁の下縁DE側に配置させた下縁収納部20を、上昇させつつ、牽引される。
その際、遮蔽材30が、上辺32側に、牽引材16を挿通させた挿通部36を備えており、牽引材16は、挿通部36内を挿通しつつ、挿通部36を引き上げる。そのため、遮蔽材30は、上辺32側が引き上げられて、牽引材16が、固定端17から支持部材13に支持されるまでの固定側端末部25を、直線状とする際に、図3,4に示すように、折り畳まれた収納状態から展開を完了させることとなり、サイドウインドWの周縁の下縁DE側に固定させた下辺31側から上辺32側までの領域で、サイドウインドWの下縁から上縁までの略全域を覆うこととなる。
すなわち、遮蔽材30は、サイドウインドWの周縁の下縁DE側だけに収納されていても、挿通部36内を挿通する牽引材16に牽引されて、サイドウインドWの周縁の下縁DE側から上縁UE側までのサイドウインドWの略全域を覆い可能に、円滑に、引き上げられることとなる。
そして、第1実施形態の乗員保護装置S1では、図5のA・B・Cに示すように、遮蔽材30の展開時、サイドウインドWの周縁の下縁側に、乗員Pの頭部PHが下縁DE側に載るように接近していても、上昇時に、乗員Pの部位(頭部)PHを引き起こすように車内側Iに戻して、遮蔽材30が、サイドウインドWを覆うこととなり、その後に、乗員Pが車外側Oに移動しようとしても、遮蔽材30が車内側Iに拘束して、乗員Pを保護することができる。
したがって、第1実施形態の乗員保護装置S1では、遮蔽材30が、サイドウインドWの周縁の下縁DEから上縁UEまでの略全域を覆う構成としていても、サイドウインドWの周縁の下縁DE側だけに遮蔽材30を収納できる。そして、サイドウインドWの周縁の前後の前縁33,後縁34には、牽引材16と支持部材13とを収納するスペースさえ確保できれば、スペースに余裕のあるサイドウインドWの下方側に、折り畳んだ遮蔽材30、牽引装置11、及び、フリーローラ12を配置させることができて、第1実施形態の乗員保護装置S1は、スペースに制限のあるフロントドアFDにも、容易に搭載することができる。
そして、第1実施形態では、遮蔽材30が、上辺32側における前端32aから後端32bまでの全域を、筒状として、挿通部36として構成されている。そのため、遮蔽材30の上辺32側に、部分的に断続的に挿通部36を設ける場合に比べて、遮蔽材30の上辺32側が、サイドウインドWの上縁UE付近の全域を、隙間無く、覆うことができる。すなわち、遮蔽材30の上辺32側に、部分的かつ断続的に挿通部36を設ける場合には、遮蔽材30の展開完了時、遮蔽材30の上辺32側における挿通部36間には、部分的に下辺31側に牽引されるような部分が生じ、その部位が、牽引材16の固定側端末部25から離れるように下方に引っ張られて、サイドウインドWを覆っていない空間部位を発生させる虞れが生ずる。これに対し、第1実施形態のように、遮蔽材30の上辺32側における全域が、挿通部36としていれば、牽引材16の固定側端末部25から離れるような空間部位を、発生させない。
勿論、上記の点を考慮しなければ、図8のA・Bに示す遮蔽材30Aのように、牽引材16を摺動可能の挿通させる挿通部36を、上辺32側の前端32aと後端32bとにだけ、分離させて配設させてもよい。
また、図9,10に示す第2実施形態の乗員保護装置S2のように構成してもよい。この第2実施形態では、遮蔽材30Bの展開完了時に、遮蔽材30Bの上辺32側における支持部材13側となる挿通部36Bの部位(牽引側端部)37が、牽引材16Bの固定端17側に戻ることを防止可能に、挿通部36Bの牽引側端部37と牽引材16Bとに、相互に係合するストッパ機構43が、配設されている。
ストッパ機構43は、図9,11のA・Bに示すように、牽引材16Bに固着された牽引ブロック27と、牽引側端部37の絞り部37aと、から構成されている。牽引ブロック27は、剛性を有した金属材料や合成樹脂材料から形成されて、支持部材13側に頂点を配置させ、固定端17側を拡径させた円錐形状としている。絞り部37aは、支持部材13側に向かうに従って漸次小径となるテーパ管状として、紐状の牽引材16B自体の通過を可能とし、かつ、牽引ブロック27の通過を不能とした内径寸法としている。なお、挿通部36Bは、遮蔽材30Bの上辺32の全域に配置されており、絞り部37aを除いて、牽引ブロック27を通過可能な内径寸法としている。そして、牽引ブロック27の牽引材16Bでの配置位置は、牽引材16Bが牽引されて、遮蔽材30Bが展開を完了させた際に、絞り部37aに牽引ブロック27が配置されて、牽引側端部37を支持部材13側に牽引できるように、設定されている。
なお、この第2実施形態では、牽引材16Bが、牽引ブロック27を固着させ、遮蔽材30Bが、挿通部36Bの内径寸法に関し、絞り部37aを除いて、牽引ブロック27を通過可能とし、絞り部37aで、紐状の牽引材16B自体の通過を可能とし、かつ、牽引ブロック27の通過を不能としている点が、第1実施形態と相違しているだけであり、第2実施形態の他の構成部分や構成部品は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態の同一の部位・部品には、同一符号を付してある。また、第2実施形態も第1実施形態と同様に車両に搭載する。
この第2実施形態の乗員保護装置S2では、作動時、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる他、遮蔽材30Bの展開完了時、ストッパ機構43を構成する牽引ブロック27が挿通部36Bの牽引側端部37における絞り部37aに嵌合されて、遮蔽材30Bの上辺32側における牽引側端部37が、支持部材13側に牽引されて、展開完了時の遮蔽材30Bが、支持部材13側の縁となる後縁34を、サイドウインドWの中央側となる前方側に移動させないように、規制する。そのため、遮蔽材30Bの展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材30BのサイドウインドWを覆う面積低下を、抑制できる。
また、この第2実施形態の乗員保護装置S2では、第1実施形態と同様に、遮蔽材30Bの展開完了時に、牽引材16Bの固定端17から支持部材13側に延びる固定側端末部25が、固定端17より支持部材13側をサイドウインドWの周縁の下縁DE側から離れるように、固定端17と支持部材13との高さが、設定され、遮蔽材30Bも、固定端17と支持部材13との高さ位置に対応させて、上辺32側を下辺31側から離れるように、すなわち、上辺32の前端32a側より、後端32b側が、下辺31側から離れるように、高さを高くして、構成されている。
そのため、遮蔽材30Bは、展開完了時の上辺32側では、支持部材13から離れた端部(前端)32a側が、支持部材13側の端部(後端)32bより、高さを低くすることから、上昇し難い。すなわち、遮蔽材30Bの上辺32側の支持部材13から離れた端部(前端)32a側は、支持部材13側に接近し難くなり、遮蔽材30Bの上辺32側における支持部材13側の端部(後端)32bが、ストッパ機構43により、支持部材13側から離れないように、位置規制されることとあいまって、遮蔽材30Bの前後の前縁33,後縁34自体が、サイドウインドWの中央側に移動することを規制されて、遮蔽材30Bの展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材30BのサイドウインドWを覆う面積低下を、一層、抑制できる。
また、遮蔽材と牽引材との間にストッパ機構を設ける場合、図12〜15に示す第3実施形態の乗員保護装置S3のように、二つのストッパ機構43,44を設けてもよい。すなわち、遮蔽材30Cの上辺32側における支持部材13側の挿通部36Cと牽引材16Cとの間に設けた第1のストッパ機構43とは別に、第2のストッパ機構44を設ける。
第1ストッパ機構43は、図14,15に示すように、第2実施形態と同様に、牽引材16Cに固着された牽引ブロック27と、牽引側端部37の絞り部37aと、から構成されている。すなわち、牽引ブロック27は、剛性を有した金属材料や合成樹脂材料から形成されて、支持部材13側に頂点を配置させ、固定端17側を拡径させた円錐形状としている。絞り部37aは、支持部材13側に向かうに従って漸次小径となるテーパ管状として、紐状の牽引材16C自体の通過を可能とし、かつ、牽引ブロック27の通過を不能とした内径寸法としている。
そして、第2ストッパ機構44は、牽引材16Cに設けられた規制ブロック28と、遮蔽材30Cの上辺32の挿通部36Cにおける固定端17側の固定側端部38に設けた逆止爪部38aと、から構成されている。規制ブロック28は、剛性を有した金属材料や合成樹脂材料から形成されて、支持部材13側に頂点を配置させ、固定端17側を拡径させた円錐形状として、牽引ブロック27に比べて小型としている。実施形態の場合、規制ブロック28は、牽引材16Cに3個固着されている。逆止爪部38aは、支持部材13側に向かうに従って漸次小径となるテーパ管状として、図15のA・B・Cに示すように、紐状の牽引材16C自体のみならず、牽引ブロック27や規制ブロック28の通過を可能としているものの、通過した規制ブロック28が、固定端17側に戻る際には、戻れないように規制する。すなわち、逆止爪部38aは、規制ブロック28を通過させた後、規制ブロック28が停止した際には、規制ブロック28を越えることができずに、支持部材13側に移動しないように、設定されている。
なお、固定側端部38と牽引側端部37とを前後両端に設けた挿通部36Cは、遮蔽材30Cの上辺32の全域に、筒状に配置されており、絞り部37aを除いて、牽引ブロック27を通過可能に設定されている。
そして、牽引ブロック27の牽引材16Cでの配置位置は、牽引材16Cが牽引されて、遮蔽材30Cが展開を完了させた際に、絞り部37aに牽引ブロック27が配置されて、牽引側端部37を支持部材13側に牽引できるように、設定されている。また、規制ブロック28の牽引材16Cでの配置位置は、牽引材16Cが牽引されて、遮蔽材30Cが展開を完了させた際に、全ての規制ブロック28が逆止爪部38aを通過し、固定端17側の規制ブロック28が、逆止爪部38aの近傍に位置するように設定されている。
なお、この第3実施形態では、牽引材16Cが、牽引ブロック27の他に規制ブロック28を固着させ、遮蔽材30Cが、挿通部36Cに、絞り部37aを備えた牽引側端部37の他に、逆止爪部38aを備えた固定側端部38を、設けた点が、第2実施形態と相違しているだけであり、第3実施形態の他の構成部分や構成部品は、第1,2実施形態と同様であり、第1,2実施形態の同一の部位・部品には、同一符号を付してある。また、第3実施形態も第1実施形態と同様に車両に搭載する。
この第3実施形態の乗員保護装置S3では、作動時、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる他、遮蔽材30Cの展開完了時、第1ストッパ機構43を構成する牽引ブロック27が挿通部36Cの牽引側端部37における絞り部37aに嵌合されて、遮蔽材30Cの上辺32側における牽引側端部37が、支持部材13側に牽引されて、展開完了時の遮蔽材30Cが、支持部材13側の縁となる後縁34を、サイドウインドWの中央側となる前方側に移動させないように、規制する。また、この時、第2ストッパ機構44を構成する規制ブロック28が、固定側端部38の逆止爪部38aを通過して、移動を停止させている固定端17側の規制ブロック28によって、固定側端部38の逆止爪部38aの支持部材13側への移動が、規制されることとなる。
すなわち、遮蔽材30Cの上辺32側の支持部材13から離れた端部(前端)32a側が、第2のストッパ機構44により、支持部材13側に接近し難くなって、後方移動を規制され、また、遮蔽材30Cの上辺32側における支持部材13側の端部(後端)32bが、第1のストッパ機構43により、支持部材13側から離れないように、位置規制されて、前方移動が規制されることとあいまって、遮蔽材30Cの前後の前縁33,後縁34自体が、ともに、サイドウインドWの中央側に移動することを規制されて、遮蔽材30Cの展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材30CのサイドウインドWを覆う面積低下を、一層、抑制できる。
さらに、図16,17に示す第4実施形態の乗員保護装置S4のように構成してもよい。この第4実施形態は、サイドウインドWの周縁における前後の縁の少なくとも一方に、実施形態の場合には、後縁34側に、略上下方向に沿う棒状のガイドレール46を、配設させている。また、遮蔽材30Dには、遮蔽時の前後の縁におけるガイドレール46側の後縁34に、遮蔽時におけるサイドウインドWの中央側への移動を規制可能に、ガイドレール46に摺動可能に係止される係止部35、を形成している。
実施形態の場合、ガイドレール46は、牽引材16Dにおける支持部材13に巻き掛けてフリーローラ12側に反転させた反転部23を、利用している。また、係止部35は、展開完了時における遮蔽材30Dの後縁34の上下方向の中間位置34aに、遮蔽材30Dと同様な布材からなる帯材を、環状に曲げて縫合することにより、遮蔽材30Dに配設させている。係止部35の前後方向の長さ寸法は、牽引材16Dの牽引動作と遮蔽材30Dの展開動作とがともに行われる際、係止部35が、牽引材16Dの反転部23からなるガイドレール46を摺動して上昇可能とし、そして、遮蔽材30Dの展開完了時、ガイドレール46に係止された状態で、係止部35が、遮蔽材30Dの後縁34の上下方向の中間位置34a付近を、前方に移動させないように、極力、ガイドレール46側に牽引できるように、設定されている。
なお、この第4実施形態では、牽引材16Dが、反転部23をガイドレール46として利用し、遮蔽材30Dが、後縁34に、ガイドレール46に摺動可能に巻き掛ける係止部35を備えている点が、第3実施形態と相違しているだけであり、第4実施形態の他の構成部分や構成部品は、第1〜3実施形態と同様であり、第1〜3実施形態の同一の部位・部品には、同一符号を付してある。また、第4実施形態も第1実施形態と同様に車両に搭載する。
この第4実施形態では、作動時、第3実施形態と同様な作用・効果を得ることができる他、遮蔽材30Dが、展開完了時、後縁34を、係止部35を利用して、ガイドレール46に係止させ、サイドウインドWの中央側への移動を規制することから、遮蔽材30Dの展開完了時や展開完了後の乗員を受け止める際、遮蔽材30DのサイドウインドWを覆う面積低下を、抑制できる。勿論、遮蔽材30Dは、折り畳み状態から展開する際、係止部35が、ガイドレール46を摺動して上昇できることから、支障なく、展開を完了させることができる。
なお、係止部35を摺動可能に案内するガイドレールは、図18,19に示すように、牽引材16Dを利用せずに、ドアフレーム1の後枠部5に、別途、略上下方向に沿う金属材等からなる剛性を有した棒状のロッドを、配設させて、ガイドレール(ガイドロッド)46Aとしてもよい。
但し、第4実施形態のように、ガイドレール46を支持部材13から反転して牽引装置11側に延びる牽引材16D自体の反転部23から、構成する場合には、別途、ガイドレール46Aを配設する場合に比べて、ロッド状のガイドレール46Aを使用しない分、部品点数を低減できる。ちなみに、牽引材16Dは、可撓性を有しているものの、支持部材13から反転して牽引装置11側に延びる牽引材16Dの部位(反転部)23は、牽引時に、張力が生ずることから、剛性を有した棒状となり、金属棒等のロッド状のガイドレール46Aと略同様に、係止部35を案内し、かつ、係止部35のサイドウインドWの中央側への移動を規制できる。
なお、第4実施形態では、ガイドレール46に対応させて、遮蔽材30Dの後縁34側に、係止部35を設けた場合を示したが、遮蔽材30Dの前縁33側に、ガイドレールと係止部とを設けてもよい。この場合には、牽引材16Dと別体のガイドレール46を、ドアフレーム1の前枠部4に固定することとなる。さらに、遮蔽材30Dの前後の前縁33,後縁34側に、ガイドレールと係止部とを配設させてもよい。
また、各実施形態では、サイドウインドWの周縁の前縁FE側に、牽引材16,16B,16C,16Dの固定端17を配設し、サイドウインドWの周縁の後縁BE側に、支持部材13を配設させた場合を示したが、固定端17と支持部材13とを、前後を入れ替えて、配置させてもよい。
さらに、図20〜23に示す第5実施形態の乗員保護装置S5のように、牽引材16Eを牽引する牽引装置50として、牽引駆動部としてのプリテンショナー53自体の牽引ストロークより、牽引量を増大させて、牽引材16Eを牽引するように構成してもよい。
この第5実施形態では、図20,21に示すように、牽引材16Eの元部18側における支持部材13から反転した反転部23の下端23aが、ハウジング57にねじ55止めされている。ハウジング57は、ドアフレーム1の下枠部2における後枠部5の下方に固定されて、上下方向に延びる後壁57aと、後壁57aの左右両端から前方側に相互に対向するように延びる2枚の側壁57bと、から構成されている。そして、牽引材16Eの下端23aが、ねじ55を使用して、後壁57aの前面下端に固定されている。また、ハウジング57には、側壁57b,57b間で、3個の回動自在な支持ローラ58が、回動軸を左右方向に配置させて、上下方向に沿って配設されている。
そして、牽引装置50は、支持部材13、ハウジング57、支持ローラ58、牽引環部51、牽引腕部52、及び、プリテンショナー53、を備えて構成されている。
牽引環部51は、牽引材16Eを牽引可能に牽引材16Eと連結される部位であり、支持ローラ58,58間の数に応じて配設されている。実施形態の場合、牽引環部51は、2個使用され、それぞれ、牽引材16Eを摺動可能に挿通させる摺動孔51aを備えたループ状としている。そして、各牽引環部51は、牽引腕部52の車両Vの前方側への牽引時、図21,22に示すように、各支持ローラ58と各牽引環部51との間で、牽引材16Eの反転部23側を連続する山形状に屈曲させるように、各摺動孔51aに牽引材16Eを挿通させるとともに、支持ローラ58間に、配置されている。
牽引腕部52は、ワイヤ等の可撓性を有した線材から形成されて、プリテンショナー53側へ延びる一本の本体部52bと、本体部52bから枝分かれした二つの分岐部52aと、から構成されている。各分岐部52aは、それぞれ、牽引環部51を保持している。
牽引駆動部としてのプリテンショナー53は、第5実施形態の場合、マイクロガスジェネレータを利用したピストンシリンダから構成され、作動時、牽引腕部52の本体部52bを急激に引き込むこととしている。
この牽引装置50の作動時には、図22,23に示すように、プリテンショナー53が牽引腕部52を前方側に牽引する。そして、プリテンショナー53自体の牽引ストロークに対応する本体部52bの移動ストロークに対して、各分岐部52aが、それぞれ、本体部52bの移動ストロークの二倍分として、牽引材16Eを牽引し、そして、それらの牽引量が、分岐部52aの数に応じて、積算されることから、本体部52bの四倍の大きな牽引ストロークを生じさせて、牽引材16Eを牽引し、そして、サイドウインドWを覆うように遮蔽材30を繰り出させることとなる。
なお、牽引材16Fが、帯状の部材から形成されている場合には、図24に示すように、牽引材16Fの帯形状に対応させて、牽引環部51Fは、長孔の摺動孔51aを備えるものを使用すればよい。
また、図25、26に示す変形例のように、ハウジング57に設ける支持ローラ58を2個として、その間に配設される部位を牽引するように、牽引腕部52の本体部52bに保持された一つの牽引環部51だけを、配設させるように構成して、本体部52bの移動ストロークの二倍分として、牽引材16Eを牽引するように構成してもよい。勿論、支持ローラ58、牽引環部51、分岐部52aの数を対応させて、本体部52bの移動ストロークに対して、6倍,8倍等と、牽引量を増大させてもよい。
さらに、第5実施形態のように、牽引駆動部自体の牽引ストロークを増大させて、大きな牽引量で牽引材16E,16Fを牽引する場合には、滑車やギヤを利用して牽引装置を構成してもよい。そして、これらの支持ローラ58,ハウジング57,牽引駆動部としてのプリテンショナー53等の牽引装置50は、図例のようなサイドウインドWの直下近傍ばかりでなく、配置スペースを考慮して、さらに下方の配置位置等の種々の位置に配置させることができる。
また、各実施形態では、フロントドアFDに搭載した場合を示したが、リヤドアの周縁、あるいは、ドアでない車両の窓の周縁に、本発明に係る乗員保護装置を搭載してもよい。
さらにまた、各実施形態では、車両Vの横転時に、遮蔽材30,30A,30B,30C,30Dが繰り出されるように構成したが、車両Vの側面衝突時にも、遮蔽材30,30A,30B,30C,30Dを繰り出させるように、構成してもよく、このような場合には、サイドウインドWの上縁側におけるルーフサイドレール部に、折り畳まれた頭部保護エアバッグと併用されることとなる。なお、この頭部保護エアバッグは、膨張用ガスを流入させて、サイドウインドWの上縁側から下方に展開しつつ膨張し、クッション作用を確保して、車両の側面衝突時における乗員の頭部を保護することとなる。
本発明に係る第1実施形態の乗員保護装置の車両への搭載状態を示す車内側から見た図である。 第1実施形態の乗員保護装置を搭載するドアの正面図である。 第1実施形態の乗員保護装置の概略正面図である。 第1実施形態の乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。 第1実施形態の乗員保護装置の作動時の遮蔽材の上昇状態を順に示す概略縦断面図である。 第1実施形態の乗員保護装置に使用する遮蔽材を展開させた状態を示す図である。 図6のVII−VII部位の部分断面図である。 第1実施形態の変形例の作動状態を順に示す図である。 第2実施形態の乗員保護装置の概略正面図である。 第2実施形態の乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。 第2実施形態の乗員保護装置におけるストッパ機構の作動を順に示す図である。 第3実施形態の乗員保護装置の概略正面図である。 第3実施形態の乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。 第3実施形態の乗員保護装置における第1,2ストッパ機構の作動完了時を示す断面図である。 第3実施形態の乗員保護装置における第1,2ストッパ機構の作動を順に示す図である。 第4実施形態の乗員保護装置の概略正面図である。 第4実施形態の乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。 第4実施形態の変形例の乗員保護装置の概略正面図である。 図18に示す乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。 第5実施形態の乗員保護装置の概略正面図である。 第5実施形態の乗員保護装置の牽引装置の部分拡大図である。 第5実施形態の乗員保護装置の牽引装置の作動時を示す部分拡大図である。 第5実施形態の乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。 第5実施形態の牽引装置の変形例を示す部分拡大図である。 第5実施形態の変形例の乗員保護装置の概略正面図である。 図25に示す乗員保護装置の作動完了時の概略正面図である。
符号の説明
10…牽引手段、
11・50…牽引装置、
13…支持部材、
16・16B・16C・16D・16E・16F…牽引材、
17…(牽引材の)先端・固定端、
30・30A・30B・30C・30D…遮蔽材、
31…(遮蔽材の)下辺、
32…(遮蔽材の)上辺、
35…係止部、
36・36B・36C…挿通部、
43…ストッパ機構、
44…第2ストッパ機構、
W…(窓)サイドウインド、
FD…フロントドア、
S1・S2・S3・S4・S5…乗員保護装置。

Claims (7)

  1. 牽引手段の作動時に、車両の窓の周縁から繰り出されて前記窓を覆うシート状の遮蔽材を備えて構成される乗員保護装置であって、
    前記遮蔽材が、展開完了時に、前記窓の下縁から上縁までの略全域を実質的に覆い可能な形状として、平らに展開した下辺側の略全域を、窓の周縁の下縁側に固定させ、上辺側を、前記牽引手段に牽引される側として、前記上辺側を前記下辺側に接近させるように折り畳んで、前記窓の周縁における下縁側だけに、収納され、
    前記牽引手段が、可撓性を有した紐状の牽引材と、牽引可能に前記牽引材を連結させて、前記窓の下方側に配置される牽引装置と、を備えて構成され、
    前記牽引材が、
    作動前の状態で、前記牽引装置側から延びる先端を、固定端として、前記窓の周縁の前縁側若しくは後縁側の上端側に、固定させ、前記牽引装置側となる元部側にかけて、前記窓の周縁の下縁側を経て、前記窓の周縁の後縁側若しくは前縁側の上端側に延び、前記窓の周縁の後縁側若しくは前縁側の上端側に固定された支持部材に摺動可能に巻き掛けて反転させ、前記牽引装置に連結させるように、配設されるとともに、
    前記牽引装置の作動時に、前記窓の周縁の下縁側に配置させた部位を、上昇させつつ、前記固定端から前記支持部材に支持されるまでの部位を、直線状とするように、牽引される構成として、
    前記遮蔽材が、上辺側における少なくとも前端付近と後端付近とに、摺動可能に前記牽引材を挿通させる挿通部を備えて、作動前の前記牽引材における前記窓の周縁の下縁側に配置させた部位を、前記挿通部に挿通させて、収納されていることを特徴とする乗員保護装置。
  2. 前記遮蔽材の上辺側が、前端から後端までの全域を、筒状として、前記挿通部としていることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  3. 前記遮蔽材の展開完了時に、前記遮蔽材の上辺側における前記支持部材側の前記挿通部の部位が、前記牽引材の固定端側に戻ることを防止可能に、前記挿通部の部位と前記牽引材とに、相互に係合するストッパ機構が、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の乗員保護装置。
  4. 前記遮蔽材の展開完了時に、前記牽引材の固定端から前記支持部材側に延びる部位が、前記固定端より前記支持部材側を前記窓の周縁の下縁側から離れるように、前記固定端と前記支持部材との高さが、設定され、
    前記遮蔽材が、前記固定端と前記支持部材との高さ位置に対応させて、前記上辺側を前記下辺側から離れるように、設定されていることを特徴とする請求項3に記載の乗員保護装置。
  5. 前記遮蔽材の展開完了時に、前記遮蔽材の上辺側における前記牽引材の固定端側の前記挿通部の部位が、前記支持部材側に移動することを防止可能に、前記固定端側の前記挿通部の部位と前記牽引材とに、相互に係合する第2のストッパ機構が、配設されていることを特徴とする請求項3若しくは請求項4に記載の乗員保護装置。
  6. 前記窓の周縁における前後の縁の少なくとも一方に、略上下方向に沿う棒状のガイドレールが、配設され、
    前記遮蔽材が、遮蔽時の前後の縁における前記ガイドレール側の縁に、遮蔽時における前記窓の中央側への移動を規制可能に、前記ガイドレールに摺動可能に係止される係止部、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の乗員保護装置。
  7. 前記ガイドレールが、前記支持部材から反転して前記牽引装置側に延びる前記牽引材自体の部位から、構成されていることを特徴とする請求項6に記載の乗員保護装置。

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