ところが、いくらBBやAT、CTといった当選役を設けたとしても、当選することができないゲームが長く続けば何の面白みも味わえないことになる。このようなゲーム期間がハマリ期間あるいはハマリ状態とも呼ばれ、遊技者に最も忌避される状態である。従って、遊技者はできるだけハマリ状態にある遊技機を避けてゲームを行う傾向を強めることになる。このような事態は遊技者がゲームを長期間にわたり続けると避けられないものとなる。そのため、長時間にわたるゲームが続くと、遊技者は遊技意欲を維持し続けることが難しくなり、徐々に遊技意欲を減退させてしまうことが問題となっている。
そこで本発明は、上記の問題に鑑み、遊技者の遊技意欲の減退をできるだけ抑えることのできる技術を提供するものである。
(解決手段1)
本発明の遊技機は、遊技価値を用いて1回のゲームに対して掛け数を決定することによりゲームが開始可能となるとともに、表示状態を変化させることが可能な可変表示装置の表示結果が導出されることにより1回のゲームが終了し、前記可変表示装置の表示結果に応じて当該ゲームの結果を判断する遊技機において、1回のゲームの掛け数として所定数の遊技価値を掛けた状態でゲームを開始させるための始動操作を受け付ける始動操作受付手段と、1回のゲームごとに予め決められた複数の当選役及びハズレ役の中から抽選を行う内部抽選手段と、前記始動操作受付手段によりゲームの始動操作が受け付けられると、前記内部抽選手段による抽選を実行させて、その抽選の結果を決定する抽選結果決定手段と、前記始動操作受付手段によりゲームの始動操作が受け付けられると、前記可変表示装置の作動を開始させる可変表示開始手段と、前記可変表示装置の作動を停止させるための停止操作を受け付ける停止操作受付手段と、前記停止操作受付手段により停止操作が受け付けられると、前記可変表示装置の作動を停止させて前記可変表示装置の表示結果を導出する表示結果導出手段と、前記表示結果導出手段により導出される表示結果と前記抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果とを照合する判定を行うゲーム結果判定手段と、前記ゲーム結果判定手段による当該ゲームの判定結果に応じて、前記複数の当選役及びハズレ役のいずれかの遊技特典を付与する遊技特典付与手段と、前記複数の当選役として当該ゲームにて規定数の遊技価値が遊技者に付与される遊技特典に対応する小役と、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される遊技特典に対応する再遊技役と、複数のゲーム期間にわたり遊技価値の付与機会を増加させる遊技特典に対応する特賞役と、次回のゲームのみ遊技価値の付与機会を増加させる遊技特典に対応する特定役とを複数の当選役として予め定める当選役規定手段と、前記当選役規定手段により予め定められる前記特賞役として、前記特賞役の遊技特典のみを含有する専有特賞役と、前記特賞役の遊技特典に加えてその他の当選役の遊技特典をも含有する共有特賞役とをそれぞれ別に定める特賞役規定手段と、前記抽選結果決定手段により前記内部抽選の抽選結果として前記共有特賞役を除く全ての当選役のいずれかが決定された場合、その決定された当選役に対応する表示結果を導出することが可能な当選役表示結果導出手段と、前記抽選結果決定手段により前記内部抽選の抽選結果として前記共有特賞役が決定された場合、前記共有特賞役の遊技特典に含有される前記特賞役に対応する表示結果または前記その他の当選役に対応する表示結果のいずれか一つを選択的に導出することが可能な表示結果選択導出手段と、一般的な通常遊技時に比べて前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させる第1再遊技役当選確率向上手段と、特定の条件が成立すると前記第1再遊技当選役確率向上手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させる第1ゲーム開始手段と、前記第1ゲーム開始手段により開始された前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを複数のゲーム期間にわたり継続させる第1ゲーム継続手段と、所定の条件が成立すると前記第1ゲーム継続手段により継続されている前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを終了させる第1ゲーム終了手段と、前記再遊技役のうち改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される遊技特典に加えて前記第1ゲーム開始手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させるための前記特定の条件を満たす特定条件再遊技役を定める特定条件再遊技役規定手段と、一般的な通常遊技時に比べて前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させる再遊技役当選確率中水準向上手段と、前記特賞役に対応する遊技特典として遊技価値の付与機会の増加された複数のゲーム期間が終了すると、前記再遊技役当選確率中水準向上手段により前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲームを開始させる中水準向上ゲーム開始手段と、前記中水準向上ゲーム開始手段により開始された前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲームを複数のゲーム期間にわたり継続させる中水準向上ゲーム継続手段と、所定の条件が成立すると前記中水準向上ゲーム継続手段により継続されている前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲームを終了させる中水準向上ゲーム終了手段と、前記中水準向上ゲーム継続手段により前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲーム期間で前記特定条件再遊技役の当選確率を向上させる特定条件再遊技役確率向上手段と、一般的な通常遊技時に比べて前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させる第2再遊技役当選確率向上手段と、特定の条件が成立すると前記第2再遊技当選役確率向上手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させる第2ゲーム開始手段と、前記第2ゲーム開始手段により開始された前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを複数のゲーム期間にわたり継続させる第2ゲーム継続手段と、所定の条件が成立すると前記第2ゲーム継続手段により継続されている前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを終了させる第2ゲーム終了手段と、前記小役のうち規定数の遊技価値を付与される遊技特典に加えて前記第2ゲーム開始手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させるための前記特定の条件を満たす特定条件小役と、前記特定役に対応する遊技特典として次回のゲームで前記特定条件小役の当選確率を所定の高水準まで向上させる特定条件小役確率向上手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機は、遊技価値を用いて1回のゲームごとに掛け数を決定した後にゲームが開始可能となる。そして、ゲームが開始されると可変表示装置の表示状態が変化(変動)を開始し、その表示状態の変化(変動)が終わる(終了する)と当該ゲームが終了となる。そのときの可変表示装置の表示結果(表示内容)に応じて、当該ゲームの結果が判断される。
1回のゲームには所定数の遊技価値を必要とし、この所定数の遊技価値が掛けられた状態となるとゲームを開始させるための始動操作の受け付けが可能となる。本発明の遊技機で用いることが可能な遊技価値としては、遊技球やメダル、コインなどの遊技媒体が挙げられる。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選手段の行う内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、その中から1回のゲームごとに乱数値を1つ取得すると、この取得した1つの乱数値を予め決められた複数の当選役及びハズレ役として決められた乱数値と比較して抽選結果を判断するものが挙げられる。
所定の数値範囲内では、複数の当選役及びハズレ役に対応する乱数値(当たり値)が予め割り当てられており、所定の数値範囲内の乱数値は全てこれらのいずれかの当たり値に属することになる。従って、取得された1つの乱数値は必ずいずれかの当たり値の乱数値と一致(合致)することになる。そこで一致した当たり値に対応する当選役が当該ゲームにおける内部抽選の抽選結果として決定される。
内部抽選の抽選結果が決定されると、可変表示開始手段により可変表示装置の変動が開始される。この可変表示装置は、表示状態を変動または静止させることにより表示状態を変化させることができる。可変表示装置が作動を行っていない場合には静止時の表示状態(表示結果)を示し、作動を行っている場合には変動時の表示状態を示すことにより遊技者が視認することが可能となっている。
可変表示装置としては、図柄等の付された複数の可動表示体を作動(例えば回転する動作や移動する動作)させて、停止操作等の可動表示体の作動を停止させる操作により停止状態となったときの図柄の組み合わせ態様を表示結果とするもの等を挙げることができる。このような複数の可動表示体を用いると、変動時の表示状態は、各可動表示体の作動(回転動作等)により可動表示体ごとに付された図柄(図柄帯上の図柄)が視認しづらくなる。よって、停止操作を終えて静止時の表示状態となるまで表示結果が分からないものとなる。
可変表示装置の作動が開始されると、停止操作が受け付けられるまで可変表示装置は変動(作動)を続ける。このとき表示状態も変動時の表示状態となり、表示結果(つまり、静止時の表示状態)が分からない状態となる。即ち、変動時の表示状態とは、表示結果が確定するまでの途中(過程)の状態となり、いずれの表示結果となるかは、停止操作が受け付けられて可変表示装置の作動が停止状態となるまで分からないものとなる。
停止操作受付手段による停止操作が受け付けられると、可変表示装置は作動を停止させるとともに表示状態も変動時の表示状態から静止時の表示状態に変わる。このとき、静止時の表示状態となると表示結果が確定することになり、当該ゲームの表示結果が導出されることになる。
ここで導出された表示結果(当該ゲームの表示結果)は、抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果と照合され、双方が合致するか否かがゲーム結果判定手段により判定される。ここで、内部抽選の抽選結果にはそれぞれ対応する表示結果が予め決められており、当該ゲームで導出された表示内容が予め決められた内部抽選の抽選結果に対応する表示結果となっている場合を合致しているという。
ゲーム結果判定手段により判定される結果(判定結果)は、いずれかの当選役またはハズレ役に必ず該当することになり、ハズレ役を除くいずれかの当選役に該当すると判定された場合には、その該当する当選役に対応する遊技特典が付与される。また、ハズレ役に該当すると判定された場合には、いずれの当選役に対応する遊技特典も付与されることは無い。なお、ハズレ役は当選役ではないため、単にハズレと呼ばれることもある。
当選役には複数の種類の当選役が用意されており、それぞれの当選役には対応する遊技特典が設けられている。これらの当選役には、小役、再遊技役、特賞役、特定役が含まれる。このうち、小役に対応する遊技特典は、規定数の遊技価値の付与である。つまり、当該ゲームの判定結果が小役に該当する場合、小役の遊技特典として規定数の遊技価値が遊技者に付与されることになる。
再遊技役に対応する遊技特典は、改めて遊技価値を掛けることなしに当該ゲームでの掛け数を次回のゲームに持ち越すことである。つまり、当該ゲームの判定結果が再遊技役に該当する場合、当該ゲームでは遊技価値の付与は行われず、次回のゲームに改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームと同じ掛け数にてゲームを行うことができることになる。
特賞役に対応する遊技特典は、複数のゲーム期間にわたり遊技価値の付与機会を増加させることである。つまり、当該ゲームの判定結果が特賞役に該当する場合、当該ゲームでは遊技価値の付与は行われずに、当該ゲームを契機として特賞役の遊技特典が開始されることになる。この特賞役の遊技特典における複数のゲーム期間では、特定の小役に対応する当たり値が大幅に増加される。
この特賞役の遊技特典における複数のゲーム期間のことを「遊技価値付与機会増加期間」と呼ぶ。即ち、「遊技価値付与機会増加期間」では特定の小役が内部抽選の抽選結果として決定される頻度(または割合)が「遊技価値付与機会増加期間」以外のゲーム期間(これを「一般ゲーム期間」という)に比べて増えることになる。そのため、「遊技価値付与機会増加期間」では特定の小役に対応する当たり値の数を2倍、3倍(あるいはそれ以上)と大幅に増加させることが望ましい。従って、「遊技価値付与機会増加期間」は「一般ゲーム期間」に比べて遊技者が遊技価値を獲得し易い、あるいは大量に獲得することのできるゲーム期間ということになる。
また、「遊技価値付与機会増加期間」は所定数の遊技価値の付与が行われると終了する。「遊技価値付与機会増加期間」が終了すると、「一般ゲーム期間」に戻り、いわゆる「通常ゲーム」が開始されることとなる。ここでいう「所定数」とは「一般ゲーム期間」における通常ゲームの繰り返しでは獲得することの困難な程度の数とすることが望ましい。また、「遊技価値付与機会増加期間」のことは「特別ゲーム期間」と称されることもあり、「特別ゲーム期間」に行なわれるゲームのことを特別ゲームと呼ぶ。
特定役に対応する遊技特典は、1回のゲームのみ遊技価値の付与機会を増加させることである。つまり、当該ゲームの判定結果が特定役に該当する場合、当該ゲームでは遊技価値の付与は行われずに、当該ゲームを契機として特定役の遊技特典が開始されることになる。この特定役の遊技特典における1回のゲーム(当該ゲームの次のゲーム)のみ、特定の小役に対応する当たり値が増加される。
この特定役の遊技特典における1回のゲーム期間(他のゲーム期間と比較するためにあえてゲーム期間と呼ぶ)のことを「特定ゲーム期間」と呼ぶ。即ち、「特定ゲーム期間」では、特定の小役が内部抽選の抽選結果として決定される頻度が「一般ゲーム期間」に比べて増えることになる。従って、「特定ゲーム期間」は「一般ゲーム期間」に比べて遊技価値を獲得し易いゲーム期間であるといえる。なお、「特定ゲーム期間」は1回のゲームをもって終了するため、大量の遊技価値を獲得できる可能性はほとんど無いといえる。
また、特定の小役は「特別ゲーム期間」と「特定ゲーム期間」で同じ種類の小役としてもよいが、それぞれ異なる種類の小役とすることもできる。これにより「特別ゲーム期間」と「特定ゲーム期間」の違いを明確に区別し易くなる。
さらに、「特別ゲーム期間」での特定の小役は、付与される遊技価値の数が多い小役でもよいし、付与される遊技価値の数の少ない小役とすることもできる。付与される遊技価値の数の多い小役を特定の小役とすれば、1回の特別ゲームで付与される遊技価値の数が多くなり、所定数の遊技価値を獲得するまでに要するゲーム数(ゲーム期間、あるいはゲームに要する時間)を短縮することができる。
反対に、付与される遊技価値の数の少ない小役を特定の小役とすれば、1回の特別ゲームで付与される遊技価値の数が少なくなり、所定数の遊技価値を獲得するまでに要するゲーム数(ゲーム期間、あるいはゲームに要する時間)を引き延ばすことができる。
本発明の遊技機における特賞役には、特賞役のみの遊技特典を含んだ専有特賞役と、特賞役の遊技特典及びその他の当選役の遊技特典をともに含んだ共有特賞役がある。ここで、その他の当選役は、ハズレ役及び特賞役を除く全ての当選役が該当する。
また、本発明の遊技機では、特賞役の当たり値の範囲内を共有特賞役に該当する当たり値と専有特賞役に該当する当たり値とにさらに分けることができる。つまり、特賞役全体に該当する当たり値を一定の範囲内として一まとめにして、さらにその範囲内で専有特賞役と共有特賞役に該当する当たり値を分けることになる。
こうすると、特賞役(専有特賞役及び共有特賞役)の当たり値の範囲は、所定の数値範囲内である一定範囲内にまとめることができる。これにより、内部抽選で取得される乱数値に偏りが生じた場合にも共有特賞役、専有特賞役の抽選に偏りを生じさせることが抑えられる。この偏りとは、専有特賞役、共有特賞役の当たり値の範囲を全く別に分けると(つまり、それぞれのあいだにその他の当選役に該当する当たり値が入ることになる)、特賞役に対応する当たり値全体がさらに細分化されてしまい、取得される乱数値に偏りが生じた場合に、専有特賞役あるいは共有特賞役のいずれかばかりに当選する等の偏りが生じることをいう。
抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果が共有特賞役を除く全ての当選役のいずれかとなった場合、そのとき決定された当選役に対応する表示結果を可変表示装置に導出させることが可能となる。つまり、内部抽選の抽選結果に対応する表示結果を可変表示装置に導出させることの可能な可変表示装置の制御が行われることになる。
また、内部抽選の抽選結果が共有特賞役を除く全ての当選役のいずれかに該当する場合であっても遊技者の適切な停止操作が受け付けられない際には、該当する表示結果を導出させることが可能な状態となっていてもその表示結果とならない場合を設けることもできる。この場合、適切な停止操作を行うことができなければ、導出することが可能となっている表示結果とならず、内部抽選の抽選結果に対応する表示結果が得られないことになる。
ここでいう、「適切な停止操作」とは、当該ゲームにおいて表示結果となることが許容された結果(内部抽選の抽選結果に対応する表示結果)を可変表示装置に表示させることの可能な時機(タイミング)で行う停止操作のことをいう。即ち、図柄等の付された複数の可動表示体を停止させて停止時の図柄の組み合わせ態様を可変表示装置の表示結果とする場合では、それぞれの可動表示体を停止させたときに「目的の図柄(許容された表示結果となるために必要な図柄のこと)」を組み合わせ態様として表示させる(ある停止位置に停止させる)ことの可能なタイミングでの停止操作が必要ということになる。
従って、遊技者が何も意識せず「始動操作の次は停止操作を行い、またその繰り返し」という単調なゲームを繰り返して興趣を低下させがちな事態を極力回避することができる。これは、内部抽選の抽選結果を実際に可変表示装置で表示結果として得る(結果として遊技特典を得ることになるため)ためには、遊技者にも少なからず技量(適切な停止操作を行う技術)を必要とするからである。これにより、遊技者が技量の向上を目指して意欲的にゲームに取り組むことになる。
抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果が共有特賞役となった場合、そのとき決定された当選役(即ち、特賞役及びその他の当選役)に対応するそれぞれの表示結果を可変表示装置に導出させることが可能となる。つまり、内部抽選の抽選結果に対応する表示結果が2つ存在することになる。このとき、一つは特賞役に対応する表示結果であり、もう一つはその他の当選役に対応する表示結果ということである。
但し、表示結果としては特賞役に対応する表示結果及びその他の当選役に対応する表示結果のいずれか一つが選択されることになる。これは共有特賞役の遊技特典としては2つの遊技特典を含有しているが、当該ゲームで得られる遊技特典は多くとも一つであるということを意味する。即ち、本発明の遊技機では1回のゲームに対しては多くとも1つの遊技特典が与えられるだけであり、1回のゲームに対して複数の遊技特典が重複して、あるいは同時に与えられるものではないということになる。
共有特賞役のうち、特賞役に対応する表示結果となるか、その他の当選役に対応する表示結果となるかは、遊技者による停止操作が受け付けられた時点等によって決めることもできる。従って、遊技者が停止操作を行うまではいずれに対応する表示結果となるか分からず、遊技者の注意を十分に惹きつけることができる。また、特に共有特賞役に当選(内部抽選の抽選結果となった)したこと等の情報は遊技者には知らされないため、その他の当選役に対応する表示結果となっても、共有特賞役に当選している場合もあり、遊技者がその他の当選役に対応する表示結果となったからといって落胆して興趣を低下させてしまうといった事態が極力回避されることになる。
本発明の遊技機では、再遊技役の当選確率を通常ゲーム(「一般ゲーム期間」でのゲーム)時に比べて所定の高水準まで向上させることができる。この再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームのことを有利ゲームと呼び、有利ゲームの行われているゲーム期間を「有利ゲーム期間」と呼ぶ。
再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させるということは、再遊技役の当たり値を増加させることを意味する。ここで、所定の高水準としては、通常ゲーム時の2倍、3倍あるいはそれ以上を含めた程度まで当たり値を増加させることが望ましい。つまり、「有利ゲーム期間」では「一般ゲーム期間」とは明らかに異なる程、再遊技役に当選し易くなる状態を作り出すことができる。
また、「有利ゲーム期間」は「一般ゲーム期間」に比べて、2倍、3倍あるいはそれ以上と再遊技役に当選する可能性が高くなるので、再遊技(再遊技役の遊技特典のこと)を行う機会が増えることになる。このように再遊技の機会が増えると、その分だけ遊技価値を新たに掛ける機会が減少する。つまり、遊技者が遊技価値を1回のゲームごとに新たに用意して掛けていくと、段々と遊技価値の消費量が増加していくことになるが、そのときの消費量を緩やかに、あるいは消費量の増加を抑えることが可能となる。
ここでいう「遊技価値の消費量」とは、単位時間当たりに消費(遊技者が掛け数として使用する)することとなる遊技価値の数のことをいう。この消費量の度合いによって、いわゆる、「コイン持ちが良い」、「球持ちが良い」あるいは「コイン持ちが悪い」、「球持ちが悪い」などといわれることもある。
「有利ゲーム期間」は特定の条件が満たされることにより開始される。そして、所定の条件が満たされるまで「有利ゲーム期間」は継続されることになる。つまり、所定の条件が「有利ゲーム期間」の終了条件ということである。
本発明の遊技機では、特定の条件を満たすために特定条件再遊技役を設ける。この特定条件再遊技役は、「一般ゲーム期間」、「特別ゲーム期間」、「特定ゲーム期間」、「有利ゲーム期間」全てにおいて当選する可能性のある当選役となっている。この特定条件再遊技役は、再遊技役としての遊技特典(つまり、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越されること)に加えて、「有利ゲーム期間」を開始させるための契機としての遊技特典にも対応しているものである。
また、「有利ゲーム期間」を終了させるための所定の条件としては、所定回数のゲーム数に到達するまでとする。この所定回数は、遊技者が終日ゲームを行った場合に最大限行うことの可能なゲーム回数程度とすることができる。つまり、「有利ゲーム期間」が開始されると、それ以後はほぼ終日「有利ゲーム期間」が継続することとなり、遊技者にとって貴重な(あまり経験することのできない)「ゲーム期間」としての価値を持たせることができる。
また、「有利ゲーム期間」は、特賞役に当選する(特賞役が内部抽選の抽選結果となること)まで継続させるものとすることもできる。このような条件とすれば、遊技者は「有利ゲーム期間」では特賞役になるべく当選したくないという傾向を強めることになる。これは「一般ゲーム期間」で、遊技者ができるだけ多く(または何回も)特賞役に当選したいと願う傾向が強いことと全く反対の傾向である。
また、特定条件再遊技役は、通常再遊技役(特定条件再遊技役ではない再遊技役のことを指す)に比べて当たり値を少なくすることが望ましい。つまり、特定条件再遊技役を通常再遊技役に比べて当選しづらい当選役とすることである。
但し、特定条件再遊技役を極端に当たりづらい当選役とすると、「有利ゲーム期間」が移行しづらいものとなってしまい、遊技者が「有利ゲーム期間」でのゲームを全く経験できなくなり、かえって遊技者の遊技意欲を低下させてしまうこともある。このような事態を回避するために本発明の遊技機では、「一般ゲーム期間」及び「特別ゲーム期間」、「有利ゲーム期間」、「特定ゲーム期間」では特定条件再遊技役を当たりづらい当選役とするものの、特定条件再遊技役に当たり易い期間として新たに「中水準有利ゲーム期間」を設けることができる。
この「中水準有利ゲーム期間」は、前述の「有利ゲーム期間」に比べると、再遊技役に当選しづらいものとすることができる。つまり、「有利ゲーム期間」のように再遊技役の当たり値を「一般ゲーム期間」の2倍、3倍あるいはそれ以上にと増加させるのではなく、「一般ゲーム期間」と大差ない程度に再遊技役の当たり値を増加させることが望ましい。つまり、「一般ゲーム期間」での再遊技役の当たり値の数に比べて少なくとも1つの当たり値を増やすだけでもよいことになる。このようにすると「一般ゲーム期間」と「中水準有利ゲーム期間」とを全く区別できないものとすることができる。
ここで、「全く区別できないもの」とは、再遊技役の当選状況からはいずれの「ゲーム期間」であるのか判断ができないことをいう。当選状況とは、ある一定期間内で目的の当選役に当選する回数あるいは頻度のことを指す。
「中水準有利ゲーム期間」は、「特別ゲーム期間」が終了後から開始される。つまり、特賞役に対応する遊技特典が得られると、その終了後からは必ず「中水準ゲーム期間」が開始されることになる。そして、「中水準有利ゲーム期間」は所定の条件が満たされるまで継続される。
ここで、「中水準有利ゲーム期間」を終了させる所定の条件としては、所定回数のゲーム数に到達するまでとする。この所定回数は、「特定ゲーム期間」比べて長いゲーム期間とすることが望ましい。即ち、少なくとも1回のゲームより多い所定回数のゲーム数とすることである。これは、第1に「中水準有利ゲーム期間」では「一般ゲーム期間」と比べてほとんど再遊技役の当たりやすさが変わらないものであるから、ある程度の期間継続させることとしてもホール等に不利益を与えることがないからである。
第2に、「中水準有利ゲーム期間」では、特定条件再遊技役の当たり値を増加させることができる「ゲーム期間」としているため、「有利ゲーム期間」を開始させるための条件(つまり、特定条件再遊技役に当選すること)が満たされ易い最適な期間(「チャンス期間」と呼ぶ)という役割を持たせることができるからである。
以上の内容から、「特別ゲーム期間」の終了後から開始される「ゲーム期間」が遊技者にとって大いに興味を惹きつけられる「ゲーム期間」となる。また、「中水準有利ゲーム期間」がいつまで続くか分からないものとすることや、あるいは複数の終了条件を設けること等により、遊技者が「中水準有利ゲーム期間」の終了とともに興趣を減退させてしまうといった事態も回避することが可能となる。
(解決手段2)
解決手段2は、解決手段1に記載の遊技機において、前記表示結果選択導出手段が、前記停止操作受付手段による停止操作が受け付けられた時点で当該ゲームの表示結果を前記特賞役に対応する表示結果とするか、または前記その他の当選役に対応する表示結果とするかを決定することを特徴とする遊技機である。
この場合、共有特賞役が内部抽選の抽選結果として決定されている状態では、停止操作の受け付けられた時点により特賞役に対応する表示結果となるか、あるいはその他の当選役に対応する表示結果となるかが決められる。つまり、いずれの表示結果となるかは、遊技者の行う停止操作の受け付けられる時機(またはタイミング)によって変わることとなる。
このように遊技者の停止操作の時機によって表示結果がいずれかに決定されることにより、その他の当選役に対応する表示結果が当該ゲームの結果となった場合に、当該ゲームの結果が共有特賞役であったのか、それとも共有特賞役ではなくその他の当選役のみであったのか判断をすることが難しいものとなる。従って、その他の当選役に対応する表示結果となっても、もしかしたら停止操作の時機がずれた(または遅れた、早まった)ためにその他の当選役に対応する表示結果となったのではないかといった特賞役に当選している期待を持たせることができる。
(解決手段3)
解決手段3は、解決手段1または2に記載の遊技機において、前記可変表示装置は、周方向に図柄帯の付された可動表示体を複数備え、前記可動表示体を回転または停止させて表示状態を変化させることが可能であることを特徴とする遊技機である。
可変表示装置は、図柄帯が周方向に付された可動表示体を複数備えている。それぞれの可動表示体は回転、停止を行うことが可能となっており、遊技者等による始動操作が受け付けられると、それぞれの可動表示体が回転を開始する。そして、遊技者による停止操作が受け付けられるまで、それぞれの可動表示体は回転を続ける。遊技者による停止操作が受け付けられると、それぞれの可動表示体は停止操作の受け付けられた順番にその回転を停止する。全ての可動表示体の回転が停止したときの可変表示装置の表示状態が静止時の表示状態となる。つまり、全ての可動表示体に回転が停止した状態が静止時の表示状態となり、可動表示体が回転している状態が変動時の表示状態ということになる。
また、それぞれの可動表示体の周囲(可動表示体の回転方向)には図柄帯が付されている。図柄帯には文字や形、キャラクター等の図柄(あるいは絵柄)が配置されており、可動表示体の停止時には図柄帯上の図柄を視認することができる。また、可動表示体が回転を開始しても可動表示体の回転方向でみて図柄帯上の図柄の配置関係は常に保持される。このため、可動表示体の回転中は図柄も変動することとなり、静止状態に比べて1つ1つの図柄を視認することは難しくなる。
(解決手段4)
解決手段4は、遊技価値を用いて1回のゲームに対して掛け数を決定することによりゲームが開始可能となるとともに、周方向に図柄帯の付された複数の可動表示体を回転、停止させることで表示状態を変化させることの可能な図柄表示部と、全ての前記可動表示体の回転が停止となり、図柄の組み合わせ態様が表示されると1回のゲームが終了し、前記図柄表示部に表示される図柄の組み合わせ態様に応じて当該ゲームの結果を判断する遊技機において、1回のゲームの掛け数として所定数の遊技価値を掛けた状態でゲームを開始させるための始動操作を受け付ける始動操作受付手段と、1回のゲームごとに予め決められた複数の当選役及びハズレ役の中から抽選を行う内部抽選手段と、前記始動操作受付手段によりゲームの始動操作が受け付けられると、前記内部抽選手段による抽選を実行させて、その抽選の結果を決定する抽選結果決定手段と、前記始動操作受付手段によりゲームの始動操作が受け付けられると、前記可動表示体の回転を開始させて前記図柄表示装置の作動を開始させる図柄表示変動開始手段と、前記可動表示体の回転を停止させるための停止操作を受け付ける停止操作受付手段と、前記停止操作受付手段により停止操作が受け付けられると、前記可動表示体の回転を停止させて前記図柄表示装置内で図柄の組み合わせ態様を導出する図柄組合せ態様導出手段と、前記図柄組合せ態様導出手段により導出される図柄の組み合わせ態様と前記抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果とを照合する判定を行うゲーム結果判定手段と、前記ゲーム結果判定手段による当該ゲームの判定結果に応じて、前記複数の当選役及びハズレ役のいずれかの遊技特典を付与する遊技特典付与手段と、前記複数の当選役として当該ゲームにて規定数の遊技価値が遊技者に付与される遊技特典に対応する小役と、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される遊技特典に対応する再遊技役と、複数のゲーム期間にわたり遊技価値の付与機会を増加させる遊技特典に対応する特賞役と、次回のゲームのみ遊技価値の付与機会を増加させる遊技特典に対応する特定役とを複数の当選役として予め定める当選役規定手段と、前記当選役規定手段により予め定められる前記特賞役として、前記特賞役の遊技特典のみを含有する専有特賞役と、前記特賞役の遊技特典に加えてその他の当選役の遊技特典をも含有する共有特賞役とをそれぞれ別に定める特賞役規定手段と、前記抽選結果決定手段により前記内部抽選の抽選結果として前記共有特賞役を除く全ての当選役のいずれかが決定された場合、その決定された当選役に対応する図柄の組み合わせ態様を導出することが可能な当選役図柄組合せ態様導出手段と、前記抽選結果決定手段により前記内部抽選の抽選結果として前記共有特賞役が決定された場合、前記共有特賞役の遊技特典に含有される前記特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様または前記その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様のいずれか一つを選択的に導出することが可能な当選役図柄組合せ態様選択導出手段と、前記当選役図柄組合せ態様選択導出手段による選択を前記停止操作受付手段による停止操作が受け付けられた時点で、前記特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様とするか、または前記その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様とするかを決定する選択導出決定手段と一般的な通常遊技時に比べて前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させる第1再遊技役当選確率向上手段と、特定の条件が成立すると前記第1再遊技当選役確率向上手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させる第1ゲーム開始手段と、前記第1ゲーム開始手段により開始された前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを複数のゲーム期間にわたり継続させる第1ゲーム継続手段と、所定の条件が成立すると前記第1ゲーム継続手段により継続されている前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを終了させる第1ゲーム終了手段と、前記再遊技役のうち改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される遊技特典に加えて前記第1ゲーム開始手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させるための前記特定の条件を満たす特定条件再遊技役を定める特定条件再遊技役規定手段と、一般的な通常遊技時に比べて前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させる再遊技役当選確率中水準向上手段と、前記特賞役に対応する遊技特典として遊技価値の付与機会の増加された複数のゲーム期間が終了すると、前記再遊技役当選確率中水準向上手段により前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲームを開始させる中水準向上ゲーム開始手段と、前記中水準向上ゲーム開始手段により開始された前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲームを複数のゲーム期間にわたり継続させる中水準向上ゲーム継続手段と、所定の条件が成立すると前記中水準向上ゲーム継続手段により継続されている前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲームを終了させる中水準向上ゲーム終了手段と、前記中水準向上ゲーム継続手段により前記再遊技役の当選確率を前記高水準より高くない中水準まで向上させたゲーム期間で前記特定条件再遊技役の当選確率を向上させる特定条件再遊技役確率向上手段と、一般的な通常遊技時に比べて前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させる第2再遊技役当選確率向上手段と、特定の条件が成立すると前記第2再遊技当選役確率向上手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させる第2ゲーム開始手段と、前記第2ゲーム開始手段により開始された前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを複数のゲーム期間にわたり継続させる第2ゲーム継続手段と、所定の条件が成立すると前記第2ゲーム継続手段により継続されている前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを終了させる第2ゲーム終了手段と、前記小役のうち規定数の遊技価値を付与される遊技特典に加えて前記第2ゲーム開始手段により前記再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームを開始させるための前記特定の条件を満たす特定条件小役と、前記特定役に対応する遊技特典として次回のゲームで前記特定条件小役の当選確率を所定の高水準まで向上させる特定条件小役確率向上手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機は、遊技価値を用いて1回のゲームごとに掛け数を決定した後にゲームが開始可能となる。そして、ゲームが開始されると周方向に図柄帯の付された複数の可動表示体の回転が開始されて表示状態が変化をし始める。全ての可動表示体が停止すると所定の図柄の組み合わせ態様が図柄表示部に導出表示されて当該ゲームが終了となる。このとき表示された図柄の組み合わせ態様に応じて当該ゲームの結果が判断される。
1回のゲームには所定数の遊技価値を必要とし、この所定数の遊技価値が掛けられた状態となるとゲームを開始させる始動操作の受け付けが可能となる。本発明で用いることが可能な遊技価値としては、遊技球やメダル、コインなどの遊技媒体が挙げられる。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選手段の行う内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、その中から1回のゲームごとに乱数値を1つ取得すると、この取得した1つの乱数値を予め決められた複数の当選役及びハズレ役として決められた乱数値と比較して抽選結果を判断するものが挙げられる。
所定の数値範囲内では、複数の当選役及びハズレ役に対応する乱数値(当たり値)が予め割り当てられており、所定の数値範囲内の乱数値は全てこれらのいずれかの当たり値に属することになる。従って、取得された1つの乱数値は必ずいずれかの当たり値の乱数値と一致(合致)することになる。そこで一致した当たり値に対応する当選役が当該ゲームにおける内部抽選の抽選結果として決定される。
内部抽選の抽選結果が決定されると、図柄表示変動開始手段により各可動表示体の回転が開始される。つまり、図柄表示部では図柄の変動状態(各可動表示体の回転により図柄帯上の図柄も変動状態となるため)が開始されることとなる。この図柄表示部では、各可動表示体の図柄を所定個数分の図柄群として表示することが可能となっており、遊技者は可動表示体の回転中は回転している図柄群を、あるいは可動表示体の停止時には所定個数分の図柄群を図柄表示部内に視認することができる。そして、最終的に全ての可動表示体が停止すると可動表示体ごと図柄表示部に停止した図柄からなる図柄群が形成される。この図柄表示部に表示された図柄群からなる態様が最終的な図柄の表示態様となる。
また、図柄表示部では、最終的な図柄の表示態様のうち、所定の図柄の組み合わせ態様として判定するための並び(あるいは組み合わせ)を予め決めることができる。この並びあるいは組み合わせはライン等とも呼ばれ、直線型のラインやVの字形、あるいはへの字型のラインなどが挙げられる。つまり、最終的な図柄の表示態様に表示されている図柄のうち、前述のライン上に表示されている図柄の組み合わせ態様が所定の図柄の組み合わせ態様として判定(判断)されることになる。
各可動表示体が回転を行っていない(停止した)状態では、各可動表示体の図柄も静止状態となっているため、図柄表示部内にそれぞれの図柄を視認することが容易である。また、各可動表示体が回転を行っている(回転している)状態では、各可動表示体の図柄も変動状態となっているため、静止時に比べると図柄表示部内にそれぞれの図柄(可動表示体の回転に伴い、図柄帯上の図柄も回転した状態となるため)を正確に視認することは難しいものとなる。
各可動表示体の回転が開始されると、停止操作が受け付けられるまで各可動表示体の回転は維持される。このとき図柄表示部に表示される図柄も変動状態を続けることになり、最終的に(全ての可動表示体が停止状態となったときに)どのような図柄の組み合わせ態様が表示されるか分からない状態である。従って、この状態では当該ゲームの結果がいずれの当選役またはハズレとなったのか判断できないものとなる。
停止操作受付手段による停止操作が受け付けられると、回転中の各可動表示体が停止することになる。そして、図柄表示部には所定の図柄の組み合わせ態様が表示される。このときの所定の図柄の組み合わせ態様が当該ゲームの表示結果となる。
ここで導出された図柄の組み合わせ態様(当該ゲームの表示結果)は、抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果と照合され、双方が合致するか否かがゲーム結果判定手段により判定される。ここで、内部抽選の抽選結果にはそれぞれ対応する図柄の組み合わせ態様が予め決められており、当該ゲームで導出された図柄の組み合わせ態様が予め決められた当該ゲームの結果に対応する所定の図柄の組み合わせ態様となっている場合を合致しているという。
ゲーム結果判定手段による判定される結果(判定結果)は、いずれかの当選役またはハズレ役に該当することになり、ハズレ役を除くいずれかの当選役に該当する場合には該当する当選役に対応する遊技特典が付与される。また、ハズレ役に該当する場合にはいずれの当選役に該当する遊技特典も付与されることは無い。なお、ハズレ役は当選役と異なり、遊技特典が付与されるものではないため、単にハズレと呼ばれることもある。
当選役には複数の種類の当選役が用意されており、それぞれの当選役には対応する遊技特典が設けられている。また、それぞれの当選役には対応する所定の図柄の組み合わせ態様が決められており、内部抽選の抽選結果に対応する所定の図柄の組み合わせと、当該ゲームの表示結果として図柄表示部に表示された図柄の組み合わせ態様が合致する場合に該当する当選役の遊技特典が付与される。
当選役には、小役、再遊技役、特賞役、特定役が含まれる。小役に対応する遊技特典は、規定数の遊技価値の付与である。つまり、当該ゲームの判定の結果が小役に該当する場合、小役の遊技特典として規定数の遊技価値が付与されることになる。
再遊技役に対応する遊技特典は、改めて遊技価値を掛けることなしに当該ゲームでの掛け数を次回のゲームに持ち越すことである。つまり、当該ゲームの判定結果が再遊技役に該当する場合、当該ゲームでは遊技価値の付与は行われず、次回のゲームに改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームと同じ掛け数にてゲームを行うことができることになる。
特賞役に対応する遊技特典は、複数のゲーム期間にわたり遊技価値の付与機会を増加させることである。つまり、当該ゲームの判定結果が特賞役に該当する場合、当該ゲームでは遊技価値の付与は行われずに、当該ゲームを契機として特賞役の遊技特典が開始されることになる。この特賞役の遊技特典における複数のゲーム期間では、特定の小役に対応する当たり値が大幅に増加される。
この特賞役の遊技特典における複数のゲーム期間のことを「遊技価値付与機会増加期間」と呼ぶ。即ち、「遊技価値付与機会増加期間」では特定の小役が内部抽選の抽選結果として決定される頻度(または割合)が「遊技価値付与機会増加期間」以外のゲーム期間(これを「一般ゲーム期間」という)に比べて増えることになる。そのため、「遊技価値付与機会増加期間」では特定の小役に対応する当たり値の数を2倍、3倍(あるいはそれ以上)と大幅に増加させることが望ましい。従って、「遊技価値付与機会増加期間」は「一般ゲーム期間」に比べて遊技者が遊技価値を獲得し易い、あるいは大量に獲得することのできるゲーム期間ということになる。
また、「遊技価値付与機会増加期間」は所定数の遊技価値の付与が行われると終了する。「遊技価値付与機会増加期間」が終了すると、「一般ゲーム期間」に戻り、いわゆる「通常ゲーム」が開始されることとなる。ここでいう「所定数」とは「一般ゲーム期間」における通常ゲームの繰り返しでは獲得することの困難な程度の数とすることが望ましい。また、「遊技価値付与機会増加期間」のことは「特別ゲーム期間」と称されることもあり、「特別ゲーム期間」に行なわれるゲームのことを特別ゲームと呼ぶ。
特定役に対応する遊技特典は、1回のゲームのみ遊技価値の付与機会を増加させることである。つまり、当該ゲームの判定結果が特定役に該当する場合、当該ゲームでは遊技価値の付与は行われずに、当該ゲームを契機として特定役の遊技特典が開始されることになる。この特定役の遊技特典における1回のゲーム(当該ゲームの次のゲーム)のみ、特定の小役に対応する当たり値が増加される。
この特定役の遊技特典における1回のゲーム期間(他のゲーム期間と比較するためにあえてゲーム期間と呼ぶ)のことを「特定ゲーム期間」と呼ぶ。即ち、「特定ゲーム期間」では、特定の小役が内部抽選の抽選結果として決定される頻度が「一般ゲーム期間」に比べて増えることになる。従って、「特定ゲーム期間」は「一般ゲーム期間」に比べて遊技価値を獲得し易いゲーム期間であるといえる。なお、「特定ゲーム期間」は1回のゲームをもって終了するため、大量の遊技価値を獲得できる可能性はほとんど無いといえる。
また、「特定ゲーム期間」では、「特別ゲーム期間」と同様に特定の小役の当たり値を大幅に増加させることもできるし、「特別ゲーム期間」に比べて当たり値を増加させる程度を押さえることもできる。さらに、特定の小役は「特別ゲーム期間」と「特定ゲーム期間」で同じ種類の小役としてもよいが、それぞれ異なる種類の小役とすることもできる。これらのことにより「特別ゲーム期間」と「特定ゲーム期間」の違いを明確に区別し易くなる。
さらに、「特別ゲーム期間」での特定の小役は、付与される遊技価値の数が多い小役でもよいし、付与される遊技価値の数の少ない小役とすることもできる。付与される遊技価値の数の多い小役を特定の小役とすれば、1回の特別ゲームで付与される遊技価値の数が多くなり、所定数の遊技価値を獲得するまでに要するゲーム数(ゲーム期間、あるいはゲームに要する時間)を短縮することができる。
反対に、付与される遊技価値の数の少ない小役を特定の小役とすれば、1回の特別ゲームで付与される遊技価値の数が少なくなり、所定数の遊技価値を獲得するまでに要するゲーム数(ゲーム期間、あるいはゲームに要する時間)を引き延ばすことができる。
本発明の遊技機における特賞役には、特賞役のみの遊技特典を含んだ専有特賞役と、特賞役の遊技特典及びその他の当選役の遊技特典をともに含んだ共有特賞役がある。ここで、その他の当選役は、ハズレ役及び特賞役を除く全ての当選役が該当する。
また、本発明の遊技機では、特賞役の当たり値の範囲内を共有特賞役に該当する当たり値と専有特賞役に該当する当たり値とにさらに分けることができる。つまり、特賞役全体に該当する当たり値を一定の範囲内として一まとめにして、さらにその範囲内で専有特賞役と共有特賞役に該当する当たり値を分けることになる。
こうすると、特賞役(専有特賞役及び共有特賞役)の当たり値の範囲は、所定の数値範囲内である一定範囲内にまとめることができる。これにより、内部抽選で取得される乱数値に偏りが生じた場合にも共有特賞役、専有特賞役の抽選に偏りを生じさせることが抑えられる。この偏りとは、専有特賞役、共有特賞役の当たり値の範囲を全く別に分けると(つまり、それぞれのあいだにその他の当選役に該当する当たり値が入ることになる)、特賞役に対応する当たり値全体がさらに細分化されてしまい、取得される乱数値に偏りが生じた場合に、専有特賞役あるいは共有特賞役のいずれかばかりに当選する等の偏りが生じることをいう。
抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果が共有特賞役を除く全ての当選役のいずれかとなった場合、そのとき決定された当選役に対応する図柄の組み合わせ態様を図柄表示部に導出させることが可能となる。つまり、内部抽選の抽選結果に対応する所定の図柄の組み合わせ態様を図柄表示部に表示させることの可能な各可動表示体の制御(あるいは各可動表示体の停止制御)が行われることになる。
また、内部抽選の抽選結果が共有特賞役を除く全ての当選役のいずれかに該当する場合であっても遊技者の適切な停止操作が受け付けられない際には、該当する図柄の組み合わせ態様を表示させることが可能な状態となっていてもその図柄の組み合わせ態様を許容しない場合を設けることもできる。この場合、適切な停止操作を行うことができなければ、許容されている図柄の組み合わせ態様とならず、内部抽選の抽選結果に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されないことになる。
ここでいう「適切な停止操作」とは、当該ゲームにおいて表示させることが可能となっている所定の図柄の組み合わせ態様となるために必要な図柄を、各可動表示体の回転を停止させる際に図柄表示部に表示させることの可能な時機(タイミング)での停止操作のことをいう。
従って、遊技者が何も意識せず「始動操作の次は停止操作を行い、また始動操作を行い、その繰り返しをひたすら行う」といった単調なゲームの繰り返しによる興趣の低下を極力回避させることができる。これは、内部抽選の抽選結果を実際に図柄表示部で所定の図柄の組み合わせ態様として得る(結果として遊技特典を得ることになるため)ためには、遊技者にも少なからず技量(適切な停止操作を行う技術)を必要とするからである。これにより、遊技者は持てる技量を十分に発揮しようと意欲を持つことになる。
抽選結果決定手段により決定された内部抽選の抽選結果が共有特賞役となった場合、そのとき決定された当選役(即ち、特賞役及びその他の当選役)に対応するそれぞれの図柄の組み合わせ態様を図柄表示部に表示させることが可能となる。つまり、内部抽選の抽選結果に対応する所定の図柄の組み合わせ態様が2つ存在することになる。このとき、一方は特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様であり、他方はその他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様ということである。
但し、図柄表示部に表示される図柄の組み合わせ態様としては特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様及びその他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様のいずれか一つが選択されることになる。これは共有特賞役の遊技特典としては2つの遊技特典を含有しているが、当該ゲームで得られる遊技特典は多くとも一つであるということを意味する。即ち、本発明の遊技機では1回のゲームに対しては多くとも1つの遊技特典が与えられるだけであり、1回のゲームに対して複数の遊技特典が重複して、あるいは同時に与えられるものではないということになる。
内部抽選の抽選結果が共有特賞役となった場合、特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様あるいはその他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様のいずれか1つが選択されることは前述したとおりであるが、この選択は、遊技者の停止操作が受け付けられた時点で行われる(決められる)。言い換えれば、遊技者が各可動表示体の停止操作を行う時機(タイミング)により上記の選択(つまり、特賞役またはその他の当選役のいずれに対応する図柄の組み合わせ態様を表示させることを可能とするか)が行われるということである。
本発明の遊技機では、複数の可動表示体にはそれぞれ停止操作を受け付ける手段を設けることが望ましい。つまり、始動操作により複数の可動表示体が回転を開始した後は、複数の可動表示体をそれぞれ独立して停止させることが可能となる。従って、「停止操作が受け付けられた時点」には、それぞれの可動表示体のうちの少なくとも1つの可動表示体についての停止操作が受け付けられた時点から、全ての可動表示体の停止操作が受け付けられた時点までが含まれることになる。
そして、選択導出決定手段による上記のいずれかの図柄の組み合わせ態様とするかの決定は、少なくとも全ての可動表示体の停止操作が受け付けられる前までとすることが望ましい。これは、先ず始めに(第1番目に)可動表示体の停止操作が受け付けられた時点で特賞役、その他の当選役のいずれかの図柄の組み合わせ態様を決定する(選択する)ものとすれば、図柄表示部に表示される図柄(第1番目に停止操作が受け付けられた可動表示体の停止により表示される図柄群)だけでは、最終的な図柄の表示態様(所定の図柄の組み合わせ態様)を容易に想像することが難しいものとなるからである。
また、1つの可動表示体の停止操作のみが受け付けられた時点では、特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成するために必要な図柄(特賞役構成図柄という)と、その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様を構成するために必要な図柄(その他当選役構成図柄という)を共に表示させることも可能である。これは図柄表示部に表示される図柄群として特賞役構成図柄とその他当選役構成図柄を共に教示させることの可能な図柄の配置(図柄帯上の図柄の配置)を取ればよいからである。
このような図柄の配置を取れば、少なくとも全ての可動表示体の停止操作が受け付けられる前まで、つまり、少なくとも1つの可動表示体については停止操作が受け付けられていない時点までであれば、特賞役構成図柄とその他当選役構成図柄を共に図柄表示部に表示させることも可能となり、最後の可動表示体の停止操作を行うまでいずれの図柄の組み合わせ態様となるか分からないものとなり、遊技者が可動表示体の停止操作を最後まで期待して行うこととなる。
以上の内容から、本発明では、内部抽選の抽選結果が特賞役に該当する場合に、特に共有特賞役に該当する場合には、その当該ゲームでの図柄の組み合わせ態様として表示される可能性のある所定の図柄の組み合わせ態様が複数存在することになる。そしてこれら複数存在する所定の図柄の組み合わせ態様のうち、必ずいずれかが選択されて、その選択された図柄の組み合わせ態様を表示させることが可能な状態となる。即ち、その他の当選役の図柄の組み合わせ態様が表示された場合であっても、特賞役に当選している可能性を持たせることができる。
従って、特賞役以外の当選役(その他の当選役)に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されて当該ゲームが終了となっても、共有特賞役に含まれるその他の当選役であったのか、単に共有特賞役に含まれないその他の当選役であったのか判断をつけることが難しいものとなる。これにより遊技者は、その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されるたびに特賞役に当選しているかもしれないという期待を絶えず持つことになり興趣の低下を招きづらくすることができる。
本発明の遊技機では、再遊技役の当選確率を通常ゲーム(「一般ゲーム期間」でのゲーム)時に比べて所定の高水準まで向上させることができる。この再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させたゲームのことを有利ゲームと呼び、有利ゲームの行われているゲーム期間を「有利ゲーム期間」と呼ぶ。
再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させるということは、再遊技役の当たり値を増加させることを意味する。ここで、所定の高水準としては、通常ゲーム時の2倍、3倍あるいはそれ以上を含めた程度まで当たり値を増加させることが望ましい。つまり、「有利ゲーム期間」では「一般ゲーム期間」とは明らかに異なる程、再遊技役に当選し易くなる状態を作り出すことができる。
また、「有利ゲーム期間」は「一般ゲーム期間」に比べて、2倍、3倍あるいはそれ以上と再遊技役に当選する可能性が高くなるので、再遊技(再遊技役の遊技特典のこと)を行う機会が増えることになる。このように再遊技の機会が増えると、その分だけ遊技価値を新たに掛ける機会が減少する。つまり、遊技者が遊技価値を1回のゲームごとに新たに用意して掛けていくと、段々と遊技価値の消費量が増加していくことになるが、そのときの消費量を緩やかに、あるいは消費量の増加を抑えることが可能となる。
ここでいう「遊技価値の消費量」とは、単位時間当たりに消費(遊技者が掛け数として使用する)することとなる遊技価値の数のことをいう。この消費量の度合いによって、いわゆる、「コイン持ちが良い」、「球持ちが良い」あるいは「コイン持ちが悪い」、「球持ちが悪い」などといわれることもある。
「有利ゲーム期間」は特定の条件が満たされることにより開始される。そして、所定の条件が満たされるまで「有利ゲーム期間」は継続されることになる。つまり、所定の条件が「有利ゲーム期間」の終了条件ということである。
本発明の遊技機では、特定の条件を満たすものとして所定の当選役を設けることができる。つまり、所定の当選役に当選することが特定の条件を持たすこととなる。さらに、この所定の当選役は複数の種類を設けるものとする。また、それぞれの当選役が満たすことで開始される「有利ゲーム期間」についても対応する分だけ複数の種類を設けることができる、即ち、特定の条件を満たすための当選役が複数種類あり、なおかつ、それぞれの当選役により特定の条件が満たされた場合には、それぞれに対応する「有利ゲーム期間」が開始されることになる。
先ず、特定の条件を満たすために特定条件再遊技役を設ける。つまり、特定条件再遊技役に当選することが特定の条件を満たすことになる。この特定条件再遊技役は、「一般ゲーム期間」、「特別ゲーム期間」、「特定ゲーム期間」、「有利ゲーム期間」全てにおいて当選する可能性のある当選役となっている。この特定条件再遊技役は、再遊技役としての遊技特典(つまり、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越されること)に加えて、「有利ゲーム期間」を開始させるための契機としての遊技特典にも対応しているものである。
また、特定条件再遊技役に当選したことを契機として開始される「有利ゲーム期間」のことを「第1有利ゲーム期間」と呼ぶ。これに対して後述する「第2有利ゲーム期間」もあり、これらをまとめて「有利ゲーム期間」と総称する。この「第1有利ゲーム期間」を終了させるための所定の条件は、所定回数のゲーム数に到達するまでとする。この所定回数としては、遊技者が終日ゲームを行った場合に最大限行うことの可能なゲーム回数程度とすることができる。つまり、「第1有利ゲーム期間」が開始されると、それ以後はほぼ終日「第1有利ゲーム期間」が継続することとなり、遊技者にとって貴重な(あまり経験することのできない)「ゲーム期間」としての価値を持たせることができる。
また、「第1有利ゲーム期間」は、特賞役に当選する(特賞役が内部抽選の抽選結果となること)まで継続させるものとすることもできる。このような条件とすれば、遊技者は「第1有利ゲーム期間」では特賞役になるべく当選したくないという傾向を強めることになる。これは「一般ゲーム期間」で、遊技者ができるだけ多く(または何回も)特賞役に当選したいと願う傾向が強いことと全く反対の傾向である。
また、特定条件再遊技役は、通常再遊技役(特定条件再遊技役ではない再遊技役のことを指す)に比べて当たり値を少なくすることが望ましい。つまり、特定条件再遊技役を通常再遊技役に比べて当選しづらい当選役とすることである。
但し、特定条件再遊技役を極端に当たりづらい当選役とすると、「第1有利ゲーム期間」が移行しづらいものとなってしまい、遊技者が「第1有利ゲーム期間」でのゲームを全く経験できなくなり、かえって遊技者の遊技意欲を低下させてしまうこともある。このような事態を回避するために本発明の遊技機では、「一般ゲーム期間」及び「特別ゲーム期間」、「有利ゲーム期間」、「特定ゲーム期間」では特定条件再遊技役を当たりづらい当選役とするものの、特定条件再遊技役に当たり易い期間として新たに「中水準有利ゲーム期間」を設けることができる。
この「中水準有利ゲーム期間」は、「第1有利ゲーム期間」に比べると、再遊技役に当選しづらいものとすることができる。つまり、「第1有利ゲーム期間」のように再遊技役の当たり値を「一般ゲーム期間」の2倍、3倍あるいはそれ以上にと増加させるのではなく、「一般ゲーム期間」と大差ない程度に再遊技役の当たり値を増加させることが望ましい。つまり、「一般ゲーム期間」での再遊技役の当たり値の数に比べて少なくとも1つの当たり値を増やすだけでもよいことになる。このようにすると「一般ゲーム期間」と「中水準有利ゲーム期間」とを全く区別できないものとすることができる。
ここで、「全く区別できないもの」とは、再遊技役の当選状況からはいずれの「ゲーム期間」であるのか判断ができないことをいう。当選状況とは、ある一定期間内で目的の当選役に当選する回数あるいは頻度のことを指す。
「中水準有利ゲーム期間」は、「特別ゲーム期間」が終了後から開始される。つまり、特賞役に対応する遊技特典が得られると、その終了後からは必ず「中水準ゲーム期間」が開始されることになる。そして、「中水準有利ゲーム期間」は所定の条件が満たされるまで継続される。
ここで、「中水準有利ゲーム期間」を終了させる所定の条件としては、所定回数のゲーム数に到達するまでとする。この所定回数は、「特定ゲーム期間」比べて長いゲーム期間とすることが望ましい。即ち、少なくとも1回のゲームより多い所定回数のゲーム数とすることである。これは、第1に「中水準有利ゲーム期間」では「一般ゲーム期間」と比べてほとんど再遊技役の当たりやすさが変わらないものであるから、ある程度の期間継続させることとしてもホール等に不利益を与えることがないからである。
第2に、「中水準有利ゲーム期間」では、特定条件再遊技役の当たり値を増加させることができる「ゲーム期間」としているため、「第1有利ゲーム期間」を開始させるための条件(つまり、特定条件再遊技役に当選すること)が満たされ易い最適な期間(「チャンス期間」と呼ぶ)という役割を持たせることができるからである。
従って、「特別ゲーム期間」の終了後から開始される「ゲーム期間」が遊技者にとって大いに興味を惹きつけられる「ゲーム期間」となる。また、「中水準有利ゲーム期間」がいつまで続くか分からないものとすることや、あるいは複数の終了条件を設けること等により、遊技者が「中水準有利ゲーム期間」の終了とともに興趣を減退させてしまうといった事態も回避することが可能となる。
次に、特定の条件を満たすために特定条件小役を設ける。この特定条件小役は、「一般ゲーム期間」、「特別ゲーム期間」、「特定ゲーム期間」、「有利ゲーム期間」全てにおいて当選する可能性のある当選役となっている。この特定条件小役は、小役としての遊技特典(つまり、規定数の遊技価値の付与)に加えて、「第2有利ゲーム期間」を開始させるための契機としての遊技特典にも対応しているものである。
よって、特定条件再遊技役は「第1有利ゲーム期間」を開始させるための契機としての役割を持ち、特定条件小役は「第2有利ゲーム期間」を開始させるための契機としての役割を持っているといえる。
また、「第2有利ゲーム期間」を終了させるための所定の条件としては、所定回数のゲーム数に到達するまでとする。この所定回数は、遊技者が終日ゲームを行った場合に最大限行うことの可能なゲーム回数程度とすることができる。つまり、「第2有利ゲーム期間」が開始されると、それ以後はほぼ終日「第2有利ゲーム期間」が継続することとなり、遊技者にとって貴重な(あまり経験することのできない)「ゲーム期間」としての価値を持たせることができる。
また、「第2有利ゲーム期間」は、特賞役に当選する(特賞役が内部抽選の抽選結果となること)まで継続させるものとすることもできる。このような条件とすれば、遊技者は「第2有利ゲーム期間」では特賞役になるべく当選したくないという傾向を強めることになる。これは「一般ゲーム期間」で、遊技者ができるだけ多く(または何回も)特賞役に当選したいと願う傾向が強いことと全く反対の傾向である。
また、特定条件小役は、その他の小役(遊技価値の付与だけの遊技特典に対応する小役)に比べて当たり値を少なくすることが望ましい。つまり、特定条件小役はその他の小役に比べて当選しづらい小役とすることである。
但し、特定条件再遊技役を極端に当たりづらい当選役とすると、「第2有利ゲーム期間」が移行しづらいものとなってしまい、遊技者が「第2有利ゲーム期間」でのゲームを全く経験できなくなり、かえって遊技者の遊技意欲を低下させてしまうこともある。このような事態を回避するために本発明の遊技機では、「一般ゲーム期間」及び「特別ゲーム期間」、「有利ゲーム期間」では特定条件小役を当たりづらい当選役とするものの、「特定ゲーム期間」のみは、当たりやすい当選役とすることができる。
特に「特定ゲーム期間」は1回のゲームのみであるため、特定条件小役の当たり値を大幅に増加させること(つまり、大幅に当たり易くすること)も可能である。この「大幅な増加」により特定条件小役を全ての当選役のうちで最も当たりやすい当選役とする程度まで当たり値を増加させることもできる。つまり、「特定ゲーム期間」では、全ての当選役のうち特定条件小役に当選する可能性が最も高いことになり、遊技者は「特定ゲーム期間」の1回のゲームでは、「一般ゲーム期間」での1回の通常ゲームと違って、この1回のゲームに全てを掛けるほどの意気込みを持って、始動操作を行うことになる。
また、「特定ゲーム期間」が開始される条件、つまり、特定役は「一般ゲーム期間」において特定条件小役に比べて当たりやすい当選役とすることが望ましい。これは「特定ゲーム期間」でのゲームを、「第2有利ゲーム期間」を開始させるための条件が満たされ易い最適な機会(「チャンスゲーム」と呼ぶ)として遊技者に印象付けることができるからである。従って、遊技者は、特定役に当選するたびに(即ち、「特定ゲーム期間」が開始されるたびに)チャンスゲームでの緊張感(ドキドキ感)を味わうこととなる。
また、本発明の遊技機では、「第1有利ゲーム期間」及び「第2有利ゲーム期間」という再遊技役の当選確率を所定の高水準まで向上させた複数の「有利ゲーム期間」を設けている。このように複数の「有利ゲーム期間」(即ち、「第1有利ゲーム期間」と「第2有利ゲーム期間」)を設けると、別々の(あるいは異なる)ゲーム期間(または遊技状態)を作り出すことができる。
また、それぞれのゲーム期間は別々の契機から開始されることから、様々な契機から、様々な遊技状態に移行することとなり、単調なゲームが長時間続くといった傾向を弱めること(極力回避すること)ができる。
さらに、「有利ゲーム期間」としての価値(有利さの度合い)に差を設けることもできる。ここでいう「有利さの度合い」とは、再遊技役の当選確率に格差をつけることや、ゲーム期間の所定回数に格差を設けることをいう。
このように、「第1有利ゲーム期間」と「第2有利ゲーム期間」とで格差を設けると、いずれか一方は遊技者にとって最も有利さの度合いの高いゲーム期間となり、他方は2番目(あるいはそれ以下)の有利さの度合いの高いゲーム期間というように明確に差がつくことになる。このような場合、遊技者は、有利さの度合いの高さに注目することとなり、最も有利さの度合いの高い条件(ここでは「有利ゲーム期間」のこと)を目立たせる(または、際立ってよく見せること)ことができる。従って、遊技者が長期間にわたりゲームを行おうなどという場合にこの条件を目標とすることができ、遊技意欲を維持し易い状況が作り出される。
また、「有利ゲーム期間」としての価値に差をつけることなく、ほぼ同程度の価値とすることもできる。つまり、「第1有利ゲーム期間」及び「第2有利ゲーム期間」で有利さの度合いに差がない、あるいはほぼ同程度とすることである。
このように、「第1有利ゲーム期間」と「第2有利ゲーム期間」とで格差を明確に設けず、同程度もしくは微細な差のみとすると、「有利ゲーム期間」が遊技者にとって価値のあるもの(移行したいと願う対象)となる。このような場合、遊技者は「有利ゲーム期間」を開始させる契機となる特定の条件が複数存在することに目を向けるようになる。即ち、特定の条件が数多くあればその分だけ通常遊技時等であっても期待の持てる条件を存在させることができるからである。従って、遊技者が遊技意欲を減退させがちな通常遊技時でも遊技意欲を維持させ易くなる。
(解決手段5)
解決手段5は、解決手段4に記載の遊技機において、前記第1再遊技役当選確率向上手段により前記再遊技役の当選確率を向上させる場合の所定の高水準は、前記第2再遊技役当選確率向上手段により前記再遊技役の当選確率を向上させる場合の所定の高水準と類似もしくは同等であることを特徴とする遊技機である。
この場合、「有利ゲーム期間」としての有利さの度合いに差をつけることなく、ほぼ同程度、あるいは類似する程度のものとすることができる。つまり、「第1有利ゲーム期間」及び「第2有利ゲーム期間」で有利さの度合いに差がほとんどみられないものとなる。
また、同程度の有利なゲーム期間が複数あることで、遊技者はどのような場合から、あるいはどういった契機から有利なゲーム期間が開始されるのかといったことに関心を持つようになる。これは遊技者が遊技機のゲーム性を解明したいという意識(あるいは意欲)を高揚させることにつながる。このような意欲を持たせることは遊技者の遊技意欲を減退させにくくすることとなる。
(解決手段6)
解決手段6は、解決手段4または5に記載の遊技機において、前記特定条件小役規定手段により定められる前記特定条件小役に含まれる遊技特典として、前記当選役規定手段により定められる前記小役と同じ規定数の遊技価値を遊技者に付与させる小役規定数付与手段をさらに備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、特定条件小役と通常小役の遊技特典として遊技者に付与される遊技価値の数が同じとなる。ここで、「通常小役」とは、特定条件小役以外の小役のことをいう。即ち、遊技者は特定条件小役と通常小役では同じ規定数分の遊技価値を獲得することができることになる。
前述の解決手段1に本発明を適用する場合、特定条件小役と通常小役に対応するそれぞれの図柄の組み合わせ態様を類似した組み合わせ態様とすることが望ましい。これにより、「一般ゲーム期間」で通常小役(あるいは特定条件小役)に対応する図柄の組み合わせ態様となり、遊技価値が付与されても、その時点(当該ゲーム)では、通常小役か特定条件小役か分からないものとなる。従って、遊技者は、次回のゲーム(当該ゲームの次のゲーム)で「有利ゲーム期間」が開始されるのではないかという期待を持ってゲームを行うことになる。
(解決手段7)
解決手段7は、解決手段4から6のいずれかに記載の遊技機において、前記特定条件再遊技役規定手段により定められる前記特定条件再遊技役に含まれる遊技特典として、前記当選役規定手段により定められる前記再遊技役と同じく改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再遊技役遊技特典付与手段をさらに備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、特定条件再遊技役と通常再遊技役の遊技特典が同様の内容を含むことになる。ここで「通常再遊技役」とは、特定条件再遊技役以外の再遊技役のことをいう。即ち、特定条件再遊技役及び通常再遊技役のどちらであっても改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越されることになる。遊技者から見れば、いずれの再遊技役であっても当該ゲームの次回のゲームでは再遊技が行えることになる。
前述の解決手段1に本発明を適用する場合、特定条件再遊技役と通常再遊技役に対応するそれぞれの図柄の組み合わせ態様を類似した組み合わせ態様とすることが望ましい。これにより、「一般ゲーム期間」で通常再遊技役(あるいは特定条件再遊技役)に対応する図柄の組み合わせ態様となり、再遊技の特典が付与されても、その時点(当該ゲーム)では、通常再遊技役か特定条件再遊技役か分からないものとなる。従って、遊技者は、次回のゲーム(当該ゲームの次のゲーム)で「有利ゲーム期間」が開始されるのではないかという期待を持ってゲームを行うことになる。
(解決手段8)
解決手段8は、解決手段4から7のいずれかに記載の遊技機において、前記共有特賞役が、その他の当選役の遊技特典として前記小役及び前記再遊技役の遊技特典を含有することを特徴とする遊技機である。
この場合、共有特賞役が含有する遊技特典には、特賞役の遊技特典に加えて、小役の遊技特典あるいは再遊技役の遊技特典が含まれることになる。即ち、共有特賞役は、
(1)特賞役+小役
(2)特賞役+再遊技役
という遊技特典に対応する当選役ということになる。また、小役は複数の種類を設けることもできるので、上記の組み合わせは2種類に留まらず、さらに複数の種類の共有特賞役を設けることが可能となる。
ここで小役は少なくとも複数種類を設けることが望ましい。これにより、特定の小役だけがチャンスとしての役割を持つ(その小役に当選するだけで共有特賞役に当選している可能性が高い、いわゆる熱い小役と呼ばれる)ということではなく、全ての小役そして再遊技役という主に「一般ゲーム期間」で当選することの多い一般的な当選役の全てに期待(共有特賞役に当選しているかもしれないということ)が持てることになる。つまり、一般的な当選役に当選となった場合であっても、遊技者は特賞役にも当選しているのではないかという期待を持つことになる。従って、小役や再遊技役といった当選役に対して遊技者が持つ印象(小役は単なる規定数の遊技価値を付与するだけの当選役、再遊技役は単に再遊技ができるだけの当選役)を変えることができる。これにより遊技者が「一般ゲーム期間」でなかなか特賞役に当選せずに興趣を低下させてしまうことを極力回避することができる。
(解決手段9)
解決手段9は、解決手段4から8のいずれかに記載の遊技機において、前記選択導出決定手段により前記その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様の導出を可能とすることが決定された場合、前記停止操作受付手段により受け付けられる遊技者の停止操作の時機に関わらず前記その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様を表示させる前記可動表示体の停止制御を行う第一可動表示体停止制御手段をさらに備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、先ず遊技者による可動表示体の停止操作が受け付けられた時点で、特賞役ではなく、その他の当選役(小役、再遊技役)に対応する図柄の組み合わせ態様を表示させることの可能な可動表示体の制御(停止制御)が行われる。
そして、このとき遊技者がどのような時機に停止操作を行っても、その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が図柄表示部に表示されることになる。つまり、共有特賞役の遊技特典のうち、その他の当選役に該当する遊技特典は必ず獲得する(または得る)ことができることになる。
以上のことから、内部抽選の抽選結果が共有特賞役となり、当該ゲームの判定結果が特賞役に該当しない場合には、必ずもう一方の遊技特典(その他の当選役の遊技特典)が付与されることになる。また、ここで表示される図柄の組み合わせ態様は、共有特賞役に含有されるその他の当選役(小役、再遊技役)の図柄の組み合わせ態様であるのか、それとも単なるその他の当選役(共有特賞役に含有されない小役、再遊技役)の図柄の組み合わせ態様であるのかを判断することはできない。これは、その他の当選役の図柄の組み合わせ態様としては、双方ともに全く同じものであるからである。従って、遊技者は、その他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されるたびに特賞役に当選したのではないかという希望を持つことになる。
(解決手段10)
解決手段10は、解決手段4から8のいずれかに記載の遊技機において、前記選択導出決定手段により前記特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様の導出を可能とすることが決定された場合、前記停止操作受付手段により受け付けられる遊技者の停止操作の時機に応じて前記特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様を表示させることを可能とする前記可動表示体の停止制御を行う第二可動表示体停止制御手段をさらに備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、先ず遊技者による可動表示体の停止操作が受け付けられた時点で、その他の当選役(小役、再遊技役)ではなく、特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様を表示させることの可能な可動表示体の制御(停止制御)が行われる。
そして、少なくとも1つの可動表示体の停止操作が受け付けられた時点では、図柄表示部に特賞役構成図柄が表示されていることが望ましい(つまり、特賞役構成図柄を図柄表示部に停止させる制御を行うことが望ましい)。これは、これから停止操作を行う可動表示体についても特賞役構成図柄を図柄表示部に停止させることができれば、特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様を表示させることが可能となるからである。
従って、遊技者は、少なくとも1つの可動表示体の停止操作を終えた時点で特賞役構成図柄が図柄表示部に表示されていれば、特賞役に当選しているかもしれないという可能性に期待感を膨らませることになる。
さらに、特賞役構成図柄は各可動表示体に少なくとも1つ配置されているだけでよい。これにより、特賞役構成図柄を図柄表示部に停止させるためには、可動表示体の停止操作を行うに当たり、適切な停止操作の技量を要するものとすることができる。
従って、内部抽選の抽選結果が共有特賞役であり、なおかつ、特賞役に対応する図柄の組み合わせ態様を表示させることが可能となっていても、その組み合わせ態様を表示させることができない場合もあることになる。この場合には、共有特賞役に含有されるその他の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様も図柄表示部には表示されないので、結果として図柄表示部にはハズレに対応する図柄の組み合わせ態様(ハズレ態様)が表示されることになる。
以上のことから、図柄表示部にハズレ態様が表示されたときでも、遊技者が適切な停止操作ができなかったためにハズレ態様となったのか、それとも単にハズレ役となっていたためにハズレ態様となったのか判断のつかないものとなる。従って、遊技者はこのような判断のつかない結果(表示態様)を招くことを回避するために、少なくとも1つの可動表示体の停止操作を終えた時点で図柄表示部に特賞役構成図柄が表示されている場合には、これから停止操作を行う可動表示体についても特賞役構成図柄を図柄表示部に表示させるべく適切な停止操作を意欲的に行うことになる。
(解決手段11)
解決手段11は、解決手段4から10のいずれかに記載の遊技機において、遊技者に相対する前面側からみてパチンコ機用の島設備に設置するのに必要な幅と高さを有した枠体と、前記島設備に前記枠体が縦型に設置された状態で前記枠体の前面側に開閉可能に設けられ、閉状態で前記枠体の前面を覆う幅と高さを有した前面扉と、前記前面扉の奥に配置され、前面側からみて前記枠体の内側の位置で前記可動表示体を作動させる前記可動表示体を有した遊技ユニットと、遊技者の視線に正面から向き合う位置で前記前面扉を横長の矩形状に開口して形成され、前記可動表示体の停止時に図柄が所定位置に表示される図柄表示窓と、前記前面扉の奥に配置され、前記遊技ユニットの上方の位置でゲームの進行に基づいて演出表示を実行させる演出表示ユニットと、前記図柄表示窓の上方の位置で前記前面扉を矩形状に開口して形成され、前記演出表示ユニットの表示内容を前面側から視認可能とする演出表示窓と、前記前面扉の前面から突出して形成され、前記図柄表示窓の下方の位置で遊技者による操作を受け付ける操作部材が配置された操作部設置台と、前記前面扉の左側部分に形成された遊技球を貯留する球受け皿と、前記前面扉の内側にて前記球受け皿に隣接して設置され、前記球受け皿に貯留された遊技球を遊技機本体の内部に取り込むことで、遊技者が保有していた遊技球を前記所定数の遊技価値として掛けるための取込動作を行う球取込機構と、前記球受け皿から遊技球を右方向へ転動させて前記球取込機構に導く球案内路とをさらに備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技者が保有する遊技球を球受け皿に貯留しておき、ここに滞留した遊技球を用いてゲームごとに使用する遊技価値を掛けることができる。前面扉の左側部分に形成された球受け皿には遊技者が保有する遊技球を貯留しておくことができるほか、必要に応じて遊技者が上方から遊技球を足し込んだり、あるいは取り除いたりすることができる。
また本発明の遊技機では、所定数の遊技価値を掛けるために球取込機構を用いて遊技球を取り込む動作(取込動作)が行われる。球取込機構によって取り込まれた遊技球は、遊技者がゲームをするにあたって遊技価値として掛けたものとなる。このようにして遊技価値を掛けることで1回のゲームが行われることから、遊技者が繰り返しゲームを実行するためには、球受け皿に相当な数の遊技球を貯留しておくことが好ましい。
また本発明の遊技機は、遊技球を用いてスロットマシン遊技を行う遊技機としての明確な構成を有する。すなわち、枠体はパチンコ機用の島設備に設置可能な幅と高さを有していることから、パチンコ機用の島設備から遊技球の補給を受けたり、ゲームに使用した遊技球をパチンコ機用の島設備にて回収したりすることが可能となる。また、枠体には可動表示体を有した遊技ユニットが配置され、この遊技ユニットにより可動表示体の回転および停止が行われることでゲームが進行する。可動表示体の停止時には図柄表示窓に図柄が所定位置に停止表示され、このときの図柄の組み合わせからゲームの結果が判断される。このようなゲームの進行を円滑に行うため、前面扉には操作部材が配置された操作部設置台が形成されており、遊技者は操作部材を操作することでゲームを進行させることができる。
さらに、枠体にはゲームの進行に基づいた演出表示を実行させることが可能な演出表示ユニットが配置され可動表示体の回転および停止等のゲームの進行に合わせた演出内容を表示させることができる。この演出内容は演出表示窓を通して視認することができる。つまり、演出表示ユニットは前面扉が閉じた状態となると外部から触れることはできなくなる。これにより演出表示ユニットが直接的に破損する可能性(前面扉の開閉時の振動や、前面扉を叩く等の乱暴な行為)を回避しやすくなる。
また、本発明の遊技機では円滑にゲームを進行していくために、球受け皿に貯留された遊技球を右方向に転動させて球取込機構に導く球案内路を設ける。これは遊技球を整然と球取込機構に案内させるものである。
さらに、前面扉の内側には球受け皿から取込動作体に向けて比較的緩やかな下り傾斜を有した球案内路が形成することもできる。球受け皿は前面扉の左側部分に位置するから、球案内路は遊技球を右方向へ転動させながら球搬送体に向けて案内する。そして球案内路は、球受け皿に貯留された遊技球を転動させながら球搬送体まで案内する役割を果たしている。また、本発明の遊技機では1回のゲームに比較的多数(5個〜15個)の遊技球を使用する必要があるため、整然と遊技球が球取込機構に案内されることにより、遊技と遊技の間の時間を短縮することもできる。
本発明により、遊技者が長時間にわたりゲームを続けることなどから起こる遊技意欲の減退を極力抑えることができる。
以下、遊技媒体に遊技球を用いてスロットマシン遊技を行う遊技機の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では当該遊技機のことを「スロットマシン1」として呼称する。
(スロットマシンの構成)
図1は、一実施形態のスロットマシン1の外観を示している。本実施形態のスロットマシン1は、一般的なパチンコ機(遊技領域に向け遊技球を発射し、結果に応じて遊技球の払い出しを受けることの可能な弾球式遊技機)が有する外枠と同じ幅寸法及び高さ寸法の外枠10を有する他、この外枠10に取り付けられる前面扉21や本体枠70を備えている。スロットマシン1の構成部材は前面側からみて全て外枠10の形状に合わせ収まり、それゆえスロットマシン1はパチンコ機用の島設備に設置することが可能となっている。
パチンコ機用島設備には、スロットマシン1に近接して球貸し機(サンド、台間サンドともいう)200が設置が可能となっている。なお、図示の例では、遊技者が球貸し機200に現金を投入して遊技球を借り受けるタイプとしているが、その他に、プリペイドカードを投入するタイプの球貸し機(CRユニット)を接続することもできる。
スロットマシン1の前面扉21のほぼ中央には、矩形の図柄表示窓23が開口して形成されており、この図柄表示窓23にはガラス板または透明樹脂板等の透明板が取り付けられている。前面扉21の奥には可動表示体として3つのの可変回転体111が設置されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組に複数種類の図柄が印刷された透光性を有する図柄帯が張られて筒状の形態を成している。この筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の回胴式遊技機では一般的にリール、またはドラムと呼ばれているものである。なお、以下では、この可変回転体のことをリールと呼称する。このリールは、回転させたり停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
また、前面扉21の上部には矩形の液晶表示窓24が形成されており、この液晶表示窓24にも、ガラス板または透明樹脂板等の透明板が取り付けられている。前面扉21の奥には液晶モジュール130が設置されている。この液晶モジュール130は、比較的大型(12インチ程度)の画面サイズを有した液晶表示器131と、液晶制御基板133が収納された液晶制御基板ボックス132とを備えてユニット化されている。そして、液晶表示窓24を通して、スロットマシン1の前面側から液晶表示器131の表示面を視認することが可能となっている。
前面扉21の下部分には、図柄表示窓23の下方の位置に操作部設置台が形成されている。前面扉21において、操作部設置台22は図柄表示窓23からさらに前面側に突出するように形成されており、操作部設置台22の上面にはMAXベットボタン40が設置されている。また、操作部設置台22の前面には、始動レバー41及びストップボタン42,43,44が横並びに設置されている。なお、始動レバーに代えて始動ボタンを備えた態様であってもよい。
操作部設置台22の左側部には球受入口25が形成されており、この球受入口25は上方に開口し、この開口から遊技球を受け入れ可能となっている。また、操作部設置台22の下方に位置して球受け皿26が形成されている。ホールの島設備には、スロットマシン1に隣接して球貸し機200が設置されており、球貸し機200の球放出桶201から放出された遊技球は球受入口25から受け入れ可能である。なお、球貸し機200に代えてプリペイドカードと投入するタイプの球貸し機(CRユニット)を接続することもできる。このCRユニットを接続する構成例については、スロットマシンの制御構成と合わせて後述する。
前面扉21の下部領域の内部には、球受け皿26を通じて供給される遊技球を取り込み、ゲームごとの掛け数を設定するための球取込装置30が設置されている(図1では図示しない)。また、球受け皿26には、遊技球を前後2列に整列させて球取込装置30に供給するための前後2条の球整列路28が仕切り壁28aによって区画形成されている。なお、球取込装置30や遊技球を取り込む経路の詳細については後述する。
前面扉21の前側には、図柄表示窓23及び液晶表示窓24の周囲を取り囲むようにして、装飾ランプを有するランプ基板や各種の表示ランプを有する表示基板、左右のスピーカ等が設置されている。
前面扉21の左側部分には、球受け皿26の下方の位置に球抜きボタン26bが設置されている。また、球受け皿26の底板には、前面側からみて左端近傍の位置に球抜き穴26cが形成されている。球抜き穴26cは球受け皿26の底板をある程度大きい範囲(遊技球の直径の5倍程度)に開口して形成されており、球抜き穴26cは前面扉21の奥で球抜き通路(図では視認されない)に通じている。この球抜きボタン26cを押すと球抜き穴26cが開き、遊技球を球抜き通路から排出させることができる。このとき遊技者は排出される遊技球を受け箱等で受け取ることができる。
図2は、外枠10から本体枠70を前面側へ開放した状態を示している。本体枠70は外枠10の前面側に設置され、外枠10に対して本体ヒンジ機構60を介して連結されている。そして、図2に示すように本体枠70を外枠10から前面側に片開き式に開くことができる。
本体枠70の背面側には、正面からみて本体ヒンジ機構60と反対側の右側端部に取付基板50aを介して施錠装置50が設置されている。施錠装置50は外枠10に対する本体枠70の施錠と、本体枠70に対する前面扉21の施錠を行う機能を有している。また施錠装置50はシリンダ錠51をはじめ、本体枠施錠部材54や扉施錠部材(図示されていない)、解錠部材53等を備える。シリンダ錠51は取付基板50aに組み付けられており、また本体枠施錠部材54および扉施錠部材は、いずれも取付基板50aに対して上下動可能に組み付けられている。そして解錠部材53は、シリンダ錠51の鍵孔に鍵が挿入された状態で時計回り方向および反時計回り方向(左右方向)に回動可能に組み付けられている。
外枠10の右側部には、その内側に上下で2つのストライカ56が取り付けられている。一方、本体枠施錠部材54には2つのストライカ56に対応して2つの本体枠施錠ラッチ55が形成されており、これら本体枠施錠ラッチ55は、外枠10の前側に本体枠70が閉じられると、それぞれ対応するストライカ56に噛み合って本体枠70を施錠する。なお、ホールにて管理されている専用鍵をシリンダ錠51の鍵穴に挿入して時計回り方向にひねれば、本体枠施錠ラッチ55と外枠10のストライカ56との噛み合いが外れ、本体枠70の施錠が解除された状態となる。この状態でホールの管理者が本体枠70を手前側へ引くと、そのまま本体枠70を片開き式に開くことができる。
次に図3は、本体枠70から前面扉21を開放した状態を示している。本体枠70には、外枠10の本体ヒンジ機構60とは別に扉ヒンジ機構20が装備されており、前面扉21は扉ヒンジ機構20を介して本体枠70に開閉可能に支持されている。
上記の扉施錠部材(図示しない)は本体枠70の右側縁部に内蔵されており、この扉施錠部材もまた上下で2つの扉施錠ラッチ58を有する。図3に示されているように、本体枠70から前面扉21を開放した状態で、扉施錠ラッチ58は本体枠70から前面側に突出する。一方、前面扉21の背面側には、各扉施錠ラッチ58に対応して上下2つのストライカ59が設置されており、本体枠70に対して前面扉21が閉じられると、2つの扉施錠ラッチ58がそれぞれ対応するストライカ59と噛み合って前面扉21を施錠する。
なお、本体枠70には遊技ユニット100が装着されており、遊技ユニット100には上記のリール111とともに液晶表示器131が装備されている。また本体枠70には、遊技ユニット100の下方に低音用のスピーカ195が設置されている。一方、上記の球取込装置30は前面扉21に内蔵されており、図示のように前面扉21が開放された状態では、球取込装置30の球取込用モータ35が前面扉21の背面側に突出した状態となる。
また図3中に2点鎖線で示されているように、前面扉21の背面側には連絡通路部材290が設置されており、この連絡通路部材290には、後述する賞球装置166の払出口と球受け皿26の後側開口部26aと連通し、その内部に比較的多数の遊技球を貯留可能な球貯留部兼用の連絡通路が形成されるものとなっている。また連絡通路部材290は、前面側で球受入口25の後側開口部25aと連通しており、球受入口25から投入された遊技球は、その後側開口部25aを通って連絡通路部材290内に流れ込む。これにより、球受け皿26と連絡通路部材290には、球貸し機200の球放出樋201(CR機の場合は払出装置166装置)から放出された貸し球としての遊技球と、賞球装置166から払い出された賞球としての遊技球とが貯留されるものとなっている。
図4は、スロットマシン1を背面側から示している。本体枠70の背面側には遊技ユニット装着部80が形成されており、上記の遊技ユニット100は遊技ユニット装着部80の前面側から装着されている。また、遊技ユニット装着部80の上(上方)には、球タンク161が設置されている。球タンク161はパチンコ機用(スロットマシン兼用)の島設備から供給される遊技球を受け取り、そこにある程度の量を蓄えておくことができる。球タンク161の下方にタンクレール163が接続されており、このタンクレール163は背面側からみて球タンク161の下方から右方向へ下り傾斜する球供給路を形成している。なおタンクレール163の内側には、前後方向に2条のレール通路が区画して形成されている。球タンク161やタンクレール163には、一般的なパチンコ機で使われるものをそのまま(または加工して)流用することができる。
本体枠70の背面側には、遊技ユニット装着部80の片側(背面側からみて右側端)に賞球装置166が設置されている。賞球装置166は内部に2条の球通路166aを有し、これら球通路166aはタンクレール163に形成された2条のレール通路の下流端にそれぞれ連なる。また賞球装置166は賞球用モータ167を内蔵しており、この賞球用モータ167を駆動源として球通路166a内の遊技球を払い出すことができる。払い出しは球切り部材166cを回転させることで行われ、払い出された遊技球は連絡通路部材290の連絡通路を経て球受け皿26に送出されるものとなっている。
なお、遊技ユニット100が遊技ユニット装着部80に装着された状態では、収納ボックス150の後壁151は遊技ユニット装着部80の後端とほぼ同一面となる位置で後側開口部に露出する。そして、この状態で収納ボックス150の後壁151の後側に後カバー155が装着される。後カバー155には、多数のスリット状の放熱孔が形成されており、後カバー155は遊技ユニット装着部80の上部後壁87とほぼ同一面をなして取り外し可能に装着されるものとなっている。また、収納ボックス150の下部には、払出し制御基板ボックス186及び低音用スピーカボックス175が設けられている。
(リール装置の構成)
図5は、リール装置110の構成を示している。リール装置110は3つのリール111を備え、これら3つのリールがフレーム体102の内側に収容されている。フレーム体102は、リール111を収容する部分が箱形状に形成され、その前面側は開口している。3つのリール111は、フレーム体102の内部に横方向に配列され、それぞれの回転中心軸が同一線上に位置付けられている。なお、以下では、個々のリールを取り上げていう場合には、それぞれ111a(図中で最左端のリール),111b(図中で中央のリール),111c(図中で最右端のリール)と呼び、全てのリールを含む場合にはリール111と呼称する。また、必要に応じてリール111aのことを左リール、リール111bのことを中リール、リール111cのことを右リールと呼ぶ。
リール111は、耐久性に優れる合成樹脂製あるいは軽金属製のスポークおよびリム体を有し、その周囲には図柄列が付されたリール帯が巻かれた状態で横型円筒形状をなしている。リール帯は光透過性の帯状材であり、リール帯には複数(本実施形態では14個)の図柄が1列をなして付されている。このようなリール帯が1周するように巻かれることで、各リール111の表面に図柄列が形成されている。図柄にはいくつか種類があり、例えば数字の「7」や「REPLAY」等の文字、ベル、スイカ、チェリー等を図案化したもの、あるいは、スロットマシンの機種を特徴付けるキャラクタや図形、記号等を図案化したもの等が含まれている。
リール111は、その前側の外周部分がフレーム体102の前面側に突き出るようにして露出する。このため、遊技ユニット100が本体枠70に取り付けられ、さらに前面扉21が閉じられた状態では、リール111の前側の外周部分が図柄表示窓23に望む位置関係にある。また、各リール111の内周側にはリールバックライト(図示されていない)が配置されており、このリールバックライトは対応する各リール111につき、図柄表示窓23内で上段、中段、下段に位置する図柄に背後からバックライト(透過光)をあてることで、図柄を視認しやすくしたり、目立たせたりすることができる。
また、リール装置110は、個々のリール111a,111b,111cにそれぞれ対応したリールモータ(ここでは図示されていない)を有しており、個々のリール111a,111b,111cは対応するリールモータによって回転したり、その回転を停止したりする。リールモータは、対応するリール111の内周に配置されており、この状態でフレーム体102により支持されている。
(図柄と図柄列)
各リール111a,111b,111cには、図6に示すように、複数種類(例えば、7種類)の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(例えば、配列番号1番から14番までの合計14コマの図柄の配列)が表記されたリール帯が付されている。なお、図6には、各リール111a,111b,111cに付されたそれぞれのリール帯112a,112b,112cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。
そして、各リール111a,111b,111cは、各々の図柄列中の図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が図柄表示窓23を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図7参照)。なお、図柄列中の図柄を識別するために配列番号を便宜的に記している。
また、図柄の種類は、図6に示すように、「7(赤で塗りつぶされているので、以下では赤7という)」(例えば、リール帯112aの配列番号1番等)、「菱形」(例えば、リール帯112aの配列番号2番等)、「月形」(例えば、リール帯112aの配列番号3番等)、「六角形」(例えば、リール帯112aの配列番号4番等)、「四角形」(例えば、リール帯112aの配列番号5番等)、「丸形」(例えば、リール帯112bの配列番号2番等)、「星形」(例えば、リール帯112bの配列番号3番等)の合計7種類となっている。なお、「赤7」はボーナス図柄ともいう。以下では、「赤7」を含めてその他の図柄についても上記で説明した名称(「菱形」、「月形」、「六角形」、「四角形」、「丸形」、「星形」)で統一して呼称する。
ここで、図6のリール帯の図柄列を見ると、「赤7」を除いた図柄は、ほとんど同様な模様に見える。これは、同じ楕円の中にそれぞれ異なる形(菱形、月形、六角形、四角形、丸形、星形)が描かれているが、楕円の中にはさらに全てに同じ文字「AN」が表記されているので、それぞれが異なる図柄であるということが認識しにくいものとなっている。
(図柄表示窓)
図7は、図柄表示窓23部分を拡大したところを示している。図柄表示窓23からは、各リール111a,111b,111cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を図7の上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール111aの「赤7」の表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール111bの「赤7」の表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール111cの「菱形」の表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓23内では、「段数×リールの数」分の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓23内には最大で9個の図柄を表示させることになる。
図柄表示窓23の左側端で「1」,「2」,「3」と記されているのがベットランプ201である。ベットランプの数字(上記の「1」,「2」,「3」)はそれぞれベット数(掛け数)に対応している。即ち、「1」は1ベット、「2」は2ベット、「3」は3ベット(MAXベット)に対応しているということである。ここでスロットマシン1は、ベット数の最小単位として5個の遊技球を必要とする。即ち、1ベットでは5個、2ベットでは10個、MAXベットでは15個の遊技球がそれぞれ必要となる。
ベット数に応じて有効となる並び(直線型)が決められている。この「有効となる並び」は、有効ラインとも呼ばれる。なお、以下では有効ラインと統一して呼称する。所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様は、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたと判断されるものである。即ち、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせとしては図柄表示窓23内に表示されたとしても、その図柄の組み合わせが一つの有効ライン上に並んでいなければ、所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたとは判断されないことになる。
次に、ベット数に対応する有効ラインと有効ラインの数について具体的に説明する。1ベットに対応する有効ラインは、図7の「1」ベットランプから延びている点線上の1本の直線ライン、即ち、各リールの中段位置を繋いだ「中段−中段−中段」となる並びのみである。この有効ラインのことを「1ライン」という。
2ベットに対応する有効ラインは、図7の「2」ベットランプから延びている点線上の2本の並行な直線ライン、即ち、各リールの上段位置を繋いだ「上段−上段−上段」となる並び(上段ライン)と、各リールの下段位置を繋いだ「下段−下段−下段」となる並び(下段ライン)である。この上段ラインと下段ラインの2つの有効ラインのことをまとめて「2ライン」という。さらに、2ベットの場合は前述の「1ライン」も有効ラインに加えられるので、合計で3つ有効ラインがあることになる。
3ベットに対応する有効ラインは、図7の「3」ベットランプから延びている点線上の右上がり及び右下がりの2本の斜めライン、即ち、左リールの下段位置及び中リールの中段位置及び右リールの上段位置を繋いだ「下段−中段−上段」となる右上がりの並び(右上がりライン)と、左リールの上段位置及び中リールの中段位置及び右リールの下段位置を繋いだ「上段−中段−下段」となる右下がりの並び(右下がりライン)である。この右上がりラインと右下がりラインの2つの有効ラインのことをまとめて「3ライン」という。さらに、3ベットの場合は前述の「1ライン」及び「2ライン」も有効ラインに加えられるので、合計で5つ有効ラインがあることになる。
上記は一般的なスロットマシンに代表される回胴式遊技機の有効ラインについての説明であるが、有効ラインは上記のような直線型の並びに限られることはない。以下では、本実施形態のスロットマシン1の有効ラインについて引き続き図7を用いて具体的に説明する。
本実施形態のスロットマシン1では、掛け数は3ベット(MAXベット)のみとし、有効ラインを図7の図柄表示窓23内で「赤7−赤7−赤7」が表示されているライン、即ち、左リールの上段位置及び中リールの中段位置及び右リールの上段位置を繋いだ「上段−中段−上段」となる「Vの字」型と、右リールに「月形」、中リールに「赤7」、左リールに「菱形」の表示されているライン、即ち、左リールの下段位置及び中リールの中段位置及び右リールの下段位置を繋いだ「下段−中段−下段」となる「への字」型の2つを新たに有効ラインとしている。なお、「Vの字」型のラインのことを「Vの字ライン」、「への字」型のラインのことを「への字ライン」と呼ぶ。
スロットマシン1では、上記の「Vの字ライン」及び「への字ライン」に加えて、前述の「3ライン(右上がりライン、右下がりライン)」の合計4つのラインを有効ラインとしている。従って、一般的なスロットマシンで有効ラインとして用いられている前述の「1ライン」及び「2ライン」は、本実施形態のスロットマシン1では有効ラインに含まれないことになる。
図7で、図柄表示窓23の右側端には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED(Light Emitting Diode)類が設けられている。これらのランプ類は上から、「WIN」という文字の描かれた告知ランプ211、「REPLAY」という文字の描かれたリプレイランプ212、「BET」という文字の描かれたベット指示ランプ213、「START」という文字の描かれたスタートランプ214、2つの横並びの7セグメントLEDを備えた賞球表示LED215、3つの横並びの7セグメントLEDを備えたゲーム数表示LED216と呼ばれるものである。
また、図柄表示窓23の下には4つの横並びの7セグメントLEDを備えた賞球数カウント表示LED217がある。この賞球数カウント表示LED217は、ボーナスゲーム中の賞球数の累計を表示することが可能となっており、ボーナスゲーム中が終了するまで賞球数を累計して計数表示する役割を持っている。
ベット指示ランプ213は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
スタートランプ214は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー41の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
賞球表示LED215は、ゲーム結果に伴う遊技球の払い出しがある場合に、その払い出し数(賞球数)を表示させることにより、遊技者に賞球数を知らせる役割を持っている。
ゲーム数表示LED216は、ボーナスゲーム等の特別な遊技状態に移行した場合に、ボーナス中のゲーム数を表示させることにより、遊技者がボーナスゲームの残りゲーム数等を把握し易くする役割を持っている。
リプレイランプ212は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(もう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
告知ランプ211は、ビッグボーナス等に当選していることを遊技者に知らせる役割を持っている。
(球取込装置の構成)
図8は、球取込装置30の外観を示している。上記のように、球受け皿26には前後に2条の球整列路28が形成されており、これら球整列路28に整列された遊技球(図中、参照符号B)は2列をなして球取込装置30に流れ込む。球整列路28に合わせて球取込装置30の内部には2条の取込通路32が形成されており、球取込装置30に流れ込んだ遊技球は、2条の取込通路32を通じてスロットマシン1に取り込まれるものとなっている。
(球案内路,球案内路区画部材)
球取込装置30は2つのケース体31を有し、これらケース体31はいずれも薄肉のシェル構造をなしている。2つのケース体31は、互いに前後方向に重ね合わせられるようにして配置され、この状態で、ケース体31の内側の空間に上記の取込通路32が形成されている。さらに2つのケース体31はいずれも透明度の高い合成樹脂材料から成形されており、それゆえ球取込装置30の外側から取込通路32内にある遊技球や球取込装置30の機構部品類を視認することが可能となっている。
球取込装置30は、2つのケース体31のほかにスプロケット状の取込動作体(球搬送体)33を有する。取込動作体33は、2条の取込通路32に合わせてケース体31ごとに設置されており、各取込通路32内に整列した遊技球は、対応する取込動作体33の回転に伴ってスロットマシン1に取り込まれる。2つの取込動作体33は各ケース体31の内側に収容され、この状態で回転自在に支持されている。また、球取込装置30は球取込用モータ35を有しており、2つの取込動作体33は球取込用モータ35によって同時に回転または停止する。
また、球取込装置30は2つの投入計数スイッチ36を有しており、これら投入計数スイッチ36は各取込通路32の終端位置に配置されている。取込動作体33の回転に伴って取り込まれた遊技球は、ケース体31から排出される際に投入計数スイッチ36によってその通過を検出される。
さらに、球取込装置30には通路開閉部材39が内蔵されており、この通路開閉部材39はケース体31の内側にて左右方向にスライド自在に支持されている。なお、通路開閉部材39には連動部39aが一体的に形成されており、この連動部39aは手前側のケース体31から突出している。連動部39aには、左右方向へスライド可能な精算レバー30c(図1,図2参照)が接続されるものとなっており、遊技者が精算レバー30cを左方向へスライド操作すると、これに連動して通路開閉部材39が左方向スライドするものとなっている。
また球取込装置30内には、2条の取込通路32のそれぞれに対応して球抜き通路37が形成されている。精算レバー30cの操作に連動して上記の通路開閉部材39が左方向へスライドすると、取込動作体33に至る手前で取込通路32の一部が底抜けに開放され、そこから遊技球が自重により流下する。流下した遊技球は球抜き通路37を通り、さらに球受け皿26の下方から排出される。
図9(a)は、取込動作体33による遊技球の取込動作を具体的に示している。先ず、手前側の取込通路32については、案内壁34が取込動作体33の右側方を通過し、斜め右下方まで回り込むようにして形成されている。このため、ポケット部内に受け入れられた遊技球が取込動作体33の回転に伴い移送される際、ポケット部が取込動作体33の右側方の位置(鉛直上方から時計回りに90°の位置)を通過してもなお、遊技球は案内壁34に支えられているため落下しない。この後、ポケット部が取込動作体33の斜め右下方の位置R1(鉛直上方から時計回りに約150°の位置)に到達すると、この位置R1の近傍では案内壁34が取込動作体33の外周から離れているため、図中に矢印で示されるように遊技球は支えを失ってポケット部から落下する。
ここでいう「ポケット部」とは、取込動作体33の周方向に等間隔に形成されている6つの凹部のことである。これらポケット部は出力軸35aの軸線方向でみて断面U字形状(または半円形状)をなし、かつ取込動作体33の回転中心から放射状(60°ごと)に配置されている。さらに、これら6つのポケット部の配列は出力軸35aの軸線方向に重なり合って2列に形成されている。
一方、奥側の取込通路32については、図9(a)中に破線で示されているように案内壁34が取込動作体33の右側方の位置から鉛直下方に延びるようにして形成されている。このため、上記の位置R1よりも右上方の位置R2(鉛直上方から時計回りに約120°の位置)にポケット部が到達すると、この位置R2で遊技球は案内壁34の支えを失い、図中に破線の矢印で示されるようにポケット部から落下する。
このように、本実施形態では手前側と奥側とでポケット部の位置(周方向でみた角度)が相互に合致しているが、ポケット部から遊技球を放出する位置が周方向にずれているため、手前側と奥側とで交互に1個ずつ遊技球を取り込むことができる。また本実施形態では、取込動作体33がポケット部から遊技球を放出する2つの位置R1,R2の間の角度がちょうど30°に設定されている。このため取込動作体33は、30°回転するごとに1個ずつ遊技球を取り込み、1回転(=360°)で合計12個の遊技球を取り込むことができる構造となっている。
遊技球を取り込む際の取込動作体33の動作を含めた取込装置30についての説明については、図9(a)で説明したとおりである。一方、図9(b)では、遊技球を精算する際の取込動作体33の動作について具体的に示している。スロットマシン1では、遊技者がゲームを終了しようとする場合、精算レバー30cをスライドさせることで球受け皿26に残った遊技球を排出するとともに、合わせて球取込装置30内に残存する遊技球を球抜き通路37から排出することができる。
上記のように遊技者が精算レバー30cをスライドさせると、通路開閉部材39が初期位置から移動して取込通路32が底抜けに開放した状態となる。これにより、球受け皿26に残存する遊技球が取込通路32を通り、そして球抜き通路37から排出される。このとき、取込動作体33は取り込みの際とは反対の方向(反時計周り方向)に回転する(つまり、逆回転する)。そして、取込動作体33のポケット部に受け入れられた遊技球が球抜き通路37から排出されることになる。なお、このとき、取込動作体33の逆回転によりポケット部に受け入れられた遊技球は投入計数スイッチ36を通過することとなる位置(正回転する際に遊技球がポケット部から落下する位置)に到達する前に必ず球抜き通路37に排出される。従って、遊技者が精算をする際に遊技球がポケット部に残留したままということが回避される。
(制御系統の構成)
図10は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。
本実施形態のように遊技球を用いるスロットマシン1では、各構成要素については本体枠70または前面扉21(総称して「枠側」)に付属する構成要素と、遊技ユニット100に付属する構成要素とに大きく分かれる。すなわち、遊技ユニット100には主制御基板121や周辺制御基板126、リール装置110が主に付属している。これら構成要素は、特にリール装置110の有する図柄配列や主制御基板121の制御プログラムに基づいてスロットマシン1のゲーム性を決定づけるものであり、また周辺制御基板126は、その制御プログラムに基づいて演出動作の内容を決定づけている。
一方、本体枠70には、球取込装置30や賞球装置166等の動作機構が付属し、さらに賞球装置166の動作を制御する払出制御基板187や電源系統を構成する電源基板182、分電基板310等が付属している。また前面扉21には、上記のMAXベットボタン40や始動レバー41等の操作部材のほか、左右のスピーカ27や低音スピーカ195、LED装飾312等が付属している。以下、各構成要素について説明する。
(主制御基板)
主制御基板121は、スロットマシン1の遊技の進行を統括的に制御するためのものである。主制御基板121には、CPUやROM、RAM等(例えばROM・RAM内蔵型CPU)の電子部品が実装されている。主制御基板121は主に遊技者の利益に関わる内部抽選を行い、その抽選結果に基づいて各リール111の停止位置を制御する機能を有する。
リール装置110はリール分配基板110cを内蔵し、このリール分配基板110cを介して主制御基板121との通信を行う。上記のようにリール装置110は左・中・右の3つのリール111に対応して3つのリールモータ110aを備え、これら3つのリールモータ110aはそれぞれ対応するリール中継基板110bを介してリール分配基板110cに接続されている。リールモータ110aはステッピングモータからなり、それゆえ主制御基板121からは、各リールモータ110aの駆動(回転または停止)を制御するための駆動パルス信号が個別に出力される。駆動パルス信号はリール分配基板110cにて制御対象となる左・中・右のリール中継基板110bに分配されている。
またリール装置110は、各リール111の回転に関する基準位置を検出するため図示しないリール位置センサを有しており、これらリール位置センサからの検出信号(基準位置信号)がリール分配基板110cを通じて主制御基板121に入力されている。主制御基板121はこの検出信号に基づいて各リール111の回転に関する位置(いずれの図柄が図柄表示窓23内のどの位置に存在しているか)を割り出し、その停止時にいずれの図柄を有効ライン上に停止させるかの制御、つまりリール制御を実行することができる。
遊技ユニット100には設定基板314が装備されており、この設定基板314はスロットマシン1における設定を変更する際に設定変更許可信号や設定変更信号等を主制御基板121に送信する。設定の変更は、スロットマシン1の出玉率(投入数に対する払出数の割合)を段階的に変更するためのものであり、通常、設定1(設定値が1)で最も低い出玉率となり、設定6(設定値が6)で最も高い出玉率となる。なお、このような設定の変更は遊技場の責任者によって行われる。また、スロットマシン1の設定そのものは、メダルを用いるスロットマシンと同じ性質のものである。
(周辺制御基板)
周辺制御基板126は、CPUやROM、RAM、オーディオアンプ、音源IC等を備えており、周辺制御基板126は、主制御基板121から送信される指令信号に基づいて、液晶モジュール130による画像の表示や、左右のスピーカ27および低音スピーカ195の作動を制御するほか、LED装飾312の点灯または点滅を制御している。さらに周辺制御基板126は、主制御基板121から送信される指令信号(例えば、遊技球の取り込みに伴うベット操作音コマンド、払出音コマンド等)を受け取って、液晶モジュール130やスピーカ27,195、LED装飾312の制御を実行することもできる。
なお、液晶モジュール130の具体的な表示動作は液晶制御基板133により制御されており、液晶制御基板133にはVDP(Video Display Processor)や各種の画像データを格納したROM等が装備されている。また液晶制御基板133にはインバータ基板133aが接続されており、インバータ基板133aは液晶モジュール130のバックライトを制御している。
また、各リール111の内周側にはLEDを有するバックライト基板111aが配置されており、このバックライト基板111aは対応する各リール111につき、図柄表示窓23内で上段、中段、下段に位置する図柄に背後からバックライト(透過光)をあてることで、図柄を点灯表示させることができる。3つのバックライト基板111aは、それぞれバックライト中継基板111bを介してバックライト分配基板111cに接続されており、バックライト分配基板111cには、周辺制御基板126から左・中・右の制御対象となるバックライト基板111aに対する点灯信号が送信される。バックライト分配基板111cは、受け取った点灯信号を対象のバックライト中継基板111bに分配している。
(遊技ユニットと本体枠との接続)
遊技ユニット100と本体枠70との接続は、遊技ユニット100に装備されているメイン中継端子板140の他に周辺中継端子板316によっても行われる。このメイン中継端子板140は主制御基板121に接続されており、また周辺中継端子板316は周辺制御基板126に接続されている。
一方、本体枠70(または前面扉21)には操作中継基板318や扉装飾駆動基板320、外部情報払出中継基板322が設けられている。上記のMAXベットボタン40や始動レバー41、3つのストップボタン42,43,44等の操作部材は操作中継基板318を介してメイン中継端子板140に接続されている。これら操作部材は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、その操作信号を主制御基板121に出力する。また、左右のスピーカ27や低音スピーカ195、LED装飾312等は扉装飾駆動基板320を介して周辺中継端子板316に接続されている。
本実施形態では、球取込装置30に駆動基板30aが内蔵されており、この駆動基板30aが操作中継基板318を介してメイン中継端子板140に接続されている。また、上記の投入計数スイッチ36や投入球有無検出スイッチ300、精算レバースイッチ30bそして球取込用モータ35はいずれも駆動基板30aを介して操作中継基板318に接続されている。
その他に操作中継基板318に接続される構成要素として、本体ドアスイッチ324およびパネルドアスイッチ326がある。本体ドアスイッチ324は、本体枠70の開閉状態を検出し、その検出信号を出力する。またパネルドアスイッチ326は前面扉21の開閉状態を検出し、その検出信号を出力する。これら検出信号は、操作中継基板318からメイン中継端子板140を通じて主制御基板121に入力される。
また、操作中継基板318に接続される構成要素として機能表示基板328がある。機能表示基板328は前面扉21に設置されており、図柄表示窓23の周囲にてゲームの進行に伴う各種の情報を表示する機能を有する。機能表示基板328は、毎回のゲームで遊技球の掛け数(ベット数)を表示したり(ベットランプ201)、始動レバー41の操作やベット操作の可否を表示したり(ベット指示ランプ213、スタートランプ214)、ゲーム結果に伴う払い出しがある場合はその払い出し数を表示したり(賞球表示LED215、賞球数カウント表示LED217)、ボーナスゲーム等の特別な遊技状態に移行した場合はボーナス中を表示したりする(告知ランプ211、ゲーム数表示LED216)。
あるいは、スロットマシン1にエラー状態が発生すると、機能表示基板328は所定の表示部にてエラー表示を行うことができる(ゲーム数表示LED216または賞球表示LED215)。主制御基板121は遊技の進行を制御する過程で、機能表示基板328を通じてLEDの点灯表示や7セグメントLEDによる数値表示を制御し、各種情報を表示させることができる。
(払出制御基板)
払出制御基板187は、外部情報払出中継基板322を介して遊技ユニット100に接続されている。上記の賞球装置166は賞球ケース内基板166aを内蔵し、この賞球ケース内基板166aが払出制御基板187に接続されている。また賞球装置166は、賞球用モータ167をはじめ、払出計数スイッチ166bおよび球切れスイッチ166cを内蔵し、これらは賞球ケース内基板166aを介して払出制御基板187に接続されている。なお賞球装置166内には2条の賞球通路が形成されていることから、払出計数スイッチ166bおよび球切れスイッチ166cは賞球通路に対応して2つずつ装備されている。
払出制御基板187と主制御基板121との間では、メイン中継端子板140および外部情報払出中継基板322を介して双方向に通信が行われる。例えば、ゲームの結果に基づき遊技球の払い出しが必要であれば、主制御基板121から規定数分の賞球コマンドが払出制御基板187に送信され、そして払出制御基板187は、受け取った賞球コマンドに対してACK信号を主制御基板121に返信する。なお、このような通信は一般的なパチンコ機の主基板と払出制御基板との間で行われているものと同じである。
前面扉21の奥に位置する連結通路部材290には満タンスイッチ340が設けられている。連結通路部材290内にて遊技球が満杯になると、満タンスイッチ340から満タンスイッチ信号が出力される。払出制御基板187は満タンスイッチ信号を受け取ると、賞球残数があっても払出動作を停止させる制御を行うことができる。
さらに払出制御基板187には、遊技球等貸出装置接続端子板342を介してCRユニット344が接続可能となっている。なお、先の例では現金による球貸し機200を例示していたが、図8の構成においては、プリペイドカード方式によるCRユニット344を例に挙げている。CRユニット344に対応するスロットマシンにおいては、遊技者がCRユニット344にプリペイドカードを挿入し、そこに記録された貸し出し可能度数の範囲内で球貸し操作を行うと、規定個数の遊技球が貸し球として賞球装置166から払い出されるものとなっている。この場合、スロットマシン1の前面扉21には度数表示基板346が設置されており、度数表示基板346は遊技球等貸出装置接続端子板342を介してCRユニット344との間で通信可能となっている。度数表示基板346には、CRユニット344にて読みとられたプリペイドカードの残り度数等の情報が数値表示される。なお、CRユニット344については一般的なパチンコ機で用いられているものをそのまま適用可能である。
(共通外部端子板)
その他、主制御基板121にはメイン中継端子板140および外部情報払出中継基板322を介して共通外部端子板348が接続されており、スロットマシンはこの共通外部端子板348を通じてホールコンピュータ(遊技場にて管理されるコンピュータ)に接続される。共通外部端子板348は、遊技球の出入信号(球取込信号や賞球払出信号)のほか、主制御基板121から送信される各種信号(BBゲーム中等を表す遊技ステータス)をホールコンピュータに中継している。なお、「BB」はビッグボーナスの略号のことをいう。
(電源基板)
上記の電源基板182は分電基板310を通じて外部電源(例えばAC24V)から電力を取り込み、スロットマシン1の作動に必要な電力(例えばDC24V,12V)を生成する。本実施形態では、電源基板182から払出制御基板187に電力が供給され、そこからさらに遊技ユニット100やその他の機構要素への電力が順次橋渡しされるようにして供給されている。
以上がスロットマシン1の構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者が遊技球の掛け数を決定した状態で始動レバー41を操作するとリール111が回転し、この後、遊技者がストップボタン42,43,44を操作すると、左・中・右の対応するリール111が停止制御され、そして、全てのリール111が停止すると、有効ライン上での図柄の組み合わせ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数の遊技球が付与される。
(当選役と図柄の組み合わせ態様)
ここで、スロットマシン1の当選役と、それに対応する図柄の組み合わせ態様について具体的に説明をする。図11は、スロットマシン1の各当選役と対応する図柄の組み合わせ態様及びその遊技特典を示したものである。
リール帯の図柄列については既に説明したとおりであるが、個々のリール111a,111b,111cにはそれぞれリール帯112a,112b,112cが付されている。リール帯ごとに図柄の順番(列の順序)はそれぞれ異なった順番になっており、例えば、複数の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が重複して図柄表示窓23内に表示されることの無いものとなっている。
そして、全てのリール111を停止させた際に図柄表示窓23内に表示される表示内容から所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓23内で前述の有効ライン(3ライン〔右上がり及び右下がり〕、Vの字ライン、への字ライン)のうちのいずれか1つに所定の当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか否かが判断される。
以下では、当選役に対応する図柄の組み合わせ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、当選役図柄(当選役に対応する図柄の組み合わせ)が揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7」、「菱形」、「月形」、「六角形」、「四角形」、「丸形」、「星型」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールが停止した状態を含めた状態で遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。即ち、「赤7」は、リールの停止に加えて、リールの回転中もその色が赤であり、他の図柄(他の図柄は水色)に比べて視認し易いため(リール回転中でも、水色のなかに赤い色を見つけることは容易である)、目押しをする際の目標の図柄にすることが容易である。また、それぞれのリール帯の図柄列で「赤7」が一つずつしかないことからも、赤い色をリールの回転中に目立たせることが可能である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組み合わせとなることにより当選役に対応する図柄の組み合わせとなるものである。具体的に図11に示された各当選役に対応する所定の図柄の組み合わせ態様について説明する。
(ビッグボーナス:特別当選役)
ビッグボーナス(省略してBB、以下ではBBと呼称する)は、図11で、BBと示されているものが該当する。BBには対応する図柄の組み合わせ態様として「赤7−赤7−赤7」が予め決められている。
BB図柄(特別当選役図柄)が揃うと、ビッグボーナスゲーム(省略してBBゲーム)という遊技特典が付与される。このBBゲームでは、遊技球の獲得が容易な複数回にわたるゲームが集中して行われることになる。これは、規定個数の賞球(例えば、1650個)を遊技者に払い出すまで継続して実行される。規定個数分の賞球の払い出しが終了すると(規定個数を超えた場合も含む)、BBゲームは終了となる。この規定個数(賞球数)は最終的に遊技者が獲得することのできる遊技球の数である。つまり、BBゲームの終了した時点で遊技者の手元に残る遊技球の総数のことである。
また、スロットマシン1では、BB図柄が揃った際に、賞球は付与されない。従って、BB図柄が揃うことはBBゲームへ移行させるための契機としての役割を持っていることになる。そして、BB図柄はそれぞれのリールの図柄列上で配置される数が他の図柄に比べて相対的に少ない(各リールごとに1つ)となっており(図6参照)、BB図柄を揃えるためにはBB図柄を図柄表示窓23内に正確に狙って停止操作(ストップボタンを押す操作)をする必要がある。このように目的の図柄を狙って停止操作を行うことは、いわゆる「目押し」と呼ばれるスロットマシン1に代表される回胴式遊技機における技量の一つである。
よって、「目押し」の技量が高ければ(主に遊技に熟練した遊技者)、目的の図柄を狙った位置(例えば、図柄表示窓23内)に表示させる(あるいは停止させる)停止操作が可能となり、「目押し」の技量が低ければ(熟練度が低いこと、遊技に未熟な遊技者)、目的の図柄を狙った位置に表示(停止)させることが難しいこととなる。
(シングルボーナス)
シングルボーナス(省略してSB、以下ではSBと呼称する)は、図11で、SBと示されているものが該当する。SBには対応する図柄の組み合わせ態様として「六角形−星形−六角形」が予め決められている。
SB図柄が揃うと、シングルボーナスゲーム(省略してSBゲーム)という遊技特典が付与される。このSBゲームでは、次回の遊技のみ特定の当選役について高確率で当選することのできる特典が与えられる。そして次回の遊技が終了するとSBゲームは終了する。つまり、SBゲームは、SB図柄が揃ったゲームと、その次回のゲームの2回にわたり行われるゲームということになる。
また、SB図柄が揃った際にもBB図柄が揃ったときと同様に賞球は付与されない。つまり、SB図柄が揃うことはSBゲームへ移行するための契機ということになる。なお、SB図柄を成すそれぞれの図柄(「六角形」、「星形」)はそれぞれのリール配列上でそれぞれ満遍なく付されているため、BB図柄と異なり、「目押し」が不要となっている。この「目押し」が不要なことと図柄が満遍なく付されていることとの関係等については後述するリール停止処理において詳細に説明をする。
(リプレイ)
リプレイは、図11で、リプレイ1及びリプレイ2と示されているのもが該当する。リプレイには対応する図柄の組み合わせ態様として「月形−丸形−月形」がリプレイ1に対応し、「六角形−丸形−六角形」がリプレイ2に対応するものとしてそれぞれ予め決められている。なお、以下ではリプレイという場合には、リプレイ1及びリプレイ2を含むものとする。
リプレイ図柄が揃うと、リプレイゲームという遊技特典が付与される。このリプレイゲームでは、改めて遊技球を掛けることなく(ベットすることなく)次回のゲームを実行できる特典が与えられる。これは、再遊技とも呼ばれるものである。また、再遊技の際には、リプレイ図柄が揃ったときと同じ条件(ベット数及び有効ライン)のもとで次回のゲームが実行されることになる。つまり、ベット数も有効ラインの数もリプレイ図柄が揃った際のゲームと同じということである。
そして、リプレイ図柄が揃った際には賞球は付与されない。その代わりに次回のゲームに改めて遊技球をベットする必要のない遊技特典が付与される。このようにリプレイ図柄が揃うと、次回の遊技に新たに遊技球をベットする必要が無いことより、リプレイは1回分のベット数(15個)で2回の遊技ができる当選役であるともいえる。
従って、リプレイ図柄が揃うことが多くなれば、その分だけ遊技者が改めて遊技球をベットする頻度が減少することになる。またリプレイ図柄を成すそれぞれの図柄(「月形」、「丸形」、「六角形」)についてもそれぞれのリール配列上でそれぞれ満遍なく付されているので「目押し」が不要となっている。この「目押し」が不要なことと図柄が満遍なく付されていることとの関係等については後述するリール停止処理において詳細に説明をする。
(小役)
小役は、図11で、小役1及び小役2と示されているものが該当する。小役には対応する図柄の組み合わせ態様として「月形−星形−月形」が小役1に対応し、「菱形−星形−菱形」が小役2に対応するものとしてそれぞれ予め決められている。なお、以下では小役という場合には、小役1及び小役2を含むものとする。
小役図柄が揃うと、小役に対応する規定数の賞球が付与される。この規定数は、例えば、小役1では30個、小役2では30個と予め決められているものである。つまり、小役では賞球の付与という遊技特典が与えられることになる。そして、規定数の賞球が払い出されると小役の遊技特典が終了することになる。つまり、小役の遊技特典は1回のゲーム(当該ゲーム)で終了するものである。また、小役図柄を成すそれぞれの図柄(「月形」、「星形」、「菱形」)についてもそれぞれのリール配列上でそれぞれ満遍なく付されているため「目押し」が不要となっている。この「目押し」が不要なことと図柄が満遍なく付されていることとの関係等については後述するリール停止処理において詳細に説明をする。
(稀有小役)
稀有小役は、図11で、稀有小役と示されているものが該当する。稀有小役には対応する図柄の組み合わせ態様として「菱形−赤7−菱形」が予め決められている。
稀有小役が揃うと、稀有小役に対応する規定数の賞球が付与される。この規定数は、例えば、1個と予め決められているものである。つまり、稀有小役では小役の遊技特典と同様に賞球の付与という遊技特典が与えられることになる。そして、規定数の賞球が払い出されると稀有小役の遊技特典が終了することになる。つまり、稀有小役の遊技特典も小役と同様に、1回のゲーム(当該ゲーム)で終了するものである。但し、稀有小役図柄を成すそれぞれの図柄(「菱形」、「赤7」)のうち、「赤7」についてはリール配列上1個のみの配置となっているため「目押し」が必要となる。
また、稀有小役の賞球としては、1個の賞球しか払い出されない。この1個とは、前述したメダル1枚に相当する個数(5個)に満たない個数である。この5個をベット数(掛け数)の最小単位とすれば、稀有小役は、最小単位に満たない個数の賞球が付与される当選役であるということもできる。
(ハズレ)
ハズレは、図11で、いずれの当選役にも該当しないもののことをいう。そして、ハズレとなった当該ゲームでは賞球等は何も付与されずに当該ゲーム1回で終了となる。また、ハズレは何の遊技特典も付与しない当選役と言い換えることもできる。
スロットマシン1の図柄のうち、「四角形」は、上記のいずれかの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様には含まれない図柄である。つまり、「四角形」を含む図柄の組み合わせ態様となった際には、ハズレに該当することとなる。このような図柄(「四角形」)は、いわゆる「ハズレ図柄」と呼ばれる図柄であり、「四角形」が含まれた図柄の組み合わせ態様「四角形−ANY−ANY」、「ANY−ANY−四角形」、「四角形−ANY−四角形」はハズレに対応する図柄の組み合わせ態様ということになる。なお、これらの組み合わせ中の「ANY」とはどの図柄でもよいということを指す。
また、ハズレに対応する図柄の組み合わせ態様には、「四角形」を含む組み合わせ以外に、上記の当選役(BB、SB、リプレイ、小役、稀有小役)図柄が揃わなかった場合の図柄の組み合わせ態様も含まれる。なお、以下では、ハズレに対応する図柄の組み合わせ態様が表示された場合のことを、ハズレ図柄が揃う、あるいはハズレ図柄が揃った、という。
但し、スロットマシン1では複数の有効ラインを設けているため、ある一つの有効ライン上でハズレ図柄が揃っていても、他の有効ライン上では当選役図柄が揃うことがある。このような場合には、ハズレとはならず、揃っている当選役図柄に対応する当選役の遊技特典が付与されることになる。つまり、ハズレとなるのは、いずれの有効ライン上にも当選役図柄が揃わなかった場合のことをいう。
以上がスロットマシン1における当選役及び対応する図柄の組み合わせ態様である。これらの図柄は上記で説明した図柄に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、主制御基板121のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。なお、図中のSは制御のステップを示す。
図12は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずS1においては、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
S2では、球受け皿26に載置された遊技球を用いた掛け数の決定待ちの状態であり、掛け数が決定され、始動レバー41を押下する操作が受け付けられた時点で掛け数を確定するBET処理を実行する。具体的には、MAXベットボタン40の押下操作により取込及び払出制御基板187に対して取込制御コマンドを送信し、取込完了コマンドを受け取ることで掛け数が決定される。ここで掛け数が決定された時点で始動レバー41の押下操作が受付可能状態となる。なお、本実施形態のスロットマシン1では掛け数を決定するためのボタンをMAXベットボタンのみとしているが、別に1BETボタン、2BETボタンを設けることとしてもよい。
S3では、S2における始動レバー41の押下操作によるゲームスタートに伴い、いずれかの当選役を許容するか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、全てのリール111が停止される前の段階において、いずれかの当選役として許容するか否かを決定するために実行されるものである。即ち、この抽選により当選したいずれかの当選役に該当する内部抽選フラグが決定された場合に限りその当選役が許容されるのである。
S4では、S3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール111を回転させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール111が回転をした時点でストップボタン42,43,44の押下操作を有効とし、ストップボタンが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリールの回転が開始されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプはストップボタン42,43,44にそれぞれ内蔵されるランプである。従って、ストップボタンの操作が有効となると、ストップボタンがそれぞれ点灯することとなる。
S5では、遊技者によるストップボタン42,43,44の押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール111a,111b,111cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
S6では、S5において全てのリール111の回転が停止されたと判定した時点で、図柄表示窓23内に表示された表示内容と、S3において決定された内部抽選フラグとの内容とを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行するとともに、当選役に対応する各種遊技特典の付与を実行する。この各種遊技特典の内容としては、例えば、賞球の付与、遊技状態の変更、再遊技等がある。
S7では、S6において判定された当選役に対応する特典内容に基づく払出処理を実行する。具体的には、当選役に対応する賞球数の払出しを指示する払出制御コマンド及び払出制御基板187への送信や、遊技状態の変更を行う処理等を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。これらの処理のうち、電源投入直後にはS1の初期設定が実行されてS2からS7の処理が行われことになるが、その後はS2以降の処理が順に繰り返されることになる。ここで、S2(BET処理)及びS3(内部抽選処理)及びS4(リール回転処理)は、一連の操作として行われるものである。これらの処理(S2、S3、S4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
(始動処理)
図13は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。なお、図中における点線で囲まれた部分は、それぞれの処理(前述のS2、S3、S4)が該当する部分を示している。
始動処理で始めに実行されるBET処理を示しているのが破線部分S2である。BET処理では、先ずMAXベットボタン40の押下操作の検出の有無が確認される(S101)。ここで、遊技者によりMAXベットボタン40が押されたことが検出された際に、主制御基板121と球取込装置30とでデータの送受信が行われ、それに伴って遊技球の取込みが実行される(取込処理、S102)。
S102の取込処理では、MAXベットボタンの押下操作が検出された場合に、主制御基板121から該当する掛け数を決定するのに必要な球数の取込を指示する旨の取込制御コマンドを球取込装置30内の駆動基板30aに対して送信する。これに基づき球取込装置30内の駆動基板30aでは、指示された取込球数分の取込処理を実行する。具体的には、球取込装置30に対して取込指示信号を出力し、指示された取込球数分の遊技球の取り込みを実行させるとともに、球取込装置30から出力される取込球検出信号により、指示した球数分の遊技球の取り込みが確認された時点で、取込完了コマンドを主制御基板121に対して返信する。また、これに伴い、取込球数を示す球IN信号の外部出力制御を行う(これにより、ベット指示ランプ213が消灯し、ベットランプ201が全て点灯することになる)。一方、取込完了コマンドの返信を受けた主制御基板121では、取り込みが正常に行なわれたことを確認し、該当する掛け数を決定する。
取込処理が終了すると、始動レバー41の操作が有効化される(S103)。始動レバー41の操作が有効化されると、始動レバー41の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となる(つまり、遊技者の始動操作待ち状態となる)。ここまでが、BET処理(前述のS2)に該当する処理の内容である。なお、リプレイとなった直後のゲーム(つまり、再遊技でのゲーム)では、新たにベットを必要としないのでS101及びS102は実行されずにS103で始動レバーが有効化されて以降の処理へと進むことになる。
本実施形態のスロットマシン1では、該当する掛け数(MAXベット)に必要な遊技球の個数としては遊技状態に関わらず15個と予め決められている。ここでいう「遊技状態」には、BBゲームや通常のゲーム等が含まれる。即ち、BBゲームや通常のゲーム等を通じて、スロットマシン1で1回のゲームを行うためには常に15個の遊技球を必要とすることになる。なお、遊技球15個という掛け数は、メダル(またはコインなど)の遊技媒体を用いる回胴式遊技機ではメダル(またはコイン)3枚分の掛け数に相当する数である(遊技球5個がメダル1枚分に相当する)。
始動処理にて、BET処理に次いで実行される内部抽選処理(前述のS3)を示しているのが一点鎖線部分S3である。始動レバーの操作が有効化された後、始動レバー41の操作が受け付けられると、S104の判断が肯定(Yes)されて、次に始動レバーの操作が無効化される(S105)。始動レバーの操作が無効化されると、その後に始動レバーが操作されてもその操作は受け付けられない状態となる。
始動レバー41の操作が受け付けられると、これを契機として乱数の抽出が行われる(S106)。このとき抽出された乱数値のことを抽出乱数値という。なお、始動レバー41の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設けることができる。
S106で抽出された乱数値から、その抽出乱数値がいずれかの当選役に対応する乱数値に該当するか否かが判断される(S107、フラグ処理)。つまり、S104の始動操作を契機としてS106で乱数値が抽出され、その抽出された乱数値がいずれかの当選役に該当する乱数値であるか否かが照合される(S107)までの一連の処理が内部抽選処理(前述のS3)に該当することになる。そして、この内部抽選処理で行われる乱数の抽出から照合までが内部抽選と呼ばれる。
この内部抽選の結果(乱数値の照合の結果)が内部抽選フラグということになる。そして内部抽選フラグは、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
また、内部抽選フラグには、BB、SB、リプレイ1、リプレイ2、小役1、小役2、稀有小役、ハズレのいずれかが該当する。つまり、内部抽選の結果は漏れなく内部抽選の結果の情報コマンド(内部抽選フラグ)として処理されることになる。
本実施形態のスロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを乱数範囲という)が予め決められている。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、214=16384個の乱数)と決めることができる。
この抽出範囲内で、それぞれの当選役について乱数値が割り当てられることになる。例えば、抽出範囲(0から16383)内の乱数値のうち、BBに対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選フラグがBBに該当することとなる。そして、これよりBBの当選確率を算出することができる。この場合には、
〔 BBに対応する乱数値の総個数/抽出範囲の乱数値の総個数 〕
が、1/16384となり、BBの当選確率は1/16384であるということができる。
上記のBBに対応する乱数値のことは当たり値(BBの当たり値)と呼ばれる。そして当たり値が連続した複数の乱数値として割り当てられる場合、これらをまとめて当たり値の範囲と呼ぶ。例えば、BBの当たり値を連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とする場合、BBの当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると照合されると、内部抽選フラグはBBに該当するということになる。
このように全ての当選役はその当たり値の範囲が決められており、内部抽選では抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが照合されることになる。このとき、いずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレに該当することとなる。言い換えれば、ハズレの当たり値の範囲は、当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
以上のことから、S107のフラグ処理では、抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判断(照合)されることになる。このとき、いずれかの当選役の当たり値の範囲に該当すると判断された場合、その該当する当選役に対応する内部抽選フラグがONにされるとともに、主制御基板121から内部抽選フラグコマンドが周辺制御基板126に送信される。
また、いずれの当選役にも当選しなかったと判断された場合、ハズレの当たり値の範囲に該当することになり、ハズレの内部抽選フラグがONにされるとともに、主制御基板121から内部抽選コマンドが周辺制御基板126に送信される。
始動処理にて、内部抽選処理に次いで実行されるリール回転処理(前述のS4)を示しているのが二点鎖線部分S4である。内部抽選処理が行われると、リールを回転させるための処理が実行される。ここで、リールを回転させる前にタイマカウントが終了しているかが判断される(S108)。このタイマは、ウェイトタイマとも呼ばれ、当該遊技でのリールの回転時から次回の遊技でのリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)が経過したかを計測するものである。つまり、前回のリール回転時から所定時間が経過している場合はS108の判断が肯定(Yes)され、所定時間が経過するまではS108の処理をループすることになる。
タイマカウントが終了していると判断されると(S108=Yes)、全てのリールの回転が開始される。このとき同時にタイマカウントも開始される。全てのリールの回転の速さが一定となると、それぞれのストップボタン42,43,44の操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はストップボタンの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
また、スロットマシン1では、リール回転処理で回転を開始したリールは遊技者による停止操作(ストップボタンの押下操作)が受け付けられるまで回転を維持し続けることになる。
(内部抽選確率)
スロットマシン1の内部抽選処理において行われる内部抽選の確率(内部抽選確率)について、図14を参照しながら説明をする。図14(a)では、各当選役及びハズレの当たり値の範囲(乱数値の範囲)が具体的に示されている。抽出範囲(0から16383まで)において、0から49まで(乱数値の数は50個)はBB、50から2749まで(乱数値の数は2700個)は小役1、2750(乱数値の数は1個)は稀有小役、2751から4994まで(乱数値の数は2244個)はリプレイ1、4995(乱数値の数は1個)は小役2、4996(乱数値の数は1個)はリプレイ2、4997から5096まで(乱数値の数は100個)はSB、5097から16383(乱数値の数は11287個)はハズレと、それぞれに対応する当たり値が振り分けられている。
なおスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を0から16383まで(214=16384個の乱数値)としているが、0から32767まで(215=32768個の乱数値)や、0から65535まで(216=65536個の乱数値)をとるものとしてもよい。乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
内部抽選処理では、抽出乱数値がこれらの当たり値の範囲〔図14(a)〕のうち、いずれに該当するかが判断(照合)されることになる。また、図14からは各当選役の内部抽選確率(あるいは当選確率ともいう)を算出することができる。各当選役の内部抽選確率は、
赤7 50/16384(1/327.680)
SB 100/16384(1/163.840)
小役1 2700/16384( 1/6.068)
小役2 1/16384
稀有小役 1/16384
リプレイ1 2244/16384( 1/7.301)
リプレイ2 1/16384
ハズレ 11287/16384( 1/1.452)
ということになる。
(共有当たり値)
BBの当たり値(0から49までの乱数値)はさらに複数の区分に分けられている。BBの当たり値の区分は、
BB+リプレイ1 0から1まで(乱数値の数は2個)
BB+小役1 2から9まで(乱数値の数は8個)
BB+リプレイ2 10から11まで(乱数値の数は2個)
BB+小役2 12から30まで(乱数値の数は19個)
BB 31から49まで(乱数値の数は19個)
にそれぞれ分けられる。
このうち、抽出乱数値が「BB+BB以外の当選役」となっている区分の当たり値に該当する場合、BB及びBB以外の当選役の2つの内部抽選フラグがONにされる。例えば、「BB+リプレイ1」の当たり値に抽出乱数値が該当すると、BB及びリプレイ1の内部抽選フラグがONにされることになる。また、「BB+小役2」の当たり値に抽出乱数値が該当すると、BB及び小役2の内部抽選フラグがONにされることになる。
従って、「BB+BB以外の当選役」の当たり値に抽出乱数値が該当すると、BB及びBB以外の当選役の双方に当選したと判断されることとなる。これは言い換えれば、BBの当たり値とBB以外の当選役の当たり値が同じ(同一)ということである。つまり、一つの当たり値に対応する当選役が複数存在するということである。このように、複数の当選役に対応する当たり値を同一の当たり値として共有させる当たり値のことを「共有当たり値」と呼ぶ。
一方、「BB」となっている区分の当たり値に抽出乱数値が該当すると、BBのみの内部抽選フラグがONにされる。この場合は、一つの当たり値に対応する当選役が一つということになる。このように、一つの当選役には対応する当たり値を専有させて他の当選役と当たり値が重複しない当たり値のことを「専有当たり値」と呼ぶ。
「共有当たり値」に含まれるBB以外の当選役、即ち、小役1、小役2、リプレイ1、リプレイ2は、「専有当たり値」の小役1、小役2、リプレイ1、リプレイ2と全く同じ遊技特典に対応するものである。従って、抽出乱数値が「共有当たり値」の小役1(あるいは小役2)に該当する場合の賞球数については「専有当たり値」の小役1(あるいは小役2)と同じく30個となる。また「共有当たり値」のリプレイ1(あるいはリプレイ2)に該当する場合の遊技特典としても「専有当たり値」のリプレイ1(あるいはリプレイ2)と同様にリプレイゲームが付与されることになる。
また、以下では、特に断わりの無い限り、小役1(小役2)と呼ぶ場合には、「専有当たり値」の小役1(小役2)と「共有当たり値」の小役1(小役2)をともに含むものとする。同様に、リプレイ1(リプレイ2)と呼ぶ場合には、「専有当たり値」のリプレイ1(リプレイ2)と「共有当たり値」のリプレイ1(リプレイ2)をともに含むものとする。
なお、図14(b)は後述するBBゲームにおける各当選役の当たり値を具体的に示している。ここでの当たり値の特徴としては、ハズレの当たり値が無く、小役1の当たり値の範囲が抽出範囲のほとんどを占めている(16355/16384)ことが挙げられる。従って、BBゲームでは小役1が内部抽選の結果となる可能性が増加することになる。なお、ここでいう小役1は「専有当たり値」の小役1のことを指す。また、BBゲームでの当たり値(BBゲーム用の当たり値)についてはBBゲーム遊技処理にてさらに詳細に説明をする。
また、図14(c)は後述するSBゲームにおける各当選役の当たり値を具体的に示している。ここでの当たり値の特徴としては、SBの当たり値が無く、小役2の当たり値が増加(当たり値の数が1個から1024個に増加)していることが挙げられる。従って、SBゲームでは小役2が内部抽選の結果となる可能性が増加することになる。なお、ここでいう小役2は「専有当たり値」の小役2のことを指す。また、SBゲームでの当たり値(SBゲーム用の当たり値)についてはSBゲーム遊技処理にて詳細に説明する。
(リール停止処理)
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりストップボタンの押下操作)待ちの状態となる。図15では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、当該ゲームでの内部抽選の結果を示す内部抽選フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(S201)。このリール制御テーブルは予め全ての内部抽選フラグについてパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとして主制御基板121のROMに格納されている。
当該ゲームでの内部抽選フラグに基づいてリール制御テーブルが選択された状態で、ストップボタン42,43,44が押下されるまで待ち受け状態となる(S202、S210、S217)。これらの待ち受け状態で、左リール(リール111a)、中リール(リール111b)、右リール(リール111c)の各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(=0、つまりOFFの状態)であるか否かが判断されるとともに、合わせてストップボタン42,43,44のいずれかが押下されたかが判断される。全てのストップボタン(ストップボタン42,43,44)が押下されるまでは、S209の判断が否定(No)されてS202以降の処理が繰り返される。
また、ストップボタンについてそれぞれストップボタン42を左ストップボタン、ストップボタン43を中ストップボタン、ストップボタン44を右ストップボタンと呼ぶ。ストップボタンの押下された順番(停止操作手順)により、それぞれ「順押し」、「逆押し」、「中押し」と呼ばれる停止操作手順(または押し順とも呼ばれる)に分けられる。
上記でいう「順押し」の停止操作手順とは、左リールを第1番目に停止させる操作手順(つまり、左ストップボタンを第1番目に押下させる操作手順)のことをいい、
〔 左リール→中リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 左リール→右リール→中リール 〕の順番で停止操作が受け付けられる操作手順である。なお、後者の操作手順は特に「順はさみ押し」とも呼ばれる。
「逆押し」の停止操作手順とは、「順押し」と反対に右リールを第1番目に停止させる操作手順(つまり、右ストップボタンを第1番目に押下させる操作手順)で停止操作を行うことをいい、
〔 右リール→中リール→左リール 〕、
あるいは、
〔 右リール→左リール→中リール 〕の順番で停止操作が受け付けられる操作手順である。なお、後者の操作手順は特に「逆はさみ押し」とも呼ばれる。
「中押し」の停止操作手順とは、中リールを第1番目に停止させる操作手順(つまり、中ストップボタンを第1番目に押下させる操作手順)のことをいい、
〔 中リール→左リール→右リール 〕、
あるいは、
〔 中リール→右リール→左リール 〕の順番で停止操作が受け付けられる操作手順である。
スロットマシン1では、内部抽選フラグに対応するリール制御テーブルが用意されている。このリール制御テーブルは停止操作手順(「順押し」、「逆押し」、「中押し」)全てに共通したものである。リール制御テーブルについては後述にて詳細に説明をする。
S201でストップボタンの押下操作の待ち受け状態からいずれかのストップボタンが押下される場合、例えば、「順押し」の操作手順に沿って最初(第1番目)に左ストップボタンが押下されたとすると(S202=Yes)、この時点では第1リール停止フラグがOFFの状態となっており(S203=Yes)、左リールについて第1リール停止処理(S204)が実行される。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。
また、「中押し」の操作手順に沿って最初に中ストップボタンが押下されると(S211=Yes、S212=Yes)、中リールについて第1リール停止処理(S213)が実行される。あるいは、「逆押し」の操作手順に沿って最初に右ストップボタンが押下されると(S219=Yes、S220=Yes)、右リールについて第1リール停止処理(S221)が実行される。
ここで、上記の「順押し」の操作手順に沿って左リールが第1番目に停止するリールとなる場合を例にとると、S204で左リールについて第1リール停止処理が行われる。第1リール停止処理では、内部抽選フラグに対応するリール制御テーブルに基づいて停止位置が制御される。また、このとき主制御基板121は左リールに表示された停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)を周辺制御基板126に送信する(S206)。
S206に次いでS208では第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに、左リール停止フラグがONにされる(S209)。左リール停止フラグがONになった段階では中リール、右リールはまだ回転中で停止していないのでS210の判断が否定(No)されて、S202以降が繰り返される。
再びS202以降の処理が行われるとき、すでに左リールが停止しているのでS202の判断が否定(No)される。「順押し」の操作手順に沿うと次に中ストップボタンが押下されることになり、S211の判断が肯定(Yes)される。このとき、すでに第1リール停止フラグがONとなった状態であるので中リールは第1リールではないと判断されて(S212=No)、中リール停止処理が実行される(S214)。
中リール停止処理では、内部抽選フラグに対応するリール制御テーブル(「順押し」用)に基づいて停止位置が制御される。また、このとき主制御基板121は、中リールの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)を周辺制御基板126に送信する(S216)。そして、この場合、中リールは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、S213、S215、S217は全て迂回され、S218で中リール停止フラグがONにされるだけとなる。
左リールフラグ及び中リールフラグがONになった段階では、まだ右リールが回転中で停止していないのでS209の判断が再び否定(No)されて、S202以降が繰り返される。S202では、すでに左リール及び右リールが停止しているのでS202及びS211の判断が否定(No)される。
そして、最後に右ストップボタンが押下されるとS219の判断が肯定(Yes)される。このとき、すでに第1リール停止フラグがONとなった状態であるので右リールは第1リールではないと判断されて(S220=No)、右リール停止処理が実行される(S222)。
右リール停止処理でも、内部抽選フラグに対応するリール制御テーブルに基づいて停止位置が制御される。また、このとき主制御基板121は、右リールの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)を周辺制御基板126に送信する(S224)。そして、この場合、右リールは第3番目に停止するリール(第3リール)となり、S221、S223、S225は全て迂回され、S226で右リール停止フラグがONにされるだけとなる。
ここまでの処理を経て全てのリール停止フラグがONとなると、S210の判断が肯定(Yes)されてリール停止処理は終了する。
(リール制御テーブル)
図16及び図17は、スロットマシン1のリール制御の内容を具体的に示したリール制御テーブルである。図16では例として内部抽選フラグが小役1に該当する(つまり、抽出乱数値が小役1の当たり値の範囲に該当する)場合のリール制御テーブルを示している。また、この例の小役1は「専有当たり値」の小役1とする。
図16及び図17には、それぞれ左リール、中リール、右リールの図柄帯の図柄列が記されている。リールの回転方向は配列番号の降順となる。即ち、「1→14→13→中略→3→2→1」という順がリールの回転方向となる。
また、それぞれの図柄列には「スベリ数」がつけられており、0、1、2のいずれかの数値を対応させている。ここで「スベリ数」とは、図柄表示窓23内の下段位置に目的の図柄を停止させる場合、その目的の図柄がそのまま(下段位置で)停止するか(スベリ数0の場合)、それとも下段位置から1個の図柄分だけリールの回転方向に移動するか(スベリ数1の場合)、あるいは下段位置から2個の図柄分だけリールの回転方向に移動するか(スベリ数2の場合)を表した数のことである。
言い換えれば、図柄表示窓23内の下段位置に目的の図柄を停止させて、その目的の図柄がそのまま停止すればスベリ数は0ということになる。例えば、左リールの「赤7」(配列番号1番)はスベリ数が0なので、この「赤7」を図柄表示窓23内の下段位置に停止させると、そのまま「赤7」が下段位置に停止することになる。なお、これは、いわゆる「ビタ止まり(ビタッとリールが止まるように見えることから)」とも呼ばれる。
一方、1個の図柄分だけリールの回転方向に図柄が移動して停止したとすれば、このときのスベリ数は1ということになる。例えば、中リールの「丸形」(配列番号2番)はスベリ数が1なので、この「丸形」を図柄表示窓23内の下段位置に停止させると、下段位置から1個の図柄分だけリールの回転方向に移動して「丸形」が停止することになる。
同様に2個の図柄分だけリールの回転方向に図柄が移動して停止したとすれば、このときのスベリ数は2ということになる。例えば、右リールの「四角形」(配列番号6番)はスベリ数が2なので、この「四角形」を図柄表示窓23内の下段位置に停止させると、下段位置から2個の図柄分だけリールの回転方向に移動して「四角形」が停止することになる。
このように、目的の図柄が1個あるいは2個の図柄分だけリールの回転方向から移動したうえで停止することは「スベリ」あるいは「スベリ停止」と呼ばれ、このようなリール制御のことをスベリ制御と呼ぶ。そのためリール制御テーブルは「スベリ制御テーブル」と呼ばれることもある。前述の「ビタ止まり」も0個の図柄分だけ滑るともいえるので「スベリ制御」に含めることができる。なお、「スベリ制御」により図柄がリールの回転方向に移動することを「図柄が滑る」、あるいは「図柄が滑った」ともいう。
この例では、抽出乱数値が小役1の当たり値に該当していることから、図柄の組み合わせ態様「月形−星形−月形」がいずれか一つの有効ライン上に表示される結果となれば小役1図柄が揃ったことになる。なお、以下ではリールを停止させる際に目的の図柄を図柄表示窓23内の上段(あるいは中段あるいは下段)位置に停止させることをリールの上段(あるいは中段あるいは下段)位置に目的の図柄を停止させるという。
左リールについて見ると、例えば、配列番号4番から7番までには「月形」が配置されていない。このとき、左リールの下段位置に配列番号6番の「四角形」を停止させると「スベリ制御」によりこの「四角形」が下段位置から1個の図柄分だけ滑って停止する。また、配列番号7番の「菱形」を下段位置に停止させると「スベリ制御」によってこの「菱形」が下段位置から2個の図柄分だけ滑って停止する。そして、これらの場合、最終的に左リールの下段位置には配列番号5番の「四角形」が停止することになる。
配列番号4番から7番の「スベリ制御」と同様のことが、配列番号9番から12番についてもいえる。これらの「スベリ制御」により、左リールの上段位置に「月形」が停止する。また、その他の配列番号の図柄も「スベリ制御」により、上段位置あるいは下段位置のいずれかに必ず停止する。
上記のことから、左リールについては小役1図柄が揃うために必要な図柄(「月形」)がリールの上段位置または下段位置に必ず停止することとなる。これにより、有効ラインを形成するために必要な左リール上の位置(上段位置あるいは下段位置)に少なくとも左リールの小役1図柄は表示されることになる。
右リールについても同様のことがいえる。例えば、右リールの配列番号3番から6番までには「月形」が配置されていないが、右リールの下段位置に配列番号5番の「四角形」を停止させると「スベリ制御」によりこの「四角形」が下段位置から1個の図柄分だけ滑って停止する。また、配列番号6番の「四角形」を下段位置に停止させると「スベリ制御」によってこの「四角形」が下段位置から2個の図柄分だけ滑って停止する。そして、これらの場合、最終的に右リールの下段位置には配列番号4番の「六角形」が停止することになる。
配列番号3番から6番の「スベリ制御」と同様のことが、配列番号8番から11番についてもいえる。これらの「スベリ制御」により、右リールの上段位置に「月形」が停止する。また、その他の配列番号の図柄も「スベリ制御」により、上段位置あるいは下段位置のいずれかに必ず停止する。
上記のことから、右リールについても左リールと同様に小役1図柄が揃うために必要な図柄(「月形」)がリールの上段位置または下段位置に必ず停止することとなる。これによって有効ラインを形成するために必要な右リール上の位置(上段位置あるいは下段位置)に右リールの小役1図柄も表示されることになる。
最後に、中リールでは、「星形」が多くとも2個分の他の図柄を挟んで配置されており、配列上の連続した3つの図柄を選び出すとその図柄群のなかには必ず「星形」が含まれている。即ち、図柄表示窓23内に停止可能な図柄群の全てのパターンに「星形」が含まれることになる。従って、中リールについて有効ラインを形成するために必要な位置(中段位置)に「星形」が停止することになれば小役1図柄が揃うことになる。
中リールについても「スベリ制御」によるリール制御が行われ、このとき中リールでは必ず中段位置に「星形」が停止する。このことにより、有効ラインを形成するために必要な中リール上の位置(中段位置)に中リールの小役1図柄も表示されることになる。
以上の内容から、抽出乱数値が小役1の当たり値に該当する場合、小役1用のリール制御テーブル(スベリ制御テーブル)では、遊技者の停止操作のタイミング(例えば、目押しを行うために時間をかけて図柄を狙う等)や目押しの有無差等に関係なく必ず小役1図柄を揃えることができるのである。
本実施形態のスロットマシン1では、小役1図柄と同様に小役2、リプレイ1、リプレイ2、SBの各図柄も遊技者の停止操作のタイミングや目押しの有無等に関わらず必ず揃えることのできるものとしている。
図17では、例として抽出乱数値がBBの当たり値に該当する場合のリール制御テーブルを示したものである。この例では、抽出乱数値がBBの当たり値に該当していることから、図柄の組み合わせ態様「赤7−赤7−赤7」が一つの有効ライン上に表示される結果となればBB図柄が揃ったことになる。
先ず左リールについて見ると、「赤7」は配列番号1番の「赤7」1つしか配置されていない。そして、配列番号1番から4番までの図柄を左リールの下段位置に停止させると、「スベリ制御」により「赤7」が上段位置あるいは下段位置に停止する。これ以外の配列番号の図柄を下段位置に停止させると、いずれの場合も「赤7」が上段位置にも下段位置にも停止しない(または、停止させることが不可能である)。
ここで、左リールにおいてBB図柄を揃えるためには、「赤7」を上段位置あるいは下段位置に停止させる必要がある。従って、配列番号1番から4番までのいずれかの図柄を目押しする必要が生じることになる。
左リールと同様のことが右リールについてもいえる。右リールも「赤7」は配列番号1番の「赤7」1つしか配置されていない。そして、配列番号1番から4番までの図柄を右リールの下段位置に停止させると、「スベリ制御」により「赤7」が上段位置あるいは下段位置に停止する。これ以外の配列番号の図柄を下段位置に停止させると、いずれの場合も「赤7」が上段位置にも下段位置にも停止しない(または、停止させることが不可能である)。
右リールも左リールと同様に、BB図柄を揃えるためには「赤7」を上段位置あるいは下段位置に停止させる必要がある。従って、左リールと同様に配列番号1番から4番までのいずれかの図柄を目押しする必要が生じる。
最後に中リールについても、「赤7」は配列番号1番の「赤7」一つしか配置されていない。さらに、中リールでは「赤7」を中段位置に停止させないと有効ラインを形成することができないため、配列番号2番から4番までの図柄を中リールの下段位置に停止させる必要がある。これ以外の配列番号の図柄を下段位置に停止させると「赤7」が中段位置に停止しない(または、停止させることが不可能である)。
以上の内容から、抽出乱数値がBBの当たり値に該当する場合、BB用のリール制御テーブル(スベリ制御テーブル)では、遊技者が各リールともに「赤7」を目押しする必要が生じる。このとき、有効ライン上に停止させることの可能な位置(前述の「赤7」を図柄表示窓23内に停止させることの可能な位置)で目押しができれば、BB図柄を揃えることができる。但し、これ以外の位置で目押しを行った場合(目押しを失敗した場合も含む)、BB図柄を揃えることはできない。
スロットマシン1では、図17で例に挙げたBB図柄にみられるように、目押しを正確に行わないと、その該当図柄(図17の例ではBB図柄)を揃えることのできない当選役図柄がある。これを「要目押し図柄」と呼称する。この「要目押し図柄」には、BB図柄の他に稀有小役図柄も含まれる。
そして、「要目押し図柄」を揃えることが許容されていても(つまり、「要目押し図柄」に対応する当選役の内部抽選フラグがONになっている)、その「要目押し図柄」を揃えることができなければ対応する当選役の遊技特典を得ることはできない。特に稀有小役図柄を揃えることができなかった場合には、稀有小役の遊技特典を得る権利は消滅してしまう。このように、本来得られるべき遊技特典を目押しの失敗等により失ってしまうことを「取りこぼし」あるいは「取りこぼした」という(この場合は、稀有小役を取りこぼしたということになる)。この「取りこぼし」については、後述する判定処理で具体的に説明する。
次に図18では、BB+小役1用のリール制御テーブルを示している。この例では、抽出乱数値が「共有当たり値」の小役1(及びBB)の当たり値に該当していることから、図柄の組み合わせ態様「月形−星形−月形」または「赤7−赤7−赤7」のどちらかがいずれか一つの有効ライン上に表示される可能性がある。つまり、1つの当たり値に対して2つの内部抽選フラグが存在することになるともいえる。このときのリール制御については、第1リールの停止目により第2、第3リールのリール制御が変わることとなる。
第1リールが左リール(つまり、「順押し」)の場合、図18の左リールのスベリ数にしたがってリール制御が行われる。左リールの配列番号1番から5番までの図柄を図柄表示窓23内の下段位置に停止させると、スベリ制御により配列番号1番の「赤7」を上段位置あるいは下段位置のいずれかに停止させることができる。このとき、第2リール及び第3リールのリール制御は、図17のBB用のスベリ制御テーブルが中リール及び右リールに適用される。従って、中リール及び右リールに「赤7」を目押しすることができれば、BB図柄を揃えることができることになる。
また、左リールの配列番号6番から14番までの図柄を下段位置に停止させると、スベリ制御により「月形」を上段位置あるいは下段位置のいずれかに停止させることができる。このとき、第2リール及び第3リールのスベリ制御は、図16の小役1用のスベリ制御テーブルが中リール及び右リールに適用される。従って、中リールの中段位置には「星形」、右リールの上段位置あるいは下段位置のいずれかには「月形」が必ず停止することとなるので、小役1図柄を必ず揃えることができることになる。
第1リールが中リール(つまり、「中押し」)の場合は、配列番号2番から4番までの図柄を下段位置に停止させると、スベリ制御により配列番号1番の「赤7」を中段位置に停止させることができる。このとき、第2リール及び第3リールのスベリ制御は、図17のBB用のスベリ制御テーブルが左リール及び右リールに適用される。従って、左ルール及び右リールに「赤7」を停止させることができれば、BB図柄を揃えることができる。
また、中リールの配列番号5番から14番までと1番の図柄を下段位置に停止させると、スベリ制御により「星形」が必ず中段位置に停止することとなる。このとき、第2リール及び第3リールのスベリ制御は、図16の小役1用のスベリ制御テーブルが適用される。従って、左リール及び右リールの上段位置あるいは下段位置のいずれかに必ず「月形」が停止することとなり、小役1図柄を揃えることができることになる。
第1リールが右リール(つまり、「逆押し」)の場合も、第1リールが左リールの際と同様に、配列番号1番から5番までの図柄を下段位置に停止させると、スベリ制御により配列番号1番の「赤7」が上段位置あるいは下段位置に停止する。このとき、第2リール及び第3リールにはBB用のスベリテーブルが適用される。
また右リールの配列番号6番から14番までを下段位置に停止させる場合も第1リールが左リールの際と同様に、第2リール及び第3リールには小役1用のスベリテーブルが適用される。従って、中リールの中段位置には「星形」が、左リールの上段位置あるいは下段位置には「月形」が必ず停止することとなり小役1図柄を揃えることができることになる。
また、スロットマシン1では、抽出乱数値が「共有当たり値」の当選役の当たり値に該当する場合、図18に示したスベリ制御が行われる(その他の例は図示しない)。つまり、抽出乱数値が「共有当たり値」の当選役(BB+小役1、BB+小役2、BB+リプレイ1、BB+リプレイ2)に該当するときは、BB以外の当選役は必ず揃えることができることになり、第1リールの有効ライン上にに「赤7」を停止させることができた場合には、BB図柄を揃えることが可能となる。このとき、BB以外の当選役図柄は揃えることができない。
以上がテーブル方式によるリール停止処理及びリール制御の一例である。リール制御にはこれとは別にコントロール方式によるリール停止処理及びリール制御もある。なお、本実施形態のスロットマシン1においては、テーブル方式あるいはコントロール方式のどちらのリール制御を用いてもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(判定処理)
リール停止処理が終了すると、図柄表示窓23内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(つまり、当選役のいずれかに該当する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かについての判定が行われる。図18では、この判定処理の内容を具体的に示している。
リール停止処理により全てのリールが停止した状態になると、図柄表示窓23内に停止した図柄の表示内容から先ずいずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組み合わせ態様が表示されているか)否かが判断される(S301)。なお、リールが停止した状態となり、図柄表示窓23内に表示される図柄群(本実施形態のスロットマシン1では最大3個の図柄)のことは出目とも呼ばれる。
全てのリールが停止した状態となった際の出目から、いずれかの有効ライン上にBB図柄が揃っているか(S302)、SB図柄が揃っているか(S305)、リプレイ1またはリプレイ2図柄が揃っているか(S308)、小役1または小役2図柄が揃っているか(S311)、稀有小役図柄が揃っているか(S314)が判断される。
図柄表示窓23内でBB図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「赤7−赤7−赤7」が表示されている)と判断されると(S302=Yes)、BB図柄が揃ったことを知らせる祝福効果音コマンドが周辺制御基板126に送信される(S303)。この祝福効果音コマンドはスピーカ27や低音スピーカ195から祝福効果音を出力する(効果音を発生させる)ためのコマンドである。なお、祝福効果音には、ファンファーレやBBを知らせるメッセージ等も含まれる。次いでBBゲーム遊技処理に進み、BBゲームが開始される(S304)。
図柄表示窓23内でSB図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「六角形−星形−六角形」が表示されている)と判断されると(S305=Yes)、SB図柄が揃ったことを知らせる祝福効果音コマンドが周辺制御基板126に送信される(S306)。この祝福効果音コマンドはスピーカ27や低音スピーカ195から祝福効果音を出力する(効果音を発生させる)ためのコマンドである。なお、このときの祝福効果音はBB図柄が揃った際の祝福効果音とは異なる効果音としている。次いでSBゲーム遊技処理に進み、SBゲームが開始される(S307)。
また、BBゲーム遊技処理では、その遊技処理内において賞球の払い出し(払出処理)が行われる。一方、SBゲーム遊技処理では、その遊技処理内において賞球の払い出し(払出処理)が行われる場合がある。なお、BBゲーム遊技処理及びSBゲーム遊技処理の詳細については後述する。
図柄表示窓23内でリプレイ1図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「月形−丸形−月形」が表示されている)、またはリプレイ2図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「六角形−丸形−六角形」が表示されている)と判断されると(S308=Yes)、リプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音コマンドが周辺制御基板126に送信される(S309)。なお、上記のリプレイ図柄にはリプレイ1図柄及びリプレイ2図柄を含み、効果音も共通のものとしている。
次いでS310では、リプレイゲーム処理が行われる。このリプレイゲーム処理では、先ずリプレイの内部抽選フラグがOFFにされる。そして、既に説明した通りリプレイ図柄が揃ったことによる賞球の付与は行われないが、当該ゲームでの掛け数(ベット数)と同じ掛け数にて次回のゲームを行うことができる遊技特典(リプレイゲーム)が付与される。なお、リプレイ1、リプレイ2ともリプレイゲームの遊技特典は付与される。
特にスロットマシン1では、常に掛け数はMAXベット(常に15個の遊技球を掛け数として必要とする)でゲームを行うものなっている。よって、リプレイゲームでは15個の賞球が付与されて、それを新たにベットする処理が自動的に(賞球の付与と新たなベットという動作を遊技者が行う必要を省いて)行われているということもできる。
図柄表示窓23内で小役1図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「月形−星形−月形」が表示されている)、または小役2図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「菱形−星形−菱形」が表示されている)と判断されると(S311=Yes)、規定個数(30個)の払出コマンドが払出制御基板187に送信されるとともに、払出音コマンドが周辺制御基板126に送信される(S312)。なお、小役1及び小役2ともに払出音は共通のものとしている。
図柄表示窓23内で稀有小役図柄が揃っている(いずれかの有効ライン上に「菱形−赤7−菱形」が表示されている)と判断されると(S314=Yes)、規定個数(1個)の払出コマンドが払出制御基板187に送信されるとともに、払出音コマンドが周辺制御基板126に送信される(S315)。なお、このときの払出音は小役1及び小役2の効果音とは異なるものとしている。さらに、稀有小役では払出賞球数が1個となっており、払出音もこれに対応する短いものとなっている。
小役図柄が揃った場合及び稀有小役図柄が揃った場合は、それぞれ規定個数の賞球(小役図柄揃いでは30個、稀有小役図柄揃いでは1個)が払い出される(払出処理、S313及びS316)。この払出処理では、先ずそれぞれON状態となっている内部抽選フラグ(小役及び稀有小役の内部抽選フラグ)がOFFにされる。このとき小役図柄が揃ったと判定された場合は、30個の賞球が払い出される。そして、稀有小役図柄が揃ったと判定された場合には、1個の賞球が払い出される。払出処理は規定個数の賞球が払い出されると終了し、判定処理も終了となる。
図柄表示窓23内でいずれの当選役に対応する図柄の組み合わせ態様も表示されないと判断されると(つまり、S302、S305、S308、S311、S314のいずれの判定結果も否定(No)された場合)、ハズレ処理が行われる(S317)。このときの図柄表示窓23内に表示される図柄の表示内容がハズレの出目となる。つまり、ハズレの出目では、いずれの有効ライン上にも当選役図柄が揃っていないということになる。
S317のハズレ処理では、ON状態となっている内部抽選フラグの確認が行われる。ここで確認されるON状態となっている内部抽選フラグには、BB及び稀有小役、そしてハズレの内部抽選フラグが該当する。これらのうち、BB及び稀有小役については前述の「要目押し図柄」に対応する当選役であることから、目押しの失敗等で「取りこぼし」を生じる可能性がある。
また、ON状態となっている内部抽選フラグがハズレに該当する場合には、ハズレの内部抽選フラグがOFFにされる。これにより、内部抽選でハズレ(内部抽選フラグがハズレに該当)となった当該ゲームが終了すると、ハズレの内部抽選フラグは消滅(OFF状態になる)することになる。
そして、内部抽選フラグが稀有小役に該当し、「取りこぼし」により稀有小役図柄を揃えられなかった場合にも稀有小役の内部抽選フラグは消滅(OFF状態になる)する。従って、本来当該ゲームで得られるべきであった稀有小役の遊技特典(払い出される賞球が1個)は得られずに永久に消滅することになる。つまり、このときに稀有小役の「取りこぼし」(あるいは、稀有小役を「取りこぼし」たこと)が確定する。
このように、ハズレ及び稀有小役の内部抽選フラグは当該ゲームの終了によりその内部抽選フラグが消滅するので、次回のゲーム(もしくは次回以降のゲーム)にこれらの内部抽選フラグが影響を与えることがない。
一方、内部抽選フラグがBBに該当する場合には、当該ゲームの終了によりBBの内部抽選フラグは消滅しない。つまり、BBの内部抽選フラグは次回のゲーム(もしくは次回以降のゲーム)に影響を与えることになる。この影響とは、具体的に内部抽選フラグが次回以降のゲームに引き継がれる(または持ち越される)ことをいう。このとき持ち越されたBBの内部抽選フラグは、BB図柄を揃えるまで消滅しない。つまり、内部抽選フラグがBBに該当する場合には、BB図柄を揃えるまでにどれだけのゲーム数を要してもBBの遊技特典を必ず得ることができることになる。
従って、BBの内部抽選フラグがONとなった当該ゲームでBB図柄を揃えることができなかったとしても「取りこぼし」とはならない。これによって、目押しの技量の低い遊技者であっても、BBの「取りこぼし」を心配せずにBB図柄を揃えることができるまで何度でもBB図柄(「赤7」)の目押しに挑戦することができる。
以上のように図柄表示窓23内の出目から当選役図柄の判定結果に対応するいずれかの処理(BBゲーム遊技処理、SBゲーム遊技処理、リプレイゲーム処理、払出処理、ハズレ処理)が行われて判定処理は終了する。次に、判定処理内でBBゲーム遊技処理、SBゲーム遊技処理が実行される場合のそれぞれの遊技処理について説明する。
(BBゲーム遊技処理)
先の判定処理においてBB図柄が揃ったと判定された場合、BBゲームが開始される。図19はBBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。以下では、図19を用いてBBゲーム遊技処理の詳細について説明する。
BBゲーム遊技処理では、先ずS401で初期化処理として、ON状態となっているBBの内部抽選フラグがOFFにされる。次いで、内部抽選での各当選役の当たり値がBBゲーム用の当たり値に変更される。このBBゲーム用の当たり値は前述の図14(b)のことを指す。
ここで、図14(b)を参照すると、BBゲーム用の当たり値ではハズレを含めた複数の当選役について、その当たり値が0(ゼロ、つまり当たり値が存在しない)となっている。即ち、ハズレを含めた複数の当選役については当たり値が無いということである。従って、抽出乱数値がこれらの当たり値の無い当選役の当たり値に該当することは無いため、内部抽選の結果となることも無い。本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選での抽出範囲(0から16383まで)は不変なものとしているので、当たり値が無くなったハズレを含む複数の当選役に該当する乱数値を他の当選役の当たり値とする(または、他の当選役の当たり値に割り振る)ことができる。
上記のことを言い換えれば、ある当選役の当たり値を無くして、その無くなった分だけ他の当選役の当たり値を増やす(または幅を広げる、範囲を拡げる)ことができるということになる。
BBゲーム用の当たり値では、当たり値を無くしたハズレ等の当選役の当たり値を「専有当たり値」の小役1の当たり値に割り振ることにより、「専有当たり値」の小役1の当たり値について、その当たり値の数(または幅)を増加させている。つまり、「専有当たり値」の小役1は当たり値の範囲が拡大されて当選確率が高く変更される(1/6.068から1/1.001へ変更される)ことになる。従って、BBゲームでは、毎ゲーム小役1の内部抽選フラグがONとなる可能性が高く、なおかつ、小役1は「取りこぼし」を生じることがない当選役であるため、BBゲームでは効率良く遊技球を獲得することができる。
S401で初期化処理が終わると、S402でBBゲーム数カウンタのカウントが開始される。このときゲーム数表示LED216でもBBゲームのゲーム数を表示させる。この表示は、例えば、「1−01」と始めに表示させてBBゲーム中の1回のゲームごとに表示をインクリメントさせていく表示内容とすることができる。
S402で「1−01」と表示されたゲームはBBゲームのうちの1回目のゲームであることを示し、BBゲームのゲーム数がカウントアップされるごとに(S403)、ゲーム数が加算された表示に更新される(例えば、「1−01」から順番に「1−02」、「1−03」と1ゲームごとにゲーム数のカウントがインクリメントされていく等)。
次いで始動処理(S404)及びリール停止処理(S405)が行われることになるが、これらの処理は既に説明したものと同じ内容であるので具体的な説明については省略する。
S405のリール停止処理を経て、全てのリールが停止した状態になると、そのとき図柄表示窓23内に表示されている出目の確認が行われる(S406)。このときの出目で、いずれの当選役図柄も揃っていない(つまり、ハズレの出目となった)と判断されると(S407=No)、S410のハズレ処理が行われる。このハズレ処理についても先に説明したものと内容は同じである。但し、BBゲーム用の当たり値では、ハズレの当たり値はなく、稀有小役を「取りこぼし」た場合のみハズレ処理が行われることになる。
S407で、いずれかの当選役図柄が揃っていると判断されると(S407=Yes)、規定個数の払出コマンドが払出制御基板187に送信されて、払出音コマンドが周辺制御基板126に送信される(S408)。このとき当選役図柄として揃う可能性があるのは、小役1図柄、小役2図柄、稀有小役図柄の3種類となる。
S409では払出処理として、先ずON状態となっている内部抽選フラグ(小役1または小役2または稀有小役の内部抽選フラグ)がOFFにされ、規定個数の賞球が払い出される。
BBゲーム遊技処理では、賞球数を変更することができる。即ち、BBゲーム以外のゲーム(BBゲームに対して通常ゲームという)と賞球数を異ならせることができる。スロットマシン1では、小役1の賞球数を通常ゲームでは30個としているが、BBゲーム遊技処理内では小役1の賞球数を75個に変更させる。その他の当選役(小役2、稀有小役)については、通常ゲームと同じ賞球数としている。
S409で賞球の払い出しが終了すると賞球数累計カウンタがカウントアップされる(S411)。これにより、BBゲームの1回目のゲームからの賞球数が累計される。つまり、BBゲーム中(BBゲーム遊技処理内)に遊技者等に払い出された賞球数が計数されていくことになる。そして、払い出された賞球の累計数が所定個数(例えば、2100個)に到達するか、あるいは所定個数を超えるとBBゲームを終了させるための判定(BBゲーム終了判定)が肯定(S412=Yes)される。
反対に、払い出された賞球の累計数が所定個数に到達するまではS412のBBゲーム終了判定が否定(No)されて、S403からの処理が繰り返される。S403以降の処理が繰り返されるたびにBBゲーム数がその都度カウントアップされる。
BBゲーム中に払い出された賞球の累計数が所定個数に到達あるいは超えるとBBゲーム終了判定が肯定されて終了処理が行われる(S413)。この終了処理では、最終的に払い出された賞球数が賞球数カウントLED217に表示される。そして、各当選役の当たり値がBBゲーム用の当たり値から通常ゲーム用の当たり値に変更されて終了処理が終わるとBBゲーム遊技処理も終了となる。
(SBゲーム遊技処理)
先の判定処理においてSB図柄が揃ったと判定された場合、SBゲームが開始される。図20はSBゲーム遊技処理の具体的な内容を示している。また、前述の図14(c)はSBゲーム用の各当選役の当たり値を示したものである。以下では、図20及び図14(c)を用いてSBゲーム遊技処理の詳細な説明をする。
SBゲーム遊技処理では、先ずS501で初期化処理として、ON状態となっているSBの内部抽選フラグがOFFにされる。そして、内部抽選での各当選役の当たり値がSBゲーム用の当たり値に変更される。このSBゲーム用の当たり値は図14(c)に示されている通りである。
SBゲーム用の当たり値は、SBの当たり値を無くし、さらにハズレの当たり値の数を減らしてその代わりに「専有当たり値」の小役2の当たり値を増加させている。このとき「専有当たり値」の小役2の当たり値の数は1024倍に増えている。その他の当選役の当たり値の数は変更されておらず、「専有当たり値」の小役2のみ当選確率が1024倍に高く変更されることとなる(1/16384から1/16へ変更される)。
また、SBゲーム用の当たり値にはBBの当たり値も含まれており、通常ゲームと同じく内部抽選の抽選対象としてBBも含まれることになり、SBゲームでBBが内部抽選の結果となることもある。
そして、SBゲームは前述の通り1回のゲームで終了することとなっている。即ち、SB図柄が揃った当該ゲームの次のゲーム(次回のゲーム)がSBゲームということである。なお、SBゲームにおいても、BBゲームと同様にゲーム数表示LED216にゲーム数を表示させる態様とする(図20では図示していないがS501の初期化処理内で実行させる)。この表示は、例えば、「S−01」と始めに表示させてSBゲームの1回目のゲームが開始されることを遊技者に報知する態様のものである。
S501で初期化処理が終わると、次いで始動処理(S502)及びリール停止処理(S503)が行われることになるが、これらの処理は既に説明したものと同じ内容であり具体的な説明については省略する。
S503のリール停止処理を経て、全てのリールが停止状態となると、そのとき図柄表示窓23内に表示されている出目の確認が行われる(S504)。このときの出目としていずれかの有効ライン上に所定の当選役図柄が揃っているかが判定される。ここでいう所定の当選役図柄には、BB図柄、リプレイ図柄、小役図柄、稀有小役図柄が含まれる。
そして、BB図柄が揃っていると判断された場合(S505=Yes)は、S506(効果音コマンドの送信等)を経てBBゲーム遊技処理(S507)へ処理が進む。リプレイ図柄が揃っていると判断された場合(S508=Yes)は、S509(効果音コマンドの送信等)を経てリプレイゲーム処理(S510)へ進む。また、小役図柄が揃っていると判断された場合(S511=Yes)は、S512(払出コマンドの送信等)を経て払出処理(S513)が行われる。さらに、稀有小役図柄が揃っていると判断された場合(S514=Yes)は、S515(払出コマンドの送信等)を経て払出処理(S516)が行われる。そして、いずれの当選役図柄も揃っていないと判断された場合は、ハズレ処理(S517)が行われる。なお、これら(S505からS517までの処理内容)は既に説明した判定処理内で行われる内容と同じであるので詳細な説明は省略する。
また、SBゲームでは通常ゲームと小役1及び小役2、稀有小役のそれぞれの賞球数は通常ゲームと同じである。リプレイについても通常ゲームと同様の遊技特典(リプレイゲーム)を与えるものである。そして、SBゲーム遊技処理では、SBゲームにてBB図柄が揃った場合(以降はBBゲーム遊技処理に移行する)を除き、終了処理が行われる(S518)。この終了処理では、各当選役の当たり値がSBゲーム用の当たり値から元に戻される。S518の終了処理が終わるとSBゲーム遊技処理が終了する。
SBゲームでBB図柄の揃いとなりBBゲーム遊技処理に移行する場合は、BBゲーム遊技処理内の初期化処理においてSBゲーム用の当たり値がBBゲーム用の当たり値に変更されることになる。即ち、この時点でSBゲームが終了し続いてBBゲームが開始されることになる。
(リプレイタイム)
本実施形態のスロットマシン1では、BBゲームやSBゲーム、通常のゲーム(通常ゲームという)の他にリプレイ高確率ゲームと呼ばれるゲームを行うことができる。なお、通常ゲームとはいわゆるBBゲーム及びSBゲームに該当しない一般的な通常遊技時でのゲームのことをいう。即ち、この通常遊技時とは別にリプレイ高確率時という通常遊技時に比べてリプレイの当選確率が高くする遊技時(あるいは遊技状態)が新たに設けられることになる。
リプレイ高確率時は、リプレイタイム(省略してRT、以下ではRTという)とも呼ばれ、リプレイの内部抽選確率が通常遊技時に比べて当選し易い状態となっている。ここでいう「当選し易い」とは内部抽選確率が高くなる(つまり、当たり値が増加する、または当たり値の範囲が拡大される)ことを指す。従って、RTゲーム(リプレイ高確率時でのゲームのこと、以下ではRTゲームという)ではリプレイの内部抽選確率が通常ゲームでの内部抽選確率に比べて高くなった状態でゲームが行われることとなり、リプレイが内部抽選の結果となる可能性が高くなる。つまり、通常ゲームに比べてリプレイに頻繁に当選することになる。
スロットマシン1では、RTを複数(例えば3つ)設けることができる。即ち、通常時に比べてリプレイの内部抽選確率が高くなる状態が複数(3つ)存在することになる。これらのRTをそれぞれRT1、RT2、RT3と呼び、以下ではそれぞれのRTの内容について説明する。
図22は、RT1、RT2、RT3でのリプレイを含めた全ての当選役の当たり値を具体的に示したものである。図22(a)ではRT1、図22(b)ではRT2、図22(c)ではRT3について、それぞれ各当選役の当たり値について示したものである。
RT1とRT2では、リプレイ1の当たり値に含まれる乱数値の数が1つ(1個)異なっているものの、リプレイ1の当選確率はRT1が1/1.3107、RT2が1/1.3106と僅差しかなく、通常時の1/7.301(約7回に1回はリプレイに当選する)に比べてほぼ同じ程度リプレイ1に当選しやすい(約1.3回に1回はリプレイに当選する)といえる。また、リプレイ2については通常時と内部抽選確率は変わらない。
これに対して、RT3ではリプレイ1の内部抽選確率は通常時とは変わらないものの(1/7.301)、リプレイ2の内部抽選確率が通常時の内部抽選確率1/16384(16384回に1回はリプレイに当選する可能性がある)に比べて約50倍の1/327.680(約328回に1回はリプレイに当選する可能性がある)になっている。
以上のことより、スロットマシン1のRTのうち、RT1及びRT2ではリプレイ1に当選し易く、RT3ではリプレイ2の当選し易くなることが特徴としていえる。
ここで通常ゲームでは、主にハズレとなる割合が高く(1/1.452、約1.4回に1回はハズレとなる可能性がある)、リプレイの当選頻度も約7回に1回当選する程度であることから、新たなベットに要する遊技球を絶えず必要とする状態が続くことになる。従って、通常ゲームでは遊技球の消費量が増大していく傾向が強いといえる。
一方、RT1ゲーム及びRT2ゲームでは、リプレイ(ここでは、主にリプレイ1)に当選する可能性が高くなり、リプレイゲームの頻度が増加することになる。このとき、ハズレとなる割合は通常ゲームに比べて低く(1/16、約16回に1回は当選する可能性がある)なる。これにより、新たなベットに要する遊技球をリプレイゲームにより必要としない状態が増える。つまり、ハズレとなるよりもリプレイ(主にリプレイ1)となることが増える。従って、RT1ゲーム及びRT2ゲームでは通常ゲームに比べて遊技球の消費量が増大していく傾向を抑えることが可能となる。
RT3ゲームでは、通常ゲームに比べてリプレイ2に当選し易くなるので、リプレイの当選し易さの度合いは高いといえる。しかし、リプレイ2の当選頻度(約328回に1回は当選する可能性がある)に比べて、リプレイ1の当選頻度(約7回に1回は当選する可能性がある)が相当(約47倍)高くなることから、リプレイに当選となる場合は主にリプレイ1に当選している可能性が高いこととなる。従って、RT3ゲームでは通常ゲームとほとんど変わらず遊技球の消費量が増大していく傾向が強いといえる。
なお、遊技球の消費量については、「球持ち」と呼ばれることもある。例えば、「球持ちが良い」ということは遊技球の消費量が少ないということであり、「球持ちが悪い」ということは遊技球の消費量が多いということである。
(RTゲームに移行するための条件)
本実施形態のスロットマシン1では、複数のRTが存在することについて述べたが、遊技状態をRTゲームに移行させるためには所定の条件(RTゲーム移行条件)を満たす必要がある。ここでは、RTゲーム移行条件について具体的に説明する。
RT3ゲームに移行させるために満たさなければならない条件は、BBゲームが終了となることである。即ち、BBゲームの終了後からは必ずRT3ゲームが開始されることになる。そして、RT3ゲームは所定回数(70回)のゲームで終了となる。
RT1ゲームに移行させるために満たさなければならない条件は、通常ゲーム及びRT3ゲームにおいて「専有当たり値」のリプレイ2に当選となることである。即ち、通常ゲーム及びRT3ゲームで「専有当たり値」のリプレイ2に当選となると必ずRT1ゲームが開始されることになる。そして、RT1ゲームは所定回数(10000回)のゲームで終了となる。また、「共有当たり値」のリプレイ2に当選となってもRT1ゲームには移行しない。
RT2ゲームに移行させるために満たさなければならない条件は、通常ゲーム及びRT3ゲームにおいて「専有当たり値」の小役2に当選となることである。即ち、通常ゲーム及びRT3ゲームで「専有当たり値」の小役2に当選となると必ずRT2ゲームが開始されることになる。そして、RT2ゲームは所定回数(10000回)のゲームで終了となる。また、「共有当たり値」の小役2に当選となってもRT2ゲームには移行しない。
RTゲーム移行条件のうち(RT1、RT2、RT3それぞれの移行条件)、BBゲームの終了後から必ず開始されるRT3ゲームの移行条件が最も容易であるといえる。これは、BBに当選となれば必ずそのBBゲームの終了後からRT3ゲームに移行することとなるからである。即ち、RT3ゲームに移行する割合はBBに当選する割合(1/327.680)と同じということである。
RTゲーム移行条件のうち、RT1ゲーム移行条件及びRT2ゲーム移行条件は共に容易な移行条件であるとはいえない。これは、通常ゲーム及びRT3ゲームでの「専有当たり値」のリプレイ2及び「専有当たり値」の小役2の内部抽選確率(当選確率)が1/16384と、全ての当選役のうち最も低い当選確率となっているからである。つまり、RT3ゲーム移行条件のBBに当選する割合(1/327.680)に比べて、RT1ゲーム及びRT2ゲームの移行条件は相当に低い(1/327.680のさらに50分の1でしかない)ものであるから、遊技者にその移行条件が満たされにくい(あるいは全く期待の持てない)印象を持たせることになる。
なお、スロットマシン1では、上記のRTゲーム移行条件が当該ゲームで満たされた場合、次回のゲーム(当該ゲームの次のゲーム)からRTゲームへ遊技状態を移行させるものとしているが、これに限定されることはない。例えば、RTゲーム移行条件が満たされた当該ゲームから所定回数のゲーム数を経てRTゲームに移行させるものとしてもよい。このようにすると、通常ゲームから突然RTゲームが開始されたかのような驚きを遊技者に与えることができる。
(RTゲームにおけるSB当選)
前述の通り、RT1ゲーム移行条件及びRT2ゲーム移行条件は共に、RT3ゲーム移行条件に比べて相当に低い程度であり、RT1ゲーム及びRT2ゲームには移行し辛いものであるが、SBゲーム中に限りRT1ゲーム移行条件及びRT2ゲーム移行条件が緩和される(移行しやすい状態になる)。なお、RT1ゲーム移行条件はRT3ゲーム中も緩和される(移行しやすい状態となる)。
前述の図14(c)及び図21では、SBゲーム用の当たり値とSBゲーム遊技処理について説明したが、そこで説明した内容は通常ゲームにおいてSBに当選した場合についてである。ここでは、RTゲームにおいてSBに当選した場合について具体的な説明をする。
図23では、RTゲームにおいてSBに当選した場合のSBゲーム用の当たり値を示したものである。それぞれ、図23(a)はRT1でのSBゲーム用の当たり値、図23(b)はRT2でのSBゲーム用の当たり値、図23(c)はRT3でのSBゲーム用の当たり値である。
RT1及びRT2におけるSBゲームでは、「専有当たり値」の小役2の当たり値の数が通常時でのSBゲームと同様に1024倍に増えている(このときSBの当たり値は無しとなっている)。また、RT1及びRT2のSBゲーム用の当たり値では、その他の当選役の当たり値の数はRT1及びRT2のSBゲーム以外の当たり値と比べても変更されておらず、「専用当たり値」の小役2のみ当選確率が1024倍に高く変更されることとなる(1/16384から1/16へ変更される)。
また、RT3でのSBゲームでも、「専用当たり値」の小役2の当たり値の数がRT1及びRT2でのSBゲームと同様に1024倍に増えている(このときSBの当たり値が無しとなっている)。さらに、RT3でのSBゲームでは、「専有当たり値」のリプレイ2の当たり値の数がRT3のSBゲーム以外の当たり値〔前述の図22(c)〕と同様に、50倍に高く変更されている(1/16384から1/327.680へ変更される)。
以上のことから、RT3及び通常時ともにSBゲーム中(1回のゲーム)ではRT2ゲーム移行条件を満たす可能性が、RT3及び通常時におけるSBゲーム以外のゲームに比べて大幅に大きくなることがいえる。また、RT1及びRT2におけるSBゲーム中には、RTゲーム移行条件は設けない。つまり、「専有当たり値」の小役2の当選確率が高い(「専有当たり値」の小役2に当選しやすい)だけの状態となる。
そして、RT3におけるSBゲームでは、RT2ゲーム移行条件を満たす可能性がRT3におけるSBゲーム以外でのゲームに比べて大幅に高くなるといえる。また、RT3ゲーム(SBゲーム及びSBゲーム以外のゲームを含む)では、RT1ゲーム移行条件を満たす可能性が通常ゲーム及びRT1ゲーム及びRT2ゲームに比べて高くなるといえる。
従って、RT3及び通常時のSBゲームは、1回のゲームのみであるが遊技状態をRT2ゲームへ移行させるために有利なゲーム(「チャレンジゲーム」という)という役割を持つことになる。この「チャレンジゲーム」とは、通常ゲームまたは通常ゲームとほぼ変わらず遊技球の消費量の多いRT3ゲームから、または通常ゲームから、遊技球の消費量をできるだけ抑えてゲームのできるRT2ゲームに遊技状態を移行(良い条件に移るため、昇格ともいう)させる挑戦ができるゲームということを指す。
従って、遊技者は「チャレンジゲーム」の1回のゲームに、通常ゲームでは持てないほどの緊張感を持って始動レバーを叩く(始動操作を行う)ことになる。さらに、「チャレンジゲーム」は約163回に1回は行うことができる(つまり、SBに当選する可能性のことである)という可能性が高いため、長時間にわたり遊技者がゲームを続けていても「約160回に1回はチャンスが訪れる」という期待を持たせて遊技意欲を極力維持させることもできる。
また、RT3ゲーム中は、所定回数のゲーム数(ゲーム期間)がRT1ゲームに移行しやすい期間となるため、有利なゲーム期間(「チャンスゾーン」という)という役割を持つこととなる。この「チャンスゾーン」とは、通常ゲームとほぼ変わらず遊技球の消費量の多いRT3ゲームから、遊技球の消費量をできるだけ抑えてゲームのできるRT1ゲームに遊技状態を昇格させる挑戦ができるゲーム期間ということを指す。この「チャンスゾーン」は、BBゲーム終了後から70回のゲームを終えるまでということである。
また、「チャンスゾーン」にはBBゲームの終了後から必ず移行させることとなるので、BBゲームが終了した後も遊技者が遊技意欲を減退させづらいものとすることができる。
(各種演出等)
また、スロットマシン1では、通常ゲーム及びBBゲーム等の遊技状態に応じて、各種演出処理を行うことができる。この各種演出処理では、液晶表示器131で行う表示や、スピーカ27、低音スピーカ195による効果音の発生、LED装飾312等による発光や点灯を各種演出として実行させることができる。さらに、告知ランプ211、ゲーム数表示LED216、賞球表示LED215等でも各種演出を実行させることが可能である。これらの各種演出は遊技者を視覚的にあるいは聴覚的(あるいは触覚的)に楽しませることができ、ゲームの面白みをさらに高めるものである。
上記の各種演出処理は、周辺制御基板126により各種演出動作の制御が行われる。この各種演出動作は、ゲームの進行に基づいて行うことができる。この中には、ゲームの結果(内部抽選の抽選結果、判定処理の結果など)に対応する演出態様を実行させることや、ゲームの結果に対応しない演出態様を実行させることが含まれている。
具体的に、ゲームの結果に対応する演出態様とは、内部抽選の抽選結果がBBとなった場合などにそのことを告知する態様(例えば、「ボーナス確定」の表示等)を実行させることである。これは、遊技者が始動操作を開始したときや、停止処理を終えたときなどに実行させることにより、遊技者がBBなど大量に遊技球を獲得できる機会が得られたことを素早く知ることが可能となる。また、小役やリプレイなどの当選を知らせることもできる。
また、ゲームの結果に対応しない演出態様とは、内部抽選の抽選結果がハズレとなった場合などに、あたかも小役やリプレイ、BBなどに当選しているかに見せ掛ける態様を実行させることである。これも、遊技者が始動操作を開始したときや、停止処理を終えたときなどに実行させることにより、遊技者に期待感を抱かせることができる。
さらに、各種演出処理はゲームの進行に基づいて実行させることができるので、遊技者が行う一連の操作(ゲームを進行させる操作)に関連していつでも実行させることができる。例えば、始動操作が受け付けられてからしばらく時間をおいて突然演出を行わせたり、あるいは遊技者による停止操作により各リールが停止するたびに演出を行わせたり、といったことが挙げられる。
また、各種演出は、液晶表示器131、スピーカ27、低音スピーカ195、LED装飾312等で実行されることとなるが、液晶表示器131に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクターを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示以外でも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
(その他の実施形態についての言及)
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。その他にも、メダル、コイン等を用いるタイプの回胴式遊技機もあり、こちらも実施形態として好適である。メダル、コイン等を用いるタイプの回胴式遊技機では、遊技球を規定個数分まとめて遊技価値の1単位とするのではなく、例えば、1枚のメダルが1の遊技価値(即ち、遊技球5個が1枚のメダルに相当する)に対応するものとできるのでBET時などで取り込みに掛かる時間が短縮される。