以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突き出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左、中、右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46及び化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出としての映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者がゲームを進行することを補助する役割をしている。液晶表示部58は、表示手段の一つに相当し、各種演出表示態様を表示させるものである。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42及びボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34及びメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。スタートランプ28及びメダルインランプ36は遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。これらのランプが発光すると、遊技パネル6を透過してその発光態様が視認できるものとなっている。上記の各ランプ、各表示部は表示手段の一つとして各種演出表示態様を実行することも可能である。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットに対応している)。なおベットボタン12,14,16(以下では、必要に応じてベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となることからMAXベットと呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払い出しを伴う当選種類が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行うことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することによって選択することでゲームをスムーズに進行することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払い出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。ボーナスフラグ告知ランプ44も表示手段に相当する。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払い出しが集中して行われる特典の回数等の状況を表示させて、遊技者にボーナスゲームをスムーズに進行させる役割をしている。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は前面扉4を装飾したり、遊技者の目を引きつけて遊技意欲を掻き立てたりする役割をしている。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵として統一する)を入れて左右にそれぞれ約45度回す(捻る)ことが可能となっており、右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中断した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(リセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64、及びスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。これらランプ60,62,64,66も表示手段の一つとして発光等の演出による各種演出表示態様を実行することが可能である。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分(つまり可変図柄表示装置の下方)には、左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置(ホッパユニット)134が設置されており、このホッパ装置134の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組みに複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー等)が印刷された透光性を有する図柄帯が張られたことにより筒状の形態を成している。前記筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下ではこの可変回転体をリールとして統一する)。このリールは、回転させたり停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10c別に独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。この各リール10a,10b,10c、リール駆動モータ88a,88b,88c、リール内ランプ90a,90b,90c、後述するリール位置センサをリール装置10(またはリールユニット)と総称する。なお以下では必要に応じて、リール10aを左リール10a、リール10bを中リール10b、リール10cを右リール10cと呼称する。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行うための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払い出し等、前記リール装置10の回転と停止等及び各表示部28,30,32,34,36,42,44による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示及び各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94及び外部端子板96と図示しない配線及びコネクタ等により接続されている。従ってメイン制御基板92から各種情報の伝達をサブ制御基板94及び外部端子板96へ行うことが可能である。
メイン制御基板92やサブ制御基板94等は、いずれも樹脂製の基板ボックスに収容された状態で本体部分2内に設置されている。基板ボックスは、外側から各基板への接触を阻害する保護ケースとなる。特にメイン制御基板92の基板ボックスは、機械的な封印部92a(ワンウェイねじによる締結部)によって開封不能に閉止されている。このためメイン制御基板92に不正チップ等を組み込もうとしても、基板ボックスを破壊しない限り改変はできないので、不正改造等を試みた場合にその痕跡をはっきり残すことができる。更に、基板ボックスには本体締結部92bが形成されており、基板ボックス全体が本体締結部92を介して本体部分2に対して強固に締結されている。従って、不正目的で基板ボックスそのものを本体部分2から取り外すことはできないし、もしも取り外しを試みた場合はその痕跡がはっきりと残されることになる。
電源ユニット70は、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行うことができる。また電源ユニット70は、メイン制御基板92を含めた各種基板に電力を供給するために、配線及びコネクタ等によりメイン制御基板92及び各種基板に接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部から不正な手段によって直接触れることを防止するためにプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置134は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払い出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置134の内部にはホッパモータ78を備えており、メダルの払い出しが行われる場合はこのホッパモータ78が回転することにより、ホッパ装置134内に貯留されているメダルが払い出し口80から払い出される。ホッパ装置134内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置134内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留を補助する役割をしている。また、遊技メダル補助収納庫84内にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量に達したことを検出することができる。
(スロットマシンの内部構成)
図3は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述したリール10a,10b,10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。
エラー解除センサ100は、鍵穴48の奥に設置されている(図示はしない)。鍵穴48に専用鍵を挿入した後に左回りに45度ほど捻ることで、エラー解除センサ100よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また、専用鍵を挿入した後に右回りに45度ほど捻ることで前面扉4が開放されると、前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132(図示はしない)により扉開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4を開放すると、前面扉4と本体部分2とが離れたことが検出される。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、リール10a,10b,10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置134等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ(図示はしない)を有しており、各リールには夫々位置センサが対応して設けられている。この位置センサとして、左リール10aに対応した左リール位置センサ106a、中リール10bに対応した中リール位置センサ106b、右リール10cに対応した右リール位置センサ106cが夫々のリール内に設けられている。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されることで、メイン制御基板92では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダル投入口26の奥にはメダルセレクタ(図示はしない)があり、メダルセレクタ内には更に投入センサ104及びロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、メダル投入口26より投入されたメダルがメダルセレクタ内で投入センサに到達する通路をロックアウト(塞ぐ)する役割を果たしている。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。このとき投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタ内で投入センサ104に到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはクレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置134は、払い出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98(図示はしない)を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。このとき液晶表示部58等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に遊技機に異常が発生したことが報知されることとなっている。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置134に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置134には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置134はメダルの払い出し動作を行う。このときホッパ装置134内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ98による枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ98より払い出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させて遊技者等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP(Video Display Processor)124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58や各ランプ60,62,64,66それぞれの発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ56の作動を制御している。
メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図4は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、先ず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a,10b,10cの回転を停止させるとともに各リール10a,10b,10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選種類と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選種類を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選種類については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は各リール10a,10b,10cの停止時に表示された図柄の表示態様から有効ライン上に停止した図柄の組み合わせが当選種類のいずれかに該当するか否かを判断し、いずれかの当選種類に該当する場合はそれに応じた遊技結果(特典)を提供するためのものである。当選種類に対応した遊技結果としては、メダルの払い出しを伴うものがほとんどであるが、当選種類の中にはメダルの払い出しがなくボーナスゲームに移行するものもある。あるいはメダルの払い出しとは別に内部状態(または各種モード等)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については後でフローチャートを用いて説明する。また、全てのリールが停止した際に図柄表示部内に表示される図柄の表示態様を「出目」という。
(2.始動処理)
図5は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは特に規定されておらず、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値からいずれの当選種類に当選したかが判断され、いずれかの当選種類に当選した場合、その当選種類に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。
いずれの当選種類にも当選しなかった場合、いずれの当選種類にも該当しない、所謂「ハズレ」となりハズレフラグがONにされる。当選フラグまたはハズレフラグ(所謂、成立フラグ)がONになっているときに、その成立フラグに該当した図柄を揃えることではじめて特典(遊技特典)が得られるものである。各々の特典についての詳細は後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cの回転が開始(始動)され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。なお、フラグ処理については後述で詳細な説明をする。
(2−1.当選種類と当選図柄)
図6は、スロットマシン1の各種当選種類に対応した当選図柄の構成を示したものである。各々の当選図柄は全てのリールの停止時に表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に図6に示した図柄の組み合わせが揃うことでそれぞれの特典を得ることができるものである。また、これらの当選図柄は各リールに夫々付されている。なお上記で、「ある一つの有効ライン」というのは、複数の有効ラインがあった場合、そのうちのいずれか一つのことをいう。以下でも同様の意味として「ある一つの有効ライン」と必要に応じて呼称する。
(2−1−1.特別当選図柄〔ボーナス図柄〕:特別当選種類)
当選種類が特別当選種類〔Nanaボーナス(NB)、Childボーナス(CB)〕である場合に対応する図柄がNB図柄及びCB図柄のボーナス図柄である。NB図柄の組み合わせ態様「7−7−7」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「NBゲーム」が開始される。あるいは、CBの図柄(図6で子供がおでんを手に持った絵が描かれた図柄、以下ではC図柄と呼ぶ)「C−C−C」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「CBゲーム」が開始される。
つまり、ボーナス図柄が揃うと「NBゲーム」または「CBゲーム」のいずれかの特典が得られることになる。この「NBゲーム」及び「CBゲーム」の特典は、メダルの獲得が容易な複数回のゲームを集中して行わせることで、遊技者が大量のメダルを獲得し易い機会を付与することである。それゆえ、NBまたはCBは他の当選種類に比べて内部抽選での当選確率が他の当選種類と比較して低く抑えられており(例えば、他の当選種類の当選確率が1/7から1/64程度であるのに対し、NBは1/256程度、CBは1/512程度)、それだけ遊技者にとって価値のある当選種類としての位置付け(またはランク付け)がされている。また、NB図柄及びCB図柄は各リール10a,10b,10cともに夫々配置数を少なくすることで遊技者がNB図柄あるいはCB図柄を正確に狙って停止させないと揃えることが出来ない図柄となっている(概ね各リールに1個から2個程度の配置とする)。なお、内部抽選で当選していない当選種類の当選図柄はたとえ正確に狙ったとしても揃えることはできない。ここで図柄を狙った位置に停止させることを「目押し」という。
NB図柄が揃った場合、あるいはCB図柄が揃った場合ともに、そのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは後述するNBゲームあるいはCBゲームの特典によりメダルを大量に獲得できる機会が付与されるので、あえてNB図柄あるいはCB図柄が夫々揃ったときにメダルの払い出しを伴わない態様としているが、これに限定されることはない。NB図柄あるいはCB図柄が夫々揃ったときにメダルの払い出しを行う態様としてもよい。ただし、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルの払い出しを伴わせる場合、NBゲームあるいはCBゲーム夫々において遊技者が獲得したメダルの合計枚数(総獲得枚数)が、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルを払い出すことにより増加し過ぎることを防ぐ必要がある。
(2−1−2.再遊技図柄〔リプレイ図柄〕:再遊技当選種類)
当選種類が再遊技当選種類(リプレイ)である場合に対応する図柄が、再遊技図柄(リプレイ図柄)である。リプレイに対応する図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ライン数と同じとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。この「リプレイゲーム」はメダルの払出しが行われない代わりにメダルを新たに消費する必要もない。そのため、当選確率を高くして遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選種類であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。それゆえ、リプレイは、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑えることのできる非常に重要な当選種類としての役割を担っているといえる。従って内部抽選においてリプレイに当選した場合には極力リプレイの特典が得られるように、リプレイ図柄も各リール10a,10b,10cごと、それぞれ満遍なく配置する(各リールとも概ね1個から4個分の図柄〔リプレイ図柄以外の図柄〕おきに1個のリプレイ図柄を配置する)。
(2−1−3.単小役図柄〔チェリー図柄〕:単小役)
当選種類が単小役(チェリー)である場合に対応する図柄が、単小役図柄(チェリー図柄)である。チェリーは全てのリールの停止時における図柄の組み合わせ態様でその特典が付与されるのではなく、少なくとも1つのリールについて、そのリールが停止したときに表示窓8内にチェリー図柄がある一つの有効ライン上に停止する態様となるだけでメダルの払い出し(3枚)の特典が付与されるものである。なお本実施形態のスロットマシン1では上記でいう「少なくとも1つのリール」を左リール10aとしている。
つまり、チェリー図柄からは、3枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aの図柄の停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は、残りの中リール10b、右リール10cの図柄の組み合わせに影響されないため(つまり、中リール10b、右リール10cはどの図柄が停止した態様であってもよい)、チェリー図柄の組み合わせ態様は「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
チェリー図柄は左リール10aのみにチェリー図柄を狙うだけで特典を得ることが可能であるので、遊技者が正確に目押しをしないと「取りこぼし」が生じるものとして、遊技者の技術差(目押しの正確さ)の出やすい当選種類として位置付けている。従って、左リール10aにチェリー図柄の配置を少なく(概ね2個から3個程度の配置とする)して遊技者が目押しを要する当選種類としている。上記の「取りこぼし」とは、内部抽選で当選していた当選種類の当選図柄を目押しの失敗等により揃えることができなかったために、その該当する当選種類の特典を得ることができなかったことをいう。
また、後述する一般小役と単小役(チェリー)はまとめて「小役」と呼ぶこともあり、以下では、単に「小役」と呼称した場合には、一般小役と単小役をともに含めるものとする。
単小役(チェリー)は、左リール10aのチェリー図柄を正確に目押しすることができれば内部抽選で当選したチェリーの特典(メダルの払い出し)を得られるので、リプレイと同様、ゲーム進行の中で遊技者がメダルを大量消費することを抑えることのできる重要な役割を持った当選種類であるといえる。
またチェリーは、左リール10aのみにあれば十分であることから、他のリール(中リール10b、右リール10c)にチェリー図柄を設けなくともよい。こうすると、他のリールにチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる。従って、チェリー図柄以外の当選図柄を配置するバリエーションが多く持てることとなり、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄が有効となる(特典を得ることができる)リールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10bあるいは右リール10cとしてもよい。この場合「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となるとチェリーの特典が付与されるものとなる。あるいは、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの3つリールのうちいずれか2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止したときにチェリーの特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「チェリー−ANY−チェリー」、「ANY−チェリー−チェリー」となる図柄の組み合わせ態様となった場合である。
上記のいずれの場合であっても、左リール10a、中リール10b及び右リール10cのリールのうち、少なくとも1つ(あるいは2つ)のリールのチェリー図柄を揃えるだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者に全てのリールについて目押しを毎回強いるといった負荷を軽減させることにもなるからである。
(2−1−4.一般小役図柄〔ベル図柄、スイカ図柄〕:一般小役)
当選種類が一般小役であった場合に対応する図柄が、一般小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄)である。ベルに対応する図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると10枚のメダルの払い出しが行われる。また、スイカに対応する図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」または表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。
つまり、ベル図柄の及びスイカ図柄という一般小役図柄が揃うと、夫々に対応した枚数のメダル(それぞれ10枚、15枚)が払い出されるという特典が得られることになる。従って一般小役は、ゲームを進めるうえで、メダルの増加が期待できる当選種類である。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、ホールとの利益バランスが崩れるという事態を招いてしまう。それを回避するために、スロットマシン1では、一般小役の当選確率をリプレイに比べて低い当選確率とする。また、一般小役図柄の配置数を各リール10a,10b,10cごと少なくして(各リールとも概ね3個から5個程度の配置とする)、遊技者が各リールについて正確に目押しを行わないと取りこぼしが生じる可能性を持たせている。
本実施形態のスロットマシン1では、一般小役としてスイカとベルという複数の一般小役を設けている。複数の一般小役を設けることで、スイカとベルとで内部抽選での当選確率に差を設けたり、または、目押しを必要とするか、必要としないかについての差を設けたりすることができる。例えば、ベルは当選確率を高くし、スイカは当選確率を低くしたり、また、スイカは目押しを正確に行わないと取りこぼしが生じるものとし、ベルは目押しをほとんど必要とせずに揃えられるものとしたりすることが挙げられる。このようにベルとスイカとで様々な格差を設けると、ベルとスイカとの間に価値(付与されるメダル枚数の差だけでなく、当選確率の差や目押しの必要とされる度合いの差等)に差をつけることができる。
なお、一般小役は上記のベル、スイカに加えて更に複数の種類を設けることもできる。例えば、プラム、オレンジ、レモン、イチゴ、ブドウといった遊技者に親近感を持たせる果物を模した図柄を新たに加えることもできるし、果物に限らず識別の可能な図柄であれば何でもよい。ただし一般小役があまりにも種類が多数になってしまうと、その分だけ各リール上での同種類の一般小役図柄の配置数が減ることになり、全ての一般小役(またはその他の当選種類も含む)に目押しが必要となってしまう虞がある。従ってベル、スイカを含めても一般小役は3種類から4種類程度に留めることが望ましい。
(2−1−5.ボーナスゲーム専用役図柄:ボーナスゲーム専用役)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム及びCBゲーム中のみ有効となる当選種類としてボーナスゲーム専用役を設ける。ボーナスゲーム専用役に対応する図柄の組み合わせ態様(「スイカ−リプレイ−リプレイ」、「ベル−ベル−リプレイ」、「スイカ−ベル−リプレイ」の3種類がある)が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。このボーナスゲーム専用役はNBゲーム及びCBゲーム内でのみ抽選される当選種類であるので、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでは、ボーナスゲーム専用役に当選することはない。即ち、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでボーナスゲーム専用役図柄が揃ったとしてもメダルの払い出しも何も行われない。
(2−1−6.特殊当選図柄〔特殊ボーナス図柄〕:特殊当選種類)
当選種類が特殊当選種類〔特殊ボーナス(以下では特Bと呼称する)〕である場合に対応する図柄については、当選図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)を特殊当選種類に対応した組み合わせ態様として決めている。つまり、特殊当選種類はそれ専用の図柄(例えば、7図柄やベル図柄やリプレイ図柄)といった象徴的な図柄を持たない。複数の異なる図柄の組み合わせのうち、特定の組み合わせを特Bに対応した図柄の組み合わせとする。(以下では、便宜的に特B図柄の組み合わせ、特B図柄の組み合わせが揃う等という)。表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に上記の特B図柄の組み合わせのうちいずれかが揃うと、特殊ボーナスゲーム(特Bゲーム)が開始される。なお特B図柄については、他の当選図柄と異なり、当選図柄の構成表(配当表)等により遊技者に明示することはしない。
つまり、特B図柄の組み合わせが揃うと「特Bゲーム」という特典が得られることになる。この「特Bゲーム」は、「NBゲーム」及び「CBゲーム」とは異なり大量のメダルを獲得する特典は有しておらず、見た目には通常のゲームと全く変わりのないゲーム内容とする。即ち、リールの回転動作が変化したり、ランプの発光動作が変化したり、あるいは効果音が変化したりといった遊技者が察知することが可能な範囲の動作に全く変化を生じさせずにスロットマシン1の内部の制御のみで変化を行わせる。この内部のみで行われる変化の内容が特Bゲームの特典である。具体的に特Bゲームの特典とは、特Bゲームの終了後から通常のゲームに比べて遊技者に有利な内部抽選を開始させることである。即ち特Bゲームは、遊技者に有利な内部抽選を開始させる契機としての役割を持っているのである。
また特Bゲームは数回(例えば2〜5回程度)のゲーム数で終了するものとする。これは遊技者に通常のゲームと特Bゲームとで違和感を抱かせないためである。つまり2〜5回程度の短いゲーム数で、更に通常のゲームと全く変わらずゲームが行われると、遊技者に気付かせることなく特Bゲームを開始させることができ、また遊技者に不利益を与えることもなく特Bゲームを終了させることができる。従って特Bゲームの特典を遊技者にスムーズに付与することができる。この特Bゲームの特典についてはフラグ処理において詳しく説明する。
特B図柄の組み合わせが揃った場合も、NB図柄及びCB図柄が揃ったときと同様にそのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは特Bに当選したこと、更には特Bゲームが開始されることを遊技者に気付かせないためである。また特B図柄の組み合わせについては遊技者の知るところではなく、配当表等にも記載が無いため、「リプレイ−リプレイ−ベル」または「ベル−リプレイ−リプレイ」の特B図柄の組み合わせが、ある一つの有効ライン上に揃ったとしても遊技者には単なるハズレのときの出目としか認識できないものとなる。従って、遊技者に全く気付かせずに特B図柄の組み合わせを揃えさせて、かつ、特Bゲームを速やかに開始させることができる。
以上が本実施形態のスロットマシン1における当選種類である。勿論上記のいずれの当選図柄の組み合わせも揃わなかった場合は、「ハズレ」または「取りこぼし」となりいずれの当選種類の特典も得ることはできない。
(2−2.フラグ処理)
ここでは、フラグ処理について、図7から図9を用いて更に詳細に説明する。図7は、フラグ処理の具体的な内容を示している。先ずステップS201で、判定乱数テーブル選択処理が行われる。ここでは先ず、内部抽選に適用する判定乱数テーブルが選択される。本実施形態のスロットマシン1では、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルという2つの判定乱数テーブルが用意されており、いずれかの判定乱数テーブルを適用して内部抽選を実行することができる。このとき決められた判定乱数テーブルが適用されてステップS202以降の処理が行われることになる。
ここで判定乱数テーブルとは、内部抽選が行われる際に各当選種類の当たり値を乱数の範囲として予め決めたもののことである。具体的には、抽出乱数(先のステップS106で抽出された乱数のことを指す、以下では、このとき抽出された乱数のことを抽出乱数として統一する)がいずれの当選種類の当たり値に該当するかを判断するために用いられるものである。これによりスロットマシン1の各当選種類の当選確率(抽選によって当選する確率)を算出することができる。
判定乱数テーブルは、その抽出範囲(以下では抽出範囲と呼称する)が一定に決められており、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルともにその抽出範囲は同じである。抽出範囲が同じであっても、それぞれ各当選種類の当たり値の範囲を変えることで結果的に各当選種類の当選確率をそれぞれ異ならせることができるのである。これは、例えば、0から100の間の数字(整数)を乱数としてみた場合、0から100までが抽出範囲(つまり、この抽出範囲内でとりうる最小の数字は0であり、また最大の数字は100であり、合計101個の数字を抽出することができる)となる。更に、この抽出範囲の中で、0から10をNB、11から20をベル、21から30をリプレイ、31から100をハズレとそれぞれの当たり値の範囲と決めれば、抽出された乱数をこの当たり値の範囲に照らし合わせることでいずれの当選種類に当選したのかを判定することができる。一方、0から20をNBの当たり値の範囲とすれば、0から10をNBの当たり値の範囲とした前者に比べて、NBの当選確率が、11/101<21/101(後者)となるので、NBの当選確率は後者が高いことになる。
上記のように各当選種類の当たり値の範囲(この当たり値のことを当選許容値と呼ぶ)を変えることで、ある特定の当選種類の当選確率を高くしたり(この場合、該当する当選種類の当選許容値の範囲を大きく変更する)、あるいは当選確率を低くしたり(当選許容値の範囲を小さく変更する)することができる。また内部抽選で必ず特定の当選種類に当選させたり(該当する当選種類の当選許容値の範囲を抽出範囲と同じにする)、あるいは特定の当選種類には全く当選させなくしたり(当選許容値の範囲を無い状態にする〔当選許容値の範囲を0にする〕)することもできる。
本実施形態のスロットマシン1では、乱数の抽出範囲を0〜16383(214=16384個の乱数)としているが、乱数の抽出範囲を0〜32767(215=32768個の乱数)や、または0〜65535(216=65536個の乱数)としてもよい。乱数の抽出範囲を広げれば、それだけ抽出される乱数値の抽出範囲(または分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
ステップS201でいずれかの判定テーブルが選ばれると、続いてステップS202では、NBフラグまたはCBフラグがONになっているかが判断される。これは後述する判定処理で詳細についての説明をするが、NBフラグ及びCBフラグは、その該当する図柄(NB図柄、CB図柄)が揃えられるまで当選フラグが持ち越されるからである。またこの当選フラグが持ち越されている場合、新たにNBまたはCBの抽選は行われない。スロットマシン1では、この当選フラグの持ち越しが行われている間に抽出乱数がNBまたはCBに該当した場合、ハズレとして処理を行うこととなる。具体的には、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている間に新たなNBまたは新たなCBに当選した場合、その成立フラグは破棄するものとする。換言すると、NBの当選フラグ、またはCBの当選フラグを持ち越し可能とする代わりに、NB図柄またはCB図柄を揃えるまでは新たなNBまたはCBの抽選は行わないということである。
なお、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合、フラグ持ち越し用の判定乱数テーブルを別途用いることとしてもよい。ただしあまり判定乱数テーブルが多くなるとメイン制御基板92の負荷が増大する虞があるので、スロットマシン1ではNBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合に新たに成立したNBフラグまたはCBフラグを破棄するものとして、メイン制御基板92の負荷が増加してしまうことを極力抑えている。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれもONになっていない(即ち、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されていない)と判断されると(No)、ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がNBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS203=Yes)、NBフラグがONにされ(ステップS204)、次いで次回判定乱数テーブル抽選が行われる(ステップS205)。この次回判定乱数テーブル抽選では、NBゲーム終了後から開始されるゲームに適用する判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれにするかを決定する抽選が行われる。ここで特別判定乱数テーブルが選ばれると(ステップS206=Yes)、特別判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS210)。
次回判定乱数テーブル抽選で特別判定乱数テーブルが選ばれなかった場合(ステップS206=No)、通常判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS207)。それぞれステップS207、ステップS210を経てコマンド送信処理へ進む(ステップS217)。
ここで次回判定乱数テーブル抽選については、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルがそれぞれ1/2で選ばれるものとする。つまり、
〔通常判定乱数テーブル:特別判定乱数テーブル=1:1〕
という比率で判定乱数テーブルが選ばれる可能性があるので、1/2の割合で特別判定乱数テーブルが選ばれるという期待を遊技者に持たせることができる。
ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS208で抽出乱数が特Bの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数が特Bの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS208=Yes)、特BフラグがONにされ(ステップS209)、次いで特別判定乱数テーブルフラグがONにされて(ステップS210)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。つまり、特Bに当選すると、特別判定乱数テーブルフラグが必ずONとなる。そして特Bゲーム終了後から開始されるゲームに特別判定乱数テーブルが適用されることになる。
本実施形態のスロットマシン1はその特徴として、次回判定乱数テーブルフラグを持ち越すことが可能である。即ち、NBフラグまたは特Bフラグが成立しても、そのときのゲームから判定乱数テーブルを変更させるのではなく、それぞれの成立フラグに対応したゲームであるNBゲームまたは特Bゲームが終了してからいずれの判定乱数テーブルフラグがONとなっている場合には判定乱数テーブルの変更を行うことができるのである。換言すると、判定乱数テーブルフラグが成立するときは判定乱数テーブルの変更が行われるときであるといえる。
ステップS208で抽出乱数が特Bの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がCBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS211=Yes)、CBフラグがONにされて(ステップS212)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれかがONとなっている(NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている)と判断された場合(Yes)、及びステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当しないと判断された場合(No)は、ステップS213で抽出乱数が小役(ベル、スイカ、チェリーのいずれか)の当選許容値に該当するかが判断される。ここでいずれの小役の当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS213=No)、ステップS215で抽出乱数がリプレイの当選許容値に該当するかが判断される。更にここでリプレイの当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS215=No、いずれの当選種類にも該当しなかった場合、つまりハズレに該当する)、いずれの当選フラグもONにされずステップS217のコマンド送信処理へ進む。なお、ハズレフラグをONとすることとしてもよい。本実施形態のスロットマシン1では、上記のハズレの場合は、ステップS217のコマンド送信処理にてハズレ情報コマンドとしていずれの当選フラグもONにならなかったことを送信するものである。
ステップS213またはステップS215のいずれかでそれぞれの当選許容値(小役、リプレイ)に該当すると判断された場合(ステップS213=Yes、ステップS215=Yes)、それぞれ小役フラグがONにされ(ステップS214)、またはリプレイフラグがONにされて(ステップS216)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
本実施形態のスロットマシン1では、CB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイに当選した場合、またはハズレとなった場合、判定乱数テーブル抽選は行われない。または判定乱数テーブルが変更される契機となることもない。つまり判定乱数テーブルが変更されてしまう可能性がないので、遊技者がこれらの当選種類に当選しても有利な判定乱数テーブル(特別判定乱数テーブル)が適用されている状態から通常判定乱数テーブルに変更されて不利になるといった心配をせずにCB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイの特典を得ることができる。従って、通常判定乱数テーブルが適用されているゲームではCBに当選することはNBに当選することに比べてさほど遊技者に歓迎されないが、特別判定乱数テーブルが適用されているゲームではNBに当選するまでにできるだけCBに当選してメダルを増やしたいという遊技者の歓迎の度合いが逆転する現象が起こることになる。
ステップS217ではコマンド送信処理として、当選フラグ及び判定乱数テーブルフラグが情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信される処理が実行される。またCB、小役、リプレイについては当選フラグのみが情報コマンドとして、ハズレについてはハズレ情報コマンドがそれぞれサブ制御基板94に送信されることとなる。ここでCB、小役、リプレイ及びハズレの場合には判定乱数テーブルについての情報コマンドは送信されない。これは上記の当選種類に当選しても判定乱数テーブルの変更が行われないからである。つまり余計な情報コマンドを減らしてメイン制御基板92にかかる負荷を軽減させることができる。
なお、フラグ処理以前の始動処理が行われる前に予めいずれの判定乱数テーブルを適用するかを決定しておくこともできる。これは、抽出範囲が常に一定であるので、予め判定テーブルを決定してから乱数を抽出した場合、その抽出乱数を判定乱数テーブルと照らし合わせることになることはフラグ処理の中で判定乱数テーブルを選択するのと変わりがないからである。
図8は、先の判定乱数テーブル選択処理(図7のステップS201)について具体的に示したものである。ステップS301では先ず現在の遊技状態がNBゲーム中であるのか、またはCBゲーム中であるのか、特Bゲーム中であるのかが判断されることになる。上記のいずれかのゲーム中であると判断された場合(ステップS301=Yes)、処理は終了となる。つまり通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれも選ばれることはない。これはNBゲーム中、CBゲーム中及び特Bゲーム中はそれぞれ特定の判定乱数テーブル(当たり値テーブル)によりゲームが行われるためである。詳細については特別遊技状態及び特殊遊技状態にてフローチャート等を用いて説明する。
現在の遊技状態がNBゲーム中またはCBゲーム中または特Bゲーム中のいずれにも該当しないと判断された場合(ステップS301=No)、特別判定乱数テーブルフラグがONであるかが判断される(ステップS302)。特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断されると(Yes)、特別判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は特別判定乱数テーブルによりいずれの当選種類の当選許容値に該当するかが判断(または照合)されることになる(ステップS303)。また、特別判定乱数テーブルフラグがONではないと判断されると(ステップS302=No)、通常判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は通常判定乱数テーブルによりいずれの当選種類の当選許容値に該当するかが判断(または照合)されることになる(ステップS304)。
ステップS302で特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断される場合とは、特BフラグがONとなり、その特Bゲーム終了後の次ゲーム開始時、またはNBフラグがONとなり次回判定乱数テーブル抽選にて特別判定乱数テーブルフラグが選択され、そのNBゲーム終了後の次ゲーム開始時のことである。
上記のそれぞれの判定乱数テーブルの違いについて図9にそれぞれの判定乱数テーブルと当選確率を具体的に示している。なお、以下では必要に応じて通常判定乱数テーブルを適用した内部抽選が実行されている遊技状態で行われるゲームのことを「通常確率ゲーム」、特別判定乱数テーブルを適用した内部抽選が実行されている遊技状態で行われるゲームのことを「高確率ゲーム」と呼ぶ。
特別判定乱数テーブル〔図9(b)〕では、通常判定乱数テーブル〔図9(a)〕に比べて、NBの当選許容値の範囲が大きく変更されていることが分かる。つまりNBの当選確率が高く変更されていることになる。具体的には、NBの当選確率が10倍に高く変更されている。その他の当選種類について当選確率の変更はなされていないが、NBの当選許容値の範囲が広がったことにより、CBからリプレイまでの当選許容値が変更されていることが分かる。ただし、当選許容値の範囲(幅)自体は変更されていないので当選確率は変わらない。このときハズレの当選許容値の範囲は減少しているのでハズレの確率が低くなっている。このようにスロットマシン1では抽出範囲内の当選許容値の範囲を自在に変更することが可能である。それによって一つまたは複数の当選種類の当選確率を高く変更したり、反対に低く変更したりすることができる。
本実施形態のスロットマシン1では、特Bの抽選は通常判定乱数テーブルが適用された「通常確率ゲーム」でのみ行うものとしているので、特別判定乱数テーブルが適用された「高確率ゲーム」で特Bに当選することは無い。また、特Bの当選確率をNBとCBの当選確率の間に収まる程度となる当選確率とすることで、遊技者がその当選の可能性に期待を十分に持てるものとすることができる。
(3.リール停止処理:停止制御手段)
図10は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS301)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS302,S310,S317)。これらの待ち受け状態で、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの各リールが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左、中、右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。いずれの停止ボタン20,22,24も押されていなければ、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が繰り返される。
例えば、所謂「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左の停止ボタン20が押されたとすると(ステップS302=Yes)、左の停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていない(ステップS303=Yes)ため、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS304)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
あるいは、所謂「中押し」の手順に沿って最初に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes,ステップS311=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS312)が実行される。これ以外に、所謂「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右の停止ボタン24が押された場合は(ステップS317=Yes、ステップS318=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS319)が実行される。
なお、上記でいう「順押し」あるいは「順はさみ押し」とはともに左リール10aを第1番目に停止させる停止操作手順であり、
「順押し」は、『左→中→右』の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいい、
「順はさみ押し」は、『左→右→中』の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいう。
また、「逆押し」あるいは「逆はさみ押し」の停止操作手順は、それぞれ「順押し」あるいは「順はさみ押し」と反対の停止操作手順となる。即ち、
「逆押し」は、『右→中→左』の順番でリールの停止操作を行う手順のことであり、
「逆はさみ押し」は、『右→左→中』の順番でリールの停止操作を行う手順のことである。
更に、「中押し」も上記と同様に、『中→左→右』または『中→右→左』という2つの停止操作手順が存在することになる。
左リール10a、中リール10b及び右リール10cのいずれかのリールについて第1リール停止処理(ステップS304,S312,S319)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、抽出乱数の値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば1つの当選種類「ベル」について、リール10a,10b,10c上にある「ベル図柄」をある一つの有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されているが、前記テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10a,10b,10cの停止位置が制御される。これにより、「ベル図柄」が有効ライン上のどこかで停止されることとなる。なお、リール制御テーブルは複数用意することに限定されるものではない。
例えば、「順押し」手順に沿って左リール10aが第1番目に停止されるパターンを例にとると、ステップS304で左リール10aについて第1リール停止処理が行われる。また、このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS306では残りの中リール10b、右リール10cについてそれぞれリール制御テーブル(停止テーブル)が乱数抽選によって決定される。具体的には、図1において左リール10aの停止時に「ベル図柄」が下段位置に停止したとすると、停止した時点で「ベル図柄」の組み合わせが揃うための有効ラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
なお、リール制御テーブルで成立フラグに対応した当選図柄を揃えて停止させるラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると左リール10a(または第1リール)を停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄を停止させるのか決定しているため、前記ステップS306に示した乱数抽選を行う必要が無くなり、メイン制御基板92の負荷を軽減させることができる。ただし、予め決定されたラインに該当図柄を停止させることにより、左リール10aについてチェリーに当選していないにも関わらず、チェリー図柄が有効ライン上に該当図柄と重複して停止してしまう場合が考えられる。このような場合、予め決定されたラインを変更させて再度該当図柄を停止させるラインを決めなおす乱数抽選等を行い、該当図柄とチェリー図柄(その他の当選図柄でもよい)とが重複して有効ライン上に揃ってしまうこと(つまり全てのリール停止時に複数の有効ライン上に複数の当選図柄がそれぞれ揃った状態となること)を回避させる必要がある。
以上の処理(ステップS306)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS307)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS308)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階ではリール10a,10b,10cが全て停止していないので、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS302=No)、「順押し」手順に沿って2番目に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS311=No)を経て中リール停止処理(ステップS313)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が揃う例でいうと、中リール10b上の「ベル図柄」が表示窓8内の中段位置に停止することとなる。また停止目上は、右上がりライン上で左リール10a、中リール10bに「ベル図柄」が2つ揃った状態(所謂、テンパイ状態という、この場合は右上がりテンパイ状態)となる。このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、中リール10bは第2停止であるためステップS312,S314,S315は全て迂回され、ステップS316にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右の停止ボタン24が押されると(ステップS317=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS318=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される(ステップS320)。これにより、3番目の右リール10c上の「ベル図柄」が表示窓8内の上段位置に停止するので、全リール停止時の出目は、右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第3停止であるためステップS319,S321,S322は全て迂回され、ステップS323にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS309の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
なお、上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選図柄が停止操作の受け付けられた時点から表示窓8内に引き込んで停止させることが可能な範囲(位置)にある場合、必ず引き込んで該当する当選図柄を表示窓8内に停止させようとする制御が行われる(所謂、引き込み制御といわれるリール停止制御)。引き込み可能な範囲とは、リールの停止操作が受け付けられてからリールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数(例えば、4図柄)のことをいう。つまり、リール停止操作が受け付けられた時点で、リールが即座(引き込み制御なしで)に停止するとした場合には表示窓8内に停止することのない当選図柄であっても、その当選図柄が引き込み可能な範囲内にあれば表示窓8内に移動させて停止させることが可能となる。これは所謂、スベリと呼ばれる。
本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ(再遊技当選種類)及びベル(一般小役のうちの1つ)をこの引き込み制御により「取りこぼし」が生じる可能性がないものとする。また、「取りこぼし」が生じないのは「順押し」あるいは「順はさみ押し」によるリール停止操作が行われた場合とする。従って上記以外のリール停止操作(「中押し」、「逆押し」、「逆はさみ押し」)が行われた場合は、この限りではない。
これは「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が受け付けられた場合、左リール10aの停止制御が行われる際に「チェリー図柄」を回避するための停止制御も行われることとなるからである。具体的には、成立フラグがチェリー以外であった場合、その該当する当選図柄(「チェリー図柄」以外の当選図柄)を揃えようと表示窓8内の有効ライン上に引き込み制御を行うにあたり、同時に「チェリー図柄」を引き込んでしまうことを回避するリール停止制御が行われるからである。このとき、上記の該当する当選図柄を引き込んで揃えようとすることよりも「チェリー図柄」を表示窓8内に停止することを回避させる制御が最優先されるので、結果として上記の該当する図柄が揃えられなくなることがある。従って、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作ではリプレイ及びベルの「取りこぼし」を生じてしまう場合があるといえる。
「順押し」あるいは「順はさみ押し」の停止操作が受け付けられた場合は、左リール10aが第1リールとして停止処理が行われるので、「チェリー図柄」を表示窓8内に停止させることを回避するだけでよい。これは「チェリー図柄」を表示窓8内に停止してしまうことを回避しても、成立フラグに該当する当選図柄が表示窓8内に停止可能となるリール(左リール10a)の図柄の配列を決めることで可能となる。
上記のことから、本実施形態のスロットマシン1は「順押し専用」、「順押しまたは順はさみ押しにて御遊技下さい」等の案内(または明示、教示、説明)の表示を遊技機本体で遊技者が視認できる箇所(ベットボタンの近傍やメダル投入口の付近等)にして、「順押し」あるいは「順はさみ押し」で遊技者にゲームを行わせることが望ましい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(4.判定処理)
図11は、判定処理の内容を具体的に示している。上記のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止した状態となると、メイン制御基板92はそのとき表示されている出目を確認する処理を行う(ステップS401)このとき、表示窓8内で、ある一つの有効ライン上にいずれかの当選種類に該当する当選図柄の組み合わせが揃っているかが確認されることとなる
次に、上記に該当する有効ライン上(以下では該当有効ラインという)に揃っている図柄の組み合わせがNB図柄の組み合わせであるか(ステップS402)、CB図柄の組み合わせであるか(ステップS405)、小役図柄の組み合わせ(ベル図柄、スイカ図柄あるいはチェリー図柄のいずれか)であるか(ステップS408)、リプレイ図柄の組み合わせであるか(ステップS411)、特B図柄の組み合わせであるか(ステップS414)、またはいずれにも該当しないハズレとなる図柄の組み合わせであるかがそれぞれ判断される。そして、そのときに該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが全てNB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS402=Yes)、NB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS403)。また、該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが全てCB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS405=Yes)、CB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS406)。
該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが小役図柄(全てベル図柄、あるいは全てスイカ図柄、またはチェリー図柄のいずれか)に該当すると判断されると(ステップS408=Yes)、各小役に対応した枚数のメダル払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS409)。そして、ステップS410で払出処理として規定枚数のメダルが払い出されることになる。上記の小役のうち、ベルは全てベル図柄が該当有効ライン上に揃うことでベル図柄の組み合わせが揃ったと判断される。また同様にスイカも全てスイカ図柄が該当有効ライン上に揃うことでスイカ図柄の組み合わせが揃ったと判断されることはNB、CBと同様である。しかし、チェリーについては、左リール10aのみ表示窓8内のいずれかの有効ライン上にチェリー図柄が停止するだけチェリー図柄の組み合わせが揃ったと判断される。なお、小役図柄が揃った場合の効果音コマンドを揃った小役図柄ごとに異なる効果音コマンドとすることもできる。特に小役の中でも当選確率の低いレアな小役の効果音を他の小役と異ならせると周囲の遊技者に対してレアな小役を揃えたということをアピールすることができ、遊技者の満足感を満たすことにもなる。
該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、全てリプレイ図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS412=Yes)、リプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS413)。続いてリプレイゲーム処理(ステップS414)が実行される。ここでリプレイゲーム処理とは、改めてメダルの投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲームを再遊技として実行できることをいう。その場合、有効ラインの数は、リプレイ図柄の組み合わせが揃ったゲームでの有効ラインの数と同じライン数となる。例えば、3ベットしてゲームを開始してリプレイ図柄の組み合わせが揃った場合、次ゲーム時に再遊技を開始するときも3ベットしたときのライン数が有効となる。
該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、特B図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS416=Yes)、NB図柄やCB図柄が揃ったときとは異なり、特B図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドはメイン制御基板92からサブ制御基板94へ送信されることはない。
NB図柄が揃った場合またはCB図柄が揃った場合は、そのときに該当有効ライン上に揃った図柄に応じた効果音がスピーカ56より発せられるとともに、NBゲーム遊技処理(ステップS404)、またはCBゲーム遊技処理(ステップS407)が実行されて判定処理は終了となる。なお、ここでスピーカ56より発せられる効果音は、先のステップS403またはステップS406でメイン制御基板92よりサブ制御基板94へ送信された効果音コマンドに基づいて行われるものである。
小役図柄が揃った場合、またはリプレイ図柄が揃った場合は、そのときに該当有効ライン上(チェリー図柄の場合は有効ライン上のいずれか)に揃った図柄の組み合わせに応じてメダルの払い出し音とともにメダルの払い出し、またはリプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音とともにリプレイゲーム処理が実行される。そして、小役またはリプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS411、S415)、この処理は終了となる。
特B図柄が揃った場合は、特に効果音等は発せられることなく、特Bゲーム遊技処理(ステップS417)が実行されて判定処理は終了となる。
ハズレフラグがONのときや成立フラグに対応する当選図柄が該当有効ライン上に揃っていない(つまり「取りこぼし」が生じた)場合は(ステップS416=No)、NB当選フラグ、CB当選フラグ及び特B当選フラグを除いたその他の成立フラグ(当選フラグ)がOFFにされて(ステップS418)、判定処理は終了となる。
ここでNB当選フラグ、CB当選フラグ及び特B当選フラグを除いた成立フラグがOFFにされるとは、NB、CB及び特Bの当選フラグは維持されるということである。これは、NB、CB及び特Bが小役やリプレイに比べて遊技者にとってより有利な利益を与える特典に対応しているからである。つまり、NB、CB及び特Bに当選した場合、遊技者には小役やリプレイとは比較にならない程、大量のメダルを獲得できる機会、または大量のメダルを獲得しやすくなる状態へと移行する機会が与えられるからである。この遊技者に有利となる機会(大量のメダルの獲得機会等)を遊技者が損なうことなく得られるために本実施形態のスロットマシン1では、NB、CB及び特Bの当選フラグの維持を行う。このように当選フラグの維持が行われることは、遊技者に安心してスロットマシン1でのゲームを楽しめる環境を提供することになる。特にNB図柄またはCB図柄は、NBまたはCBに当選していても目押しを正確に行わないと揃えることができない図柄であるから、それらの当選フラグが維持されることで遊技者は取りこぼしを気にせずにNB図柄、CB図柄を揃えるまで何度も目押しに挑戦することができる。これによって遊技者が目押しの熟練度を向上させることもできる。
また本実施形態のスロットマシン1では、特B図柄については取りこぼしが生じないものとしているが、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の手順(変則押し)によりリールの停止操作が受け付けられることもあるので、特Bについても当選フラグが維持されるのである。なおNB、CB及び特Bの特典の詳細な内容については後述する。
一方、小役及びリプレイについてはその当選したゲーム(内部抽選で小役フラグ、あるいはリプレイフラグがONになった)で該当する小役図柄あるいはリプレイ図柄を揃えることができなければ、その成立フラグは消滅してしまう。それゆえ、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ及びベルは取りこぼしが生じることの無いリール配列とすることにより、目押しが全くできない初心者(ゲームの熟練度が低い遊技者)がほとんど全ての成立フラグを取りこぼしてしまうといった事態を回避させることができる。更に一部の小役(ベル)のみを目押し不要とするだけに留めるので、その他の小役については正確な目押しが必要とされ、上級者(ゲームの熟練度が高い遊技者)にも納得できる技術介入の余地が大いにあるスロットマシン1を提供することができる。
(5.特別遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NB図柄(「7−7−7」)またはCB図柄(「C−C−C」)の図柄の組み合わせがある一つの有効ライン上に表示された(図柄が揃った)場合、次回のゲームからそれぞれ「NBゲーム」、「CBゲーム」と称する特別遊技状態に移行する。これらNBゲームやCBゲームには複数回のゲーム機会が含まれており、この間に集中してメダル等の払い出しの可能性があるため、遊技者にとっては通常のゲーム(通常確率遊技状態)よりも有利な状態であるといえる。このNBゲーム、CBゲームは遊技価値付与機会増加手段の一例に相当する。
(5−1.NBゲーム遊技処理)
図12は、NBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理が行われるとともにNBフラグがOFFにされ、NBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS501)。ここで変更された当たり値テーブルはボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有している。このボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1.01としているので、NBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナス専用役に当選することが可能な状態であるといえる。またNBゲーム用の当選許容値には、NB、CB及び特Bの当選許容値は含まれておらず、NBゲーム中にCB及び特B、更にNBには重複して当選しないものとなっている。更にNBゲーム用の当選許容値は、小役、リプレイの当選許容値も含まないものとしており、NBゲーム中に小役またはリプレイに当選することもないものとしている。つまり、NBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかであるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、NBゲームを通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームが行うことができる。
ステップS501に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS502)及び停止処理(ステップS503)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS503)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS504)、そして、内部のNBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS505)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS506)。
ここで専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS506=No)はステップS510に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれかであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様として3つの組み合わせ態様を用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様のいずれかが揃うこととなる。
これに対し、ステップS506の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS507)。ステップS508では、払出処理として該当図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが指示されると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS509)。
ステップS509に続いてステップS510では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にNBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS511)、終了条件が満たされていない間(ステップS511=No)はステップS502に戻って次の始動処理が行われる。
NBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS505で、NBゲーム数カウンタのカウント数が36回に達したこと。
(2)ステップS509で、累計払出枚数が500枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS511の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル移行処理が実行される(ステップS512)。この判定乱数テーブル移行処理では、図7のフラグ処理における情報コマンド(判定乱数テーブルフラグはONになっているか)の確認が行われる。ここで確認された情報コマンドに基づき、次ゲーム(つまりNBゲーム終了後の直後に開始されるゲーム)から内部抽選に適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。ここで確認される情報コマンドは、判定乱数テーブルの変更が生じるときのみに送信される情報コマンドに含まれるものであり、情報コマンドが確認された場合、必ず判定乱数テーブルの変更が行われることとなる。
なお、NBゲーム中にボーナスゲーム専用役だけでなく小役(ベル、スイカ、チェリー)のいずれか(若しくは全て)を揃え易く(つまり当選確率を高くする)して小役に当選することでメダルを獲得できる態様であってもよい。またNBゲーム中は通常のゲームと異なり、メダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを目の当たりにして現在の遊技状態がNBゲーム中であることを意識することになる。
(5−2.CBゲーム遊技処理)
図13は、CBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理として、CBフラグがOFFにされるとともに、CBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブルが変更される(ステップS601)。ここで変更された当たり値テーブルはNBゲーム用の乱数抽選の当たり値テーブルと同様、ボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有している。このボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1.01としているので、CBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナス専用役に当選することが可能な状態であるといえる。またCBゲーム用の当選許容値にはNB及び特B、更にはCBの当選許容値は含まれておらず、CBゲーム中にNB及び特B、更にCBには重複して当選しないものとなっている。更にCBゲーム用の当選許容値は、小役、リプレイの当選許容値も含まないものとしており、CBゲーム中に小役またはリプレイに当選することもないものとしている。つまりCBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかになるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、CBゲームでは通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームが行うことができる。
ステップS601に次いでリール装置10の始動処理(ステップS602)及び停止処理(ステップS603)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS603)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS604)、そして、内部のCBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS605)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS606)。
上記の判断の結果、ボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS606=No)はステップS610に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄を3つの組み合わせ態様として用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様のいずれかが揃うこととなる。
これに対し、ステップS606の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS607)。ステップS608では、払出処理としては該当図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが指示されると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS609)。
ステップS609に続いてステップS610では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にCBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS611)、終了条件が満たされていない間(ステップS611=No)はステップS602に戻って次の始動処理が行われる。
CBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS605で、CBゲーム数カウンタのカウント数が18回に達したこと。
(2)ステップS609で、累計払出枚数が250枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS611の終了判定が肯定(Yes)され、次にCBゲームの終了処理が行われるとともに当たり値テーブルが元に戻される(ステップS612)。
なお、CBゲーム中にボーナスゲーム専用役だけでなく小役(ベル、スイカ、チェリー)のいずれか(若しくは全て)を揃え易くしてメダルを獲得できる態様であってもよい。またCBゲーム中は通常のゲームと異なり、メダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを目の当たりにして現在の遊技状態が通常のゲームとは異なることを意識することができる。また、CBゲーム中のボーナスゲーム専用役をNBゲーム中のボーナスゲーム専用役とは異なるものとしてもよい。こうすれば、現在の遊技状態がNBゲーム中であるのかCBゲーム中であるのかを遊技者(特に初心者)が混同してしまう事態を避けることも可能となる。
(6.特殊遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム、CBゲームという特別遊技状態以外に、特B図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)がある一つの有効ライン上に表示された場合、「特Bゲーム」と呼ばれる特殊遊技状態に移行する。特Bゲームには、大量のメダルが払い出される機会は含まれていないが、特Bゲーム終了後からのゲームを遊技者にとって有利に実行させることを可能とする(通常のゲームに比べて当選種類の当選確率を高く変更した内部抽選が実行される状態)移行契機となる役割を持っている。
(6−1.特Bゲーム遊技処理)
図14は、特Bゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理が行われるとともに特BフラグがOFFにされ、特Bゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS701)。ここで変更された当たり値テーブルは小役とリプレイ及びハズレのみからなっている。また特Bゲームにおいてはボーナスゲーム専用役を抽選の対象に含めていない。更に小役及びリプレイの当選確率については通常確率時と同じ当選確率とする〔図9(a)参照〕。また特Bゲーム用の当選許容値はNB及びCB、更には特Bの当選許容値も含めないものとし、特Bゲーム中に新たにNB及びCB、更には特Bに重複して当選することは無いものとなっている。
従って、特Bゲーム中は通常確率ゲームと同じ当選確率で小役またはリプレイの内部抽選が実行されることとなるので、通常ゲームと全く変わらない印象を遊技者に与えることができる。これにより遊技者に有利なゲームを行わせるための契機としての特Bゲームを速やかに開始させることができ、また速やかに終了させることが可能となる。換言すれば、遊技者が全く気付かないうちに特Bゲームを開始させ、そして終了させることにより、何事もなく通常のゲームが数ゲーム進行した程度という意識しか遊技者に持たせないことができるのである。なお遊技者に特Bゲームを気付かせないという理由から特Bゲームについては勿論、通常のゲームと同じくメダルを3枚掛けでゲームを行うものとする。
ステップS701に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS702)及び停止処理(ステップS703)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS703)によって全リール10a,10b,10cが停止すると、内部の特Bゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS704)。
次に、ステップS705では全リール10a,10b,10c停止時の出目の判定処理が実行される。この判定処理の内容は既に説明したものと同じである。
判定処理が終了すると、小役に当選してメダルの払い出しが行われた場合のみ、その払い出されたメダルの枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS706)。リプレイに当選またはハズレとなってメダルの払い出しが行われなかった場合には累計払出カウンタはカウントアップされない。そして次回以降のゲームで小役に当選してメダルの払い出しが行われた場合には累計払出カウンタがカウントアップされることとなる。
そして、毎回のゲーム終了後に特Bゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS707)、終了条件が満たされていない間(ステップS707=No)はステップS702に戻って次の始動処理が行われる。
特Bゲームは、以下のいずれかの終了条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS704で、特Bゲーム数カウンタのカウント数が5回に達したこと。
(2)ステップS706で、累計払出枚数が3枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS707の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル変更処理が実行される(ステップS708)。この判定乱数テーブル変更処理では、図7のフラグ処理における情報コマンド(判定乱数テーブルフラグはONになっているか)の確認が行われる。ここで確認された情報コマンドに基づき、次ゲーム(つまり特Bゲームの終了後の直後に開始されるゲーム)から適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。
なお、特Bゲーム中に、ボーナスゲーム専用役にも当選する可能性を持たせてもよい(当選許容値に含めてもよい)。ただしこの場合には、ボーナスゲーム専用役の当選確率を、例えば1/1000程度若しくはそれ以下の相当に低い当選確率となるようにすることが望ましい。これはボーナスゲーム専用役の当選確率を低く抑えることで、ほぼ当選可能性のない当選種類として特Bゲームが開始されていることを遊技者に感付かれてしまうことを回避できる。また仮にボーナスゲーム専用役に当選した場合、そのときは遊技者に衝撃的な喜びを与えることが可能となる(そのために当選確率を1/1000程度若しくはそれ以下としたのである)。これは通常のゲームと思ってゲームを進めていた遊技者が、突然にボーナスゲーム専用役が揃ってメダルの払い出しが行われたことで、現在の遊技状態が特Bゲーム中であることを確信でき、更にはこの後、有利な遊技状態へと移行することが確定するからである。これはボーナスゲーム専用役に対応した図柄の組み合わせ態様が通常のゲームでは全くのハズレ目でしかなくメダルの払い出しも行われないことにも起因している。これにより遊技者はボーナスゲーム専用役に対応した図柄の組み合わせ態様が揃うたびにメダルの払い出しが行われないかドキドキしながらゲームを楽しむことができる。
(7.「高確率ゲーム」での付加特典)
本実施形態のスロットマシン1の特徴として、「高確率ゲーム」に移行した場合、つまり特別判定乱数テーブルが適用されて内部抽選が実行される際に、既にその当選確率が高く変更されているNBに加えて他の当選種類の当選確率も高く変更させることができる(「高確率ゲーム」での付加特典、以下では付加特典という)。スロットマシン1ではその当選確率の変更される当選種類をリプレイとする。即ち「高確率ゲーム」に移行すると、NBに加えてリプレイの当選確率も高く変更されることとなる。このNBとリプレイの当選確率がともに高く変更された遊技状態で行われるゲームのことを「付加あり高確率ゲーム」と呼び、対してNBのみ当選確率が高く変更された遊技状態で行われるゲームのことを「付加なし高確率ゲーム」と呼ぶ。
「高確率ゲーム」ではNBの当選確率が、1/256から1/25.6へと10倍に高く変更されることは既に説明したとおりである(図9参照)。「付加特典」としてリプレイの当選確率を高く変更する場合、具体的には、1/7から1/2.3へと約3倍に高く変更させることができる。「付加あり高確率ゲーム」では、NBに加えてリプレイの当選確率も高くなり、よってリプレイに当選する機会が増えることになる。リプレイに当選する機会が増えれば、再遊技が増えてメダルの消費量を緩やかにさせることができる。つまり「付加あり高確率ゲーム」は「付加なし高確率ゲーム」に比べてNBに当選するまでのゲームで消費するメダルの消費量を抑えてゲームができるという有利さがある。加えて次回のNBの当選まで「通常確率ゲーム」に比べて少ない回数で到達することが可能であるから、付加あり高確率ゲームは遊技者にとって最も有利な状態であるといえる。従って遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合は、「付加特典」が付与されることを望む傾向が強くなる。
また、上記の「付加特典」は「高確率ゲーム」に移行した場合に必ず付与されるものではなく、抽選により付与するか否かを決めるものである。これにより、例えば、NBに当選した場合、遊技者はNBゲーム終了後に「高確率ゲーム」に移行するか否かで先ずハラハラし、次いで付加特典が付与されるか否かでハラハラすることとなる。つまり遊技者は一回のNBで最大2回喜びを味わうことができるのである。以下ではこの「付加特典」を付与するか否かの抽選「付加特典付与抽選」について説明する。
(7−1.付加特典付与抽選)
「付加特典付与抽選」は、NBゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル移行処理において、また特Bゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル変更処理においてそれぞれ実行されるものとする。NBゲーム遊技処理内の判定乱数テーブル移行処理では、特別判定乱数テーブルフラグがONとなっていた場合に限る。即ち特別判定乱数テーブルが内部抽選に適用される場合のみ、「付加特典付与抽選」が行われることになる。
ここで「付加特典付与抽選」で「付加特典」を付与するか否かはそれぞれ1/2で選ばれるものとする。従って、
〔付加あり高確率ゲーム:付加なし高確率ゲーム=1:1〕
という比率になり、遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合の2回に1回は「付加特典」が付与されるという期待を持てることになる。これは、判定乱数テーブル移行処理、判定乱数テーブル変更処理で行われる「付加特典付与抽選」ともに同じ内容とする。
(8.設定値)
本実施形態のスロットマシン1は、「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルを複数用意してホール等が適宜いずれの判定乱数テーブルを用いるかを予め決めることができる。これは回胴式遊技機等における「設定」と呼ばれるものである。この「設定」では、各当選種類の当選確率を段階的に異ならせた複数の判定乱数テーブルを設けることができる。そしてそれぞれの乱数判定テーブルに「設定値」を対応づけることができる。例えば、複数の判定乱数テーブルを6つ設けた場合、その6つの段階的に分けられた判定乱数テーブルのうち、相対的に各当選確率の高い順番に「設定値6」、「設定値5」、「設定値4」、「設定値3」、「設定値2」、「設定値1」と対応づけるといったことができるのである。
この設定値はホール等が毎日変更したり、あるいは定期的に変更したりすることで出玉調整を可能とするものである。ここでいう「出玉調整」とは、例えば、スロットマシン1の設定値を高く変更してゲームを行わせれば、遊技者が大量のメダルを獲得できる可能性が高くなり、反対にスロットマシン1の設定値を低く変更してゲームを行わせれば、遊技者がメダルを大量に獲得できる可能性が低くなる。このように設定値を高低に変更することによって、ホールが利益を上げたり、または遊技者に利益を還元したりといった調整が可能となるのである。なお、本実施形態のスロットマシン1では、上記の設定値4に相当する各当選種類の当選確率及び判定テーブルを図9に示している。
「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルに対応して「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルも複数用意することができる。即ち、「設定値1」から「設定値6」まで、それぞれ段階的に異ならせた判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル及び、特別判定乱数テーブルともに用意することができるのである。これによって、設定値ごとの差を明確につけることが可能である。換言すると、高い設定値(設定値5または6)では、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」を通じて各当選種類の当選確率を高くし、低い設定値(設定値1または2)では、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」を通じて各当選種類の当選確率を低くして設定値間の差を設けることができるのである。設定値間による差が明確につくと、遊技者がスロットマシン1でのゲームを終日通して行った場合に獲得することが可能なメダルの総枚数をある程度設定値ごとに一定の範囲内に抑えることができる。
また、スロットマシン1の設定値は、ホールが経営形態や集客効果の向上等に合わせて自由に変更することができる。例えば、イベントなどによりホールに多くの遊技者の集客を図りたい場合は設定値を上げる(高い設定値に変更する)割合を増やして多くの遊技者に利益を還元したり、土日祭日等で特別に集客を図らずとも多くの遊技者の集客が見込める場合には設定値を下げる(低い設定値に変更する)割合を増加させてホールの利益を向上させたりすることができる。
(9.スロットマシン1の内部状態の変化と遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、その内部状態が様々な契機より変化することになる。それに伴い遊技状態にも変化が生じることになる。遊技状態の変化が生じる場合としては、
(1)NBゲーム終了後
この場合、先ず第1段階の変化として「通常確率ゲーム」となるのか、「高確率ゲーム」となるのかのいずれかによりスロットマシン1の遊技状態が変化することになる。ここで「高確率ゲーム」となった場合は、次に第2段階の変化として付加あり高確率ゲームとなるのか、「付加なし高確率ゲーム」となるのかのいずれかにより遊技状態が更に変化することになる。
(2)特Bゲーム終了後
この場合、第1段階の変化では必ず「通常確率ゲーム」から「高確率ゲーム」へとスロットマシン1の遊技状態が変化することになる。そして次に第2段階の変化として「付加あり高確率ゲーム」となるのか、「付加なし高確率ゲーム」となるのかのいずれかにより遊技状態が更に変化することになる。
本実施形態のスロットマシン1では、上記の通り遊技状態を変化させることができる。このとき遊技状態が変化した場合、スロットマシン1は動作等の変化を伴わないで内部の制御のみで遊技状態を変化させることができる。即ち、遊技者がゲームを進めていても傍目(外見)では特別な動作の変化が無いので、スロットマシン1の遊技状態に変化があったこと(内部状態が変化したこと)を気付くことが困難である。ここでいう「特別な動作の変化」とは、例えば、リールの回転が通常と異なってぶれたり、ランプの発光(または点灯、点滅、消灯)動作が通常とは異なっていたり、といった遊技者がゲームを進めていくうえで察知することの可能な動作についての変化のことをいう。このようにスロットマシン1では、遊技者に察知されずに密かに遊技状態を変化させることができるのである。
ここで、スロットマシン1の内部の制御で変化が起こる契機は、
(1)NBゲーム終了後に「通常確率ゲーム」に移行した場合(第1段階の変化)
(2)NBゲーム終了後に「高確率ゲーム」に移行した場合(第1段階の変化)
(3)特Bゲーム終了後に「高確率ゲーム」に移行した場合(第1段階の変化)
(4)NBゲーム終了後の第1段階の変化で「高確率ゲーム」に移行し、更に「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
(5)NBゲーム終了後の第1段階で「高確率ゲーム」に移行し、「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
(6)特Bゲーム終了後に第1段階を経て、更に「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
(7)特Bゲーム終了後に第1段階を経て、「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
という第1段階での変化と第2段階での変化とに大きく分けることができる。
本実施形態のスロットマシン1では、上記のいずれの場合においても内部状態の変化を遊技者に向けて特に報知(または教示、明示)することは行わない。つまり遊技者がスロットマシン1のゲームを進めているうえで内部状態の変化に伴い遊技状態が変化したことを視覚的あるいは聴覚的に判断することはできないのである。
従って遊技者は唯一、遊技状態の変化を察知することのできる可能性を持ったNBゲーム終了後のスロットマシン1の挙動を注意して観察しようとする傾向が強くなる。ここでいう「挙動」とは、「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合におけるリプレイの当選状況のことをいう。「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合、リプレイの当選確率が「通常確率ゲーム」に比べて約3倍も高くなるため、リプレイに当選する頻度が「通常確率ゲーム」に比べて増えることになる。従ってリプレイの当選状況(「挙動」)に着目すれば、「付加あり高確率ゲーム」に移行したか、あるいはそうではないかを判断するための目安(指針)とすることは可能である。
ただし、リプレイの当選確率は「通常確率ゲーム」でも1/7と、スロットマシン1の当選種類のうちでも最も高い当選確率の当選種類であるから、「通常確率ゲーム」においても他の当選種類に比べて高い頻度で当選する可能性があるといえる。従って、多少リプレイが連続して当選したとしても、それが即、「付加あり高確率ゲーム」であると判断することは早計であるといえる。つまり、遊技者は自分で遊技状態の変化を予想する目安の一つとしてリプレイの当選状況に着目するが、それだけを根拠にして判断をすることはできないということになる。
その他の場合については遊技状態の変化について、ほとんどその変化を判断することは不可能であるといえる。例えば、特Bゲーム終了後に第1段階の変化を経て第2段階の変化として「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合、一見すると、先のNBゲーム終了後に第1段階の変化として「高確率ゲーム」に移行し、更に第2段階の変化として「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合と同様、リプレイの当選状況に着目すれば判断をし易い状況であるといえる。しかし特Bゲーム自体が全く遊技者の気付かないところで開始され、そして終了してしまうために、リプレイの当選状況の変化に気付かずに「通常確率ゲーム」と思ってゲームを進めてしまう可能性が高いのである。これはリプレイの当選確率が「通常確率ゲーム」でも1/7と高いことから、「通常確率ゲーム」においても頻繁に当選することが多く、また連続して当選することも起こりえるので、多少リプレイが連続して当選したとしても、「付加あり高確率ゲーム」であると気付くことが困難だからである。
上記に示した通り、本実施形態のスロットマシン1では、内部状態の変化について、第1段階の変化及び第2段階の変化ともに遊技者に報知されることはなくゲームが進行することとなる。従って遊技者には絶えず遊技状態が自分の知らないところで変化しているかのような印象を与えることができる。例えば、NBにもCBにも当選しないゲームが長く続いた場合(所謂ハマリ状態)、遊技者は現在の遊技状態がハマリ状態にあるかもしれないと落胆した考えを持つよりも、既に特Bゲームを契機として「付加なし高確率ゲーム」が始まっているかもしれないという期待を抱く傾向が強くなる。これは特Bの当選確率をそれだけ遊技者が当選の期待が持てる程度の確率としたことで遊技者にハマリ状態という消極的な意識を持たせることを極力回避し、「付加なし高確率ゲーム」であるかもしれないという積極的な意識を持たせることが可能となるのである。なお、遊技者が当選の期待が持てる程度の確率について、本実施形態のスロットマシン1では、NBからCBの当選確率の間程度の当選確率のことをいうがこれに限定されることはない。
また、ハマリ状態にあるゲームでリプレイの当選状況に変化を感じ取ることができた(ある程度確信できた)場合、特Bゲームを契機として「付加あり高確率ゲーム」に移行したかもしれないという期待は現実味を帯びてくることになる。更にその確信を抱いてから数回あるいは数十回程度のゲームでNBに当選したとすれば、遊技者は自分が「付加あり高確率ゲーム」に移行したかもしれないと確信したことが正しかったと満足感を得ることができる。
また本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態の変化に応じた各種演出処理を液晶表示部58での演出表示のほか、スピーカ56による効果音、各ランプ60,62,64,66による発光や点灯、更にボーナスフラグ告知ランプ44、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34等も加えた様々な演出態様を実行させることができる。これにより遊技者は視覚的にも聴覚的にも満足して、ゲームに対する興趣を高めていくことになる。
(10.演出処理)
以上は、メイン制御基板92による遊技制御の例であるが、本実施形態のスロットマシン1では、遊技の進行にあわせてサブ制御基板94により演出動作の制御が行われる。
図15は、サブ制御基板94により実行される演出処理の一例を示している。スロットマシン1の電源が投入(電源スイッチ76がONに操作)されると、この演出処理において先ず初期化処理が行われる(ステップS801)。次にメイン制御基板92から送信されるメダル投入コマンドが待ち受けられ(ステップS802)、実際にメダル投入コマンドが送信されると、これに応じて投入音やベット音等を出力させる演出(メダル投入演出処理)が行われる(ステップS803)。
続いて、メイン制御基板92から送信される当選(始動)フラグコマンドが待ち受けられる(ステップS804)。当選(始動)フラグコマンドは、始動レバー18の操作を契機としてメイン制御基板92から送信され、サブ制御基板94では、当選(始動)フラグコマンドを受信すると、それに合わせた演出動作の制御が行われる(ステップS805、始動時演出処理)。ここでの演出動作は例えば、リール始動音の出力や液晶表示部58による画像表示演出等である。
上記の始動時演出処理が行われると、続いて停止情報コマンドが待ち受けられる(ステップS806)。3つの停止ボタン20,22,24のうち、いずれかの停止ボタンが第1番目に押下されると、第1停止情報コマンドがメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信され、第2番目の停止ボタンが押下されると第2停止情報コマンドが、ついで第3番目(つまり最後)の停止ボタンが押下されると第3停止情報コマンドがそれぞれ第1停止情報コマンドと同様にメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される。それぞれの停止情報コマンドを受けてサブ制御基板94では、そのときの当選フラグと停止情報コマンドに応じて演出動作の制御を行うことができる(ステップS807、停止時演出処理)。ここで行われる演出動作としては、各リールの停止ごとにリール停止音を変化させたり、停止したリールのバックライトを消灯させたり、またそのときのリール停止音やリールの消灯に合わせて液晶表示部58で画像表示演出を行わせたりすることが一例として挙げられる。
そして、ステップS808では、判定処理の結果に応じてメイン制御基板92から払出音コマンドや効果音コマンドがサブ制御基板94に送信され、これを受けてサブ制御基板94では払出音出力による演出や効果音出力による演出が行われる。更に、ここではメイン制御基板92から送信される遊技ステータスコマンドが待ち受けられ、受信したコマンドから現在の遊技ステータスが吟味される。このときも受信した遊技ステータスコマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS809、遊技ステータス演出処理)。なお遊技ステータスとは、現在の遊技状態(通常確率ゲーム、NBゲーム等)を表すものである。
(10−1.始動時演出処理)
始動時演出処理では、前述したフラグ処理の結果としてメイン制御基板92より送信される当選フラグ情報コマンドを受けてサブ制御基板94によりその当選フラグ情報コマンドに基づいた演出処理が実行される。本実施形態のスロットマシン1では液晶表示部58、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66等によって様々な演出を実行することができる。また液晶表示部に代えて、役物(キャラクターを模した人形を動かす等)やサイドリール(リール装置10の各リールとは別に演出の一環として始動と停止を遊技者の操作に因らず実行するもの)、またはランプなどの照明(パトライトに代表される回転するライト等)、ドット表示等により演出を行わせることとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示部がなくても遊技者を十分に楽しませることが可能である。
ここで始動時演出処理で行なわれる演出の内容として、
(1)通常ゲーム演出
(2)当選フラグ示唆演出
(3)チャンス示唆演出
(4)連続区間演出A
(5)連続区間演出B
(6)ボーナス当選告知演出
以上の演出が用意されている。
上記の演出についての特徴として、
(1)通常ゲーム演出は、特別に演出として何かを行うのではなく、例えば、背景を時間経過に伴い変化させたり(雲が流れていく、太陽が昇りそして沈んでいく、春夏秋冬といった四季が移り変わっていく等)、キャラクター(主人公)が家でくつろいでいたりする場面(画像)が表示されるものである。換言すると他の演出は全てこの通常ゲーム演出から開始されるということもできる。つまり通常ゲーム演出はこれから何かの演出が行われるかもしれないといった含みを持った演出である。従って、遊技者が通常ゲーム演出により落胆するようなことがない。
(2)当選フラグ示唆演出は、当選フラグコマンド(ハズレ情報コマンドも含む)に基づき、その成立フラグ(NB、CB及び小役、リプレイやハズレ)を遊技者に示唆する内容のものである。例えば、成立フラグがスイカである場合、スイカ図柄をイメージさせる内容(スイカの色やスイカを模した絵等)の画像を表示させたり、あるいはスイカに当選したことを遊技者が察知できるようランプを緑色に発光させたりすることが一例として挙げられる。つまり、いずれの当選種類に当選したのかを直接教えるのではなく、演出等により間接的に遊技者にイメージさせる手掛かりを与えるものが当選フラグ示唆演出である。
(3)チャンス示唆演出は、NBやCBに当選したかもしれないことを遊技者に示唆すものである。例えば、当選種類をイメージするには程遠い模様や絵柄を画像として表示させたり、当選種類をイメージさせる色とは異なる色でランプを発光させたりすることが一例として挙げられる。あくまでもチャンス示唆演出は遊技者に期待を持たせる演出であるので、全ての成立フラグで行われる可能性がある。つまりこの演出が行われたから確実にNBやCBに当選しているとはいえない曖昧さを持った演出であるといえる。
(4)連続区間演出A及び(5)連続区間演出B(以下で連続区間演出と呼称した場合はこの両者を含むものとする)は、チャンス示唆演出よりも高い期待の持てる内容のものである。即ち、成立フラグがNB、CBまた一部の小役、ハズレである場合に行わせるものである。また特Bが成立フラグとなった場合にもこの演出を行わせる。この連続区間演出は他の演出と異なり、複数回のゲームにわたって連続した演出が行われる。一例としては、時代劇(チャンバラ)が繰り広げられたり、大食い競争や綱引き大会が開催されたりすることが挙げられる。
連続区間演出では、演出の最後に必ず結果(結末、勝敗)が表示される。この結果表示はそのまま期待度に対応づけることができる。つまり結果表示が良い結果(幸せな結末、勝利する)となれば、NBやCBに当選したことを確定させることもできるし、あるいは良い結果が得られたとしても、必ずNBやCBに当選したことが確定できるわけではないとすることもできる。これは悪い結果(不幸な結末、敗北する)となった場合も同様に対応づけることができる。
即ち、連続区間演出の結果にどれだけ信頼度を持たせるかによって遊技者がその結果表示に抱く印象を変えることができるのである。ここでいう「信頼度」とは、NBやCBに当選しているか否かをどれだけ正確に結果に反映させているかどうかのことをいう。つまり『良い結果=NBやCBに当選』、『悪い結果=NBやCBに非当選』という図式が成立すれば信頼度は100%となり、それ以下の信頼度では結果とNBやCBに当選したことが必ずしも一致しないということになる。ただし連続区間演出はチャンス示唆演出に比べて遊技者にNBやCBに当選したかもしれないという高い期待を抱かせる演出として位置づけるため、この信頼度は1/2(50%)以上とすることが望ましい。つまり遊技者が連続区間演出を目にするときは1/2以上でNBやCBに当選しているかもしれないという期待を持って演出を最後まで見守ることができるのである。それによって連続区間演出を遊技者にとって重要な演出として位置づけることができるのである。
(6)ボーナス当選告知演出は、NBまたはCBに当選したことを明確に遊技者に告知する内容のものである。例えば、「ボーナス確定!」のメッセージを表示させたり、「ボーナスに当たっていますよ!」などの音声を効果音として発生させたりすることが挙げられる。またボーナス告知ランプ44を点灯させて遊技者にボーナスに当選したことを告知することもこのボーナス当選告知演出の内容に含まれる。
始動時演出処理で実行される演出パターンを具体的に示したものが図16である。この演出パターンテーブルは、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」ごとにそれぞれ別々の演出パターンテーブルを用意することができる。
この演出パターンテーブルは、サブ制御基板94で行われる乱数抽選(以下では、演出抽選と呼称する)の結果をそれぞれの演出に対応付けたものであり、この演出抽選では、演出パターン乱数(0〜99)の中から抽出された乱数値に対応した演出が実行される。
図16(a)は「通常確率ゲーム」における成立フラグと各種演出の関係を表したものであり、表の横方向には各成立フラグ(当選フラグ)を、縦方向には各演出の名称が記載されている。このテーブル表に基づいて、成立フラグごとにいずれの演出を選択するかが決められる。つまり演出抽選は成立フラグに基づいて、その成立フラグごとに行われるものである。
例えば、(a)「通常確率ゲーム」では、成立フラグがハズレフラグであった場合、0〜79までの演出パターン乱数が選ばれると通常ゲーム演出が実行され、80〜89までの演出パターン乱数が選ばれるとチャンス示唆演出が実行される。更に90〜94の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Aが実行され、95〜99の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Bが実行されることになる。この演出パターン乱数は、成立フラグによって各演出の選択範囲(当選許容値)が異なっている。また(a)「通常確率ゲーム」、(b)「高確率ゲーム」によって同じ種類の成立フラグであっても演出パターン乱数により各演出が選択される当選許容値が異なっている。
演出パターンテーブルの特徴について、(a)「通常確率ゲーム」では、
(1)チャンス示唆演出は、全ての成立フラグでその1/10の割合で選択される可能性がある。
(2)連続区間演出は、成立フラグがハズレ、スイカ、NB、CB、特Bである場合に行われる可能性がある。また成立フラグがCBの場合、連続区間演出Bが選ばれることがない。
(3)成立フラグがスイカ、チェリーである場合は当選フラグ示唆演出が選択されやすく、CBである場合はボーナス当選告知演出が選択されやすい。
といったことを特徴として挙げることができる。
(b)「高確率ゲーム」では、
(1)チャンス示唆演出は、成立フラグがハズレ、リプレイ、NB、CBの場合のみ選択される可能性がある。
(2)連続区間演出は、成立フラグがハズレ、スイカ、チェリー、NB、CBである場合に行われる可能性がある。また成立フラグがスイカのときは連続区間演出Bのみが、また成立フラグがチェリーのときは連続区間演出Aのみが選択される可能性がある。
(3)成立フラグがNBまたはCB以外の場合は、通常ゲーム演出が選択されやすい。
といったことを特徴として挙げることができる。
以上の内容から、スロットマシン1はその内部状態の変化が報知されないが、各種演出を内部状態の変化を推測するための判断材料の一つとすることが可能である。つまり遊技者は一つの演出から内部状態の変化を判断するのではなく、複数の演出を積み重ねることによって、より推測を正確なものにしようと努力することになる。従って複数の演出を通して遊技者は総合的に内部状態が変化しているのか否かを判断しようと積極的にゲームを行うこととなり、興趣の低下を招く虞を回避することができる。
(10−2.停止時演出処理)
停止時演出処理では、前述したリール停止処理及び判定処理を受けて演出処理が実行される。停止時演出処理においても始動時演出処理にて行われる各種演出、即ち通常ゲーム演出、当選フラグ示唆演出、チャンス示唆演出、連続区間演出A、連続区間演出B、ボーナス当選告知演出を実行させることができる。ただし当選フラグ示唆演出については、全てのリールが停止する前に演出を実行させることが望ましい。これは当選フラグ示唆演出が遊技者に成立フラグを間接的に教える意味合いを持った演出であるから、全てのリールが停止する以前にこの演出を行わせることで、遊技者が取りこぼしを生じてしまうことを極力回避できるからである。これは全てのリールの停止操作を終えたときに当選フラグ示唆演出を行った場合、例えば、そのときの成立フラグに対応する当選種類を取りこぼしてしまったときなどは、遊技者を不愉快にさせてしまうこともあるからである。
その他の演出処理、つまりメダル投入演出処理及び遊技ステータス演出処理も、停止時演出処理と同様に各種演出を実行させることができる。特に連続区間演出については、複数回のゲームにわたって展開されるものであるから、連続区間演出を上記の各演出処理のいずれからも開始されるものとすることが望ましい。これにより、ゲームの進行に関わる操作のいずれのタイミングからでも、NBやCBに当選した可能性の高い演出が開始されることになり、遊技者はゲームの進行に関わる一つ一つの動作(操作)に期待を持ってゲームを行うことができる。
(10−3.連続区間演出)
連続区間演出は、「通常確率ゲーム」では、成立フラグがハズレ、スイカ、NB、CB、特Bとなった場合に行われる可能性がある。また「高確率ゲーム」では、成立フラグがハズレ、スイカ、チェリー、NB、CBとなった場合に行われる可能性がある。このうちNB、CB、特B以外の成立フラグの場合には連続区間演出の結果表示を失敗または負けの内容の表示とする。つまり連続区間演出が開始されて小役を目押ししたが揃わなかった場合、「通常確率ゲーム」であればNBまたはCBまたは特Bまたはハズレ、「高確率ゲーム」であればNBまたはCBまたはハズレである可能性が高いことになる。従って連続区間演出はその演出の開始とともに遊技者に大きな期待を持たせることのできる演出であるといえる。
特Bが成立フラグである場合、結果表示は成功と失敗をそれぞれ1/2、勝ちと負けもそれぞれ1/2で選択されるものとする。従って連続区間演出では残念な結果(失敗、負け)となり、なおかつ、小役の目押しを正確に行ったが小役が揃わなかった場合、単なるハズレであるのか、それとも特Bに当選していたのかのいずれかとなる。そのうえ、ハズレの場合は1/10の割合でしか連続区間演出が選択されないので、遊技者は落胆することなく特Bに当選している可能性に期待を持つことができる。
NBまたはCBが成立フラグである場合、結果表示は必ず成功あるいは勝利とする。つまり連続区間演出で最後に良い結果(勝利または成功)となれば、NBまたはCBに当選したことが確定し、遊技者を安堵させることができる。これは連続区間演出で遊技者をハラハラドキドキさせた分だけNBまたはCBのいずれかに当選したという喜びを大きなものとすることができるのである。
図17及び図18は、連続区間演出Aで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Aでは、主人公の友達の子供(CB図柄に描かれている子供)が閉店前の「おでん屋」でおでんを完食(食べきれるか)できるか否かが連続した演出(3から5ゲームの間)として行われる。図17(a)は、おでん屋に子供が登場している画像である。(b)は完食目標として画像の左上におでん6串分が表示されており、これから完食を目指そうとしている場面の画像である。(c)では食べ始めた当初の場面の画像であり、閉店まであと5分間という表示がされている。(d)では閉店時間まであと1分と時間が経過して急いで食べきらないと間に合わないために子供が焦っている様子の画像である。(e)では順調におでんを食べている様子の画像であり、残り1串を食べきれば完食となる場面の画像である。(f)では見事に完食(おでんを6串食べきった)した様子を表した画像である。ここまでは連続区間演出Aで成功となったパターン(成功エンディング)を表したものである。
図18(a)は、閉店1分前であるが、既にお腹が一杯になってきて完食が難しい様子を示唆している場面の画像である。(b)では閉店時間前ではあるが満腹となってしまい結局完食できずに失敗となったパターン(失敗エンディング)を表したものである。なおこの失敗エンディングは、制限時間オーバーで失敗となるパターンも用意されている(図示はしない)。どちらの失敗パターンとなるかは適宜抽選により選択することができる。(c)及び(d)は完食が難しそうな場面で逆転(完食できるかもしれない可能性が高いことを示す)を予感させる場面の画像の一例である。この(c)または(d)は、(b)の失敗パターンとなった場合にも発展することがあるため、遊技者は失敗パターンとなっても一時も油断することなく演出に見入ることとなる。つまり演出が(c)または(d)に発展すれば失敗が濃厚だと思われていた状況から一転して成功パターンが近づくこととなる。
また図19及び図20は、連続区間演出Bで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Bでは、主人公の少年のチームが相手チームとで綱引きの試合が連続した演出(3から5ゲームの間)として行われる。図19(a)、(b)は綱引き試合のチーム紹介が行われている場面の画像である。(a)の画像の上半分の同じ顔の男の子が6人いるチームが主人公の少年のチームであり、主人公のチームが勝つと勝利エンディングとなる。画像の下半分のいろいろな顔のキャラクターが6人いるチームが対戦相手のチームである。(c)、(d)では綱引き試合が開始され、(e)では主人公のチームがやや優勢な状況(勝つ可能性が高いことを示唆している)にある様子を表した場面の画像である。対して(f)では、主人公チームが劣勢な状況(負ける可能性が高いことを示唆している)にある様子を表した場面の画像である。この(e)あるいは(f)は連続区間演出Bの最終ゲーム(勝敗結果が表示される)の前のゲームで表示されるものである。これにより遊技者の期待を最大限に高めることができる。
図20(a)及び(b)は、綱引き試合の結果として連続区間演出Bの演出の最後に表示される画像の一例である。(a)は主人公のチームが見事に勝利した場合、(b)は主人公のチームが残念ながら負けた場合(つまり相手のチームが勝利した場合)の様子をそれぞれ表した場面の画像である。
また(c)では、チーム紹介の場面で相手のチームが1人しかいない。これは、主人公のチームが勝利する可能性が高いことを示唆する画像の一例である。そして連続区間演出Bで主人公のチームの勝利が確定する場合に稀に表示される可能性があるプレミアムな場面の画像としている。従って、このプレミアムな場面の画像を見ることをスロットマシン1でゲームをする楽しみの一つに加えることもできる。つまりこのプレミアムな場面の画像を見たことを他の遊技者に自慢したり、あるいはこの場面の画像が表示されたときに周囲の遊技者の羨望の的となったり、といったスロットマシン1のゲームを楽しむ一つの要素となるのである。更に、連続区間演出Bの演出が行われている間に、(d)の応援表示が行われると主人公のチームが勝利する可能性が格段に高くなる。これは連続区間演出Bの演出の中のいずれの場面でも行わせることができる。よって、いつ行われるかわからない応援表示を期待して遊技者は、たとえ綱引き試合に負けそうな展開となっていても最後まで諦めずに演出の成り行きを見守ることができる。