しかしながら、依然として遊技者がボーナスゲームやCT、ATとなることを期待してゲームを続けるというだけの遊技内容では、これらから長らく遠ざかっているうちに遊技者の意欲が減退していく傾向にある。いわゆる通常のゲームが長く続くということである。通常のゲームでは、ボーナスゲームやCT、ATとなることを絶えず期待してゲームを行うことになるので、当初遊技者は遊技意欲を持ってゲームを行っていても、通常のゲームが長く続くことになると次第に飽きてしまい、遊技者が遊技意欲を減退させる傾向がしばしば見られるという事態が問題となっている。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、遊技者の遊技意欲の減退を極力抑えようとするものである。
本発明の技術は、上記課題を解決するために以下の手段を採った。
(解決手段1)
解決手段1は、遊技価値の投入とゲームの開始操作により複数種類の図柄を施した複数の可動表示体の回転を開始させるとともに内部抽選を実行し、前記内部抽選の結果と前記可動表示体の停止操作に基づいて前記複数の可動表示体を停止させ、前記複数の可動表示体の停止時の図柄の表示態様に基づいて1回のゲームの結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに所定の前記内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に予め決められた通常の抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する通常抽選判断手段と、前記通常抽選判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記通常の抽選確率に代えて、前記通常の抽選確率に比して抽選確率が高い特別な抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する特別抽選判断手段と、前記内部抽選手段による内部抽選で当選した当選役に対応する図柄に基づいて前記複数の可動表示体の停止を制御する可動表示体停止制御手段と、前記可動表示体停止制御手段により前記複数の可動表示体の停止制御が行われた結果、前記複数の可動表示体が停止した場合に前記図柄の表示態様として所定個数分の図柄群を表示可能とする図柄表示部と、前記図柄表示部内に表示された所定個数分の図柄群を前記複数の可動表示体にまたがって見た場合に、各々の前記可動表示体について少なくとも1つの図柄を選び出してできる組み合わせのうち、前記当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたときにその組み合わせを有効とする表示位置を決定する有効表示位置決定手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記有効表示位置決定手段により決定された前記有効表示位置に前記当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する当選役図柄表示判定手段と、前記内部抽選の当選役として、一般的な通常遊技状態と比べて遊技者にとって有利さの度合いの高い特別遊技状態へ移行させる契機となる特別当選役と、前記内部抽選の当選役として、前記特別当選役とは別に当該ゲームの結果として遊技価値を与える一般小役と、前記内部抽選の当選役として、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役と、前記内部抽選の当選役として、遊技の進行に関する動作態様を前記通常遊技状態から変化させることなく同様とする一方、前記通常遊技状態とは異なる特殊遊技状態へ移行させる契機となる特殊当選役と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記特別当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、所定の条件が成立するまで前記特別遊技状態にてゲームの進行を制御する特別遊技状態制御手段と、前記特別遊技状態制御手段により前記特別遊技状態にてゲームの進行が制御されると、前記通常遊技状態に比して遊技者に付与する遊技価値の付与機会を増加させる遊技価値付与機会増加手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記一般小役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、前記一般小役に対応する規定数の遊技価値を遊技者に付与する一般小役遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記再ゲーム役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させる再ゲーム実行手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、特定の条件が成立するまで前記特殊遊技状態にてゲームの進行を制御する特殊遊技状態制御手段と、少なくとも1つ以上の当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第一抽選確率変更手段と、前記第一抽選確率変更手段による前記当選役についての抽選確率の変更を、前記特殊遊技状態が終了すると実行させる第一抽選確率変更実行手段と、前記特別遊技状態が終了する場合、前記第一抽選確率変更実行手段による前記当選役についての抽選確率の変更を実行させるか否かを決定する第一抽選確率変更実行可否手段と、前記第一抽選確率変更実行手段による前記当選役についての抽選確率の変更が実行されたうえでゲームの進行を制御する第一抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第一抽選確率変更手段により抽選確率が変更される前記当選役とは別に、その他の当選役について抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第二抽選確率変更手段と、前記第一抽選確率変更実行手段により前記当選役についての抽選確率の変更が実行される場合、前記第二抽選確率変更手段による前記その他の当選役についての抽選確率の変更を必ず実行させる第二抽選確率変更実行手段と、前記第二抽選確率変更手段による前記その他の当選役についての抽選確率の変更が実行されたうえでゲームの進行を制御する第二抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第二抽選確率変更遊技状態制御手段により前記第二抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行が制御されている状態で前記内部抽選の結果として前記特殊当選役が得られた場合、その特殊当選役を契機として開始される前記特殊遊技状態が終了すると、前記第二抽選確率変更手段実行手段により抽選確率が変更されている前記その他の当選役についての抽選確率を前記特別な抽選確率から前記通常の抽選確率に戻す第一抽選確率復帰手段と、前記第一抽選確率変更遊技状態制御手段により前記第一抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行が制御されている状態で前記内部抽選の結果として前記特殊当選役が得られた場合、その特殊当選役を契機として開始される前記特殊遊技状態が終了すると、前記第二抽選確率変更実行手段による前記その他の当選役についての抽選確率の変更を実行させずに前記第一抽選確率変更遊技状態が維持されたうえでゲームの進行を制御する第一抽選確率変更遊技状態維持制御手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技価値の投入が行われた状態で遊技者によるゲームの開始操作が受け付けられると、複数種類の図柄の施された複数の可動表示体を回転させるとともに内部抽選を実行し、その内部抽選の結果と遊技者による停止操作に基づいて可動表示体の全てが停止すると、そのときの図柄の表示態様に応じて1回のゲームの結果が判断される。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の開始操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選手段の行う内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、その中から1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を予め決められた当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果とそれぞれの当選結果に対応する当選役が予め決められている。これらの当選役は、種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には当選役別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する当選役に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値(所定の数値範囲内)に占める当たり値の数の割合から当選役の当選確率が算出される。
通常の遊技状態においては、当選役別に予め決められた所定の抽選確率(通常の抽選確率)にしたがい、通常抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される。ここでいう「通常の遊技状態」とは、いわゆる一般的な通常遊技状態のことを指し、特定の当選役について有利な条件が設けられたり、あるいは特定の当選役について不利な条件が設けられたりしていない、フラットな状態のことをいう。つまり、通常遊技状態とは、遊技者に特別に有利となる特典を与えたり、反対に不利となる特典を与えたりすることのない遊技状態のことである。よって、所定の抽選確率(通常の抽選確率)は通常遊技状態で行われる内部抽選の当選結果を判断する抽選確率ということになる。
また、特定の当選役についてその抽選確率が、上記の通常の抽選確率と比べて高い特別な抽選確率を通常の抽選確率とは別に設けている。特定の当選役についての抽選確率に特別な抽選確率が適用されている場合は、特別抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される。この特別抽選判断手段により内部抽選の当選結果が判断される遊技状態を、通常の遊技状態と区別するために「特別抽選遊技状態」と呼ぶ。「特別抽選遊技状態」では、特定の当選役の抽選確率が通常の抽選確率に比べて高い抽選確率となるため、特定の当選役については有利な条件が設けられていることになる。つまり、内部抽選で特定の当選役に当選し易いということである。
特定の当選役に当選し易いということは、言い換えれば特定の当選役の抽選確率が高いということである。つまり、特定の当選役の当たり値の範囲(幅)が通常の抽選確率における特定の当選役の当たり値の範囲(幅)に比べて広くなっているということである。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。当選役のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄されるものもあれば、次回以降のゲームまで持ち越されるものもある。
上記の当選役には、遊技価値の付与を伴う一般小役と、通常遊技状態と比べて遊技者にとって有利さの度合いの高い特別遊技状態に移行させる契機となる特別当選役、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲーム(今回のゲーム)の掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役とが含まれている。これらの当選役にはそれぞれ対応する図柄が予め決められており、以下では、この当選役に対応する図柄のことを、当選役図柄と呼称する。
また、当選役のなかには上記の当選役とは別に、ゲーム(遊技)の進行に関する動作態様を通常遊技状態から変化させることなく同様のものとする一方で、実際は別の遊技状態(特殊遊技状態)に移行させる契機となる特殊当選役が設けられている。ここでいう「ゲームの進行に関する動作態様」には、可動表示体の動作状況(または作動状況)や、視覚的、聴覚的、触覚的に遊技者が感じることのできる動作が含まれる。このとき遊技機の内部では、別の遊技状態に移行させる制御が行われることになるが、遊技機の外見上は通常遊技状態のゲームが進行している場合と全く変わりが無いので、遊技者に特殊遊技状態が開始されているということを認識させることがない。従って、特殊遊技状態では、これらの動作態様を通常遊技状態と同じものとすることで、遊技者に特殊遊技状態という通常遊技状態とは別の遊技状態であることを意識させることなくゲームを進行させることができる。
図柄は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り文字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。この図柄のなかには、上記の当選役図柄や、当選役図柄に該当しない図柄(ハズレ図柄)を含むことができる。これらの図柄はそれぞれの可動表示体に所定個数分が付されている。遊技者により全ての可動表示体の停止操作が受け付けられると、そのときの内部抽選の当選結果に基づいて各可動表示体の停止制御が行われる。
図柄表示部は、各可動表示体の図柄を所定個数分の図柄群として表示することが可能となっており、遊技者は可動表示体の回転中は回転している図柄群を、あるいは可動表示体の停止時には所定個数分の図柄群を図柄表示部内に視認することができる。そして、最終的に全ての可動表示体が停止すると可動表示体ごと図柄表示部内に停止した図柄からなる図柄群が形成される。この図柄表示部内に表示された図柄群からなる態様が最終的な図柄の表示態様となる。
また、上記の所定個数分の図柄数を増減させることにより、図柄表示部内に表示される図柄の総個数を増減させることもできる。つまり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定個数×可動表示体の数」として表すことができ、所定個数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の最大個数が増えることになる。また、可動表示体の数を増やせば、その分だけ図柄表示部内に表示される図柄最大個数も増えることになる。従って、図柄表示部内で表示される図柄の表示態様のバリエーションを豊富にすることができる。
図柄表示部内で表示される図柄の表示態様は、所定個数分の図柄群と可動表示体の数によって無数のものとすることもでき、内部抽選の当選結果が同一のものであったとしても、異なる図柄の表示態様を遊技者に見せることができる。
また、各可動表示体の停止により図柄表示部内に表示される図柄群のうち、それぞれの可動表示体から少なくとも1つずつ図柄を選び出したときにできる全ての可動表示体にまたがった図柄の組み合わせのうち、有効となる表示位置が決められる。ここでいう「有効となる表示位置」とは、全ての可動表示体の停止時に特定の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、特定の当選役に対応する特典を付与させることのできる図柄表示部内での表示位置のことをいう。つまり、内部抽選の抽選結果として得られた当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが図柄表示部内の「有効となる表示位置」に表示されて初めてその当選役に対応した特典を得ることができることになる。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう(直線型)。直線型以外の組み合わせとしては、への字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となる組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせのうち、複数種類が同時に有効となる態様とすることもできる。つまり、直線型及びV字型のいずれかの有効となる表示位置に特定の当選役に対応する図柄が停止すれば特定の当選役に対応する特典を付与することができることになる。
また、遊技価値の掛け数に応じて有効となる表示位置を変更させることもできる。即ち、「1回のゲームごとに掛けられた遊技価値の掛け数に応じて図柄表示部内の有効となる表示位置を変更させる」という構成とすることである。この構成によれば、遊技価値の掛け数を増やせば、図柄表示部内で有効となる表示位置を増やすことができる。従って、遊技価値の掛け数をできる限り多くしてゲームを行えば、いずれかの当選役に当選している場合、それだけ該当する当選役図柄が有効となる表示位置に表示される可能性が高くなる。
更に、有効となる表示位置を各可動表示体から複数の図柄を選び出してできる組み合わせとすることもできる。これは図柄表示部内に表示されている各可動表示体からそれぞれ2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ、あるいは、各々の可動表示体から2個、2個、1個と図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体からは複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせとすることである。このような組み合わせは、各可動表示体から少なくとも1個の図柄を選び出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを遊技者が視認しづらいものとなる。
全ての可動表示体が停止すると、図柄表示部内の有効な表示位置にいずれかの当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが表示されたか否かが当選役図柄表示判定手段によって判定される。ここで、当選役図柄の組み合わせとしては、全て同種類の当選役図柄の組み合わせや、全て異なる種類の当選役図柄の組み合わせ、1組は同種類の当選役図柄を含んだ複数の異なる種類の当選役図柄組み合わせ等が挙げられる。また、少なくとも1つの当選役図柄を含んだ組み合わせであれば、その他の図柄に関係なく当選役図柄の組み合わせとなるものを挙げることもできる。これらの当選図柄の組み合わせが図柄表示部内の有効となる表示位置に表示されると、その当選役に対応した特典が付与されることとなる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特別当選役に対応する特別当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特別遊技状態へ移行されることになる。この特別遊技状態では遊技者にとって有利な特典が付与される。また、特別遊技状態は、少なくとも通常遊技状態に比べて遊技者にとっての有利さの度合いの高い遊技状態ということもできる。ここで、特別遊技状態にて遊技者に与えられる特典としては、大量の遊技価値を獲得させる機会の付与や、遊技価値を消費することなくゲームを進行させる機会の付与等が挙げられる。従って、遊技者は、いかに多く特別当選役に当選することができるかという点に興味を持つこととなる。
また、特別遊技状態は、所定の条件が成立すると終了することになる。ここでいう所定の条件としては、予め決められた回数のゲーム数に達した場合や、終了条件としての当選役を設けて、その当選役に当選すると特別遊技状態を終了させる場合等が挙げられる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合、そのゲーム結果としては遊技価値の付与を伴わず当該ゲーム(今回のゲーム)を終了させることもできる。即ち、特別当選役図柄の組み合わせが表示されたゲームでは遊技価値の付与は行われず、次回のゲーム開始から特別遊技状態の特典が付与されることとなる。この場合、遊技者はできるだけ早く次回のゲームを開始させて特別遊技状態での特典を得ようとゲームを進めることとなる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合に、そのゲーム結果として遊技価値の付与を伴わせることもできる。この場合、特別当選役に対応して付与される規定数の遊技価値を決めておくことで、遊技者が遊技価値を獲得したうえで、更に次回のゲームから特別遊技状態での特典を得ることができる。
特別当選役図柄からなる組み合わせとして、少なくとも1つ以上の特別当選役図柄が含まれている組み合わせを含めることもできる。即ち、図柄表示部内で有効となる表示位置に1つの特別当選役図柄が表示されれば、特別当選役に対応する特典が付与されることになる。従って、遊技者の停止操作の時機がずれることにより、いつまでも特別当選役図柄を図柄表示部内の有効となる表示位置に停止させることができないという事態が回避され、これにより、遊技者が特別当選役図柄を表示させるまでに消費する遊技価値の量を軽減させることができる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に一般小役に対応する一般小役図柄からなる組み合わせが表示されると、一般小役に対応する特典として規定数の遊技価値が遊技者に付与されることになる。そして、一般小役に当選することが増えれば、それだけ遊技価値を増加させることが可能になるので、遊技者はできるだけ一般小役に当選したいと願いながらゲームを行うことになる。
また、一般小役は複数の種類を設けることができる。即ち、「一般小役として複数の異なる種類の当選役を設けることができる」ということである。この場合、それぞれの一般小役に対応する当選役図柄も別々に設け、更にそれぞれの一般小役に応じて付与される遊技価値の規定数を異ならせると、一般小役を含めた当選役の種類を増やすことができる。このように一般小役の種類を増やすと、全ての当選役の種類も増えることとなる。従って、様々な当選役に当選する可能性が増えるので遊技者を飽きさせてしまうといった事態を極力減少させることができる。
一般小役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様に、少なくとも1つ以上の一般小役図柄が含まれていればよいものとすることもできる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ一般小役図柄が有効となる表示位置に表示されれば一般小役に対応する特典を得ることが得られることになるので、遊技者が一般小役図柄を前述した有効となる表示位置に停止させるための操作の難易度を下げることが可能となる。ここでいう「難易度」とは遊技者個々のゲームの熟練度や技量のことをいう。
図柄表示部内の有効となる表示位置に再ゲーム役に対応する再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示されると、再ゲーム役に対応する特典として、遊技状態が再ゲーム状態へ移行されることになる。この再ゲーム状態とは、遊技者が改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲーム(今回のゲーム)の掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させることができる状態のことをいう。つまり、再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示された場合、遊技者は遊技価値を新たに消費せずに1回分のゲームを行うことができることになる。そして、再ゲーム役に当選することが多くなれば、その分だけ遊技価値の消費を抑えることができ、遊技者が、単位時間当たりに消費する遊技価値の量をある程度一定の範囲内に抑えることが可能となる。従って、遊技者が一方的に遊技価値の消費を強いられるといったことを極力減らすことができる。
再ゲーム役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様、少なくとも1つ以上の再ゲーム役図柄が含まれていればよいもとすることもできる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ再ゲーム役図柄を表示させれば再ゲーム役の特典が得られることになるので、遊技者が再ゲーム役図柄を前述した有効となる表示位置に停止させるための操作の難易度を下げることが可能となる。特に再ゲーム役については、遊技者が過度に遊技価値を消費する事態を緩和させる当選役としての役割を持たせることもできるので、望ましくは、遊技者が再ゲーム役図柄を停止させるための操作の難易度を下げて、内部抽選で再ゲーム役に当選となった場合には、遊技者の技量に関わらず再ゲーム役図柄の組み合わせが表示されるものとすることがよい。これにより、遊技者が極力再ゲーム役に対応する特典を得ることが可能となる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特殊当選役に対応する特殊当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特殊遊技状態へ移行されることになる。この特殊遊技状態は、ゲームの進行に関する動作態様が通常遊技状態と同じで、遊技者には通常遊技状態としてしか認識させない遊技状態である。即ち、特殊遊技状態に移行してから、特殊遊技状態が終了するまで全く通常遊技状態と変わらない態様とすることで遊技者にはあたかも通常遊技状態が継続しているという認識を持たせる遊技状態である。また「通常遊技状態」と差異が見られる動作態様には、遊技者がゲームの開始操作や可動表示体の停止操作を行う際に通常遊技状態でのゲーム(以下では、通常のゲームという)と異なる動作制御が行われたり、通常のゲームとは異なる図柄の表示態様が表示されたりといったことが挙げられる。。つまり、明らかに通常遊技状態とは異なることを遊技機の外観上から遊技者が認識(または、意識、察知)できるほどの差異が生じることをいう。
特殊遊技状態は、特定の条件が成立すると終了することになる。ここでいう特定の条件としては、予め決められた回数のゲーム数に達した場合や、終了条件としての当選役を設けて、その当選役に当選すると特殊遊技状態を終了させること等が挙げられる。
また、特殊当選役図柄の組み合わせとしては、特殊当選役を意識させる象徴的な図柄を設けずに、既存の複数種類の図柄をその組み合わせとして用いることができる。つまり、特殊当選役は、専用の図柄の組み合わせとするのではなく、あくまで別の象徴的な意味を持つ図柄を複数組み合わせてできる組み合わせを特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせ(以下では、特殊当選役図柄の有効な組み合わせという)とすることになる。ここでいう「別の象徴的な意味を持つ図柄」、「既存の複数種類の図柄」とは、特別当選役図柄や一般小役図柄、再ゲーム役図柄等のことをいう。
特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとするのは、遊技者に特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたことを認識させないためである。また、特殊当選役図柄の組み合わせを単なるハズレ図柄からなる組み合わせとすることもできる。この場合、図柄表示部には単にハズレとしてしか遊技者に認識されない図柄の組み合わせが表示されることとなるので、遊技者に特殊当選役に当選したこと(特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたこと)を認識させることがない。
また、特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとすることや、あるいはハズレ図柄からなる組み合わせとすることは、遊技者が特殊当選役図柄の有効な組み合わせを停止させる操作の難易度を下げることにもつながる。即ち、複数種類の図柄からなる組み合わせや、ハズレ図柄からなる組み合わせは、通常のゲームでは頻繁に表示されるからである。
具体的には、内部抽選でいずれの当選役にも当選しなかった場合は、当選結果はハズレとなり、いずれの当選役に対応した図柄の組み合わせも表示されない停止制御が行われる。従って、複数種類の図柄からなる組み合わせは、いずれかの当選役に対応する図柄の組み合わせを回避する際に表示され易い組み合わせといえる。
また、ハズレ図柄からなる組み合わせも、その組み合わせが表示された際に遊技者にハズレとしての印象しか与えないものであるので、特殊当選役図柄の有効な組み合わせとするのに適している。つまり、当該ゲーム(今回のゲーム)において内部抽選で特殊当選役に当選した場合、当該ゲームにおいて特殊当選役図柄の有効な組み合わせを表示させることが可能となる。従って、遊技者に全く認識されずに速やかに特殊遊技状態を開始させることができる。
本発明の遊技機では、特定の条件が成立すると、少なくとも1つの当選役についての抽選確率を変更させることができる。ここでいう抽選確率の変更とは、通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更させることをいう。抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更されるということは、少なくとも1つの当選役について当選し易くなることを意味する。ここで、少なくとも1つの当選役としては、特別当選役をはじめとする当選役の中からいずれかを選ぶことができる。言い換えれば、「少なくとも1つの当選役としていずれの当選役をも選択しうる」ということである。上記の特定の条件としては、特別遊技状態の終了後や、特殊遊技状態の終了後を挙げることができる。
特殊遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率が特別な抽選確率に変更される。即ち、特殊遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役については必ず特別な抽選確率で内部抽選が実行されることになる。従って、特殊遊技状態を契機として少なくとも1つの当選役について当選し易い状態が作り出されることになる。
特別遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させるか否かが決められる。即ち、特別遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役について特別な抽選確率で内部抽選が実行されるかもしれないという期待が持てることになる。従って、特別遊技状態を契機として少なくとも1つの当選役について当選し易い状態が作り出される期待が持てることになる。これは、特別遊技状態の終了後は、特殊遊技状態の終了後とは異なり、必ずしも当選役のいずれかが特別な抽選確率に変更されるとは限らないからである。仮にこのとき、特別な抽選確率に変更されなかった場合、特別遊技状態が終了すると通常の抽選確率が内部抽選で適用されることになる。
少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させることが決まると、その契機となった特別遊技状態、または特殊遊技状態の終了直後より開始されるゲームから、少なくとも1つの当選役について当選しやすい状態となる。このときの遊技状態が前述した特別抽選遊技状態ということになる。
遊技状態が「特別抽選遊技状態」へ移行することが決定した場合、第一抽選確率変更手段によって特別な抽選確率に変更される当選役とは別に、第二抽選確率変更手段によって、その他の当選役についての抽選確率も必ず特別な抽選確率に変更させることができる。この結果、複数の当選役について当選しやすい状態が作り出されることになる。また、ここでいう「その他の当選役」についても、少なくとも1つ以上の当選役を選ぶことができる。従って、第一抽選確率変更遊技状態と第二抽選確率変更遊技状態を比較すると、当選しやすい当選役が多い分だけ、第二抽選確率変更遊技状態が遊技者にとって有利さの度合いが高い遊技状態といえることになる。
第二抽選確率変更遊技状態は、第一抽選確率変更遊技状態(特別抽選遊技状態)に更に付加的な価値(その他の当選役についても当選し易い状態になる)が加えられたものである。この付加的な価値が加えられた第二抽選確率変更遊技状態のことを、付加的な価値の加えられていない特別抽選遊技状態(第一抽選確率変更遊技状態)と区別するために「付加特別抽選遊技状態」と呼称する。また、以下で、特別抽選遊技状態という場合は、付加的な価値の加えられていない第一抽選確率変更遊技状態のことを指す。
本発明の遊技機では、付加特別抽選遊技状態で特殊当選役に当選した場合、その当選した特殊当選役を契機として、遊技状態が特別抽選遊技状態に変更されることになる。つまり、当選しやすい状況にある当選役の種類が減ることとなる。そして、特別抽選遊技状態に移行してから再度、特殊当選役に当選しても、その特殊当選役を契機として遊技状態を付加特別抽選遊技状態に移行させることはせず、特別抽選遊技状態を維持させる。つまり、一度特別抽選遊技状態に移行すると、特殊当選役に何度当選しても遊技状態は変わらないということになる(ただし、特殊遊技状態を間に挟んでということである)。
従って、望ましくは、特別抽選遊技状態で当選し易くなる当選役としては特別当選役を選び出すことがよい。そして、付加特別遊技状態で当選し易くなるその他の当選役としては、特殊当選役を含め一般小役、再ゲーム役等から選び出すことがよい。このようにすれば、特別抽選遊技状態は特別当選役に当選しやすい遊技状態、即ち、遊技価値を大量に獲得できる機会が付与され易い(通常遊技状態に比べて)遊技状態となるが、その他の当選役については当選し易い(抽選確率が高い)状態とはならないので、通常遊技状態と変わりない当選状況(当選する度合い、頻度)になる。
一方、付加特別抽選遊技状態では、特殊当選役を含め一般小役、再ゲーム役等から少なくとも1つ以上の当選役について当選し易い(抽選確率が高い)状態となるので、通常遊技状態と比べれば当選状況に変化の見られる当選役が生じることになる。従って、本発明の遊技機で遊技状態を見極める(即ち、付加特別抽選遊技状態であるのか、それとも別の遊技状態であるのか)ことに遊技者の関心を向けさせることができる。
更に、付加特別抽選遊技状態における特別当選役と特殊当選役の当選し易さの度合いを変えることで、遊技状態の変化を多様なものとすることができる。当選し易さの度合いは大きくは以下の2つを挙げることができる。
(1)特別当選役≧特殊当選役
この場合、特殊当選役に比べて特別当選役が当選し易い(抽選確率が高い、抽選確率が同じ場合も含む)ことになり、付加特別抽選遊技状態で特殊当選役に当選するよりも特別当選役に当選する可能性が高いことになる。つまり、遊技状態が特別抽選遊技状態に移行する可能性は低いといえる。一方、
(2)特別当選役<特殊当選役
この場合、特殊当選役に比べて特別当選役が当選しにくい(抽選確率が低い)ことになり、付加特別抽選遊技状態で特別当選役に当選するよりも特殊当選役に当選する可能性が高いことになる。つまり、遊技状態が特別抽選遊技状態に移行する可能性が高いといえる。
特別抽選遊技状態で特別当選役を当選しやすい当選役として選んだ場合に、上記の(2)の通り、特別当選役と特殊当選役の当選し易さの度合いを決めると、遊技状態が付加特別抽選遊技状態から特別抽選遊技状態に移行すると、特別当選役のみが当選し易い状態へと変更され、その他の当選役については通常遊技状態と同じ状況となる。従って、遊技者には、通常遊技状態に移行した(この場合、降格したともいう)のではないかという印象を与えることになる。
しかし、実際は特別当選役に当選し易い状態は継続しているので、通常遊技状態に比べて短いゲームの試行回数を要するだけで特別当選役に当選する可能性は高い状態といえる。従って、多くの場合、遊技者は特別抽選遊技状態に移行してから短いゲーム数の試行で特別当選役に当選することになる。これにより遊技者には、付加特別抽選遊技状態から通常遊技状態に降格したのではなく、別の遊技状態に移行したのではないかという印象を与えることができる。つまり、このときの別の遊技状態こそが遊技者にとっての最も有利な状態(特別当選役に当選しやすい状態)であるという認識を与えることができる。従って、遊技者は遊技状態を察知しようと目標を持ってゲームを行うこととなり、遊技意欲を減退させてしまうといった事態が極力回避されることになる。
(解決手段2)
解決手段2は、解決手段1に記載の遊技機において、前記特別遊技状態制御手段が、前記特別遊技状態において遊技の進行に関する動作態様を前記通常遊技状態から変化させて前記通常遊技状態と遊技状態を異ならせることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態が特別遊技状態に移行すると、遊技機の内部及び外部の動作を通常遊技状態での動作と異ならせることができる。異なる動作には、可動表示体の回転動作を通常のゲームとは異なる動作としたり、ランプ等の発光態様を通常のゲームから変化させたりすること等を含めることができる。即ち、特別遊技状態を通常遊技状態の動作態様と外見上の動作態様の異なる別の遊技状態とすることができることをいう。これにより、遊技機の見た目からも現在の遊技状態が通常のゲームとは異なることを遊技者に認識させることができる。従って、特別遊技状態でのゲームが他のゲームに比べて分かり易いものとなり、遊技者が安心してゲームを行うことができる。
(解決手段3)
解決手段3は、解決手段1または2に記載の遊技機において、前記特殊遊技状態制御手段が、前記特別遊技状態制御手段により制御される前記特別遊技状態と異なり、前記特殊遊技状態において遊技の進行に関する動作態様を前記通常遊技状態から変化させることなく前記通常遊技状態と遊技状態を異ならせることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態が特殊遊技状態に移行した場合に、特別遊技状態と違い、遊技機の外部の動作を通常遊技状態の動作と変えることなく同様のものとする。つまり、可動表示体の回転動作を通常のゲームとは異なる動作としたり、ランプ等の発光態様を通常のゲームから変化させたりすることを行わない。即ち、通常遊技状態の動作態様と外見上の動作態様を変えることなく遊技機内部での動作態様を変えることができる。これにより、遊技機の見た目では通常のゲームであるのか、それとも特殊遊技状態であるのかを区別することができないものとなる。従って、遊技者にあたかも通常遊技状態でゲームが進んでいるかの印象を与えながら遊技状態を特殊遊技状態に変更させることができる。
(解決手段4)
解決手段4は、解決手段1から3のいずれかに記載の遊技機において、前記第一抽選確率変更手段が、少なくとも1つの当選役として前記特別当選役の抽選確率を通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させることを特徴とする遊技機である。
第一抽選確率変更手段は、抽選確率を変更させる当選役のうち、特別当選役を必ず含めることができる。即ち、特別抽選遊技状態は、特別当選役に当選し易い状態ということになる。従って、遊技者が大量の遊技価値を獲得するためには、いかに多く特別抽選遊技状態に移行するかによるところとなる。
また、第一抽選確率変更手段により抽選確率を変更させる当選役を特別当選役とすることにより、第二抽選確率変更手段により抽選確率が変更されるその他の当選役としては、特別当選役以外の当選役を選ぶことができることになる。即ち、付加特別抽選遊技状態は、特別当選役に加えてその他の当選役(特別当選役以外の当選役)に当選しやすい状態ということになる。
従って、付加特別抽選遊技状態では、遊技者が大量の遊技価値を獲得できる可能性が高まるとともに、それ以外の価値(付加価値)も付与されたゲームが行われることになる。ここでいう「付加価値」には、通常遊技状態に比べて一般小役に当選し易くすることや、再ゲーム役に当選し易くすることなどが含まれる。「付加価値」が附けられることで、遊技者が遊技価値の消費量を抑えたり、、あるいは特別当選役に当選するまでに遊技価値を増加させたりといった利益を得ることができる。
(解決手段5)
解決手段5は、解決手段1から4のいずれかに記載の遊技機において、前記通常遊技状態及び前記第一抽選確率変更遊技状態及び前記第二抽選確率変更遊技状態のいずれの場合も、前記内部抽選で抽選される抽選対象である当選役の種類を変えることなく前記内部抽選を実行させる抽選対象不変実行手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、通常遊技状態、特別抽選遊技状態、付加特別抽選遊技状態を通じて、内部抽選での抽選対象となる当選役の種類が変更されることが無い。つまり、抽選対象となる当選役が遊技状態によって異なるということが無くなるので、これら3つの遊技状態を区別しにくいものとすることができる。特に通常遊技状態と特別抽選遊技状態では、特別当選種類の抽選確率のみが異なっているため、その他の当選役の当選状況(当選する頻度)については変わりが無い。従って、抽選対象が全く変わらなければ、通常遊技状態か特別抽選遊技状態か区別することは困難なものとなる。
また、本発明の遊技機では、「特別遊技状態及び特殊遊技状態においては、内部抽選での抽選対象となる当選役を新たに設けることができる」または「特別遊技状態及び特殊遊技状態においては、内部抽選での抽選対象となる当選役の種類を変更させることができる」という別の構成をとることもできる。この場合、特別遊技状態及び特殊遊技状態でのみ有効となる当選役を新たに設けることができることになる。また、特別遊技状態及び特殊遊技状態では通常遊技状態や特別抽選遊技状態と比べて抽選対象を異ならせることができることになる。
内部抽選での抽選対象として新たな当選役(以下では、専用役と呼ぶ)を設ける場合、既存の当選役に対応する図柄の組み合わせ以外の組み合わせを専用役に対応する図柄の組み合わせとすることも可能になる。これは、複数の異なる図柄の組み合わせを特別遊技状態及び特殊遊技状態でのみ有効となる専用役に対応する図柄の組み合わせとすることも含まれる。従って、遊技者が専用役に対応する図柄の組み合わせを停止させるための停止操作を意識的に行わない場合でも、専用役に対応する図柄の組み合わせを停止させることが可能となる。従って、遊技者の技量(熟練度)の差によって特別遊技状態及び特殊遊技状態で獲得できる遊技価値の数に生じる差を極力小さな差とすることができる。
(解決手段6)
解決手段6は、解決手段1から5のいずれかに記載の遊技機において、前記特別遊技状態が終了し、前記第一抽選確率変更実行可否手段により前記第一抽選確率変更手段による前記抽選確率の変更が実行されない場合、前記特別遊技状態の終了後の遊技状態を前記通常遊技状態に復帰させる通常遊技状態復帰手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
特別遊技状態の終了後に遊技状態が特別抽選遊技状態に移行しなかった場合、遊技状態は通常遊技状態に戻される。この場合、特別抽選遊技状態(または付加特別抽選遊技状態)では特別当選役に当選するごとに継続することになるのか、あるいは終了してしまうことになるのか決められることになる。即ち、〔 特別抽選遊技状態(または付加特別抽選遊技状態)→特別遊技状態→通常遊技状態 〕と遊技状態が移行することとなる。
また、通常遊技状態では、特別遊技状態を挟んで通常遊技状態が続くこととなる。即ち、〔 通常遊技状態→特別遊技状態→通常遊技状態 〕と遊技状態が移行することとなる。
また、特別遊技状態は、遊技者に大量の遊技価値を獲得させる機会が集中して付与されるものであり、遊技者が意識して特別遊技状態でのゲームをすることとなる。従って、特別遊技状態を契機とすると、遊技者にはその契機が分かり易いものとなる。よって、特別遊技状態で大量の遊技価値を獲得できた遊技者の次の関心は、遊技状態が付加特別遊技状態になるのか、それとも通常遊技状態になるのかということになる。
(解決手段7)
解決手段7は、解決手段1から6のいずれかに記載の遊技機において、前記一般小役が、複数種類の一般小役を含むことを特徴とする遊技機である。
この場合、一般小役は複数種類用意することができる。これに伴い、各々の一般小役に対応する当選役図柄も複数種類用意できる。あるいは、一般小役として有効となる図柄の組み合わせも複数種類設けることができる。従って、図柄の表示態様(または、図柄の組み合わせ)のバリエーションを増やすことができ、変化に富んだ図柄の表示態様(または、図柄の組み合わせ)を遊技者に提供することができる。
このなかには、更に「当選役図柄の組み合わせとして少なくとも1つの当選役図柄を含むだけで当選役として有効となる単小役」を設けることもできる。即ち、全ての可動表示体が停止した際の当選役図柄の組み合わせに1つの当選役図柄が含まれていれば、その当選役に対応する特典を付与させることができるのである。従って、遊技者が全ての可動表示体を停止させる操作の負担(つまり、当選役図柄の組み合わせを停止させるために毎回全ての可動表示体を正確に狙って停止させる負担)を軽減させることができる。
(解決手段8)
解決手段8は、解決手段1から7のいずれかに記載の遊技機において、前記特殊当選役が、対応する図柄の組み合わせとして、複数の異なる種類の図柄を含むことを特徴とする遊技機である。
この場合、特殊当選役は、それ専用の当選役図柄を持っていない。即ち、遊技者が特殊当選役として認識できる図柄、つまり、象徴的な図柄を持たないことになる。更に、特殊当選役として有効となる組み合わせは複数の異なる種類の図柄の組み合わせとなっているので、特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合、そのことを遊技者に気付かせることがない。従って、速やかに、かつ、遊技者に知られぬうちに特殊遊技状態に移行させることができる。
(解決手段9)
解決手段9は、解決手段1から8のいずれかに記載の遊技機において、前記内部抽選の当選結果として前記特殊当選役が得られた場合、当該ゲームで前記特殊当選役に対応する図柄の組み合わせを前記有効となる表示位置に停止させる制御を行う特殊当選役図柄停止制御手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、内部抽選で特殊当選役に当選すると、今回のゲーム(当該ゲーム)で特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせが必ず停止することとなる。即ち、特殊当選役は遊技者による各可動表示体の停止操作の技量に関わらず特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせを停止させることができるのである。ここで「停止操作の技量」とは、遊技者が回転している可動表示体の図柄のうち、自分が図柄表示部内に表示させたいと所望する図柄を停止させることができる度合いのことをいう。即ち、遊技者の停止操作の熟練度であるということもできる。
また、特殊当選役は、その当選したことから、対応する図柄が揃ったこと全てが遊技者に認識不可能なものであるから、当選した特殊当選役に対応する図柄の組み合わせを、そのゲームで表示させることで、速やかに、かつ、遊技価値の消費を最小に留めることができる。
(解決手段10)
解決手段10は、解決手段1から9のいずれかに記載の遊技機において、遊技機の外部に向けて複数の演出表示態様を表示するための表示手段と、前記表示手段による演出表示態様を前記内部抽選の当選結果に基づいて所定の演出表示態様を実行させる演出表示態様実行手段と、前記演出表示態様実行手段が実行する前記演出表示態様として、前記通常遊技状態である可能性が高いことを示唆する通常演出に加えて、前記内部抽選の当選結果を遊技者に示唆する当選役示唆演出、前記内部抽選の当選結果を遊技者に告知する当選役告知演出、遊技者の停止操作に応じて連続的な演出を行う連続演出及び前記特別当選役に当選したことが確定したことを告知する確定告知演出のいずれかを実行させるかを決定する演出表示態様決定手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、特に外部に向けて様々な演出表示態様を表示させる表示手段を備える。これは、遊技者に当該遊技機でのゲームを視覚的に十分に楽しませることができるものである。表示手段としては、液晶ディスプレイやELディスプレイ(Electroluminescence Display)、ドットLED、更にはランプ等を挙げることができる。そして、演出表示態様には、現在の遊技状態が通常遊技状態である可能性が高いことを示唆する内容の通常演出と、内部抽選の当選結果を遊技者に示唆する当選役示唆演出と、内部抽選の当選結果を遊技者に告知する当選役告知演出と、遊技者が行う停止操作に応じて連続した一連の演出を行う連続演出と、特別当選役に当選したことが確定していることを告知する確定告知演出が含まれている。
上記の演出表示態様のうち、いずれの演出が選ばれるか、内部抽選の当選結果に基づいてその選ばれた演出が実行されることになる。また、いずれかの演出が選ばれるかについては、遊技状態に基づいて決めることもできる。従って、遊技者は演出を手掛かりにして内部抽選の当選結果を察知することや、あるいは現在の遊技状態を推測することが可能となる。
また、内部抽選の当選結果に基づかずに演出を選択することもできる。そして遊技状態にも基づかずに演出を選択できる。即ち、実行された演出と、ゲーム結果が合致しないということになる。言い換えれば、「内部抽選の当選結果または現在の遊技状態に基づくことなく、あるいは異なる演出表示態様を実行させることができる」ということもできる。ここでいう「合致」とは、内部抽選の当選結果に対応した演出、あるいは遊技状態に対応した演出が実行され、その演出が行われたゲームのゲーム結果も実行された演出の意味する内容(遊技者に示唆する内容)と同じものであった場合のことをいう。また、実行された演出内容とゲーム結果が完全に否定された場合以外であれば、必ずしも一致する必要はない。従って、演出内容とゲーム結果が合致しなかったことにより、遊技者にいつもと違うという印象を与えることができる。望ましくは、特別当選役あるいは特殊当選役等の遊技者に大きな利益をもたらすことのできる当選役に当選した場合に上記の演出内容とゲーム結果を合致させなくすることで、遊技者にもしかしたら特別当選役あるいは特殊当選役に当選したかもしれないという期待感を持たせることができる。
本発明の遊技機では、上記の構成に加えて、「遊技機の外部に向けて音色を発生させる音色発生手段を更に備え、音色発生手段は、演出表示態様として実行される演出に基づいて、それぞれに対応した音色を発生させる」という構成をとることもできる。即ち、表示手段により演出が実行される際に、音色発生手段から効果音や祝福音等を発生させることができる。音色発生手段としては、スピーカやブザー、ベル(鐘、鈴)等を挙げることができる。また、実行されている演出に対応しない効果音(音色)を発生させれば、遊技者にいつもと違うことを遊技者に認識させることができる。このように表示手段と音色発生手段とによって遊技者を視覚的にも、聴覚的にも刺激を与えることによりゲームが単調になってしまうことを抑制することができる。
(解決手段11)
解決手段11は、解決手段10に記載の遊技機において、前記演出表示態様決定手段が、内部抽選の当選結果が特定の当選役であっても、その当選役に対応する演出表示態様を専用的な演出として限定することなく他の当選役に対応する演出表示態様をも選択し得ることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、それぞれの演出を特定の当選役に対応するだけの専用的に固定された演出とはしない。即ち、「内部抽選の当選結果に対して、いずれの演出を実行させるかを選択的に決める」ことができる。ここでいう「選択的に決める」とは、抽選で決めることや、予め決められた順番通りに選び出していく等のことをいう。つまり、1つの演出が1つのゲーム結果に対応するのではなく、流動的に演出とゲーム結果を変えることができるのである。従って、それぞれの演出に対応する結果が1つしかなく、遊技者が演出を見ただけで容易にゲーム結果が分かってしまうといった興趣の低下を回避させることができる。
(解決手段12)
解決手段12は、解決手段10に記載の遊技機において、前記演出表示態様実行手段が、前記演出表示態様のいずれかを実行させることを決定した場合、その該当する前記演出表示態様を、遊技価値の投入が行われ、ゲームの開始操作を受けて、この後、遊技者による複数回の停止操作が順次受け付けられることで全ての前記可動表示体の回転が停止し、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームが終了するまでの期間内で実行することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態あるいは内部抽選の当選結果に基づいて各種演出を実行させることができる。演出表示態様のうちいずれか1つの演出が選択されて表示手段により表示されることになる。このとき実行される演出から、遊技者は現在の遊技状態を推測することや、あるいはゲーム結果と照らし合わせて内部抽選の当選結果を確認することができる。
演出表示態様のうち、当該ゲーム(今回のゲーム)で実行されることが決まった演出は、当該ゲームが開始されてから終了するまでの期間であれば、いずれのタイミングでも実行させることができる。即ち、遊技者による遊技価値の投入とゲームの開始操作が行われ、可動表示体が回転を開始し、この後遊技者による停止操作が受け付けられ、可動表示体が全て停止して図柄の表示態様に基づいて当該ゲームの結果が判断されるまでの任意のタイミングで演出を実行させることができるのである。従って、固定されたタイミングで演出が行われることがないので、演出が行われるタイミングに何も演出が行われないことで起こる遊技者の興趣の著しい低下を回避することができる。
(解決手段13)
解決手段13は、解決手段1から12のいずれかに記載の遊技機において、前記図柄表示部が、遊技機本体の前面側に位置することを特徴とする遊技機である。
図柄表示部が遊技機の前面に位置されることにより、遊技者が当該遊技機に相対してゲームを進めることができる。ここで図柄表示部は、遊技者に見やすい位置であれば、当該遊技機の前面側のいずれの位置に設けることもできる。従って、遊技者がゲームを進め易い環境(ゲームの進行が無理なくできる)を提供することができる。
(解決手段14)
解決手段14は、解決手段1から13のいずれかに記載の遊技機において、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態制御手段により遊技状態が前記特別遊技状態に制御されると、前記通常遊技状態に比して遊技者に付与する遊技価値の付与機会を増加させる遊技価値付与機会増加手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コイン、遊技球など)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシンに代表される回胴式遊技機に適用することができる。スロットマシン等の回胴式遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせに基づいて、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。こうして遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させ、そして停止させるという一連の操作を繰り返しながらゲームを進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせ態様によっては、遊技状態が特別遊技状態という通常遊技状態に比べて遊技価値を大量に獲得することができる遊技状態に移行されることとなる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与機会が集中して与えられることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
(解決手段15)
解決手段15は、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、1回のゲームごとに所定の前記内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に予め決められた通常の抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する通常抽選判断手段と、前記通常抽選判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記通常の抽選確率に代えて、前記通常の抽選確率に比して抽選確率が高い特別な抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する特別抽選判断手段と、前記内部抽選手段による内部抽選で当選した当選役に対応する図柄に基づいて前記複数の可動表示体の停止を制御する可動表示体停止制御手段と、前記可動表示体停止制御手段により前記複数の可動表示体の停止制御が行われた結果、前記複数の可動表示体が停止した場合に前記図柄の表示態様として所定個数分の図柄群を表示可能とする図柄表示部と、前記図柄表示部内に表示された所定個数分の図柄群を前記複数の可動表示体にまたがって見た場合に、各々の前記可動表示体について少なくとも1つの図柄を選び出してできる組み合わせのうち、前記当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたときにその組み合わせを有効とする表示位置を決定する有効表示位置決定手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記有効表示位置決定手段により決定された前記有効表示位置に前記当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する当選役図柄表示判定手段と、前記内部抽選の当選役として、一般的な通常遊技状態と比べて遊技者にとって有利さの度合いの高い特別遊技状態へ移行させる契機となる特別当選役と、前記内部抽選の当選役として、前記特別当選役とは別に当該ゲームの結果として遊技価値を与える一般小役と、前記内部抽選の当選役として、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役と、前記内部抽選の当選役として、遊技の進行に関する動作態様を前記通常遊技状態から変化させることなく同様とする一方、前記通常遊技状態とは異なる特殊遊技状態へ移行させる契機となる特殊当選役と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記特別当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、所定の条件が成立するまで遊技の進行に関する動作態様を前記通常遊技状態から変化させて前記通常遊技状態と遊技状態を異ならせた前記特別遊技状態にてゲームの進行を制御する特別遊技状態制御手段と、前記特別遊技状態制御手段により前記特別遊技状態にてゲームの進行が制御されると、前記通常遊技状態に比して遊技者に付与する遊技価値の付与機会を増加させる遊技価値付与機会増加手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記一般小役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、前記一般小役に対応する規定数の遊技価値を遊技者に付与する一般小役遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記再ゲーム役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲームの掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させる再ゲーム実行手段と、全ての前記可動表示体が停止した場合、前記図柄表示部内に前記特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたことが前記当選役図柄表示判定手段により判定されると、前記特別遊技状態制御手段により制御される前記特別遊技状態と異なり、前記特殊遊技状態遊技の進行に関する動作態様を前記通常遊技状態から変化させることなく前記通常遊技状態と遊技状態を異ならせた前記特殊遊技状態にてゲームの進行を制御する特殊遊技状態制御手段と、少なくとも1つ以上の当選役として前記特別当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第一抽選確率変更手段と、前記第一抽選確率変更手段による前記当選役についての抽選確率の変更を、前記特殊遊技状態が終了すると実行させる第一抽選確率変更実行手段と、前記特別遊技状態が終了する場合、前記第一抽選確率変更実行手段による前記当選役についての抽選確率の変更を実行させるか否かを決定する第一抽選確率変更実行可否手段と、前記第一抽選確率変更実行手段による前記当選役についての抽選確率の変更が実行されたうえでゲームの進行を制御する第一抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第一抽選確率変更手段により抽選確率が変更される前記当選役とは別に、その他の当選役について抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第二抽選確率変更手段と、前記第一抽選確率変更実行手段により前記当選役についての抽選確率の変更が実行される場合、前記第二抽選確率変更手段による前記その他の当選役についての抽選確率の変更を必ず実行させる第二抽選確率変更実行手段と、前記第二抽選確率変更手段による前記その他の当選役についての抽選確率の変更が実行されたうえでゲームの進行を制御する第二抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第二抽選確率変更遊技状態制御手段により前記第二抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行が制御されている状態で前記内部抽選の結果として前記特殊当選役が得られた場合、その特殊当選役を契機として開始される前記特殊遊技状態が終了すると、前記第二抽選確率変更手段実行手段により抽選確率が変更されている前記その他の当選役についての抽選確率を前記特別な抽選確率から前記通常の抽選確率に戻す第一抽選確率復帰手段と、前記第一抽選確率変更遊技状態制御手段により前記第一抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行が制御されている状態で前記内部抽選の結果として前記特殊当選役が得られた場合、その特殊当選役を契機として開始される前記特殊遊技状態が終了すると、前記第二抽選確率変更実行手段による前記その他の当選役についての抽選確率の変更を実行させずに前記第一抽選確率変更遊技状態が維持されたうえでゲームの進行を制御する第一抽選確率変更遊技状態維持制御手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コイン、遊技球など)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシンに代表される回胴式遊技機に適用することができる。スロットマシン等の回胴式遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせに基づいて、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。こうして遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させ、そして停止させるという一連の操作を繰り返しながらゲームを進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせ態様によっては、遊技状態が特別遊技状態という通常遊技状態に比べて遊技価値を大量に獲得することができる遊技状態に移行されることとなる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与機会が集中して与えられることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の開始操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選手段の行う内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、その中から1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を予め決められた当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果とそれぞれの当選結果に対応する当選役が予め決められている。これらの当選役は、種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には当選役別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する当選役に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値(所定の数値範囲内)に占める当たり値の数の割合から当選役の当選確率が算出される。
通常の遊技状態においては、当選役別に予め決められた所定の抽選確率(通常の抽選確率)にしたがい、通常抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される。ここでいう「通常の遊技状態」とは、いわゆる一般的な通常遊技状態のことを指し、特定の当選役について有利な条件が設けられたり、あるいは特定の当選役について不利な条件が設けられたりしていない、フラットな状態のことをいう。つまり、通常遊技状態とは、遊技者に特別に有利となる特典を与えたり、反対に不利となる特典を与えたりすることのない遊技状態のことである。よって、所定の抽選確率(通常の抽選確率)は通常遊技状態で行われる内部抽選の当選結果を判断する抽選確率ということになる。
また、特定の当選役についてその抽選確率が、上記の通常の抽選確率と比べて高い特別な抽選確率を通常の抽選確率とは別に設けている。特定の当選役についての抽選確率に特別な抽選確率が適用されている場合は、特別抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される。この特別抽選判断手段により内部抽選の当選結果が判断される遊技状態を、通常の遊技状態と区別するために「特別抽選遊技状態」と呼ぶ。「特別抽選遊技状態」では、特定の当選役の抽選確率が通常の抽選確率に比べて高い抽選確率となるため、特定の当選役については有利な条件が設けられていることになる。つまり、内部抽選で特定の当選役に当選し易いということである。
特定の当選役に当選し易いということは、言い換えれば特定の当選役の抽選確率が高いということである。つまり、特定の当選役の当たり値の範囲(幅)が通常の抽選確率における特定の当選役の当たり値の範囲(幅)に比べて広くなっているということである。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。当選役のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄されるものもあれば、次回以降のゲームまで持ち越されるものもある。
上記の当選役には、遊技価値の付与を伴う一般小役と、通常遊技状態と比べて遊技者にとって有利さの度合いの高い特別遊技状態に移行させる契機となる特別当選役、改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲーム(今回のゲーム)の掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役とが含まれている。これらの当選役にはそれぞれ対応する図柄が予め決められており、以下では、この当選役に対応する図柄のことを、当選役図柄と呼称する。
また、当選役のなかには上記の当選役とは別に、ゲーム(遊技)の進行に関する動作態様を通常遊技状態から変化させることなく同様のものとする一方で、実際は別の遊技状態(特殊遊技状態)に移行させる契機となる特殊当選役が設けられている。ここでいう「ゲームの進行に関する動作態様」には、可動表示体の動作状況(または作動状況)や、視覚的、聴覚的、触覚的に遊技者が感じることのできる動作が含まれる。このとき遊技機の内部では、別の遊技状態に移行させる制御が行なわれることになるが、遊技機の外見上は通常遊技状態のゲームが進行している場合と全く変わりが無いので、遊技者に特殊遊技状態が開始されているということを認識させることがない。従って、特殊遊技状態では、これらの動作態様を通常遊技状態と同じものとすることで、遊技者に特殊遊技状態という通常遊技状態とは別の遊技状態であることを意識させることなくゲームを進行させることができる。
図柄は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り文字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。この図柄のなかには、上記の当選役図柄や、当選役図柄に該当しない図柄(ハズレ図柄)を含むことができる。これらの図柄はそれぞれの可動表示体に所定個数分が付されている。遊技者により全ての可動表示体の停止操作が受け付けられると、そのときの内部抽選の当選結果に基づいて各可動表示体の停止制御が行われる。
図柄表示部は、各可動表示体の図柄を所定個数分の図柄群として表示することが可能となっており、遊技者は可動表示体の回転中は回転している図柄群を、あるいは可動表示体の停止時には所定個数分の図柄群を図柄表示部内に視認することができる。そして、最終的に全ての可動表示体が停止すると可動表示体ごと図柄表示部内に停止した図柄からなる図柄群が形成される。この図柄表示部内に表示された図柄群からなる態様が最終的な図柄の表示態様となる。
また、上記の所定個数分の図柄数を増減させることにより、図柄表示部内に表示される図柄の総個数を増減させることもできる。つまり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定個数×可動表示体の数」として表すことができ、所定個数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の最大個数が増えることになる。また、可動表示体の数を増やせば、その分だけ図柄表示部内に表示される図柄最大個数も増えることになる。従って、図柄表示部内で表示される図柄の表示態様のバリエーションを豊富にすることができる。
図柄表示部内で表示される図柄の表示態様は、所定個数分の図柄群と可動表示体の数によって無数のものとすることもでき、内部抽選の当選結果が同一のものであったとしても、異なる図柄の表示態様を遊技者に見せることができる。
また、各可動表示体の停止により図柄表示部内に表示される図柄群のうち、それぞれの可動表示体から少なくとも1つずつ図柄を選び出したときにできる全ての可動表示体にまたがった図柄の組み合わせのうち、有効となる表示位置が決められる。ここでいう「有効となる表示位置」とは、全ての可動表示体の停止時に特定の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、特定の当選役に対応する特典を付与させることのできる図柄表示部内での表示位置のことをいう。つまり、内部抽選の抽選結果として得られた当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが図柄表示部内の「有効となる表示位置」に表示されて初めてその当選役に対応した特典を得ることができることになる。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう(直線型)。直線型以外の組み合わせとしては、への字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となる組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせのうち、複数種類が同時に有効となる態様とすることもできる。つまり、直線型及びV字型のいずれかの有効となる表示位置に特定の当選役に対応する図柄が停止すれば特定の当選役に対応する特典を付与することができることになる。
また、遊技価値の掛け数に応じて有効となる表示位置を変更させることもできる。即ち、「1回のゲームごとに掛けられた遊技価値の掛け数に応じて図柄表示部内の有効となる表示位置を変更させる」という構成とすることである。この構成によれば、遊技価値の掛け数を増やせば、図柄表示部内で有効となる表示位置を増やすことができる。従って、遊技価値の掛け数をできる限り多くしてゲームを行えば、いずれかの当選役に当選している場合、それだけ該当する当選役図柄が有効となる表示位置に表示される可能性が高くなる。
更に、有効となる表示位置を各可動表示体から複数の図柄を選び出してできる組み合わせとすることもできる。これは図柄表示部内に表示されている各可動表示体からそれぞれ2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ、あるいは、各々の可動表示体から2個、2個、1個と図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体からは複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせとすることである。このような組み合わせは、各可動表示体から少なくとも1個の図柄を選び出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを遊技者が視認しづらいものとなる。
全ての可動表示体が停止すると、図柄表示部内の有効な表示位置にいずれかの当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが表示されたか否かが当選役図柄表示判定手段によって判定される。ここで、当選役図柄の組み合わせとしては、全て同種類の当選役図柄の組み合わせや、全て異なる種類の当選役図柄の組み合わせ、1組は同種類の当選役図柄を含んだ複数の異なる種類の当選役図柄組み合わせ等が挙げられる。また、少なくとも1つ当選役図柄を含んだ組み合わせであれば、その他の図柄に関係なく当選役図柄の組み合わせとなるものも挙げることもできる。これらの当選図柄の組み合わせが図柄表示部内の有効となる表示位置に表示されると、その当選役に対応した特典が付与されることとなる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特別当選役に対応する特別当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特別遊技状態へ移行されることになる。この特別遊技状態では、遊技機の内部及び外部の動作を通常遊技状態での動作とは異ならせることができる。異なる動作には、可動表示体の回転動作を通常のゲームとは異なる動作としたり、ランプ等の発光態様を通常のゲームから変化させたりすること等を含めることができる。つまり、通常遊技状態とは異なる別の遊技状態ということを遊技者が明らかに知ることが可能な状態となる。そして、特別遊技状態の特典としては、大量の遊技価値を獲得させる機会や、遊技価値を消費することなくゲームを進行させる機会が付与されることが挙げられる。従って、遊技者は、いかに多く特別当選役に当選することができるかという点に興味を持つこととなる。
また、特別遊技状態は、所定の条件が成立すると終了することになる。ここでいう所定の条件としては、予め決められた回数のゲーム数に達した場合や、終了条件としての当選役を設けて、その当選役に当選すると特別遊技状態を終了させる場合等が挙げられる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合、そのゲーム結果としては遊技価値の付与を伴わず当該ゲーム(今回のゲーム)を終了させることもできる。即ち、特別当選役図柄の組み合わせが表示されたゲームでは遊技価値の付与は行われず、次回のゲーム開始から特別遊技状態の特典が付与されることとなる。この場合、遊技者はできるだけ早く次回のゲームを開始させて特別遊技状態での特典を得ようとゲームを進めることとなる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合に、そのゲーム結果として遊技価値の付与を伴わせることもできる。この場合、特別当選役に対応して付与される規定数の遊技価値を決めておくことで、遊技者が遊技価値を獲得したうえで、更に次回のゲームから特別遊技状態での特典を得ることができる。
特別当選役図柄からなる組み合わせとして、少なくとも1つ以上の特別当選役図柄が含まれている組み合わせを含めることもできる。即ち、図柄表示部内で有効となる表示位置に1つの特別当選役図柄が表示されれば、特別当選役に対応する特典が付与されることになる。従って、遊技者の停止操作の時機がずれることにより、いつまでも特別当選役図柄を図柄表示部内の有効となる表示位置に停止させることができないという事態が回避され、これにより、遊技者が特別当選役図柄を表示させるまでに消費する遊技価値の量を軽減させることができる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に一般小役に対応する一般小役図柄からなる組み合わせが表示されると、一般小役に対応する特典として規定数の遊技価値が遊技者に付与されることになる。そして、一般小役に当選することが増えれば、それだけ遊技価値を増加させることが可能になるので、遊技者はできるだけ一般小役に当選したいと願いながらゲームを行うこととなる。
また、一般小役は複数の種類を設けることができる。即ち、「一般小役として複数の異なる種類の当選役を設けることができる」ということである。この場合、それぞれの一般小役に対応する当選役図柄も別々に設け、更にそれぞれの一般小役に応じて付与される遊技価値の規定数を異ならせると、一般小役を含めた当選役の種類を増やすことができる。このように一般小役の種類を増やすと、全ての当選役の種類も増えることとなる。従って、様々な当選役に当選する可能性が増えるので遊技者を飽きさせてしまうといった事態を極力減少させることができる。
一般小役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様に、少なくとも1つ以上の一般小役図柄が含まれていればよいものとすることもできる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ一般小役図柄が有効となる表示位置に表示されれば一般小役に対応する特典を得ることが得られることになるので、遊技者が一般小役図柄を前述した有効となる表示位置に停止させるための操作の難易度を下げることが可能となる。ここでいう「難易度」とは遊技者個々のゲームの熟練度や技量のことをいう。
図柄表示部内の有効となる表示位置に再ゲーム役に対応する再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示されると、再ゲーム役に対応する特典として、遊技状態が再ゲーム状態へ移行されることになる。この再ゲーム状態とは、遊技者が改めて遊技価値を掛けることなく当該ゲーム(今回のゲーム)の掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させることができる状態のことをいう。つまり、再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示された場合、遊技者は遊技価値を新たに消費せずに1回分のゲームを行うことができることになる。そして、再ゲーム役に当選することが多くなれば、その分だけ遊技価値の消費を抑えることができ、遊技者が、単位時間当たりに消費する遊技価値の量をある程度一定の範囲内に抑えることが可能となる。従って、遊技者が一方的に遊技価値の消費を強いられるといったことを極力減らすことができる。
再ゲーム役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様、少なくとも1つ以上の再ゲーム役図柄が含まれていればよいもとすることもできる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ再ゲーム役図柄を表示させれば再ゲーム役の特典が得られることになるので、遊技者が再ゲーム役図柄を前述した有効となる表示位置に停止させるための操作の難易度を下げることが可能となる。特に再ゲーム役については、遊技者が過度に遊技価値を消費する事態を緩和させる当選役としての役割を持たせることもできるので、望ましくは、遊技者が再ゲーム役図柄を停止させるための操作の難易度を下げて、内部抽選で再ゲーム役に当選となった場合には、遊技者の技量に関わらず再ゲーム役図柄の組み合わせが表示されるものとすることがよい。これにより、遊技者が極力再ゲーム役に対応する特典を得ることが可能となる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特殊当選役に対応する特殊当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特殊遊技状態へ移行されることになる。この特殊遊技状態は、ゲームの進行に関する動作態様が通常遊技状態と同じで、遊技者には通常遊技状態としてしか認識させない遊技状態である。即ち、特殊遊技状態に移行してから、特殊遊技状態が終了するまで全く通常遊技状態と変わらない態様とすることで遊技者にはあたかも通常遊技状態が継続しているという認識を持たせる遊技状態である。また「通常遊技状態」と差異が見られる動作態様には、遊技者がゲームの開始操作や可動表示体の停止操作を行う際に通常遊技状態でのゲーム(以下では、通常のゲームという)と異なる動作制御が行われたり、通常のゲームとは異なる図柄の表示態様が表示されたりといったことが挙げられる。。つまり、明らかに通常遊技状態とは異なることを遊技機の外観上から遊技者が認識(または、意識、察知)できるほどの差異が生じることをいう。
特殊遊技状態は、特定の条件が成立すると終了することになる。ここでいう特定の条件としては、予め決められた回数のゲーム数に達した場合や、終了条件としての当選役を設けて、その当選役に当選すると特殊遊技状態を終了させること等が挙げられる。
また、特殊当選役図柄の組み合わせとしては、特殊当選役を意識させる象徴的な図柄を設けずに、既存の複数種類の図柄をその組み合わせとして用いることができる。つまり、特殊当選役は、専用の図柄の組み合わせとするのではなく、あくまで別の象徴的な意味を持つ図柄を複数組み合わせてできる組み合わせを特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせ(以下では、特殊当選役図柄の有効な組み合わせという)とすることになる。ここでいう「別の象徴的な意味を持つ図柄」、「既存の複数種類の図柄」とは、特別当選役図柄や一般小役図柄、再ゲーム役図柄等のことをいう。
特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとするのは、遊技者に特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたことを認識させないためである。また、特殊当選役図柄の組み合わせを単なるハズレ図柄からなる組み合わせとすることもできる。この場合、図柄表示部には単にハズレとしてしか遊技者に認識されない図柄の組み合わせが表示されることとなるので、遊技者に特殊当選役に当選したこと(特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたこと)を認識させることがない。
また、特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとすることや、あるいはハズレ図柄からなる組み合わせとすることは、遊技者が特殊当選役図柄の有効な組み合わせを停止させる操作の難易度を下げることにもつながる。即ち、複数種類の図柄からなる組み合わせや、ハズレ図柄からなる組み合わせは、通常のゲームでは頻繁に表示されるからである。
具体的には、内部抽選でいずれの当選役にも当選しなかった場合は、当選結果はハズレとなり、いずれの当選役に対応した図柄の組み合わせも表示されない停止制御が行われる。従って、複数種類の図柄からなる組み合わせは、いずれかの当選役に対応する図柄の組み合わせを回避する際に表示され易い組み合わせといえる。
また、ハズレ図柄からなる組み合わせも、その組み合わせが表示された際に遊技者にハズレとしての印象しか与えないものであるので、特殊当選役図柄の有効な組み合わせとするのに適している。つまり、当該ゲーム(今回のゲーム)において内部抽選で特殊当選役に当選した場合、当該ゲームにおいて特殊当選役図柄の有効な組み合わせを表示させることが可能となる。従って、遊技者に全く認識されずに速やかに特殊遊技状態を開始させることができる。
本発明の遊技機では、特定の条件が成立すると、少なくとも1つの当選役についての抽選確率を変更させることができる。特に通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更させることができる。即ち、遊技者にとって有利な条件を付与させることができるのである。このとき、少なくとも1つの当選役として、特別当選役を含めることができる。これにより、特別抽選遊技状態を特別当選役に当選し易い遊技状態とすることができる。従って、遊技者が大量の遊技価値を獲得するためには、いかに多く特別遊技状態に移行するかによるところとなる。
また、第一抽選確率変更手段により抽選確率を変更させる当選役を特別当選役とすることにより、第二抽選確率変更手段により抽選確率が変更されるその他の当選役としては、特別当選役以外の当選役を選ぶことができることになる。従って、付加特別抽選遊技状態を、特別当選役に加えてその他の当選役(特別当選役以外の当選役)にも当選しやすい状態とすることができる。
これにより、付加特別抽選遊技状態では、遊技者が大量の遊技価値を獲得できる可能性が高まるとともに、それ以外の価値(付加価値)も付与されたゲームが行われることになる。ここでいう「付加価値」には、通常遊技状態に比べて一般小役に当選し易くすることや、再ゲーム役に当選し易くすることなどが含まれる。つまり、「付加価値」が附けられることで、遊技者が特別当選役に当選するまでに遊技価値を増加させたり、あるいは遊技価値の消費量を抑えることができたり、といった利益を得ることができることになる。
特殊遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率が特別な抽選確率に変更される。即ち、特殊遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役については必ず特別な抽選確率で内部抽選が実行されることになる。従って、特殊遊技状態を契機として少なくとも1つの当選役について当選し易い状態が作り出されることになる。
特別遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させるか否かが決められる。即ち、特別遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役について特別な抽選確率で内部抽選が実行されるかもしれないという期待が持てることになる。従って、特別遊技状態を契機として少なくとも1つの当選役について当選し易い状態が作り出される期待が持てることになる。これは、特別遊技状態の終了後は、特殊遊技状態の終了後とは異なり、必ずしも当選役のいずれかが特別な抽選確率に変更されるとは限らないからである。仮にこのとき、特別な抽選確率に変更されなかった場合、特別遊技状態が終了すると通常の抽選確率が内部抽選で適用されることになる。
少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させることが決まると、その契機となった特別遊技状態、または特殊遊技状態の終了直後より開始されるゲームは、少なくとも1つの当選役については遊技者にとって当選しやすい状態となる。このときの遊技状態が前述した特別抽選遊技状態ということになる。
遊技状態が「特別抽選遊技状態」へ移行することが決定した場合、第一抽選確率変更手段によって特別な抽選確率に変更される当選役とは別に、第二抽選確率変更手段によって、その他の当選役についての抽選確率も必ず特別な抽選確率に変更させることができる。この結果、複数の当選役について当選しやすい状況が作り出されることになる。また、ここでいう「その他の当選役」についても、少なくとも1つ以上の当選役を選ぶことができる。従って、第一抽選確率変更遊技状態と第二抽選確率変更遊技状態を比較すると、当選しやすい当選役が多い分だけ、第二抽選確率変更遊技状態が遊技者にとって有利さの度合いが高い遊技状態といえることになる。
第二抽選確率変更遊技状態は、第一抽選確率変更遊技状態(特別抽選遊技状態)に更に付加的な価値(その他の当選役についても当選し易い状態になる)が加えられたものである。この付加的な価値が加えられた第二抽選確率変更遊技状態のことを、付加的な価値の加えられていない特別抽選遊技状態(第一抽選確率変更遊技状態)と区別するために「付加特別抽選遊技状態」と呼称する。また、以下で、特別抽選遊技状態という場合は、付加的な価値の加えられていない第一抽選確率変更遊技状態のことを指す。
本発明の遊技機では、付加特別抽選遊技状態で特殊当選役に当選した場合、その当選した特殊当選役を契機として、遊技状態が特別抽選遊技状態に変更されることになる。つまり、当選しやすい状況にある当選役の種類が減ることとなる。そして、特別抽選遊技状態に移行してから再度、特殊当選役に当選しても、その特殊当選役を契機として遊技状態を付加特別抽選遊技状態に移行させることはせず、特別抽選遊技状態を維持させる。つまり、一度特別抽選遊技状態に移行すると、特殊当選役に何度当選しても遊技状態は変わらないということになる(ただし、特殊遊技状態を間に挟んでということである)。
従って、特別抽選遊技状態では既に特別当選役に当選し易い状態となっているので、付加特別遊技状態で当選し易くなるその他の当選役としては、特殊当選役を含め一般小役、再ゲーム役等から選び出すことができる。これにより、特別抽選遊技状態は特別当選役に当選しやすい遊技状態、即ち、遊技価値を大量に獲得できる機会が付与され易い(通常遊技状態に比べて)遊技状態となるが、その他の当選役については当選し易い(抽選確率が高い)状態とはならないので、通常遊技状態と変わりない当選状況(当選する度合い、頻度)になる。
一方、付加特別抽選遊技状態では、特殊当選役を含め一般小役、再ゲーム役等から少なくとも1つ以上の当選役について当選し易い(抽選確率が高い)状態となるので、通常遊技状態と比べれば当選状況に変化の見られる当選役が生じることになる。従って、本発明の遊技機で遊技状態を見極める(即ち、付加特別抽選遊技状態であるのか、それとも別の遊技状態であるのか)ことに遊技者の関心を向けさせることができる。
更に、付加特別抽選遊技状態における特別当選役と特殊当選役の当選し易さの度合いを変えることで、遊技状態の変化を多様なものとすることができる。当選し易さの度合いは大きくは以下の2つを挙げることができる。
(1)特別当選役≧特殊当選役
この場合、特殊当選役に比べて特別当選役が当選し易い(抽選確率が高い、抽選確率が同じ場合も含む)ことになり、付加特別抽選遊技状態で特殊当選役に当選するよりも特別当選役に当選する可能性が高いことになる。つまり、遊技状態が特別抽選遊技状態に移行する可能性は低いといえる。一方、
(2)特別当選役<特殊当選役
この場合、特殊当選役に比べて特別当選役が当選しにくい(抽選確率が低い)ことになり、付加特別抽選遊技状態で特別当選役に当選するよりも特殊当選役に当選する可能性が高いことになる。つまり、遊技状態が特別抽選遊技状態に移行する可能性が高いといえる。
また、上記の(2)の通り、特別当選役と特殊当選役の当選し易さの度合いを決めると、遊技状態が付加特別抽選遊技状態から特別抽選遊技状態に移行すると、特別当選役のみが当選し易い状態へと変更され、その他の当選役については通常遊技状態と同じ状況となる。従って、遊技者には、通常遊技状態に移行した(この場合、降格したともいう)のではないかという印象を与えることになる。
しかし、実際は特別当選役に当選し易い状態は継続しているので、通常遊技状態に比べて短いゲームの試行回数を要するだけで特別当選役に当選する可能性は高い状態といえる。従って、多くの場合、遊技者は特別抽選遊技状態に移行してから短いゲーム数の試行で特別当選役に当選することになる。これにより遊技者には、付加特別抽選遊技状態から通常遊技状態に降格したのではなく、別の遊技状態に移行したのではないかという印象を与えることができる。つまり、このときの別の遊技状態こそが遊技者にとっての最も有利な状態(特別当選役に当選しやすい状態)であるという認識を与えることができる。
更に、特別抽選遊技状態で特別当選役に加えて、特殊当選役にも当選し易い態様とすれば、付加特別抽選遊技状態から特別抽選遊技状態に移行する可能性を高めることができ(上記の(2)の場合)、様々な状況から遊技状態に変化が見られることとなり、遊技者が遊技意欲を減退させてしまうことを極力抑制することができる。
本発明により、通常のゲームで生じ易い遊技者の遊技意欲の減退を極力抑制することができる。
以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突き出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左、中、右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46及び化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出としての映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者がゲームを進行することを補助する役割をしている。液晶表示部58は、表示手段の一つに相当し、各種演出表示態様を表示させるものである。なお、液晶表示部58に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)、ドットLEDを用いることもできる。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42及びボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34及びメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。上記の各ランプ、各表示部は表示手段の一つとして各種演出表示態様を実行することも可能である。
上記のスタートランプ28及びメダルインランプ36、ベットランプ42及びボーナス告知ランプ44は遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。これらのランプが発光すると、遊技パネル6を透過してその発光態様が視認できるものとなっている。また、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34は7セグメント表示により数字の表示が可能となっている。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットにそれぞれ対応している)。なおベットボタン12,14,16(以下では、必要に応じてベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となることからMAXベットと呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払い出しを伴う当選役が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行うことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することにより選択することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払い出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。ボーナスフラグ告知ランプ44も表示手段に相当する。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払い出しが集中して行われる特典の回数等の状況を表示させて、遊技者にボーナスゲームをスムーズに進行させる役割をしている。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は、背後に図示しないランプユニットを備えており、このランプの発光により化粧板50を透過して化粧板50のイラスト等をより目立たせて遊技者にアピールすることができる。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵と呼称する)を入れて左右にそれぞれ約45度回す(捻る)ことが可能となっている。専用鍵を右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また専用鍵を左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中断した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(エラーを解除してリセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64及びスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。これらランプ60,62,64,66も表示手段の一つとして発光等の演出による各種演出表示態様を実行することが可能である。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分(つまり可変図柄表示装置10の下方)には、左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置(ホッパユニット)134が設置されており、このホッパ装置134の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組みに複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー等)が印刷された透光性を有する図柄帯が張られたことにより筒状の形態を成している。この筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下ではこの可変回転体をリールとして統一する)。このリールは、回転させたり停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10cそれぞれ独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。この各リール10a,10b,10c、リール駆動モータ88a,88b,88c、リール内ランプ90a,90b,90c、後述するリール位置センサを含めてリール装置10(またはリールユニット)と総称する。なお以下では必要に応じて、リール10aを左リール10a、リール10bを中リール10b、リール10cを右リール10cと呼称する。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行うための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払い出し等、リール装置10の回転と停止等、更に各ランプ(スタートランプ28,メダルインランプ36,ベットランプ42,ボーナスフラグ告知ランプ44)及び各表示部(クレジット枚数表示部30,ゲーム数表示部32,払出し枚数表示部34)による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示及び各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94及び外部端子板96と図示しない配線及びコネクタ等により接続されている。従ってメイン制御基板92から各種情報の伝達をサブ制御基板94及び外部端子板96へ行うことが可能である。
メイン制御基板92やサブ制御基板94等は、いずれも樹脂製の基板ボックスに収容された状態で本体部分2内に設置されている。基板ボックスは、外側から各基板への接触を阻害する保護ケースとなる。特にメイン制御基板92の基板ボックスは、機械的な封印部92a(ワンウェイねじによる締結部)によって開封不能に閉止されている。このためメイン制御基板92に不正チップ等を組み込もうとしても、基板ボックスを破壊しない限り改変はできないので、不正改造等を試みた場合にその痕跡をはっきり残すことができる。更に、基板ボックスには本体締結部92bが形成されており、基板ボックス全体が本体締結部92を介して本体部分2に対して強固に締結されている。従って、不正目的で基板ボックスそのものを本体部分2から取り外すことはできないし、もしも取り外しを試みた場合はその痕跡がはっきりと残されることになる。
電源ユニット70は、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行うことができる。また電源ユニット70は、メイン制御基板92を含めた各種基板に電力を供給するために、配線及びコネクタ等によりメイン制御基板92及び各種基板に接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部から不正な手段によって直接触れることを防止するためにプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置134は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払い出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置134の内部にはホッパモータ78を備えており、メダルの払い出しが行われる場合はこのホッパモータ78が回転することにより、ホッパ装置134内に貯留されているメダルが払い出し口80から払い出される。ホッパ装置134内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置134内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留を補助する役割をしている。また、遊技メダル補助収納庫84内にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量に達したことを検出することができる。
(スロットマシンの内部構成)
図3は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述したリール10a,10b,10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。
エラー解除センサ100は、鍵穴48の奥に設置されている(図示はしない)。鍵穴48に専用鍵を挿入した後に左回りに45度ほど捻ることで、エラー解除センサ100よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また、専用鍵を挿入した後に右回りに45度ほど捻ることで前面扉4が開放されると、前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132(図示はしない)により扉開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4を開放すると、前面扉4と本体部分2とが離れたことが検出される。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、リール10a,10b,10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置134等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ(図示はしない)を有しており、各リールにはそれぞれ位置センサが対応して設けられている。この位置センサとして、左リール10aに対応した左リール位置センサ106a、中リール10bに対応した中リール位置センサ106b、右リール10cに対応した右リール位置センサ106cがそれぞれのリール内に設けられている。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されることで、メイン制御基板92では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダル投入口26の奥にはメダルセレクタ(図示はしない)があり、メダルセレクタ内には更に投入センサ104及びロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、メダル投入口26より投入されたメダルがメダルセレクタ内で投入センサに到達する通路をロックアウト(塞ぐ)する役割を果たしている。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。このとき投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタ内で投入センサ104に到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはクレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置134は、払い出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98(図示はしない)を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。このとき液晶表示部58、エラー表示部34等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に遊技機に異常が発生したことが報知されることとなる。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置134に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置134には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置134はメダルの払い出し動作を行う。このときホッパ装置134内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ98による枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ98より払い出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させて遊技者等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP(Video Display Processor)124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58の表示や各ランプ60,62,64,66それぞれの発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ56の作動を制御している。
メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図4は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、先ず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a,10b,10cの回転を停止させるとともに各リール10a,10b,10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選役と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選役を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選役については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は各リール10a,10b,10cの全てが停止した際に表示された図柄の表示態様から有効ライン上に停止した図柄の組み合わせが当選役に対応した図柄の組み合わせのいずれかに該当するか否かを判断し、いずれかの当選役に対応した図柄の組み合わせに該当する場合はそれに応じた遊技結果(特典)を提供するためのものである。当選役に対応した遊技結果としては、メダルの払い出しを伴うものがほとんどであるが、当選役の中にはメダルの払い出しがなくボーナスゲームに移行するものもある。あるいはメダルの払い出しとは別に内部状態(または各種モード等)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については後でフローチャートを用いて説明する。また、全てのリールが停止した際に図柄表示部内に表示される図柄の表示態様を「出目」という。
(2.始動処理)
図5は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(ステップS101=No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると(ステップS101=Yes)、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値からいずれの当選役に当選したかが判断され、いずれかの当選役に当選した場合、その当選役に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。
いずれの当選役にも当選しなかった場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となりハズレフラグがONにされる。当選フラグまたはハズレフラグ(これらを総称して成立フラグという)がONになっているときに、その成立フラグに該当した図柄を揃えることではじめて特典(遊技特典)が得られるものである。各々の特典についての詳細は後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(ステップS108=Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cの回転が開始(始動)され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。なお、フラグ処理については後述で詳細な説明をする。
(2−1.当選役と当選図柄)
図6は、スロットマシン1の各種当選役に対応した当選図柄の組み合わせを示したものである。ここでいう「当選図柄」とは、各リールに付された図柄のうち、所定の組み合わせとなると当選役に対応した図柄の組み合わせに該当することとなる図柄のことをいう。また、これらの当選図柄は各リールにそれぞれ付されている。各リールに付された図柄は必ずしも全て当選図柄とする必要はなく、ハズレとなる図柄(ハズレ図柄)を設けることもできる。また、当選図柄であっても、所定の組み合わせにならなければ当選役に対応した図柄の組み合わせとはならないので、所定の組み合わせが得られなかった場合は、当選役に該当した特典を得ることはできない。
全てのリールが停止した状態で表示窓8内のいずれか一つの有効ライン上で、いずれかの当選図柄の組み合わせが所定の組み合わせとなると、そのときの組み合わせに該当する当選役の特典を得ることができる。ここで、「いずれか一つの有効ライン」というのは、複数の有効ラインがある場合、そのうちの一つの有効ラインのことを指す。なお、以下では、ある当選図柄の組み合わせが表示窓8内のいずれか一つの有効ライン上に所定の組み合わせとなることを、「ある当選図柄の組み合わせが揃う」、または「ある当選図柄が揃う」という。
(2−1−1.特別当選図柄〔ボーナス図柄〕:特別当選役)
当選役が特別当選役〔Nanaボーナス(NB)、Childボーナス(CB)〕となる場合に、NB及びCBにそれぞれ対応する当選図柄がNB図柄及びCB図柄のボーナス図柄である。NB図柄の組み合わせ態様「7−7−7」が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると「NBゲーム」が開始される。あるいは、CBの図柄(図6でおでんを手に持った子供の絵が描かれた図柄、以下ではC図柄と呼ぶ)の組み合わせ態様「C−C−C」が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると「CBゲーム」が開始される。
つまり、ボーナス図柄が揃うと「NBゲーム」または「CBゲーム」という「ボーナスゲーム」が特典として得られることになる。この「NBゲーム」及び「CBゲーム」の特典は、メダルの獲得が容易な複数回のゲームを集中して行わせることで、遊技者が大量のメダルを獲得し易い機会を付与することである。それゆえ、NBまたはCBは他の当選役に比べて内部抽選での当選確率が他の当選役と比較して低く抑えられており(例えば、他の当選役のうち、最も当選確率の低い当選役でも1/128程度であるのに対し、NBは1/256程度、CBは1/512程度、図9参照)、遊技者にとって価値のある当選役として位置付けられている。つまり、NBまたはCBにはそう頻繁に当選するものではないので、当選したときに大きな喜びを遊技者に与えることができるのである。
そして、NB図柄またはCB図柄を表示窓8内に正確に狙わないと停止させることを困難とするために、各リール10a,10b,10cに配置するNB図柄及びCB図柄の数を少なくする(概ね各リールのNB図柄(またはCB図柄)の配置数を1個から2個程度とする)。また、内部抽選で当選していない当選役の当選図柄はたとえ、その該当する当選図柄を正確に狙ったとしても揃えることはできない。ここで、遊技者が自分の狙った図柄を正確に表示窓8内の有効ライン上に停止させることを「目押し」という。上記よりボーナス図柄は遊技者の目押しの技量を必要とする当選図柄として位置付けされるので、遊技者がいち早くボーナス図柄を揃えることができたときには、自分の目押しの技量が上達したという喜びを得ることができる。
NB図柄が揃った場合、あるいはCB図柄が揃った場合ともに、そのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは後述するNBゲームあるいはCBゲームの特典によりメダルを大量に獲得できる機会が付与されるので、あえてNB図柄あるいはCB図柄がそれぞれ揃ったときにメダルの払い出しを伴わない態様としているが、これに限定されることはない。NB図柄あるいはCB図柄がそれぞれ揃ったときにメダルの払い出しを行う態様としてもよい。ただし、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルの払い出しを伴わせる場合、NBゲームあるいはCBゲームそれぞれにおいて遊技者が獲得できるメダルの合計枚数(総獲得枚数)が、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルの払い出しを伴わない場合に比較して増加し過ぎることを防ぐ等の必要性が生じることとなる。
(2−1−2.再ゲーム役図柄〔リプレイ図柄〕:再ゲーム役)
当選役が再ゲーム役(リプレイ)となる場合に対応する当選図柄が、再ゲーム役図柄(リプレイ図柄)である。リプレイに対応する図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ライン数と同じとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。この「リプレイゲーム」の特典は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する必要がないことである。それゆえ、リプレイは当選確率を他の当選役と比較して高い当選確率としてもホールの利益を著しく損なわせる虞が少ないものである(概ね、7回に1回は当選する程度の当選確率とすることができる)。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイに、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるのである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。従って内部抽選においてリプレイに当選した場合にはリプレイの特典をもれなく獲得できるように、各リール10a,10b,10cにリプレイ図柄をそれぞれ満遍なく配置する(概ね各リールのリプレイ図柄柄以外の図柄を1個から4個挟んでリプレイ図柄を配置する)。
(2−1−3.単小役図柄〔チェリー図柄〕:単小役)
当選役が単小役(チェリー)となる場合に対応する当選図柄が、単小役図柄(チェリー図柄)である。チェリーは、全てのリールが停止した状態における図柄の組み合わせ態様でその特典が付与されるのではなく、少なくとも1つのリールについて、そのリールが停止したときに表示窓8内にチェリー図柄がいずれか一つの有効ライン上に停止する態様となるだけでメダルの払い出し(3枚)の特典が付与されるものである。ただし、メダルが払い出されるのは全てのリール停止後となる。なお本実施形態のスロットマシン1では上記でいう「少なくとも1つのリール」を左リール10aとしている。
つまり、チェリー図柄が左リール10aのある一つの有効ライン上に停止すると、3枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aの図柄の停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は、残りの中リール10b、右リール10cの図柄の組み合わせに影響されないため(つまり、中リール10b、右リール10cはどの図柄が停止した態様であってもよい)、チェリー図柄の組み合わせ態様は「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
チェリー図柄は左リール10aのみにチェリー図柄を狙うだけで特典を得ることが可能であるので、遊技者の正確な目押しを要求するために左リール10aに配置する数を少なくする(概ね2個から3個程度とする)。つまり、遊技者の目押しの技量の程度によって、チェリー図柄を「取りこぼし」てしまう可能性があることになる。ここでいう「取りこぼし」とは、内部抽選で当選した当選役に対応する当選図柄の所定の組み合わせを遊技者が目押しの失敗等により揃えることができずに、その該当する当選役の特典を得ることができなかったことをいう。従って、遊技者はチェリー図柄を取りこぼさないよう目押しの技量を発揮することになる。
単小役(チェリー)は、左リール10aのチェリー図柄を正確に目押しすることができれば内部抽選で当選したチェリーの特典(メダルの払い出し)を与えることができるので、リプレイと同様、ゲーム進行の中で遊技者がメダルを大量消費することを抑える役割を持たせることができる。
また、チェリー図柄は、左リール10aのみにあれば十分であることから、他のリール(中リール10b、右リール10c)にチェリー図柄を設けなくともよい。こうすると、他のリールにチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる。従って、チェリー図柄以外の当選図柄を配置するバリエーションが多く持てることとなり、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄が有効となる(特典を得ることができる)リールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10bあるいは右リール10cとしてもよい。この場合「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となるとチェリーの特典が付与されることとなる。あるいは、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの3つリールのうちいずれか2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止したときにチェリーの特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「チェリー−ANY−チェリー」、「ANY−チェリー−チェリー」となる図柄の組み合わせ態様となった場合である。
上記のいずれの場合であっても、左リール10a、中リール10b及び右リール10cのリールのうち、少なくとも1つ(多くとも2つ)のリールのチェリー図柄を揃えるだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者に全てのリールについて目押しを毎回強いるといった負荷を軽減させることにもなるからである。
また、後述する一般小役と単小役(チェリー)はまとめて「小役」と呼ぶこともあり、以下では、単に「小役」と呼称した場合には、単小役と一般小役をともに含めるものとする。
(2−1−4.一般小役図柄〔ベル図柄、スイカ図柄〕:一般小役)
当選役が一般小役となる場合に対応する当選図柄が、一般小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄)である。ベルに対応する図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると10枚のメダルの払い出しが行われる。また、スイカに対応する図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。
つまり、ベル図柄及びスイカ図柄という一般小役図柄が揃うと、それぞれに対応した枚数のメダル(それぞれ10枚、15枚)が払い出されるという特典が得られることになる。つまり、一般小役はゲームを進めるうえでメダルの増加を期待できる当選役であるということができる。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、NBやCBに当選しなくともメダルが増加してしまうこととなり、スロットマシン1のゲーム性が損なわれてしまう。また、遊技者が過度のメダルを獲得することが容易となり、ホールとの利益バランスが崩れるという事態を招いてしまう。
このような事態を回避し、更に一般小役にゲーム進行の中で遊技者がメダルを大量消費することを抑える役割を持たせるために、スロットマシン1では、一般小役の当選確率をリプレイに比べて低い当選確率とする。また、一般小役図柄(スイカ図柄及びベル図柄)の配置数をリール10a,10b,10cごと少なくして(各リールともそれぞれの一般小役図柄に対して概ね3個から5個程度の配置とする)、遊技者に正確な目押しを要求させるものとすることができる。
本実施形態のスロットマシン1では、一般小役としてベルとスイカという複数の一般小役を設けている。複数の一般小役を設けることで、ベルとスイカの内部抽選での当選確率に差を設けたり、または、目押しを必要とするか必要としないかについての差を設けたりすることができる。例えば、ベルは当選確率を高くスイカは当選確率を低くしてベルとスイカとの間に格差を設ることや、あるいは、スイカ図柄については目押しを要求する当選図柄とし、ベル図柄については目押しを要求しない当選図柄として、ベルとスイカとの間に格差を設けることもできる。このようにベルとスイカとに様々な格差を設けると、ベルとスイカそれぞれに価値の差(付与されるメダル枚数の差だけでなく、当選確率の差や目押しの必要とされる度合いの差等)をつけることができる。
なお、一般小役は上記のベル、スイカに加えて更に複数の種類を設けることもできる。例えば、プラム、オレンジ、レモン、イチゴ、ブドウといった遊技者に親近感を持たせる果物を模した図柄を新たに加えることもできるし、果物に限らず識別の可能な図柄であれば何でもよい。ただし、一般小役の種類を増やすと、その分だけ各リール上での同種類の一般小役図柄の配置数が減ることになり、全ての一般小役(またはその他の当選役も含む)に目押しを要することとなる虞がある。このようになると、遊技者は毎ゲーム、全てのリールを正確に目押ししないと取りこぼしが頻繁に生じることになってしまう。従ってベル、スイカを含めても一般小役は3種類から4種類程度に留めることが望ましい。
(2−1−5.ボーナスゲーム専用役図柄:ボーナスゲーム専用役)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム及びCBゲーム中のみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役を設ける。ボーナスゲーム専用役に対応する図柄の組み合わせ態様(「スイカ−リプレイ−リプレイ」、「ベル−ベル−リプレイ」、「スイカ−ベル−リプレイ」の3種類がある)が表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。このボーナスゲーム専用役はNBゲーム及びCBゲーム内でのみ抽選される対象として有効となる当選役であるので、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでは、ボーナスゲーム専用役に当選することはない。即ち、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでボーナスゲーム専用役図柄が揃ったとしてもメダルの払い出しも何も行われない(ハズレとしての図柄の組み合わせとなる)。
(2−1−6.特殊当選図柄〔特殊ボーナス図柄〕:特殊当選役)
当選役が特殊当選役〔特殊ボーナス(以下では特殊Bと呼称する)〕となる場合に対応する当選図柄については、特殊B専用の図柄、例えば、7図柄やベル図柄やリプレイ図柄といった象徴的な図柄を持たない。複数の異なる図柄の組み合わせのうち、特定の組み合わせを特殊Bに対応した図柄の組み合わせ態様とする。複数の異なる当選図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)のいずれかが表示窓8内で、いずれか一つの有効ライン上に停止すると、特殊ボーナスゲーム(特殊Bゲーム)が開始される。なお、以下では、便宜的に特殊B図柄の組み合わせ、特殊B図柄の組み合わせが揃う等という。また本実施形態のスロットマシン1では、特殊B図柄については他の当選図柄と異なり、当選図柄の構成表(配当表)等により遊技者に明示することはしない。
つまり、特殊B図柄の組み合わせが揃うと「特殊Bゲーム」という特典が得られることになる。この「特殊Bゲーム」は、「NBゲーム」及び「CBゲーム」とは異なり大量のメダルを獲得する特典は有しておらず、見た目には通常のゲームと全く変わりのないゲーム内容とする。即ち、リールの回転動作(あるいは停止動作)が変化したり、ランプの発光動作が変化したり、あるいは効果音が変化したり、始動レバーや停止ボタンが振動したりといった遊技者が察知(視覚的、聴覚的、触覚的)することが可能な範囲の動作態様に全く変化を生じさせないゲームを特殊Bゲームとして実行させるものである。このときスロットマシン1では、内部のみ制御が変更されることになる。このとき行われる内部の制御の変更及び特殊Bゲームの特典の具体的な詳細については後述する。
また、特殊Bゲームは数回(例えば2〜5回程度)のゲーム数で終了するものとする。これは、遊技者に特殊Bゲームを通常のゲームと比べて違和感を抱かせないものとするためである。つまり、2〜5回程度の短いゲーム数で通常のゲームと変わりのない特殊Bゲームを実行させると、遊技者に通常のゲームとは異なるといった違和感を与えることなく特殊Bゲームを開始させて、また遊技者に不利益を与えることもなく特殊Bゲームを終了させることができる。この特殊Bゲームの特典についてはフラグ処理において詳しく説明する。
特殊B図柄の組み合わせが揃った場合も、NB図柄及びCB図柄が揃ったときと同様にそのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは特殊Bに当選したことや、更には特殊Bゲームが開始されることを遊技者に認識させないためである。また、特殊B図柄の組み合わせについての記載は配当表等には明示しないものとすることで、「リプレイ−リプレイ−ベル」または「ベル−リプレイ−リプレイ」の特殊B図柄の組み合わせが、いずれか一つの有効ライン上に揃ったとしても遊技者には単なるハズレの出目としか認識できないものとすることができる。従って、遊技者に全く気付かせることなく特殊B図柄の組み合わせを揃えさせて、かつ、特殊Bゲームを速やかに開始させることができる。
以上が本実施形態のスロットマシン1における当選役及び対応する当選図柄である。勿論、上記のいずれの当選図柄(または、いずれの当選図柄の組み合わせ)も揃わなかった場合は、「ハズレ」または「取りこぼし」となり、「ハズレ」の場合はいずれの当選役の特典も得ることはできない。なお、上記で説明した当選図柄とは別に、ハズレ図柄を設けることもできる。このハズレ図柄については、有効ライン上に揃った場合にいずれの特典も付与されることのないハズレに対応させるものとしてもよいし、出目のバリエーションを豊富にするために設けることとしてもよい。
(2−2.フラグ処理)
ここでは、フラグ処理について、図7から図9を用いて更に詳細に説明する。図7は、フラグ処理の具体的な内容を示している。フラグ処理では、先ず内部抽選に適用するための判定乱数テーブルが選択されることとなる(ステップS201、判定乱数テーブル選択処理、後述の図8にて説明する)。本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム及びCBゲーム及び特殊Bゲーム以外のゲームでは、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルという2つの判定乱数テーブルが用意されており、いずれかの判定乱数テーブルが選択されて内部抽選が実行されることとなる。このとき決められた判定乱数テーブルが適用されてステップS202以降の処理が行われることになる。また、NBゲーム及びCBゲーム及び特殊Bゲームの判定乱数テーブルについては後述する。
ここで判定乱数テーブルとは、内部抽選が行われる際に各当選役の当たり値を乱数の範囲として予め決めたもののことである。具体的には、抽出乱数(先のステップS106で抽出された乱数のことを指す、以下では、このとき抽出された乱数のことを抽出乱数として統一する)がいずれの当選役の当たり値に該当するかを判断するために用いられるものである。例えば、1から10までをNBの当たり値の範囲、11から20までをベルの当たり値の範囲と決めた場合、抽出乱数が7であればNBの当たり値に該当するので、内部抽選の結果はNBに当選したこととなる。また、抽出乱数が18であればベルの当たり値に該当するので、内部抽選の結果はベルに当選したこととなる。
判定乱数テーブルは、その抽出範囲(以下では抽出範囲と呼称する)が一定に決められており、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルともにその抽出範囲は同じである(後述するNBゲーム、CBゲーム、特殊Bゲームそれぞれの判定乱数テーブルの抽出範囲全て同じ抽出範囲である)。従って、ある当選役の当たり値の範囲が分かれば、
〔 (ある当選役の当たり値の範囲)/(抽出範囲) 〕
により、「ある当選役」の当選確率を算出することができる。
また、抽出範囲が同じであっても、それぞれの判定乱数テーブルで当選役の当たり値の範囲を変えることで同じ当選役であっても判定乱数テーブルごとに当選確率を異ならせることができるのである。例えば、0から100までの数字(整数のみ)を乱数としてみた場合に0から100までを抽出範囲とすると、この抽出範囲内でとりうる最小の数字は0となり、また最大の数字は100となる。従って、合計101個の数字を抽出することが可能となる。
更に、この抽出範囲の中で、0から10までをNBの当たり値の範囲、11から20までをベルの当たり値の範囲、21から30までをリプレイの当たり値の範囲、31から100までをハズレに該当する範囲として当たり値の範囲を決めた判定乱数テーブルをAテーブルとすれば、Aテーブルにおけるそれぞれの当選役の当選確率は、
NBの当選確率は 「11/101」
ベルの当選確率は 「10/101」
リプレイの当選確率は「10/101」
ハズレとなる確率は 「70/101」
と算出される。
一方、NBの当たり値の範囲のみを0から20までに増やした(変更させた)判定乱数テーブルをBテーブルとすれば、Bテーブルにおけるそれぞれの当選役の当選確率は、
NBの当選確率は 「21/101」
ベルの当選確率は 「10/101」
リプレイの当選確率は「10/101」
ハズレとなる確率は 「60/101」
と算出される。このとき他の当選役の当たり値の範囲は変わるが、幅は変えないものとする(つまり、ベルは21から30までに当たり値の範囲が変更されるが、幅〔10個の整数が範囲内に該当する〕は変わらない。リプレイについても同様である)。
上記のことから、AテーブルとBテーブルを比較したときに、NBの当選確率についてはBテーブルが高くなっており、ハズレとなる確率についてはAテーブルが高くなっているということができる。このように、各当選役の当たり値の範囲(この当たり値のことを当選許容値と呼ぶ)を変えることで、ある特定の当選役の当選確率を高くしたり(この場合、該当する当選役の当選許容値の範囲を大きく変更する)、あるいは当選確率を低くしたり(この場合、該当する当選役の当選許容値の範囲を小さく変更する)することができる。また内部抽選で必ず特定の当選役に当選させる(この場合、該当する当選役の当選許容値の範囲を抽出範囲と同じにする)、あるいは特定の当選役には全く当選させない(当選許容値の範囲を無い状態にする〔つまり、当選許容値の範囲を0にする〕)こともできる。
本実施形態のスロットマシン1では、乱数の抽出範囲を0〜16383(214=16384個の乱数)としているが、乱数の抽出範囲を0〜32767(215=32768個の乱数)や、または0〜65535(216=65536個の乱数)としてもよい。乱数の抽出範囲を広げれば、それだけ抽出される乱数値の抽出範囲(または分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
ステップS201でいずれかの判定乱数テーブルが選ばれると、続いてステップS202では、NBフラグまたはCBフラグがONになっているかが判断される。これは後述する判定処理で詳細についての説明をするが、NBフラグ及びCBフラグは、その該当する図柄(NB図柄、CB図柄)が揃えられるまで当選フラグが持ち越されるからである。またこの当選フラグが持ち越されている場合、新たにNBまたはCBの抽選は行われない。スロットマシン1では、この当選フラグの持ち越しが行われている間に抽出乱数がNBまたはCBに該当した場合、ハズレとして処理を行うこととなる。つまり、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている間に新たなNBまたは新たなCBに当選した場合、その成立フラグは破棄されることになる。言い換えれば、NBフラグ及びCBフラグの持ち越しを可能とする代わりに、持ち越された当選フラグに該当するNB図柄またはCB図柄を揃えるまでは新たなNBまたはCBの抽選は行わないということである。更に、NBゲーム(またはCBゲーム)が終了するまでにもNB(またはCB)の抽選を行わないものとするので、NBゲーム(またはCBゲーム)が終了するまでは新たなNB(またはCB)に当選することは無いということになる。
なお、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合、フラグ持ち越し用の判定乱数テーブルを別途用いることとしてもよい。ただし、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルに加えて別の判定乱数テーブルの種類が増えるとメイン制御基板92の負荷が増大する虞があるので、スロットマシン1ではNBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合に限り、新たに成立したNBの当選フラグまたはCBの当選フラグを破棄するものとして、新たな判定乱数テーブルを設けずにメイン制御基板92にかかる負荷を軽減させるものとする。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれもONになっていない(即ち、NBフラグまたはCBフラグのいずれも持ち越されていない)と判断されると(ステップS202=No)、ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がNBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS203=Yes)、NBフラグがONにされ(ステップS204)、次いで次回判定乱数テーブル抽選が行われる(ステップS205)。この次回判定乱数テーブル抽選では、NBゲーム終了後から開始されるゲームに適用する判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれにするかを決定する抽選が行われる。このとき、NBゲーム終了後に適用する判定乱数テーブルとして特別判定乱数テーブルが選ばれると(ステップS206=Yes)、特別判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS210)。ここでいう「NBゲーム終了後」とは、ステップS204でNBフラグがONとなったことを契機として、当該ゲームまたはそれ以降のゲームで開始されるNBゲームが終了したときのことをいう。
次回判定乱数テーブル抽選で特別判定乱数テーブルが選ばれなかった場合(ステップS206=No)、通常判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS207)。それぞれステップS207、ステップS210で該当する判定乱数テーブルフラグがONにされると、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。ここでいう特別判定乱数テーブルフラグ及び通常判定乱数テーブルフラグは、そのフラグがONにされてからNBゲームが終了するまで持ち越されるものである。そして、それぞれの判定乱数テーブルフラグが持ち越されている場合、NBゲームの終了後から判定乱数テーブルが変更(または維持)されることとなる。
ここで、ステップS205の次回判定乱数テーブル抽選について具体的に説明する。次回判定乱数テーブル抽選では、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルがそれぞれ1/2の割合で選ばれるものとする。つまり、
〔通常判定乱数テーブル:特別判定乱数テーブル=1:1〕
という比率でいずれかの判定乱数テーブルが選ばれることとなり、遊技者に1/2の割合で特別判定乱数テーブルが選ばれるという期待を持たせることができる。
ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当しないと判断されると(ステップS203=No)、ステップS208で抽出乱数が特殊Bの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数が特殊Bの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS208=Yes)、特殊BフラグがONにされ(ステップS209)、次いで特別判定乱数テーブルフラグがONにされて(ステップS210)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。つまり、特殊Bに当選すると、特別判定乱数テーブルフラグが必ずONにされることになる。そして特殊Bゲーム終了後から開始されるゲームに特別判定乱数テーブルが適用されることとなる。ここでいう特別判定乱数テーブルフラグについても、特殊Bゲームが終了するまでの間も持ち越しされるものである。
本実施形態のスロットマシン1はその特徴として、判定乱数テーブルフラグを持ち越すことが可能である。即ち、いずれかの判定乱数テーブルフラグがONとなっている場合には、NBフラグまたは特殊BフラグがONとなる当該ゲームから判定乱数テーブルを変更させるのではなく、それぞれのNBフラグまたは特殊Bフラグに対応するNBゲームまたは特殊Bゲームが終了してから判定乱数テーブルの変更を行うことができるのである。
ステップS208で抽出乱数が特殊Bの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がCBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS211=Yes)、CBフラグがONにされて(ステップS212)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれかがONとなっている(NBフラグまたはCBフラグのいずれかが持ち越されている)と判断された場合(ステップS202=Yes)及びステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当しないと判断された場合(ステップS211=No)は、ステップS213で抽出乱数が小役(ベル、スイカ、チェリーのいずれか)の当選許容値に該当するかが判断される。ここで、ベル、スイカ、チェリーのいずれの小役の当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS213=No)、ステップS215で抽出乱数がリプレイの当選許容値に該当するかが判断される。更にここでリプレイの当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS215=No、いずれの当選役にも該当しなかった場合、つまりハズレに該当する)、いずれの当選フラグもONにされずに(この場合、ハズレフラグがONにされることになる)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
ステップS213またはステップS215のいずれかでそれぞれの当選許容値(ステップS213では小役、ステップS215ではリプレイ)に該当すると判断された場合(ステップS213=Yes、ステップS215=Yes)、それぞれ小役フラグがONにされ(ステップS214)、またはリプレイフラグがONにされて(ステップS216)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
本実施形態のスロットマシン1では、CB、小役(ベル、スイカ、チェリー)またはリプレイに当選した場合及びハズレとなった場合、次回判定乱数テーブル抽選は行われない。つまり、NB及び特殊Bに当選しない限りは判定乱数テーブルが変更されることはないことになる。従って、遊技者がこれらの当選役(CB、小役、リプレイ)に当選しても、仮に有利な判定乱数テーブル(特別判定乱数テーブル)が適用されている状態から通常判定乱数テーブルに変更されてしまうことがない。それゆえ、遊技者はCB、小役及びリプレイの特典を得る際に有利な状態から不利な状態に変更されてしまうといった心配をせずにゲームを行うことができる。
また、CBゲームではNBゲームに比べて獲得できるメダル枚数が少ない(詳細は後述する)ことから、通常判定乱数テーブルが適用されているゲームでは、CBに当選することはNBに当選することに比べると、遊技者にはあまり歓迎されるものではないが、特別判定乱数テーブルが適用されているゲームでは、NBに当選することよりもCBに当選することが遊技者には歓迎されることになる。これは、特別判定乱数テーブルが適用されたゲームでは、判定乱数テーブルが通常判定乱数テーブルに戻ってしまうまでに判定乱数テーブルの変更契機とならないCBにできるだけ多く当選することが、より多くのメダルを獲得することとなるからである。このことは、小役及びリプレイについてもCBほどのメダルの大幅な増加は期待できないが、遊技者にとって有利な状態(特別判定乱数テーブルが適用されているゲーム)に影響を及ぼさない(通常判定乱数テーブルへの変更契機とならない)という点について同様のことがいえる。
ステップS217ではコマンド送信処理として、成立フラグ(当選フラグ、ハズレフラグ)及び判定乱数テーブルフラグが情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信される処理が実行される。また、CB、小役、リプレイについては当選フラグのみが情報コマンドとして、ハズレについてはハズレフラグが情報コマンドとして、それぞれサブ制御基板94に送信されることになる。つまり、CB、小役、リプレイ及びハズレが内部抽選の当選結果となった場合には判定乱数テーブルの変更が行われないので、CB、小役、リプレイ及びハズレの場合には判定乱数テーブルについての情報コマンドは送信されないこととなる。このように余計な情報コマンドを減らすことでメイン制御基板92にかかる負荷を軽減させることができる。
なお、フラグ処理が行われる前あるいは始動処理が行われる前に、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれの判定乱数テーブルを適用するかを予め決定しておくこともできる。これは、スロットマシン1の抽出範囲が常に一定であるので、予め判定乱数テーブルを決定したうえで乱数を抽出したうえで、その抽出乱数を判定乱数テーブルと照らし合わせる場合と、前述した通り、抽出乱数を得た後で判定乱数テーブルを決める場合とを比べても差異がほとんど生じないといえるからである。
図8は、先の判定乱数テーブル選択処理(図7のステップS201)について具体的に示したものである。ステップS301では、先ず現在の遊技状態がNBゲーム中であるのか、またはCBゲーム中であるのか、または特殊Bゲーム中であるのかが判断されることになる。上記のいずれかのゲーム中であると判断された場合(ステップS301=Yes)、処理は終了となる。このとき、通常判定乱数テーブルまたは特別判定乱数テーブルのいずれも選ばれることはない。これは、遊技状態がNBゲーム中、CBゲーム中、または特殊Bゲーム中である場合、それぞれ特定の判定乱数テーブル(当たり値テーブル)が適用されるためである。つまり、NBゲーム中はNBゲーム用の判定乱数テーブルが、CBゲーム中はCBゲーム用の判定乱数テーブルが、特殊Bゲーム中は特殊Bゲーム用の判定乱数テーブルが、それぞれ適用されてゲームが行われることになる。これら特定の判定乱数テーブルの詳細については特別遊技状態及び特殊遊技状態にてフローチャート等を用いて説明する。
ステップS301で、現在の遊技状態がNBゲーム中またはCBゲーム中または特殊Bゲーム中のいずれにも該当しないと判断された場合(ステップS301=No)、判定乱数テーブルフラグがONとなっているかが判断される(ステップS302)。ここで、通常判定乱数テーブルフラグまたは特別判定乱数テーブルフラグのいずれもONとなっていない場合(ステップS302=No)、処理は終了となる。つまり、判定乱数テーブルは変更されずに現在の判定乱数テーブルが引き続き適用されることになる。
ステップS302で、通常判定乱数テーブルフラグまたは特別判定乱数テーブルフラグのいずれかがONとなっている場合(ステップS302=Yes)、次いでステップS303で、特別判定乱数テーブルフラグがONであるかが判断される。特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断されると(ステップS303=Yes)、抽出乱数の判定に特別判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は特別判定乱数テーブルによりいずれの当選役の当選許容値に該当するか判定(または判断、照合)されることになる(ステップS304)。また、特別判定乱数テーブルフラグがONではないと判断されると(ステップS303=No)、抽出乱数の判定に通常判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は通常判定乱数テーブルによりいずれの当選役の当選許容値に該当するか判定されることになる(ステップS305)。
上記のステップS302で判定乱数テーブルフラグがONであると判断される場合とは、特殊BフラグがONとなり、そのONとなった特殊Bフラグを契機として開始される特殊Bゲーム終了後の次ゲーム開始時のことであり、またはNBフラグがONとなり次回判定乱数テーブル抽選にて特別判定乱数テーブルフラグまたは通常判定乱数テーブルフラグのいずれかが選択され、そのONとなったNBフラグを契機として開始されるNBゲーム終了後の次ゲーム開始時のことである。
図9は、通常判定乱数テーブル及び特別判定乱数テーブルについて、それぞれの判定乱数テーブルと当選確率を具体的に示している。なお、以下では必要に応じて、内部抽選に通常判定乱数テーブルが適用されて抽出乱数の判定が実行されているゲームのことを「通常確率ゲーム」、内部抽選に特別判定乱数テーブルが適用されて抽出乱数の判定が実行されているゲームのことを「高確率ゲーム」と呼ぶ。
特別判定乱数テーブル〔図9(b)〕では、通常判定乱数テーブル〔図9(a)〕に比べて、NB及び特殊Bの当選許容値の範囲が大きく変更されている。具体的には、通常判定乱数テーブルに比べて特別判定乱数テーブルでは、NB及び特殊Bの当選許容値の範囲についても10倍に広く変更されている。従って、NB及び特殊Bの当選確率も10倍に高く変更されることとなる。その他の当選役については、その当選確率の変更はなされていないが、NBの当選許容値の範囲が広く変更されたことにより、CBからリプレイまでの当選許容値が変更されていることが分かる。ただし、当選許容値の幅自体は変更されていないので、CBからリプレイまでの当選役についての当選確率は変わらない。更に、ハズレの当選許容値の範囲(ハズレとなる範囲)については、NB及び特殊Bの当選許容値の範囲が広がったことにより減少しているのでハズレとなる確率が低く抑えられることとなっている。
図9で示したように、スロットマシン1では、抽出範囲内で当選許容値の範囲を変更させることにより、特定の当選役の当選確率を高くしたり、あるいは低くしたりすることができる。これによって判定乱数テーブルを複数種類持つことが可能となるのである。
(3.リール停止処理)
図10は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS401)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS402,S410,S417)。これらの待ち受け状態で、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの各リールが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左、中、右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。全ての停止ボタン20,22,24が押されるまでは、ステップS409の判断が否定(No)されてステップS402以降が繰り返される。
例えば、いわゆる「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左の停止ボタン20が押されたとすると(ステップS402=Yes)、左の停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていないため(ステップS403=Yes)、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS404)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
あるいは、いわゆる「中押し」の手順に沿って最初に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS410=Yes,ステップS411=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS412)が実行される。これ以外に、いわゆる「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右の停止ボタン24が押された場合は(ステップS417=Yes、ステップS418=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS419)が実行される。
上記でいう「順押し」あるいは「順はさみ押し」とは、ともに左リール10aを第1番目に停止させる停止操作手順であり、
「順押し」は、〔 左→中→右 〕の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいい、
「順はさみ押し」は、〔 左→右→中 〕の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいう。また、「逆押し」あるいは「逆はさみ押し」の停止操作手順は、それぞれ「順押し」あるいは「順はさみ押し」と反対の停止操作手順となる。即ち、
「逆押し」は、〔 右→中→左 〕の順番でリールの停止操作を行う手順のことであり、
「逆はさみ押し」は、〔 右→左→中 〕の順番でリールの停止操作を行う手順のことである。更に、「中押し」についても「順押し」あるいは「逆押し」と同様に、
〔 中→左→右 〕あるいは〔 中→右→左 〕という2つの停止操作手順が存在することになる。
左リール10a、中リール10b及び右リール10cのいずれかのリールについて第1リール停止処理(ステップS404またはステップS412またはステップS419)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、抽出乱数の値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば1つの当選役「ベル」について、リール10a,10b,10c上にある「ベル図柄」を有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されている場合、このリール制御テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10a,10b,10cの停止位置が制御される。これにより、「ベル図柄」が有効ライン上のいずれかで停止されることとなる。なお、それぞれの当選役に対応するリール制御テーブルのパターンを複数用意させることに限定されるものではなく、1つの当選役に対して1つのリール制御テーブルのパターンを用意するだけでもよい。
ここで、上記の「順押し」手順に沿って左リール10aが第1番目に停止されるパターンを例にとると、ステップS404で左リール10aについて第1リール停止処理が行われる。また、このときメイン制御基板92は、左リール10aに表示された出目(停止目)を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS406では残りの中リール10b、右リール10cについてそれぞれリール制御テーブルが乱数抽選によって決定される。具体的には、図1において左リール10aが停止した状態となり「ベル図柄」が下段位置に停止したとすると、停止した時点で「ベル図柄」の組み合わせが揃うための有効ラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となる。このとき乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択されることになる。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
なお、成立フラグに対応する当選図柄を停止させる有効ラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると左リール10a(または第1リール)を停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄(成立フラグに対応する当選図柄、以下では該当図柄という)を停止させるのか決定しているため、ステップS406に示した乱数抽選を行う必要が無くなり、メイン制御基板92の行う処理を複雑化(煩雑化)させることがない。ただし、予め決定された有効ラインに該当図柄を停止させる場合、左リール10aにチェリー図柄が該当図柄と重複して(同時に)停止してしまうことを回避させる必要が生じることになる。従って、成立フラグに対応した当選図柄を停止させる有効ラインを予め決める際には、チェリー図柄と該当図柄とが重複せずに停止可能な有効ラインに限定されることになる。
以上の処理(ステップS406)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS407)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS408)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階ではリール10a,10b,10cが全て停止していないので、ステップS409の判断が否定(No)されてステップS402以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS402=No)、「順押し」手順に沿って2番目に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS410=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS411=No)を経て中リール停止処理(ステップS413)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブルに基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が揃う例でいうと、中リール10b上の「ベル図柄」が表示窓8内の中段位置に停止することとなる。このときの停止目は、左リール10a、中リール10bに「ベル図柄」が右上がりとなる有効ライン上に2つ揃った状態(この状態をテンパイ状態という、この場合は右上がりテンパイ状態)となる。また、このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。そして、この場合、中リール10bは第2停止であるためステップS412,S414,S415は全て迂回され、ステップS416にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右の停止ボタン24が押されると(ステップS417=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS418=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブルに基づいて停止位置が制御される(ステップS420)。これにより、右リール10c上の「ベル図柄」が表示窓8内の上段位置に停止することとなるので、全リールが停止した状態での出目は、右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。また、この場合、右リール10cは第3停止であるためステップS419,S421,S422は全て迂回され、ステップS423にて右リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS409の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
更に、上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選図柄が停止操作の受け付けられた時点から表示窓8内に引き込んで停止させることが可能な範囲(位置)にある場合、必ず引き込んで該当する当選図柄を表示窓8内に停止させようとする制御が行われる(いわゆる、引き込み制御といわれるリール停止制御)。引き込み可能な範囲とは、リールの停止操作が受け付けられてからリールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数(例えば、4個分の図柄を最大数とすれば、最大4個分の図柄まで移動が可能となる)のことをいう。つまり、リール停止操作が受け付けられた時点で、リールが即座(引き込み制御が行われずに)に停止すると仮定した場合には、表示窓8内に停止することのない当選図柄(以下では該当当選図柄と呼ぶ)であっても、引き込み制御を行うことによって、リールが停止するまでに該当当選図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選図柄を表示窓8内に移動させて停止させることが可能となる。この停止制御(引き込み制御)を行うことにより、遊技者は目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に成立フラグに対応する当選図柄があれば、その成立フラグに対応する当選図柄を表示窓8内に引き込むことが可能となり、成立フラグに対応する当選図柄の取りこぼしを極力回避することが可能となる。また、遊技者の目押しの技量が高く、どの当選図柄でも正確に停止させることができたとしても、成立フラグ以外の当選図柄が揃ってしまうことを回避させることもできるのである。
本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ(再ゲーム役)及びベル(一般小役のうちの1つ)が成立フラグとなる場合には、遊技者の目押しのタイミングが早くとも、遅くとも、必ず該当図柄を揃えさせるものとする。つまり、引き込み制御により「取りこぼし」が生じる可能性がない図柄の配列とする。具体的には、全てのリールの引き込み可能な範囲内に必ず、該当図柄(リプレイ図柄及びベル図柄)を配置させることで可能となるのである。従って、リプレイ、ベルは「取りこぼし」を心配することなく、内部抽選で当選すれば必ず獲得できることになり、遊技者の目押しの負担を軽減されることになる。
また、「順押し」あるいは「順はさみ押し」によるリール停止操作が行われた場合のみ、「取りこぼし」が生じないものとする。これは「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が受け付けられた場合には、左リール10aの停止制御が行われる際に「チェリー図柄」に関する停止制御が行われる可能性が生じるからである。即ち、成立フラグがチェリー以外であり、なおかつ、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が受け付けられると、左リール10aの停止に際してチェリー図柄を回避させるための停止制御が行われることとなるからである。
具体的には、成立フラグがチェリー以外であった場合、例えば、成立フラグがベルであるとする。そのときの成立フラグであるベルに対応するベル図柄を揃えようと表示窓8内の有効ライン上に引き込み制御が行われることになる。このとき、同時に「チェリー図柄」を別の有効ライン上に引き込んでしまうことを回避するリール停止制御も行われる(以下では「チェリー停止回避制御」と呼ぶ)。この場合、ベル図柄の引き込み制御に優先して「チェリー停止回避制御」が行われることとなるので、結果としてベル図柄が揃えられなくなる(つまり、表示窓8内に停止不可能となる)ことがある。従って、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が行われた場合、リプレイ及びベルにも「取りこぼし」を生じてしまう可能性があることになる。
「順押し」あるいは「順はさみ押し」の停止操作が受け付けられた場合は、左リール10aを第1リールとして停止処理(前述の第1リール停止処理)が行われることとなるので、「チェリー図柄」を表示窓8内に停止させることを回避するだけでよい。これは「チェリー停止回避制御」を行った場合でも、成立フラグに該当する当選図柄を表示窓8内に停止させることのできる図柄の配列(図柄の配置の順番)を左リール10aに設ければ解決することができる。
以上のことから、本実施形態のスロットマシン1は、「順押し専用」あるいは「順押しまたは順はさみ押しにて御遊技下さい」等の案内の表示(または説明、但し書き)を遊技者が視認できる箇所に設けて、「順押し」あるいは「順はさみ押し」で遊技者にゲームを行わせることが望ましい。なお、遊技者が視認できる箇所とは、スロットマシン1本体のベットボタンの近傍やメダル投入口の付近等や、あるいは、スロットマシン1が設置されている近傍等がある。
なお、リプレイ及びベルを、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外のリール停止操作(「中押し」、「逆押し」または「逆はさみ押し」、以下では、これらをまとめて「変則押し」と呼ぶ)が行われた場合にも「取りこぼし」が生じないものとしてもよい。この場合、「変則押し」によるリプレイ及びベルの「取りこぼし」が生じる可能性が無くなり、遊技者がリプレイやベルの「取りこぼし」を心配して「順押し」しかできないといった窮屈さから開放されることとなる。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(4.判定処理)
図11は、判定処理の内容を具体的に示している。前述のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止した状態となると、そのとき表示されている出目を確認する処理が行われ、表示窓8内のいずれかの有効ライン上でいずれかの当選役に該当する当選図柄の組み合わせが揃っているかが確認されることとなる(ステップS501)。
このとき、いずれか1つの有効ライン上に揃っている当選図柄の組み合わせがNB図柄の組み合わせであるか(ステップS502)、CB図柄の組み合わせであるか(ステップS505)、小役図柄(ベル図柄、スイカ図柄あるいはチェリー図柄のいずれか)の組み合わせであるか(ステップS508)、リプレイ図柄の組み合わせであるか(ステップS512)、特殊B図柄の組み合わせであるか(ステップS516)、またはいずれにも該当しないハズレとなる図柄の組み合わせであるかがそれぞれ判断される。そして、いずれか1つの有効ライン上に揃った当選図柄の組み合わせが全てNB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS502=Yes)、NB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS503)。また、いずれか1つの有効ライン上に揃った当選図柄の組み合わせが全てCB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS505=Yes)、CB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS506)。
NB図柄が揃った場合またはCB図柄が揃った場合は、そのときに揃った当選図柄に応じた効果音がスピーカ56より発せられるとともに、NBゲーム遊技処理(ステップS504)、またはCBゲーム遊技処理(ステップS507)が実行されて判定処理は終了となる。ここでスピーカ56より発せられる効果音は、先のステップS503またはステップS506でメイン制御基板92よりサブ制御基板94へ送信された効果音コマンドに基づいて行われるものである。
ステップS501で、いずれか1つの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが小役図柄(全てベル図柄、あるいは全てスイカ図柄、またはチェリー図柄のいずれか)に該当すると判断されると(ステップS508=Yes)、各小役に対応する規定枚数のメダル払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS509)。そして、ステップS510で払出処理として規定枚数のメダルが払い出されることになる。
上記の小役のうち、ベルは、「ベル−ベル−ベル」と全てベル図柄の組み合わせがいずれか1つの有効ライン上に揃うことでベル図柄の組み合わせが揃ったと判断される。また同様にスイカも「スイカ−スイカ−スイカ」と全てスイカ図柄の組み合わせがいずれか1つの有効ライン上に揃うことでスイカ図柄の組み合わせが揃ったと判断される。しかし、チェリーについては、左リール10aのみ表示窓8内のいずれかの有効ライン上にチェリー図柄が停止するだけで(即ち「チェリー−ANY−ANY」)、チェリー図柄の組み合わせが揃ったと判断される。
なお、小役図柄ごとに揃った場合の効果音を別々のものとしてもよい。特に小役の中でも当選確率の低いレアな小役(例えば、スイカ)の効果音を他の小役(例えば、ベル)と異ならせ、更に、このレアな小役(スイカ)の目押しの難易度を高くしておけば(例えば、「取りこぼし」が生じ易い図柄の配列とする)、遊技者がレアな小役に対応する図柄(スイカ図柄)を揃えたときに周囲(他の遊技者等を含む)に対してレアな小役を揃えたということを強くアピールすることもできる。これにより、遊技者は自分の目押しが正確にできたことを喜ぶことができるとともに、周囲に対しても自分の目押しの技量がアピールできた満足感を得ることとなる。
ステップS510で払出処理が終わると、小役の当選フラグがOFFにされ(ステップS511)、この処理は終了となる。
ステップS501で、いずれか1つの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、全てリプレイ図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS512=Yes)、リプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS513)。そして、ステップS514でリプレイゲーム処理が実行される。このリプレイゲーム処理とは、改めてメダルの投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲームを再遊技として実行できる処理のことをいう。再遊技として次回のゲームが行われる場合、そのときの有効ラインの数は、リプレイ図柄の組み合わせが揃ったゲームでの有効ラインの数と同じライン数となる。例えば、3ベットしてゲームを行った結果、リプレイ図柄の組み合わせが揃った場合、次回のゲームが再遊技として開始される場合のベット数(勿論、このとき新たにメダルをベットする必要はない)も3ベットしたときのライン数が有効となる。
ステップS514でリプレイゲーム処理が終わると、リプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS515)、この処理は終了となる。
ステップS501で、いずれか1つの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、特殊B図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS516=Yes)、NB図柄やCB図柄が揃ったときとは異なり、特殊B図柄の組み合わせが揃ったことを祝福する効果音コマンドはメイン制御基板92からサブ制御基板94へ送信されることはない。即ち、特殊B図柄の組み合わせが揃った場合には、特に効果音等は発せられることなく、特殊Bゲーム遊技処理(ステップS517)が実行されて判定処理は終了となる。
ステップS501で、いずれか1つの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、いずれの当選図柄の組み合わせにも該当しない場合(ステップS502、ステップS505、ステップS508、ステップS512、ステップS516の全てがNoとなる場合、以下では、「ハズレ態様となる場合」と呼ぶ)、NB及びCB及び特殊Bの当選フラグを除いたその他の成立フラグ(ハズレフラグを含む)がOFFにされて(ステップS518)、判定処理は終了となる。ここでいう「ハズレ態様となる場合」には、成立フラグとしてハズレフラグが得られている場合、あるいは成立フラグとしてハズレフラグ以外の当選フラグが得られているが、その成立フラグに対応する当選図柄を「取りこぼし」た場合のいずれかが該当する。
NB及びCB及び特殊Bの当選フラグを除いた成立フラグがOFFにされることとは、言い換えれば、NB及びCB及び特殊Bについては、その当選フラグが維持される(または、持ち越される)ということである。これは、NB及びCB及び特殊Bの特典が、遊技者にとって小役やリプレイの特典より有利な利益を与える特典を有しているからである。つまり、NBまたはCBまたは特殊Bに当選した場合、大量のメダルを獲得できる機会や、または大量のメダルを獲得し易い状態に移行する機会が遊技者に与えられるからである。このような機会は小役やリプレイに当選した場合には与えられないものである。
本実施形態のスロットマシン1では、この遊技者にとって有利となる機会(大量のメダルを獲得できる機会の付与等)を遊技者が損なうことなく獲得させるために、NB及びCB及び特殊Bについてはその当選フラグの維持を行う。そして、当選フラグの維持が行われることにより、遊技者に等しく有利な機会を提供することが可能となる。つまり、遊技者の熟練度や技量の程度に差があっても、NBまたはCBまたは特殊Bの特典は誰もが獲得することができることとなる。
特に、NB(またはCB)に当選していても、NB図柄(またはCB図柄)は目押しが必要とされる当選図柄であるから、遊技者が正確に目押しを行わないと揃えることができない。このときNB(またはCB)の当選フラグが維持されることにより、遊技者はNB(またはCB)についての「取りこぼし」を心配する必要がなくなる。従って、NB(またはCB)の当選フラグが得られている場合、遊技者はNB図柄(またはCB図柄)を揃えるまで何度でも目押しに挑戦することができる。また、これにより遊技者の目押しの技量を向上させることも可能となる。
更に、本実施形態のスロットマシン1では、特殊B図柄の組み合わせとなる図柄について「ベル図柄」と「リプレイ図柄」からなる組み合わせとしているので、「取りこぼし」が生じないものとすることができる。ただし、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の手順(変則押し)によりリールの停止操作が受け付けられることもあるので、この場合に「チェリー停止回避制御」が行われることを考慮して特殊Bについてもその当選フラグが維持されるものとする。また、NB及びCB及び特殊Bの特典の詳細については後述する。
一方、小役及びリプレイについては、それぞれの当選フラグが得られたゲーム(つまり、内部抽選で小役フラグがONになった当該ゲーム、あるいはリプレイフラグがONになった当該ゲーム)で、該当する小役図柄あるいはリプレイ図柄を揃えることができなければ、その当選フラグは消滅してしまう。これは、ハズレフラグも同様である。
また、本実施形態のスロットマシン1では、前述した通り「変則押し」以外での停止操作でリプレイ及びベルに「取りこぼし」を生じることのない図柄の配列を各リール上に設けることができる。これにより、目押しの技量の低い遊技者(ゲームに不慣れな初心者)が、正確な目押しができなくてもリプレイとベルについては「取りこぼし」をする可能性を低く抑えることが可能となる。更に、目押しが不要な当選役をリプレイ及びベルの2種類に留めることで、その他の当選役(リプレイ及びベル以外の当選役)については正確な目押しを要するものとすることができる。これにより、目押しの技量の高い遊技者(ゲームに熟練した上級者)にも技術介入の余地のある面白みを持ったゲーム性を提供することが可能となる。
(5.特別遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NB図柄(「7−7−7」)またはCB図柄(「C−C−C」)の図柄の組み合わせが表示窓8内のいずれか一つの有効ライン上に表示された(図柄が揃った)場合、次回のゲームからそれぞれ「NBゲーム」、「CBゲーム」という特別遊技状態に移行する。これらNBゲームやCBゲームには複数回のゲーム機会が含まれており、この間に集中してメダルの払い出しの可能性があるため、遊技者にとっては通常のゲームに比べて有利な状態であるといえる。このNBゲーム、CBゲームは遊技価値付与機会増加手段の一例に相当する。
(5−1.NBゲーム遊技処理)
図12は、NBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理としてNBフラグがOFFにされ、NBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(判定乱数テーブル)が変更される(ステップS601)。ここで変更された当たり値テーブルはボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有しており、この当たり値テーブルのことをNBゲーム専用判定乱数テーブルという。NBゲーム専用判定乱数テーブルでは、ボーナスゲーム専用役の当選確率を1/1.01となるよう当選許容値の範囲を決めるものとする。従って、NBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナスゲーム専用役に当選することが可能な状態であるといえる。なお、上記の初期化処理にて現在の遊技状態を表すコマンド(遊技ステータスコマンド)をサブ制御基板94に送信させる態様をとることもできる。
また、NBゲーム専用判定乱数テーブルには、NB及びCB及び特殊Bの当選許容値は含めず、更に小役及びリプレイの当選許容値も含めないものとする。従って、NBゲーム中にCB、特殊B、小役、リプレイのいずれにも当選することは無く、更にNBゲーム中に新たにNBに重複して当選することもないこととなる。つまり、NBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかの結果が得られることとなる。また本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム中も通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けてゲームを行うものとする。従って、遊技者は通常のゲームと比べて特別な違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
ステップS601に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS602)及び停止処理(ステップS603)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS603)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS604)、そして、内部のNBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS605)。
次に、出目としてボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS606)。ここでボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかったと判断された場合(ステップS606=No)はステップS610に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれかであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様として3つの組み合わせ態様が用意されており、ボーナスゲーム専用役図柄は必ず揃えられるものとしている。従って、ボーナスゲーム専用役に「取りこぼし」が生じることはないので、〔ステップS606=No〕となるのは、ハズレフラグがONになっていた場合のみということになる。
これに対し、ステップS606の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったと判断された場合(ステップS606=Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS607)。ステップS608では、払出処理としてボーナスゲーム専用役図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。また、メダルの払い出しが行われると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS609)。
ステップS609に続いてステップS610では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にNBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われる(ステップS611)。このとき、終了条件が満たされていなければ(ステップS611=No)、ステップS602に戻って次の始動処理が行われる。
NBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS605で、NBゲーム数カウンタのカウント数が36回に達する。
(2)ステップS609で、累計払出枚数が500枚に達する。
上記のいずれかの条件が満たされると、ステップS611の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル移行処理が実行される(ステップS612)。この判定乱数テーブル移行処理では、先ず、判定乱数テーブルフラグが持ち越されているかの確認が行われる。つまり、通常判定乱数テーブルフラグあるいは特別判定乱数テーブルフラグのいずれかがONとなっているかが判断されるということである。いずれかの判定乱数テーブルフラグがONになっていることが確認されると、次回のゲームから内部抽選に適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。そして、判定乱数テーブルがNBゲーム専用判定乱数テーブルから次回の判定乱数テーブル(通常判定乱数テーブルまたは特別判定乱数テーブルのいずれか)に変更されて判定乱数テーブル移行処理が終了すると、NBゲーム遊技処理も終了することとなる。ここでいう「次回のゲーム」とは、NBゲームが終了した直後から開始されるゲームのことである。
前述の通り、NBフラグがONとなると、通常判定乱数テーブルフラグあるいは特別判定乱数テーブルフラグのいずれかが必ずONとなり、そのときONとなったNBフラグを契機として開始されたNBゲームが終了するまで判定乱数テーブルフラグが持ち越されることとなる。そして、持ち越された判定乱数テーブルフラグによりNBゲームが終了した直後から開始されるゲームで適用する判定乱数テーブルが決定することになる。つまり、NBゲーム開始前とNBゲーム終了後(以下では、NBゲームの前後という)とでは、NBゲームを挟んで必ず判定乱数テーブルの変更または維持が行なわれることになる。ここでいう「判定乱数テーブルの変更」とは、NBゲームの前後で判定乱数テーブルが、
〔 通常判定乱数テーブル→特別判定乱数テーブル 〕
あるいは、
〔 特別判定乱数テーブル→通常判定乱数テーブル 〕
と変更されることをいう。また「判定乱数テーブルの維持」とは、NBゲームの前後で判定乱数テーブルが、
〔 通常判定乱数テーブル→通常判定乱数テーブル 〕
あるいは、
〔 特別判定乱数テーブル→特別判定乱数テーブル 〕
と変更されないことをいう。
なお、NBゲーム専用判定乱数テーブルの当たり値に小役を含む態様としてもよい。この場合、小役はベル、スイカ、チェリーの全てあるいは一部とすることができる。従って、NBゲーム中は、ボーナスゲーム専用役及び小役によってメダルを獲得することが可能となる。また、NBゲーム中は、通常のゲームと異ならせてメダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを確認できることとなり、現在の遊技状態がNBゲーム中であるという認識をすることができる。
(5−2.CBゲーム遊技処理)
図13は、CBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理としてCBフラグがOFFにされるとともに、CBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブルが変更される(ステップS701)。ここで変更された当たり値テーブルはNBゲーム用の乱数抽選の当たり値テーブルと同様、ボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有しており、この当たり値テーブルのことをCBゲーム専用判定乱数テーブルという。CBゲーム専用判定乱数テーブルでは、ボーナスゲーム専用役の当選確率を1/1.01となるよう当選許容値の範囲を決めるものとする。従って、CBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナスゲーム専用役に当選することが可能な状態であるといえる。なお、上記の初期化処理にて現在の遊技状態を表すコマンド(遊技ステータスコマンド)をサブ制御基板94に送信させる態様をとることもできる。
また、CBゲーム専用判定乱数テーブルには、NB及びCB及び特殊B、更には小役及びリプレイの当選許容値も含めないものとする。従って、CBゲーム中にNB、特殊B、小役、リプレイのいずれにも当選することは無く、更にはCBゲーム中に新たにCBに重複して当選することもないことになる。つまり、CBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかの結果が得られることとなる。また本実施形態のスロットマシン1では、CBゲームについてもNBゲームと同様に通常のゲームと変わりなくメダルを3枚掛けてゲームを行うものとする。従って、遊技者は通常のゲームと比べて違和感を覚えることなくゲームを行うことができる。
ステップS701に次いでリール装置10の始動処理(ステップS702)及び停止処理(ステップS703)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS703)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS704)、そして、内部のCBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS705)。
次に、出目としてボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS706)。ここで、ボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかったと判断された場合(ステップS706=No)はステップS710に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合には、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様として3つの組み合わせ態様が用意されており、ボーナスゲーム専用役図柄は必ず揃えられるものとしている。従って、ボーナスゲーム専用役に「取りこぼし」が生じることはないので、〔ステップS706=No〕となるのは、ハズレフラグがONとなっていた場合のみということになる。
これに対し、ステップS706の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったと判断された場合(ステップS706=Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS707)。ステップS708では、払出処理としてボーナスゲーム専用役図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが行われると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS709)。
ステップS709に続いてステップS710では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にCBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われる(ステップS711)。このとき、終了条件が満たされていなければ(ステップS711=No)、ステップS702に戻って次の始動処理が行われる。
CBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS705で、CBゲーム数カウンタのカウント数が18回に達する。
(2)ステップS709で、累計払出枚数が250枚に達する。
上記のいずれかの条件が満たされると、ステップS711の終了判定が肯定(Yes)され、次にCBゲームの終了処理としてCBゲーム専用判定乱数テーブルから元の判定乱数テーブル(CBゲーム開始前の判定乱数テーブル)に戻される(ステップS712)。
なお、CBゲーム専用判定乱数テーブルは、NBゲーム専用判定乱数テーブルと同じとしてもよい。これは当たり値テーブルを多数の種類設けることを回避してメイン制御基板94の負担を軽減することができるからである。
なお、CBゲーム専用判定乱数テーブルの当たり値に小役を含む態様としてもよい。この場合、小役はベル、スイカ、チェリーの全てあるいは一部を含めるものとすることができる。これにより、CBゲーム中にはボーナスゲーム専用役及び小役によってメダルを獲得することが可能となる。また、CBゲーム中は、通常のゲームと異ならせてメダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けにてゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることが確認できる。従って、現在の遊技状態がCBゲーム中であることを認識することとなる。更に、CBゲーム中のボーナスゲーム専用役図柄をNBゲーム中のボーナスゲーム専用役図柄とは異なるものとしてもよい。これにより、ゲームに不慣れな初心者等が現在の遊技状態がNBゲーム中であるのかCBゲーム中であるのかを混同してしまうといった事態を避けることも可能となる。
(6.特殊遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム、CBゲームという特別遊技状態以外に、特殊B図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)が表示窓8内のいずれか一つの有効ライン上に表示された場合、「特殊Bゲーム」と呼ばれる特殊遊技状態に移行する。特殊Bゲームには、NBゲーム、CBゲームとは異なり大量のメダルが払い出される機会は含まれていないが、特殊Bゲームが終了した直後から開始されるゲームを遊技者にとって有利な条件で実行させる契機としての役割を持っている。
ここで、特殊B図柄の組み合わせについて、ベル図柄とリプレイ図柄の組み合わせとしたのは、特殊B図柄の組み合わせに「取りこぼし」を生じさせないためである。また、スロットマシン1では、「変則押し」による停止操作が受け付けられた場合にも特殊B図柄の組み合わせは「取りこぼし」が生じないものとする。従って、特殊Bの当選フラグがONとなったゲームでは、遊技者の停止操作の順番に関わらず特殊B図柄の組み合わせが揃うことになる。以下では特殊Bゲームの具体的な内容について説明をする。
(6−1.特殊Bゲーム遊技処理)
図14は、特殊Bゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理として特殊BフラグがOFFにされるとともに、特殊Bゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(判定乱数テーブル)が変更される(ステップS801)。ここで変更された当たり値テーブルでは、当たり値として小役とリプレイ及びハズレのみを含んでおり、NB及びCB及び特殊Bの当選許容値は含んでいない。この当たり値テーブルのことを特殊Bゲーム専用判定乱数テーブルという。また、特殊Bゲーム専用判定乱数テーブルにはボーナスゲーム専用役も当選許容値には含めないものとする。そして、小役及びリプレイの当選確率については通常判定乱数テーブルのそれぞれの当選確率と同じとする〔図9(a)参照〕。なお、当選許容値の範囲も同じとしてもよい。このとき、小役とリプレイ以外の当選役の当選許容値は全てハズレの当選許容値の範囲とする。
特殊Bゲーム専用判定乱数テーブルの当選許容値にはNB及びCB及び特殊Bの当選許容値も含まれないので、特殊Bゲーム中に新たにNB及びCB、更には特殊Bに重複して当選することは無いものとなっている。なお、上記の初期化処理にて現在の遊技状態を表すコマンド(遊技ステータスコマンド)をサブ制御基板94に送信させる態様をとることもできる。
特殊Bゲームはその開始から終了までを遊技者に知らせる(報知する)態様はとらずにスロットマシン1の内部的に実行させるのみとする。即ち、判定乱数テーブルが特殊Bゲーム専用判定乱数テーブルに変更されるだけで、スロットマシン1の外部の動作は通常のゲームと同じ態様とするのである。上記でいう「遊技者に知らせる態様」とは、スロットマシン1の外部に向けた動作制御等に変化を与えて遊技者に動作態様に変化があったことを知らせる(または報知する)ことをいう。例えば、リールの回転及び停止操作を通常のゲームと異ならせたり、ランプの発光態様を通常のゲームと異ならせたり、あるいは通常のゲームにはない効果音を発生させたり、始動レバーを操作してもゲームを開始させなかったり、停止ボタンを押下したときに停止ボタンが振動したり、といったスロットマシン1の外部に向けた動作制御のことをいう。
ここでいう「スロットマシン1の外部に向けた動作制御等」には、リールの回転や停止操作や、効果音を発生させることや、ランプの発光などが含まれる。なお、動作制御に限定されることはなく、ゲームの進行に関連する動作状況を含めるものとしてもよい。以下でいう動作制御等も同様の意味として使うものである。
上記の「遊技者に知らせる態様」を特殊Bゲームでは伴わせないことにより、特殊Bゲームが開始されるときから終了するまでを遊技者に視覚的にも聴覚的にも触覚的にも気付かせることがないのである。更に特殊Bゲームは数回のゲームで終了するものとし、これに加えて、特殊Bゲーム中は、小役及びリプレイの当選確率を通常確率ゲームと同じにする。これにより、特殊Bゲーム中は、通常のゲームが行われているという認識しか遊技者に持たせることがない。従って、特殊Bゲームを、特殊B図柄の組み合わせが揃ってから特殊Bゲームが開始され、そして終了するまで遊技者に気付かせることなく終わらせることができる。
上記により、遊技者に有利なゲームを行わせるための契機としての特殊Bゲームを速やかに開始させることができ、また速やかに終了させることも可能となる。言い換えれば、遊技者が全く気付かないうちに特殊Bゲームを開始させ、そして終了させることにより、何事もなく通常のゲームが数ゲーム進行した程度という意識しか遊技者に持たせないことができるのである。そして、遊技者に特殊Bゲームを気付かせないという理由から特殊Bゲームについては勿論、通常のゲームと同じくメダルを3枚掛けでゲームを行うものとする。
ステップS801に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS802)及び停止処理(ステップS803)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS803)によって全リール10a,10b,10cが停止すると、内部の特殊Bゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS804)。次に、ステップS805では出目の判定処理が実行される。この判定処理の内容は既に説明したものと同じである。
ステップS805で判定処理が終了すると、小役に当選してメダルの払い出しが行われた場合のみ、その払い出されたメダルの枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS806)。判定処理でリプレイに当選した場合、またはハズレとなってメダルの払い出しが行われなかった場合には累計払出カウンタはカウントアップされない。また、小役を「取りこぼし」たときも累計払出カウンタはカウントアップされないものとする。そして、次回以降のゲームで小役に当選してメダルの払い出しが行われた場合には累計払出カウンタがカウントアップされることとなる。
そして、毎回のゲーム終了後に特殊Bゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われる(ステップS807)。このとき、終了条件が満たされていなければ(ステップS807=No)、ステップS802に戻って次の始動処理が行われる。
特殊Bゲームは、以下のいずれかの終了条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS804で、特殊Bゲーム数カウンタのカウント数が5回に達する。
(2)ステップS806で、累計払出枚数が3枚に達する。
上記のいずれかの条件が満たされると、ステップS807の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル変更処理が実行される(ステップS808)。この判定乱数テーブル変更処理では、先ず、判定乱数テーブルフラグが持ち越されているかの確認が行われる。つまり、特別判定乱数テーブルフラグがONとなっているかが確認されることになる。ここで特別判定乱数テーブルフラグがONとなっていることが確認されると、次回のゲームから内部抽選に適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。そして、判定乱数テーブルが特殊Bゲーム専用判定乱数テーブルから次回の判定乱数テーブル(特別判定乱数テーブル)に変更されて判定乱数テーブル変更処理が終了すると、特殊Bゲーム遊技処理も終了することとなる。ここでいう「次回のゲーム」とは、特殊Bゲームが終了した直後から開始されるゲームのことである。
なお、特殊Bゲーム専用判定乱数テーブルにボーナスゲーム専用役の当選許容値を含めてもよい。この場合、特殊Bゲーム中に、ボーナスゲーム専用役にも当選する可能性を持たせることができる。ただし、ボーナスゲーム専用役の当選確率を、相当に低い当選確率となるようにすることが望ましい(例えば、1/1000程度若しくはそれ以下)これは特殊Bゲーム中にボーナスゲーム専用役に当選する機会が増えると、特殊Bゲームを遊技者に察知させずに進行させることができなくなるからである。従って、特殊Bゲーム中のボーナスゲーム専用役の当選確率を低く抑えることで特殊Bゲームが開始されていることを遊技者に気付かれることを回避できる。なお、ボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1000程度に限定されるものではなく、全ての当選役の当選確率に比べて低くすることとしてもよい。
特殊Bゲームの当選許容値ボーナスゲーム専用役を含めると、ボーナスゲーム専用役に当選して、該当図柄が揃った場合に、遊技者に衝撃的な喜びを与えることが可能となる。これは、通常のゲームでは単なるハズレの出目(以下では、ハズレ目という)であるボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせによってメダルの払出しが行われることとなるからである。従って、遊技者は通常のゲームと思ってゲームを進めていて突然、ハズレ目からメダルの払出しが行われたことに驚くこととなる。そして、現在の遊技状態が通常のゲームとではないことに気付くことになる。
更に、遊技者が(通常のゲームではないことに)気付いてから数ゲームから数十ゲームを経てNBに当選するという経験を多くすることとなる。この結果、通常のゲームでボーナスゲーム専用役に当選するとスロットマシン1の内部状態が変化する(遊技者に有利な状態に移行する)かもしれないという期待を遊技者が抱くこととなる。従って、通常のゲームで引き起こる遊技者の興趣の低下を抑制することが可能となる。こうした経験を重ねるごとに、遊技者はボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせが揃うたびにメダルの払い出しが行われないかドキドキしながらゲームを進めることとなる。
(7.付加特典)
本実施形態のスロットマシン1の特徴として、次回のゲームから「高確率ゲーム」に移行することが決まった場合(つまり、判定乱数テーブルが特別判定乱数テーブルに変更される場合)、NB、特殊B以外に更に他の当選役の当選確率も高く変更させることができる。「高確率ゲーム」への移行とともに、他の当選役の当選確率を高く変更させる特典を、「付加特典」と呼ぶ。スロットマシン1では、この「付加特典」により当選確率を高く変更させる当選役としてリプレイを選択するものとする。
従って、「付加特典」が付与された「高確率ゲーム」ではNB、特殊Bに加えてリプレイの当選確率も高く変更されてゲームを進めることができることになる。以下では「付加特典」が付与された状態で行われる「高確率ゲーム」のことを「付加あり高確率ゲーム」と呼び、対して「付加特典」が付与されない状態で行われる「高確率ゲーム」のことを「付加なし高確率ゲーム」と呼ぶ。なお「付加なし高確率ゲーム」は前述した「高確率ゲーム」と内容は同じである。
「高確率ゲーム」ではNBの当選確率が、1/256から1/25.6へと10倍に高く変更されることは既に説明したとおりである。また、このとき特殊Bの当選確率も、1/410から1/41.0へと10倍に高く変更される(図9参照)。「付加特典」では、リプレイの当選確率を「通常確率ゲーム」での当選確率(1/7)から、約3倍高い当選確率(1/2.3)に変更させるものとする。従って、「付加あり高確率ゲーム」では、NB及び特殊B及びリプレイの当選確率がそれぞれ高くなり、特にリプレイには当選する機会が増えることになる。
「付加あり高確率ゲーム」で、リプレイに当選する機会が増えれば、それだけ再遊技が増えることとなり、遊技者が一定の単位時間当たりに消費するメダルの枚数(単位時間当たりのメダル消費量)を「通常確率ゲーム」に比べて抑えることができる。つまり、「付加あり高確率ゲーム」は「付加なし高確率ゲーム」に比べてNBに当選するまでのゲームで消費するメダルの消費量を抑えることができ、遊技者にとって最も有利な「高確率ゲーム」ということになる。従って、遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合は、「付加特典」が付与されることを強く望むこととなる。
「付加特典」は「高確率ゲーム」に移行することが決まった場合に必ず付与されるものとする。つまり、「高確率ゲーム」に移行することになれば、必ず「付加あり高確率ゲーム」となるので、遊技者はとにかく「高確率ゲーム」に移行することを望むようになる。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、「付加特典」により、その当選確率を高く変更させる当選役としてリプレイを選択するものとしているが、これに限定されるものではない。また、選択する当選役も1種類でなくともよい。例えば、リプレイに代えてベルを「付加特典」により当選確率を高く変更させる当選役として選択することもできる。この場合、例えば、ベルの当選確率を「通常確率ゲーム」での当選確率(1/10)から約3倍高い当選確率(1/3.3)に変更させると、「付加あり高確率ゲーム」ではベルに頻繁に当選することとなり、メダルが徐々に増加するというゲーム内容とすることができる。また、スイカやチェリーを「付加特典」で選択される当選役とすれば、スイカやチェリーは「取りこぼし」の可能性がある当選役であるので、遊技者の目押しの技量により「付加あり高確率ゲーム」で遊技者が獲得することのできるメダルの枚数に差の生じ易いゲーム内容とすることができる。
更に、「付加特典」で選択される当選役を複数の当選役とする場合、例えば、このとき、複数の当選役としてリプレイとスイカを選択すれば、リプレイに当選する可能性が高まることでメダルの消費を抑えることができ、なおかつ、スイカの「取りこぼし」に注意して目押しを正確に行うことでメダルを徐々に増加させる期待の持てるゲーム内容とすることができる。
(8.設定値)
本実施形態のスロットマシン1は、「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルを複数用意してホール等が適宜いずれの判定乱数テーブルを用いるかを予め決めることができる。これは、スロットマシンに代表される回胴式遊技機等における「設定」と呼ばれるものである。この「設定」では、複数の判定乱数テーブルごとに各当選役の当選確率を段階的に異ならせて、その段階を表す値「設定値」がそれぞれの判定乱数テーブルに対応づけられている。例えば、段階を6段階に分けて、6つの異なる判定乱数テーブルを設けた場合、その6つの判定乱数テーブルのうち、相対的に見て、各当選役の当選確率が高い順に「設定値6」、「設定値5」、「設定値4」、「設定値3」、「設定値2」、「設定値1」と対応づけることができる。
この「設定値」はホール等が毎日、あるいは定期的に変更することで利益バランスを調整することができる。例えば、スロットマシン1の「設定値」が高くなれば、その状態で遊技者がゲームを行った場合に、遊技者が大量のメダルを獲得できる可能性が高くなる。反対にスロットマシン1の「設定値」が低くなれば、その状態で遊技者がゲームを行った場合に、遊技者が大量のメダルを獲得できる可能性は「設定値」が高い場合に比べて低くなる。このように、「設定値」ごとにメダルの獲得し易さに差を設けることでホール等が遊技者との利益バランスをとる際の目安とすることができる。
従って、ホールが遊技者に大量のメダルを獲得させたいという場合には、スロットマシン1の「設定値」を高くし、ホールが利益を上げたいという場合には、スロットマシン1の「設定値」を低くするといった調整をすることとなるのである。また、本実施形態のスロットマシン1では、上記の「設定値4」に相当する各当選役の当選確率及び判定乱数テーブルを図9に示している。
「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルを複数用意することに合わせて「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルも複数用意することもできる。そして、それぞれの判定乱数テーブルを対応づければ、「設定値1」から「設定値6」まで、通常判定乱数テーブル及び特別判定乱数テーブルがともに段階的に異なる判定乱数テーブルとなる。これにより、「設定値」ごとの差を明確につけることが可能となる。例えば、「設定値」の高い判定乱数テーブル(例えば、設定値5または6)では、「通常確率ゲーム」及び「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルともに各当選役の当選確率を高くし、「設定値」の低い判定乱数テーブル(例えば、設定値1または2)では、「通常確率ゲーム」及び「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルともに各当選役の当選確率を低くすると、「設定値」が高いと当選役のいずれかに当選し易く、「設定値」が低いと当選役のいずれにも当選しにくいといった「設定値」ごとの格差を設けることができるのである。そして、「設定値」ごとの格差を明確につけることにより、遊技者がスロットマシン1でのゲームを終日通して行った場合に獲得することが可能な平均的なメダルの総枚数を、ある程度「設定値ごと」に一定の範囲内に収めることができる。
なお、「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルを複数設けなくともよい。例えば、「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルは6段階に分けるが、「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルは複数の段階に分けずに1つの判定乱数テーブルにするといった態様とすることもできるのである。このような態様をとれば、「通常確率ゲーム」では「設定値」によって各当選役の当選確率に格差がついてしまうが、「高確率ゲーム」では「設定値」によって各当選役の当選確率に格差が生じないものとなる。従って、遊技者に「設定値」が低くても「高確率ゲーム」に移行すれば「設定値」に関係なく大量のメダルを獲得できるという期待を持たせることができる。
また、スロットマシン1の「設定値」は、ホールがその経営形態や集客効果の向上等に合わせて自由に変更することができる。一例として、複数のスロットマシン等の遊技機(スロットマシン1を含む)を設置して営業を行っているホールにおいて、ホールに多くの遊技者の集客を図りたい場合は「設定値」を高くした遊技機(スロットマシン1を含む)の割合を増やせば、多くの遊技者に利益を還元することができる(つまり、多くの遊技者が大量のメダルを獲得できる可能性が高まる)。また、土日祭日等で特別に集客を図らずとも多くの遊技者の集客が見込める場合には「設定値」を低くした遊技機(スロットマシン1を含む)の割合を増やせば、ホールが多くの利益を上げることができる。
(9.遊技状態の変化)
本実施形態のスロットマシン1では、その内部制御が様々な契機により変化することになる。それに伴い遊技状態にも変化が生じることになる。ここで、「通常確率ゲーム」から遊技状態の変化が生じる契機として次の2つを挙げることができる。
(1)NBゲーム終了後
この場合、先ず第1段階として「通常確率ゲーム」となるのか、「高確率ゲーム」となるのかのいずれかにより遊技状態が変化することになる。ここで「高確率ゲーム」となった場合には、第2段階として必ず「付加特典」が付与されて、「付加あり高確率ゲーム」に遊技状態が変化することになる。
(2)特殊Bゲーム終了後
この場合、第1段階として必ず「通常確率ゲーム」から「高確率ゲーム」へ遊技状態が変化することになる。そして次に第2段階として必ず「付加特典」が付与されて、「付加あり高確率ゲーム」に遊技状態が変化することになる。
スロットマシン1では、上記の(2)特殊Bゲームを契機として特殊Bゲームの終了後から遊技状態が変化するときに、スロットマシン1の外部に向けた動作制御等を通常のゲームと異ならせることなく、スロットマシン1の内部制御のみを通常のゲームと異ならせるものとする。ここでいう「内部制御」とは、判定乱数テーブルの変更が行われる場合のことをいう(結果的に判定乱数テーブルが維持された場合も含む)。従って、スロットマシン1の内部制御が変わった場合でも、それに伴ってスロットマシン1の外見上ではいずれの動作制御等にも変化が生じることがないので、遊技者は遊技状態に変化が生じたこと(「高確率ゲーム」に移行したこと)には気付かずにゲームを続行させていくこととなる。
また、スロットマシン1の外見上の動作制御等の変化とは、例えば、リールの回転が通常のゲームと異なってぶれたり、またはリールが通常のゲームとは異なって弾みをつけて停止したり、ランプの発光態様(または点灯、点滅、消灯)が通常のゲームとは異なっていたり、通常のゲームとは異なる効果音が発生されたり、または全く効果音が発生されなくなったり、始動レバーや停止ボタンを操作したときに通常のゲームとは異なる振動が起こったり、といったことが一例として挙げられる。つまり、通常のゲームでの動作制御等とは明らかに異なることを遊技者が視覚的、聴覚的あるいは触覚的に察知することができる動作等についての変化のことをいう。
また、特殊Bゲームはそのゲームが開始されることも遊技者に認識させないものであることは既に前述した通りであるから、特殊Bゲームを契機として「高確率ゲーム」に移行する場合、遊技者に特殊Bゲームの開始から終了、そして「高確率ゲーム」に移行することまで認識させることがないことになる。一方、NBゲームはそのゲームが開始されることが遊技者の認識できるものであるから、NBゲームを契機として「高確率ゲーム」に移行する場合、遊技者は契機を認識することが容易であるといえる。
(9−1.「付加あり高確率ゲーム」における遊技状態の変化)
本実施形態のスロットマシン1では、前述した通り、NBゲーム及び特殊Bゲームを契機として「高確率ゲーム」に移行する場合、必ず「付加あり高確率ゲーム」に移行することになる。そして、「付加あり高確率ゲーム」では、NB及び特殊Bに加えてリプレイの当選確率が「通常確率ゲーム」に比べて高く変更されるので、遊技者はメダルの消費を抑えて有利にゲームを進めることができる。以下では、スロットマシン1の特徴である「付加あり高確率ゲーム」における遊技状態の変化について説明する。
「付加あり高確率ゲーム」でNBに当選した場合、前述したNBゲーム遊技処理にしたがって処理が行われることになる。しかし、「付加あり高確率ゲーム」で特殊Bに当選した場合には、前述した特殊Bゲーム遊技処理とは異なる遊技処理が実行される。具体的には、「付加あり高確率ゲーム」で特殊Bに当選した場合、その特殊Bを契機として開始される特殊Bゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル変更処理において、「付加特典」を付与しないものとする。この点が、「通常確率ゲーム」で特殊Bに当選した場合との相違点ということになる。これは、言い換えると、「付加あり高確率ゲーム」で特殊Bに当選すると、「付加なし高確率ゲーム」に移行するということになる。
また、「付加なし高確率ゲーム」に移行して再度、特殊Bに当選した場合も、その特殊Bを契機として開始される特殊Bゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル変更処理では、「付加特典」は付与されないものとする。つまり、「付加なし高確率ゲーム」では、何回特殊Bに当選しても遊技状態が変更されないということになる。従って、特殊Bゲームは、「通常確率ゲーム」から「付加あり高確率ゲーム」への移行契機としての役割と、「付加あり高確率ゲーム」から「付加なし高確率ゲーム」への移行契機としての役割を担っているということができる。言い換えれば、「通常確率ゲーム」において特殊Bに当選することは、遊技者にとって有利さの度合いの高い遊技状態に変更させる契機となり、「付加あり高確率ゲーム」において特殊Bに当選することは、遊技者にとって有利さの度合いの低い遊技状態に変更させる契機となるということになる。
「付加あり高確率ゲーム」で特殊Bに当選した場合も、特殊Bゲームを契機とする遊技状態の変化として、スロットマシン1の外見上は通常のゲームと変わらない動作制御等を行わせる。従って、遊技者が「有利な状態」から「別の状態」に変わったと気付くことになるのは、遊技状態が変化してからしばらくゲーム回数を経過した後ということになる。上記の「有利な状態」とは「付加あり高確率ゲーム」のことをいい、「別の状態」とは、「付加なし高確率ゲーム」のことをいう。ここで遊技者が遊技状態の変化に気付くためには、リプレイの当選状況の変化を察知できるか否かによることとなる。つまり、「付加特典」の有り無しでは、リプレイの当選確率が1/2.3と1/7と約3倍の差がついているので、数十ゲームのあいだに当選したリプレイの回数を計数すれば、凡そ「付加特典」の有り無しを推測することが可能であるといえる。
更に、遊技者が前述の「別の状態」に変わったことに気付いた場合、それまでの「有利な状態」から「更に有利な別の状態」に変わったのではないかという期待を持たせることもできる。これは、前述の「別の状態」では「付加特典」がなくなっただけで依然として「高確率ゲーム」は続行されることになるので、その後程なくして(数十ゲームほどで)NBに当選する可能性が高いからである。従って、遊技者は、前述の「別の状態」に変わるとスロットマシン1では内部的に「高確率ゲーム」に移行することになるのではないかという印象を持つこととなる。つまり、遊技者に前述の「別の状態」を「更に有利な別の状態」として印象付けることができるのである。
遊技者が「有利な状態」から「別の状態」に変わったと気付くことが可能な場合とは、NBゲーム終了後から「付加あり高確率ゲーム」が開始される場合についていえることである。これは、NBゲームの終了という事象が遊技者とって明確に認識できるものだからである。従って、NBゲーム終了後から開始されるゲームでリプレイの当選状況を把握(リプレイの当選回数を計数する)していけば、前述の「有利な状態」に変わったことに気付くことが可能となるのである。この「有利な状態」に気付くことができれば、「別の状態」に変わったときにも気付き易くなるといえる。
一方、特殊Bゲーム終了後から開始される「付加あり高確率ゲーム」では、遊技者が「有利な状態」から「別の状態」に変わったと気付く可能性はほとんど無いといえる。これは、特殊Bゲームの終了という事象が遊技者にとって明確に認識できないものだからである。しかし、特殊Bゲーム終了後を契機として「付加あり高確率ゲーム」に移行すると、遊技者が通常のゲームとしてしか認識していないゲームで、突然リプレイに当選する頻度が増えることとなる。従って、遊技者がこのときの状況(つまり、通常のゲームでリプレイが頻繁に当選するようになったこと、「有利な状態」に移行したこと)に気付くことができれば、前述の「別の状態」に変わったときにも気付き易くなるといえる。
以上のことから、本実施形態のスロットマシン1では、「付加あり高確率ゲーム」から「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合に、遊技者に不利益な状態に陥ったという印象を持たせることがない。即ち、遊技者にとって「有利な状態」から「別の状態」になった場合に、その「別の状態」を遊技者にとって有利さの度合いの低い状態であるという意識を持たせずに、かえって「更に有利な別の状態」であるという意識を持たせることができるのである。
また、スロットマシン1では、通常のゲーム及びボーナスゲーム等の遊技状態に応じて、各種演出処理を行うことができる。この各種演出処理では、液晶表示部58で行う表示や、スピーカ56による効果音の発生、各ランプ60,62,64,66による発光や点灯を各種演出として実行させることができる。更に、ボーナスフラグ告知ランプ44、クレジット枚数表示部30及びゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34等でも各種演出を実行させることが可能である。これらの各種演出は遊技者を視覚的にあるいは聴覚的(あるいは触覚的)に楽しませることができ、ゲームの面白みを更に高めるものである。
(10.演出処理)
以上は、メイン制御基板92による遊技制御の例であるが、本実施形態のスロットマシン1では、遊技の進行にあわせてサブ制御基板94により各種演出動作の制御(演出処理)が行われる。
図15は、サブ制御基板94により実行される演出処理の一例を示している。スロットマシン1の電源が投入(電源スイッチ76がONに操作)されると、この演出処理において先ず初期化処理が行われる(ステップS901)。次にメイン制御基板92から送信されるメダル投入コマンドが待ち受けられ(ステップS902)、実際にメダル投入コマンドが送信されると、これに応じて投入音やベット音等を出力させる演出動作(メダル投入演出処理)が行われる(ステップS903)。
続いて、メイン制御基板92から送信される始動フラグの情報コマンド(以下では、始動フラグコマンドという)が待ち受けられる(ステップS904)。この始動フラグとは、前述のフラグ処理にて情報コマンドとして送信される当選フラグ及びハズレフラグのことをいう。始動フラグコマンドは、始動レバー18の操作を契機としてメイン制御基板92から送信され、サブ制御基板94では、始動フラグコマンドが受信されると、それに合わせた演出動作の制御が行われる(ステップS905、始動演出処理)。ここでの演出動作としては、リール始動音やリール回転音等の出力が含まれる。
上記の始動演出処理が行われると、続いて停止情報コマンドが待ち受けられる(ステップS906)。3つの停止ボタン20,22,24のうち、いずれかの停止ボタンが第1番目に押下されると、第1停止情報コマンドがメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される。次いで第2番目の停止ボタンが押下されると第2停止情報コマンドが、最後に第3番目の停止ボタンが押下されると第3停止情報コマンドが、それぞれ第1停止情報コマンドと同様にメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される。停止情報コマンドが受信されるごとにサブ制御基板94では、そのときの当選フラグと停止情報コマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS907、停止演出処理)。ここで行われる演出動作としては、リール停止音やバックライトの消灯信号等の出力が含まれる。
そして、ステップS908では、前述した判定処理の結果に応じてメイン制御基板92から払出音コマンドや効果音コマンドがサブ制御基板94に送信され、これを受けてサブ制御基板94では払出音や効果音の出力が行われる。更に、ステップS908ではメイン制御基板92から送信される遊技ステータスコマンドが待ち受けられ、受信したコマンドから現在の遊技ステータスが吟味される。このときの遊技ステータスに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS909、遊技ステータス演出処理)。遊技ステータスは、現在の遊技状態(NBゲーム中、通常確率ゲーム等)を表すものである。
(10−1.始動演出処理)
始動演出処理では、前述したフラグ処理の結果としてメイン制御基板92より送信される始動フラグコマンドを受けて、サブ制御基板94によりその始動フラグコマンドに基づいた演出処理が実行される。このときの各種演出は、液晶表示部58、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66等によって実行されることになる。また、液晶表示部58に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。更に、役物(例えば、キャラクターを模した人形や、可動可能な模型等)や、サイドリール(例えば、リール装置10の各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示以外でも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
始動演出処理では、主に内部抽選の結果を示唆させる演出を実行させる。即ち、遊技者が停止操作を行う前に、演出により成立フラグ(当選フラグ、ハズレフラグ)をある程度予想することが可能なものとする。上記の成立フラグを示唆する演出には、成立フラグを予想させる「フラグ予想演出」及び成立フラグを告知する「フラグ告知演出」がある。これらの演出が行われない場合には、「何も行わない演出」が実行されることになる。ここでいう「何も行わない演出」とは、いわゆる「通常演出」と呼ばれるものである。「通常演出」には、例えば、背景が変化する内容の演出(四季が移り変わる、朝昼夜と時間が経過する、天気が移り変わる)や、全く何も表示させない演出や、あるいは表示をしていても変化も何もさせない(例えば、静止画等)演出などがある。通常のゲームではこの「通常演出」が行われており、「通常演出」から「フラグ予想演出」や「フラグ告知演出」が展開していくことになる(「通常演出」から他の演出に展開することを、以下では、演出が発展するという)。
「フラグ予想演出」では、成立フラグを間接的に遊技者にイメージさせる手掛かりを与える内容の演出が実行される。例えば、成立フラグがスイカの場合にスイカを想像させる色(緑色)のランプを点灯させたり、スイカを模した絵を表示させたりする内容の演出が挙げられる。また、「フラグ告知演出」では、成立フラグを直接的に遊技者に示唆する内容の演出が実行される。例えば、成立フラグがリプレイの場合に「リプレイに当選しました」等のメッセージを表示させたり、「リプレイ!」等の音声を発生させたりする内容の演出が挙げられる。更に、「フラグ予想演出」及び「フラグ告知演出」では、複数の成立フラグを同時に想像させたり、あるいは複数の成立フラグを同時に告知したりする内容の演出も行われる。
(10−2.停止演出処理)
停止演出処理では、前述したリール停止処理にてメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される停止情報コマンド(第1停止情報コマンド、第2停止情報コマンド、第3停止情報コマンド)に基づいた演出処理が実行される。このときの各種演出も、前述の始動演出処理と同様に、液晶表示部58、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66等によって実行されることになる。停止演出処理では、各停止情報コマンドに応じた各種演出を行わせることができる。即ち、第1リールが停止した際の演出、第2リールが停止した際の演出、第3リールが停止した際の演出をそれぞれ異ならせることもできる。
停止演出処理では、遊技者が停止ボタンを押下するごとに進行していく演出を実行させる。ここで実行される演出には、
〔 第1停止ボタン押下→第2停止ボタン押下→第3停止ボタン押下 〕と順々に行う演出をはじめとして、いずれか1つあるいは2つの停止ボタンが押下されると行う演出等が含まれる。これらのいずれの場合も、遊技者の停止操作に応じて実行させるものである。そして、停止演出処理も前述の「通常演出」から発展する演出を含んでいる。これらの演出には、例えば、停止操作の順番にしたがって順々に継続的な演出を行う「継続演出」や、いずれか1つの停止ボタンが押下されたときに(前触れもなく)演出を行う「単独演出」等が含まれている。
「継続演出」の一例としては、停止ボタンを押下するごとにパズルを完成させていき、第3停止ボタンの押下まで演出が続けば、パズルが完成となる内容の演出や、停止ボタンを押下するごとにランプを点灯させていき、第3停止ボタンの押下までランプが点灯すれば、全てのランプが点灯となる内容の演出が挙げられる。
また、「単独演出」の一例には、前述の「継続演出」における途中の過程あるいは最後の過程のみを突然行わせる内容の演出(つまり、第3停止ボタンの押下でいきなりパズルが完成したり、または第2停止ボタンの押下で全てのランプが点灯したりすること)や、前述の「フラグ予想演出」や「フラグ告知演出」を停止ボタンのいずれかが押下されたときに突然行う演出なども含まれる。
(10−3.その他の演出処理)
遊技ステータス演出処理では、前述した判定処理の結果に応じてメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される払出音コマンドや効果音コマンドに基づいた演出処理が実行される。ここでは、前述の「通常演出」、「フラグ告知演出」に加えて「確定演出」が実行される。この「確定演出」とは、主にNB及びCBに当選していることを遊技者(あるいは周囲に)報知する内容の演出のことである。例えば、「ボーナス確定!」という画像を表示させたり、「当たりだよ」というメッセージを流したり、ボーナス告知ランプ44を点灯させたり、といった内容の演出がある。
ただし、「確定演出」は、NBやCBの当選フラグが得られたとしてもすぐには実行させず、数ゲームから数十ゲーム程度経過してもNB図柄やCB図柄を揃えることができていない場合のみ実行させるものとする。これにより、ゲームに不慣れな遊技者(主に初心者)がNBやCBに当選していることを気付かずにゲームをやめてしまうといった不利益を被ることが回避されることとなる。また、「確定演出」を見る前に当選フラグを察知したいというゲームに慣れた遊技者(主に上級者)にも満足できることとなる。なお、「確定演出」を実行させるまでに要するゲーム数は上記に限るものではないが、望ましくは5から10ゲーム程度とするのがよい。これは、5から10ゲーム程度であれば、上級者はそのゲーム数以内に当選フラグを察知することが可能であり、初心者にはほとんど不利益を与える可能性のないゲーム数となるからである。
また、メダル投入演出処理では、メイン制御基板92からサブ制御基板94に送信されるメダル投入コマンドに基づいた演出処理が実行される。ここでも、前述の「通常演出」、「確定演出」が実行される。このメダル投入演出処理でも「確定演出」を行わせることにより、遊技ステータス演出処理で「通常演出」から発展せずに1回のゲームが残念な結果に終わっても、新たなゲームを開始するためにメダルを投入した途端に「確定演出」を実行させて遊技者を驚かせることができる。ここでいう「残念な結果」とは、当選フラグがNBまたはCBフラグであっても遊技者が気付かずにNB図柄またはCB図柄が揃わなかった場合のことをいう。
(10−4.対応役ハズレ)
上記の各種演出は、各コマンドあるいは各情報コマンドに基づいて実行されるものである。しかし、スロットマシン1では、演出が示す内容と実際の結果(揃えた当選図柄または出目)を異ならせることができる。例えば、「フラグ告知演出」でリプレイが成立フラグとして告知された状態で、実際にはベル図柄が揃うといったことである。このような演出が示す内容と実際の結果が異なる場合を「対応役ハズレ」と呼ぶことがある。即ち、「対応役ハズレ」とは、示唆された成立フラグと実際の成立フラグが違っていた場合のことである。この「対応役ハズレ」は、NBまたはCBが当選フラグとなっている場合に実行させるものとする。このようにすると、「対応役ハズレ」となるとNBまたはCBが当選フラグとして確定することになり(つまり、NBまたはCBの当選が確定する)、「確定演出」が行われるより前に、遊技者はNBまたはCBに当選したことを察知することができる。
「対応役ハズレ」は、「フラグ予想演出」、「フラグ告知演出」から展開されるものである。即ち、「フラグ予想演出」及び「フラグ告知演出」から「対応役ハズレ」となった場合には、NBまたはCBに当選したことが確定する。従って、「フラグ告知演出」でリプレイやベルが成立フラグとして告知されても、当該ゲームの停止操作を終えるまで「対応役ハズレ」となるかもしれないという遊技者の期待感を持続させることができる。
(10−5.各種演出の画像例)
図16は、各種演出として液晶表示部58で表示される画像の一例を示している。図16(a)は「通常演出」の画像の一例である。この画像では、子供のキャラクター(以下ではC1と呼ぶ)がおでんの具を選ぼうとしているところが示されている。ここから図16(b)に画像が切り替わると、「フラグ予想演出」あるいは「フラグ告知演出」に発展することになる。
図16(c)は「フラグ予想演出」の画像の一例である。この画像では、C1がおでんの具のなかから「ちくわ」を選んだところが示されており、この「ちくわ」が刺さっている串にそれぞれの成立フラグに対応した色どりが施されることになる。例えば、成立フラグがベルであれば黄色、スイカであれば緑色、NBであれば虹色といった成立フラグ(または当選役図柄)を想像しやすい色(または形)とすることができる。
図16(d)は「フラグ告知演出」の画像の一例である。この画像では、C1がおでんの具のなかから「BONUS」を選んだところが示されており、文字通り、NB(Nanaボーナス)、あるいはCB(Childボーナス)に当選していることが告知されている。
図16(e)では、C1がおでんの具のなかから「具が3つある豪華なおでん」を選んだところが示されており、一見すると「フラグ予想演出」であるが、その後にC1がおでんを食べることにより、図16(f)あるいは図16(g)に発展する。図16(f)はC1がおでんを食べた結果、「スイカ」が表れており「フラグ告知演出」として成立フラグがスイカであることが告知されている画像である。図16(g)はC1がおでんを食べた結果、空の串だけが残ったところが示されており「フラグ告知演出」には至らなかった場合の画像となっている(つまり、この場合は成立フラグがいずれであるか不明となる)。
このように「フラグ予想演出」から「フラグ告知演出」に発展することもあり、演出の単調さによる退屈感を遊技者に与えてしまうことが回避できる。また、「フラグ予想演出」としてC1が選ぶおでんの具の数、あるいは具の内容等により成立フラグを想像させるものとすることもできる。例えば、豪華な具の場合には「フラグ告知演出」に発展し易くしたり、あるいはNBやCBに当選している可能性を持たせたりすれば、ますます演出の単調さが回避されることとなる。
また、これらの演出(「フラグ予想演出」、「フラグ告知演出」)は「単独演出」として、始動操作から停止操作が終了するまでに突然実行されることがある。
図17及び図18は、「継続演出」の画像の一例を示している。なお、図中には、停止操作との対応を分かり易くするために画像とともに各停止ボタンも示している。「継続演出」としては、大人のキャラクター(以下では、C2と呼ぶ)が出前を注文して、届くまでが一連の継続した演出として実行される。図17(a)は始動操作が受け付けられた直後の画像である。ここでは、C2が出前で「寿司」を注文しているところを示している。このときいずれの停止ボタンもまだ押下されていないので、遊技者は停止ボタンを押下するたびに演出が展開していくことに注目することとなる。
図17(b)では、C2が出前を待っているところであり、かなり待ちくたびれている様子が示されている。これは、第1停止ボタンが押下されたときに示される画像である(なお、図中では左停止ボタン20が押下されているが、第1停止ボタンであればいずれの停止ボタンでもよい)。図17(c)は、第2停止ボタンが押下されると示される画像である(なお、第2停止ボタンも中停止ボタン22に限定されることはない)。この画像ではC2が出前持ちのバイクの音に気付いたところを示している。ここで、遊技者は、最後の停止ボタン(第3停止ボタン)を押下するときに、無事に出前が届くことを期待して、第3停止ボタンの押下をすることとなる。
図17(d)は、第3停止ボタンが押下されたときに示される画像である(なお、第3停止ボタンも右停止ボタン24に限定されることはない)。この画像では、出前持ちが無事に到着したところを示している。これは、「継続演出」が完成となった場合であり、遊技者が第3停止ボタンから指を離すと、図18(a)の「継続演出」の完成(成功)を示す画像が表示される。即ち、遊技者は「継続演出」がうまくいった(または成功した、完成した)ことを知ることができる。
図18(b)は、第3停止ボタンが押下されたときに示される画像である。この画像では、出前持ちではなく新聞配達員が表れて出前が無事に届かなかったことを示している。そして、遊技者が第3停止ボタンから指を離すと、図18(c)の画像が示されることになる。この画像では、C2が出前を待ちきれずに倒れてしまった(そのために画像から消えてしまった)ところを示している。つまり、この場合、遊技者は「継続演出」がうまくいかなかった(または失敗した)を知ることとなる。
また、図18(c)の画像が示された直後に、図18(d)に発展することがある。この画像は、道を間違えた出前持ちがやっと到着し、C2が驚いているところを示している。この画像に発展した場合には「継続演出」はうまくいったことになる。つまり、「継続演出」が失敗したと見せ掛けておき、逆転パターンとして成功させることになる。従って、遊技者が第3停止ボタンを押下して、そして指を離したときでもまだ結果が確定とはならないという可能性を持たせることができる。
更に「継続演出」は、必ず始動操作から開始されるものではなく、途中の過程から開始されることもある。また、複数のゲームにわたって演出が実行されることもある。このような場合、遊技者はいつになったら一連の継続した演出が終了するのか全く分からなくなり、ゲームを途中でやめにくくなる。
主に「継続演出」は、成立フラグがNBまたはCBまたは特殊Bまたはハズレとなった場合に実行させるものとする。従って、「継続演出」が開始されると、それだけで遊技者の期待を高めることができる。そして、「継続演出」が成功した(うまくいった)場合には、NBまたはCBが確定するものとすれば、遊技者が「継続演出」が開始されるとうまくいく(成功する)ことを願ってゲームを行うことになる。また「継続演出」が失敗した場合には、ハズレまたは特殊Bが確定するものとすれば、遊技者は特殊Bに当選していることを願うようになる。
なお、「継続演出」で途中の過程から開始される場合や、複数のゲームにわたって演出が実行される場合に、NBまたはCBまたは特殊Bまたはハズレが確定するものとしてもよい。この場合、始動操作の開始とともに演出が始まる場合や、1回のゲームで演出が終了する場合には、小役以下の成立フラグ(つまり、小役またはリプレイまたはハズレ)であることを確定させるものとする。このようにすると、「継続演出」が開始されるだけで遊技者の期待を向上させることができる。そして、一連の継続した演出が1回のゲームで終了とならなかった場合には遊技者の期待を更に向上させることができる。