スロットマシン等の回胴式遊技機では、上記で挙げた各賞のうち、特にBBやRBまたはCTやATにいかに数多く当選するかに遊技者の興味が集中する傾向が強い。これはこれらの賞が遊技者に大きな利益として、メダル、コイン等の遊技価値を大量に獲得できる特典を有しているからである。それだけにこれらの賞は、その当選する確率が低く抑えられている。従って、どうしても小役やリプレイ、またはいずれにも該当しないハズレとなることが多くなる。
このような状態が長く続いた場合にも遊技者の遊技意欲を減退してしまうことを回避するために近時の遊技機では液晶やドット表示等による各種演出を頻繁に実行させて遊技者の興趣を高める技術が知られている。しかしながら、こうした各種演出をあまりに頻繁に行うことで、演出自体が煩わしいものとなり、かえって遊技者の遊技意欲を損ねてしまうことが問題となっている。
本発明は、このような問題に鑑みて考え出されたものであり、遊技者の遊技意欲を損ねてしまうことを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
本発明の技術は、上記課題を解決するために以下の手段を採った。
(解決手段1)
解決手段1は、複数種類の図柄を含む図柄列を形成した帯が付された複数の可動表示体と、前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部とを備え、1回ごとのゲームについて所定数の遊技価値を掛けた状態で遊技者による始動操作を受け付けると、複数の前記可動表示体を一方向に回転させて図柄の表示を変動させ、この後、遊技者による複数回の停止操作を順次受け付けると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体の回転を1つずつ停止させ、全ての前記可動表示体の回転が停止すると、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームごとに結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに所定の内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に予め規定された通常の抽選確率を適用して当落の結果を判断する通常抽選当落判断手段と、前記通常抽選当落判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に通常の抽選確率に比して抽選確率を高くした特別な抽選確率を適用して当落を判断する特別抽選当落判断手段と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内に表示される個々の図柄の停止位置のうち、複数の前記可動表示体にまたがる図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を前記可動表示体のそれぞれについて規定する有効表示位置規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、特別当選種類を規定する特別当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、遊技価値の付与を伴う複数の小役を規定する小役規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行可能とする再遊技当選種類を規定する再遊技当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、前記特別当選種類及び前記複数の小役とは別に特殊小役を規定する特殊小役規定手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特別な種類の図柄が停止した結果、特別な表示態様が導出された場合、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御する特別遊技状態制御手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の1種類以上の図柄が停止した結果、所定の表示態様が導出された場合、前記小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特定の種類の図柄が停止した結果、特定の表示態様が導出された場合、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行させる再遊技実行手段と、前記内部抽選の当選結果として前記特殊小役が得られた場合、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の複数の図柄が停止した結果、特殊な表示態様が導出された場合、一般的な通常遊技状態と動作制御を変えることなく、少なくとも1つ以上の当選種類について前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率へ前記内部抽選で適用される抽選確率を変更させる抽選確率変更手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記特別な表示態様が導出されたことを契機として制御された前記特別遊技状態が終了すると、前記通常の抽選確率または前記特別な抽選確率のいずれを前記内部抽選で適用する抽選確率とするかを選択する抽選確率選択手段と、遊技機の外部に向けてその遊技状態を遊技者に教示することのできる外部教示手段と、前記特別抽選変更手段により前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率へ前記内部抽選で適用されている抽選確率が変更された場合、及び前記抽選確率選択手段により前記特別な抽選確率を前記内部抽選で適用することが選択された場合、前記外部教示手段による遊技機の外部に、その遊技状態を遊技者に向けた教示として実行させる外部教示実行手段と、前記通常の抽選確率と比して前記特別の抽選確率でその抽選確率が高く変更されている当選種類に追加して、更にその他の当選種類についてその抽選確率を高く変更させるか否かを決定する高確率追加決定手段と、前記特別抽選変更手段により前記特別な抽選確率が前記内部抽選に適用された場合または前記抽選確率選択手段により前記特別な抽選確率が前記内部抽選に適用された場合に、前記高確率追加決定手段により追加して1つまたは複数の当選種類の抽選確率を高く変更させるか否かの決定を実行させる高確率追加決定実行手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技価値を掛けた状態で遊技者が始動操作をすると複数の可動表示体が回転し、この後、遊技者の停止操作によって全ての可動表示体の回転が停止すると、図柄表示部内に停止した図柄群から構成される図柄の組み合わせ態様によってゲームの結果が判断される。つまり、本発明の遊技機における1回のゲームは、遊技価値を掛けた状態にして、次いで停止している状態の可動表示体を回転させ、この後、可動表示体の回転を停止させ、そして、全ての可動表示体の停止時に必ず結果を判断するという一連の過程から成り立っている。従って、全ての可動表示体の停止時に結果の判断が1度行われると、この後に遊技価値を掛けた状態にしたり、可動表示体を回転させたりする過程は、その次の回のゲームということになる。また、全ての可動表示体の停止時に特別当選種類に対応した図柄が規定の表示態様となった場合、遊技価値を付与することなく今回のゲームが終了するが、特別当選種類に対応した図柄が規定の表示態様となったと判断された時点で遊技状態が特別遊技状態に制御されるので、その次の回のゲームで遊技価値を掛ける際は既に特別遊技状態に移行している。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、そして1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、予め規定されている当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果が用意されており、これら当選結果の種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には種類別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する種類に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値に占める当たり値の数の割合から当選結果の種類別の当選確率が規定される。「規定」とは、定める、決める、あるいは、定義するということと同義である。
上記の内部抽選では予め決められた通常の抽選確率を適用した抽選が行われる場合と、通常の抽選確率に比べて抽選確率を高く変更した特別な抽選確率を適用した抽選が行われる場合がある。通常の抽選確率と特別な抽選確率との違いは、上記の内部抽選の結果として得られる複数種類の当選結果のうち、1つまたは複数の当選結果についてその当たり値の範囲を変更することである。即ち、特別な抽選確率では通常の抽選確率に比べて1つまたは複数の種類の当選結果(以下では当選種類という)についてその当たり値の範囲を大きく(幅を広げる)することや、当たり値の数を増やすことを意味する。従って、当たり値の範囲が広がった分だけ、取得された乱数がその該当の当選種類の当たり値の範囲内に合致する可能性が高まる。つまりその該当する当選種類の当選確率が高くなることになる。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。複数種類の当選結果のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄される種類もあれば、次回以降のゲームまで持ち越される種類もある。
内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では少なくとも遊技価値の付与を伴う小役が規定されている。また、このような小役とは別に、当選結果として特別当選種類が規定されている。これら小役および特別当選種類には、それぞれ対応する小役図柄および特別当選図柄があり、これら図柄は上記の可動表示体にそれぞれ割り当てられている。つまり、可動表示体に付された図柄列のなかには、当選結果の種類に対応付けられた図柄(小役図柄、特別当選図柄)が含まれている。また、内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では、上記の小役及び特別当選種類とは別に、再遊技当選種類が規定されている。再遊技当選種類には対応する図柄として再遊技図柄が規定されている、よって可動表示体には複数種類の様々な図柄が付されていることになる。
また「図柄」は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。また、全ての可動表示体が停止したときの表示態様(所謂、出目といわれる)を複数通り作り出すことができる。
図柄表示部内は、各可動表示体の図柄列中の所定数の図柄を表示することが可能であり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定数×可動表示体の数」として表すこともできる。ここで所定数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の個数が増えることとなり、様々な図柄を表示態様として遊技者に見せることができる。
また図柄表示部内で様々な図柄から構成される表示態様のうち、図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を決めることで、遊技者が図柄表示部内のどこの位置に、どの図柄を停止させれば組み合わせとして有効になるのかを判断する目安とすることができる。ここで「有効となる表示位置」とは、内部抽選で当選結果として得られた当選種類に対応した特典を付与することができる図柄表示部内の表示位置のことをいう。内部抽選の当選結果にはいずれの当選種類にも当選しない場合(ハズレ)が含まれるが、ハズレの際は、特典が付与されることはない。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう。また水平及び斜め以外にも組み合わせを自由に決めることができる。考えられる組み合わせとしては、図柄表示部内に表示されている各々の可動表示体からそれぞれ1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせがある。この組み合わせの中で直線的な組み合わせが上記の水平または斜めの「並び」である。更に「並び」以外にもへの字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となるような組み合わせや、直線の一端あるいは両端が直線の並びからずれた組み合わせ等がある。これらの全ては、図柄表示部内の各可動表示体の1個ずつの図柄に注目すれば組み合わせが有効になったかどうかを視認することができる。
また、考えられる上記とは別の組み合わせとして、各々の可動表示体から1個より多い図柄を抜き出して構成される組み合わせもある。これは図柄表示部内に表示されている各々の可動表示体から夫々2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ、あるいは、各々の可動表示体から2個、2個、1個と図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体からは複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせとすることもできる。これは、前述した各々の可動表示体からそれぞれ1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを視認しづらくすることが可能となる。
全ての可動表示体が停止した結果、小役図柄が図柄表示部内で所定の表示態様となると、規定数の遊技価値が遊技者に付与される。ここでいう「所定の表示態様」とは、図柄表示部内での図柄の停止位置、並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがって対応する図柄が水平または斜めに揃っていることをいう。つまり、遊技者の停止操作に基づいて可動表示体の停止位置が制御され、図柄表示部内の有効な表示位置に小役図柄が停止した場合、結果として「所定の表示態様が導き出された」という意義がある。なお、小役図柄のなかには、少なくとも特定の可動表示体について対応する小役図柄が決まった位置に停止しているだけでよいものがある。いずれにしても、ゲーム回数を重ねていくうちに、遊技者が掛けた遊技価値の総数よりも付与された総数の方が多くなると、遊技者は差数分の遊技価値を得たことになり、そこに喜びを見出すことができる。
上記の小役は、小役図柄が所定の表示態様となると、規定数の遊技価値を遊技者に付与するものであるが、これとは別に本発明の遊技機では、全ての可動表示体が停止した結果、特別当選図柄が図柄表示部内で特別な表示態様となると、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行が行われる。この特別遊技状態では、通常のゲームと比較して、より多くの遊技価値を獲得できる機会が遊技者に与えられる。ここでいう「通常のゲーム」とは、特別当選種類に当選してから特別遊技状態に移行し、その特別遊技状態が終了するまでのあいだのゲームを除いたゲーム、つまり通常遊技状態でのゲームのことをいう。
更に本発明の遊技機では、特別当選図柄が特別な表示態様となった場合、遊技者に遊技価値を付与することなく今回のゲームを終了させることができる。そして次回のゲームより遊技状態を特別遊技状態に移行させることになる。このため本発明の遊技機では、いかにして特別遊技状態に移行する回数を多くすることができるか、つまり特別当選種類にどれだけ多く当選することができるかが勝負の分かれ目となり、それゆえ遊技者の興味は、特別当選図柄をいつ、どのような場面で揃えることができるかに集中する傾向にある。
全ての可動表示体が停止した結果、再遊技図柄が図柄表示部内で特定の表示態様となると、再遊技状態に移行する。ここで、「再遊技状態」とは、遊技者が今回のゲームと同じ遊技価値を掛けた状態で、かつ次回のゲームを行うにあたり、遊技価値を改めて掛けることなくゲームを行うことができる状態のことをいう。従って再遊技当選種類に当選した場合、遊技者は遊技価値を新たに消費せずに1ゲームを行うことができる。このように再遊技当選種類に当選することが増えれば、その分だけ遊技者がゲームに費やす遊技価値の消費量を抑えることができるとともに、遊技者に大幅な遊技価値の消費を強いるといった事態を回避することが可能となる。
本発明の遊技機では、小役、特別当選種類及び再遊技当選種類とは別に特殊小役が規定されている。全ての可動表示体が停止した結果、特別当選図柄とは別の複数の図柄から構成される組み合わせが図柄表示部内で特殊な表示態様となると、通常のゲームから動作制御を変えることなく、少なくとも1種類以上の当選種類についてその抽選確率を通常の抽選確率から特別な抽選確率へと変更させることができる。通常のゲームと同様の態様として遊技者に認識させるために、特殊小役は遊技価値の払い出しを伴わせないことが望ましい。これは、全て同一種類の図柄から構成される組み合わせとなると遊技価値が付与されたり、特別遊技状態へ移行したり、といった特典が得られることが一般的な遊技機の当選種類とそれに対応した図柄の構成となっているからである。一般的には、複数の図柄から構成された組み合わせは、ハズレ(いずれの当選種類にも当選していないか、あるいは当選種類に対応した図柄を揃えられなかったか)として遊技者に認識されるものである。このようなハズレとなる図柄の組み合わせは通常のゲームでは頻繁に表示されるものであり、よって特殊小役に当選したことを遊技者に認識させずにゲームを進行させることができる。
特殊な表示態様となる複数の図柄の組み合わせとしては、特別当選図柄を除いた図柄のいずれの図柄をも組み合わせることができる。この中には、全て異なる小役図柄の組み合わせや、小役図柄と再遊技図柄の組み合わせ、少なくとも2種類以上の異なる図柄から構成される組み合わせ等の組み合わせがある。特殊な表示態様となる組み合わせとして特別当選図柄を除いたのは、特別当選図柄を含むことによって、組み合わせを目立たせてしまうことが危惧されるからである。多くの場合、遊技者は遊技機でのゲーム回数を重ねるごとに、単なるハズレの組み合わせであるのか、それとも何か意味を持った組み合わせであるのかを検討、検証しながらゲームの経験を蓄積していく。その蓄積された経験から、いつも特別当選図柄を含んだハズレとなる図柄の組み合わせを境にして、遊技状態に変化が見られるといったことが多くなれば、特別当選図柄を含んだハズレ図柄の組み合わせが特殊な表示態様であることを推測することが容易になってしまうからである。
特殊小役は、特殊な表示態様が導出された後のゲームから遊技状態を変化させることができる。具体的な変化としては、内部抽選で適用されている抽選確率を通常の抽選確率から特別な抽選確率へ変更させることである。即ち、遊技者にとって有利な内部抽選が実行されるよう遊技状態が変化することになるのである。特殊な表示態様が導出された後のゲームからは必ず内部抽選で適用される抽選確率の変更が行われる。
また、特別遊技状態の終了後も内部抽選で適用されている抽選確率が変更される機会が与えられる。この場合は、特殊な表示態様が導出された後とは異なり、内部抽選で適用されている抽選確率を変更させるか否かを選択する機会が与えられる。即ち、必ず通常の抽選確率から特別な抽選確率へ変更されるのではなく、通常の抽選確率とするか、それとも特別な抽選確率とするかを選び出すことができるのである。これは特別遊技状態が遊技者に認識できる遊技価値を大量に獲得できる機会であるから、その終了後にどちらの抽選確率が適用されるのかという点に遊技者の興趣を向けさせることができる。
本発明の遊技機では、遊技機の外部に向けてその遊技状態を遊技者に教示する外部教示手段を更に備えている。遊技者に教示する方法としては、例えば、表示などにより遊技者の視覚に訴える方法や、音声等により遊技者の聴覚に訴える方法が挙げられる。その他、視覚に訴える方法には、発光なども含めることができる。いずれの場合も遊技者に遊技機の内部状態あるいは遊技状態を教示(またはアピール)することが可能なものとなっている。
本発明の遊技機では、特別遊技状態及び特殊な表示態様が導出されたことのそれぞれを契機として内部抽選で適用される抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率へ変更された場合、つまり遊技者にとって有利な遊技状態に移行すると、それについて外部教示手段による教示が実行される。例えば、遊技状態が有利になったことを告知表示したり、音声により遊技者に知らせたり、あるいは、発光態様を通常の状態と大幅に異ならせて遊技者が察知を可能にしたりすることが挙げられる。これらの教示により遊技者は、自分にとって有利な遊技状態、即ち内部抽選に特別な抽選確率が適用されることを知ることになる。
特に、特別遊技状態に移行した場合、遊技者は特別遊技状態で遊技価値を大量に獲得できる喜びを味わうとともに、特別遊技状態の終了後にも上記の教示が行われることを期待してゲームを進めることができる。これにより特別遊技状態の終了とともに遊技者の興趣が著しく低下してしまうことが回避できる。また、特殊な表示態様が導出された場合は、遊技者が特殊な表示態様を認識することはできない。すると、通常のゲームでいきなり遊技状態の変化を告げる教示が行われることになる。これは本発明の遊技機が、通常のゲームであっても突然、遊技者に有利な状態になることがあることを強く印象づけることになる。
本発明の遊技機では、内部抽選の抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更されると、通常の抽選確率と比較して特別な抽選確率でその抽選確率が高く変更されている当選種類に加えて、更にその他の当選種類の抽選確率を高く変更させるか否かを選択することができる。これは、内部抽選で適用される抽選確率が特別な抽選確率となった場合にその機会を設けることができることを意味する。即ち、内部抽選に特別な抽選確率が適用されている間であれば、いつでも更に追加してその他の当選種類の抽選確率を高く変更することができるのである。その他の当選種類は1つまたは複数選び出すことができる。これにより特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態でのゲームのなかで、突然、ある1つまたは複数の当選種類に際立って当選することが多くなったというゲームの展開を単調なものから多様なものとすることができる。また、以下では、上記で述べた特別な抽選確率のうち、更に1つまたは複数の当選種類について、その抽選確率を高く変更することを「追加抽選確率変更」と呼称する。
本発明の遊技機では、特別な抽選確率で通常の抽選確率と比べてその当選確率を高くする当選種類としては、特別当選種類を選ぶことができる。これは、特別当選種類の当選確率を高くしただけでは、遊技者が特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態と、通常の抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態とを見た目からでは、見分けることができないからである。この場合、それぞれの遊技状態を識別するための報知動作を行うといった動作制御は全くないことが前提となる。
一般的に多くの遊技者は、特別当選種類とは数ある当選種類のなかでも最も当選しづらいものであるという認識を持っている。従って、遊技機の外部に向けた動作制御を伴わず、その当選確率を高く変更しただけでは、遊技者が特別当選種類の当選確率が高くなっているかどうかを判断することはできない。
ここで、本発明の遊技機の特徴の1つである「追加抽選確率変更」に、内部抽選に適用されている抽選確率が特別な抽選確率であることを示唆する役割を持たせることもできるし、あるいは示唆させない役割を持たせることもできる。即ち、上記で示唆する役割を持たせるためには、例えば、一般小役や再遊技当選種類について通常の抽選確率に比べて顕著に高くその当選確率を変更させればよい。こうすることで、通常のゲームでは考えにくい程、連続して一般小役に当選したり、あるいは再遊技当選種類に当選したりといったことを遊技者は目の当たりにして、通常のゲームとは明らかに異なることを認識することが可能となる。一方、上記で示唆させない役割を持たせるためには、例えば、通常のゲームでは当選しづらい一般小役(所謂レアな小役)を選んだり、または再遊技当選種類等を選んだりしても、その当選確率を通常の抽選確率に比べて顕著には高くしなければよい。こうすることで、遊技者には偶然レアな小役に当選することが重なった等の認識を抱かせるのみに留めることが可能である。つまり通常のゲームと異なることを遊技者に認識させずにゲームを進行させることができる。
本発明の遊技機では、「追加抽選確率変更」についての教示は積極的には行わない。これは、有利な状態になったことを知らせることのみに留めると、遊技者に「追加抽選確率変更」というものがあること自体を秘匿することができるからである。即ち、遊技者に教示が行われてからのゲームでしばしば、その当選状況に変化が見られる当選種類があったり、あるいは通常のゲームと全く変化の見られない状況が続いたり、といったことを遊技者が目の当たりにすることが多くなる。このような場合、多くの遊技者は、遊技者にとって有利な状態とは複数存在するのではないか、あるいは、有利な遊技状態が段階的に変化するのではないか、という推測や予想を立てて、それについてゲームを進行させる中で解明しようという遊技意欲を向上させることができる。
(解決手段2)
解決手段2は、解決手段1に記載の遊技機において、前記付加選択機会付与手段が、前記特別抽選変更手段により前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率へ前記内部抽選で適用される抽選確率が変更された場合、及び前記特別遊技状態が終了し、前記抽選確率選択手段により前記特別な抽選確率を前記内部抽選で適用することが選択された場合のそれぞれについて前記特別抽選付加選択手段による選択を実行させる機会を付与することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、解決手段1で説明した「追加抽選確率変更」を行うか否かの選択が実行される機会を、特殊な表示態様が導出された後、及び特別遊技状態の終了後に内部抽選で適用される抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更された場合とすることができる。つまり、特別な抽選確率が内部抽選に適用されることが決まるという遊技者にとって有利となる条件が成立すると、更に追加して別の有利な条件を付与するかを選択することができるということになる。
(解決手段3)
解決手段3は、解決手段1に記載の遊技機において、前記特殊小役が、前記内部抽選の当落の結果が前記通常抽選当落判断手段によって判断されている場合にのみ、当選結果の1つとして得られることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、通常抽選当落判断手段により内部抽選の当落の結果が判断されている遊技状態(以下では、このときの遊技状態のことを通常確率遊技状態と呼称する)でのみ特殊小役の当落の結果を判断することができる。つまり、通常の抽選確率では特殊小役を当選種類のうちの1つに含むものとするが、特別な抽選確率では特殊小役は当選種類のうちの1つに含めないものとするのである。なお、これは特別な抽選確率での特殊小役の当たり値の範囲を0にすることにより可能となる。
また、特殊小役を通常確率遊技状態における当選種類とすることで、通常のゲームで特別当選種類に当選すること以外にも、遊技者に有利な特典を付与することができる。即ち、特殊小役に当選することで内部抽選で適用される抽選確率を特別な抽選確率に変更させるという一連の特典を遊技者に与えることができるのである。
反対に「特殊小役は、内部抽選の当落の結果が特別抽選当落判断手段によって判断されている場合には、当選結果の1つとすることを回避する」ということもできる。つまり、内部抽選に特別な抽選確率が適用された遊技状態(以下では、このときの遊技状態のことを高確率遊技状態と呼称する)では特殊小役の当落を判断しないことになる。これは、特殊小役が内部抽選で適用される抽選確率を通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更させる契機となる当選種類だからである。即ち、特殊小役は、通常確率遊技状態で当選してはじめて、その特典の有利さを遊技者に付与することができるものであり、高確率遊技状態で特殊小役に当選しても既に内部抽選に適用される抽選確率は特別な抽選確率に変更されているため、遊技者が得られる特典は何もないからである。こうした遊技者の不興を買ってしまうことを回避するために本発明の遊技機では、高確率遊技状態では特殊小役を内部抽選の当選結果とすることを回避するのである。
(解決手段4)
解決手段4は、解決手段1に記載の遊技機において、前記特別抽選当落判断手段が、前記通常抽選当落判断手段に比して前記特別当選種類の当選を高い確率で判断することを特徴とする遊技機である。
この場合、内部抽選で適用される抽選確率に差が設けられている。即ち、通常の抽選確率と特別な抽選確率とでは、特別当選種類の抽選確率に差が設けられていることになる。つまり、特殊な抽選確率では、通常の抽選確率に比べて特別当選種類の抽選確率が高くなっており、その分だけ特別当選種類に当選する可能性が高い状態にあるといえる。従って特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行される高確率遊技状態を、遊技者に十分な有利さを与えることができる遊技状態とすることができる。
(解決手段5)
解決手段5は、解決手段1から4のいずれかに記載の遊技機において、遊技機の外部に向けて複数の演出表示態様を表示するための表示手段と、前記表示手段による演出表示態様を前記内部抽選の当選結果に基づいて所定の演出表示態様を実行させる演出表示態様実行手段と、前記演出表示態様実行手段が実行する前記演出表示態様として、前記通常遊技状態である可能性が高いことを示唆する通常演出に加えて、前記内部抽選の当選結果を遊技者が停止操作を行う際に案内する当選案内演出、前記特別当選種類に当選したことを告知する特別当選種類告知演出、前記特別当選種類または前記特殊小役に当選したことを期待させる期待演出及び前記特別当選種類または前記特殊小役に当選した可能性が前記期待演出に比して著しく高いことを示唆する高期待演出をそれぞれ規定する演出規定手段と、前記演出表示態様実行手段に前記演出表示態様のいずれかを実行させるかを決定する演出表示態様決定手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、特に外部に向けて様々な演出表示態様を表示させる表示手段を備える。これは、遊技者に当該遊技機でのゲームを視覚的に十分に楽しませることができるものである。表示手段としては、例えば、液晶表示やドット表示、ELディスプレイ、更にはランプ等も含めることができる。そして、演出表示態様には、現在の遊技状態が通常確率遊技状態である可能性が高いことを示唆する内容の通常演出と、内部抽選の当選結果を遊技者が全ての可動表示体の停止操作を終える前までに案内(または示唆、誘導、ナビゲーション)して該当する当選結果(一般小役、再遊技当選種類等)に対応した図柄を揃える手助けをする内容の当選案内演出と、特別当選種類に当選したことを告知(または教示、報知)する内容の特別当選種類告知演出と、特別当選種類または特殊小役に当選したかもしれない期待を持たせる期待演出と、特別当選種類または特殊小役に当選した可能性が期待演出に比べて格段に高いことを示唆する高期待演出がある。
内部抽選の当選結果に基づいて上記の演出表示態様のうち、いずれかの演出が選択される。ここで選択された演出が表示手段に表示されることで遊技者は、内部抽選での当選結果を察知できたり、あるいは遊技状態までも推測する手掛かりとしたりすることができる。また上記の演出表示態様は、内部抽選の当選結果と異なる演出を選択することもできる。つまり内部抽選の当選結果に基づいて、あえて実際の当選結果とは異なる演出を行わせることで遊技者に「何か」を気付かせることができる。ここで「何か」に該当するものとしては、特別当選種類に当選したことや、特殊小役に当選したことなどが挙げられる。
本発明の遊技機では、上記の構成に加えて、「遊技機の外部に向けて音色を発生させる音色発生手段を更に備え、音色発生手段は、演出表示態様として規定される演出に基づいて、それぞれに対応した音色を発生させる」という構成をとることもできる。即ち、表示手段により各種演出表示態様が行われる際に、音色発生手段から効果音や祝福音等を発生させることができる。ここで音色発生手段としては、例えば、スピーカやブザー等を挙げることができる。また演出表示態様と対応しない効果音(音色)を発生させれば、前述した「何か」いつもと違うことを遊技者に認識させることができる。このように表示と音色とによって遊技者を視覚的にも、聴覚的にも楽しませて遊技者の遊技意欲を向上させることも期待できる。
(解決手段6)
解決手段6は、解決手段5に記載の遊技機において、前記演出表示態様決定手段が、内部抽選の当落の結果が特定の当選種類であっても、その当選種類に対応した演出表示態様を専用的な演出として限定することなく他の当選種類に対応した演出表示態様をも選択し得ることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機で実行される各種演出表示態様は、全ての演出表示態様が特定の当選種類に対応するだけの専用的に固定された演出表示態様とすることなく、選択的にいずれに決定するかについては選択的に決めることができる。選択的に決めるとは、抽選で決めることや、順番通りに選び出すこと等である。抽選によりいずれかの演出表示態様を決定するとした場合、例えば、内部抽選の結果がハズレとなった際には、全ての演出表示態様のうちのいずれかをも選び出すことが可能となる。同様に内部抽選の結果、特別当選種類に当選していた場合も、全ての演出表示態様のうちのいずれかが選択される可能性がある。従って、遊技者がそれぞれの演出表示態様に対して持つ印象を流動的なものとすることができる。これは、それぞれの演出表示態様に1つの結果と対応づけてしまうことによって、意外性が消失し、演出が単調化してしまうことを回避させることにもつながる。
(解決手段7)
解決手段7は、解決手段5に記載の遊技機において、前記演出表示態様実行手段が、前記演出表示態様のいずれかを実行させることを決定した場合、その該当する前記演出表示態様を、1回ごとのゲームについて所定数の遊技価値を掛けた状態で遊技者による始動操作を受け付けられてから、この後、遊技者による複数回の停止操作が順次受け付けられることで全ての前記可動表示体の回転が停止し、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームが終了するまでの期間内で実行することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態あるいは遊技結果(内部抽選の当落の結果)に基づいて各種演出表示態様が規定されている。これらの演出表示態様のうちいずれか1つが選択されて演出表示態様として表示手段により表示されることになる。この演出表示態様から遊技者は現在の遊技状態を推測したり、あるいは出目と照らし合わせて遊技結果を確認したりすることができる。本発明の遊技機では、演出表示態様として実行することが決まった演出表示態様を1回のゲームが開始してから完結するまでの任意のタイミングで実行させることができる。例えば、始動操作が受け付けられてすぐに演出表示態様を表示させたり、あるいは全ての可動表示体が停止してから演出表示態様を表示させたりすることが考えられる。更に毎回のゲームごとにいずれのタイミングで演出表示態様を実行させるかを不規則になるよう決めると、遊技者が演出表示態様の表示されるパターン(または法則)を見出すことが困難となり、ゲームの演出面で倦怠感を抱かせてしまうといった事態を回避することが可能となる。
(解決手段8)
解決手段8は、解決手段1から7のいずれかに記載の遊技機において、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態移行手段により遊技状態が前記遊技状態へと移行すると、遊技者に付与する遊技価値の付与機会を通常遊技状態に比して増加させる遊技価値付与機会増加手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コイン、遊技球など)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシン等の回胴式遊技機に適用することができる。スロットマシン等の回胴式遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の表示態様から、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。こうして遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させて停止させるという一連の操作を繰り返しながらゲームを進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された表示態様によっては、特別遊技状態という遊技価値を通常遊技状態に比べて大量に獲得することができる遊技状態に移行することができる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与が集中して行われることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
(解決手段9)
解決手段9は、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態移行手段により遊技状態が前記遊技状態へと移行すると、遊技者に付与する遊技価値の付与機会を通常遊技状態に比して増加させる遊技価値付与機会増加手段と、1回のゲームごとに所定の内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に予め規定された通常の抽選確率を適用して当落の結果を判断する通常抽選当落判断手段と、前記通常抽選当落判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に通常の抽選確率に比して抽選確率を高くした特別な抽選確率を適用して当落を判断する特別抽選当落判断手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内に表示される個々の図柄の停止位置のうち、複数の前記可動表示体にまたがる図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を前記可動表示体のそれぞれについて規定する有効表示位置規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、特別当選種類を規定する特別当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、遊技価値の付与を伴う複数の小役を規定する小役規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行可能とする再遊技当選種類を規定する再遊技当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、前記特別当選種類及び前記複数の小役とは別に特殊小役を規定する特殊小役規定手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特別な種類の図柄が停止した結果、特別な表示態様が導出された場合、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御する特別遊技状態制御手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の1種類以上の図柄が停止した結果、所定の表示態様が導出された場合、前記小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特定の種類の図柄が停止した結果、特定の表示態様が導出された場合、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行させる再遊技実行手段と、前記内部抽選の当選結果として前記特殊小役が得られた場合、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の複数の図柄が停止した結果、特殊な表示態様が導出された場合、一般的な通常遊技状態と動作制御を変えることなく、少なくとも1つ以上の当選種類について前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率へ前記内部抽選で適用される抽選確率を変更させる抽選確率変更手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記特別な表示態様となったことを契機として制御された前記特別遊技状態が終了すると、前記通常の抽選確率または前記特別な抽選確率のいずれを前記内部抽選で適用する抽選確率とするかを選択する抽選確率選択手段と、遊技機の外部に向けてその遊技状態を遊技者に教示することのできる外部教示手段と、前記特別抽選変更手段により前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率へ前記内部抽選で適用されている抽選確率が変更された場合、及び前記抽選確率選択手段により前記特別な抽選確率を前記内部抽選で適用することが選択された場合、前記外部教示手段による遊技機の外部に、その遊技状態を遊技者に向けた教示として実行させる外部教示実行手段と、前記通常の抽選確率と比して前記特別の抽選確率でその抽選確率が高く変更されている当選種類に追加して、更にその他の当選種類についてその抽選確率を高く変更させるか否かを決定する高確率追加決定手段と、前記特別抽選変更手段により前記特別な抽選確率が前記内部抽選に適用された場合または前記抽選確率選択手段により前記特別な抽選確率が前記内部抽選に適用された場合に、前記高確率追加決定手段により追加して1つまたは複数の当選種類の抽選確率を高く変更させるか否かの決定を実行させる高確率追加決定実行手段と、前記特別抽選変更手段により前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率へ前記内部抽選で適用される抽選確率が変更された場合、及び前記特別遊技状態が終了し、前記抽選確率選択手段により前記特別な抽選確率を前記内部抽選で適用することが選択された場合のそれぞれについて前記特別抽選付加選択手段による選択を実行させる機会を付与する付加選択機会付与実行手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コイン、遊技球など)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシン等の回胴式遊技機に適用することができる。スロットマシン等の回胴式遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の表示態様から、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。こうして遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させて停止させるという一連の操作を繰り返しながらゲームを進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された表示態様によっては、特別遊技状態という遊技価値を通常遊技状態に比べて大量に獲得することができる遊技状態に移行することができる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与が集中して行われることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、そして1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、予め規定されている当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果が用意されており、これら当選結果の種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には種類別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する種類に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値に占める当たり値の数の割合から当選結果の種類別の当選確率が規定される。
上記の内部抽選では予め決められた通常の抽選確率を適用した抽選が行われる場合と、通常の抽選確率に比べて抽選確率を高く変更した特別な抽選確率を適用した抽選が行われる場合がある。通常の抽選確率と特別な抽選確率との違いは、上記の内部抽選の結果として得られる複数種類の当選結果のうち、1つまたは複数の当選結果についてその当たり値の範囲を変更することである。即ち、特別な抽選確率では通常の抽選確率に比べて1つまたは複数の種類の当選結果(以下では当選種類という)についてその当たり値の範囲を大きく(幅を広げる)することや、当たり値の数を増やすことを意味する。従って、当たり値の範囲が広がった分だけ、取得された乱数がその該当の当選種類の当たり値の範囲内に合致する可能性が高まる。つまりその該当する当選種類の当選確率が高くなることになる。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。複数種類の当選結果のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄される種類もあれば、次回以降のゲームまで持ち越される種類もある。
内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では少なくとも遊技価値の付与を伴う小役が規定されている。また、このような小役とは別に、当選結果として特別当選種類が規定されている。これら小役および特別当選種類には、それぞれ対応する小役図柄および特別当選図柄があり、これら図柄は上記の可動表示体にそれぞれ割り当てられている。つまり、可動表示体に付された図柄列のなかには、当選結果の種類に対応付けられた図柄(小役図柄、特別当選図柄)が含まれている。また、内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では、上記の小役及び特別当選種類とは別に、再遊技当選種類が規定されている。再遊技当選種類には対応する図柄として再遊技図柄が規定されている、よって可動表示体には複数種類の様々な図柄が付されていることになる。
また「図柄」は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。また、全ての可動表示体が停止したときの表示態様(所謂、出目といわれる)を複数通り作り出すことができる。
図柄表示部内は、各可動表示体の図柄列中の所定数の図柄を表示することが可能であり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定数×可動表示体の数」として表すこともできる。ここで所定数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の個数が増えることとなり、様々な図柄を表示態様として遊技者に見せることができる。
また図柄表示部内で様々な図柄から構成される表示態様のうち、図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を決めることで、遊技者が図柄表示部内のどこの位置に、どの図柄を停止させれば組み合わせとして有効になるのかを判断する目安とすることができる。ここで「有効となる表示位置」とは、内部抽選で当選結果として得られた当選種類に対応した特典を付与することができる図柄表示部内の表示位置のことをいう。内部抽選の当選結果にはいずれの当選種類にも当選しない場合(ハズレ)が含まれるが、ハズレの際は、特典が付与されることはない。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう。また水平及び斜め以外にも組み合わせを自由に決めることができる。考えられる組み合わせとしては、図柄表示部内に表示されている各々の可動表示体からそれぞれ1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせがある。この組み合わせの中で直線的な組み合わせが上記の水平または斜めの「並び」である。更に「並び」以外にもへの字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となるような組み合わせや、直線の一端あるいは両端が直線の並びからずれた組み合わせ等がある。これらの全ては、図柄表示部内の各可動表示体の1個ずつの図柄に注目すれば組み合わせが有効になったかどうかを視認することができる。
また、考えられる上記とは別の組み合わせとして、各々の可動表示体から1個より多い図柄を抜き出して構成される組み合わせもある。これは図柄表示部内に表示されている各々の可動表示体から夫々2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ、あるいは、各々の可動表示体から2個、2個、1個と図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体からは複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせとすることもできる。これは、前述した各々の可動表示体からそれぞれ1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを視認しづらくすることが可能となる。
全ての可動表示体が停止した結果、小役図柄が図柄表示部内で所定の表示態様となると、規定数の遊技価値が遊技者に付与される。ここでいう「所定の表示態様」とは、図柄表示部内での図柄の停止位置、並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがって対応する図柄が水平または斜めに揃っていることをいう。つまり、遊技者の停止操作に基づいて可動表示体の停止位置が制御され、図柄表示部内の有効な表示位置に小役図柄が停止した場合、結果として「所定の表示態様が導き出された」という意義がある。なお、小役図柄のなかには、少なくとも特定の可動表示体について対応する小役図柄が決まった位置に停止しているだけでよいものがある。いずれにしても、ゲーム回数を重ねていくうちに、遊技者が掛けた遊技価値の総数よりも付与された総数の方が多くなると、遊技者は差数分の遊技価値を得たことになり、そこに喜びを見出すことができる。
上記の小役は、小役図柄が所定の表示態様となると、規定数の遊技価値を遊技者に付与するものであるが、これとは別に本発明の遊技機では、全ての可動表示体が停止した結果、特別当選図柄が図柄表示部内で特別な表示態様となると、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行が行われる。この特別遊技状態では、通常のゲームと比較して、より多くの遊技価値を獲得できる機会が遊技者に与えられる。ここでいう「通常のゲーム」とは、特別当選種類に当選してから特別遊技状態に移行し、その特別遊技状態が終了するまでのあいだのゲームを除いたゲーム、つまり通常遊技状態でのゲームのことをいう。
更に本発明の遊技機では、特別当選図柄が特別な表示態様となった場合、遊技者に遊技価値を付与することなく今回のゲームを終了させることができる。そして次回のゲームより遊技状態を特別遊技状態に移行させることになる。このため本発明の遊技機では、いかにして特別遊技状態に移行する回数を多くすることができるか、つまり特別当選種類にどれだけ多く当選することができるかが勝負の分かれ目となり、それゆえ遊技者の興味は、特別当選図柄をいつ、どのような場面で揃えることができるかに集中する傾向にある。
全ての可動表示体が停止した結果、再遊技図柄が図柄表示部内で特定の表示態様となると、再遊技状態に移行する。ここで、「再遊技状態」とは、遊技者が今回のゲームと同じ遊技価値を掛けた状態で、かつ次回のゲームを行うにあたり、遊技価値を改めて掛けることなくゲームを行うことができる状態のことをいう。従って再遊技当選種類に当選した場合、遊技者は遊技価値を新たに消費せずに1ゲームを行うことができる。このように再遊技当選種類に当選することが増えれば、その分だけ遊技者がゲームに費やす遊技価値の消費量を抑えることができるとともに、遊技者に大幅な遊技価値の消費を強いるといった事態を回避することが可能となる。
本発明の遊技機では、小役、特別当選種類及び再遊技当選種類とは別に特殊小役が規定されている。全ての可動表示体が停止した結果、特別当選図柄とは別の複数の図柄から構成される組み合わせが図柄表示部内で特殊な表示態様となると、通常のゲームから動作制御を変えることなく、少なくとも1種類以上の当選種類についてその抽選確率を通常の抽選確率から特別な抽選確率へと変更させることができる。通常のゲームと同様の態様として遊技者に認識させるために、特殊小役は遊技価値の払い出しを伴わせないことが望ましい。これは、全て同一種類の図柄から構成される組み合わせとなると遊技価値が付与されたり、特別遊技状態へ移行したり、といった特典が得られることが一般的な遊技機の当選種類とそれに対応した図柄の構成となっているからである。一般的には、複数の図柄から構成された組み合わせは、ハズレ(いずれの当選種類にも当選していないか、あるいは当選種類に対応した図柄を揃えられなかったか)として遊技者に認識されるものである。このようなハズレのとなる図柄の組み合わせは通常のゲームでは頻繁に表示されるものであり、よって特殊小役に当選したことを遊技者に認識させずにゲームと進行させることができる。
特殊な表示態様となる複数の図柄の構成としては、特別当選図柄を除いた図柄のいずれの図柄を組み合わせとすることができる。この中には、全て異なる小役図柄の組み合わせや、小役図柄と再遊技図柄の組み合わせ、少なくとも2種類以上の異なる図柄から構成される組み合わせ等の組み合わせがある。特殊な表示態様となる組み合わせとして特別当選図柄を除いたのは、特別当選図柄を含むことによって、組み合わせを目立たせてしまうことが危惧されるからである。多くの場合、遊技者は遊技機でのゲーム回数を重ねるごとに、単なるハズレの組み合わせであるのか、それとも何か意味を持った組み合わせであるのかを検討、検証しながらゲームの経験を蓄積していく。その蓄積された経験から、いつも特別当選図柄を含んだハズレとなる図柄の組み合わせを境にして、遊技状態に変化が見られるといったことが多くなれば、特別当選図柄を含んだハズレ図柄の組み合わせが特殊な表示態様であることを推測することが容易になってしまうからである。
特殊小役は、特殊な表示態様が導出された後のゲームから遊技状態を変化させることができる。具体的な変化としては、内部抽選で適用されている抽選確率を通常の抽選確率から特別な抽選確率へ変更させることである。即ち、遊技者にとって有利な内部抽選が実行されるよう遊技状態が変化することになるのである。特殊な表示態様が導出された後のゲームからは必ず内部抽選で適用される抽選確率の変更が行われる。
また、特別遊技状態の終了後も内部抽選で適用されている抽選確率が変更される機会が与えられる。この場合は、特殊な表示態様が導出された後とは異なり、内部抽選で適用されている抽選確率を変更させるか否かを選択する機会が与えられる。即ち、必ず通常の抽選確率から特別な抽選確率へ変更されるのではなく、通常の抽選確率とするか、それとも特別な抽選確率とするかを選び出すことができるのである。これは特別遊技状態が遊技者に認識できる遊技価値を大量に獲得できる機会であるから、その終了後にどちらの抽選確率が適用されるのかという点に遊技者の興趣を向けさせることができる。
本発明の遊技機では、遊技機の外部に向けてその遊技状態を遊技者に教示する外部教示手段を更に備えている。遊技者に教示する方法としては、例えば、表示などにより遊技者の視覚に訴える方法や、音声等により遊技者の聴覚に訴える方法が挙げられる。その他、視覚に訴える方法には、発光なども含めることができる。いずれの場合も遊技者に遊技機の内部状態あるいは遊技状態を教示(またはアピール)することが可能なものとなっている。
本発明の遊技機では、特別遊技状態及び特殊な表示態様が導出されたことのそれぞれを契機として内部抽選で適用される抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率へ変更された場合、つまり遊技者にとって有利な遊技状態に移行すると、それについて外部教示手段による教示が実行される。例えば、遊技状態が有利になったことを告知表示したり、音声により遊技者に知らせたり、あるいは、発光態様を通常の状態と大幅に異ならせて遊技者が察知を可能にしたりすることが挙げられる。これらの教示により遊技者は、自分にとって有利な遊技状態、即ち内部抽選に特別な抽選確率が適用されることを知ることになる。
特に、特別遊技状態に移行した場合、遊技者は特別遊技状態で遊技価値を大量に獲得できる喜びを味わうとともに、特別遊技状態の終了後にも上記の教示が行われることを期待してゲームを進めることができる。これにより特別遊技状態の終了とともに遊技者の興趣が著しく低下してしまうことが回避できる。また、特殊な表示態様が導出された場合は、遊技者が特殊な表示態様を認識することはできない。すると、通常のゲームでいきなり遊技状態の変化を告げる教示が行われることになる。これは本発明の遊技機が、通常のゲームであっても突然、遊技者に有利な状態になることがあることを強く印象づけることになる。
本発明の遊技機では、内部抽選の抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更されると、通常の抽選確率と比較して特別な抽選確率でその抽選確率が高く変更されている当選種類に加えて、更にその他の当選種類の抽選確率を高く変更させるか否かを選択することができる。これは、内部抽選で適用される抽選確率が特別な抽選確率となった場合にその機会を設けることができることを意味する。即ち、内部抽選に特別な抽選確率が適用されている間であれば、いつでも更に追加してその他の当選種類の抽選確率を高く変更することができるのである。その他の当選種類は1つまたは複数選び出すことができる。これにより特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態でのゲームのなかで、突然、ある1つまたは複数の当選種類に際立って当選することが多くなったというゲームの展開を単調なものから多様なものとすることができる。また、以下では、上記で述べた特別な抽選確率のうち、更に1つまたは複数の当選種類について、その抽選確率を高く変更することを「追加抽選確率変更」と呼称する。
本発明の遊技機では、特別な抽選確率で通常の抽選確率と比べてその当選確率を高くする当選種類としては、特別当選種類を選ぶことができる。これは、特別当選種類の当選確率を高くしただけでは、遊技者が特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態と、通常の抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態とを見た目からでは、見分けることができないからである。この場合、それぞれの遊技状態を識別するための報知動作を行うといった動作制御は全くないことが前提となる。
一般的に多くの遊技者は、特別当選種類とは数ある当選種類のなかでも最も当選しづらいものであるという認識を持っている。従って、遊技機の外部に向けた動作制御を伴わず、その当選確率を高く変更しただけでは、遊技者が特別当選種類の当選確率が高くなっているかどうかを判断することはできない。
ここで、本発明の遊技機の特徴の1つである「追加抽選確率変更」に、内部抽選に適用されている抽選確率が特別な抽選確率であることを示唆する役割を持たせることもできるし、あるいは示唆させない役割を持たせることもできる。即ち、上記で示唆する役割を持たせるためには、例えば、一般小役や再遊技当選種類について通常の抽選確率に比べて顕著に高くその当選確率を変更させればよい。こうすることで、通常のゲームでは考えにくい程、連続して一般小役に当選したり、あるいは再遊技当選種類に当選したりといったことを遊技者は目の当たりにして、通常のゲームとは明らかに異なることを認識することが可能となる。一方、上記で示唆させない役割を持たせるためには、例えば、通常のゲームでは当選しづらい一般小役(所謂レアな小役)を選んだり、または再遊技当選種類等を選んだりしても、その当選確率を通常の抽選確率に比べて顕著には高くしなければよい。こうすることで、遊技者には偶然レアな小役に当選することが重なった等の認識を抱かせるのみに留めることが可能である。つまり通常のゲームと異なることを遊技者に認識させずにゲームを進行させることができる。
また本発明の遊技機では、「追加抽選確率変更」を行うか否かの選択が実行される機会を、特殊な表示態様となった直後、及び特別遊技状態の終了後に内部抽選で適用される抽選確率が通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更された場合とすることができる。つまり、特別な抽選確率が内部抽選に適用されることが決まるという遊技者にとって有利となる条件が成立すると、更に追加して別の有利な条件を付与するかを選択することができるということになる。
本発明の遊技機では、「追加抽選確率変更」についての教示は積極的には行わない。これは、有利な状態になったことを知らせることのみに留めると、遊技者に「追加抽選確率変更」というものがあること自体を秘匿することができるからである。即ち、遊技者に教示が行なわれてからのゲームでしばしば、その当選状況に変化が見られる当選種類があったり、あるいは通常のゲームと全く変化の見られない状況が続いたり、といったことを遊技者が目の当たりにすることが多くなる。このような場合、多くの遊技者は、遊技者にとって有利な状態とは複数存在するのではないか、あるいは、有利な遊技状態が段階的に変化するのではないか、という推測や予想を立てて、それについてゲームを進行させる中で解明しようという遊技意欲を向上させることができる。
本発明により、遊技者に有利となったことが教示として行われことになるが、それが最も有利であるのかについてまでは教示されないので、遊技者が積極的にゲームの動向を探ろうとすることになり、遊技者の遊技意欲を損ねることが極力回避できる。
以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突き出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左、中、右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46及び化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出としての映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者がゲームを進行することを補助する役割をしている。液晶表示部58は、表示手段の一つに相当し、各種演出表示態様を表示させるものである。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42及びボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34及びメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。スタートランプ28及びメダルインランプ36は遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。これらのランプが発光すると、遊技パネル6を透過してその発光態様が視認できるものとなっている。上記の各ランプ、各表示部は表示手段の一つとして各種演出表示態様を実行することも可能である。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットに対応している)。なおベットボタン12,14,16(以下では、必要に応じてベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となることからMAXベットと呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払い出しを伴う当選種類が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行うことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することによって選択することでゲームをスムーズに進行することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払い出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。ボーナスフラグ告知ランプ44も表示手段に相当する。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払い出しが集中して行われる特典の回数等の状況を表示させて、遊技者にボーナスゲームをスムーズに進行させる役割をしている。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は前面扉4を装飾したり、遊技者の目を引きつけて遊技意欲を掻き立てたりする役割をしている。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵として統一する)を入れて左右にそれぞれ約45度回す(捻る)ことが可能となっており、右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中断した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(リセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64、及びスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。これらランプ60,62,64,66も表示手段の一つとして発光等の演出による各種演出表示態様を実行することが可能である。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分(つまり可変図柄表示装置の下方)には、左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置(ホッパユニット)134が設置されており、このホッパ装置134の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組みに複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー等)が印刷された透光性を有する図柄帯が張られたことにより筒状の形態を成している。前記筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下では、この可変回転体をリールとして統一する)。このリールは、回転させたり停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10c別に独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。この各リール10a,10b,10c、リール駆動モータ88a,88b,88c、リール内ランプ90a,90b,90c、後述するリール位置センサをリール装置10(またはリールユニット)と総称する。なお以下では必要に応じて、リール10aを左リール10a、リール10bを中リール10b、リール10cを右リール10cと呼称する。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行うための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払い出し等、前記リール装置10の回転と停止等及び各表示部28,30,32,34,36,42,44による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示及び各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94及び外部端子板96と図示しない配線及びコネクタ等により接続されている。従ってメイン制御基板92から各種情報の伝達をサブ制御基板94及び外部端子板96へ行うことが可能である。
メイン制御基板92やサブ制御基板94等は、いずれも樹脂製の基板ボックスに収容された状態で本体部分2内に設置されている。基板ボックスは、外側から各基板への接触を阻害する保護ケースとなる。特にメイン制御基板92の基板ボックスは、機械的な封印部92a(ワンウェイねじによる締結部)によって開封不能に閉止されている。このためメイン制御基板92に不正チップ等を組み込もうとしても、基板ボックスを破壊しない限り改変はできないので、不正改造等を試みた場合にその痕跡をはっきり残すことができる。更に、基板ボックスには本体締結部92bが形成されており、基板ボックス全体が本体締結部92を介して本体部分2に対して強固に締結されている。従って、不正目的で基板ボックスそのものを本体部分2から取り外すことはできないし、もしも取り外しを試みた場合はその痕跡がはっきりと残されることになる。
電源ユニット70は、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行うことができる。また電源ユニット70は、メイン制御基板92を含めた各種基板に電力を供給するために、配線及びコネクタ等によりメイン制御基板92及び各種基板に接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部から不正な手段によって直接触れることを防止するためにプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置134は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払い出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置134の内部にはホッパモータ78を備えており、メダルの払い出しが行われる場合はこのホッパモータ78が回転することにより、ホッパ装置134内に貯留されているメダルが払い出し口80から払い出される。ホッパ装置134内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置134内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留を補助する役割をしている。また、遊技メダル補助収納庫84内にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量に達したことを検出することができる。
(スロットマシンの内部構成)
図3は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述したリール10a,10b,10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。
エラー解除センサ100は、鍵穴48の奥に設置されている(図示はしない)。鍵穴48に専用鍵を挿入した後に左回りに45度ほど捻ることで、エラー解除センサ100よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また、専用鍵を挿入した後に右回りに45度ほど捻ることで前面扉4が開放されると、前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132(図示はしない)により扉開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4を開放すると、前面扉4と本体部分2とが離れたことが検出される。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、リール10a,10b,10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置134等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ(図示はしない)を有しており、各リールには夫々位置センサが対応して設けられている。この位置センサとして、左リール10aに対応した左リール位置センサ106a、中リール10bに対応した中リール位置センサ106b、右リール10cに対応した右リール位置センサ106cが夫々のリール内に設けられている。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されることで、メイン制御基板92では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダル投入口26の奥にはメダルセレクタ(図示はしない)があり、メダルセレクタ内には更に投入センサ104及びロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、メダル投入口26より投入されたメダルがメダルセレクタ内で投入センサに到達する通路をロックアウト(塞ぐ)する役割を果たしている。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。このとき投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタ内で投入センサ104に到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはクレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置134は、払い出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98(図示はしない)を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。このとき液晶表示部58等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に遊技機に異常が発生したことが報知されることとなっている。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置134に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置134には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置134はメダルの払い出し動作を行う。このときホッパ装置134内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ98による枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ98より払い出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させて遊技者等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP(Video Display Processor)124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58や各ランプ60,62,64,66それぞれの発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ56の作動を制御している。
メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図4は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、先ず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a,10b,10cの回転を停止させるとともに各リール10a,10b,10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選種類と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選種類を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選種類については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は各リール10a,10b,10cの停止時に表示された図柄の表示態様から有効ライン上に停止した図柄の組み合わせが当選種類のいずれかに該当するか否かを判断し、いずれかの当選種類に該当する場合はそれに応じた遊技結果(特典)を提供するためのものである。当選種類に対応した遊技結果としては、メダルの払い出しを伴うものがほとんどであるが、当選種類の中にはメダルの払い出しがなくボーナスゲームに移行するものもある。あるいはメダルの払い出しとは別に内部状態(または各種モード等)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については後でフローチャートを用いて説明する。また、全てのリールが停止した際に図柄表示部内に表示される図柄の表示態様を「出目」という。
(2.始動処理)
図5は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは特に規定されておらず、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値からいずれの当選種類に当選したかが判断され、いずれかの当選種類に当選した場合、その当選種類に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。
いずれの当選種類にも当選しなかった場合、いずれの当選種類にも該当しない、所謂「ハズレ」となりハズレフラグがONにされる。当選フラグまたはハズレフラグ(所謂、成立フラグ)がONになっているときに、その成立フラグに該当した図柄を揃えることではじめて特典(遊技特典)が得られるものである。各々の特典についての詳細は後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cの回転が開始(始動)され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。なお、フラグ処理については後述で詳細な説明をする。
(2−1.当選種類と当選図柄)
図6は、スロットマシン1の各種当選種類に対応した当選図柄の構成を示したものである。各々の当選図柄は全てのリールの停止時に表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に図6に示した図柄の組み合わせが揃うことでそれぞれの特典を得ることができるものである。また、これらの当選図柄は各リールに夫々付されている。なお上記で、「ある一つの有効ライン」というのは、複数の有効ラインがあった場合、そのうちのいずれか一つのことをいう。以下でも同様の意味として「ある一つの有効ライン」と必要に応じて呼称する。
(2−1−1.特別当選図柄〔ボーナス図柄〕:特別当選種類)
当選種類が特別当選種類〔Nanaボーナス(NB)、Childボーナス(CB)〕である場合に対応する図柄がNB図柄及びCB図柄のボーナス図柄である。NB図柄の組み合わせ態様「7−7−7」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「NBゲーム」が開始される。あるいは、CBの図柄(図6で子供がおでんを手に持った絵が描かれた図柄、以下ではC図柄と呼ぶ)「C−C−C」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「CBゲーム」が開始される。
つまり、ボーナス図柄が揃うと「NBゲーム」または「CBゲーム」のいずれかの特典が得られることになる。この「NBゲーム」及び「CBゲーム」の特典は、メダルの獲得が容易な複数回のゲームを集中して行わせることで、遊技者が大量のメダルを獲得し易い機会を付与することである。それゆえ、NBまたはCBは他の当選種類に比べて内部抽選での当選確率が他の当選種類と比較して低く抑えられており(例えば、他の当選種類の当選確率が1/7から1/64程度であるのに対し、NBは1/256程度、CBは1/512程度)、それだけ遊技者にとって価値のある当選種類としての位置付け(またはランク付け)がされている。また、NB図柄及びCB図柄は各リール10a,10b,10cともに夫々配置数を少なくすることで遊技者がNB図柄あるいはCB図柄を正確に狙って停止させないと揃えることが出来ない図柄となっている(概ね各リールに1個から2個程度の配置とする)。なお、内部抽選で当選していない当選種類の当選図柄はたとえ正確に狙ったとしても揃えることはできない。ここで図柄を狙った位置に停止させることを「目押し」という。
NB図柄が揃った場合、あるいはCB図柄が揃った場合ともに、そのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは後述するNBゲームあるいはCBゲームの特典によりメダルを大量に獲得できる機会が付与されるので、あえてNB図柄あるいはCB図柄が夫々揃ったときにメダルの払い出しを伴わない態様としているが、これに限定されることはない。NB図柄あるいはCB図柄が夫々揃ったときにメダルの払い出しを行う態様としてもよい。ただし、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルの払い出しを伴わせる場合、NBゲームあるいはCBゲーム夫々において遊技者が獲得したメダルの合計枚数(総獲得枚数)が、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルを払い出すことにより増加し過ぎることを防ぐ必要がある。
(2−1−2.再遊技図柄〔リプレイ図柄〕:再遊技当選種類)
当選種類が再遊技当選種類(リプレイ)である場合に対応する図柄が、再遊技図柄(リプレイ図柄)である。リプレイに対応する図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ライン数と同じとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。この「リプレイゲーム」はメダルの払出しが行われない代わりにメダルを新たに消費する必要もない。そのため、当選確率を高くして遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選種類であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。それゆえ、リプレイは、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑えることのできる非常に重要な当選種類としての役割を担っているといえる。従って内部抽選においてリプレイに当選した場合には極力リプレイの特典が得られるように、リプレイ図柄も各リール10a,10b,10cごと、それぞれ満遍なく配置する(各リールとも概ね1個から4個分の図柄〔リプレイ図柄以外の図柄〕おきに1個のリプレイ図柄を配置する)。
(2−1−3.単小役図柄〔チェリー図柄〕:単小役)
当選種類が単小役(チェリー)である場合に対応する図柄が、単小役図柄(チェリー図柄)である。チェリーは全てのリールの停止時における図柄の組み合わせ態様でその特典が付与されるのではなく、少なくとも1つのリールについて、そのリールが停止したときに表示窓8内にチェリー図柄がある一つの有効ライン上に停止する態様となるだけでメダルの払い出し(3枚)の特典が付与されるものである。なお本実施形態のスロットマシン1では上記でいう「少なくとも1つのリール」を左リール10aとしている。
つまり、チェリー図柄からは、3枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aの図柄の停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は、残りの中リール10b、右リール10cの図柄の組み合わせに影響されないため(つまり、中リール10b、右リール10cはどの図柄が停止した態様であってもよい)、チェリー図柄の組み合わせ態様は「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
チェリー図柄は左リール10aのみにチェリー図柄を狙うだけで特典を得ることが可能であるので、遊技者が正確に目押しをしないと「取りこぼし」が生じるものとして、遊技者の技術差(目押しの正確さ)の出やすい当選種類として位置付けている。従って、左リール10aにチェリー図柄の配置を少なく(概ね2個から3個程度の配置とする)して遊技者が目押しを要する当選種類としている。上記の「取りこぼし」とは、内部抽選で当選していた当選種類の当選図柄を目押しの失敗等により揃えることができなかったために、その該当する当選種類の特典を得ることができなかったことをいう。
また、後述する一般小役と単小役(チェリー)はまとめて「小役」と呼ぶこともあり、以下では、単に「小役」と呼称した場合には、一般小役と単小役をともに含めるものとする。この「小役」には後述する特殊小役は含まないものとする。
単小役(チェリー)は、左リール10aのチェリー図柄を正確に目押しすることができれば内部抽選で当選したチェリーの特典(メダルの払い出し)を得られるので、リプレイと同様、ゲーム進行の中で遊技者がメダルを大量消費することを抑えることのできる重要な役割を持った当選種類であるといえる。
またチェリーは、左リール10aのみにあれば十分であることから、他のリール(中リール10b、右リール10c)にチェリー図柄を設けなくともよい。こうすると、他のリールにチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる。従って、チェリー図柄以外の当選図柄を配置するバリエーションが多く持てることとなり、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄が有効となる(特典を得ることができる)リールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10bあるいは右リール10cとしてもよい。この場合「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となるとチェリーの特典が付与されるものとなる。あるいは、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの3つリールのうちいずれか2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止したときにチェリーの特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「チェリー−ANY−チェリー」、「ANY−チェリー−チェリー」となる図柄の組み合わせ態様となった場合である。
上記のいずれの場合であっても、左リール10a、中リール10b及び右リール10cのリールのうち、少なくとも1つ(あるいは2つ)のリールのチェリー図柄を揃えるだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者に全てのリールについて目押しを毎回強いるといった負荷を軽減させることにもなるからである。
(2−1−4.一般小役図柄〔ベル図柄、スイカ図柄〕:一般小役)
当選種類が一般小役であった場合に対応する図柄が、一般小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄)である。ベルに対応する図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると10枚のメダルの払い出しが行われる。また、スイカに対応する図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」または表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。
つまり、ベル図柄の及びスイカ図柄という一般小役図柄が揃うと、夫々に対応した枚数のメダル(それぞれ10枚、15枚)が払い出されるという特典が得られることになる。従って一般小役は、ゲームを進めるうえで、メダルの増加が期待できる当選種類である。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、ホールとの利益バランスが崩れるという事態を招いてしまう。それを回避するために、スロットマシン1では、一般小役の当選確率をリプレイに比べて低い当選確率とする。また、一般小役図柄の配置数を各リール10a,10b,10cごと少なくして(各リールとも概ね3個から5個程度の配置とする)、遊技者が各リールについて正確に目押しを行わないと取りこぼしが生じる可能性を持たせている。
本実施形態のスロットマシン1では、一般小役としてスイカとベルという複数の一般小役を設けている。複数の一般小役を設けることで、スイカとベルとで内部抽選での当選確率に差を設けたり、または、目押しを必要とするか、必要としないかについての差を設けたりすることができる。例えば、ベルは当選確率を高くし、スイカは当選確率を低くしたり、また、スイカは目押しを正確に行わないと取りこぼしが生じるものとし、ベルは目押しをほとんど必要とせずに揃えられるものとしたりすることが挙げられる。このようにベルとスイカとで様々な格差を設けると、ベルとスイカとの間に価値(付与されるメダル枚数の差だけでなく、当選確率の差や目押しの必要とされる度合いの差等)に差をつけることができる。
なお、一般小役は上記のベル、スイカに加えて更に複数の種類を設けることもできる。例えば、プラム、オレンジ、レモン、イチゴ、ブドウといった遊技者に親近感を持たせる果物を模した図柄を新たに加えることもできるし、果物に限らず識別の可能な図柄であれば何でもよい。ただし一般小役があまりにも種類が多数になってしまうと、その分だけ各リール上での同種類の一般小役図柄の配置数が減ることになり、全ての一般小役(またはその他の当選種類も含む)に目押しが必要となってしまう虞がある。従ってベル、スイカを含めても一般小役は3種類から4種類程度に留めることが望ましい。
(2−1−5.ボーナスゲーム専用役図柄:ボーナスゲーム専用役)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム及びCBゲーム中のみ有効となる当選種類としてボーナスゲーム専用役を設ける。ボーナスゲーム専用役に対応する図柄の組み合わせ態様(「スイカ−リプレイ−リプレイ」、「ベル−ベル−リプレイ」、「スイカ−ベル−リプレイ」の3種類がある)が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。このボーナスゲーム専用役はNBゲーム及びCBゲーム内でのみ抽選される当選種類であるので、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでは、ボーナスゲーム専用役に当選することはない。即ち、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでボーナスゲーム専用役図柄が揃ったとしてもメダルの払い出しも何も行われない。
(2−1−6.特殊小役図柄:特殊小役)
当選種類が特殊小役である場合に対応する図柄については、当選図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)を特殊小役に対応した組み合わせ態様として決めている。つまり、特殊小役はそれ専用の図柄(例えば、7図柄やベル図柄やリプレイ図柄)といった象徴的な図柄を持たない。複数の異なる図柄の組み合わせのうち、特定の組み合わせを特殊小役に対応した図柄の組み合わせとする。(以下では、便宜的に特殊小役図柄の組み合わせ、特殊小役図柄の組み合わせが揃う等という)。表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に上記の特殊小役図柄の組み合わせのうちいずれかが揃うと、0枚のメダルの払い出しが行われる。つまり払い出されるメダルの枚数は0枚であるが、特殊小役に当選したことになる。なお、特殊小役図柄については、他の当選図柄と異なり、当選図柄の構成表(配当表)等により遊技者に明示することはしない。
この特殊小役図柄の組み合わせが揃うと、単小役(チェリー)や一般小役(ベル、スイカ)とは異なり、遊技者が手にすることのできる枚数のメダルは付与されないが、代わりに内部抽選で適用される抽選確率を変更させることができる。スロットマシン1ではこの内部抽選で適用される抽選確率を高く変更させることができる。また、特殊小役図柄の組み合わせが揃った場合には通常のゲームと全く変わりのないゲーム内容とする。即ち、リールの回転動作が変化したり、ランプの発光動作が変化したり、あるいは効果音が変化したりといった遊技者が察知することが可能な範囲の動作に全く変化を生じさせずにスロットマシン1の内部の制御のみで変化を行わせる。この内部のみで行われる変化が前述した内部抽選で適用される抽選確率の変更のことである。従って、特殊小役図柄の組み合わせが揃った出目を遊技者が見ても、単なるハズレの出目としてしか見ることができないが、スロットマシン1の内部の制御では変更が行なわれていることになる。つまり、特殊小役の特典とは、特殊小役を契機として通常のゲームに比べて遊技者に有利な内部抽選を開始させることである。
本実施形態のスロットマシン1では、特殊小役図柄をリプレイ図柄とベル図柄の組み合わせとしているが、取りこぼしの生じることのない当選図柄の組み合わせであれば上記の当選図柄以外の組み合わせであってもよい。ただし、遊技者にはハズレの出目として見せるため複数の当選図柄の組み合わせとする。つまり、特殊小役に当選した場合は、取りこぼしなく特殊小役図柄の組み合わせを揃えさせることにより、遊技者には単なるハズレの出目としての認識した与えず、実際には内部制御により内部抽選で適用される抽選確率の変更をスムーズに行わせることができる。よって、特殊小役に当選しても特殊小役図柄の組み合わせを揃えられないために有利な特典を得られないといった事態を回避することができる。
以上が本実施形態のスロットマシン1における当選種類である。勿論上記のいずれの当選図柄の組み合わせも揃わなかった場合は、「ハズレ」または「取りこぼし」となりいずれの当選種類の特典も得ることはできない。
(2−2.フラグ処理)
ここでは、フラグ処理について、図7から図9を用いて更に詳細に説明する。図7は、フラグ処理の具体的な内容を示している。先ずステップS201で、判定乱数テーブル選択処理が行われる。ここでは先ず、内部抽選に適用する判定乱数テーブルが選択される。本実施形態のスロットマシン1では、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルという2つの判定乱数テーブルが用意されており、いずれかの判定乱数テーブルを適用して内部抽選を実行することができる。このとき決められた判定乱数テーブルが適用されてステップS202以降の処理が行われることになる。
ここで判定乱数テーブルとは、内部抽選が行われる際に各当選種類の当たり値を乱数の範囲として予め決めたもののことである。具体的には、抽出乱数(先のステップS106で抽出された乱数のことを指す、以下では、このとき抽出された乱数のことを抽出乱数として統一する)がいずれの当選種類の当たり値に該当するかを判断するために用いられるものである。これによりスロットマシン1の各当選種類の当選確率(抽選によって当選する確率)を算出することができる。
判定乱数テーブルは、その抽出範囲(以下では抽出範囲と呼称する)が一定に決められており、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルともにその抽出範囲は同じである。抽出範囲が同じであっても、それぞれ各当選種類の当たり値の範囲を変えることで結果的に各当選種類の当選確率をそれぞれ異ならせることができるのである。これは、例えば、0から100の間の数字(整数)を乱数としてみた場合、0から100までが抽出範囲(つまり、この抽出範囲内でとりうる最小の数字は0であり、また最大の数字は100であり、合計101個の数字を抽出することができる)となる。更に、この抽出範囲の中で、0から10をNB、11から20をベル、21から30をリプレイ、31から100をハズレとそれぞれの当たり値の範囲と決めれば、抽出された乱数をこの当たり値の範囲に照らし合わせることでいずれの当選種類に当選したのかを判定することができる。一方、0から20をNBの当たり値の範囲とすれば、0から10をNBの当たり値の範囲とした前者に比べて、NBの当選確率が、11/101<21/101(後者)となるので、NBの当選確率は後者が高いことになる。
上記のように各当選種類の当たり値の範囲(この当たり値のことを当選許容値と呼ぶ)を変えることで、ある特定の当選種類の当選確率を高くしたり(この場合、該当する当選種類の当選許容値の範囲を大きく変更する)、あるいは当選確率を低くしたり(当選許容値の範囲を小さく変更する)することができる。また内部抽選で必ず特定の当選種類に当選させたり(該当する当選種類の当選許容値の範囲を抽出範囲と同じにする)、あるいは特定の当選種類には全く当選させなくしたり(当選許容値の範囲を無い状態にする〔当選許容値の範囲を0にする〕)することもできる。
本実施形態のスロットマシン1では、乱数の抽出範囲を0〜16383(214=16384個の乱数)としているが、乱数の抽出範囲を0〜32767(215=32768個の乱数)や、または0〜65535(216=65536個の乱数)としてもよい。乱数の抽出範囲を広げれば、それだけ抽出される乱数値の抽出範囲(または分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
ステップS201でいずれかの判定テーブルが選ばれると、続いてステップS202では、NBフラグまたはCBフラグがONになっているかが判断される。これは後述する判定処理で詳細についての説明をするが、NBフラグ及びCBフラグは、その該当する図柄(NB図柄、CB図柄)が揃えられるまで当選フラグが持ち越されるからである。またこの当選フラグが持ち越されている場合、新たにNBまたはCBの抽選は行われない。スロットマシン1では、この当選フラグの持ち越しが行われている間に抽出乱数がNBまたはCBに該当した場合、ハズレとして処理を行うこととなる。具体的には、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている間に新たなNBまたは新たなCBに当選した場合、その成立フラグは破棄するものとする。換言すると、NBの当選フラグ、またはCBの当選フラグを持ち越し可能とする代わりに、NB図柄またはCB図柄を揃えるまでは新たなNBまたはCBの抽選は行わないということである。
なお、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合、フラグ持ち越し用の判定乱数テーブルを別途用いることとしてもよい。ただしあまり判定乱数テーブルが多くなるとメイン制御基板92の負荷が増大する虞があるので、スロットマシン1ではNBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合に新たに成立したNBフラグまたはCBフラグを破棄するものとして、メイン制御基板92の負荷が増加してしまうことを極力抑えている。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれもONになっていない(即ち、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されていない)と判断されると(No)、ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がNBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS203=Yes)、NBフラグがONにされ(ステップS204)、次いで次回判定乱数テーブル抽選が行われる(ステップS205)。この次回判定乱数テーブル抽選では、NBゲーム終了後から開始されるゲームに適用する判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれにするかを決定する抽選が行われる。ここで特別判定乱数テーブルが選ばれると(ステップS206=Yes)、特別判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS210)。
次回判定乱数テーブル抽選で特別判定乱数テーブルが選ばれなかった場合(ステップS206=No)、通常判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS207)。それぞれステップS207、ステップS210を経てコマンド送信処理へ進む(ステップS217)。
ここで次回判定乱数テーブル抽選については、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルがそれぞれ1/2で選ばれるものとする。つまり、
〔通常判定乱数テーブル:特別判定乱数テーブル=1:1〕
という比率で判定乱数テーブルが選ばれる可能性があるので、1/2の割合で特別判定乱数テーブルが選ばれるという期待を遊技者に持たせることができる。
ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS208で抽出乱数が特殊小役の当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数が特殊小役の当選許容値に該当すると判断されると(ステップS208=Yes)、特殊小役フラグがONにされ(ステップS209)、次いで特別判定乱数テーブルフラグがONにされて(ステップS210)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。つまり、特殊小役に当選すると、特別判定乱数テーブルフラグが必ずONとなる。そして特殊小役当選後の次ゲームから開始されるゲームに特別判定乱数テーブルが適用されることになる。
本実施形態のスロットマシン1はその特徴として、次回判定乱数テーブルフラグを持ち越すことが可能である。即ち、NBフラグまたは特殊小役フラグが成立しても、そのときのゲームから判定乱数テーブルを変更させるのではなく、NBフラグの場合はNBゲームが終了してから、また特殊小役フラグの場合は特殊小役図柄の組み合わせが揃ったゲームの直後のゲームから、いずれの判定乱数テーブルフラグがONとなっている場合には判定乱数テーブルの変更を行うことができるのである。換言すると、判定乱数テーブルフラグが成立するときは判定乱数テーブルの変更が行われるときであるといえる。
ステップS208で抽出乱数が特殊小役の当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がCBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS211=Yes)、CBフラグがONにされて(ステップS212)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれかがONとなっている(NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている)と判断された場合(Yes)、及びステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当しないと判断された場合(No)は、ステップS213で抽出乱数が小役(ベル、スイカ、チェリーのいずれか)の当選許容値に該当するかが判断される。ここでいずれの小役の当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS213=No)、ステップS215で抽出乱数がリプレイの当選許容値に該当するかが判断される。更にここでリプレイの当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS215=No、いずれの当選種類にも該当しなかった場合、つまりハズレに該当する)、いずれの当選フラグもONにされずステップS217のコマンド送信処理へ進む。なお、ハズレフラグをONとすることとしてもよい。本実施形態のスロットマシン1では、上記のハズレの場合は、ステップS217のコマンド送信処理にてハズレ情報コマンドとしていずれの当選フラグもONにならなかったことを送信するものである。
ステップS213またはステップS215のいずれかでそれぞれの当選許容値(小役、リプレイ)に該当すると判断された場合(ステップS213=Yes、ステップS215=Yes)、それぞれ小役フラグがONにされ(ステップS214)、またはリプレイフラグがONにされて(ステップS216)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
本実施形態のスロットマシン1では、CB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイに当選した場合、またはハズレとなった場合、判定乱数テーブル抽選は行われない。または判定乱数テーブルが変更される契機となることもない。つまり判定乱数テーブルが変更されてしまう可能性がないので、遊技者がこれらの当選種類に当選しても有利な判定乱数テーブル(特別判定乱数テーブル)が適用されている状態から通常判定乱数テーブルに変更されて不利になるといった心配をせずにCB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイの特典を得ることができる。従って、通常判定乱数テーブルが適用されているゲームではCBに当選することはNBに当選することに比べてさほど遊技者に歓迎されないが、特別判定乱数テーブルが適用されているゲームではNBに当選するまでにできるだけCBに当選してメダルを増やしたいという遊技者の歓迎の度合いが逆転する現象が起こることになる。
ステップS217ではコマンド送信処理として、当選フラグ及び判定乱数テーブルフラグが情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信される処理が実行される。またCB、小役、リプレイについては当選フラグのみが情報コマンドとして、ハズレについてはハズレ情報コマンドがそれぞれサブ制御基板94に送信されることとなる。ここでCB、小役、リプレイ及びハズレの場合には判定乱数テーブルについての情報コマンドは送信されない。これは上記の当選種類に当選しても判定乱数テーブルの変更が行われないからである。つまり余計な情報コマンドを減らしてメイン制御基板92にかかる負荷を軽減させることができる。
なお、フラグ処理以前の始動処理が行われる前に予めいずれの判定乱数テーブルを適用するかを決定しておくこともできる。これは、抽出範囲が常に一定であるので、予め判定テーブルを決定してから乱数を抽出した場合、その抽出乱数を判定乱数テーブルと照らし合わせることになることはフラグ処理の中で判定乱数テーブルを選択するのと変わりがないからである。
図8は、先の判定乱数テーブル選択処理(図7のステップS201)について具体的に示したものである。ステップS301では先ず現在の遊技状態がNBゲーム中であるのか、またはCBゲーム中であるのかが判断されることになる。上記のいずれかのゲーム中であると判断された場合(ステップS301=Yes)、処理は終了となる。つまり通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれも選ばれることはない。これはNBゲーム中またはCBゲーム中はそれぞれ特定の判定乱数テーブル(当たり値テーブル)によりゲームが行われるためである。詳細については特別遊技状態及び特殊小役特典付与処理にてフローチャート等を用いて説明する。
現在の遊技状態がNBゲーム中またはCBゲーム中のいずれにも該当しないと判断された場合(ステップS301=No)、特別判定乱数テーブルフラグがONであるかが判断される(ステップS302)。特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断されると(Yes)、特別判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は特別判定乱数テーブルによりいずれの当選種類の当選許容値に該当するかが判断(または照合)されることになる(ステップS303)。また、特別判定乱数テーブルフラグがONではないと判断されると(ステップS302=No)、通常判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は通常判定乱数テーブルによりいずれの当選種類の当選許容値に該当するかが判断(または照合)されることになる(ステップS304)。
ステップS302で特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断される場合とは、特殊小役フラグがONとなり、そのときに特殊小役図柄の組み合わせが揃った直後のゲーム開始時、またはNBフラグがONとなり次回判定乱数テーブル抽選にて特別判定乱数テーブルフラグが選択され、そのNBゲーム終了後の次ゲーム開始時のことである。
上記のそれぞれの判定乱数テーブルの違いについて図9にそれぞれの判定乱数テーブルと当選確率を具体的に示している。なお、以下では必要に応じて通常判定乱数テーブルを適用した内部抽選が実行されている遊技状態で行われるゲームのことを「通常確率ゲーム」、特別判定乱数テーブルを適用した内部抽選が実行されている遊技状態で行われるゲームのことを「高確率ゲーム」と呼ぶ。
特別判定乱数テーブル〔図9(b)〕では、通常判定乱数テーブル〔図9(a)〕に比べて、NBの当選許容値の範囲が大きく変更されていることが分かる。つまりNBの当選確率が高く変更されていることになる。具体的には、NBの当選確率が10倍に高く変更されている。その他の当選種類について当選確率の変更はなされていないが、NBの当選許容値の範囲が広がったことにより、CBからリプレイまでの当選許容値が変更されていることが分かる。ただし、当選許容値の範囲(幅)自体は変更されていないので当選確率は変わらない。このときハズレの当選許容値の範囲は減少しているのでハズレの確率が低くなっている。このようにスロットマシン1では抽出範囲内の当選許容値の範囲を自在に変更することが可能である。それによって一つまたは複数の当選種類の当選確率を高く変更したり、反対に低く変更したりすることができる。
本実施形態のスロットマシン1では、特殊小役の抽選は通常判定乱数テーブルが適用された「通常確率ゲーム」でのみ行うものとしているので、特別判定乱数テーブルが適用された「高確率ゲーム」で特殊小役に当選することは無い。また、特殊小役の当選確率をNBとCBの当選確率の間に収まる程度となる当選確率とすることで、遊技者がその当選の可能性に期待を十分に持てるものとすることができる。
(3.リール停止処理:停止制御手段)
図10は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS301)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS302,S310,S317)。これらの待ち受け状態で、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの各リールが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左、中、右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。いずれの停止ボタン20,22,24も押されていなければ、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が繰り返される。
例えば、所謂「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左の停止ボタン20が押されたとすると(ステップS302=Yes)、左の停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていない(ステップS303=Yes)ため、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS304)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
あるいは、所謂「中押し」の手順に沿って最初に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes,ステップS311=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS312)が実行される。これ以外に、所謂「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右の停止ボタン24が押された場合は(ステップS317=Yes、ステップS318=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS319)が実行される。
なお、上記でいう「順押し」あるいは「順はさみ押し」とはともに左リール10aを第1番目に停止させる停止操作手順であり、
「順押し」は、『左→中→右』の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいい、
「順はさみ押し」は、『左→右→中』の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいう。
また、「逆押し」あるいは「逆はさみ押し」の停止操作手順は、それぞれ「順押し」あるいは「順はさみ押し」と反対の停止操作手順となる。即ち、
「逆押し」は、『右→中→左』の順番でリールの停止操作を行う手順のことであり、
「逆はさみ押し」は、『右→左→中』の順番でリールの停止操作を行う手順のことである。
更に、「中押し」も上記と同様に、『中→左→右』または『中→右→左』という2つの停止操作手順が存在することになる。
左リール10a、中リール10b及び右リール10cのいずれかのリールについて第1リール停止処理(ステップS304,S312,S319)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、抽出乱数の値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば1つの当選種類「ベル」について、リール10a,10b,10c上にある「ベル図柄」をある一つの有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されているが、前記テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10a,10b,10cの停止位置が制御される。これにより、「ベル図柄」が有効ライン上のどこかで停止されることとなる。なお、リール制御テーブルは複数用意することに限定されるものではない。
例えば、「順押し」手順に沿って左リール10aが第1番目に停止されるパターンを例にとると、ステップS304で左リール10aについて第1リール停止処理が行われる。また、このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS306では残りの中リール10b、右リール10cについてそれぞれリール制御テーブル(停止テーブル)が乱数抽選によって決定される。具体的には、図1において左リール10aの停止時に「ベル図柄」が下段位置に停止したとすると、停止した時点で「ベル図柄」の組み合わせが揃うための有効ラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
なお、リール制御テーブルで成立フラグに対応した当選図柄を揃えて停止させるラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると左リール10a(または第1リール)を停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄を停止させるのか決定しているため、前記ステップS306に示した乱数抽選を行う必要が無くなり、メイン制御基板92の負荷を軽減させることができる。ただし、予め決定されたラインに該当図柄を停止させることにより、左リール10aについてチェリーに当選していないにも関わらず、チェリー図柄が有効ライン上に該当図柄と重複して停止してしまう場合が考えられる。このような場合、予め決定されたラインを変更させて再度該当図柄を停止させるラインを決めなおす乱数抽選等を行い、該当図柄とチェリー図柄(その他の当選図柄でもよい)とが重複して有効ライン上に揃ってしまうこと(つまり全てのリール停止時に複数の有効ライン上に複数の当選図柄がそれぞれ揃った状態となること)を回避させる必要がある。
以上の処理(ステップS306)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS307)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS308)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階ではリール10a,10b,10cが全て停止していないので、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS302=No)、「順押し」手順に沿って2番目に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS311=No)を経て中リール停止処理(ステップS313)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が揃う例でいうと、中リール10b上の「ベル図柄」が表示窓8内の中段位置に停止することとなる。また停止目上は、右上がりライン上で左リール10a、中リール10bに「ベル図柄」が2つ揃った状態(所謂、テンパイ状態という、この場合は右上がりテンパイ状態)となる。このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、中リール10bは第2停止であるためステップS312,S314,S315は全て迂回され、ステップS316にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右の停止ボタン24が押されると(ステップS317=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS318=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される(ステップS320)。これにより、3番目の右リール10c上の「ベル図柄」が表示窓8内の上段位置に停止するので、全リール停止時の出目は、右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第3停止であるためステップS319,S321,S322は全て迂回され、ステップS323にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS309の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
なお、上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選図柄が停止操作の受け付けられた時点から表示窓8内に引き込んで停止させることが可能な範囲(位置)にある場合、必ず引き込んで該当する当選図柄を表示窓8内に停止させようとする制御が行われる(所謂、引き込み制御といわれるリール停止制御)。引き込み可能な範囲とは、リールの停止操作が受け付けられてからリールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数(例えば、4図柄)のことをいう。つまり、リール停止操作が受け付けられた時点で、リールが即座(引き込み制御なしで)に停止するとした場合には表示窓8内に停止することのない当選図柄であっても、その当選図柄が引き込み可能な範囲内にあれば表示窓8内に移動させて停止させることが可能となる。これは所謂、スベリと呼ばれる。
本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ(再遊技当選種類)及びベル(一般小役のうちの1つ)をこの引き込み制御により「取りこぼし」が生じる可能性がないものとする。また、「取りこぼし」が生じないのは「順押し」あるいは「順はさみ押し」によるリール停止操作が行われた場合とする。従って上記以外のリール停止操作(「中押し」、「逆押し」、「逆はさみ押し」)が行われた場合は、この限りではない。
これは「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が受け付けられた場合、左リール10aの停止制御が行われる際に「チェリー図柄」を回避するための停止制御も行われることとなるからである。具体的には、成立フラグがチェリー以外であった場合、その該当する当選図柄(「チェリー図柄」以外の当選図柄)を揃えようと表示窓8内の有効ライン上に引き込み制御を行うにあたり、同時に「チェリー図柄」を引き込んでしまうことを回避するリール停止制御が行われるからである。このとき、上記の該当する当選図柄を引き込んで揃えようとすることよりも「チェリー図柄」を表示窓8内に停止することを回避させる制御が最優先されるので、結果として上記の該当する図柄が揃えられなくなることがある。従って、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作ではリプレイ及びベルの「取りこぼし」を生じてしまう場合があるといえる。
「順押し」あるいは「順はさみ押し」の停止操作が受け付けられた場合は、左リール10aが第1リールとして停止処理が行われるので、「チェリー図柄」を表示窓8内に停止させることを回避するだけでよい。これは「チェリー図柄」を表示窓8内に停止してしまうことを回避しても、成立フラグに該当する当選図柄が表示窓8内に停止可能となるリール(左リール10a)の図柄の配列を決めることで可能となる。
上記のことから、本実施形態のスロットマシン1は「順押し専用」、「順押しまたは順はさみ押しにて御遊技下さい」等の案内(または明示、教示、説明)の表示を遊技機本体で遊技者が視認できる箇所(ベットボタンの近傍やメダル投入口の付近等)にして、「順押し」あるいは「順はさみ押し」で遊技者にゲームを行わせることが望ましい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(4.判定処理)
図11は、判定処理の内容を具体的に示している。上記のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止した状態となると、メイン制御基板92はそのとき表示されている出目を確認する処理を行う(ステップS401)このとき、表示窓8内で、ある一つの有効ライン上にいずれかの当選種類に該当する当選図柄の組み合わせが揃っているかが確認されることとなる
次に、上記に該当する有効ライン上(以下では該当有効ラインという)に揃っている図柄の組み合わせがNB図柄の組み合わせであるか(ステップS402)、CB図柄の組み合わせであるか(ステップS405)、小役図柄の組み合わせ(ベル図柄、スイカ図柄あるいはチェリー図柄のいずれか)であるか(ステップS408)、リプレイ図柄の組み合わせであるか(ステップS411)、特殊小役図柄の組み合わせであるか(ステップS414)、またはいずれにも該当しないハズレとなる図柄の組み合わせであるかがそれぞれ判断される。そして、そのときに該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが全てNB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS402=Yes)、NB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS403)。また、該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが全てCB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS405=Yes)、CB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS406)。
該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが小役図柄(全てベル図柄、あるいは全てスイカ図柄、またはチェリー図柄のいずれか)に該当すると判断されると(ステップS408=Yes)、各小役に対応した枚数のメダル払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS409)。そして、ステップS410で払出処理として規定枚数のメダルが払い出されることになる。上記の小役のうち、ベルは全てベル図柄が該当有効ライン上に揃うことでベル図柄の組み合わせが揃ったと判断される。また同様にスイカも全てスイカ図柄が該当有効ライン上に揃うことでスイカ図柄の組み合わせが揃ったと判断されることはNB、CBと同様である。しかし、チェリーについては、左リール10aのみ表示窓8内のいずれかの有効ライン上にチェリー図柄が停止するだけチェリー図柄の組み合わせが揃ったと判断される。なお、小役図柄が揃った場合の効果音コマンドを揃った小役図柄ごとに異なる効果音コマンドとすることもできる。特に小役の中でも当選確率の低いレアな小役の効果音を他の小役と異ならせると周囲の遊技者に対してレアな小役を揃えたということをアピールすることができ、遊技者の満足感を満たすことにもなる。スロットマシン1ではスイカがこのレアな小役に相当するが、更に低い当選確率の小役をレアな小役として設けてもよい。
該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、全てリプレイ図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS412=Yes)、リプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS413)。続いてリプレイゲーム処理(ステップS414)が実行される。ここでリプレイゲーム処理とは、改めてメダルの投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲームを再遊技として実行できることをいう。その場合、有効ラインの数は、リプレイ図柄の組み合わせが揃ったゲームでの有効ラインの数と同じライン数となる。例えば、3ベットしてゲームを開始してリプレイ図柄の組み合わせが揃った場合、次ゲーム時に再遊技を開始するときも3ベットしたときのライン数が有効となる。
該当有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、特殊小役図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS416=Yes)、NB図柄やCB図柄、小役図柄やリプレイ図柄が揃ったときとは異なり、特殊小役図柄が揃ったことを祝福したり知らせたりする効果音コマンドはメイン制御基板92からサブ制御基板94へ送信されることはない。
NB図柄が揃った場合またはCB図柄が揃った場合は、そのときに該当有効ライン上に揃った図柄に応じた効果音がスピーカ56より発せられるとともに、NBゲーム遊技処理(ステップS404)、またはCBゲーム遊技処理(ステップS407)が実行されて判定処理は終了となる。なお、ここでスピーカ56より発せられる効果音は、先のステップS403またはステップS406でメイン制御基板92よりサブ制御基板94へ送信された効果音コマンドに基づいて行われるものである。
小役図柄が揃った場合、またはリプレイ図柄が揃った場合は、そのときに該当有効ライン上(チェリー図柄の場合は有効ライン上のいずれか)に揃った図柄の組み合わせに応じてメダルの払い出し音とともにメダルの払い出し、またはリプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音とともにリプレイゲーム処理が実行される。そして、小役またはリプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS411、S415)、この処理は終了となる。
特殊小役図柄が揃った場合は、特に効果音等は発せられることなく、特殊小役特典付与処理(ステップS417)が実行されて判定処理は終了となる。
ハズレフラグがONのときや成立フラグに対応する当選図柄が該当有効ライン上に揃っていない(つまり「取りこぼし」が生じた)場合は(ステップS416=No)、NB当選フラグ、CB当選フラグ及び特殊小役当選フラグを除いたその他の成立フラグ(当選フラグ)がOFFにされて(ステップS418)、判定処理は終了となる。
ここでNB当選フラグ、CB当選フラグ及び特殊小役当選フラグを除いた成立フラグがOFFにされるとは、NB、CB及び特殊小役の当選フラグは維持されるということである。これは、NB、CB及び特殊小役が小役やリプレイに比べて遊技者にとってより有利な利益を与える特典に対応しているからである。つまり、NB、CB及び特殊小役に当選した場合、遊技者には小役やリプレイとは比較にならない程、大量のメダルを獲得できる機会、または大量のメダルを獲得しやすくなる状態へと移行する機会が与えられるからである。この遊技者に有利となる機会(大量のメダルの獲得機会等)を遊技者が損なうことなく得られるために本実施形態のスロットマシン1では、NB、CB及び特殊小役の当選フラグの維持を行う。このように当選フラグの維持が行われることは、遊技者に安心してスロットマシン1でのゲームを楽しめる環境を提供することになる。特にNB図柄またはCB図柄は、NBまたはCBに当選していても目押しを正確に行わないと揃えることができない図柄であるから、それらの当選フラグが維持されることで遊技者は取りこぼしを気にせずにNB図柄、CB図柄を揃えるまで何度も目押しに挑戦することができる。これによって遊技者が目押しの熟練度を向上させることもできる。
また本実施形態のスロットマシン1では、特殊小役図柄については取りこぼしが生じないものとしているが、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の手順(変則押し)によりリールの停止操作が受け付けられることもあるので、特殊小役についても当選フラグが維持されるのである。なおNB、CB及び特殊小役の特典の詳細な内容については後述する。
一方、小役及びリプレイについてはその当選したゲーム(内部抽選で小役フラグ、あるいはリプレイフラグがONになった)で該当する小役図柄あるいはリプレイ図柄を揃えることができなければ、その成立フラグは消滅してしまう。それゆえ、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ及びベルは取りこぼしが生じることの無いリール配列とすることにより、目押しが全くできない初心者(ゲームの熟練度が低い遊技者)がほとんど全ての成立フラグを取りこぼしてしまうといった事態を回避させることができる。更に一部の小役(ベル)のみを目押し不要とするだけに留めるので、その他の小役については正確な目押しが必要とされ、上級者(ゲームの熟練度が高い遊技者)にも納得できる技術介入の余地が大いにあるスロットマシン1を提供することができる。
(5.特別遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NB図柄(「7−7−7」)またはCB図柄(「C−C−C」)の図柄の組み合わせがある一つの有効ライン上に表示された(図柄が揃った)場合、次回のゲームからそれぞれ「NBゲーム」、「CBゲーム」と称する特別遊技状態に移行する。これらNBゲームやCBゲームには複数回のゲーム機会が含まれており、この間に集中してメダル等の払い出しの可能性があるため、遊技者にとっては通常のゲーム(通常確率遊技状態)よりも有利な状態であるといえる。このNBゲーム、CBゲームは遊技価値付与機会増加手段の一例に相当する。
(5−1.NBゲーム遊技処理)
図12は、NBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理が行われるとともにNBフラグがOFFにされ、NBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS501)。ここで変更された当たり値テーブルはボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有している。このボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1.01としているので、NBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナスゲーム専用役に当選することが可能な状態であるといえる。またNBゲーム用の当選許容値には、NB、CB及び特殊小役の当選許容値は含まれておらず、NBゲーム中にCB及び特殊小役、更にNBには重複して当選しないものとなっている。更にNBゲーム用の当選許容値は、小役、リプレイの当選許容値も含まないものとしており、NBゲーム中に小役またはリプレイに当選することもないものとしている。つまり、NBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかであるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、NBゲームを通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームが行うことができる。
ステップS501に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS502)及び停止処理(ステップS503)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS503)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS504)、そして、内部のNBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS505)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS506)。
ここでボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS506=No)はステップS510に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれかであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様として3つの組み合わせ態様を用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様のいずれかが揃うこととなる。
これに対し、ステップS506の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS507)。ステップS508では、払出処理として該当図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが指示されると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS509)。
ステップS509に続いてステップS510では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にNBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS511)、終了条件が満たされていない間(ステップS511=No)はステップS502に戻って次の始動処理が行われる。
NBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS505で、NBゲーム数カウンタのカウント数が36回に達したこと。
(2)ステップS509で、累計払出枚数が500枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS511の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル移行処理が実行される(ステップS512)。この判定乱数テーブル移行処理では、図7のフラグ処理における情報コマンド(判定乱数テーブルフラグはONになっているか)の確認が行われる。ここで確認された情報コマンドに基づき、次ゲーム(つまりNBゲーム終了後の直後に開始されるゲーム)から内部抽選に適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。ここで確認される情報コマンドは、判定乱数テーブルの変更が生じるときのみに送信される情報コマンドに含まれるものであり、情報コマンドが確認された場合、必ず判定乱数テーブルの変更が行われることとなる。
なお、NBゲーム中にボーナスゲーム専用役だけでなく小役(ベル、スイカ、チェリー)のいずれか(若しくは全て)を揃え易く(つまり当選確率を高くする)して小役に当選することでメダルを獲得できる態様であってもよい。またNBゲーム中は通常のゲームと異なり、メダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを目の当たりにして現在の遊技状態がNBゲーム中であることを意識することになる。
(5−2.CBゲーム遊技処理)
図13は、CBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理として、CBフラグがOFFにされるとともに、CBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブルが変更される(ステップS601)。ここで変更された当たり値テーブルはNBゲーム用の乱数抽選の当たり値テーブルと同様、ボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有している。このボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1.01としているので、CBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナスゲーム専用役に当選することが可能な状態であるといえる。またCBゲーム用の当選許容値にはNB及び特殊小役、更にはCBの当選許容値は含まれておらず、CBゲーム中にNB及び特殊小役、更にCBには重複して当選しないものとなっている。更にCBゲーム用の当選許容値は、小役、リプレイの当選許容値も含まないものとしており、CBゲーム中に小役またはリプレイに当選することもないものとしている。つまりCBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかになるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、CBゲームでは通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームが行うことができる。
ステップS601に次いでリール装置10の始動処理(ステップS602)及び停止処理(ステップS603)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS603)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS604)、そして、内部のCBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS605)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS606)。
上記の判断の結果、ボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS606=No)はステップS610に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様として3つの組み合わせ態様を用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様のいずれかが揃うこととなる。
これに対し、ステップS606の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS607)。ステップS608では、払出処理として該当図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが指示されると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS609)。
ステップS609に続いてステップS610では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にCBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS611)、終了条件が満たされていない間(ステップS611=No)はステップS602に戻って次の始動処理が行われる。
CBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS605で、CBゲーム数カウンタのカウント数が18回に達したこと。
(2)ステップS609で、累計払出枚数が250枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS611の終了判定が肯定(Yes)され、次にCBゲームの終了処理が行われるとともに当たり値テーブルが元に戻される(ステップS612)。
なお、CBゲーム中にボーナスゲーム専用役だけでなく小役(ベル、スイカ、チェリー)のいずれか(若しくは全て)を揃え易くしてメダルを獲得できる態様であってもよい。またCBゲーム中は通常のゲームと異なり、メダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを目の当たりにして現在の遊技状態が通常のゲームとは異なることを意識することができる。また、CBゲーム中のボーナスゲーム専用役をNBゲーム中のボーナスゲーム専用役とは異なるものとしてもよい。こうすれば、現在の遊技状態がNBゲーム中であるのかCBゲーム中であるのかを遊技者(特に初心者)が混同してしまう事態を避けることも可能となる。
(6.特殊小役特典付与処理)
本実施形態のスロットマシン1では、特殊小役図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)がある一つの有効ライン上に表示された場合、特殊小役特典を付与するための処理(「特殊小役特典付与処理」)行われる。特殊小役特典付与処理では、大量のメダルが払い出される機会が直接付与されるものではないが、特殊小役の特典として特殊小役図柄の組み合わせが揃ったことを契機として、その次ゲームからのゲームを遊技者にとって有利に実行させることができる。ここでいう「遊技者にとって有利」とは、通常のゲームに比べて当選種類の当選確率を高く変更した内部抽選が実行される状態へ移行させることをいう。
特殊小役特典付与処理では、先ず0枚のメダルの払い出しが行われることになる。次いで、その時点で内部抽選に適用されている判定乱数テーブル、つまり通常判定乱数テーブルが特別判定乱数テーブルへと変更される。これは特別判定乱数テーブルフラグがONになっていることに伴って実行されるものである。また0枚のメダルの0払い出しとは、実際に遊技者にメダルの払い出しは行われないことを意味している。そして処理の最後には特殊小役フラグがOFFにされる。
特殊小役特典付与処理は、特殊小役図柄の組み合わせが揃った際のゲームで行われる処理である、つまり1ゲームで終了する処理である。また、特殊小役図柄の組み合わせが揃っても0枚のメダルの払い出しとすることで、ハズレの出目として遊技者に認識させることができる。更に特殊小役図柄の組み合わせは取りこぼしが生じないものとしているので、通常のゲームにおける『1ゲーム』と同様の態様とすることができる。従って、遊技者に不利益を与えず、なおかつ、速やかに特殊小役の特典を付与することができる。勿論、通常のゲームを行っていてそのなかで行われる処理であるから、メダルの掛け数を変更させたり、リールの動作が変化したりすることがなく遊技者に違和感を与えることもない。
(7.「高確率ゲーム」での付加特典)
本実施形態のスロットマシン1の特徴として、「高確率ゲーム」に移行した場合、つまり特別判定乱数テーブルが適用されて内部抽選が実行される際に、既にその当選確率が高く変更されているNBに加えて他の当選種類の当選確率も高く変更させることができる(「高確率ゲーム」での付加特典、以下では付加特典という)。スロットマシン1ではその当選確率の変更される当選種類をリプレイとする。即ち「高確率ゲーム」に移行すると、NBに加えてリプレイの当選確率も高く変更されることとなる。このNBとリプレイの当選確率がともに高く変更された遊技状態で行われるゲームのことを「付加あり高確率ゲーム」と呼び、対してNBのみ当選確率が高く変更された遊技状態で行われるゲームのことを「付加なし高確率ゲーム」と呼ぶ。
「高確率ゲーム」ではNBの当選確率が、1/256から1/25.6へと10倍に高く変更されることは既に説明したとおりである(図9参照)。「付加特典」としてリプレイの当選確率を高く変更する場合、具体的には、1/7から1/2.3へと約3倍に高く変更させることができる。「付加あり高確率ゲーム」では、NBに加えてリプレイの当選確率も高くなり、よってリプレイに当選する機会が増えることになる。リプレイに当選する機会が増えれば、再遊技が増えてメダルの消費量を緩やかにさせることができる。つまり「付加あり高確率ゲーム」は「付加なし高確率ゲーム」に比べてNBに当選するまでのゲームで消費するメダルの消費量を抑えてゲームができるという有利さがある。加えて次回のNBの当選まで「通常確率ゲーム」に比べて少ない回数で到達することが可能であるから、付加あり高確率ゲームは遊技者にとって最も有利な状態であるといえる。従って遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合は、「付加特典」が付与されることを望む傾向が強くなる。
また、上記の「付加特典」は「高確率ゲーム」に移行した場合に必ず付与されるものではなく、抽選により付与するか否かを決めるものである。これにより、例えば、NBに当選した場合、遊技者はNBゲーム終了後に「高確率ゲーム」に移行するか否かで先ずハラハラし、次いで付加特典が付与されるか否かでハラハラすることとなる。つまり遊技者は一回のNBで最大2回喜びを味わうことができるのである。以下ではこの「付加特典」を付与するか否かの抽選「付加特典付与抽選」について説明する。
(7−1.付加特典付与抽選)
「付加特典付与抽選」は、NBゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル移行処理において、また特殊小役特典付与処理内では最終の処理としてそれぞれ実行されるものとする。ここで特殊小役特典付与処理内の最終の処理とは、特殊小役特典付与処理において判定乱数テーブルが通常判定乱数テーブルから特別判定乱数テーブルに変更された後のことをいう。また、NBゲーム遊技処理内の判定乱数テーブル移行処理では、特別判定乱数テーブルフラグがONとなっていた場合に限る。即ち特別判定乱数テーブルが内部抽選に適用される場合のみ、「付加特典付与抽選」が行われることになる。
ここで「付加特典付与抽選」で「付加特典」を付与するか否かはそれぞれ1/2で選ばれるものとする。従って、
〔付加あり高確率ゲーム:付加なし高確率ゲーム=1:1〕
という比率になり、遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合の2回に1回は「付加特典」が付与されるという期待を持てることになる。これは、判定乱数テーブル移行処理、特殊小役特典付与処理内で行われる「付加特典付与抽選」ともに同じ内容とする。
(8.設定値)
本実施形態のスロットマシン1は、「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルを複数用意してホール等が適宜いずれの判定乱数テーブルを用いるかを予め決めることができる。これは回胴式遊技機等における「設定」と呼ばれるものである。この「設定」では、各当選種類の当選確率を段階的に異ならせた複数の判定乱数テーブルを設けることができる。そしてそれぞれの乱数判定テーブルに「設定値」を対応づけることができる。例えば、複数の判定乱数テーブルを6つ設けた場合、その6つの段階的に分けられた判定乱数テーブルのうち、相対的に各当選確率の高い順番に「設定値6」、「設定値5」、「設定値4」、「設定値3」、「設定値2」、「設定値1」と対応づけるといったことができるのである。
この設定値はホール等が毎日変更したり、あるいは定期的に変更したりすることで出玉調整を可能とするものである。ここでいう「出玉調整」とは、例えば、スロットマシン1の設定値を高く変更してゲームを行わせれば、遊技者が大量のメダルを獲得できる可能性が高くなり、反対にスロットマシン1の設定値を低く変更してゲームを行わせれば、遊技者がメダルを大量に獲得できる可能性が低くなる。このように設定値を高低に変更することによって、ホールが利益を上げたり、または遊技者に利益を還元したりといった調整が可能となるのである。なお、本実施形態のスロットマシン1では、上記の設定値4に相当する各当選種類の当選確率及び判定テーブルを図9に示している。
「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルに対応して「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルも複数用意することができる。即ち、「設定値1」から「設定値6」まで、それぞれ段階的に異ならせた判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル及び、特別判定乱数テーブルともに用意することができるのである。これによって、設定値ごとの差を明確につけることが可能である。換言すると、高い設定値(設定値5または6)では、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」を通じて各当選種類の当選確率を高くし、低い設定値(設定値1または2)では、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」を通じて各当選種類の当選確率を低くして設定値間の差を設けることができるのである。設定値間による差が明確につくと、遊技者がスロットマシン1でのゲームを終日通して行った場合に獲得することが可能なメダルの総枚数をある程度設定値ごとに一定の範囲内に抑えることができる。
また、スロットマシン1の設定値は、ホールが経営形態や集客効果の向上等に合わせて自由に変更することができる。例えば、イベントなどによりホールに多くの遊技者の集客を図りたい場合は設定値を上げる(高い設定値に変更する)割合を増やして多くの遊技者に利益を還元したり、土日祭日等で特別に集客を図らずとも多くの遊技者の集客が見込める場合には設定値を下げる(低い設定値に変更する)割合を増加させてホールの利益を向上させたりすることができる。
(9.スロットマシン1の内部状態の変化と遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、その内部状態が様々な契機より変化することになる。それに伴い遊技状態にも変化が生じることになる。遊技状態の変化が生じる場合としては、
(1)NBゲーム終了後
この場合、先ず第1段階の変化として「通常確率ゲーム」となるのか、「高確率ゲーム」となるのかのいずれかによりスロットマシン1の遊技状態が変化することになる。ここで「高確率ゲーム」となった場合は、次に第2段階の変化として付加あり高確率ゲームとなるのか、「付加なし高確率ゲーム」となるのかのいずれかにより遊技状態が更に変化することになる。
(2)特殊小役図柄の組み合わせが揃った後
この場合、第1段階の変化では必ず「通常確率ゲーム」から「高確率ゲーム」へとスロットマシン1の遊技状態が変化することになる。そして次に第2段階の変化として「付加あり高確率ゲーム」となるのか、「付加なし高確率ゲーム」となるのかのいずれかにより遊技状態が更に変化することになる。
本実施形態のスロットマシン1では、上記の通り遊技状態を変化させることができる。このとき遊技状態が変化した場合、スロットマシン1は動作等の変化を伴わないで内部の制御のみで遊技状態を変化させることができる。即ち、遊技者がゲームを進めていても傍目(外見)では特別な動作の変化が無いので、スロットマシン1の遊技状態に変化があったこと(内部状態が変化したこと)を気付くことが困難である。ここでいう「特別な動作の変化」とは、例えば、リールの回転が通常と異なってぶれたり、ランプの発光(または点灯、点滅、消灯)動作が通常とは異なっていたり、といった遊技者がゲームを進めていくうえで察知することの可能な動作についての変化のことをいう。このようにスロットマシン1では、遊技者に察知されずに密かに遊技状態を変化させることができるのである。
ここで、スロットマシン1の内部の制御で変化が起こる契機は、
(1)NBゲーム終了後に「通常確率ゲーム」に移行した場合(第1段階の変化)
(2)NBゲーム終了後に「高確率ゲーム」に移行した場合(第1段階の変化)
(3)特殊小役図柄の組み合わせが揃った後に「高確率ゲーム」に移行した場合(第1段階の変化)
(4)NBゲーム終了後の第1段階の変化で「高確率ゲーム」に移行し、更に「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
(5)NBゲーム終了後の第1段階で「高確率ゲーム」に移行し、「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
(6)特殊小役図柄の組み合わせが揃った後に第1段階の変化を経て、更に「付加あり高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
(7)特殊小役図柄の組み合わせが揃った後に第1段階の変化を経て、「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合(第2段階の変化)
という第1段階での変化と第2段階での変化とに大きく分けることができる。
(9−1.遊技状態の変化の告知)
本実施形態のスロットマシン1では、上記に挙げたスロットマシン1の内部状態の変化のうち、遊技者にとって有利となる状態、即ち、「高確率ゲーム」に移行した場合にスロットマシン1から遊技者に向けてそのことを知らせる告知(または報知、教示、明示)を行う。つまりNBゲーム終了後、及び特殊小役図柄の組み合わせが揃った後で第1段階の変化として「高確率ゲーム」に移行した場合、遊技者への告知が行われる。このときの告知方法については、液晶表示部58やスピーカ56、各ランプ等により行わせることができる。告知方法の詳細については演出処理にて説明する。
「高確率ゲーム」に移行する可能性がある場合は、
(1)NBゲーム終了後
(2)特殊小役図柄の組み合わせが揃った後
のいずれかである。このうち、特殊小役図柄の組み合わせが揃った後は必ず「高確率ゲーム」へ移行することとなるが、特殊小役図柄の組み合わせが揃ってもメダルの払い出しや、スロットマシン1の動作に変化が起こらないため遊技者は突然「高確率ゲーム」に移行したことを知ることとなる。またNBゲームはその開始から終了まで遊技者が大量のメダルを獲得しながら実行できるので、この場合、NBゲームの終了を遊技者が意識することができる。つまり、「高確率ゲーム」であることの告知が、遊技者が想定できるタイミングとそうでないタイミングとに実行されることになり、遊技者は「通常確率ゲーム」だと思っているゲームであっても突然に「高確率ゲーム」であるという告知がされるかもしれないという期待感を持ってゲームに望むことができる。
本実施形態のスロットマシン1では、その内部状態の変化のうち第1段階の変化として「高確率ゲーム」に移行した場合、遊技者にその告知が行われることは既に説明したとおりであるが、その後の内部状態の変化、つまり第2段階の変化についての告知は行わない。つまり遊技者には「高確率ゲーム」に移行したことは知らされるが、その先の「付加あり高確率ゲーム」に移行したのか、あるいは「付加なし高確率ゲーム」に移行したのかについては知らされないことになる。このような場合、多くの遊技者の興味は、「付加特典」が付与されたか否か、即ち「付加あり高確率ゲーム」に移行したのか、それとも「付加なし高確率ゲーム」に移行したかを知ることに集中することとなる。しかしそれについての告知は行われないことから、遊技者は「高確率ゲーム」の告知がなされた以降のゲームでリプレイの当選状況から、「付加特典」が付与されたのか否かを判断しようすることとなる。具体的には、「高確率ゲーム」となってからリプレイの当選回数を数えたり、あるいはハズレとリプレイとの当選回数からその比率を算出したり、といったことを積極的に行う傾向が見られることになる。従って、「高確率ゲーム」であることが告知された後も、漫然とゲームを行うのではなく、「付加特典」が付与されたか否かを知りたいという目的意識を持ってゲームを進めることができる。
また本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態の変化に応じた各種演出処理を液晶表示部58での演出表示のほか、スピーカ56による効果音、各ランプ60,62,64,66による発光や点灯、更にボーナスフラグ告知ランプ44、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34等も加えた様々な演出態様を実行させることができる。これにより遊技者は視覚的にも聴覚的にも満足して、ゲームに対する興趣を高めていくことになる。
(10.演出処理)
以上は、メイン制御基板92による遊技制御の例であるが、本実施形態のスロットマシン1では、遊技の進行にあわせてサブ制御基板94により演出動作の制御が行われる。
図14は、サブ制御基板94により実行される演出処理の一例を示している。スロットマシン1の電源が投入(電源スイッチ76がONに操作)されると、この演出処理において先ず初期化処理が行われる(ステップS801)。次にメイン制御基板92から送信されるメダル投入コマンドが待ち受けられ(ステップS802)、実際にメダル投入コマンドが送信されると、これに応じて投入音やベット音等を出力させる演出(メダル投入演出処理)が行われる(ステップS803)。
続いて、メイン制御基板92から送信される当選(始動)フラグコマンドが待ち受けられる(ステップS804)。当選(始動)フラグコマンドは、始動レバー18の操作を契機としてメイン制御基板92から送信され、サブ制御基板94では、当選(始動)フラグコマンドを受信すると、それに合わせた演出動作の制御が行われる(ステップS805、始動時演出処理)。ここでの演出動作は例えば、リール始動音の出力や液晶表示部58による画像表示演出等である。
上記の始動時演出処理が行われると、続いて停止情報コマンドが待ち受けられる(ステップS806)。3つの停止ボタン20,22,24のうち、いずれかの停止ボタンが第1番目に押下されると、第1停止情報コマンドがメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信され、第2番目の停止ボタンが押下されると第2停止情報コマンドが、ついで第3番目(つまり最後)の停止ボタンが押下されると第3停止情報コマンドがそれぞれ第1停止情報コマンドと同様にメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される。それぞれの停止情報コマンドを受けてサブ制御基板94では、そのときの当選フラグと停止情報コマンドに応じて演出動作の制御を行うことができる(ステップS807、停止時演出処理)。ここで行われる演出動作としては、各リールの停止ごとにリール停止音を変化させたり、停止したリールのバックライトを消灯させたり、またそのときのリール停止音やリールの消灯に合わせて液晶表示部58で画像表示演出を行わせたりすることが一例として挙げられる。
そして、ステップS808では、判定処理の結果に応じてメイン制御基板92から払出音コマンドや効果音コマンドがサブ制御基板94に送信され、これを受けてサブ制御基板94では払出音出力による演出や効果音出力による演出が行われる。更に、ここではメイン制御基板92から送信される遊技ステータスコマンドが待ち受けられ、受信したコマンドから現在の遊技ステータスが吟味される。このときも受信した遊技ステータスコマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS809、遊技ステータス演出処理)。なお遊技ステータスとは、現在の遊技状態(通常確率ゲーム、NBゲーム等)を表すものである。
(10−1.始動時演出処理)
始動時演出処理では、前述したフラグ処理の結果としてメイン制御基板92より送信される当選フラグ情報コマンドを受けてサブ制御基板94によりその当選フラグ情報コマンドに基づいた演出処理が実行される。本実施形態のスロットマシン1では液晶表示部58、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66等によって様々な演出を実行することができる。また液晶表示部に代えて、役物(キャラクターを模した人形を動かす等)やサイドリール(リール装置10の各リールとは別に演出の一環として始動と停止を遊技者の操作に因らず実行するもの)、またはランプなどの照明(パトライトに代表される回転するライト等)、ドット表示等により演出を行わせることとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示部がなくても遊技者を十分に楽しませることが可能である。
ここで始動時演出処理で行なわれる演出の内容として、
(1)通常ゲーム演出
(2)当選フラグ示唆演出
(3)チャンス示唆演出
(4)連続区間演出A
(5)連続区間演出B
(6)ボーナス当選告知演出
以上の演出が用意されている。
上記の演出についての特徴として、
(1)通常ゲーム演出は、特別に演出として何かを行うのではなく、例えば、背景を時間経過に伴い変化させたり(雲が流れていく、太陽が昇りそして沈んでいく、春夏秋冬といった四季が移り変わっていく等)、キャラクター(主人公)が家でくつろいでいたりする場面(画像)が表示されるものである。換言すると他の演出は全てこの通常ゲーム演出から開始されるということもできる。つまり通常ゲーム演出はこれから何かの演出が行われるかもしれないといった含みを持った演出である。従って、遊技者が通常ゲーム演出により落胆するようなことがない。
(2)当選フラグ示唆演出は、当選フラグコマンド(ハズレ情報コマンドも含む)に基づき、その成立フラグ(NB、CB及び小役、リプレイやハズレ)を遊技者に示唆する内容のものである。例えば、成立フラグがスイカである場合、スイカ図柄をイメージさせる内容(スイカの色やスイカを模した絵等)の画像を表示させたり、あるいはスイカに当選したことを遊技者が察知できるようランプを緑色に発光させたりすることが一例として挙げられる。つまり、いずれの当選種類に当選したのかを直接教えるのではなく、演出等により間接的に遊技者にイメージさせる手掛かりを与えるものが当選フラグ示唆演出である。
(3)チャンス示唆演出は、NBやCBに当選したかもしれないことを遊技者に示唆すものである。例えば、当選種類をイメージするには程遠い模様や絵柄を画像として表示させたり、当選種類をイメージさせる色とは異なる色でランプを発光させたりすることが一例として挙げられる。あくまでもチャンス示唆演出は遊技者に期待を持たせる演出であるので、全ての成立フラグで行われる可能性がある。つまりこの演出が行われたから確実にNBやCBに当選しているとはいえない曖昧さを持った演出であるといえる。
(4)連続区間演出A及び(5)連続区間演出B(以下で連続区間演出と呼称した場合はこの両者を含むものとする)は、チャンス示唆演出よりも高い期待の持てる内容のものである。即ち、成立フラグがNB、CBまた一部の小役、ハズレである場合に行わせるものである。また特殊小役が成立フラグとなった場合にもこの演出を行わせる。この連続区間演出は他の演出と異なり、複数回のゲームにわたって連続した演出が行われる。一例としては、時代劇(チャンバラ)が繰り広げられたり、大食い競争や綱引き大会が開催されたりすることが挙げられる。
連続区間演出では、演出の最後に必ず結果(結末、勝敗)が表示される。この結果表示はそのまま期待度に対応づけることができる。つまり結果表示が良い結果(幸せな結末、勝利する)となれば、NBやCBに当選したことを確定させることもできるし、あるいは良い結果が得られたとしても、必ずNBやCBに当選したことが確定できるわけではないとすることもできる。これは悪い結果(不幸な結末、敗北する)となった場合も同様に対応づけることができる。
即ち、連続区間演出の結果にどれだけ信頼度を持たせるかによって遊技者がその結果表示に抱く印象を変えることができるのである。ここでいう「信頼度」とは、NBやCBに当選しているか否かをどれだけ正確に結果に反映させているかどうかのことをいう。つまり『良い結果=NBやCBに当選』、『悪い結果=NBやCBに非当選』という図式が成立すれば信頼度は100%となり、それ以下の信頼度では結果とNBやCBに当選したことが必ずしも一致しないということになる。ただし連続区間演出はチャンス示唆演出に比べて遊技者にNBやCBに当選したかもしれないという高い期待を抱かせる演出として位置づけるため、この信頼度は1/2(50%)以上とすることが望ましい。つまり遊技者が連続区間演出を目にするときは1/2以上でNBやCBに当選しているかもしれないという期待を持って演出を最後まで見守ることができるのである。それによって連続区間演出を遊技者にとって重要な演出として位置づけることができるのである。
(6)ボーナス当選告知演出は、NBまたはCBに当選したことを明確に遊技者に告知する内容のものである。例えば、「ボーナス確定!」のメッセージを表示させたり、「ボーナスに当たっていますよ!」などの音声を効果音として発生させたりすることが挙げられる。またボーナス告知ランプ44を点灯させて遊技者にボーナスに当選したことを告知することもこのボーナス当選告知演出の内容に含まれる。
始動時演出処理で実行される演出パターンを具体的に示したものが図15である。この演出パターンテーブルは、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」ごとにそれぞれ別々の演出パターンテーブルを用意することができる。
この演出パターンテーブルは、サブ制御基板94で行われる乱数抽選(以下では、演出抽選と呼称する)の結果をそれぞれの演出に対応付けたものであり、この演出抽選では、演出パターン乱数(0〜99)の中から抽出された乱数値に対応した演出が実行される。
図15(a)は「通常確率ゲーム」における成立フラグと各種演出の関係を表したものであり、表の横方向には各成立フラグ(当選フラグ)を、縦方向には各演出の名称が記載されている。このテーブル表に基づいて、成立フラグごとにいずれの演出を選択するかが決められる。つまり演出抽選は成立フラグに基づいて、その成立フラグごとに行われるものである。
例えば、(a)「通常確率ゲーム」では、成立フラグがハズレフラグであった場合、0〜79までの演出パターン乱数が選ばれると通常ゲーム演出が実行され、80〜89までの演出パターン乱数が選ばれるとチャンス示唆演出が実行される。更に90〜94の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Aが実行され、95〜99の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Bが実行されることになる。この演出パターン乱数は、成立フラグによって各演出の選択範囲(当選許容値)が異なっている。また(a)「通常確率ゲーム」、(b)「高確率ゲーム」によって同じ種類の成立フラグであっても演出パターン乱数により各演出が選択される当選許容値が異なっている。
演出パターンテーブルの特徴について、(a)「通常確率ゲーム」では、
(1)チャンス示唆演出は、全ての成立フラグでその1/10の割合で選択される可能性がある。
(2)連続区間演出は、成立フラグがハズレ、スイカ、NB、CB、特殊小役である場合に行われる可能性がある。また成立フラグがCBの場合、連続区間演出Bが選ばれることがない。
(3)成立フラグがスイカ、チェリーである場合は当選フラグ示唆演出が選択されやすく、CBである場合はボーナス当選告知演出が選択されやすい。
といったことを特徴として挙げることができる。
(b)「高確率ゲーム」では、
(1)チャンス示唆演出は、成立フラグがハズレ、リプレイ、NB、CBの場合のみ選択される可能性がある。
(2)連続区間演出は、成立フラグがハズレ、スイカ、チェリー、NB、CBである場合に行われる可能性がある。また成立フラグがスイカのときは連続区間演出Bのみが、また成立フラグがチェリーのときは連続区間演出Aのみが選択される可能性がある。
(3)成立フラグがNBまたはCB以外の場合は、通常ゲーム演出が選択されやすい。
といったことを特徴として挙げることができる。
以上の内容から、スロットマシン1はその内部状態の変化が報知されないが、各種演出を内部状態の変化を推測するための判断材料の一つとすることが可能である。つまり遊技者は一つの演出から内部状態の変化を判断するのではなく、複数の演出を積み重ねることによって、より推測を正確なものにしようと努力することになる。従って複数の演出を通して遊技者は総合的に内部状態が変化しているのか否かを判断しようと積極的にゲームを行うこととなり、興趣の低下を招く虞を回避することができる。
(10−2.停止時演出処理)
停止時演出処理では、前述したリール停止処理及び判定処理を受けて演出処理が実行される。停止時演出処理においても始動時演出処理にて行われる各種演出、即ち通常ゲーム演出、当選フラグ示唆演出、チャンス示唆演出、連続区間演出A、連続区間演出B、ボーナス当選告知演出を実行させることができる。ただし当選フラグ示唆演出については、全てのリールが停止する前に演出を実行させることが望ましい。これは当選フラグ示唆演出が遊技者に成立フラグを間接的に教える意味合いを持った演出であるから、全てのリールが停止する以前にこの演出を行わせることで、遊技者が取りこぼしを生じてしまうことを極力回避できるからである。これは全てのリールの停止操作を終えたときに当選フラグ示唆演出を行った場合、例えば、そのときの成立フラグに対応する当選種類を取りこぼしてしまったときなどは、遊技者を不愉快にさせてしまうこともあるからである。
その他の演出処理、つまりメダル投入演出処理及び遊技ステータス演出処理も、停止時演出処理と同様に各種演出を実行させることができる。特に連続区間演出については、複数回のゲームにわたって展開されるものであるから、連続区間演出を上記の各演出処理のいずれからも開始されるものとすることが望ましい。これにより、ゲームの進行に関わる操作のいずれのタイミングからでも、NBやCBに当選した可能性の高い演出が開始されることになり、遊技者はゲームの進行に関わる一つ一つの動作(操作)に期待を持ってゲームを行うことができる。
(10−3.連続区間演出)
連続区間演出は、「通常確率ゲーム」では、成立フラグがハズレ、スイカ、NB、CB、特殊小役となった場合に行われる可能性がある。また「高確率ゲーム」では、成立フラグがハズレ、スイカ、チェリー、NB、CBとなった場合に行われる可能性がある。このうちNB、CB、特殊小役以外の成立フラグの場合には連続区間演出の結果表示を失敗または負けの内容の表示とする。つまり連続区間演出が開始されて小役を目押ししたが揃わなかった場合、「通常確率ゲーム」であればNBまたはCBまたは特殊小役またはハズレ、「高確率ゲーム」であればNBまたはCBまたはハズレである可能性が高いことになる。従って連続区間演出はその演出の開始とともに遊技者に大きな期待を持たせることのできる演出であるといえる。
特殊小役が成立フラグである場合、結果表示は成功と失敗をそれぞれ1/2、勝ちと負けもそれぞれ1/2で選択されるものとする。従って連続区間演出では残念な結果(失敗、負け)となり、なおかつ、小役の目押しを正確に行ったが小役が揃わなかった場合、単なるハズレであるのか、それとも特殊小役に当選していたのかのいずれかとなる。そのうえ、ハズレの場合は1/10の割合でしか連続区間演出が選択されないので、遊技者は落胆することなく特殊小役に当選している可能性に期待を持つことができる。
NBまたはCBが成立フラグである場合、結果表示は必ず成功あるいは勝利とする。つまり連続区間演出で最後に良い結果(勝利または成功)となれば、NBまたはCBに当選したことが確定し、遊技者を安堵させることができる。これは連続区間演出で遊技者をハラハラドキドキさせた分だけNBまたはCBのいずれかに当選したという喜びを大きなものとすることができるのである。
(10−4.高確率ゲーム移行告知演出)
本実施形態のスロットマシン1では、上記で述べた演出を「高確率ゲーム」に移行したか否かを告知する演出(高確率ゲーム移行告知演出)として実行させることができる。即ち、通常のゲームでも行われる可能性のある演出を高確率ゲーム移行告知演出として実行させることができるのである。この演出は「高確率ゲーム」に移行したか否かを遊技者に告知するための演出であり、以下の場合に実行されるものである。
(1)NBゲーム終了後
(2)特殊小役図柄の組み合わせが揃った後
また、この演出として主に実行される演出は、前述した連続区間演出である。更に高確率ゲーム確定演出を新たに加える。この演出は前述したボーナス当選告知演出に倣い「高確率ゲーム」に移行したことを明確に遊技者に告知するための演出である。例えば、「チャンスゲーム突入!」のメッセージを表示させることや、「やったね!次回まで高確率!」などの音声を効果音として発生させることが挙げられる。また各ランプを発光(または点滅、消灯)させて遊技者に「高確率ゲーム」に移行したことを告知することもこの高確率ゲーム確定演出の内容に含まれる。
高確率ゲーム移行告知演出は、1から10ゲームの間で行われる演出とし、演出の最後には高確率ゲーム確定演出を実行させる。具体的には、
1)1ゲーム目で高確率ゲーム確定演出を行う(即告知)。
この場合は、NBゲーム終了後であれば、直後に開始されたゲームですぐに告知がされることになり、遊技者の不意をついていきなり告知という衝撃を与えることができる。
2)連続区間演出を行い、良い結果となった場合は次ゲームで高確率ゲーム確定演出を行う。
この場合、連続区間演出で良い結果となったことで、「高確率ゲーム」に移行したはずであろうという遊技者の期待が高潮に達したところで告知となるので遊技者にとって最も安心できる演出パターンとなる。
3)連続区間演出を行い、良い結果となった場合は次ゲームでは高確率ゲーム確定演出を行わず、次々ゲーム以降10ゲーム目までに高確率ゲーム確定演出を行う。
この場合、連続区間演出で良い結果となったものの、告知がなされないことで遊技者は気を揉みながらゲームを進行させることになるが、数ゲームを経て告知がされることで、すぐに告知がされることに比べてより一層の衝撃と喜びを与えることができる。
4)連続区間演出で残念な結果となった場合の次ゲームから10ゲーム目までに高確率ゲーム確定演出を行う。
この場合、残念な結果となったことで遊技者が「高確率ゲーム」には移行しなかったと思い込んでいるところに告知が行われることになり、驚きと喜びを与えることができる。また、連続区間演出で残念な結果となっても「高確率ゲーム」に移行する可能性があることを遊技者に印象づけることができる。
5)即告知も連続区間演出も行わず、10ゲーム目までの間でランダムに高確率ゲーム確定演出を行う(突然告知)。
この場合、本来行われる演出が行われないことに焦燥感を募らせた遊技者に、突然、告知することにより驚きと喜びを与えることができる。
以上を「高確率ゲーム」に移行した場合に実行させることができる。なお、上記のいずれが選ばれるかについては抽選により決定するものとし、それぞれの選ばれる割合は均等とする。また上記で行う連続区間演出は最大でも5ゲーム目までに終了させるものとする。つまり6ゲーム目から10ゲーム目までは通常通りの演出を実行させて遊技者には「通常確率ゲーム」が行われているという認識を持たせる。
また、「高確率ゲーム」に移行しなかった場合は、
1)連続区間演出を3ゲームから5ゲーム行い、残念な結果として終了させる。勿論、その後、高確率ゲーム確定演出は行わない。
この場合、遊技者はある程度の予想(「高確率ゲーム」に移行しなかったこと)をすることになるが、「高確率ゲーム」に移行した場合でも同様の演出が行われる可能性があるため、もしかしたら告知がされるかもしれないという期待を持たせることができる。
(10−5.連続区間演出での画像例)
図16及び図17は、連続区間演出Aで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Aでは、主人公の友達の子供(CB図柄に描かれている子供)が閉店前の「おでん屋」でおでんを完食(食べきれるか)できるか否かが連続した演出(3から5ゲームの間)として行われる。図16(a)は、おでん屋に子供が登場している画像である。(b)は完食目標として画像の左上におでん6串分が表示されており、これから完食を目指そうとしている場面の画像である。(c)では食べ始めた当初の場面の画像であり、閉店まであと5分間という表示がされている。(d)では閉店時間まであと1分と時間が経過して急いで食べきらないと間に合わないために子供が焦っている様子の画像である。(e)では順調におでんを食べている様子の画像であり、残り1串を食べきれば完食となる場面の画像である。(f)では見事に完食(おでんを6串食べきった)した様子を表した画像である。ここまでは連続区間演出Aで成功となったパターン(成功エンディング)を表したものである。
図17(a)は、閉店1分前であるが、既にお腹が一杯になってきて完食が難しい様子を示唆している場面の画像である。(b)では閉店時間前ではあるが満腹となってしまい結局完食できずに失敗となったパターン(失敗エンディング)を表したものである。なおこの失敗エンディングは、制限時間オーバーで失敗となるパターンも用意されている(図示はしない)。どちらの失敗パターンとなるかは適宜抽選により選択することができる。(c)及び(d)は完食が難しそうな場面で逆転(完食できるかもしれない可能性が高いことを示す)を予感させる場面の画像の一例である。この(c)または(d)は、(b)の失敗パターンとなった場合にも発展することがあるため、遊技者は失敗パターンとなっても一時も油断することなく演出に見入ることとなる。つまり演出が(c)または(d)に発展すれば失敗が濃厚だと思われていた状況から一転して成功パターンが近づくこととなる。
また図18及び図19は、連続区間演出Bで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Bでは、主人公の少年のチームが相手チームとの綱引きの試合が連続した演出(3から5ゲームの間)として行われる。図18(a)、(b)は綱引き試合のチーム紹介が行われている場面の画像である。(a)の画像の上半分の同じ顔の男の子が6人いるチームが主人公の少年のチームであり、主人公のチームが勝つと勝利エンディングとなる。画像の下半分のいろいろな顔のキャラクターが6人いるチームが対戦相手のチームである。(c)、(d)では綱引き試合が開始され、(e)では主人公のチームがやや優勢な状況(勝つ可能性が高いことを示唆している)にある様子を表した場面の画像である。対して(f)では、主人公チームが劣勢な状況(負ける可能性が高いことを示唆している)にある様子を表した場面の画像である。この(e)あるいは(f)は連続区間演出Bの最終ゲーム(勝敗結果が表示される)の前のゲームで表示されるものである。これにより遊技者の期待を最大限に高めることができる。
図19(a)及び(b)は、綱引き試合の結果として連続区間演出Bの演出の最後に表示される画像の一例である。(a)は主人公のチームが見事に勝利した場合、(b)は主人公のチームが残念ながら負けた場合(つまり相手のチームが勝利した場合)の様子をそれぞれ表した場面の画像である。
また(c)では、チーム紹介の場面で相手のチームが1人しかいない。これは、主人公のチームが勝利する可能性が高いことを示唆する画像の一例である。そして連続区間演出Bで主人公のチームの勝利が確定する場合に稀に表示される可能性があるプレミアムな場面の画像としている。従って、このプレミアムな場面の画像を見ることをスロットマシン1でゲームをする楽しみの一つに加えることもできる。つまりこのプレミアムな場面の画像を見たことを他の遊技者に自慢したり、あるいはこの場面の画像が表示されたときに周囲の遊技者の羨望の的となったり、といったスロットマシン1のゲームを楽しむ一つの要素となるのである。更に、連続区間演出Bの演出が行われている間に、(d)の応援表示が行われると主人公のチームが勝利する可能性が格段に高くなる。これは連続区間演出Bの演出の中のいずれの場面でも行わせることができる。よって、いつ行われるかわからない応援表示を期待して遊技者は、たとえ綱引き試合に負けそうな展開となっていても最後まで諦めずに演出の成り行きを見守ることができる。