しかしながら、スロットマシン等の回胴式遊技機では、上記の各賞を含めて予め遊技機内部で行われる抽選(以下、内部抽選と呼称する)に当選する必要がある。換言すれば、内部抽選でいずれかの賞に当選してはじめてその賞に対応した特典を得ることができるのである。内部抽選では上記の各賞夫々につき当選確率が決められており、特に上記のBBやRB(あるいはAT、CT)については、遊技者に大きな利益を付与するものであるから、その他の賞に比較して当選する確率が低くされている。従って遊技者は、ゲームを進めていく上で、BBやRB等の当選をあまり目にしないかわり、小役や再ゲーム役、あるいはいずれの賞にも当選しないハズレ、のいずれかの結果を目にすることが多くなる。
こうした状況が長く続くと遊技者はメダル、コイン等の遊技価値をなかなか増やすことができずに消費する一方となるため、次第にゲームに退屈してくることになり、BBゲーム(またはRBゲーム)等の遊技者に利益をもたらす楽しいゲームと、それ以外の何の面白みもなく延々と続く通常のゲームに完全に二極化されてしまい、遊技者の興趣を著しく低下させてしまうことが問題となっている。
本発明は、このような問題に鑑みて考え出されたものであり、遊技者がBBやRB(あるいはAT、CT)の当選に結びつかないと思い興趣が低下してしまうことを極力抑制することのできる技術を提供しようとするものである。
本発明の技術は、上記課題を解決するために以下の手段を採った。
(解決手段1)
解決手段1は、複数種類の図柄を含む図柄列を形成した帯が付された複数の可動表示体と、前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部とを備え、1回ごとのゲームについて所定数の遊技価値を掛けた状態で遊技者による始動操作を受け付けると、複数の前記可動表示体を一方向に回転させて図柄の表示を変動させ、この後、遊技者による複数回の停止操作を順次受け付けると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体の回転を1つずつ停止させ、全ての前記可動表示体の回転が停止すると、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームごとに結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに所定の内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に通常の抽選確率を適用して当落の結果を判断する通常抽選当落判断手段と、前記通常抽選当落判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記通常抽選当落判断手段により適用される通常の抽選確率に比して特別当選種類の当選確率を高くした第1の特別な抽選確率を適用して当落を判断する第1特別抽選当落判断手段と、前記通常抽選当落判断手段及び前記第1特別抽選当落判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記第1特別抽選当落判断手段により適用される第1の抽選確率に比して特別当選種類の当選確率を高くした第2の特別な抽選確率を適用して当落を判断する第2特別抽選当落判断手段と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内に表示される個々の図柄の停止位置のうち、複数の前記可動表示体にまたがる図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を前記可動表示体のそれぞれについて規定する有効表示位置規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、特別当選種類を規定する特別当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、遊技価値の付与を伴う複数の小役を規定する小役規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行可能とする再遊技当選種類を規定する再遊技当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、前記特別当選種類及び前記複数の小役とは別に複数の特殊当選種類として、第1特殊当選種類と第2特殊当選種類とを規定する特殊当選種類規定手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特別な種類の図柄が停止した結果、特別な表示態様が導出された場合、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御する特別遊技状態制御手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の1種類以上の図柄が停止した結果、所定の表示態様が導出された場合、前記小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特定の種類の図柄が停止した結果、特定の表示態様が導出された場合、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行させる再遊技実行手段と、前記内部抽選の当選結果として前記第1特殊当選種類が得られた場合、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の複数の図柄が停止した結果、複数の異なる図柄の組み合せでなる所定の第1の特殊な表示態様が導出された場合、遊技者に通常遊技状態との変化を認識させることの困難な第1特殊遊技状態に制御する第1特殊遊技状態制御手段と、前記内部抽選の当選結果として前記第2特殊当選種類が得られた場合、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の複数の図柄が停止した結果、複数の異なる図柄の組み合せでなる所定の第2の特殊な表示態様が導出された場合、遊技者に通常遊技状態との変化を認識させることの困難な第2特殊遊技状態に制御する第2特殊遊技状態制御手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記第1の特殊な表示態様となったことを契機として制御された前記第1特殊遊技状態が終了すると、前記通常抽選当落判断手段により当落の結果が判断されている前記内部抽選を前記第1特別抽選当落判断手段により当落の結果が判断される前記内部抽選へ変更するべく、前記抽選確率を前記通常の抽選確率から前記第1の特別な抽選確率へ変更する第1特別抽選変更手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で第2の特殊な表示態様となったことを契機として制御された前記特殊遊技状態が終了すると、前記通常抽選当落判断手段により当落の結果が判断されている前記内部抽選を前記第2特別抽選当落判断手段により当落の結果が判断される前記内部抽選へ変更するべく、前記抽選確率を前記通常の抽選確率から前記第2の特別な抽選確率へ変更する第2特別抽選変更手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記特別な表示態様となったことを契機として制御された前記特別遊技状態が終了すると、前記第1特別抽選当落判断手段または第2特別抽選当落判断手段のいずれかによって前記内部抽選の当落の結果を判断させる状態に移行する当落判断決定手段とを具備し、前記第1特別抽選当落判断手段に適用される前記第1の特別な抽選確率では、前記小役及び前記再遊技当選種類の当選確率がいずれも前記通常の抽選確率と同じに規定され、前記第2特別抽選当落判断手段に適用される前記第2の特別な抽選確率では、前記再遊技当選種類の当選確率が前記通常の抽選確率よりも高く、かつ、前記前記小役の当選確率が前記通常の抽選確率と同じに規定され、前記第1特殊当選種別及び前記第2特殊当選種別は、前記内部抽選の当落の結果が前記通常抽選当落判断手段によって判断されている場合、当選結果の1つとして得られ、前記通常抽選当落判断手段によって判断されている前記内部抽選の当選結果の1つとして前記第1特殊当選種別又は前記第2特殊当選種別が得られた場合の前記第1特別抽選当落判断手段または前記第2特別抽選手段のいずれかによって前記内部抽選の当落の結果が判断されている状態の終了条件は、前記特別当選種類に当選することであり、特別遊技状態の終了に伴い前記当落判断手段により移行された前記第1特別抽選当落判断手段または第2特別抽選当落判断手段のいずれかによって前記内部抽選の当落の結果を判断させる状態の終了条件は、前記第1特別抽選当落判断手段または前記第2特別抽選手段によって前記内部抽選の当落の結果が規定のゲーム回数だけ判断されたことであることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技価値を掛けた状態で遊技者が始動操作をすると複数の可動表示体が回転し、この後、遊技者の停止操作によって全ての可動表示体の回転が停止すると、図柄表示部内に停止した図柄群から構成される図柄の組み合わせ態様によってゲームの結果が判断される。つまり、本発明の遊技機における1回のゲームは、遊技価値を掛けた状態にし、次いで停止している状態の可動表示体を回転させ、この後、可動表示体の回転を停止させ、そして、全ての可動表示体の停止時に必ず結果を判断するという一連の過程から成り立っている。従って、全ての可動表示体の停止時に結果の判断が1度行われると、この後に遊技価値を掛けた状態にしたり、可動表示体を回転させたりする過程は、その次の回のゲームということになる。また、全ての可動表示体の停止時に特別当選種類に対応した図柄が規定の表示態様となった場合、遊技価値を付与することなく今回のゲームが終了するが、特別当選種類に対応した図柄が規定の表示態様となったと判断された時点で遊技状態が特別遊技状態に制御されるので、その次の回のゲームで遊技価値を掛ける際は既に特別遊技状態に移行している。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、そして1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、予め規定されている当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果が用意されており、これら当選結果の種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には種類別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する種類に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値に占める当たり値の数の割合から当選結果の種類別の当選確率が規定される。
上記の内部抽選では通常の抽選確率を適用した抽選が行われる場合と、通常の抽選確率に比べて高い抽選確率を適用した抽選が行われる場合がある。上記の内部抽選は通常のゲーム(特別遊技状態で行われるゲーム以外のゲーム)ではいずれかの抽選確率が適用された抽選が行われる。ここで、高い抽選確率が適用された内部抽選では通常の抽選確率が適用された内部抽選と比べて、先に述べた当選種類の乱数の当たり値を大きく(幅広く、幅を大きく)変更することができる。従って、乱数の当たり値の幅が広く変更された分だけ取得された乱数が該当する当たり値の範囲内に合致する可能性が高まる。
本発明の遊技機では、通常の抽選確率に比べて高い抽選確率として第1の特別な抽選確率と第2の特別な抽選確率の2つを設けている。これら2つの抽選確率にも、
第1の特別な抽選確率<第2の特別な抽選確率
という当選確率の格差を設けている。このように複数種類、それも3種類以上の抽選確率を設けることで、単に当選確率が低い状態と当選確率が高い状態だけといった二極化した状態に分類できない状態を作り出すことができる。つまり当選確率が低くも高いともいえない中間的な状態や、極端に当選確率を低くした状態、あるいは極端に当選確率を高くした状態を新たに作り出すことで、遊技状態の判別を困難なものとすることができる。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。複数種類の当選結果のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄される種類もあれば、次回以降のゲームまで持ち越される種類もある。
内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では少なくとも遊技価値の付与を伴う小役が規定されている。また、このような小役とは別に、当選結果として特別当選種類が規定されている。これら小役および特別当選種類には、それぞれ対応する小役図柄および特別当選図柄があり、これら図柄は上記の可動表示体にそれぞれ割り当てられている。つまり、可動表示体に付された図柄列のなかには、当選結果の種類に対応付けられた図柄(小役図柄、特別当選図柄)が含まれている。また、内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では、上記の小役及び特別当選種類とは別に、再遊技当選種類が規定されている。再遊技当選種類には対応する図柄として再遊技図柄が規定されている、よって可動表示体には複数種類の様々な図柄が付されていることになる。
また「図柄」は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。また、全ての可動表示体が停止したときの表示態様(所謂、出目といわれる)を複数通り作り出すことができる。
図柄表示部内は、各可動表示体の図柄列中の所定数の図柄を表示することが可能であり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定数×可動表示体の数」として表すこともできる。ここで所定数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の個数が増えることとなり、様々な図柄を表示態様として遊技者に見せることができる。
また図柄表示部内で様々な図柄から構成される表示態様のうち、図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を決めることで、遊技者が図柄表示部内のどこの位置に、どの図柄を停止させれば組み合わせとして有効になるのかを判断する目安とすることができる。ここで「有効となる表示位置」とは、内部抽選で当選結果として得られた当選種類に対応した特典を付与することができる図柄表示部内の表示位置のことをいう。内部抽選の当選結果にはいずれの当選種類にも当選しない場合(ハズレ)が含まれるが、ハズレの際は、特典が付与されることはない。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう。また水平及び斜め以外には、組み合わせとして自由に決めることができる。組み合わせとしては、各々の可動表示体から1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせがある。この組み合わせの中で直線的な組み合わせが並びである。更に並び以外にもへの字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となるような組み合わせや、直線の一端あるいは両端が直線の並びからずれた組み合わせ等がある。これらの全ては、各可動表示体の1個ずつの図柄に注目すれば組み合わせが有効になったことを視認することができる。
また、組み合わせは、各々の可動表示体から1個より多い図柄を抜き出した構成をとることもできる。これは各々の可動表示体から夫々2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体は複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせをとることが可能である。前述した各々の可動表示体から1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを視認しづらくすることが可能となる。
全ての可動表示体が停止した結果、小役図柄が図柄表示部内で所定の表示態様となると、規定数の遊技価値が遊技者に付与される。ここでいう「所定の表示態様」とは、図柄表示部内での図柄の停止位置、並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがって対応する図柄が水平または斜めに揃っていることをいう。なお、小役図柄のなかには、少なくとも特定の可動表示体について対応する小役図柄が決まった位置に停止しているだけでよいものがある。いずれにしても、ゲーム回数を重ねていくうちに、遊技者が掛けた遊技価値の総数よりも付与された総数の方が多くなると、遊技者は差数分の遊技価値を得たことになり、そこに喜びを見出すことができる。
上記の小役は、小役図柄が所定の表示態様となると、規定数の遊技価値を遊技者に付与するものであるが、これとは別に本発明の遊技機では、全ての可能表示体が停止した結果、特別当選図柄が図柄表示部内で特別な表示態様となると、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行が行われる。この特別遊技状態では、通常のゲームと比較して、より多くの遊技価値を獲得できる機会が遊技者に与えられる。更に本発明の遊技機では、特別当選図柄が特別な表示態様となった場合、遊技者に遊技価値を付与することなく今回のゲームを終了させることができる。そして次回のゲームより遊技状態を特別遊技状態に移行させることになる。このため本発明の遊技機では、いかにして特別遊技状態に移行する回数を多くすることができるか、つまり特別当選種類にどれだけ多く当選することができるかが勝負の分かれ目となり、それゆえ遊技者の興味は、特別当選図柄をいつ、どのような場面で揃えることができるかに集中する傾向にある。
全ての可能表示体が停止した結果、再遊技図柄が図柄表示部内で特定の表示態様となると、再遊技状態に移行する。ここで、「再遊技状態」とは、遊技者が今回のゲームと同じ遊技価値を掛けた状態で、かつ次回のゲームを行うにあたり、遊技価値を改めて掛けることなくゲームを行うことができる状態のことをいう。従って再遊技当選種類に当選することは、遊技者が遊技価値の消費を抑えることに役立つものである。
本発明の遊技機では、小役、特別当選種類及び再遊技当選種類とは別に特殊当選種類が規定されている。更にこの特殊当選種類には、第1特殊当選種類、第2特殊当選種類が規定されている。これら2つの当選種類は抽選確率を夫々、第1の特別な抽選確率及び第2の特別な抽選確率へと変更させる契機となるものである。
全ての可動表示体が停止した結果、複数の小役図柄及び再遊技図柄から構成される特殊な組み合わせが図柄表示部内で第1の特殊な表示態様となると、特殊遊技状態への移行が行われる。この特殊遊技状態では、通常のゲームと比較しても表面的には差異の見られない遊技状態である。これは、第1の特殊な表示態様を複数の小役図柄及び再遊技図柄で構成された組み合わせ、としているので出目として見た場合、いずれの当選種類にも当選しなかった場合の出目(所謂、ハズレ目)と見間違えるからである。従って遊技者は第1の特殊な表示態様となったことも、特殊遊技状態に移行したことも全く意識せずに通常のゲームと変わりなくゲームを続けることになる。換言すれば、特殊遊技状態とは、遊技者にその遊技状態を認識(または意識)させずにゲームを実行させる遊技状態のことである。従って特殊遊技状態は特別遊技状態と比較して相当に短い期間(またはゲーム数)で終了するものとすることができる。これにより遊技者に全く気付かせず、更に速やかに(短期間に)特殊遊技状態を終了させて以後のゲームへと進展させることができるのである。
また、全ての可動表示体が停止した結果、複数の小役図柄及び再遊技図柄から構成される特殊な組み合わせが図柄表示部内で第1の特殊な表示態様とは別の第2の特殊な表示態様となると、特殊遊技状態への移行が行われる。第1の特殊な表示態様と第2の特殊な表示態様では複数の小役図柄及び再遊技図柄の構成を変えることで組み合わせとして異なるものとすることができる。
第1特殊当選種類、第2特殊当選種類ともに特殊遊技状態に移行する契機となる当選種類であることは同じである。ここで両者の違いは、特殊遊技状態が終了してから明確となる。即ち、第1特殊当選種類に当選して移行した特殊遊技状態終了後からは、内部抽選に第1の特別な抽選確率を適用するための変更が行われ、第2特殊当選種類に当選して移行した特殊遊技状態終了後からは、内部抽選に第2の特別な抽選確率を適用するための変更が行われることが両者の明確な違いである。
ここで前述した通り、第1の特別な抽選確率と第2の特別な抽選確率とでは、当選種類の当選確率に格差が設けられているために、第1の特別な抽選確率が適用された内部抽選と、第2の特別な抽選確率が適用された内部抽選とでは、自ずと遊技状態に差異が生じることとなる。つまり、ある当選種類が突然、当選する頻度が増えたり、また別のある当選種類の当選する度合いが減少したり、といったゲームを進めるうちに遊技状態の変化が顕著に表れてくることから判断することが可能となる。
第1の特別な抽選確率と第2の特別な抽選確率との格差を明確にすれば、それだけ遊技者にとっては第1特殊当選種類に当選して特殊遊技状態が終了した後であるのか、それとも第2特殊当選種類に当選して特殊遊技状態が終了した後であるのか、を判断し易くなる。このように遊技者が遊技状態の変化に気付き易くすると、通常の抽選確率が適用された内部抽選が行われているゲームが長く続くことに興趣を低下させてしまうことを極力回避することが可能となる。つまり、遊技者は何時、突然に、遊技状態が変化するかもしれないという期待を常に持つことができるからである。
更に本発明の遊技機では、特別遊技状態の終了後に第1の特別な抽選確率または第2の特別な抽選確率のいずれかに抽選確率を必ず変更させることができる。つまり遊技者にとっては、特別遊技状態という遊技価値を大量に獲得できる機会が与えられたうえに、更にその後のゲームからは有利な遊技状態に移行するという特典を受けることができる。ここで第1の特別な抽選確率、第2の特別な抽選確率のいずれかに決定するかは、選択的に決定することができる。ここでいう「選択的に決定する」とは、抽選でいずれかの抽選確率に決定する方法等が挙げられる。また別の決定方法として、予めいずれかを選ぶか順番を決めておき、それに従って選ぶ方法や、あるいはある特定の条件の成立したか否かによりいずれかの抽選確率を選ぶといった方法も考えられる。いずれの方法が採られたとしても、遊技者は特別遊技状態の終了後に更なる期待を抱いてゲームを進めることができる。従って特別遊技状態が終了してしまうと途端にゲームに対する興趣が低下してしまうといった事態を回避することができる。
(解決手段2)
解決手段2は、解決手段1に記載の遊技機において、前記特殊遊技状態制御手段が、前記特別遊技状態制御手段により制御される前記特別遊技状態と異なり、前記通常遊技状態の動作制御を変えることなく遊技状態を前記特殊遊技状態へと制御することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態が特殊遊技状態に移行した場合に、動作を伴う制御(例えば、可動表示体の回転動作を変化させたり、ランプ等の発光態様を変化させたり)を行わない。即ち「内部制御のみで通常遊技状態を異ならせる」ことができる。これにより見た目では通常のゲームと全く同じ状態とすることができる。また通常のゲームと比べても挙動の変化(可動表示体の回転動作の変化、ランプ等の発光態様の変化、効果音等の変化)が無いために遊技者に違和感を抱かせることがない。従って、通常のゲームを行っていて、突然に特別当選種類に当選するといった驚きと喜びを遊技者に与えることができる。
(解決手段3)
解決手段3は、解決手段1または2に記載の遊技機において、前記特殊当選種類が、前記内部抽選の当落の結果が前記通常抽選当落判断手段によって判断されている場合、当選結果の1つとして得られることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、通常抽選当落判断手段により内部抽選の当落の結果が判断される通常抽選当落判断遊技状態(または通常確率遊技状態)にて特殊当選種類の当落の結果が判断される。つまり、通常の抽選確率では、解決手段1で述べた特別当選種類、小役、再遊技当選種類に加えて特殊当選種類の当選確率が規定されていることになる。このように特殊当選種類を通常確率遊技状態で当選する可能性のある当選種類の1つとすることで、特別当選種類に準じた当選種類、即ち遊技状態の変化を伴う特典に対応した当選種類と位置づけることができる。
また、通常確率遊技状態における当選種類とすると、相当に低い程度の当選確率としても遊技者に違和感を与えたり興趣を損ねたり、といった虞を極力抑えることができる。これは一般的に通常のゲーム(本発明の遊技機では通常確率遊技状態が相当する)では、特別当選種類も含めたほとんど全ての当選種類に当選する可能性が低めにされており、遊技者が通常のゲームだけで遊技価値を大量に獲得することができないものとされているからである。つまり特別当選種類に準じた当選種類である特殊当選種類を、相当に低い程度である特別当選種類と同程度の当選確率としても、または、特別当選種類に比して低い当選確率としても遊技者がそれに対して不満を唱えたり、ゲームをする意欲を失ったりすることは無い。反対に通常のゲームに新たに当選する可能性の持てる当選種類が増えることとなり、特別当選種類に当選すること以外にもゲームを行う楽しさを持たせることができ、遊技者の通常のゲームでの興趣の低下を招くことが極力抑制できる。
(解決手段4)
解決手段4は、解決手段1から3のいずれかに記載の遊技機において、前記当落判断決定手段によって前記第1特別抽選当落判断手段または前記第2特別抽選当落判断手段のいずれが前記内部抽選の当落の結果を判断する状態に移行している間に所定の条件が成立すると、前記第1特別抽選当落判断手段または前記第2特別抽選当落判断手段のいずれかにより当落の結果が判断されている前記内部抽選を前記通常抽選当落判断手段により当落の結果が判断される前記内部抽選へ変更するべく前記抽選確率を前記第1の特別な抽選確率または前記第2の特別な抽選確率から前記通常の抽選確率へ復帰させる通常抽選復帰手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、特別遊技状態の終了後から移行した遊技状態、つまり第1の特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行される第1特別抽選当落判断遊技状態(または第1高確率遊技状態)、あるいは第2の特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行される第2特別抽選当落判断遊技状態(または第2高確率遊技状態)は所定の条件が成立すると、通常確率遊技状態へと復帰する(戻される)こととなる。
ここで所定の終了条件としては、
(1)規定のゲーム回数に達する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められたゲーム回数(例えば50回、100回等)に達すると、通常確率遊技状態へと移行する(戻る)ことになる。
(2)規定の時間が経過する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められた時間(例えば5分、10分等)が経過すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。
(3)所定の当選種類(小役、再遊技当選種類等)に当選する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められた当選種類(例えば小役、再遊技当選種類、あるいはハズレ等)に当選すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。
(4)所定の当選種類(小役、再遊技当選種類等)に規定の回数だけ当選する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められた当選種類(例えば小役、再遊技当選種類、あるいはハズレ等)に予め決められた回数(例えば10回、20回等)だけ当選すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。なおここでの当選回数は、取りこぼしを含めるか回数とするか含めない回数とするかのいずれをとることもできる。
(5)特別当選種類に当選する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから新たに特別当選種類に当選すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。
といった内容が代表的な終了条件として挙げられる。本発明の遊技機では、これらの終了条件を複数の終了条件を選択可能としたり、あるいは前もっていずれの終了条件とするかを決めたりすることができる。
上記の通り、特別遊技状態の終了後に必ず遊技者にとって有利な遊技状態に移行することは遊技者に特別遊技状態の終了後にも興味を持たせることができるものとなる。ここでどれだけの遊技者の興味を惹きつけることができるかは、上記の終了条件の難易度に大きく左右されることとなる。ここでいう難易度とは、終了条件の成立し易さ、終了条件の内容のことを指すものである。例えば、再遊技当選種類に当選することを終了条件とすれば、難易度は低い(終了条件が成立し易い)ものとすることができるし、特別当選種類に当選することを終了条件とすれば、難易度は高い(終了条件がなかなか成立しにくい)ものとすることができる。
(解決手段5)
解決手段5は、解決手段1から4のいずれかに記載の遊技機において、第1特別抽選当落判断手段が、前記通常抽選当落判断手段に比して前記特別当選種類の当選を高い確率で判断することを特徴とする遊技機である。
この場合、内部抽選で適用される抽選確率に差が設けられている。即ち、通常の抽選確率と第1の特別な抽選確率とでは、特別当選種類の当選確率に差が設けられていることになる。第1の特殊な抽選確率では、通常の抽選確率に比べて特別当選種類の当選確率が高くなっており、それだけ特別当選種類に当選しやすい。従って遊技者は第1の特別な抽選確率が適用された内部抽選が行われることを希望しながらゲームを行うことができる。
(解決手段6)
解決手段6は、解決手段1から4のいずれかに記載の遊技機において、第2特別抽選当落判断手段が、前記通常当落判断手段に比して前記特別当選種類及び前記再遊技当選種類の当選を高い確率で判断することを特徴とする遊技機である。
この場合、内部抽選で適用される抽選確率に差が設けられている。即ち、通常の抽選確率と第2の特別な抽選確率とでは、特別当選種類と再遊技当選種類の当選確率に差が設けられていることになる。第2の特別な抽選確率では、通常の抽選確率に比べて特別当選種類と再遊技当選種類の当選確率が高いものであるから、当然にそれらに当選する機会が増えることになる。また再遊技当選種類に当選する機会が増えることは、遊技者が新たに遊技価値を掛けてゲームをすることが減ることにもなり、遊技者は手持ちの遊技価値を減らすことなくゲームを進めることが可能となる。
(解決手段7)
解決手段7は、解決手段1から6のいずれかに記載の遊技機において、前記第1特別抽選当落判断手段または第2特別抽選当落判断手段により前記内部抽選の当落の結果が判断されている場合、前記特殊当選種類の当落の判断を回避する特殊当選種類当落判断回避手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、特殊遊技状態が終了すると内部抽選で適用される抽選確率の変更が実行される。この抽選確率が変更されると、遊技者にとって有利な第1特別抽選当落判断手段により内部抽選の当落の結果が判断される第1特別抽選当落判断遊技状態(または第1高確率遊技状態)、あるいは第2特別抽選当落判断手段により内部抽選の当落の結果が判断される第2特別抽選当落判断遊技状態(または第2高確率遊技状態)のいずれかに移行することとなる。なお、これら2つの遊技状態では、通常抽選当落判断手段により内部抽選の当落の結果が判断される通常抽選当落判断遊技状態(または通常確率遊技状態)に比べて特別当選種類に当選する確率が高く変更される。
上記の2つの遊技状態(第1高確率遊技状態、第2高確率遊技状態)で更に特殊当選種類に当選した場合、既に抽選確率は変更されており、遊技者にとって有利な遊技状態への移行は済んでいる。従って特殊当選種類に当選しても抽選確率の変更は行われないことになる。また特殊遊技状態では遊技者が遊技価値を大量に獲得することもできないので遊技者から見れば、第1高確率遊技状態または第2高確率遊技状態で特殊当選種類に当選することはほとんど意味を持たないものである。かえって運を無駄使いしたと遊技者の不興を買ってしまうことになってしまう。
これらのことを鑑みて、本発明の遊技機では第1高確率遊技状態または第2高確率遊技状態では特殊当選種類の当落の結果を判断することを回避する。これには、内部抽選における特殊当選種類の当選許容値の範囲を0にする(当選許容値を無にする)ことで当落の判断の結果を回避することができる。従って、遊技者の不興を買うことがなくなる。
(解決手段8)
解決手段8は、解決手段1から7のいずれかに記載の遊技機において、遊技機の外部に向けて複数の演出表示態様を表示するための表示手段と、前記表示手段による演出表示態様を前記内部抽選の当選結果に基づいて所定の演出表示態様を実行させる演出表示態様実行手段と、前記演出表示態様実行手段が実行する前記演出表示態様として、前記通常確率遊技状態である可能性が高いことを示唆する通常演出、前記内部抽選の当選結果を遊技者が停止操作を行う際に案内する当選案内演出、前記特別当選種類に当選したことを告知する告知演出、前記抽選確率の変更が行われたことを示唆する抽選確率変更示唆演出を規定する演出規定手段と、前記演出表示態様実行手段に前記演出表示態様のいずれかを実行させるかを決定する演出表示態様決定手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、特に外部に向けて様々な演出表示態様を表示させる表示手段を備える。これは、遊技者に当該遊技機でのゲームを視覚、聴覚を十分に楽しませることができるものである。この演出表示態様には、現在の遊技状態が通常遊技状態である可能性が高いことを示唆する内容の通常演出と、内部抽選の当選結果を遊技者が全ての可動表示体の停止操作を行う前までに案内(または示唆、誘導、ナビゲーション)して該当する当選結果(一般小役、再遊技当選種類等)を揃える手助けをする内容の当選案内演出と、特別当選種類に当選したことを告知(または教示、報知)する内容の告知演出と、特殊遊技状態の終了後等により抽選確率の変更が行われたことを示唆する抽選確率変更示唆演出がある。
上記の各演出表示態様は、当該遊技機の遊技状態に基づいていずれかの演出が選択される。選択された演出が演出表示態様として表示手段により表示されることになる。遊技者は表示された演出表示態様から当該遊技機の現在の遊技状態あるいは内部抽選の当選結果を推し量ることができる。また上記の演出表示態様は、必ずしも遊技状態と対応した演出が選択されない場合もある。また対応した演出がその結果と異なる場合(全ての可動表示体の停止時の表示態様)には、遊技者にとって歓迎すべき結果、つまり特別当選種類に当選している、または遊技状態が第1高確率遊技状態あるいは第2高確率遊技状態であるといった結果に対応させることで、遊技者が演出内容に関心を持ってゲームを行うことができる。
(解決手段9)
解決手段9は、解決手段8に記載の遊技機において、前記演出表示態様決定手段が、前記通常演出、前記当選案内演出、前記告知演出、前記抽選確率変更示唆演出からなる前記演出表示態様のいずれかを選択的に決定することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機で実行される各種演出表示態様のうち、いずれに決定するかについては選択的に決めることができる。選択的に決めるとは、抽選で決めることや、順番通りに選び出すこと等である。例えば、抽選によりいずれかの演出表示態様を決定するとしたとき、内部抽選の結果としてハズレであった場合に、全ての演出表示態様のうちのいずれかが選ばれる可能性がある。同様に内部抽選の結果、特別当選種類に当選していた場合も、全ての演出表示態様のうちのいずれかが選択される可能性がある。即ち「内部抽選の当落の結果が特定の当選種類であっても、その当選種類に対応した演出表示態様が専用的な演出に決められることなく、通常に選択し得る」とすることもできる。従って、遊技者が夫々の演出表示態様に対して持つ印象を固定的なものではなく全ての演出表示態様に期待を平均的に持たせることができる。ここでいう「印象が固定的」とは、通常演出はハズレのときの演出表示態様であり、抽選確率変更示唆演出は抽選確率が変更されたときに必ず行われる演出表示態様であるといった遊技者がゲームを進めるうちに覚える印象(固定観念)のことをいう。
(解決手段10)
解決手段10は、解決手段8に記載の遊技機において、前記演出表示態様実行手段は、前記演出表示態様のいずれかを実行させることを決定した場合、その該当する前記演出表示態様を、1回ごとのゲームについて所定数の遊技価値を掛けた状態で遊技者による始動操作を受け付けられてから、この後、遊技者による複数回の停止操作が順次受け付けられて、全ての前記可動表示体の回転が停止し、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームが終了するまでのいずれかの間に実行することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態あるいは遊技結果(内部抽選の当落の結果)に基づいて各種演出表示態様が規定されている。これらの演出表示態様のうちいずれか1つが選択されて演出表示態様として表示手段により表示されることになる。この演出表示態様から遊技者は現在の遊技状態を推測したり、あるいは出目と照らし合わせて遊技結果を確認したりすることができる。本発明の遊技機では、演出表示態様として実行することが決まった演出表示態様を1回のゲームが開始してから完結するまでの任意のタイミングで実行させることができる。例えば、始動操作が受け付けられてすぐに演出表示態様を表示させたり、あるいは全ての可動表示体が停止してから演出表示態様を表示させたりすることが考えられる。更に毎回のゲームごとにいずれのタイミングで演出表示態様を実行させるかを不規則になるよう決めると、遊技者が演出表示態様の表示されるパターン(または法則)を見出すことが困難となり、ゲームの演出面で倦怠感を抱かせてしまうといった事態を回避することが可能となる。
(解決手段11)
解決手段11は、解決手段1から10のいずれかに記載の遊技機において、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態移行手段により遊技状態が前記遊技状態へと移行すると、遊技者に付与する遊技価値の付与機会を通常遊技状態に比して増加させる遊技価値付与機会増加手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コインなど)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシン等の遊技機に適用することができる。遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の表示態様から、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させて停止させるという一連の操作を繰り返しながら遊技を進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された表示態様によっては、特別遊技状態という遊技価値を通常確率遊技状態に比べて大量に獲得することができる遊技状態に移行することができる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与が集中して行われることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
(解決手段12)
解決手段12は、複数種類の図柄を含む図柄列を形成した帯が付された複数の可動表示体と、前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部とを備え、1回ごとのゲームについて所定数の遊技価値を掛けた状態で遊技者による始動操作を受け付けると、複数の前記可動表示体を一方向に回転させて図柄の表示を変動させ、この後、遊技者による複数回の停止操作を順次受け付けると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体の回転を1つずつ停止させ、全ての前記可動表示体の回転が停止すると、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームごとに結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに所定の内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に通常の抽選確率を適用して当落の結果を判断する通常抽選当落判断手段と、前記通常抽選当落判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記通常抽選当落判断手段により適用される通常の抽選確率に比して抽選確率を高くした第1の特別な抽選確率を適用して当落を判断する第1特別抽選当落判断手段と、前記通常抽選当落判断手段及び前記第1特別抽選当落判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記第1特別抽選当落判断手段により適用される第1の抽選確率に比して抽選確率を高くした第2の特別な抽選確率を適用して当落を判断する第2特別抽選当落判断手段と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内に表示される個々の図柄の停止位置のうち、複数の前記可動表示体にまたがる図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を前記可動表示体のそれぞれについて規定する有効表示位置規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、特別当選種類を規定する特別当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、遊技価値の付与を伴う複数の小役を規定する小役規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行可能とする再遊技当選種類を規定する再遊技当選種類規定手段と、前記内部抽選の当選結果として、前記特別当選種類及び前記複数の小役とは別に複数の特殊当選種類として、第1特殊当選種類と第2特殊当選種類とを規定する特殊当選種類規定手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特別な種類の図柄が停止した結果、特別な表示態様が導出された場合、遊技者にとって有利な特別遊技状態に制御する特別遊技状態制御手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の1種類以上の図柄が停止した結果、所定の表示態様が導出された場合、前記小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に全て同じ特定の種類の図柄が停止した結果、特定の表示態様が導出された場合、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行させる再遊技実行手段と、前記内部抽選の当選結果として前記第1特殊当選種類が得られた場合、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の複数の図柄が停止した結果、第1の特殊な表示態様が導出された場合、遊技者に通常遊技状態との変化を認識させることの困難な特殊遊技状態に制御する特殊遊技状態制御手段と、前記内部抽選の当選結果として前記第2特殊当選種類が得られた場合、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記有効表示位置規定手段により規定された有効となる表示位置に前記特別な種類の図柄とは別の複数の図柄が停止した結果、第2の特殊な表示態様が導出された場合、遊技者に通常遊技状態との変化を認識させることの困難な特殊遊技状態に制御する特殊遊技状態制御手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記第1の特殊な表示態様となったことを契機として制御された前記特殊遊技状態が終了すると、前記通常抽選当落判断手段により当落の結果が判断されている前記内部抽選を前記第1特別抽選当落判断手段により当落の結果を判断するべく前記抽選確率を前記通常の抽選確率から前記第1の特別な抽選確率へ変更する第1特別抽選変更手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で第2の特殊な表示態様となったことを契機として制御された前記特殊遊技状態が終了すると、前記通常抽選当落判断手段により当落の結果が判断されている前記内部抽選を前記第2特別抽選当落判断手段により当落の結果を判断するべく前記抽選確率を前記通常の抽選確率から前記第2の特別な抽選確率へ変更する第2特別抽選変更手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記図柄表示部内で前記特別な表示態様となったことを契機として制御された前記特別遊技状態が終了すると、前記第1特別抽選当落判断手段または第2特別抽選当落判断手段のいずれかによって前記内部抽選の当落の結果を判断させる状態に移行する当落判断決定手段と、前記当落判断決定手段によって前記第1特別抽選当落判断手段または前記第2特別抽選当落判断手段のいずれが前記内部抽選の当落の結果を判断する状態に移行している間に所定の条件が成立すると、前記第1特別抽選当落判断手段または前記第2特別抽選当落判断手段のいずれかにより当落の結果が判断されている前記内部抽選を前記通常抽選当落判断手段により当落の結果を判断するべく前記抽選確率を前記第1の特別な抽選確率または前記第2の特別な抽選確率から前記通常の抽選確率へ復帰させる通常抽選復帰手段と、前記通常抽選当落判断手段により前記内部抽選の当落の結果が判断されている場合、前記特殊当選種類を前記内部抽選の当落の結果として判断する対象とする特殊当選種類抽選対象手段と、前記第1特別抽選当落判断手段または第2特別抽選当落判断手段により前記内部抽選の当落の結果が判断されている場合、前記特殊当選種類の当落の判断を回避する特殊当選種類当落判断回避手段と、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態移行手段により遊技状態が前記遊技状態へと移行すると、遊技者に付与する遊技価値の付与機会を通常遊技状態に比して増加させる遊技価値付与機会増加手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うための遊技価値(メダル、コインなど)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシン等の遊技機に適用することができる、スロットマシン等の遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の表示態様から、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させて停止させるという一連の操作を繰り返しながら遊技を進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された表示態様によっては、特別遊技状態という遊技価値を通常確率遊技状態に比べて大量に獲得することができる遊技状態に移行することができる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与が集中して行われることとなるため、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、そして1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、予め規定されている当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果が用意されており、これら当選結果の種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には種類別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する種類に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値に占める当たり値の数の割合から当選結果の種類別の当選確率が規定される。
上記の内部抽選では通常の抽選確率を適用した抽選が行われる場合と、通常の抽選確率に比べて高い抽選確率を適用した抽選が行われる場合がある。上記の内部抽選は通常のゲーム(特別遊技状態で行われるゲーム以外のゲーム)ではいずれかの抽選確率が適用された抽選が行われる。ここで、高い抽選確率が適用された内部抽選では通常の抽選確率が適用された内部抽選と比べて、先に述べた当選種類の乱数の当たり値を大きく(幅広く、幅を大きく)変更することができる。従って、乱数の当たり値の幅が広く変更された分だけ取得された乱数が該当する当たり値の範囲内に合致する可能性が高まる。
本発明の遊技機では、通常の抽選確率に比べて高い抽選確率として第1の特別な抽選確率と第2の特別な抽選確率の2つを設けている。これら2つの抽選確率にも、
第1の特別な抽選確率<第2の特別な抽選確率
という当選確率の格差を設けている。このように複数種類、それも3種類以上の抽選確率を設けることで、単に当選確率が低い状態と当選確率が高い状態だけといった二極化した状態に分類できない状態を作り出すことができる。つまり当選確率が低くも高いともいえない中間的な状態や、極端に当選確率を低くした状態、あるいは極端に当選確率を高くした状態を新たに作り出すことで、遊技状態を複雑、かつ、遊技状態の判別を困難なものとすることができる。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。複数種類の当選結果のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄される種類もあれば、次回以降のゲームまで持ち越される種類もある。
内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では少なくとも遊技価値の付与を伴う小役が規定されている。また、このような小役とは別に、当選結果として特別当選種類が規定されている。これら小役および特別当選種類には、それぞれ対応する小役図柄および特別当選図柄があり、これら図柄は上記の可動表示体にそれぞれ割り当てられている。つまり、可動表示体に付された図柄列のなかには、当選結果の種類に対応付けられた図柄(小役図柄、特別当選図柄)が含まれている。また、内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では、上記の小役及び特別当選種類とは別に、再遊技当選種類が規定されている。再遊技当選種類には対応する図柄として再遊技図柄が規定されている、よって可動表示体には複数種類の様々な図柄が付されていることになる。
また「図柄」は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。また、全ての可動表示体が停止したときの表示態様(所謂、出目といわれる)を複数通り作り出すことができる。
図柄表示部内は、各可動表示体の図柄列中の所定数の図柄を表示することが可能であり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定数×可動表示体の数」として表すこともできる。ここで所定数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の個数が増えることとなり、様々な図柄を表示態様として遊技者に見せることができる。
また図柄表示部内で様々な図柄から構成される表示態様のうち、図柄の組み合わせとして有効となる表示位置を決めることで、遊技者が図柄表示部内のどこの位置に、どの図柄を停止させれば組み合わせとして有効になるのかを判断する目安とすることができる。ここで「有効となる表示位置」とは、内部抽選で当選結果として得られた当選種類に対応した特典を付与することができる図柄表示部内の表示位置のことをいう。内部抽選の当選結果にはいずれの当選種類にも当選しない場合(ハズレ)が含まれるが、ハズレの際は、特典が付与されることはない。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう。また水平及び斜め以外には、組み合わせとして自由に決めることができる。組み合わせとしては、各々の可動表示体から1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせがある。この組み合わせの中で直線的な組み合わせが並びである。更に並び以外にもへの字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となるような組み合わせや、直線の一端あるいは両端が直線の並びからずれた組み合わせ等がある。これらの全ては、各可動表示体の1個ずつの図柄に注目すれば組み合わせが有効になったことを視認することができる。
また、組み合わせは、各々の可動表示体から1個より多い図柄を抜き出した構成をとることもできる。これは各々の可動表示体から夫々2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体は複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせをとることが可能である。前述した各々の可動表示体から1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを視認しづらくすることが可能となる。
全ての可動表示体が停止した結果、小役図柄が図柄表示部内で所定の表示態様となると、規定数の遊技価値が遊技者に付与される。ここでいう「所定の表示態様」とは、図柄表示部内での図柄の停止位置、並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがって対応する図柄が水平または斜めに揃っていることをいう。なお、小役図柄のなかには、少なくとも特定の可動表示体について対応する小役図柄が決まった位置に停止しているだけでよいものがある。いずれにしても、ゲーム回数を重ねていくうちに、遊技者が掛けた遊技価値の総数よりも付与された総数の方が多くなると、遊技者は差数分の遊技価値を得たことになり、そこに喜びを見出すことができる。
上記の小役は、小役図柄が所定の表示態様となると、規定数の遊技価値を遊技者に付与するものであるが、これとは別に本発明の遊技機では、全ての可能表示体が停止した結果、特別当選図柄が図柄表示部内で特別な表示態様となると、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行が行われる。この特別遊技状態では、通常のゲームと比較して、より多くの遊技価値を獲得できる機会が遊技者に与えられる。更に本発明の遊技機では、特別当選図柄が特別な表示態様となった場合、遊技者に遊技価値を付与することなく今回のゲームを終了させることができる。そして次回のゲームより遊技状態を特別遊技状態に移行させることになる。このため本発明の遊技機では、いかにして特別遊技状態に移行する回数を多くすることができるか、つまり特別当選種類にどれだけ多く当選することができるかが勝負の分かれ目となり、それゆえ遊技者の興味は、特別当選図柄をいつ、どのような場面で揃えることができるかに集中する傾向にある。
全ての可能表示体が停止した結果、再遊技図柄が図柄表示部内で特定の表示態様となると、再遊技状態に移行する。ここで、「再遊技状態」とは、遊技者が今回のゲームと同じ遊技価値を掛けた状態で、かつ次回のゲームを行うにあたり、遊技価値を改めて掛けることなくゲームを行うことができる状態のことをいう。従って再遊技当選種類に当選することは、遊技者が遊技価値の消費を抑えることに役立つものである。
本発明の遊技機では、小役、特別当選種類及び再遊技当選種類とは別に特殊当選種類が規定されている。更にこの特殊当選種類には、第1特殊当選種類、第2特殊当選種類が規定されている。これら2つの当選種類は抽選確率を夫々、第1の特別な抽選確率及び第2の特別な抽選確率へと変更させる契機となるものである。
全ての可動表示体が停止した結果、複数の小役図柄及び再遊技図柄から構成される特殊な組み合わせが図柄表示部内で第1の特殊な表示態様となると、特殊遊技状態への移行が行われる。この特殊遊技状態では、通常のゲームと比較しても表面的には差異の見られない遊技状態である。これは、第1の特殊な表示態様を複数の小役図柄及び再遊技図柄で構成された組み合わせ、としているので出目として見た場合、いずれの当選種類にも当選しなかった場合の出目(所謂、ハズレ目)と見間違えるからである。従って遊技者は第1の特殊な表示態様となったことも、特殊遊技状態に移行したことも全く意識せずに通常のゲームと変わりなくゲームを続けることになる。換言すれば、特殊遊技状態とは、遊技者にその遊技状態を認識(または意識)させずにゲームを実行させる遊技状態のことである。従って特殊遊技状態は特別遊技状態と比較して相当に短い期間(またはゲーム数)で終了するものとすることができる。これにより遊技者に全く気付かせず、更に速やかに(短期間に)特殊遊技状態を終了させて以後のゲームへと進展させることができるのである。
また、全ての可動表示体が停止した結果、複数の小役図柄及び再遊技図柄から構成される特殊な組み合わせが図柄表示部内で第1の特殊な表示態様とは別の第2の特殊な表示態様となると、特殊遊技状態への移行が行われる。第1の特殊な表示態様と第2の特殊な表示態様では複数の小役図柄及び再遊技図柄の構成を変えることで組み合わせとして異なるものとすることができる。
第1特殊当選種類、第2特殊当選種類ともに特殊遊技状態に移行する契機となる当選種類であることは同じである。ここで両者の違いは、特殊遊技状態が終了してから明確となる。即ち、第1特殊当選種類に当選して移行した特殊遊技状態終了後からは、内部抽選に第1の特別な抽選確率を適用するための変更が行われ、第2特殊当選種類に当選して移行した特殊遊技状態終了後からは、内部抽選に第2の特別な抽選確率を適用するための変更が行われることが両者の明確な違いである。
ここで前述した通り、第1の特別な抽選確率と第2の特別な抽選確率とでは、当選種類の当選確率に格差が設けられているために、第1の特別な抽選確率が適用された内部抽選と、第2の特別な抽選確率が適用された内部抽選とでは、自ずと遊技状態に差異が生じることとなる。つまり、ある当選種類が突然、当選する頻度が増えたり、また別のある当選種類の当選する度合いが減少したり、といったゲームを進めるうちに遊技状態の変化が顕著に表れてくることから判断することが可能となる。
第1の特別な抽選確率と第2の特別な抽選確率との格差を明確にすれば、それだけ遊技者にとっては第1特殊当選種類に当選して特殊遊技状態が終了した後であるのか、それとも第2特殊当選種類に当選して特殊遊技状態が終了した後であるのか、を判断し易くなる。このように遊技者が遊技状態の変化に気付き易くすると、通常の抽選確率が適用された内部抽選が行われているゲームが長く続くことに興趣を低下させてしまうことを極力回避することが可能となる。つまり、遊技者は何時、突然に、遊技状態が変化するかもしれないという期待を常に持つことができるからである。
更に本発明の遊技機では、特別遊技状態の終了後に第1の特別な抽選確率または第2の特別な抽選確率のいずれかに抽選確率を必ず変更させることができる。つまり遊技者にとっては、特別遊技状態という遊技価値を大量に獲得できる機会が与えられたうえに、更にその後のゲームからは有利な遊技状態に移行するという特典を受けることができる。ここで第1の特別な抽選確率、第2の特別な抽選確率のいずれかに決定するかは、選択的に決定することができる。ここでいう「選択的に決定する」とは、抽選でいずれかの抽選確率に決定する方法等が挙げられる。また別の決定方法として、予めいずれかを選ぶか順番を決めておき、それに従って選ぶ方法や、あるいはある特定の条件の成立したか否かによりいずれかの抽選確率を選ぶといった方法も考えられる。
ここで、特別遊技状態の終了後で考えられるケースを列挙してみると、
(1)通常確率遊技状態→第1高確率遊技状態
(2)通常確率遊技状態→第2高確率遊技状態
(3)第1高確率遊技状態→第2高確率遊技状態
(4)第2高確率遊技状態→第1高確率遊技状態
といったケースが挙げられる。なお、ここでいう「通常確率遊技状態」とは通常の抽選確率が適用された内部抽選が実行されている遊技状態のことをいう。また「第1高確率遊技状態」は第1の特別な抽選確率が、「第2高確率遊技状態」は第2の特別な抽選確率が夫々適用された内部抽選が実行されている遊技状態のことをいう。
上記で列挙したケースのうち、(1)〜(3)のケースは遊技者にとって有利であるといえる。一方、(4)のケースでは遊技者に少し不利であるものの、通常確率遊技状態に戻ってしまうということではないので、相対的に見れば遊技者に有利な状態が続くことになるといえる。ただし、このような内容とすると一旦特別遊技状態移行すると永久的に遊技者に有利な遊技状態が続くこととなり、スロットマシンとしてのゲーム性が損なわれてしまう。
上記の事柄を解消するために、本発明の遊技機では更に新たな構成として、特別遊技状態の終了後から移行した遊技状態に所定の終了条件を設ける。即ち、本発明の遊技機では、特別遊技状態の終了後から移行した遊技状態、つまり第1の特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行される第1特別抽選当落判断遊技状態(または第1高確率遊技状態)、あるいは第2の特別な抽選確率が適用された内部抽選が実行される第2特別抽選当落判断遊技状態(または第2高確率遊技状態)において所定の条件が成立すると、通常確率遊技状態へと復帰する(戻される)こととなる。
ここで所定の終了条件としては、
(1)規定のゲーム回数に達する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められたゲーム回数(例えば50回、100回等)に達すると、通常確率遊技状態へと移行する(戻る)ことになる。
(2)規定の時間が経過する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められた時間(例えば5分、10分等)が経過すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。
(3)所定の当選種類(小役、再遊技当選種類等)に当選する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められた当選種類(例えば小役、再遊技当選種類、あるいはハズレ等)に当選すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。
(4)所定の当選種類(小役、再遊技当選種類等)に規定の回数だけ当選する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから予め決められた当選種類(例えば小役、再遊技当選種類、あるいはハズレ等)に予め決められた回数(例えば10回、20回等)だけ当選すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。なおここでの当選回数は、取りこぼしを含めるか回数とするか含めない回数とするかのいずれをとることもできる。
(5)特別当選種類に当選する。
この場合、第2特別抽選当落判断遊技状態となってから新たに特別当選種類に当選すると、通常確率遊技状態へと戻ることになる。
といった内容が代表的な終了条件として挙げられる。本発明の遊技機では、これらの終了条件を複数の終了条件を選択可能としたり、あるいは前もっていずれの終了条件とするかを決めたりすることができる。
上記の通り、特別遊技状態の終了後に必ず遊技者にとって有利な遊技状態に移行することは遊技者に特別遊技状態の終了後にも興味を持たせることができるものである。ここで遊技者にどれだけの興味を持たせるかについては、上記の終了条件の難易度に高低をつけることで様々に変えることができる。ここでいう難易度とは、終了条件の成立し易さ、終了条件の内容のことを指すものである。例えば、再遊技当選種類に当選することを終了条件とすれば、難易度は低い(終了条件が成立し易い)ものとすることができるし、特別当選種類に当選することを終了条件とすれば、難易度は高い(終了条件がなかなか成立しにくい)ものとすることができる。
また上記の所定の条件は、第1高確率遊技状態及び第2高確率遊技状態で同じ所定の条件とすることもできるし、あるいは異なる所定の条件とすることもできる。このように所定の条件をどのようにするか、または第1高確率遊技状態及び第2高確率遊技状態との所定の条件を同じものとするか、あるいは異なるものとするか等により遊技状態ごとの格差を様々に変化させることができる。
本発明により、遊技者とって有利となる遊技状態を複数存在させて遊技者の興味を惹きつけて、かつ、通常のゲームからも突然に有利な遊技状態に移行させることで遊技者の通常のゲームに対する興趣の低下を抑制することができる。
以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左、中、右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46及び化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出としての映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者の遊技の進行を補助する役割をしている。な液晶表示部は、表示手段の一つに相当し、各種演出表示態様を表示させるものである。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42及びボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払出し枚数表示部34及びメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。なお各ランプは遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。各ランプの発光は遊技パネル6上で遊技者が視認することが可能である。上記の各ランプ、各表示部は表示手段の一つとして各種演出表示態様を表示することもできる。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットに対応している)。なおベットボタン12,14,16(以下では、必要に応じてベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となることからMAXベットと呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払出しを伴う当選種類が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行うことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することによって選択することで遊技をスムーズに進行することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。ボーナスフラグ告知ランプ44も表示手段に相当する。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払出しが集中して行われる特典の回数等の状況を表示させて、遊技者のボーナスゲームの遊技をスムーズに進行させる役割をしている。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は前面扉4を装飾したり、遊技者の目を引きつけて遊技意欲を掻き立てたりする役割をしている。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵として統一する)を入れて左右にそれぞれ約45度回す(捻る)ことが可能となっており、右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中段した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(リセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64、及びスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。これらランプ60,62,64,66も表示手段の一つとして各種演出表示態様を表示(発光等の演出)することができる。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分には、図2でみて左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置(ホッパユニット)134が設置されており、このホッパ装置134の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組に複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー等)が印刷された透光性を有する図柄帯が張られたことにより筒状の形態を成している。前記筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下では前記可変回転体をリールとして統一する)。リールは回転させたり、停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10c別に独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。この各リール10a,10b,10c、リール駆動モータ88a,88b,88c、リール内ランプ90a,90b,90c、後述するリール位置センサ(左リール位置センサ106a、中リール位置センサ106b、右リール位置センサ106c)をリール装置10(またはリールユニット)と総称する。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行うための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払出し等、前記リール装置10の回転と停止等及び各表示部28,30,32,34,36,42,44による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示及び各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94及び外部端子板96と図示しない配線及びコネクタ等により接続されている。そのためメイン制御基板92から各種情報の伝達がサブ制御基板94及び外部端子板96へ行われることを可能としている。
電源ユニット70内には、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行うことができる。また電源ユニット70は、前記メイン制御基板92を含め各種基板に電力を供給するために配線及びコネクタ等により接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部からの不正な手段により直接触れることを防止するためのプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置134は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置134の内部にはホッパモータ78を備えており、メダルの払出しが行われる場合はこのホッパモータ78が回転することにより、ホッパ装置134内に貯留されているメダルが払出し口80から払出される。ホッパ装置134内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置134内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留の補助的な役割をしている。
(スロットマシンの内部構成)
図3は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述の3つのリール10a〜10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。鍵穴48は、専用鍵を挿入した後に左回りに回すことで、鍵穴48奥に設置されたエラー解除センサ100(図1では図示しない)よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また右回りに回すことで前面扉4が開放されると、図示しない前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132により開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4が開放されると、前面扉4と本体部分2とが離れたことを検出することができる。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、前述の3つのリール10a〜10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置134等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサを有しており、これら位置センサ(各リールに対応してそれぞれ左リール位置センサ106a、中リール位置センサ106b、右リール位置センサ106cと呼ぶ)からの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されている。またメダル投入口26の奥には図示しないメダルセレクタがあり、メダルセレクタ内には投入センサ104及びロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、前面扉4の内側でメダル投入口26より投入されるメダルの通路をロックアウトする(塞ぐ)役割を果たす。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。また、投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタがロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはクレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置134は、払出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができ、液晶表示部58等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者等に報知されることとなっている。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置134に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置134には、組み合わせが表示された図柄の種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置134はメダルの払い出し動作を行う。このときホッパ装置134内に払出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、メダルが全く無い状態であると、払出しセンサ98による枚数検出が滞ることとなり、所定時間経過(例えば3秒間)すると、払出しセンサ98より払出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させる。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP(Video Display Processor)124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58や各ランプ60,62,64,66それぞれの点灯または点滅及びスピーカ56の作動を制御している。
メイン制御基板92やサブ制御基板94等は、いずれも樹脂製の基板ボックスに収容された状態で本体部分2内に設置されている。基板ボックスは、外側から各基板への接触を阻害する保護ケースとなる。特にメイン制御基板92の基板ボックスは、機械的な封印部92a(ワンウェイねじによる締結部)によって開封不能に閉止されている。このためメイン制御基板92に不正チップ等を組み込もうとしても、基板ボックスを破壊しない限り改変はできないので、不正改造等を試みた場合にその痕跡をはっきり残すことができる。更に、基板ボックスには本体締結部92bが形成されており、基板ボックス全体が本体締結部92を介して本体部分2に対して強固に締結されている。従って、不正目的で基板ボックスそのものを本体部分2から取り外すことはできないし、もしも取り外しを試みた場合はその痕跡がはっきりと残されることになる。
更に、メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図4は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、先ず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a〜10cの回転を停止させるとともに各リール10a〜10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選種類と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選種類を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選種類については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は全リール10a,10b,10cの停止時に表示された図柄の表示態様(出目)から図柄の組み合わせが有効ラインに表示されたか否かを判断し、組み合わせが表示された場合はそれに応じた遊技結果を提供するためのものである。遊技結果のうち主な特典はメダルの払い出しであるが、メダルの払出しがなくとも、表示された図柄の組み合わせの種類に応じてボーナスゲームに移行する特典が与えられたり、あるいはメダルの払出しとは別に内部状態(各種モード)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については停止処理の後で説明する。
(2.始動処理)
図5は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは特に規定されておらず、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値からいずれの当選種類に当選したかが判断され、いずれかの当選種類に当選した場合、その当選種類に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。
いずれの当選種類にも当選しなかった場合、いずれの当選種類にも該当しない、所謂「ハズレ」となりハズレフラグがONにされる。当選フラグまたはハズレフラグ(所謂、成立フラグ)がONになっているときに、その成立フラグに該当した図柄を揃えることではじめて特典(遊技特典)が得られるものである。各々の特典についての詳細は後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cが始動され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。なお、フラグ処理については後述で詳細な説明をする。
(2−1.当選種類と当選図柄)
図6は、スロットマシン1の各種当選種類に対応した当選図柄の構成を示したものである。各々の当選図柄は全てのリールの停止時に表示窓8内に図柄の組み合わせ態様として有効ラインに揃うことでそれぞれの特典を得ることができるものである。なお、これらの当選図柄は各リールに夫々付されている。
(2−1−1.特別当選図柄〔ボーナス図柄〕:特別当選種類)
当選種類が特別当選種類〔Nanaボーナス(NB)、Chibiボーナス(CB)〕である場合に対応する図柄がNB図柄及びCB図柄のボーナス図柄である。NB図柄の組み合わせ態様「7−7−7」が表示窓8内の有効ライン上に停止すると「NBゲーム」が開始される。あるいは、CBの図柄(子供が描かれた図柄、以下ではC図柄と呼ぶ)「C−C−C」が表示窓8内の有効ラインに停止すると「CBゲーム」が開始される。
つまり、ボーナス図柄が揃うと「NBゲーム」もしくは「CBゲーム」のいずれかの特典が得られることになる。この「NBゲーム」、「CBゲーム」ともに、複数回のゲーム機会が集中して行われることで、大量のメダルを獲得することができる特典を有している。それゆえ、NBまたはCBは他の当選種類に比べて内部抽選で当選し辛くなっており(例えばNBは1/256程度、CBは1/512程度)、NB図柄、CB図柄それぞれ各リール10a,10b,10cに配置数が少なくなっている(概ね各リールに1個から2個程度の配置とする)。
またNB図柄が揃った場合、あるいはCB図柄が揃った場合ともに、そのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは後述するNBゲーム、CBゲームの特典によりメダルを大量に獲得できる機会が付与されることからあえてNB図柄あるいはCB図柄が夫々揃ったときにメダルの払い出しを伴わない内容としているが、NB図柄あるいはCB図柄が夫々揃ったときにメダルの払い出しを行ってもよい。ただし、上記の場合にメダルの払い出しを行う際は、NBゲーム、CBゲーム夫々におけるメダルの獲得枚数の合計(総獲得枚数)が上記の払い出しにより増加し過ぎることを防ぐ必要がある。
(2−1−2.再遊技図柄〔リプレイ図柄〕:再遊技当選種類)
当選種類が再遊技当選種類(リプレイ)である場合に対応する図柄が、再遊技図柄(リプレイ図柄)である。リプレイに対応する図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−ベル」が表示窓8内の有効ライン上に停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ラインと同じラインとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。また「リプレイゲーム」はメダルの払出しが行われない代わりにメダルを新たに消費する必要もない。そのため、当選頻度を高くして遊技者のメダルの消費量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選種類であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。それゆえ、リプレイは、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑えることのできる非常に重要な当選種類としての役割を担っている。従ってリプレイに内部抽選において当選した場合には極力特典が得られるように、リプレイ図柄も各リール10a,10b,10cごと、それぞれ満遍なく配置されている(各リールとも概ね1個から4個分の図柄〔リプレイ図柄以外の図柄〕おきに1個のリプレイ図柄を配置する)。
(2−1−3.単小役図柄〔チェリー図柄〕:単小役)
当選種類が単小役(チェリー)である場合に対応する図柄が、単小役図柄(チェリー図柄)である。チェリー図柄は少なくとも1つのリール(左リール10a)の表示窓8内の有効ライン上に停止する態様となっただけでメダルの払出し(3枚)が行われる。
つまり、チェリー図柄からは、3枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aの図柄の停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は、残りの中リール10b、右リール10cの図柄の組み合わせに影響されないため(つまり、中リール10b、右リール10cはどの図柄が停止した態様でもよい)、チェリー図柄の組み合わせとして「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
また、チェリー図柄は左リール10aのみにチェリー図柄を狙うだけで特典を得ることが可能であるので、遊技者が正確に目押しをしないと取りこぼしてしまう可能性を持たせている。即ち、左リール10aにチェリー図柄の配置を少なく(概ね2個から3個程度の配置とする)することで遊技者が目押しを必要とする小役としている。また、後述する一般小役と単小役(チェリー)はまとめて小役と呼ぶこともあり、以下では必要に応じて小役と呼称する。なお、以下で「小役」と呼称した場合は、一般小役と単小役をともに含めたものとする。
それでも左リール10aのチェリー図柄を正確に停止させることができれば当選したチェリーの特典(メダルの払出し)を得られるので、リプレイと同様、ゲーム進行におけるメダルの大量消費を抑えることのできる重要な当選種類としての役割を持っている。
またチェリーは左リール10aのみにあれば十分であることから、他のリール(中リール10b、右リール10c)にチェリー図柄を設けなくともよい。こうすると、他のリールにチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる。従って、チェリー図柄以外の当選図柄を配置するバリエーションが多く持てることとなり、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄の特典が付与されるリールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10bあるいは右リール10cの表示窓8内の有効ラインにチェリー図柄が停止した場合に特典が付与されることとしてもよい。つまり「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となるとチェリーの特典が付与されるものとする。あるいは、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの3つリールのうちいずれか2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内の有効ラインに停止したときにチェリーの特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「チェリー−ANY−チェリー」、「ANY−チェリー−チェリー」となる表示態様となった場合である。
上記のいずれの場合であっても、左リール10a、中リール10b及び右リール10cのリールのうち、少なくとも1つ(あるいは2つ)のリールのチェリー図柄を狙って停止操作を行うだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者が3つのリール全てを毎ゲーム目押しして停止操作する負荷を軽減させることにもなるからである。
(2−1−4.一般小役図柄〔ベル図柄、スイカ図柄〕:一般小役)
当選種類が一般小役であった場合に対応する図柄が、一般小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄)である。ベルに対応する図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」が表示窓8内の有効ライン上に停止すると12枚のメダルの払出しが行われる。また、スイカに対応する図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」または表示窓8内の有効ラインに停止すると10枚のメダルの払出しが行われる。
つまり、ベル及びスイカという一般小役に対応した図柄の組み合わせが揃うと、それぞれに対応した枚数のメダル(それぞれ12枚、10枚)が払出されるという特典が得られることになる。従って一般小役は、ゲームを進めるうえで、メダルの増加が期待できる当選種類であるといえる。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、ホールとの利益バランスが崩れてしまう。それを回避するために、一般小役図柄は、各リール10a,10b,10cごとの配置を少なくして(各リールとも概ね3個から5個程度の配置とする)、遊技者が各リールを正確に目押ししないと特典を得ることが難しくなっている。
本実施形態のスロットマシン1では、一般小役としてスイカとベルという複数の一般小役を用意している。そして、内部抽選での当選確率にスイカとベルとの差を設けたり、また目押しを必要とするか、あるいは目押しを必要としないかの差を設けたりすることができる。例えば、ベルは当選し易く、スイカは当選し辛い当選確率として、更にスイカは目押しの技量を相当発揮しないと取りこぼしてしまうものとし、一方、ベルは目押しの技量をほとんど必要とせずに揃えられるものとする。このような内容とすると、ベルとスイカとの間に価値(付与されるメダルの差に加えて目押しが必要とされる度合い)に差を設けることができ、初心者(初級の遊技者)から熟練者(上級の遊技者)まで満足のできるゲーム性(目押しの難易度を楽しむことができる)を持たせることができる。
なお、一般小役は上記のベル、スイカに加えて更に複数の種類を設けることもできる。ただし一般小役があまりにも多数の種類になってしまうと、その分、それぞれの図柄の配置数が減ることになり、全ての一般小役(またはその他図柄も含む)に目押しが必要となってしまうことが危惧される。従ってベル、スイカを含めても一般小役は3種類から4種類程度に留めることが望ましい。
(2−1−5.ボーナスゲーム専用役図柄:ボーナスゲーム専用役)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム及びCBゲーム中のみ有効となる当選種類としてボーナスゲーム専用役を設ける。ボーナスゲーム専用役に対応する図柄の組み合わせ態様(「スイカ−リプレイ−リプレイ」、「ベル−ベル−リプレイ」、「スイカ−ベル−リプレイ」の3種類がある)が表示窓8内の有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払出しが行われる。このボーナス専用役はNBゲーム及びCBゲーム内でのみ抽選される当選種類であるので、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでは、ボーナスゲーム専用役に当選することはない。即ち、NBゲーム及びCBゲーム中以外のゲームでボーナスゲーム専用役図柄が揃ったとしてもメダルの払出しも何も行われない。
(2−1−6.第1特殊当選図柄、第2特殊当選図柄〔特殊ボーナス図柄〕:第1特殊当選種類、第2特殊当選種類)
当選種類が特殊当選種類〔特殊ボーナス(特B)〕である場合に対応する図柄については、図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)を特殊当選種類に対応した組み合わせ態様として決めている。つまり特殊当選種類はそれ専用の図柄(例えば、7図柄やベル図柄やリプレイ図柄)といった象徴的な図柄を持たず、複数の異なる図柄の組み合わせを特殊当選種類に対応した組み合わせとして規定している(以下では、便宜的に特B図柄の組み合わせ、特B図柄の組み合わせが揃う等という)。表示窓8内の有効ライン上に上記の特B図柄の組み合わせのいずれかが揃うと、特殊ボーナスゲーム(特Bゲーム)が開始される。
つまり、特殊ボーナス図柄の組み合わせが揃うと「特Bゲーム」という特典が得られることになる。この「特Bゲーム」では「NBゲーム」及び「CBゲーム」とは異なり、大量のメダルを獲得する特典は有していない。その代わりに、特Bゲーム終了後から遊技者にとって有利な内部抽選が実行されるという特典を有している。この有利な特典についてはフラグ処理において詳しく説明する。また特B図柄の組み合わせが揃った場合も、NB図柄及びCB図柄が揃ったときと同様にそのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは特Bに当選したこと、あるいは特Bゲームが開始されることを遊技者に気付かせないためである。従って「リプレイ−リプレイ−ベル」または「ベル−リプレイ−リプレイ」の特B図柄の組み合わせが揃ったとしても遊技者には有効ライン上に停止した出目は単なるハズレのときの出目としか認識できないものであるから、遊技者に全く気付かせずに特B図柄の組み合わせを揃えさせて、かつ、特Bゲーム速やかに開始させることができる。
本実施形態のスロットマシン1では、上記の「リプレイ−リプレイ−ベル」を第1特B図柄の組み合わせ、「ベル−リプレイ−リプレイ」を第2特B図柄の組み合わせとしている。
以上が本実施形態のスロットマシン1における当選種類である。もちろん上記の当選図柄の組み合わせが揃わなかった場合、「ハズレ」または「取りこぼし」となりいずれの特典も得ることはできない。
(2−2.フラグ処理)
ここでは、フラグ処理について、図7から図9を用いて更に詳細に説明する。図7は、フラグ処理の具体的な内容を示している。先ずステップS201で、判定テーブル選択処理が行われる。ここでは内部抽選に適用される判定テーブルを選択する処理が行われる。詳細は後述するが、本実施形態のスロットマシン1では、通常確率判定テーブル、高確率A判定テーブル及び高確率B判定テーブルの3つの内部抽選で適用される判定テーブルが用意されている。そして判定テーブル選択処理ではこのうちのいずれかの判定テーブルが決められることになる。このとき決められた判定テーブルが適用されて以降のフラグの判定が行われていくことになる。
ここで、判定テーブルとは、内部抽選で用いられる各当選種類の当選確率を予め決めたものである。具体的には、抽出乱数(先のステップS106で抽出された乱数のことを指す、以下では、この乱数のことを抽出乱数として統一する)がいずれの当選種類に該当するかを判断して該当する当選フラグを決定するための判断基準として用いられるものである。つまりスロットマシン1の内部抽選における各当選種類の当選確率(抽選によって当選する確率)が予め規定されたものである。内部抽選における乱数の抽出はその抽出範囲(以下では抽出範囲と呼称する)が一定に決められており、この範囲内の各当選種類の当たり値(この当たり値のことを当選許容値と呼ぶ)を変えることで、ある特定の当選種類の当選確率を高くしたり(この場合、該当する当選種類の当選許容値の範囲を大きく変更する)、あるいは当選確率を低くしたり(当選許容値の範囲を小さく変更する)することができる。また内部抽選で必ず特定の当選種類に当選する(該当する当選種類の当選許容値の範囲を抽出範囲と同じにする)ことや、あるいは特定の当選種類には当選しない(当選許容値の範囲を無い状態〔当選許容値を0にする〕にする)とすることなどもできる。
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム終了後から必ず高確率A判定テーブルまたは高確率B判定テーブルのいずれかが選択されるものである。ただしこの場合、規定のゲーム回数(50回)を終えると判定テーブルが通常確率判定テーブルに変更される。一方、特Bゲーム終了後から移行する高確率判定テーブルは次回のNBに当選するまで継続されるものである。
また本実施形態のスロットマシン1では、乱数の抽出範囲を0〜16383(214=16384個の乱数)としているが、0〜32767(215=32768個の乱数)や、または0〜65535(216=65536個の乱数)としてもよい。乱数の抽出範囲を広げれば、それだけ乱数抽選で抽出される乱数値の抽出範囲(または分母)が大きくなり、乱数値が偏って抽出されることを極力回避することが可能になる。
ステップS201でいずれかの判定テーブルが選ばれると、続いてステップS202では、NBフラグまたはCBフラグがONになっているかが判断される。これは後述する判定処理で詳細を説明するが、NBフラグ及びCBフラグは、その該当する図柄(NB図柄、CB図柄)が揃えられるまで当選フラグが持ち越されるからである。またこの当選フラグが持ち越されている場合、新たにNBまたはCBの抽選は行われない。スロットマシン1では、この当選フラグの持ち越しが行われている間に抽出乱数がNBまたはCBに該当した場合、ハズレとして処理を行うこととなる。具体的には、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている間に新たなNBまたは新たなCBに当選した場合、その成立フラグは破棄するものとする。つまり、NBまたはCBの当選フラグが持ち越し可能とする代わりに、NB図柄またはCB図柄を揃えるまでは新たなNBまたはCBの抽選は行わないということである。
なお、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合、フラグ持越し用の判定テーブルを別途用いることとしてもよい。ただしあまり判定テーブルが多くなるとメイン制御基板92の負荷が増大することからスロットマシン1では新たなNBフラグまたはCBフラグを破棄するものとして、別途判定テーブルを用意する分のメイン制御基板92の負荷を軽減させている。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれもONになっていない(NBフラグまたはCBフラグが持ち越されていない)と判断されると(No)、ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がNBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS203=Yes)、NBフラグがONにされ(ステップS204)、次いで判定テーブル抽選が行われる(ステップS205)。この判定テーブル抽選では、NBゲーム終了後からのゲームに適用する判定テーブルを高確率A、高確率Bのいずれの判定テーブルとするかを決める抽選が実行される。ここで高確率A判定テーブルが選ばれると(ステップS206=Yes)、高確率A判定テーブルフラグがONにされる(ステップS207)。
高確率B判定テーブルが選ばれると(ステップS206=No)、高確率B判定テーブルフラグがONにされる(ステップS208)。ステップS207及びステップS208でいずれの高確率判定テーブルが選択された場合であっても、計数カウンタ始動フラグがONにされて(ステップS209)、コマンド送信処理へ進むことになる(ステップS223)。
ここで判定テーブル抽選については、高確率A判定テーブルと高確率B判定テーブルが夫々1/2の割合で選ばれるものである。換言すれば、
〔高確率A判定テーブル:高確率B判定テーブル=1:1〕
という比率となり、遊技者に高確率A判定テーブルと高確率B判定テーブルのどちらも選ばれる可能性は同じであるという期待を持たせることができる。
ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS211で抽出乱数が第1特Bの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数が第1特Bの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS211=Yes)、第1特BフラグがONにされ(ステップS212)、更に高確率A判定テーブルフラグがONにされて(ステップS213)、ステップS223のコマンド送信処理へ進む。つまり、第1特Bに当選すると、高確率A判定テーブルに必ず変更されることになる。
ステップS211で抽出乱数が第1特Bの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS214で抽出乱数が第2特Bの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数が第2特Bの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS214=Yes)、第2特BフラグがONにされ(ステップS215)、更に高確率B判定テーブルフラグがONにされて(ステップS216)、ステップS223のコマンド送信処理へ進む。つまり、第2特Bに当選すると、高確率B判定テーブルに必ず変更されることになる。上記のことから第1特B及び第2特Bはそれに当選するだけで高確率判定テーブルへの変更が決定するという遊技者にとって有利な特典に対応した当選種類であるといえる。
ステップS214で抽出乱数が第2特Bの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS217で抽出乱数がCBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がCBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS217=Yes)、CBフラグがONにされて(ステップS218)、ステップS223のコマンド送信処理へ進む。
ステップS202でNBフラグもCBフラグのいずれもONではない(NBフラグまたはCBフラグが持ち越されていない)と判断された場合(No)、及びステップS217で抽出乱数がCBの当選許容値に該当しないと判断された場合は、ステップS219で抽出乱数が小役(ベル、スイカ、チェリーのいずれか)の当選許容値に該当するかが判断される。ここでいずれの小役の当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS219=No)、ステップS221で抽出乱数がリプレイの当選許容値に該当するかが判断される。更にここでリプレイの当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS221=No、いずれの当選種類にも該当しなかった、つまりハズレに該当する)、ステップS223のコマンド送信処理へ進む。
ステップS219またはステップS221のいずれかでそれぞれの当選許容値(小役、リプレイ)に該当すると判断された場合(ステップS219=Yes、ステップS221=Yes)、それぞれ小役フラグがONにされ(ステップS220)、リプレイフラグがONにされて(ステップS222)、ステップS223のコマンド送信処理へ進む。
なお、CB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイが当選した場合、またはハズレとなった場合、判定テーブル抽選は行われない。つまり判定テーブルが移行する可能性がないので、遊技者がこれらの当選種類に当選しても有利な判定テーブルが適用されている状態から有利さの度合いの低い判定テーブルが適用される心配をせずにCB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイの特典を得ることができる。
ステップS223では、当選フラグ(またはハズレフラグ)、判定テーブルフラグ(または判定テーブルフラグ)及び計数カウンタ始動フラグ(NB当選時のみ)が情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信される処理が実行される。またCB、小役、リプレイ及びハズレについては当選フラグ(またはハズレフラグ)のみが夫々情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信されることとなる。これは、CB、小役、リプレイ及びハズレが当選フラグとなった場合、判定テーブル抽選が行われないためである。従って情報コマンドとして判定テーブルフラグ(または判定テーブルフラグ)を余計に送信することは避けてメイン制御基板94の負荷を減らすものとしている。
なお、内部抽選で適用する判定テーブルについては、フラグ処理以前の始動処理が行われる前に決定しておくこともできる。これは、乱数抽選での乱数の取りうる範囲(抽出範囲)が常に一定であるので、予め判定テーブルを決定してから乱数を抽出した場合、その抽出乱数を判定テーブルと照らし合わせることになることはフラグ処理の中で判定テーブルを選択するのと変わりがないからである。
図8は、先の判定テーブル選択処理(図7のステップS201)について具体的に示したものである。ステップS301では高確率A判定テーブルフラグがONであるかが判断される。ここで高確率A判定テーブルフラグがONであると判断されると(Yes)、計数カウンタにより計数されたゲーム回数が上限値(50回)未満であるかが判断される(ステップS302)。ここで計数されたゲーム回数とは、高確率A判定テーブルフラグがONとなってからのゲーム回数である。また計数カウンタについてはメイン制御基板92内に設けるものである。
ステップS302で回数カウンタ値が上限値未満であると判断されると(Yes)、高確率A判定テーブルが選択されて処理は終了となる(ステップS303)。また第1特Bから高確率A判定テーブルに判定テーブルが変更された場合は、計数カウンタが始動しないので必ず回数カウンタ値が上限値未満(ステップS302=Yes)となり、高確率A判定テーブルが選択されることになる。
高確率B判定テーブルフラグがONであると判断されると(ステップS301=No、かつ、ステップ304=Yes)、回数カウンタ値が上限値(50回)未満であるかが判断される(ステップS305)。ステップS305で回数カウンタ値が上限値未満であると判断されると(Yes)、高確率B判定テーブルが選択されて処理は終了となる(ステップS306)。また第2特Bから高確率B判定テーブルに判定テーブルが変更された場合は、計数カウンタが始動しないので必ず回数カウンタ値が上限値未満(ステップS305=Yes)となり、高確率B判定テーブルが選択されることになる。
上記で回数カウンタ値が上限値に達した場合(ステップS302=No、あるいは、ステップS305=No)、または通常確率判定テーブルフラグがONとなっている場合(ステップS301=No、かつ、ステップS304=No)には通常確率判定テーブルが選択されて処理は終了となる(ステップS307)。
夫々の判定テーブルの内容については、図9に夫々の当選確率と判定テーブルを具体的に示している。なお、以下では必要に応じて通常確率判定テーブルが適用された内部抽選が実行されている状態を通常確率時、高確率A判定テーブルが適用された内部抽選が実行されている状態を高確率A時、高確率B判定テーブルが適用された内部抽選が実行されている状態を高確率B時、また高確率A時と高確率B時を総称して高確率時と呼称する。
高確率判定テーブル〔図9(b)、(c)〕では、通常確率判定テーブル〔図9(a)〕に比べて、NBの内部抽選での当選確率が高く変更されていることが分かる。ここで内部抽選での当選確率を高く変更するというのは、当選許容値の範囲(または幅)を大きく(または広く)変更することをいう。また高確率B判定テーブル〔図9(c)〕では高確率A判定テーブル〔図9(b)〕と比べて、リプレイの内部抽選での当選確率も高く変更されているのが分かる。従って、通常確率よりも高確率Aが有利であり、高確率Aよりも高確率Bが有利な条件を備えているといえる。これは高確率判定テーブルではNBに当選しやすい(NBの当選確率が通常確率時に比べて10倍に上昇している)こと、及び高確率B判定テーブルではリプレイに当選しやすい(リプレイの当選確率が高確率A時及び通常確率時に比べて2.8倍に上昇している)ことからいえることである。
上記より高確率判定テーブルのうちでも、高確率A判定テーブルに比べて高確率B判定テーブルが遊技者にとってより有利な条件を備えている。また高確率判定テーブルが選択される条件(NBゲーム終了後か、特Bゲーム終了後か)によってその有利さの度合いに大きな差が設けられている。換言すれば、NB終了後からは必ず高確率時に移行するので、遊技者はNBに当選する度に高確率で内部抽選を受けられる機会が得られるが、ゲーム回数が限定されるために規定のゲーム回数内にNBに当選することができなければ、有利な機会は消失してしまう。従って遊技者はこの高確率時の間、ハラハラドキドキしながらゲームを行うことになる。
一方、特Bゲーム終了後から移行した高確率時はゲーム回数の制限等はなく、次回のNBに当選するまで継続することとなるのでNBゲーム終了後と違い、安心して次回のNBに当選するまでゲームを行うことができる。ただし特B当選及び特Bゲームの開始と終了が遊技者に報知(告知)されないものであるから、突然に高確率時に移行することとなり、遊技者は高確率時に移行したことを認識できない。
また本実施形態のスロットマシン1では、第1特B及び第2特Bは通常確率時でのみ当選の可能性のある当選種類となっており、夫々の当選確率は同じ(1/480)である。これにより高確率A時あるいは高確率B時に移行する割合が同じ(1/2)であるといえる。更に通常確率時に特Bに当選することによってNBに当選しなくても遊技状態を変化させることができ、遊技者にNBやCBに当選するまで通常のゲーム(この通常のゲームが長くなると、所謂ハマリと呼ばれる遊技状態となる)を強いるといったことを極力回避することができる。
上記のことから、遊技者は通常確率時よりも高確率時を望むようになる。また同じ高確率時に移行するのであれば、NBゲーム終了後から移行するよりも、突然に高確率時に移行することを望むようになる。ただし、NBゲーム終了後からは回数に制限があっても必ず高確率時に移行するということは、遊技者の興趣を十分に惹きつけることができるものである。
なお、NBゲーム終了後から高確率A判定テーブルまたは高確率B判定テーブルのいずれかが選択されても規定のゲーム回数は50回と同じとしたがこれに限定されることはない。即ち、高確率A判定テーブル、高確率B判定テーブルが継続する回数を各々変える態様をとることもできる。このようにすると、高確率A判定テーブルと高確率B判定テーブルとの価値の格差を様々に変えることが可能となる。
(3.リール停止処理:停止制御手段)
図10は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS301)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS302,S310,S317)。これらの待ち受け状態で、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの各リールが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左、中、右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。いずれの停止ボタン20,22,24も押されていなければ、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が繰り返される。
例えば、所謂「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左の停止ボタン20が押されたとすると(ステップS302=Yes)、左の停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていない(ステップS303=Yes)ため、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS304)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
あるいは、所謂「中押し」の手順に沿って最初に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes,ステップS311=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS312)が実行される。これ以外に、所謂「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右の停止ボタン24が押された場合は(ステップS317=Yes、ステップS318=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS319)が実行される。
左リール10a、中リール10b及び右リール10cのいずれかのリールについて第1リール停止処理(ステップS304,S312,S319)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、乱数値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば1つの当選役「ベル」について、リール10a〜10c上にある図柄「ベル」を有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されているが、前記テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10aから10cの停止位置が制御される。これにより、例えば図柄「ベル」が有効ライン上のどこかで停止されることとなる。
例えば、順押し手順に沿って左リール10aが第1番目に停止されるパターンを例にとると、ステップS304で左リール10aについて第1リール停止処理が行われる。また、このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS306では残りの中リール、右リール10b,10cについてそれぞれリール制御テーブル(停止テーブル)が乱数抽選によって決定される。具体的には、図1において左リール10aの停止時に図柄「ベル」が下段位置に停止されたとすると、停止された時点で図柄の組み合わせが表示されるラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
なお、リール制御テーブルで当選した図柄を停止させるためのラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると左リール10a(または第1リール)を停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄を停止させるのか決定しているため、前記ステップS306に示した乱数抽選を行う必要が無くなり、メイン制御基板92の負荷を軽減することができる。ただし、予め決定されたラインに該当図柄を停止させることにより、左リール10aについて、当選していないにも関わらずチェリー図柄が該当する有効ライン上に停止してしまう場合には、これを回避するために、予め決定されたラインを変更させて再度ラインを決めなおす乱数抽選等を行うこととしてもよい。
以上の処理(ステップS306)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS307)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS308)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階では全てのリール10a〜10cが停止していないので、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS302=No)、順押し手順に沿って2番目に中央位置の停止ボタン12が押されると(ステップS310=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS311=No)を経て中リール停止処理(ステップS313)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりに図柄が組み合わせとして表示されるラインの例でいうと、中リール10b上の図柄「ベル」が中段位置に停止することとなる。また停止目上は、右上がりライン上で左リール、中リール10a,10bに図柄「ベル」が2つ揃った状態(所謂「右上がりテンパイ」)となる。このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、中リール10bは第2停止であるためステップS312,S314,S315は全て迂回され、ステップS316にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右の停止ボタン13が押されると(ステップS317=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS318=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される(ステップS320)。これにより、3番目の右リール10c上の図柄「ベル」が上段位置に停止するので、全リール停止時の出目は、右上がりライン上に図柄「ベル」が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第3停止であるためステップS319,S321,S322は全て迂回され、ステップS323にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS309の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
なお、上記のリール停止処理では、内部抽選にて当選した当選種類に該当する当選図柄が停止操作の受け付けられた時点から表示窓8内に引き込み可能な範囲(位置)にある場合は、必ず引き込んで該当する当選図柄を表示窓8内に停止させようとする制御が行われる(引き込み制御)。引き込み可能な範囲とは、リールの停止操作が受け付けられてからリールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数(例えば、4図柄)のことをいう。
また本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ(再遊技当選種類)及びベル(一般小役のうちの1つ)をこの引き込み制御により取りこぼしの可能性がないものとする。なお、取りこぼしがないとしたのは、「順押し」あるいは「順はさみ押し」によるリール停止操作が行われた場合のみいえることである。従って上記以外のリール停止操作が行われた場合は、この限りではない。これは「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が受け付けられた場合、左リール10aのチェリー図柄を回避するための停止制御が行われるからである。具体的には、チェリー以外の当選種類に当選した場合、その該当する図柄(チェリー図柄以外)を揃えようと表示窓8内に引き込み制御を行うにあたり、同時にチェリー図柄を引き込まないようにするリール停止制御が行われるからである。このとき、上記の該当する図柄を揃えることよりもチェリー図柄を表示窓8内に停止させない制御が最優先されるので、結果として上記の該当する図柄が揃えられなくなることがある。従って、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作ではリプレイ及びベルを取りこぼしてしまう場合が生じるのである。
「順押し」あるいは「順はさみ押し」の停止操作が受け付けられた場合は、左リール10aが第1リール停止処理として停止制御されるので、チェリー図柄を表示窓8内に停止させない回避だけでよい。
上記のことから、本実施形態のスロットマシン1は「順押し専用」、「順押しまたは順はさみ押しにて御遊技下さい」等の案内(または明示、教示、説明)の表示を遊技機本体で遊技者が視認できる箇所(ベットボタンの近傍やメダル投入口の付近等)にして順押し(または順はさみ押し)で遊技者にゲームを行わせることが望ましい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(4.判定処理)
図11は、判定処理の内容を具体的に示している。上記のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止した状態となると、メイン制御基板92はそのとき表示されている出目を確認する処理を行う(ステップS401)このとき、表示窓8内の有効ライン上にいずれかの当選種類に該当する図柄の組み合わせが揃っているかが確認されることとなる
次に、有効ライン上に揃っている図柄の組み合わせがNB図柄の組み合わせであるか(ステップS402)、CB図柄の組み合わせであるか(ステップS405)、小役図柄(ベル図柄、スイカ図柄あるいはチェリー図柄のいずれか)であるか(ステップS408)、リプレイ図柄であるか(ステップS411)、またはいずれにも該当しないハズレとなる図柄の組み合わせであるかがそれぞれ判断される。そして、そのときに有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが全てNB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS402=Yes)、NB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS403)。また、有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが全てCB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS405=Yes)、CB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS406)。
有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄またはチェリー図柄のいずれか)に該当すると判断されると(ステップS408=Yes)、各小役に対応した枚数のメダル払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS411)。上記の小役のうち、ベルは全てベル図柄が有効ライン上に揃うことでベル図柄の組み合わせが揃ったと判断され、同様に全てスイカも全てスイカ図柄が有効ライン上に揃うことでスイカ図柄の組み合わせが揃ったと判断されることはNB、CBと同様である。しかし、チェリーについては、左リール10aの有効ライン上にチェリー図柄が停止するだけチェリー図柄の組み合わせが揃ったと判断される。
有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、全てリプレイ図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS411=Yes)、リプレイゲーム処理(ステップS412)が実行される。ここでリプレイゲーム処理とは、改めてメダルの投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲームを再遊技として実行できることをいう。その場合、有効ラインの数は、リプレイ図柄の組み合わせが揃ったゲームの有効ラインの数と同じライン数となる(例えば、3ベットしてゲームを開始した結果、リプレイが揃った場合、次ゲーム時に再遊技を開始するときも3ベット時のライン数が有効となる)。
全てNB図柄の組み合わせ、あるいは全てCB図柄の組み合わせを表示させることが許容された場合、つまり、図7のフラグ処理において、NBあるいはCBの当選フラグがONとなった場合は、そのときに有効ライン上に揃った図柄の組み合わせに応じてNBゲーム遊技処理(ステップS404)あるいはCBゲーム遊技処理(ステップS407)が実行されて判定処理は終了となる。
また小役図柄の組み合わせ、あるいは全てリプレイ図柄の組み合わせを表示させることが許容された場合、つまり、図7のフラグ処理において、小役あるいはリプレイの当選フラグがONとなった場合は、そのときに有効ライン上に揃った図柄の組み合わせに応じてメダルの払出しまたはリプレイゲーム処理が実行される。そして、小役またはリプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS410、S413)、この処理は終了となる。なお上記の図柄に応じてメダルの払出しが行われることは遊技価値付与手段の一例に相当する。また、ハズレフラグがONのときや成立フラグに対応する図柄が有効ライン上に揃っていない(取りこぼしが生じた)場合は(ステップS411=No)、NB当選フラグ及びCB当選フラグを除いたその他の成立フラグ(当選フラグ)がOFFにされて(ステップS414)、判定処理は終了となる。
ここでNB当選フラグ及びCB当選フラグを除いた成立フラグがOFFにされることとは、NB及びCBの当選フラグは維持されるということである。これは、NB及びCBが小役やリプレイに比べて遊技者にとってより有利な利益を与える特典に対応しているからである。つまり、NB及びCBに当選した場合、遊技者には小役やリプレイとは比較にならない程、大量のメダルを獲得できる機会が与えられるからである。この大量のメダルの獲得機会を全ての遊技者に与えるために本実施形態のスロットマシン1ではNB及びCBフラグの維持を行うものである。従って遊技者は安心してゲームを行い、NBあるいはCBに当選してメダルを大量に獲得することを願うこととなる。なおNB及びCBの特典の詳細な内容については後述する。
一方、小役及びリプレイについてはその当選したゲーム(内部抽選で小役フラグがONになった、あるいはリプレイフラグがONになった)で該当する小役図柄あるいはリプレイ図柄を揃えられなければその成立フラグは消滅してしまう。それゆえ、リプレイは取りこぼしが起こらないリール配列とすることや、または小役の中に目押しが不要な小役と目押しが必要な小役とを設けてゲームにメリハリ(目押しも何もせず適当にゲームを行っている遊技者と目押しを正確に行っている遊技者との間にメダルの獲得枚数に若干の差を生じる)をつけることで遊技者が極力不利益を被ることを回避して、また目押しの負担も軽減させることができる
(5.特別遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NB図柄(「7−7−7」)またはCB図柄(「C−C−C」)の図柄の組み合わせが表示された(図柄が揃った)場合、次回のゲームからそれぞれ「NBゲーム」、「CBゲーム」と称する特別遊技状態に移行する。これらNBゲームやCBゲームは複数回のゲーム機会が含まれており、この間に集中してメダル等の払出しの可能性があるため、遊技者にとっては通常のゲーム(通常遊技状態)よりも有利な状態であるといえる。このNBゲーム、CBゲームは遊技価値付与機会増加手段の一例に相当する。
(5−1.NBゲーム遊技処理)
図12は、NBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理が行われるとともにNBフラグがOFFにされ、NBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS501)。ここで変更された当たり値テーブルはボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有しており、ボーナスゲーム専用役の当選確率は、1/1.01と、ほぼボーナスゲーム専用役に当選することが確実といえるものとなっている。つまり、NBゲーム中はほぼ毎ゲーム、ボーナスゲーム専用役に当選する可能性が高い状態にあるといえる。更にNBゲーム用の当選許容値には、NB、CBの当選許容値は含まれておらず、NBゲーム中にCB、更にNBには重複して当選しないものとなっている。またNBゲーム用の当選許容値には、小役、リプレイの当選許容値も含まないものとしており、NBゲーム中に小役またはリプレイに当選することもないものとしている。従ってNBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいはハズレ(稀に)となるかのいずれかになるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、NBゲームを通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームが行うことができる。
ステップS501に次いで、ステップS502ではリール装置10の始動処理及び停止処理(ステップS503)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理によって全リール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS504)、そして、内部のNBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS505)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS506)。
判断の結果、ボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS506=No)はステップS510に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれかであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄を3つの組み合わせ態様として用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄に対応した3つの組み合わせ態様のいずれかが揃うこととなる。
これに対し、ステップS506の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、ステップS507の払出処理が行われメダルが払出される。更にこのとき、メイン制御基板92は該当図柄に対応した枚数のメダルの払い出しをホッパ装置134に指示するとともに、払出し音コマンドをサブ制御基板94に送信する(ステップS508)。また、メイン制御基板92がメダルの払い出しを指示すると、その枚数分だけ累計払出枚数がカウントアップされる(ステップS509)。
ステップS509に続いてステップS510が実行され、そこで成立フラグ(ボーナスゲーム専用役の当選フラグ)がOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にNBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS511)、終了条件が満たされていない間(ステップS511=No)はステップS502に戻って次の始動処理が行われる。
NBゲームの終了条件は、以下のいずれかが満たされた場合である。
(1)ステップS505で、NBゲーム数カウンタのカウント数が36回に達したこと。
(2)ステップS509で、累計払出枚数が500枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS511の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定テーブル移行処理が実行される(ステップS512)。この判定テーブル移行処理では、図7のフラグ処理における情報コマンド(判定テーブルフラグ及び計数カウンタ始動フラグ)の確認が行われる。ここで確認された情報コマンドに基づき、NBゲームの終了後から適用する判定テーブルが移行(または継続)することとなる。例えば、現在内部抽選で適用されている判定テーブルが通常確率判定テーブルであり、情報コマンドが高確率A判定テーブルフラグであれば、判定テーブルが高確率A判定テーブルへ移行されて規定のゲーム回数の間、高確率A判定テーブルが適用されることとなる。
なお、NBゲーム中に小役(ベル、スイカ、チェリー)のいずれかを揃えることでメダルを獲得できる態様であってもよい。また全ての小役が満遍なく揃えられる態様であってもよい。
(5−2.CBゲーム遊技処理)
図13は、CBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理として、CBフラグがOFFにされるとともに、RBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブルが変更される(ステップS601)。ここで変更された当たり値テーブルはNBゲーム用の乱数抽選の当たり値テーブルと同様、ボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有しており、ボーナスゲーム専用役の当選確率は、1/1.01と、ほぼボーナスゲーム専用役に当選することが確実といえるものとなっている。つまり、CBゲーム中もNBゲーム中と同様にほぼ毎ゲーム、ボーナスゲーム専用役に当選する可能性が高い状態にあるといえる。更にCBゲーム用の当選許容値には、CB、NBの当選許容値は含まれておらず、CBゲーム中にNB、更にCBには重複して当選しないものとなっている。またCBゲーム用の当選許容値にも、小役、リプレイの当選許容値は含まれないものとして、CBゲーム中に小役またはリプレイに当選することはない。従ってCBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいはハズレ(稀に)となるかのいずれかになるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、CBゲームでは通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームが行うことができる。
次にリール装置10の始動処理(ステップS602)及び停止処理(ステップS603)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理によって全リール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS604)、そして、内部のCBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS605)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS606)。
上記の判断の結果、ボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS606=No)はステップS610に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれであると考えられる。
これに対し、ステップS606の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、ステップS607の払出処理が行われメダルが払出される。このとき、メイン制御基板92は該当図柄に対応した枚数のメダルの払い出しをホッパ装置134に指示するとともに、払出し音コマンドをサブ制御基板94に送信する(ステップS608)。また、メイン制御基板92がメダルの払い出しを指示すると、その枚数分だけ累計払出しカウンタがカウントアップされる(ステップS609)。
ステップS609に続いてステップS610が実行され、そこで成立フラグ(ボーナスゲーム専用役の当選フラグ)がOFFになる。そして、毎回のゲーム終了後にCBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS611)、終了条件が満たされていない間(ステップS612=No)はステップS602に戻って次の始動処理が行われる。
CBゲームの終了条件は、以下のいずれかが満たされた場合である。
(1)ステップS605で、CBゲーム数カウンタのカウント数が18回に達したこと。
(2)ステップS609で、累計払出枚数が250枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS611の終了判定が肯定(Yes)され、次にCBゲームの終了処理が行われるとともに当たり値テーブルが元に戻される(ステップS612)。
(5−3.特Bゲーム遊技処理)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム、CBゲーム以外にも特Bゲームと呼ばれる特別遊技状態に移行する。図14は、特Bゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理が行われるとともに特BフラグがOFFにされ、特Bゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS701)。ここで変更された当たり値テーブルはボーナスゲーム専用役の当たり値は含まず、小役とリプレイ及びハズレの当選許容値からなっている。この際の小役及びリプレイの当選確率については通常確率時と同じ当選確率である〔図9(a)参照〕。更に特Bゲーム用の当選許容値には、NB、CB及び第1特B、第2特Bの当選許容値は含まれておらず、特Bゲーム中に新たにNB、CBまたは第1特B、第2特Bには重複して当選しないものとなっている。つまり、特Bゲーム中は通常確率時と同じ当選確率で小役またはリプレイに当選する可能性があるので、遊技者に全く気付かせずに特Bゲームを開始させることができる。また特Bゲームは通常のゲームと同じくメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者に通常のゲームを行っているという印象を持たせることができる。
ステップS701に次いで、ステップS702ではリール装置10の始動処理及び停止処理(ステップS703)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理によって全リール10a,10b,10cが停止すると、内部の特Bゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS704)。
次に、ステップS705では全リール10a,10b,10c停止時の出目の判定処理が実行される。この判定処理の内容は既に説明したものと同じである。
判定処理が終了すると、小役に当選してメダルの払出しが行われた場合のみその払出されたメダルの枚数分だけ払出しカウンタがカウントアップされる(ステップS706)。リプレイに当選またはハズレとなってメダルの払出しが行われなかった場合には払出しカウンタがカウントアップはされない。そして次回以降のゲームで小役に当選してメダルの払出しが行われた場合には払出しカウンタがカウントアップされることとなる。
そして、毎回のゲーム終了後に特Bゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS707)、終了条件が満たされていない間(ステップS707=No)はステップS702に戻って次の始動処理が行われる。
特Bゲームの終了条件は、以下のいずれかが満たされた場合である。
(1)ステップS704で、特Bゲーム数カウンタのカウント数が5回に達したこと。
(2)ステップS706で、累計払出枚数が3枚に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS707の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定テーブル変更処理が実行される(ステップS708)。この判定テーブル変更処理では、図7のフラグ処理における情報コマンド(判定テーブルフラグ)の確認が行われる。ここで確認された情報コマンドに基づき、特Bゲームの終了後から適用する判定テーブルの変更が行われる。
また本実施形態のスロットマシン1では、特Bに更に第1特Bと第2特Bという2つの当選種類に分けている。この2つの当選種類は、特Bゲームに移行することについては同じであるが、ステップS708の判定テーブル変更処理で変更させる判定テーブルに違いがある。例えば、第1特B図柄の組み合わせが揃ったことから開始される特Bゲーム(第1特Bゲーム)では、現在の判定テーブルを高確率A判定テーブルに変更させる処理が行われ、第2特B図柄の組み合わせが揃ったことから開始される特Bゲーム(第2特Bゲーム)では、現在の判定テーブルを高確率B判定テーブルに変更させる処理が行われるということである。これは第1特Bフラグが高確率A判定テーブルフラグとともに、第2特Bフラグが高確率B判定テーブルフラグとともに情報コマンドとしてコマンド送信処理(図7参照)が実行されるからである。
(6.ゲーム進行)
本実施形態のスロットマシン1は、通常確率時の判定テーブルを複数用意してホール等が適宜いずれの判定テーブルを用いるかを予め決めることができる。これは回胴式遊技機等における「設定」と呼ばれるものである。この「設定」では、各当選種類の当選確率を異ならせた複数の判定テーブルを6段階に分けて、相対的に各当選確率の高い順番に「設定値6」、「設定値5」〜「設定値2」、「設定値1」と対応づける。この設定値はホール等が毎日あるいは定期的に調整(変更)することで出玉調整を可能とするものである。ここで出玉調整とは、例えば、設定値を高くして遊技者にメダルを大量に獲得させたり、設定値を低くして遊技者にメダルを多く消費させたり、ホールの経営形態に合わせて設定値を調整してホールの全体としての利益を調整することをいう。
従って、遊技者はより設定値が高く調整されたスロットマシン1でのゲームを望み、ホールは設定値をできるだけ低く抑えて利益を上げ、かつ、遊技者にも楽しめる程度の設定値となるようスロットマシン1の設定値を調整することとなる。
通常確率時の判定テーブルに合わせて高確率時(高確率A、高確率B)の判定テーブルも複数の種類を設けることができる。これにより遊技者が獲得するメダル枚数に設定値ごとの差を明確につけることができる。ここで設定値を設けることにより、遊技者が終日ゲームを行った場合に獲得するトータル獲得メダル枚数をある程度設定値ごとに一定の範囲に抑えることが可能となる。また、スロットマシン1の設定値は、ホールの経営形態等に合わせて変更することができる。例えば、イベントなどによりホールに多くの集客をしたい場合は設定値を上げる(高い設定値に変更する)ことや、土日祭日等の多くの集客が期待できる場合には設定値を低く変更してホールの利益を上げたり、また平日等の土日祭日に比べて集客の期待できない場合には設定値を高く変更して遊技者に利益を還元して集客を計ったりすることができる。
本実施形態のスロットマシン1では、上記の設定値4に相当する各当選種類の当選確率及び判定テーブルを図9に示している。通常確率時におけるNBの当選確率は前述のとおり1/256とし、高確率時には10倍の1/25.6にまでNBの当選確率を高く変更させることができる。従って高確率時、即ち高確率判定テーブルが選択された内部抽選が行われている場合、NBに当選する可能性が通常確率時に比べると相当に高いといえるので、遊技者は短いゲーム試行でNBに当選することができる。
上記のとおり、本実施形態のスロットマシン1ではいかに多くNB(CBも含む)に当選することができるかが勝負の分かれ目であるといえる。それゆえ、どれだけ高確率判定テーブルが選択されるかによりゲームの展開(どれだけ大量のメダルを獲得できるか)が大きく左右されることとなる。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、NBに当選したことを契機として必ず判定テーブルを移行(通常確率判定テーブルから高確率判定テーブルへ)させることができるものであるから、遊技者にNBゲーム終了後からのゲームに遊技者の興味を惹きつけることができる。更に本実施形態のスロットマシン1における最大の特徴は、NBに当選した以外においても判定テーブルの移行が行われることにある。
具体的には、特Bに当選したことを契機として判定テーブルの移行(通常確率判定テーブルから高確率判定テーブルへ)が行われることである。ここで重要なことは、特Bを契機とした場合も、必ず高確率判定テーブルへの移行が行われることである。更に高確率判定テーブルが選択されている場合、特Bに当選する可能性が無い(高確率判定手テーブルでは特Bの当選許容値を無しとしている)ことから、高確率判定テーブルから通常確率判定テーブルへの移行(この場合、転落ともいえる)という遊技者を落胆させる結果を招くことがない。
また、特Bはそれに当選したことも、更には特Bゲームが開始されていることも遊技者には分からないものであるから、遊技者は知らない間に高確率判定テーブルの適用された内部抽選にてゲームを進行させることとなる。そうすると、程なくして(短いゲーム試行回数で)NBに当選することとなる。こうした場合、遊技者は自力で(つまり通常確率時のゲームで運良く)NBに当選したと思い、突然に高確率判定テーブルに判定テーブルが変更していたことなどには気付くことが無い。
そこで、本実施形態のスロットマシン1では更に高確率判定テーブルにも複数の種類を設けて、夫々特徴を持たせている。つまり、高確率A判定テーブルは、NBの当選確率のみを高く変更させたものとし、高確率B判定テーブルは、NBの当選確率に加えてリプレイの当選確率も高く変更させたものとしている。
ここで2つの高確率判定テーブル、即ち高確率A判定テーブル及び高確率B判定テーブルの特徴を述べると、高確率A判定テーブルでは、NBに当選し易いがその他の当選種類については通常確率判定テーブルと同じであるといえる。これは、見た目(小役の当選状況やリプレイの当選状況)からは全く遊技状態(内部状態)の変化が判断できないということである。
高確率B判定テーブルでは、NBに当選し易く、更にリプレイにも当選し易くなっている。この場合、遊技者はリプレイの当選状況の変化、つまりリプレイに当選することが多くなったと気付くことが可能となる。
以上の内容から、本実施形態のスロットマシン1では、NB終了後に先ず遊技者の興味を惹きつけることができる。ここでリプレイの当選状況が変化していると判断できれば、つまりリプレイに頻繁に当選するような状況となれば、高確率B時であるとある程度判断することができる。仮にリプレイの当選状況が変化していないと判断できれば、高確率A時であるとある程度判断することができる。いずれの場合であっても規定のゲーム回数の間は遊技者にとっては有利な条件で内部抽選が実行される期間であり、遊技者はこの間にNBに当選することを大いに期待しながらゲームを進めることとなる。
上記でNBゲーム終了後の規定のゲーム回数を終えてしまった場合、あるいは通常のゲームが長く続いている場合、遊技者が期待することは、特Bに当選することである。この特Bは当選したことも分からず、特Bゲームが行われていることも分からないので、遊技者が通常のゲームだと思い進めているゲームがひょっとしたら特Bゲームであるかもしれないという期待を絶えず持たせることができる。更に第2特Bゲーム終了後からは高確率B時に遊技状態が変化するので、突然にリプレイが当選し易くなったという驚きと、高確率B時であるという喜びを遊技者は認識することとなる。
しかし特Bゲームにはもう一つ第1特Bゲームが用意されており、この第1特Bゲーム終了後からはリプレイの当選することも多くならず、通常のゲームと変わりが無いため遊技状態の変化に気付くことができない。従って、通常のゲームが長く続いたとしても、遊技者は自分が気付かないうちに既に第1特Bゲームが終了していて、高確率時に移行しているかもしれないという期待を抱くようになる。つまり通常のゲームが長く続くこととなっても、遊技者が興趣を大きく低下させてしまうことを極力回避させることができる。
以上の内容から、本実施形態のスロットマシン1は、NBゲームから、あるいは突然に(特Bゲームから)遊技者にとって有利な遊技状態に変化する期待を持つことができるので、通常のゲームで退屈さを感じるといった興趣の低下となる要因を極力抑えることができる。
また本実施形態のスロットマシン1では、遊技状態の変化に応じた各種演出処理を液晶表示部58での演出表示のほか、スピーカ56による効果音、各ランプ60,62,64,66による発光や点灯、更にボーナスフラグ告知ランプ44、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払出し枚数表示部34等も加えた様々な演出態様を実行させることができる。これにより遊技者は視覚的にも聴覚的にも満足して、ゲームに対する興趣を高めていくことになる。
(7.演出処理)
以上は、メイン制御基板92による遊技制御の例であるが、本実施形態のスロットマシン1では、遊技の進行にあわせてサブ制御基板94により演出動作の制御が行われる。
図15は、サブ制御基板94により実行される演出処理の一例を示している。スロットマシン1の電源が投入(電源スイッチ76がONに操作)されると、この演出処理において先ず初期化処理が行われる(ステップS801)。次にメイン制御基板92から送信されるメダル投入コマンドが待ち受けられ(ステップS802)、実際にメダル投入コマンドが送信されると、これに応じて投入音やベット音等を出力させる演出(メダル投入演出処理)が行われる(ステップS803)。
続いて、メイン制御基板92から送信される当選(始動)フラグコマンドが待ち受けられる(ステップS804)。当選(始動)フラグコマンドは、始動レバー18の操作を契機としてメイン制御基板92から送信され、サブ制御基板94では、当選(始動)フラグコマンドを受信すると、それに合わせた演出動作の制御が行われる(ステップS805、始動時演出処理)。ここでの演出動作は例えば、リール始動音の出力や液晶表示装置58による画像表示演出等である。
上記の始動時演出処理が行われると、続いて停止情報コマンドが待ち受けられる(ステップS806)。3つの停止ボタン20,22,24が全て停止操作されると、メイン制御基板92からサブ制御基板94に停止情報コマンドが送信され、これを受けてサブ制御基板94では、それぞれ当選フラグと停止情報コマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS807、停止時演出処理)。
この停止情報コマンドは、第1停止情報〜第3停止情報コマンドまでを夫々待ち受けることとすることもできる。即ち、各リールの停止音やリール消灯演出を、停止操作が受け付けられたリールごとに行うことにより、全てのリールが停止する前から演出動作を開始させることが可能となる。
そして、ステップS808では、判定処理の結果に応じてメイン制御基板92から払出コマンドが送信されてくるので、これを受けてサブ制御基板94では払出し音出力による演出が行われる。更に、ここではメイン制御基板92から送信される遊技ステータスコマンドが待ち受けられ、受信したコマンドから現在の遊技ステータスが吟味される。このときも受信した遊技ステータスコマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS809、遊技ステータス演出処理)。なお遊技ステータスは、遊技状態(通常時、NBゲーム等)を表すものである。
(7−1.始動時演出処理)
始動時演出処理では、前述したフラグ処理の結果としてメイン制御基板92より送信される情報コマンドをサブ制御基盤94にて受信したことに基づいた演出処理が実行される。本実施形態のスロットマシン1では液晶表示部58、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66等によって様々な演出が行われる。なお液晶表示部に代えて、役物(キャラクターを模した人形を動かす等)、サイドリール(リール装置10のリールとは別に演出の一環として始動停止を遊技者の操作に因らず実行するもの)等により演出を行わせることとしてもよい。こうした様々な演出は、遊技者がゲームを進めて行く上で気分を和ませたり、または気分を高揚させたりするものである。
ここで演出の内容については、
(1)通常ゲーム演出
(2)当選フラグ示唆演出
(3)ボーナス当選告知演出
(4)連続区間演出A
(5)連続区間演出B
以上の演出が本実施形態のスロットマシン1では用意されている。
上記の演出の夫々の特徴として、(1)通常ゲーム演出は、これから演出が行われることを予感させる内容のものである。つまり遊技者には何かこれから演出が展開するかもしれないという含みを持たせて遊技者の期待を損なわない内容とする。例えば、背景を時間経過に伴い変化させる(雲が流れていく、太陽が昇りそして沈んでいく、四季が移り変わる等)ことや、キャラクター(主人公)が家でくつろいでいること等が挙げられる。
(2)当選フラグ示唆演出は、内部抽選で当選した成立フラグ(ハズレフラグも含む)に基づき、その成立フラグ(NB、CB、小役、リプレイ)を遊技者に示唆(または遠まわしに察知させる)させる内容のものである。例えば、内部抽選でスイカに当選した場合であれば、スイカ図柄を示唆する内容(スイカの色、スイカを模した絵)を演出画像として表示させたり、またはランプの発光をさせたりすることが挙げられる。
(3)ボーナス当選告知演出は、NBあるいはCBに当選したことを明確に遊技者に告知する内容のものである。例えば、「ボーナス確定!」のメッセージを表示させたり、主人公に「当っていますよ!」などの音声を発生させたりすることが挙げられる。またボーナス告知ランプ44を点灯させて遊技者にボーナスを告知することもこのボーナス当選告知演出の内容に含まれる。
(4)連続区間演出A及び(5)連続区間演出B(以下ではこの両者をまとめて連続区間演出と呼称する)は、主に特Bに当選した場合に行われる内容のものである。この連続区間演出のみ、他の演出と異なり複数ゲームにわたり連続した演出が行われる。例えば、西部劇や時代劇などのシナリオが進行することや、大食いや綱引きなどの競争が展開されることなどが挙げられる。
この連続区間演出では、必ず結果(シナリオの結末、競争の勝敗)が演出内容の最後に行われる。従って連続区間演出が始まると遊技者はその結果に希望を持ってゲームを進めていくこととなる。更に連続区間演出には、連続区間演出A、連続区間演出Bを設けて遊技者に毎回同じ連続区間演出が行われるといったワンパターンな演出となってしまうことを回避することが可能となっている。
始動時演出処理で実行される演出パターンを具体的に示したものが図16である。この演出パターンテーブルは、通常確率時(通常確率判定テーブルが選択されている)、高確率A時(高確率判定テーブルが選択されている)、高確率B時(高確率B判定テーブルが選択されている)ごとに夫々別々に用意することができる。
この演出パターンテーブルは、サブ制御基板94で行われる乱数抽選(以下では、演出抽選と呼称する)の結果を夫々の演出に対応付けたものであり、この演出抽選では、演出パターン乱数(0〜99)の中から抽出された乱数値に対応した演出が実行されるものである。
図16(a)は通常確率時における当選フラグと演出の関係を表したものであり、表の横方向には各当選フラグを、縦方向には各演出の名称が記載されている。このテーブル表に基づいて、当選フラグごとにいずれの演出を選択するかが決まるものである。つまり演出抽選は当選フラグに基づいて、その当選フラグごとに行われるものである。
例えば、(a)通常確率時における内部抽選で、当選フラグがハズレフラグであった場合(フラグ処理での情報コマンドがハズレフラグ)、0〜94までの演出パターン乱数が選ばれると通常ゲーム演出が実行され、95〜97までの演出パターン乱数が選ばれると当選フラグ示唆演出が実行される。更に98の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Aが実行され、99の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Bが実行されることになる。この演出パターン乱数は、当選フラグによって各演出の選択範囲(当選許容値)が異なっている。また(a)通常確率時、(b)高確率A時、(c)高確率B時によって同じ種類の当選フラグであっても演出パターン乱数の各演出が選択される当選許容値が異なっている。
また連続区間演出については、ハズレ、あるいは小役が当選フラグとなった場合は、そのゲームから連続区間演出を開始させるものとし、NBあるいは特Bが当選フラグとなった場合は、夫々NBゲーム、特Bゲームが終了した直後のゲームから連続区間演出を開始させるものとする。従って、図16(a)通常確率時で当選フラグがNBまたは特Bとなった場合、(b)高確率A時及び(c)高確率B時で当選フラグがNBとなった場合には、夫々NBゲーム、特Bゲームが終了してから連続区間演出が開始されることになる。
ここで、演出パターンテーブルの特徴を挙げると、
(1)通常確率時は、ハズレ、ベル及びリプレイ当選時は通常ゲーム演出が選択される可能性が高く、NB当選時は連続区間演出が選択されやすく、CB当選時は連続区間演出が選択されない。
(2)高確率A時は、チェリー及びリプレイ当選時に当選フラグ示唆演出が選択されやすく、スイカ当選時は選択されにくい。またNB当選時に連続区間演出、特に連続区間演出Aが選択されやすく、CB当選時には選択されにくい。
(3)高確率B時は、ハズレ及びスイカ当選時に当選フラグ示唆演出が選択されやすく、チェリー及びリプレイ当選時は選択されにくい。またCB当選時に連続区間演出、特に連続区間演出Bが選択されやすく、NB当選時には連続区間演出が選択されにくい。
といった特徴が顕著であるといえる。
以上の内容から、夫々の演出パターンから現在の遊技状態(内部抽選に適用されている判定テーブルがいずれであるのか)の特徴をいかにして正確に見つけ出せるかが、スロットマシン1でゲームを進める際の勝負の分かれ目であり、遊技者の興趣を惹きつける点であるといえる。
(7−2.連続区間演出)
連続区間演出が連続区間演出A、連続区間演出Bと複数あることは前述したとおりである。図17はこの連続区間演出の振分けを更に詳細に示した表である。表の横方向には始動操作が行われた時点での遊技状態、縦方向には各演出の名称を表している。また表中の数値は図16で説明した演出パターン乱数値である。特Bは、第1特Bと第2特Bについて連続区間演出での演出パターン乱数の振分けのみが異なるものである。
連続区間演出は、連続区間演出Aを成功エンディング、失敗エンディングとに分け、連続区間演出Bを勝利エンディング、敗北エンディングとに分ける。更に夫々の演出をその演出が継続されるゲーム数により2つに分けることができる。継続ゲーム数としては、3ゲームの間連続して演出が実行されるものをショート、5ゲームの間連続して演出が実行されるものをロングと呼称する。いずれも継続ゲームの最終ゲーム(即ち、ショートでは3ゲーム目、ロングでは5ゲーム目)には結果演出表示(エンディング表示)が行われる。
連続区間演出の特徴としては、
(1)NBゲーム終了後からの連続区間演出は高確率時では必ず成功または勝利エンディングが選ばれる可能性があるが、通常確率時では全てのエンディング(ロング)が選ばれる可能性がある。
(2)第1特Bゲーム終了後は、失敗エンディング(ショート)及び敗北エンディング(ショート)は選ばれない。また第2特Bゲーム終了後は失敗エンディング(ロング)及び敗北エンディング(ロング)は選ばれない。
(3)高確率A時と高確率B時では、スイカ、チェリー、CBで選択される演出が夫々異なっている(判断をつける目安とすることが可能である)。
といったことが代表的な特徴として挙げられる。
連続区間演出は、ハズレや小役(スイカ、チェリー)では選択される可能性が低いので主にNBゲーム終了後あるいは特Bゲーム終了後に行われることが多くなるといえる。ただし、ハズレや小役(スイカ、チェリー)当選時にも連続区間演出が少なからず選択されることで、通常のゲームであっても遊技者に期待を持たせることが可能となる。
(7−3.停止時演出処理)
停止時演出処理では、前述したリール停止処理及び判定処理を受けて演出処理が実行される。停止時演出処理においても始動時演出処理にて行われる各種演出、即ち通常ゲーム演出、当選フラグ示唆演出、ボーナス当選告知演出、連続区間演出A、連続区間演出Bを実行させることができる。ただし当選フラグ示唆演出については、全てのリールが停止する前に演出を実行させることが望ましい。これは当選フラグ示唆演出が遊技者に当選フラグを教える(遠まわしに)意味合いを持った演出であるから、全てのリールが停止してからそのときの当選フラグを教えられても遊技者にとっては好ましくないからである。まして該当の当選フラグを遊技者が取りこぼしてしまった場合、遊技者の不興を買ってしまうことにもなるからである。
その他の演出処理、つまりメダル投入演出処理及び遊技ステータス演出処理も、停止時演出処理と同様に各種演出を実行させることができる。特に連続区間演出については、複数のゲームにわたって繰り広げられるものであるから、連続区間演出を上記の各演出処理のいずれから開始させるかを予め決めてしまうのではなく、上記の各演出処理のいずれからも開始されるものとすることで遊技者がゲームの進行に関わる操作のいずれかからでも期待のできる演出が開始される期待を持つことができる。
(7−4.連続区間演出の画像例)
図18及び図19は、連続区間演出Aで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Aでは、主人公の友達の子供(CB図柄に描かれている子供)が閉店前の「おでん屋」でおでんを完食(食べきれるか)できるか否かが連続した演出(3または5ゲームの間)として行われる。図18(a)は、おでん屋に子供が登場している画像である。(b)は完食目標がおでん6串分が表示されており、これから完食を目指そうとしている場面の画像である。(c)では食べ始めた当初の場面の画像であり、(d)では閉店時間まであと1分と時間が経過して急いで食べきらないと間に合わないために子供が焦っている様子の画像である。(e)では順調におでんを食べている様子の画像であり、(f)では見事に完食(おでんを6串食べきった)した様子を表した画像である。ここまでが連続区間演出Aの成功となったパターン(成功エンディング)を表したものである。
図19(a)は、お腹が一杯になってきて完食が難しい様子を示唆する画像である。(b)では結局制限時間内に完食ができず失敗となったパターン(失敗エンディング)を表したものである。(c)、(d)は完食が難しそうな場面で逆転(完食できるかもしれない可能性が高いことを示す)を予感させる画像の一例である。この(c)あるいは(d)の展開となると、一転して成功エンディングが近づくこととなる。
また図20及び図21は、連続区間演出Bで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Bでは、主人公の少年のチームが相手チームとで綱引きの試合が連続した演出(3または5ゲームの間)として行われる。図20(a)、(b)は綱引き試合のチーム紹介が行われている場面の画像である。(a)の画像の上半分の同じ顔の男の子が6人いるチームが主人公の少年のチームであり、画像の下半分のいろいろな顔のキャラクターが6人いるチームが対戦相手のチームである。(c)、(d)で綱引き試合が開始され、(e)では白熱の試合、主人公チームが優勢な状況(勝つ可能性が高いことを示唆している)にある様子が表されている。対して(f)では、主人公チームが劣勢な状況(負ける可能性が高いことを示唆している)にある様子が表されている。この(e)あるいは(f)は連続区間演出Bの最終ゲーム(勝敗結果が表示される)の前のゲームの際に表示させて遊技者の期待を最大限に高めることができる。
図21は、綱引き試合の結果として連続区間演出Bの演出の最後に表示される画像の一例である。(a)は主人公のチームが見事に勝利した場合(勝利エンディング)、(b)は主人公のチームが残念ながら負けた場合(つまり相手のチームが勝利した場合、敗北エンディング)の様子を夫々表した画像である。また(c)は相手のチームが1人しかいないために主人公のチームが勝利する可能性が高いことを示唆する画像の一例である。これは連続区間演出Bで勝利が確定する場合に稀に表示されることがあるものとしている(プレミアム画像)。これは稀にしか見られない画像を見た遊技者が、スロットマシン1でゲームを楽しむ多くの遊技者同士の中でそのことを誇りに思ったり、あるいはそのことで他の遊技者から羨望の的となったりするといったスロットマシン1のゲーム性に加えて新たな付加価値を持たせることが可能となるからである。また、連続区間演出Bの演出が行われている中で、(d)の応援表示が行われると主人公チームの勝利がグンと高くなる。これは連続区間演出Bのどこで行われるか分からないので、遊技者はたとえ綱引きに負けそうな展開の内容となっていても最後まで諦めずに演出の成り行きを見守ることとなる。