しかしながら、近年の回胴式遊技機では、遊技者がリールの停止手順を型通り(一般的にほとんどの遊技者が行なう停止手順)に行なうことを前提としたリールの停止制御が一般的となっている。
また、遊技特典には、全てのリールが停止した際に単図柄(1つの図柄)のみが停止図柄態様となるだけで遊技特典(単図柄特典)を得ることができるものもある。
先行技術では、再ゲーム特典を付与することが遊技機の内部で決定されている場合(再ゲーム特典に当選)には、図柄(再ゲーム図柄)を有効ライン上で必ず揃うようにリールを停止させる制御が行なわれるため(特許文献1の図13、S123、S124)、この際、回転中のリールについて、再ゲーム図柄と単図柄がともに停止図柄態様として表示可能な図柄配列上の位置で遊技者が停止操作をすると、再ゲーム図柄が揃ったのと同時に単図柄までも停止図柄態様として表示される虞がある。仮にこのような事態となった場合、1回のゲームについて遊技特典が2重に付与されることとなってしまい、回胴式遊技機の遊技性に矛盾が生じる。
あるいは、先行技術において単図柄を停止図柄態様として表示させることを回避することを優先した場合、再ゲーム図柄までもその影響を受けて、本来であれば、再ゲーム図柄が揃うはずの位置に停止することができずに、結果として再ゲーム図柄が揃えられなくなるという不利益を遊技者に与えてしまう。また既に2つの再ゲーム図柄が有効ラインに揃って停止した状態となっている場合(再ゲーム図柄がテンパイしている状態)、遊技者は再ゲーム図柄が揃うと思い安心して停止操作を行なったにもかかわらず、再ゲーム図柄がテンパイしている有効ライン上に停止せずに通り過ぎてしまう(あるいは有効ラインの手前で停止してしまう)という事態が生じてしまう。このような事態は、遊技者を非常に落胆させ、損をしたような不快感を与えてしまうものである。
以上の問題は、特に単図柄が有効となる(単図柄特典が得られる)リールを第1に停止させなかった場合(つまり型通りとは異なる停止手順)に顕著に生じるものである。
また遊技者の中には、型通りの停止手順に飽きてしまい、あえて型通りとは異なる停止手順を行ないたい、自分の好きな停止手順でリールを停止させたいと願う者も多く存在する。こうした遊技者の多くは、型通りとは異なる停止手順を試みてみるが、上記のような不利益を被ったり、あるいは、毎ゲームごとに同じような停止図柄態様が表示されることで興趣の減退を招いたりと、結局、元の型通りの停止手順に従わざるを得ないという遊技者が自由にゲームを楽しみたいという意欲を減退させていることも問題となっている。
本発明は、このような事態に鑑みて考え出されたものであり、遊技者が型通りと異なって停止手順を行なった場合でも、遊技意欲の減退を抑えることができる技術を提供しようとするものである。
本発明の技術は、上記課題を解決するために以下の手段を採った。
(解決手段1)
解決手段1は、複数種類の図柄を含む図柄列を形成した帯が付された複数の可動表示体と、前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部とを備え、1回ごとのゲームについて所定数の遊技価値を掛けた状態で遊技者による始動操作を受け付けると、複数の前記可動表示体を一方向に回転させて図柄の表示を変動させ、この後、遊技者による複数回の停止操作を順次受け付けると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体の回転を1つずつ停止させ、全ての前記可動表示体の回転が停止すると、前記図柄表示部内に表示された図柄群から構成される図柄の組み合わせ態様に基づいて1回のゲームごとに結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに所定の内部抽選を行ない、当落の結果を判断する内部抽選手段と、前記内部抽選の当選結果として、少なくとも所定当選種類と特定小役を規定するとともに、前記所定当選種類に対応する所定当選図柄および前記特定小役に対応する特定小役図柄を前記可動表示体のそれぞれに割り当てる当選図柄規定手段と、前記各小役とは別に前記内部抽選の当選結果として特別当選種類を規定するとともに、前記特別当選種類に対応する特別当選図柄を前記可動表示体のそれぞれに割り当てる特別当選図柄規定手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記所定当選図柄が前記図柄表示部内において特定の態様で停止すると、前記所定当選種類に対応した遊技特典を遊技者に付与する所定遊技特典付与手段と、全ての前記可動表示体の停止時に、少なくとも特定の前記可動表示体について前記特定小役図柄が前記図柄表示部内において特定の態様で停止したことを条件に、前記特定小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する特定遊技価値付与手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記特別当選図柄が前記図柄表示部内において特定の態様で停止すると、一般的な通常遊技状態から遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態移行手段と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記可動表示体の停止時に前記図柄列の一部をなす3個の図柄を前記図柄表示部内に上下方向に表示させて、この表示された3個の図柄の表示位置を上から順に上段位置、中段位置、下段位置としてそれぞれ規定する図柄表示位置規定手段と、1回のゲームに掛けられた遊技価値の数に応じて、前記図柄表示部内にて前記特定の態様として有効となる前記表示位置を規定する図柄表示位置有効手段と、前記特定の可動表示体を特定可動表示体として規定し、かつ、遊技者による前記停止操作の手順として、前記特定可動表示体について第1番目に前記停止操作が行なわれる場合を通則操作手順として規定するとともに、前記停止操作手段により少なくとも1つの前記可動表示体の停止操作が受け付けられた時点で、前記通則操作手順により前記停止操作が行なわれたか否かを検出する通則操作手順検出手段と、前記通則操作手順とは別に、遊技者による前記停止操作の手順として、前記特定可動表示体以外の前記可動表示体について第1番目に前記停止操作が行なわれる場合を非通則操作手順として規定するとともに、前記停止操作手段により少なくとも1つの前記可動表示体の停止操作が受け付けられた時点で、前記非通則操作手順により前記停止操作が行なわれたか否かを検出する非通則操作手順検出手段と、前記特定可動表示体に付された図柄列中、前記特定可動表示体の回転に伴う移動方向でみて前記特定小役図柄が配置された位置よりも前の所定の位置に所定当選図柄を配置するとともに、前記所定の位置とは別に、前記特定可動表示体の回転に伴う移動方向でみて前記特定小役図柄が配置された位置よりも後ろの所定の位置に所定当選図柄を配置する所定当選図柄配置手段と、前記内部抽選の当選結果が前記特定小役以外のいずれかに該当し、前記非通則操作手順検出手段により前記非通則操作手順が行なわれたことが検出され、前記特定可動表示体以外の前記可動表示体について前記停止操作が前記停止操作手段により受け付けられた場合、前記図柄表示部内に規定される3つの表示位置の中で限定された表示位置にのみ前記所定当選図柄を停止させるべく前記可動表示体の停止位置を制御する表示位置限定停止制御手段と、前記内部抽選の結果が前記所定当選種類に該当し、前記表示位置限定停止制御手段により前記特定可動表示体以外の前記可動表示体の停止位置が制御された結果、前記図柄表示部内で限定された表示位置に前記所定当選図柄が停止した場合、前記特定可動表示体についての停止操作が前記停止操作手段により受け付けられると、少なくとも前記特定小役図柄が前記図柄表示部内の上段位置に到達する前に前記特定可動表示体の回転を停止させて前記特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避するとともに、合わせて前記所定当選図柄を前記図柄表示部内の前記限定された表示位置に停止させることにより、前記所定当選図柄の組み合わせ態様を表示させる図柄前停止制御手段と、前記内部抽選の結果が前記特別当選種類に該当し、前記表示位置限定停止制御手段により前記特定可動表示体以外の前記可動体の停止位置が制御された結果、前記図柄表示部内で限定された表示位置に前記所定当選図柄が停止した場合、前記特定可動表示体についての停止操作が前記停止操作手段により受け付けられると、少なくとも前記特定小役図柄が前記図柄表示部内の上段位置に到達する前に前記特定可動表示体の回転を停止させることにより、前記特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避したうえで、前記所定当選図柄が前記図柄表示部内の前記限定された表示位置に停止することを回避するとともに、合わせて前記図柄表示部内でいずれの図柄についても特定の態様で停止することを許容しない図柄前特定態様不許容停止制御手段と、前記内部抽選の結果が前記所定当選種類に該当し、前記表示位置限定停止制御手段により前記特定可動表示体以外の前記可動表示体の停止位置が制御された結果、前記図柄表示部内で限定された表示位置に前記所定当選図柄が停止した場合、前記特定可動表示体についての停止操作が前記停止操作手段により受け付けられると、前記可動表示体の回転に伴う移動方向でみて前記図柄表示部内の下段位置から少なくとも1個の図柄分だけ前記特定小役図柄が移動した位置で前記特定可動表示体の回転を停止させて前記特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避するとともに、合わせて前記所定当選図柄を前記図柄表示部内の前記限定された表示位置に停止させることにより、前記所定当選図柄の組み合わせ態様を表示させる図柄後停止制御手段と、前記内部抽選の結果が前記特別当選種類に該当し、前記表示位置限定停止制御手段により前記特定可動表示体以外の前記可動体の停止位置が制御された結果、前記図柄表示部内で限定された表示位置に前記所定当選図柄が停止した場合、前記特定可動表示体についての停止操作が前記停止操作手段により受け付けられると、前記可動表示体の回転に伴う移動方向でみて前記図柄表示部内の下段位置から少なくとも1個の図柄分だけ前記特定小役図柄が移動した位置で前記特定可動表示体の回転を停止させることにより、前記特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避したうえで、前記所定当選図柄が前記図柄表示部内の前記限定された表示位置に停止することを回避するとともに、合わせて前記図柄表示部内でいずれの図柄についても特定の態様で停止することを許容しない図柄後特定態様不許容停止制御手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機は、上記の所定当選図柄配置手段とは別の構成として、前記特定可動表示体に形成され、前記特定可動表示体の回転に伴う移動方向でみて前記特定小役図柄が配置された位置よりも前の所定の位置に所定当選図柄が位置するとともに、前記所定の位置とは別に、前記特定可動表示体の回転に伴う移動方向でみて前記特定小役図柄が配置された位置よりも後ろの所定の位置に所定当選図柄が位置する図柄配列を有する。
本発明の遊技機では、遊技価値を掛けた状態で遊技者が始動操作をすると複数の可動表示体が回転し、この後、遊技者の停止操作によって全ての可動表示体の回転が停止すると、図柄表示部内に停止した図柄群から構成される図柄の組み合わせ態様によってゲームの結果が判断される。つまり、本発明の遊技機における1回のゲームは、遊技価値を掛けた状態にし、次いで停止している状態の可動表示体を回転させ、この後、可動表示体の回転を停止させ、そして全ての可動表示体の停止時に必ず結果を判断するという一連の過程から成り立っている。したがって、全ての可動表示体の停止時に結果の判断が1度行われると、この後に遊技価値を掛けた状態にしたり、可動表示体を回転させたりする過程は、その次のゲームということになる。
1回のゲームごとに行なわれる内部抽選は、遊技者の始動操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中身が遊技者には知覚できないところで行なわれることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行なわれる。内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、あらかじめ規定されている当り値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果が用意されており、これら当選結果の種類別に乱数の当り値が割り当てられている。当り値には種類別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当り値の範囲内にあれば、その当り値に対応する種類に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値に占める当り値の数の割合から当選結果の種類別の当選確率が規定される。
1回のゲームで行なわれた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。複数種類の当選結果の中には、当該ゲーム限りで結果が破棄される種類もあれば、次回以降のゲームまで持ち越される種類もある。
内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では少なくとも所定当選種類および特定小役が規定されている。またこれら所定当選種類および特定小役とは別に、当選結果として特別当選種類が規定されている。所定当選種類、特定小役および特別当選種類には、それぞれ対応する所定当選図柄、特定小役図柄および特別当選図柄があり、これら図柄は上記の可動表示体にそれぞれ割り当てられている。つまり、可動表示体に付された図柄列の中には、当選結果の種類に対応付けられた図柄が含まれている。また「図柄」は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り文字等を意味する。
全ての可動表示体の停止時に、所定当選図柄または特定小役図柄が特定の態様で停止すると、それぞれに対応した数の遊技特典が遊技者に付与される。ここでいう「特定の態様」とは、図柄表示部内での図柄の停止位置、並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがって対応する図柄が水平または斜めに揃っていることをいう。
なお、特定小役図柄の場合、少なくとも特定の可動表示体について特定小役図柄が決まった位置に停止しているだけでよい。なお、遊技特典としては遊技価値の付与等が挙げられる。遊技者は、できるだけこの遊技特典を得たいと考えて所定当選図柄や特定小役図柄が特定の態様となるように停止操作を行なうところで技量を発揮する。
上記の所定当選種類または特定小役は、対応する図柄が特定の態様で停止すると、それぞれ対応する数の遊技価値を遊技者に付与するものであるが、これとは別に本発明の遊技機では、一般的な通常遊技状態のゲームで特別当選図柄が特定の態様で停止すると、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行する。この特別遊技状態に移行すると、通常遊技状態と比較して、より多くの遊技価値を獲得できる機会が遊技者に与えられる。このため本発明の遊技機では、いかにして特別遊技状態に移行する回数を多くすることができるかが勝負の分かれ目となり、それゆえ遊技者の興味は、特別当選図柄をいつ、どのような場面で揃えることができるかに集中する傾向にある。
以上の内容を前提として、毎回のゲームで遊技者は可動表示体を回転させる始動操作を行なうと、次に回転中の可動表示体を視認しながら順番に停止操作を行なっていく。このとき、目押し等の技量を身につけた遊技者であれば、可動表示体が回転中であっても、図柄表示部内にどの図柄が存在するかをある程度は見極めた上で停止操作をすることができる。
図柄表示部内は、各可動表示体の図柄列中の3つの図柄を表示することが可能であり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「3×可動表示体の数」として表すこともできる。この中で、遊技者が掛けた所定数の遊技価値に応じて、当選図柄の組み合わせ態様が有効となる表示位置を決めることで、遊技者はその有効となる表示位置に当選図柄を停止させようと目押し等の技量を発揮することとなる。ここでいう「有効となる表示位置」とは、所定当選図柄および特別当選図柄のそれぞれ当選図柄が図柄表示部内に停止したときにそれぞれに該当する遊技特典が得られる表示位置のことをいう。つまり、図柄表示部内に上記の当選図柄が停止時に表示された場合でも、有効となっていない表示位置に停止した場合には、上記のいずれの特典も得ることはできない。
なお、特定小役図柄は少なくとも特定の可動表示体が停止したときに図柄表示部内の有効となる表示位置に表示されるだけで特典を得ることができるものであり、他の可動表示体にどのような図柄が停止していても影響を受けない図柄である。また遊技者にとって全ての可動表示体をそれぞれ目押しする労力を軽減できる図柄であるともいえる。そのため、遊技特典として遊技価値を付与する場合、遊技者が1回のゲームを行なう際の最大掛け数より少ないか、同程度として、遊技価値の大幅な消費を抑える役割を持たせることもできる。
また有効となる表示位置は遊技価値の掛け数に応じて変化するため、掛け数を増やせば、有効となる表示位置も増えることとなる。有効な表示位置が増えれば、それだけ当選図柄を停止させたときに有効となる表示位置が多くなるため、上記のいずれかの特典を得る機会が多くなる。そのため遊技者が最大掛け数の遊技価値を掛けた状態でゲームを行なうことが一般的となる傾向にある。
本発明の遊技機では、各可動表示体はそれぞれ独立して回転・停止することができるものであり、遊技者による始動操作が受け付けられると全ての可動表示体が一斉に(または順番に)回転を開始する。全ての可動表示体が回転を開始した後は、遊技者が個々の可動表示体の停止操作を行なうことで、停止操作が受け付けられた可動表示体から順番に停止していく。個々の可動表示体の停止操作を行なうにあたって、遊技者はいずれの可動表示体から停止操作を行なうか自由に選択することとなる。
遊技者により行なわれる可動表示体の停止操作の順番は、2つに大別することができる。この2つとは、特定の可動表示体を第1番目に停止させる操作の順番(通則操作手順)と、特定の可動表示体以外の可動表示体を第1番目に停止させる操作の順番(非通則操作手順)のことである。
本発明の遊技機では、第1番目に停止操作が受け付けられた可動表示体から、2つの停止操作手順のいずれが行なわれたかを検出することができる。これは、特定可動表示体の停止操作がいずれの手順として受け付けられたかによって停止位置の制御に制限が生じるためである。具体的には、内部抽選で特定小役に当選した場合を除いて、特定可動表示体の停止操作がいずれの順番で受け付けられたとしても、特定小役図柄を図柄表示部内の有効な位置に表示されることを回避する停止制御をしなければならない。
つまり、通則操作手順に従った停止操作が受け付けられた場合には、特定小役図柄を図柄表示部内から回避させる制御のみを行なうことでも問題は生じないが、非通則操作手順に従った停止操作が受け付けられた場合には、特定小役図柄を図柄表示部内から回避させることに合わせて、他の図柄を揃えさせるようにしたり、あるいは他の図柄を揃えさせないようにしたりする制御までも行なわなければならないこととなる。ここで「他の図柄を揃えさせる」とする場合は、内部抽選の当選結果に対応する該当図柄を揃えさせるように停止位置を制御することをいう。また、「他の図柄を揃えさせない」とする場合は、特定小役図柄を回避させたことによって内部抽選の当選結果に対応しない図柄が揃ってしまうことを避けた停止位置に制御することをいう。以上のことから、通則操作手順と非通則操作手順のいずれが行なわれたかを検出する必要がある。
本発明の遊技機では、特定可動表示体の図柄列中の特定小役図柄および所定当選図柄の配置について規則的な配置を適用する。ここでいう「規則的な配置」とは、特定可動表示体の回転に伴う移動方向でみて、特定小役図柄より前の特定の位置に所定当選図柄を配置する。具体的には、特定小役図柄からみて所定の個数の図柄を前に挟んで所定当選図柄を配置する。上記の所定個数の図柄としては、0〜3個の図柄を挿入させる。なお、この0〜3個の図柄は、特定小役図柄および所定当選図柄以外の図柄とする。以下では、この所定個数の図柄を前に挟んで配置された所定当選図柄を特定小役前所定当選図柄と呼ぶ。これは、所定当選図柄が全ての可動表示体の図柄列中には複数個配置されているため、特に区別する意味で別の呼称とするだけであり、所定当選図柄としての内容(特徴、性質、特典)は同じものである。
また、特定可動表示体の回転に伴う移動方向でみて、特定小役図柄より後ろの特定の位置に所定当選図柄を配置する。具体的には、特定小役図柄からみて所定の個数の図柄を後ろに挟んで所定当選図柄を配置する。上記の所定個数の図柄としては、0〜3個の図柄を挿入させる。なお、この0〜3個の図柄は、特定小役図柄および所定当選図柄以外の図柄とする。以下では、この所定個数の図柄を後ろに挟んで配置された所定当選図柄を特定小役後所定当選図柄と呼ぶ。これは上記の特定小役前所定当選図柄のように、特に区別する意味で別の呼称とするだけであり、所定当選図柄としての内容(特徴、性質、特典)は同じものである。所定当選図柄配置手段は、特定小役図柄と所定当選図柄との配置関係を定めているだけでなく、特定可動表示体が回転・停止をした場合でも、特定小役図柄と所定当選図柄との配置関係を保持し、ゲームを安定して進行させる機能をも有する。特定可動表示体がこのような規則的な配置を有していれば、遊技者が特定可動表示体の停止操作を行なう際に、所定当選図柄と特定小役図柄との配置に着目しながら狙いを定めることができる。
また本発明の遊技機では、内部抽選の当選結果として所定当選種類が得られており、先の非通則操作手順の停止操作が行なわれた場合であって、特定可動表示体以外の可動表示体の停止操作が受け付けられると、所定当選図柄を限定された表示位置に停止させることにより、所定当選図柄が揃った(並んだ)状態を作り出すことができる。この状態は所謂、「テンパイ状態」といわれるものであり、この後、仮に所定当選図柄がテンパイした揃い(並び)の延長線上に特定可動表示体の図柄列中の所定当選図柄が停止すれば、所定当選図柄の揃い(並び)が完成して、所定当選種類の遊技特典が付与されることとなる。つまり本発明の遊技機では、内部抽選の当選結果に対応する図柄を「テンパイ状態」とすることにより、遊技者が全ての可動表示体を停止させるより前に揃うと予測される該当図柄を事前に察知することが可能となる。これにより遊技者は、「テンパイ状態」となり内部抽選の当選結果を少しでも早く察知しようと非通則操作手順による停止操作に興趣を抱いて停止操作を行なうことになる。
また、上記の通り、所定当選図柄が「テンパイ状態」となり、最後に特定可動表示体の停止操作が受け付けられると、特定可動表示体の図柄列中の所定当選図柄を先に「テンパイ状態」となった所定当選図柄の揃い(並び)の延長線上に停止させて所定当選図柄の揃い(並び)を完成させる。
上記の場合、受け付けられた停止操作により、特定小役前所定当選図柄が図柄表示部内の上段位置、中段位置、下段位置のいずれに停止することも可能である場合、少なくとも特定小役前所定当選図柄の後に位置する特定小役図柄が図柄表示部内の上段位置に到達する前に特定可動表示体の回転を停止させる。このときに合わせて特定小役前所定当選図柄を上記の「テンパイ状態」の並びの延長線上に停止させる。この結果、内部抽選で当選していない特定小役図柄が図柄表示部内に停止することを回避することができ、合わせて内部抽選で当選した所定当選図柄を揃えることができる。
一方、特定小役前所定当選図柄が図柄表示部内に停止することができない場合(図柄表示部内の下段位置を通りすぎた直後)、特定小役図柄が図柄表示部内に現れてくることになる。この場合、少なくとも特定小役図柄を可動表示体の回転に伴う移動方向でみて、図柄表示部内の下段位置から更に1図柄分移動した位置に停止させる。このときに合わせて特定小役後所定当選図柄を上記の「テンパイ状態」の並びの延長線上に停止させる。この結果、内部抽選で当選していない特定小役図柄が図柄表示部内に停止することを回避することができ、合わせて内部抽選で当選した所定当選図柄を揃えることができる。
上記のことは、特定小役図柄が特定可動表示体を急いで止めさせる(歯止め、急停止など)役目を果たすことにより、所定当選図柄を特定の位置(「テンパイ状態」となった並びの延長線上のこと、以下では、必要に応じてテンパイした位置という)に停止させている、ともいえる。
また、本発明の遊技機では、内部抽選の当選結果として特別当選種類が得られており、先の非通則操作手順の停止操作が行なわれた場合にも、所定当選図柄を「テンパイ状態」とすることができる。この場合、特定可動表示体の停止操作が受け付けられた停止位置に関わらず、所定当選図柄を上記のテンパイした位置に停止させない制御を行なう。つまり、所定当選図柄を揃えることはできないことになる。
上記の制御は、特定小役図柄前配置手段および特定小役図柄後配置手段により配置された特定小役図柄と所定当選図柄との位置関係を根拠として実現可能である。つまり、特定小役図柄が図柄表示部内の上段位置に到達する前に特定可動表示体の回転を停止させても、特定小役前所定当選図柄が上記のテンパイした位置に停止することのない配置により上記の制御が実現されている。ここでは特に、特定可動表示体の図柄列中の特定小役図柄と所定当選図柄の配置された位置関係が重要な要素となる。具体的には、特定小役図柄と所定当選図柄との間に0〜3個挿入された図柄により、図柄表示部内に特定小役図柄と所定当選図柄とが重複して表示されることの無い配置を採用するとともに、特定小役図柄と所定当選図柄との双方とも表示されることの無い配置とすることで上記の制御が実現可能となる。つまり、本発明の遊技機では特有の図柄の配置により、内部抽選で所定当選図柄に当選した場合は、図柄前停止制御手段(または図柄後停止制御手段)による制御において所定当選図柄を図柄表示部内に停止させ、内部抽選で特別当選種類に当選した場合は、図柄前特定態様不許容停止制御手段(または図柄後特定態様不許容停止制御手段)による制御において所定当選図柄を図柄表示部内に停止させないといういずれかを選択できる余裕(移動制御可能範囲)を持たせることができる。従って、内部抽選の当選結果として特別当選種類が得られていた場合であって、所定当選図柄が「テンパイ状態」となっても、特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避しつつ、所定当選図柄をも揃わないように回避させることが可能となる。そのため、最後の可動表示体が停止するまで(特別当選種類に当選している可能性を期待できるため)遊技者をワクワクした気分にさせ、興趣を持続させることができる。
以上の内容から、内部抽選で特別当選種類および所定当選種類のいずれに当選した場合であっても、遊技者により非通則操作手順の停止操作が受け付けられると、所定当選図柄を「テンパイ状態」とする制御が行なわれる。遊技者は見た目では、特別当選種類に当選したのか、所定当選種類に当選したのか分からないため、最後の可動表示体が停止するまで興趣を損なうことがない。また上記の「テンパイ状態」となると、所定当選種類か特別当選種類かいずれかに当選したことが確定する。いずれの結果となっても遊技者にとって有利な結果が得られることとなるため、遊技者は、ゲーム結果(特定可動表示体が停止したときの図柄表示態様)を待ち望むこととなる。特に特別当選種類に当選となっていた場合には、図柄表示態様を、所謂「リーチ目」として遊技者に教示(アピール)することができ、特別当選種類に当選していることを察知させることが可能となる。
(解決手段2)
解決手段2は、解決手段1に記載の遊技機において、前記表示位置限定停止制御手段は、前記特定小役図柄前配置手段による前記特定可動表示体に付された図柄列中における前記特定小役図柄と前記所定当選図柄との位置関係に基づいて前記図柄表示部内の複数の有効な表示位置に前記特定小役図柄と前記所定当選図柄とが同時に表示されることを許容しない前記図柄表示部内の表示位置を前記図柄表示部内に規定される3つの表示位置の中から限定し、前記特定小役図柄後配置手段による前記特定可動表示体に付された図柄列中における前記特定小役図柄と前記所定当選図柄との位置関係に基づいて前記図柄表示部内に前記特定小役図柄と前記所定当選図柄とが重複して表示されることを許容しない前記図柄表示部内の表示位置を前記図柄表示部内に規定される3つの表示位置の中から限定することを特徴とする遊技機である。
この場合、特定可動表示体に付された図柄列中の特定小役図柄と、その前後の所定当選図柄との位置関係に基づいて、特定可動表示体を除く他の全ての可動表示体が所定当選図柄を停止制御させる表示位置が決められる。ここでいう「位置関係」とは、特定小役図柄前配置手段により配置された特定小役図柄と特定小役前所定当選図柄との間隔(間に挿入されている図柄数)、および特定小役図柄後配置手段により配置された特定小役図柄と特定小役後所定当選図柄との間隔のことをいう。これは、特定可動表示体だけでみて、特定可動表示体が停止したときに図柄表示部内の複数の有効な表示位置に表示態様として特定小役図柄と所定当選図柄が同時には表示されない停止位置を、先ほどの「位置関係」から決めることができる(以下では、「限定された表示位置」という)。従って、特定可動表示体以外の可動表示体の停止時に予め「限定された表示位置」に所定当選図柄を停止制御することで、停止操作順として、特定可動表示体の停止操作が第1番目以外となるときであっても、特定可動表示体の図柄列中の特定小役図柄と所定当選図柄(特定小役前所定当選図柄若しくは特定小役後所定当選図柄)とが図柄表示部内に重複して表示されることなく所定当選図柄を「限定された表示位置」に停止させることができることとなる。
(解決手段3)
解決手段3は、解決手段1または2に記載の遊技機において、前記特定可動表示体は、前記所定当選図柄配置手段により配置される図柄について、前記特定可動表示体に付された図柄列の配列順を前記特定可動表示体の回転方向でみた場合、前記所定当選図柄を先頭にして、前記所定当選図柄に続く4つの図柄中に1つの前記特定小役図柄および3つの前記所定当選図柄以外の図柄を含み、かつ、これら4つの図柄の次に前記所定当選図柄が配列された図柄群を前記図柄列の一部に含むことを特徴とする遊技機である。
特定可動表示体の図柄列の順番を、特定可動表示体の回転方向でみて、所定当選図柄から4個の図柄(所定当選図柄以外の図柄、以下では他図柄という)の次に所定当選図柄を順に配置する図柄群を設ける。4つの他図柄の中には、1つの特定小役図柄を必ず含むものとする。これにより、図柄群の配置態様として、
〔態様A. 所定当選図柄1−他図柄1−他図柄2−他図柄3−特定小役図柄−所定当選図柄2 〕
〔態様B. 所定当選図柄1−他図柄1−他図柄2−特定小役図柄―他図柄3―所定当選図柄2 〕
〔態様C. 所定当選図柄1−他図柄1−特定小役図柄−他図柄2−他図柄3−所定当選図柄2 〕
〔態様D. 所定当選図柄1−特定小役図柄−他図柄1−他図柄2−他図柄3−所定当選図柄1 〕
が挙げられる。各態様とも、特定可動表示体の回転方向でみて、図柄群の中で所定当選図柄1が先頭に位置するものとする。
上記の配置態様により、表示位置限定停止制御手段により所定当選図柄が「テンパイ状態」となり、特定可動表示体が停止する際に、特定小役図柄を図柄表示部内に停止することを回避した場合であっても、所定当選図柄を「限定された表示位置」に停止させることもできるし、あるいは停止させないこともできることとなる。
具体的には、態様Aでは、「限定された表示位置」を図柄表示部内の下段位置とすると、図柄表示部内において、所定当選図柄1を下段位置としても特定小役図柄が図柄表示部内に停止することがない。また、他図柄1を下段位置とした場合も、特定小役図柄は図柄表示部内に停止することがない。つまり、態様Aの図柄配置を採用することにより図柄表示部内の「限定された表示位置」に所定当選図柄を停止させることもできるし、停止させないこともできるのである。また、特定小役図柄が図柄表示部内に現れてきた場合、特定小役図柄を図柄表示部内の下段位置から特定可動表示体の回転方向に1個の図柄分移動させた位置(図柄表示部外)に停止させることで所定当選図柄2を下段位置に停止させることができる。あるいは図柄表示部外から更に特定可動表示体の回転方向に1個の図柄分移動して停止させることにより所定当選図柄2を「限定された表示位置」に停止させないこともできる。
態様Aのように、図柄表示部内の「限定された表示位置」を、態様Bでは中段位置、態様Cおよび態様Dでは上段位置とすることにより、所定当選図柄を「限定された表示位置」に停止させることもできるし、停止させないこともできるのである。
以上のことから、内部抽選の当選結果として特別当選種類が得られた場合にも所定当選図柄を「テンパイ状態」とすることができ、なおかつ、受け付けられた特定可動表示体の停止位置に特定小役図柄があった場合でも、特定小役図柄を回避しつつ、合わせて所定当選図柄も揃わない停止制御を行なうことが可能となる。そのため、遊技者に、所定当選図柄が「テンパイ状態」となると、特別当選種類に当選しているかもしれないという期待を持たせることができる。
(解決手段4)
解決手段4は、解決手段1から3のいずれかに記載の遊技機において、前記内部抽選の当選結果として、一般小役を含む複数種類の小役を規定するとともに、前記一般小役に対応する一般小役図柄を前記可動表示体に割り当てる小役図柄規定手段と、前記各小役および前記各特別当選種類とは別に前記内部抽選の当選結果となる再遊技当選種類を規定するとともに、前記再遊技当選種類に対応する再遊技図柄を前記可動表示体のそれぞれに割り当てる再遊技図柄規定手段と、今回のゲームにおいて全ての前記可動表示体の停止時に前記再遊技図柄が前記図柄表示部内の特定の位置で停止していると、改めて遊技価値を掛けることなく次回のゲームを実行可能とする再遊技実行手段と、全ての前記可動表示体の停止時に前記一般小役図柄が前記図柄表示部内において特定の態様で停止すると、前記一般小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する一般遊技価値付与手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
内部抽選の当選結果として、本発明の遊技機では少なくとも一般小役および再遊技当選種類が規定されている。更に一般小役は複数の種類が用意されている。一般小役、再遊技当選種類には、それぞれ対応する一般小役図柄、再遊技図柄があり、これら図柄は上記の可動表示体にそれぞれ割り当てられている。
全ての可動表示体の停止時に、一般小役図柄が特定の態様で停止すると、対応した数の遊技価値が遊技者に付与される。一般小役図柄は複数の種類が用意されており、それぞれに対応した数の遊技価値が特定の態様で停止した時に付与される。遊技者はゲーム回数を重ねていく中で、一般小役図柄が特定の態様で停止することにより、遊技者が掛けた遊技価値の総数よりも付与された総数が多くなると、遊技者は差数分の遊技価値を得たことになり、そこに喜びを見出すことができる。更に複数の一般小役図柄があることで、遊技者の目を楽しませることができる。
また、本発明の遊技機では、再遊技当選種類として再遊技図柄を規定しているため、全ての可動表示体の停止時に再遊技図柄が特定の態様で停止すると、再遊技状態に移行する。ここで、「再遊技状態」とは、遊技者が今回のゲームと同じ遊技価値を掛けた状態で、かつ次回のゲームを行なうにあたり、遊技価値を改めて掛けることなくゲームを行なうことができる状態のことをいう。つまり遊技者は1回のゲームに費やす遊技価値の数で少なくとも2回のゲームを行なうことが可能となるため、遊技者が有する遊技価値の大幅な消費を抑えることができる。これは、単位時間当たりに消費される遊技価値の数をある程度一定の範囲内に収めることで、ゲームの健全性を保つことに十分に役立つものである。
(解決手段5)
解決手段5は、解決手段4に記載の遊技機において、前記当選図柄規定手段は、前記所定当選種類として前記再遊技当選種類を規定するとともに、前記所定当選図柄として前記再遊技図柄を割り当てていることを特徴とする遊技機である。
この場合、再遊技図柄は、遊技者がどのような順番で停止操作を行なっても揃えることができるため、単位時間当りの遊技価値の消費数をある程度一定に保つことが可能となる。そのため遊技者は、再遊技当選種類の特典を得られないという不利益を被ることが無くなる。更に、非通則操作手順を行なった際に、再遊技図柄が「テンパイ状態」となると、内部抽選で再遊技当選種類あるいは特別当選種類に当選したかのいずれかとなることが確定するため、遊技者は、いずれの結果となるのか、最後に停止操作を行なう可動表示体が停止するまで、ハラハラしながら待ち望むこととなる。
(解決手段6)
解決手段6は、解決手段1に記載の遊技機において、前記図柄前特定態様不許可停止制御手段は、前記内部抽選の当選結果が前記特別当選種類に該当し、前記非通則操作手順検出手段により前記非通則操作手順が行なわれたことが検出され、前記特定可動表示体以外の前記可動表示体について前記停止操作が前記停止操作手段により受け付けられた場合、前記所定当選図柄を前記図柄表示部内の限定された表示位置に停止させるか否かを決定して前記可動表示体の停止位置を制御することが可能であり、前記図柄後特定態様不許容停止制御手段は、前記内部抽選の当選結果が前記特別当選種類に該当し、前記非通則操作手順検出手段により前記非通則操作手順が行なわれたことが検出され、前記特定可動表示体以外の前記可動表示体について前記停止操作が前記停止操作手段により受け付けられた場合、前記所定当選図柄を前記図柄表示部内の限定された表示位置に停止させるか否かを決定して前記可動表示体の停止位置を制御することが可能であることを特徴とする遊技機である。
内部抽選の当選結果で特別当選種類が得られたうえで、非通則操作手順に従った停止操作が受け付けられると、所定当選図柄を「テンパイ状態」にするかを選択的に決める。ここで「選択的」としたのは、所定当選図柄を「テンパイ状態」にするか否かを抽選によって決めたり、一定の頻度で行なわせたりする等が挙げられる。これにより、内部抽選で特別当選種類に当選した場合でも、所定当選図柄が「テンパイした」状態になるとは限らなくなるため、同じような図柄表示態様を防ぐことが可能となり、遊技者の興趣の減退を抑えることが可能となる。
(解決手段7)
解決手段7は、解決手段1から6のいずれかに記載の遊技機において、前記内部抽選の当選結果として前記所定当選種類が得られた状態で前記通則操作手順に従った停止操作として前記特定可動表示体についての停止操作が前記停止操作手段に受け付けられると、少なくとも前記特定小役図柄が前記図柄表示部内の上段位置に到達する前に前記特定可動表示体の回転を停止させて前記特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避するとともに、合わせて前記所定当選図柄を前記図柄表示部内の有効となる表示位置に停止させる特定小役図柄前停止制御手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
特定小役前所定当選図柄が図柄表示部内の上段位置、中段位置、下段位置のいずれにも停止可能である場合、特定小役図柄を上段位置の手前で停止させ、合わせて特定小役前所定当選図柄を図柄表示部内に停止させる。つまり所定当選図柄と特定小役図柄とが重複して特定の態様となることが回避でき、所定当選図柄を図柄表示部内のいずれかの位置に停止させることが可能となる。このため、1回のゲームで複数の遊技特典が得られること(重複当選、重複入賞)を回避することができる。
(解決手段8)
解決手段8は、解決手段1から7のいずれかに記載の遊技機において、前記内部抽選の当選結果として前記所定当選種類が得られた状態で前記通則操作手順に従った停止操作として前記特定可動表示体についての停止操作が前記停止操作手段に受け付けられると、少なくとも前記特定小役図柄が前記図柄表示部内の下段位置から前記可動表示体の回転に伴う移動方向でみて、更に1個の図柄分だけ移動した位置で前記特定可動表示体の回転を停止させて前記特定小役図柄が特定の態様で停止することを回避するとともに、合わせて前記所定当選図柄を前記図柄表示部内の有効となる表示位置に停止させる特定小役図柄後停止制御手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
特定小役前所定当選図柄が図柄表示部内の上段位置、中段位置、下段位置のいずれにも停止不可能となり、特定小役図柄が図柄表示部内の上段位置、中段位置、下段位置のいずれかに停止することになる場合、特定小役図柄を図柄表示部の下段位置から更に1個の図柄分だけ移動させた位置で停止させ、合わせて特定小役後所定当選図柄を図柄表示部内のいずれかの位置に停止させる。つまり所定当選図柄と特定小役図柄とが重複して特定の態様となることが回避でき、所定当選図柄を図柄表示部内のいずれかの位置に停止させることが可能となる。
(解決手段9)
解決手段9は、解決手段7または8に記載の遊技機において、前記内部抽選の当選結果が前記所定当選種類に該当し、前記通則操作手順に従い前記特定可動表示体が停止し、前記所定当選図柄が前記図柄表示部内のいずれかの停止位置に停止した場合、前記停止位置に合わせて、その他の回転中の前記可動表示体について前記停止操作手段により前記停止操作が受け付けられると、前記所定当選図柄が前記図柄表示部内の特定の位置に停止する態様でその他の前記可動表示体の周方向でみた停止位置を制御することにより、全ての前記可動表示体の停止時に前記所定当選図柄が特定の態様となることを可能とする通則操作手順図柄停止制御手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、ある程度目押しすることで、所定当選図柄を揃えることが可能である。図柄表示部内には上段位置、中段位置、下段位置と最大で3つの図柄が表示可能であるため、遊技者は特定可動表示体が停止した時点で、少なくとも3つの図柄のいずれかに当選したかも知れないという予想をすることができる。あるいは、目押しに失敗して3つの図柄以外に当選していることや、いずれにも当選していない場合もある。そのため、遊技者はこの3つの図柄から1つを予想して他の可動表示体にも同種の図柄を目押しすることとなる。仮に遊技者の予想通りであれば、該当図柄が特定の態様となり該当する遊技特典を得ることができる。
上記で「ある程度の目押し」としたのは、回胴式遊技機では、可動表示体の停止操作が受け付けられてから「所定時間」以内にその可動表示体を停止させなければならないということが決められているためである。これは「所定時間」以内であれば、可動表示体を「所定時間」内の範囲で可動表示体の回転方向に移動させて停止させることが可能であるともいえる。このため、多くの回胴式遊技機では、数図柄分の移動を伴う停止制御(移動停止制御)をすることが可能である。当該遊技機でもこの移動停止制御を行なうことができるため、遊技者の目押しに多少の誤差(狂い)があったとしても、可動表示体の移動可能な数図柄分以内の位置で停止操作が受け付けられた場合には、該当図柄を図柄表示部内に停止させることが可能である。従って、遊技者が毎ゲームごとの正確な目押しを要求されることで受ける極度の疲労が緩和される。
(解決手段10)
解決手段10は、解決手段1から9のいずれかに記載の遊技機において、前記特定可動表示体以外の可動表示体に付された図柄列の配列順を前記可動表示体の回転方向でみた場合、前記所定当選図柄を先頭にして、前記所定当選図柄に続く図柄として前記所定当選図柄以外の図柄を最大で4つ含み、かつ、これら最大で4つある図柄に続いて前記所定当選図柄が配列された図柄群を前記図柄列の一部に配置する図柄列配置手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機は、上記の図柄列配置手段とは別の構成として、前記特定可動表示体以外の可動表示体に形成され、前記可動表示体の回転方向でみた場合、前記所定当選図柄を先頭にして、前記所定当選図柄に続く図柄として前記所定当選図柄以外の図柄を最大で4つ含み、かつ、これら最大で4つある図柄に続いて前記所定当選図柄が配列された図柄群を前記図柄列の一部に含む図柄配列を有する。
この場合、可動表示体(特定可動表示体以外)の回転方向でみて、所定当選図柄1を先頭にして次に4つの他図柄を配置し、次に所定当選図柄2の順の図柄群を設けて、可動表示体の図柄列として配置する。図柄群の配置態様としては、
〔 所定当選図柄1−他図柄1−他図柄2−他図柄3−他図柄4−所定当選図柄2 〕
が挙げられる。なお他図柄1〜他図柄4は所定当選図柄以外の図柄であれば、全て同種(同じ)図柄であってもよい。
上記の図柄群の配置態様により、例えば、図柄表示部内の上段位置に所定当選図柄1を停止させようと試みたが、停止操作が遅れて他図柄1が現れてきた(そのままだと停止してしまう)場合、移動停止制御の範囲を4個の図柄分までとすると、
〔 他図柄2→他図柄3→他図柄4→所定当選図柄2 〕
と、所定当選図柄2を図柄表示部内の上段位置まで移動させて停止させることができる。つまり、通則操作手順あるいは非通則操作手順のいずれの停止操作が受け付けられた場合であっても、所定当選図柄を図柄表示部内に停止させることが可能となる。図柄列配置手段は、所定当選図柄と所定当選図柄との配置関係を定めているだけでなく、可動表示体が回転・停止をした場合でも、所定当選図柄と所定当選図柄との配置関係を保持し、ゲームを安定して進行させる機能をも有する。可動表示体がこのような規則的な配置を有していれば、遊技者が可動表示体の停止操作を行なう際に、所定当選図柄の配置に着目しながら狙いを定めることができる。
以上の内容から、内部抽選で所定当選種類に当選した場合、所定当選図柄を取りこぼす虞が無くなり、遊技者は不利益を心配せず、安心して自分の思うままの停止操作でゲームを楽しむことができる。
(解決手段11)
解決手段11は、解決手段1から10のいずれかに記載の遊技機において、内部抽選の当選結果として得られる前記特定小役および前記所定当選種類および前記特別当選種類は、いずれも重複して得られることは許容されておらず、なおかつ前記特定小役図柄および前記所定当選図柄および前記特別当選図柄は、いずれも重複して特定の態様となることを許容しないことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、内部抽選の当選結果として得られる結果は1つである。つまり、いずれか1つに当選となるか、あるいは、いずれにも当選しない(落選)となるかということである。これは結果である該当図柄が特定の態様となる場合にも当てはまる。特に特定可動表示体の停止態様のみで遊技特典の付与が行なわれる特定小役図柄については、他の図柄と重複して特定の態様となる虞がある。そのため、本発明の遊技機では、通則操作手順あるいは非通則操作手順のいずれの停止操作手順が受け付けられた場合であっても、特定小役図柄と他の図柄が重複して特定の態様となることがない(回避できる)。これは回胴式遊技機の遊技性に矛盾を生じさせることをなくし、遊技者にもホールにも健全な遊技機として本発明の遊技機を提供することを可能とするものである。
(解決手段12)
解決手段12は、解決手段1から11のいずれかに記載の遊技機において、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行なう停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時の図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態移行手段により遊技状態が前記遊技状態へと移行すると、遊技者に付与する遊技価値の付与機会を通常遊技状態に比して増加させる遊技価値付与機会増加手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
解決手段12は、特にスロットマシン等の遊技機において、遊技者が1回のゲームを行なうための遊技価値(メダル、コインなど)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させる。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせから、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させて停止させるという一連の操作を繰り返しながら遊技を進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された組み合わせによっては、特別遊技状態という遊技価値を通常遊技状態に比べて大量に獲得することができる遊技状態に移行することができる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与が集中して行なわれることとなるため、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
本発明により、遊技者が十分に遊技意欲を持ってゲームを楽しむことができる。
以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左・中・右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46および化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出のための映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者の遊技の進行を補助する役割をしている。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42およびボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払出し枚数表示部34およびメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。なお各ランプは遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。各ランプの発光は遊技パネル6上で遊技者が視認することが可能である。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットに対応している)。なおベットボタン12,14,16の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となるためMAXベット(ベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)と呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払出しを伴う当選種類が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。このため、以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行なうことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することによって選択できるため、遊技をスムーズに進行することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払出しが集中して行われる特典の回数等の状況の表示を行ない、遊技者のボーナスゲームの遊技をスムースに進行させる役割をしている。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は前面扉4を装飾したり、遊技者の目を引きつけて遊技意欲を掻き立てたりする役割をしている。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵として統一する)を入れて左右にそれぞれ約45度ほど回す(捻る)ことが可能となっており、右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中段した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(リセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64、およびスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる(図柄表示位置規定手段、図柄表示位置有効手段)。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分には、図2でみて左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置78が設置されており、このホッパ装置78の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組に複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー、7、V等)が印刷された透光性を有する図柄帯(図3に示す)が張られたことにより筒状の形態を成している。前記筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下では前記可変回転体をリール、前記可変図柄表示装置をリール装置として統一する)。リールは回転・停止を行なっても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している(所定当選図柄配置手段、図柄列配置手段)。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10c別に独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行なうための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払出し等、前記リール装置10の回転と停止等および各表示部28,30,32,34,36,42,44による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示および各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94および外部端子板96と図示しない配線およびコネクタ等により接続されている。そのためメイン制御基板92から各種情報の伝達がサブ制御基板94および外部端子板96へ行われることを可能としている。
電源ユニット70内には、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行なうことができる。また電源ユニット70は、前記メイン制御基板92を含め各種基板に電力を供給するために配線およびコネクタ等により接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部からの不正な手段により直接触れることを防止するためのプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置78は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置78の内部には図示しないがホッパモータを備えており、メダルの払出しが行われる場合はこのホッパモータが回転することにより、ホッパ装置78内に貯留されているメダルが払出し口80から払出される。ホッパ装置78内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置78内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留の補助的な役割をしている。
(スロットマシンの内部構成)
図4は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述の3つのリール10a〜10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。鍵穴48は、専用鍵を挿入した後に左回りに回すことで、鍵穴48奥に設置されたエラー解除センサ100(図1では図示しない)よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また右回りに回すことで前面扉4が開放されると、図示しない前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132により開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4が開放されると、前面扉4と本体部分2とが離れたことを検出することができる。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、前述の3つのリール10a〜10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置78等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサを有しており、これら位置センサ(各リールに対応してそれぞれ左リール位置センサ106a、中リール位置センサ106b、右リール位置センサ106cと呼ぶ)からの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されている。またメダル投入口26の奥には図示しない投入センサ104およびロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、前面扉4の内側でメダル投入口26の奥に配置されたメダルセレクタ(図示されていない)の通路をロックアウトする(塞ぐ)役割を果たす。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。また、投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタがロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベット・クレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置78は、払出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができ、液晶表示部58等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者等に報知されることとなっている。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置78に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動および停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置78には、組み合わせが表示された図柄の種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置78はメダルの払い出し動作を行なう。このときホッパ装置78内に払出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、メダルが全く無い状態であると、払出しセンサ98による枚数検出が滞ることとなり、所定時間経過(例えば3秒間)すると、払出しセンサ98より払出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させる。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58や各ランプ60,62,64,66それぞれの点灯または点滅およびスピーカ56の作動を制御している。
更に、メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことで始めて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図5は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、まず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a〜10cの回転を停止させるとともに各リール10a〜10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選種類と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選種類を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選種類については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は全リール10a,10b,10cの停止時に表示された図柄の表示態様(出目)から図柄の組み合わせが有効ラインに表示されたか否かを判断し、組み合わせが表示された場合はそれに応じた遊技結果を提供するためのものである。遊技結果のうち主な特典はメダルの払い出しであるが、メダルの払出しがなくとも、表示された組み合わせ図柄(ビッグボーナス図柄、レギュラーボーナス図柄等)の種類に応じてボーナスゲームに移行する特典が与えられたり、あるいはメダルの払出しとは別に内部状態(各種モード)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については停止処理の後で説明する。
(2.始動処理)
図6は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは特に規定されておらず、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値から当選・落選が判断され(内部抽選手段)、当選の場合は当選種類(小役、特定小役等)の種類に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。
また、落選の場合は、いずれの当選種類(小役、特定小役等)も揃えることのできないハズレフラグがONにされる。当選・落選したフラグ(いわゆる、成立フラグ)は、該当するフラグがONになっている時に該当図柄を揃えることではじめて特典が得られるものである。各々の特典については、判定処理にて別のフローチャートを用いて後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cが始動され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。
(2−1.当選種類と当選図柄)
図7は、スロットマシン1の各種当選種類に対応した当選図柄の構成を示したものである。各々の当選図柄は全てのリールの停止時に表示窓8内に図柄の組み合わせ態様として有効ラインに揃うことでそれぞれの特典を得ることができるものである。
(2−1−1.特別当選図柄〔ボーナス図柄(BB図柄、RB図柄)〕:特別当選種類)
当選種類が特別当選種類〔ビッグボーナス(BB)もしくはレギュラーボーナス(RB)〕である場合に対応する図柄がそれぞれBB図柄、RB図柄のボーナス図柄である。BB図柄の組み合わせ態様「7−7−7」が表示窓8内の有効ラインに停止すると「BBゲーム」が開始される。あるいは、RB図柄の図柄組み合わせ態様「V−V−V」が表示窓8内の有効ラインに停止すると「RBゲーム」が開始される。
つまり、ボーナス図柄が揃うと「BBゲーム」もしくは「RBゲーム」のいずれかの特典が得られることになる。この「BBゲーム」、「RBゲーム」ともに、複数回のゲーム機会が集中して行なわれることで大量のメダルを獲得することができる特典を有している。そのため、BBまたはRBは他の当選種類に比べて内部抽選で当選し辛くなっており(例えば1/300程度)、ボーナス図柄も各リール10a,10b,10cそれぞれともに配置数が非常に少なくなっている(概ね各リールに1〜2個配置される程度)。なお「BBゲーム」および「RBゲーム」の内容については後述する。
(2−1−2.再遊技図柄(リプレイ図柄):再遊技当選種類)
当選種類が再遊技当選種類(リプレイ)である場合に対応する図柄が、再遊技図柄(リプレイ図柄)である。リプレイ図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が表示窓8内の有効ラインに停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、あらためてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ラインと同じラインとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。また「リプレイゲーム」はメダルの払出しが行われない代わりにメダルを新たに消費する必要もない。そのため、当選頻度を高くして遊技者のメダルの消費量(一定時間当りにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選種類であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。それゆえ、リプレイは、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑えることのできる非常に重要な当選種類としての役割を担っている。従ってリプレイに内部抽選において当選した場合には極力特典が得られるように、リプレイ図柄も各リール10a,10b,10cごと、それぞれ満遍なく配置されている(各リールとも概ね1〜4図柄おきに1個は配置する)。
(2−1−3.特定小役図柄(チェリー図柄):特定小役)
当選種類が特定小役(チェリー)である場合に対応する図柄が、特定小役図柄(チェリー図柄)である。チェリー図柄は単一リール(左リール10a)の表示窓8内の有効ラインに停止する態様となっただけでメダルの払出し(2枚)が行なわれる。
つまり、チェリー図柄からは、2枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aのみの停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は残りの中・右リールの図柄の組み合わせに影響されないため(中・右リールはどの図柄が停止した態様でもよい)、チェリー図柄の組み合わせとして「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
また、チェリー図柄は左リールのみをよく狙って停止させれば当選した場合の特典を得ることができるため、全てのリールを目押ししなければならない他の当選図柄に比較して目押しの労力をさほど必要としない。このため、各リール10a,10b,10cごと、それぞれの配置は少なく(各リールとも概ね3〜5個配置される程度)、付与されるメダル数も他の当選種類に比べて少ない。このように、ある程度目押しをしないと取りこぼしが生じるようチェリー図柄の配置を少なくして、遊技者の目押しの技量の入る余地を持たせている
それでも左リール10aのチェリー図柄を正確に停止させることができれば当選したチェリーの特典を得られるため、リプレイに比べて内部抽選で当選し辛くなっているものの、リプレイと同様、ゲーム進行におけるメダルの大量消費を抑えることのできる重要な当選種類としての役割を持っている。
またチェリーを単一リールの有効ラインに停止するだけで特典を付与させることにより他のリールの図柄にチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる(例えば前記の他のリールにはチェリー図柄を設けない)。このため、チェリー図柄以外の当選図柄の配置にバリエーションを多く持たせることができ、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄の特典が付与されるリールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10b、右リール10cの表示窓8内の有効ラインにチェリー図柄が停止した場合に特典が付与されることとしてもよい。つまり「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となると特典を得ることができる。あるいは、左・中・右の3つリールのうち2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内の有効ラインに停止したときの組み合わせ態様で特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「ANY−チェリー−チェリー」、「チェリー−ANY−チェリー」となると特典を得ることができる。
上記のいずれであっても、左・中・右の3つのリールの内の少なくとも1つ(あるいは2つ)のリールのチェリー図柄を狙って停止操作を行なうだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者が3つのリール全てを毎ゲーム目押しして停止操作する負荷を軽減させることにもなるからである。
(2−1−4.一般小役図柄(ベル図柄、スイカ図柄):一般小役)
当選種類が一般小役であった場合に対応する図柄が、一般小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄)である。ベル図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」またはスイカ図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」が表示窓8内の有効ラインに停止するとそれぞれ10枚、15枚のメダルの払出しが行われる。
つまり、ベルおよびスイカという一般小役図柄が揃うと、それぞれに対応した枚数のメダルが払出されるという特典が得られることになる。そのため一般小役は、通常遊技にあって、メダルの増加が期待できる当選種類である。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、ホールとの利益バランスが崩れてしまう。それを回避するために、一般小役図柄は、各リール10a,10b,10cごとの配置を少なくして(各リールとも概ね3〜8図柄おきに1個配置する程度)、遊技者が各リールを正確に目押ししないと特典を得ることが難しくなっている。
なお、当該遊技機では、一般小役はベルとスイカという複数の種類を用意している。そのため、内部抽選で当選する割合にベルとスイカとで差を設けている(例えば、ベルは当選し易く、スイカは当選し辛い)。更に、ベルは目押しの技量をほとんど必要とせずともベル図柄を揃えられるものとし、一方、スイカは目押しの技量を相当発揮しないとスイカ図柄を取りこぼしてしまうものとしている。このような形態とすると、ベルとスイカとの間に価値(付与される遊技価値の差に加えて目押しの必要度の差)に差を設けることができ、初級の遊技者から上級の遊技者まで満足のできるゲーム性(目押しの難易度)を持たせることが可能となる。
(2−1−5.JAC図柄)
図7のJACイン図柄、およびJAC図柄については、図柄としてはリプレイ図柄と同じものである。しかし、これらJACイン図柄およびJAC図柄は「BBゲーム」または「RBゲーム」の中でのみ有効となる役割を持ったものであり、単なるリプレイ図柄とは特典内容の異なる図柄であり、専用の図柄を別途設けてもよい。なおJAC図柄の詳細な説明は、ビッグボーナス遊技処理およびRB/JACゲーム遊技処理にて行なう。
(3.リール停止処理:停止制御手段)
図8は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS201)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左・中・右の各リール10a,10b,10cが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左・中・右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。いずれの停止ボタン20,22,24も押されていなければ、ステップS209の判断が否定(No)されてステップS202以降が繰り返される。なおステップS202の判断において、左リール10aが第1番目に停止するリールとなる場合を通則操作手順として規定し(通則操作手順検出手段)、左リール10a以外の中リール10bまたは右リール10cが第1番目に停止するリールとなる場合を非通則操作手順として規定するものとする(非通則操作手順検出手段)
また、通則操作手順、つまり、左停止ボタン20→(中停止ボタン22→右停止ボタン24の順、あるいは、右停止ボタン24→中停止ボタン22の順)の操作のことを順押し(または順はさみ押し)と呼び、非通則操作手順、つまり、左停止ボタン20以外の停止ボタンを始めに押す操作を変則押しと呼ぶ。リール停止制御は、この2つの停止制御に大別することができる。
(3−1.順押し)
「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左停止ボタン20が押されたとすると(ステップS202=Yes)、左停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていない(ステップS203=Yes)ため、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS204)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS204)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、乱数値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば、1つの当選種類「リプレイ」について、リール10a〜10c上にあるリプレイ図柄を有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されているが、前記テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10aから10cの停止位置が制御される。これにより、リプレイ図柄が有効ライン上のどこかで停止されることとなる。
ステップS204で左リール10aについて第1リール停止処理が行われるとともに、このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS206では残りの中・右リール10b,10cについてそれぞれリール制御テーブル(停止テーブル)が乱数抽選により決定される。具体的には、図1において左リール10aの停止時にリプレイ図柄が下段位置に停止されたとすると、停止された時点で図柄の組み合わせが表示されるラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
なお、リール停止制御テーブルで当選した図柄を停止させるためのラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると左リール10a(または第1リール)を停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄を停止させるのか決定しているため、前記ステップS206に示した乱数抽選を行なう必要が無くなり、メイン制御基板92の負荷を軽減することができる。ただし、予め決定されたラインに該当図柄を停止させることにより、左リール10aについて、当選していないにも関わらずチェリー図柄が該当する有効ライン上に停止してしまう場合には、これを回避するために、予め決定されたラインを変更させて再度ラインを決めなおす乱数抽選等を行なうこととしてもよい。
以上の処理(ステップS206)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS207)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS208)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階では全てのリール10a〜10cが停止していないので、ステップS209の判断が否定(No)されてステップS202以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS202=No)、順押し手順に沿って2番目に中停止ボタン22が押されると(ステップS210=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS211=No)を経て中リール停止処理(ステップS213)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりに図柄が組み合わせとして表示されるラインの例でいうと、中リール10b上のリプレイ図柄が中段位置に停止することとなる。また停止目上は、右上がりライン上で左・中リール10a,10bにリプレイ図柄が2つ揃った状態(いわゆる「右上がりテンパイ」)となる。このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。また、この場合、中リール10bは第2停止であるためステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右停止ボタン24が押されると(ステップS217=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS218=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される(ステップS220)。これにより、3番目の右リール10c上のリプレイ図柄が上段位置に停止するので、全リール停止時の出目は、右上がりライン上にリプレイ図柄が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第3停止であるためステップS219,S221,S222は全て迂回され、ステップS223にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS209の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
なお、「順はさみ押し」の手順は、左リール10aが停止後に右停止ボタン24の押下、最後に中停止ボタン22の押下となるだけであり、「順押し」の手順と大幅な差異がないため説明は省略する。
(3−2.変則押し)
変則押しは更に、中停止ボタン22を最初に押下する「中押し」と、右停止ボタン24を最初に押下する「逆押し」および「逆はさみ押し」に分けることができる。
「中押し」の手順に沿って最初に中停止ボタン22が押されると(ステップS210=Yes,ステップS211=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS212)が実行される。このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS212)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、乱数値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。
例えば、当選種類がベルであった場合、ベル図柄が中リール10bの中段位置に停止したとする。次のステップS214では残りの左・右リール10a,10cについてそれぞれリール制御テーブル(停止テーブル)が乱数抽選によって決定される。この時点でベル図柄の組み合わせが表示されるラインとして中段ラインまたは右上がりラインまたは右下がりラインの3通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は3つとも均等となる程度でよい。
なお、リール停止制御テーブルで当選した図柄を停止させるためのラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると中リール10bを停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄を停止させるのか決定しているため、前記ステップS206に示した乱数抽選を行なう必要が無くなり、メイン制御基板92の負荷を軽減することができる。
以上の処理(ステップS214)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS215)、中リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS216)。中リール停止フラグがON(=1)になった段階では全てのリール10a〜10cが停止していないので、ステップS209の判断が否定(No)されてステップS202以降が実行される。
すると、このとき既に中リール10bが停止しているので(ステップS210=No)、2番目に右停止ボタン24が押されると(ステップS217=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS218=No)を経て右リール停止処理(ステップS220)が実行される。右リール停止処理では、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の中段ラインに図柄が組み合わせとして表示される例でいうと、右リール10c上のベル図柄が中段位置に停止することとなる。また停止目上は、中段ライン上で中・右リール10b,10cにベル図柄が2つ揃った状態(「中段テンパイ」)となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第2停止であるためステップS219,S221,S222は全て迂回され、ステップS223にて右リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に左停止ボタン20が押されると(ステップS202=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS203=No)を経て、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブル(停止テーブル)に基づいて停止位置が制御される(ステップS205)。これにより、3番目の左リール10a上のベル図柄が中段位置に停止することとなるため、全リール停止時の出目は、中段ライン上にベル図柄が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、左リール10aは第3停止であるためステップS204,S206,S207は全て迂回され、ステップS208にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ただし、左リール10aの停止位置によっては中段にベル図柄が停止する制御を行なうことが不可能な位置があり、その場合には、左リール10aの中段位置にベル図柄を停止させることができない(いわゆるスベリ制御が行なわれる)。このスベリ制御については後述する。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS209の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右停止ボタン24が押された場合は(ステップS217=Yes、ステップS218=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS219)が実行される。以降は「中押し」と同様である。またこの「逆押し」、「逆はさみ押し」も、以下で説明するスベリ制御により当選種類を獲得することが不可能な場合がある。
(3−3.変則押し時のスベリ制御)
(3−2.変則押し)でも最後に述べたが、変則押しをした場合には、停止するリール(特に左リール10a)の図柄列の位置によっては、当選図柄を取りこぼしてしまう位置がある。図9は中リール10bおよび右リール10cがすでに停止していて、ベル図柄が「右上がりテンパイ」となっており、遊技者が残りの左リール10aにベル図柄を停止させるべく左停止ボタン20を押下しようとしている状況を示している。なお、このとき内部抽選ではベルが当選しているとする。
ここで、遊技者が、図3の左リール10aの図柄列のうち1番の「V図柄」を表示窓8内の上段位置に停止させるように狙って左停止ボタン20を押下したとすると、21番の「ベル図柄」が右上がりラインの残りを形成する左リール下段に停止する。このとき、遊技者は、1番の「V図柄」を表示窓8内の上段位置に停止するように押下したのに、実際は表示窓8内の中段位置に1番の「V図柄」が停止する結果となっている(図10(a)〜図10(b))。このときはスベリ制御が行なわれて1図柄分(1コマ)ずれて(リールの回転方向に移動して)停止したことになる。このようにスベリ制御が行なわれた場合、ずれた図柄分に対応して1コマスベリ、2コマスベリ等と呼ぶ。なおスベリ制御は最大で4コマ(4図柄分)まで可能となっている。更にこのスベリ制御は左リール10aのみならず,中リール10b,右リール10cにも同様に行なわせることができる。
次に、図11では、図9と同じ状況下で、遊技者が図3の左リール10aの図柄列のうち10番の「ベル図柄」を左リール上段から中段位置辺りで停止させようと狙って左停止ボタン20を押下したとすると、10番の「ベル図柄」は中段位置から下段位置を越えて表示窓8内を通り過ぎて表示窓8外の見えない位置まですべっていってしまう(図11(a)〜図11(c))。このときは4コマのスベリ制御が行なわれている。
ここで、何故10番の「ベル図柄」が当選しているにも関わらず停止しなかったのかというと、11番の「チェリー図柄」を表示窓8内に停止させないように制御が行なわれたためである。つまり、11番の「チェリー図柄」を表示窓8内の下段位置から更に1個の図柄分だけ移動した位置で停止させるスベリ制御が行なわれた結果、10番の「ベル図柄」までも合わせて表示窓8内から表示窓8外へ移動してしまったのである。
本来であれば、10番の「ベル図柄」を表示窓8内の下段位置に停止させて「ベル図柄」を右上がりの有効ラインに揃えるべきであるが、10番の「ベル図柄」を表示窓8内の下段位置に停止させてしまうと、11番の「チェリー図柄」が表示窓8内の中段位置に停止してしまうこととなる。
これについては判定処理で詳しく説明するが、仮に10番の「ベル図柄」を表示窓8内の下段位置に停止させる制御を行なってしまうと、ベルとチェリーとが同時に停止時の図柄組み合わせ態様として表示されたことになり、メダルの払出しが重複して行われることとなってしまう。この場合はベル10枚+チェリー2枚=12枚のメダル払出しが行われてしまうこととなる。これでは本来当選していたベルの払出し10枚を超えた過剰なメダルの払出しが行われてしまうこととなり、ホールにとっては著しい不利益となってしまう。
更に、上記のような重複した払い出しが許されてしまうと、スイカとベルとの重複なども可能となってしまう危惧が生じる。つまり、スイカ15枚+ベル10枚=25枚の払出しとなりスロットマシン1の遊技性に矛盾が生じることになってしまう。そのためゲームの健全性が損なわれ、遊技者の射幸心を極度に煽り、その結果として、ホールに不利益を招く遊技機として早々に撤去されてしまうといった事態を招来してしまうことも危惧される。こうした事態を回避するために、本実施形態のスロットマシン1では、当選種類を重複して獲得できるような制御は行なわない。こうすると遊技者は変則押しをして図9のように「ベル図柄」が右上がりテンパイとなった場合は、左リール10aのチェリー図柄の位置から判断して極力「チェリー図柄」の影響を受けない箇所を狙って停止操作を行なおうと考えることとなる(例えば、図3の14番の「チェリー図柄」を狙う等)。
なお、順押し(順はさみ押し)をした場合、左リール10aの停止が第1番目となるため、内部抽選でチェリー非当選時に「チェリー図柄」を表示窓8内に停止することを回避することだけできれば良い。そのため、「チェリー図柄」を表示窓8内から回避したうえで、内部抽選の当選結果に対応した図柄(該当図柄)が停止操作が受け付けられた時点に表示窓8内に現れている図柄からみて最大スベリコマ数の可能な範囲にあれば、該当図柄を表示窓8内に停止させることが可能である。この際に行なわれる「チェリー図柄」回避制御としては、「チェリー図柄」を表示窓8内の上段位置に到達する前の位置(枠上、以下では枠上という)までで停止させる回避制御(特定小役図柄前停止制御手段)、あるいは、「チェリー図柄」を表示窓8内の下段位置から1個の図柄分リールの回転方向に移動した位置(枠下、以下では枠下という)まで移動させてから停止させる回避制御(特定小役図柄後停止制御手段)が行なわれることとなる。
上記の順押しで、左リール10aが停止した際に該当図柄が表示窓8内の上段位置、中段位置、下段位置のいずれかで停止した態様となった場合、該当図柄が揃う有効ラインが決まることになるが、中リール10aおよび右リール10cの停止制御についても、それぞれのリールの停止操作が受け付けられた時点で、揃う有効ライン上に現れている図柄から最大スベリコマ数の範囲内に該当図柄があれば、スベリ制御により揃う有効ラインに停止させることが可能となる(通則操作手順図柄停止制御手段)。
以上が変則押し時のスベリ制御であるが、以下では、上記のような「チェリー図柄」に関係する取りこぼしを回避する停止制御について説明する。
(3−4.取りこぼし回避制御:図柄前停止制御手段、図柄後停止制御手段)
図11(a)〜(c)のように「取りこぼし」をしてしまうことは遊技者にとって非常に不利なことである。そこで本実施形態のスロットマシン1では、遊技者の停止操作の順番に因らず所定当選種類の取りこぼしを回避できる制御(取りこぼし回避制御)を行なうことができる。ここで、所定当選種類に限定して「取りこぼし回避制御」を行なうのは、仮に乱数抽選で当選した当選種類の全てを取りこぼすことがない制御を可能とした場合、それはもはやスロットマシンとはいえず、ただの抽選機械となってしまうことを考慮したものである。なぜならば、スロットマシン等の回胴式遊技機は、3つのリールを遊技者が狙って停止させて目押しの技量を発揮する遊技機だからである。つまり遊技者がしっかりと図柄に狙いを定めて停止操作を行なった結果、該当図柄が揃ったことに喜びを見出すものだからである。このことから、順押しでも変則押しでも狙わないと取りこぼす当選種類を設けることで、遊技者の技術の入り込む余地を与えている。そのため、遊技者は自分の目押しの技量を向上させようという前向きな意欲を持ってゲームを行なうこととなる。
本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが当選した場合に取りこぼし回避制御が行なわれる。これは前述した通り、スロットマシン1の当選種類の中でもリプレイはゲーム進行上での遊技者の単位時間当りのメダル消費をある程度一定の範囲に保つことの可能な非常に重要な当選種類であるためである。また、リプレイは、メダルの払出しを伴わない当選種類であるため、リプレイを取りこぼさないこととしても、ホールにとっては不利益とならないからである。
図3のリール図柄配列によると、リプレイに当選したときに順押しまたは順はさみ押しを行なった場合には、各リール10a,10b,10cを狙わずに適当に停止操作したとしても必ず「リプレイ図柄」を揃える停止制御を行なうことができる。これは前述したスベリ制御により、最大4図柄分の図柄を滑らせることが可能だからである。図3で、各リール10a,10b,10cともに「リプレイ図柄」と「リプレイ図柄」の間は最大でも4図柄分の他図柄(リプレイ図柄以外の図柄)の配置となっている。なお、以下では、図3のリール配列図上の図柄番号(図3の1〜21までの数字と対応する図柄)を、1番の「リプレイ図柄」といった名称で統一する。
例えば、
『リプレイ図柄(a)−他図柄(1)−他図柄(2)−他図柄(3)−他図柄(4)−リプレイ図柄(b)』
といったリール配列(図3では、中リール10bの図柄配列での6番の「リプレイ図柄」〜11番の「リプレイ図柄」が該当するため、これを例として取り上げる)の場合、
〔 6番の「リプレイ図柄」→7番の「チェリー図柄」→8番の「7図柄」→9番の「チェリー図柄」→10番の「ベル図柄」→11番の「リプレイ図柄」 〕
という順番にリールが回転していく方向を定めると(つまり、6番の「リプレイ図柄」が先に表示窓8内に現れ、次に7番の「チェリー図柄」という順番に次々に移動する)、上記で7番の「チェリー図柄」で停止操作を行なうと、11番の「リプレイ図柄」までは4図柄分移動させることで「リプレイ図柄」を表示窓8内の有効ラインに停止させることができる。そのため、リールの回転方向から見て、どんなに「リプレイ図柄」から遠い位置(上記では、7番の「チェリー図柄」)で停止操作を行なっても最大4図柄分まですべると図柄配列上では次にあるリプレイ図柄(上記の11番の「リプレイ図柄」)を表示窓8内の有効ラインに停止させることができるため、「リプレイ図柄」を表示窓8内に停止させて有効ラインにテンパイした状態を形成することが可能となる。これが各リール10a,10b,10c全てに当てはまるため、リプレイに当選し、順押しまたは順はさみ押しをした場合、リプレイを取りこぼすことがない。
次に、内部抽選でリプレイに当選し、変則押しを行なった場合について説明する。この場合、中リール10bおよび右リール10c上の「リプレイ図柄」を下段テンパイ若しくは右上がりテンパイさせる。図12は、「リプレイ図柄」が下段テンパイ若しくは右上がりテンパイとなっている状態を示している。
この状態から、左リール10a上の「リプレイ図柄」が表示窓8の下段位置に止まることで「リプレイ図柄」が揃うこととなる。上記の下段テンパイとなるか右上がりテンパイとなるかについては予めどちらにするか決めておく形態や、リール停止の際に抽選等により決定する形態であってもよい。以下の図13、図14、図15では、中リール10b、左リール10cが停止して「リプレイ図柄」がテンパイしている状態から左リール10aの停止操作が行なわれる場合について具体的に説明する。なお下段テンパイおよび右上がりテンパイのいずれであっても、左リール10aが表示窓8内の下段位置に停止すると「リプレイ図柄」が揃ったことになるため、下段テンパイおよび右上がりテンパイとも図示しているが、実際には、いずれか1つの「テンパイ状態」となることを付け加えておく。
図13(a)では、左リール10aの1番の「リプレイ図柄」を中段位置付近で停止操作を行なった結果、1番の「リプレイ図柄」が表示窓8の下段位置に停止したところを表している。ここで5番の「チェリー図柄」は枠下に停止している。
図13(b1)では、左リール10aの1番の「リプレイ図柄」を下段位置に狙ったが停止操作が遅れてしまい、5番の「チェリー図柄」が表示窓8内に現れている状況を示している。ここで内部抽選ではチェリーに当選していないため、「チェリー図柄」が表示窓8内に停止することを回避する制御が行なわれ、図13(b2)に示すとおり、5番の「チェリー図柄」を枠下に停止させることとなる。このとき合わせて、6番の「リプレイ図柄」が表示窓8内の下段位置に停止することとなり、「リプレイ図柄」が揃うこととなる。ここでは「チェリー図柄」を表示窓8の上段位置、中段位置、下段位置のいずれの位置にも停止しないようスベリ制御が行なわれたことになる。
もちろん「リプレイ図柄」と「リプレイ図柄」の間に「チェリー図柄」が配置されていない位置(図3の6番の「リプレイ図柄」〜10番の「リプレイ図柄」、15番に「リプレイ図柄」〜19番の「リプレイ図柄」、19番の「リプレイ図柄」〜1番の「リプレイ図柄」の各図柄の間)でもスベリ制御により「リプレイ図柄」を表示窓8内の下段位置に停止させることが可能である。
次に、「リプレイ図柄」を下段ライン若しくは右上がりラインに限定して停止させる制御を行なうこととした理由を説明する。図3の左リール10aの図柄配列でみると、5番および14番の「チェリー図柄」の前には3図柄分の他図柄を挟んで「リプレイ図柄」が配置されており(この「リプレイ図柄」のことを「チェリー前リプレイ図柄」という)、5番および14番の「チェリー図柄」の後には0図柄分の他図柄を挟んで(つまり他図柄を挟まず)、「リプレイ図柄」が配置されている(この「リプレイ図柄」のことを「チェリー後リプレイ図柄」という)。このため、5番および14番の「チェリー図柄」を表示窓8の枠外(枠上、枠下を含む表示窓8の外の位置)に停止させ、かつ「チェリー前リプレイ図柄」あるいは「チェリー後リプレイ図柄」を表示窓8内に表示させることができる位置としては下段位置となることが決まる。従って、中リール10bおよび右リール10cを停止させたときに「リプレイ図柄」が下段テンパイ若しくは右上がりテンパイとなるよう停止制御を行なうこととしたのである。
上記のとおり、左リール10aの図柄配列上で「チェリー図柄」の前に3個の他図柄、「チェリー図柄」の後に0個の他図柄を挟んで「リプレイ図柄」を配置することで、変則押し時にも揃えることのできるラインを限定することで、リプレイの取りこぼしを回避することができる。また、この場合、「チェリー図柄」を間に挟んだ「リプレイ図柄」から「リプレイ図柄」までの図柄数を最大で4図柄(「チェリー図柄」を含む)とすることにより、表示窓8内に「チェリー図柄」が現れる(あるいは現れる虞のある)停止操作が受け付けられても、「チェリー図柄」を回避しつつ「リプレイ図柄」を揃えることができるのである。これにより内部抽選で当選したリプレイは変則押ししても取りこぼすことがなくなり、遊技者が自分の好きなようにリール停止操作を行なっても極力不利益を被ることがなくなる。
(3−5.擬似テンパイ制御:図柄前特定態様不許容停止制御手段、図柄後特定態様不許容停止制御手段)
ここで本実施形態のスロットマシン1の更なる特徴について説明をする。確かに、上記の「取りこぼし回避制御」により、変則押しをしてもリプレイを取りこぼしてしまうことがなくなるため、遊技者は不利益となることを心配せずに自由なリールの停止操作を行なうことができる利点がある。
一方、変則押しをして「リプレイ図柄」がテンパイした状態になると、必ず「リプレイ図柄」が揃うことにしてしまうと、遊技者は最後のリール(左リール10a)を停止させるより前に内部抽選でリプレイに当選したことが分かってしまうため、全てのリールを停止させるまで、内部抽選でいずれの当選結果が得られたのかの興味が半減してしまう。
そこで、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選でリプレイ以外の当選結果が得られた場合にも、変則押しを行なうと「リプレイ図柄」がテンパイした状態を作り出すことができる。上記の制御を「擬似テンパイ制御」と呼称する。この「擬似テンパイ制御」により「リプレイ図柄」がテンパイした状態となっても、「リプレイ図柄」が揃うとは限らなくなるため、遊技者は最後のリール(左リール10a)を停止させるまで、興味を半減させることなくゲームを楽しむことが可能となる。
また、「擬似テンパイ制御」は、内部抽選の当選結果として特別当選種類(BBまたはRB)が得られた場合に行なうことにより、「リプレイ図柄」がテンパイした状態になると、そのまま「リプレイ図柄」が揃うか、あるいは「リプレイ図柄」が揃わないかといういずれの結果となるかの期待を遊技者に持たせることができる。つまり、遊技者は、「リプレイ図柄」が揃えば、次回のゲームで再遊技を行なうことができるのでメダルを新たに消費せずに済むという安心感が得られるし、「リプレイ図柄」が揃わなかったら、BB若しくはRBに当選したことを確信(察知、知覚)することとなり、リプレイに当選する以上の喜びが得られることとなる。
次に、図14では、「擬似テンパイ制御」が行なわれて「リプレイ図柄」がテンパイしている状況を示している。図14(a)では、左リール10aに1番の「リプレイ図柄」を表示窓8内の中段位置付近に狙って停止させたところである。このとき遊技者は、「リプレイ図柄」が表示窓8内の下段位置に当然停止するものだと半ば確信している。その理由としては、この場合「チェリー図柄」が表示窓8内に現れる前に停止させることが可能な範囲であるため、「リプレイ図柄」が表示窓8内の下段位置に停止するのに問題(障害)が無いからである。ところが、図14(b)では、「リプレイ図柄」が表示窓8内の下段位置に停止せずに通り過ぎていき、結果として表示窓8の枠下で停止している(図14(c))。
図15も、図14と同じように「擬似テンパイ制御」が行なわれている状況を示している。図15(a)では、1番の「リプレイ図柄」を表示窓8内に目押しすることに失敗して、5番の「チェリー図柄」が表示窓8内に現れているところを示している。目押しには失敗したものの、このとき遊技者は、5番の「チェリー図柄」の上に位置する6番の「リプレイ図柄」が表示窓8内の下段位置にスベリ制御により停止するはずであろうと安心している。ところが、図15(b)から図15(c)では、5番の「チェリー図柄」が表示窓8内に停止することが回避されたにもかかわらず、6番の「リプレイ図柄」までも表示窓8の枠下で停止している。
上記のことから、「擬似テンパイ制御」では、「取りこぼし回避制御」と同様の「リプレイ図柄」のテンパイラインを形成しつつも、最終的には「リプレイ図柄」が揃わない制御を行なう。これは、「取りこぼし回避制御」で、左リール10aの図柄配列上から、「チェリー前リプレイ図柄」、「チェリー後リプレイ図柄」の配置に規則性を持たせることでリプレイの取りこぼしを回避することを可能としたことに加えて、あえて取りこぼした状態を作ることも可能とすることにより実施することができる。
具体的には、「チェリー前リプレイ図柄」が表示窓8内の上段位置に現れた場合、
〔 中段位置→下段位置→枠下 〕
へと、スベリ制御により「チェリー前リプレイ図柄」を移動させることが可能であり、枠下に「チェリー前リプレイ図柄」を停止させてもまだ、「チェリー図柄」を枠上までで停止させることができる。
つまり、2コマのスベリ制御を行なえば、リプレイを揃えることができ、3コマのスベリ制御を行なえば、リプレイを揃えない(テンパイラインからずらして停止させる)ことができるのである。
あるいは、「チェリー図柄」が表示窓8内の上段位置に現れた場合でも、
〔 中段位置→下段位置→枠下 〕
へと、スベリ制御により「チェリー図柄」を移動させることが可能であり、枠下に「チェリー図柄」を停止させると「チェリー後リプレイ図柄」が表示窓8内の下段位置に停止することとなるが、更に1図柄分だけ移動して停止させることが可能である(スベリ制御では最大で4コマ分の図柄を移動させることができるため)。つまり3コマのスベリ制御を行なえば、リプレイを揃えることができ、4コマのスベリ制御を行なえば、リプレイを揃わせない(テンパイラインからずらして停止させる)ことができるのである。
(3−6.リール停止制御のまとめ)
以上の内容から、本実施形態のスロットマシン1は、「取りこぼし回避制御」および「擬似テンパイ制御」のいずれかを選択的に決めて行なうことが可能であるといえる。もちろんいずれも選択されないこともあるが、内部抽選の当選結果として、リプレイ若しくはBB(またはRB)が得られた場合に、「リプレイ図柄」をテンパイさせることでリプレイが揃うのか、それともBB(またはRB)に当選したのかという期待を遊技者に持たせることができる。従って、遊技者からすれば、「リプレイ図柄」がテンパイした状態となることは、有利な場合といえる。つまり、リプレイがそのまま揃えば、再遊技を行なえるのでメダルの消費が抑えられるし、リプレイが揃わなければ、BB(またはRB)に当選したことが確定となり、メダルを大量に獲得できる喜びに満ち溢れることとなる。
また、「リプレイ図柄」がテンパイした状態となっても、最後のリール(左リール10a)を停止させるまで結果が分からなくなるため、1回のゲームの最後まで遊技者の興趣を持続させることもできる。あるいは、「リプレイ図柄」がテンパイした状態のドキドキ感を味わおうと積極的に変則押しでゲームを楽しもうという遊技者も増える。これは特にゲームに熟練した上級の遊技者などが好んで「リーチ目」を出目として表示させることでスロットマシンの醍醐味を味わいたいという願望を実現させることにもなる。つまり、「リプレイ図柄」がテンパイした状態で、左リール10aを目押しした結果、リプレイが揃わなかったことで、『内部抽選でリプレイに当選したことが否定される=リーチ目』となるためである。
なお、「擬似テンパイ制御」を行なう当選種類としては、特別当選種類(BBまたはRB)以外、つまり、一般小役(ベル、スイカ)または、はずれ(内部抽選で非当選なった場合)とすることも可能である。しかし、このような場合、「リプレイ図柄」がテンパイした状態となったので、リプレイが揃うものだと思って最終リール(左リール10a)を停止させたにも関わらず、何も揃わず、挙句に次回以降のゲームでもリーチ目も表れず、何もなかったかのようにゲームが進行していくと、遊技者は非常に損をした気分となる。そのため、BB(またはRB)とするのが望ましい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、「取りこぼし回避制御」および「擬似テンパイ制御」としてリプレイおよび「リプレイ図柄」を用いたが、リプレイに限定されることはない。それぞれリプレイ以外の当選種類および「当選図柄」を用いる態様であってもよい。
(4.判定処理)
図16は、判定処理の内容を具体的に示している。上記のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止されると、メイン制御基板92はそのとき表示されている出目を確認する処理を行なう(ステップS301)
次に、全リール停止時の出目から組み合わせとして表示された図柄がビッグボーナス図柄(特別当選図柄)であるか(ステップS302)、レギュラーボーナス図柄(特別当選図柄)であるか(ステップS303)、小役図柄(特定小役図柄、一般小役図柄)であるか(ステップS304)、リプレイ図柄(再遊技図柄)であるか(ステップS305)、それともハズレ図柄であるかがそれぞれ判断される。そして、そのとき組み合わせとして表示された図柄がビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)のいずれかに該当すると判断されると(Yes)、それぞれの図柄の組み合わせが表示されたことを知らせる効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS306、S307)。また、表示された組み合わせの図柄が小役に該当すると判断されると(ステップS304=Yes)、各小役図柄に対応した枚数のメダル払出動作がホッパ装置78に指示されるとともに、払出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS308)。あるいは、リプレイ図柄の組み合わせが表示されたと判断される(ステップS305=Yes)と、リプレイ処理(ステップS311)が実行される。ここでリプレイ処理とは、あらためてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ラインと同じラインとなる(例えば、3ベットしてゲームを開始した結果、リプレイが揃った場合、次ゲーム時に再遊技を開始するときも3ベット時のライン数が有効となる)。
ビッグボーナス図柄またはレギュラーボーナス図柄の組み合わせを表示することを許容された場合、つまり、図6のフラグ処理において、ビッグボーナス(BB)またはレギュラーボーナス(RB)の当選フラグがONとなった場合は、そのときに表示された組み合わせの図柄に応じてビッグボーナス遊技処理(ステップS309)またはレギュラーボーナス/JACゲーム遊技処理(ステップS310)が実行されて判定処理は終了となる。
また小役図柄、リプレイ図柄の組み合わせを表示させることを許容された場合は、そのときに表示された組み合わせの図柄に応じて払出しまたはリプレイ処理が実行されて、小役またはリプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS312、S313)この処理は終了される。なお上記の図柄に応じて払出しが行われることおよびステップS308は遊技価値付与手段の一例に相当する。また、ハズレフラグONの時や成立フラグに対応する図柄が有効ラインに揃っていない(取りこぼし)場合(ステップS305=No)は、BBまたはRB当選フラグ以外の成立フラグがOFFにされて(ステップS314)同じく判定処理は終了となる。ここでBBまたはRB当選フラグ以外の成立フラグがOFFにされる。つまりBBまたはRBの当選フラグは維持されるということである。なぜなら、BBまたはRBは、小役やリプレイが組み合わせとして表示された場合の特典よりも遊技者にとっての特典が有利なためである。このBBまたはRBの特典が有利なことについては後述する。更にBBまたはRBはその図柄が各リールに少ない(例えば、1〜3個)ため、BBまたはRB当選フラグがONになった場合でも、その図柄を狙って停止(目押し)させる必要がある。すなわち、ONになったフラグがBBまたはRBの当選フラグ以外のときは、そのONになったゲームにおいて成立フラグに対応する図柄を揃えられた場合も取りこぼした場合も、その成立フラグは消滅する。しかしBBまたはRBの当選フラグは当該図柄を揃えるまで維持される。このBBまたはRB当選フラグの維持は、遊技者の目押しの技量の差によって、BBまたはRBの特典に著しい差を生じさせないために図られた便宜であるともいえる。
なお、ビッグボーナス遊技処理(ステップS309)またはレギュラーボーナス/JACゲーム遊技処理(ステップS310)に進んだ場合は、これら各処理中においてBBまたはRB当選フラグがOFFにされる。
(5.特別遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1において、ビッグボーナス図柄(「7−7−7」)またはレギュラーボーナス図柄(「V−V−V」)で図柄の組み合わせが表示された場合、次回のゲームからそれぞれ「ビッグボーナスゲーム」、「レギュラーボーナスゲーム」と称する特別遊技状態に移行する(特別遊技状態移行手段)。これらビッグボーナスゲームやレギュラーボーナスゲームには複数回のゲーム機会が含まれており、この間に集中してメダル等の払出しの可能性があるため、遊技者にとっては通常よりも有利な状態であるといえる(遊技価値付与機会増加手段)。
また、ビッグボーナスゲームとレギュラーボーナスゲームとでは、前者の方がより多くのゲーム機会を含むものであり、本実施形態のスロットマシン1では、1回のビッグボーナスゲーム中に最大で所定回数(例えば30回)の小役ゲームを行なう機会と、最大で規定回数(例えば3回)のJACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)を行なう機会とが含まれる仕様となっている。
なお、特別遊技状態は、上記のビッグボーナスやレギュラーボーナスに限定されることはなく、遊技者が通常遊技に比べて有利にメダルを獲得できる機会を付与できる形態のものであればよい。以下では、その一例としてビッグボーナスおよびレギュラーボーナスについて説明する。
(5−1.ビッグボーナス遊技処理:特別遊技状態)
図17は、ビッグボーナス遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理が行われるとともに、小役ゲーム用に乱数抽選の当り値テーブルが変更される(ステップS401)。ここで変更された当り値テーブルは通常よりも小役の当り値を多く保有しており、それだけビッグボーナスゲーム中は小役の当選確率が高い状態にあるといえる。
次にビッグボーナスの当選フラグがOFFにされ(ステップS402)、続いてリール装置10の始動処理(ステップS403)および停止処理(ステップS404)が実行される。これら始動処理および停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理によって全リール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS405)、そして、内部の小役ゲームカウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS406)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、JAC図柄が揃ったか否か(ステップS407)、あるいは、小役図柄の組み合わせが表示されたか否か(ステップS412)が判断される。ここでのJAC図柄には、例えば通常時にリプレイ図柄として用いられているものを兼用することができるが、別に専用のJAC図柄が設けられている態様であってもよい。
判断の結果、JAC図柄の組み合わせ、小役図柄の組み合わせのいずれも表示されなかった場合(No)はステップS415に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が図柄の組み合わせを表示させるよう各リールを停止させることができなかったか、あるいは遊技者が積極的に成立フラグに対応する図柄の組み合わせが表示されないように各リールを停止させたかのいずれかであると考えられる。
これに対し、ステップS407またはステップS412の判断において、それぞれJAC図柄または小役図柄の組み合わせが表示された場合(Yes)、メイン制御基板92は当該図柄に対応した枚数のメダル払い出しをホッパ装置78に指示するとともに、払出し音コマンドをサブ制御基板94に送信する(ステップS409,S413)。また、メイン制御基板92が払い出しを指示すると、その枚数分だけ払出カウンタがカウントアップされる(ステップS409,S414)。
なお、ビッグボーナスゲーム中にJAC図柄の組み合わせが表示されると(ステップS407=Yes)、いわゆる「JACゲーム」と称されるゲーム機会が遊技者に与えられる。JACゲームの内容はレギュラーボーナスゲームと同じであるため、この場合、ステップS409に続いてRB/JACゲーム遊技処理が実行される(ステップS410)。
RB/JACゲーム遊技処理の内容については更に別のフローチャートを参照して後述するが、RB/JACゲーム遊技処理が1回終わると、そこでJACゲームカウンタがカウントアップされる(ステップS411)。
JAC図柄または小役図柄の組み合わせが表示された場合も同様に、それぞれステップS411またはステップS414に続いてステップS415が実行され、そこで成立フラグ(この場合は、JAC図柄または小役図柄の当選フラグ)がOFFになる。そして、毎回のゲーム終了後にビッグボーナスゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS416)、終了条件が満たされていない間(No)はステップS403に戻って次の始動処理が行われる。
一般的にビッグボーナスゲームは、以下のいずれかの条件が満たされると終了する。
(1)ステップS406で、小役ゲームカウンタのカウント数が30回に達したこと。
(2)ステップS411で、JACゲームカウンタのカウント数が3回に達したこと。
上記いずれかの条件が満たされると、ステップS416の終了判定が肯定(Yes)され、次にビッグボーナスゲームの終了処理が行われるとともに当り値テーブルが元に戻される(ステップS417)。
(5−2.RB/JACゲーム遊技処理:特別遊技状態)
図18は、RB/JACゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理としてRB当選フラグがOFFにされるとともに、RB/JACゲーム用に乱数抽選の当り値テーブルが変更される(ステップS501)。ここで変更された当り値テーブルは通常よりもJAC図柄の当り値を多く保有しており、それだけJAC図柄の組み合わせが表示される確率が高い状態にあるといえる。
次にリール装置10の始動処理(ステップS502)および停止処理(ステップS503)が実行される。停止処理によって全リール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信され(ステップS504)、そしてRB/JACゲームカウンタが1つカウントアップされる(ステップS505)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が規定の図柄の組み合わせであるか否かが判断される(ステップS506)。なお、ここでの規定の図柄は通常、JAC図柄(専用の「JAC−JAC−JAC」または兼用の「リプレイ−リプレイ−リプレイ」)と同じであることが多いが、これとは別の図柄の組み合わせが表示された場合(例えば「BAR−リプレイ−リプレイ」、「7−リプレイ−リプレイ」等)が設けられている態様であってもよい。停止時の出目がJAC図柄の組み合わせでなければ(ステップS506=No)、ステップS510に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が図柄を組み合わせとして表示させるよう各リールを停止させることができなかったかのいずれかであると考えられる。逆に、停止時の出目がJAC図柄の組み合わせであると判断(Yes)されると、メイン制御基板92はホッパ装置78を駆動して規定枚数(例えば15枚)のメダル払い出しを実行するとともに、払出し音コマンドをサブ制御基板94に送信する(ステップS508)。また払い出しが行われると、その枚数分だけ払出カウンタがカウントアップされ(ステップS509)、これに続いて成立フラグがOFFにされる(ステップS510)。
RB/JACゲーム遊技処理においても、1回分のJACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)の終了判定(ステップS511)が行われる。JACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)中にJAC図柄の組み合わせが表示された回数が一定回数(例えば8回)に達していない間は、終了判定が否定(No)されてステップS502に戻り、JACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)が続行される。この後、JACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)中にJAC図柄の組み合わせが表示された回数が一定回数(例えば8回)に達すると、そこで1回のJACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)を終了すべきものと判定(Yes)される。この場合、ステップS512に進んでJACゲーム(レギュラーボーナスゲーム)の終了処理が行われ、当り値テーブルが変更前の状態に戻される。
(その他の実施形態についての言及)
以上は、本実施形態のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。以下では、上記で述べた実施形態の一部を変形した例(変形例)について述べる。なお図面、符号等については上記の実施形態のスロットマシン1と同じとする。異なる場合は適宜符号等を新たに用いて説明する。
(変形例1)
図19のリール配列を用いて、「リプレイ図柄」を右下がりテンパイ若しくは上段テンパイさせることとしてもよい。以下では、図19のリール配列の番号と図柄を、例えば1番の「ベル図柄」と呼ぶ。図20は、内部抽選でリプレイあるいはBB(またはRB)に当選となり、遊技者が変則押しを行なって「リプレイ図柄」がテンパイした状況を示している。ここでは、左リール10aの「リプレイ図柄」が表示窓8内の上段位置に停止することで「リプレイ図柄」が揃うテンパイラインを作っている。なお、右下がりテンパイになるか上段テンパイになるかについては、本実施形態と同様、予めどちらにするか決めておく形態や、リール停止の際に抽選等により決定する形態とすることができる。
図21は、図20の状態で、左リール10aに9番の「7図柄」〜11番の「ベル図柄」が表示窓8内に現れているときに停止操作が受け付けられた場合の出目を示している。
図21(a)は「取りこぼし回避制御」が行なわれた出目、図21(b)は「擬似テンパイ制御」が行なわれていた結果の出目である。いずれの場合も14番の「チェリー図柄」を枠上に到達するまでの位置で停止させている。この場合、「チェリー図柄」の前の「リプレイ図柄」を表示窓8内の上段位置に停止させるか、もしくは1個の図柄分ずらして中段位置に停止させるかを選択することが可能な配置となっているため実現可能となるのである。従って、「取りこぼし回避制御」も「擬似テンパイ制御」も「リプレイ図柄」が「テンパイ状態」となった態様は同じであるため、遊技者が見分ける(判断する)ことはできない。そのため、最後に左リール10aを停止させるまで、「リプレイ図柄」が揃うのか、それとも揃わないのかという遊技者の期待を持続させることができる。
図22は、図20の状態で、左リール10aに14番の「チェリー図柄」が現れた時点で停止操作が受け付けられた状況を示している(図22(a))。図22(b)は「取りこぼし回避制御」が行なわれた出目、図22(c)は「擬似テンパイ制御」が行なわれていた結果の出目である。いずれの場合も14番の「チェリー図柄」を少なくとも枠下まで移動させた位置で停止させている。この場合、「チェリー図柄」の後ろの「リプレイ図柄」を表示窓8内の上段位置、もしくは1個の図柄分ずらして中段位置に停止させるかを選択することが可能な配置となっているため実現可能となるのである。
図21(b)または図22(c)はいずれも「リーチ目」となる出目である。つまり、変則押しをすることで、「リプレイ図柄」が「テンパイ状態」となれば、リプレイかBB(またはRB)かのいずれかに内部抽選の当選結果が限定されるため、遊技者にとってはどちらであっても不利とはならない。このとき遊技者は、「リプレイ図柄」が揃わないことを祈りながら、BB(またはRB)に当選していることを強く願って停止操作を行なうこととなる。つまり遊技者の興趣を最大限に向上させることが可能となるのである。
(変形例2)
「リプレイ図柄」を右下がりテンパイ若しくは上段テンパイさせるリール配列として、図23のリール配列を用いてもよい。以下では、図23のリール配列の番号と図柄を、例えば1番の「ベル図柄」と呼ぶ。図24は、内部抽選でリプレイあるいはBB(またはRB)に当選となり、遊技者が変則押しを行なって「リプレイ図柄」がテンパイした状況を示している。
図25は、図24の状態で、左リール10aに1番の「ベル図柄」〜3番の「V図柄」が表示窓8内に現れているときに停止操作が受け付けられた場合の出目を示している。
図25(a)は「取りこぼし回避制御」が行なわれた出目、図25(b)は「擬似テンパイ制御」が行なわれていた結果の出目である。いずれの場合も5番の「チェリー図柄」を枠上に到達するまでの位置で停止させている。この場合、「チェリー図柄」の前の「リプレイ図柄」を枠上で停止させるか、若しくは表示窓8内の上段位置に停止させるかを選択することが可能な配置となっているため実現可能となるのである。従って、「取りこぼし回避制御」も「擬似テンパイ制御」も「リプレイ図柄」が「テンパイ状態」となった態様は同じであるため、遊技者が見分ける(判断する)ことはできない。そのため、最後に左リール10aを停止させるまで、「リプレイ図柄」が揃うのか、それとも揃わないのかという遊技者の期待を持続させることができる。
図26は、図24の状態で、左リール10aに5番の「チェリー図柄」が現れた時点で停止操作が受け付けられた状況を示している(図26(a))。図26(b)は「取りこぼし回避制御」が行なわれた出目、図26(c)は「擬似テンパイ制御」が行なわれていた結果の出目である。いずれの場合も5番の「チェリー図柄」を少なくとも枠下まで移動させた位置で停止させている。この場合、「チェリー図柄」の後ろの「リプレイ図柄」を枠上、若しくは表示窓8内の上段位置に停止させるかを選択することが可能な配置となっているため実現可能となるのである。
図25(b)または図26(c)はいずれも「リーチ目」となる出目である。つまり、変則押しをすることで、「リプレイ図柄」が「テンパイ状態」となれば、リプレイかBB(またはRB)かのいずれかに内部抽選の当選結果が限定されるため、遊技者にとってはどちらであっても不利とはならない。このとき遊技者は、「リプレイ図柄」が揃わないことを祈りながら、BB(またはRB)に当選していることを強く願って停止操作を行なうこととなる。つまり遊技者の興趣を最大限に向上させることが可能となるのである。
(変形例3)
図27のリール配列を用いて、「リプレイ図柄」を中段テンパイさせることとしてもよい。以下では、図27のリール配列の番号と図柄を、例えば1番の「リプレイ図柄」と呼ぶ。図28は、内部抽選でリプレイあるいはBB(またはRB)に当選となり、遊技者が変則押しを行なって「リプレイ図柄」がテンパイした状況を示している。
図29は、図28の状態で、左リール10aに20番の「リプレイ図柄」〜1番の「リプレイ図柄」が表示窓8内に現れているときに停止操作が受け付けられた場合の出目を示している。図29(a)は「取りこぼし回避制御」が行なわれた出目、図29(b)は「擬似テンパイ制御」が行なわれていた結果の出目である。いずれの場合も4番の「チェリー図柄」を枠上に到達するまでの位置で停止させている。この場合、「チェリー図柄」の前の「リプレイ図柄」を表示窓8内の中段位置に停止させるか、もしくは1個の図柄分ずらして下段位置に停止させるかを選択することが可能な配置となっているため実現可能となるのである。従って、「取りこぼし回避制御」も「擬似テンパイ制御」も「リプレイ図柄」が「テンパイ状態」となった態様は同じであるため、遊技者が見分ける(判断する)ことはできない。そのため、最後に左リール10aを停止させるまで、「リプレイ図柄」が揃うのか、それとも揃わないのか期待を持続させることができる。
図30は、図28の状態で、左リール10aに4番の「チェリー図柄」が現れた時点で停止操作が受け付けられた状況を示している(図30(a))。図30(b)は「取りこぼし回避制御」が行なわれた出目、図30(c)は「擬似テンパイ制御」が行なわれていた結果の出目である。いずれの場合も4番の「チェリー図柄」を少なくとも枠下まで移動させた位置で停止させている。この場合、「チェリー図柄」の後ろの「リプレイ図柄」を表示窓8内の中段位置、もしくは1個の図柄分ずらして下段位置に停止させるかを選択することが可能な配置となっているため実現可能となるのである。
図29(b)または図30(c)はいずれも「リーチ目」となる出目である。つまり、変則押しをすることで、「リプレイ図柄」が「テンパイ状態」となれば、リプレイかBB(またはRB)かのいずれかに内部抽選の当選結果が限定されるため、遊技者にとってはどちらであっても不利とはならない。このとき遊技者は、「リプレイ図柄」が揃わないことを祈りながら、BB(またはRB)に当選していることを強く願って停止操作を行なうこととなる。つまり遊技者の興趣を最大限に向上させることが可能となるのである。
(変形例4)
内部抽選の当選結果としてBB(またはRB)が得られた状態で、変則押しが行なわれた場合、「リプレイ図柄」を「テンパイ状態」とするか否かを選択的に決めることとしてもよい。例えば、内部抽選でBBに当選した場合の半分程度の割合で変則押し時に「リプレイ図柄」をテンパイさせることとする。この場合、遊技者が、変則押しだけでゲームを行なっていたとしても、出目に飽きることがない。それは、「リプレイ図柄」がテンパイするとほぼリプレイとなり、リプレイが揃わなかったときにはBB(またはRB)が確定する。しかし、BB(またはRB)に当選しても「リプレイ図柄」がテンパイしない場合もあるため、「リプレイ図柄」がテンパイとならない出目(通常目という)であっても絶えずBB(またはRB)に当選したのではないかという期待が持てる。