上記の賞の中でも特に遊技者の関心を集めるものが、BBやRB(CTやATも含む、以下同じ)に代表される遊技者に大きな利益をもたらす賞である。しかしながら、遊技者の関心がBBやRBに偏ってしまうと、遊技者はBBやRB以外には関心をほとんど示さなくなる。従って、遊技者は小役やリプレイ、更にはハズレ(上記のいずれの賞にも該当しない場合)ばかりが続くと、このままゲームを進めていってもBBやRBに当選しないのではないかという不安に襲われることとなる。そしてその不安が次第に苦痛となり、ゲームを楽しむことさえできなくなってしまう。こうしたことが頻繁に起きることで遊技者の興趣を低下させてしまうことが問題となっている。
本発明は、このような問題に鑑みて考え出されたものであり、BBやRBに当選しないゲームが続いた場合でも、遊技者の興趣の低下を抑制することのできる技術を提供しようとするものである。
本発明の技術は、上記課題を解決するために以下の手段を採った。
(解決手段1)
解決手段1は、遊技価値の投入とゲームの開始操作により複数種類の図柄を施した複数の可動表示体の回転を開始させるとともに内部抽選を実行し、前記内部抽選の結果と前記可動表示体の停止操作に基づいて前記複数の可動表示体を停止させ、前記複数の可動表示体の停止時の図柄の表示態様に基づいて1回のゲームの結果を判断する遊技機において、1回のゲームごとに所定の前記内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に予め決められた通常の抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する通常抽選判断手段と、前記通常抽選判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記通常の抽選確率に代えて、前記通常の抽選確率に比して抽選確率が高い特別な抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する特別抽選判断手段と、前記内部抽選手段による内部抽選で当選した当選役に対応する図柄に基づいて前記複数の可動表示体の停止を制御する可動表示体停止制御手段と、前記可動表示体停止制御手段により前記複数の可動表示体の停止制御が行われた結果、前記複数の可動表示体が停止した場合に前記図柄の表示態様として所定個数分の図柄群を表示可能とする図柄表示部と、前記図柄表示部内に表示された所定個数分の図柄群を前記複数の可動表示体にまたがって見た場合に、各々の前記可動表示体について少なくとも1つの図柄を選び出してできる組み合わせを前記当選役に対応する図柄の組み合わせが有効となる表示位置とする有効表示位置決定手段と、前記有効表示位置決定手段により決定された前記有効表示位置に前記当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する当選役図柄表示判定手段と、前記内部抽選の当選役として、遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行させる特別当選役と、前記内部抽選の当選役として、前記特別当選役とは別に今回のゲームの結果として遊技価値を与える一般小役と、前記内部抽選の当選役として、改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役と、前記内部抽選の当選役として、遊技者に対して一般的な通常遊技状態との差異を認識させない特殊遊技状態へ移行させる特殊当選役と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記特別当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、前記特別遊技状態にてゲームの進行を制御する特別遊技状態制御手段と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記一般小役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、前記一般小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する一般小役遊技価値付与手段と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記再ゲーム役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させる再ゲーム実行手段と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、前記特殊遊技状態にてゲームの進行を制御する特殊遊技状態制御手段と、少なくとも1つ以上の当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第一抽選確率変更手段と、前記特殊遊技状態が終了した場合、前記第一抽選確率変更手段により前記当選役の抽選確率の変更を実行する第一抽選確率変更実行手段と、前記特別遊技状態が終了した場合、前記第一抽選確率変更手段により前記当選役の抽選確率の変更を実行するか否かを決める第一抽選確率変更実行可否手段と、前記第一抽選確率変更手段により前記当選役の抽選確率の変更が行われた第一抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行を制御する第一抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第一抽選確率変更遊技状態制御手段により遊技状態が前記第一抽選確率変更遊技状態へ移行される場合、前記第一抽選確率変更手段により抽選確率が前記特別な抽選確率に変更された前記当選役とは別に、その他の当選役について抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第二抽選確率変更手段と、前記第二抽選確率変更手段により前記その他の当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させるべきか、または前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させるべきでないかのいずれかの選択を行う第二抽選確率変更選択手段と、前記第二抽選確率変更手段により前記その他の当選役についてその抽選確率の変更が行われた第二抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行を制御する第二抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第一抽選確率変更遊技状態制御手段により前記第一抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行が制御されているゲームで前記内部抽選の結果が前記特殊当選役となった場合、その特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが前記図柄表示部内に表示されたことを契機として開始される前記特殊遊技状態が終了すると、前記第二抽選確率変更選択手段による前記選択を経ずに直接前記第一抽選確率変更遊技状態から前記第二抽選確率変更遊技状態へ遊技状態を切り替える第二抽選確率変更遊技状態切替手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技価値の投入が行われた状態で遊技者によるゲームの開始操作が受け付けられると、複数種類の図柄の施された複数の可動表示体を回転させるとともに内部抽選を実行し、その内部抽選の結果と遊技者による停止操作に基づいて可動表示体の全てが停止すると、そのときの図柄の表示態様に応じて1回のゲームの結果が判断される。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の開始操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選手段の行う内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、そして1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、予め決められた当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果として複数種類の当選役が用意されており、これら当選役の種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には当選役別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する当選役に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値(所定の数値範囲内)に占める当たり値の数の割合から当選役の当選確率が算出される。
通常の遊技状態においては、当選役別にそれぞれ当選確率が予め決められた所定の抽選確率(通常の抽選確率)にしたがい、通常抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される。ここでいう「通常の遊技状態」とは、所謂、一般的な通常遊技状態のことを指し、特定の当選役について有利な条件が設けられたり、あるいは特定の当選役について不利な条件が設けられたりしていない、フラットな状態のことをいう。つまり、通常遊技状態とは、遊技者に特別に有利となる特典を与えたり、反対に不利な特典を与えたりするものではない遊技状態のことである。よって、所定の抽選確率は通常遊技状態で行われる内部抽選の当選結果を判断する抽選確率ということになる。
また、上記の通常の抽選確率と比べて、少なくとも1つ以上の当選役についてその抽選確率が高い特別な抽選確率を通常の抽選確率とは別に設けている。以下では、この特別な抽選確率にて抽選確率が高くなっている当選役のことを特定の当選役と呼ぶ。特定の当選役の抽選確率が高いということは、言い換えれば、特定の当選役は、その当たり値の範囲(幅)が通常の抽選確率における特定の当選役の当たり値の範囲に比べて広いということである。即ち、特別な抽選確率にしたがい、特別抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される場合、特定の当選役については通常遊技状態に比べて当選し易い状態ということになる。このときの遊技状態を通常遊技状態と区別するために以下では、高確率遊技状態と呼称する。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。当選役のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄されるものもあれば、次回以降のゲームまで持ち越されるものもある。
上記の当選役には、遊技価値の付与を伴う一般小役と、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行契機となる特別当選役、改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役とが含まれている。これらの当選役にはそれぞれ対応する図柄が予め決められている。以下では、この当選役に対応する図柄のことを、当選役図柄と呼称する。
また、当選役のなかには上記の当選役とは別に、通常遊技状態との差異を遊技者に認識させることのない特殊遊技状態への移行契機となる特殊当選役も設けられている。
図柄は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。この図柄のなかには、上記の当選役図柄や、当選役図柄に該当しない図柄(ハズレ図柄)を含むことができる。これらの図柄はそれぞれの可動表示体に所定個数分が付されている。遊技者による全ての可動表示体の停止操作が受け付けられると、そのときの内部抽選の当選結果に基づいて各可動表示体の停止制御が行われる。最終的に全ての可動表示体が停止すると可動表示体ごと図柄表示部内に停止した図柄からなる図柄群が形成される。このときの図柄群が図柄の表示態様としてゲームの結果が判断されることとなる。
図柄表示部は、各可動表示体の図柄を所定個数分の図柄群として表示することが可能となっており、遊技者は可動表示体の回転中は回転している図柄群を、あるいは可動表示体の停止時には所定個数分の図柄群を図柄表示部内に視認することができる。この所定個数分の数を増減させることにより、図柄表示部内に表示される図柄の総個数を増減させることができる。つまり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定個数×可動表示体の数」として表すことができ、所定個数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の最大個数が増えることになる。従って、図柄の表示態様もそれだけ増加することとなる。
図柄表示部内で表示される図柄の表示態様は、所定個数分の図柄群と可動表示体の数によって無数のものとすることもでき、内部抽選の当選結果が同一のものであったとしても、異なる図柄の表示態様を遊技者に見せることができる。
また、図柄表示部内に表示される図柄群のうち、それぞれの可動表示体から少なくとも1つの図柄を選び出して、全ての可動表示体にまたがった図柄の組み合わせが有効となる表示位置を決めることができる。ここでいう「有効となる表示位置」とは、全ての可動表示体の停止時に特定の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、特定の当選役に対応する特典を付与させることのできる図柄表示部内での表示位置のことをいう。つまり、内部抽選の抽選結果として得られた当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが図柄表示部内の「有効となる表示位置」に表示されて初めてその当選役に対応した特典を得ることができるのである。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう。水平または斜めの並び以外としては、への字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となる組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせを複数種類が同時に有効となる態様とすることもできる。つまり、水平の並び、あるいはV字型のいずれかの有効となる表示位置に特定の当選役に対応する図柄が停止すれば特定の当選役に対応する特典を付与することができることとなる。
また、遊技価値の掛け数に応じて有効となる表示位置を変更させることもできる。即ち、「1回のゲームごとに掛けられた遊技価値の掛け数に応じて図柄表示部内の有効となる表示位置を変更させる」構成をとることもできる。この構成によれば、遊技価値の掛け数を増やせば、図柄表示部内で有効となる表示位置を増やすことができる。従って、遊技価値の掛け数をできる限り多くしてゲームを行えば、いずれかの当選役に当選している場合、それだけ該当する当選役図柄が有効となる表示位置に表示される可能性が高くなる。
更に、有効となる表示位置を各可動表示体から複数の図柄を選び出してできる組み合わせとすることもできる。これは図柄表示部内に表示されている各可動表示体からそれぞれ2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ、あるいは、各々の可動表示体から2個、2個、1個と図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体からは複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせとすることである。このような組み合わせは、各可動表示体から少なくとも1個の図柄を選び出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを視認しづらくすることが可能となる。
全ての可動表示体が停止すると、図柄表示部内の有効な表示位置にいずれかの当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが表示されたか否かが当選役図柄表示判定手段によって判定される。ここで、当選役図柄の組み合わせとしては、全て同種類の当選役図柄の組み合わせや、全て異なる種類の当選役図柄の組み合わせ、あるいは少なくとも同じ種類の当選役図柄を含んだ複数の種類の当選役図柄の組み合わせ等が挙げられる。また、少なくとも1つ当選役図柄を含んだ組み合わせであれば、その他の図柄に関係なく当選役図柄の組み合わせとなるものも挙げることもできる。これらの当選図柄の組み合わせが図柄表示部内の有効となる表示位置に表示されると、その当選役に対応した特典が付与されることとなる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特別当選役に対応する特別当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特別遊技状態へ移行されることになる。この特別遊技状態では遊技者にとって有利な特典が付与される。また、特別遊技状態は、少なくとも通常遊技状態に比べて遊技者にとっての有利さの度合いの高い遊技状態ということもできる。ここで、特別遊技状態にて遊技者に与えられる特典としては、大量の遊技価値を獲得させる機会の付与や、遊技価値を消費することなくゲームを進行させる機会の付与等が挙げられる。従って、遊技者は、いかに多く特別当選役に当選することができるかという点に興味を持つこととなる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合、そのゲーム結果としては遊技価値の付与を伴わず今回のゲームを終了させることもできる。即ち、特別当選役図柄の組み合わせが表示されたゲームでは遊技価値の付与は行われず、次回のゲーム開始から特別遊技状態の特典が付与されることとなる。この場合、遊技者はできるだけ早く次回のゲームを開始させて特別遊技状態での特典を得ようとゲームを進めることとなる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合に、そのゲーム結果として遊技価値の付与を伴わせることもできる。この場合、特別当選役に対応して付与される規定数の遊技価値を決めておくことで、遊技者が遊技価値を獲得したうえで、更に次回のゲームから特別遊技状態での特典を得ることができる。
特別当選役図柄からなる組み合わせとして、少なくとも1つ以上の特別当選役図柄が含まれている組み合わせを含めることもできる。即ち、図柄表示部内で有効となる表示位置に1つの特別当選役図柄が表示されれば、特別当選役に対応する特典が付与されることになる。従って、遊技者の停止操作の時機がずれることにより、いつまでも特別当選役図柄を図柄表示部内の有効となる表示位置に停止させることができないという事態が回避され、これにより、遊技者が特別当選役図柄を表示させるまでに消費する遊技価値の量を軽減させることができる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に一般小役に対応する一般小役図柄からなる組み合わせが表示されると、一般小役に対応する特典として規定数の遊技価値が遊技者に付与されることになる。従って、一般小役に当選することが増えれば、それだけ遊技価値を増加させることが可能になるので、遊技者はできるだけ一般小役に当選したいと願いながらゲームを行うこととなる。
また、一般小役は複数の種類を設けることができる。即ち、「一般小役として複数の異なる種類の当選役を設けることができる」ということである。この場合、それぞれの一般小役に対応する当選役図柄も別に設け、更にそれぞれの一般小役に応じて付与される遊技価値の規定数を異ならせると、一般小役を含めた当選役の種類を増やすことができる。従って、多くの種類の当選役は遊技者を飽きさせることがなく、また遊技価値の付与される規定数の相対的に多い一般小役は、その一般小役に対応する一般小役図柄の組み合わせが表示されるだけで遊技者に喜びを与えることができる。
一般小役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様に、少なくとも1つ以上の一般小役図柄が含まれていればよい組み合わせとすることができる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ該当する一般小役図柄が有効となる表示位置に表示されるだけで該当する一般小役に対応する特典を得ることが可能となる。従って、遊技者が該当する一般小役図柄を停止させる操作の難易度を下げることができる。ここでいう「難易度」とは遊技者個々のゲームの熟練度や技量のことをいう。
図柄表示部内の有効となる表示位置に再ゲーム役に対応する再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示されると、再ゲーム役に対応する特典として、遊技状態が再ゲーム状態へ移行されることになる。この再ゲーム状態とは、遊技者が改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させることができる状態のことをいう。つまり、再ゲーム役に当選した場合(再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示された場合)、遊技者は遊技価値を新たに消費せずに1回分のゲームを行うことができる。従って、再ゲーム役に当選することが多くなれば、その分だけ遊技価値の消費を抑えながらゲームを行うことができる。このことにより、単位時間当たりの遊技価値の消費量をある程度一定の範囲内に抑えることが可能となり、遊技者が一方的に遊技価値を消費するばかりといった状況を減少させることができる。
再ゲーム役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様、少なくとも1つ以上の再ゲーム役図柄が含まれていればよい組み合わせとすることができる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ再ゲーム役図柄を表示させるだけで再ゲーム役の特典を得ることが可能となるので、遊技者が再ゲーム役図柄を停止させる操作の難易度を下げることができる。特に再ゲーム役については、遊技者が過度に遊技価値を消費する事態を緩和させる当選役としての役割を持っていることから、望ましくは、遊技者が再ゲーム役図柄を停止させる操作の難易度を下げて、内部抽選で再ゲーム役に当選となった場合、極力遊技者が再ゲーム役に対応する特典を得られるものとすることがよい。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特殊当選役に対応する特殊当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特殊遊技状態へ移行されることになる。この特殊遊技状態は通常遊技状態との差異を遊技者に全く認識させない遊技状態である。即ち、特殊遊技状態に移行してから、特殊遊技状態が終了するまで全く通常遊技状態と変わらない態様とすることで遊技者にはあたかも通常遊技状態が継続しているという認識を持たせる遊技状態である。ここでいう「通常遊技状態との差異」とは、遊技者がゲームの開始操作や可動表示体の停止操作を行う際に通常遊技状態でのゲーム(以下では、通常のゲームという)と異なる動作制御が行われたり、通常のゲームとは異なる図柄の表示態様が表示されたりといったことが挙げられる。つまり、明らかに通常遊技状態とは異なることを遊技機の外観上から遊技者が認識(または、意識、察知)できるほどの差異が生じることをいう。
従って、特殊当選役図柄の組み合わせとしては、特殊当選役を意識させる象徴的な図柄を設けずに、複数種類の図柄からなる組み合わせとすることができる。つまり、特殊当選役は、専用の図柄の組み合わせとするのではなく、あくまで別の象徴的な意味を持つ図柄を複数組み合わせてできる組み合わせを特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせ(以下では、特殊当選役図柄の有効な組み合わせという)とすることになる。ここでいう「別の象徴的な意味を持つ図柄」は、特別当選役図柄や一般小役図柄、再ゲーム役図柄等のことをいう。
特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとするのは、遊技者に特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたことを認識させないためである。また、特殊当選役図柄の組み合わせを単なるハズレ図柄からなる組み合わせとすることもできる。この場合、図柄表示部には単にハズレとしてしか遊技者に認識されない図柄の組み合わせが表示されることとなるので、遊技者に特殊当選役に当選したこと(特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたこと)を認識させることがない。
また、特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとすることや、あるいはハズレ図柄からなる組み合わせとすることは、遊技者が特殊当選役図柄の有効な組み合わせを停止させる操作の難易度を下げることにもつながる。即ち、複数種類の図柄からなる組み合わせや、ハズレ図柄からなる組み合わせは、通常遊技状態でのゲームでは頻繁に表示されるからである。
具体的には、内部抽選でいずれの当選役にも当選しなかった場合は、当選結果はハズレとなり、いずれの当選役に対応した図柄の組み合わせも表示されない停止制御が行われる。従って、複数種類の図柄からなる組み合わせは、いずれかの当選役に対応する図柄の組み合わせを回避する際に表示され易い組み合わせといえる。
また、ハズレ図柄からなる組み合わせも、その組み合わせが表示された際に遊技者にハズレとしての印象しか与えないものであるので、特殊当選役図柄の有効な組み合わせとするのに適している。つまり、今回のゲームにおいて内部抽選で特殊当選役に当選した場合、当該ゲームにおいて特殊当選役図柄の有効な組み合わせを表示させることが可能となる。従って、遊技者に全く認識されずに速やかに特殊遊技状態を開始させることができる。
本発明の遊技機では、特定の条件が成立すると、少なくとも1つの当選役についての抽選確率を変更させることができる。特に通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更させることができる。即ち、遊技者にとって有利な条件を付与させることができるのである。ここで、少なくとも1つの当選役としては、特別当選役をはじめとする当選役の中からいずれを選ぶこともできる。言い換えれば、「少なくとも1つの当選役としていずれの当選役をも選択しうる」とすることもできる。従って、遊技者にいずれの当選役が自分にとって有利となる(つまり、当選し易くなる)か分からないので、特定の条件が成立するたびに遊技者をハラハラさせることができる。
特殊遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率が特別な抽選確率に変更される。即ち、特殊遊技状態を契機として少なくとも1つの当選役について遊技者に有利な条件が付与されることになる。従って、特殊遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役については必ず特別な抽選確率で内部抽選が実行されることになる。
特別遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させるか否かが決められる。即ち、特別遊技状態は少なくとも1つの当選役について遊技者に有利な条件が付与される期待の持てる契機となる。これは、特別遊技状態の終了後は、特殊遊技状態の終了後とは異なり、必ずしも当選役のいずれかが遊技者にとって有利な条件で抽選されるとは限らないからである。従って、特別遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役について特別な抽選確率で内部抽選が実行されるかもしれないという期待が持てることになる。
少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させることが決まると、その契機となった特別遊技状態、または特殊遊技状態の終了直後から開始されるゲームは、少なくとも1つの当選役については遊技者にとって当選しやすい状態となる。このときの遊技状態が前述した高確率遊技状態ということになる。
遊技状態が高確率遊技状態へ移行される場合、第二抽選確率変更手段によって、その他の当選役についての抽選確率も特別な抽選確率に変更させることができる。即ち、複数の当選役について遊技者に有利な条件が付与されることになる。従って、既に当選し易くなっている当選役に加えて、その他の当選役についても当選し易い状態にすることができる。
第二抽選確率変更手段によって、その他の当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させるか否かは選択的に決めることができる。即ち、第一抽選確率変更手段によって既に1つ以上の当選役の抽選確率が変更されている状態で、更にその他の当選役の抽選確率を変更させるか否かが決められることとなる。ここでの選択の方法については、抽選や、予め決められた基準等が挙げられる。「予め決められた基準」とは、決められた条件が成立した場合や、規定の回数が経過した場合、あるいは規定された時間が経過した場合などがある。
上記より、遊技者にとって最も有利な条件が付与されるのは、第二抽選確率変更手段によってその他の当選役についての抽選確率が特別な抽選確率に変更された場合ということになる。このときの遊技状態は高確率遊技状態に更に付加的な価値(その他の当選役についても当選し易い状態になる)が加えられたものである。この付加的な価値が加えられた高確率遊技状態のことを、付加的な価値の加えられていない高確率遊技状態と区別するために「付加高確率遊技状態」と呼称する。また、以下で、高確率遊技状態という場合は、付加的な価値の加えられていない遊技状態のことを指す。
高確率遊技状態で特殊当選役に当選した場合、既に遊技状態は高確率遊技状態に移行している。従って、特殊当選役に当選しても遊技者にとって有利な条件が付与されなくなってしまう。本発明の遊技機では、遊技状態が高確率遊技状態へ移行された状態で特殊当選役に当選した場合(特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示された場合)、そのときに当選した特殊当選役を契機として遊技状態を高確率遊技状態から付加高確率遊技状態へ変更させることができる。即ち、高確率遊技状態でのゲームで特殊当選役に当選すると、その他の当選役について有利な条件が付与されることになる。従って、通常遊技状態と、高確率遊技状態では、特殊当選役に当選した場合、そのときに当選した特殊当選役が果たす役割を変えることができる。
これは言い換えれば、「高確率遊技状態(第一抽選確率変更遊技状態)で当選した特殊当選役は、無条件で遊技状態を付加高確率遊技状態(第二抽選確率変更遊技状態)に変更させることができる」とすることもできる。即ち、特別遊技状態の終了後から遊技状態が高確率遊技状態へ移行された場合など、少なくとも1つの当選役のみ抽選確率が特別な抽選確率となっていても遊技者はそのことに気付くことが困難であるが、この遊技状態(高確率遊技状態)を特殊当選役の当選を契機として遊技者に気付き易いものとすることができるのである。従って、遊技者はいついかなるときも遊技状態が変わるのではないかという期待を持ってゲームを進めることとなる。
遊技者にとって、特別遊技状態はその遊技状態が自覚(認識)できるものであるから、特別遊技状態の終了後から遊技状態が高確率遊技状態に移行したかどうかは、当選状況に変化の見られる当選役を見つけることができれば、およそ推測することは可能であるといえる。この推測を可能とするか否かについては、第一抽選確率変更手段によっていずれの当選役の抽選確率を特別な抽選確率に変更させるかによりその推測(高確率遊技状態かどうか)可能か否かについての難易度を変えることができる。
具体的にいえば、通常遊技状態では当選する可能性の低い当選役について、その抽選確率を特別な抽選確率に変更すれば、通常遊技状態に比べて明らかに当選状況に変化が見られる当選役があることを遊技者に気付かせやすくなり、現在の遊技状態が高確率遊技状態であることを示唆することが可能となる。反対に、通常遊技状態では当選する可能性が高い当選役について、その抽選確率を特別な抽選確率に変更すれば、通常遊技状態に比べて明らかな当選状況の変化を遊技者に気付かせにくくでき、現在の遊技状態が高確率遊技状態であることを秘匿することが可能となる。ここでいう「当選状況の変化」とは、特定の当選役に当選する頻度が増加することを指す。即ち、一定の期間のあいだに特定の当選役に当選する回数ということもできる。
このことは、第二抽選確率変更手段によりその他の当選役の抽選確率が特別な抽選確率に変更される場合にも同様のことがいえる。そして、本発明の遊技機では、更に「第一抽選確率変更手段により抽選確率が特別な抽選確率に変更される当選役は、通常遊技状態で当選する可能性が相対的に低い当選役とし、第二抽選確率変更手段により抽選確率が特別な抽選確率に変更されるその他の当選役は、通常遊技状態で当選する可能性が相対的に高い当選役とする」という構成をとることもできる。即ち、高確率遊技状態は、その遊技状態を遊技者に分かりずらいものとし、付加高確率遊技状態は、その遊技状態を遊技者に分かり易いものとすることができるのである。
従って、特別遊技状態が終了した直後のゲームから高確率遊技状態に移行した場合であっても、現在の遊技状態が通常遊技状態であるのか、あるいは高確率遊技状態であるのか判断することは遊技者にとって困難なものとなる。よって、遊技者は高確率遊技状態でないという確かな確信が持てるまでしばらくゲームを続けることとなる。そして、高確率遊技状態であるという確信が得られたとき、遊技者はしばらくゲームを続けてよかったという安心感を得ることとなる。
更に、特殊遊技状態を契機として遊技状態が高確率遊技状態に移行された場合は、更に本発明の本領が発揮されることとなる。即ち、特殊遊技状態は、その遊技状態が開始されてから終了するまで全く遊技者に分からずに経過していく遊技状態であるので、遊技者の知らない間に通常遊技状態から高確率遊技状態に遊技状態が変更されていることになる。また、特殊遊技状態を契機として遊技状態が付加高確率遊技状態に移行されると、不意に特定の当選役の当選状況に変化が見られることになる。従って、遊技者は、不意に特定の当選役に当選し易くなったことに驚き、そして、自分にとって最も有利な遊技状態(付加高確率遊技状態)に遊技状態が変更されたことを確信することができるのである。
(解決手段2)
解決手段2は、解決手段1に記載の遊技機において、前記特殊遊技状態制御手段が、前記特別遊技状態制御手段により制御される前記特別遊技状態と異なり、前記特殊遊技状態においてその内部制御のみを変えて前記通常遊技状態とは遊技状態を異ならせることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態が特殊遊技状態に移行した場合に、動作を伴う制御(可動表示体の回転動作を通常のゲームとは異なる動作としたり、ランプ等の発光態様を通常のゲームから変化させたり)を行わない。即ち「通常遊技状態の動作制御と外見上の動作制御を変えることなく遊技状態を特殊遊技状態へと制御させる」ことができる。これにより遊技機の見た目では通常のゲームと特殊遊技状態との区別が全くつかないものとすることができる。従って、遊技者にあたかも通常遊技状態でゲームが進んでいるかの印象を与えながら特殊遊技状態に遊技状態を変更させることができる。
(解決手段3)
解決手段3は、解決手段1または2に記載の遊技機において、前記通常遊技状態または前記第一抽選確率変更遊技状態のいずれの場合も、前記内部抽選で抽選される抽選対象である当選役の種類を変えることなく前記内部抽選を実行させる抽選対象不変実行手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、通常遊技状態、高確率遊技状態を通じて、当選役の変更が行われることがない。従って、これら2つの遊技状態を互いに区別しにくいものとすることができる。
また、別の構成として「抽選対象不変実行手段は、付加高確率状態で行われる内部抽選で抽選される抽選対象を高確率遊技状態と同じ種類の当選役とすることができる」とすることができる。この場合、高確率遊技状態と付加高確率遊技状態とを互いに区別しにくいものとすることができる。つまり、付加的な価値として抽選確率が特別な抽選確率に変更されたその他の当選役を見つけることができなければ、いずれの遊技状態であるか判断することができないこととなる。これにより遊技者に毎回のゲーム結果に注意を向けさせることができる。
また、更に別の構成として「特別遊技状態及び特殊遊技状態においては、内部抽選で抽選される抽選対象である当選役の種類を変更させることができる」とすることもできる。即ち、特別遊技状態及び特殊遊技状態でのみ有効となる当選役を新たに設けることができることになる。これは、特別遊技状態(あるいは特殊遊技状態)では、遊技者の停止操作に左右されずに内部抽選の当選結果として得られた当選役に対応する図柄の組み合わせを表示させることを可能とするものである。即ち、特別遊技状態では、内部抽選で当選した当選役の特典を必ず得ることができるということになる。従って、遊技者の技量(熟練度)の差によって特別遊技状態で獲得できる遊技価値に大幅な差を生じさせることが回避できる。
(解決手段4)
解決手段4は、解決手段1から3のいずれかに記載の遊技機において、前記第一抽選確率変更手段が、少なくとも1つの当選役として前記特別当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させることを特徴とする遊技機である。
第一抽選確率変更手段は、抽選確率を変更させる当選役のうち、特別当選役を必ず含めることができる。即ち、高確率遊技状態は、特別当選役に当選し易い状態ということになる。従って、高確率遊技状態を遊技者にとって十分有利な遊技状態とすることができる。
上記により、第二抽選確率変更手段により抽選確率が変更されるその他の当選役としては、特別当選役以外の当選役を選ぶことができることになる。即ち、付加高確率遊技状態は、特別当選役に加えてその他の当選役(特別当選役以外の当選役)に当選しやすい状態ということになる。従って、付加高確率遊技状態を遊技者にとって最も有利な遊技状態とすることができる。
(解決手段5)
解決手段5は、解決手段1から4のいずれかに記載の遊技機において、前記特別遊技状態が終了し、前記第一抽選確率変更実行可否手段により前記第一抽選確率変更手段による前記抽選確率の変更が実行されない場合、前記特別遊技状態の終了後の遊技状態を前記通常遊技状態に復帰させる通常遊技状態復帰手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
特別遊技状態の終了後に遊技状態が高確率遊技状態に移行しなかった場合、遊技状態は通常遊技状態に戻される。この場合、高確率遊技状態では特別当選役に当選するごとに継続することになるのか、あるいは終了してしまうことになるのか決められることになる。即ち、〔 高確率遊技状態→特別遊技状態→通常遊技状態 〕と遊技状態が移行することとなる。
また、通常遊技状態では、特別遊技状態を挟んで通常遊技状態が続くこととなる。即ち、〔 通常遊技状態→特別遊技状態→通常遊技状態 〕と遊技状態が移行することとなる。更に、通常遊技状態によって高確率遊技状態や特別遊技状態を遊技者にとって有利な遊技状態として際立たせることもできる。
(解決手段6)
解決手段6は、解決手段1から5のいずれかに記載の遊技機において、前記一般小役が、複数種類の一般小役を含むことを特徴とする遊技機である。
この場合、一般小役は複数種類用意することができる。これに伴い、各々の一般小役に対応する当選役図柄も複数種類用意できる。あるいは、一般小役として有効となる図柄の組み合わせも複数種類設けることができる。従って、図柄の表示態様(または、図柄の組み合わせ)のバリエーションを増やすことができ、変化に富んだ図柄の表示態様(または、図柄の組み合わせ)を遊技者に提供することができる。
このなかには、更に「当選役図柄の組み合わせとして少なくとも1つの当選役図柄を含むだけで当選役として有効となる単小役」を設けることもできる。即ち、全ての可動表示体が停止した際の当選役図柄の組み合わせに1つの当選役図柄が含まれていれば、その当選役に対応する特典を付与させることができるのである。従って、遊技者が全ての可動表示体を停止させる操作の負担(つまり、当選役図柄の組み合わせを停止させるために毎回全ての可動表示体を正確に狙って停止させる負担)を軽減させることができる。
(解決手段7)
解決手段7は、解決手段1から6のいずれかに記載の遊技機において、前記特殊当選役が、対応する図柄の組み合わせとして、複数の異なる種類の図柄を含むことを特徴とする遊技機である。
この場合、特殊当選役は、それ専用の当選役図柄を持っていない。即ち、遊技者が特殊当選役として認識できる図柄、つまり、象徴的な図柄を持たないことになる。更に、特殊当選役として有効となる組み合わせは複数の異なる種類の図柄の組み合わせとなっているので、特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合、そのことを遊技者に気付かせることがない。従って、速やかに、かつ、遊技者に知られぬうちに特殊遊技状態に移行させることができる。
(解決手段8)
解決手段8は、解決手段1から7のいずれかに記載の遊技機において、前記内部抽選の当選結果として前記特殊当選役が得られた場合、当該ゲームで前記特殊当選役に対応する図柄の組み合わせを前記有効となる表示位置に停止させる制御を行う特殊当選役図柄停止制御手段を更に備えたことを特徴とする遊技機である。
この場合、内部抽選で特殊当選役に当選すると、そのゲーム(当該ゲーム)で特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせが必ず停止することとなる。即ち、特殊当選役は遊技者による各可動表示体の停止操作の技量に関わらず特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせを停止させることができるのである。ここで「停止操作の技量」とは、遊技者が回転している可動表示体の図柄のうち、自分が図柄表示部内に表示させたいと所望する図柄を停止させることができる度合いのことをいう。即ち、遊技者の停止操作の熟練度であるということもできる。
また、特殊当選役は、その当選したことから、対応する図柄が揃ったこと全てが遊技者に認識不可能なものであるから、当選した特殊当選役に対応する図柄の組み合わせを、そのゲームで表示させることで、速やかに、かつ、遊技価値の消費を最小に留めることができる。
(解決手段9)
解決手段9は、解決手段1から8のいずれかに記載の遊技機において、遊技機の外部に向けて複数の演出表示態様を表示するための表示手段と、前記表示手段による演出表示態様を前記内部抽選の当選結果に基づいて所定の演出表示態様を実行させる演出表示態様実行手段と、前記演出表示態様実行手段が実行する前記演出表示態様として、前記通常遊技状態である可能性が高いことを示唆する通常演出に加えて、前記内部抽選の当選結果を遊技者が停止操作を行う際に案内する当選案内演出、前記特別当選役に当選したことを告知する特別当選役告知演出、前記特別当選役または前記特殊当選役に当選したことを期待させる期待演出及び前記期待演出に比して前記特別当選役または前記特殊当選役に当選した可能性が著しく高いことを期待させる高期待演出のいずれかを実行させるかを決定する演出表示態様決定手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、特に外部に向けて様々な演出表示態様を表示させる表示手段を備える。これは、遊技者に当該遊技機でのゲームを視覚的に十分に楽しませることができるものである。表示手段としては、液晶ディスプレイやELディスプレイ(Electroluminescence Display)、ドットLED、更にはランプ等を挙げることができる。そして、演出表示態様には、現在の遊技状態が通常遊技状態である可能性が高いことを示唆する内容の通常演出と、内部抽選の当選結果を遊技者が全ての可動表示体の停止操作を終える前までに案内(または示唆、誘導、ナビゲーション)して該当する当選結果(一般小役、再ゲーム役等)に対応した図柄を揃える手助けをする内容の当選案内演出と、特別当選役に当選したことを告知(または教示、報知)する内容の特別当選役告知演出と、特別当選役または特殊当選役に当選したことを期待させる期待演出と、期待演出に比べて著しく特別当選役または特殊当選役に当選した可能性が高いことを期待させる高期待演出が含まれている。
上記の演出表示態様のうち、いずれの演出が選ばれるか、内部抽選の当選結果に基づいてその選ばれた演出が実行されることになる。また、いずれかの演出が選ばれるかについては、遊技状態に基づいて決めることもできる。従って、遊技者は演出を手掛かりにして内部抽選の当選結果を察知することや、あるいは現在の遊技状態を推測することが可能となる。
また、内部抽選の当選結果に基づかずに演出を選択することもできる。そして遊技状態にも基づかずに演出を選択できる。即ち、実行された演出と、ゲーム結果が合致しないということになる。言い換えれば、「内部抽選の当選結果または現在の遊技状態に基づくことなく、あるいは異なる演出表示態様を実行させることができる」ということもできる。ここでいう「合致」とは、内部抽選の当選結果に対応した演出、あるいは遊技状態に対応した演出が実行され、その演出が行なわれたゲームのゲーム結果も実行された演出の意味する内容(遊技者に示唆する内容)と同じものであった場合のことをいう。また、実行された演出内容とゲーム結果が完全に否定された場合以外であれば、必ずしも一致する必要はない。従って、演出内容とゲーム結果が合致しなかったことにより、遊技者にいつもと違うという印象を与えることができる。望ましくは、特別当選役あるいは特殊当選役等の遊技者に大きな利益をもたらすことのできる当選役に当選した場合に上記の演出内容とゲーム結果を合致させなくすることで、遊技者にもしかしたら特別当選役あるいは特殊当選役に当選したかもしれないという期待感を持たせることができる。
本発明の遊技機では、上記の構成に加えて、「遊技機の外部に向けて音色を発生させる音色発生手段を更に備え、音色発生手段は、演出表示態様として実行される演出に基づいて、それぞれに対応した音色を発生させる」という構成をとることもできる。即ち、表示手段により演出が実行される際に、音色発生手段から効果音や祝福音等を発生させることができる。音色発生手段としては、スピーカやブザー、ベル(鐘、鈴)等を挙げることができる。また、実行されている演出に対応しない効果音(音色)を発生させれば、遊技者にいつもと違うことを遊技者に認識させることができる。このように表示手段と音色発生手段とによって遊技者を視覚的にも、聴覚的にも刺激を与えることによりゲームが単調になってしまうことを抑制することができる。
(解決手段10)
解決手段10は、解決手段9に記載の遊技機において、前記演出表示態様決定手段が、内部抽選の当選結果が特定の当選役であっても、その当選役に対応する演出表示態様を専用的な演出として限定することなく他の当選役に対応する演出表示態様をも選択し得ることを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、それぞれの演出を特定の当選役に対応するだけの専用的に固定された演出とはしない。即ち、「内部抽選の当選結果に対して、いずれの演出を実行させるかを選択的に決める」ことができる。ここでいう「選択的に決める」とは、抽選で決めることや、予め決められた順番通りに選び出していく等のことをいう。つまり、1つの演出が1つのゲーム結果に対応するのではなく、流動的に演出とゲーム結果を変えることができるのである。従って、それぞれの演出に対応する結果が1つしかなく、遊技者が演出を見ただけで容易にゲーム結果が分かってしまうといった興趣の低下を回避させることができる。
(解決手段11)
解決手段11は、解決手段9に記載の遊技機において、前記演出表示態様実行手段が、前記演出表示態様のいずれかを実行させることを決定した場合、その該当する前記演出表示態様を、遊技価値の投入が行われ、ゲームの開始操作を受けて、この後、遊技者による複数回の停止操作が順次受け付けられることで全ての前記可動表示体の回転が停止し、前記図柄表示部内での図柄の表示態様に基づいて1回のゲームが終了するまでの期間内で実行することを特徴とする遊技機である。
本発明の遊技機では、遊技状態あるいは内部抽選の当選結果に基づいて各種演出を実行させることができる。演出表示態様のうちいずれか1つの演出が選択されて表示手段により表示されることになる。このとき実行される演出から、遊技者は現在の遊技状態を推測することや、あるいはゲーム結果と照らし合わせて内部抽選の当選結果を確認することができる。
演出表示態様のうち、今回のゲームで実行されることが決まった演出は、今回のゲームが開始されてから終了するまでの期間であれば、いずれのタイミングでも実行させることができる。即ち、遊技者による遊技価値の投入とゲームの開始操作が行なわれ、可動表示体が回転を開始し、この後遊技者による停止操作が受け付けられ、可動表示体が全て停止して図柄の表示態様に基づいて今回のゲーム結果が判断されるまでの任意のタイミングで演出を実行させることができるのである。従って、固定されたタイミングで演出が行われることがないので、演出が行われるタイミングに何も演出が行われないことで起こる遊技者の興趣の著しい低下を回避することができる。
(解決手段12)
解決手段12は、解決手段1に記載の遊技機において、前記図柄表示部が、遊技機本体の前面側に位置することを特徴とする遊技機である。
図柄表示部が遊技機の前面に位置されることにより、遊技者が当該遊技機に相対してゲームを進めることができる。ここで図柄表示部は、遊技者に見やすい位置であれば、当該遊技機の前面側のいずれの位置に設けることもできる。
(解決手段13)
解決手段13は、解決手段1から11のいずれかに記載の遊技機において、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態制御手段により遊技状態が前記特別遊技状態に制御されると、前記通常遊技状態に比して遊技者に付与する遊技価値の付与機会を増加させる遊技価値付与機会増加手段とを更に備えたことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コイン、遊技球など)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシンに代表される回胴式遊技機に適用することができる。スロットマシン等の回胴式遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせに基づいて、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。こうして遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させ、そして停止させるという一連の操作を繰り返しながらゲームを進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせ態様によっては、遊技状態が特別遊技状態という通常遊技状態に比べて遊技価値を大量に獲得することができる遊技状態に移行されることとなる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与機会が集中して与えられることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
(解決手段14)
解決手段14は、1回のゲームごとに遊技価値の掛け数を決定する掛け数決定手段と、前記掛け数決定手段により掛け数が決定された状態で遊技者の始動操作を受け付ける始動操作手段と、表面に複数種類の図柄を含む環状の図柄列が形成された複数の可動表示体を回転させて図柄の表示を変動させる一方、前記可動表示体の回転を停止させて前記各可動表示体について前記図柄列の一部を構成する所定個数分の図柄群を遊技機本体の前面側にて表示可能とする図柄表示部と、前記可動表示体の回転を個々に停止させるべく個々の前記可動表示体について前記停止操作を受け付ける停止操作手段と、前記始動操作手段にて前記始動操作が受け付けられると前記可動表示体の回転を開始し、前記可動表示体の回転中に前記停止操作手段にて前記停止操作が受け付けられると、前記停止操作の受け付け順に前記可動表示体を停止させる可動表示体駆動手段と、前記停止操作手段により受け付けられた順番に従って前記可動表示体を停止させる制御を行う停止制御手段と、1回のゲームにつき、前記可動表示体駆動手段により全ての前記可動表示体が停止されると、前記全ての可動表示体の停止時における図柄の組み合わせ態様に基づき、必要に応じて規定数の遊技価値を遊技者に与える遊技価値付与手段と、前記特別遊技状態制御手段により遊技状態が前記特別遊技状態に制御されると、前記通常遊技状態に比して遊技者に付与する遊技価値の付与機会を増加させる遊技価値付与機会増加手段と、1回のゲームごとに所定の前記内部抽選を行う内部抽選手段と、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に予め決められた通常の抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する通常抽選判断手段と、前記通常抽選判断手段とは別に、前記内部抽選手段により行われる前記内部抽選に前記通常の抽選確率に代えて、前記通常の抽選確率に比して抽選確率が高い特別な抽選確率を適用して前記内部抽選の結果を判断する特別抽選判断手段と、前記内部抽選手段による内部抽選で当選した当選役に対応する図柄に基づいて前記複数の可動表示体の停止を制御する可動表示体停止制御手段と、前記可動表示体停止制御手段により前記複数の可動表示体の停止制御が行われた結果、前記複数の可動表示体が停止した場合に前記図柄の表示態様として所定個数分の図柄群を表示可能とする図柄表示部と、前記図柄表示部内に表示された所定個数分の図柄群を前記複数の可動表示体にまたがって見た場合に、各々の前記可動表示体について少なくとも1つの図柄を選び出してできる組み合わせを前記当選役に対応する図柄の組み合わせが有効となる表示位置とする有効表示位置決定手段と、前記有効表示位置決定手段により決定された前記有効表示位置に前記当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたか否かを判定する当選役図柄表示判定手段と、前記内部抽選の当選役として、遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行させる特別当選役と、前記内部抽選の当選役として、前記特別当選役とは別に今回のゲームの結果として遊技価値を与える一般小役と、前記内部抽選の当選役として、改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役と、前記内部抽選の当選役として、遊技者に対して一般的な通常遊技状態との差異を認識させない特殊遊技状態へ移行させる特殊当選役と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記特別当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、前記特別遊技状態にてゲームの進行を制御する特別遊技状態制御手段と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記一般小役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、前記一般小役に対応した数の遊技価値を遊技者に付与する一般小役遊技価値付与手段と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記再ゲーム役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させる再ゲーム実行手段と、前記当選役図柄表示判定手段により前記図柄表示部内に前記特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが表示されたと判定された場合、前記特殊遊技状態にてゲームの進行を制御する特殊遊技状態制御手段と、前記特別遊技状態制御手段により制御される前記特別遊技状態と異なり、前記特殊遊技状態においてその内部制御のみを変えて前記通常遊技状態とは遊技状態を異ならせる制御を実行する特殊遊技状態内部制御手段と、少なくとも1つ以上の当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第一抽選確率変更手段と、前記特殊遊技状態が終了した場合、前記第一抽選確率変更手段により前記当選役の抽選確率の変更を実行する第一抽選確率変更実行手段と、前記特別遊技状態が終了した場合、前記第一抽選確率変更手段により前記当選役の抽選確率の変更を実行するか否かを決める第一抽選確率変更実行可否手段と、前記第一抽選確率変更手段により前記当選役の抽選確率の変更が行われた第一抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行を制御する第一抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第一抽選確率変更遊技状態制御手段により遊技状態が前記第一抽選確率変更遊技状態へ移行される場合、前記第一抽選確率変更手段により抽選確率が前記特別な抽選確率に変更された前記当選役とは別に、その他の当選役について抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させる第二抽選確率変更手段と、前記第二抽選確率変更手段により前記その他の当選役の抽選確率を前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させるべきか、または前記通常の抽選確率から前記特別な抽選確率に変更させるべきでないかのいずれかの選択を行う第二抽選確率変更選択手段と、前記第二抽選確率変更手段により前記その他の当選役についてその抽選確率の変更が行われた第二抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行を制御する第二抽選確率変更遊技状態制御手段と、前記第一抽選確率変更遊技状態制御手段により前記第一抽選確率変更遊技状態にてゲームの進行が制御されているゲームで前記内部抽選の結果が前記特殊当選役となった場合、その特殊当選役に対応する図柄の組み合わせが前記図柄表示部内に表示されたことを契機として開始される前記特殊遊技状態が終了すると、前記第二抽選確率変更選択手段による前記選択を経ずに直接前記第一抽選確率変更遊技状態から前記第二抽選確率変更遊技状態へ遊技状態を切り替える第二抽選確率変更遊技状態切替手段と、前記通常遊技状態または前記第一抽選確率変更遊技状態のいずれの場合も、前記内部抽選で抽選される抽選対象である当選役の種類を変えることなく前記内部抽選を実行させる抽選対象不変実行手段とを具備したことを特徴とする遊技機である。
本発明は、遊技者が1回のゲームを行うのに必要な遊技価値(メダル、コイン、遊技球など)の掛け数を決めた状態で始動操作を行った後に、遊技者による停止操作が受け付けられると、その受け付け順に前記可動表示体は回転を停止させるスロットマシンに代表される回胴式遊技機に適用することができる。スロットマシン等の回胴式遊技機では、遊技者により始動操作が行われた後、遊技者により停止操作がなされない限り、前記可動表示体は回転を続ける。また全ての前記可動表示体が停止すると、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせに基づいて、必要に応じて遊技価値が遊技者に付与される。こうして遊技者は遊技価値を掛けてから可動表示体を回転させ、そして停止させるという一連の操作を繰り返しながらゲームを進めていくこととなる。そのうえで、図柄表示部に表示された図柄の組み合わせ態様によっては、遊技状態が特別遊技状態という通常遊技状態に比べて遊技価値を大量に獲得することができる遊技状態に移行されることとなる。この特別遊技状態では、遊技価値の付与機会が集中して与えられることとなり、遊技者は特別遊技状態に移行することを期待しながらゲームを進行させていくことになる。
1回のゲームごとに行われる内部抽選は、遊技者の開始操作を契機として行われる。ここでいう「内部」とは、抽選の中味が遊技者に知らされておらず、遊技者の知覚できないところで抽選が行われることを表したものであり、実際に内部抽選は遊技機の動作を制御する制御装置(制御基板)にて行われる。内部抽選手段の行う内部抽選の方法としては、所定の数値範囲内(最小乱数値から最大乱数値までの範囲内)で乱数を発生させておき、そして1回のゲームごとに乱数を1つ取得すると、この取得した1つの乱数の値を、予め決められた当たり値と比較することで抽選結果を判断するものが挙げられる。
内部抽選では複数種類の当選結果として複数種類の当選役が用意されており、これら当選役の種類別に乱数の当たり値が割り当てられている。当たり値には当選役別に幅(数値範囲)が設けられており、取得された乱数の値がいずれかの当たり値の範囲内にあれば、その当たり値に対応する当選役に当選したと判断される。このような内部抽選の仕組みでは、全乱数値(所定の数値範囲内)に占める当たり値の数の割合から当選役の当選確率が算出される。
通常の遊技状態においては、当選役別にそれぞれ当選確率が予め決められた所定の抽選確率(通常の抽選確率)にしたがい、通常抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される。ここでいう「通常の遊技状態」とは、所謂、一般的な通常遊技状態のことを指し、特定の当選役について有利な条件が設けられたり、あるいは特定の当選役について不利な条件が設けられたりしていない、フラットな状態のことをいう。つまり、通常遊技状態とは、遊技者に特別に有利となる特典を与えたり、反対に不利な特典を与えたりするものではない遊技状態のことである。よって、所定の抽選確率は通常遊技状態で行われる内部抽選の当選結果を判断する抽選確率ということになる。
また、上記の通常の抽選確率と比べて、少なくとも1つ以上の当選役についてその抽選確率が高い特別な抽選確率を通常の抽選確率とは別に設けている。以下では、この特別な抽選確率にて抽選確率が高くなっている当選役のことを特定の当選役と呼ぶ。特定の当選役の抽選確率が高いということは、言い換えれば、特定の当選役は、その当たり値の範囲(幅)が通常の抽選確率における特定の当選役の当たり値の範囲に比べて広いということである。即ち、特別な抽選確率にしたがい、特別抽選判断手段により内部抽選でいずれかの当選役が得られたかが判断される場合、特定の当選役については通常遊技状態に比べて当選し易い状態ということになる。このときの遊技状態を通常遊技状態と区別するために以下では、高確率遊技状態と呼称する。
1回のゲームで行われた内部抽選の当選結果は、少なくとも当該ゲームでは維持されている。当選役のなかには、当該ゲーム限りで結果が破棄されるものもあれば、次回以降のゲームまで持ち越されるものもある。
上記の当選役には、遊技価値の付与を伴う一般小役と、遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行契機となる特別当選役、改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数が次回のゲームに持ち越される再ゲーム役とが含まれている。これらの当選役にはそれぞれ対応する図柄が予め決められている。以下では、この当選役に対応する図柄のことを、当選役図柄と呼称する。
また、当選役のなかには上記の当選役とは別に、通常遊技状態との差異を遊技者に認識させることのない特殊遊技状態への移行契機となる特殊当選役も設けられている。
図柄は、遊技者が視覚によって個々を識別することができる絵、記号、マーク、飾り字等を意味する。これらの図柄は遊技者が本発明の遊技機でゲームをする際の目印(可動表示体を停止させる際の目安)とすることができる。この図柄のなかには、上記の当選役図柄や、当選役図柄に該当しない図柄(ハズレ図柄)を含むことができる。これらの図柄はそれぞれの可動表示体に所定個数分が付されている。
遊技者により各可動表示体の停止操作が受け付けられると、停止操作が受け付けられた順番通りに各可動表示体の停止制御が順番に行なわれていく。最終的に全ての可動表示体が停止すると可動表示体ごと図柄表示部内に停止した図柄からなる図柄群が形成される。このときの図柄群が図柄の表示態様としてゲームの結果が判断されることとなる。
図柄表示部は、遊技機本体の前面側に位置し、各可動表示体の図柄を所定個数分の図柄群として表示することが可能となっており、遊技者がゲームを進行させるうえで無理の生じない位置に設けることができる。遊技者が視認し易く、長時間ゲームを続けても疲労を与えることの少ない位置に設けることが望ましい。遊技者は可動表示体の回転中は回転している図柄群を、あるいは可動表示体の停止時には所定個数分の図柄群を図柄表示部内に視認することができる。この所定個数分の数を増減させることにより、図柄表示部内に表示される図柄の総個数を増減させることができる。つまり、図柄表示部内に表示される図柄の最大個数は、「所定個数×可動表示体の数」として表すことができ、所定個数をNとした場合、Nの値が大きくなればなるほど図柄表示部内に表示される図柄の最大個数が増えることになる。従って、図柄の表示態様もそれだけ増加することとなる。
図柄表示部内で表示される図柄の表示態様は、所定個数分の図柄群と可動表示体の数によって無数のものとすることもでき、内部抽選の当選結果が同一のものであったとしても、異なる図柄の表示態様を遊技者に見せることができる。
また、図柄表示部内に表示される図柄群のうち、それぞれの可動表示体から少なくとも1つの図柄を選び出して、全ての可動表示体にまたがった図柄の組み合わせが有効となる表示位置を決めることができる。ここでいう「有効となる表示位置」とは、全ての可動表示体の停止時に特定の当選役に対応する図柄の組み合わせが表示された場合に、特定の当選役に対応する特典を付与させることのできる図柄表示部内での表示位置のことをいう。つまり、内部抽選の抽選結果として得られた当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが図柄表示部内の「有効となる表示位置」に表示されて初めてその当選役に対応した特典を得ることができるのである。
「有効となる表示位置」は、図柄表示部内での並び、組み合わせ等を意味し、一般的には複数の可動表示体にまたがる水平または斜めの並びのことをいう。水平または斜めの並び以外としては、への字型、V字型、折れ曲がり型、ジグザグ型となる組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせを複数種類が同時に有効となる態様とすることもできる。つまり、水平の並び、あるいはV字型のいずれかの有効となる表示位置に特定の当選役に対応する図柄が停止すれば特定の当選役に対応する特典を付与することができることとなる。
また、遊技価値の掛け数に応じて有効となる表示位置を変更させることもできる。即ち、「1回のゲームごとに掛けられた遊技価値の掛け数に応じて図柄表示部内の有効となる表示位置を変更させる」構成をとることもできる。この構成によれば、遊技価値の掛け数を増やせば、図柄表示部内で有効となる表示位置を増やすことができる。従って、遊技価値の掛け数をできる限り多くしてゲームを行えば、いずれかの当選役に当選している場合、それだけ該当する当選役図柄が有効となる表示位置に表示される可能性が高くなる。
更に、有効となる表示位置を各可動表示体から複数の図柄を選び出してできる組み合わせとすることもできる。これは図柄表示部内に表示されている各可動表示体からそれぞれ2個の図柄を抜き出して構成される組み合わせや、1つの可動表示体は3個の図柄を抜き出して、その他の可動表示体からは1個の図柄を抜き出して構成される組み合わせ、あるいは、各々の可動表示体から2個、2個、1個と図柄を抜き出して構成される組み合わせ等、少なくとも1つの可動表示体からは複数の図柄を抜き出して構成された組み合わせとすることである。このような組み合わせは、各可動表示体から少なくとも1個の図柄を選び出して構成される組み合わせと比べると、どの組み合わせが有効になったかを視認しづらくすることが可能となる。
全ての可動表示体が停止すると、図柄表示部内の有効な表示位置にいずれかの当選役に対応する当選役図柄の組み合わせが表示されたか否かが当選役図柄表示判定手段によって判定される。ここで、当選役図柄の組み合わせとしては、全て同種類の当選役図柄の組み合わせや、全て異なる種類の当選役図柄の組み合わせ、あるいは少なくとも同じ種類の当選役図柄を含んだ複数の種類の当選役図柄の組み合わせ等が挙げられる。また、少なくとも1つ当選役図柄を含んだ組み合わせであれば、その他の図柄に関係なく当選役図柄の組み合わせとなるものも挙げることもできる。これらの当選図柄の組み合わせが図柄表示部内の有効となる表示位置に表示されると、その当選役に対応した特典が付与されることとなる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特別当選役に対応する特別当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特別遊技状態へ移行されることになる。この特別遊技状態では遊技者にとって有利な特典が付与される。また、特別遊技状態は、少なくとも通常遊技状態に比べて遊技者にとっての有利さの度合いの高い遊技状態ということもできる。ここで、特別遊技状態にて遊技者に与えられる特典としては、大量の遊技価値を獲得させる機会の付与や、遊技価値を消費することなくゲームを進行させる機会の付与等が挙げられる。従って、遊技者は、いかに多く特別当選役に当選することができるかという点に興味を持つこととなる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合、そのゲーム結果としては遊技価値の付与を伴わず今回のゲームを終了させることもできる。即ち、特別当選役図柄の組み合わせが表示されたゲームでは遊技価値の付与は行われず、次回のゲーム開始から特別遊技状態の特典が付与されることとなる。この場合、遊技者はできるだけ早く次回のゲームを開始させて特別遊技状態での特典を得ようとゲームを進めることとなる。
特別当選役図柄からなる組み合わせが表示された場合に、そのゲーム結果として遊技価値の付与を伴わせることもできる。この場合、特別当選役に対応して付与される規定数の遊技価値を決めておくことで、遊技者が遊技価値を獲得したうえで、更に次回のゲームから特別遊技状態での特典を得ることができる。
特別当選役図柄からなる組み合わせとして、少なくとも1つ以上の特別当選役図柄が含まれている組み合わせを含めることもできる。即ち、図柄表示部内で有効となる表示位置に1つの特別当選役図柄が表示されれば、特別当選役に対応する特典が付与されることになる。従って、遊技者の停止操作の時機がずれることにより、いつまでも特別当選役図柄を図柄表示部内の有効となる表示位置に停止させることができないという事態が回避され、これにより、遊技者が特別当選役図柄を表示させるまでに消費する遊技価値の量を軽減させることができる。
図柄表示部内の有効となる表示位置に一般小役に対応する一般小役図柄からなる組み合わせが表示されると、一般小役に対応する特典として規定数の遊技価値が遊技者に付与されることになる。従って、一般小役に当選することが増えれば、それだけ遊技価値を増加させることが可能になるので、遊技者はできるだけ一般小役に当選したいと願いながらゲームを行うこととなる。
また、一般小役は複数の種類を設けることができる。即ち、「一般小役として複数の異なる種類の当選役を設けることができる」ということである。この場合、それぞれの一般小役に対応する当選役図柄も別に設け、更にそれぞれの一般小役に応じて付与される遊技価値の規定数を異ならせると、一般小役を含めた当選役の種類を増やすことができる。従って、多くの種類の当選役は遊技者を飽きさせることがなく、また遊技価値の付与される規定数の相対的に多い一般小役は、その一般小役に対応する一般小役図柄の組み合わせが表示されるだけで遊技者に喜びを与えることができる。
一般小役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様に、少なくとも1つ以上の一般小役図柄が含まれていればよい組み合わせとすることができる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ該当する一般小役図柄が有効となる表示位置に表示されるだけで該当する一般小役に対応する特典を得ることが可能となる。従って、遊技者が該当する一般小役図柄を停止させる操作の難易度を下げることができる。ここでいう「難易度」とは遊技者個々のゲームの熟練度や技量のことをいう。
図柄表示部内の有効となる表示位置に再ゲーム役に対応する再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示されると、再ゲーム役に対応する特典として、遊技状態が再ゲーム状態へ移行されることになる。この再ゲーム状態とは、遊技者が改めて遊技価値を掛けることなく今回のゲームの掛け数を持ち越して次回のゲームを実行させることができる状態のことをいう。つまり、再ゲーム役に当選した場合(再ゲーム役図柄からなる組み合わせが表示された場合)、遊技者は遊技価値を新たに消費せずに1回分のゲームを行うことができる。従って、再ゲーム役に当選することが多くなれば、その分だけ遊技価値の消費を抑えながらゲームを行うことができる。このことにより、単位時間当たりの遊技価値の消費量をある程度一定の範囲内に抑えることが可能となり、遊技者が一方的に遊技価値を消費するばかりといった状況を減少させることができる。
再ゲーム役図柄からなる組み合わせについても、前述した特別当選役図柄の組み合わせと同様、少なくとも1つ以上の再ゲーム役図柄が含まれていればよい組み合わせとすることができる。即ち、少なくとも1つの可動表示体についてだけ再ゲーム役図柄を表示させるだけで再ゲーム役の特典を得ることが可能となるので、遊技者が再ゲーム役図柄を停止させる操作の難易度を下げることができる。特に再ゲーム役については、遊技者が過度に遊技価値を消費する事態を緩和させる当選役としての役割を持っていることから、望ましくは、遊技者が再ゲーム役図柄を停止させる操作の難易度を下げて、内部抽選で再ゲーム役に当選となった場合、極力遊技者が再ゲーム役に対応する特典を得られるものとすることがよい。
図柄表示部内の有効となる表示位置に特殊当選役に対応する特殊当選役図柄からなる組み合わせが表示されると、遊技状態が特殊遊技状態へ移行されることになる。この特殊遊技状態は通常遊技状態との差異を遊技者に全く認識させない遊技状態である。即ち、特殊遊技状態に移行してから、特殊遊技状態が終了するまで全く通常遊技状態と変わらない態様とすることで遊技者にはあたかも通常遊技状態が継続しているという認識を持たせる遊技状態である。ここでいう「通常遊技状態との差異」とは、遊技者がゲームの開始操作や可動表示体の停止操作を行う際に通常遊技状態でのゲーム(以下では、通常のゲームという)と異なる動作制御が行われたり、通常のゲームとは異なる図柄の表示態様が表示されたりといったことが挙げられる。つまり、明らかに通常遊技状態とは異なることを遊技機の外観上から遊技者が認識(または、意識、察知)できるほどの差異が生じることをいう。
このとき、遊技機内部では遊技状態を特殊遊技状態に移行させる制御を実行させるが、外見上の動作制御は全く伴わせることなく、外見上は通常遊技状態と全く見分けがつかないものとすることができる。ここで、外見上の動作制御を伴うとは、遊技機の外部に向けて(つまり、遊技者やあるいはその他周囲に向けて)遊技機の動作が通常とは異なる動作をしていることを知らせる(または教示、報知、示唆)制御のことをいう。具体的には、可動表示体の回転や停止動作を通常の動作とは異なる動作をさせたり、遊技者の開始操作や停止操作の際に振動を与える等の通常とは異なる動作をさせたりすることが挙げられる。こういった遊技機の外見上で遊技者が認識できる動作の制御を一切伴わせないことにより、遊技機の内部状態の変化を秘匿することができるのである。
また、特殊当選役図柄の組み合わせとしては、特殊当選役を意識させる象徴的な図柄を設けずに、複数種類の図柄からなる組み合わせとすることができる。つまり、特殊当選役は、専用の図柄の組み合わせとするのではなく、あくまで別の象徴的な意味を持つ図柄を複数組み合わせてできる組み合わせを特殊当選役として有効となる図柄の組み合わせ(以下では、特殊当選役図柄の有効な組み合わせという)とすることになる。ここでいう「別の象徴的な意味を持つ図柄」は、特別当選役図柄や一般小役図柄、再ゲーム役図柄等のことをいう。
特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとするのは、遊技者に特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたことを認識させないためである。また、特殊当選役図柄の組み合わせを単なるハズレ図柄からなる組み合わせとすることもできる。この場合、図柄表示部には単にハズレとしてしか遊技者に認識されない図柄の組み合わせが表示されることとなるので、遊技者に特殊当選役に当選したこと(特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示されたこと)を認識させることがない。
また、特殊当選役図柄の有効な組み合わせを複数種類の図柄からなる組み合わせとすることや、あるいはハズレ図柄からなる組み合わせとすることは、遊技者が特殊当選役図柄の有効な組み合わせを停止させる操作の難易度を下げることにもつながる。即ち、複数種類の図柄からなる組み合わせや、ハズレ図柄からなる組み合わせは、通常遊技状態でのゲームでは頻繁に表示されるからである。
具体的には、内部抽選でいずれの当選役にも当選しなかった場合は、当選結果はハズレとなり、いずれの当選役に対応した図柄の組み合わせも表示されない停止制御が行われる。従って、複数種類の図柄からなる組み合わせは、いずれかの当選役に対応する図柄の組み合わせを回避する際に表示され易い組み合わせといえる。
また、ハズレ図柄からなる組み合わせも、その組み合わせが表示された際に遊技者にハズレとしての印象しか与えないものであるので、特殊当選役図柄の有効な組み合わせとするのに適している。つまり、今回のゲームにおいて内部抽選で特殊当選役に当選した場合、当該ゲームにおいて特殊当選役図柄の有効な組み合わせを表示させることが可能となる。従って、遊技者に全く認識されずに速やかに特殊遊技状態を開始させることができる。
本発明の遊技機では、特定の条件が成立すると、少なくとも1つの当選役についての抽選確率を変更させることができる。特に通常の抽選確率から特別な抽選確率に変更させることができる。即ち、遊技者にとって有利な条件を付与させることができるのである。ここで、少なくとも1つの当選役としては、特別当選役をはじめとする当選役の中からいずれを選ぶこともできる。言い換えれば、「少なくとも1つの当選役としていずれの当選役をも選択しうる」とすることもできる。従って、遊技者にいずれの当選役が自分にとって有利となる(つまり、当選し易くなる)か分からないので、特定の条件が成立するたびに遊技者をハラハラさせることができる。
特殊遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率が特別な抽選確率に変更される。即ち、特殊遊技状態を契機として少なくとも1つの当選役について遊技者に有利な条件が付与されることになる。従って、特殊遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役については必ず特別な抽選確率で内部抽選が実行されることになる。
特別遊技状態が終了すると、当選役のうち少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させるか否かが決められる。即ち、特別遊技状態は少なくとも1つの当選役について遊技者に有利な条件が付与される期待の持てる契機となる。これは、特別遊技状態の終了後は、特殊遊技状態の終了後とは異なり、必ずしも当選役のいずれかが遊技者にとって有利な条件で抽選されるとは限らないからである。従って、特別遊技状態が終了すると、その直後から開始されるゲームでは、少なくとも1つの当選役について特別な抽選確率で内部抽選が実行されるかもしれないという期待が持てることになる。
少なくとも1つの当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させることが決まると、その契機となった特別遊技状態、または特殊遊技状態の終了直後から開始されるゲームは、少なくとも1つの当選役については遊技者にとって当選しやすい状態となる。このときの遊技状態が前述した高確率遊技状態ということになる。
本発明の遊技機では、通常遊技状態と高確率遊技状態における内部抽選で抽選対象となる当選役の種類については全く変わりがない。即ち、通常遊技状態であっても、高確率遊技状態であっても、抽選対象は常に同じであるということになる。従って、遊技者に通常遊技状態であるのか、それとも高確率遊技状態であるのかという判断を当選可能性のある当選役の種類から判断させることを困難にすることができる。
遊技状態が高確率遊技状態へ移行される場合、第二抽選確率変更手段によって、その他の当選役についての抽選確率も特別な抽選確率に変更させることができる。即ち、複数の当選役について遊技者に有利な条件が付与されることになる。従って、既に当選し易くなっている当選役に加えて、その他の当選役についても当選し易い状態にすることができる。
第二抽選確率変更手段によって、その他の当選役についての抽選確率を特別な抽選確率に変更させるか否かは選択的に決めることができる。即ち、第一抽選確率変更手段によって既に1つ以上の当選役の抽選確率が変更されている状態で、更にその他の当選役の抽選確率を変更させるか否かが決められることとなる。ここでの選択の方法については、抽選や、予め決められた基準等が挙げられる。「予め決められた基準」とは、決められた条件が成立した場合や、規定の回数が経過した場合、あるいは規定された時間が経過した場合などがある。
上記より、遊技者にとって最も有利な条件が付与されるのは、第二抽選確率変更手段によってその他の当選役についての抽選確率が特別な抽選確率に変更された場合ということになる。このときの遊技状態は高確率遊技状態に更に付加的な価値(その他の当選役についても当選し易い状態になる)は加えられることになる。この付加的な価値が加えられた高確率遊技状態のことを、付加的な価値の加えられていない高確率遊技状態と区別するために「付加高確率遊技状態」と呼称する。また、以下で、高確率遊技状態という場合は、付加的な価値の加えられていない遊技状態を指す。
高確率遊技状態で特殊当選役に当選した場合、既に遊技状態は高確率遊技状態に移行している。従って、特殊遊技状態に当選しても遊技者にとって有利な条件が付与されなくなってしまう。本発明の遊技機では、遊技状態が高確率遊技状態へ移行された状態で特殊当選役に当選した場合(特殊当選役図柄の有効な組み合わせが表示された場合)、その特殊当選役を契機として遊技状態を高確率遊技状態から付加高確率遊技状態へ変更させることができる。即ち、高確率遊技状態でのゲームで特殊当選役に当選すると、その他の当選役について有利な条件が付与されることになる。従って、通常遊技状態と、高確率遊技状態では、特殊当選役に当選した場合、特殊当選役が果たす役割を変えることができる。
これは言い換えれば、「高確率遊技状態(第一抽選確率変更遊技状態)で当選した特殊当選役は、無条件で遊技状態を付加高確率遊技状態(第二抽選確率変更遊技状態)に変更させることができる」とすることもできる。特別遊技状態の終了後から遊技状態が高確率遊技状態へ移行された場合、少なくとも1つの当選役のみ抽選確率が特別な抽選確率となっていても遊技者はそのことに気付くことが困難だからである。
遊技者にとって、特別遊技状態はその遊技状態が自覚(認識)できるものであるから、特別遊技状態の終了後から遊技状態が高確率遊技状態に移行したかどうかは、当選状況に変化の見られる当選役を見つけることができれば、およそ推測することは可能であるといえる。この推測を可能とするか否かについては、第一抽選確率変更手段によっていずれの当選役の抽選確率を特別な抽選確率に変更させるかによりその推測(高確率遊技状態かどうか)可能か否かについての難易度を変えることができる。
具体的にいえば、通常遊技状態では当選する可能性の低い当選役について、その抽選確率を特別な抽選確率に変更すれば、通常遊技状態に比べて明らかに当選状況に変化が見られる当選役があることを遊技者に気付かせやすくなり、現在の遊技状態が高確率遊技状態であることを示唆することが可能となる。反対に、通常遊技状態では当選する可能性が高い当選役について、その抽選確率を特別な抽選確率に変更すれば、通常遊技状態に比べて明らかな当選状況の変化を遊技者に気付かせにくくでき、現在の遊技状態が高確率遊技状態であることを秘匿することが可能となる。ここでいう「当選状況の変化」とは、特定の当選役に当選する頻度が増加することを指す。即ち、一定の期間のあいだに特定の当選役に当選する回数ということもできる。
このことは、第二抽選確率変更手段によりその他の当選役の抽選確率が特別な抽選確率に変更される場合にも同様のことがいえる。そして、本発明の遊技機では、更に「第一抽選確率変更手段により抽選確率が特別な抽選確率に変更される当選役は、通常遊技状態で当選する可能性が相対的に低い当選役とし、第二抽選確率変更手段により抽選確率が特別な抽選確率に変更されるその他の当選役は、通常遊技状態で当選する可能性が相対的に高い当選役とする」という構成をとることもできる。即ち、高確率遊技状態は、その遊技状態を遊技者に分かりずらいものとし、付加高確率遊技状態は、その遊技状態を遊技者に分かり易いものとすることができるのである。
従って、特別遊技状態が終了した直後のゲームから高確率遊技状態に移行した場合であっても、この遊技状態が通常遊技状態であるのか、あるいは高確率遊技状態であるのか判断することは遊技者にとって困難なものとなる。よって、遊技者は高確率遊技状態でないという確かな確信が持てるまでしばらくゲームを続けることとなる。そして、高確率遊技状態であるという確信が得られたとき、遊技者はしばらくゲームを続けてよかったという安心感を得ることとなる。
更に、特殊遊技状態を契機として遊技状態が高確率遊技状態に移行された場合は、更に本発明の本領が発揮されることとなる。即ち、特殊遊技状態は、その遊技状態が開始されてから終了するまで全く遊技者に分からずに経過していく遊技状態であるので、遊技者の知らない間に通常遊技状態から高確率遊技状態に遊技状態が変更されていることになる。また、特殊遊技状態を契機として遊技状態が付加高確率遊技状態に移行されると、不意に特定の当選役の当選状況に変化が見られることになる。従って、遊技者は、不意に特定の当選役に当選し易くなったことに驚き、そして、自分にとって最も有利な遊技状態(付加高確率遊技状態)に遊技状態が変更されたことを確信することができるのである。
本発明により、通常のゲームであっても、いつ、急に特定の当選役の当選状況が変化するかもしれないという期待を常に持つことができ、通常のゲームと分かると起こり易い遊技者の興趣の低下を極力抑制することができる。
以下、本発明を回動式遊技機に適用した一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(一実施形態の概要)
図1は、一実施形態の回胴式遊技機であるスロットマシン1を示している。図1のスロットマシン1は、遊技媒体として例えばメダル、コイン等を用いるタイプのものである。なお、その他にも回胴式遊技機には遊技球を用いるタイプのものもあり、こちらのタイプも実施形態として好適である。また本発明の実施にあたり、いずれのタイプを適用しても本質的な差違は生じない。
スロットマシン1は遊技者に相対する前面に前面扉4を有しており、この前面扉4の奥に箱型の本体部分2を有する。本体部分2の左側壁の内面と前面扉4の左側端部の背面とは上下2つの蝶番(図示しない)を介して相互に連結されている。この蝶番を軸として、前面扉4はその右側端に位置する鍵穴48にスロットマシン1専用の鍵を入れて時計回りに回すことで、片開き形式に手前に開閉することができ、前面扉4が閉じた状態で、蝶番は前面扉4の背後に隠れるようにして本体部分2の内側に収容される。
また前面扉4は、上半分の部分に液晶表示部58を有するほか、この液晶表示部58の下方に平坦な透明板(遊技パネル)6を有している。前面扉4の下半分の部分は遊技パネル6から前方に突き出するように形成されており、この突出部にはメダル投入口26やベットボタン12,14,16(掛け数決定手段)、始動レバー18(始動操作手段)、左、中、右の各停止ボタン20,22,24(停止操作手段)等が遊技パネル6の下縁に沿って配設されている。その他、前面扉4の下半分には貯留精算ボタン46及び化粧板50が配設されており、更に化粧板50の下には受け皿54が設けられている。
液晶表示部58は、遊技の進行に伴う演出としての映像や後述するボーナスゲームでの獲得メダル枚数等を表示させることで遊技者がゲームを進行することを補助する役割をしている。液晶表示部58は、表示手段の一つに相当し、各種演出表示態様を表示させるものである。なお、液晶表示部58に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)、ドットLEDを用いることもできる。
遊技パネル6には、その略中央の位置に矩形の表示窓8(図柄表示部)が形成されており、この表示窓8を通してスロットマシン1に内設された可変回転体10a,10b,10cを透視することができる。また遊技パネル6には、表示窓8の周囲を取り巻くようにして表示領域38,40や表示部30,32,34等が形成されている。正面から見て表示窓8の右側に位置する表示領域40には、各種文字情報や図柄情報が付されており、反対の左側に位置する表示領域38にはベットランプ42及びボーナス告知ランプ44等の点灯表示部が配列されている。
また遊技パネル6には、表示領域38の下側に位置するスタートランプ28の他、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34及びメダルインランプ36がそれぞれ設けられている。上記の各ランプ、各表示部は表示手段の一つとして各種演出表示態様を実行することも可能である。
上記のスタートランプ28及びメダルインランプ36、ベットランプ42及びボーナス告知ランプ44は遊技パネル6の背後の図示しないランプユニットのことである。これらのランプが発光すると、遊技パネル6を透過してその発光態様が視認できるものとなっている。また、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32及び、払い出し枚数表示部34は7セグメント表示により数字の表示が可能となっている。
メダルインランプ36は、遊技者が遊技を開始する前に点滅(または点灯)し、遊技者にメダル投入口26へメダルの投入を促す役割をしている。
ベットランプ(有効ラインランプ)42は、遊技者によりメダル投入口26より投入されたメダルの枚数に対応して1ベット、2ベット、3ベット(それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けともいう)に対応したランプを点灯表示させて遊技者に掛け数を知らせる役割をしている(図中のベットランプ42の1は1ベット、2は2ベット、3は3ベットにそれぞれ対応している)。なおベットボタン12,14,16(以下では、必要に応じてベットボタン12,14,16をそれぞれ1ベットボタン、2ベットボタン、MAXベットボタンと呼ぶ)の押下操作はそれぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けに対応している。特に3枚掛けについては1回のゲームでの最大掛け数となることからMAXベットと呼ぶ。
スタートランプ28は、始動レバー18の操作が有効になった場合に点灯(または点滅)し、遊技者にゲームのスタートを促す役割をしている。また払出枚数表示部34は、メダルの払い出しを伴う当選役が図柄の組み合わせとして表示された場合にその払出枚数を表示するほか、スロットマシン1に発生した各種の異常、遊技の進行に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。以下では必要に応じて払出枚数表示部34をエラー表示部34ともいう。
クレジット枚数表示部30は、最大掛け数(例えば3ベット)を超えるメダルの貯留がある場合に貯留されている枚数として遊技者に貯留枚数を知らせる役割をしている。クレジット枚数表示部30の表示は、貯留精算ボタン46を1回操作することで貯留が解除され、メダルの貯留(クレジット)の精算を行うことも可能である。
クレジットは最大で50まで貯留することができる。クレジットに貯留された枚数から、次回ゲームへのベット数を、ベットボタン12,14,16を操作することにより選択することができる。クレジットからベットされた場合、ベットされた数だけクレジットとして貯留された枚数から減算されていく。なおメダルの払い出しに伴い、最大クレジット数を超えた場合のメダルは払出口52を通じて受け皿54に払い出される。
ボーナスフラグ告知ランプ44は、遊技者に後述するボーナス等に当選したことを知らせる役割をしている。ボーナスフラグ告知ランプ44も表示手段に相当する。
ゲーム数表示部32は、後述するボーナスゲームでのメダルの払い出しが集中して行われる特典の回数等の状況を表示させて、遊技者にボーナスゲームをスムーズに進行させる役割をしている。
図1では特に描かれていないが、化粧板50にはスロットマシン1の機種名称やイラストなどが描かれている。化粧板50は、背後に図示しないランプユニットを備えており、このランプの発光により化粧板50を透過して化粧板50のイラスト等をより目立たせて遊技者にアピールすることができる。
鍵穴48は、スロットマシン1専用の鍵(以下では専用鍵と呼称する)を入れて左右にそれぞれ約45度回す(捻る)ことが可能となっている。専用鍵を右回りに回すことで前面扉4の施錠を解錠することができ、また専用鍵を左回りに回すことでスロットマシン1の遊技が中断した状態を遊技再開が可能な状態に戻す(エラーを解除してリセットする)ことができる。なお、このリセットする操作については、後述するリセットスイッチ74を押下することでも同様の処理ができる。
払出口52の左右には2個のスピーカ56が設けられており、これらスピーカ56からは遊技の進行に伴う効果音やBGM、音声等が出力される。
その他、液晶表示部58の左右にランプ64、及びスロットマシン1の外周に沿ってランプ60,62,66が配置されており、これらランプ60,62,64,66は遊技状態に応じた発光装飾による演出を実施することができる。これらランプ60,62,64,66も表示手段の一つとして発光等の演出による各種演出表示態様を実行することが可能である。
図1中に破線で示される5本の有効ライン68a,68b,68cは、表示窓8内に表示される図柄の配列を1つの組み合わせとして見るための方向を規定したものであり、それぞれ1枚掛け、2枚掛け、3枚掛けのベット数に対応して有効化されるライン(一直線)となっている。具体的には、1枚掛けの遊技では中段位置にある水平な有効ライン68aが1本だけ有効化され、2枚掛けになると、これに加えて上段と下段の位置にある2本の水平な有効ライン68bが有効化されて都合3本となる。そして3枚掛けの遊技では、更に斜めの有効ライン68cが2本とも有効化され、合計5本の有効ライン68a,68b,68cのすべてが有効となる。いずれにしても、そのときの掛け数に応じて有効化されているライン68a〜68cに沿って並んだ図柄の配列を1つの組み合わせとしてみることができる。
図2はスロットマシン1の本体部分2の内部構造を示している。この図2では前面扉4を取り外した状態が示されている。本体部分2の上半分の部分には、前述の可変回転体10a,10b,10cを有する可変図柄表示装置10が設置されている。本体部分2の内面には、可変図柄表示装置の周囲をサブ制御基板94、メイン制御基板92、外部端子板96が取り囲むように取り付けられている。また本体部分2の下半分の部分(つまり可変図柄表示装置10の下方)には、左側の内壁面に沿って電源ユニット70が設置されているほか、本体部分2の底の略中央位置にホッパ装置(ホッパユニット)134が設置されており、このホッパ装置134の右脇の位置には遊技メダル補助収納庫84が設置されている。
ここで本実施形態のスロットマシン1は、機械的な可変図柄表示装置(回転装置)が3つの可変回転体から構成されている。これら3つの可変回転体は同形状であり、いずれも筒型の骨組みに複数種の図柄(ベル、スイカ、チェリー等)が印刷された透光性を有する図柄帯が張られたことにより筒状の形態を成している。前記筒状の形態を成した可変回転体はスロットマシン等の遊技機においてはリール、またはドラムと呼ばれている(以下ではこの可変回転体をリールとして統一する)。このリールは、回転させたり停止させたりしても、周方向でみてリールに付された帯状の図柄列の配置関係を常に保持している。
各々のリール10a,10b,10cにはステッピングモータからなるリール駆動モータ88a,88b,88c(可動表示体駆動手段)がそれぞれ設けられている。このため各リール10a,10b,10cは独立して回転、停止することができ、その回転時には表示窓8にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。また各リール10a,10b,10cの回転軸は水平方向に延びる同一軸線上に配設されている。各リール10a,10b,10cには表示窓8から視認される位置に移動した図柄をリールの内周側から照らすためのリール内ランプ90a,90b,90cが設けられており、表示窓8より視認可能なリールの上段部分、中段部分、下段部分を各リール10a,10b,10cそれぞれ独立して点灯させることが可能に構成されている。これら各リール10a,10b,10cは、前面扉4を閉めることで外側から直接触れることができなくなる。この各リール10a,10b,10c、リール駆動モータ88a,88b,88c、リール内ランプ90a,90b,90c、後述するリール位置センサを含めてリール装置10(またはリールユニット)と総称する。なお以下では必要に応じて、リール10aを左リール10a、リール10bを中リール10b、リール10cを右リール10cと呼称する。
メイン制御基板92は、スロットマシン1の遊技の進行を行うための中枢機器であり、このメイン制御基板92は、メダルの投入や払い出し等、リール装置10の回転と停止等、更に各ランプ(スタートランプ28,メダルインランプ36,ベットランプ42,ボーナスフラグ告知ランプ44)及び各表示部(クレジット枚数表示部30,ゲーム数表示部32,払出し枚数表示部34)による表示等の遊技の進行に直接関わる動作を管理している。
サブ制御基板94は、スロットマシン1の遊技の進行を補助するための液晶表示部58への演出の表示及び各ランプ60,62,64,66の管理を行っている。
外部端子板96は、スロットマシン1とホールコンピュータ等を接続する場合の各種の情報の出入り口としての役割をしている。
メイン制御基板92は、サブ制御基板94及び外部端子板96と図示しない配線及びコネクタ等により接続されている。従ってメイン制御基板92から各種情報の伝達をサブ制御基板94及び外部端子板96へ行うことが可能である。
メイン制御基板92やサブ制御基板94等は、いずれも樹脂製の基板ボックスに収容された状態で本体部分2内に設置されている。基板ボックスは、外側から各基板への接触を阻害する保護ケースとなる。特にメイン制御基板92の基板ボックスは、機械的な封印部92a(ワンウェイねじによる締結部)によって開封不能に閉止されている。このためメイン制御基板92に不正チップ等を組み込もうとしても、基板ボックスを破壊しない限り改変はできないので、不正改造等を試みた場合にその痕跡をはっきり残すことができる。更に、基板ボックスには本体締結部92bが形成されており、基板ボックス全体が本体締結部92を介して本体部分2に対して強固に締結されている。従って、不正目的で基板ボックスそのものを本体部分2から取り外すことはできないし、もしも取り外しを試みた場合はその痕跡がはっきりと残されることになる。
電源ユニット70は、設定キースイッチ72、リセットスイッチ74、電源スイッチ76を有しており、スロットマシン1の設定を変更したり、異常が発生した際のエラー状態の解除を行ったり、電源のON−OFFを行うことができる。また電源ユニット70は、メイン制御基板92を含めた各種基板に電力を供給するために、配線及びコネクタ等によりメイン制御基板92及び各種基板に接続されている。なお電源ユニット70は、スロットマシン1の外部から不正な手段によって直接触れることを防止するためにプラスチック等の合成樹脂で形成されたカバー(図示はしない)が施されている。
ホッパ装置134は、常時メダルを貯留させておくことで、メダルの払い出しが行われる場合の供給源としての役割をしている。なおホッパ装置134の内部にはホッパモータ78を備えており、メダルの払い出しが行われる場合はこのホッパモータ78が回転することにより、ホッパ装置134内に貯留されているメダルが払い出し口80から払い出される。ホッパ装置134内に貯留されているメダルは一定数量に達するとオーバーフロー状態となり、一定数量を超えた分のメダルは、オーバーフロー吐き出し口82から遊技メダル補助収納庫84に導かれて遊技メダル補助収納庫84へ貯留されていく。
遊技メダル補助収納庫84は、前述した通り、ホッパ装置134内にてオーバーフローしたメダルを受け入れるため、メダルの貯留を補助する役割をしている。また、遊技メダル補助収納庫84内にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量に達したことを検出することができる。
(スロットマシンの内部構成)
図3は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン制御基板92を有しており、このメイン制御基板92にはCPU110をはじめROM112、RAM114、入出力インタフェース116等が実装されている。
前述したベットボタン12,14,16や始動レバー18、停止ボタン20,22,24、貯留精算ボタン46等はいずれもメイン制御基板92に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン制御基板92に出力することができる。具体的には、始動レバー18は前述したリール10a,10b,10cを始動させる操作信号をメイン制御基板92に出力し、停止ボタン20,22,24はリール10a,10b,10cをそれぞれ停止させる操作信号をメイン制御基板92に出力する。
エラー解除センサ100は、鍵穴48の奥に設置されている(図示はしない)。鍵穴48に専用鍵を挿入した後に左回りに45度ほど捻ることで、エラー解除センサ100よりリセット信号をメイン制御基板92に出力することができる。また、専用鍵を挿入した後に右回りに45度ほど捻ることで前面扉4が開放されると、前面扉4の裏に設けられた扉開放センサ132(図示はしない)により扉開放信号がメイン制御基板へ出力される。扉開放センサ132はエラー解除センサ100と隣接して設置されており、前面扉4を開放すると、前面扉4と本体部分2とが離れたことが検出される。
またスロットマシン1にはメイン制御基板92とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン制御基板92に各種の信号が入力されている。機器類には、リール10a,10b,10cを擁するリール装置10のほか、ホッパ装置134等がある。
リール装置10は各リール10a,10b,10cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ(図示はしない)を有しており、各リールにはそれぞれ位置センサが対応して設けられている。この位置センサとして、左リール10aに対応した左リール位置センサ106a、中リール10bに対応した中リール位置センサ106b、右リール10cに対応した右リール位置センサ106cがそれぞれのリール内に設けられている。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン制御基板92に入力されることで、メイン制御基板92では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダル投入口26の奥にはメダルセレクタ(図示はしない)があり、メダルセレクタ内には更に投入センサ104及びロックアウトソレノイド102が設置されている。このうち投入センサ104は、メダル投入口26から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。一方のロックアウトソレノイド102は、メダル投入口26より投入されたメダルがメダルセレクタ内で投入センサに到達する通路をロックアウト(塞ぐ)する役割を果たしている。ロックアウトソレノイド102は、ノーマル(非作動)の状態でメダルセレクタの通路をロックアウトしているが、作動時にはこの通路を開き(ロックアウト解除)、メダルの投入を受け付け可能な状態にする。このとき投入されたメダルは投入センサ104で検出される。逆に、ロックアウトソレノイド102が非作動状態になるとメダルセレクタ内で投入センサ104に到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、そのまま吐き出されて受け皿54に返却される。また、このとき合わせて投入センサ104の機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはクレジット加算のいずれも行われなくなる。
ホッパ装置134は、払い出し口80内に払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ98(図示はしない)を有しており、この払出センサ98からメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン制御基板92に入力されている。また、遊技メダル補助収納庫84にはメダル満タンセンサ86が設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン制御基板92に出力することができる。このとき液晶表示部58、エラー表示部34等により遊技機の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に遊技機に異常が発生したことが報知されることとなる。
一方、メイン制御基板92からは、リール装置10やホッパ装置134に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール10a,10b,10cを回転させるための各リール駆動モータ88a,88b,88cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン制御基板92から出力される。またホッパ装置134には、有効ライン上に停止した図柄の組み合わせの種類に応じてメイン制御基板92から駆動信号が入力され、これを受けてホッパ装置134はメダルの払い出し動作を行う。このときホッパ装置134内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ98による枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ98より払い出しメダルの異常信号がメイン制御基板92へ出力され、これを受けてメイン制御基板92は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラー表示部34や液晶表示部58等に表示させて遊技者等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン制御基板92の他にサブ制御基板94を備えており、このサブ制御基板94にはCPU118やROM120、RAM122、入出力インタフェース130、VDP(Video Display Processor)124、音源IC128、オーディオアンプ126等が実装されている。サブ制御基板94はメイン制御基板92から各種の指令信号を受け、液晶表示部58の表示や各ランプ60,62,64,66それぞれの発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ56の作動を制御している。
メイン制御基板92には外部端子板96が接続されており、スロットマシン1はこの外部端子板96を介して遊技場のホールコンピュータ108に接続されている。外部端子板96はメイン制御基板92から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ108に中継する役割を担っている。
その他、スロットマシン1の内部には電源ユニット70が収容されており、この電源ユニット70は外部電源から電力を取り込んでスロットマシン1の作動に必要な電力を生成する。ここで生成された電力は、電源ユニット70から各ユニットに供給されている。
また電源ユニット70には、設定キースイッチ72やリセットスイッチ74、電源スイッチ76等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、前面扉4を開くことではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ76は、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ72はスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ74はスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ72とともに設定を変更する際にも操作される。
(ゲーム処理)
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン制御基板92のCPUにて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
(1.回胴遊技処理)
図4は、スロットマシン1における基本的な1ゲーム(回胴遊技)の処理手順を一通り示している。1回のゲームは、先ず始動処理(ステップS10)から始まる。この始動処理はリール10a,10b,10cの回転を開始させるための処理であり、ここではメダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作を受け付けたり、始動レバー18の操作を契機とした乱数抽選を行ったりする処理が行われる。なお、始動処理(ステップS10)の詳細については、更に別のフローチャートを用いて詳しく後述する。
1回のゲームでは始動処理(ステップS10)に続いて停止処理(ステップS20)が実行される。この停止処理は、各リール10a,10b,10cの回転を停止させるとともに各リール10a,10b,10cの停止位置を制御するものである。これは、「リール制御」と称される処理に該当する。リール制御を用いた停止処理には、例えば当選役と停止ボタンが押された位置の2つを参照して最終停止位置を決定するテーブル方式と、最大限当選役を引込むコントロール方式の2つの方式があり、ここではどちらを用いる態様であってもよい。なお当選役については、後述する始動処理にて説明する。リール制御を用いた停止処理についても別のフローチャートを用いて後述する。
リール制御によって停止処理を終えると、次に判定処理(ステップS30)が実行される。この判定処理は各リール10a,10b,10cの停止時に表示された図柄の表示態様から有効ライン上に停止した図柄の組み合わせが当選役に対応した図柄の組み合わせのいずれかに該当するか否かを判断し、いずれかの当選役に対応した図柄の組み合わせに該当する場合はそれに応じた遊技結果(特典)を提供するためのものである。当選役に対応した遊技結果としては、メダルの払い出しを伴うものがほとんどであるが、当選役の中にはメダルの払い出しがなくボーナスゲームに移行するものもある。あるいはメダルの払い出しとは別に内部状態(または各種モード等)を変更させる契機となったりするものがある。なお判定処理の具体的な内容については後でフローチャートを用いて説明する。また、全てのリールが停止した際に図柄表示部内に表示される図柄の表示態様を「出目」という。
(2.始動処理)
図5は、上記の始動処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、メダルの投入またはベットボタン12,14,16の操作が待ち受けられる(ステップS101)。遊技者がベット操作またはメダル投入をしないうちは(ステップS101=No)、始動レバー18が有効化されないため、ステップS104の判断が否定(No)されて待ち受け状態(ステップS101)がループされ続ける。ベット操作またはメダル投入があると(ステップS101=Yes)、これを受けて受付処理(ステップS102)が行われ、ベット数に応じた有効ラインランプの点灯が行われる。また受付処理(ステップS102)では、メイン制御基板92からメダル投入コマンドまたはベットコマンドがサブ制御基板94に送信される。
受付処理(ステップS102)に続いて始動レバー有効処理(ステップS103)が行われ、ここで初めて始動レバー18の操作が実質的に有効化される。この状態で遊技者が始動レバー18を操作すると、ステップS104の判断が肯定(Yes)されて次に始動レバー無効処理(ステップS105)が行われる。
始動レバー18の操作があると、これを契機として乱数の抽出(乱数抽選)が行われる(ステップS106)。また、始動レバー18の操作を受け付けてから乱数を抽出するタイミングは、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
次のフラグ処理(ステップS107)では、抽出された乱数値からいずれの当選役に当選したかが判断され、いずれかの当選役に当選した場合、その当選役に応じたフラグがONにされるとともに、メイン制御基板92から当選フラグコマンドがサブ制御基板94に送信される。
いずれの当選役にも当選しなかった場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となりハズレフラグがONにされる。当選フラグまたはハズレフラグ(これらを総称して成立フラグという)がONになっているときに、その成立フラグに該当した図柄を揃えることではじめて特典(遊技特典)が得られるものである。各々の特典についての詳細は後述する。
上記のフラグ処理(ステップS107)が行われると、前回の始動処理でスタートされたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かが判断される(ステップS108)。タイムアップ(ステップS108=Yes)が確認されると、各リール10a,10b,10cの回転が開始(始動)され(ステップS109)、ここから次回の始動までのウェイトタイマがスタートされる(ステップS110)。なお、フラグ処理については後述で詳細な説明をする。
(2−1.当選役と当選図柄)
図6は、スロットマシン1の各種当選役に対応した当選図柄の組み合わせを示したものである。ここでいう「当選図柄」とは、各リールに付された図柄のうち、所定の組み合わせとなると当選役に対応した図柄の組み合わせに該当することとなる図柄のことをいう。言い換えれば、各リールに付された図柄は必ずしも全て当選図柄とする必要はなく、ハズレとなる図柄(ハズレ図柄)を付すこともできる。また、当選図柄であっても、所定の組み合わせにならなければ当選役に対応した図柄の組み合わせとはならないので、当選役に該当した特典を得ることはできない。
各々の当選図柄の組み合わせが、全てのリールの停止時に表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に揃うことでそれぞれの特典を得ることができる。また、これらの当選図柄は各リールにそれぞれ付されている。ここで、「ある一つの有効ライン」というのは、複数の有効ラインがあった場合、そのうちのいずれか一つの有効ラインを指す。以下でも同様の意味として「ある一つの有効ライン」と必要に応じて呼称する。
(2−1−1.特別当選図柄〔ボーナス図柄〕:特別当選役)
当選役が特別当選役〔Nanaボーナス(NB)、Childボーナス(CB)〕となる場合に、NB及びCBにそれぞれ対応する当選図柄がNB図柄及びCB図柄のボーナス図柄である。NB図柄の組み合わせ態様「7−7−7」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「NBゲーム」が開始される。あるいは、CBの図柄(図6で子供がおでんを手に持った絵が描かれた図柄、以下ではC図柄と呼ぶ)の組み合わせ態様「C−C−C」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「CBゲーム」が開始される。言い換えると、NBに対応する所定の図柄の組み合わせは「7−7−7」となり、CBに対応する所定の図柄の組み合わせは「C−C−C」ということになる。なお、以下では、所定の図柄の組み合わせとなった場合のことを、必要に応じて(該当)当選図柄が揃ったという。
つまり、ボーナス図柄が揃うと「NBゲーム」または「CBゲーム」という「ボーナスゲーム」が特典として得られることになる。この「NBゲーム」及び「CBゲーム」の特典は、メダルの獲得が容易な複数回のゲームを集中して行わせることで、遊技者が大量のメダルを獲得し易い機会を付与することである。それゆえ、NBまたはCBは他の当選役に比べて内部抽選での当選確率が他の当選役と比較して低く抑えられており(例えば、他の当選役の当選確率が1/7から1/64程度であるのに対し、NBは1/256程度、CBは1/512程度、図9参照)、それだけ遊技者にとって価値のある当選役としての位置付け(またはランク付け)がされている。また、NB図柄及びCB図柄は各リール10a,10b,10cごとの配置数を少なくすることで遊技者がNB図柄あるいはCB図柄を正確に狙って停止させないと揃えることが出来ない図柄とすることができる(概ね各リールに1個から2個程度の配置とする)。なお、内部抽選で当選していない当選役の当選図柄はたとえ正確に狙ったとしても揃えることはできない。ここで図柄を狙った位置に停止させることを「目押し」という。上記よりボーナス図柄は遊技者の目押しの技量を必要とする当選図柄として位置付けされるので、遊技者がいち早くボーナス図柄を揃えることができたときには、自分の目押しの技量が上達したという喜びを得ることができる。
NB図柄が揃った場合、あるいはCB図柄が揃った場合ともに、そのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは後述するNBゲームあるいはCBゲームの特典によりメダルを大量に獲得できる機会が付与されるので、あえてNB図柄あるいはCB図柄がそれぞれ揃ったときにメダルの払い出しを伴わない態様としているが、これに限定されることはない。NB図柄あるいはCB図柄がそれぞれ揃ったときにメダルの払い出しを行う態様としてもよい。ただし、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルの払い出しを伴わせる場合、NBゲームあるいはCBゲームそれぞれにおいて遊技者が獲得できるメダルの合計枚数(総獲得枚数)が、NB図柄あるいはCB図柄が揃ったときにメダルの払い出しを伴わない場合に比較して増加し過ぎることを防ぐ等の必要性が生じることとなる。
(2−1−2.再ゲーム役図柄〔リプレイ図柄〕:再ゲーム役)
当選役が再ゲーム役(リプレイ)となる場合に対応する当選図柄が、再ゲーム役図柄(リプレイ図柄)である。リプレイに対応する図柄の組み合わせ態様「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると「リプレイゲーム」が開始される。ここで「リプレイゲーム」とは、改めてメダルを投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲーム時を再遊技として実行できることをいう。その場合の有効ライン数は、リプレイ図柄が揃ったゲームの有効ライン数と同じとなる。
つまり、リプレイ図柄が揃うと「リプレイゲーム」という特典が得られることになる。この「リプレイゲーム」特典は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する必要がないことである。それゆえ、リプレイは当選確率を他の当選役と比較して高くして遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイは、ゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑えることのできる非常に重要な当選役としての役割を担っているといえる。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるので、当選頻度が高くなったとしてもホールにとって不利益となることは非常に少ない。従って内部抽選においてリプレイに当選した場合にはリプレイの特典をもれなく獲得できるように、リプレイ図柄は各リール10a,10b,10cごと、それぞれ満遍なく配置するものとする。(各リールとも概ね1個から4個分の図柄〔リプレイ図柄以外の図柄〕おきに1個のリプレイ図柄を配置する)。
(2−1−3.単小役図柄〔チェリー図柄〕:単小役)
当選役が単小役(チェリー)となる場合に対応する当選図柄が、単小役図柄(チェリー図柄)である。チェリーは全てのリールの停止時における図柄の組み合わせ態様でその特典が付与されるのではなく、少なくとも1つのリールについて、そのリールが停止したときに表示窓8内にチェリー図柄がある一つの有効ライン上に停止する態様となるだけでメダルの払い出し(3枚)の特典が付与されるものである。ただし、メダルが払い出されるのは全てのリール停止後となる。なお本実施形態のスロットマシン1では上記でいう「少なくとも1つのリール」を左リール10aとしている。
つまり、チェリー図柄が左リール10aのある一つの有効ライン上に停止すると、3枚のメダルが払出されるという特典が得られることになる。左リール10aの図柄の停止態様だけで特典が得られるチェリー図柄は、残りの中リール10b、右リール10cの図柄の組み合わせに影響されないため(つまり、中リール10b、右リール10cはどの図柄が停止した態様であってもよい)、チェリー図柄の組み合わせ態様は「チェリー−ANY−ANY」と表されることもある。
チェリー図柄は左リール10aのみにチェリー図柄を狙うだけで特典を得ることが可能であるので、遊技者の正確な目押しが必要な当選図柄としての位置付けをする。つまり、遊技者の目押しの技量の程度によっては「取りこぼし」が生じる可能性を持たせている。ここでいう「取りこぼし」とは、内部抽選で当選した当選役に対応する当選図柄を遊技者が目押しの失敗等により揃えることができなかったために、その該当する当選役の特典を得ることができなかったことをいう。上記より、チェリー図柄は、左リール10aにその配置数を少なくする(概ね2個から3個程度の配置とする)ことで遊技者に目押しの技量を十分に発揮させることができる。
単小役(チェリー)は、左リール10aのチェリー図柄を正確に目押しすることができれば内部抽選で当選したチェリーの特典(メダルの払い出し)を得られるので、リプレイと同様、ゲーム進行の中で遊技者がメダルを大量消費することを抑えることのできる重要な役割を持った当選役であるといえる。
またチェリーは、左リール10aのみにあれば十分であることから、他のリール(中リール10b、右リール10c)にチェリー図柄を設けなくともよい。こうすると、他のリールにチェリー図柄以外の図柄をより多く配置することが可能となる。従って、チェリー図柄以外の当選図柄を配置するバリエーションが多く持てることとなり、遊技者に豊富な出目を見せることが可能となる。
なお、チェリー図柄が有効となる(特典を得ることができる)リールを必ずしも左リール10aに限定することはなく、中リール10bあるいは右リール10cとしてもよい。この場合「ANY−チェリー−ANY」または「ANY−ANY−チェリー」となるとチェリーの特典が付与されることとなる。あるいは、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの3つリールのうちいずれか2つのリールのチェリー図柄が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止したときにチェリーの特典を付与することとしてもよい。つまり「チェリー−チェリー−ANY」、「チェリー−ANY−チェリー」、「ANY−チェリー−チェリー」となる図柄の組み合わせ態様となった場合である。
上記のいずれの場合であっても、左リール10a、中リール10b及び右リール10cのリールのうち、少なくとも1つ(多くとも2つ)のリールのチェリー図柄を揃えるだけで特典が得られることが望ましい。これは遊技者に全てのリールについて目押しを毎回強いるといった負荷を軽減させることにもなるからである。
また、後述する一般小役と単小役(チェリー)はまとめて「小役」と呼ぶこともあり、以下では、単に「小役」と呼称した場合には、単小役と一般小役をともに含めるものとする。
(2−1−4.一般小役図柄〔ベル図柄、スイカ図柄〕:一般小役)
当選役が一般小役となる場合に対応する当選図柄が、一般小役図柄(ベル図柄またはスイカ図柄)である。ベルに対応する図柄の組み合わせ態様「ベル−ベル−ベル」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると10枚のメダルの払い出しが行われる。また、スイカに対応する図柄の組み合わせ態様「スイカ−スイカ−スイカ」が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。
つまり、ベル図柄及びスイカ図柄という一般小役図柄が揃うと、それぞれに対応した枚数のメダル(それぞれ10枚、15枚)が払い出されるという特典が得られることになる。つまり、一般小役はゲームを進めるうえでメダルの増加が期待できる当選役であるといえる。しかし、一般小役に過度に当選してしまうと、遊技者の獲得するメダルが過剰に増加してしまい、ホールとの利益バランスが崩れるという事態を招いてしまう。それを回避するために、スロットマシン1では、一般小役の当選確率をリプレイに比べて低い当選確率とする。また、一般小役図柄の配置数を各リール10a,10b,10cごと少なくして(各リールとも概ね3個から5個程度の配置とする)、遊技者が各リールについて正確に目押しを行わないと取りこぼしが生じる可能性を持たせている。
本実施形態のスロットマシン1では、一般小役としてベルとスイカという複数の一般小役を設けている。複数の一般小役を設けることで、ベルとスイカの内部抽選での当選確率に差を設けたり、または、目押しを必要とするか、必要としないかについての差を設けたりすることができる。例えば、ベルは当選確率を高くしてスイカは当選確率を低くする、また、スイカはスイカ図柄の目押しを必要とし、ベルはベル図柄の目押しを必要としないといったことにより、ベルとスイカに差(格差)を設けることができる。このようにベルとスイカとに様々な格差を設けると、ベルとスイカそれぞれに価値の差(付与されるメダル枚数の差だけでなく、当選確率の差や目押しの必要とされる度合いの差等)をつけることができる。
なお、一般小役は上記のベル、スイカに加えて更に複数の種類を設けることもできる。例えば、プラム、オレンジ、レモン、イチゴ、ブドウといった遊技者に親近感を持たせる果物を模した図柄を新たに加えることもできるし、果物に限らず識別の可能な図柄であれば何でもよい。ただし、一般小役の種類を増やすと、その分だけ各リール上での同種類の一般小役図柄の配置数が減ることになり、全ての一般小役(またはその他の当選役も含む)に目押しを要することとなる虞がある。このようになると、遊技者は毎ゲーム、全てのリールを正確に目押ししないと取りこぼしが頻繁に生じることになってしまう。従ってベル、スイカを含めても一般小役は3種類から4種類程度に留めることが望ましい。
(2−1−5.ボーナスゲーム専用役図柄:ボーナスゲーム専用役)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム及びCBゲーム中のみ有効となる当選役としてボーナスゲーム専用役を設ける。ボーナスゲーム専用役に対応する図柄の組み合わせ態様(「スイカ−リプレイ−リプレイ」、「ベル−ベル−リプレイ」、「スイカ−ベル−リプレイ」の3種類がある)が表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると15枚のメダルの払い出しが行われる。このボーナスゲーム専用役はNBゲーム及びCBゲーム内でのみ抽選される当選役であるので、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでは、ボーナスゲーム専用役に当選することはない。即ち、NBゲーム及びCBゲーム以外のゲームでボーナスゲーム専用役図柄が揃ったとしてもメダルの払い出しも何も行われない。
(2−1−6.特殊当選図柄〔特殊ボーナス図柄〕:特殊当選役)
当選役が特殊当選役〔特殊ボーナス(以下では特Bと呼称する)〕となる場合に対応する当選図柄については、それ専用の図柄(例えば、7図柄やベル図柄やリプレイ図柄)といった象徴的な図柄を持たない。複数の異なる図柄の組み合わせのうち、特定の組み合わせを特Bに対応した図柄の組み合わせ態様とする。複数の当選図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)のいずれかが表示窓8内で、ある一つの有効ライン上に停止すると、特殊ボーナスゲーム(特Bゲーム)が開始される。なお以下では、便宜的に特B図柄の組み合わせ、特B図柄の組み合わせが揃う等という。また本実施形態のスロットマシン1では、特B図柄については他の当選図柄と異なり、当選図柄の構成表(配当表)等により遊技者に明示することはしない。
つまり、特B図柄の組み合わせが揃うと「特Bゲーム」という特典が得られることになる。この「特Bゲーム」は、「NBゲーム」及び「CBゲーム」とは異なり大量のメダルを獲得する特典は有しておらず、見た目には通常のゲームと全く変わりのないゲーム内容とする。即ち、リールの回転動作(あるいは停止動作)が変化したり、ランプの発光動作が変化したり、あるいは効果音が変化したり、始動レバーや停止ボタンが振動したりといった遊技者が察知(視覚的、聴覚的、触覚的)することが可能な範囲の動作制御に全く変化を生じさせずにスロットマシン1の内部のみの制御を変更させる。この内部のみの制御を変更させることが特Bゲームの特典である。具体的に特Bゲームの特典とは、特Bゲームの終了後から通常のゲームに比べて遊技者に有利な内部抽選を開始させることである。即ち、特Bゲームは、遊技者に有利な内部抽選を開始させる契機としての役割を持っているのである。
また特Bゲームは数回(例えば2〜5回程度)のゲーム数で終了するものとする。これは遊技者に通常のゲームと特Bゲームとで違和感を抱かせないためである。つまり、2〜5回程度の短いゲーム数で、更に通常のゲームと全く変わらずゲームを行わせると、遊技者に気付かせることなく特Bゲームを開始させることができ、また遊技者に不利益を与えることもなく特Bゲームを終了させることができる。従って特Bゲームの特典を遊技者にスムーズに付与することができる。この特Bゲームの特典についてはフラグ処理において詳しく説明する。
特B図柄の組み合わせが揃った場合も、NB図柄及びCB図柄が揃ったときと同様にそのゲームでメダルの払い出しは行わない。これは特Bに当選したことや、更には特Bゲームが開始されることを遊技者に気付かせないためである。また特B図柄の組み合わせについても配当表等にも記載が無いため、「リプレイ−リプレイ−ベル」または「ベル−リプレイ−リプレイ」の特B図柄の組み合わせが、ある一つの有効ライン上に揃ったとしても遊技者には単なるハズレのときの出目としか認識できないものとすることができる。従って、遊技者に全く気付かせずに特B図柄の組み合わせを揃えさせて、かつ、特Bゲームを速やかに開始させることができる。
以上が本実施形態のスロットマシン1における当選役である。勿論上記のいずれの当選図柄の組み合わせも揃わなかった場合は、「ハズレ」または「取りこぼし」となり、「ハズレ」の場合はいずれの当選役の特典も得ることはできない。
(2−2.フラグ処理)
ここでは、フラグ処理について、図7から図9を用いて更に詳細に説明する。図7は、フラグ処理の具体的な内容を示している。
フラグ処理では、先ず内部抽選に適用するための判定乱数テーブルが選択されることとなる(ステップS201、判定乱数テーブル選択処理)。本実施形態のスロットマシン1では、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルという2つの判定乱数テーブルが用意されており、いずれかの判定乱数テーブルを適用して内部抽選を実行させることができる。このとき決められた判定乱数テーブルが適用されてステップS202以降の処理が行われることになる。
ここで判定乱数テーブルとは、内部抽選が行われる際に各当選役の当たり値を乱数の範囲として予め決めたもののことである。具体的には、抽出乱数(先のステップS106で抽出された乱数のことを指す、以下では、このとき抽出された乱数のことを抽出乱数として統一する)がいずれの当選役の当たり値に該当するかを判断するために用いられるものである。これによりスロットマシン1の各当選役の当選確率(抽選によって当選する確率)を算出することができる。
判定乱数テーブルは、その抽出範囲(以下では抽出範囲と呼称する)が一定に決められており、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルともにその抽出範囲は同じである。ただし、抽出範囲が同じであっても、それぞれ各当選役の当たり値の範囲を変えることで結果的に各当選役の当選確率をそれぞれ異ならせることができるのである。これは、例えば、0から100の間の数字(整数のみ)を乱数としてみた場合、0から100までが抽出範囲(つまり、この抽出範囲内でとりうる最小の数字は0であり、また最大の数字は100であり、合計101個の数字を抽出することができる)となる。更に、この抽出範囲の中で、0から10をNB、11から20をベル、21から30をリプレイ、31から100をハズレとして、それぞれの当たり値の範囲を決めれば、抽出された乱数をこの当たり値の範囲に照らし合わせることでいずれの当選役に当選したのかを判定することができる。一方、0から20をNBの当たり値の範囲とすれば、0から10をNBの当たり値の範囲とした前者に比べて、NBの当選確率が、11/101<21/101(後者)となるので、NBの当選確率については前者より後者が高いことになる。
上記のように各当選役の当たり値の範囲(この当たり値のことを当選許容値と呼ぶ)を変えることで、ある特定の当選役の当選確率を高くしたり(この場合、該当する当選役の当選許容値の範囲を大きく変更する)、あるいは当選確率を低くしたり(該当する当選役の当選許容値の範囲を小さく変更する)することができる。また内部抽選で必ず特定の当選役に当選させる(該当する当選役の当選許容値の範囲を抽出範囲と同じにする)、あるいは特定の当選役には全く当選させない(当選許容値の範囲を無い状態にする〔つまり、当選許容値の範囲を0にする〕)こともできる。
本実施形態のスロットマシン1では、乱数の抽出範囲を0〜16383(214=16384個の乱数)としているが、乱数の抽出範囲を0〜32767(215=32768個の乱数)や、または0〜65535(216=65536個の乱数)としてもよい。乱数の抽出範囲を広げれば、それだけ抽出される乱数値の抽出範囲(または分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
ステップS201でいずれかの判定テーブルが選ばれると、続いてステップS202では、NBフラグまたはCBフラグがONになっているかが判断される。これは後述する判定処理で詳細についての説明をするが、NBフラグ及びCBフラグは、その該当する図柄(NB図柄、CB図柄)が揃えられるまで当選フラグが持ち越されるからである。またこの当選フラグが持ち越されている場合、新たにNBまたはCBの抽選は行われない。スロットマシン1では、この当選フラグの持ち越しが行われている間に抽出乱数がNBまたはCBに該当した場合、ハズレとして処理を行うこととなる。具体的には、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている間に新たなNBまたは新たなCBに当選した場合、その成立フラグは破棄するものとする。言い換えれば、NBの当選フラグ、またはCBの当選フラグを持ち越し可能とする代わりに、NB図柄またはCB図柄を揃えるまでは新たなNBまたはCBの抽選は行わないということである。
なお、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合、フラグ持ち越し用の判定乱数テーブルを別途用いることとしてもよい。ただし、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブル以外に判定乱数テーブルの種類が増えるとメイン制御基板92の負荷が増大する虞があるので、スロットマシン1ではNBフラグまたはCBフラグが持ち越されている場合に限り、新たに成立したNBの当選フラグまたはCBの当選フラグを破棄するものとして、新たな判定乱数テーブルを設けずにメイン制御基板92にかかる負荷を極力抑えている。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれもONになっていない(即ち、NBフラグまたはCBフラグが持ち越されていない)と判断されると(ステップS202=No)、ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がNBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS203=Yes)、NBフラグがONにされ(ステップS204)、次いで次回判定乱数テーブル抽選が行われる(ステップS205)。この次回判定乱数テーブル抽選では、NBゲーム終了後から開始されるゲームに適用する判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれにするかを決定する抽選が行われる。ここで特別判定乱数テーブルが選ばれると(ステップS206=Yes)、特別判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS210)。
次回判定乱数テーブル抽選で特別判定乱数テーブルが選ばれなかった場合(ステップS206=No)、通常判定乱数テーブルフラグがONにされる(ステップS207)。それぞれステップS207、ステップS210で該当する判定乱数テーブルフラグがONにされると、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
ここで次回判定乱数テーブル抽選について説明する。次回判定乱数テーブル抽選では、通常判定乱数テーブルと特別判定乱数テーブルがそれぞれ1/2の割合で選ばれるものとする。つまり、
〔通常判定乱数テーブル:特別判定乱数テーブル=1:1〕
という比率でいずれかの判定乱数テーブルが選ばれることとなり、遊技者に1/2の割合で特別判定乱数テーブルが選ばれるという期待を持たせることができる。
ステップS203で抽出乱数がNBの当選許容値に該当しないと判断されると(ステップS203=No)、ステップS208で抽出乱数が特Bの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数が特Bの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS208=Yes)、特BフラグがONにされ(ステップS209)、次いで特別判定乱数テーブルフラグがONにされて(ステップS210)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。つまり、特Bに当選すると、特別判定乱数テーブルフラグが必ずONとなる。そして特Bゲーム終了後から開始されるゲームに特別判定乱数テーブルが適用されることになる。
本実施形態のスロットマシン1はその特徴として、次回判定乱数テーブルフラグを持ち越すことが可能である。即ち、いずれの判定乱数テーブルフラグがONとなっている場合には、NBフラグまたは特Bフラグが成立しても、そのときのゲームから判定乱数テーブルを変更させるのではなく、それぞれの成立フラグに対応したゲームであるNBゲームまたは特Bゲームが終了してから判定乱数テーブルの変更を行うことができるのである。言い換えると、判定乱数テーブルフラグが成立するときは判定乱数テーブルの変更が行われるときであるといえる。
ステップS208で抽出乱数が特Bの当選許容値に該当しないと判断されると(No)、ステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当するかが判断される。ここで抽出乱数がCBの当選許容値に該当すると判断されると(ステップS211=Yes)、CBフラグがONにされて(ステップS212)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
ステップS202でNBフラグまたはCBフラグのいずれかがONとなっている(NBフラグまたはCBフラグが持ち越されている)と判断された場合(ステップS202=Yes)、及びステップS211で抽出乱数がCBの当選許容値に該当しないと判断された場合(ステップS211=No)は、ステップS213で抽出乱数が小役(ベル、スイカ、チェリーのいずれか)の当選許容値に該当するかが判断される。ここでいずれの小役の当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS213=No)、ステップS215で抽出乱数がリプレイの当選許容値に該当するかが判断される。更にここでリプレイの当選許容値にも該当しないと判断されると(ステップS215=No、いずれの当選役にも該当しなかった場合、つまりハズレに該当する)、いずれの当選フラグもONにされずステップS217のコマンド送信処理へ進む。なお、このときハズレフラグをONとすることとしてもよい。本実施形態のスロットマシン1では、上記のハズレの場合は、ステップS217のコマンド送信処理にてハズレ情報コマンドとしていずれの当選フラグもONにならなかったことを送信するものである。
ステップS213またはステップS215のいずれかでそれぞれの当選許容値(小役、リプレイ)に該当すると判断された場合(ステップS213=Yes、ステップS215=Yes)、それぞれ小役フラグがONにされ(ステップS214)、またはリプレイフラグがONにされて(ステップS216)、ステップS217のコマンド送信処理へ進む。
本実施形態のスロットマシン1では、CB、小役(ベル、スイカ、チェリー)及びリプレイに当選した場合、またはハズレとなった場合、判定乱数テーブル抽選は行われない。または判定乱数テーブルが変更される契機となることもない。つまり判定乱数テーブルが変更されてしまう可能性(判定乱数テーブルフラグがONにされる)がないので、遊技者がこれらの当選役(CB、小役、リプレイ)に当選しても、仮に有利な判定乱数テーブル(特別判定乱数テーブル)が適用されている状態から通常判定乱数テーブルに変更されてしまうことがない。それゆえ、遊技者はCB、小役及びリプレイの特典を得る際に有利な状態から不利な状態に変更されてしまうといった心配をすることがない。従って、通常判定乱数テーブルが適用されているゲームではCBに当選することはNBに当選することに比べてさほど遊技者に歓迎されないが、特別判定乱数テーブルが適用されているゲームではNBに当選するまでにできるだけCBに当選してメダルを増やしたいという遊技者の歓迎の度合いが逆転する現象が起こることになる。このことは小役、リプレイについてもメダルの大幅な増加は期待できないが、遊技者にとって有利な状態に影響を及ぼさないということについて同様のことがいえる。
ステップS217ではコマンド送信処理として、当選フラグ(成立フラグ)及び判定乱数テーブルフラグが情報コマンドとしてサブ制御基板94に送信される処理が実行される。またCB、小役、リプレイについては当選フラグのみが情報コマンドとして、ハズレについてはハズレ情報コマンドが、それぞれサブ制御基板94に送信されることとなる。つまり、CB、小役、リプレイ及びハズレの場合には判定乱数テーブルについての情報コマンドは送信されない。これはCB、小役、リプレイ及びハズレが内部抽選の当選結果となった場合には判定乱数テーブルの変更が行われないからである。上記のように余計な情報コマンドを減らすことでメイン制御基板92にかかる負荷を軽減させることができる。
なお、フラグ処理が行われる前あるいは始動処理が行われる前に、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれの判定乱数テーブルを適用するかを予め決定しておくこともできる。これは、抽出範囲が常に一定であるので、予め判定乱数テーブルを決定したうえで乱数を抽出した場合、その抽出乱数を判定乱数テーブルと照らし合わせることになることと、前述したフラグ処理において判定乱数テーブルを選択することとを比べても差異がほとんど生じないといえるからである。
図8は、先の判定乱数テーブル選択処理(図7のステップS201)について具体的に示したものである。ステップS301では、先ず現在の遊技状態にがどのような遊技状態であるかについての判断が行われる。即ち、現在NBゲーム中であるのか、またはCBゲーム中であるのか、または特Bゲーム中であるのかが判断されることになる。上記のいずれかのゲーム中であると判断された場合(ステップS301=Yes)、処理は終了となる。このとき、通常判定乱数テーブル、特別判定乱数テーブルのいずれも選ばれることはない。これは、遊技状態がNBゲーム中、CBゲーム中、または特Bゲーム中である場合、それぞれ特定の判定乱数テーブル(当たり値テーブル)によりゲームが行われるためである。つまり、NBゲーム中はNBゲーム用の判定乱数テーブルが、CBゲーム中はCBゲーム用の判定乱数テーブルが、特Bゲーム中は特Bゲーム用の判定乱数テーブルが、それぞれ適用されてゲームが行われることを意味している。これら特定の判定乱数テーブルの詳細については特別遊技状態及び特殊遊技状態にてフローチャート等を用いて説明する。
ステップS301で、現在の遊技状態がNBゲーム中またはCBゲーム中または特Bゲーム中のいずれにも該当しないと判断された場合(ステップS301=No)、特別判定乱数テーブルフラグがONであるかが判断される(ステップS302)。特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断されると(ステップS302=Yes)、抽出乱数の判定に特別判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は特別判定乱数テーブルによりいずれの当選役の当選許容値に該当するか判定(または判断、照合)されることになる(ステップS303)。また、特別判定乱数テーブルフラグがONではないと判断されると(ステップS302=No)、抽出乱数の判定に通常判定乱数テーブルが適用されることとなり、抽出乱数は通常判定乱数テーブルによりいずれの当選役の当選許容値に該当するか判定されることになる(ステップS304)。
上記のステップS302で特別判定乱数テーブルフラグがONであると判断される場合とは、特BフラグがONとなり、その特Bゲーム終了後の次ゲーム開始時であり、またはNBフラグがONとなり次回判定乱数テーブル抽選にて特別判定乱数テーブルフラグが選択され、そのNBゲーム終了後の次ゲーム開始時である。
図9は、通常判定乱数テーブル及び特別判定乱数テーブル、それぞれの判定乱数テーブルと当選確率を具体的に示している。なお、以下では必要に応じて、内部抽選に通常判定乱数テーブルが適用されて抽出乱数の判定が実行されているゲームのことを「通常確率ゲーム」、内部抽選に特別判定乱数テーブルが適用されて抽出乱数の判定が実行されているゲームのことを「高確率ゲーム」と呼ぶ。
特別判定乱数テーブル〔図9(b)〕では、通常判定乱数テーブル〔図9(a)〕に比べて、NB及び特Bの当選許容値の範囲が大きく変更されている。具体的には、通常判定乱数テーブルに比べて特別判定乱数テーブルではNB及び特Bの当選確率が10倍に高く変更されている。このとき、NB及び特Bの当選許容値の範囲についても10倍に広く変更されている。その他の当選役については、その当選確率の変更はなされていないが、NBの当選許容値の範囲が広く変更されたことにより、CBからリプレイまでの当選許容値が変更されていることが分かる。ただし、当選許容値の範囲(幅)自体は変更されていないので、CBからリプレイまでの当選役についての当選確率は変わらない。このときハズレの当選許容値の範囲は減少しているのでハズレとなる確率が低く変更されている。このようにスロットマシン1では、抽出範囲内で当選許容値の範囲を自在に変更することが可能である。それによって一つまたは複数の当選役の当選確率を、高く変更したり反対に低く変更したりすることができる。
(3.リール停止処理)
図10は、一例としてテーブル方式によるリール停止処理の内容を示している。リール制御については公知の技術を適用できるため、ここでは処理の流れを概略的に説明する。
リール停止処理では先ず、該当するゲームでの当落結果を表す成立フラグにしたがってリール制御テーブルが選択される(ステップS301)。なお、リール制御テーブルは予め全ての当落結果について複数のパターンのものが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン制御基板92のROM112に格納されている。
適切なパターンのリール制御テーブルが選択された状態で、停止ボタン20,22,24が押されるまで待ち受け状態となる(ステップS302,S310,S317)。これらの待ち受け状態で、左リール10a、中リール10b及び右リール10cの各リールが既に停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグが立っていない状態(=0)であるか否かが判断されるとともに、あわせて左、中、右のいずれかの停止ボタン20,22,24が押されたか否かが判断される。いずれの停止ボタン20,22,24も押されていなければ、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が繰り返される。
例えば、所謂、「順押し」または「順はさみ押し」の手順に沿って最初に左の停止ボタン20が押されたとすると(ステップS302=Yes)、左の停止ボタン20が押された時点では第1リール停止フラグが立っていない(ステップS303=Yes)ため、左リール10aについて第1リール停止処理(ステップS304)が実行される。なお、ここでいう「第1リール停止処理」とは、1番目にリールを停止させる処理という意味である。
あるいは、所謂、「中押し」の手順に沿って最初に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes,ステップS311=Yes)、中リール10bについて第1リール停止処理(ステップS312)が実行される。これ以外に、所謂、「逆押し」または「逆はさみ押し」の手順に沿って最初に右の停止ボタン24が押された場合は(ステップS317=Yes、ステップS318=Yes)、右リール10cについて第1リール停止処理(ステップS319)が実行される。
上記でいう「順押し」あるいは「順はさみ押し」とはともに左リール10aを第1番目に停止させる停止操作手順であり、
「順押し」は、『左→中→右』の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいい、
「順はさみ押し」は、『左→右→中』の順番でリールの停止操作を行う手順のことをいう。また、「逆押し」あるいは「逆はさみ押し」の停止操作手順は、それぞれ「順押し」あるいは「順はさみ押し」と反対の停止操作手順となる。即ち、「逆押し」は、『右→中→左』の順番でリールの停止操作を行う手順のことであり、「逆はさみ押し」は、『右→左→中』の順番でリールの停止操作を行う手順のことである。更に、「中押し」も上記と同様に、『中→左→右』または『中→右→左』という2つの停止操作手順が存在することになる。
左リール10a、中リール10b及び右リール10cのいずれかのリールについて第1リール停止処理(ステップS304,S312,S319)が行われると、該当する成立フラグに対応した複数パターンのリール制御テーブルのなかから、抽出乱数の値に基づいて1つのテーブルパターンが選択される。これは、例えば1つの当選役「ベル」について、リール10a,10b,10c上にある「ベル図柄」を有効ライン上に停止させるために予め複数パターンのリール制御テーブルが用意されているが、このリール制御テーブルの中から1つのパターンが選択されることを意味する。そして、1つのパターンが選択されると、該当するリール制御テーブルに基づいてリール10a,10b,10cの停止位置が制御される。これにより、「ベル図柄」が有効ライン上のどこかで停止されることとなる。なお、リール制御テーブルは複数用意することに限定されるものではない。
例えば、「順押し」手順に沿って左リール10aが第1番目に停止されるパターンを例にとると、ステップS304で左リール10aについて第1リール停止処理が行われる。また、このときメイン制御基板92は、左リール10aの停止目(停止時の出目)を表す停止情報コマンド(第1停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。
次のステップS306では残りの中リール10b、右リール10cについてそれぞれリール制御テーブルが乱数抽選によって決定される。具体的には、図1において左リール10aの停止時に「ベル図柄」が下段位置に停止したとすると、停止した時点で「ベル図柄」の組み合わせが揃うための有効ラインとして下段ラインまたは右上がりラインの2通り(MAXベットの場合)が選択可能となるが、ここでは乱数抽選によっていずれか一方(例えば右上がりライン)が選択される。なお、乱数抽選の振り分け率は半々程度でよい。
なお、成立フラグに対応した当選図柄を停止させる有効ラインを予め決定する形態としてもよい。こうすると左リール10a(または第1リール)を停止させた時点では既にどの有効ラインに該当図柄を停止させるのか決定しているため、前記ステップS306に示した乱数抽選を行う必要が無くなり、メイン制御基板92の行う処理を複雑化(煩雑化)させることがない。ただし、予め決定された有効ラインに該当図柄を停止させることにより、左リール10aについては、チェリーに当選していないにも関わらず、チェリー図柄が他の有効ライン上に該当図柄と重複して停止してしまう場合が考えられる。このような場合、予め決定された該当図柄を停止させる有効ラインを変更するために乱数抽選等により、再度該当図柄を停止させる有効ラインを決めなおす必要がある。即ち、該当図柄とチェリー図柄(その他の当選図柄でもよい)とが重複して有効ライン上に揃ってしまうこと(つまり全てのリール停止時に複数の有効ライン上に複数の当選図柄がそれぞれ揃った状態となること)を回避させる必要が生じるのである。
以上の処理(ステップS306)が行われると、続いて第1リール停止フラグがON(=1)にされるとともに(ステップS307)、左リール停止フラグがON(=1)にされる(ステップS308)。左リール停止フラグがON(=1)になった段階ではリール10a,10b,10cが全て停止していないので、ステップS309の判断が否定(No)されてステップS302以降が実行される。
すると、このとき既に左リール10aが停止しているので(ステップS302=No)、「順押し」手順に沿って2番目に中央の停止ボタン22が押されると(ステップS310=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS311=No)を経て中リール停止処理(ステップS313)が実行される。中リール停止処理では、先に中リール10bについて選択されているリール制御テーブルに基づいて停止位置が制御される。これにより、上記の右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が揃う例でいうと、中リール10b上の「ベル図柄」が表示窓8内の中段位置に停止することとなる。このときの停止目は、左リール10a、中リール10bに「ベル図柄」が右上がりとなる有効ライン上に2つ揃った状態(この状態をテンパイ状態という、この場合は右上がりテンパイ状態)となる。また、このときメイン制御基板92は、中リール10bの停止目を表す停止情報コマンド(第2停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。そしてこの場合、中リール10bは第2停止であるためステップS312,S314,S315は全て迂回され、ステップS316にて中リール停止フラグがON(=1)にされるだけとなる。
同様にして、最後に右の停止ボタン24が押されると(ステップS317=Yes)、第1リール停止フラグの判定(ステップS318=No)を経て、先に右リール10cについて選択されているリール制御テーブルに基づいて停止位置が制御される(ステップS320)。これにより、右リール10c上の「ベル図柄」が表示窓8内の上段位置に停止することとなるので、全リール停止時の出目は、右上がりとなる有効ライン上で「ベル図柄」が3つ揃った状態となる。このときメイン制御基板92は、右リール10cの停止目を表す停止情報コマンド(第3停止情報コマンド)をサブ制御基板94に送信する。またこの場合、右リール10cは第3停止であるためステップS319,S321,S322は全て迂回され、ステップS323にて右リール停止フラグがON(=1)にされる。
ここまでの処理を経て全リール停止フラグがONになると、ステップS309の判断が肯定(Yes)されるため、メイン制御基板92による処理は本ルーチンを抜ける。
なお、上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選図柄が停止操作の受け付けられた時点から表示窓8内に引き込んで停止させることが可能な範囲(位置)にある場合、必ず引き込んで該当する当選図柄を表示窓8内に停止させようとする制御が行われる(所謂、引き込み制御といわれるリール停止制御)。引き込み可能な範囲とは、リールの停止操作が受け付けられてからリールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数(例えば、4図柄)のことをいう。つまり、リール停止操作が受け付けられた時点で、リールが即座(引き込み制御が行われずに)に停止すると仮定した場合には、表示窓8内に停止することのない当選図柄であっても、引き込み制御を行うことによって、リールが停止するまでにその当選図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その当選図柄を表示窓8内に移動させて停止させることが可能となる。これは所謂、スベリと呼ばれる停止制御である。
本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ(再ゲーム役)及びベル(一般小役のうちの1つ)をこの引き込み制御により「取りこぼし」が生じる可能性がない当選役とする。ここで、「順押し」あるいは「順はさみ押し」によるリール停止操作が行われた場合のみ、「取りこぼし」が生じないものとする。従って、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外のリール停止操作(「中押し」、「逆押し」または「逆はさみ押し」)が行われた場合は、この限りではない。
これは、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作が受け付けられた場合には、左リール10aの停止制御が行われる際に「チェリー図柄」を回避するための停止制御も行われることとなるからである。具体的には、成立フラグがチェリー以外であった場合、その該当する当選図柄(「チェリー図柄」以外の当選図柄)を揃えようと表示窓8内の有効ライン上に引き込み制御が行われることとなる。このとき、「チェリー図柄」を別の有効ライン上に引き込んでしまうことを回避するリール停止制御も同時に行われる(以下ではチェリー停止回避制御と呼ぶ)。すると、前述の該当する当選図柄の引き込み制御に優先してチェリー停止回避制御が行われることとなるので、結果として前述の該当する図柄が揃えられなくなることがある。従って、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の停止操作ではリプレイ及びベルの「取りこぼし」を生じてしまう場合があるといえる。
「順押し」あるいは「順はさみ押し」の停止操作が受け付けられた場合は、左リール10aが第1リールとして停止処理が行われるので、「チェリー図柄」を表示窓8内に停止させることを回避するだけでよい。これはチェリー停止回避制御を行った場合でも、成立フラグに該当する当選図柄を表示窓8内に停止させることのできる図柄の配列(図柄の配置の順番)を左リール10aに設ければ解決することができる。
上記のことから、本実施形態のスロットマシン1は「順押し専用」、「順押しまたは順はさみ押しにて御遊技下さい」等の案内の表示(または説明、但し書き)を遊技機本体で遊技者が視認できる箇所(ベットボタンの近傍やメダル投入口の付近等)にして、「順押し」あるいは「順はさみ押し」で遊技者にゲームを行わせることが望ましい。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、本実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
(4.判定処理)
図11は、判定処理の内容を具体的に示している。上記のリール停止処理によって全てのリール10a,10b,10cが停止した状態となると、そのとき表示されている出目を確認する処理が行われ、表示窓8内の有効ライン上でいずれかの当選役に該当する当選図柄の組み合わせが揃っているかが確認されることとなる(ステップS401)。
このとき、いずれかの有効ライン上に揃っている当選図柄の組み合わせがNB図柄の組み合わせであるか(ステップS402)、CB図柄の組み合わせであるか(ステップS405)、小役図柄の組み合わせ(ベル図柄、スイカ図柄あるいはチェリー図柄のいずれか)であるか(ステップS408)、リプレイ図柄の組み合わせであるか(ステップS412)、特B図柄の組み合わせであるか(ステップS415)、またはいずれにも該当しないハズレとなる図柄の組み合わせであるかがそれぞれ判断される。そして、いずれかの有効ライン上に揃った当選図柄の組み合わせが全てNB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS402=Yes)、NB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS403)。また、該当有効ライン上に揃った当選図柄の組み合わせが全てCB図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS405=Yes)、CB図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS406)。
上記でいずれかの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが小役図柄(全てベル図柄、あるいは全てスイカ図柄、またはチェリー図柄のいずれか)に該当すると判断されると(ステップS408=Yes)、各小役に対応した枚数のメダル払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS409)。そして、ステップS410で払出処理として規定枚数のメダルが払い出されることになる。上記の小役のうち、ベルは全てベル図柄が該当有効ライン上に揃うことでベル図柄の組み合わせが揃ったと判断される。また同様にスイカも全てスイカ図柄が該当有効ライン上に揃うことでスイカ図柄の組み合わせが揃ったと判断されることはNB、CBと同様である。しかし、チェリーについては、左リール10aのみ表示窓8内のいずれかの有効ライン上にチェリー図柄が停止するだけチェリー図柄の組み合わせが揃ったと判断される。なお、小役図柄が揃った場合の効果音コマンドを揃った小役図柄ごとに異なる効果音コマンドとすることもできる。特に小役の中でも当選確率の低いレアな小役の効果音を他の小役と異ならせると周囲の遊技者に対してレアな小役を揃えたということをアピールすることができ、遊技者の満足感を満たすことにもなる。
上記でいずれかの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、全てリプレイ図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS412=Yes)、リプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS413)。続いてリプレイゲーム処理(ステップS414)が実行される。ここでリプレイゲーム処理とは、改めてメダルの投入もしくはベット操作をすることなく、次回のゲームを再遊技として実行できる処理のことをいう。再遊技として次回のゲームが行われる場合、有効ラインの数は、リプレイ図柄の組み合わせが揃ったゲームでの有効ラインの数と同じライン数となる。例えば、3ベットしてゲームを開始してリプレイ図柄の組み合わせが揃った場合、次ゲーム時に再遊技を開始するときも3ベットしたときのライン数が有効となる。
上記でいずれかの有効ライン上に揃った図柄の組み合わせが、特B図柄の組み合わせであると判断されると(ステップS416=Yes)、NB図柄やCB図柄が揃ったときとは異なり、特B図柄が揃ったことを祝福する効果音コマンドはメイン制御基板92からサブ制御基板94へ送信されることはない。
NB図柄が揃った場合またはCB図柄が揃った場合は、そのときにいずれかの有効ライン上に揃った当選図柄に応じた効果音がスピーカ56より発せられるとともに、NBゲーム遊技処理(ステップS404)、またはCBゲーム遊技処理(ステップS407)が実行されて判定処理は終了となる。なお、ここでスピーカ56より発せられる効果音は、先のステップS403またはステップS406でメイン制御基板92よりサブ制御基板94へ送信された効果音コマンドに基づいて行われるものである。
小役図柄が揃った場合、またはリプレイ図柄が揃った場合は、そのときにいずれかの有効ライン上(チェリー図柄の場合は左リール10aの有効ライン上のいずれか)に揃った図柄の組み合わせに応じてメダルの払い出し音とともにメダルの払い出し、またはリプレイ図柄が揃ったことを知らせる効果音とともにリプレイゲーム処理が実行される。そして、小役またはリプレイの当選フラグがOFFにされ(ステップS411、S415)、この処理は終了となる。
特B図柄が揃った場合は、特に効果音等は発せられることなく、特Bゲーム遊技処理(ステップS417)が実行されて判定処理は終了となる。
ハズレフラグがONのときや、成立フラグに対応する当選図柄がいずれかの有効ライン上に揃っていない(つまり「取りこぼし」が生じた)場合は(ステップS416=No)、NBの当選フラグ、CBの当選フラグまたは特Bの当選フラグを除いたその他の成立フラグ(当選フラグ)がOFFにされて(ステップS418)、判定処理は終了となる。
ここでNBの当選フラグ、CBの当選フラグまたは特Bの当選フラグを除いた成立フラグがOFFにされるとは、NB、CBまたは特Bについての当選フラグは維持されるということである。これは、NB、CBまたは特Bが小役やリプレイに比べて遊技者にとってより有利な利益を与える特典に対応しているからである。つまり、NB、CBまたは特Bに当選した場合、遊技者には小役やリプレイとは比較にならない程、大量のメダルを獲得できる機会、または大量のメダルを獲得しやすくなる状態へと移行する機会が与えられるからである。この遊技者に有利となる機会(大量のメダルの獲得機会等)を遊技者が損なうことなく得られるために本実施形態のスロットマシン1では、NB、CBまたは特Bの当選フラグの維持を行う。このように当選フラグの維持が行われることは、遊技者に安心してスロットマシン1でのゲームを楽しめる環境を提供することになる。特にNB図柄またはCB図柄は、NBまたはCBに当選していても目押しを正確に行わないと揃えることができない図柄であるから、それらの当選フラグが維持されることで遊技者は取りこぼしを気にせずにNB図柄、CB図柄を揃えるまで何度も目押しに挑戦することができる。これによって遊技者が目押しの熟練度を向上させることもできる。
また本実施形態のスロットマシン1では、特B図柄については、「ベル図柄」と「リプレイ図柄」の組み合わせとしているので、取りこぼしが生じないものとすることができる。ただし、「順押し」あるいは「順はさみ押し」以外の手順(変則押し)によりリールの停止操作が受け付けられることもあるので、この場合にチェリー停止回避制御が行われることを考慮して特Bについてもその当選フラグが維持されるものとする。なおNB、CBまたは特Bの特典の詳細については後述する。
一方、小役またはリプレイについてはその当選したゲーム(内部抽選で小役フラグ、あるいはリプレイフラグがONになった)で該当する小役図柄あるいはリプレイ図柄を揃えることができなければ、その成立フラグは消滅してしまう。それゆえ、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイ及びベルは取りこぼしが生じることの無い図柄の配列を各リールに設けるものとする。これにより、目押しが全くできない初心者(ゲームの熟練度が低い遊技者)がほとんど全ての成立フラグを取りこぼしてしまうといった事態を回避させることができる。更に一部の小役(ベル)のみを目押し不要とするだけに留めるので、その他の小役については正確な目押しが必要とされ、上級者(ゲームの熟練度が高い遊技者)にも納得できる技術介入の余地が大いにあるスロットマシン1を提供することができる。
(5.特別遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NB図柄(「7−7−7」)またはCB図柄(「C−C−C」)の図柄の組み合わせがある一つの有効ライン上に表示された(図柄が揃った)場合、次回のゲームからそれぞれ「NBゲーム」、「CBゲーム」と称する特別遊技状態に移行する。これらNBゲームやCBゲームには複数回のゲーム機会が含まれており、この間に集中してメダル等の払い出しの可能性があるため、遊技者にとっては通常のゲーム(通常確率ゲーム)よりも有利な状態であるといえる。このNBゲーム、CBゲームは遊技価値付与機会増加手段の一例に相当する。
(5−1.NBゲーム遊技処理)
図12は、NBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理としてNBフラグがOFFにされ、NBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS501)。ここで変更された当たり値テーブルはボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有している。このボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1.01としているので、NBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナス専用役に当選することが可能な状態であるといえる。ここでNBゲーム用の当選許容値には、NB、CB及び特Bの当選許容値は含めず、更に小役、リプレイの当選許容値も含めないものとする。従って、NBゲーム中にCBまたは特Bまたは小役、リプレイに当選することは無く、更にはNBに重複して当選することもないこととなる。つまり、NBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかであるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、NBゲームを通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームを行うことができる。なお、上記の初期化処理にて現在の遊技状態を表すコマンドをサブ制御基板94に送信させる態様をとることもできる。
ステップS501に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS502)及び停止処理(ステップS503)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS503)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS504)、そして、内部のNBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS505)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS506)。ここでボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS506=No)はステップS510に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれかであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様として3つの組み合わせ態様を用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様のいずれかを必ず揃えることができる。
これに対し、ステップS506の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS507)。ステップS508では、払出処理としてボーナスゲーム専用役図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが指示されると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS509)。
ステップS509に続いてステップS510では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にNBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS511)、終了条件が満たされていない間(ステップS511=No)はステップS502に戻って次の始動処理が行われる。
NBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS505で、NBゲーム数カウンタのカウント数が36回に達したこと。
(2)ステップS509で、累計払出枚数が500枚に達したこと。
上記のいずれかの条件が満たされると、ステップS511の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル移行処理が実行される(ステップS512)。この判定乱数テーブル移行処理では、先ず終了処理としてNBゲーム用の当たり値テーブルが元に戻される。この後、判定乱数テーブルフラグが持ち越されているかの確認が行われる。ここで、判定乱数テーブルフラグが持ち越されていると確認された場合、次ゲーム(つまりNBゲーム終了後から開始されるゲーム)から内部抽選に適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。判定乱数テーブルフラグが持ち越されている場合とは、前述したフラグ処理にてNBフラグがONとなったときのことである。従って、NBゲームを挟んだ前後では必ず判定乱数テーブルの変更あるいは維持が行われることとなる。
また、判定乱数テーブル移行処理の最後には、後述する「付加特典付与抽選」が行われる。ただし、この「付加特典付与抽選」が行われるのは、判定乱数テーブルが特別判定乱数テーブルフラグに変更される場合、あるいはNBゲームを挟んだ前後で特別判定乱数テーブルが維持される場合である。なお、「付加特典付与抽選」についての詳細は後述する。
なお、NBゲーム用の当たり値テーブルに小役を含む態様としてもよい。この場合、小役はベル、スイカ、チェリーの全てあるいは一部とすることができる。即ち、NBゲーム中は、ボーナスゲーム専用役及び小役によってメダルを獲得することができることとなる。また、NBゲーム中は、通常のゲームと異ならせてメダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを確認できるので現在の遊技状態がNBゲーム中であることを意識することになる。
(5−2.CBゲーム遊技処理)
図13は、CBゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理としてCBフラグがOFFにされるとともに、CBゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブルが変更される(ステップS601)。ここで変更された当たり値テーブルはNBゲーム用の乱数抽選の当たり値テーブルと同様、ボーナスゲーム専用役の当たり値を多く保有している。このボーナスゲーム専用役の当選確率は1/1.01としているので、CBゲーム中は、ほとんど毎ゲーム、ボーナス専用役に当選することが可能な状態であるといえる。ここでCBゲーム用の当選許容値には、NB、CB及び特Bの当選許容値は含めず、更に小役、リプレイの当選許容値も含めないものとする。従って、CBゲーム中にNBまたは特Bまたは小役、リプレイに当選することは無く、更にはCBに重複して当選することもないこととなる。つまり、CBゲーム中はボーナスゲーム専用役に当選するか、あるいは稀にハズレとなるかのいずれかであるといえる。また本実施形態のスロットマシン1では、CBゲームを通常のゲームと同様にメダルを3枚掛けでゲームを行うものとしているので、遊技者は通常のゲームと比べて違和感なくゲームを行うことができる。なお、上記の初期化処理にて現在の遊技状態を表すコマンドをサブ制御基板94に送信させる態様をとることもできる。
ステップS601に次いでリール装置10の始動処理(ステップS602)及び停止処理(ステップS603)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS603)によって全てのリール10a,10b,10cが停止すると、そのときの出目がサブ制御基板94に送信され(ステップS604)、そして、内部のCBゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS605)。
次に、全リール10a,10b,10c停止時の出目が判断され、ボーナスゲーム専用役図柄が揃ったか否かが判断される(ステップS606)。ここで、ボーナスゲーム専用役図柄が揃わなかった場合(ステップS606=No)はステップS610に進んで成立フラグがOFFにされる。この場合は、抽選でハズレフラグがONになっていたか、あるいは当選フラグがONになっていても遊技者が該当する図柄の組み合わせを取りこぼしたかのいずれであると考えられる。ただし本実施形態のスロットマシン1では、ボーナスゲーム専用役図柄を3つの組み合わせ態様として用意して取りこぼしが生じないものとする。つまりボーナスゲーム専用役に当選すれば、ボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせ態様のいずれかを必ず揃えることができる。
これに対し、ステップS606の判断において、ボーナスゲーム専用役図柄が揃った場合(Yes)、規定枚数のメダルの払出動作がホッパ装置134に指示されるとともに、払い出し音コマンドがサブ制御基板94に送信される(ステップS607)。ステップS608では、払出処理としてボーナスゲーム専用役図柄に対応したメダルの払い出し音とともに規定枚数のメダルの払い出しが行われる。またメダルの払い出しが指示されると、その枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS609)。
ステップS609に続いてステップS610では、成立フラグがOFFにされる。そして、毎回のゲーム終了後にCBゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS611)、終了条件が満たされていない間(ステップS611=No)はステップS602に戻って次の始動処理が行われる。
CBゲームは、以下のいずれかの条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS605で、CBゲーム数カウンタのカウント数が18回に達したこと。
(2)ステップS609で、累計払出枚数が250枚に達したこと。
上記のいずれかの条件が満たされると、ステップS611の終了判定が肯定(Yes)され、次にCBゲームの終了処理として当たり値テーブルが元に戻される(ステップS612)。
なお、CBゲーム用の当たり値テーブルに小役を含む態様としてもよい。この場合、小役はベル、スイカ、チェリーの全てあるいは一部とすることができる。即ち、CBゲーム中は、ボーナスゲーム専用役及び小役によってメダルを獲得することができることとなる。また、CBゲーム中は、通常のゲームと異ならせてメダルを1枚掛け、あるいは2枚掛けでゲームを行うものとしてもよい。これにより遊技者は通常のゲームと異なるメダルの掛け数でゲームが行われることを確認できるので現在の遊技状態が通常のゲームとは異なることを意識することができる。また、CBゲーム中のボーナスゲーム専用役図柄をNBゲーム中のボーナスゲーム専用役図柄とは異なるものとしてもよい。こうすれば、現在の遊技状態がNBゲーム中であるのかCBゲーム中であるのかを遊技者(特に初心者)が混同してしまうといった事態を避けることも可能となる。
(6.特殊遊技状態)
本実施形態のスロットマシン1では、NBゲーム、CBゲームという特別遊技状態以外に、特B図柄の組み合わせ態様(「リプレイ−リプレイ−ベル」、「ベル−リプレイ−リプレイ」)がある一つの有効ライン上に表示された場合、「特Bゲーム」と呼ばれる特殊遊技状態に移行する。特Bゲームは、NBゲーム、CBゲームとは異なり大量のメダルが払い出される機会は含まれていないが、特Bゲームの終了後から開始されるゲームを遊技者にとって有利に実行させる移行契機となる役割を持っている。以下では特Bゲームの内容について詳細な説明をする。
(6−1.特Bゲーム遊技処理)
図14は、特Bゲーム遊技処理の内容を具体的に示している。ここでは先ず、初期化処理として特BフラグがOFFにされるとともに、特Bゲーム用に乱数抽選の当たり値テーブル(当選許容値)が変更される(ステップS701)。ここで変更された当たり値テーブルは小役とリプレイ及びハズレのみからなっている。特Bゲームではボーナスゲーム専用役を当たり値テーブルに含めないものとする。そして小役及びリプレイの当選確率については通常判定乱数テーブルのそれぞれの当選確率と同じとする〔図9(a)参照〕。また特Bゲーム用の当選許容値にはNB、CB、更には特Bの当選許容値も含めないものとし、特Bゲーム中に新たにNB、CB、更には特Bに重複して当選することは無いものとなっている。なお、上記の初期化処理にて現在の遊技状態を表すコマンドをサブ制御基板94に送信させる態様をとることもできる。
また、特Bゲームはその開始から終了までを遊技者に知らせる態様とはせず、スロットマシン1を内部的に変更させる(即ち、当選役と当選許容値の変更)のみとする。上記でいう「遊技者に知らせる態様」とは、スロットマシン1の外部に向けた動作制御に変化を与えることをいう。例えば、リールの回転及び停止操作を通常のゲームと異ならせたり、ランプの発光態様を通常のゲームと異ならせたり、あるいは通常のゲームにはない効果音を発生させたり、始動レバーや停止ボタンが振動したりといったスロットマシン1の外部に向けた動作制御のことをいう。つまり、遊技者に視覚的にも聴覚的にも触覚的にも特Bゲームが開始から終了までを察知することができないものとすることができる。
加えて、特Bゲーム中は、小役、リプレイの当選確率は通常確率ゲームと変わらないものとするので、遊技者には通常のゲームと全く変わらない印象を与えることができる。従って、特Bゲームは、特B図柄の組み合わせが揃ってから特Bゲームが開始され、そして終了するまで遊技者にそのことを気付かせることがない。これにより遊技者に有利なゲームを行わせるための契機としての特Bゲームを速やかに開始させることができ、また速やかに終了させることが可能となる。言い換えれば、遊技者が全く気付かないうちに特Bゲームを開始させ、そして終了させることにより、何事もなく通常のゲームが数ゲーム進行した程度という意識しか遊技者に持たせないことができるのである。なお遊技者に特Bゲームを気付かせないという理由から特Bゲームについては勿論、通常のゲームと同じくメダルを3枚掛けでゲームを行うものとする。
ステップS701に次いで、リール装置10の始動処理(ステップS702)及び停止処理(ステップS703)が実行される。これら始動処理及び停止処理の内容は既に説明したものと同じである。
停止処理(ステップS703)によって全リール10a,10b,10cが停止すると、内部の特Bゲーム数カウンタが1つだけカウントアップされる(ステップS704)。次に、ステップS705では全リール10a,10b,10c停止時の出目の判定処理が実行される。この判定処理の内容は既に説明したものと同じである。
ステップS705で判定処理が終了すると、小役に当選してメダルの払い出しが行われた場合のみ、その払い出されたメダルの枚数分だけ累計払出カウンタがカウントアップされる(ステップS706)。リプレイに当選またはハズレとなってメダルの払い出しが行われなかった場合には累計払出カウンタはカウントアップされない。そして次回以降のゲームで小役に当選してメダルの払い出しが行われた場合には累計払出カウンタがカウントアップされることとなる。
そして、毎回のゲーム終了後に特Bゲームそのものを終了すべきか否かの終了判定が行われ(ステップS707)、終了条件が満たされていない間(ステップS707=No)はステップS702に戻って次の始動処理が行われる。
特Bゲームは、以下のいずれかの終了条件が満たされた場合に終了となる。
(1)ステップS704で、特Bゲーム数カウンタのカウント数が5回に達したこと。
(2)ステップS706で、累計払出枚数が3枚に達したこと。
上記のいずれかの条件が満たされると、ステップS707の終了判定が肯定(Yes)され、次に判定乱数テーブル変更処理が実行される(ステップS708)。この判定乱数テーブル変更処理では、先ず終了処理として特Bゲーム用の当たり値テーブルが元に戻される。この後、判定乱数テーブルフラグが持ち越されているかの確認が行われる。ここで判定乱数テーブルフラグが持ち越されていると確認された場合、次ゲーム(つまり特Bゲーム終了後から開始されるゲーム)から内部抽選に適用する判定乱数テーブルの変更が行われる。判定乱数テーブルフラグが持ち越されている場合とは、前述したフラグ処理にて特BフラグがONとなったときのことである。
また、判定乱数テーブル変更処理の最後には、NBゲームと同様に後述する「付加特典付与抽選」が行われる。特Bゲーム終了後には必ず特別判定乱数テーブルフラグがONとなっているので「付加特典付与抽選」も必ず行なわれることになる。
なお、特Bゲーム中に、ボーナスゲーム専用役にも当選する可能性を持たせてもよい(当選許容値に含めてもよい)。ただしこの場合には、ボーナスゲーム専用役の当選確率を、例えば1/1000程度若しくはそれ以下の相当に低い当選確率となるようにすることが望ましい。これは特Bゲーム中のボーナスゲーム専用役に当選する機会が増えると、特Bゲームを遊技者に察知させずに進行させることができなくなるからである。従って、特Bゲーム中のボーナスゲーム専用役の当選確率を低く抑えることで特Bゲームが開始されていることを遊技者に気付かれることを回避できる。更に、ボーナスゲーム専用役に当選して、該当図柄が揃った場合には、遊技者に衝撃的な喜びを与えることが可能となる。これは通常のゲームと思ってゲームを進めていた遊技者が、通常のゲームでは単なるハズレの出目(以下では、ハズレ目という)であるボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせによってメダルの払出しが行われるからである。即ち、遊技者は現在の遊技状態が通常のゲームではないことを確信できるからである。そして遊技者は、その確信を抱いてから数ゲームから数十ゲームでNBに当選という経験をすることとなる。これにより通常のゲームでボーナスゲーム専用役に当選するとスロットマシン1の内部状態が変化する(遊技者に有利な状態に移行する)かもしれないという期待を持たせ、通常のゲームで起こる遊技者の興趣の低下を抑制することができる。上記のことから、遊技者はボーナスゲーム専用役図柄の組み合わせが揃うたびにメダルの払い出しが行われないかドキドキしながらゲームを楽しむことができる。(そのために当選確率を1/1000程度若しくはそれ以下としたのである)。
(7.付加特典)
本実施形態のスロットマシン1の特徴として、次回のゲームから「高確率ゲーム」に移行することが決まった場合、つまり、判定乱数テーブルが特別判定乱数テーブルに変更される場合に、NB、特Bに加えて更に他の当選役の当選確率も高く変更させることができる。これを「付加特典」という。本実施形態のスロットマシン1では、この付加特典により、その当選確率を高く変更させる当選役をリプレイとする。即ち、「高確率ゲーム」ではNB、特Bに加えてリプレイの当選確率も高く変更されてゲームを行うことができることとなる。以下では「付加特典」が付与された状態で行われる高確率ゲームのことを「付加あり高確率ゲーム」と呼び、対して「付加特典」が付与されない状態で行われる高確率ゲームのことを「付加なし高確率ゲーム」と呼ぶ。なお「付加なし高確率ゲーム」は前述した「高確率ゲーム」と内容は同じである。
「高確率ゲーム」ではNBの当選確率が、1/256から1/25.6へと10倍に高く変更されることは既に説明したとおりである。また、このとき特Bの当選確率も、1/410から1/41.0へと10倍に高く変更される(図9参照)。「付加特典」が付与されてリプレイの当選確率が高く変更される場合、リプレイの当選確率を、1/7から1/2.3へと約3倍に高く変更させることができる。即ち、「付加あり高確率ゲーム」では、NB及び特Bに加えてリプレイの当選確率も高くなり、よってリプレイに当選する機会が増えることになる。そして、リプレイに当選する機会が増えれば、それだけ再遊技が増えることとなり、単位時間当たりに消費されるメダルの枚数を抑えることができる。つまり、「付加あり高確率ゲーム」は「付加なし高確率ゲーム」に比べてNBに当選するまでのゲームで消費するメダルの消費量を抑えてゲームができるという有利さがあるといえる。加えて次回のNBに当選するまで「通常確率ゲーム」に比べて少ないゲーム回数で到達できることから、付加あり高確率ゲームは遊技者にとって最も有利な状態であるといえる。従って遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合は、「付加特典」が付与されることを望む傾向が強くなる。
上記の「付加特典」は「高確率ゲーム」に移行することが決まった場合に必ず付与されるものではなく、抽選により付与するか否かを決めるものである。これにより、遊技者はNBゲーム終了後に「高確率ゲーム」に移行するか否かで先ずドキドキし、次いで「付加特典」が付与されるか否かでハラハラすることとなる。つまり、遊技者は一回のNBゲームで2回喜びを味わうことができるのである。以下ではこの「付加特典」を付与するか否かの抽選「付加特典付与抽選」について説明する。
(7−1.付加特典付与抽選)
「付加特典付与抽選」は、NBゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル移行処理において、また特Bゲーム遊技処理内で行われる判定乱数テーブル変更処理においてそれぞれ実行されるものとする。NBゲーム遊技処理内の判定乱数テーブル移行処理では、特別判定乱数テーブルフラグがONとなっていた場合に限る。即ち、特別判定乱数テーブルが内部抽選に適用される場合のみ、「付加特典付与抽選」が行われることになる。
ここで「付加特典付与抽選」で「付加特典」を付与するか否かはそれぞれ1/2で選ばれるものとする。つまり、
〔付加あり高確率ゲーム:付加なし高確率ゲーム=1:1〕
という比率になり、遊技者は「高確率ゲーム」に移行した場合の2回に1回は「付加特典」が付与されるという期待を持てることになる。これは、判定乱数テーブル移行処理、判定乱数テーブル変更処理で行われる「付加特典付与抽選」ともに同じ内容とする。
(7−2.付加なし高確率ゲームにおける特B当選)
スロットマシン1では、高確率ゲームに移行した場合にNBに当選する前に特Bに当選する可能性がある。これは高確率ゲームではNBの当選確率だけでなく、特Bの当選確率も通常確率ゲームに比べて10倍に高く変更されているからである。本実施形態のスロットマシン1では、その特徴として「付加なし高確率ゲーム」中に特Bに当選した場合、遊技者に有利となる「付加特典付与抽選」を行わせることができる。即ち、前述した
〔付加あり高確率ゲーム:付加なし高確率ゲーム=1:1〕
という通常の「付加特典付与抽選」の比率ではなく、遊技者に有利となる比率
〔付加あり高確率ゲーム:付加なし高確率ゲーム=1:0〕
とすることができる。これは必ず「付加特典」が付与されることを意味するものである。つまり、「付加なし高確率ゲーム」に移行してから特Bに当選すると必ず「付加あり高確率ゲーム」に移行するということである。
上記の内容とすることで、特に特Bゲーム終了後に「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合に遊技者に効果的な驚きを与えることができる。即ち、突然にそれまでの当選状況と変わった状況に変わるからである。特Bゲームを契機として「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合、遊技者に「付加なし高確率ゲーム」に移行したことに全く気付かせることがない。これは付加なし高確率ゲームが、NB及び特Bの当選確率のみを通常確率ゲームに比べて高く変更するだけであり、小役やリプレイの当選状況についてはなんら変化を生じさせないからである。従って遊技者は「付加なし高確率ゲーム」に移行したとしてもそのことに気付かずに通常のゲームと信じてゲームを進めていくことになる。この状態で特Bゲームを契機として「付加あり高確率ゲーム」に移行すると、突然リプレイに当選し易くなったという印象を遊技者に与えることができる。すると遊技者はもしかしたら内部的に有利な状態になったかもしれないという期待を持つこととなり、単調な通常のゲームが続くことを回避することができる。
また、NBゲーム終了後に「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合にも遊技者に効果的な驚きを与えることができる。即ち、NBゲーム終了後の数ゲームから十数ゲームでおよそ「付加特典」が付与されたか否かは判断することが可能である。このとき遊技者が「付加特典」が付与されなかったと判断することとなるのは、「付加なし高確率ゲーム」に移行した場合あるいは通常確率ゲームに移行した場合のいずれかである。よって、遊技者は「付加特典」が付与されなかったと判断してしまうと、おそらくは通常確率ゲームに移行したのだという半ば諦めに近い印象を持つことが多くなる。従って、付加なし高確率ゲームに移行してから特Bゲームを契機として「付加あり高確率ゲーム」に移行すると、リプレイに当選することが突然増え、遊技者に「付加なし高確率ゲーム」に移行していたのだということを確信させることができる。すると遊技者はそれまで高確率ゲームに移行したことを半ば諦めていた状況から一転して、意欲的にゲームを行うこととなる。
(8.設定値)
本実施形態のスロットマシン1は、「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルを複数用意してホール等が適宜いずれの判定乱数テーブルを用いるかを予め決めることができる。これは回胴式遊技機等における「設定」と呼ばれるものである。この「設定」では、各当選役の当選確率を段階的に異ならせた複数の判定乱数テーブルを設けることができる。そして、それぞれの乱数判定テーブルに「設定値」を対応づける。例えば、6つの段階的に異ならせた複数の判定乱数テーブルを設けた場合、その6つの判定乱数テーブルのうち、相対的に見て、各当選役の当選確率が高い順に「設定値6」、「設定値5」、「設定値4」、「設定値3」、「設定値2」、「設定値1」と対応づけることができる。
この「設定値」はホール等が毎日、あるいは定期的に変更することで利益バランスを取ることができる。例えば、スロットマシン1の設定値が高く変更された状態で遊技者がゲームを行えば、遊技者は大量のメダルを獲得できる可能性が高くなる。反対にスロットマシン1の設定値が低く変更された状態で遊技者がゲームを行えば、遊技者はメダルを大量に獲得することが難しくなる。このように「設定値」を高低に変更させてホールが利益を上げたり、または遊技者に利益を還元したりといったことが可能となるのである。なお、本実施形態のスロットマシン1では、上記の設定値4に相当する各当選役の当選確率及び判定乱数テーブルを図9に示している。
「通常確率ゲーム」での判定乱数テーブルに対応して「高確率ゲーム」での判定乱数テーブルも複数用意することができる。即ち、「設定値1」から「設定値6」まで、それぞれ段階的に異ならせた判定乱数テーブルを通常判定乱数テーブル及び、特別判定乱数テーブルともに用意することができるのである。これによって、設定値ごとの差を明確につけることが可能である。つまり、各設定値を相対的に見て、高い設定値(例えば設定値5または6)では、「通常確率ゲーム」及び「高確率ゲーム」ともに各当選役の当選確率を高くし、低い設定値(例えば設定値1または2)では、「通常確率ゲーム」及び「高確率ゲーム」ともに各当選役の当選確率を低くして設定値間の差を設けることができるのである。設定値ごとよる差が明確につくと、遊技者がスロットマシン1でのゲームを終日通して行った場合に獲得することが可能なメダルの総枚数を、ある程度設定値ごとに一定の範囲内に収めることができる。
また、スロットマシン1の設定値は、ホールが経営形態や集客効果の向上等に合わせて自由に変更することができる。例えば、イベントなどによりホールに多くの遊技者の集客を図りたい場合は設定値を上げる(高い設定値に変更する)割合を増やして多くの遊技者に利益を還元したり、土日祭日等で特別に集客を図らずとも多くの遊技者の集客が見込める場合には設定値を下げる(低い設定値に変更する)割合を増加させてホールの利益を向上させたりすることができる。
(9.遊技状態の変化)
本実施形態のスロットマシン1では、その内部制御が様々な契機により変化することになる。それに伴い遊技状態にも変化が生じることになる。遊技状態の変化が生じる場合としては、
(1)NBゲーム終了後
この場合、先ず第1段階として「通常確率ゲーム」となるのか、「高確率ゲーム」となるのかのいずれかにより遊技状態が変化することになる。ここで「高確率ゲーム」となった場合は、次に第2段階として「付加特典」が付与されるか否かによって遊技状態が変化することになる。
(2)特Bゲーム終了後
この場合、第1段階として必ず「通常確率ゲーム」から「高確率ゲーム」へ遊技状態が変化することになる。そして次に第2段階として「付加特典」が付与されるか否かによって遊技状態が変化することになる。また、現在の遊技状態が「高確率ゲーム」であれば、必ず「付加特典」が付与されることになる。
上記の場合を契機として遊技状態が変化するときに、スロットマシン1の外部に向けた動作制御等を通常のゲームと異ならせることなく、スロットマシン1の内部制御のみを通常のゲームと異ならせることができる。ここでいう「内部制御」とは特に判定乱数テーブルの変更が行われる場合のことをいう(結果的に判定テーブルが維持された場合も含む)。従って、スロットマシン1の遊技状態が変化してもそれに伴ってスロットマシン1の外見上ではいずれの動作制御にも変化が生じることがないので、遊技者は遊技状態に変化が生じたこと(高確率ゲームに移行した等)を察知することができないこととなる。
スロットマシン1の外見上の動作制御の変化とは、例えば、リールの回転が通常と異なってぶれたり、またはリールが通常とは異なって弾みをつけて停止したり、ランプの発光態様(または点灯、点滅、消灯)が通常とは異なっていたり、通常とは異なる効果音が発生されたり、または全く効果音が発生されなくなったり、始動レバーや停止ボタンを操作したときに通常とは異なる振動が起きたり、といったことが一例として挙げられる。つまり、外見上の動作制御の変化とは、通常のゲームとの明らかな違いを遊技者が視覚的、聴覚的あるいは触覚的に察知することができる動作制御に変化が見られることをいう。従って、本実施形態のスロットマシン1では遊技者に察知されることなく遊技状態を変化させることができるのである。
本実施形態のスロットマシン1では、「付加特典」が付与されない高確率ゲームに移行してから特Bに当選すると、その特Bゲームの終了後から「付加特典」が付与された高確率ゲームへと移行させることができる。これはNBゲーム終了後に「付加特典」が付与されない高確率ゲームに移行してから特Bに当選した場合も同様に、その特Bゲームの終了後から「付加特典」が付与された高確率ゲームへ移行させることができる。これらの場合においても、スロットマシン1は外見上の動作制御を通常の動作制御と異ならせることなく内部制御のみを通常の制御と異ならせることができる。ただし、これらの場合は遊技者がゲームを進めているうちに何かの変化が生じたことに気付くことが可能である。即ち、リプレイに当選する回数が増えることとなるからである。従って、NBゲームの終了後から開始される数十ゲームなどは、遊技者にとって大いに期待に胸膨らませることのできるゲームを行わせることができるのである。あるいは、通常のゲーム中であってもリプレイが2回、3回と連続して当選すれば、遊技者に遊技状態が変化したかもしれないという期待を持たせることができる。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、「付加特典」としてリプレイの当選確率を通常確率ゲームの当選確率に比較して高く変更させるものとしているが、リプレイに限定されるものではない。また1種類の当選役に限定されることもない。例えば、リプレイに変えてスイカの当選確率を高く変更したとすれば、スイカ図柄は取りこぼしが生じ易い当選図柄であるので、遊技者に「付加特典」が付与されたか否かを気付きにくくさせることができる。あるいは、リプレイに加えてベルの当選確率も高く変更することとすれば、「付加あり高確率ゲーム」でメダルを増加させることができるので、遊技者にとって「付加特典」は大いに喜ばしい特典となる。
また本実施形態のスロットマシン1では、通常のゲーム及びボーナスゲーム等に応じた各種演出処理を液晶表示部58での演出表示や、スピーカ56による効果音の発生、各ランプ60,62,64,66による発光や点灯、更にボーナスフラグ告知ランプ44、クレジット枚数表示部30、ゲーム数表示部32、払い出し枚数表示部34等で実行させることができる。これにより遊技者を視覚的にも聴覚的にも楽しませることができる。
(10.演出処理)
以上は、メイン制御基板92による遊技制御の例であるが、本実施形態のスロットマシン1では、遊技の進行にあわせてサブ制御基板94により各種演出動作の制御が行われる。
図15は、サブ制御基板94により実行される演出処理の一例を示している。スロットマシン1の電源が投入(電源スイッチ76がONに操作)されると、この演出処理において先ず初期化処理が行われる(ステップS801)。次にメイン制御基板92から送信されるメダル投入コマンドが待ち受けられ(ステップS802)、実際にメダル投入コマンドが送信されると、これに応じて投入音やベット音等を出力させる演出(メダル投入演出処理)が行われる(ステップS803)。
続いて、メイン制御基板92から送信される当選(始動)フラグコマンドが待ち受けられる(ステップS804)。当選(始動)フラグコマンドは、始動レバー18の操作を契機としてメイン制御基板92から送信され、サブ制御基板94では、当選(始動)フラグコマンドを受信すると、それに合わせた演出動作の制御が行われる(ステップS805、始動時演出処理)。ここでの演出動作は、例えば、リール始動音の出力や液晶表示部58による画像表示演出等である。
上記の始動時演出処理が行われると、続いて停止情報コマンドが待ち受けられる(ステップS806)。3つの停止ボタン20,22,24のうち、いずれかの停止ボタンが第1番目に押下されると、第1停止情報コマンドがメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される。第2番目の停止ボタンが押下されると第2停止情報コマンドが、次いで第3番目(つまり最後)の停止ボタンが押下されると第3停止情報コマンドが、それぞれ第1停止情報コマンドと同様にメイン制御基板92からサブ制御基板94に送信される。それぞれの停止情報コマンドを受けてサブ制御基板94では、そのときの当選フラグと停止情報コマンドに応じて演出動作の制御を行うことができる(ステップS807、停止時演出処理)。ここで行われる演出動作としては、各リールの停止ごとにリール停止音の出力や、停止したリールのバックライトの消灯演出、また、リール停止音やリールの消灯に合わせた液晶表示部58で画像表示演出等が一例として挙げられる。
そして、ステップS808では、判定処理の結果に応じてメイン制御基板92から払出音コマンドや効果音コマンドがサブ制御基板94に送信され、これを受けてサブ制御基板94では払出音出力や効果音出力が行われる。更に、ステップS808ではメイン制御基板92から送信される遊技ステータスコマンドが待ち受けられ、受信したコマンドから現在の遊技ステータスが吟味される。このとき受信した遊技ステータスコマンドに応じた演出動作の制御が行われる(ステップS809、遊技ステータス演出処理)。この遊技ステータスの一例としては、NBゲームやCBゲームが開始される際の初期化処理においてメイン制御基板92より現在の遊技状態を表すコマンドを送信させた場合のコマンドが該当する。
(10−1.始動時演出処理)
始動時演出処理では、前述したフラグ処理の結果としてメイン制御基板92より送信される当選フラグの情報コマンドを受けてサブ制御基板94によりその当選フラグの情報コマンドに基づいた演出処理が実行される。この際の演出処理は、液晶表示部58、スピーカ56、各ランプ60,62,64,66等によって実行させることができる。また液晶表示部58に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)、ドットLEDを用いてもよい。また、役物(例えば、キャラクターを模した人形を動かす)や、サイドリール(例えば、リール装置10の各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)、またはランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転するライト等)により演出を行わせることとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示部58がなくても遊技者を十分に楽しませることが可能である。
ここで始動時演出処理として行われる演出の内容として、
(1)通常ゲーム演出
(2)当選フラグ示唆演出
(3)チャンス示唆演出
(4)連続区間演出A
(5)連続区間演出B
(6)ボーナス当選告知演出
以上の演出が用意されている。
上記の演出についての特徴として、
(1)通常ゲーム演出は、特別に演出として何かを行うのではなく、例えば、背景を時間経過に伴い変化させたり(雲が流れていく、太陽が昇りそして沈んでいく、春夏秋冬といった四季が移り変わっていく等)、キャラクター(主人公)が家でくつろいでいたりする場面(画像)が表示されるものである。言い換えると、他の演出は全てこの通常ゲーム演出から開始されるということもできる。つまり、通常ゲーム演出はこれから何かの演出が行われるかもしれないといった含みを持った演出である。従って、遊技者が通常ゲーム演出により落胆するようなことがない。なお、通常ゲーム演出は通常演出の一例に相当する。
(2)当選フラグ示唆演出は、当選フラグコマンド(ハズレ情報コマンドも含む)に基づき、その成立フラグ(NB、CB及び小役、リプレイやハズレ)を遊技者に示唆する内容のものである。例えば、成立フラグがスイカである場合、スイカ図柄をイメージさせる内容(スイカの色やスイカを模した絵等)の画像を表示させたり、あるいはスイカに当選したことを遊技者が察知できるようランプを緑色に発光させたりすることが一例として挙げられる。つまり、いずれの当選役に当選したのかを直接教えるのではなく、演出等により間接的に遊技者にイメージさせる手掛かりを与えるものが当選フラグ示唆演出である。なお、当選フラグ示唆演出は、当選案内演出の一例に相当する。
(3)チャンス示唆演出は、NBやCBに当選したかもしれないことを遊技者に示唆すものである。例えば、当選役をイメージするには程遠い模様や絵柄を画像として表示させたり、当選役をイメージさせる色とは異なる色でランプを発光させたりすることが一例として挙げられる。あくまでもチャンス示唆演出は遊技者に期待を持たせる演出であるので、全ての成立フラグで行われる可能性がある。つまり、この演出が行われたから確実にNBやCBに当選しているとはいえない曖昧さを持った演出であるといえる。
(4)連続区間演出A及び(5)連続区間演出B(以下で連続区間演出と呼称した場合はこの両者を含むものとする)は、チャンス示唆演出よりも高い期待の持てる内容のものである。即ち、成立フラグがNB、CBまた一部の小役、ハズレである場合に行わせるものである。また特Bが成立フラグとなった場合にもこの演出を行わせる。この連続区間演出は他の演出と異なり、複数回のゲームにわたって連続した演出が行われる。一例としては、時代劇(チャンバラ)が繰り広げられたり、大食い競争や綱引き大会が開催されたりすることが挙げられる。
連続区間演出では、演出の最後に必ず結果(結末、勝敗)が表示される。この結果表示はそのまま期待度に対応づけることができる。つまり結果表示が良い結果(幸せな結末、勝利する)となれば、NBやCBに当選したことを確定させることもできるし、あるいは良い結果が得られたとしても、必ずNBやCBに当選したことが確定できるわけではないとすることもできる。これは悪い結果(不幸な結末、敗北する)となった場合も同様に対応づけることができる。
即ち、連続区間演出の結果にどれだけ信頼度を持たせるかによって遊技者がその結果表示に抱く印象を変えることができるのである。ここでいう「信頼度」とは、NBやCBに当選しているか否かをどれだけ正確に結果に反映させているかどうかのことをいう。つまり『良い結果=NBやCBに当選』、『悪い結果=NBやCBに非当選』という図式が成立すれば信頼度は100%となり、それ以下の信頼度では結果とNBやCBに当選したことが必ずしも一致しないということになる。ただし連続区間演出はチャンス示唆演出に比べて遊技者にNBやCBに当選したかもしれないという高い期待を抱かせる演出として位置付けるため、この信頼度は1/2(50%)以上とすることが望ましい。つまり、遊技者が連続区間演出を目にするときは1/2以上でNBやCBに当選しているかもしれないという期待を持って演出を最後まで見守ることができるのである。それによって連続区間演出を遊技者にとって重要な演出として位置付けることができるのである。なお、本実施形態のスロットマシン1では、チャンス示唆演出は、期待演出の一例に相当し、連続区間演出は高期待演出の一例に相当するものとしているが、チャンス示唆演出を高期待演出に相当させることもできる。その場合、連続区間演出を期待演出に相当させることもできる。
(6)ボーナス当選告知演出は、NBまたはCBに当選したことを明確に遊技者に告知する内容のものである。例えば、「ボーナス確定!」のメッセージを表示させたり、「ボーナスに当たっていますよ!」などの音声を効果音として発生させたりすることが挙げられる。またボーナス告知ランプ44を点灯させて遊技者にボーナスに当選したことを告知することもこのボーナス当選告知演出の内容に含まれる。なお、ボーナス当選告知演出は、特別当選役告知演出の一例に相当する。
始動時演出処理で実行される演出パターンを具体的に示したものが図16である。この演出パターンテーブルは、「通常確率ゲーム」、「高確率ゲーム」ごとにそれぞれ別々の演出パターンテーブルを用意することができる。
この演出パターンテーブルは、サブ制御基板94で行われる乱数抽選(以下では、演出抽選と呼称する)の結果をそれぞれの演出に対応付けたものであり、この演出抽選では、演出パターン乱数(0〜99)の中から抽出された乱数値に対応した演出が実行される。なお、演出パターンテーブル、演出抽選は演出表示態様決定手段及び演出表示態様実行手段の一例に相当する。
図16(a)は「通常確率ゲーム」における成立フラグと各種演出の関係を表したものであり、表の横方向には各成立フラグ(当選フラグ)を、縦方向には各演出の名称が記載されている。このテーブル表に基づいて、成立フラグごとにいずれの演出を選択するかが決められる。つまり演出抽選は成立フラグに基づいて、その成立フラグごとに行われるものである。
例えば、(a)「通常確率ゲーム」では、成立フラグがハズレフラグであった場合、0〜79までの演出パターン乱数が選ばれると通常ゲーム演出が実行され、80〜89までの演出パターン乱数が選ばれるとチャンス示唆演出が実行される。更に90〜94の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Aが実行され、95〜99の演出パターン乱数が選ばれると連続区間演出Bが実行されることになる。この演出パターン乱数は、成立フラグによって各演出の選択範囲(当選許容値)が異なっている。また(a)「通常確率ゲーム」、(b)「高確率ゲーム」によって同じ種類の成立フラグであっても演出パターン乱数により各演出が選択される当選許容値が異なっている。
演出パターンテーブルの特徴について、(a)「通常確率ゲーム」では、
(1)チャンス示唆演出は、全ての成立フラグでその1/10の割合で選択される可能性がある。
(2)連続区間演出は、成立フラグがハズレ、スイカ、NB、CB、特Bである場合に行われる可能性がある。また成立フラグがCBの場合、連続区間演出Bが選ばれることがない。
(3)成立フラグがスイカ、チェリーである場合は当選フラグ示唆演出が選択されやすく、CBである場合はボーナス当選告知演出が選択されやすい。
といったことを特徴として挙げることができる。
(b)「高確率ゲーム」では、
(1)チャンス示唆演出は、成立フラグがハズレ、リプレイ、NB、CBの場合のみ選択される可能性がある。
(2)連続区間演出は、成立フラグがハズレ、スイカ、チェリー、NB、CBである場合に行われる可能性がある。また成立フラグがスイカのときは連続区間演出Bのみが、また成立フラグがチェリーのときは連続区間演出Aのみが選択される可能性がある。
(3)成立フラグがNB、CBまたは特B以外の場合は、通常ゲーム演出が選択されやすい。
といったことを特徴として挙げることができる。
以上の内容から、スロットマシン1は内部の状態について変化が生じても、そのことを直接報知することはないが、各種演出を内部の状態について変化が生じたかを推測するための判断材料の一つとすることが可能である。つまり、遊技者は一つの演出から内部の状態に変化が生じたことを判断するのではなく、複数の演出を積み重ねることによって、より推測を正確なものにしようと努力することになる。従って、複数の演出を通して遊技者は総合的にスロットマシン1の内部の状態に変化が生じているのか否かを判断しようと積極的にゲームを行うこととなり、興趣の低下を招く虞を回避することができる。
(10−2.停止時演出処理)
停止時演出処理では、前述したリール停止処理及び判定処理を受けて演出処理が実行される。停止時演出処理においても始動時演出処理にて行われる各種演出、即ち、通常ゲーム演出、当選フラグ示唆演出、チャンス示唆演出、連続区間演出A、連続区間演出B、ボーナス当選告知演出を実行させることができる。ただし当選フラグ示唆演出については、全てのリールが停止する前に演出を実行させることが望ましい。これは当選フラグ示唆演出が遊技者に成立フラグを間接的に教える意味合いを持った演出であるから、全てのリールが停止する以前にこの演出を行わせることで、遊技者が取りこぼしを生じてしまうことを極力回避できるからである。これは全てのリールの停止操作を終えたときに当選フラグ示唆演出を行った場合、例えば、そのときの成立フラグに対応する当選役を取りこぼしてしまったときなどは、遊技者を不愉快にさせてしまうこともあるからである。
その他の演出処理、つまりメダル投入演出処理及び遊技ステータス演出処理も、停止時演出処理と同様に各種演出を実行させることができる。特に連続区間演出については、複数回のゲームにわたって展開されるものであるから、連続区間演出を上記の各演出処理のいずれからも開始されるものとすることが望ましい。これにより、ゲームの進行に関わる操作のいずれのタイミングからでも、NBやCBに当選した可能性の高い演出が開始されることになり、遊技者はゲームの進行に関わる一つ一つの動作(操作)に期待を持ってゲームを行うことができる。
(10−3.連続区間演出)
連続区間演出は、「通常確率ゲーム」では、成立フラグがハズレ、スイカ、NB、CB、特Bのいずれかとなった場合に行われる可能性がある。また「高確率ゲーム」では、成立フラグがハズレ、スイカ、チェリー、NB、CB、特Bのいずれかとなった場合に行われる可能性がある。つまり、連続区間演出が開始されて小役を目押ししたが揃わなかった場合、「通常確率ゲーム」であればNBまたはCBまたは特Bまたはハズレ、「高確率ゲーム」であればNBまたはCBまたは特Bまたはハズレである可能性が高いことになる。従って、連続区間演出はその演出の開始とともに遊技者に大きな期待を持たせることのできる演出であるといえる。
成立フラグが、スイカ、チェリーまたはハズレとなった場合、連続区間演出の結果表示を失敗または負けの内容の表示(悪い結果)とする。
成立フラグが、特Bとなった場合、結果表示は成功と失敗をそれぞれ1/2、勝ちと負けもそれぞれ1/2で選択されるものとする。つまり、良い結果となるか、悪い結果となるかは半々(1/2)ということになる。従って、連続区間演出では残念な結果(失敗、負け)となり、なおかつ、小役の目押しを正確に行ったが小役が揃わなかった場合、単なるハズレであるのか、それとも特殊小役に当選していたのかのいずれかとなる。そのうえ、ハズレの場合は1/10(通常確率ゲームでの割合、高確率ゲームでは1/5)の割合でしか連続区間演出が選択されないので、遊技者は連続区間演出の結果が悪い結果となったとしても落胆することなく特殊小役に当選している可能性に期待を持つことができる。
成立フラグが、NBまたはCBとなった場合、結果表示は必ず成功あるいは勝利とする。つまり、連続区間演出の結果が良い結果となれば、NBまたはCBに当選したことが確定し、遊技者を安堵させることができる。これは、連続区間演出で遊技者をハラハラドキドキさせた分だけNBまたはCBのいずれかに当選したという喜びを大きなものとすることができるのである。
図17及び図18は、連続区間演出Aで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Aでは、主人公の友達の子供(CB図柄に描かれている子供)が閉店前の「おでん屋」でおでんを完食(食べきれるか)できるか否かが連続した演出(3から5ゲームの間)として行われる。図17(a)は、おでん屋に子供が登場している画像である。(b)は完食目標として画像の左上におでん6串分が表示されており、これから完食を目指そうとしている場面の画像である。(c)では食べ始めた当初の場面の画像であり、閉店まであと5分間という表示がされている。(d)では閉店時間まであと1分と時間が経過して急いで食べきらないと間に合わないために子供が焦っている様子の画像である。(e)では順調におでんを食べている様子の画像であり、残り1串を食べきれば完食となる場面の画像である。(f)では見事に完食(おでんを6串食べきった)した様子を表した画像である。ここまでは連続区間演出Aで成功となったパターン(成功エンディング)を表したものである。
図18(a)は、閉店1分前であるが、既にお腹が一杯になってきて完食が難しい様子を示唆している場面の画像である。(b)では閉店時間前ではあるが満腹となってしまい結局完食できずに失敗となったパターン(失敗エンディング)を表したものである。なおこの失敗エンディングは、制限時間オーバーで失敗となるパターンも用意されている(図示はしない)。どちらの失敗パターンとなるかは適宜抽選により選択することができる。(c)及び(d)は完食が難しそうな場面で逆転(完食できるかもしれない可能性が高いことを示す)を予感させる場面の画像の一例である。この(c)または(d)は、(b)の失敗パターンとなった場合にも発展することがあるため、遊技者は失敗パターンとなっても一時も油断することなく演出に見入ることとなる。つまり演出が(c)または(d)に発展すれば失敗が濃厚だと思われていた状況から一転して成功パターンが近づくこととなる。
また図19及び図20は、連続区間演出Bで実行される演出内容を表した画像の一例である。連続区間演出Bでは、主人公の少年のチームが相手チームとで綱引きの試合が連続した演出(3から5ゲームの間)として行われる。図19(a)、(b)は綱引き試合のチーム紹介が行われている場面の画像である。(a)の画像の上半分の同じ顔の男の子が6人いるチームが主人公の少年のチームであり、主人公のチームが勝つと勝利エンディングとなる。画像の下半分のいろいろな顔のキャラクターが6人いるチームが対戦相手のチームである。(c)、(d)では綱引き試合が開始され、(e)では主人公のチームがやや優勢な状況(勝つ可能性が高いことを示唆している)にある様子を表した場面の画像である。対して(f)では、主人公チームが劣勢な状況(負ける可能性が高いことを示唆している)にある様子を表した場面の画像である。この(e)あるいは(f)は連続区間演出Bの最終ゲーム(勝敗結果が表示される)の前のゲームで表示されるものである。これにより遊技者の期待を最大限に高めることができる。
図20(a)及び(b)は、綱引き試合の結果として連続区間演出Bの演出の最後に表示される画像の一例である。(a)は主人公のチームが見事に勝利した場合、(b)は主人公のチームが残念ながら負けた場合(つまり相手のチームが勝利した場合)の様子をそれぞれ表した場面の画像である。
また(c)では、チーム紹介の場面で相手のチームが1人しかいない。これは、主人公のチームが勝利する可能性が高いことを示唆する画像の一例である。そして連続区間演出Bで主人公のチームの勝利が確定する場合に稀に表示される可能性があるプレミアムな場面の画像としている。従って、このプレミアムな場面の画像を見ることをスロットマシン1でゲームをする楽しみの一つに加えることもできる。つまりこのプレミアムな場面の画像を見たことを他の遊技者に自慢したり、あるいはこの場面の画像が表示されたときに周囲の遊技者の羨望の的となったり、といったスロットマシン1のゲームを楽しむ一つの要素となるのである。更に、連続区間演出Bの演出が行われている間に、(d)の応援表示が行われると主人公のチームが勝利する可能性が格段に高くなる。これは連続区間演出Bの演出の中のいずれの場面でも行わせることができる。よって、いつ行われるか分からない応援表示を期待して遊技者は、たとえ綱引き試合に負けそうな展開となっていても最後まで諦めずに演出の成り行きを見守ることができる。