JP2007138723A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御弁への作動流体の通路構成が簡略化されるバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】制御弁100のスプール101は、進角パイロット油路103から供給される作動油から受ける力と、弾性部材110の押し付け力とのバランスによって進角通路86を開閉する。そのため、スプール101を駆動する油圧を導入するための油路は、進角パイロット油路103だけである。したがって、制御弁100の油路構成を簡略化することができ、構造を簡単にすることができる。また、弾性部材110は、ベーンロータ21の軸方向においてスプール101の端部に設置されている。これにより、ベーンロータ21の回転にともなって遠心力が発生しても、スプール101および弾性部材110に遠心力が加わることはない。
【選択図】図1
【解決手段】制御弁100のスプール101は、進角パイロット油路103から供給される作動油から受ける力と、弾性部材110の押し付け力とのバランスによって進角通路86を開閉する。そのため、スプール101を駆動する油圧を導入するための油路は、進角パイロット油路103だけである。したがって、制御弁100の油路構成を簡略化することができ、構造を簡単にすることができる。また、弾性部材110は、ベーンロータ21の軸方向においてスプール101の端部に設置されている。これにより、ベーンロータ21の回転にともなって遠心力が発生しても、スプール101および弾性部材110に遠心力が加わることはない。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンの吸気弁または排気弁の開閉タイミング(以下、開閉タイミングを「バルブタイミング」という。)を変更するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、エンジンのクランクシャフトの駆動力を受けるハウジングと、ハウジング内に収容され、カムシャフトにクランクシャフトの駆動力を伝達するベーンロータとを備えるバルブタイミング調整装置が知られている。このバルブタイミング調整装置では、遅角室および進角室の作動流体圧力によりハウジングに対し遅角側または進角側へベーンロータを相対回転駆動することにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相、つまりバルブタイミングを調整している(例えば、特許文献1参照)。
バルブタイミング調整装置では、吸気弁または排気弁を開閉駆動するとき、吸気弁または排気弁からカムシャフトが受けるトルク変動がベーンロータに伝わり、ハウジングに対しベーンロータが遅角側または進角側へトルク変動を受ける。ベーンロータが遅角側にトルク変動を受けると、進角室の作動流体は進角室から流出する力を受け、ベーンロータが進角側にトルク変動を受けると、遅角室の作動流体は遅角室から流出する力を受ける。すると、例えば流体供給源から供給される作動流体の圧力が低いときに、進角室に作動流体を供給し、クランクシャフトに対してカムシャフトの位相を遅角側から進角側の目標位置に変更する場合、ベーンロータがトルク変動により遅角側へ押し戻される。その結果、カムシャフトの位相が目標の位相に達するまでの応答時間が長くなる。
そこで、特許文献1に開示されているように、作動流体を遅角室および進角室に供給する供給通路に逆止弁を設け、ベーンロータがトルク変動を受けたとき、遅角室または進角室からの作動流体の流出を防止することが考えられる。これにより、位相制御中にベーンロータがハウジングに対し目標位相と反対側へ戻ることを防止し、位相制御の応答性を高めることが知られている。
ところで、作動流体を遅角室または進角室に供給する供給通路に逆止弁を設ける場合、遅角室または進角室から速やかに作動流体を排出するため、逆止弁の遅角室または進角室側から分岐する第二通路を設け、この通路に制御弁を設置する必要がある。制御弁は、遅角室または進角室から作動流体を排出するとき、第二通路を開放し、遅角室または進角室の作動流体の排出を促す。一方、制御弁は、遅角室または進角室に作動流体を供給するとき、第二通路を閉鎖し、遅角室または進角室からの作動流体の流出を防止する。
このように、制御弁は、ベーンロータの進角側または遅角側への回転にともなって、第二通路を開閉する。そこで、遅角室に作動流体を供給する遅角通路または進角室に作動流体を供給する進角通路から制御弁に油圧を導入し、遅角室または進角室への作動流体の供給に同期して制御弁を駆動することが考えられる。しかし、遅角室または進角室への作動流体の供給に制御弁を同期させるためには、遅角通路および進角通路から制御弁へ作動流体を導入するための複数の通路を必要とする。そのため、作動流体の通路構成が複雑化するという問題がある。
そこで、本発明の目的は、制御弁への作動流体の通路構成が簡略化されるバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、例えば一般的に遅角速度よりも進角速度の方が遅い物において、第一進角通路に設けた逆止弁により進角速度が向上する物であり、制御弁は進角通路から導入される油圧と弾性部材とのバランスによって第二進角通路の開閉を行っている。例えばベーンロータが進角側へ回転するとき、制御弁は進角通路から導入される油圧によって移動し、制御弁は第二進角通路を遮断する。一方、ベーンロータが遅角側へ回転するとき、制御弁は弾性部材の押し付け力によって移動し、制御弁は第二進角通路を開放する。これにより、制御弁には、進角通路からのみ油圧が導入される。したがって、制御弁の作動流体の通路構成を簡略化することができ、構造の複雑化を招くことがない。
請求項2記載の発明は、一般的に遅角速度よりも進角速度の方が遅い物において、第一進角通路に設けた逆止弁により進角速度が向上する物であり、制御弁は遅角通路から導入される油圧と弾性部材とのバランスによって第二進角通路の開閉を行っている。ベーンロータが遅角側へ回転するとき、制御弁は遅角通路から導入される油圧によって移動し、制御弁は第二進角通路を開放する。一方、ベーンロータが進角側へ回転するとき、制御弁は弾性部材の押し付け力によって移動し、制御弁は第二進角通路を遮断する。これにより、制御弁には、遅角通路からのみ油圧が導入される。したがって、制御弁の作動流体の通路構成を簡略化することができ、構造の複雑化を招くことがない。
請求項3記載の発明は、ハウジングに対してベーンロータを進角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材を備えることによって一般的に進角速度よりも遅角速度の方が遅い物において、第一遅角通路に設けた逆止弁により遅角速度が向上する物であり、制御弁は遅角通路から導入される油圧と弾性部材とのバランスによって第二進角通路の開閉を行っている。ベーンロータが遅角側へ回転するとき、制御弁は遅角通路から導入される油圧によって移動し、制御弁は第二進角通路を遮断する。一方、ベーンロータが進角側へ回転するとき、制御弁は弾性部材の押し付け力によって移動し、制御弁は第二進角通路を開放する。これにより、制御弁には、遅角通路からのみ油圧が導入される。したがって、制御弁の作動流体の通路構成を簡略化することができ、構造の複雑化を招くことがない。
請求項4記載の発明は、ハウジングに対してベーンロータを進角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材を備えることによって一般的に進角速度よりも遅角速度の方が遅い物において、第一遅角通路に設けた逆止弁により遅角速度が向上する物であり、制御弁は進角通路から導入される油圧と弾性部材とのバランスによって第二進角通路の開閉を行っている。ベーンロータが進角側へ回転するとき、制御弁は進角通路から導入される油圧によって移動し、制御弁は第二進角通路を開放する。一方、ベーンロータが遅角側へ回転するとき、制御弁は弾性部材の押し付け力によって移動し、制御弁は第二進角通路を遮断する。これにより、制御弁には、進角通路からのみ油圧が導入される。したがって、制御弁の作動流体の通路構成を簡略化することができ、構造の複雑化を招くことがない。
請求項5記載の発明では、制御弁の弁部材はベーンロータの軸方向へ移動する。これにより、制御弁は、弾性部材によってベーンロータの軸方向において一方の端部から押し付けられる。そのため、ベーンロータが回転しても、制御弁の弁部材および弾性部材には遠心力が加わらない。したがって、弾性部材の押し付け力を設定するとき、ベーンロータの回転にともなう遠心力の影響を排除することができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図2および図3に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置10は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、吸気弁および排気弁のすくなくともいずれか一方のバルブタイミングを調整する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図2および図3に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置10は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、吸気弁および排気弁のすくなくともいずれか一方のバルブタイミングを調整する。
図2に示すように、駆動側回転体であるハウジング11は、チェーンスプロケット12、シューハウジング13およびフロントプレート15を有している。シューハウジング13は、図3に示す仕切部材としてのシュー131、132、133、134と、環状の周壁14とを有している。チェーンスプロケット12、シューハウジング13およびフロントプレート15はボルト16により同軸上に固定されている。チェーンスプロケット12は、図示しないチェーンにより図示しないエンジンの駆動軸としてのクランクシャフトと結合して駆動力が伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。
従動軸としてのカムシャフト20は、バルブタイミング調整装置10を経由してクランクシャフトの駆動力が伝達される。カムシャフト20は、図示しない吸気弁を開閉駆動する。カムシャフト20は、チェーンスプロケット12に対し所定の位相差をおいて回転可能にチェーンスプロケット12に挿入されている。
従動側回転体としてのベーンロータ21は、カムシャフト20の回転軸方向端面と接している。カムシャフト20およびベーンロータ21は、ボルト22により同軸上に固定されている。ベーンロータ21とカムシャフト20との回転方向の位置決めは、ベーンロータ21およびカムシャフト20に位置決めピン23をはめ込むことにより行われる。カムシャフト20、ハウジング11およびベーンロータ21は、図2に示す矢印X方向から見て時計方向へ回転する。以下、この回転方向をクランクシャフトに対するカムシャフト20の進角方向とする。
従動側回転体としてのベーンロータ21は、カムシャフト20の回転軸方向端面と接している。カムシャフト20およびベーンロータ21は、ボルト22により同軸上に固定されている。ベーンロータ21とカムシャフト20との回転方向の位置決めは、ベーンロータ21およびカムシャフト20に位置決めピン23をはめ込むことにより行われる。カムシャフト20、ハウジング11およびベーンロータ21は、図2に示す矢印X方向から見て時計方向へ回転する。以下、この回転方向をクランクシャフトに対するカムシャフト20の進角方向とする。
図3に示すように、台形状に形成されたシュー131、132、133、134は、周壁14から径方向内側に伸びている。シュー131、132、133、134は、周壁14の回転方向にほぼ等間隔に配置されている。シュー131、132、133、134により回転方向に所定角度範囲で四個所に形成された間隙にはそれぞれベーンを収容する扇状の収容室135が四室形成されている。
ベーンロータ21は、カムシャフト20と軸方向端面で結合するボス部24と、ボス部24の外周側に回転方向へほぼ等間隔に配置されたベーン211、212、213、214とを有している。ベーンロータ21は、ハウジング11に対し相対回転可能にハウジング11の内部に収容されている。ベーン211、212、213、214は、各収容室135の内部に回転可能に収容されている。ベーン211、212、213、214は、各収容室135を遅角油圧室と進角油圧室とに仕切っている。図3に示す遅角方向、進角方向を表す矢印は、ハウジング11に対するベーンロータ21の遅角方向および進角方向を示している。
シール部材25は、半径方向に向き合うシュー131、132、133、134とボス部24との間、ならびにベーン211、212、213、214と周壁14の内周壁との間に形成されている摺動隙間に配設されている。シール部材25は、シュー131、132、133、134の先端、およびベーン211、212、213、214の外周壁に設けた溝にはめ込まれており、例えばばねなどによりボス部24の外周壁および周壁14の内周壁に向けて押し付けられている。この構成により、シール部材25は各遅角油圧室と各進角油圧室との間に作動油が漏れることを防止している。
図2に示すように、円筒状に形成されたストッパピストン31は、ベーン211に回転軸方向へ摺動可能に収容されている。嵌合リング32は、チェーンスプロケット12に形成された凹部17に圧入保持されている。ストッパピストン31は、嵌合リング32に嵌合可能である。ストッパピストン31および嵌合リング32の嵌合側はテーパ状に形成されている。そのため、ストッパピストン31は、嵌合リング32に滑らかに嵌合する。押し付け手段であるスプリング33は、嵌合リング32側にストッパピストン31を押し付けている。ストッパピストン31、嵌合リング32およびスプリング33は、ハウジング11に対するベーンロータ21の相対回転を拘束する拘束手段を構成している。
ストッパピストン31のチェーンスプロケット12側に形成された油圧室34、ならびにストッパピストン31の外周に形成された油圧室35に供給される作動油の圧力は、嵌合リング32からストッパピストン31が抜け出す方向へ働く。油圧室34は後述する進角油圧室のいずれかと連通し、油圧室35は遅角油圧室のいずれかと連通している。ストッパピストン31の先端部は、ハウジング11に対し最も遅角側にベーンロータ21が位置するとき嵌合リング32に嵌合可能である。ストッパピストン31が嵌合リング32に嵌合した状態においてハウジング11に対するベーンロータ21の相対回転は拘束されている。
ハウジング11に対しベーンロータ21が最も遅角側から進角側へ回転すると、ストッパピストン31と嵌合リング32との回転方向の位置がずれる。そのため、ストッパピストン31は、嵌合リング32に嵌合不能となる。
図3に示すように、シュー131とベーン211との間に遅角油圧室41が形成され、シュー132とベーン212との間に遅角油圧室42が形成され、シュー133とベーン213との間に遅角油圧室43が形成され、シュー134とベーン214との間に遅角油圧室44が形成されている。また、シュー134とベーン211との間に進角油圧室51が形成され、シュー131とベーン212との間に進角油圧室52が形成され、シュー132とベーン213との間に進角油圧室53が形成され、シュー133とベーン214との間に進角油圧室54が形成されている。ここで、遅角油圧室41、42、43、44は特許請求の範囲の遅角室であり、進角油圧室51、52、53、54は特許請求の範囲の進角室である。
図3に示すように、シュー131とベーン211との間に遅角油圧室41が形成され、シュー132とベーン212との間に遅角油圧室42が形成され、シュー133とベーン213との間に遅角油圧室43が形成され、シュー134とベーン214との間に遅角油圧室44が形成されている。また、シュー134とベーン211との間に進角油圧室51が形成され、シュー131とベーン212との間に進角油圧室52が形成され、シュー132とベーン213との間に進角油圧室53が形成され、シュー133とベーン214との間に進角油圧室54が形成されている。ここで、遅角油圧室41、42、43、44は特許請求の範囲の遅角室であり、進角油圧室51、52、53、54は特許請求の範囲の進角室である。
図2に示すように流体供給源としてのオイルポンプ1は、オイルタンク2から汲み上げた作動油を供給通路3に供給する。切換弁60は、公知の電磁スプール弁であり、カムシャフト20の軸受6よりもオイルポンプ1側において、供給通路3および排出通路4と、遅角通路70、進角通路80との間に設置されている。切換弁60は、電子制御装置(ECU)5から電磁駆動部61に供給されるディーティ比制御された駆動電流により切換制御される。切換弁60のスプール62は、駆動電流のディーティ比に基づいて変位する。このスプール62の位置により、切換弁60は、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54への作動油の供給、ならびに遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54からの作動油の排出を切り換える。切換弁60への通電をオフした状態では、スプリング63の押し付け力によりスプール62は図2および図4に示す位置にある。
図2に示すように、軸受6により回転を支持されているカムシャフト20の外周壁には、環状通路26、27が形成されている。遅角通路71は切換弁60から環状通路26を通り、進角通路81は切換弁60から環状通路27を通ってカムシャフト20の内部およびベーンロータ21のボス部24の内部に形成されている。
図4および図5に示すように、遅角通路70は、遅角油圧室41、42、43、44と接続する遅角通路72、73、74、75に分岐している。遅角通路72、73、74、75は、遅角油圧室41、42、43、44に作動油を供給するとともに、遅角油圧室41、42、43、44から流体排出側である排出通路4側へ作動油を排出する。したがって、遅角通路72、73、74、75は、遅角供給通路と遅角排出通路とを兼ねている。
進角通路80は、進角油圧室51、52、53、54と接続する進角通路82、83、84、85に分岐している。進角通路82、83、84、85は、進角油圧室51、52、53、54に作動油を供給するとともに、進角油圧室51、52、53、54から排出通路4側へ作動油を排出する。したがって、進角通路82、83、84、85は、進角供給通路と進角排出通路とを兼ねている。
逆止弁90は、進角油圧室53に接続する第一進角通路である進角通路83に設置されている。逆止弁90は、図1に示すように弁部材93を有している。弁部材93は、内部に通路を形成するホルダ94の弁座96に着座可能である。弁部材93は、例えばスプリングなどの弾性部材95によって弁座96側へ押し付けられている。弁部材93が弁座96から離座、または弁部材93が弁座96へ着座することにより、進角通路83は開閉される。逆止弁90は、進角通路83において軸受6よりも進角油圧室53側に設置されている。すなわち、進角油圧室53は特許請求の範囲の制御進角室であり、進角油圧室53に接続する進角通路83は第一進角通路である。逆止弁90は、オイルポンプ1から進角通路83を通って進角油圧室53に作動油が流入することを許容し、進角油圧室53から進角通路83を通ってオイルポンプ1側へ作動油が逆流することを禁止する。逆止弁90は、進角油圧室53とは反対側が進角通路87に連通している。進角通路87は、図4に示すように逆止弁90を挟んで進角通路83に接続している。
逆止弁90の進角油圧室53側からは、進角通路83と進角通路87とを接続する第二進角通路である進角通路86が分岐している。進角通路86は、進角油圧室53と進角通路87とを接続している。この進角通路86には、制御弁100が設置されている。制御弁100は、図1に示すようにベーンロータ21のベーン213の内部に往復移動可能に弁部材としてのスプール101を収容したスプール弁である。スプール101は、ベーンロータ21の内部をベーンロータ21の軸方向へ往復移動する。制御弁100は、軸受6よりも進角油圧室53側に設置されている。制御弁100には、進角通路80から分岐する進角パイロット油路103が接続している。本実施形態の場合、図1および図3に示すように進角パイロット油路103は、進角通路87を兼ねている。
制御弁100は、スプール101を押し付ける弾性部材110を有している。弾性部材110は、例えばスプリングやダンパなどの弾性力を有する部材である。弾性部材110は、図1に示すようにスプール101の軸方向において一方の端部、すなわちチェーンスプロケット12側に設置されている。制御弁100のスプール101は、進角パイロット油路103を経由して供給される作動油から受ける力と弾性部材110から受ける力とのバランスによって移動する。これにより、制御弁100は、進角油圧室53と排出通路4とを接続する進角通路86を開閉する。チェーンスプロケット12は、スプール101の弾性部材110側に浸入する作動油を大気へ排出するための背圧排出通路121を有している。
以上の通路構成により、オイルポンプ1から遅角油圧室41、42、43、44、進角油圧室51、52、53、54、油圧室34および油圧室35に作動油を供給可能になるとともに、各油圧室から排出通路4へ作動油を排出可能になる。
以上の通路構成により、オイルポンプ1から遅角油圧室41、42、43、44、進角油圧室51、52、53、54、油圧室34および油圧室35に作動油を供給可能になるとともに、各油圧室から排出通路4へ作動油を排出可能になる。
次に、バルブタイミング調整装置10の作動を説明する。
エンジンが停止しているとき、ストッパピストン31は嵌合リング32に嵌合している。エンジンを始動した直後の状態では、遅角油圧室41、42、43、44、進角油圧室51、52、53、54、油圧室34および油圧室35にオイルポンプ1から十分な圧力の作動油が供給されない。そのため、ストッパピストン31は嵌合リング32に嵌合したままであり、クランクシャフトに対しカムシャフト20は最遅角位置に保持されている。これにより、作動油が各油圧室に供給されるまでの間、カムシャフト20が受けるトルク変動によってハウジング11とベーンロータ21の相対回転振動により発生する衝突による異音の発生が防止される。
エンジンが停止しているとき、ストッパピストン31は嵌合リング32に嵌合している。エンジンを始動した直後の状態では、遅角油圧室41、42、43、44、進角油圧室51、52、53、54、油圧室34および油圧室35にオイルポンプ1から十分な圧力の作動油が供給されない。そのため、ストッパピストン31は嵌合リング32に嵌合したままであり、クランクシャフトに対しカムシャフト20は最遅角位置に保持されている。これにより、作動油が各油圧室に供給されるまでの間、カムシャフト20が受けるトルク変動によってハウジング11とベーンロータ21の相対回転振動により発生する衝突による異音の発生が防止される。
エンジンが始動され、オイルポンプ1から作動油が十分に供給されると、油圧室34または油圧室35に供給される作動油の油圧によってストッパピストン31は嵌合リング32から抜け出す。そのため、ベーンロータ21は、ハウジング11に対し回転可能となる。そして、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54に供給する作動油を制御することにより、クランクシャフトに対するカムシャフト20の位相差が調整される。
(遅角側への変位)
切換弁60への通電がオフのとき、スプール62はスプリング63の押し付け力によって図4に示す位置にある。この状態のとき、供給通路3から遅角通路70に作動油が供給され、遅角通路70から遅角油圧室41、42、43、44へ作動油が供給される。また、この状態のとき、進角油圧室51、52、53、54の作動油は、進角通路82、83、84、84から進角通路80、切換弁60を経由して排出通路4に排出される。進角油圧室53の作動油は、進角通路83に接続している逆止弁90へ流入する。このとき、逆止弁90では、図1(A)に示すように進角通路87側よりも進角油圧室53側の進角通路83の作動油の圧力が高くなる。そのため、逆止弁90は、弁部材93が弁座96に着座し、進角油圧室53と進角通路87とを接続する進角通路83の連通を遮断する。
切換弁60への通電がオフのとき、スプール62はスプリング63の押し付け力によって図4に示す位置にある。この状態のとき、供給通路3から遅角通路70に作動油が供給され、遅角通路70から遅角油圧室41、42、43、44へ作動油が供給される。また、この状態のとき、進角油圧室51、52、53、54の作動油は、進角通路82、83、84、84から進角通路80、切換弁60を経由して排出通路4に排出される。進角油圧室53の作動油は、進角通路83に接続している逆止弁90へ流入する。このとき、逆止弁90では、図1(A)に示すように進角通路87側よりも進角油圧室53側の進角通路83の作動油の圧力が高くなる。そのため、逆止弁90は、弁部材93が弁座96に着座し、進角油圧室53と進角通路87とを接続する進角通路83の連通を遮断する。
このとき、進角パイロット油路103に接続する制御弁100には、進角通路80および進角パイロット油路103から作動油が供給されない。そのため、制御弁100は、弾性部材110の押し付け力のみが加わり、作動油から力を受けない。これにより、制御弁100のスプール101は、弾性部材110の押し付け力によって移動する。その結果、制御弁100は進角通路86を開放し、進角油圧室53から排出された作動油は進角通路83、進角通路86、制御弁100、切換弁60を通り排出通路4へ排出される。このように、遅角油圧室41、42、43、44に作動油が供給され、進角油圧室51、52、53、54から作動油が排出されることにより、ベーンロータ21は四室ある遅角油圧室41、42、43、44の作動油から力を受ける。その結果、ベーンロータ21はハウジング11に対し遅角側へ回転する。
(進角側への変位)
切換弁60への通電をオンすると、スプール62はスプリング63の押し付け力に抗して加わる電磁駆動部61の駆動力によって図5に示す位置へ移動する。この状態において、供給通路3から進角通路80に作動油が供給され、進角通路80を経由して進角油圧室51、52、53、54へ作動油が供給される。進角油圧室53の場合、進角通路87から逆止弁90を経由して作動油が供給される。一方、遅角油圧室41、42、43、44の作動油は、遅角通路72、73、74、75から遅角通路70、切換弁60を経由して排出通路4に排出される。このように、進角油圧室51、52、53、54に作動油が供給され、遅角油圧室41、42、43、44から作動油が排出されることにより、ベーンロータ21は四室ある進角油圧室51、52、53、54の作動油から力を受ける。その結果、ベーンロータ21はハウジング11に対し進角側へ回転する。
切換弁60への通電をオンすると、スプール62はスプリング63の押し付け力に抗して加わる電磁駆動部61の駆動力によって図5に示す位置へ移動する。この状態において、供給通路3から進角通路80に作動油が供給され、進角通路80を経由して進角油圧室51、52、53、54へ作動油が供給される。進角油圧室53の場合、進角通路87から逆止弁90を経由して作動油が供給される。一方、遅角油圧室41、42、43、44の作動油は、遅角通路72、73、74、75から遅角通路70、切換弁60を経由して排出通路4に排出される。このように、進角油圧室51、52、53、54に作動油が供給され、遅角油圧室41、42、43、44から作動油が排出されることにより、ベーンロータ21は四室ある進角油圧室51、52、53、54の作動油から力を受ける。その結果、ベーンロータ21はハウジング11に対し進角側へ回転する。
このとき、進角パイロット油路103に接続する制御弁100には、作動油が供給される。そのため、制御弁100のスプール101には、弾性部材110だけでなく、進角パイロット油路103を経由して供給された作動油から力が加わる。スプール101が進角パイロット油路103を経由して供給された作動油から受ける力は、弾性部材110の押し付け力より大きい。その結果、制御弁100のスプール101は、図1(B)および図1(C)に示すように供給された作動油から受ける力によって弾性部材110の押し付け力に抗して移動し、進角通路86を遮断する。
進角油圧室51、52、53、54に作動油を供給し、遅角油圧室41、42、43、44から作動油を排出することによりベーンロータ21を進角側の目標位相に位相制御するとき、ベーンロータ21はハウジング11に対し遅角側および進角側にトルク変動を受ける。このとき、ベーンロータ21が受けるトルク変動は、平均すると遅角側に大きく働く。ベーンロータ21が遅角側にトルク変動を受けると、進角油圧室51、52、53、54の作動油は進角通路82、83、84、85に流出する力を受ける。しかし、ベーンロータ21が遅角側へトルク変動を受けるとき、図1(B)に示すように進角通路83は逆止弁90によって遮断される。また、進角通路86は制御弁100が遮断している。そのため、進角油圧室53の作動油は進角通路83側へ排出されない。したがって、オイルポンプ1から供給される作動油の油圧が低いときに、ベーンロータ21が遅角側にトルク変動を受けても、ベーンロータ21はハウジング11に対して遅角側へ戻されない。その結果、進角油圧室51、52、54からも作動油は排出されない。これにより、ベーンロータ21がカムシャフト20から遅角側へトルク変動を受けても、ベーンロータ21がハウジング11に対し目標位相と反対の遅角側へ戻ることが防止できる。一方、ベーンロータ21が進角側にトルク変動を受けるとき、図1(A)に示すように進角通路83の逆止弁90は開放される。そのため、進角油圧室53をはじめ進角油圧室51、52、54へ作動油が供給される。その結果、ベーンロータ21は、進角側の目標位相へ速やかに到達する。
ベーンロータ21が目標位相に到達すると、ECU5は切換弁60に供給する駆動電流のデューティ比を制御し、スプール62を図4と図5との中間位置に保持する。その結果、切換弁60は、遅角通路70および進角通路80と、オイルポンプ1および排出通路4側との接続を遮断し、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54から排出通路4へ作動油が排出されることを防止する。したがって、ベーンロータ21は、目標位相に保持される。
第1実施形態では、制御弁100のスプール101を駆動する駆動力として、進角パイロット油路103から供給される作動油、および弾性部材110の押し付け力を利用している。そのため、スプール101の駆動に必要な作動油の油路は、進角パイロット油路103だけである。したがって、制御弁100の油路構成を簡略化することができ、構造を簡単にすることができる。
また、第1実施形態では、弾性部材110はスプール101のチェーンスプロケット12側に設置されている。すなわち、弾性部材110は、ベーンロータ21の軸方向においてスプール101の端部に設置されている。これにより、ベーンロータ21の回転にともなって遠心力が発生しても、スプール101および弾性部材110に遠心力が加わることはない。したがって、弾性部材110の押し付け力を設定する場合に、遠心力の影響を排除することができ、押し付け力を容易に設定することができる。また、遠心力の影響を排除することにより、バルブタイミング調整装置10の回転速度に関わらず弾性部材110の押し付け力を一定にすることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図6から図9に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図6から図9に示すように、第2実施形態によるバルブタイミング調整装置10は、制御弁100の構成が第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、進角通路86に設置されている制御弁100は遅角パイロット油路102が接続している。制御弁100は、スプール101を押し付ける弾性部材110を有している。弾性部材110は、図6に示すようにスプール101の軸方向において一方の端部、すなわちフロントプレート15側に設置されている。制御弁100のスプール101は、遅角パイロット油路102を経由して供給される作動油から受ける力と弾性部材から受ける力とのバランスによって移動する。これにより、制御弁100は、進角油圧室53と排出通路4とを接続する進角通路86を開閉する。ベーンロータ21には、図7に示すようにスプール101の弾性部材110側に浸入する作動油を大気へ排出するための背圧排出通路215を形成している。背圧排出通路215は、図6に示すようにフロントプレート15の開口部151を経由して大気に開放されている。スプール101は、第1実施形態と同様にベーンロータ21の軸方向へ往復移動して進角通路86を開閉する。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図6から図9に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図6から図9に示すように、第2実施形態によるバルブタイミング調整装置10は、制御弁100の構成が第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、進角通路86に設置されている制御弁100は遅角パイロット油路102が接続している。制御弁100は、スプール101を押し付ける弾性部材110を有している。弾性部材110は、図6に示すようにスプール101の軸方向において一方の端部、すなわちフロントプレート15側に設置されている。制御弁100のスプール101は、遅角パイロット油路102を経由して供給される作動油から受ける力と弾性部材から受ける力とのバランスによって移動する。これにより、制御弁100は、進角油圧室53と排出通路4とを接続する進角通路86を開閉する。ベーンロータ21には、図7に示すようにスプール101の弾性部材110側に浸入する作動油を大気へ排出するための背圧排出通路215を形成している。背圧排出通路215は、図6に示すようにフロントプレート15の開口部151を経由して大気に開放されている。スプール101は、第1実施形態と同様にベーンロータ21の軸方向へ往復移動して進角通路86を開閉する。
バルブタイミング調整装置10のベーンロータ21が遅角側へ変位するとき、制御弁100には遅角パイロット油路102から作動油が供給される。これにより、制御弁100のスプール101は、図8に示すように弾性部材110の押し付け力に抗して移動し、進角通路86を開放する。一方、バルブタイミング調整装置10のベーンロータ21が進角側へ変位するとき、制御弁100には遅角パイロット油路102から作動油が供給されない。そのため、制御弁100のスプール101は、図9に示すように弾性部材110の押し付け力によって移動し、進角通路86を遮断する。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図10から図12に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図10から図12に示す第3実施形態によるバルブタイミング調整装置10は、吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方のバルブタイミングを調整する。本実施形態は排気弁のバルブタイミングの調整に適用したものであり、エンジン停止時もしくは始動時はロータベーン21を最進角側にしておく必要性から、ハウジング15に対してベーンロータ21を進角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材としてのスプリング18を備える構成となっている。ベーンロータ21にはカムシャフト20から伝わるトルク変動に加えて、スプリング18の押し付け力が加わる。そのためベーンロータ21が受けるトルク変動の平均値は遅角側よりも進角側に大きく働く。バルブタイミング調整装置10に加わるトルク変動の平均値の大きさは上述の第1実施形態で説明したバルブタイミング調整装置10と逆になる。そのため、第3実施形態では、逆止弁90は制御遅角室である遅角油圧室43と遅角通路70との間に設置されている。すなわち、逆止弁90は、第一遅角通路としての遅角通路74と遅角通路70との間を開閉する。
本発明の第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を図10から図12に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図10から図12に示す第3実施形態によるバルブタイミング調整装置10は、吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方のバルブタイミングを調整する。本実施形態は排気弁のバルブタイミングの調整に適用したものであり、エンジン停止時もしくは始動時はロータベーン21を最進角側にしておく必要性から、ハウジング15に対してベーンロータ21を進角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材としてのスプリング18を備える構成となっている。ベーンロータ21にはカムシャフト20から伝わるトルク変動に加えて、スプリング18の押し付け力が加わる。そのためベーンロータ21が受けるトルク変動の平均値は遅角側よりも進角側に大きく働く。バルブタイミング調整装置10に加わるトルク変動の平均値の大きさは上述の第1実施形態で説明したバルブタイミング調整装置10と逆になる。そのため、第3実施形態では、逆止弁90は制御遅角室である遅角油圧室43と遅角通路70との間に設置されている。すなわち、逆止弁90は、第一遅角通路としての遅角通路74と遅角通路70との間を開閉する。
逆止弁90の遅角油圧室43側からは、第二遅角通路である遅角通路76が分岐している。遅角通路76は、遅角油圧室43と遅角通路70とを接続している。この遅角通路76には、制御弁100が設置されている。制御弁100は、図10に示すようにベーンロータ21の内部に往復移動可能に弁部材としてのスプール101を収容したスプール弁である。スプール101は、ベーンロータ21の内部をベーンロータ21の軸方向へ往復移動する。制御弁100は、軸受6よりも遅角油圧室43側に設置されている。制御弁100には、遅角通路77から分岐する遅角パイロット油路104が接続している。
制御弁100は、スプール101を押し付ける弾性部材110を有している。弾性部材110は、図10に示すようにスプール101の軸方向において一方の端部、すなわちチェーンスプロケット12側に設置されている。制御弁100のスプール101は、遅角パイロット油路104を経由して供給される作動油から受ける力と弾性部材110から受ける力とのバランスによって移動する。これにより、制御弁100は、図11に示すように遅角油圧室43と排出通路4とを接続する遅角通路76を開閉する。
また、第3実施形態に示すバルブタイミング調整装置10は、排気弁のバルブタイミングの調整に適用したものであり、エンジンが停止したとき、ベーンロータ21を最進角位置に移動させるため、バルブタイミング調整装置10は、図10に示すようにベーンロータ21を最進角方向へ押し付けるロータ付勢弾性部材としてのスプリング18を備えている。これにより、エンジンが停止し作動油の油圧が低下すると、ベーンロータ21はスプリング18の押し付け力により最進角位置へ回転する。そして、ベーンロータ21が最進角位置に達すると、ストッパピストン31がチェーンスプロケット12の嵌合リング32に嵌合する。これにより、エンジンの再始動時には、バルブタイミング調整装置10は最進角位置にある。
バルブタイミング調整装置10のベーンロータ21が図12に示すように遅角側へ変位するとき、制御弁100には遅角パイロット油路104から作動油が供給される。これにより、制御弁100のスプール101は、弾性部材110の押し付け力に抗して移動し、遅角通路76を遮断する。一方、バルブタイミング調整装置10のベーンロータ21が進角側へ変位するとき、制御弁100には進角パイロット油路105から作動油が供給されない。そのため、制御弁100のスプール101は、弾性部材110の押し付け力により移動し、遅角通路76を開放する。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態によるバルブタイミング調整装置を図12に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図12に示す第4実施形態によるバルブタイミング調整装置10は、第3実施形態と同様に排気弁のバルブタイミングの調整に適用したものである。そのため、第4実施形態では、逆止弁90は遅角油圧室43と遅角通路70との間に設置されている。
本発明の第4実施形態によるバルブタイミング調整装置を図12に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図12に示す第4実施形態によるバルブタイミング調整装置10は、第3実施形態と同様に排気弁のバルブタイミングの調整に適用したものである。そのため、第4実施形態では、逆止弁90は遅角油圧室43と遅角通路70との間に設置されている。
第4実施形態では、遅角通路70に設置されている制御弁100は進角パイロット油路105が接続している。制御弁100は、スプール101を押し付ける弾性部材110を有している。制御弁100のスプール101は、進角パイロット油路105を経由して供給される作動油から受ける力と弾性部材110から受ける力とのバランスによって移動する。これにより、制御弁100は、遅角油圧室43と排出通路4とを接続する遅角通路76を開閉する。
バルブタイミング調整装置10のベーンロータ21が図12に示すように遅角側へ変位するとき、制御弁100には進角パイロット油路105から作動油が供給されない。これにより、制御弁100のスプール101は、弾性部材110の押し付け力により移動し、遅角通路76を遮断する。一方、バルブタイミング調整装置10のベーンロータ21が進角側へ変位するとき、制御弁100には進角パイロット油路105から作動油が供給される。そのため、制御弁100のスプール101は、弾性部材110の押し付け力に抗して移動し、遅角通路76を開放する。
上述した複数の実施形態は本発明の実施形態を例示するものであり、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
1 オイルポンプ(流体供給源)、10 バルブタイミング調整装置、11 ハウジング、18 スプリング(ロータ付勢弾性部材)、21 ベーンロータ、41、42、44 遅角油圧室、43 遅角油圧室(第3実施形態および第4実施形態における制御遅角室)、51、52、54 進角油圧室、53 進角油圧室(第1実施形態および第2実施形態における制御進角室)、70、71、72、73、75、77 遅角通路、74 遅角通路(第3実施形態および第4実施形態における第一遅角通路)、76 第二遅角通路、80、81、82、84、85、87 進角通路、83 進角通路(第1実施形態および第2実施形態における第一進角通路)、86 第二進角通路、90 逆止弁、100 制御弁、110 弾性部材、135 収容室、211、212、213、214 ベーン
Claims (5)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁及び排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転し、所定角度範囲で回転方向に形成された収容室を回転方向に複数有するハウジングと、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより各収容室を仕切って形成された複数の遅角室および進角室の作動流体圧力により前記ハウジングに対し遅角側または進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
遅角通路または進角通路を経由して各遅角室または各進角室へ作動流体を供給する流体供給源と前記進角室のうち少なくとも一つの進角室を制御進角室として、前記制御進角室とを接続する第一進角通路に設置され、前記流体供給源から前記制御進角室への作動流体の流れを許容し、前記制御進角室から前記流体供給源側への作動流体の流れを規制する逆止弁と、
前記第一進角通路と前記逆止弁との間から分岐して前記逆止弁よりも前記流体供給源側の前記進角通路に接続する第二進角通路に設置され、前記ベーンロータが進角側へ回転するとき、前記進角通路から導入される油圧により前記第二進角通路を遮断する制御弁と、
前記制御弁を前記進角通路から導入される油圧とは逆方向へ押し付け、前記ベーンロータが遅角側へ回転するとき、前記第二進角通路が開放される方向へ前記制御弁を駆動する弾性部材と、
を備えるバルブタイミング調整装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転し、所定角度範囲で回転方向に形成された収容室を回転方向に複数有するハウジングと、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより各収容室を仕切って形成された複数の遅角室および進角室の作動流体圧力により前記ハウジングに対し遅角側または進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
遅角通路または進角通路を経由して各遅角室または各進角室へ作動流体を供給する流体供給源と前記進角室のうち少なくとも一つの進角室を制御進角室として、前記制御進角室とを接続する第一進角通路に設置され、前記流体供給源から前記制御進角室への作動流体の流れを許容し、前記制御進角室から前記流体供給源側への作動流体の流れを規制する逆止弁と、
前記第一進角通路と前記逆止弁との間から分岐して前記逆止弁よりも前記流体供給源側の前記進角通路に接続する第二進角通路に設置され、前記ベーンロータが遅角側へ回転するとき、前記遅角通路から導入される油圧により前記第二進角通路を開放する制御弁と、
前記制御弁を前記遅角通路から導入される油圧とは逆方向へ押し付け、前記ベーンロータが進角側へ回転するとき、前記第二進角通路が遮断される方向へ前記制御弁を駆動する弾性部材と、
を備えるバルブタイミング調整装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転し、所定角度範囲で回転方向に形成された収容室を回転方向に複数有するハウジングと、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより各収容室を仕切って形成された複数の遅角室および進角室の作動流体圧力により前記ハウジングに対し遅角側または進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
前記ハウジングと前記ベーンロータの間に設置されて前記ハウジングに対して前記ベーンロータを進角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材と、
遅角通路または進角通路を経由して各遅角室または各進角室へ作動流体を供給する流体供給源と前記遅角室のうち少なくとも一つの遅角室を制御遅角室として、前記制御遅角室とを接続する第一遅角通路に設置され、前記流体供給源から前記制御遅角室への作動流体の流れを許容し、前記制御遅角室から前記流体供給源側への作動流体の流れを規制する逆止弁と、
前記第一遅角通路と前記逆止弁との間から分岐して前記逆止弁よりも前記流体供給源側の前記遅角通路に接続する第二遅角通路に設置され、前記ベーンロータが遅角側へ回転するとき、前記遅角通路から導入される油圧により前記第二遅角通路を遮断する制御弁と、
前記制御弁を前記遅角通路から導入される油圧とは逆方向へ押し付け、前記ベーンロータが進角側へ回転するとき、前記第二遅角通路が開放される方向へ前記制御弁を駆動する弾性部材と、
を備えるバルブタイミング調整装置。 - 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転し、所定角度範囲で回転方向に形成された収容室を回転方向に複数有するハウジングと、
前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより各収容室を仕切って形成された複数の遅角室および進角室の作動流体圧力により前記ハウジングに対し遅角側または進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
前記ハウジングと前記ベーンロータの間に設置されて前記ハウジングに対して前記ベーンロータを進角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材と、
遅角通路または進角通路を経由して各遅角室または各進角室へ作動流体を供給する流体供給源と前記遅角室のうち少なくとも一つの遅角室を制御遅角室として、前記制御遅角室とを接続する第一遅角通路に設置され、前記流体供給源から前記制御遅角室への作動流体の流れを許容し、前記制御遅角室から前記流体供給源側への作動流体の流れを規制する逆止弁と、
前記第一遅角通路と前記逆止弁との間から分岐して前記逆止弁よりも前記流体供給源側の前記遅角通路に接続する第二遅角通路に設置され、前記ベーンロータが進角側へ回転するとき、前記進角通路から導入される油圧により前記第二遅角通路を開放する制御弁と、
前記制御弁を前記進角通路から導入される油圧とは逆方向へ押し付け、前記ベーンロータが遅角側へ回転するとき、前記第二遅角通路が遮断される方向へ前記制御弁を駆動する弾性部材と、
を備えるバルブタイミング調整装置。 - 前記制御弁は、前記ベーンロータの軸方向へ移動する弁部材を有する請求項1から4のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
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