JP5333183B2 - バルブタイミング調整システム - Google Patents

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本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」という)の吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整システムに関する。
従来、エンジンのクランクシャフトと共に回転するハウジングを介してカムシャフトを駆動し、相対回転するハウジングとカムシャフトとの位相差を利用して吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整するベーン式のバルブタイミング調整装置が知られている。また、このようなバルブタイミング調整装置では、ベーンロータに突出可能に収容された規制部材を突出させハウジングに嵌合させることによって、ハウジングに対するベーンロータの相対回転を規制位置で規制する(例えば、特許文献1参照)。これは、作動流体が十分に供給されないエンジン始動時など、カムシャフトのトルク変動によりベーンロータが揺動することで異音が発生することがあるためである。
このように、エンジン始動時などにおけるベーンロータの相対回動を規制すべく規制部材が用いられる。したがって、一般的に、上記規制位置は、エンジン始動に最適な位置となっている。
特開2006−183631号公報
しかしながら、運転者の意図せぬエンジン停止、いわゆるエンジンストールにより、規制部材がハウジングに嵌合していない状態でエンジンが停止することがある。この場合、ベーンロータはエンジン始動に最適な位置に保持されていないため、エンジンを始動させるのに要する時間が長くなる虞がある。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、意図せぬエンジン停止など、ベーンロータが規制位置にない場合であっても、速やかにエンジンを始動可能なバルブタイミング調整システムを提供することにある。
上述した課題を解決するためになされた請求項1に記載のバルブタイミング調整システムは、バルブタイミング調整装置、流路切換弁、及び制御部を備えている。
バルブタイミング調整装置は、エンジンの駆動軸と従動軸との位相を調整することによって従動軸によって開閉駆動されるエンジンの吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを変える装置である。
バルブタイミング調整装置は、駆動軸及び従動軸のうち一方とともに回転するハウジングと、駆動軸及び従動軸のうち他方とともに回転し、作動流体の圧力によりハウジングに対して相対回転駆動されるベーンロータと、規制部材とを有している。ハウジングが有する複数のシューとベーンロータが有する複数のベーンとの間には、油圧によってベーンロータを進角側に回転させる進角油圧室および油圧によって前記ベーンロータを遅角側に回転させる遅角油圧室が形成される。規制部材は、ベーンロータに突出可能に収容され、ベーンロータから突出しハウジングに嵌合することで、ハウジングに対するベーンロータの相対回転駆動を規制位置で規制可能である。
ここでいう「規制位置」とは、エンジンを始動させる際に最適なバルブタイミングとなるようなハウジングに対するベーンロータの位置(以下、「エンジン始動最適位置」という)をいう。「エンジン始動最適位置」とは、エンジンの構成によってその詳細な位置は異なるが、最進角位置と最遅角位置との中間位置であることが例示される。
流路切換弁は、作動流体が貯留されている作動流体貯留部からバルブタイミング調整装置の前記進角油圧室又は前記遅角油圧室に作動流体を供給するための流路の切り換えを行う。流路切換弁の制御は制御部により司られている。
制御部は、エンスト情報記憶手段とベーンロータ回動手段とを有している。エンスト情報記憶手段は、エンジンの停止の際、エンジンストールが生じていたか否かを示すエンスト情報を記憶する。なお、ここでいう「エンジンストール」とは、運転者の意図に関わりなくエンジンが停止する現象をいう。
ベーンロータ回動手段は、エンスト情報記憶手段によって記憶されたエンスト情報に基づきエンジンストールが生じていた場合、エンジンの始動の際に、規制部材がハウジングに嵌合するようにベーンロータを回動させる。
このような構成によれば、エンジンの始動の際、制御部はベーンロータ回動手段によって規制部材がハウジングに嵌合するようにベーンロータを回動させるため、規制部材がハウジングに嵌合していなかったとしても、規制部材はハウジングに速やかに嵌合する可能性が高い。これによりベーンロータはエンジン始動最適位置で保持される。その結果、意図せぬエンジン停止など、ベーンロータがエンジン始動最適位置にない場合であっても、速やかにエンジンを始動することができ、エンジン始動に要する時間を短縮することができる。
制御部は、エンスト情報記憶手段によって記憶されたエンスト情報に基づきエンジンストールが生じていたか否かを判断するために、エンスト情報読み出し手段とエンスト情報判断手段とを有する。エンスト情報読み出し手段は、エンジンの始動の際、情報記憶手段によって記憶されたエンスト情報の読み出しを行う。エンスト情報判断手段は、エンスト情報読み出し手段によって読み出されたエンスト情報に基づきエンジンストールが生じていたか否かを判断する。
ルブタイミング調整システムでは、制御部は、完爆判断手段とベーンロータ回動停止手段とを有している。完爆判断手段は、エンジンが完爆したか否かを判断する。ここでいう「完爆」とは、「スタータモータなどによる初期回転の付与後にエンジンが自力で回転を維持できるようになる状態」をいう。
ベーンロータ回動停止手段は、完爆判断手段によってエンジンが完爆したと判断された場合、ベーンロータ回動手段によるベーンロータの回動を停止させる。これにより、制御部は、エンジンが完爆するまでの間、ベーンロータ回動手段によってベーンロータを回動し続けるため、エンジンを確実に始動することができる。結果として、意図せぬエンジン停止など、ベーンロータがエンジン始動最適位置にない場合であっても、速やかにエンジンを始動することができる。
ーンロータ回動手段は、進角油圧室および遅角油圧室から交互に作動油が排出されるように、流路切換弁の開閉を断続して行うことでベーンロータを揺動させる。
または、ベーンロータ回動手段は、作動流体貯留からバルブタイミング調整装置への作動流体の供給を阻止するとともにバルブタイミング調整装置から作動流体貯留へ作動流体が排出されるように、かつ、進角油圧室および遅角油圧室から交互に作動油が排出されるように流路切換弁を制御することで、ベーンロータを回動させる。ここでいう「作動流体貯留からバルブタイミング調整装置への作動流体の供給を阻止するとともにバルブタイミング調整装置から作動流体貯留へ作動流体が排出される」状態とは、バルブタイミング調整装置に作動流体を給排する流路が、いわゆる「大気開放」されている状態をいう。
ところで、エンスト情報記憶手段は、エンジンストールの発生を如何なる手法で判断してもよい。一例として、請求項に示すバルブタイミング調整装置では、エンスト情報記憶手段が、エンジン停止判断手段、嵌合判断手段、及びエンスト情報書き込み手段を有する。
エンジン停止判断手段は、エンジン停止の際、エンジンが停止したか否かを判断する。具体的には、クランク角センサによる検出値や運転者によるキーオフ操作が行われたこと等に基づき、エンジンが停止したと判断することが例示される。
嵌合判断手段は、エンジン停止判断手段によってエンジンが停止したと判断された場合、規制部材がハウジングに嵌合しているか否かを判断する。
エンスト情報書き込み手段は、エンスト情報をエンスト情報記憶部に書き込む。エンスト情報は、嵌合判断手段によって規制部材がハウジングに嵌合していると判断された場合はエンジンストールが生じていなかったことを示し、規制部材がハウジングに嵌合していないと判断された場合はエンジンストールが生じていたことを示す。
なお、ここで嵌合判断手段は、具体的には請求項に示すように、カム角センサによる検出値に基づきベーンロータがエンジン始動最適位置に保持されている場合に、規制部材がハウジングに嵌合していると判断することが例示される。
本発明の第1実施形態のバルブタイミング調整システムを示す模式図である。 図1のII−II線断面図である。 本発明のバルブタイミング調整システムが適用される駆動力伝達系を示す模式図である。 本発明の第1実施形態のバルブタイミング調整システムの制御部における処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態のバルブタイミング調整システムのエンスト情報記憶手段の機能としての処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態のバルブタイミング調整システムを示す模式図である。
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本形態のバルブタイミング調整システムを図1に示す。バルブタイミング調整システム1は、駆動力伝達系に適用される。そこではじめに、バルブタイミング調整システム1が適用される駆動力伝達系について説明する。
駆動力伝達系では、図3に示すように、エンジン3のクランクシャフト4に固定されるギア5と、カムシャフト6、7に固定されるギア8、9にチェーン80が巻き掛けられ、クランクシャフト4からカムシャフト6、5に駆動力が伝達される。一方のカムシャフト6は排気バルブ20を開閉駆動し、他方のカムシャフト7は吸気バルブ21を開閉駆動する。本形態では、バルブタイミング調整システム1は排気バルブ20のバルブタイミングの調整に適用される。なお、クランクシャフト4は「駆動軸」を構成し、カムシャフト6、7は「従動軸」を構成している。
バルブタイミング調整システム1は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式のバルブタイミング調整装置10、油圧制御弁(Oilflow Control Vulbe。以下、OCVという)24及びエンジンコントロールユニット(Engine Control Unit。以下、ECUという)100を備えている(図1参照)。なお、OCV24は「流路切換弁」を構成し、ECU100が「制御部」を構成する。以下、詳細に説明する。
バルブタイミング調整装置10は、図1及び図2に示すように、ハウジング12、ベーンロータ14、及び規制部材としてのストッパピストン30等を有している。
ハウジング12は、側壁としてのフロントプレート13、周壁としてのシューハウジング15及び側壁としてのプロケット11を有している。スプロケット11、シューハウジング15及びフロントプレート13は、ボルト19によって同軸上に固定されている。これにより、シューハウジング15の軸方向両端にフロントプレート13及びスプロケット11が接続し、シューハウジング15、フロントプレート13及びスプロケット11によって収容室35が形成されている。ハウジング12は、スプロケット11の径外方向端部に形成されているギア8を経て伝達されるクランクシャフト4の駆動力によって、クランクシャフト4と同期して回転する。
カムシャフト6には、ハウジング12を経てクランクシャフト4の駆動力が伝達される。カムシャフト6は、スプロケット11に対し所定の位相差をおいて回転可能にスプロケット11に挿入されている。
ベーンロータ14は、収容室35に収容され、カムシャフト6の回転軸方向端面と接している。カムシャフト6及びベーンロータ14は、ボルト17によって同軸上に固定されている。ベーンロータ14とカムシャフト6との回転方向の位置決めは、ベーンロータ14及びカムシャフト6に位置決めピン48をはめ込むことにより行われる。これにより、ベーンロータ14及びカムシャフト6は、ハウジング12に対して同軸に相対回転可能となっている。カムシャフト6、ハウジング12及びベーンロータ14は、図2の紙面左側すなわち反カムシャフト6側から見て時計方向へ回転する。以下、この回転方向をクランクシャフト4に対するカムシャフト6の進角方向とする。
フロントプレート13とベーンロータ14との間にはアシストスプリング16が挿入されている。アシストスプリング16は、一端をフロントプレート13に係止され、他端をベーンロータ14に係止されている。アシストスプリング16は、フロントプレート13に対し進角する方向にベーンロータ14を付勢する。
図2に示すように、ハウジング12のシューハウジング15は、筒状の筒部150と、筒部150から径内方向へ延びるシュー151〜154とを有している。シュー151〜154は略台形に形成され、筒部150の回転方向にほぼ等間隔に配置されている。
ベーンロータ14は、円筒状のロータ40と、ロータ40の外周側に回転方向へほぼ等間隔に配置されたベーン41〜44とを有している。ベーン41〜44は、ロータ40と一体に形成されている。前述のように、ベーンロータ14は、ハウジング12に対し相対回転可能に収容室35に収容されている。収容室35は回転方向に隣接するシュー151〜154によって四つのベーン収容室50に区切られており、各ベーン収容室50にはベーン41〜44がそれぞれ収容されている。
ベーン41〜44は、各ベーン収容室50を遅角油圧室と進角油圧室とに仕切っている。すなわち、シュー151とベーン41との間に遅角油圧室55が形成され、シュー152とベーン42との間に遅角油圧室56が形成され、シュー153とベーン43との間に遅角油圧室57が形成され、シュー154とベーン44との間に遅角油圧室58が形成されている。また、シュー154とベーン41との間に進角油圧室51が形成され、シュー151とベーン42との間に進角油圧室52が形成され、シュー152とベーン43との間に進角油圧室53が形成され、シュー153とベーン44との間に進角油圧室54が形成されている。
シール部材18は、径方向に向き合うシュー151〜154とロータ40との間、ならびにベーン41〜44とシューハウジング15の筒部150との間に配設されている。シール部材18は、シュー151〜154の先端、およびベーン1〜4の反ロータ40側端部に設けた溝にはめ込まれており、例えば、ばね等によりロータ40の外周壁及び筒部150の内周壁に向けて押し付けられている。この構成により、シール部材18は各進角油圧室51〜5と各遅角油圧室55〜58とを液密に保持し、各進角油圧室51〜5と各遅角油圧室55〜58との間に作動油が漏れることを防止する。
ベーンロータ14は、回転軸方向に貫通するようベーン41に形成された収容孔47を有している(図1及び2参照)。収容孔47には、ストッパ部材としてのストッパピストン30が往復移動可能に収容されている。
ストッパピストン30は、筒部31と、外径が筒部31の外径よりも相対的に小さく形成されている嵌合部32とを有している。筒部31は、その径方向内側に、スプリング39を有している。スプリング39は、一端が筒部31に係止され、他端がフロントプレート13の端面に係止されている。スプリング39によって、ストッパピストン30はスプロケット11側へ付勢される。
スプロケット11のベーンロータ14側端面には、図1に示すように、溝38に圧入された嵌合リング33によって嵌合穴34が形成されている。本形態では、嵌合穴34は、エンジン始動最適位置として、ベーン41がとり得る最進角位置と最遅角位置との略中間位置に形成されている。嵌合穴34は、ストッパピストン30のスプロケット11側端部である嵌合部32に対応した形状となっている。これにより、ベーンロータ14がエンジン始動最適位置に位置するとき、ストッパピストン30は嵌合穴34に嵌合可能になっている。
ストッパピストン30において、筒部31は、外径が収容孔47の内径と略同一、または収容孔47の内径よりわずかに小さな径で形成されており、収容孔47に対して液密に摺動可能である。収容孔47の内壁と筒部31の外壁に形成された凹部とによって収容孔47には圧力室36が形成されている。圧力室36は進角油圧室51と連通している。また、収容孔47の内壁と嵌合部32の外壁とによって収容孔47には圧力室37が形成されている。圧力室37は遅角油圧室55と連通している。
進角油圧室51を経て圧力室36に供給される作動油の圧力、及び遅角油圧室55を経て圧力室37に供給される作動油の圧力は、ともにストッパピストン30が嵌合穴34から抜け出す方向に作用する。すなわち、バルブタイミング調整装置10では、圧力室36及び圧力室37に供給される作動油の圧力によって、ベーンロータ14がストッパピストン30によりエンジン始動最適位置で保持されるか否かが決定される。
OCV24は、本形態では電磁スプール弁である。OCV24は、図1に示すように、作動流体貯留としてのオイルタンク27及びオイルタンク27から作動油を汲み上げる油圧ポンプ22と、進角油路25及び遅角油路26との連通及び非連通を切り換える。なお、進角油路25及び遅角油路26は「流路」を構成している。
ここで、進角油路25は、スプロケット11、ベーンロータ14及びカムシャフト6に形成されている図示しない進角油路を介して各進角油圧室に接続されている。遅角油路26は、スプロケット11、ベーンロータ14及びカムシャフト6に形成されている図示しない遅角油路を介して各遅角油圧室に接続されている。これにより、油圧ポンプ22によってオイルタンク27から汲み上げられた作動油は、OCV24を介して、進角油圧室51〜54または遅角油圧室55〜58に供給される。
ECU100は、OCV24の制御を司っている。ECU100は、OCV24を切り換えることによって、油圧ポンプ22及びオイルタンク27に接続する油路25及び26を切り換える。
このように構成したバルブタイミング調整システム1は、通常のエンジン始動時からエンジン停止時において、例えば次に示すように作動する。
通常、運転者はイグニッションキーによってエンジンを始動し、イグニッションキーによってエンジンを停止する。
イグニッションキーによるエンジン始動の際、作動油は油圧ポンプ22から各進角油圧室及び各遅角油圧室へまだ供給されておらず、ストッパピストン30は、ハウジング12の嵌合穴34に嵌合しており、ベーンロータ14はエンジン始動最適位置に保持されている。この状態において、ベーンロータ14はハウジング12に対する相対回転が規制されている。
エンジン通常運転中、ECU100がOCV24を切り換えることによって、作動油が油圧ポンプ22から進角油圧室51または遅角油圧室55を経て圧力室36または圧力室37に供給されると、圧力室36または圧力室37における内圧が高くなる。圧力室36または圧力室37に供給された作動油の圧力がスプリング39による付勢力より大きくなると、ストッパピストン30はハウジング12の嵌合穴34から抜け出し、ベーンロータ14のハウジング12に対する相対回転が許容される。
このとき、作動油が油圧ポンプ22から各進角油圧室51〜54に供給されると、進角油圧室51〜54において作動油の圧力が高くなるため、ベーン41〜44は進角方向へ押圧される。これにより、ベーンロータ14は進角側に回転駆動され、カムシャフト6はクランクシャフト4に対して相対的に進角する。
また、作動油が油圧ポンプ22から各遅角油圧室55〜58に供給されると、遅角油圧室55〜58において作動油の圧力が高くなるため、ベーン41〜44は遅角方向へ押圧される。これにより、ベーンロータ14は遅角側に回動され、カムシャフト6はクランクシャフト4に対して相対的に遅角する。
イグニッションキーによるエンジン停止の際、エンジン回転数の低下に伴い油圧ポンプ22の出力も次第に低下する。ECU100は、ベーンロータ14をエンジン始動最適位置に位置させるべく、OCV24を切り換えることによってベーンロータ14を進角側あるいは遅角側へ回動させる。ベーンロータ14がエンジン始動最適位置に位置すると、ECU100はバルブタイミング調整装置10への作動油の供給及び排出を阻止するようにOCV24を切り換える。
これにより、ベーンロータ14はエンジン始動最適位置に保持され、ストッパピストン30はハウジング12の嵌合穴34に嵌合する。ストッパピストン30の嵌合によって、ベーンロータ14のハウジング12に対する相対回転は阻止される。この後エンジン3の回転が完全に停止すると、クランクシャフト4及びカムシャフト6は停止するため、クランクシャフト4及びカムシャフト6は、エンジン始動に最適なバルブタイミングを保持した状態のまま次の運転再開時に備える。
このように、通常、運転者がイグニッションキーによってエンジン停止する場合、ストッパピストン30はハウジング12の嵌合穴34に嵌合し、ベーンロータ14はエンジン始動最適位置に保持された状態となっている。
ところで、意図せぬエンジン停止によって、ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合していない状態でエンジンが停止することがある。この場合、ベーンロータ14はエンジン始動最適位置に保持されていない。
そこで特に、本形態では、エンジン始動の際、意図せぬエンジン停止が生じていた場合など、ストッパピストン30をハウジング12に速やかに嵌合させるべく、ECU100によるOCV24の制御によってベーンロータ14を回動させている。以下、詳細に説明する。
ECU100は、内部に情報記憶部300を有している。情報記憶部300は、例えばRAMとして実現される記憶装置である。ECU100には運転状態検出部400及び始動停止検出部410が接続されている。運転状態検出部400は、クランク角センサ401及びカム角センサ402を有している。クランク角センサ401は、クランクシャフト4の回転数を検出可能である。カム角センサ402は、回転するカムシャフト6の角度を検出可能である。
始動停止検出部410は、エンジン3の始動及び停止を検出する装置であり、例えばイグニッションスイッチ411として実現される。イグニッションスイッチ411は、例えば、運転者がイグニッションキーによってエンジン3を始動させた場合にオン状態となり、エンジン3を停止させた場合にオフ状態となる。
ところで上述のように、本形態においては、エンジン始動の際、エンジンストールが生じていたと判断された場合、ストッパピストン30をハウジング12に嵌合させるべく、ECU100によるOCV24の制御によってベーンロータ14を回動させることを特徴としている。そこで、図4に示すフローチャートに基づき、処理を説明する。
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)ではエンスト情報読み出しが行われる。エンスト情報読み出しは、運転者がイグニッションキーを回動させることをきっかけとして、情報記憶部300に記憶されたエンスト情報が読み出される。
S102では、S101によって読み出されたエンスト情報に基づいて、エンジンストールが生じていたか否かを判断する。ここでは、エンジンストールが生じていなかったことをエンスト情報が示す場合に、肯定判断される。ここで、エンジンストールが生じていなかったと判断された場合(S102:NO)、以降の処理を実行せず、本処理を終了する。一方、エンジンストールが生じていたと判断された場合(S102:YES)、S103へ移行する。
S103では、エンジン始動のため、図示しないスタータモータによるクランキングを開始する。
続くS104では、ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合するように、ベーンロータ14を回動させる。なお、ベーンロータ14の回動は具体的には次のように行われる。
本形態では、各進角油圧室または各遅角油圧室から交互に作動油がオイルタンク27へ排出されるように、OCV24の切り換えを断続して行うことによってベーンロータ14を回動させている。OCV24の切り換えに伴って、ベーンロータ14は進角側又は遅角側へ交互に揺動する。また、OCV24の切り換えを繰り返すに伴って、各進角油圧室又は各遅角油圧室の作動油は次第に排出され、また同時に空気を吸い込むため、ベーンロータ14が進角側又は遅角側へ揺動する範囲は次第に大きくなる。この揺動により、ベーンロータ14がエンジン始動最適位置に位置すると、ストッパピストン30はハウジング12の嵌合穴34に嵌合する。
次にS105では、エンジン3が完爆したか否かを判断する。ここでは、クランク角センサ401によって検出されたクランク回転数が予め定められた所定回転数を超えたとき、肯定判断される。ここで、エンジン3が完爆したと判断された場合(S105:YES)、S106に移行する。一方、エンジン3が完爆していないと判断された場合(S105:NO)、S105の判断処理を繰り返す。つまり、ベーンロータ14の回動は、エンジン3が完爆するまでの間、継続して行われる。
エンジンが完爆したと判断された場合に移行するS106では、ベーンロータ14の回動を停止し、S107へ移行する。本形態では、具体的には、OCV24の開閉を停止することによって、ベーンロータの回動を停止する。
次のS107では、クランキングを終了し、本処理を終了する。
なお、本形態におけるECU100が、「エンスト情報読み出し手段」、「エンスト情報判断手段」、「ベーンロータ回動手段」、「完爆判断手段」、及び「ベーンロータ回動停止手段」を構成する。また、図4中のS101が「エンスト情報読み出し手段」の機能としての処理に相当し、S102が「エンスト情報判断手段」の機能としての処理に相当し、S104が「ベーンロータ回動手段」の機能としての処理に相当し、S105が「完爆判断手段」の機能としての処理に相当し、S106が「ベーンロータ回動停止手段」の機能としての処理に相当する。
また、上述のS101ではエンスト情報を情報記憶部300から読み出していたが、エンスト情報は次のように情報記憶部300に記憶される。以下、図5に示すフローチャートに基づき、処理を説明する。
最初のステップS201では、始動停止検出部410のイグニッションスイッチ411のオンオフ状態を検出し、S202に移行する。運転者のイグニッションキーによってイグニッションスイッチ411がオフされたか否かを示すキーオフ情報を読み出す。
S202では、S201によって読み出されたオンオフ状態に基づいて、運転者がイグニッションキーによってエンジン3を停止させたか否かを判断する。ここでは、イグニッションスイッチがオフ状態の場合に、肯定判断される。ここで、運転者がイグニッションキーによってエンジン3を停止させたと判断された場合(S202:YES)、S203へ移行する。一方、運転者がイグニッションキーによってエンジン3を停止させていないと判断された場合(S202:NO)、S206に移行する。
運転者がイグニッションキーによってエンジン3を停止させたと判断された場合に移行するS203では、カム角センサ402の検出値を読み出し、S204へ移行する。
次のS204では、カム角センサ402の検出値に基づいて、ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合しているか否かを判断する。ここでは、カム角センサ402の検出値によってベーンロータ14の回転角がエンジン始動最適位置に等しいか否かを判断し、ベーンロータ14の回転角がエンジン始動最適位置に等しい場合、肯定判断される。ここで、ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合していると判断された場合(S204:YES)、S206へ移行する。一方、ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合していないと判断された場合(S204:NO)、S205へ移行する。
ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合していないと判断された場合に移行するS205では、エンスト情報としてエンジンストールが生じていたことを情報記憶部300に書き込み、本処理を終了する。
運転者がイグニッションキーによってエンジン3を停止させていないと判断された場合、及びストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合していると判断された場合に移行するS206では、エンスト情報としてエンジンストールが生じていなかったことを情報記憶部300に書き込み、本処理を終了する。
なお、本形態におけるECU100が、「エンスト情報記憶手段」を構成し、「エンスト情報記憶手段」は「エンジン停止判断手段」、「嵌合判断手段」、及び「エンスト情報書き込み手段」を構成している。また、図5中のS202が「エンジン停止判断手段」の機能としての処理に相当し、S204が「嵌合判断手段」の機能としての処理に相当し、S205及びS206が「エンスト情報書き込み手段」の機能としての処理に相当する。
以上のように構成された本形態のバルブタイミング調整システム1によれば、エンジン3の始動の際、ECU100はベーンロータ回動手段によってストッパピストン30がハウジング12に嵌合するようにベーンロータ14を回動させるため、ストッパピストン30がハウジング12に嵌合していなかったとしても、ストッパピストン30はハウジング12に速やかに嵌合する可能性が高い。これによりベーンロータ14はエンジン始動最適位置で保持される。その結果、意図せぬエンジン停止など、ベーンロータ14がエンジン始動最適位置にない場合であっても、速やかにエンジン3を始動することができ、エンジン始動に要する時間を短縮することができる。
なお、本形態において、バルブタイミング調整装置10、油圧ポンプ22、オイルタンク27等の配置によっては、エンジンストールなどの意図せぬエンジン停止の場合、バルブタイミング調整装置10及び各油路に作動油と共に空気が残存する場合がある。残存した空気は、ベーンロータ14を回動させるとき圧縮空気となり、回動の妨げとなるため、ストッパピストン30をハウジング12に嵌合させる迄の時間が長くなる虞がある。
本形態によれば、このような場合にも、エンジン3を始動させる際、ECU100はベーンロータ回動手段によってベーンロータ14を回動させるため、ベーンロータ14の回動によってストッパピストン30は速やかにハウジング12に嵌合する。結果として、本形態によれば、バルブタイミング調整装置10、油圧ポンプ22、オイルタンク27等の配置に関わらず、エンジン始動に要する時間を短縮することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のバルブタイミング調整システム2について説明する。本形態では、バルブタイミング調整装置に作動油を供給するための油路及び油路を切り換える油圧制御弁の構成が上記形態とは異なっている。なお、本形態のバルブタイミング調整装置の構成は、図1及び2を用いて説明した上記形態と同様である。したがって以下では、バルブタイミング調整装置へ作動油を給排するための流路の構成を中心に説明する。さらにまた、煩雑になることを避けるため、流用できる符号は、上記形態のものを流用する。
本形態では、図6に示すように、バルブタイミング調整装置10へ作動油を給排するために、進角油路71、進角逆止弁72、進角逆止弁バイパス73、進角ドレイン制御弁74及び進角パイロット油路75と、遅角油路81、角逆止弁2、角逆止弁バイパス3、遅角ドレイン制御弁84及び遅角パイロット油路85とを備えている。なお、進角油路71及び遅角油路81が「流路」を構成する。
さらに本形態では、上記形態のOCV24に代わり、油圧制御弁62と制御油路切換弁63とを一体に有する電磁スプール弁である複合切換弁61を備えている。なお、複合切換弁61が「流路切換弁」を構成する。
進角油路71は、油圧制御弁62と進角油圧室53とを接続する。進角油圧室53は、図示しない油路によって進角油圧室51、52及び54と接続されている。進角油路71には進角逆止弁72が設けられている。進角逆止弁72は、油圧制御弁62から進角油圧室53への作動油の流れを許容し、進角油圧室53から油圧制御弁62への作動油の流れを阻止する。
進角逆止弁バイパス73は、進角逆止弁72の進角油圧室53側と油圧制御弁62側とを接続している。進角逆止弁バイパス73によって、進角油圧室53から油圧制御弁62へ排出される作動油は進角逆止弁7を迂回可能である。進角逆止弁バイパス73には進角ドレイン制御弁74が設けられている。進角ドレイン制御弁74は、機械式の開閉スプール弁であり、パイロット油路75を経て給排される作動油の圧力によって、進角逆止弁バイパス73の連通または非連通を切り換えている。
遅角油路81は、油圧制御弁62と遅角油圧室57とを接続する。角油圧室57は、図示しない油路によって角油圧室55、56及び58と接続されている。遅角油路81には遅角逆止弁82が設けられている。遅角逆止弁82は、油圧制御弁62から遅角油圧室57への作動油の流れを許容し、遅角油圧室57から油圧制御弁62への作動油の流れを阻止する。
遅角逆止弁バイパス83は、遅角逆止弁82の角油圧室57側と油圧制御弁62側とを接続している。遅角逆止弁バイパス83には遅角ドレイン制御弁84が設けられている。遅角ドレイン制御弁84は、機械式の開閉スプール弁であり、制御油路切換弁63からパイロット油路85を経て給排される作動油の圧力によって、遅角逆止弁バイパス83の連通または非連通を切り換えている。
油圧制御弁62は、オイルタンク27及び油圧ポンプ22と、進角油圧室53及び遅角油圧室57との連通及び非連通を切り換える。制御油路切換弁63は、オイルタンク27及び油圧ポンプ22と、進角パイロット油路75及び遅角パイロット油路85との連通及び非連通を切り換える。油圧制御弁62及び制御油路切換弁63は、いずれも電磁スプール弁であり、複合油路切換弁61として一体に形成されている。
複合油路切換弁61は、油圧制御弁62及び制御油路切換弁63という二つの制御弁の機能を軸方向に並べて設けているものであり、図6において、左側が油圧制御弁62の機能を果たし、右側が制御油路切換弁63の機能を果たすものである。複合油路切換弁61の切り換えはECU100によって司られている。なお、図6では、簡単のため、複合油路切換弁61による切り換えパターンを1パターンのみ例示している。
このように構成されたバルブタイミング調整システム2は、例えば、カムシャフト6をクランクシャフト4に対して相対的に進角させる場合、次のように作動する。
エンジン通常運転中、ECU100の制御によって複合油路切換弁61が切り換えられると、油圧制御弁62によって油圧ポンプ22と進角油路71とが連通するとともにオイルタンク27と遅角油路81とが連通するものとする。同時に、制御油路切換弁63によって、油圧ポンプ22と進角パイロット油路75とが連通するとともにオイルタンク27と遅角パイロット油路85とが連通するものとする。
この場合、進角ドレイン制御弁74は、パイロット油路75を経て供給される作動油によって、進角逆止弁バイパス73を非連通とするように切り換えられる。作動油は、油圧ポンプ22から進角逆止弁72を経て各進角油圧室51〜54に供給され、各進角油圧室51〜54から進角逆止弁バイパス73を経てオイルタンク27へ排出されることが阻止される。また、遅角ドレイン制御弁84は、パイロット油路85を経て作動油がオイルタンク27に排出されることによって、遅角逆止弁バイパス83を連通するように切り換えられる。作動油は遅角油圧室57から遅角逆止弁バイパス83を経てオイルタンク27へ排出される。
ここで、進角油圧室51を経て圧力室36に供給される作動油の圧力が、スプリング39による付勢力より大きくなると、ストッパピストン30はハウジング12の嵌合穴34から抜け出し、ベーンロータ14のハウジング12に対する相対回転が許容される。進角油圧室51〜54において圧力が高くなった作動油はベーン41〜44を進角方向へ押圧する。これにより、ベーンロータ14は進角側に回転駆動され、カムシャフト6はクランクシャフト4に対して相対的に進角する。
なお、本形態では特に、複合油路切換弁61は、ECU100により、油圧制御弁62によって進角油路71及び遅角油路81の複合油路切換弁61側をオイルタンク27に接続すると同時に、制御油路切換弁63によって進角パイロット油路75及び遅角パイロット油路85の複合油路切換弁61側をオイルタンク27に接続するように切り換え可能となっている(図6参照)。このとき、油圧ポンプ22は、いずれの油路にも接続されない
この場合、作動油は、進角油圧室51〜54から進角逆止弁バイパス73を経てオイルタンク27へ排出されるとともに、遅角油圧室55〜58から遅角逆止弁バイパス83を経てオイルタンク27へ排出される。すなわち、バルブタイミング調整装置10に作動油を給排する流路は、いわゆる「大気開放」されている状態となる。これにより、ベーンロータ14は、進角方向、遅角方向へ揺動し、ストッパピストン30がエンジン始動最適位置で嵌合穴34に嵌合する。
ところで、本形態においても、エンジン始動の際、エンジンストールが生じていたと判断された場合、ストッパピストン30がハウジング12に嵌合するようにベーンロータ14を回動させることを特徴としている。上記形態では、図4に示すフローチャートのS104においてOCV24の切り換えを断続して行うことにより、バルブタイミング調整装置10の各進角油圧室51〜54及び各遅角油圧室55〜58からの作動油の排出を交互に行い、ベーンロータ14を揺動させていた。
これに対し本形態では、上述のS104において、作動油が、進角油圧室51〜54から進角逆止弁バイパス73を経てオイルタンク27へ排出されるとともに、遅角油圧室55〜58から遅角逆止弁バイパス83を経てオイルタンク27へ排出されるように、ECU100によって複合油路切換弁61を切り換える。バルブタイミング調整装置10に作動油を給排する各油路は、いわゆる「大気開放」されている状態となる。
これにより、各進角油圧室51〜54及び各遅角油圧室55〜58からの作動油の排出に伴って、ベーンロータ14は、進角方向及び遅角方向へ揺動するようになる。また、各進角油圧室51〜54及び各遅角油圧室55〜58の両方から作動油が排出されるため、ベーンロータ14が進角側及び遅角側へ揺動する範囲は速やかに次第に大きくなる。この揺動により、ベーンロータ14がエンジン始動最適位置に位置するようになると、ストッパピストン30はハウジング12の嵌合穴34に嵌合するようになる。
このような本形態のバルブタイミング調整システム2によれば、ECU100は、ベーンロータ回動手段において、バルブタイミング調整装置10に作動油を給排する油路を「大気開放」の状態にすることで、各進角油圧室及び各遅角油圧室の両方から作動油を排出するため、速やかにベーンロータ14の揺動範囲を大きくすることができる。これにより、本形態では、ストッパピストン30がハウジング12の嵌合穴34に嵌合するまでに要する時間が短縮される。
結果として、本形態によれば、意図せぬエンジン停止など、ベーンロータ14がエンジン始動最適位置にない場合であっても、速やかにエンジン3を始動することができ、エンジン始動に要する時間を短縮することができる。
(他の実施形態)
上記形態では、バルブタイミング調整システムをエンジンの排気弁に適用する例について説明したが、本発明のバルブタイミング調整システムは吸気弁に適用してもよい。
また、上記形態では、バルブタイミング調整装置のエンジン始動最適位置は最進角位置と最遅角位置との中間位置であったが、エンジン始動最適位置は、最進角位置または最遅角位置であってもよい。
いずれの形態によっても、意図しないエンジン停止など、ベーンロータがエンジン始動最適位置にない場合、速やかにエンジンを始動することができ、上記形態と同様の効果が奏される。
また、上記形態では、「ベーンロータ回動手段」の処理(S104)において、OCV24の開閉を継続して行い、エンジン3が完爆したと判断された場合(S105:YES)、「ベーンロータ回動停止手段」の処理(S107)において、OCV24の開閉の継続を停止した。これに対して、本形態では、例えば、S107の処理を省略し、S104の処理において、予め定められた所定回数のみOCV24の開閉を行うこととしてもよい。
この場合、エンジン3が完爆していないと判断された場合(S105:NO)、処理はS104に移行する。つまり、S105の判断処理において否定判断される度に、OCV24の開閉が所定回数行われ、ベーンロータ14の揺動が繰り返し行われる。これにより、本形態では、ストッパピストン30は、エンジン3の始動の際にハウジング12に嵌合していなかったとしても、ベーンロータ14の揺動によってハウジング12に速やかに嵌合する可能性が高い。ストッパピストン30がハウジング12に嵌合すると、ベーンロータ14はエンジン始動最適位置で保持される。
結果として、本形態では、意図しないエンジン停止など、ベーンロータがエンジン始動最適位置にない場合であっても、速やかにエンジンを始動することができ、上記形態と同様の効果が奏される。
以上本発明は、上述した形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施できることは言うまでもない。
1、2:バルブタイミング調整システム、3:エンジン、4:クランクシャフト、5:ギア、6、7:カムシャフト、8、9:ギア、10:バルブタイミング調整装置、11:スプロケット、12:ハウジング、13:フロントプレート、14:ベーンロータ、15:シューハウジング、16:アシストスプリング、17:バルト、18:シール部材、19:ボルト、20排気バルブ、21:吸気バルブ、22:油圧ポンプ、24:OCV(流路切換弁)、25:進角油路(流路)、26:遅角油路(流路)、30:ストッパピストン(規制部材)、31:筒部、32:嵌合部、34:嵌合穴、35:収容室、36:圧力室、37:圧力室、39:スプリング、40:ロータ、41〜44:ベーンロータ、47:収容孔、48:位置決めピン、50:ベーン収容室、51〜54:進角油圧室、55〜58:遅角油圧室、61:複合切換弁(流路切換弁)、62:油路切換弁、63:制御油路切換弁、71:進角油路、72:進角逆止弁、73:進角逆止弁バイパス、74:進角ドレイン制御弁、75:進角パイロット油路、80:チェーン、81:遅角油路、82:遅角逆止弁、83:遅角逆止弁バイパス、84:遅角ドレイン制御弁、85:遅角パイロット油路、100:ECU(制御部、エンスト情報記憶手段、ベーンロータ回動手段、エンスト情報読み出し手段、エンスト情報判断手段、完爆判断手段、ベーンロータ回動停止手段)、150:筒部、151〜154:シュー、300:情報記憶部(エンスト情報記憶部)、400:運転状態検出部、401:クランク角センサ、402:カム角センサ、410:始動停止検出部、411:イグニッションスイッチ

Claims (4)

  1. 内燃機関の駆動軸及び従動軸のうち一方とともに回転するハウジングと、前記駆動軸及び前記従動軸のうち他方とともに回転し、作動流体の圧力により前記ハウジングに対して相対回転駆動されるベーンロータと、前記ベーンロータに突出可能に収容され、前記ベーンロータから突出し前記ハウジングに嵌合することで、前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回転駆動を規制位置で規制可能な規制部材とを備え、前記ハウジングが有する複数のシューと前記ベーンロータが有する複数のベーンとの間には、油圧によってベーンロータを進角側に回転させる進角油圧室および油圧によって前記ベーンロータを遅角側に回転させる遅角油圧室が形成され、前記駆動軸と前記従動軸との位相を調整することによって前記従動軸によって開閉駆動される前記内燃機関の吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方の開閉タイミングを変えるバルブタイミング調整装置と、
    作動流体が貯留されている作動流体貯留部から前記バルブタイミング調整装置の前記進角油圧室又は前記遅角油圧室に作動流体を供給するための流路の切り換えを行う流路切換弁と、
    前記流路切換弁の制御を司る制御部と、
    を備える内燃機関のバルブタイミング調整システムにおいて、
    前記制御部は、
    前記内燃機関の停止の際に、エンジンストールが生じていたか否かを示すエンスト情報を記憶するエンスト情報記憶手段と、
    前記エンスト情報記憶手段によって記憶された前記エンスト情報に基づきエンジンストールが生じていた場合、前記内燃機関の始動の際に、前記規制部材が前記ハウジングに嵌合するよう前記ベーンロータを回動させるベーンロータ回動手段と、
    前記内燃機関の始動の際に、前記エンスト情報記憶手段によって記憶された前記エンスト情報を読み出すエンスト情報読み出し手段と、
    前記エンスト情報読み出し手段によって読み出された前記エンスト情報に基づきエンジンストールが生じていたか否かを判断するエンスト情報判断手段と、
    前記内燃機関が完爆したか否かを判断する完爆判断手段と、
    前記完爆判断手段によって前記内燃機関が完爆したと判断された場合、前記ベーンロータ回動手段によるベーンロータの回動を停止させるベーンロータ回動停止手段と、
    を有しており、
    前記ベーンロータ回動手段は、前記進角油圧室および前記遅角油圧室から交互に作動油が排出されるように、前記流路切換弁の切り換えを断続して行うことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング調整装置。
  2. 内燃機関の駆動軸及び従動軸のうち一方とともに回転するハウジングと、前記駆動軸及び前記従動軸のうち他方とともに回転し、作動流体の圧力により前記ハウジングに対して相対回転駆動されるベーンロータと、前記ベーンロータに突出可能に収容され、前記ベーンロータから突出し前記ハウジングに嵌合することで、前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回転駆動を規制位置で規制可能な規制部材とを備え、前記ハウジングが有する複数のシューと前記ベーンロータが有する複数のベーンとの間には、油圧によってベーンロータを進角側に回転させる進角油圧室および油圧によって前記ベーンロータを遅角側に回転させる遅角油圧室が形成され、前記駆動軸と前記従動軸との位相を調整することによって前記従動軸によって開閉駆動される前記内燃機関の吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方の開閉タイミングを変えるバルブタイミング調整装置と、
    作動流体が貯留されている作動流体貯留部から前記バルブタイミング調整装置の前記進角油圧室又は前記遅角油圧室に作動流体を供給するための流路の切り換えを行う流路切換弁と、
    前記流路切換弁の制御を司る制御部と、
    を備える内燃機関のバルブタイミング調整システムにおいて、
    前記制御部は、
    前記内燃機関の停止の際に、エンジンストールが生じていたか否かを示すエンスト情報を記憶するエンスト情報記憶手段と、
    前記エンスト情報記憶手段によって記憶された前記エンスト情報に基づきエンジンストールが生じていた場合、前記内燃機関の始動の際に、前記規制部材が前記ハウジングに嵌合するよう前記ベーンロータを回動させるベーンロータ回動手段と、
    前記内燃機関の始動の際に、前記エンスト情報記憶手段によって記憶された前記エンスト情報を読み出すエンスト情報読み出し手段と、
    前記エンスト情報読み出し手段によって読み出された前記エンスト情報に基づきエンジンストールが生じていたか否かを判断するエンスト情報判断手段と、
    前記内燃機関が完爆したか否かを判断する完爆判断手段と、
    前記完爆判断手段によって前記内燃機関が完爆したと判断された場合、前記ベーンロータ回動手段によるベーンロータの回動を停止させるベーンロータ回動停止手段と、
    を有しており、
    前記ベーンロータ回動手段は、前記作動流体貯留部から前記バルブタイミング調整装置への作動流体の供給を阻止するとともに前記バルブタイミング調整装置から前記作動流体貯留へ作動流体が排出されるように、かつ、前記進角油圧室および前記遅角油圧室から交互に作動油が排出されるように、前記流路切換弁を制御することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記エンスト情報記憶手段は、
    エンジン停止の際に、エンジンが停止したか否かを判断するエンジン停止判断手段と、
    前記エンジン停止判断手段によってエンジンが停止したと判断された場合、前記規制部材が前記ハウジングに嵌合しているか否かを判断する嵌合判断手段と、
    前記嵌合判断手段によって規制部材がハウジングに嵌合していると判断された場合はエンジンストールが生じていなかったことを示し、規制部材がハウジングに嵌合していないと判断された場合はエンジンストールが生じていたことを示すエンスト情報をエンスト情報記憶部に書き込むエンスト情報書き込み手段と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載のバルブタイミング調整システム。
  4. 前記嵌合判断手段は、前記ベーンロータの回転角が前記規制位置と同じである場合、前記規制部材が前記ハウジングに嵌合していると判断することを特徴とする請求項に記載のバルブタイミング調整システム。
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