JP2007138045A - 環状オレフィン重合体、その製法、及びブルーレーザ用光学部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状オレフィン(A)と、炭素数2〜20のα−オレフィン(B)とをメタロセン触媒等によって付加重合し、さらに該付加重合体に対して金属単体が0.5〜10重量%の濃度になるように担体に担持された金属単体を加え、温度150〜200℃、水素分圧0.1〜100kgf/cm2で水素と接触させて、GPCによる分析で、波長210nmの紫外分光検出器で検出されるピーク面積(UVピーク面積)の、示差屈折計で検出されるピーク面積(RIピーク面積)に対する百分率((UVピーク面積)/(RIピーク面積)×100)が2.5以下の環状オレフィン重合体を得る。この環状オレフィン重合体を成形することによってブルーレーザ用光学部品を得る。
【選択図】なし。
Description
これらの中で、光によって情報の書き込み及び読み取りを行う情報機器に用いられる光学部品、例えば、ピックアップレンズやプリズムなどは、光の積算照射量が多くなっても、その特性が変わらないことが強く求められている。特に、高い記録密度を実現可能なブルーレーザ光を用いた情報機器が開発され、これに対応したブルーレーザ用光学部品の開発が求められている。
環状オレフィン重合体は、透明性に優れ、光学特性の良好な成形体を与えることから光学材料に用いられてはいるものの、より安定した光学特性を得るため、一般には、酸化防止剤や界面活性剤を配合している。しかし、酸化防止剤などの配合物は、成型時に異物を発生させる原因となる場合があることが知られており、この光学素子材料への、酸化防止剤や界面活性剤の配合量はできるだけ少なくすることが望まれている。
特許文献2には、縮合シクロへキサン環を有するノルボルネン系単量体をモノマー単位として含む新規な重合体樹脂を、光学分野等に適用することが提案されている。
本発明の目的は、波長400nm前後のブルーレーザ光の積算照射量が多くなっても白濁などによる光線透過率の低下が少ない環状オレフィン重合体、その製法、及びブルーレーザ用光学部品を提供することにある。
(1)環状オレフィン(A)と、炭素数2〜20のα−オレフィン(B)との付加重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析で、波長210nmの紫外分光検出器で検出されるピーク面積(UVピーク面積)の、示差屈折計で検出されるピーク面積(RIピーク面積)に対する百分率((UVピーク面積)/(RIピーク面積)×100)が2.5以下である、環状オレフィン重合体が提供される。
(2)環状オレフィン(A)と、炭素数2〜20のα−オレフィン(B)とを付加重合し、次いで水素と接触させることを含む前記環状オレフィン重合体の製法が提供される。
(3)前記の環状オレフィン重合体からなるブルーレーザ用光学部品が提供される。
環状オレフィン(A)の代表例としては、単環のシクロアルケン、ノルボルネン環構造を有する単量体(以下、ノルボルネン系単量体という)などが挙げられる。
環状オレフィン(A)の量は、重合させる全単量体に対して、好ましくは15〜55モル%、より好ましくは20〜50モル%である。
α−オレフィン(B)の量は、重合させる全単量体に対して、好ましくは45〜85モル%、より好ましくは50〜80モル%である。
単量体(C)としては、アセチレン、プロピン、1−ブチン;1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエンなどが挙げられ、さらにアクリル酸やメタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン;塩化ビニル、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
単量体(C)の量は特に限定されず、本発明の効果が損なわれない範囲であればよい。単量体(C)の量は、重合させる全単量体に対して、好ましくは0〜40モル%ある。
メタロセン触媒は、従来から付加重合反応に用いられている公知の触媒である。本発明においては、特に遷移金属のメタロセン化合物(a)と有機アルミニウムオキシ化合物(b)又はボレート若しくはボラン化合物(c)とからなる触媒が好ましい。
メタロセン化合物(a)として、例えば、架橋型メタロセン化合物及びハーフメタロセン化合物が挙げられる。
架橋型メタロセン化合物としては、例えば、一般式(1)で表されるものが挙げられる。
X1及びX2は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、又はハロゲン基である。
R6及びR7は、それぞれ独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、又はフルオレニル基であり、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基;フェニル基若しくは、ベンジル基で置換されていてもよい。
R5は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの低級アルキレン基;イソプロピリデン基などのアルキリデン基;ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基;ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基などの置換シリレン基、又はシリレン基である。
R8、R9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数20個までのアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基若しくはアリール基である。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノオキサンであってもよく、また、特開平2−78687号公報に開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
ボレート若しくはボラン化合物(c)としては、例えば、トリエチルアンモ二ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのボレート化合物;トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどのボラン化合物が挙げられる。
有機アルミニウム(d)は、メタロセン化合物(a)に対して0.1〜1,000当量であることが好ましい。
メタロセン触媒は、それを構成する、メタロセン化合物(a)と、有機アルミニウムオキシ化合物(b)又はボレート若しくはボラン化合物(c)、さらに有機アルミニウム化合物(d)とを、重合反応器に別々に添加してもよいし、反応器外でこれらを混合してから重合反応器に添加してもよい。
UVピーク面積及びRIピーク面積は、実施例記載の方法により求める。
環状オレフィン重合体に水素を接触させる、好ましい方法としては、環状オレフィン重合体の溶液に、金属単体の存在下に水素を供給する方法が挙げられる。
金属単体としては、例えば、ニッケル、パラジウムなどが挙げられ、ニッケルが最も好ましい。これら金属単体は担体に担持して用いられる。担体としては、例えば、アルミナ、シリカ、珪藻土などが挙げられる。
溶媒に環状オレフィン重合体を通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%溶解した溶液に、該重合体に対して、0.5〜10重量%の濃度になるように金属単体を加え、150〜200℃、好ましくは170〜200℃で、水素分圧は通常0.1〜100kgf/cm2、好ましくは0.5〜60kgf/cm2、より好ましくは1〜50kgf/cm2で行う。
接触時間は、要求される色相の改善度に応じて適宜選ばれるが、通常5分〜12時間、好ましくは5分〜6時間の間で選ばれる。この水素接触処理によって、環状オレフィン重合体中に不飽和結合があれば、この不飽和結合は水素化される。特に、環状オレフィン(A)として芳香環を有するものを用いた場合、芳香環構造の水素化率は90%以上にするのが好ましく、95%以上にするのがより好ましく、99%以上にするのがさらに好ましい。芳香環構造の水素化率は、1H−NMRスペクトルによって、水素接触前の芳香環構造の量と、水素接触後の芳香環構造の量を測定して、水素接触処理前後のそれらの値から計算して求めることができる。この水素化率が小さいと酸化劣化や焼けを生じやすくなる。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される重合体の分子量分布は、好ましくは1.5〜5.0、より好ましくは1.5〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.5である。なお、本発明において数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した、標準ポリマー換算値である。
環状オレフィン重合体をシクロヘキサンに4mg/mlとなるように加え、50℃で30分間以上温めて溶解させた。溶液を室温で15分間放置し、試料前処理カートリッジ(東ソー社製、マイショリディスクH−13−2)で濾過した。
TSKgelG5000HXL、TSKgelG4000HXL,TSKgelG2000HXL、TSKgelGRCXLH、TSKgelGRCXLL、及びTSKgelGRCXLH(以上、東ソー社製)を直列に接続したカラムを、GPC(HLC−8120GPC、東ソー社製)に取り付け、シクロヘキサン(国産化学特級)を溶離液として用い、ポンプ流量1.0ml/分、カラム温度40℃で、注入量100μl、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析を行った。
UVピークの検出は、40℃の環境下で、紫外線分光検出器(UV−8020、東ソー社製)で行った。RIピークの検出はGPC搭載の示差屈折計で行った。紫外線分光検出器は波長210nmに設定した。紫外線分光検出器及び示差屈折計のレコーダーの出力レンジは2.56に設定した。
環状オレフィン重合体のUVピーク面積及びRIピーク面積は、試料調製に用いたものと同じシクロヘキサンを上記方法でGPC測定を行った際の、示差屈折率計及び紫外線分光検出器で検出されたピーク以外のピークを積算することにより算出した。
トルエンと、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンを定法に従い蒸留精製し十分に乾燥した。
シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドを公知の方法により合成した。
シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド7.30mg(12.5μmol)を、ガラス製シュレンクに測り取った。これをトルエン15mlに溶かし、室温で攪拌しながらメチルアルミノキサンの10重量%トルエン溶液(アルベマール社製)3.25mlを加え、室温で30分間攪拌して、付加重合触媒を得た。
イソブチルアルコール5mlを添加して重合を停止させた。室温まで冷やし、反応液をメタノール10リットルと濃塩酸10mlの混合液に注いで重合体を析出させた。析出した重合体を濾過し、メタノールで洗浄し、0.1kPa以下に減圧した100℃の真空乾燥機で24時間乾燥した。得られた重合体は、ガラス転移温度が137℃であった。またこの重合体の、UVピーク面積のRIピーク面積に対する百分率は4.5であった。
比較例1で得られた重合体50gをシクロヘキサン200gに溶かし、この溶液に珪藻土担持ニッケル触媒(ズードケミー触媒社製:G−96D、ニッケル担持率58重量%)2.5gを添加し、耐圧容器に仕込んだ。この耐圧容器に水素を供給し、温度200℃、水素圧4.5MPaで6時間、重合体と水素を接触させた。珪藻土を濾過助剤として取り付けた加圧濾過器(石川島播磨重工社製、リーフフィルター)で水素接触処理液を濾過し、水素接触処理液から触媒を除去した。次いで触媒が除去された処理液をイソプロピルアルコール5リットルに攪拌しながら注いで、固形物を析出させた。析出した固形物を濾過し、アセトン50gで洗浄し、0.1kPa以下に減圧した100℃の真空乾燥機で24時間乾燥して水素接触重合体を得た。この水素接触重合体の、UVピーク面積のRIピーク面積に対する百分率は2.0であった。
こうして得られた水素接触重合体をプレス成形して、厚さ3mm、縦65mm、横65mmの試験片を得た。この試験片に比較例1と同様にしてレーザを照射し、レーザ照射後の試験片を比較例1と同様にして目視観察した。試験片に白濁は認められなかった。
比較例1で得られた重合体50gをシクロヘキサン280gに溶かし、この溶液にラネーニッケル触媒(ニッケル担持率40重量%)1.4gを添加し、耐圧容器に仕込んだ。この耐圧容器に水素を供給し、温度100℃、水素圧4.0MPaで4時間、重合体と水素を接触させた。水素接触処理液を取り出し、珪藻土を濾過助剤として取り付けた加圧濾過器(石川島播磨重工社製、リーフフィルター)で濾過し、この処理液から触媒を除去した。次いで処理液をイソプロピルアルコール5リットルに攪拌しながら注いで、水素接触重合体を析出させた。析出した重合体を濾過し、アセトン50gで洗浄し、0.1kPa以下に減圧した100℃の真空乾燥機で24時間乾燥した。この重合体の、UVピーク面積のRIピーク面積に対する百分率は2.7であった。
こうして得られた水素接触重合体をプレス成形して、厚さ3mm、縦65mm、横65mmの試験片を得た。この試験片に比較例1と同様にしてレーザを照射し、レーザ照射後の試験片を比較例1と同様にして目視観察した。試験片に白濁がわずかに認められた。
Claims (3)
- 環状オレフィン(A)と、炭素数2〜20のα−オレフィン(B)との付加重合体であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析で、波長210nmの紫外分光検出器で検出されるピーク面積(UVピーク面積)の、示差屈折計で検出されるピーク面積(RIピーク面積)に対する百分率((UVピーク面積)/(RIピーク面積)×100)が2.5以下である、環状オレフィン重合体。
- 環状オレフィン(A)と、炭素数2〜20のα−オレフィン(B)とを付加重合し、次いで水素と接触させることを含む、請求項1に記載の環状オレフィン重合体の製法。
- 請求項1に記載の環状オレフィン重合体を成形して成るブルーレーザ用光学部品。
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