JP2007137850A - リン化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1) R1CH=CR2{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}で示されるリン化合物。
(R1〜R2は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはシリル基を、R3〜R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。)
【選択図】なし
Description
しかし、同方法は、一般性を有するものではなく、普通のアセチレンへの付加には適用しない。また、ここで得られたものは、不飽和カルボン酸やその誘導体に属するものであり、本発明の対象とするアルケニル五配位環状リン化合物ではない。
(1)一般式(1) R1CH=CR2{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}で示されるリン化合物。
(R1〜R2は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはシリル基を、R3〜R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。)
(2)一般式(2) R11C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}で示されるリン化合物。
(式中、R3〜R10は、前記と同じ。R11及びR13は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基から選ばれる1価の基を示し、R12は、アルキレン基、シクロアルキシレン基、アリーレン基の中から選ばれる2価の基を示す。)
(3)一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13で示されるリン化合物。
(式中、R3〜R13は、前記と同じ。)
(4)パラジウム触媒の存在下、下記一般式(4)で表されるアセチレン化合物に、
一般式(5) HP[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]で表される五配位環状リン化合物を反応させることを特徴とする、一般式(1) R1CH=CR2{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}で表されるリン化合物の製造方法。
(R1〜R10は、前記と同じ)
(5)パラジウム触媒の存在下、一般式(6)で表されるジアセチレン化合物に、
一般式(5) HP[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]で表される五配位環状リン化合物を反応させることを特徴とする、一般式(2) R11C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}または、一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13で表されるリン化合物の製造方法。
(式中、R3〜R13は、前記と同じ)
(6)酸を存在させることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載のリン化合物の製造方法。
(式中、R1〜R2は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはシリル基を、R3〜R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。)
(式中、R3〜R10は、前記と同じ。R11及びR13は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基から選ばれる1価の基を示し、R12は、アルキレン基、シクロアルキシレン基、アリーレン基の中から選ばれる2価の基を示す。)
前記シクロアルキル基の炭素数は5〜18,好ましくは5〜10である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
前記アルケニル基の炭素数は2〜18、好ましくは2〜10である。その具体例として、ビニル、3−ブテニルなどが例示される。
前記アルコキシ基の炭素数は1〜8、好ましくは1〜4である。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどが例示される。
前記アリールオキシ基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜10である。その具体例としては、フェノキシ、ナフチルオキシなどが例示される。
前記シリル基には、アルキル基やアリール基、アラルキル基、アルコキシ基で置換されたものが含まれる。その具体例として、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、フェニルジメチルシリル、トリメトキシシリルなどが例示される。
前記アルキル基の炭素数は1〜6、好ましくは1〜4である。その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシルなどが例示される。
前記シクロアルキル基の炭素数は3〜12,好ましくは5〜6である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜12である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換用(トリル、ナフチル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13で表されるリン化合物(R3〜R13は、前記と同じ)は、パラジウム触媒の存在下に、前記一般式(6)ジアセチレン化合物に、前記一般式(5) で表される五配位環状リン化合物を反応させることにより得られる。
前記シクロアルキル基の炭素数は5〜18、このましくは5〜10である。その具体例としては、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシルなどが例示される。
前記アリール基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜10である。その具体例としては、フェニル、ナフチル、それらの置換体(トリル、ベンジルフェニルなど)が例示される。
前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子(酸素、窒素、イオウなど)を含む各種の環状化合物が誘導されたもので、それに含まれる原子数は4〜12、好ましくは4〜8である。その具体例としては、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピロリル基などが例示される。
前記アルケニル基の炭素数は2〜18、好ましくは2〜10である。その具体例として、ビニル、3−ブテニルなどが例示される。
前記アルコキシ基の炭素数は1〜8、好ましくは1〜4である。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどが例示される。
前記アリールオキシ基の炭素数は6〜14、好ましくは6〜10である。その具体例としては、フェノキシ、ナフチルオキシなどが例示される。
前記シリル基には、アルキル基やアリール基、アラルキル基、アルコキシ基で置換されたものが含まれる。その具体例として、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、フェニルジメチルシリル、トリメトキシシリルなどが例示される。
前記シクロアルキレン基の炭素数は5〜18、好ましくは5〜10である。その具体例としては、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。
前記アリーレン基の炭素数は、6〜30、好ましくは6〜14である。その具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基などが例示される。
本発明で好ましく用いられるジアセチレン化合物を例示すると、1,4−ペンタジイン、1,8−ノナジイン、ジエチニルベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない
また、必ずしも配位子は必要しないが、3級ホスフィンや3級ホスファイトにより配位安定化されたパラジウム錯体もよい。さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない錯体と3級ホスフィンやホスファイトを混合し、反応系中で3級ホスフィンまたはホスファイトを配位子とする錯体を発生する方法も好ましい態様である。
また、これらのリン化合物を加熱又は加水分解させると、下記の加水分解反応により、対応するリン化合物が得られる。
[2]一般式(1)R1CH=CR2{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}→R1CH=CR2[P(O)(OH)2]
[3]一般式(2) R11C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}→R11C{P(O)[OC(R3R4)C(R5R6)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P(O)[OC(R3R4)C(R5R6)O)]}
[4]一般式(2) R11C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}→R11C[P(O)(OH)2]=CH−R12−CH=CR13[P(O)(OH)2]
[5]一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13→R11CH=C{P(O)[OC(R3R4)C(R5R6)O)]}−R12−C{P(O)[OC(R3R4)C(R5R6)O)]}=CHR13
[6]一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13→R11CH=C[P(O)(OH)2]−R12−C[P(O)(OH)2]=CHR13
(式中の各記号は前記と同じ)
トルエン 1ミリリットルに、HP(OCMe2−Me2CO)2 1ミリモル、1−オクチン 1ミリモル、触媒としてPd(OAc)2(3モル%)を加え、窒素雰囲気下、80℃で2時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離精製すると、2,2,3,3,7,7,8,8-オクタメチル-1,4,6,9-テトラオキサ-5-(2-ヘキセニル)-5-ホスファスピロ[4.5]ノナンが88%の収率で得られた。
この化合物は文献未収載の新規物質であり、そのスペクトルデータ以下の通りである。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ0.88 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.14 (12H, s), 1.26 (12H, s), 1.24- 1.39 (6H, m), 1.52 (2H, quint, J = 7.5 Hz), 2.38 (2H, dd, JHP = 10.2 Hz, JHH = 6.7 Hz), 5.38 (1H, dd, JHP = 55.3 Hz, JHH = 1.5 Hz), 5.76 (1H, dd, JHP = 25.0 Hz, JHH = 0.9 Hz)。
13C NMR (125.4 MHz, CDCl3) δ 14.04, 22.60, 23.70 (4C, d, JCP = 7.1 Hz), 24.44 (4C, d, JCP = 5.1 Hz), 28.11 (d, JCP = 8.3 Hz), 29.10, 31.77, 32.77 (d, JCP = 11.4 Hz), 78.22, 120.51 (d, JCP = 8.3 Hz), 150.25 (d, JCP = 204.7 Hz)。
31P NMR (201.9 MHz, CDCl3) δ - 31.59。
元素分析:計算値C, 64.14; H, 10.50。実測値: C, 63.95; H, 10.49。
実施例1と同様の手法により、種々のアセチレン化合物を用いた結果を表1にまとめて示した。ただし、表中で[P]は-P(OCMe2−Me2CO)2を表わす。
実施例1と同様の手法で、Pd(OAc)2の代わりに他のPd触媒を用いた結果を表2にまとめて示した。
2,2,3,3,7,7,8,8-オクタメチル-1,4,6,9-テトラオキサ-5-(2-ヘキセニル)-5-ホスファスピロ[4.5]ノナン 1ミリモルをジオキサン4ミリリットルに溶かし、2M 塩酸を0.3ミリリットル加え、室温で10分間撹拌した。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離精製すると、4,4,5,5-テトラメチル-2-(2-ヘキセニル)-1,3-ジオキサ-2-ホスホラン 2-オキシドが収率77%で得られた。
2,2,3,3,7,7,8,8-オクタメチル-1,4,6,9-テトラオキサ-5-(2-ヘキセニル)-5-ホスファスピロ[4.5]ノナン 1ミリモルをジオキサン4ミリリットルに溶かし、2M 塩酸を0.3ミリリットル加え、100℃で5時間加熱した。溶媒および揮発性の化合物を減圧下留去し、2-メチレンオクチルホスホン酸を収率95%で得た。
2,2,3,3,7,7,8,8-オクタメチル-1,4,6,9-テトラオキサ-5-(2-ヘキセニル)-5-ホスファスピロ[4.5]ノナン 1ミリモルをトルエン4ミリリットルに溶かし、100度で三日間加熱した。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離精製すると、4,4,5,5-テトラメチル-2-(2-ヘキセニル)-1,3-ジオキサ-2-ホスホラン 2-オキシドが収率75%で得られた。
Claims (6)
- 一般式(1) R1CH=CR2{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}で示されるリン化合物。
(R1〜R2は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはシリル基を、R3〜R10は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。) - 一般式(2) R11C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}で示されるリン化合物。
(式中、R3〜R10は、前記と同じ。R11及びR13は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基から選ばれる1価の基を示し、R12は、アルキレン基、シクロアルキシレン基、アリーレン基の中から選ばれる2価の基を示す。) - 一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13で示されるリン化合物。
(式中、R3〜R13は、前記と同じ。) - パラジウム触媒の存在下、一般式(6)で表されるジアセチレン化合物に、
一般式(5) HP[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]で表される五配位環状リン化合物を反応させることを特徴とする、一般式(2) R11C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CH−R12−CH=CR13{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}または、一般式(3) R11CH=C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}−R12−C{P[OC(R3R4)C(R5R6)O)][OC(R7R8)C(R9R10)O)]}=CHR13で表されるリン化合物の製造方法。
(式中、R3〜R13は、前記と同じ) - 酸を存在させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のリン化合物の製造方法。
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