JP3662501B2 - アルケニルホスフィンオキシド類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種触媒反応の補助配位子として広く用いられる第3級ホスフィンに容易に変換し得、また、それ自身求核剤やラジカル種と容易に反応し得る等、合成化学の分野において極めて有用な化合物であるアルケニルホスフィンオキシド化合物の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルケニルホスフィンオキシドは、容易に第3級ホスフィンに変換される。
第3級ホスフィン類が各種触媒反応の補助配位子として広く用いられることから、アルケニルホスフィンオキシドは極めて有用な化合物である。更に、同化合物と求核剤やラジカル種は容易に反応する。また、同化合物はHorner-Wittig反応に用いることもできる。 従って、アルケニルホスフィンオキシド類は精密化学品の合成の面でも有用性が高い一群の化合物である。
アルケニルホスフィンオキシドの合成方法としては、従来、アルケニルグリニャール試薬など有機金属試薬とハロゲン化リン化合物を反応させる方法、第2級ホスフィンオキシドとアルケニルハロゲン化合物を反応させる方法等が知られている。しかし、前者の方法では、マグネシウムなどの塩の生成が伴うという欠点があり、また、後者の方法では、塩基を加えて、発生するハロゲン化水素を塩として捕捉する必要がある。しかも、これらの方法は、何れも主生成物以外に他の化合物が副生される点で、工業的に好ましい方法とは言えない。
一方、最近になって、パラジウム触媒の存在下で、アセチレン化合物に第2級ホスフィンオキシドを付加させる方法が見出されたが(Organometallics15巻、3259ページ、1996年;日本特許第2849712号)、この方法では生成物の選択性が高くない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き現状に鑑みなされたもので、簡便、安全且つ効率的に合成することができ、副生物が少なく、分離、精製も容易な、アルケニルホスフィンオキシド類の新規な製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく、容易に入手可能な第2級ホスフィンオキシドとアセチレン化合物との反応について鋭意研究を重ねた結果、この反応はロジウム触媒存在下で付加反応が進行し、高い収率と選択性で対応するアルケニルホスフィンオキシド類を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、ロジウム触媒の存在下に、一般式[I]
R1C≡CR2 [I]
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、フェロセニル基、アルコキシ基又は置換基を有していてもよいシリル基を示す。)で表されるアセチレン化合物を、一般式[II]
HP(O)(R3)2 [II]
(式中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す)で表される第2級ホスフィンオキシドと反応させることを特徴とする、一般式[III]
R1CH=CR2P(O)(R3)2 [III]
又は/及び一般式[IV]
R2CH=CR1P(O)(R3)2 [IV]
(式中、R1、R2、およびR3は前記と同じ)で表されるアルケニルホスフィンオキシド化合物の製造方法に関する。
【0006】
また、本発明は、ロジウム触媒の存在下に、一般式[V]
R4C≡C−R5−C≡CR6 [V]
(式中、R4及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、アルコキシ基又は置換基を有していてもよいシリル基を示し、R5は、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を示す)で表されるジアセチレン化合物を、一般式[II]
HP(O)(R3)2 [II]
(式中R3は、前記と同じ)で表される第2級ホスフィンオキシドと反応させることを特徴とする、一般式[VI]
R4CH=C[P(O)(R3)2]−R5−[P(O)(R3)2]C=CHR6[VI]
又は/及び一般式[VII]
R4[P(O)(R3)2]C=CH−R5−CH=C[P(O)(R3)2]R6[VII]
(R3、R4、R5、およびR6は前記と同じ)で表されるビス(アルケニルホスフィンオキシド)化合物の製造方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般式[I]、[III]及び[IV]において、R1、R2で示される置換基を有していてもよいアルキル基のアルキル基としては、例えば、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
また、置換基を有していてもよいシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基が挙げられ、より具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の二重結合などの不飽和基を有するものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基のシクロアルケニル基としては、前記したシクロアルキル基に1個以上の二重結合などの不飽和基を有するものが挙げられ、より具体的には、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基のアリール基としては、例えば、炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアラルキル基のアラルキル基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリールオキシ基のアリールオキシ基としては、例えば、炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基を有するアリールオキシ基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフトキシ基、メチルナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0008】
これらアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基の置換基としては、例えば、水酸基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、例えば塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、シアノ基、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、シリル基、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の置換シリル基、例えばt−ブチルジメチルシロキシ基等のシロキシ基等が挙げられる。
【0009】
置換基を有していてもよいヘテロアリール基のヘテロアリール基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5〜20員、好ましくは5〜10員、より好ましくは5〜7員であって、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基などの炭素環式基と縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式のものが挙げられ、より具体的には、例えば、ピリジル基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリノ基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、ピリミジニル基等が挙げられる。また、ヘテロアリール基の置換基としては、例えば、アルキル基、水酸基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、例えば塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、シアノ基、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、シリル基、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の置換シリル基、例えばt−ブチルジメチルシロキシ基等のシロキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられ、より具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、第二級ブトキシ基、第三級ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
置換シリル基としては、シリル基の水素原子の1〜3個がアルキル基、アリール基等に置き換わったものが挙げられ、中でもトリ置換体が好ましく、より具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
【0010】
一般式[II]、[III]、[IV]、[VI]及び[VII]において、R3で示されるアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基及びアリール基としては、上記R1、R2のところで挙げたものと同じものが挙げられる。
【0011】
また、一般式[V]、[VI]及び[VII]において、R4、R6で示される置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、アルコキシ基及び置換基を有していてもよいシリル基としても、上記R1、R2のところで挙げたものと同じものが挙げられる。
【0012】
一般式[V]、[VI]及び[VII]において、R5で示されるアルキレン基としては、例えば、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分枝状のアルキレン基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
また、シクロアルキレン基としては、例えば、炭素数3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキレン基が挙げられ、より具体的には、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の2価の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。
【0013】
一般式[I]において、R2が水素原子でR1が水素原子以外の置換基の場合は、末端アセチレンであり、これを前記一般式[II]で表される第2級ホスフィンオキシドと反応させることにより、前記一般式[III]において、β付加物のアルケニルホスフィンオキシドを与える。
【0014】
本発明で用いられる一般式[I]で表されるアセチレン化合物の具体例としては、例えば、無置換アセチレン、ブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、1−オクチン、4−オクチン、1−ブチン−4−オール、2−ブチン−1−オール、3−ブチン−1−オール、5−ヘキシン−1−オール、1−オクチン−3−オール、5−クロロ−1−ペンチン、フェニルアセチレン、トリメチルシリルアセチレン、エチニルチオフェン、ヘキシノニトリル、シクロヘキセニルアセチレン、エチニルフェロセンなどが挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明で用いられる一般式[V]で表されるジアセチレン化合物の具体例としては、例えば、1,4−ペンタジイン、1,8−ノナジイン、ジエチニルベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない
【0016】
本発明の反応を効率よく進行させるには、ロジウム触媒の存在は不可欠であり、ロジウム触媒が存在しない場合には、反応が進行しないか非常に遅くなる。
ロジウム触媒としては、金属ロジウム化学種やロジウム化合物の種々の構造のものを用いることが可能である。
【0017】
金属ロジウム化学種としては、ロジウムブラック、ロジウムパウダー、或いはアルミナ担持ロジウム,シリカ担持ロジウム,活性炭担持ロジウム等の担体に担持されたロジウムなどが挙げられる。
【0018】
触媒として用いられるロジウム化合物としては、1価〜3価のロジウム化合物の何れでもよく、また、配位子を含まない錯体でも、3級ホスフィンや3級ホスファイト等の配位子を配位した錯体でも何れでもよく、例えば、酢酸ロジウムダイマー[Rh(OAc)2]2、ハロゲン化ロジウム(塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム等)、ロジウムアセチルアセトナート等のロジウム塩類、アセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム、クロロビス(エチレン)ロジウムダイマー、ジカルボニル(アセチルアセトナト)ロジウム、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムダイマー[RhCl(cod)]2、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウムダイマー、クロロ(1,5−ヘキサジエン)ロジウムダイマー等の有機ロジウム化合物、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム[RhCl(CO)(PPh3)2]、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム[RhH(CO)(PPh3)3]、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム[RhCl(PPh3)3]、ブロモトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム[RhBr(PPh3)3]、イオドトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム[RhI(PPh3)3]、クロロカルボニルビス(トリメチルホスファイト)ロジウム、ブロモトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロ(1,5−シクロオクタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ロジウム、トリクロロトリス(ピリジン)ロジウム等のロジウム錯体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まないロジウム錯体と3級ホスフィンや3級ホスファイトとを併用し、反応系中で形成された3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子とするロジウム錯体を触媒とする方法も好ましい態様である。
更に、配位子を含まないロジウム錯体にアミン等の塩基を加えて反応系中で形成されるロジウム錯体を触媒とする方法も好ましい態様である。
【0020】
これらの方法において、好適に用いることができる配位子もしくは塩基を例示すると、例えば、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリエチルアミン、ピリジンなどが挙げられる。
【0021】
これら金属ロジウム化学種やロジウム化合物等のロジウム触媒は、反応に応じて好適なものを1種又は2種以上適宜選択して用いられる。
これらのロジウム触媒の使用量はいわゆる触媒量でよく、一般的にアセチレン化合物に対して20モル%以下であり、通常は5モル%以下で十分である。
アセチレン化合物或いはジアセチレン化合物と第2級ホスフィンオキシドとの反応における両者のモル比は、特に制約はなく、通常は1:1であるが、これより大きくても小さくても、反応の生起を阻害するものではない。
【0022】
反応は特に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて溶媒中で実施することもできる。溶媒としては種々のものが使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒が一般に好適に用いられるが、ハロゲン炭化水素類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、エステル類などの極性溶媒も用いることができる。これらは単独若しくは2種以上の混合物として使用される。
【0023】
反応温度は、あまりに低温では反応が有利な速度で進行せず、あまりに高温では触媒が分解するので、一般的には、−20℃〜300℃の範囲から選ばれ、好ましくは室温〜150℃の範囲で実施される。
【0024】
本反応は空気中等の酸素の存在下でも進行するが、本反応に用いられる触媒は、酸素に敏感であるため、反応の実施は、窒素やアルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。反応混合物からの生成物の単離、精製は、クロマトグラフィー、蒸留又は再結晶等この分野において通常行われる自体公知の単離、精製法により容易に達成される。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0026】
実施例1
トルエン 1ミリリットルに、ジフェニルホスフィンオキシド 1ミリモル、1−オクチン 1ミリモル、触媒として RhCl(PPh3)3(3モル%)を加え、窒素雰囲気下、室温で1時間反応させた。反応液を濃縮し、液体クロマトグラフィーにより単離精製すると、(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが70%の収率で得られた。
この化合物は既知化合物であり、その構造は、別途合成した標準化合物との比較により決定した。
【0027】
実施例2
実施例1と同様な条件下で、RhBr(PPh3)3触媒を用い、反応を行ったところ、1時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが95%の収率で得られた。
【0028】
実施例3
実施例1と同様な条件下で、RhI(PPh3)3触媒を用い、反応を行ったところ、1時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが100%の収率で得られた。
【0029】
実施例4
実施例1と同様な条件下で、RhCl(CO)(PPh3)2触媒を用い、80℃で反応を行ったところ、0.5時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが89%の収率で得られた。
【0030】
実施例5
実施例1と同様な条件下で、RhH(CO)(PPh3)3触媒を用い、80℃で反応を行ったところ、0.5時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが87%の収率で得られた。
【0031】
実施例6
実施例1と同様な条件下で、[RhCl(cod)]2触媒を用い、室温で反応を行ったところ、1時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが65%の収率で得られた。
【0032】
実施例7
実施例1と同様な条件下で、ジカルボニルアセチルアセトナトロジウム(I)触媒を用い、80℃で反応を行ったところ、1.5時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが32%の収率で得られた。
【0033】
実施例8
実施例1と同様な条件下で、エチレンアセチルアセトナトロジウム(I)触媒を用い、80℃で反応を行ったところ、1.5時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが67%の収率で得られた。
【0034】
実施例9
実施例1と同様な条件下で、[Rh(OAc)2]2触媒を用い、80℃で反応を行ったところ、1.5時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが12%の収率で得られた。
【0035】
実施例10
実施例1と同様な条件下で、塩化ロジウム触媒を用い、エタノール2ミリリットルとトリエチルアミン4ミリモルを加え、80℃で反応を行ったところ、3時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが97%の収率で得られた。
【0036】
実施例11
実施例1と同様な条件下で、活性炭担持ロジウム(5%ロジウム担持)を用い、
110℃で反応を行ったところ、7時間後に、生成物(E)-1−オクテン−1−イルジフェニルホスフィンオキシドが91%の収率で得られた。
【0037】
実施例12〜25
実施例1と同様の手法により、種々のアセチレン化合物を用いて各種アルケニルホスフィンオキシド類を合成した。その結果を表1にまとめて示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、医薬・農薬等ファインケミカルズや錯体触媒用配位子の合成に有用なアルケニルホスフィンオキシド化合物を、入手容易なアセチレン類と第2級ホスフィンオキシドとを反応させるだけで、簡便、安全且つ効率的に合成することができ、その分離、精製も容易である。従って、本発明は工業的に多大の効果をもたらす。
Claims (14)
- ロジウム触媒の存在下に、一般式[I]
R1C≡CR2 [I]
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、フェロセニル基、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいシリル基を示す。)で表されるアセチレン化合物を、一般式[II]
HP(O)(R3)2 [II]
(式中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す)で表される第2級ホスフィンオキシドと反応させることを特徴とする、一般式[III]
R1CH=CR2P(O)(R3)2 [III]
又は/及び一般式[IV]
R2CH=CR1P(O)(R3)2 [IV]
(式中、R1、R2、およびR3は前記と同じ)で表されるアルケニルホスフィンオキシド化合物の製造方法。 - ロジウム触媒が、金属ロジウム化学種である請求項1に記載の製造方法。
- 金属ロジウム化学種が、ロジウムブラック、ロジウムパウダー、又は担体に担持されたロジウムである請求項2に記載の製造方法。
- ロジウム触媒がロジウム錯体触媒である請求項1に記載の製造方法。
- ロジウム錯体触媒が配位子を含まない錯体触媒である請求項4に記載の製造方法。
- ロジウム錯体触媒が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子とするロジウム錯体触媒である請求項4に記載の製造方法。
- ロジウム錯体触媒が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子として含まないロジウム錯体と、3級ホスフィン又は/及び3級ホスファイトとを併用し、反応系中で形成させた3級ホスフィン又は/及び3級ホスファイトを配位子とするロジウム錯体触媒である請求項4に記載の製造方法。
- ロジウム触媒の存在下に、一般式[V]
R4C≡C−R5−C≡CR6 [V]
(式中、R4及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、アルコキシ基又は置換基を有していてもよいシリル基を示し、R5は、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を示す)で表されるジアセチレン化合物を、一般式[II]
HP(O)(R3)2 [II]
(式中R3は、前記と同じ)で表される第2級ホスフィンオキシドと反応させることを特徴とする、一般式[VI]
R4CH=C[P(O)(R3)2]−R5−[P(O)(R3)2]C=CHR6[VI]
又は/及び一般式[VII]
R4[P(O)(R3)2]C=CH−R5−CH=C[P(O)(R3)2]R6[VII]
(R3、R4、R5、およびR6は前記と同じ)で表されるビス(アルケニルホスフィンオキシド)化合物の製造方法。 - ロジウム触媒が、金属ロジウム化学種である請求項8に記載の製造方法。
- 金属ロジウム化学種が、ロジウムブラック、ロジウムパウダー、又は担体に担持されたロジウムである請求項9に記載の製造方法。
- ロジウム触媒がロジウム錯体触媒である請求項8に記載の製造方法。
- ロジウム錯体触媒が配位子を含まない錯体触媒である請求項11に記載の製造方法。
- ロジウム錯体触媒が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子とするロジウム錯体触媒である請求項11に記載の製造方法。
- ロジウム錯体触媒が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子として含まないロジウム錯体と、3級ホスフィン又は/及び3級ホスファイトとを併用し、反応系中で形成させた3級ホスフィン又は/及び3級ホスファイトを配位子とするロジウム錯体触媒である請求項11に記載の製造方法。
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