JP2007136355A - 排水処理法 - Google Patents
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Abstract
【課題】排水中に含まれるアンモニアを好適に除去できる排水処理法を提供する。
【解決手段】アンモニアを含有する排水を活性汚泥で硝化および脱窒させて排水処理する排水処理法であって、活性汚泥にて硝化反応が行われる前、および、活性汚泥にて脱窒反応が行われる前の少なくともいずれか一方において、排水にリンおよびカリウムを添加することを特徴とする。硝化槽3A〜3Dにおける硝化菌および脱窒槽4A〜4Dにおける脱窒菌を高活性にすることができる。原水温度の上昇に伴う場合や、当該菌体にとって毒物である鉱油等の活性阻害物質が原水に含まれている場合などにおいて、当該菌体の失活を抑制することができる。硝化および脱窒の各反応速度を向上できる。排水中に含まれるアンモニアを好適に除去できる。
【選択図】図1
【解決手段】アンモニアを含有する排水を活性汚泥で硝化および脱窒させて排水処理する排水処理法であって、活性汚泥にて硝化反応が行われる前、および、活性汚泥にて脱窒反応が行われる前の少なくともいずれか一方において、排水にリンおよびカリウムを添加することを特徴とする。硝化槽3A〜3Dにおける硝化菌および脱窒槽4A〜4Dにおける脱窒菌を高活性にすることができる。原水温度の上昇に伴う場合や、当該菌体にとって毒物である鉱油等の活性阻害物質が原水に含まれている場合などにおいて、当該菌体の失活を抑制することができる。硝化および脱窒の各反応速度を向上できる。排水中に含まれるアンモニアを好適に除去できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、アンモニアを含有する排水を活性汚泥で硝化および脱窒させて排水処理する排水処理法に関する。
従来、活性汚泥を利用して、アンモニアを含有する排水を生物学的に処理する方法がある。このような排水処理法として、硝化菌によりアンモニアを酸化して硝酸に変換する硝化工程と、脱窒菌により硝酸を窒素に変換する脱窒工程とを備えたものがある。
上記硝化工程では、硝化菌であるアンモニア酸化細菌がアンモニアを電子供与体として好気条件下で亜硝酸を生成すると共に増殖し、また、硝化菌である亜硝酸酸化細菌は亜硝酸を電子供与体として好気条件下で硝酸を生成すると共に増殖する。一方、上記脱窒工程では、脱窒菌はメタノールを電子供与体として嫌気条件下で硝酸を分子状窒素に還元し、大気に放出すると共に菌体が増殖する。
このように硝化工程と脱窒工程では、働く菌の種類、酸化還元状態、電子供与体の種類がそれぞれ異なっている。これら3種の菌体は、排水処理装置において独立した槽内にて利用されるわけではなく、排水が順次硝化・脱窒される流れに沿って槽内を移動し、また汚泥が返送されるために、混合状態で存在している。この際、各菌が自己の反応、増殖に適した環境に戻ってくるまでの間は不適切な環境に曝され、その間菌の活性は低下し菌体の増殖が停止する、という問題がある。
ここで、アンモニアを高濃度に含有する食品工場排水や化学工場排水には、アンモニア以外にBOD(Biological Oxygen Demand)成分が含まれている場合が多く、このBOD成分が十分に存在すれば、上記菌体が反応や増殖に必要な栄養としてアンモニアを必要とせず(非特許文献1参照)、また、BOD成分が過剰に存在すると、上記菌体がアンモニアや亜硝酸、硝酸を利用しなくても増殖できたり、BOD成分を主な栄養源とする他の菌が優先してしまい、硝化・脱窒を行う上記菌体が優先されず、これらのためにアンモニアの処理能力が極端に低下してしまう。
一方、発電設備などから発生した燃焼排ガスを脱硫・脱硝して生成された排水中には、アンモニアが高濃度で存在しているもの、栄養源となるBOD成分が殆ど含まれていない。このため、上記のようなBOD成分を含有した排水とは異なり、硝化・脱窒を行う上記菌体以外の菌体が優先してしまうことはない。しかし、微生物にとって必須の成分が欠乏状態となるので、硝化・脱窒を行う上記菌体は増殖しても必要元素が不足しているために失活が早まり、本来菌が持つ活性が十分発現されない、という問題がある。
これらの問題に対して、活性汚泥に活性維持向上剤を添加することにより、汚泥の活性の低下を防止すると共に活性を向上させる、という対策が考えられる。このような活性維持向上剤を添加するものとして、従来、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素とを反応させて窒素ガスに分解する独立栄養性脱窒微生物に対して、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、2価の鉄イオンなどを添加する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
堺好雄:月刊下水道、Vol.20, 15-18, 1997
特開2003− 1292号公報
特開2003−33791号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の構成では、独立栄養性脱窒微生物を利用して脱窒処理を行うため、排水中にはアンモニア性窒素に対して0.5〜2倍の亜硝酸性窒素が含まれていなければ、好適に脱窒処理を行うことができないおそれがある。
この点、上記の硝化菌および脱窒菌を利用した排水処理法であれば、排水中のアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との比率に関わらず、好適に排水処理を実施できる。このような観点から、当該排水処理法において、硝化菌および脱窒菌の活性の低下を防止すると共に活性を向上させて、排水中に含まれるアンモニアを好適に除去できる技術が求められている。
本発明の目的は、上記した問題に鑑みて、排水中に含まれるアンモニアを好適に除去できる排水処理法を提供することにある。
請求項1に記載の本発明の排水処理法は、アンモニアを含有する排水を活性汚泥で硝化および脱窒させて排水処理する排水処理法であって、前記活性汚泥にて硝化反応が行われる前、および、前記活性汚泥にて脱窒反応が行われる前の少なくともいずれか一方において、前記排水にリンおよびカリウムを添加することを特徴とする。
このような本発明によれば、活性維持向上剤としてリンおよびカリウムを排水に添加することにより、硝化菌および脱窒菌を高活性にすることができる。このため、汚泥中における菌体の増殖を促進させることができ、汚泥中の硝化菌および脱窒菌が自己の反応、増殖に適さない環境に曝された場合でも、各菌の失活の防止を図ることができる。すなわち、好気性の槽に脱窒菌が曝された場合や、嫌気性の槽に硝化菌が曝された場合、原水温度が上昇した場合、各菌にとって毒物である鉱油等の活性阻害物質が排水中に含まれている場合でも、各菌の失活速度を低下できる。また、高濃度のアンモニア以外にBOD成分が含まれていない排水を処理する場合などでも、汚泥を高活性にすることで、硝化および脱窒の各反応速度を高めることができる。したがって、原水中のアンモニアの硝化および脱窒を高効率で進行させることができ、排水中に含まれるアンモニアを好適に除去できる。
ここで、硝化菌および脱窒菌を利用した排水処理においては、硝化菌および脱窒菌による硝化、脱窒の各反応は、40℃以下の範囲では高温であるほど反応速度が高くなるという性質がある。一方、37℃を越えると活性汚泥の失活が早まるという性質もある。このため、37℃以下にて失活を最小限に留め、かつ、活性汚泥の活性を維持・向上させて、硝化、脱窒反応を高速で進行させる技術が望まれている。また、発電設備などからの排水の温度や夏場の外気温が高い場合には、硝化槽および脱窒槽の温度を37℃以下に保つことが難しい場合も少なく、37℃よりも高温となった場合でも運転可能な技術が求められている。この点、本発明の排水処理法によれば、37℃を超えても活性汚泥の活性を維持できるので、硝化、脱窒の各反応を高速で進行させることができる。
請求項2に記載の本発明の排水処理法は、請求項1に記載の排水処理法において、前記排水を、内部に充填された前記活性汚泥にて前記硝化反応が行われる硝化槽、および、内部に充填された前記活性汚泥にて前記脱窒反応が行われる脱窒槽の双方を流通させて排水処理し、リンおよびカリウムを、前記硝化槽および前記脱窒槽の少なくともいずれか一方に添加することを特徴とする。
このような発明によれば、リンおよびカリウムを添加することにより、好気性雰囲気の硝化槽における硝化菌と、嫌気性雰囲気の脱窒槽における脱窒菌とのそれぞれの活性を維持向上できる。このため、例えば硝化菌の活性が低下した場合は硝化槽にのみリンおよびカリウムを添加するなど、状況に応じた活性の維持向上を図ることができる。また、硝化槽および脱窒槽の双方にリンおよびカリウムを添加すれば、硝化菌および脱窒菌のそれぞれの活性を向上できるので、全体的な排水処理の効率を向上できる。
請求項3に記載の本発明の排水処理法は、請求項1または請求項2に記載の排水処理法において、添加するリンおよびカリウムの比を、予め前記排水に含まれた分を合わせて、モル比で0.1以上10以下の範囲内に納まる条件で調整することを特徴とする。このような本発明によれば、活性汚泥中の硝化菌および脱窒菌の活性を好適に維持・向上することができる。なお、当該リンおよびカリウムの比が、モル比で0.1よりも低い場合、あるいは、10よりも高い場合は、活性汚泥の活性を維持・向上することは難しい。
請求項4に記載の本発明の排水処理法は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の排水処理法において、前記汚泥中に吸収されたリンの濃度が5500mg/kg乾燥汚泥以上となる条件で、好ましくは5500mg/kg乾燥汚泥以上8500mg/kg乾燥汚泥以下、より好ましくは7000mg/kg乾燥汚泥以上8500mg/kg乾燥汚泥以下の範囲内に納まる条件で、前記リンの添加量を調整することを特徴とする。ただし、汚泥中のリン濃度が5500mg/kg乾燥汚泥以上の場合であれば、放流水中のリン濃度が環境規制内に保つよう汚泥量とリン添加量を制御する必要がある。
このような本発明によれば、活性汚泥中の硝化菌および脱窒菌の活性を高く維持できるので、排水中に含まれる300ppm以上の高濃度のアンモニアを高効率で除去できる。また、公共水面に放流する処理水中のリン濃度を低く抑えることができる。これにより、活性維持向上剤としてのリンを当該処理水より除去する工程を特別に設けることがないので、低コストで公共水面の環境が悪化することを防ぐことができる。なお、汚泥中に吸収されたリンの濃度が5500mg/kg乾燥汚泥よりも低い場合は、活性汚泥を高活性で維持することができず、300ppm以上の高濃度のアンモニアを除去できない可能性がある。
請求項5に記載の本発明の排水処理法は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の排水処理法において、前記排水中のアンモニア濃度が、300ppm以上、好ましくは300ppm以上3000ppm以下、より好ましくは500ppm以上3000ppm以下であることを特徴とする。このような発明によれば、発電設備からの排水など、アンモニア濃度が300ppm以上の高濃度のアンモニア含有排水に対して、最適な排水処理を実施できる。さらに、アンモニア以外には栄養源となるBOD成分が殆ど含まれていない高濃度のアンモニア含有排水に対しても、高効率で排水処理を実施できる。
請求項6に記載の本発明の排水処理法は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の排水処理法において、前記排水処理後の処理水を公共水面に放流するに当って、無希釈の処理水中のリンの濃度が0.5ppm以上50ppm以下の範囲内に納まる条件で、前記リンの添加量を調整することを特徴とする。
ここで、リンの添加が過剰になると、活性汚泥における硝化菌および脱窒菌がリンを吸収、利用しきれずに、処理水中に環境基準を上回る余剰のリンが残ってしまう。そして、処理水中に含まれた余剰リンにより、河川、湖沼および海洋などの公共水面における富栄養化が生じるおそれがある。この点、本発明によれば、無希釈の処理水中のリンの濃度が0.5ppm以上50ppm以下の範囲内に納まるようにリンを添加しているので、処理水中に発生した余剰のリンの濃度を環境基準以内に納めることができる。したがって、処理水中に含まれたリンにより、公共水面における富栄養化が生じることなく、高活性の活性汚泥にて高効率で排水処理を実施することができる。
請求項7に記載の本発明の排水処理法は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の排水処理法において、前記排水が、発電設備における燃焼排ガスを脱硫および脱硝して発生した排水であることを特徴とする。
ここで、発電設備は常時稼動しているので、当該発電設備からは継続的に多量の燃焼排ガスが発生する。また、この燃焼排ガスを脱硫および脱硝して発生した排水には、高濃度のアンモニアが含まれているので、そのまま公共水面に放流することができない。この際、当該排水に石灰や塩化鉄などの化学的な凝集剤を添加してアンモニアを沈殿・除去する方法も考えられるが、高濃度のアンモニアを含有する多量の排水を処理するためには多量の凝集剤が必要となり、処理コストが高くなってしまう。また、当該排水には活性汚泥の栄養源となるBOD成分が殆ど含まれていないため、このような排水を硝化・脱窒処理する菌体は高速で失活してしまう。このような観点から、発電設備からの多量の排水を安価でかつ効率良く処理する技術が求められている。
この点、本発明では、活性汚泥を利用して硝化・脱窒処理し、かつ、添加するリンおよびカリウムは低廉な物質であるので、排水処理を安価に実施できる。また、BODが低濃度の排水でも、リンおよびカリウムの添加にて活性を高めることにより、硝化・脱窒の各反応速度を高めることができ、かつ、菌体の失活速度を低下させることができる。このため、多量の排水中の高濃度のアンモニアを高効率で除去することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る排水処理法を実施するための排水処理装置を示した模式図である。
(1)排水処理装置の構成
図1において、1は排水処理装置であり、この排水処理装置1は、排水に含まれるアンモニアを活性汚泥を利用して脱窒する排水処理を実施する。このような排水処理装置1は、互いに直列に接続された、原水貯留層2と、4つの硝化槽3A〜3Dと、4つの脱窒槽4A〜4Dと、酸化槽5と、沈殿槽6とを備えている。
図1において、1は排水処理装置であり、この排水処理装置1は、排水に含まれるアンモニアを活性汚泥を利用して脱窒する排水処理を実施する。このような排水処理装置1は、互いに直列に接続された、原水貯留層2と、4つの硝化槽3A〜3Dと、4つの脱窒槽4A〜4Dと、酸化槽5と、沈殿槽6とを備えている。
原水貯留層2は、脱硫処理が施された発電設備からの排水(以下、原水と称す)を貯留する。この原水には、300ppm以上、好ましくは300ppm以上3000ppm以下、より好ましくは500ppm以上3000ppm以下の高濃度のアンモニアが含まれている排水に適用することが好ましい。そして、この原水には、アンモニアおよび該物質以外には、栄養源となるBOD成分は殆ど含まれていない。
硝化槽3A〜3Dは、原水貯留層2からの原水に含まれるアンモニアを硝化する好気性の槽である。この硝化槽3A〜3Dは原水貯留層2の下流側に設置され、硝化槽3Aには原水貯留層2からの原水が導入される。そして、硝化槽3Aに導入された原水は硝化槽3B〜3Dへと順に流通する。なお、硝化槽3Dは、好気性状態から嫌気性状態へと切り換えるための中間槽としても機能する。
このような硝化槽3A〜3Dの底部には、硝化ブロワ7の配管がそれぞれ接続され、この硝化ブロワ7より例えば100〜2000ml/l・minの流量で空気が吹き込まれる(曝気)。これにより、硝化槽3A〜3Dの内部が均一に攪拌されると共に、好気性状態が形成される。そして、硝化槽3A〜3D内部には、活性汚泥を付着させるためのリアクタ31がそれぞれ設けられている。このリアクタ31に付着した活性汚泥では、主に好気性の菌体であるアンモニア酸化細菌および亜硝酸酸化細菌が機能する。なお、活性汚泥を付着させる手段としては、リアクタ31を設置するものに限らず、内部に活性汚泥を収容する固定化担体を硝化槽3A〜3D内に投入するものでもよい。
アンモニア酸化細菌としては、Nitrosomonas europaeaなどが挙げられ、このようなアンモニア酸化細菌は原水中のアンモニアを電子供与体として、以下に示すようにして亜硝酸を生成する。
〔化学式〕
NH4+1.5O2→NO2 −+H2O+2H+…(1)
NH4+1.5O2→NO2 −+H2O+2H+…(1)
亜硝酸酸化細菌としては、Nitrobacter winogradskyiなどが挙げられ、このような亜硝酸酸化細菌は、アンモニア酸化細菌にて生成された亜硝酸を電子供与体として、以下に示すようにして硝酸を生成する。
〔化学式〕
NO2 −+0.5O2→NO3 −…(2)
NO2 −+0.5O2→NO3 −…(2)
そして、硝化槽3Aには、槽液のpHを測定するpHセンサ32が接続されている。また、硝化槽3Aには、水酸化ナトリウム水溶液などを槽液に導入して、槽液のpHを所定値に調整するpH調整手段33が接続されている。このようなpHセンサ32およびpH調整手段33にて、硝化槽3A〜3D内のpHを所定の値に維持可能としている。また、硝化槽3A〜3Dには、硝化槽3A〜3Dの温度を所定値に制御可能な図示しない温度制御手段が設けられている。
さらに、硝化槽3Aには、リン及びカリウム導入手段34が接続されている。このリン及びカリウム導入手段34により、硝化槽3A〜3D内における活性汚泥中のリンおよびカリウムの濃度が、原水貯留層2中における原水のリンおよびカリウムの濃度や、沈殿槽6中における処理水(後述)のリン濃度を踏まえて、所定の値となるように調整される。
脱窒槽4A〜4Dは、硝化槽3Dからの原水に含まれる硝酸を脱窒する嫌気性の槽である。この脱窒槽4A〜4Dは、上述のように硝化槽3Dの下流側に一連で設けられ、脱窒槽4Aには硝化槽3Dからの原水が導入される。そして、脱窒槽4Aに導入された原水は、脱窒槽4B〜4Dへと順に流通する。
このような脱窒槽4A〜4D内部は嫌気性雰囲気とされて、各槽内にて活性汚泥が流通する。この脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥では、主に嫌気性の菌体である脱窒菌が機能する。このような脱窒菌としては、硝酸還元菌であるParacoccus denitrificansなどが挙げられる。
脱窒槽4Aには、メタノールなどの電子供与体を脱窒槽4A内部に導入する電子供与体導入手段41が設けられている。上記硝酸還元菌は、この電子供与体導入手段41からの電子供与体により、以下に示すように硝酸から分子状窒素を生成する。なお、この硝酸還元菌の作用により発生した窒素ガスは、4A〜4Dの上方から大気に放出されるようになっている。
〔化学式〕
2NO3 −+10H+→N2+4H2O+2OH−…(3)
2NO3 −+10H+→N2+4H2O+2OH−…(3)
そして、脱窒槽4A〜4Dの底部には、それぞれ攪拌装置42が設けられており、これにより各槽内を均一に攪拌することが可能となる。また、脱窒槽4Aには、槽液のpHを測定するpHセンサ43が接続されている。また、脱窒槽4Aには、塩酸水溶液などを槽液に導入して、槽液のpHを所定値に調整するpH調整手段44が接続されている。このようなpHセンサ43およびpH調整手段44にて、脱窒槽4A〜4D内のpHを所定の値に維持可能にしている。さらに、脱窒槽4A〜4Dには、脱窒槽4A〜4Dの温度を所定値に制御可能な図示しない温度制御手段が設けられている。
また、脱窒槽4Aには、リン及びカリウム導入手段45が接続されている。このリン及びカリウム導入手段45により、脱窒槽4A〜4D内における活性汚泥中のリンおよびカリウムの濃度が、原水貯留層2中における原水のリンおよびカリウムの濃度や、沈殿槽6中における処理水(後述)のリン濃度を踏まえて、所定の値となるように調整される。
酸化槽5は、脱窒槽4Dからの脱窒後の原水(以下、処理水と称す)中に残存したメタノール等のCOD成分を酸化する好気性の槽である。この酸化槽5は、脱窒槽4Dの下流側に一連に設けられ、脱窒槽4Dからの処理水が内部に導入される。このような酸化槽5の底部には、硝化槽3A〜3Dと同様に硝化ブロワ7の配管が接続され、この硝化ブロワ7より例えば100〜2000ml/l・minの流量で空気が吹き込まれる(曝気)。これによりCOD成分が低減される。
沈殿槽6は、酸化槽5からの処理水中に含まれた活性汚泥を沈殿させる槽である。このような沈殿槽6は、酸化槽5の下流側に設けられる。そして、沈殿槽6内部において、酸化槽5からの処理水中のうち活性汚泥は底部に沈殿し、当該処理水中のうち上澄み液は、必要に応じて適宜ろ過などの後処理が施された後に、海や河川などの公共水面に放流される。
沈殿槽6の底部には汚泥返送手段61が設けられており、沈殿槽6の底部に沈殿した活性汚泥は、硝化槽3A〜3Dあるいは脱窒槽4A〜4Dに、所定の頻度で返送されるようになっている。なお、本実施形態では、図1に示すように硝化槽3Aに汚泥が返送される。これにより、硝化槽3A〜3D、脱窒槽4A〜4Dの各槽内における活性汚泥の濃度を所定の値に維持することが可能となり、また、比較的に増殖能力の低い硝化菌および脱窒菌の増殖能力を補うことが可能となる。
(2)排水処理動作
次に、上記排水処理装置1を用いた排水処理動作について説明する。
まず、発電設備からの排水を脱硫処理して原水とした後に、この原水を原水貯留層2に貯留する。そして、この原水貯留層2に貯留された原水を硝化槽3Aに導入する。
次に、上記排水処理装置1を用いた排水処理動作について説明する。
まず、発電設備からの排水を脱硫処理して原水とした後に、この原水を原水貯留層2に貯留する。そして、この原水貯留層2に貯留された原水を硝化槽3Aに導入する。
この際、硝化槽3Aには、リン及びカリウム導入手段34よりリンおよびカリウムが導入される。これにより、等温条件にてリンおよびカリウムを添加しない場合よりも、硝化菌および脱窒菌を高活性にすることが可能となる。また、好気性雰囲気における嫌気性の脱窒菌の失活や、原水温度の上昇に伴う硝化菌および脱窒菌の失活を抑制することが可能となる。また、硝化菌および脱窒菌にとって毒物である鉱油等の活性阻害物質に対する耐性を、当該菌体に付与することが可能となるので、硝化菌および脱窒菌の失活を抑制することができる。そして、活性汚泥の活性を高めることができるので、硝化反応速度を高めることが可能となり、特に、37℃を超えても硝化反応速度を高めることが可能となる。したがって、硝化槽3A〜3Dにおける原水中のアンモニアの硝化が促進される。
そして、硝化槽3A〜3Dにてアンモニアが硝化された原水は、脱窒槽4Aへと導入される。この際、脱窒槽4Aには、電子供与体導入手段41より電子供与体が導入される。これにより、脱窒菌による脱窒反応が進行する。
また、脱窒槽4Aには、リン及びカリウム導入手段45よりリンおよびカリウムが導入される。これにより、等温条件にてリンおよびカリウムを添加しない場合よりも、硝化菌および脱窒菌を高活性にすることが可能となる。また、嫌気性雰囲気における好気性の硝化菌の失活や、原水温度の上昇に伴う硝化菌および脱窒菌の失活を抑制することが可能となる。また、硝化菌および脱窒菌にとって毒物である鉱油等の活性阻害物質に対する耐性を、当該菌体に付与することが可能となるので、硝化菌および脱窒菌の失活を抑制することができる。そして、脱窒菌は硝化槽3A〜3Dにて殆ど失活することなく脱窒槽4Aに導入され、さらに脱窒槽4A〜4Dにおいても活性汚泥の活性を高めているので、脱窒反応速度をより高めることが可能となる。したがって、脱窒槽4A〜4Dにおける原水中の硝酸が高効率で還元され、より多くの分子状窒素が生成されるようになる。
この後、脱窒槽4A〜4Dにて硝酸が脱窒された処理水は、酸化槽5へと導入されて、酸化槽5内にて再び好気性雰囲気に曝される。これにより処理水中に残存したCOD成分が酸化される。
そして、酸化槽5内にて好気性雰囲気に曝された処理水は沈殿槽6へと導入される。この沈殿槽6にて、処理水中に含まれた活性汚泥は底部に沈殿して、汚泥返送手段61にて所定の頻度で硝化槽3A〜3Dあるいは脱窒層4A〜4Dに返送される。この際、硝化菌は脱窒槽4A〜4Dにて殆ど失活することなく硝化槽3Aに導入され、さらに硝化槽3A〜3Dにおいても活性汚泥の活性を高めているので、硝化反応速度をより高めることが可能となる。また、沈殿槽6中の処理水における上澄み液は、必要に応じて適宜ろ過などの後処理が施された後に、海や河川などの公共水面に放流される。以上にて、排水処理が終了する。
(3)リンおよびカリウムの添加
ここで、上記排水処理において、リン及びカリウム導入手段34,45より導入されるリンおよびカリウムについて説明する。
ここで、上記排水処理において、リン及びカリウム導入手段34,45より導入されるリンおよびカリウムについて説明する。
リン及びカリウム導入手段34,45よりリンおよびカリウムが原水中に導入される場合、例えば、所定濃度のリン酸カリウム(KH2PO4、K2HPO4、K3PO4)水溶液を注入することや、リン酸と塩化カリウム(KCl)を所定比で濃度調整した水溶液を注入することなどにより実施される。なお、原水中へのリンおよびカリウムの導入方法はこれに限定されず、リンおよびカリウムをイオンとして水中に溶解可能な物質を用いて、この物質を原水中に導入可能な形態とするものであれば、いずれの物質や方法をも採用できる。
そして、リン及びカリウム導入手段34,45より添加するリンおよびカリウムの比を、予め原水に含まれた分を合わせて、モル比で0.1以上10以下の範囲内に納まる条件で調整することが好ましい。これにより、硝化槽3A〜3Dにおける活性汚泥、脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥の活性を向上・維持することが可能となる。
また、リン及びカリウム導入手段34,45により、汚泥中に吸収されたリンの濃度が5500mg/kg乾燥汚泥以上となる条件で、好ましくは5500mg/kg乾燥汚泥以上8500mg/kg乾燥汚泥以下、より好ましくは7000mg/kg乾燥汚泥以上8500mg/kg乾燥汚泥以下の範囲内に納まる条件で、リンの添加量を調整することが好ましい。これにより、硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥中の硝化菌および脱窒菌の活性を高く維持できるので、排水中に含まれる300ppm以上の高濃度のアンモニアを高効率で除去可能となる。
そして、リン及びカリウム導入手段34より導入するリンの量は、排水処理後の処理水を公共水面に放流するに当って、無希釈の処理水中のリンの濃度が0.5ppm以上50ppm以下の範囲内に納まる条件で調整することが好ましい。このように、無希釈の処理水中のリンの濃度が0.5ppm以上50ppm以下の範囲内に納まるようにリンを添加すれば、処理水中に余剰のリンが発生することがない。したがって、河川、湖沼および海洋などにおける富栄養化が生じることもなく、高活性の活性汚泥にて高効率で排水処理が実施されるようになる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(4)排水処理装置1の運転
硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dを有する排水処理装置1(図1参照)に原水を連続的に通水した。
原水中の主な成分は、カルシウムイオン500ppm、硫酸イオン13000ppm、ナトリウムイオン100ppm、カリウムイオン15ppm、マグネシウムイオン500ppm、鉄イオン30ppm、塩素イオン150ppm、バナジウムイオン2ppm、ニッケルイオン1ppm以下、リン1.1ppmであった。また、アンモニウムイオンは980ppmであった。
硝化槽3A〜3Dには攪拌と酸素の供給を目的として送気を行い、溶存酸素量は3〜5mg/lの範囲に保った。汚泥の温度は35〜36℃、pHは水酸化ナトリウムで7.7に制御した。汚泥のMLSS(Mixed liquor suspended solids)は3800〜4400mg/lの範囲とした。
硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dを有する排水処理装置1(図1参照)に原水を連続的に通水した。
原水中の主な成分は、カルシウムイオン500ppm、硫酸イオン13000ppm、ナトリウムイオン100ppm、カリウムイオン15ppm、マグネシウムイオン500ppm、鉄イオン30ppm、塩素イオン150ppm、バナジウムイオン2ppm、ニッケルイオン1ppm以下、リン1.1ppmであった。また、アンモニウムイオンは980ppmであった。
硝化槽3A〜3Dには攪拌と酸素の供給を目的として送気を行い、溶存酸素量は3〜5mg/lの範囲に保った。汚泥の温度は35〜36℃、pHは水酸化ナトリウムで7.7に制御した。汚泥のMLSS(Mixed liquor suspended solids)は3800〜4400mg/lの範囲とした。
(5)汚泥の硝化活性の測定方法
マグネットを入れた240ml容の広口ビンに活性汚泥を220ml加え、恒温水槽に入れて、水温を測定目的温度に設定した。一方、広口ビンに合うシリコン栓の中心部に穴をあけ、温度センサー付き溶存酸素計のセンサーを取り付けた。さらに、ビン底部まで届く送気チューブとシリコン栓の底に大気に開放された排気チューブを取り付けた。シリコン栓を完全に密着させずに空気を流しながら、塩化アンモニウムを135ppm添加し、通気状態のままシリコン栓を密着させた。
次いで、溶存酸素量が5mg/l以上に上昇したことを確認した後、送気を止め、溶存酸素が4.5mg/lに低下した時点を0時間とし、以後、溶存酸素の低下を経時的に読み取り、溶存酸素量の低下速度を硝化活性とした。
マグネットを入れた240ml容の広口ビンに活性汚泥を220ml加え、恒温水槽に入れて、水温を測定目的温度に設定した。一方、広口ビンに合うシリコン栓の中心部に穴をあけ、温度センサー付き溶存酸素計のセンサーを取り付けた。さらに、ビン底部まで届く送気チューブとシリコン栓の底に大気に開放された排気チューブを取り付けた。シリコン栓を完全に密着させずに空気を流しながら、塩化アンモニウムを135ppm添加し、通気状態のままシリコン栓を密着させた。
次いで、溶存酸素量が5mg/l以上に上昇したことを確認した後、送気を止め、溶存酸素が4.5mg/lに低下した時点を0時間とし、以後、溶存酸素の低下を経時的に読み取り、溶存酸素量の低下速度を硝化活性とした。
(6)汚泥の脱窒活性の測定方法
上記硝化活性測定法と同様に、マグネットを入れた240ml容の広口ビンに活性汚泥を220ml加え、恒温水槽に入れて、水温を測定目的温度に設定した。一方、広口ビンに合うシリコン栓の中心部に穴をあけ、温度センサー付き溶存酸素計のセンサーを取り付けた。さらに、ビン底部まで届く送気チューブとシリコン栓の底に大気に開放された排気チューブを取り付けた。
送気チューブには窒素ガスを流した。溶存酸素が0.1mg/l以下になったことを確認後、pH7.7に調整した3.5%硝酸ナトリウム液を135ppmとなるように添加し、次いで、3.5重量%メタノール液を135ppmとなるよう添加し、窒素送気を止めると同時に、排気チューブの先に5規定の水酸化ナトリウムを入れた5ml容の液溜りを設けたマノメーターを連結した。このマノメーターに生成したガスを通して連結からのガス蓄積量として、経時的に窒素ガスの発生量を読み取り、これを脱窒活性とした。
上記硝化活性測定法と同様に、マグネットを入れた240ml容の広口ビンに活性汚泥を220ml加え、恒温水槽に入れて、水温を測定目的温度に設定した。一方、広口ビンに合うシリコン栓の中心部に穴をあけ、温度センサー付き溶存酸素計のセンサーを取り付けた。さらに、ビン底部まで届く送気チューブとシリコン栓の底に大気に開放された排気チューブを取り付けた。
送気チューブには窒素ガスを流した。溶存酸素が0.1mg/l以下になったことを確認後、pH7.7に調整した3.5%硝酸ナトリウム液を135ppmとなるように添加し、次いで、3.5重量%メタノール液を135ppmとなるよう添加し、窒素送気を止めると同時に、排気チューブの先に5規定の水酸化ナトリウムを入れた5ml容の液溜りを設けたマノメーターを連結した。このマノメーターに生成したガスを通して連結からのガス蓄積量として、経時的に窒素ガスの発生量を読み取り、これを脱窒活性とした。
(7)硝化槽汚泥の活性維持向上剤の効果
上記(4)にて運転中の排水処理装置1における硝化槽3Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して表1に示した種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(5)に示した硝化活性測定法により判定した。なお、活性汚泥中のリン濃度は5800mg/kg乾燥汚泥であった。
上記(4)にて運転中の排水処理装置1における硝化槽3Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して表1に示した種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(5)に示した硝化活性測定法により判定した。なお、活性汚泥中のリン濃度は5800mg/kg乾燥汚泥であった。
表1より、活性維持向上剤としてリン酸一カリウム(KH2PO4)を300〜1000ppm添加した実施例1−1〜1−3のいずれにおいても、広口ビン中の溶存酸素濃度が5分後には0mg/lとなっていることが分かる。これより、活性維持向上剤としてリン酸一カリウム(KH2PO4)を300〜1000ppm添加したことにより、活性汚泥の活性が向上し、酸素の消費、すなわち、硝化反応が著しく進行したことが言える。
一方、活性維持向上剤を添加しない比較例1−1と、活性維持向上剤としてリン酸−ナトリウムを添加した比較例1−2と、活性維持向上剤として塩化カリウムを添加した比較例1−3とでは、いずれも酸素の消費速度が遅かった。
したがって、活性維持向上剤としてリン酸カリウムを添加することにより、活性汚泥の活性が著しく向上することが分かった。
一方、活性維持向上剤を添加しない比較例1−1と、活性維持向上剤としてリン酸−ナトリウムを添加した比較例1−2と、活性維持向上剤として塩化カリウムを添加した比較例1−3とでは、いずれも酸素の消費速度が遅かった。
したがって、活性維持向上剤としてリン酸カリウムを添加することにより、活性汚泥の活性が著しく向上することが分かった。
(8)硝化槽汚泥の活性維持促進に効果を示すリンとカリウムの比
上記(7)と同様にして、上記(4)にて運転中の排水処理装置1における脱窒槽4Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して、表2に示すようにリンとカリウムの比率を変えて種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(5)に示した硝化活性測定法により判定した。なお、汚泥中のリン濃度は5800mg/kg乾燥汚泥であった。
上記(7)と同様にして、上記(4)にて運転中の排水処理装置1における脱窒槽4Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して、表2に示すようにリンとカリウムの比率を変えて種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(5)に示した硝化活性測定法により判定した。なお、汚泥中のリン濃度は5800mg/kg乾燥汚泥であった。
表2より、活性維持向上剤として添加するリン酸とカリウムの比率がモル比で0.1〜10の場合(実施例2−1〜2−6)、活性維持向上剤を添加しない比較例2−1と比較して、3分後の溶存酸素濃度が著しく低下していることが分かる。これより、活性維持向上剤として添加するリンとカリウムの比率がモル比で0.1〜10であれば、活性汚泥の活性が向上し、硝化反応が著しく進行することが分かった。
活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの濃度については、5000ppmまでの範囲では、添加した量が多いほど活性維持効果は高くなる傾向が得られるが、それ以上添加すると徐々に未吸収のリンが処理水中に溶出し、地域ごとに定められた環境規制値を超える可能性が高い。このため、活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの両者を合わせて1000ppm以下とすることで、未吸収のリンが処理水中に溶出することなく、確実な活性維持促進効果が得られる。
活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの濃度については、5000ppmまでの範囲では、添加した量が多いほど活性維持効果は高くなる傾向が得られるが、それ以上添加すると徐々に未吸収のリンが処理水中に溶出し、地域ごとに定められた環境規制値を超える可能性が高い。このため、活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの両者を合わせて1000ppm以下とすることで、未吸収のリンが処理水中に溶出することなく、確実な活性維持促進効果が得られる。
(9)脱窒槽汚泥の活性維持向上剤の効果
上記(4)にて運転中の排水処理装置1における脱窒槽4Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して表3に示した種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(6)に示した脱窒活性測定法により判定した。
上記(4)にて運転中の排水処理装置1における脱窒槽4Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して表3に示した種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(6)に示した脱窒活性測定法により判定した。
表3より、活性維持向上剤としてリン酸一カリウム(KH2PO4)を50ppm以上添加した実施例3−1〜3−3のいずれにおいても、活性維持向上剤を添加しない比較例3−1と比較して、15分後の窒素発生量が増加していることが分かる。特に、リン酸一カリウムを500ppm添加した実施例3−2では、15分後の窒素発生量が飛躍的に増大しており、高い活性維持促進効果が得られたことが分かる。
以上より、活性維持向上剤としてリン酸一カリウムを50ppm以上添加したことにより、活性汚泥の活性が向上し、酸素の発生、すなわち、脱窒反応が著しく進行したことが言える。また、リン酸一カリウムの添加量が多い程、活性汚泥の活性は向上することが分かった。
以上より、活性維持向上剤としてリン酸一カリウムを50ppm以上添加したことにより、活性汚泥の活性が向上し、酸素の発生、すなわち、脱窒反応が著しく進行したことが言える。また、リン酸一カリウムの添加量が多い程、活性汚泥の活性は向上することが分かった。
(10)脱窒槽汚泥の活性維持促進に効果を示すリンとカリウムの比
上記(9)と同様にして、上記(4)にて運転中の排水処理装置1における脱窒槽4Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して、表4に示すようにリンとカリウムの比率を変えて種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(6)に示した脱窒活性測定法により判定した。
上記(9)と同様にして、上記(4)にて運転中の排水処理装置1における脱窒槽4Aより活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して、表4に示すようにリンとカリウムの比率を変えて種々の活性維持向上剤を添加した。活性維持向上剤の効果は、上記(6)に示した脱窒活性測定法により判定した。
表4より、活性維持向上剤として添加するリン酸とカリウムの比率がモル比で0.1〜10の場合(実施例4−1〜4−6)、活性維持向上剤を添加しない比較例4−1と比較して、15分後の窒素発生量が増加していることが分かる。これより、活性維持向上剤として添加するリンとカリウムの比率がモル比で0.1〜10であれば、活性汚泥の活性が向上し、脱窒反応が著しく進行することが分かった。
活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの濃度については、5000ppmまでの範囲では、添加した量が多いほど活性維持効果は高くなる傾向が得られるが、濃度の増加と共に未吸収のリンが処理水中に溶出し、地域ごとに定められた環境規制値を超える可能性がある。ここで、活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの両者を合わせて1000ppm以下とすることで、未吸収のリンが処理水中に溶出することなく、確実な活性維持促進効果が得られる。
また、上記表2における実施例2−1〜2−6と、上記表4における実施例4−1〜4−6とを比較すると、リン酸およびカリウムの活性維持向上剤としての効果は、硝化槽の方が低濃度で発現する傾向があることが分かった。
活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの濃度については、5000ppmまでの範囲では、添加した量が多いほど活性維持効果は高くなる傾向が得られるが、濃度の増加と共に未吸収のリンが処理水中に溶出し、地域ごとに定められた環境規制値を超える可能性がある。ここで、活性維持向上剤として添加したリン酸とカリウムの両者を合わせて1000ppm以下とすることで、未吸収のリンが処理水中に溶出することなく、確実な活性維持促進効果が得られる。
また、上記表2における実施例2−1〜2−6と、上記表4における実施例4−1〜4−6とを比較すると、リン酸およびカリウムの活性維持向上剤としての効果は、硝化槽の方が低濃度で発現する傾向があることが分かった。
(11)活性汚泥中のリン濃度と排水処理効果との関係
硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dを有する排水処理装置1(図1参照)に原水を連続的に通水した。
原水中の主な成分は、カルシウムイオン500ppm、硫酸イオン13000ppm、ナトリウムイオン100ppm、カリウムイオン15ppm、マグネシウムイオン500ppm、鉄イオン30ppm、塩素イオン150ppm、バナジウムイオン2ppm、ニッケルイオン1ppm以下、リン1.1ppmであった。また、アンモニウムイオンは980ppmであった。
硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dを有する排水処理装置1(図1参照)に原水を連続的に通水した。
原水中の主な成分は、カルシウムイオン500ppm、硫酸イオン13000ppm、ナトリウムイオン100ppm、カリウムイオン15ppm、マグネシウムイオン500ppm、鉄イオン30ppm、塩素イオン150ppm、バナジウムイオン2ppm、ニッケルイオン1ppm以下、リン1.1ppmであった。また、アンモニウムイオンは980ppmであった。
硝化槽3A〜3Dには攪拌と酸素の供給を目的として送気を行い、溶存酸素量は3〜5mg/lの範囲に保った。汚泥の温度は35〜36℃、pHは水酸化ナトリウムで7.7に制御した。汚泥のMLSSは4300〜5200mg/lの範囲とした。リン及びカリウム導入手段34からはリンおよびカリウムを添加しなかった。
その結果、硝化槽3Dの出口では100ppm以上のアンモニアが残存し、アンモニアと硝酸の混合した汚泥が脱窒槽4A〜4Dに送られ、脱窒槽4D出口の全窒素量は規制値以上の50ppmに達し、放流ができない状態となった。硝化槽3A〜3Dにおける活性汚泥中のリン濃度を測定したところ3800mg/kg乾燥汚泥であった。
その結果、硝化槽3Dの出口では100ppm以上のアンモニアが残存し、アンモニアと硝酸の混合した汚泥が脱窒槽4A〜4Dに送られ、脱窒槽4D出口の全窒素量は規制値以上の50ppmに達し、放流ができない状態となった。硝化槽3A〜3Dにおける活性汚泥中のリン濃度を測定したところ3800mg/kg乾燥汚泥であった。
そのため、硝化槽3Aの原水に対して、リン及びカリウム導入手段34にて50ppmのリン酸一カリウムを連続的に注入した。また、脱窒槽4Aの原水に対して、リン及びカリウム導入手段45にて25ppmのリン酸一カリウムを連続的に注入した。
その結果、注入後4日後には、硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥中のリン濃度は、いずれも6200mg/kg乾燥汚泥に達した。
その結果、注入後4日後には、硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥中のリン濃度は、いずれも6200mg/kg乾燥汚泥に達した。
この後、上記のようにして、リン酸一カリウムの注入を継続しながら、排水処理装置1を4日間運転した。
その結果、硝化槽3D出口のアンモニア濃度はほぼ0となり、脱窒槽4D出口の硝酸濃度も0となった。したがって、上記のようにして、リン及びカリウム導入手段34,45にて、活性維持向上剤としてリンおよびカリウムを硝化槽3Aおよび脱窒槽4Aに添加することにより、原水中のアンモニアを十分に除去できるようになった。
その結果、硝化槽3D出口のアンモニア濃度はほぼ0となり、脱窒槽4D出口の硝酸濃度も0となった。したがって、上記のようにして、リン及びカリウム導入手段34,45にて、活性維持向上剤としてリンおよびカリウムを硝化槽3Aおよび脱窒槽4Aに添加することにより、原水中のアンモニアを十分に除去できるようになった。
さらにこの状態を維持して4日後に活性汚泥中のリン濃度を測定した結果、8400mg/kg乾燥汚泥まで増加していた。そこで、4日ごとに原水貯留層2からの原水注入量を4%ずつ上げ、20日後には25%まで上げた。
結果、この状態でも硝化槽3D出口のアンモニア濃度はほぼ0であり、脱窒槽4D出口の硝酸濃度も0であった。硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥中リン濃度は7600mg/kg乾燥汚泥であった。さらに公共水面に放流するための処理水中のリン濃度は、0.6ppm以下と十分低い値を維持した。
結果、この状態でも硝化槽3D出口のアンモニア濃度はほぼ0であり、脱窒槽4D出口の硝酸濃度も0であった。硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける活性汚泥中リン濃度は7600mg/kg乾燥汚泥であった。さらに公共水面に放流するための処理水中のリン濃度は、0.6ppm以下と十分低い値を維持した。
以上より、汚泥中に吸収されたリンの濃度を、5500mg/kg乾燥汚泥以上となる条件で、好ましくは5500mg/kg乾燥汚泥以上8500mg/kg乾燥汚泥以下、より好ましくは7000mg/kg乾燥汚泥以上8500mg/kg乾燥汚泥以下の範囲内に納まる条件で制御すれば、排水処理効果を良好にすることができることが分かった。すなわち、活性汚泥を高活性に維持することが可能となり、かつ、放流水中のリン濃度を低く抑えることが可能となることが分かった。
(12)温度上昇による活性低下の防止策についての検討
硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける原水の温度上昇、外気温の上昇および熱交換器用冷却水の温度上昇などにより、原水の温度を36℃に維持して運転することが困難となった場合を想定する。このような場合において、温度上昇による活性低下の防止策を検討した。
硝化槽3A〜3Dおよび脱窒槽4A〜4Dにおける原水の温度上昇、外気温の上昇および熱交換器用冷却水の温度上昇などにより、原水の温度を36℃に維持して運転することが困難となった場合を想定する。このような場合において、温度上昇による活性低下の防止策を検討した。
10l容のジャーファーメンターを4基用意し、運転中の排水処理装置1(図1参照)の硝化槽3Aから活性汚泥を抜き出し、2基にそれぞれ6lずつ仕込んだ。同様に、運転中の排水処理装置1(図1参照)の脱窒槽4Aから活性汚泥を抜き出し、残りの2基にそれぞれ6lずつ仕込んだ。
硝化槽汚泥を含む1基と脱窒槽汚泥を含む1基とを連結し、硝化槽汚泥を含むジャーファーメンターに排水処理装置1に供給されているのと同じ原水にリン酸一カリウム5ppmを添加した処理液を作成し、希釈率0.2%(1日あたり1200ml)で流した。また、硝化槽は1規定水酸化ナトリウム水を用いてpHを7.8に維持しながら、モーターで底部攪拌を行った。同時に、硝化槽には空気を0.15vvm流し、汚泥温度を36℃に制御した。
硝化槽汚泥を含むジャーファーメンターからの流出液は、脱窒槽汚泥を含むジャーファーメンターに導き、モーターで底部攪拌しながら、0.1vvmの窒素ガスを流して嫌気状態を保った。同時に、流入する硝酸態窒素の窒素に対して3.4倍モルのメタノール(10%液)を微量ポンプで連続注入した。硝酸の消費によるpHの上昇は1%塩酸液でpH7.8に調整し、汚泥温度は36℃に制御した。
このように2系統の硝化、脱窒槽を設けた。なお、実験開始時のそれぞれの硝化槽、脱窒槽の汚泥中リン濃度は7600mg/kg乾燥汚泥、7900mg/kg乾燥汚泥であった。この硝化、脱窒条件のジャーファーメンターから汚泥をサンプリングし、汚泥の硝化活性・脱窒活性を測定した。硝化活性は5分後の溶存酸素濃度で0、脱窒活性は15分後で1.1mlの窒素発生量であった。
この状態から、活性汚泥の温度を0.5℃ずつ上げていき、汚泥の硝化活性、脱窒活性の変化を追跡した。なお、硝化菌であるアンモニア酸化細菌および亜硝酸酸化細菌と、脱窒菌である硝酸還元菌とを比較すると、硝酸還元菌の方が高温耐性がやや弱いために温度の影響を受け易い。このため、活性は脱窒活性のみにて評価した。
この状態から、活性汚泥の温度を0.5℃ずつ上げていき、汚泥の硝化活性、脱窒活性の変化を追跡した。なお、硝化菌であるアンモニア酸化細菌および亜硝酸酸化細菌と、脱窒菌である硝酸還元菌とを比較すると、硝酸還元菌の方が高温耐性がやや弱いために温度の影響を受け易い。このため、活性は脱窒活性のみにて評価した。
表5より、活性化維持促進剤としてリン酸一カリウム(KH2PO4)を添加した実施例5−1〜5−7と、活性化維持促進剤を添加していない比較例5−1〜5−7とにおいて、いずれも温度の上昇に伴って活性汚泥の活性が低下、すなわち、失活していくことが分かる。また、実施例5−1〜5−7と比較例5−1〜5−7とを各温度ごとに比較してみると、いずれの温度においても活性化維持促進剤を添加したことにより活性汚泥の活性が向上していることが分かる。これより、活性化維持促進剤としてリン酸一カリウムを添加したことにより、温度の上昇に伴う脱窒活性の失活が抑制されることが分かった。
通常、活性汚泥は37℃以下で好適に硝化・脱窒機能を発揮し、37℃よりも高い温度では徐々に失活して硝化・脱窒機能が低下する。しかしながら、実施例5−5に示すように、リン酸一カリウムを添加すれば、38.5℃でも活性低下が殆ど無く、活性汚泥を高活性で維持できることが分かる。
また、実施例5−1と比較例5−1とを比較すると、リン酸一カリウムを添加することにより活性汚泥の活性が1.5倍以上高くなっていることが分かる。さらに、実施例5−2および5−3では、実施例5−1と同等の活性が得られている。これより、37℃以下における活性汚泥の硝化・脱窒機能を、リン酸一カリウムを添加することにより1.5倍以上に高めることが可能であることが分かる。
また、実施例5−1と比較例5−1とを比較すると、リン酸一カリウムを添加することにより活性汚泥の活性が1.5倍以上高くなっていることが分かる。さらに、実施例5−2および5−3では、実施例5−1と同等の活性が得られている。これより、37℃以下における活性汚泥の硝化・脱窒機能を、リン酸一カリウムを添加することにより1.5倍以上に高めることが可能であることが分かる。
(13)活性阻害物質による汚泥活性低下の抑制
高アンモニア含有排水処理の活性汚泥において、汚泥の活性を直接阻害する物質が知られている。排水中に混入するおそれのある代表的な物質として、硫化水素、鉱油がある。硫化水素は鉄塩や亜鉛塩で酸化、沈殿させて除くことが可能である。しかし、鉱油は相分離を起こしている部分は分離除去できるが、エマルジョンや低濃度で溶解した部分がある場合は、活性汚泥の硝化活性および脱窒活性を著しく阻害する。
このような阻害物質による活性低下を緩和するために、活性維持向上剤の効果を調べた。阻害物質としては、鉱油成分のうち典型的な阻害を起こすベンゼンを用いた。
高アンモニア含有排水処理の活性汚泥において、汚泥の活性を直接阻害する物質が知られている。排水中に混入するおそれのある代表的な物質として、硫化水素、鉱油がある。硫化水素は鉄塩や亜鉛塩で酸化、沈殿させて除くことが可能である。しかし、鉱油は相分離を起こしている部分は分離除去できるが、エマルジョンや低濃度で溶解した部分がある場合は、活性汚泥の硝化活性および脱窒活性を著しく阻害する。
このような阻害物質による活性低下を緩和するために、活性維持向上剤の効果を調べた。阻害物質としては、鉱油成分のうち典型的な阻害を起こすベンゼンを用いた。
上記(4)にて運転中の排水処理装置1における硝化槽3Aから活性汚泥を採取し、採取した活性汚泥に対して、表6に示すようにベンゼンおよび活性維持向上剤としてのリンおよびカリウムを添加した。活性低下の緩和効果は、上記(5)に示した硝化活性測定法により判定した。なお、活性汚泥中のリン濃度は5800mg/kg乾燥汚泥であった。
表6より、活性化維持促進剤としてリン酸一カリウム(KH2PO4)を添加した場合(実施例6−1〜6−4)と、リン酸一カリウムを添加していない場合(比較例6−1〜6−4)とでは、いずれの場合でもベンゼン添加量を増加させていくにしたがって溶存酸素濃度が低下していくことが分かる。一方、実施例6−1〜6−4と比較例6−1〜6−4とをベンゼン添加量ごとに比較してみると、リン酸一カリウムを添加することにより、溶存酸素濃度の減少速度が少なくなる、すなわち、活性汚泥の活性の低下が緩和されていることが分かる。
(14)実施形態の変形
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、発電設備からの高濃度のアンモニア含有排水を原水とする構成を例示したが、これに限らない。すなわち、本発明の排水処理方法では、低濃度のアンモニア含有排水に対しても脱窒処理を施すことができる。また、食品工場排水や化学設備排水など、アンモニア以外のBOD成分を含んだ排水に対しても脱窒処理を施すことができる。
また、前記実施形態では、排水処理装置1は、4つの硝化槽3A〜3Dと、この硝化槽の下流に設けられた脱窒槽4A〜4Dとを備えた構成としたが、これに限らない。すなわち、例えば、排水処理装置は、脱窒槽と、この脱窒槽の下流側に設けられた硝化槽とを備え、脱窒槽に汚泥を返送する構成としてもよい。このような構成でも上記実施形態と同様の排水処理を実施できる。また、硝化槽および脱窒槽の数も任意である。
そして、前記実施形態では、硝化槽3Aおよび脱窒槽4Aに、リン及びカリウム導入手段34,45にてリンおよびカリウムを添加する構成を例示したが、これに限らない。すなわち、例えば、リンおよびカリウムは硝化槽3Aのみ、あるいは、脱窒槽4Aのみに添加する構成としてもよく、この場合でも上記実施形態と略同様の排水処理を実施できる。なお、本実施形態のように、硝化槽3Aおよび脱窒槽4Aの双方にリンおよびカリウムを添加する構成が、最も良好な排水処理効果を発揮する。また、原水貯留層2にリンおよびカリウムを添加し、硝化槽3Aおよび脱窒槽4Aには添加しない構成としてもよい。このような構成でも、原水貯留層2に貯留された原水にリンおよびカリウムが含まれているので、硝化槽3Aおよび脱窒槽4Aにおける活性汚泥の活性を維持・向上できる。
さらに、前記実施形態では、硝化槽3A〜3Dのそれぞれを硝化ブロワ7により好気性雰囲気にする構成としたが、これに限らない。すなわち、例えば、原水貯留層2にて、過剰の酸素を導入して好気性雰囲気としてから、硝化槽3Aに導入してもよい。このような構成でも、硝化槽3A〜3Dにおいて硝化処理を実施できる。
そして、前記実施形態では、沈殿槽6における上澄み液を適宜後処理してから公共水面に放流するとしたが、当該後処理において、上澄み液に石灰や塩化鉄などの化学的な凝集剤を添加して、上澄み液中のリン成分を沈殿除去する構成としてもよい。このようにすれば、リン及びカリウム導入手段34,45にてリンを多めに投与してしまった場合でも、当該リンを後処理工程で除去できるので、公共水面が富栄養化することを防ぐことができる。また、硝化・脱窒の工程において大部分のリンが消費された後の当該上澄み液では、リン濃度が低くなっているので、後処理工程で添加する凝集剤の量も少なくて済む。
また、前記実施形態では、沈殿槽6を設ける構成としたが、沈殿槽6の代わり、あるいは、沈殿槽6の下流側にさらに、前記処理水を遠心分離して活性汚泥を凝縮する集泥器を設けてもよい。このような構成によれば、処理水における上澄み液と活性汚泥とをより確実に分離することができる。
1…排水処理装置
2…原水貯留層
3A-3D…硝化槽
31…リアクタ
32…pHセンサ
33…pH調整手段
34…リン及びカリウム導入手段
4A-4D…脱窒槽
41…電子供与体導入手段
42…攪拌装置
43…pHセンサ
44…pH調整手段
45…リン及びカリウム導入手段
5…酸化槽
6…沈殿槽
61…汚泥返送手段
7…硝化ブロワ
2…原水貯留層
3A-3D…硝化槽
31…リアクタ
32…pHセンサ
33…pH調整手段
34…リン及びカリウム導入手段
4A-4D…脱窒槽
41…電子供与体導入手段
42…攪拌装置
43…pHセンサ
44…pH調整手段
45…リン及びカリウム導入手段
5…酸化槽
6…沈殿槽
61…汚泥返送手段
7…硝化ブロワ
Claims (7)
- アンモニアを含有する排水を活性汚泥で硝化および脱窒させて排水処理する排水処理法であって、
前記活性汚泥にて硝化反応が行われる前、および、前記活性汚泥にて脱窒反応が行われる前の少なくともいずれか一方において、前記排水にリンおよびカリウムを添加する
ことを特徴とする排水処理法。 - 請求項1に記載の排水処理法において、
前記排水を、内部に充填された前記活性汚泥にて前記硝化反応が行われる硝化槽、および、内部に充填された前記活性汚泥にて前記脱窒反応が行われる脱窒槽の双方を流通させて排水処理し、
リンおよびカリウムを、前記硝化槽および前記脱窒槽の少なくともいずれか一方に添加する
ことを特徴とする排水処理法。 - 請求項1または請求項2に記載の排水処理法において、
添加するリンおよびカリウムの比を、予め前記排水に含まれた分を合わせて、モル比で0.1以上10以下の範囲内に納まる条件で調整する
ことを特徴とする排水処理法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の排水処理法において、
前記汚泥中に吸収されたリンの濃度が5500mg/kg乾燥汚泥以上となる条件で、前記リンの添加量を調整する
ことを特徴とする排水処理法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の排水処理法において、
前記排水中のアンモニア濃度が、300ppm以上である
ことを特徴とする排水処理法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の排水処理法において、
前記排水処理後の処理水を公共水面に放流するに当って、無希釈の処理水中のリンの濃度が0.5ppm以上50ppm以下の範囲内に納まる条件で、前記リンの添加量を調整する
ことを特徴とする排水処理法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の排水処理法において、
前記排水が、発電設備における燃焼排ガスを脱硫および脱硝して発生した排水である
ことを特徴とする排水処理法。
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JP2005334482A JP2007136355A (ja) | 2005-11-18 | 2005-11-18 | 排水処理法 |
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JP2005334482A JP2007136355A (ja) | 2005-11-18 | 2005-11-18 | 排水処理法 |
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-
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- 2005-11-18 JP JP2005334482A patent/JP2007136355A/ja not_active Withdrawn
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