JP2007136294A - カルボニル化合物捕集用充填材の製造方法、及びカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便且つ安価であって、再現性が良く、高い回収率を維持しながら微量のカルボニル化合物を分析することが可能なカルボニル化合物捕集用充填材、カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法及びカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジを提供することにある。
【解決手段】無機系担体を焼成する工程(1)と、焼成された前記無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)とを順に備えた製造方法としている。無機系担体をあらかじめ焼成することにより、保存安定性のよいカルボニル化合物捕集用充填材、並びにカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジが得られる。
【選択図】図1
【解決手段】無機系担体を焼成する工程(1)と、焼成された前記無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)とを順に備えた製造方法としている。無機系担体をあらかじめ焼成することにより、保存安定性のよいカルボニル化合物捕集用充填材、並びにカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジが得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジに関し、特にガス中に微量存在するカルボニル化合物(アルデヒド類)を定量的に分析するためのカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法、及びカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法に関する。
近年、種類及び量が著しく増加している化学物質に関して、環境汚染状況の把握は急務であり、環境中の有害化学物質の迅速な測定方法の開発が待たれている。
特に、大気中の有害化学物質については、改正された大気汚染防止法(環境省)で定められているように、特定の有害化学物質を規定し、その環境中の濃度を測定することにより、人体に対して有害な有害化学物質の量を規制しようとしている。また、大気中の揮発性化学物質(VOC)については、光化学オキシダントの原因物質となりうることから、排出量の規制が始まるなど、大気中の化学物質を規制あるいは管理する方向にある。
また、近年シックハウス症候群など、化学物質が人体に与える影響について大きく取り上げられるようになってきているが、室内空気中の化学物質濃度が、環境省の定める指針値を大きく下回るにもかかわらずシックハウス症候群の症状を表す人がいるなど、低濃度の化学物質を定量的に測定する方法が望まれている。
特に、大気中の有害化学物質については、改正された大気汚染防止法(環境省)で定められているように、特定の有害化学物質を規定し、その環境中の濃度を測定することにより、人体に対して有害な有害化学物質の量を規制しようとしている。また、大気中の揮発性化学物質(VOC)については、光化学オキシダントの原因物質となりうることから、排出量の規制が始まるなど、大気中の化学物質を規制あるいは管理する方向にある。
また、近年シックハウス症候群など、化学物質が人体に与える影響について大きく取り上げられるようになってきているが、室内空気中の化学物質濃度が、環境省の定める指針値を大きく下回るにもかかわらずシックハウス症候群の症状を表す人がいるなど、低濃度の化学物質を定量的に測定する方法が望まれている。
これらの化学物質のうち、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類については、排気ガス中や室内空気中、建材等からの放散量などを測定する方法が開示されている。
非特許文献1には、排ガス中のホルムアルデヒド分析方法が開示されている。この非特許文献1には、
(1)4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール吸光光度法、
(2)2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)捕集−ガスクロマトグラフ法(吸収瓶捕集)及びDNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(吸収瓶捕集)、
(3)DNPH捕集−ガスクロマトグラフ法(カートリッジ捕集)及びDNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(カートリッジ捕集)、
の3種類の分析方法が開示されている。これらの方法のうち、操作が簡便で容易な(3)DNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(カートリッジ捕集)が主流の方法として採用されている。
(1)4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール吸光光度法、
(2)2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)捕集−ガスクロマトグラフ法(吸収瓶捕集)及びDNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(吸収瓶捕集)、
(3)DNPH捕集−ガスクロマトグラフ法(カートリッジ捕集)及びDNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(カートリッジ捕集)、
の3種類の分析方法が開示されている。これらの方法のうち、操作が簡便で容易な(3)DNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(カートリッジ捕集)が主流の方法として採用されている。
また、非特許文献2には、室内空気中のホルムアルデヒドの分析方法が開示されている。この非特許文献2には、非特許文献1に記載されている(3)DNPH捕集−高速液体クロマトグラフ法(カートリッジ捕集)に若干の改良を加えたホルムアルデヒドの測定方法について記載されている。
また、非特許文献3では、従来のカルボニル化合物捕集用カートリッジを用いたアルデヒド類の捕集について、定量下限値を下げる試みがなされている。非特許文献3には、ホルムアルデヒドの目標定量下限値である0.08μg/m3の濃度を測定可能とするための分析操作方法について開示されている。
また、特許文献1には、DNPH以外の物質を充填材担体へコーティングしてカルボニル化合物を捕集する方法が開示されており、O−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミンなどを用いることによりカルボニル化合物を捕集する方法が記載されている。
国際公開第00/02041号パンフレット
JIS K0303:2004「排ガス中のホルムアルデヒド分析方法」
「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 中間報告書−第6回〜第7回のまとめについて」厚生労働省
「アルデヒド類捕集及び誘導体化用カートリッジのブランク値測定方法について(2)ガラス器具の影響」和光純薬時報 73(2),10(2005)
室内大気等のガス中のカルボニル化合物を分析する際、ガス中のカルボニル化合物の濃度が低い場合は、カルボニル化合物を濃縮する必要がある。そのためには分析試料を大量に捕集しなければならないが、分析試料を大量に捕集しようとする場合には、捕集時間を長くするか、捕集速度を高くする必要がある。捕集時間を長くした場合には、捕集のための手間が多くなってしまうことから、捕集速度を高くするための各種検討が行われている。
また、従来の目標定量下限値を下回るカートリッジブランクを有するカルボニル化合物捕集用カートリッジを開発するための検討も行われている。カートリッジブランクが小さければ、より微量のカルボニル化合物を分析することができるため、試料中のカルボニル化合物が低濃度であっても分析することが可能となる。
しかしながら、従来の製造方法で得られるカルボニル化合物捕集用カートリッジは、カートリッジブランク値が高く、また、製造ロット内においてカートリッジブランク値が安定していないため、捕集適用範囲が狭かったり、カートリッジブランク値を確定するために多くのブランク値測定を行う必要がある等の問題があった。
本発明者らは、カートリッジブランクの小さいカルボニル化合物捕集用カートリッジの実現を鋭意研究してきたが、カートリッジ容器に充填される無機系担体に吸着している有機物が、カートリッジブランク値を高くしている可能性があることが明らかとなった。
しかしながら、従来の製造方法で得られるカルボニル化合物捕集用カートリッジは、カートリッジブランク値が高く、また、製造ロット内においてカートリッジブランク値が安定していないため、捕集適用範囲が狭かったり、カートリッジブランク値を確定するために多くのブランク値測定を行う必要がある等の問題があった。
本発明者らは、カートリッジブランクの小さいカルボニル化合物捕集用カートリッジの実現を鋭意研究してきたが、カートリッジ容器に充填される無機系担体に吸着している有機物が、カートリッジブランク値を高くしている可能性があることが明らかとなった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便且つ安価であって、カートリッジブランク値が低く、また、保存安定性が良く、高い回収率を維持しながら微量のカルボニル化合物を分析することが可能なカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法及びカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジを提供することにある。
本発明者は、アルデヒド類、ケトン類などのカルボニル化合物に対して高い吸着能力を維持しつつ、しかもカートリッジブランクの小さなカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの実現を鋭意検討してきたところ、無機系担体を焼成し、該無機系担体に吸着している有機物を予め除去することにより、上記目的を達成できることを見いだした。すなわち、本発明は以下の[1]〜[17]に関するものである。
[1] 無機系担体を焼成する工程(1)と、焼成された前記無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)とを順に備えたことを特徴とするカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[2] 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が300〜700℃の範囲内であることを特徴とする[1]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[3] 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が400〜600℃の範囲内であることを特徴とする[1]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[4] 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が500〜550℃の範囲内であることを特徴とする[1]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[5] 前記ヒドラジン化合物が、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[6] 前記無機系担体がシリカを主成分としてなるものであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[7] 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[8] 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする[7]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[2] 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が300〜700℃の範囲内であることを特徴とする[1]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[3] 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が400〜600℃の範囲内であることを特徴とする[1]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[4] 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が500〜550℃の範囲内であることを特徴とする[1]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[5] 前記ヒドラジン化合物が、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[6] 前記無機系担体がシリカを主成分としてなるものであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[7] 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[8] 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする[7]に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により製造されたカルボニル化合物捕集用充填材。
[10] [9]に記載の充填材を、カートリッジ容器に充填することを特徴とするカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法。
[11] [1]請求項1に記載の工程(1)で焼成された前記無機系担体をカートリッジ容器に充填した後、[1]に記載の工程(2)を行うことを特徴とする[10]に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法。
[12] [9]に記載の充填材が充填されたカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[13] 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする[12]に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[14] 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする[13]に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[15] [9]に記載の充填材が充填されたカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジであって、アセトニトリルを溶離液として溶出されるカルボニル化合物のブランク値が、総量で0.05μg以下であることを特徴とするカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[10] [9]に記載の充填材を、カートリッジ容器に充填することを特徴とするカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法。
[11] [1]請求項1に記載の工程(1)で焼成された前記無機系担体をカートリッジ容器に充填した後、[1]に記載の工程(2)を行うことを特徴とする[10]に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法。
[12] [9]に記載の充填材が充填されたカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[13] 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする[12]に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[14] 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする[13]に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[15] [9]に記載の充填材が充填されたカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジであって、アセトニトリルを溶離液として溶出されるカルボニル化合物のブランク値が、総量で0.05μg以下であることを特徴とするカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
[16] カルボニル化合物および共存物質が含有された分析試料を、[12]〜[15]のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジに流通させて前記カルボニル化合物を前記無機系充填材に吸着させた後、前記カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジに溶離液を流通させて前記カルボニル化合物と前記ヒドラジン化合物の結合化合物を流出させることを特徴とするカルボニル化合物の分取方法。
[17] 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする[16]に記載のカルボニル化合物の分取方法。
[18] 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする[17]に記載のカルボニル化合物の分取方法。
[19]焼成された無機系担体が充填材とされたことを特徴とする固相抽出カートリッジ。
[17] 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする[16]に記載のカルボニル化合物の分取方法。
[18] 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする[17]に記載のカルボニル化合物の分取方法。
[19]焼成された無機系担体が充填材とされたことを特徴とする固相抽出カートリッジ。
本発明によれば、上述の構成により、簡便且つ安価であり、カートリッジブランク値が低く、また、保存安定性が良く、試料ガス中の微量のカルボニル化合物を分析することができるカルボニル化合物捕集用充填材、及びカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法が提供される。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジは、カートリッジブランク値が小さいため、試料中に含まれる微量のカルボニル化合物を検出することができる。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジは、カートリッジブランク値が小さいため、試料中に含まれる微量のカルボニル化合物を検出することができる。
以下、本発明のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法、及びカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法の実施の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ(以下、カートリッジと略称することがある)1は、予め焼成され、DNPH(2,4−ジニトロフェニルヒドラジン)で表面がコーティングされた無機系充填材(以下、充填材と略称することがある)2が、充填材層2aとしてカートリッジ容器3である注射筒型容器(リザーバー)に収容されることにより構成されている。また、図示例では、充填材層2aの上下(図1の上下方向)にフィルター4が、カートリッジ容器3内に装填して取り付けられている。
本発明のカートリッジ容器3には、必要に応じて、予め焼成した充填材2と別の充填材を混合して充填しても良く、また、充填材2と他の充填材もしくは基材とで多層構造を形成させるように充填してもよい。
図1に示すように、本実施形態のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ(以下、カートリッジと略称することがある)1は、予め焼成され、DNPH(2,4−ジニトロフェニルヒドラジン)で表面がコーティングされた無機系充填材(以下、充填材と略称することがある)2が、充填材層2aとしてカートリッジ容器3である注射筒型容器(リザーバー)に収容されることにより構成されている。また、図示例では、充填材層2aの上下(図1の上下方向)にフィルター4が、カートリッジ容器3内に装填して取り付けられている。
本発明のカートリッジ容器3には、必要に応じて、予め焼成した充填材2と別の充填材を混合して充填しても良く、また、充填材2と他の充填材もしくは基材とで多層構造を形成させるように充填してもよい。
カートリッジ容器3(リザーバー)の形状は特に制限はない。通常の円筒型であっても、ディスク状であっても良い。カートリッジ容器3のサイズは分析処理量に対応して適切な大きさのものを使用できる。通常は、容積0.1〜100ml、好ましくは3〜6ml程度のものがハンドリングの面で好適である。また、カートリッジ容器3(リザーバー)の材質としては、ガラス製、ステンレス製、樹脂製(たとえばポリプロピレン、ポリエチレン等)のものが好ましく、使用する溶媒に不溶性であって、充填材2が試料の濃縮作業中にカートリッジ容器3から流出しなければよく、その材質、形は特に制限されない。
但し、カートリッジ容器3への充填後に無機系担体の焼成を行う場合には、カートリッジ容器3に用いる材質は、焼成処理に耐え得るものに限定される。
但し、カートリッジ容器3への充填後に無機系担体の焼成を行う場合には、カートリッジ容器3に用いる材質は、焼成処理に耐え得るものに限定される。
カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ1に試料を流し、この試料に含まれるカルボニル化合物を一旦充填材に吸着させてから、溶媒で抽出(脱着)することにより、対象物質であるカルボニル化合物(厳密にはヒドラジン化合物との反応化合物)を分取、回収させることができる。
本発明に用いられる充填材2の形状は、ロッド状(充填材が一つの塊としてカートリッジ容器の内部とほぼ同じサイズとなっている)、バルク状(1mm〜5cm程度の塊)、粒子状、繊維状のいずれでもよいが、粒子状とすることが好ましい。充填材2を粒子状とする場合には、破砕型粒子としても良いし、球状粒子としても良い。
また、粒子状とする場合の数平均粒子径は、10μm以上5mm以下の範囲が好ましく、50μm以上2mm以下の範囲がより好ましく、100μm以上1mm以下の範囲が最も好ましい。平均粒子径が10μm未満になると、カートリッジ1に流通させる分析試料の流速を上げた場合に、充填材2からなる充填材層2aの前後の静圧の差(圧力損失)が大きくなり、高流速で分析試料を流すことができない。また、平均粒子径が5mmを越えると、対象物質の吸着効率が悪くなるので好ましくない。
なお、充填材2の平均粒子径は、JIS Z 8801に定める試験用ふるいを用いて、JIS Z8815ふるいわけ試験方法通則に準拠して測定する。
また、充填材2は、上記の形状のものを複数組み合わせて使用することもできる。例えば、バルク状充填材の隙間に粒子状または繊維状のものを詰めて使用することも可能である。さらに充填材2は、上記の粒子状の形状のうち、異なる平均粒子径の粒子を混合して使用することもできる。
本発明では、無機系担体を予め焼成し、表面にヒドラジン化合物を吸着させた充填材2として構成している。
また、粒子状とする場合の数平均粒子径は、10μm以上5mm以下の範囲が好ましく、50μm以上2mm以下の範囲がより好ましく、100μm以上1mm以下の範囲が最も好ましい。平均粒子径が10μm未満になると、カートリッジ1に流通させる分析試料の流速を上げた場合に、充填材2からなる充填材層2aの前後の静圧の差(圧力損失)が大きくなり、高流速で分析試料を流すことができない。また、平均粒子径が5mmを越えると、対象物質の吸着効率が悪くなるので好ましくない。
なお、充填材2の平均粒子径は、JIS Z 8801に定める試験用ふるいを用いて、JIS Z8815ふるいわけ試験方法通則に準拠して測定する。
また、充填材2は、上記の形状のものを複数組み合わせて使用することもできる。例えば、バルク状充填材の隙間に粒子状または繊維状のものを詰めて使用することも可能である。さらに充填材2は、上記の粒子状の形状のうち、異なる平均粒子径の粒子を混合して使用することもできる。
本発明では、無機系担体を予め焼成し、表面にヒドラジン化合物を吸着させた充填材2として構成している。
フィルター4は、充填材層2aを保持するとともに、該充填材層2aに後述の溶離液を均一に通液させるものであり、カートリッジ容器3内において、充填材2の上下(図1の上下方向)に装填して配されている。
フィルター4の材質は、前記溶離液の通液時に不要な成分を溶出しないものを選択することが好ましく、例えばポリエチレン粒子を焼結して、厚さ0.5〜3mm程度に成形したもの等が用いられる。
但し、カートリッジ容器3への充填後に無機系充填材を焼成する場合、フィルター4の材質は、焼成処理に耐え得るもの(例えば、ガラス材料等)を用いる必要がある。
フィルター4の材質は、前記溶離液の通液時に不要な成分を溶出しないものを選択することが好ましく、例えばポリエチレン粒子を焼結して、厚さ0.5〜3mm程度に成形したもの等が用いられる。
但し、カートリッジ容器3への充填後に無機系充填材を焼成する場合、フィルター4の材質は、焼成処理に耐え得るもの(例えば、ガラス材料等)を用いる必要がある。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジは、アセトニトリルを溶離液として溶出されるカルボニル化合物のブランク値が、総量で0.05μg以下であり、非常に小さなカートリッジブランク値であるため、試料ガス中の微量のカルボニル化合物を分析することが可能となる。
以下、本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法の各工程について詳しく説明する。
<工程1>
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法は、無機系担体を焼成する工程(工程(1))を備えている。
無機系担体を焼成することにより、無機系担体に吸着している有機物等の不純物を除去することができる。
以下、無機系担体の焼成について説明する。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法は、無機系担体を焼成する工程(工程(1))を備えている。
無機系担体を焼成することにより、無機系担体に吸着している有機物等の不純物を除去することができる。
以下、無機系担体の焼成について説明する。
[焼成温度及び雰囲気]
無機系担体の焼成温度は、300〜700℃の範囲内が好ましく、400〜600℃の範囲内がより好ましく、もっと好ましいのは500〜550℃の範囲内である。
無機系担体を加熱し、上述の範囲の温度で焼成することにより、無機系担体に吸着した有機物等の不純物を確実に除去することができる。
焼成温度が300℃未満だと、有機物等の不純物を除去する効果が得られにくくなる。
焼成温度の上限値は、無機系担体(例えば、シリカ)の融点温度以下とすれば良く、適宜設定することができるが、600℃以下とすることが、比表面積の低下や細孔容積の減少等、無機系担体が損傷するのを防止する点から好ましい。
また、無機系担体を焼成する際の雰囲気としては、例えば、不活性ガス中で行うことも可能だが、大気中(あるいはO2を含むガス中)で行うことがより好ましい。無機系担体の焼成を大気中で行うことにより、不純物が燃焼して炭(C)が残留した場合であっても、大気中の酸素(O2)によって酸化(CO2ガス)し、除去することが可能となる。
無機系担体の焼成温度は、300〜700℃の範囲内が好ましく、400〜600℃の範囲内がより好ましく、もっと好ましいのは500〜550℃の範囲内である。
無機系担体を加熱し、上述の範囲の温度で焼成することにより、無機系担体に吸着した有機物等の不純物を確実に除去することができる。
焼成温度が300℃未満だと、有機物等の不純物を除去する効果が得られにくくなる。
焼成温度の上限値は、無機系担体(例えば、シリカ)の融点温度以下とすれば良く、適宜設定することができるが、600℃以下とすることが、比表面積の低下や細孔容積の減少等、無機系担体が損傷するのを防止する点から好ましい。
また、無機系担体を焼成する際の雰囲気としては、例えば、不活性ガス中で行うことも可能だが、大気中(あるいはO2を含むガス中)で行うことがより好ましい。無機系担体の焼成を大気中で行うことにより、不純物が燃焼して炭(C)が残留した場合であっても、大気中の酸素(O2)によって酸化(CO2ガス)し、除去することが可能となる。
[焼成方法]
無機系担体の焼成方法としては、例えば電気炉等を用いて行うことができる。
この際、例えば、無機系担体を試料棚に載せて炉内へ搬入し、焼成を行うバッチ式の方法としても良いし、また、コンベア等の方法で無機系担体を炉内に順次搬入し、焼成を行うロータリー式の方法としても良く、工業的な生産効率等を考慮しながら適宜採用することができる。
無機系担体の焼成方法としては、例えば電気炉等を用いて行うことができる。
この際、例えば、無機系担体を試料棚に載せて炉内へ搬入し、焼成を行うバッチ式の方法としても良いし、また、コンベア等の方法で無機系担体を炉内に順次搬入し、焼成を行うロータリー式の方法としても良く、工業的な生産効率等を考慮しながら適宜採用することができる。
[無機系担体]
本発明で用いる無機系担体は、シリカ、アルミナ、チタニア等が使用可能であるが、特にシリカにより形成されることが好ましい。シリカは、無機系担体の中でも容易に入手することができる担体であり、粒径のそろった状態で入手することが可能である。また、一般的にアルミナやチタニアなどに比べて表面積が大きいため効率よくカルボニル化合物を捕集することができる。本発明に係る無機系担体にシリカを使用する場合は、市販のシリカゲルを用いることができる。市販のシリカゲルとして、例えば、アルゴノート社製シリカ(LARGE PARTICLE SILICA)や、富士シリシア化学製シリカ(CARiACT(登録商標):Q−10)などを使用することができる。
本発明で用いる無機系担体は、シリカ、アルミナ、チタニア等が使用可能であるが、特にシリカにより形成されることが好ましい。シリカは、無機系担体の中でも容易に入手することができる担体であり、粒径のそろった状態で入手することが可能である。また、一般的にアルミナやチタニアなどに比べて表面積が大きいため効率よくカルボニル化合物を捕集することができる。本発明に係る無機系担体にシリカを使用する場合は、市販のシリカゲルを用いることができる。市販のシリカゲルとして、例えば、アルゴノート社製シリカ(LARGE PARTICLE SILICA)や、富士シリシア化学製シリカ(CARiACT(登録商標):Q−10)などを使用することができる。
一般に無機系担体は、無機系充填材2としたときのカートリッジブランク値(何も吸着させなくとも充填材自体から溶出してくる成分の量)を低くするために、あらかじめ洗浄しておくことが好ましい。
本発明では、焼成処理した充填材を、酸性物質を含有する有機溶媒で洗浄することでカートリッジブランク値を一層低くすることがより好ましい。これは、無機系担体にもともと吸着していたカルボニル化合物が、焼成後も無機系担体に微量で残留した場合に、酸性物質を含有する有機溶媒で洗浄、除去されるためである。
無機系担体を焼成して得られた充填材を、酸性物質を含有する有機溶媒で洗浄することにより、不純物を除去する効果がより一層高められ、カートリッジブランク値をより低くするこが可能となる。
本発明では、焼成処理した充填材を、酸性物質を含有する有機溶媒で洗浄することでカートリッジブランク値を一層低くすることがより好ましい。これは、無機系担体にもともと吸着していたカルボニル化合物が、焼成後も無機系担体に微量で残留した場合に、酸性物質を含有する有機溶媒で洗浄、除去されるためである。
無機系担体を焼成して得られた充填材を、酸性物質を含有する有機溶媒で洗浄することにより、不純物を除去する効果がより一層高められ、カートリッジブランク値をより低くするこが可能となる。
[酸性物質]
本発明で用いる酸性物質としては、無機酸や有機酸を使用することができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、過塩素酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。有機酸としては酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸などを使用することができるがこれらに限定されるものではない。好ましい酸性物質としては、塩酸、燐酸、酢酸を挙げることができ、このうち塩酸が最も好ましい。酸性物質の有機溶媒に対する濃度は、1リットルあたり0.001モル〜1モルの濃度であれば良く、好ましくは1リットルあたり0.01〜0.1モルの濃度である。
本発明で用いる酸性物質としては、無機酸や有機酸を使用することができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、過塩素酸、ヘテロポリ酸等が挙げられる。有機酸としては酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸などを使用することができるがこれらに限定されるものではない。好ましい酸性物質としては、塩酸、燐酸、酢酸を挙げることができ、このうち塩酸が最も好ましい。酸性物質の有機溶媒に対する濃度は、1リットルあたり0.001モル〜1モルの濃度であれば良く、好ましくは1リットルあたり0.01〜0.1モルの濃度である。
[洗浄用有機溶媒]
本発明で無機系担体の洗浄に用いる有機溶媒は、カルボニル基(−(C=O)−)を含まない、あるいはカルボニル基を有する化合物を生成しない溶媒が好ましい。具体的には、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、などを使用することができるがこれらに限定されるものではない。好ましい有機溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフランであり、最も好ましくはアセトニトリルである。
本発明で無機系担体の洗浄に用いる有機溶媒は、カルボニル基(−(C=O)−)を含まない、あるいはカルボニル基を有する化合物を生成しない溶媒が好ましい。具体的には、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、などを使用することができるがこれらに限定されるものではない。好ましい有機溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフランであり、最も好ましくはアセトニトリルである。
[無機系担体の洗浄]
本発明に係る無機系担体の洗浄方法としては、連続式、半連続式、回分式などの方法を使用することができるが、これらに限定されるものではない。連続式としては、筒状の容器に無機系担体を充填し、その容器の上部あるいは下部から、酸性物質を含有する有機溶媒を通液して、容器の下部あるいは上部から廃液を排出することにより洗浄することができる。また、回分式としては、攪拌機とろ過装置を取り付けた容器に、無機系担体と酸性物質を含有する有機溶媒を仕込み、所定の時間撹拌後、ろ過して過剰の溶媒を抜き出すことにより洗浄することができる。
洗浄の際の温度、時間は適宜定めることができる。また、温度は常温でも差し支えない。
本発明に係る無機系担体の洗浄方法としては、連続式、半連続式、回分式などの方法を使用することができるが、これらに限定されるものではない。連続式としては、筒状の容器に無機系担体を充填し、その容器の上部あるいは下部から、酸性物質を含有する有機溶媒を通液して、容器の下部あるいは上部から廃液を排出することにより洗浄することができる。また、回分式としては、攪拌機とろ過装置を取り付けた容器に、無機系担体と酸性物質を含有する有機溶媒を仕込み、所定の時間撹拌後、ろ過して過剰の溶媒を抜き出すことにより洗浄することができる。
洗浄の際の温度、時間は適宜定めることができる。また、温度は常温でも差し支えない。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で焼成された無機系担体に、カルボニル化合物を捕集するためにヒドラジン化合物(例えばDNPH)を吸着(コーティング、担持ともいえる)させ、カルボニル化合物捕集用の充填材を得る。
無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる方法としては、特に制限はない。無機系担体にヒドラジン化合物の溶液を含浸させた後、乾燥により溶媒を除去して吸着させる方法や、無機系担体にヒドラジン化合物の溶液を流通させ、無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させた後、乾燥することにより残っている溶媒を除去して吸着させる方法等を挙げることができる。ヒドラジン化合物を吸着させる際の溶媒は、塩酸を含んだアセトニトリルが好ましい。この場合、ヒドラジン化合物は、無機系担体であるシリカの上に、ヒドラジンの塩酸塩の形で吸着(担持)されているものと考えられる。アセトニトリルよりもシリカの方が極性が高いため、極性の高い塩が吸着する。その後、乾燥することにより塩酸塩から塩化水素が外れ、ヒドラジン化合物が吸着された状態になると考えられる。脱着(溶出)時には、極性の低いアセトニトリル等を用いるので、極性の高いシリカから極性の低いヒドラジン化合物を溶出させることができると考えられる。
なお、本発明では、上述の無機系担体を焼成する工程(1)と、ヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)の間に、別の処理工程が入る構成としても良い。
工程(2)では、工程(1)で焼成された無機系担体に、カルボニル化合物を捕集するためにヒドラジン化合物(例えばDNPH)を吸着(コーティング、担持ともいえる)させ、カルボニル化合物捕集用の充填材を得る。
無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる方法としては、特に制限はない。無機系担体にヒドラジン化合物の溶液を含浸させた後、乾燥により溶媒を除去して吸着させる方法や、無機系担体にヒドラジン化合物の溶液を流通させ、無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させた後、乾燥することにより残っている溶媒を除去して吸着させる方法等を挙げることができる。ヒドラジン化合物を吸着させる際の溶媒は、塩酸を含んだアセトニトリルが好ましい。この場合、ヒドラジン化合物は、無機系担体であるシリカの上に、ヒドラジンの塩酸塩の形で吸着(担持)されているものと考えられる。アセトニトリルよりもシリカの方が極性が高いため、極性の高い塩が吸着する。その後、乾燥することにより塩酸塩から塩化水素が外れ、ヒドラジン化合物が吸着された状態になると考えられる。脱着(溶出)時には、極性の低いアセトニトリル等を用いるので、極性の高いシリカから極性の低いヒドラジン化合物を溶出させることができると考えられる。
なお、本発明では、上述の無機系担体を焼成する工程(1)と、ヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)の間に、別の処理工程が入る構成としても良い。
[ヒドラジン化合物]
ヒドラジン化合物はヒドラジノ基(−NHNH2)を有する有機化合物であり、捕集対象となるカルボニル化合物のカルボニル基と脱水反応し、ヒドラゾンを形成することのできる化合物であれば特に制限はない。
R1(C=O)H + R2−NHNH2→R2−NHNH=CHR1 + H2O
(R1、R2は有機残基を示す。)
ヒドラジン化合物としては2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)が特に好ましい。DNPHとカルボニル化合物との反応生成物(DNPH−カルボニル化合物付加体と表現することがある)は安定であり、適切な波長(360nm)にUV吸収を有するため、液体クロマトグラフィーのUV検出器での分析が容易である。
ヒドラジン化合物はヒドラジノ基(−NHNH2)を有する有機化合物であり、捕集対象となるカルボニル化合物のカルボニル基と脱水反応し、ヒドラゾンを形成することのできる化合物であれば特に制限はない。
R1(C=O)H + R2−NHNH2→R2−NHNH=CHR1 + H2O
(R1、R2は有機残基を示す。)
ヒドラジン化合物としては2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)が特に好ましい。DNPHとカルボニル化合物との反応生成物(DNPH−カルボニル化合物付加体と表現することがある)は安定であり、適切な波長(360nm)にUV吸収を有するため、液体クロマトグラフィーのUV検出器での分析が容易である。
[吸着対象物質]
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの吸着対象物質は、カルボニル化合物(カルボニル基:−(C=O)−を有する有機化合物)であり、さらに詳しくは、アルデヒド類またはケトン類である。アルデヒド類またはケトン類としては、25℃における蒸気圧が1.0×10−10Paよりも大きいカルボニル化合物が挙げられる。その具体的な化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、アセトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、バレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、ヘキサナール、ノナナールなどをあげることができるが、これらの化合物に限定されるものではない。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの吸着対象物質は、カルボニル化合物(カルボニル基:−(C=O)−を有する有機化合物)であり、さらに詳しくは、アルデヒド類またはケトン類である。アルデヒド類またはケトン類としては、25℃における蒸気圧が1.0×10−10Paよりも大きいカルボニル化合物が挙げられる。その具体的な化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、アセトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、バレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、ヘキサナール、ノナナールなどをあげることができるが、これらの化合物に限定されるものではない。
<カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法>
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法は、上述のように、無機系担体を焼成する工程(1)と、焼成された前記無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)とを順に備えた方法で得られた充填材2を、カートリッジ容器3に充填して充填材層2aとする方法としている。
また、図1に示す例のように、カートリッジ容器3内にフィルター4を装填することによって、カートリッジ容器3内において充填材層2aを保持することができ、図示例では、フィルター4を充填材層2aの上下(図1の上下方向)2箇所に配している。
本発明では、上記構成のように、カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジにおいて、予め無機系担体を焼成して用いることにより、カートリッジブランク値を低くすることができ、カルボニル化合物を高効率で捕集することが可能であるとともに、微量のカルボニル化合物を検出することが可能となる。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法は、上述のように、無機系担体を焼成する工程(1)と、焼成された前記無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)とを順に備えた方法で得られた充填材2を、カートリッジ容器3に充填して充填材層2aとする方法としている。
また、図1に示す例のように、カートリッジ容器3内にフィルター4を装填することによって、カートリッジ容器3内において充填材層2aを保持することができ、図示例では、フィルター4を充填材層2aの上下(図1の上下方向)2箇所に配している。
本発明では、上記構成のように、カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジにおいて、予め無機系担体を焼成して用いることにより、カートリッジブランク値を低くすることができ、カルボニル化合物を高効率で捕集することが可能であるとともに、微量のカルボニル化合物を検出することが可能となる。
なお、上述したように焼成した無機系充填材を洗浄する場合、カートリッジ容器3に無機系充填材を充填した後に洗浄を行うことも可能であり、さらには、カートリッジ容器3に無機系充填材を充填した状態で、該無機系充填剤へのヒドラジン化合物の吸着処理を行っても良い。この場合には、洗浄処理した無機系充填材が充填されたカートリッジ容器に、ヒドラジン化合物の溶液を流通させたり、またはカートリッジ容器内に一定時間保持することで各処理工程を実施すれば良い。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ1には、上記無機系充填材2の他、通常の充填材、例えばポリスチレンビーズ、ODS、アルミナビーズ等の充填物を併用して充填することも可能である。即ち、無機系充填材2の粒子と上記充填物の粒子または繊維を混合するか、あるいは層状にカートリッジ容器3に充填して使用することができる。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ1には、上記無機系充填材2の他、通常の充填材、例えばポリスチレンビーズ、ODS、アルミナビーズ等の充填物を併用して充填することも可能である。即ち、無機系充填材2の粒子と上記充填物の粒子または繊維を混合するか、あるいは層状にカートリッジ容器3に充填して使用することができる。
<カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの用途>
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの具体的な用途としては、焼却炉排気ガス、各種製造設備排気ガス、幹線道路上空捕集大気、室内大気、自動車内空気のような環境大気中のカルボニル化合物の分析や、建材、塗膜、成形品などから発散される化合物を含んだガス中に含まれるカルボニル化合物の分析などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
なお、本発明の充填材は、カルボニル化合物以外の化学物質の捕集用としても使用することができる。この場合には、上述の工程(2)を省略することができる。
本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの具体的な用途としては、焼却炉排気ガス、各種製造設備排気ガス、幹線道路上空捕集大気、室内大気、自動車内空気のような環境大気中のカルボニル化合物の分析や、建材、塗膜、成形品などから発散される化合物を含んだガス中に含まれるカルボニル化合物の分析などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
なお、本発明の充填材は、カルボニル化合物以外の化学物質の捕集用としても使用することができる。この場合には、上述の工程(2)を省略することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(無機系担体の焼成)
アルゴノート社製シリカ(LARGE PARTICLE SILICA:平均粒径150μm、BET表面積459m3/g)400gを磁製の蒸発皿にいれ、マッフル炉(ヤマト科学製マッフル炉:モデルFP32)に入れて500℃の温度で2時間、大気中で焼成した。焼成したシリカのBET表面積は、452m3/gであった。
(無機系担体の焼成)
アルゴノート社製シリカ(LARGE PARTICLE SILICA:平均粒径150μm、BET表面積459m3/g)400gを磁製の蒸発皿にいれ、マッフル炉(ヤマト科学製マッフル炉:モデルFP32)に入れて500℃の温度で2時間、大気中で焼成した。焼成したシリカのBET表面積は、452m3/gであった。
(カルボニル化合物捕集用充填材の製造)
直径80mm、高さ500mmのオープンカラムを担持容器として用い、乾燥窒素雰囲気下で、アセトニトリル700mlと実施例1で焼成したシリカ350gの混合物を入れ、余剰のアセトニトリルを抜き出した。次いで、塩酸3gを含むアセトニトリル700mlを、60分かけて通液した。さらに、塩酸6g及びDNPH1gを含有するアセトニトリル1400mlを、120分かけて通液することにより、DNPHをシリカに担持した。そして、担持容器の上部から窒素ガスを導入することにより付着液を抜き出し、さらに窒素ガスを導入することにより乾燥させた。担持容器出口の温度と室温がほぼ同じになった時点を乾燥終点とした。担持容器から窒素気流中で抜き出して、本発明のカルボニル化合物捕集用充填材(実施例1)を得た。
直径80mm、高さ500mmのオープンカラムを担持容器として用い、乾燥窒素雰囲気下で、アセトニトリル700mlと実施例1で焼成したシリカ350gの混合物を入れ、余剰のアセトニトリルを抜き出した。次いで、塩酸3gを含むアセトニトリル700mlを、60分かけて通液した。さらに、塩酸6g及びDNPH1gを含有するアセトニトリル1400mlを、120分かけて通液することにより、DNPHをシリカに担持した。そして、担持容器の上部から窒素ガスを導入することにより付着液を抜き出し、さらに窒素ガスを導入することにより乾燥させた。担持容器出口の温度と室温がほぼ同じになった時点を乾燥終点とした。担持容器から窒素気流中で抜き出して、本発明のカルボニル化合物捕集用充填材(実施例1)を得た。
(カルボニル化合物捕集用充填材を入れたカラムの調製)
上述のようにして得られた充填材(実施例1)350mgを、グローブボックス(乾燥空気雰囲気)中で、底部にポリエチレン製フィルターが取り付けられた内径12.7mm、内容積6mlの筒型のカートリッジ容器(リザーバー)に入れ、上から別のポリエチレン製フィルターで栓をして棒で押しこむことにより、本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジを製造した。
上述のようにして得られた充填材(実施例1)350mgを、グローブボックス(乾燥空気雰囲気)中で、底部にポリエチレン製フィルターが取り付けられた内径12.7mm、内容積6mlの筒型のカートリッジ容器(リザーバー)に入れ、上から別のポリエチレン製フィルターで栓をして棒で押しこむことにより、本発明のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジを製造した。
(カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジのカートリッジブランクの測定)
上記カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ(実施例1)の上部から、アセトニトリル(アルデヒド分析用:和光純薬工業製)5mlを5分かけて通液し、カラム下部よりDNPHを含んだアセトニトリル溶液を溶出した。溶出液を5mlにメスアップし、高速液体クロマトグラフ分析(下記条件参照)を行ったところ、DNPHとともに、DNPH−ホルムアルデヒド付加体、DNPH−アセトアルデヒド付加体、DNPH−アセトン付加体が検出された。これらの付加体を各カルボニル化合物に換算したところ、ホルムアルデヒドとして0.01μg、アセトアルデヒドとして0.01μg、アセトンとして0.09μgが検出された。
上記カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ(実施例1)の上部から、アセトニトリル(アルデヒド分析用:和光純薬工業製)5mlを5分かけて通液し、カラム下部よりDNPHを含んだアセトニトリル溶液を溶出した。溶出液を5mlにメスアップし、高速液体クロマトグラフ分析(下記条件参照)を行ったところ、DNPHとともに、DNPH−ホルムアルデヒド付加体、DNPH−アセトアルデヒド付加体、DNPH−アセトン付加体が検出された。これらの付加体を各カルボニル化合物に換算したところ、ホルムアルデヒドとして0.01μg、アセトアルデヒドとして0.01μg、アセトンとして0.09μgが検出された。
なお、試薬類は特に断らない限り、以下に説明する各実施例、比較例でも実施例1と同
じものを使用した。
じものを使用した。
「高速液体クロマトグラフ分析条件」
本実施例以下、各実施例及び比較例における測定では、高速液体クロマトグラフ法を用い、以下の分析条件で試験を行った。
(1)カラム:ShodexTM C18M−4E 4.6×250mm
(2)温 度:40℃
(3)溶離液:アセトニトリル:水=55:45(体積比)
(4)検出器:UV360nm
(5)流 速:1ml/min
本実施例以下、各実施例及び比較例における測定では、高速液体クロマトグラフ法を用い、以下の分析条件で試験を行った。
(1)カラム:ShodexTM C18M−4E 4.6×250mm
(2)温 度:40℃
(3)溶離液:アセトニトリル:水=55:45(体積比)
(4)検出器:UV360nm
(5)流 速:1ml/min
[比較例1]
焼成していないシリカを使用した以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例1)を得た。これをカートリッジ容器に充填することにより、従来のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ(比較例1)を製造した。
実施例1と同様の操作により、比較例1のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジを用いて、DNPHとともにカルボニル化合物付加体を溶出させたところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.02μg、アセトアルデヒドとして0.01μg、アセトンとして0.10μgが検出された。
焼成していないシリカを使用した以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例1)を得た。これをカートリッジ容器に充填することにより、従来のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ(比較例1)を製造した。
実施例1と同様の操作により、比較例1のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジを用いて、DNPHとともにカルボニル化合物付加体を溶出させたところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.02μg、アセトアルデヒドとして0.01μg、アセトンとして0.10μgが検出された。
[実施例2]
(焼成したシリカのブランク値の加速試験評価)
焼成したシリカ(実施例1)350mgを試験管に入れ、栓をして60℃で4日間加熱した。その後、試験管にアセトにトリルを5ml入れて混合し、上澄み液のHPLC測定を行った。その結果、上澄み液からDNPH−カルボニル化合物付加体が検出され、カルボニル化合物に換算したところ、ホルムアルデヒドとして0.03μg、アセトアルデヒドとして0.05μgが検出された。
(焼成したシリカのブランク値の加速試験評価)
焼成したシリカ(実施例1)350mgを試験管に入れ、栓をして60℃で4日間加熱した。その後、試験管にアセトにトリルを5ml入れて混合し、上澄み液のHPLC測定を行った。その結果、上澄み液からDNPH−カルボニル化合物付加体が検出され、カルボニル化合物に換算したところ、ホルムアルデヒドとして0.03μg、アセトアルデヒドとして0.05μgが検出された。
[比較例2]
(焼成していないシリカのブランク値の加速試験評価)
焼成していないシリカ350mgを用いた以外は実施例2と同様の操作により加速試験を行った。その結果、上澄み液からDNPH−カルボニル化合物付加体が検出され、カルボニル化合物に換算したところ、ホルムアルデヒドとして0.08μg、アセトアルデヒドとして0.20μgが検出された。
(焼成していないシリカのブランク値の加速試験評価)
焼成していないシリカ350mgを用いた以外は実施例2と同様の操作により加速試験を行った。その結果、上澄み液からDNPH−カルボニル化合物付加体が検出され、カルボニル化合物に換算したところ、ホルムアルデヒドとして0.08μg、アセトアルデヒドとして0.20μgが検出された。
[実施例3]
焼成温度を350℃とした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(実施例3)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.05μg、アセトアルデヒドとして0.08μgが検出された。
焼成温度を350℃とした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(実施例3)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.05μg、アセトアルデヒドとして0.08μgが検出された。
[実施例4]
焼成温度を580℃とした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(実施例4)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.04μg、アセトアルデヒドとして0.05μgが検出された。
焼成温度を580℃とした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(実施例4)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.04μg、アセトアルデヒドとして0.05μgが検出された。
[比較例3]
焼成温度を200℃、焼成時間を4hrとした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例3)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行ったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.08μg、アセトアルデヒドとして0.18μgが検出された。
焼成温度を200℃、焼成時間を4hrとした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例3)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行ったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.08μg、アセトアルデヒドとして0.18μgが検出された。
[比較例4]
無機系担体を、塩酸を含まないアセトニトリルで洗浄した点以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例4)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.25μg、アセトアルデヒドとして0.20μgが検出された。
無機系担体を、塩酸を含まないアセトニトリルで洗浄した点以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例4)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.25μg、アセトアルデヒドとして0.20μgが検出された。
[比較例5]
無機系担体を、塩酸を含まないアセトニトリルで洗浄した点、及び、焼成温度を200℃、焼成時間を4hrとした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例5)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.35μg、アセトアルデヒドとして0.29μgが検出された。
無機系担体を、塩酸を含まないアセトニトリルで洗浄した点、及び、焼成温度を200℃、焼成時間を4hrとした以外は、実施例1と同様の操作によってシリカにDNPHを担持してカルボニル化合物捕集用充填材(比較例5)を得た。そして、実施例2と同様の操作によって加速試験を行なったところ、カルボニル化合物に換算して、ホルムアルデヒドとして0.35μg、アセトアルデヒドとして0.29μgが検出された。
各実施例、及び比較例の結果一覧を表1に示す。
実施例2及び比較例2の加速試験評価において見られるように、比較例2では多量のホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドが検出されたのに対し、シリカを焼成した実施例2では、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの検出量が、比較例2に比べて大幅に少ない量となっている。
以上の結果より、本発明のカルボニル化合物捕集用カラムは、シリカをあらかじめ焼成しているので、シリカからの不純物の発生が少なく、ブランク値が安定して低いカートリッジであることが明らかとなった。
1…カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ、2…充填材、2a…充填材層、3…カートリッジ容器(リザーバー)、4…フィルター
Claims (19)
- 無機系担体を焼成する工程(1)と、
焼成された前記無機系担体にヒドラジン化合物を吸着させる工程(2)とを順に備えたことを特徴とするカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。 - 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が300〜700℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が400〜600℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 前記工程(1)における無機系担体の焼成温度が500〜550℃の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 前記ヒドラジン化合物が、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 前記無機系担体がシリカを主成分としてなるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のカルボニル化合物捕集用充填材の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により製造されたカルボニル化合物捕集用充填材。
- 請求項9に記載の充填材を、カートリッジ容器に充填することを特徴とするカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法。
- 請求項1に記載の工程(1)で焼成された前記無機系担体をカートリッジ容器に充填した後、請求項1に記載の工程(2)を行うことを特徴とする請求項10に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジの製造方法。
- 請求項9に記載の充填材が充填されたカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
- 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする請求項12に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
- 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする請求項13に記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。
- 請求項9に記載の充填材が充填されたカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジであって、
アセトニトリルを溶離液として溶出されるカルボニル化合物のブランク値が、総量で0.05μg以下であることを特徴とするカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジ。 - カルボニル化合物および共存物質が含有された分析試料を、請求項12〜15のいずれかに記載のカルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジに流通させて前記カルボニル化合物を前記無機系充填材に吸着させた後、前記カルボニル化合物捕集用固相抽出カートリッジに溶離液を流通させて前記カルボニル化合物と前記ヒドラジン化合物の結合化合物を流出させることを特徴とするカルボニル化合物の分取方法。
- 前記カルボニル化合物が、アルデヒド類またはケトン類であることを特徴とする請求項16に記載のカルボニル化合物の分取方法。
- 前記アルデヒド類が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−トルアルデヒドのいずれかであることを特徴とする請求項17に記載のカルボニル化合物の分取方法。
- 焼成された無機系担体が充填材とされたことを特徴とする固相抽出カートリッジ。
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